医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議(第5回)の議事録

日時

令和3年3月26日(金)15:30~17:30

場所

TKP 新橋カンファレンスセンター 「ホール16D」
(東京都千代田区内幸町1丁目3-1 幸ビルディング16階)

議題

  1. (1)安定確保医薬品の選定及びカテゴリ分類について
  2. (2)その他

議事

議事内容
○田中ベンチャー等支援戦略室長 それでは、定刻を少し過ぎておりますけれども、ただいまから第5回「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」を開催いたします。
構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、御参加いただきまして、誠にありがとうございます。
本日の会議につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、一般の傍聴は制限させていただいております。報道関係者の皆様に限り傍聴可としておりますけれども、カメラ撮りについては、冒頭のみとさせていただきますので、御理解、御協力をお願いいたします。
なお、議事録につきましては、後日、厚生労働省のウェブサイトに掲載させていただく予定でございます。
本日は、新型コロナウイルス感染症の流行状況等を考慮しまして、オンラインも活用させていただきハイブリッドの形式で実施させていただきます。
本日の構成員の出欠の状況でございますけれども、平川構成員、大久保構成員から御欠席の連絡をいただいております。また、関構成員につきましては、オンラインでの参加となっております。
それでは、以降の議事運営につきましては、座長にお願いしたいと思います。
○清田座長 清田でございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
最初に、事務局から資料の御確認をお願いいたします。
○田中ベンチャー等支援戦略室長 事務局でございます。
本日の資料ですけれども、ウェブ会議で御参加いただいている構成員の先生方におかれましては、事前に事務局より送付させていただきました資料、会場にお越しいただいている構成員の先生方におかれましては、お手元のタブレットの端末にて資料を御確認いただければと思います。
本日の資料といたしまして、議題1「安定確保医薬品の選定及びカテゴリ分類について」の関係で、資料1-1「安定確保医薬品及びカテゴリ分類」。資料1-2が(1)から(3)までございます。安定確保に関する関係者会議ワーキンググループ関係の資料でございます。資料1-3が(1)と(2)、パブリックコメント関係の資料でございます。議題2「その他」の関係で、資料2-1から資料2-4までがございます。それから、参考資料として、参考資料1から参考資料6までがございますので御確認をお願いいたします。資料に不備や御不明の点がございましたら、事務局にお知らせください。
なお、冒頭のカメラ撮影につきましては、ここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
議事に入ります前に、本日の会議の進め方についての留意点をお知らせします。
オンラインで参加の先生におかれましては、ハウリング等のノイズを防止するために、御発言以外のときにはマイクをミュートにしていただきますよう、お願いいたします。御発言の際には、Skypeのチャット機能等でお知らせいただければと思います。会場から参加の先生は、手を挙げるなどしてお知らせいただければ幸いでございます。御発言いただく際にはマイクを利用していただきまして、発言の最初にお名前をお知らせいただけると、どなたが発言されているかが分かって助かりますので、よろしくお願いいたします。
会議中、マイクの調子が悪くなるなど、ほかの出席者にとって聞き取りづらい状況がある場合には、音声の代わりにメッセージで御意見を記入していただくことをお願いする場合がございます。その他、システムの動作不良などございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしています事務局の電話番号まで連絡をお願いいたします。こちら側のサーバーがダウンするなどトラブルが発生した場合につきましては、事務局からメールで御連絡いたしますので、御確認ください。御不便等をおかけするかもしれませんけれども、御理解、御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
○清田座長 それでは、議事に入りたいと思います。
議題1「安定確保医薬品の選定及びカテゴリ分類について」です。昨年9月の本会議の取りまとめを踏まえまして、ワーキンググループが設置されました。座長は、松本先生にお務めいただきました。このワーキンググループで議論いただきまして、安定確保医薬品の選定(案)及びカテゴリ分類(案)が作成されておりますので、ワーキンググループの松本座長から資料1-1及び1-2の御説明をお願いいたします。
○松本構成員 国際医療福祉大学の松本でございます。
それでは、ワーキンググループで進めました作業の結果と、これまでの経緯を含めて、少し御説明させていただきます。
まず、資料1-1にパブコメの反映版ということで、実際に安定確保医薬品のそれぞれ506成分のリストがございます。こちらの中に、まず最初の赤い色で分類されております「最も優先して取組を行う安定確保医薬品」が21成分ございます。そして、その次に、2番目「優先して取組を行う安定確保医薬品(カテゴリB)」が29成分ございます。そして、残りの456成分が「安定確保医薬品(カテゴリC)」という分類で、今のところ、こういう結論で御提案させていただいております。
これに至りました経緯について御説明させていただきたいと思います。
まず、資料1-2(1)、ワーキンググループ設置要綱について御説明したいと思います。こちらにつきましては、58学会から全部で551品目の成分が検討対象として御提案されました。かなりの数になりますので、これをどうやって整理していくかということも含めまして、基本的にワーキンググループで作業を進めるということが決まって、その後作業を進めさせていただきました。
その次のページを見ていただきますと、構成員の名簿がそこに書いてありますが、伊豆津先生、一條先生、大久保先生、川上先生、坂巻先生、成川先生、原先生、蛭田先生、そして私が座長を務めさせていただきまして、このワーキンググループを開催させていただきました。
続きまして、資料1-2(2)を見ていただければと思いますが、どのように作業を進めたかというと、議事概要というものがございます。後で御説明しますけれども、イ、ロ、ハ、ニの4つの要素をそれぞれの薬剤に対して評価して分類していくという作業の進め方が決まりました。それから、カテゴリを3つに分けて分類していこうということも、そのときに決まりました。
その後、実際の作業というか、分類した後のいろいろな評価につきましては、事務局のほうで相当御苦労していただきながら作業を進めていただきまして、それを何とか要約、まとめていただくような形になりまして、次の2月9日に2回目のワーキンググループを開催させていただきました。この時点では、ある程度作業が進んで、それを評価するという形でやらせていただきました。先ほど御説明しましたイ、ロ、ハ、ニにつきましては、後で御説明させていただきますけれども、対象疾病の重篤性、代替薬・代替療法の有無、それから多くの患者が服用していること。そして、製造の状況・サプライチェーン。この4つの点を対象として評価を行っております。
そして、それを基に、ある程度重みづけもいろいろ議論させていただきまして、その上で分類案というものがいろいろありましたけれども、それで先ほどの4つを全く同じ重みづけというよりは、多少変えて評価させていただきました。
1-2(3)を見ていただければと思いますが、もう少し詳しく御説明させていただきますと、カテゴリAと言いますのは、最も優先して取組を行う安定確保医薬品、カテゴリBが優先して取組を行う安定確保医薬品、それ以外のものにつきましては、全てカテゴリCの安定確保医薬品という3つのカテゴリにさせていただきまして、その次のページを見ていただきますと、対象疾病の重篤性ということにつきましても、ここに挙げておりますような項目を考慮しながら分類作業を進めていただきました。
その次のロですけれども、代替薬・代替療法の有無も、ここに列記してありますようなポイントを考慮しております。
その次にハですけれども、多くの患者が服用(使用)していること、ということがございます。
最後に、ニが製造の状況・サプライチェーン。
こういった点を考慮させていただいて、その上で各薬剤について評価して取りまとめていただきました。
こういう作業を進めて、最後にまた戻っていただきまして、資料1-1。これが、そういう作業を進めていただいた上での結果でございます。ワルファリン、シクロスポリン、タクロリムス、プロポフォール、ミダゾラム、ロクロニウム、ドパミン、アルガトロバン、フルマゼニル、アドレナリン、ノルアドレナリン、スガマデクスナトリウム、メトトレキサート、バンコマイシン、アンピシリン・スルバクタム、セファゾリン、セフメタゾール、タゾバクタム・ピペラシリン、メロペネム、アセトアミノフェン、トロンビン、この21成分につきましては、いろいろ重みづけの中で重要であるということで、最も優先して取組を行う安定確保医薬品ということにさせていただきました。
それから、少しランクが下がるように思われるかもしれませんけれども、この29成分も重要な薬剤という位置づけになっております。ただ、あらかじめ御説明が必要なものとしては、血液製剤及びワクチンというものは、今回は対象外ということにしております。
あとは、パブコメもいただいた上で反映したものがこういうことになっております。
以上、経過を含めて御説明させていただきました。よろしくお願いいたします。
○清田座長 ありがとうございました。
ワーキンググループにおかれましては、非常に熱心に、活発に、そして詳細に御議論いただいて、安定確保医薬品の選定がされたというという報告でした。
続きまして、ワーキンググループで作成された案につきましてパブリックコメントが実施されております。その結果について、事務局からの御説明をお願いいたします。
○田中ベンチャー等支援戦略室長 事務局でございます。
それでは、資料1-3(1)を御覧ください。「安定確保医薬品の選定等に関するご意見の募集について」とタイトルがついている資料でございます。
先ほどワーキンググループの松本座長から御報告いただきましたけれども、ワーキンググループで非常に詳細な御議論をいただきまして、安定確保医薬品の選定とカテゴリ設定の案を作成いただきました。その案につきまして、令和3年2月26日から3月12日まで任意のパブリックコメントという形で御意見の募集を行いました。この資料1-3(1)につきましては、御意見募集の際の資料でございます
続いて、資料1-3(2)「パブリックコメントで寄せられたご意見」の資料を御覧ください。今回のパブリックコメントでは、合計26件の意見が寄せられました。様々な御意見、御提案、御要望などをお寄せいただきましたけれども、いただいた御意見について事務局で主な内容別にまとめさせていただいたものが、こちらの資料になります。
まず初めに、個別品目についてとあるものですけれども、個別品目につきましては3件の御意見が寄せられました。
1つ目、2つ目につきましては、いただきましたコメントについて、事務局のほうから御提案いただいている学会に確認をさせていただきました。1つ目のテリパラチド製剤につきましては、学会としては「テリパラチド(遺伝子組換え)」及び「テリパラチド酢酸塩」の両方が対象と考えているという旨を確認いたしましたので、資料1-1につきましては、そのような形で修正させていただいております。
2つ目の「酪酸菌」につきましても学会に確認させていただきましたが、宮入菌に加えて、酪酸菌配合製剤のほうについても対象として考えているという旨を確認いたしましたので、資料1-1のリスト案につきまして、そのように修正させていただいております。
3つ目の持田製薬株式会社のコメントにつきましては、「ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン」という形で成分で指定してございますので、コメントで指摘いただいているとおり、由来・製法によらず、対象として含まれるという理解でおります。また、後段の遺伝子組換えにつきましては、バイオシミラーを含むかという御質問につきましては、バイオシミラーも含めるものと考えております。
これら3つのいただきました御意見を踏まえまして、資料1-1のリストにつきましては、これ以外の成分につきましても、再度同様の観点から見直しをしまして、適宜必要な修正を行いました。
次に、対象についてのコメントでございます。KMバイオロジクス株式会社から、血漿分画製剤についても安定確保医薬品の対象としてほしい。そうでない場合には、特段配慮いただきたいという御意見をいただいております。血漿分画製剤の安定確保の必要性については、御指摘のとおりと考えておりますけれども、コメントのところにも記載されてございますように、血液製剤及びワクチンにつきましては、一般の医薬品とは生産と流通の性質が異なっていること。それから、それぞれ血液製剤及びワクチンについて、需給や流通、情報不足といったことに対して、取組がそれぞれ行われているところでございます。
次に、No.7の扶桑薬品工業からいただきましたコメントにつきましては、括弧で剤形などが記載されている場合には、その剤形のみが対象となるのかということの御質問でございました。御質問への回答としてはそのとおりであると考えております。御意見いただきましたので、その内容が分かりやすくなるように、資料1-1のリストの冒頭の部分でございますけれども、「なお、かっこ内に顆粒・内容液・徐放カプセルなどの剤形や品目名が記載されている場合には、記載されているものが対象となる。」という形で追記させていただきました。
次に、No.9、中外製薬、No.17の丸石製薬からいただきました御意見につきましては、会議の取りまとめに記載されておりますけれども、「安定確保医薬品とは、日本医学界傘下の主たる学会の各専門領域において、医療上必要不可欠であって、汎用され、安定確保が求められる医薬品として提案されたもので、我が国の安全保障上、国民の生命を守るため、切れ目のない医療供給のために必要で、安定確保について特に配慮が必要とされる医薬品を言う。」ということになっております。基礎的医薬品、不採算・再算定医薬品のような薬価上の措置とは異なっているものと考えております。
No.11、大塚製薬工業からの御意見につきましてですが、前段については先ほど申し上げたとおりということで考えております。
No.13、Meiji Seikaファルマからの御意見ですけれども、バンコマイシン塩酸塩の散剤を追加してほしいという御意見でございました。安定確保会議で学会に要請して提出されたリストの中には、本剤が含まれていないということでございますので、たくさんある医薬品製剤の中での優先度という観点から、そのような形になったのかなと思われますけれども、御意見としてはいただいているところでございます。
3ページのNo.15、LTLファーマからの御意見ですけれども、意見2と意見3について、選定については、先ほど松本座長から御説明いただきましたとおり、有識者からなるワーキンググループにおいて検討を行っております。概要につきましては、今回の会議の資料1-2(2)に記載されているとおりでございます。
4ページの意見4につきましては、安定確保医薬品の見直しについての御意見でございますけれども、この見直しにつきましては、ワーキンググループの中でも御議論いただいたところでございますけれども、その時々の医療の状況に合わせて見直しが必要な場合があると考えております。
時期や方法については今後検討していくことになりますが、今回は、現在の状況におきまして、医療現場において使用されている医薬品について、日本医学会傘下の主たる学会の各医療専門領域から御要望いただいた医薬品について、ワーキンググループでしっかりと精査していただいたという上で、今回選定されているという経緯を踏まえますと、今後しばらくの間は、医療現場に新しく入ってくるものの多くは新薬であると考えられますので、安定供給上のリスクは新薬についてはそれほど高くないだろうと考えられることから、見直す場合につきましては、こういった新薬から状況が変わってくる数年後、二、三年後になるのかなと、そのくらいが現実的なのではないかと考えております。
意見5につきましては、取りまとめにも記載がされておりますけれども、日本医学会傘下の主たる学会から御提案をいただいたものでございます。
続いて、カテゴリ分類についての御意見がございます。こちらにつきましては、安定確保医薬品の見直しの時期についての御意見が多く寄せられておりますけれども、先ほど申し上げたとおり、医療の状況の変化に合わせて見直しを行っていく必要があるということは考えているところでございます。見直しの時期につきましては、医療現場の医薬品の使用実態の変化などにもよると考えますけれども、先ほど申し上げました理由により、すぐにという感じではなくて、数年後という感じになるのではないかと考えております。
それから、選定基準の変更についての御意見もいただいているところでございます。今回の安定確保医薬品の選定に使用されている選定の基準というのは、おおむね一般的・普遍的な内容となっていると思われますので、大きく変更されることはないのではないかと考えておりますけれども、実際に安定確保医薬品の見直しを行うとなったときに、有識者の先生の御意見をお伺いしながら検討していくことになるものと考えております。
また、代替性についても御質問がございましたが、医療の安全保障、医療提供の継続性という観点から、治療に際して代替薬や代替療法があるかどうかという観点から、ワーキンググループで検討していただいているものでございます。
その次、5ページ目で、賛同の意見として5つほど御意見をいただいております。御意見をお寄せいただきまして、どうもありがとうございます。
その後ろでございますけれども、その他として、今回のパブリックコメントの意見募集の直接の対象ではございませんけれども、御意見、御要望をいただいておりますので、こちらにまとめて記載させていただいております。お時間のあるときに御覧いただければ幸いでございます。いただきました意見につきましては、今後の施策の参考とさせていただきたいと思います。
資料1-1(1)及び(2)の説明については、以上になります。
続いて、参考資料4を御覧いただければと思います。「医薬品の安定確保を図るための取組(現状と今後の取組)」ということで、こちらの資料は、昨年の取りまとめのときにつくっている1枚の説明の紙でございます。
左側、安定確保に特に配慮を要する医薬品「安定確保医薬品」の選定という青い四角囲みの部分がございますけれども、この部分がワーキンググループ、それから今のパブリックコメントを踏まえまして、今日御議論いただく部分でございます。この御議論をいただきまして、安定確保医薬品が選定されましたら、この取りまとめにあるように、(1)供給不足を予防するための取組、(2)供給不安の兆候をいち早く捕捉し早期対応に繋げるための取組、(3)実際に供給不安に陥った際の対応というものについて、順次、事務局・行政のほうで検討していくという形になってございます。
説明については、以上となります。
○清田座長 ありがとうございました。パブリックコメントに寄せられた御意見について御説明いただきました。
それでは、ただいまのワーキンググループからの報告、そして、事務局からの御説明につきまして、何か御意見があればお伺いしたいと思います。いかがでしょう。
安定供給というのは、常に非常に大事なのですね。それで流動的だということで、この会議は、基本的なアプローチの仕方を確認するための会議と御理解いただければいいと思うのですけれども、今後、何かあった場合は、常にこういうアプローチでやっていくという御理解だと思います。各論につきましては、これから先ほど田中さんから御紹介いただいたような作業がまだ続くわけですけれども、550余りの薬剤の中から優先順位をつけて、一遍には無理ですから、カテゴリAについて、恐らく今後も作業が続くのではないかと思います。
御意見、いかがでしょう。どうぞ。
○安部構成員 事務局、それから松本先生、御説明ありがとうございました。
資料1-1の安定確保医薬品のカテゴリの設定(案)につきましては、これまでのワーキンググループの議論、それからパブコメの意見も丁寧に取り入れて、このリスト案に反映させているということでありますので、まずは、このカテゴリ設定(案)で進めていくのがよろしいのではないかと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
ほかに御意見いかがでしょうか。
これは、非常に流動的な要素もあるのだという御理解ですね。ですから、その都度、何か起こった場合、こういった感じでアプローチしていくと。基本的な姿勢を確認できればと思っております。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、本日の議論を踏まえまして、安定確保医薬品及びカテゴリ分類につきまして、この会議としてオーソライズしたいと思います。ワーキンググループにより検討された安定確保医薬品とカテゴリ分類について承認してよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○清田座長 ありがとうございます。
それでは、本会議として安定確保医薬品及びそのカテゴリについて確認、オーソライズしたという形にさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
それでは、議題2「その他」についてですが、前回の昨年8月のこの会議から本日までの間、行政の動きがございました。それにつきまして事務局から御説明をお願いしたいと思います。
○田中ベンチャー等支援戦略室長 事務局でございます。
事務局より、前回の会議以降、今回の会議までの行政での施策について簡単に御説明させていただきます。前回の関係者会議につきましては、昨年8月末に開催させていただいて、9月に報告として取りまとめいただいていますので、おおむねこの半年間での取組ということになると思います。
それでは、まず、資料2-1を御覧ください。「医療用医薬品の供給不足時の対応スキーム」と書いている資料でございます。この資料に記載させていただいているスキームでございますけれども、昨年末に突発的に供給不足が多くの品目にわたって生じたという事態が発生いたしました。それへの対応につきまして、その経験を踏まえて、この関係者会議の第2回の会議におきまして、業界団体・日薬連から御発表いただいている供給調整スキームという枠組みがございましたけれども、その枠組みを参考としまして、どのような準備とか対応をしていけば、万一、このような事例が生じた場合に対応が可能になっていくのかということについて検討して、スキーム案としてまとめてみたというのが、この資料でございます。
スキーム案について、簡単に御説明させていただきます。
まず、左上の四角のところでございますけれども、医療用医薬品に供給不足が発生する、もしくは発生する疑いがあることを察知した段階で、経済課のほうにも御連絡いただいて情報を共有する。この部分でございますけれども、諸外国の多くは、供給不足の情報についてはウェブサイトで公表されている状況でございますので、供給不足のおそれが発生する場合、製造販売企業のほうで入力した内容がオンタイムでウェブサイトに掲載されて、情報が必要になる方が直接見られるという形にできれば、将来的にはいいのかなと考えているところでございます。
ただ、そのためにはどのような仕組みを構築していけばいいのか、どういうふうにすればそれができるようになるのかという点につきましては、しっかりとした検討が必要になると考えておりますので、今すぐにできるというものではございません。今後、どのようにその仕組みをつくり上げていくかということは、課題とさせていただきたいと考えております。
供給不足の品目が、今回定められている安定確保医薬品でない場合につきましては、一般的には、代替薬や同種同効薬、代替療法などの治療の選択肢が複数ある状況になっていると考えられますので、その場合には、医療現場、医療関係団体に対しまして、同一成分での代替薬・同種同効薬あるいは代替治療法などの情報提供について、しっかりと行っていただくことをお願いさせていただくという形のスキームになっております。
供給不足の品目が安定確保医薬品の場合、Yesの下のほうに進んでいった場合でございますけれども、この会議での取りまとめの報告書21ページにも記載がございますけれども、医療現場で重要な役割を担う医薬品につきましては、我が国の安全保障上も、切れ目のない医療供給のために必要で安定確保について特に配慮が必要な安定確保医薬品として、民間企業の取組に対して国としてもより踏み込んだ関与が必要であると考えられると提言されてございます。この提言を踏まえまして、経済課で供給不足を発生させた対応企業からヒアリング等を行いまして、情報が十分に得られていれば、経済課と当該企業で協力しながら、必要な対応について検討していくということを考えております。
万が一、当該製造販売企業から初動の対応に必要十分な情報が得られないような場合が生じた場合には、業界団体の協力をいただきながら、この右側の部分、日薬連は、安定供給を確保するために必要な情報を経済課に提供すると書いている部分でございますけれども、このような情報を御提供いただきまして、その情報を基に必要な対応について検討することとしたいと思っています。
なお、その部分に書いている必要な情報につきましては、右下の緑の四角囲みの中に記載されているようなものを想定してございます。
それから、業界団体の協力の下で情報収集するとき、緑の上の四角囲みのところでございますけれども、競合社間での接触はしないという記載がございます。情報収集する場合に、競合社同士で企業秘密となる情報を交換することがないようにということで記載させていただいているものでございます。
2枚目をおめくりいただければと思うのですけれども、供給量が十分にあるということがしっかり確認できた場合、それから同一成分の関係企業に個別に代替薬として医療機関に情報提供してよいという了解が得られている場合には、経済課と企業の間で情報共有して、医療現場に同一成分で代替できる製剤・製品の提供企業等に関する情報を提供するという形で進めていくことになります。
ただ、供給量が十分でないような場合、もしくは製造販売企業が同一成分を製造販売している企業から代替薬としての了解が個別に得られないような場合もあるかと思いますけれども、その場合には、経済課が先ほどのページのところで得られている情報に基づきまして、当該企業などと協力しながら、同一成分の代替薬としての了解が得られるような形で必要な対応を行うということを考えております。その結果として了解が得られた場合は、経済課から当該企業に情報を提供して、当該企業は医療現場に情報を提供するという形で進めることになると考えております。
個別の了解などが得られないような場合には、対応が少し難しい状況になってくるということでございますけれども、その場合は、紫の点線の下側のところに行きますけれども、まず、同一成分で対応がなかなか難しいということなので、同種同効薬・代替療法などで医療の提供が可能かどうかということについて御検討いただきまして、それらの代替方法で医療上の対応が可能ということであれば、医療現場、医療関係者の団体等にしっかりと情報を提供していただく。その情報を提供していただいた上で、そのように医療現場のほうでも御対応いただけるようにということをお願いする。その結果として、何とか医療を継続的に提供できるという形で進めていければと考えております。
ただ、それもなかなか難しい場合というのが生じ得る。実際にセファゾリンの事例とかがそういうことになるのだと思いますけれども、そういうふうな状況になった場合には、右側の紫色に塗られている部分でございますけれども、セファゾリンの際に実施したのと同様の手順を踏んで、必要な患者さんに必要な医薬品を何とか届けられるような対応をしていくということを考えてございます。
ただ、最後のセファゾリンのスキームの部分については、国が実質的に供給をコントロールする、配給みたいなことにつながってしまうおそれもあると考えておりますので、実際には、できればここまでいかないような段階で、うまく対応ができるというのが望ましいかなと考えております。
この後ろに2枚ついてございますけれども、後ろの2枚につきましては、今、御説明させていただいたスキームについて、ステークホルダー別に分けて書き直したものでございます。お時間のあるときに御覧いただければと思います。
今後は、関係者とこの内容について調整しつつ、関係各社から御了解いただければ、こういうスキームを明確化していければと考えております。今後、いろいろと御相談させていただくと思いますので、引き続き、よろしくお願いいたします。
続いて、資料2-2「医療用医薬品の供給不足に係る適切な情報提供について」を御覧ください。昨年12月18日付で発出しました医政局経済課長通知でございます。この会議で昨年9月に取りまとめいただきました提案を踏まえまして、医療用医薬品の回収・欠品・出荷調整などにより、医療機関や薬局で必要な量の医薬品が供給できない、または供給できないおそれがある場合、この状況を以下「供給不足」と申し上げますけれども、そのときに製造販売業者が医療現場のほうにも必要な情報をしっかり提供していただけるということをお願いした通知でございます。
2枚目の記と書いているところに提供していただきたい情報の記載がございます。記の1の(1)から(4)までに、その記載がございます。
(1)としましては、供給不足の原因となる回収・欠品・出荷調整等の理由と供給不足が解消する見込みの時期。
2つ目として、必要に応じて関係学会と相談のうえ、優先して対応すべき疾患などの供給の優先順位に関する情報。
3つ目が、供給不足が解消されるまでの対応策に関する情報。
4つ目として、医療機関・薬局及び卸売販売業者からの照会に対応する窓口に関する情報ということで記載がございます。
その下に注釈がついておりまして、(2)と(3)の部分、医療現場のほうで対応する際に必要になる情報だと思うのですけれども、この部分につきましては調整に時間を要する場合があると考えてございますので、その場合には(1)と(4)の情報を速報という形で先に提供することを願いできればということで、ここに記載させていただいてございます。
それから、記の2の部分に、医療機関及び薬局、卸売販売業者に情報提供するほか、医療の現場で対応していただいている方々、医療関係の団体の方々にも、必要に応じて情報をいただきたい旨をここに記載させていただいております。
続きまして、資料2-3を御覧ください。「新型コロナウイルスに関連した感染症発生に伴う医薬品の安定供給について」でございます。これは、本年1月7日付で発出されました医政局経済課からの事務連絡で、緊急事態宣言下においても医薬品の輸入・製造・販売に関わっている事業者の皆様に、医薬品の安定供給に御協力をお願いしているものでございます。
この通知の後ろのページ、3ページ目になりますけれども、記の5の部分を御覧いただければと思います。もし、この場合でも供給不足が判明した場合には、先ほど御説明させていただきました通知に沿って、必要な情報の提供をお願いしているものでございます。医薬品の供給不足が起こらないのが一番いいということでございますけれども、様々な状況の中で、万一、供給不足が発生してしまった場合、しっかりと適切に情報提供いただくことによって、一定程度は適切な医療を継続するということ、医療上での治療の判断がしやすくなるということにつながると考えておりますので、引き続き適切な情報提供に御協力をお願いしたいと考えております。
最後に、資料2-4でございます。「医薬品安定供給支援事業」でございます。こちらは、医療現場で長年汎用されてきた医薬品について、製造上のトラブルによって製造とか輸入が行われなくて、予告なく供給停止が行われることがあると、医療上の提供に支障を来すおそれがあるということで、実際に念頭に置いていたのはセファゾリンの事例でございます。
我が国の場合、抗菌薬等の比較的安価な医療用医薬品の製造に当たっては、採算性との関係で、原薬またはその原材料の多くを海外から輸入しているという実態がございますけれども、海外で製造上のトラブルが起こって輸入することができなくなる場合があって、実際にセファゾリンの場合はそういうことが起こったということで、長期にわたって安定的な供給が滞ると、医療の円滑な提供に深刻な影響を及ぼすことになります。
そのため、海外で生産される原薬・原料の依存度が高い抗菌薬等の医薬品について、日本における、そういう医薬品の安定供給に支障を来さないようにするために、海外依存度の高い原薬・原料について、国内製造する製薬企業を支援するための事業がこの事業でございます。令和2年度第1次補正でも同様の補助金をいただいているところでございますけれども、第3次補正においても30億円、お認めいただきましたので、必要な対応を進めていくことにしております。
施策の概要ですけれども、海外依存度の高い原薬・原料について、国内での安定供給を確保するために、国内で原薬とか原料の製造を実施しようとする製薬企業等を支援するための補助金という位置づけで、設備の新設または設備の更新に必要な費用の2分の1を補助するものとなってございます。
以上、行政のアップデートとして、資料2-1から2-4まで簡単に御説明させていただきました。説明としては、以上でございます。
○清田座長 ありがとうございました。
ただいま、事務局から最近の行政の動きについて御説明いただきました。この御説明について、何か御意見ございますでしょうか。
最後の安定供給支援事業、30億円で、額はそれほど多くはないのですけれども、今までなかったものですから、とても大事な一歩と私は思っております。このような事業を国が真剣に考えていただいていると思いますので、今後も継続していただければと願っておりますけれども、御意見ございますでしょうか。どうぞ。
○三村構成員 御説明ありがとうございました。
今回、3つのカテゴリに分けていただきまして、大変分かりやすくなったと思っております。そのことを踏まえて、確認させていただきたいという感じなのですが、今の供給不安を防ぐスキームの中で、安定確保医薬品であるか、ないかということで3つに分かれるというのは分かるのですが、A、B、Cという位置づけの仕方で、取組のスケジュール上の優先順位であるか、あるいは、カテゴリAを拝見しますと、非常に重要性の高い医薬品であると、これを選ばれた意味、私は専門外なのですが、大変よく分かります。
そうすると、これに先立って特別な取組のための事前スキームをつくっていくということがあるのかな。つまり、その取組の濃淡の優先順位がA、B、Cなのかなと思ったのですけれども、その辺りの考え方、いかがでしょうか。取組の対応スケジュール的な優先順位と同時に、取組の重要性というか、濃淡の優先順位があるのかなと感じたということです。
○清田座長 事務局、いかがですか。
○田中ベンチャー等支援戦略室長 御指摘いただきまして、ありがとうございます。
カテゴリA、B、Cにつきましては、優先順位でA、B、Cと定めさせていただいているところでございます。おっしゃるように、取組の濃淡についてもA、B、Cの順番に基本的には考えていくということと。それから、時間についても、恐らく同時に並行して全部を進めるのは難しいということがございますので、そういうものについては、カテゴリの高いものから順次優先して対応していきたいと考えております。
○清田座長 よろしいですか。
○三村構成員 これからもいろいろ御説明があると思いますので、その段階で教えていただければと思います。
○林経済課長 この資料2-1のスキームは、参考資料4の中で言いますと、(3)の(8)、あるいはそれに近しい状況になった場合と、(5)の供給不安事案の報告があったときの対応ということで、いわば供給不足がまさに生じようとしているときの事後対応として、欠品が起きないような対応としてスキームを書いております。そういう意味では、起きてしまったときの対応です。できればこういうことが起きないように、未然防止をしっかり図っていくことが大前提だと思っております。
そういう意味では、カテゴリAに分類するものは、当然この未然防止のところ、サプライチェーンマップの把握や、その把握と並行して、御紹介させていただいた補助金の関係も、現状ではβラクタムのセファゾリンなどの出発原料から取組みを始めておりますけれども、同時に各企業さんにもダブルソース化も求めている。こういったところも、今回カテゴリを設定したことを踏まえて、必要なものはより取組を強化していただくと。
薬価については、また中医協等での議論でもあると思いますけれども、既存の仕組みとの整合性も含めて検討していくといったこと。この水色のゾーンの対策もしっかり取るということで、そういった事態が生じないようにするというのが第1だという認識をしております。
○三村構成員 承知いたしました。その点を非常に重点化していただくという形の中で考えていただくようにお願いしたいと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○安部構成員 まず、資料2-1のスキームにつきましては、これまでの経験を基に様々な想定をしながら、安定供給に係る情報収集スキーム案ということでお示しいただきましたので、当分はこのフローを用いて、医薬品供給に何かが発生した場合、もしくは未然に防止するための運用を開始して、その結果を踏まえて、過不足があったり、特別な環境の変化があれば、その場でブラッシュアップしていくことでよろしいのではないかと思っております。
その上で、この検討会で議論するのがいいのかどうかは別でありますが、関連でありますので、少し意見を述べさせていただきたいと思います。医薬品安定供給を考える上で、そもそも医薬品の品質・信頼性が確保されているということが大前提であることは、言うまでもないことであります。そういった意味では、今般、小林化工、日医工がGMP違反によって業務停止処分を受けたということについては、そういった前提を根幹から揺るがすものでありますので、極めて遺憾としか言いようがない事案でありますし、当該企業には、猛省とともに再発予防のために業務改善、そしてジェネリック医薬品に対する信頼回復に努めていただきたいと思います。
さらに、製薬企業に対する行政の査察に関しては、2014年から厚生労働省、PMDA、都道府県が、医薬品GMP分野における国際標準の枠組みであるPIC/Sに加盟して、日本の医薬品の品質に関する信頼性を確保する取組を行っていると承知しております。その一方で、報道によりますれば、残念ながら10年間の間、GMP違反を見抜くことができなかったということに関しては、査察の在り方についても問題があったと言わざるを得ないということかと思います。
現在、富山県において、査察の問題点を検証するための調査委員会を設置し、不正事案の再発防止に向けた方策を検討しているということでございますけれども、当然ながら、厚労省としても、監麻課を中心に検証と対策に関わっていると思われますが、ここでお聞きしたいのは、今回の事例を教訓として、医薬品の安定確保にどのように反映させるかということについて、経済課としてお考えがあればお聞きしたいと思います。
もう一つは意見でございますけれども、今回、情報のスキーム案がありまして、いろいろフローチャートがありますけれども、主に対象となる安定確保医薬品のリストには、ジェネリック医薬品が収載されている成分が多数ございます。以前から様々なところで指摘されるところでありますけれども、同一の成分を複数の製薬企業で共同開発して、各企業ごとに別々の銘柄で申請して薬価収載されることで、現在は多くのジェネリックの銘柄が存在しているという状況でございます。おのずと1社の供給量が小さくなることで、安定供給にも悪影響が出ることも懸念されます。
また、医療機関や薬局の立場で見れば、どの製品が共同開発製品で、医薬品本体が同一であって、銘柄のみが異なっているかなどの情報がなかなか得られないというところも、安定供給、安定的な在庫確保の観点から望ましいものではないと考えております。
さらに、今回の情報収集スキーム案を実施する上でも、1成分に対して数十社が個別銘柄で販売すれば、情報収集や管理などが複雑化することが懸念されるということでございます。現在のルールでは、共同開発を行って個別銘柄の申請があり、これが要件を満たせば承認せざるを得ない仕組みになっております。そういった意味では、今後、安定確保の観点という点からも、承認申請時の整理、在り方については検討が必要ではないかと考えております。
最後でありますけれども、21年度の薬価改定におきましては、今のリスト、カテゴリAに属する成分において薬価の引下げが実施されているところであります。現在の薬価制度算定には、基礎的医薬品、最低薬価、不採算品再算定などの仕組みがありますが、安定確保医薬品という新たな概念の対象が不採算にならないようにするための薬価算定の仕組みというのはございません。これを既存の薬価算定の特例的な運用で実施するのか、それで足りるのか、何らか新しい対応が必要なのかということにつきましては、様々な部署との整合性を取る必要がありますけれども、安定確保の観点からの検討も始める必要があるのではないかと思っております。
以上、意見でございます。
○清田座長 ありがとうございました。
3つ意見をいただきました。よろしいですか。
○林経済課長 御意見に当たるところもあったかと思いますが、2点目、小林化工と日医工の関係でございます。経済課としては、従来からジェネリックの促進という観点、また広く言えば業界所管の観点で関わってきたわけでございますが、この間、ジェネリックの推進を担ってきた立場としても、今回の事案は大変残念でありまして、御指摘のとおり、これが後発医薬品の品質と安定供給の不安を生じさせているのは事実でございますが、これ以上、こういった問題が広がらないように、対策をしっかりと取っていく必要があると認識してございます。
直接的には、監査体制の強化ということでございましたが、御案内のように、今回の事案で結果的に見抜けなかったというところがございますので、担当部局においては、既に2月9日付けで、無通告立入検査の実施強化でございますとか、PMDA等も含めた合同査察や研修の実施といったものも通知しておりますし、具体的な動きも既に始めていると承知してございます。我々としても、直接には医薬局の担当で対応してございますけれども、業界にもしっかり指導していくという立場で対応していきたいと考えてございます。信頼回復につながるような取組が必要と認識してございます。
また、その次の点も関わりますが、御要望として共同開発等の点も御指摘いただいております。従来から、後発医薬品については、御指摘のように、企業数が多い、品目数が多いなど共同開発の問題がいろいろな場で指摘されてきております。一方で、後発医薬品も、昨年9月、8割の目標でほぼ8割という状況になってまいりました。そういう意味では、安定確保というのは当然遵守すべき問題でありまして、遵守できない企業というのは、製造販売事業者としてあってはならないと考えてございますけれども、改めて、量ということではなくて、品質をしっかりと確保するということで考えていかなければならないと認識してございます。そういう意味での転換と業界再編というものも、業界を所管する立場として、しっかりと指導していく必要があると思います。
今、医薬品産業ビジョンの策定等も進めておりますけれども、そういったビジョンの中でも、ジェネリック業界の在り方ということで、量から質への転換と業界再編といったことを、品質と安定確保を担保できる事業者のみが残って、それ以外のところは退出していただいてもいいのではないかということもはっきりと打ち出して対応していきたいと考えているところでございます。
あと、最後のところは薬価改定についてでございますが、この会議での御指摘も踏まえて、薬価改定の議論の中で議論されていくものと認識してございます。
私からは、以上でございます。
○清田座長 よろしいでしょうか。
○安部構成員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○清田座長 ほかに御意見。どうぞ。
○川上構成員 資料2-1の医薬品供給不足時のスキームを拝見して、思ったことを2点述べたいと思います。
1点目は、最終的には関係企業・業界団体から「医療現場への情報提供、代替法による対応のお願いに協力」と情報提供いただけるので、ありがたいと思うのですけれども、一方で、例えば昨年末の販売停止に関して、自分の所属施設でも10品目以上を代替メーカーの製品に変更しています。その際には、代替薬の有無だけではなく、実際には複数メーカーの製品に関して、薬価、刻印、PTPシートやバラ錠の包装形態、簡易懸濁・粉砕の可否など、詳細な製品情報も聞いています。また、自院の昨年の使用状況をお話しして、その量を安定供給していただけるか確認できて、初めて代替薬を決めています。代替薬が決まった後も、マスタ管理、院内通知、一包化等の機械の設定変更など、対応していかなければいけないので、単純にモノがあるかないかということだけではなく、実際には個々のメーカーさんにも御負担をかけてしまうのですが、製品情報や現実に供給可能かなど、細やかなフォローアップの情報提供もいただきたいと思います。
2点目は、こういった供給不足の際、例えばモノが供給できる場合に、供給できるからそれで良いと安易に思っていただきたくないと思います。具体的に申し上げれば、例えば業務停止命令を受けた企業さんの製品を、我々は好んでそのまま使い続けたいわけではないです。だけれども、先ほど申したように、採用品目を入れ替えるには、現場にも大きな負担がかかります。在庫確保も早いもの順になってしまうので、他の業務を止めて入れ替え作業は優先してやらざるを得なくなるのですけれども、そういったことを避けたい思いがありますので、仕方なく現場としては購入して使用せざるを得ない状況があるのです。当然、患者さんも不安に思われてて質問してこられる方もおられるわけでして、業界の皆さんには、問題がある企業の製品でも、売れているから良い、使われているから受け入れられていると安易に思っていただきたくないというのが、現場としての意見でございます。
以上です。ありがとうございました。
○清田座長 いかがですか。
○林経済課長 御指摘のとおりかと思います。
1点目、情報については、これは特に厚労省のレベルとして、代替薬足り得るものがあるのかないのかというか、その量的なところが一旦足りるかどうかという視点で、急ぎ、最低必要な情報を取るためのスキームとして考えているということでございます。川上構成員は御理解された上で発言されていると認識しておりますが、現場において、この情報だけで対応できるものではないということをしっかり御指摘いただいたと思いますので、企業に対しては、そういったところは誤解がないように知らせていきたいと考えてございます。
2点目もまさに御指摘のとおりでございまして、確かに我々、さっき申し上げた、本当にどうしようもないというか、このスキームを活用する事態というのは生じてほしくないわけですけれども、そういった場合の情報を得るための流れとして考えているということでございますので、基本的にはこういったことがあってはならないし、こういった事態になるような製品というものが極力なくなるような形にすることが大原則だと考えております。
○川上構成員 どうもありがとうございます。
○清田座長 今回の小林化工と日医工のことは考えていなかったものですから、その辺は今後練り上げていくという部分だろうと思います。
宮川先生、どうぞ。
○宮川構成員 宮川でございます。
今まで各構成員がおっしゃっているように、供給不足時のこういう対応スキームが出てきているわけです。元を言えば、製薬企業がこのような事態を起こさないようにすることが当然なので、先ほど林課長が言ったのですが、甚だ残念ではなくて、それはもってのほかであるということだろうと思ういます。医政局と保険局が2020年に先発品を撤退させる枠組みを導入しているます。後発品が初めて供給されてから10年のところで、先発品から後発品への移行時期という位置づけで、6年から10年目に、先発企業が望めば早期に先発品を供給停止して市場から撤退する仕組みというか、枠組みがあってります。オリジナルの医薬品を開発して供給してきた先発品を信頼してきた医師とか患者さんから取り上げるという形になってしまういます。。
それはそれで、中身としてはそういう仕組みをつくったのだろうと思うわけですけれども、厚生労働省は、それを担う後発品メーカーに対して、医薬品を供給する資質と責任が備わっているかどうか。明確にそういうことをしっかりと追跡し、そして中身を検証し続ける必要があるのではないかと思ういます。、もちろん県など行政に監視する仕組みがちゃんとできていないというところに、こういう問題も多々起こってくるのではないでしょうか。先ほどの構成員からもお話があったのですけれども、責任が不明確になりがちな共同開発というものを、このまま薬事制度として容認し続けるということがどうなのかなと思うところもあるわけです。
企業の資質を確認すべく、そういう意味では、後発品についても、承認後、例えば5年というのをめどにして、市販後におけるGMPとかGQPとかGVPに関する再審査というものをしっかり行っていくというのはどうだろうか。そこで問題が見つかれば、その後発品は市場から撤退してもらうということも含めて検討する。そういうことができるかどうか。厚生労働省が新たに導入した撤退スキームということを用いて、意図したとおりに売れなくなったら、そういう先発品は撤退できなくなるかもしれない。そういう中で、後発品メーカーに法令遵守をさせる、徹底させることができなかった事業者の問題というのも、しっかりと認識してもらわなければいけないということだろうと思います。
ですから、今まで林課長は、医薬品産業ビジョンの中で、後発品メーカーをよしとしてきたにもかかわらず、業界の先ほど言ったような再編とか健全な育成というものができていない。今後もこういうことが続いていくということは、まずい状態をつくっていくことになる。2013年でしたか、そういうビジョンをつくったということで、作成しただけにならないような、スキームをただ絵に描いて、こういうことを提示した。それだけでいいのかというと、その中身をしっかりとつくり上げなければいけないので、図式だけつくっても駄目であろうと考えます
その正確性とか実行性ということをしっかりと考えて、罰則とかではないかもしれないけれども、そういうことが国の施策としてできなければ、安定供給というのはいつまでたっても解決しないだろうと思うので、その辺のところの決心した踏み込みが必須なのではないかと思ういますが、いかがでしょうか。
○清田座長 林さん、お願いします。
○林経済課長 ありがとうございます。
私の所掌と責任範囲を超える部分もございますが、担当部局も今回の事案を受けて、かなり見直しが必要だろうと考えております。製造販売事業者のGQPということで規制しているわけですが、聞くところによると、GMPは国際的なものと合わせてというところで、スタンダードと合っている形ですが、GQPについてもう少し追求していくみたいなところとか。あるいは、企業の体制づくりと、それらの製販事業あるいは製造事業者が取り扱っている品目の種類や製造している量といったところがしっかりと確認できているような仕組みになっているのかどうか、そういったところも課題認識としては当局も含めて持ってございます。
どこまでのことを踏み込んでやるかということは、またいろいろなところと相談が必要だと思いますけれども、御指摘のように、ビジョンできれいに書いて、そこで満足するということではなく、具体的に書かれた方向に業界が変わっていくような方策として、どういったことが考えられるのかということを併せて検討していきたいと考えております。
○清田座長 宮川先生の御指摘はごもっともで、とても大事な問題だと思っていますけれども、それをやるには、また別の委員会をつくらなければならないですから、今回はとりあえず基本的なアプローチを確認して、今までこういうものはなかったものですから、これを基本として、今後の対策、前もって何とかしなければというものをやっていこうと、そんな会議ですので、今の御意見は本当に吸い上げていただけると思います。
ありがとうございます。
○宮川構成員 すみません、分かっていながら言っている、お許しください。どうにも我慢ができないところがありまして、皆さんがお笑いになるくらい問題があります。実際にはある会社とかがお詫びに来られることがありますが、そのような会社は業界の再編ではなく、ただ自分の会社が大きくなるために買収して、会社をつくり上げていくわけです。それが業界のためになっていないという構図があるわけです。それは改めてもらう。わなければなりませんそれが安定供給のほころびを最終的にはつくってしまうということになるので、何とか厚労省には頑張っていただきたいという思いで、少し的外れなところを発言いたしました。
○清田座長 その委員会が立ち上がったら、先生、ぜひ御意見をいただければと思います。
ほかに御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。基本的なアプローチをこの会の決定事項とさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、事務局から連絡事項等ございますでしょうか。
○田中ベンチャー等支援戦略室長 連絡事項等は、特にございません。
○清田座長 本日は、活発な御議論、どうもありがとうございました。
「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」は、昨年3月27日に第1回が開催されました。それ以降、2回のワーキングを挟んで、今日まで合計5回、精力的な御議論をいただき、本当にありがとうございました。
本日は、医政局長にお越しいただいていますので、一言いただければと思います。
○迫井医政局長 医政局長、迫井でございます。
本来ですと医薬局長も触れなければいけない内容だったと思いますけれども、重ねまして、本日は、大変お忙しい中、こういったコロナ禍で会議の開催がなかなか難しい中で、活発な御議論いただいたことに一言簡単に御挨拶申し上げたいと思います。
開催経緯は、今、座長のお話にございましたので、いろいろな機会、ワーキングもつくってということでございます。本日、こういう医療の現場で汎用されるような、安定確保が特に必要な医薬品につきまして御議論いただいた成果といたしまして、品目とカテゴリの分類がまずは取りまとめられたということでございますので、改めまして御礼申し上げたいと思っております。
重ねて申し上げるまでもなく、安定供給を確保するということ、そして、万一の供給不足に対する様々な対応を行っていくということが、皆保険、それから長く培ってきましたユニバーサルカバレージを含めて、日本の医療の根幹、言ってみれば社会保障の根幹であり、かつ安全保障の根幹であると言ってもよろしいかと思いますので、そういった制度が磐石になるためには、本来、こういったエッセンシャルな医薬品をどう確保していくのかということを、しっかり並行してやっていくということが重要でありますので、今回いただきました報告書、先ほど申し上げました医薬品とそのカテゴリにつきましては、しっかり運用してまいりたいと思っております。
それから、実際に各企業の様々な安定供給に至らないような事態が生じそうになった場合の未然防止でありますとか、国内増産あるいはサプライチェーンの多元化・多様化、国内在庫の積み増しなども含めまして必要な対応をしてまいりたいと思っておりますし、特に最後のほうに熱い議論を闘わせていただきましたが、昨今の様々な事案、私どもとしてもしっかり受け止めさせていただいて、GQPの御指摘もありましたし、重ねてですが、これは決して私ども医政局だけで片づく話ではございません。厚労省はもちろん中心ですけれども、場合によっては、他省庁のお力添えも必要かと思います。
林課長が頑張って、私が本来言わなければいけないことをしっかり受け止めてまいりましたが、もちろん医政局、前面に立ちまして、経済課が頑張ってやってまいりますけれども、構成員の皆様におかれましては、本日のような熱い御議論も含めまして、忌憚のない御意見をいただきまして、引き続き御指導賜りたいと思っております。
簡単でございますが、本日は誠にありがとうございました。
○清田座長 どうもありがとうございました。
それでは、本日の会議を閉会とさせていただきます。
長い時間ありがとうございました。