第3回 医療扶助に関する検討会 議事録

日時

令和3年3月25日(木) 16:00~18:00

場所

AP虎ノ門 会議室B(11階)
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル)

出席者(五十音順)

 

議題

・医療扶助に関する諸課題について 等

議事

(議事録)
 
○尾形座長 こんにちは。それでは、ただいまから第3回「医療扶助に関する検討会」を開催したいと思います。
 前回に引き続き、オンライン会議ということでよろしくお願いいたします。
 委員の皆様方におかれましては、大変御多忙のところを御参加いただきまして誠にありがとうございます。
 本日は、委員全員御出席予定というふうに聞いております。
 また、事務局につきましては事前に配付しております座席表のとおりでございます。
 それでは、早速議事に入りたいと思います。今回の議題に関する資料につきまして、まず事務局から御説明をお願いいたします。
○西澤保護事業室長 資料説明に入らせていただきます。資料のほうは、事前に送付されておりますものでございますけれども、画面共有をさせていただきます。
 昨年、オンライン資格確認について御議論いただきまして報告を取りまとめさせていただきましてありがとうございました。今回、その他の諸課題について少し資料を補足しつつ御議論いただければと思ってございます。
 まず、「医療扶助の動向等について」ということで、資料を最初に御用意してございます。
 「医療扶助の伸びの要因分解」という資料でございますが、これは第1回でも表の形で医療扶助と一般医療費の伸びの要素を御説明させていただきましたけれども、少し2枚で分かりにくかったので1枚でまとめさせていただいております。
 青い実線のグラフが医療扶助の伸びでございまして、医療扶助の伸びの要素で大きなものとして被保護者の増減、これが赤い棒グラフになってございます。例えばリーマンショックの直後、被保護者が増えたことによる医療費の伸びというのは非常に大きかった。最近大きいのが緑色の棒グラフでして、高齢化の影響ということで、被保護者の中の人口構成が高齢化しているということで医療費が伸びているということでございます。その他の影響が紫になりまして、この中には診療報酬改定とか医療の高度化、医療の効率化、いろんな要素が入ってございます。
 この要素を医療費全体のものと比べますと、実は医療扶助のほうが伸び率が低いということでありまして、高齢化とか人口変動というところを除くと、実は医療扶助の伸びというのは最近は医療費よりは伸びていないという状況になってございます。
 次の資料でございますけれども、これは昨年11月に議論をさせていただいた後、年末に改革工程表の議論が諮問会議でございまして、社会保障全体の議論がございました中で医療扶助についても新しい記載が追加されてございます。
 こちらはa、b、cとなってございまして、最初のaのパラグラフは適正化の推進、健康管理支援ということでございますけれども、1つ目の「また」のところでございます。こちらは、後に詳しく説明させていただきます頻回受診の対応について、基準の要件を見直すべきではないかということを指摘されてございます。
 2番目の「また」でございますけれども、こちらは中長期的な課題として医療扶助のガバナンスの強化というものを検討していくべきではないかということを指摘されてございます。
 bでございますけれども、こちらは財政審などでも資料が出ていますが、生活保護受給者の通院、入院割合が多い医療機関、病院ということについてもう少し調査をすべきではないかということでございます。
 cにつきましては、後で法案の資料を御説明したいと思いますけれども、こちらは昨年取りまとめさせていただきました報告を踏まえて、マイナンバーを使ったオンライン資格確認を進めていくべきということでございます。こういうことで、工程表において少し検討課題を与えられているという状況でございます。
 それでは、具体的な事項につきまして少し資料を説明させていただきます。
まず、頻回受診でございます。頻回受診でございますけれども、頻回受診の事業の中身に入る前に全体的な外来の状況でございます。こちらは入院外の医科のデータでございまして、これは前々回も出している部分はございますけれども、少し遡って御紹介させていただいています。平成23年くらいと比べますと、やはり平均受診日数というものは減ってきている。高齢化していることもあって、医療を必要としている患者さんの割合というものは増えていますけれども、平均受診日数とか、受診日数が比較的多い層というのは少なくなってきているという状況でございます。
他制度との比較でございます。こちらも一部、前々回に資料を出させていただいていますけれども、医療扶助について特別集計しまして年齢ごとに区切ってみたものでございます。こちら、医療扶助で75歳以上という区分で見てみると、やはり患者割合というのは高いのですが、受診日数で見ますと後期高齢者より少ないということになってございます。
 74歳以下と国保を比べますと、やはり病気を理由に生活保護を受けている方も多い。そういった様々な事情から受診日数、患者割合では、74歳以下では国保と比べると高いのですけれども、やはり医療のニーズが高まる後期高齢になると一般制度と差はないと申しますか、受診日数で見れば一般制度より少なくなっているという状況でございます。
 さらに追加で、これも経年で受診日数が多い人の割合というものを取ってみております。青い実線が生活保護の中のデータでございまして、平成23年と直近を比べますと割合としては下がってきているということでございます。これは、他制度はどうかといいますと、緑の点線が高齢者医療でございます。それで、赤が国保でございます。統計表の数字を国保と後期高齢で足したのが紫の数字でございまして、各制度、外来受診の日数というのは減少傾向にはございますけれども、医療扶助もなかなか単純に比較することは難しいのですが、遜色なく減ってきているという状況でございます。
 具体的に頻回受診の適正化の事業の資料でございます。こちらは前回、前々回も出してございますけれども、令和元年度の直近の実績がまとまりましたので追加してございます。この事業としては、一定の基準で患者さんを抽出しまして、そして主治医訪問と嘱託医協議を経て指導対象者を決めて指導するということになってございますけれども、令和元年の特徴として少し把握される方が増えた。これは、過去の基準というのが15日以上を3か月ということでございましたので、例えば、15、15、15という方が該当していた。平成30年と令和元年にかけて基準を見直しまして、15日以上受診をしていて、かつその前の2か月と比べて40日以上という基準にしてございますので、例えば今、10、15、15という方も一応対象になるということになっていますので、少し対象の幅が広がりました。そういったこともありまして、抽出される方の人数は少し増えてございます。それで、指導対象者の人数も増えたところでございます。
 それで、改善率がこれまで伸びてきたのが少し落ちてしまっていますが、これは自治体の状況を聞いてみますと、やはり基準が変わったことによって年度内になかなか指導が回らなかったといったような状況もございまして、ちょっと数字が落ちてしまっているという状況でございます。これは、来年度以降改善してくるのかなと思っております。
 頻回受診の事業も長年続けていまして、過去のデータを遡ってみますと、開始した平成16年、17年ごろというのは抽出される人数というのが今の2倍くらい、2万人以上いたということで、今は抽出される人自体が1万人くらいになってきたというところでございます。
指導対象者数も同様に少し減ってきていまして、一方で改善率は直近ではちょっと下がってしまいましたけれども、基本的には改善傾向にあったということで、一定の取組の効果があったのではないかと考えております。
 一方で、やはりなかなかまだ改善は難しいという部分もございますので、まず今回、改善率のよい自治体に少しアンケートを取りまして、どういった取組をしているかということをまとめてございます。
 3つほど特徴が見られまして、1つはできるだけ早くにアプローチをする。できるだけ受診状況を報告してもらってケースワーカーが早めにアプローチをするというやり方です。
 事例2は、全てのケースというよりは難しいケースについて保健師さんが本人とお話をしていただいて、医師との意思疎通を助けていただいて、そういったことが改善につながったということです。
 事例3としては、これは整形のようなケースで、やはり痛みを訴えられる方などに対しては、例えばストレッチを指導したりすることによって改善を促す。要は、少し回数を減らせということだけではなくて、具体的に生活を改善するような観点を加えて指導をしていくというような事例が見られました。
 こちらの2枚の資料は、そういった事業をやる上で健康管理支援事業ですとか、同行受診といったような予算のツールもございますので、こういった予算のツールを使っていただいて事業を進めていただくということは考えられるのかなということでございます。
次の論点でございますけれども、「長期入院患者への対応について」でございます。これも、第1回の資料少し変えたものでございます。生活保護のほうでございますけれども、入院で精神、行動の障害の割合が高く、それによって一般医療と比べて入院と外来のバランスというとやはり入院が多くなっているという状況でございます。
 これも、少し過去から数字を取ってみます。これは医療扶助実態調査のデータでございますけれども、精神・行動の障害で入院されている方の数というのは減少傾向にございます。特に減少幅が大きいのは、一番上の5年以上という区分が減ってきているところでございます。
 それで、これも自治体のほうに事業に取り組んでいただいておりまして、180日を超える患者さんを抽出していただいて、嘱託医と検討していただいて主治医と意見調整をして、それで入院の必要性がないという方の退院を支援するということをしてございます。
 こちらですけれども、これも取組をこれまでやってきていまして、その数字的なものでございますが、まず平成22年と比べると180日を超える方自体が減ってきております。6万2000人くらいだったのが、5万3000人ほどになってございます。そして、主治医と意見調整をして入院の必要がないという方の数もそれに応じて減ってきております。その中で、実際に退院できた方、退院できなかった方がございまして、徐々に退院できなかった方、これは(D)でございますけれども、その方も減ってはきているけれども、直近のデータでいきますと令和元年度は3,762人のうち954人が退院できていなかったということでございます。
 こちらも、自治体にどういったことで成果を上げているかということでアンケートを取ってございます。
 幾つか事例がございまして、事例1は少し後で具体的な資料を出しますけれども、外部委託を自治体がしている。これは社会福祉法人に委託をして、社会福祉士の方が入院中から退院した後の居所を調整するといったような事業をやられております。
 事例2は、当たり前といえば当たり前なのですけれども、障害福祉担当と密に連携をする。福祉事務所で抱え込むのではなくて、ちゃんと障害担当部局と日々意見交換をしたり、意識を共有していくということでございます。
 事例3は、逆に生活保護で使えるツールということになりますけれども、救護施設などの使用ということで、救護施設は生活保護法の生活保護施設の一種でございますが、そういったところに退院者を受け入れる機能を強化して、そういうところに退院後に入所するというような形を取っているような事例もございます。
 この事例1の件でございますけれども、予算上、精神障害者等の退院促進事業という事業をやってございます。これが補助事業なのですけれども、これを使って20ページの堺市がやっている事例が先ほどの事例1でございます。例えば、令和元年度でいくと30人、これで退院できたということで、外部委託することによって成果が上がっている例かと考えております。
 それで、事例3にございました保護施設でございます。これは保護施設の概要でございまして、救護施設ですと今、全国に180施設ちょっとありまして、定員は1万6000人ほどです。ちょっと定員より在所者数が多くなっていて、かなり埋まっているというような状況でございます。
 それで、この救護施設、あとは更生施設の状況でございますけれども、救護施設は特に精神科からの退院者の方が多くなってございます。4割弱くらいが精神科病院から来られているというような状況でございます。
 それで、救護施設ですけれども、今は施設の在り方として、前回の生活保護の見直しの審議会の中でもやはり地域移行が重要であることの指摘がされております。それで、今、救護施設の事業として居宅生活訓練事業という事業などをやっていまして、この事業ではアパートを外に借りて、そのアパートでの生活を入所者さんに体験していただいて、それで実際にアパートに移ったりというようなことをやってございます。ですから、救護施設でもできるだけ地域で暮らせる方は地域移行を進めて、それによって精神科へ入院されていたような方が、なかなかすぐに地域で暮らすということが難しければ救護施設で一度受け止めて、またそこから地域移行を図るというような方法もあるのかなと考えてございます。
 次ページ以降は、障害保健福祉部の施策になります。障害保健福祉部のほうで今、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る検討会というものを開催してございまして、こちらは3月18日に出た報告書の概要でございます。御案内のとおり、地域包括ケアというのは最初は高齢者、介護保険の文脈で出てきた概念でございますけれども、それを精神障害の分野でも当てはめていく。それで、いろんな日常生活圏域から医療の圏域までございますけれども、それぞれの機能で精神障害の方も地域で暮らせるというような体制を作っていくということでございます。
 こちらはその概念図でございまして、こういった形で精神障害施策一般としてもできるだけ地域でということを今、進めている状況でございまして、こういうことが進んでいけば当然、生活保護の長期入院の課題ということの解決にも資するのかなと考えてございます。
 3点目でございますが、「子どもの医療について」でございます。こちらですけれども、第1回でお出しした資料で医療扶助と一般の医療を比べると、一般的には医療扶助のほうが受診率が高いのですが、子どもは逆に医療扶助のほうが受診率は低いというようなことを御紹介させていただきました。
 また、検討会の報告を12月17日に社会保障審議会の生活困窮者自立支援及び生活保護部会に報告したところ、子どもの医療は大事な課題だという御指摘が何名かの委員からございましたので、少し資料を紹介させていただいております。
 子どもの医療の関係ですけれども、今はモデル事業を予算でやってございます。今年の1月から健康管理支援事業が制度化されてございますけれども、健康管理支援事業はどちらかというと、メインと申しますか、まずやっていただく部分としては高齢者医療とか国保のような中高年のヘルス事業というイメージでございますけれども、子どもの健康管理というものも概念的には実施できます。
 ただ、一方でやはり先駆的な取組をやっていただくために、そのモデル事業としてやってございます。
 それで、モデル事業としてやっている自治体のほかにもいろんな取組があるのではないかというふうに考えておりまして、それを今年度、調査研究で調査をしておりまして、今報告書をまとめていただいているところでございます。
 その中で出てきた事例を幾つか紹介させていただきますと、事例1としては教育委員会と連携をする。それで、教育委員会から具体的には虫歯の未受診の情報を伺って、それでケースワーカーが保護したときなどに受診勧奨するというようなことをやっている例があります。
 それで、事例2は学習支援事業でございまして、学習支援事業は生活困窮者自立支援法に基づく事業でして、生活困窮者や生活保護の家庭の子どもの学習を支援する事業でございます。そういった場で食育的なこととか、あとは調理実習みたいなことをやって生活を整え、健康的な食環境を身につけるというようなことを取組としてやってございます。
 事例3は福祉事務所の取組として、管理栄養士さんを雇用して一緒に家庭訪問する。それで、もちろん大人の食生活のアドバイスなどもするのですが、子どもさんがいらっしゃる場合には一緒に子どもの食生活についてもアドバイスをするというようなことで、これは全般的な健康管理の中で子どもにもアプローチしていくというような取組も見られました。
こういったように、様々な事業を使って取り組むという事例が見られていますので、今年度中にこの研究の報告がまとまり、公表される予定です。
 次は報告事項でございますけれども、昨年まとめていただきました報告書を踏まえまして、医療扶助のオンライン資格確認について法的に整理をしまして法案を出してございます。これは、今国会に提出します全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律の一部として盛り込んでございます。これが4の(3)でございます。法案全体の内容としては、高齢者医療の患者負担の見直しといったような医療保険制度全体の見直しでございますけれども、医療扶助のオンライン資格確認も医療保険の保険者と協働でやっていくということになりますので、条文上も医療保険各法との関係性もございますので、いわゆる束ね法として一本で出してございます。
 こちらは法案の参考資料でして、検討会の議論を踏まえた内容として法案を出してございまして、これらの法案は今後審議されると思いますし、それを踏まえながらまた実務を検討していきたいと考えてございます。
あとは参考資料でございまして、被保護世帯の推移ですとか、最後のほうには重複投薬の適正化の取組も少し直近の実績を追加したものをお出ししてございます。
 資料のほうは、以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして御質問、御意見を承りたいと思います。
 なお、発言を希望される際には、カメラに向かって挙手をお願いいたします。私からの指名を受けた後、マイクのミュートを解除して御発言をいただき、御発言終了後は再度マイクのミュートをお願いいたします。
 それでは、いかがでしょうか。
 野田委員、どうぞ。
○野田構成員 まず、頻回受診の話がございました。兵庫県の場合、監査等で見ることが多いんですけれども、まずこの定義ですね。この部分につきまして、やはり現場においてはなかなか必要性といいますか、なぜこう決まったのかとか、そういうことを理解していない医療の担当者が多いかと思っております。理解していないので、なかなか必要性というところに理解が及ばないというところがあります。
 うちの中でもいろいろと聞いてみたんですけれども、なぜこういう規定になっているのか、こういう方々を対象にするのかというところが分からないという意見が多くて、やはり監査といっても医療担当者のほうがなかなか分からないまま、とにかく決まっているのでというような形で進めていることが多いかと思います。
 あとは、もしこの定義を変更するとかという話があるのであるならば、一つの考え方として、要否意見書の主治医が療養に必要な日数というのを規定する欄があります。その日数を逆に目安にしたほうが、現場の職員から見ると理解しやすいのかなというふうにも思ったりはしております。
 頻回受診については、基本的にやはりレセプトを利用してからの確認ということになっていますので、どうしても指導が後追いになっている感がありますので、今回、先の会でも議論しましたマイナンバーカードによるシステムの導入、その中でやはり早く受診状況が分かるような機能を追加していただければありがたいかと思っております。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 事務局、何か御発言ございますか。
○西澤保護事業室長 頻回受診の基準でございますけれども、現在の基準の15回というのは、設定した当時はまだ老人保健制度ですが、その際の保健事業を参考にしたということを伺っております。
 もう一つはマイナンバーの、要は早く受診状況を把握できるということですけれども、こちらについては今後システムを検討する中で検討していきたいと思っております。
○尾形座長 ありがとうございました。
 それでは、松本委員どうぞ。
○松本構成員 ありがとうございます。
 今回、事務局から説明がございましたけれども、頻回受診対策や長期入院対策など、これまでの取組によって医療扶助費も受診日数にも一定の効果が出ているということが言えるかなと思います。したがいまして、頻回受診や長期入院に対する世の中のイメージを払拭するために、自治体などの取組における好事例も含めて、厚生労働省としてもっとアピールをするためのPR活動をしていくことが必要ではないでしょうか。
 また、一方で、制度の信頼性を確保することは大変重要でございますので、適切な医療を確保した上での適正化の取組につきましては、私ども医師も各地域において引き続き必要な協力をしていく所存でございますことを申し述べたいと思います。
 以上です。ありがとうございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
 それでは、小塩委員どうぞ。
○小塩構成員 事務局の方、非常に詳細に説明をしていただいてありがとうございます。
 それで、コメントと質問を申し上げたいのですが、1つは2ページ目に「医療扶助費の伸びの要因分解」のグラフがあります。これは非常に示唆に富むグラフです。医療扶助費については伸びが高くて、生活保護そのものの在り方についてもいろいろな批判の声が聞かれるのですが、このグラフを拝見すると、医療扶助費の伸びのかなりの部分はリーマンショック、いわゆる世界金融危機後の「その他の世帯」、特に高齢者以外の世帯で被保護者になっている人たちが増えて、それに引っ張られて医療扶助費も増えた。それが最近ちょっと落ち着いてきて、高齢化等々の要因でほぼ説明できる形になっています。
 しかも、このグラフを見ると、その他の影響というところがありますが、これを見ると、医療扶助費の抑制策の効果も一定のインパクトを与えたとも評価できると思います。
 そういうことを考えると、医療扶助費について私たちが持っているイメージをここら辺で改める必要があると思います。大体、高齢化等々で説明できる部分が大きくなっており、今までのリーマンショック後のマクロ経済の要因で膨らんだところはなくなりつつあるということだと思います。
 それで、恐らくその影響もあって、例えば7ページの外来受診日数の比率が、医療扶助費の場合、ほかの制度に比べて落ち込みのペースが速くなっています。恐らくここでもリーマンショック後の影響が一段落したのではないかと思います。
 それは非常に結構なことではあるのですが、その一方で、もう一つのインプリケーションが出てきます。つまり、医療扶助費の在り方についてもほかの高齢者向けの医療と同じような枠組みで議論する必要があるのではないかということです。高齢者医療が抱えている問題を、高齢者医療全体の枠組みの中で検討する必要があるのではないかと思います。それが1つです。
 2つ目は、非常に細かい点ですが、事務局の方に質問があります。3ページ目に工程表の説明がありました。そこで、取組の中でaと書いてあるところの下に「EBPMの観点も踏まえて検討を行う」という文言がございます。
 実は、私は内閣府のEBPMのアドバイザリーコミッティーの一員なので、ぜひ政府内でこのEBPMの取組を進めるようにという議論をしていて、実は今日も午前中に会議がありました。この文言を踏まえて、現時点でどう取組を行っているか、もし何か具体的な進展があれば御説明していただきたいと思います。これが、2つ目です。
 3つ目は頻回受診についてです。先ほど御説明がありましたように、ちょっとした工夫で抑制することができるという事例がありますので、こういういい事例はぜひ厚労省で集めていただいてフィードバックすると、ほかの自治体もそれをまねしてやってみようかというような動きがでてきます。これは非常にいい取組ですので、もう少しアピールしたほうがいいんじゃないかなと思いました。
 以上、3点申し上げました。ありがとうございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
 2点目は御質問ですので、事務局お願いします。
○西澤保護事業室長 この工程表の課題でございます。これは、なかなかガバナンスとEBPMということでどう対応しようかなというところがあるのですけれども、まず健康管理支援事業が1月から始まっていますので、小塩先生がおっしゃった1点目のその他は後期高齢者医療でもいろいろなことをやっていますので、そういう一般医療施策との関係でどういうふうに例えば健康管理をやっていったらいいかというようなことを、制度も始まりましたので、来年度予算でできれば調査研究をやれればというふうに今、考えております。これは、予算が通って確定したらということでございます。
 それで、EBPMと申しますか、最初におっしゃっていただいた点にもつながりますけれども、この検討会の狙いの一つでもあるのですが、ちゃんとデータを出していくということは大事かなと思っておりまして、この検討会を今後開催する中でもできるだけデータというものは大事にしていきたいなと思ってございます。ありがとうございます。
○尾形座長 よろしいでしょうか。
 ほかはいかがでしょうか。
 林委員、どうぞ。
○林構成員 ありがとうございます。日本歯科医師会の林でございます。
 私からは30ページなのですが、「子どもの医療に係る支援の好事例」というところで事例1としてお示しいただいておりますが、まさにネグレクト等を含む児童の受診ということに関しまして、教育委員会と連携していただいて、教育委員会からこういった「う歯」のデータを提供していただくのは非常に重要なことだと思っております。
 ただ、一般的によくこの事例を精査していきますと、なかなか福祉事務所との連携というのがうまくいっていないところもございます。教育委員会のほうがどこにどのようにデータを提供していったらいいのか、うまく推進できていないところもございますので、こういった好事例をしっかりと吸い取っていただきまして全国的にも展開していただけたらありがたいなと思っております。
 それからもう一点、医療扶助におけるオンライン資格確認でございますが、こういった法律案の概要ということでお示しいただいております。その中にも記載していただいておりますけれども、要否意見書に関しまして福祉事務所から依頼されるということが多うございます。我々医療機関にとりまして、そういった事務負担の軽減とか、電子化につきまして、この辺りもなかなか経費がかかる問題だと思っておりますけれども、しっかりと対応していただいて、そういった中での進め方も御検討いただきたいと思います。
 以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木構成員 横浜市の鈴木です。
 先ほど発言がありましたけれども、今回の資料などで生活保護の医療扶助の伸びというのが、やはり保護受給世帯数などがかなり影響しているということが分かったかなと思います。そういった中では、医療扶助についてのイメージというのをやはりきちんと発信して改めていかなければいけないんだなというふうに思いました。
 あともう一つは、頻回受診や長期入院患者の適正化と、あとは健康管理支援などの支援、そこを分けて考える必要があるのかなと思っています。そういった部分では、頻回受診は横浜市のほうでも取り組んでおりまして、こちらは国のほうの資料もまず抽出条件の15日以上受診していて、前2か月足して40日というとかなりの数の方が上がってくるのですが、実際に主治医調査や嘱託医協議をして、ほとんどの方がそこで頻回受診ではない要治療の方になるというようなところはきちんと見なければいけないかと思います。
 また、改善に向けてはやはりお独り暮らしの方などで不安があったり、実際に痛みを訴えたりということで、好事例などもありましたけれども、生活自体を支援してそういう中で改善に取り組む。健康管理支援事業が法定化されたというところも含めて、やはり健康管理についても生活保護受給者をきちんと支援していくんだ。やはりケースワーカーがついているというのは非常にメリットだと私は思っておりますので、そういった取組をもっとPRしていってもいいのではないかと思います。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 太田委員、どうぞ。
○太田構成員 どうも御説明ありがとうございました。
 私のほうからは数点の質問と、希望みたいなものが混ざったものを申し上げたいと思います。法律家ですので、今日のお話はなるほどというのと、あとは資料の見方は数字の見方になりますともう専門家にお任せしたほうがいいという感じがするのですが、1つ気になった点を申し上げますと頻回受診対策ということで行われている、少数挙がってきた頻回受診と判断された人に指導を実施する、その際の指導の仕方についてです。その指導の仕方について、とにかく無駄はやめろというか、国民の税金なんだからというような形でやるのと、あなたのためにもやはり病院に行き過ぎるのはよくない、例えば、好事例の中にあった、要するにこういうことであれば行かずに家でトレーニングをすれば、ストレッチなどをすれば生活は改善するのだから、そういうふうにやってごらんなさいというのとでは大分性格が違ってくるだろうと思うんですね。
 頻回受診対策ですが、頻回受診する人というのはそれなりの問題を抱えているのであろうと思われますので、頻回受診をやめることがあなたにとってもハッピーになるのであるというような形での指導、あるいはそういうことにつながるものにまず指導をするというようなことを、考えていただいているんだとは思いますが、進めていただきたいと思います。
 そのことで言うと、事前の説明よりは大分はしょられた形のご説明だったのですが、工程表の中にある医療扶助のガバナンス強化というのが悪い意味での政治的に玉虫色になっているのではないか。つまり、頻回受診対策はいろいろなことをやっているところ、一方において医療費を削ることが必要であるという態度の人たちが多分財務省などを中心におられるのではないか。
 他方において、頻回受診対策という形で真剣にやれば、問題のある人を見つけ出してくるということになるから、本当は真面目にやればやるほど執行コストは上がるのかもしれないですね。そこら辺のことを同床異夢でうまくやるというのならばうまくやるでいいのですけれども、そこら辺のことは意識して制度運用をしていただければと思います。
 その上で質問なのですが、この頻回受診対策とか医療費の適正化で、補助事業として「被保護者健康管理支援事業」というのが行われ出していると資料の12ページからありますが、これは生活保護法の55条の8及び55条の9で、平成30年の法律44号で追加されて最近施行されたものの裏打ちを持っている、だから、補助事業といっても法定外の補助事業ではなくて、法定の補助事業だという理解でいいのでしょうかというのが1点です。
 それからもう一つは、ここで言うのはどうかというお願いなのですが、生活保護法をインターネットで確認するということをしますと、厚生労働省のほうに載っている所管の法令のほうでは、既に生活保護法の55条の8と55条の9は施行されているということで挙がっているのですが、電子政府全体のe-Govの法令検索のほうはそれが落ちているので、ちょっと確認して直すべきものは直しておいていただきたいと思います。
 それから、その上でもう一つ、最後に精神障害者の地域包括ケアなのですが、これは生活保護も受給している精神障害者であるということと、普通の精神障害者であるということで、アクターの変化、数が増える、あるいは支援者の確保に問題が生じるとか、何か違いが出てきますでしょうか。違いがないのであれば、精神障害者の地域包括ケアに乗せていくことができるのですが、生活保護受給者だということで余計に、例えば言葉は悪いですけれども、支援団体のほうが生活保護まで受けている人は困るみたいな態度を取られるとちょっと困る、問題が複雑化すると思うので、そこら辺はどのような感じになっているのか、もしよろしければ追加で御説明をいただければ幸いです。
○尾形座長 ありがとうございました。
 後段のほうで2つ御質問があったと思いますので、事務局お願いします。
○西澤保護事業室長 ありがとうございます。
 ちょっと御説明があれだったのですけれども、健康管理支援事業はまさにおっしゃるとおりで法定化されておりますので、法定化された事業にどちらかといいますと負担金という形で今やっております。
 2点目のe-Govは、確認してみます。
 精神のほうですけれども、おっしゃるとおり、精神障害者の地域包括ケアはいろいろなサービスで成り立っているものですので、基本的には全て精神障害という切り口でサービスの対象になるかと思います。もちろん生活保護の被保護者も対象になると思います。逆に言うと、生活保護の場合はケースワーカーがまさにアクターとしてついているということになりますので、ケースワーカーの方も含めてうまくサービスを使っていただくということが大事なのではないかと思っております。ありがとうございます。
○尾形座長 太田委員、いかがでしょうか。
○太田構成員 どうもありがとうございました。それでとりあえず結構です。
○尾形座長 ほかはいかがでしょうか。
 それでは、私から。今の太田委員の御質問とも関わるのですが、3ページの工程表で「中期的に医療扶助のガバナンス強化に向け」というふうに書いてあるのですが、これは医療扶助はガバナンスがあまり効いていないという議論が何かあってのことなのでしょうか。
○西澤保護事業室長 ありがとうございます。ガバナンスという意味はいろいろあると思っていまして、医療扶助ですと、例えばガバナンスとしては先ほどの頻回受診とか長期入院というのも、要は法に基づいて指導することはできます。
 要は、生活保護というのは最低限度の生活を保障するということで、ほかの医療保険各法よりはある意味、個別に指導するという権限は法的には強い。我々としては、そういう意味でのガバナンスの強さというのはあるというふうに思っております。
 あとは、一般医療との関係でいくと、例えば医療費適正化計画とか、いろいろな手法はございますので、どういうふうに全体として運営していくのがいいのか。これは別に効率化だけではなくて、よりよい医療を提供するという意味も含め、ちょっと幅広い検討が必要なのかなと我々としては捉えております。
○尾形座長 そういうことなのでしょうけれども、「ガバナンス強化に向け」と言うと、いかにも今ガバナンスが効いていないということが前提の議論のように聞こえますが、制度的にはおっしゃるようにむしろガバナンスが強い面があるかもしれない。それから、実態としても今日のデータの御説明にあったように、ほかの制度と比べて非常にこの部分が問題だということは必ずしもないように思えるので、その辺はやはり厚労省としてもよく説明をしていただきたいと思います。これは、個人的な意見です。
 ほかはいかがでしょうか。
 藤村委員、どうぞ。
○藤村構成員 高知市の藤村です。お世話になります。せっかく地方の一地方自治体の人間が参加していますので、ちょっと具体的なお話を委員の皆様にさせていただこうと思いました。
 頻回受診のほうが議論になっていますが、高知市での取組を御紹介したいと思います。いわゆるレセプトのほうで受診日数を抽出しまして、その中で透析とか急性期など必要な医療、絶対必要なものは除外しまして、そのリストをケースワーカーのほうに配っています。
その後、ケースワーカーが病状調査をしたり、もちろんうちのほうで嘱託医の先生にお願いをして、嘱託医協議を経て、こちらで適正な受診日数を把握するという形で行っております。
 それで、その適正な受診日数を把握した段階でケースワーカーのほうから、その世帯に指導に入るという形になりますけれども、先ほど太田先生のお話でもありましたが、そこで強権的なお話をするということではなくて、こういった形で主治医の先生であったり嘱託医の先生がこういった御判断をされているのでどうでしょうか、という形でお話をしております。
 それで、私どもも頻回受診対策を行っているのですが、受診目的としてはやはりどうしても整形的な消炎鎮痛処置というものが多うございまして、その中でも例えば自立支援の精神治療をされている方とか、精神疾患等をお持ちの方が実際多いというところはございます。
改善率のデータも出てきましたけれども、もちろん指導が必要な人の中でそういった形でお話をするのですが、先ほど申しましたとおり、どうしても個別の御事情がある世帯の方がいらっしゃいますので、実際に指導をした中で改善率につながっていかないというケースもございますので、その辺のところは皆様にも御承知おきいただきたいところはございます。
 こういった形の意見でした。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 それでは、野田委員どうぞ。
○野田構成員 すみません。先ほどの発言の中で、前提となる部分がちょっと足らなかったかなと思った部分がありまして、横浜の鈴木委員とか、先ほどの高知の藤村委員がおっしゃったことと関連することなんですけれども、やはり今の定義でリストアップしますと相当数の方が対象になっていて、実際いろいろとチェックをしていくと本当に該当する方というのは少ないというところもあるので、そこの部分についても結局、事務処理上には煩雑になっている部分があるので、この定義はどうなんですかねということをまずお聞きしたかったというところがありました。
 私どものほうも、頻回受診で最後に残っておられる方、これは藤村委員がおっしゃられたことと同じく、やはり認知症ですとか、理解がどうしても乏しい、どうしてもなかなか納得といいますか、分かっていただけないというふうな障害とかをお持ちの方が結構多いと思っていますので、この頻回受診のほうはなかなかこれ以上、効果が上がらないのではないかなと思っております。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 新保委員、どうぞ。
○新保構成員 質問ではなくて、この報告を聞かせていただき、読ませていただき、感じたことでもよろしいでしょうか。
○尾形座長 どうぞ。
○新保構成員 まず頻回受診対策なんですけれども、事例を拝見したところ、利用者の状況を把握するアセスメントが適切に実施されたことが、御本人が適切に受診する状況につながったのではないかと読ませていただきました。やはり頻回に受診してしまうということには、何らかの理由があると思われます。それは、先ほど委員の皆様からお話があったようなことがそうなのかなと思います。
 被保護世帯は単身化、一人世帯化というのが進んでいて、令和30年度で80.8%が単身世帯になっています。身近に相談したり支えてくれる人がいない中で、痛みとか、不安とか、不調を抱えて一人で過ごしている中で、やはり医療機関に頼らざるを得ないというようなことが生じているのではないかと考えられます。
 例えば、事例2では保健師さんが傾聴して頻回受診につながる要因の理解に努めていらっしゃったり、事例3では指導員が改善に向けた具体的な取組の実践を促して、通院が必要のない状況に導いていらっしゃいます。ケースワーカーだけでなくて、専門職との連携協働で頻回に受診せざるを得ない御本人の状況を理解して、それに応じた対応をするということが重要であるということを教えてくださっている事例かと思いました。
 先ほど横浜市の鈴木委員からもお話がありましたけれども、頻回に受診していることをもってすぐ指導ということではなくて、健康管理支援事業のように、御本人を理解し、その主体性を尊重しながら実施する支援というものを積極的に行うことが大切ではないかと思いました。
長期入院についてですが、生活保護の領域では平成17年度以降、退院促進事業として取組が進められており、堺市さんの取組などは今後のモデルになるものではないかと思い、大変興味深く拝見しました。
 救護施設の地域生活移行支援も全国救護施設協議会によって行動指針を定めて、とても積極的に取組を進めてこられた一つの成果ではないかと思っています。こういう成果ですとか、事業の積極的な周知ということが、私もとても重要ではないかと感じております。
 また、地域移行に当たっては、福祉事務所や地域移行支援に取り組む施設、機関の努力だけではなくて、地域の関係機関、団体、それから住民の理解というものが不可欠ではないかと考えます。ぜひ障害や傷病を持つ生活保護受給者が地域生活を送ることができるよう、一層の関係機関との連携協働を進めていくことができるといいのではないかと思ったところです。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木構成員 今の新保委員の御意見を聞きながら思ったのですが、例えば長期入院患者の退院促進というのも一言で言って簡単なように思われるかもしれないのですが、実際はやはり長く入院している方などがその入院という環境を変えていかれる、生活の場を移されると考えると、非常に丁寧な対応というのが、やはり人の生活ですので関わっているというところです。
 それで、生活困窮者自立支援法の中では、やはり地域でどう支えていくかということで、関係機関が集まって個人情報を守秘義務をかけながらみんなで相談していくような仕組みができました。逆に、生活保護においてもその支援の場で個人情報をきちんと保護しながら関係機関と、先ほど御質問の中であったかもしれませんけれども、やはり地域で例えば障害をお持ちの方が生活する場合は障害の施策、そこを支援しているいろいろな方と連携しながら支えていかなければ生活というのはなかなかうまくいかない。そこがきちんと連携が取れるような仕組みを、法的にも作っていくべきなのではないかと私は思います。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 小塩委員、どうぞ。
○小塩構成員 この場でお聞きしていいかどうか分からないテーマなのですが、もし分かれば教えていただきたいと思います。先ほどの議論でもあったように、医療扶助の状況はマクロ経済の影響を結構受けやすいと思います。医療扶助のこれまでの増加も、かなりの部分はリーマンショック後の被保護者数の増加で説明できると思います。
 それで、ちょっと気になるのは今回のコロナです。やはりコロナの影響で被保護者になる方が増えてくるのではないかと思います。そうすると、医療扶助の在り方についても、プレッシャーが発生する可能性があります。
 そこで、統計上、あるいはアネクドータルなエビデンスでもいいんですが、生活保護を考える上で、コロナは既に重要な影響を及ぼしているのかどうか。現時点でどういうふうに事務局の方は受け止めていらっしゃるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
○尾形座長 これは、どうでしょうか。事務局、分かる範囲で結構ですが、お答えください。
○梶野保護課長 保護課長の梶野です。
 御指摘のとおり、コロナの状況につきましては非常に注視しております。それで、コロナ後から直近の状況を申し上げますと、昨年の4月に緊急事態宣言が出たときは申請が急激に増えまして、対前年度比で25%くらい増えたのですけれども、その後は減少傾向でした。9月以降、また少し増えておりまして、今、直近の数字は12月で、申請件数の対前年同月比の伸び率でいうと6.5%ということで、増加傾向です。全体の受給者数でいうと減少しているのですけれども、申請件数でいうと増加しているということです。
 ただ、急激には伸びていない状況で、これは雇用調整助成金とか、それから各種貸付制度、住居確保給付金など、そういった支援措置が効いているというふうに考えておりましす。
 ただ、今、増加傾向にありますので非常に注視しているという状況であります。
○尾形座長 小塩委員、よろしいですか。
(小塩構成員 うなずく)
○尾形座長 ほかはいかがでしょう。
 野田委員、どうぞ。
○野田構成員 今度実施することになりました健康管理支援事業のほうですけれども、このことによって今まで医療に結びついていらっしゃらなかった方が医療に結びついていく。そういう適正化もあると思うんですけれども、そうすると一時的にはひょっとしたら医療扶助の費用が増加する可能性もあるのかなというふうにも現場のほうでは思っているのですが、その辺りは事務局さんのほうではどういうふうな制度設計を考えていらっしゃるのでしょうか。
○尾形座長 これは御質問ですので、事務局お願いします。
○西澤保護事業室長 まさに健康管理支援事業の目的の一つは、必要な受診していない方に受診勧奨するということもありますので、短期的にそれがどう出てくるかということはもちろんあるんですけれども、やはり必要な部分は必要な部分として受給していただくということが必要なのかなと思います。
 一方で、先ほど来申し上げてきました頻回受診とか、長期入院とか、そういう部分はそれがどう財政効果が上がるかということもありますけれども、制度の信頼性ということで両方やっていくということなのかなと思っています。
 あとは、これはなかなかエビデンスとしては難しいかもしれませんけれども、要はよい医療で早めにかかったほうがもしかしたら生涯的には医療費がかからないということもあるかもしれませんので、そういう意味では両面やっていくのかなと思っております。
○尾形座長 野田委員、よろしいですか。
○野田構成員 私どものほうも今お話があったような形になるのかなと思っていますので、ある程度、一時的に医療扶助が増えたとしても、それをもって福祉事務所がうまくやれていないというような評価にならないようにしていただければと思っております。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
新保委員、どうぞ。
○新保構成員 今のお話を伺っていて、論点として医療の必要がありながらタイムリーにケースワーカーに受診の相談ができない利用者のことを考える必要があると思いました。子供の医療についてはいろいろな工夫をしていくということが示されましたけれども、子供も大人も医療の必要な利用者が早期に適切な医療を利用できるような観点での検討というのも今後必要になるのではないかと感じておりました。
それからもう一点、医療を受ける主体というのはやはり被保護者の方々かと思うんです。この医療扶助の在り方を検討する中で、利用者である被保護者の方々がこの医療扶助を利用した経験からどのような点を維持すべきだと考えたり、どのような点に課題を感じているのかということについて、把握できないまま検討を今、進めているのかなと思います。
 もし何か調査をされたりしていれば教えていただきたいのですけれども、利用者が医療や医療扶助を利用する際に課題と感じておられることは、すなわち医療扶助を適切に実施するための課題でもあると思います。ぜひこれらをきちんと踏まえて検討していただけたらというような願いがずっとあります。小規模な調査でもいいので、アンケートとかインタビューとかで医療扶助に対するフィードバックを直接利用者から把握して、それに基づいてどのような在り方がいいのかという検討をしていただけると、より実質的なものになっていくものと感じております。
 以上です。
○尾形座長 これはどうなんでしょうか。利用者からのアンケートのようなものというのは、既に何かあるのでしょうか。
○西澤保護事業室長 今、知る限りではないのですが、過去にやったことがあるかもしれませんので調べてみたいと思います。
 ただ、オンライン資格確認のときも、これは何かアンケートとかではないですが、インターネットを見ていると、医療券で医療を受けるというのは、要は保険証と見かけが違うのでそこについて問題意識を持っているというようなインターネットの個人の方の感想とか、そういうものを目にすることはございます。
 統計的にどうこうではないのですけれども、そういうものもあって検討会でああいうふうな議論をさせていただきましたが、またどういうことができるかということは考えたいと思います。
○新保構成員 ありがとうございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、ほかに御発言等がないようでしたら、本日の検討会はこの辺りまでとさせていただきます。本日は、現場での対応を含めて様々な貴重な御意見を承ったと思います。事務局としては、今日の議論も参考にして施策をさらに進めていっていただければと思います。
事務局から、今後の予定につきまして連絡をお願いします。
○西澤保護事業室長 ありがとうございます。次回につきまして、日程、会場、開催方法、詳細につきまして、追ってまた御連絡させていただきたいと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。
 それでは、長時間にわたりまして熱心な御議論をどうもありがとうございました。本日の議論は、以上とさせていただきます。