2021年4月28日 薬事・食品衛生審議会 毒物劇物部会 議事録

日時

令和3年4月28日(水) 10:00~

場所

イイノホール&カンファレンスセンター Room A(4階)

出席者

出席委員(9名) 五十音順


 (注) ◎部会長 ○部会長代理


欠席委員(0名)


行政機関出席者
 佐々木正大(化学物質安全対策室長) 他
 

議事

○事務局 ただいまより、令和3年度第1回薬事・食品衛生審議会毒物劇物部会を開催いたします。
令和2年4月1日付けにて、委員の交代がありましたので御報告いたします。奥田部会長が退任され、後任として国立医薬品食品衛生研究所の合田幸広所長が新たな委員として任命されています。また、令和2年7月1日付けにて、栗原部会長代理が退任され、後任として国立医薬品食品衛生研究所の出水庸介有機化学部長が新たな委員として任命されています。また、同7月1日付けにて、山口委員が退任され、後任として埼玉医科大学国際医療センターの根本学救命救急センター長/救命医学科教授が、また、新たな委員として、全国農業協同組合連合会の鈴木伸男技術主管が任命されています。
これに伴い、新たな部会長の選任が必要ですが、薬事・食品衛生審議会令第7条第3項の規定に基づき、部会長は当該部会に属する専門委員及び臨時委員を除いた委員の互選により選出すると規定されており、令和2年4月1日時点の各委員に事前に御相談させていただいた結果、合田委員が新たに部会長として選任されておりますので御報告いたします。
それでは、合田部会長から一言御挨拶をいただけますでしょうか。
○合田部会長 国立衛研の合田でございます。今、事務局からの話がありましたように、私は前年から継続ということになっておりますが、実際には今日が最初の会議でございます。皆さんと顔を合わせるのは初めてでございます。どうぞよろしくお願いいたします。私自身は、バックグラウンドが有機化学で、ケミストリーでございます。ここの委員の先生方には、様々な部員、先生方がいらっしゃいます。是非、御専門に基づいた非常に有意義な発言をしていただければと思っています。また、皆様の御協力がなければ円滑に審議は進みませんので、その点もどうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。
○事務局 ありがとうございました。続いて、冒頭申し上げましたとおり、栗原部会長代理が退任なされておりますので、薬事・食品衛生審議会令の規定に基づき、部会に属する委員又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者がその職務を代理するとされており、部会長代理については、部会長から御指名いただくこととなっております。それでは、合田部会長よろしくお願いいたします。
○合田部会長 部会長代理については、調査会に出ていらっしゃる先生がよろしいのではないかと思いまして、いろいろ伺いましたところ、従前から調査会に石塚先生が出ていらっしゃるということですので、是非、石塚先生にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○事務局 ありがとうございます。それでは、合田部会長の御指名により、石塚委員に部会長代理をお願いしたいと思います。石塚委員、よろしくお願いいたします。
○石塚委員 よろしくお願いいたします。
○合田部会長 では、新任の委員の方、簡単に自己紹介をお願いできればと思います。まず鈴木伸男先生、よろしくお願いします。
○鈴木委員 全農の鈴木でございます。特に専門といいますか、そういう何かがあるわけではないですが、農薬の関係を長くやっていたということで、委員として入らせていただいたかと思っています。またよろしくお願いいたします。
○合田部会長 どうもありがとうございます。新任というより、出水先生も一応前期も委員であったわけですが、この回は初めてですので、出水先生、よろしくお願いします。
○出水委員 国立衛研有機化学部の出水でございます。専門は部の名前のとおり有機化学でして、この部会、調査部会においては、化学名と構造式のところに関して担当したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○合田部会長 どうもありがとうございます。それでは、根本学先生、よろしくお願いします。
○根本委員 前任の杏林大学山口先生から推薦を受けました埼玉医科大学国際医療センターの根本といいます。専門は、救急一般、外傷学、災害医学、そして中毒学というところになっております。日々、救命救急センターには薬物中毒という方が運ばれてきております。様々な治療も経験してまいりましたので、必要な場合においては医学的な御助言等をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○合田部会長 根本先生、ありがとうございます。では、事務局に戻します。
○事務局 ありがとうございました。最初に、毒物劇物部会の現在の総人数は9名で、定足数が過半数の5名になっております。本日は、リモート参加の1名を含め、全委員の先生方に御出席いただいておりますので、この会議は定足数に達していることを御報告申し上げます。
また、今申し上げましたとおり、緊急事態宣言の発出に伴い、遠藤委員のみリモートで参加されておりますことを申し添えます。なお、本会議については公開で行われ、資料及び議事録も公開となっております。
 それでは、開催に当たりまして、佐々木室長より一言御挨拶申し上げます。
○化学物質安全対策室長 佐々木でございます。本日は、審議官の山本が出席予定でございましたが、所用のため、私から御挨拶申し上げたいと思います。本日は本当にお集まりいただきまして、ありがとうございました。この部会でございますが、毒物劇物等による危害の防止に関する事項を審議するものでございます。今回は、おおむね1年程度の期間を置きましての開催になっております。コロナの影響もございまして、度々日程調整をさせていただき、今日に至りましたことをおわび申し上げますとともに、御参集いただきましたことを本当にありがとうございます。また、感染対策に御協力いただいている傍聴の皆様に対しても、感謝申し上げます。
 前回審議会に御了承いただきました、毒物2物質、劇物14物質の指定、及び劇物からの除外3物質につきましては、昨年6月24日に毒物及び劇物指定令の一部を改正する政令が公布されまして、同年7月1日に施行されたところでございます。
今年、今回でございますが、劇物1物質の指定、毒物からの除外とそれに伴う劇物2物質の新たな指定及び劇物からの除外1物質について、御審議いただければと考えております。忌憚のない御意見を賜れればと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 続いて、毒物劇物部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、御報告させていただきます。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定しております。今回、御出席の全ての先生方より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、これについて御報告させていただきます。なお、委員の皆様方には、調査会開催の度に御負担をお掛けしており、大変申し訳ございません。
 続いて、お手元の資料の確認をさせていただきます。まず、今回の議事次第、委員名簿、座席表です。次に、今回御審議いただく物質について、資料1及び資料2-1から2-3となっております。また、当日配布資料として、当日配布資料1「令和3年度以降の毒物劇物指定候補物質について」です。当日配布資料2「令和3年度第1回薬事・食品衛生審議会薬事分科会毒物劇物部会の審議物質の除外申請に伴う用途について」、これは委員のみの配布になっています。なお、この資料は、これから御審議いただきます新たに毒物劇物に指定される物質の事業者からの除外申請に伴う用途一覧になります。用途の公開については、事業者が不利益を被る可能性があることから非公開とし、当該資料は審議終了後回収いたします。また、用途についての御発言はお控えいただきますようお願いいたします。
 そのほかに、当日配布資料3として、「MDIの毒物指定について」、当日配布資料3の補足資料として、平成30年度第2回調査会資料(MDIに関する資料)、この2つについても委員のみの配布になっております。
 さらに、参考資料として、参考資料1「毒物劇物の判定基準(最終改定:平成29年2月)」を配布しております。お手元の資料に不備等がありましたら、お申し付けください。
また、毒物劇物部会においても、会議のペーパーレス化に向け、机上には今御説明させていただいた議事次第及び資料1等の紙媒体に加え、タブレット本体、スタンド、スタイラスペン、操作説明書を配布しております。このタブレット本体の中に、議事次第、資料1等の紙媒体として準備した資料の電子媒体を格納しておりますので、どちらか見やすい方を御利用いただければと思います。
 では、ダブレットの操作方法を簡単に御説明いたします。まず、ダブレットですが、電子ファイルを御覧になる際の操作方法の説明です。多分、皆さん起動されていると思うのですが、もし切れているようでしたら、画面下の丸いボタンを2回押してください。それで起動がされます。
 画面が表示されましたら、議題ごとにフォルダが表示されておりますので、右側の大きいフォルダをクリックすると、細かいファイルが展開されます。それぞれ議題1をタッチしていただくと、議題1の資料一覧が表示されて、御覧になりたい資料名をタッチすると、その資料が展開されるという形になっております。
 ほかの資料を御覧いただく場合には、左上の青字の所をタッチしていただくと、資料一覧が再度表示されます。また、他の議題を御確認いただく場合には、左上の矢印とマイプライベートファイルをタッチしていただくと、再び議題ごとのフォルダが表示されます。必要に応じてフォルダをタッチして、御覧いただくようお願い申し上げます。
 なお、タブレットの動作等について、不明点等がありましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
 それでは、議事に移りたいと思います。以降の議事運営については部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○合田部会長 ありがとうございます。遠藤先生、御発言をされたいときがありましたら、声を出していただければ、遠藤先生にお回ししますので、その点よろしくお願いします。
○遠藤委員 わかりました。
○合田部会長 それでは、審議事項に入ります。議題1は劇物の指定についてです。「4-メチルベンゼンスルホン酸(ただし、4-メチルベンゼンスルホン酸5%以下を含有するものを除く。)」、このことについて審議をしたいと思います。それでは事務局、よろしくお願いします。
○事務局 では、御説明させていただきます。本物質は、GHSで皮膚腐食性/刺激性、眼に対する重篤な損傷/眼刺激性が区分1に分類されております。かつ、危険物輸送に関する国連勧告で腐食性物質に分類されています。そのため、急性毒性及び刺激性に関する有毒性情報収集を実施しており、皮膚に対する腐食性、眼等の粘膜に対する重篤な損傷が認められております。そのため、平成27年度の調査会において劇物相当とされておりました。その後、事業者から毒性データが提出され、5%製剤であれば劇性を持たないということが判明しております。
 なお、本日までのところで、平成30年の第2回部会において、質問が3点ありました。部会からの質問ですので、この場を借りまして御回答をさせていただきます。
 まず1つ目は、急性毒性吸入毒性試験で実施すべき試験を、気管内投与試験で実施して問題はないのかという質問です。それについては、気管内投与試験は、吸入試験を完全に代替するものではないため、積極的に推奨するものではないが、OECDでも代替試験法として推奨されており、投与方法も確立されているため、吸入試験の実施が困難な場合の試験法として問題はないと考えております。
 2つ目は、気管内投与試験における4-メチルベンゼンスルホン酸のばく露形態は、ガス、ミスト、ダストのいずれでしょうかという質問がありました。これに関しましては、事業者よりミスト、霧状で行っていると回答がきております。
 3つ目は、8%製剤ではLC50が6.25mg/L/4hrを超えるとのことですが、提出された資料の結果だと必ずしも判定基準の10倍を超えていないので、製剤除外できないのではないかという質問が出ておりました。これについては、今回、5%製剤の資料が新たにここで提出されておりますので、この5%製剤であれば、除外基準の10倍を超えるという状況を確認しております。以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。この物質については、原体で「急性吸入毒性」、「皮膚刺激性」、「眼刺激性」により毒物劇物調査会で劇物相当と判断されましたと。また、事業者から提出された各毒性データにより、5%以下を含有する製剤について、劇物からの除外は妥当であると判断されたということです。以上より、「5%以下を含有するものを除く。」をただし書きに加え、劇物指定するという状況です。これは、前回、御質問を頂いた先生方がいらっしゃいますので、その先生方の御意見をまず伺いたいと思いますが、石塚先生はどうですか。よろしいですか。
○石塚部会長代理 はい、大丈夫です。
○合田部会長 遠藤先生はどうでしょうか。
○遠藤委員 はい、これで大丈夫でございます。
○合田部会長 ありがとうございます。あと、山口先生から御質問を頂いていて、これは一番重要なところではないかと思います。根本先生、よろしいですか。
○根本委員 はい。
○合田部会長 ありがとうございます。これについては、皆さん、よろしいということですね。ありがとうございます。
 それでは、次の議題、毒物又は劇物からの除外に進みます。資料2-1について説明してください。
○事務局 資料2-1について御説明いたします。チメロサールは、今回、名称としては、[(2-カルボキシラトフェニル)チオ](エチル)水銀ナトリウムとなっております。まず、このチメロサールですが、毒物及び劇物指定令第1条第17項において、「水銀化合物及びこれを含有する製剤」として包括指定がされている毒物です。今般、事業者から、0.1%製剤の動物実験データが提出され、その結果から、毒物ではなく劇物レベルということが確認されています。
 このOECDのテストガイドラインに準拠して行われた0.1%製剤の結果については、刺激性はなしという結果が出ております。あと、急性経口毒性試験において、LD50が2,000mg/kgを超えております。これは普通、特に劇物でも毒物でもないという判断がついています。次に、急性経皮毒性試験は、LD50が200mg/kgを超えております。これは劇物相当になります。吸性吸入毒性試験(ミスト)は、LC50が6.7mg/L/4hr、これも普通物という扱いになります。
先ほど申し上げましたように、名称については、事務局、部会長及び調査委員会の委員等の専門家と協議の結果、現時点ではこの[(2-カルボキシラトフェニル)チオ](エチル)水銀ナトリウムとなっております。以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。名称のことについて御説明をさせていただきます。この化合物は、今ここに構造式が出ておりますが、実際には、カルボン酸がフリーになっていた部分と、それからSの所とエチル基、それは全部、水銀に配位をしているような化合物ですが、そういうような構造式で書くというのは、たぶん化学的にはそれが一番適切な配位化合物なのだろうと思うのですが、一般に社会に広まっている構造式は、こちらで書かれていた構造式でして、多分、この形で名前を付けるのが一番よろしいだろうということで、構造式をこの構造式にさせていただいて、従来から言われている構造式で名前を付けさせていただいている、そういう状態です。
 1点だけ、これはマイナーな点ですが、構造式を見ますと、ここに、エチル基の先にメチルのCHの表示がありませんので、今日の資料を全部見ていただきますと、どれもそういうときはCHを書いているようですので、それは訂正をされた方がよいのではないかと思います。
 この物質、「0.1%以下を含有する製剤」を毒物から劇物に指定することについて、皆さん、特に御質問、御意見等ございますでしょうか。よろしいですか。では、御了解いただいたものといたします。
 それでは、次の資料2-2を説明してください。
○事務局 資料2-2、別名で「テフルトリン」と言われている物質について御説明いたします。名称については、非常に長いものでして、ちょっと控えさせていただければと思います。
 このテフルトリンですが、現在、毒物及び劇物指定令第1条第19号の2に該当しておりまして、毒物に指定されています。今回、事業者より、1.5%製剤の毒性データを評価した結果が提出され、その毒性試験の結果に基づいて、この1.5%以下の製剤を毒物から除外し劇物に指定するというものです。
 簡単に試験結果を御紹介させていただきます。急性経口毒性試験の結果は、LD50が300mg/kg超、これは普通物の扱いになります。急性経皮毒性試験は、LD50が1,000mg/kg超、これも普通物扱いです。急性吸入毒性試験(ミスト)は、LC50が1.0mg/L/4hrを超えております。これも普通物としての扱いになります。以上のデータから、今回、見直しを行うものです。よろしくお願いいたします。
○合田部会長 御説明ありがとうございます。この化合物については、1.5%以下を含有する製剤を毒物から劇物に変更することが妥当であるという旨の説明がされましたが、この点について、皆様、御了解いただけますでしょうか。はい、奈良先生、お願いします。
○奈良委員 結論には異論はございませんが、資料の2ページの一番下の行に、EU GHS分類という項目があります。ここのカラムが「-」になっているのですが、こちらは、EUのCLPの調和分類が情報として追加されていますので、事務局に御確認いただいて、正式な情報を追加いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○合田部会長 事務局、よろしくお願いします。
○事務局 ありがとうございました。事務局のほうで確認し、資料は修正させていただきます。
○合田部会長 あと、これもマイナーな点ですが、基本的に、名称と構造式は1対1対応させるべきだと思います。今は他の所でも、大体そういう形になっていまして、この物はラセミ体で名称が規定されていますので、ここに今、示されている構造式は、ラセミ体ではないので、スタイルとして、この構造式の横に「及び鏡像異性体」という言葉を入れていただくと、いわゆる日本薬局方等で今やっている記載の形に合う、正しい形になるだろうと思います。
 それから、もう1点、これも非常にマイナーな点ですが、名称の英語名の所で、改行の頭に「-」がきていまして、これは余りよくありませんので、trifluoroの後ろに「-」がきて、次に「1」から始まるような形で英語の所は書いておいていただければと思います。
 それでは、次に入らせていただきます。資料2-3です。この化合物について御説明をお願いいたします。
○事務局 資料2-3です。ビス(2-メチルプロピル)=3,3′-[エタン-1,2-ジイルビス(オキシエタン-2,1-ジイルスルフアンジイル-4,1-フエニレン)]ビス(2-シアノプロパ-2-エノアート)につきまして、御説明いたします。本物質は、毒物及び劇物指定令第2条第1項第32号の「有機シアン化合物及びこれを含有する製剤」として、包括指定がされており、「劇物」に該当しております。今般、事業者から、原体の毒性データが提出されており、その結果、劇性を持たないものであることが確認されております。
 試験データを簡単に御説明いたします。急性経口毒性試験は、300mg/kg超で、普通物に該当します。急性経皮毒性試験は、1,000mg/kg超で、これも普通物該当です。あと、急性吸入毒性試験、これはダストの試験結果ですが、1.0mg/L/4hrを超えています。これも普通物になります。あと、皮膚と眼への刺激性はなしと確認されています。事務局としましては、この物質について、劇物から除外することが妥当と考えております。以上になります。
○合田部会長 この物は新規の化合物で、まずは、名称をどうするかという問題があります。実はこの名称につきまして、私が見ましたところ、もう少し検討したほうがよろしいのではないかと思いました。出水先生が御専門ですので、出水先生と私で相談をしながら最終的な名称を決めさせていただければと思います。これは申し訳ないですけれども、名称だけは座長預かりとさせていただければと思っております。
 この物は、CASナンバーで引きますと、そこに出ている構造式はうねうねの部分が規定された構造式になっているのですが、名称的には、基本的には、そこが規定されていない名称になっておりますので、この形、EE体、EZ体、ZZ体の全てを含む、抱合する形で名称を付けるというのが、CAS番号と対応させるという意味では適切ではないかと思っております。
 少し構造、名称のことについて説明させていただきましたけれども、本題に戻りまして、原体及びこれを含有する製剤を、劇物から除外するということにつきまして、皆さま、御了解頂けますでしょうか。よろしいですか。遠藤先生お願いします。
○遠藤委員 遠藤でございます。急性吸入毒性の試験結果の解釈についてですけれども、こちらの毒物劇物の製剤の除外に関する考え方に則っていいとするとすれば、この参考資料1の2ページの2.の毒物劇物の製剤の除外に関する考え方の「(1)製剤について知見がある場合」というように考えてよろしいでしょうか。もし、そうであるとすれば、この試験結果の1.0mg/L/4hrという値が、参考資料1に記載のある(a)の「投与量、投与濃度の限界において安全が確認されたもの」という形になるのか、その辺のところをどのように考えていいのか教えていただければと思います。試験結果を見る限り、劇物該当のダストの「LC50が0.5mg/Lを超え1.0mg/L以下のもの」という記載に基づいて、この1.0mgの濃度設定で試験をされているような感じに見受けられましたので、こういう形で除外していいのかどうなのかというところを教えていただければと思います。
○合田部会長 遠藤先生ありがとうございます。事務局、何かございますか。
○事務局 では、お答えさせていただきます。今回のこの除外につきましては、原体そのものを劇物からの除外となっております。委員の御指摘は、2.の製剤の除外に関する考え方でして、今回の場合は、原体で試験をして、原体の試験結果につきましては、1.の毒物劇物の判定基準、こちらの結果と照合して外せるかどうかを検討いたしますので、そのようにこちらで判断しております。
○遠藤委員 分かりました。ありがとうございます。
○合田部会長 ほかの委員の先生方もよろしいですか。ありがとうございました。
それでは先に進めたいと思います。次は、「その他」の項になります。奈良先生お願いします。
○奈良委員 資料1の件で気付きがありましたので、発言させていただきます。資料1の5ページの所で、毒性の5%製剤のデータが載っておりまして、ここの刺激性のウサギの眼刺激性の所に「強度の刺激性」というように結果が記載されております。強度の刺激性と言いますと、どの基準を使った上で強度と判断したのか、その分類基準によって恐らく変わってくるかと思いますので、可能であれば、今回配布いただいています当日配布資料1の3ページにありますGHS分類の刺激性の区分2Aとかの、国際的な基準で決定されているような結果をここに記載いただくとか、若しくは、調査会の資料を拝見いたしましても、区分2A相当であるという記載がありました。強度の刺激性ということが必要であれば、今の資料2-3では、「Kay and Calandraの方法における分類では」と記載されていましたので、どのような基準の分類を使ってこういう判定をしたのかを書いておいた方がよいのではないかと考えております。御検討いただければと思います。
○合田部会長 資料2-3の4ページですね。
○奈良委員 資料2-3の4ページの所に、※マークがありまして、「Kay and Calandraの方法における分類では」と書いてありますので、何かこのようなことで追記いただくほうがよろしいのではないかと。
○合田部会長 はい。例えばここの「強度の刺激性」の所に、更に*4にして、より具体的にどういうことに基づいたかと、そういうことを入れればよろしいということですね。
○奈良委員 はい。
○合田部会長 事務局、できそうですか。
○事務局 分かりました。この部分、資料の方に*4を追加させていただいて、もう少し詳しく書かせていただければと思います。
○奈良委員 ありがとうございます。
○合田部会長 ありがとうございます。こういうことは非常に重要なことですので、よろしくお願いします。奈良先生、ありがとうございました。
 「その他」の項に入りたいと思います。また事務局から説明していただきます、よろしくお願いします。
○事務局 「その他」の項目を御説明いたします。当日配布資料1「令和3年度以降の毒物劇物指定候補物質について」です。これは令和3年度以降の毒物及び劇物指定のためのGHS分類において、健康に対する有害性が区分1~区分3、及び危険物輸送に関する国連勧告で、毒物又は腐食性物質である物質として、毒物及び劇物の指定候補物質を、このような条件の下でリストとして提示しております。前回の部会で御提示したリストから、今回審議され劇物相当と判断された1物質、及び指定候補物質から外れた1物質が、今回のリストから前回との比較で除かれております。なお、今回新たに追加された物質はありません。今後、これらの物質が、順次、この部会で審議されることとなります。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 続きまして、当日配布資料3の「MDIの毒物指定について」及びその補足資料についてです。両方とも委員卓上のみとなっております。なお、MDIは、先ほど申し上げた前のリスト上では、ビス(4-イソシアナトフエニル)メタンと書かれていたものです。今回、名前がいろいろ複数あるものですから、資料によって若干表記が変わっていますが、同じものを指しております。
なお、このMDIについては、実用状況下では急性毒性を示すようなばく露は想定しにくいと判断しております。なお、その結果から、今回、これは指定はしないで、今後、実用状況下でMDIの急性毒性が確認された場合などに改めて再度審議することとして、今回は指定候補物質から外しております。詳細につきましては、先ほど申し上げた当日配布資料3及びその補足資料にて記載してありますが、当該物質につきましては、「指定候補物質から外れる」ということで、当該資料の内容については「対外秘」扱いさせていただいております。よろしくお願いいたします。
○合田部会長 これは事務局の判断としては、この部分を取りあえずそこの対象品目から外すということですか。
○事務局 もう少し詳しく教えていただけますか。
○合田部会長 調査会にこれからかけるという話ですか。
○事務局 調査会の方で判断をされたものですが、もともとこれは選定された段階で吸入毒性に問題があったというようになっていますが、この物質につきましては、ウレタンを合成するときにポリオールと組み合わせて使うもので、基本的に吸入試験というのはかなり特殊な試験方法を用いないと適切な粒子径が得られず、急性吸入毒性試験そのものができないようなものになっております。よって、実現性が比較的ないというか、現実的ではないというような試験ということで、欧州の方でも、その試験につきましては採用していない状況です。したがって、欧州でも毒物劇物の指定対象にMDIは上がっておりません。よって事務局としても候補として一度上がったものですが、その辺りの部分を確認しまして、今回、候補から外すのが適切かということになっています。ただし、先ほど申し上げたとおり、今後、ほかの使用方法とかが改めて出てきた場合、もし毒性等の事故報告等があれば、これは再度審議する必要があると考えております。
○合田部会長 毒物劇物の判定基準で、「例えば、物性や製品形態から投与経路が限定されるものについては、想定し難いばく露経路については判定を省略するなど現実的かつ合理的に判定するものとする」という所があるので、そのばく露経路等を考えた場合に、これは実際上このような毒性が生じることはないということなので、事務局の判断で、一旦、調査会で急性吸入毒性の観点からというような判断がありましたけれども、そういうことは起こり得ないだろうということで外すと、そのような御説明ですけれども、事務局、私の説明でいいですね。
○事務局 そのとおりです。
○合田部会長 そういうことですが、皆さまは、この点、御了承いただけますでしょうか。よろしいですか。では、御了解いただいたものといたします。
 皆さん、ほかに何かございますか。今日の審議全体、それから追加で御質問等がございましたらお受けいたしますが、よろしいですか。
 それでは、事務局にお戻しいたします。
○事務局 本日、御審議、御決議いただきました物質につきましては、次回の薬事・食品衛生審議会薬事分科会に報告させていただきます。あと修正点につきましては、修正後、委員の方に御確認いただきますので、よろしくお願いいたします。
また、本日の議事録につきましては、事務局において取りまとめをした後、委員の方に御確認いただき、公開の手続を進めていきたいと思っております。以上でございます。
 特になければ、これで全てになりますので、本日はどうもありがとうございました。
○合田部会長 皆さん、どうもありがとうございました。これで閉会させていただきます。
○事務局 これにて本日は終了とさせていただきます。
( 了 )
備考
本部会は、公開で開催された。

照会先

医薬品審査管理課

化学物質安全対策室 室長補佐 野坂(内線2910)