第4回がんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

令和3年3月5日(金) 10:00~12:00

方法

オンライン

議題

(1) がんゲノム医療推進に向けた取組について
(2) 「全ゲノム解析等実行計画」の推進に向けた検討会議からの報告
(3) その他

議事

 
○健康局がん・疾病対策課がん対策推進官 それでは、定刻を若干過ぎましたので、ただいまより第4回「がんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議」を開催いたします。
 構成員及び参考人の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 事務局を務めさせていただきます、厚生労働省健康局がん・疾病対策課の岩佐と申します。よろしくお願いいたします。
 まず冒頭に医務技監の福島より御挨拶させていただきます。
○医務技監 おはようございます。医務技監を務めております福島です。
 第4回の「がんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議」の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
 まず、構成員の皆様方には、大変お忙しい中、御出席を賜りまして、厚く御礼を申し上げます。また、日頃からがんゲノム医療の推進をはじめとしまして、厚生労働省行政の様々な場面で御指導あるいは御協力、御知見を賜りまして、この場を借りて厚く御礼を申し上げたいと思います。
 さて、本会議でありますけれども、我が国のゲノム医療が患者さんあるいは国民の皆さんにとって有益なものになるように、公平かつ公正で持続可能な仕組みを構築するために平成30年8月に発足したものであります。
 その後、全国どこにいてもがんゲノム医療を受けられる体制を構築するということで、がんゲノム医療中核拠点病院やがんゲノム情報管理センター(C-CAT)を中心とした体制を段階的に構築してきたわけであります。また、令和元年6月には、がん遺伝子パネル検査が保険収載されまして、全国で行われた遺伝子パネル検査の情報が臨床情報とともにC-CATに集約されることになったわけです。
 今後、さらに効果的、効率的にゲノム情報や臨床情報を集約して活用できる仕組みを一日でも早く構築していくことが、がんゲノム医療の実装化に向けてさらに重要になってくると考えております。また、全ゲノム解析などの新しい技術についても着実に推進させて、ゲノム医療をさらに進めてまいりたいと考えております。
 本日は、我が国のがんゲノム医療が患者さん、国民の皆さんにとってより有益なものになるように、それぞれの患者、国民という立場の視点から、あるいはその診療現場、開発研究という現場を含めた、がんゲノム医療の推進に係る皆様の視点から様々な議論を深めていただければと思います。
 以上、簡単でございますけれども、私からの冒頭の御挨拶にさせていただきたいと思います。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
○健康局がん・疾病対策課がん対策推進官 ありがとうございました。
 続きまして、構成員につきまして交代がございましたので御紹介させていただきます。お名前を私のほうから御紹介いたしますので、一言ずつ1分程度で御挨拶をいただければと思っております。
 それでは、日本癌治療学会の理事長、土岐祐一郎構成員でございます。よろしくお願いいたします。
○土岐構成員 よろしくお願いいたします。前理事長の北川雄光先生から交代しました。
 癌治療学会は、領域横断的ながん治療医、そして、コ・メディカル等も多くの方が参加している学会でございます。皆様のお役に立てればと思っております。よろしくお願いいたします。
○健康局がん・疾病対策課がん対策推進官 続きまして、日本医師会会長、中川俊男構成員でございます。よろしくお願いいたします。
○中川構成員 日本医師会会長の中川俊男です。よろしくお願いいたします。
○健康局がん・疾病対策課がん対策推進官 続きまして、日本衛生検査所協会会長、久川芳三構成員でございます。
○久川構成員 日衛協の会長の久川でございます。私も昨年5月の総会をもちまして前任者と交代をいたしました。しかしながら、私は文系出身の人間でございまして、全くこの専門的なことは理解できておりません。そんなことで大変難しい話の中に同席をさせられているというような印象を強く持っているのですけれども、その辺は御容赦いただきたいと思います。よろしくどうぞお願いいたします。
○健康局がん・疾病対策課がん対策推進官 続きまして、日本医療研究開発機構理事長、三島良直構成員でございます。
○三島構成員 三島でございます。昨年4月に前任の末松理事長から交代いたしまして、AMEDの理事長を仰せつかってございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○健康局がん・疾病対策課がん対策推進官 構成員の交代につきましては、以上でございます。
 なお、本日、宮野構成員からは御欠席の御連絡をいただいております。
 木下構成員は若干遅れているようでございます。
 また、瀬戸構成員からは、冒頭30分程度で御退席という御連絡をいただいているところでございます。
 また、オブザーバーといたしまして、厚生労働省データヘルス改革推進本部プロジェクトチーム技術参与であります葛西重雄様、並びに参考人といたしまして、国立がん研究センターがんゲノム情報管理センター副センター長であります吉田輝彦様に御参加いただいております。よろしくお願いいたします。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料は、厚生労働省のウェブサイトにも掲載しております。事前にも送付させていただいておりますが、議事次第、資料1から5、参考資料1から9がございます。御確認いただければと思います。
 事務局からは以上でございます。
 以降の議事進行につきまして、中釜議長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○中釜議長 議長を務めさせていただく中釜です。本日は皆さん、よろしくお願いいたします。
 先ほど福島医務技監からお話がありましたが、本日の第4回がんゲノム医療推進コンソーシアムでは、これまでの遺伝子パネル検査を中心としたがんゲノム医療、これは国民あるいは全ての患者さんががんゲノム医療による最適な医療を受けられるように広めていくための非常に重要な試みですが、その進捗状況を共有したいと思います。
 加えて、これからの取組としてのがん全ゲノム解析です。これはこれまでのがんゲノム医療の可能性をさらに広げて、研究からスタートして患者さんへ裨益の可能性を広げていく試みであり、それについて検討したいと思います。
 多くの構成員の方々からは、専門の立場からいろいろな御意見をいただき、全ゲノム解析を含めたがんゲノム医療が、非常に安全な形で国民に還元できるような形で進めていきたいと思いますので、本日はよろしくお願いいたします。
 それでは、議題1「がんゲノム医療推進に向けた取組について」に移りたいと思います。まず、資料1を事務局より御説明いただき、その後、構成員から御意見や御指摘を受けたいと思います。よろしくお願いいたします。
 では、事務局、お願いいたします。
○事務局(湯川) それでは、資料1の説明をさせていただきます。事務局の湯川でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、資料1、スライド1枚目「がんゲノム医療推進に向けた取組について」というところでございます。
 2枚目に参ります。このコンソーシアム運営会議を中心としまして、患者様、国民の皆様、企業の方々、そして実際にゲノム医療を行う病院、大学等研究機関が一体となってゲノム医療を進めていくところでございます。また、ゲノム等の情報につきましては、がんゲノム情報管理センター、通称C-CATに集約していくところでございます。
 次に3枚目のスライドでございますが、現在、がんゲノム医療中核拠点病院等につきましては3類型ございます。中核拠点病院、拠点病院、連携病院の3類型ございまして、中核拠点病院と拠点病院につきましては、自施設でパネル検査の解釈ができる病院、中核拠点病院につきましては、研究開発や人材育成において中心となっていただいている状況でございます。
 スライド4枚目に参りますと、中核拠点病院等というところで、中核拠点病院が12か所、拠点病院が33か所、連携病院が161か所ございます。
 次のスライドに参りますと、拠点病院33か所を一覧で載せております。
 6枚目のスライドでございますが、連携病院につきまして、少し表がタイトで恐縮でございますが、161か所を一覧で載せてございます。
 スライド7枚目、これまでお伝えしたまとめでございますが、現在、中核拠点病院が12か所ございまして、こちらで人材育成や研究開発等も含めて中心となっていただいております。また、中核教育拠点病院、拠点病院でパネル検査の解釈を行っていただいております。連携病院につきましては、中核拠点病院や拠点病院と連携しながらパネル検査を患者さんに返していくところでございまして、我々としましては、全国どこにいても患者様ががんゲノム医療を受けられるような体制を段階的に構築してまいりたいと考えてございます。
 次に8枚目、中核拠点病院と拠点病院につきましては、我々のほうで指定しておりまして、次回は2021年度の末に再度指定をさせていただければと考えてございます。また、連携病院につきましては、中核拠点病院と拠点病院で選定されるところでございますので、今後も随時選定されていくものと考えております。
 続きまして、スライドの9枚目、現在の保険診療で行われるパネル検査の流れでございます。標準治療があるものにつきましては、標準治療後にパネル検査を行う。標準治療がないものにつきましては、標準治療がございませんので最初の段階でパネル検査が行われてございます。
 スライドの10枚目でございますが、現在、保険適用されているパネル検査につきましては2品目ございます。また、先進医療としまして標準治療前にNCCオンコパネルを用いるもの、新しいパネル検査としてTrue Sight Oncology 500を用いるものがございます。
 スライド11枚目、先ほどお伝えしましたように、ゲノムの情報はC-CAT、国立がん研究センター内に設置しておりますがんゲノム情報管理センターに集約している状況でございます。
 スライド12枚目、昨年12月までに累計1万1558例がC-CATに登録されております。
 その次のスライド、たまってきたデータを二次利活用することを考えております。令和2年度9月より診療検索ポータルをゲノム医療病院で開始しておりまして、診療の一助としていただいている状況でございますが、これを他のアカデミアや企業にも広めていけたらと考えております。また、二次利活用につきましては、参考資料3に載せておりますC-CATデータ二次利活用ポリシーを御参考にしていただければと考えております。
 スライド14枚目でございますが、令和3年度から利活用検索ポータルを開始することを考えております。左上の表にありますような臨床情報とパネル検査で分かりましたゲノムの変異情報を利活用していただくところでございます。利用価格につきましては、二次利活用に係る運用経費等から算出しまして、企業につきましては年間780万円、アカデミアにつきましては公的研究費の研究に関しては無償、ゲノム医療病院につきましては無償と設定させていただいております。
 また、情報利活用審査会を設けまして、二次利活用する研究内容等を審査してまいります。こちらにつきまして、情報利活用審査会の運用規程案を参考資料4に載せておりますので、御参考にしていただければ幸いでございます。
 スライド16枚目、C-CAT検査データ転送システム利用規約でございますが、今後、パネル検査の増加が見込まれている状況でございますので、より効率的に質の高い情報を集めて患者様に迅速に還元していくというところで、C-CAT検査データ転送システム利用規約を定めることを想定しております。こちらにつきましては、参考資料5に載せておりますが、今後、臨薬協とともに詳細を詰めていく予定でございます。
 資料の17枚目でございます。こちらは2020年度の現況報告書のまとめでございます。現況報告書は9月1日時点のものになってございますので、今回は2019年9月から2020年8月末までの期間に行われましたパネル検査の現況報告となってございます。この期間、合計の実施件数は7,500件程度、中核拠点病院、拠点病院、連携病院、いずれも3~4割程度検査を行っていただいている状況でございました。
 スライド18枚目に参りますと、それぞれの類型の病院でどの程度検査が行われているかというところで、当該期間において、中核拠点病院ではおおむね100例以上していただいている状況でございました。拠点病院は、大半が100例に満たない状況で、連携病院につきましては、50件以下のところが大半であるという状況でございました。
 スライド19枚目、遺伝子パネル検査後の治療というところで、遺伝子パネル検査の結果、エキスパートパネルで提示された治療薬を投与できた患者さんは607人でございました。割合では8.1%でございます。こうした遺伝子パネル検査後の治療内容や治療に結びついた割合の地域差がないかどうかや、患者様がどのように理解されて満足されているか等を含めて、遺伝子パネル検査の実態調査を今後進めていければと考えてございます。
 スライド20枚目にございますように、条件付き承認制度のようなものを積極的に利用して、薬事承認を進めていければと考えております。また、スライド21枚目にございますように、患者申出療養というものも積極的に利用して、患者様の出口戦略を取っていければと考えてございます。
 患者申出療養には研究計画書を定める工程がございますが、スライド22枚目にありますような形で、国立がん研究センター中央病院に事務局を務めていただきまして、あらかじめ包括的に研究計画書を定める受け皿試験という形で、患者申出療養をより迅速に進めていただけるような体制も取ってございます。
 スライド23枚目、人材の教育・育成でございます。文科省の事業でがんプロがございますが、厚生労働省としまして、がんゲノム医療コーディネーター研修事業を平成29年度から臨床腫瘍学会に御協力いただいて進めているところでございます。また、中核拠点病院にも人材育成を担っていただいております。また、医師の教育というところでも、厚生労働科学研究で大江班の先生方に御協力いただきながら進めているところでございます。
 最後のスライドでございますが、今後の工程表案で、来年度もこのコンソーシアム運営会議を行わせていただければと考えており、中核拠点病院、拠点病院につきましても来年度指定、連携病院につきましては今後随時追加していくところでございます。また、先進医療、患者申出療養、条件付き承認等を進めていくところ、C-CATには引き続きデータを集めて、利活用を進めていくところでございます。リキッドバイオプシー等の開発や、全ゲノム解析等も推進していければと考えております。
 私からは以上でございます。
○中釜議長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に対して御意見ございますでしょうか。
 天野構成員、お願いいたします。
○天野構成員 御説明ありがとうございました。私から3点ございます。
 1点目でございますが、資料の3ページ目でがんゲノム医療中核拠点病院等の機能を御説明いただきました。一連の流れが記されているわけでございますが、特に患者説明の部分が非常に重要だと考えております。日常診療の中で中核拠点であれ、拠点であれ、連携であれ、実際こういう診断が下されるわけですし、特に遺伝性腫瘍と診断される患者さんも日常診療の中で普通に出てきていますので、説明の部分が非常に重要だと感じているのですが、私が実際に患者さんからお話を伺っている中では、例えばあるゲノム医療中核拠点病院で遺伝性腫瘍であると診断された患者さんが主治医に説明を求めたところ、インターネットで情報が載っていますのでそちらを見ておいてくださいと一言言われて、説明をしていただけなかったという事例もあると聞いています。一方で、当然、ドクターの方々の中には、患者さんへの説明が非常に時間がかかって大変だということをおっしゃる方々がいらっしゃいます。
 つまり、ゲノム医療中核拠点病院等においても、医師の中で説明の格差みたいなものが生じている状況があると理解しておりまして、こういった点について、厚生労働省のほうで医師や医療関係者等からの説明の体制を充実するために何らかの方策を講じているのかということについて質問させていただければというのが1点目でございます。
 2点目についてですが、スライドの19枚目で遺伝子パネル検査後の治療について御説明いただきました。割合ということで8.1%、10%弱ということで、これは海外のデータともあまり変わりがないと思うのですけれども、一方で、先月開催されていたがん関係の学会等においても、現場の先生方からのお話を聞いていると、かなり地域間の格差がありそうだというお話がありました。つまり、8.1%というのは全体としてはそう見えるけれども、例えば首都圏のがん専門病院等においては薬剤到達率、治療到達率が高いだろうけれども、ほかの地域ではなかなか難しいという現状があるかと思うのですが、こういった点については厚生労働省のほうで状況を把握されているのかについて確認させていただきたいと思います。
 最後に3点目ですけれども、スライドの14枚目で利活用検索ポータルについて御説明いただきました。この中で利用価格ということが提示されていて、企業に対しては年間780万円という金額が示されているのですけれども、これはどういった根拠でこういった金額になっているのか、もし分かれば教えていただければと思います。
 私からは以上です。
○中釜議長 ありがとうございました。
 それでは、最初の患者さんへの説明、それに対する患者さん及び担当のドクター等からの様々な課題に関して、まず、C-CATの間野構成員から、現状について答えられる範囲でお願いできますでしょうか。
○中釜議長 最初の質問は、患者さんへの説明の段階で様々な遺伝性への配慮などがあると思うのですけれども、この辺りについて、患者さんからは医師から十分な説明が行われていない、あるいはドクターからは説明に時間がかかる等の課題があるという御指摘です。この点についてどのように認識され、今後どのように取り組んでいかれるか。例えばワーキンググループ等で検討されているか、その現状について教えてください。
○間野構成員 C-CATの側としましては、ICワーキンググループを策定して、各病院における患者さんへの説明の在り方とか説明の同意文書、あるいは実際の遺伝カウンセリングにどうつなげるか等について、ロジを含めて議論しております。それがまだ十分ではないのかもしれませんけれども、C-CAT側で担当できることに関しては、以上のような形で行っております。
 以上です。
○中釜議長 2つ目の質問は、患者さんへの薬剤到達率がこの報告だと8.1%で、これは米国とそれほど差がないのかなという認識と同時に、地域差があるのではないかという御指摘があるようです。これについては現在、いろいろな臨床開発研究の促進等で試みられていると思うのですが、この点についてC-CAT側の試み等について現状を教えていただけますか。
○間野構成員 C-CATでできることは、一義的にはC-CAT調査結果という形で、どんなところで検査を受けても、日本の臨床治験の最新リストをそれぞれの病院で入手することができます。情報の均てん化という意味ではどこの地域の病院でも同じように最新情報を入手できるというのは重要だと思います。ただ、実際に臨床試験が行われている施設が限定されていますので、少し地域によっては臨床試験に入りにくいことがあるのかもしれません。そちらのほうはC-CATというよりは臨床の側の先生方の御協力が必要なのではないかと思います。
 以上です。
○中釜議長 ありがとうございます。
 3点目の御質問が、データの利活用検索ポータルの企業側の使用料として780万円という金額が示されているのですけれども、この根拠はどのようにお考えでしょうかという御質問です。
○間野構成員 もちろん、C-CATのデータ利活用に関わる運用実費は780万円よりは高いものになりますけれども、例えば海外におけるGenomics Englandでのデータ利用の値段ですとか、それから多分、製薬企業の方々が利用されることが多いと思うのですけれども、どれぐらいが妥当と思われるかというアンケートを取ったりとか、様々な面を考えて、基本的にはGenomics Englandと大体同じような価格になるように設定いたしました。
 以上です。
○中釜議長 ありがとうございます。
 以上3点について、厚生労働省から追加で何か御発言ございますか。
○事務局(湯川) 事務局でございます。
 まず1点目です。御指摘いただきましたように、例えば患者様が主治医に対して説明を求めた際に、ネットで調べてと一言回答があっただけであったというようなことは、やはりあってはならないことだと認識しております。遺伝子パネル検査はもちろんそうですが、ICというのは本当に大事なことだと思いますので、引き続き、ICワーキング等と協力しながら、ICの質を高めていけるように取り組んでまいりたいと考えております。
 また、8.1%というところで施設間に差があるのではないかということでございますが、現況報告においてもゼロ%から十数%のところがございましたので、そういった地域差があるのか、その原因が何なのかも含めて実態把握調査を瀬戸班の先生方にお願いしてございますので、そういったところも含めてご調査いただき、今後必要に応じて対応を検討していくところでございます。
 3点目につきましては、間野先生から御説明いただきましたが、二次利活用に関わる運用経費等や、関係者へのヒアリングも含めて設定したところでございます。
 以上でございます。
○中釜議長 天野構成員、今の回答でよろしいでしょうか。
 ほかに御質問、御意見ございますか。
 藤原構成員、お願いします。
○藤原構成員 4点簡単に質問がございます。PMDAでございますので、医薬品の開発との兼ね合いで聞かせていただきます。
 最初に、スライドの14ページ、13ページの利活用検索ポータルに入ってくる診療情報について2点質問があります。私どもPMDAでは、MID-NETという有害事象の把握、安全対策に使っているリアルワールドのシステムでございますけれども、その経験からも、入力されている診療情報のバリデーション、正確性というのが非常に大事になりまして、これがC-CATさんはちゃんと確認されているのか。あるいは有害事象と書いてありますけれども、臨床検査値というのは各施設によって標準値がかなり違って、そのばらつきがMID-NETでも非常に問題になって、かなりのお金をかけてコントロールしているのですが、臨床検査値の標準化とかはされているのかというところが最初の2つです。
 3つ目は19ページです。遺伝子パネルの検査の診療での一番大事なところは、今まで使えなかった抗がん剤が使えるというところですけれども、私は厚生科学審議会の臨床研究部会で特定臨床研究の有害事象の把握もしているのですが、そのときに時々パネル遺伝子検査をやって重篤な有害事象が出てきた人がいて、これはエキスパートパネルが本当に通したのかと疑問を持つようなケースもあります。C-CATあるいは厚労省として、エキスパートパネルの質の標準化はどのようにされているのかをお伺いしたいと思います。
 最後に22ページです。これもがんゲノム難民を防ぐ、つまり、がんパネル遺伝子検査の結果によって治療薬に結びつかない方を防ぐために患者申出療養をやられていますけれども、協力の製薬企業からのお薬の無償提供というのは非常にキーになるところでありまして、これについて、例えば健康局等から製薬企業さんに、いい薬があれば患者申出療養などに無償提供してくれというような働きかけをされているかどうかという、この4点を教えてください。
○中釜議長 ありがとうございます。
 まず、C-CATのほうから、最初の利活用に関して、診療情報の質の標準化に関して御発言いただけますか。間野構成員、お願いいたします。
○間野構成員 質問ありがとうございます。
 C-CATが集めている臨床情報は、もちろん情報の誤りをシステムでロジカルチェックするとか、臨床施設に問合せをするということは行っているのですけれども、実際に入れてくださっているデータそのもののクオリティーはチェックしていないのが現状です。ただ、それは今後、例えば電子カルテの標準化されたフォーマットから必要情報を移していく試みを現在検討しておりますので、臨床の現場での負担が少ない形で、より正確な情報が入るシステムを検討してまいりたいと思います。
 ただし、そうはいっても、例えば有効性とか重篤な副作用に関しては、どうしても臨床医の先生方や病院の担当の方に入れていただかなくてはいけないところも出てくるのですけれども、それはC-CATのデータとして1万例、それからリキッドバイオプシーが始まると恐らく年間2万例以上のデータが入ってくると考えますと、すごく大きなデータになりますので、それでバリデーションを全てのデータに取るのは現実的に難しいかなと考えています。
 ただ、C-CATのデータの意義としては、有効性のバイオマーカーを見つけるときにたとえば外れ値が例えば3割入っていても統計的に検出することは十分可能ですので、そういう意味からは、C-CATのビッグデータとしての意義は十分あるのではないかと思っています。
 それから、検査値の標準化ですけれども、C-CAT自身は、現在は実際の検査データを集めていませんので、それはこれから先ほど申し上げた電子カルテから情報を移すことを考慮したときに、その場合には検査値の標準化も考慮しないといけないと思っています。
 3番目のエキスパートパネルの標準化ですけれども、これは非常に大きな問題でして、C-CATが事務局を務めていますEPWG、エキスパートパネルワーキンググループにおいても、どのようにして標準化していくかということは、これまでと同様に検討しております。
 ここは厚生労働省のほうでも学会等に委託している事業もあると思いますので、そこは厚生労働省からお答えいただけますでしょうか。
○中釜議長 それでは、3点目のエキスパートパネルの質の標準化に向けた厚労省としての学会への働きかけ、それから4点目の患者申出療養に関して企業からの薬剤の無償提供等についての働きかけ、この2点についてお答えいただけますか。
○事務局(湯川) 事務局でございます。
 エキスパートパネルの質というところは、患者さんにとって非常に重要なものと理解しております。そういったところでございますので、中核拠点病院等連絡会議のエキスパートパネルワーキングでございますとか、あとは先ほど御説明さしあげましたように人材育成のところで大江班がございまして、その下に吉野小班というものがございます。エキスパートパネルの質の向上、可能なものについては標準化というところで、引き続き研究班の先生方にもご協力いただきながら進めてまいりたいというところが現状でございます。
 2点目、患者申出療養の使える薬剤が増えていけばということでございますが、現在、十数種類使える薬剤がございますが、また3月中旬以降にさらに数種類追加されるところでございますので、引き続き、受け皿試験の事務局と協働して、そういった薬剤が増えるように努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○中釜議長 今の御回答でよろしいでしょうか、藤原構成員。
○藤原構成員 大丈夫です。ただ、診療情報のところは、リアルワールドデータ全体の問題なのですけれども、入力段階でのコントロール、つまり、カルテに入れるところがみんなばらばらで、用語が別々で、そこがコントロールできていないのが日本のリアルワールドデータの一番の問題なので、これは大きな問題として今後も検討していかないといけないと思います。
○中釜議長 恐らくその辺は今後のAIの活用とかそういうことも関連するのだろうと思います。ありがとうございます。
 続きまして、日本医師会の中川構成員、お手が挙がっていましたが、御質問よろしいでしょうか。
○中川構成員 
 確認ですが、資料1の21ページ、患者申出療養の申請の下に、「※ただし、新規技術として個別に申請すると、治療開始までに時間を要する」とあります。患者申出療養は時間を要しない仕組みにしたはずですが、これはどういう意味かというのが1点目です。
 2点目に、より早く患者に治療を届けるため、あらかじめ研究計画書を作成するとありますが、どのような研究計画書なのか。この2点を教えてください。
○中釜議長 ありがとうございます。
 この点については、C-CATの間野構成員、お答えできますか。
○間野構成員 私の理解が不十分かもしれませんけれども、患者申出療養制度というのは、個別の適応外使用の希望が出たときに、それを申請していただいて、各施設で討議した後、厚労省に報告して行われるものだと認識しております。我々は受け皿試験と呼んでいるのですけれども、がんゲノム医療中核拠点病院の全12病院内でパネル検査の結果、適応外使用が見つかった場合にはあらかじめそのようなことを想定して、それを全部まとめて最初に申請する。そして認可された場合には、その後、各施設で適応する患者さんが出た場合にはお薬をそんなにタイムラグなく投与できる仕組みになります。
 藤原先生、追加はありますでしょうか。
○藤原構成員 では、ちょっとフォローしましょう。これはプラットフォームトライアルという感じで、様々な遺伝子異常を事前に規定して、それに対する抗がん剤をプロトコールの中であらかじめ規定して、それについては、もし患者さんから申出があったらすぐ対応できるような仕組みになっているのですけれども、個別に新しい遺伝子異常が見つかって、それに対する抗がん剤を使うというプロトコールを立てると、どうしても企業との交渉等を含めて半年から1年たってしまいます。だから、プラットフォームトライアルで最初に複数の薬剤が使えるようなプロトコールをつくっていれば2週間以内に患者さんに投与できますけれども、そうではない場合には半年から1年かかってしまいますので、患者申出療養のメリットがここで発揮されているという理解だと思います。
○中釜議長 ありがとうございます。
 厚労省から追加で御発言ございますか。よろしいですか。ありがとうございます。
 今の説明でよろしいでしょうか。
○中川構成員 患者申出療養は、そもそも速やかに患者さんに薬剤が提供される仕組みのはずです。22ページにあるように、「該当する臨床試験がない又は適格基準を満たさない」場合のためにつくった仕組みですから。
 あらかじめ研究計画書を作成というのは、どういうイメージかご説明ください。
○中釜議長 では、この点について、厚労省、お願いいたします。
○中川構成員 私が心配しているのは、患者申出療養の趣旨を理解していないものが随分ここ数年出てきたので、患者さんの症例の個別の計画書だということを確認したいのです。
○中釜議長 この点について、厚労省、追加で御発言ございますか。
○健康局がん・疾病対策課がん対策推進官 厚生労働省でございます。
 この仕組みとしましては、まさに患者申出療養という仕組みを使った形で実施するというものでございまして、個別のどの薬剤を使ってどのように対応するという形に計画書をつくっております。
 ただ、計画書をつくって、その後、スムーズにいち早く患者に届けるという仕組みがまさに患者申出療養だと理解をしているところなのですが、その前のところで計画書を立てるまでの段階をできる限り短くしようということで、あらかじめその計画書の形がつくれるものについてはつくっておいて、患者申出療養を早くできるような形にしたというのがこの仕組みというふうに考えております。
○中川構成員 この研究計画書は、その患者さん1名のためのものですね。
○中釜議長 この点について追加で。
○間野構成員 C-CATの間野ですけれども、私は直接携わってはいないのですが、患者さん個別の計画書ではなくて、今申し上げたように、パネル検査を受けて、あらかじめ申請してあるお薬に対して適応外使用が出た場合には、いずれの患者さんであってもそれを適応外で受けるという仕組みだと思います。
 直接関与されている方から適切な答えをどなたかおっしゃってくださるとありがたいのですけれども。
○中川構成員 間野先生のお答え自体はそのとおりですが、患者申出療養という仕組みはそうではないということを申し上げているのです。個別の相談を臨床研究中核病院が判断するというそもそもの仕組みという理解でいいですか。
○事務局(湯川) 事務局でございます。
 中川会長がおっしゃっている御理解のとおりでございまして、患者申出療養自体は個別の患者様に対するものでございますが、受け皿試験というところではそれを包括的にやっているというところでございます。
○中釜議長 今の説明でよろしいでしょうか。
○中川構成員 分かりました。
○中釜議長 ありがとうございます。
 続きまして、門田構成員から手が挙がっておりましたでしょうか。
○門田構成員 門田ですが、1点だけ。
 これは前のときから質問していたと思いますので、改めてもう一度したいのですけれども、19ページの遺伝子パネル検査後の治療ということで、これを保険診療と認めるかどうかという段階で、たしかあの当時は9%ぐらいが治療につながるということで、それを認めることになって、そのときにそれは認められるのですかというような質問をした気がするのです。そして、改めて今回は保険診療をしたうちの8.1%が治療にということは、9割以上の患者さんは全く治療につながらない。その患者さんの保険によって賄われたということを、一般論として保険で認められることをしておきながら、9割を超えるものが外れているという状況のものを社会に対してどう説明するのか。これは正しいのか、あるいは今後、保険診療としてそのレベルのことを認めることにつながっていくのか。この辺りは基本的に非常に重要な問題を含んでいると思うのです。
 これについて、前のときも認める段階で私は意見を出した気がするのですけれども、改めて保険で使った個々の患者さんの金をもってやった。しかし、治療にはつながらないのが9割。こういう発想で国民に保険とはという話ができるのかということを非常に不安に感じるのです。事務局側はどうですか。
○中釜議長 今の御指摘に関して、厚労省、お願いいたします。
○健康局がん・疾病対策課長 厚労省でございます。御指摘ありがとうございます。
 パネル検査が保険適用される際にも、先生がまさにおっしゃいましたとおり、アクショナブルなものが1割程度と見込まれる、こういった検査を保険導入することについての議論が中医協でも行われたと記憶しております。片や、この保険適用の対象になっている患者さんが現在では標準的治療終了後もしくは標準的治療のない患者さんということで、そういった方に検査の機会を提供する、こういった議論の中で保険適用が決まったという経緯があったと私は認識しております。
 とはいえ、今回、8.1%という数字が出てまいりましたので、本日の議論については担当部局にもきちんとお伝えいたしまして、また検討を進めていきたいと考えております。
 保険適用ということになりますと、中医協が協議の場になりますけれども、その担当部局にも伝えてまいりたいと思います。
 以上でございます。
○中釜議長 今の説明でよろしいでしょうか、門田構成員。
○門田構成員 前のときからそのような形で来ていますから、これ以上どうこうというわけではないですけれども、でも、これは幅広く、中医協にもあれですけれども、保険というものの考え方。今、まさに日本の保険診療ということ自体が危機的状態になりつつあることが分かっている段階で、その辺のことはよほど将来を見越してちゃんとした対応をやっていく。皆さんよくPDCAとかいう話をされますけれども、本当にその辺りをしっかりしないと将来が危ないと私たちは感じてしまうのです。ですから、ぜひしっかりとしたディスカッションをお願いします。
○中釜議長 ありがとうございます。
 1点追加で発言すると、薬剤の到達率が現状で8%、9%という中で、重要なのはこのデータをいかに蓄積し、利活用していき、最終的にそれが医療費低減化に裨益するかだと考えます。その辺りのところも少し中期的にこのパネル検査の意義を見ていく必要もあるのかなと感じます。その点について、間野構成員、何か御意見ございますか。
○間野構成員 もともとがんゲノム医療推進コンソーシアム懇談会ということで、パネル検査を日本で始めることの是非とか、必要なインフラストラクチャーとかを議論させていただきました。その中に、今、門田先生がおっしゃったように、やはり進行期の、つまり病期が進んだ患者さんで薬に到達できる割合は、日本ではコンパニオン診断薬が既に普及しておりますので、なかなかパーセンテージが低いというところはあります。しかし、標準治療がもう終わってしまった患者さんで1割の方にお薬が届いたというのは、それは一方で大きなことではなかったかと思います。
 今後、パネル検査をもう少し前に持っていけば、もちろん、例えば肺がんなどは適用できるお薬がすごく多くなるわけで、パーセンテージも増えるでしょうから、そこは検査の値段とか検査の分析性能の信頼性を勘案しながら、いいバランスをこれから適切にに決めていく必要があるのではないかと思います。もっとも、私はそれに直接関与する立場にはありませんけれども。
 以上です。
○中釜議長 ありがとうございます。
 門田構成員、現状の御指摘というふうに理解しましたが、今のお答えで追加の御発言はございますでしょうか。
○門田構成員 ちょっとだけ追加させていただきますと、おっしゃっておられることも非常によくわかるのです。ですから、その必要性は認めるので、それが個々の払った保険料でやることなのかどうかということです。まだまだ今は研究段階ではないのかな、研究費ではないのかなという感じがするのです。それを払って、この検査をしてもらったという人は評価してくれるのかも分かりませんけれども、でも、そのほかの保険を払っている側からすれば、物すごく無駄なことをしていることになるわけです。だから、当事者たちの満足感ではなくて、もっともっと国民全体の満足感はどうなのかというような見方をする必要があるのではないかと思います。これ以上言っても仕方ないからこれで引きますけれども、しっかり考えていただきたい。
○中釜議長 ありがとうございました。重要な御指摘かと思います。日本において、がんゲノム医療をいかに効率的なもの、意味のあるものとして広げていくかという意味での重要な御指摘だというふうに改めて認識いたしました。皆さん、よろしくお願いいたします。
 ほかに御意見、御質問ございますか。それでは、山口構成員。
○山口構成員 ありがとうございます。
 今の門田先生の議論は最初に行われたような気がします。かなり研究的な色彩が強くて、こういう形で進めるかどうかということについてはいろいろな疑問が最初に出たと思います。しかし、うのですけれども、世界的な情勢の中で、やはり日本だけ立ち後れてはいけないので、何とか研究を促進するためにもこういう仕組みの中でやろうということである程度コンセンサスが得られたのではないかと思います。
 今回、8%ぐらいが試験につながるということで、これは大きな進歩かと思うのですけれども、今後、さらにこの割合が広がってくることも予想されると思いうのでます。そうした場合ただ、新しい治療につながったということだけでは全然問題は解決しないのであってくて、その新しい治療の成果がどうだったかということをきっちり検討して、それを正確に国民に知らせる必要があると思います。そのときに診療情報が非常に重要で、薬物療法はパネルの前後でどういうものが行われたか。それから、その結果、転帰がどうなったのか。奏功率がどうなったのか。そういう評価が重要だと思うのですけれども、こういう情報を取り込んで入れていくのは非常に難しいと思うのです。つまり、日々変わっていくものですし、どの時点でのデータかということで、C-CATのほうでどういう形で取り組むかは非常に難しいと思うのですけれども、現時点で607例に行われて、新しい薬が試された結果、どういう成果が得られたのかということが評価できる体制に今なっているのでしょうか。
○中釜議長 今の御指摘について、間野構成員、お答えいただけますか。
○間野構成員 ありがとうございます。
 薬に到達できた割合の中で、臨床試験に参加した患者さんの場合は、臨床試験の情報はC-CATが集めることができませんので、その方々の薬の有効性情報はないというのが現状です。ただし、例えば先ほどの受け皿試験のような臨床試験の外で行われた薬の到達の場合には、患者さんの転帰情報は我々が集めています。
○中釜議長 ありがとうございます。
 今のお答えでよろしいでしょうか。
○山口構成員 ぜひ、これだけやりましたということではなくて、これだけそれでその結果どれだけメリットがあったということをどこかで示せるような形にしていただければありがたいと思います。
○中釜議長 よろしくお願いいたします。
 続きまして、葛西オブザーバー、お願いできますか。
○葛西オブザーバー データヘルス改革推進本部の葛西でございます。
 ちょっと視点が違う指摘なのですが、14ページ目に、これは利活用する際にデータを用いてAI研究等というのも入っていまして、私も医療系のAIの研究はやるのですが、いわゆるデータを提供して利活用する研究を行うとなると、15ページ目は、私も倫理委員会を受けてもちろん研究するのですが、いつも倫理委員会等を受けるときに、例えばAIを使うのであれば、どんなアルゴリズムを通す気なのかとか、研究者の人がデータを使ってどんなシステム環境で解析しようとしてしまうのかということを、本来、利活用審査をする側にテクノロジーが分かる方がいないと審査できないはずなのです。今回見ていると、その辺り、テクノロジー系の審査員がいらっしゃらないので、これはどなたか入れたほうがいいのではないかなと。何となくスルーされているなと。これは医療系の倫理委員会全体を通してそのように感じるところがあるのですが、今回の情報利活用審査会においてもそうでしょうし、今、厚生労働省でも疫学系のデータ提供の審査会ではそういうテクノロジーの分かる委員を入れるようにしていきたいなということを、私も助言していますし、そういう方向性を見ています。
 それから、もう一点なのですが、13ページ目で新しく、C-CATは実は最初につくるとき、私も幾つか情報システムインフラの状況とかを確認させていただいていたのですが、その後、今まさにデジタル庁が出来上がるという時代になってきまして、医療分野のテクノロジーは準公共分野と政策的には位置づけられております。どういうことかというと、簡単にクラウドとかが止まってしまったり、場合によってはそうすると治療に直接影響が発生するわけですけれども、それだけ重要インフラであることを政府全体で認識しているのですが、今回の13ページ目に、例えば利活用クラウドをつくられるとか、新しいシステムを増強していく際に、当然、システム監査もすると思いますし、セキュリティー監査もするのでしょうけれども、政府で取っているような医療安全性ガイドラインも変わりましたし、ややシステムガバナンスがガラパゴス化する可能性があると思っています。
 実際に、例えば疫学のデータ収集であったり、感染症のサーベイランスであったり、様々なシステムが大量に動くのですが、それらはある程度、いわゆるデジタル庁であったり、いろいろな分野のシステムガバナンスに関してルールを確認しながら進めているのですが、こちらはある種、独法であるC-CATの中のガバナンスだけで動いている気がしますので、そういったところでちゃんと相互運用を取る必要があるのではないかなと。
 例えば利活用クラウドであれば、ISMAPという制度があるのですが、そういったもののルールを通さなければいけないはずなのです。そういったものを採択しなければいけないはずなのですが、そういった様々なルールが新しくなってきていますから、この辺りでどうガバナンスを取るかというのは、厚生労働省はよく考える必要があると思います。
 これは意見でございます。以上です。
○中釜議長 ありがとうございます。
 今の御意見に対して、C-CAT側で、例えば利活用の際のシステム環境についての審査委員会のテクノロジー関係の専門家、この点についての御指摘はいかがでしょうか。
○間野構成員 ありがとうございます。我々は個別の研究内容の具体的な詳細には踏み込まないというのをポリシーにしています。ですので、どのようなディープラーニングのパイプラインを使ったかということではなくて、むしろC-CATとして要求したいのは、例えば提供したデータをちゃんとセキュアな環境で扱ってくれるかとか、それを許可なく第三者に渡さないということにちゃんと責任を持ってくれるとか、そういうデータのセキュリティーの面が大きいのと、あとは各施設での倫理委員会をちゃんと通していただくということを前提にしていて、そこを主に検討する形にしております。
 今後、C-CATの利活用を実際にスタートして、必要に応じてそういうテクノロジー系の人がデータ利用審査に入ったほうがいいだろうということになれば、それはもちろんぜひ取り入れたいと思います。
 それから、C-CATの利活用のシステムのデータセキュリティーですけれども、現在のところは3省のガイドラインに沿って、かつ、葛西オブザーバーがおっしゃったとおり、がんセンター全体のセキュリティーポリシーに準拠した形で行っているのですけれども、我々としてもこれから政府で運用されるようなセキュリティーガイドラインに積極的に準拠していきたいと思いますので、葛西オブザーバーとも綿密に連絡を取らせていただきながら進めさせていただければと思います。
 以上です。
○中釜議長 ありがとうございます。
 2点目のシステムガバナンスに関して、厚労省から何か追加で御発言ございますか。
○健康局がん・疾病対策課がん対策推進官 先ほど葛西オブザーバーからも御発言がありましたけれども、政府の方針としてもその辺りを強化していくというところがあります。C-CATとも連携をしながら、しっかりと対応していきたいと思っております。
○中釜議長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 あと、武藤構成員からお手が挙がっていました。お願いいたします。
○武藤構成員 ありがとうございます。武藤です。よろしくお願いします。
 私からは質問と意見が1つずつあります。1つは資料1の12ページにある同意率の高さの数字で99.6という数字があるのですけれども、これは12ページにある20年12月までの同意率と理解してよいのでしょうか。確認です。同じ数字が14ページにも出てくるので、確認させてください。
○中釜議長 厚労省、お願いいたします。
○事務局(湯川) 御理解いただいているとおりでございます。
○武藤構成員 分かりました。そうすると、先ほど天野構成員の発言の直後に手を挙げてちょっと話が戻る感じになってしまうのですけれども、この1年半ぐらいの間に医療機関がすごくたくさん増えて、説明の質もある意味ばらばらになったという印象を持っています。同意率が高いのを素直に喜んでいいのかどうかというのは非常に悩ましくて、個人的にいただく患者さんからの御意見では、ここを全部丸しておいてくれと医師に言われたとか、そういう最初の頃にはなかった感じの対応があります。
 私からの意見としましては、来年4月には再度病院が指定されると思うのですけれども、そのときに患者さんからのフィードバックをしっかり得た上で説明の質を評価しないと、ICワーキングが幾らやっても、C-CATが呼びかけても、指定を受け続けたい病院のほうからクオリティーの問題は挙がってこないと思います。ですので、来年の再度指定を受ける、評価をするというタイミングに向けて、患者さんからの評価もしっかり入れることについて御検討いただきたいというのが私の意見です。
 以上です。
○中釜議長 ありがとうございます。非常に重要な御指摘だと思いますので、厚労省にはぜひその辺を勘案して、再指定のときには考慮いただければと思います。
 ほかに御意見ございますか。よろしいでしょうか。
 少し時間が押してきましたので、またもし御質問がありましたら最後のほうで受けたいと思いますが、続きまして、資料2「がんゲノム医療中核拠点病院等連絡会議からの報告」について、各ワーキンググループで作成した資料を中心にその進捗状況を報告いただきたいと思います。
 連絡会議の事務局を務め、本会議に参考人として出席しておられる吉田参考人、お願いできますでしょうか。
○吉田参考人 それでは、資料2と参考資料6について、今までの議論でかなり出てきたものもありますので、少しかいつまんで御報告をいたします。
 まず、資料2の2ページ目ですが、中核拠点病院等連絡会議の下にこのように6つのワーキンググループがつくられていて、12の中核拠点病院からの代表者を構成員とし、C-CATを事務局として、実務的な様々な議論を行っております。前回と同じように、順番に各ワーキンググループごとに、同じようなフォーマットでの報告をしていきます。
 3ページ目はインフォームドコンセントワーキンググループで、まず構成員が出ていて、◎に座長、○に副座長が示されております。
 5ページ目には、ワーキンググループの大きな目標、次にもう少しブレイクダウンした課題、さらに進捗状況という形でまとめております。インフォームドコンセントワーキンググループでは、今、武藤香織先生もおっしゃったように、最初はELSI関係の基本的なインフォームドコンセントの資料などをつくりまして、今は二次利活用の在り方、先ほど湯川専門官から御紹介がありましたようなポリシーとか審査会の規程などをつくっております。
 それから、7ページ目、二次的所見、セカンダリーファインディングスワーキンググループとしては、小杉先生、平沢先生が座長、副座長です。
 ここでは治療標的となるがん細胞での遺伝子の異常を見つける一次的所見と同時に、ジャームラインファインディングスとも言われていますけれども、二次的に遺伝性腫瘍の原因の可能性がある遺伝子変異が見つかることがありますので、それに対応するワーキンググループになります。
 9ページにありますように、二次的所見に関する根本的な問題として、一部の遺伝性腫瘍を除いて、遺伝性腫瘍の診断、検査も、診断後のサーベイランスや予防的な治療等の予防策も、保険としてできないという大きな問題があり、継続的に保険適用などに関する提言も行っているところです。
 それから、どのような遺伝子について、どのような条件を満たせば二次的所見として患者さんに返せばいいのかといったこと。また、二次的所見への対応の実態などについてアンケート調査をしているところであります。
 それから、11ページは患者情報登録ワーキンググループ、レポジトリワーキンググループでありますけれども、このように大江先生、松本先生が座長、副座長の構成です。
 13ページにありますように、大きなところでは、前回、臨床情報の収集項目を病院長会議で決めたところですけれども、今回は主としてシステムやネットワーク関係の取組が集中しております。最新の情報セキュリティーについてのガイドライン等を参考にして、かつ、できるだけ多くの医療関係者がアクセスできるような形のネットワークを構築しております。
 また、臨床側とのやりとりの中で、システムに関する様々な改善要望や問題を洗い出して、それに対して一つ一つ対応していくということを続けております。
 14ページにはもう一つ、先ほどもちょっと話がありましたけれども、リキッドバイオプシーが既に承認申請されているところで、このリキッドバイオプシー、末梢血中の腫瘍細胞のDNAを検出する画期的なプロファイル検査になる見込みですけれども、これに対してはレポジトリのほうのシステム対応が必要になりますので、その辺りの対応もしております。
 それから、15ページはエキスパートパネルワーキンググループ、これも先ほどの資料1で何度か話題が出たところで、谷内田先生、角南先生が座長、副座長です。
 17ページにありますように、大きくは、エキスパートパネルのまさに先ほど出ていましたけれども標準化の問題。それから、エキスパートパネルについては、C-CATが持っているがん知識データベース、キャンサーナレッジデータベース、CKDBの調査結果を活用する場合がほとんどになりますので、C-CATと密接に連携をしながら、そのCKDBを日々更新していく。これは国内の臨床試験の情報を製薬企業などの御協力もいただきながら、腫瘍内科医の先生たちに論文を読み込んだりしていただいてキュレーションしていく。CKDBをできるだけ頻繁にアップデートしていく。その情報をまた臨床試験の更新情報として現場に返還していく。そういった仕組みをつくっております。
 18ページに示しますように、いわゆるキュレーションのためのフォーマットの検討をしておりますし、先ほども話が出たのですけれども、人材育成が非常に重要になりますので、C-CAT調査結果を今までの例を用いて教材をつくるなど、そういったことをしております。
 また、これも先ほど話が出ましたが、厚労科研の瀬戸泰之先生の班が立ち上がっておりまして、ここでエキスパートパネルの状況も含めて実態把握をして、それをフィードバックしていくことになります。
 19ページの医薬品アクセス確保ワーキンググループ、ドラッグデリバリーワーキンググループについては、山本先生、久保木先生が座長、副座長で、これについては21・22ページにありますように、先ほど資料1でかなり話が出ました受け皿試験、それから、55年通知等を活用した適用拡大等により、未承認、適応外薬へのアクセスを確保していくということで、現在、標準治療がない、あるいは終了見込みの方の治療の機会をできるだけ最大化していくことを議論しております。
 最後に、23ページの診療ワーキンググループです。武藤学先生、土原先生が座長、副座長で、こちらについては2019年9月から活動を開始しておりまして、26ページの前回の資料にありますように、まず実際にがんゲノムプロファイル検査を保険診療において現場でやろうとすると、かなり複雑な作業が発生する。かつ、担当者は専任者が少ないので、いろいろな職種の方が兼任で対応している。その他にも各病院で様々な事情があり、それもかなり病院の間で多様である中。各病院が試行錯誤を繰り返しながら立ち上げているところですが、それをアンケートなどで情報共有して問題抽出を行っています。
 もう一つ、がんゲノムプロファイル検査の算定のときに、検査を出すときとその結果の説明時に分かれて算定することになっているのですけれども、検査をオーダーするときのほうが安い点数になっていて、結果説明のほうに大きな点数が配分されているという形で、全ての患者さんが最後までいけばよろしいのですけれども、ときには患者さんの状況などによって結果説明までたどりつかずに、そのために病院の損失になっていることがある。保険の立てつけの問題があるということを指摘しております。
 それから、C-CATへの情報入力も重要な件ですが、これも先ほどありましたように、C-CATと連携しながら問題を一つ一つ解決していっているところです。
 それから、参考資料6について、今の診療情報ワーキンググループのアンケートのところを2枚だけ御紹介いたします。
 3ページをご覧ください。がんゲノム医療では、病院側で実際に必要となる業務がこれだけたくさんあります。まず、受診前に患者さんから相談窓口に問合せがあり、それから患者さんへの説明、検査の検体の準備、エキスパートパネルの事前準備や開催の調整、実際に結果を説明した後の受け皿試験あるいは治験などに至る、様々な業務があります。4ページでは、このように12の病院に関してその費用を積算していますが、これだけのばらつきがあることが分かります。
 まず、それぞれ色分けしているのは今の様々な業務を示していますが、例えば水色の受け皿試験対応であるとか、オレンジの治験対応は、かなり病院によってばらつきがある。これも資料1のときに御質問が出ていましたけれども、新しい病院はまだ受け皿試験などの実施例が少なく、その分の経費が少ないためです。このようにばらつきがありますが、現時点での中央値が36万円ぐらいになっています。
 ということで、最後ですけれども、繰り返しますと、がんゲノム医療を保険診療下で実施するためには、診療報酬の算定の枠組みの適正化が必要であるということです。それから、多くの職種が関わるので、適正な人材育成、それも医療関係者以外の、事務系も含めた人材育成が必要であるということがあります。がんゲノム医療については実際のモニタリングが、これから評価も含めて必要なのですけれども、厚労科研費の瀬戸班と連携をして診療ワーキンググループグループで実態把握と問題の同定、解決に努めていくことになります。
 私からは以上です。
○中釜議長 ありがとうございました。
 今、説明にありましたように、これまで御指摘された点について、多くのことが6つのワーキンググループの中で議論されているという御報告でした。さらに追加の御指摘を踏まえて、議論を深めていただきたいと思います。何か今の説明に関して御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 繰り返しますけれども、構成員から御指摘いただいた重要な課題について各ワーキンググループの中でさらに議論を深めて、より適正ながんゲノム医療の推進に向けていく、ワーキンググループでの議論を深めることで、がんゲノム医療を日本中に広げていきたい。そのようにお願いしたいと思います。
 続きまして、資料3から資料5、これは全ゲノムについての話題でございます。事務局から続けて御説明をお願いいたします。
○事務局(市村) よろしくお願いいたします。事務局の市村と申します。
 まずは資料3です。こちらは、これまでがん全ゲノム解析等連絡調整会議におきまして専門的、具体的な事項について議論していただいてきたところをまとめた資料でございます。
 目次につきまして、簡単に説明をさせていただきたいと思います。
 まず、今回、「全ゲノム解析等実行計画」の推進における全体の方向性について検討していただいたものをまとめさせていただきました。
 そして、全ゲノム情報に付随して保管する検体や臨床情報等についての検討をしていただきました。
 3つ目としましては、効率的かつ統一的なシークエンスや解析方法等についての検討をしていただきました。
 4つ目としましては、データを共有・活用するための考え方、インフラ等についての検討をしていただきました。
 5つ目としましては、倫理面や幅広い利活用を可能とするためのICの在り方等について検討をしていただきました。
 具体的な内容につきましては、詳細に記載しておりますので、後ほどもし何か御意見等ございましたら、御発言いただけたらと思います。
 続きまして、資料4、資料5の説明に移らせていただきます。
 資料4の概要版が資料5のポンチ絵となっておりますので、資料5を中心に説明させていただきたいと思います。
 資料5の1ページ目、「全ゲノム解析等のさらなる推進に向けた体制整備について」ということで提示をさせていただきたいと思います。
 2ページ目、全ゲノム解析等のさらなる推進に向けてということで、4つ提示をさせていただきます。
 まず1つ目は、事業目的の明確化についてでございます。こちらは改めまして、全ゲノム解析等の成果を患者に還元することを明確化させていただき、その中でも新たな個別化医療等を実現し、日常診療への導入を目指すこと、全ゲノム解析等の結果を研究・創薬などに活用することを明確化させていただきたいと思っております。
 そして、2つ目としまして、患者さんへ還元する体制の構築ということで、具体的な体制について提示をさせていただきたいと考えております。
 3つ目としましては、そういった患者さんへの還元体制を実際どういった事業実施体制で行うのかということで、事業実施体制の構築についてを提示させていただきたいと思います。
 4つ目としましては、そういった患者還元体制、事業実施体制を厚生労働省としてどのように検討していくのかというところで、検討体制の見直しについてを提示させていただきたいと思います。
 3ページ目の説明をさせていただきたいと思います。こちらが具体的に患者様への還元を行う体制について、患者還元体制についての図となっております。計画概要図マル1、医療機関で臨床解析を行う場合となっております。こちらは左側の患者さんから検体をいただき、そして、シークエンスセンターへ外注し、シークエンスを行う。そこで得られたFASTQデータは解析・データセンターへ共有されると同時に、医療機関そのもので臨床解析、ここではマッピング、バリアントコール、臨床的意味づけを指します。臨床解析を行っていただき、その医療機関内でレポートを作成し、エキスパートパネルによる協議を行って、診断・治療方針等を決め、その患者さんに直接還元していくという流れとなっております。
 このマル1の計画概要図におきましては、医療機関内で臨床解析やレポート作成が行える全ゲノム解析等の体制が整った医療機関での体制を想定しております。
 一方、次の4ページ目、多くの医療機関におきましては、医療機関内で臨床解析やレポート作成を行える体制が整っていないと想定されますので、計画概要図のマル2としましては、解析・データセンターで臨床解析を行う場合として提示させていただいております。
 こちらは先ほどと同様に、患者さんから検体をいただき、その検体をシークエンスセンターへ外注し、シークエンスを行った後、FASTQデータを解析・データセンターで臨床解析及びレポート作成を行い、その結果を医療機関に戻します。そして、その医療機関内のエキスパートパネルによる協議によって、診断治療方針等を検討し、患者さんへ還元するという流れを想定しております。
 こちらは、先ほどのような医療機関内で全ての全ゲノム解析等の対応ができる病院以外でも全ゲノム解析の結果を返せるような体制として、今後、こちらの体制がメインになっていくものと考えております。
 引き続きまして、次のページ、こういった患者還元体制を実際どのような実施組織で行っていくかということについてでございます。全ゲノム解析等の推進に向けた実施組織案ということで、事業実施組織をこのような形で検討しております。こちらの図は参考としてGenomics Englandの組織図を記載させていただいております。現在考えておりますのは、このようなGenomics Englandを参考にしつつ、実施組織としましては、全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会、この後に出てきますが、こちらの検討に基づいて臨床情報収集や検体の採取、処理、保存、シークエンス、臨床解析、データ保存、データ共有、利活用等の調整を担うことを想定しております。
 実施組織の構成は、Genomics England等を参考にしつつ、以下について詳細を検討していく予定でございます。まず、責任者を含むボードメンバーを置くということと、総務、財務に係る部門、事業管理に係る部門、学術研究支援に係る部門、最後に、商務、利活用推進に係る部門等を検討していく予定でございます。
 そして、ボードメンバーに対しましては、Genomics Englandと同様に専門的な助言を行う各種諮問委員会を検討していこうと考えております。
 このような実施組織を今後検討していこうと考えているところです。
 そして、このような実施組織を含めまして、6ページ目が厚生労働省としましての検討体制の見直しの案でございます。全ゲノム解析等実行計画の着実な推進に向けまして、厚生労働省厚生科学審議会の科学技術部会の下に、新たに「全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会」を設置いたしました。この専門委員会におきまして、実行計画の着実な推進に向けた検討を行うとともに、実行計画に基づく取組が確実になされているか等について確認し、必要な意思決定を行います。そして、必要に応じて実行計画の見直し等につき検討を行い、こういったことにより責任体制を明確化し、実効性の高い検討体制とすることを考えております。
 また、この専門委員会以外に患者還元、解析・データセンター、ELSI等については、厚生労働科学研究等を活用して専門的な検討を行い、この専門委員会における検討に供する体制を構築することを考えているところです。
 以上、全ゲノム解析等の推進に向けた体制整備として、現在このようなことを考えているというところで提示させていただきました。
 以上となります。
○中釜議長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明について何か御質問ございますでしょうか。
 天野構成員、お願いいたします。
○天野構成員 御説明ありがとうございました。私から3点ございます。
 まず1点目でございますが、先ほどのいわゆるゲノム医療、遺伝子パネル検査を用いた医療からの延長となる話で恐縮なのですが、やはりこういったものを推進する際には患者への説明体制をしっかり整備することが極めて重要だと思います。実際、先ほども申し上げたように、既に現時点で説明における格差が生じている状況がございますので、そういったことがないように、ぜひ推進していただきたいと重ねて要望いたします。
 例えば、以前こちらの会議でも、東北メディカル・メガバンクについてお話しいただいた際に、東北メディカル・メガバンクではゲノム・メディカルリサーチコーディネーターを養成して、そういった資格を持った方々が患者説明と同意取得を取っているということを御説明いただいたと理解していますが、そういったものも含めて適切な人材育成をまず進めていただきながら、こういった全ゲノム体制を推進していただきたいと願っております。
 2点目でございますが、資料3の5ページ目で全ゲノム解析等の推進に向けた実施組織について御説明いただきました。英国の例を参考に体制整備について実施組織案をお示しいただきましたが、これについても、この中で例えば部門ということについて、マル1からマル4の部門を置くとされていて、マル2の事業管理に係る部門の中にELSIを含むという一文を入れていただいていますが、私から提案申し上げたいのは、ELSIは一つの独立した部門として設置していただきたいということでございます。これは、特に今回、日本のプロジェクトでは患者還元というものを柱に置いている面がございますので、ELSIに関わる部分は付随的に検討をするという部分ではなくて、車の両輪として検討しないと全く進まなくなるかと思いますので、この部分については十分に御配慮いただきたいと願っております。
 最後に3点目でございますが、この全ゲノム解析というものに関して、一般の方への普及啓発がまだまだ不十分ではないかと感じています。例えば、患者還元ということを柱に据えていただいたのは大変ありがたいことなのですが、一方で、普及啓発が不十分であるという面があるので、現状の私の理解では、全ゲノム解析の患者還元というのはあくまで研究が主目的でして、研究での解析と医療目的の検査は違いがある。しかも、全ゲノム解析で医療目的の結果を返却するにしても、それは極めて限定的であり、限界のある結果なのだということだと私は理解しておりますが、そういったことが一般の方には十分伝わっておらず、全ゲノム解析をすれば広く深い解析が行えて、より多くのことが分かって、医療へ還元できるのだというふうに誤解されている方もいらっしゃいます。
 私の理解では、むしろ広く浅くという面があるかと理解しておりますので、そういったことも含めて、今後、厚生労働省から一般の方々への啓発をしっかり行っていただきたいと思います。私からは以上です。
○中釜議長 ありがとうございました。いずれも重要な御指摘と思いますが、指摘の3点について、厚労省のほうからお願いいただけますか。
○事務局(市村) 天野構成員、御指摘ありがとうございます。患者様へのICの格差につきましては、先ほども御議論のあったところですが、全ゲノム解析等につきましても課題になってくると思います。その点につきましては、ゲノム医療コーディネーター等の活用も含めまして、現在考えているのは、ICT・AI技術を用いて、できるだけそういった格差がないような形にしていきたいと考えております。
 2点目です。ELSIをぜひ独立というところですが、こちらはGenomics Englandを参考にしつつ、そういった視点も踏まえながら考えていきたいと考えております。実施組織につきましては、今後、専門委員で検討していくことになると思いますので、またそちらのほうでこういった御指摘があったということを踏まえて検討していきたいと考えております。
 3点目です。全ゲノム解析につきましては、御指摘のとおり、基本的には研究段階の要素が強いと認識しております。こういった中で新しい技術が出たときに、一般の方が過剰な期待をしてしまうことが危惧されるということですので、我々としましても一般の方々へできるだけ情報提供していくことを検討していきたいと考えております。ありがとうございます。
○中釜議長 ありがとうございました。
 今の御説明でよろしいでしょうか、天野構成員。ありがとうございます。
 続きまして、武藤構成員、お願いできますか。
○武藤構成員 御説明ありがとうございました。
 資料5の5ページの組織図のところなのですけれども、Genomics Englandにはボードに対する助言組織として参加者パネルというのがあります。パーティシパントパネルと呼ばれるもので、全ゲノム解析とかデータ提供に同意した参加者の方々の中で集って、年4回会合を開いて、自分たちのデータがどう扱われるのかということに対する参加者としての関心事をしっかりお伝えしてポリシーに反映しています。もしもGenomics Englandをモデルにとおっしゃるのであれば、ぜひそれは検討していただきたいと思います。さっきのパネル検査よりも、こちらのほうがより研究開発の側面がどうしても強いものでありますので、それは参加者の方々が信頼をしっかりこの組織に対して寄せられなければ成り立たないということについて、改めて御検討いただきたいと思います。
 あと、天野さんからELSIについても独立したというふうにおっしゃっていただきましたけれども、日本は海外、特に欧州、アメリカと比べて、ELSIの部門にしても、今の参加者・患者パネルにしても、本当にあったりなかったりというのをずっと繰り返してきて全体に低調でありますので、ここはしっかり押さえて両輪になるようにしていただきたいと思います。
 以上です。
○中釜議長 ありがとうございます。
 厚労省から御発言ございますか。
○事務局(市村) 武藤先生、貴重な御意見をありがとうございます。
 我々としましても、ELSIの関連する先生方にぜひ積極的に参加していただきたいと考えておりますので、そういったことをよく考えていきながら、専門委員会で実施組織の構成については検討していきたいと考えます。ありがとうございます。
○中釜議長 あと、参加者パネルの構成ですね。
○事務局(市村) 参加者パネルを諮問委員会につくることに関しましても、ぜひ専門委員会のほうで検討していきたいと考えます。ありがとうございます。
○中釜議長 よろしいでしょうか。
 続きまして、中山構成員、お願いいたします。
○中山構成員 ありがとうございます。
 全ゲノム解析を実際に実現するための体制まで、非常にスピーディーに検討を進めていただいて感謝しております。全ゲノム解析等実行計画を企業サイドから見ると、やはりこれをいかにうまく使って、早く患者さんに今までなかった疾病の薬をつくって届けるかということで、特に日本人全ゲノムデータ基盤を構築いただくのは非常に重要な価値があると思っています。
 ただ、一方で、企業サイドは現実の話をすれば、Genomics Englandのデータ構築はできつつあるし、次の新しい次元に行っています。アメリカでは民間企業でかなり豊富なデータを持っていて、お互いに交換しながら、それを活用した創薬というのはもう既に始まって走っています。したがいまして、この全体構想は今までも手早く進めていただいたのですけれども、ぜひスピード感を持って進めていただきたいと思います。
それから、ヘッドクオーターの形というのは一つのひな型が参考に出ておりますけれども、早くこれがどんな実態を持った組織のヘッドクオーターかということにつなげていただくことが全体を加速する極めて重要な要素です。何を申し上げているかといいますと、それが早くできれば、ユーザーとしての企業はどういうものが使いやすいかという注文あるいは契約形態を早く整理することができます。そのことによって、この組織のある意味での収入源の確保にも結びつきますし、全体の動きが非常に速くなると思います。特に責任を持った方がこの組織を統轄して、その在り方を考えて、CEOとして発信していただくというのが全体を動かす上で極めて重要になると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 以上です。
○中釜議長 ありがとうございます。グローバルな試みに関してスピード感を持って対応してほしいという御要望ですが、厚労省のほうから御意見ございますか。
○事務局(市村) 御指摘ありがとうございます。我々としましても、スピード感を持って進めてまいりたいと思います。また、専門委員会につきましては、スピード感を持って対応し、フラットな構成としていきたいと考えております。
○中釜議長 ありがとうございます。
 ほかに御意見、御質問はございますか。よろしいでしょうか。
 渡部構成員、お願いします。
○渡部構成員 これから実装していき、民間に期待される役割をしっかり担っていくということで、臨床検査、それからIVD、医療機器ということで一緒に取り組んでいきたいと思います。
 そういう観点で2つコメントをさせていただきたいのですけれども、1つが、シークエンスセンターを民間に委託していくということで、現状のシークエンスセンターのケーパビリティーはやはりギャップがあるということで、新しい全ゲノムに対応したようなプロセスであったり技術をこれから構築していかないといけないと思います。
 今、衛生検査所というのはいずれもやはり「帯に短し襷に長し」ということで、研究レベルで実績のある機関は非常に小規模で、臨床検体を扱うノウハウがない。一方で、大手の臨床検査機関はゲノムの経験とか人材が少ないということで、一番困っているのは人材ということなのです。ですから、厚労省が人材育成ということで書いておられますけれども、ぜひそういったシークエンスセンターだとか検査機関に対しても視野に入れてお願いをしたいということであります。
 2つ目は、データセンターの実装は幾つかの案があるということですけれども、やはりこれも産業界のレベルから見ると、欧米からかなりテクノロジーという意味で遅れていて、データサイエンスのサイエンティストの人材も限られていると思っています。
 欧米の企業で言うと、アーチャー、ナテラ、カリス、ガーダントだとか、非常に開発投資が潤沢で、AIを含めた非常に先進的な取組をしているということで、日本企業も幾つか買収だとかアライアンスをやっていて技術を提供できる部分もありますけれども、ぜひ戦略的に検討いただければと思っています。
 3つ目はコスト面のハードルが非常に高いのではないかと思っています。1つは輸送、前処理、測定、データ解析という、通して見ると制度とコストのトレードオフという中で、コストが数倍ぐらい増えるということですので、ぜひ、実装していく上での最適なコスト設計をお願いしたいということ。
 もう一つは、シークエンスが実質的にイルミナに依存しているということで、コスト水準そのものが非常に高いこともありますし、あるいは技術がどんどん進歩していく中で、シークエンサーのバージョンアップだとか、試薬のバージョンアップということで非常に重荷になる。一方で、BGIなどを使えるかというと、いろいろな課題もあるということであります。一方で、日本の技術も一朝一夕では実現が難しいということですので、ぜひその辺を御検討いただきたいというお願いでございます。
 以上です。
○中釜議長 ありがとうございます。体制整備に向けて人材の育成、さらには技術開発、そういう側面も加味しながら盤石な体制を築いていただきたいという御指摘ですが、この点について、現時点で厚労省のほうからの御回答はございますか。
○事務局(市村) 御指摘ありがとうございます。今後ともこういった技術的な面、人材育成の面、シークエンスセンターについての面につきましても、ぜひ御協力、御指導いただきながら進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○中釜議長 ありがとうございます。
 今の説明でよろしいでしょうか、渡部構成員。
○渡部構成員 はい。ありがとうございます。
○中釜議長 そのほか御質問ございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、事務局からの説明は以上ですが、全体を通して何か改めて御質問はございますでしょうか。
 土岐構成員、お願いいたします。
○土岐構成員 資料1に戻るのですけれども、臨床研究のことなのですが、C-CATが持っているデータは、実際に臨床研究を行うときには不十分である可能性があるので、各拠点病院等を通じた流れでの臨床研究になると思うのですけれども、そのときにお伺いしたかったのは、C-CATの調査結果とか各エキスパートパネルのレポートというのは、こちらのほうの情報を提供していただくことは可能なのか。これもやはりもう一度がんゲノム情報センターのほうの許可が要るのかどうか。レポートとして二次的に研究に使ってもいい形になっているのでしょうか。
○間野構成員 では、C-CATの間野のほうからお答えしてよろしいでしょうか。
○中釜議長 お願いします。
○間野構成員 C-CAT調査結果は利活用検索ポータルの中でも使えますので、その後の研究開発等にも御利用いただけます。ただ、エキスパートパネルの情報に関しては、C-CAT側では持っていませんので、それは各病院の所有物になるのではないかと思います。
 それから、先ほどC-CATデータの利活用に関して少し言い忘れたのですけれども、例えば今度、利活用検索ポータルが企業も使えるようになると、それを調べた結果、改めてその中のデータをもう一度調査し直して、承認申請に使いたいということなども想定として出てくると思います。それはC-CATのような大きなデータの極めて有効な使い方だと思いますので、そのような可能性についても、現在、PMDAと検討しているところであります。
 以上です。
○中釜議長 ありがとうございます。
 今の説明でよろしいでしょうか、土岐構成員。
○土岐構成員 ということは、我々研究者としては、逆にC-CATの利用のほうを先にお願いしてから各中核病院に頼んだほうがスムーズに行きやすい可能性があるということでしょうか。それとも、各病院から先に行って、それをC-CATのほうに問い合わせていただくかですね。
○間野構成員 それはケース・バイ・ケースかと思いますので、またお声がけください。
○土岐構成員 よろしくお願いします。ありがとうございます。
 以上です。
○中釜議長 ぜひ、臨床開発研究も加速できる形で、C-CATと連携を取りながら進めていければと思います。よろしくお願いいたします。
 杉山構成員、お願いいたします。
○杉山構成員 ありがとうございます。
 まず、C-CATの関係者の皆様、このコロナ禍の大変厳しい状況の中でたくさんデータを集めていただいたこと、本当に感謝いたします。
 我々はデータを活用する側の立場でございますが、もちろん医学のかなり専門に近いほうの方はC-CATのデータを直接使っていろいろと貢献できるかと考えているのですが、一方でもうちょっと情報寄りの研究者からしますと、本当の医学のデータというのはやはりちょっとまだハードルが高いところで、ふだん情報系の研究者は、いわゆるベンチマークデータと呼ばれる、ただ数値化されてしまって特に意味がないような状態になっているのですが、例えば手書き文字のデータとか、とある会社のクリックのデータとかが完全に匿名化されて一般公開されたりしています。そういった完全なフリーのベンチマークデータとして公開されると、実は世の中もう世界中の情報系の研究者が活用して、ある意味競争して技術を磨いていくということが過去10年、20年もうずっと行われています。
 今回のC-CATのデータは、直接はかなりハードルが高いかなと感じるところがありますので、もし可能であれば、もう一段階抽象化というか、匿名化したデータをつくっていただいて、特に何も登録せずに勝手にダウンロードして使えると、そんなレベルのところまでうまく展開していただけると活用が広がるのではないかと感じました。
○中釜議長 今の杉山構成員からの御指摘に関して、現時点でC-CAT側としてお答えできる範囲のことはございますでしょうか。
○間野構成員 ありがとうございます。
 C-CATのデータの中で、例えば個別の患者さんのデータではなくて、日本人の登録したデータの中で肺がんはどういう変異のパターンが多いとか、肝臓がんはどういうパターンが多いとかいうのはホームページを通して公開していますので、それは御利用になれます。ただし、個別のデータになりますと、日本の保険医療の患者データそのものになりますので、やはりセキュリティーも大事になりますし、適切なプロセスを経て倫理委員会が承認した課題に限定されるというのは、今のところではそういう形にならざるを得ないと思っています。
 以上です。
○中釜議長 今の説明でよろしいでしょうか、杉山構成員。
○杉山構成員 はい。ありがとうございました。
○中釜議長 ありがとうございます。
 ほかに御意見、御質問ございますか。全体を通してで結構ですが。
 石岡構成員、お願いいたします。
○石岡構成員 日本臨床腫瘍学会の石岡です。
 ゲノムは研究のウエートが大きくなってくるということですけれども、実際にそれを扱う医療現場を考えた場合に、今、がんゲノム関連病院、がんゲノム医療中核拠点病院を中心とした体制で行われて、がんゲノム医療中核拠点病院、私は東北大学ですけれども、そういったところはある程度対応できると思うのですが、先ほど来、話が出ていますが、格差の問題に関して考えた場合に、全ゲノム時代になった場合、かなり集約化ということを当然考えていかなければいけないと思う点が1つ。
 その場合に、地域との関係をどうするかというような問題が1点。あともう一つは、先ほど来、専門の医療従事者を、例えばゲノムコーディネーターのような人材を養成していくという課題が1つあって、今そういったところの人材が不足しているのは、これはがんゲノム医療中核拠点病院でも現実的に人材不足の状況です。
 こういった人たちを養成していくときに、実際にそれを雇用できるのかどうか。私が今一番申し上げたいのは、今の枠組みで現場が非常に疲弊している状況を考えたときに、このがんゲノム医療を全ゲノムに展開していったときに、そういった設計が成り立つかと。コ・メディカルをもう少し入れていくことと、病院の経営といったようなところと、あとは医師の働き方改革とか、そういったところの全体のバランスをどこかで検討しなければいけないのではないかというのが、私は現場にいて非常に強く感じるのですが、その辺についての制度設計とか見通しがあったら教えてもらいたいです。
○中釜議長 ありがとうございます。重要な御指摘で、現在の遺伝子パネル検査を主体としたゲノム医療から全ゲノム解析を展開するに当たって、全ゲノム解析のほうは研究的な色合いが現時点で高いと思うのですけれども、全体のバランス、コーディネートをどのようにお考えかということで、現時点で答えられる範囲で、厚労省、お願いいたします。
○健康局がん・疾病対策課がん対策推進官 ありがとうございます。
 厚生労働省の中で、当然、各部局等で様々な議論を進めているところです。私たちとしてもそういう情報も得ながら、また、現場の状況を先生方にもお伺いしながら、どういう制度設計がより受け入れられるのか、また、様々な観点から適切な形になり得るのかということは引き続き考えていきたいと思います。恐らく、一気に完全にクリアに御回答できるような方法はなかなか難しいかもしれないと思っておりまして、様々な知恵を使っていかないといけないのかなと思っておりますので、ぜひ何かアイデアなどがありましたら、適宜お寄せいただければと考えております。
○石岡構成員 分かりました。よろしくお願いします。
○中釜議長 ありがとうございました。
 では、木下構成員、お願いいたします。
○木下構成員 日本バイオインフォマティクス学会の木下です。
 人材育成の話と、先ほど杉山先生の話に絡めて2点ほどコメントさせていただきたいと思います。
 人材育成に関して、その重要性に関してはもう皆さんからコメントが出ているとおりだと思うのですけれども、恐らくこれはキャリアパスというものがない中で、とにかくここに人が欲しいということを言っても、なかなか若い人はそこに行きにくいですね。そうしたときに、あまり資格ばかり増やしてもしようがないのかもしれませんけれども、今こういう医療の現場でゲノム情報の解析が必要なのであれば、やはり厚労省として何かそういうものの資格を設けて、それこそゲノム情報解析士みたいな形でしっかりしたキャリアにつながるようなパスを御検討いただくと、そういうところで働いてみようという若い人も出てくるのかなというのをいつも強く感じています。その辺をちょっと何か御検討いただければ幸いです。
 もう一つ、先ほど理研の杉山先生からコメントがあった点に対して、もちろん個人情報なので非常に難しいことは分かるのですけれども、先ほどの杉山先生のアイデアは実は相当いいアイデアだと思っています。というのは、やはり情報系の解析をやるときに、いろいろな手続のところでもう何か心折れてしまう人が多いのです。もちろんその辺も、そういうことをして、そういうものだということに慣れさせる必要はあるのですけれども、一方で、シミュレーションデータまで情報を落とすといろいろなノイズが入りそうですが、C-CATの個別のデータから何かオープンに使えるリソース。先ほどのがん種ごとの統計はホームページにありますという、あれももちろん貴重なデータではあるのですけれども、シミュレーションした結果でも構わないので、手法の開発につながるようなオープンデータを専門性がある方々を集めて御検討いただくと、一気にいろいろなことが進む非常にいいアイデアかなと思って伺いました。
 以上2点です。
○中釜議長 ありがとうございました。以上2点、非常に重要な御指摘だと思います。ぜひそれを検討していただければと思いますが、現時点で御発言いただけることはありますか。よろしいですか。
 それでは、厚労省から。
○健康局がん・疾病対策課がん対策推進官 御意見ありがとうございます。
 1点目、資格の部分に関しましては、学会さんでも様々な御努力をいただいていると承知しております。なかなか国のほうでのいわゆる国家資格みたいなところになると、どういうものをどれだけの技能、様々なハードルもありつつ、しかも、その人が具体的にどういうところで活躍できるのか。かなり限定した領域であった場合には、あまり国家というところではなじまない可能性も高いと考えております。
 様々な御意見をいただきながら、国としてやるべきことが何なのかということはしっかりと考えていきたいと考えております。
 いずれにしましても、人材育成等々は重要なことだと理解しておりますので、ぜひ学会の皆様とも協力しながら進めていきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○中釜議長 ありがとうございます。
 2点目は先ほどの杉山構成員からの質問と関連しますが、ぜひデータ利活用の枠組みを広げていただき、その可能性に関しても御検討いただければという御指摘だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ほかに御意見ございますか。
 本日は、資料1から資料5を中心に御議論いただきました。加えて参考資料の中には利活用ポリシーであるとかシステムの利用規程等についても書かれていますが、現時点で何か御質問がございましたら。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 本日用意させていただきました議題等については、御議論いただけたと思います。
 それでは、事務局から連絡事項等がありましたら、お願いいたします。
○健康局がん・疾病対策課がん対策推進官 本日は御議論いただきまして、ありがとうございます。いただいた御議論を踏まえながら、ゲノム医療に関しまして、我々としても進めていきたいと考えております。また引き続き、必要な検討等を進めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
○中釜議長 ありがとうございました。
 では、本日の運営会議は以上で終了したいと思います。
 本日は本当にお忙しい中、またコロナ禍の中、構成員の先生方には御協力いただき、ありがとうございました。
 以上で本日の会議を終了いたします。どうもありがとうございました。
 

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