2021年2月8日 第1回患者調査における「平均診療間隔」及び「総患者数」の算出方法等の見直しに関するワーキンググループ 議事録

政策統括官付参事官付統計企画調整室

日時

令和3年2月8日(月) 14:00~15:29

場所

オンライン会議

出席者

構成員(五十音順、敬称略、◎:主査)
  • ◎大久保 一郎
  •  小池 創一
  •  津下 一代
  •  樋田 勉
構成員以外の関係者
  •  橋本 修二(藤田医科大学医学部教授)
事務局
  •  武藤参事官(企画調整担当)
  •  奥垣統計企画調整室長
  •  大野審査解析室長
  •  渡保健統計室長
  •  柳川保健統計室長補佐

議題

「平均診療間隔」及び「総患者数」の算出方法について

議事

議事内容
○奥垣統計企画調整室長
定刻になりましたので、ただいまから第1回患者調査における「平均診療間隔」及び「総患者数」の算出方法等の見直しに関するワーキンググループを開催させていただきます。委員の皆様には、お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。私は、厚生労働省統計企画調整室長の奥垣です。よろしくお願いいたします。本日は、初回となりますので、委員の方々の御紹介をさせていただきます。お手元の資料の参考6、本ワーキンググループの設置要綱を御覧ください。当ワーキンググループの構成員及び主査は、「第20回厚生労働統計の整備に関する検討会」において座長から指名されています。各構成員の皆様方の御紹介をさせていただきます。
横浜市健康福祉局衛生研究所所長の大久保委員です。大久保委員には、主査をお引き受けいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。続いて、自治医科大学地域医療学センター地域医療政策部門教授の小池委員、香川栄養学園女子栄養大学特任教授の津下委員、獨協大学経済学部国際環境経済学科教授の樋田委員です。また、本日は、審議協力者として、藤田医科大学医学部教授の橋本先生に御出席いただいております。次に、事務局の紹介をさせていただきます。企画調整担当参事官の武藤です。保健統計室長の渡です。審査解析室長の大野です。それでは、会議の開催にあたりまして、参事官の武藤から御挨拶を申し上げます。
 
○武藤参事官(企画調整担当)
参事官の武藤でございます。本日は、お忙しい中、本ワーキンググループに御出席いただきまして誠にありがとうございます。患者調査は、皆様御案内のとおり医療行政の基礎資料となる重要な統計調査でございます。本ワーキンググループで御議論いただく総患者数についても、各種疾病対策の政策立案における基礎資料などとして活用されていますが、調査結果を単純に集計して得られるものではなく、一種の加工統計的側面を有しているため、どのように算出するのが妥当で有効かという判断はなかなか難しいものとなっております。とはいえ、総患者数の公表開始から25年余りが経過し、その間、医療提供体制や社会経済情勢も大分変化いたしました。
また、本日御発表いただく橋本先生の研究をはじめとした先行研究も、幾つか蓄積されてきたところです。こうした状況を踏まえ、算出方法の見直しを検討したいと考えております。委員の皆様におかれては、平均診療間隔及び総患者数の算出方法について、専門的見地から御検討いただきたいと考えております。皆様方に御意見をいただき、それを受けて算出方法の見直しを図っていきたいと考えておりますので、活発な御議論を頂きたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○奥垣統計企画調整室長
次に、本日の出席状況でございますが、全ての委員の皆様に御出席いただいております。それでは、以降の進行につきましては、大久保主査、お願いいたします。
 
○大久保主査
皆様、本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。令和2年3月16日に開催された「厚生労働統計の整備に関する検討会」におきまして、津谷座長より本ワーキンググループの主査に指名を受けました大久保でございます。よろしくお願いいたします。何分にも力不足でありますので、皆様のお力を借りて、実り多い会議にできればと思っております。
本日の議題の前に、本ワーキンググループでの議論の進め方を御説明いたします。最初に事務局の説明をいただきまして、その後、橋本先生より研究結果についてプレゼンテーションを行っていただき、各委員の皆様に御議論いただくという流れとしたいと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、議事を進めてまいりたいと思います。第1回として、本日の議題ですが、「平均診療間隔」及び「総患者数」の算出方法についてとなっております。第2回ワーキングでは、本日の議論の続きと、患者調査への要望事項、その他検討すべき事項があれば議論したいと思います。また、本日の議論を踏まえまして、「報告書案」を作成し、次回のワーキンググループでは、この報告書案についても議論していただく予定としております。トータル2回の開催を予定しています。
それでは早速、始めたいと思います。本ワーキンググループの主題である患者調査及び総患者数の概要、本検討会に至る背景、総患者数の算出に関連する集計事項の状況等について、事務局から御説明をお願いします。
 
○渡保健統計室長
保健統計室長の渡と申します。よろしくお願いいたします。それでは、資料1を御覧ください。本ワーキンググループでは、患者調査の「平均診療間隔」と「総患者数」について御検討いただきますが、まずは、患者調査の概要について御説明いたします。
患者調査は、全国の医療施設を利用する患者を対象とした抽出調査であり、3年周期で実施しています。入院・外来については、医療施設ごとに指定された調査日、10月中の1日に受療した患者について把握しています。
主な表章事項としては、推計患者数、総患者数、受療率などがあり、性別、年齢階級別、傷病分類別、都道府県別なども公表しています。参考資料5に「平成29年患者調査の概況」を付けていますので、そちらを御覧いただければと思います。表紙に目次をお示ししています。1に、推計患者数として、幾つか表を出しております。2に、受療率、5に、主な傷病の総患者数とあります。1ページの「調査の概要」ですが、2として抽出率の表を掲載しています。これも御参考に見ていただければと思います。
7に、用語の解説をしております。(1)推計患者数は、調査日当日に、病院、一般診療所、歯科診療所で受療した患者の推計数であると説明しています。患者調査は全数調査ではなく抽出調査ですので、結果表章にあたっては、抽出率を考慮した拡大乗数を乗じて、全国の患者数の推計を行っています。調査日当日の1日分の患者数である推計患者数に対して、(5)総患者数は、調査日現在において、継続的に医療を受けている者(調査日には医療施設で受療していない者を含む)と書いておりますが、計算式については後ほど詳しく説明いたします。3ページ以降に結果がありますので、後ほどお時間がありましたら御覧ください。
資料1の2ページ目に、行政における主な利活用状況をまとめております。例えば、医療提供体制の基礎資料としては、医療計画などの施策において、1日に受療した患者数を表す推計患者数が、流入・流出患者数の状況を把握するために活用されていたり、推計患者数を基に算出する受療率が年齢階級別に活用されていたりしており、お示ししているように「推計患者数」や「受療率」が多く活用されています。
一方、今回、御議論いただく「総患者数」は、直接的に政策立案に活用されるというよりは、疾病構造の全体像を把握するための基礎資料という使われ方をしております。
次に、資料2の総患者数の概要、課題などについてです。1ページ目は、総患者数の算出式と考え方をまとめています。算出式の詳細については、2ページ以降で御説明しています。1ページ目の図ですが、図のA、B、Cはいずれも推計患者数で、これは、調査日当日に医療施設を受療した患者の推計数になります。実際にはAからCのほかに、調査日現在、継続的に医療を受けているけれども調査日当日は受療する日ではなかったという患者がいらっしゃいます。これを推計したものがC'であり、AからCにC'を加えて、受療日でなかった患者も含めて、ある傷病で受療中の患者が全国にどのくらいいるかを推計した指標が「総患者数」です。
2ページ、推計患者数についてです。初診と再診を説明しています。なお、推計患者数ですが、主傷病名として記載されたものによっております。初診は、調査日にその傷病で初めて受療した場合で、再診は調査日に当該傷病で再診した場合です。
3ページは、平均診療間隔についてです。調査票からの診療間隔の算出は、前回診療月日の記載により行っています。現在は、診療間隔が31日以上のものは除外して平均を算出しています。
4ページ、調整係数7分の6についてです。これは、平日の調査による推計再来患者数を1週間の平均再来患者数に調整する係数です。
続いて5ページ、今回の平均診療間隔と総患者数の見直しについての背景、課題などをまとめております。先ほど御説明したとおり、現在は診療間隔が31日以上の場合は、平均診療間隔の算出対象から除外しております。しかしながら、中段の「背景の変化」にあるとおり、近年は様々な要因から徐々に診療間隔が長期化してきております。このため、下段の「課題・問題点」にありますとおり、平均診療間隔及び総患者数は過小評価となっているのではないかとの問題意識から、算出方法の見直しについて検討を行ってきたところです。橋本先生に御研究いただいた内容を基に、令和2年の患者調査から新たな算出方法で公表を行うべく、今回のワーキンググループにて御議論を頂きたいと考えております。
6ページには、推計患者数に加えて総患者数の公表を始めた経緯をまとめております。
続きまして、資料3は、事務局において作成いたしました「総患者数の算出に関連する集計事項の状況」です。1ページですが、直近、平成29年の再来患者の週ごとの診療間隔別相対度数及び累積相対度数の分布グラフです。現行の平均診療間隔の算出上限の30日を含む5週目、すなわち35日までの累積相対度数は、74.5%となっております。その後、累積相対度数が90%を超えるのは12週目、95%を超えるのは15週目となっております。
2ページ、総患者数の算出に用いている推計患者数及び再来患者の平均診療間隔の年次推移のグラフです。推計入院患者数は、平成20年から減少傾向、推計再来患者数は、平成23年からほぼ横ばいとなっております。私からの概要説明は以上です。
 
○大久保主査
ありがとうございました。皆さん、ちゃんと聞き取れましたでしょうか。Web環境の関係で聞き取りづらいこともあったかもしれませんが、大丈夫だったでしょうか。
この後、橋本先生から御発表いただきますが、ただいまの事務局からの説明について、この段階で確認しておきたいことがありましたら、各委員の皆様、何かありますでしょうか。よろしいですか。後でまた質問ができますので、時間も限られていますので先に進めていきたいと思います。
それでは、審議協力者として御参加いただいております橋本先生から、「総患者数の推計方法の見直し」について御発表いただきたいと思います。では、橋本先生、よろしくお願いいたします。
 
○橋本先生
藤田医科大学の橋本です。資料4の「総患者数の推計の見直し」を御覧ください。2枚目を見ていただきますと、患者調査において1993年以降、総患者数が推計・表章されております。平成27年度・平成28年度の研究班において、総患者数の推計方法の見直しが検討され、引き続き平成29年度・平成30年度の研究班において、妥当性の検証を経て、その見直しが提言されるということになりました。
3枚目を御覧ください。総患者数については御説明があったとおりです。総患者数の推計方法の見直しとしては、(1)の平均診療間隔の算定対象は、現行の「30日以下」から「13週以下」の診療間隔に変更する。これが主な提言の内容です。本日は、この後、この提言に係る研究班の研究成果の概要を報告いたします。調整係数については変更しないということで、特別な提言ではありませんので、最後に少し研究班の研究結果を御紹介したいと思います。
6枚目を御覧ください。「平均診療間隔の現行方法」というものです。患者調査では、再来患者の前回診療日から調査日までの間隔、いわゆる診療間隔の平均を「平均診療間隔」と言います。極端に長い診療間隔、例えば、半年とか1年というように非常に長い場合には継続的に医療を受けていないとみて、そういう患者を除くために算定対象を制限しています。現行方法では、30日以下の診療間隔になっています。これは、1990年頃の診療状況に基づいて定められたものです。
7枚目を御覧ください。30日以下という現行方法は、以前には適切であったと考えられますが、近年の診療状況の変化に伴って、適切でない可能性が高いと考えられます。例えば、薬剤処方の上限14日分の原則が、2002年度には撤廃されています。
8枚目を御覧ください。まず、現行方法の課題を確認しようというわけです。9枚目を御覧ください。左の図が、診療間隔の週別の再来患者の割合を示しています。赤が2014年、青は参考のために1996年を示しています。2014年は、1週から3週の割合が64%、4週が11%と多いのですが、ここまでが30日ということです。ですから、それ以降の部分が除かれているというのが現行方法ということになります。その右の図を見ていただきますと、傷病別に見ても、30日以上の割合というのは20%を超えているということになります。
10枚目を御覧ください。これは参考として、処方箋1枚当たりの投与日数を示したものです。右の図を見ていただきますと、下のほうの抗生物質製剤は、5日程度で変わっておりませんが、上のほうにある血圧降下剤と糖尿病用剤の場合には、どんどん伸びていて平均でも30日を超えています。11枚目を見ていただきますと、ここまでのまとめとしましては、30日以下という現行方法は適切でないと確認されたというように思われます。
次に、どのように見直しを進めるのかという話になります。12枚目を御覧ください。まず、最近の診療状況について、患者調査の診療間隔データから分析し、「新規方法の設定」を行います。それに続いて、患者調査以外のデータから、その妥当性を議論します。新規方法の妥当性の検証という検討に進むという進め方にしております。
13枚目を御覧ください。これが新規方法の設定です。方法としては、1996年から2014年の患者調査データを用いて診療間隔分布などを検討します。診療間隔は、1日単位でも見ましたが、7日の周期性がはっきりしておりますので、以降は全て週単位での検討をお示しします。それから参考として、薬剤処方に関する資料を確認しております。結論は、先ほどから御説明のとおり13週以下と設定しております。それに関する結果を次にお示しします。
14枚目を御覧ください。左の図が先ほども御覧いただいた週別の診療間隔の再来患者数の割合です。赤の棒が2014年で、青が1996年です。1週、2週が多いということで、4週も比較的多いわけですが、8週にも小さな山があるというのが分かると思います。右の図を見ていただきますと、これは縦軸を引き延ばして、0から3%だけに示したものです。これで見ますと、8週にきれいな山が見えるというのがお分かりいただけると思います。それ以外に12週とか13週に山があります。この辺がちょうど1%に当たる山になります。それ以降は、特別な山がないという状況です。
15枚目を御覧ください。これらの累積割合を示したものです。左の図を御覧いただきますと、赤の2014年で13週の所が96.2%になっています。ですから、ほとんどのものは13週以下であるということです。傷病別に見ても、13週までの再来患者の累積割合は、ほとんどの疾患が95%程度又はそれ以上という状況です。
16枚目を御覧ください。平均診療間隔を示しています。算定対象30日以下が11.2日なのですが、7週、9週、11週と、順に算定対象を広げるとともに、13週以下では18.9日になります。ですから、30日以下と比べると1.68倍となりかなり大きいです。その一方、それ以降の上昇は比較的緩やかで、4週後の17週以下を見ても20.3日で、13週以下の1.07倍という状況です。右は傷病別に見たものですが、多くの傷病では大体13週以下の平均診療間隔が20日前後という結果になっています。
17枚目を御覧ください。これが総患者数です。30日以下を1と置きますと、13週以下ではどんどん上がっていって、1.65倍と非常に大きく増えております。ただ、それ以降はやや緩やかになって、17週以下であっても、13週以下と比べて1.07倍で、平均診療間隔と総患者数は先ほどとそんなに変わりません。そして、右の図を見ていただきますと、傷病別に見ても、現行の30日以下に対する13週以下の総患者数は、大体1.65倍程度ということです。
18枚目を御覧ください。これは参考資料ですが、医師約3,900人に対する2010年の質問紙調査です。「病状が安定して定期的に通院している患者について、最も多い処方日数は」という質問です。右の図を御覧いただきますと、赤いほうが病院の医師ですが、4週、8週、12週、13週、要するに13週というのは90日処方に当たるわけですが、14週以上ということになると5%程度と非常に少ないです。一般診療所になりますと、ほとんどは4週が多いのですが、8週、12週、13週もほどほどにあります。14週以降はほとんど見られません。
19枚目を御覧ください。以上をまとめますと、患者調査による診療間隔分布を見ると、山が4週、8週、12週、13週にあり、14週以降にはありませんでした。医師調査による薬剤の処方期間も同様の傾向でした。再来患者の累積割合は、診療間隔が13週時点で、多くの傷病で95%程度又はそれ以上でした。算定対象の拡大に伴う平均診療間隔と総患者数の増加は、いずれも13週以降で比較的小さい傾向でした。以上より、平均診療間隔の算定対象の新規方法として、13週以下、すなわち 91日以下が適切と判断されました。この変更に伴い、2014年の総患者数は、1.65倍前後の増加と推計されました。
20枚目を御覧ください。今度は妥当性検証の話になります。4つの検討を行っています。21枚目を御覧ください。(A)は、国民生活基礎調査による検討です。悪性新生物については、国民生活基礎調査は過小評価であることがよく知られています。これは、患者の自己申告であるために、こういう現象があるということは昔からよく知られておりますので、悪性新生物を除く主な傷病を対象にして、患者調査の通院継続中の患者数、これは入院を除く総患者数ですが、それを国民生活基礎調査の通院者数と比較しました。(B)は悪性新生物についてですが、こちらは、がん登録による5年有病数と比較することにしました。5年有病数というのは、当該年に生存する過去5年以内の診断者数を表しています。簡単に言うと、がんの場合は大体5年ぐらい診療が続きますから、大体これで有病数になるだろうということで、比較的よく使われている指標です。
22枚目を御覧ください。右の絵を見ていただきたいのですが、横軸が2013年の国民生活基礎調査の通院者数です。縦軸が2013年の患者調査の通院継続中患者数を表しています。赤の四角が新規方法で、青の四角が現行方法です。見ていただいて分かるように、赤は対角線上に並んでいます。高血圧性疾患、糖尿病、脂質異常症、喘息、脳卒中、骨折。慢性閉塞性肺疾患が少し上のほうに点がありますが、2013年ということになると、慢性閉塞性肺疾患は余り認識されていないということがよく知られておりますので、国民生活基礎調査の患者申告が過小評価であったのではないかと考えています。
23枚目のがん登録の結果を御覧ください。こちらも先ほどと同じ絵です。赤の点を見ていただきますと、悪性新生物全体が、大腸がん、胃がん、肺がんと、きれいに対角線上に並んでいます。乳がんはちょっと上に点が出ておりますが、これもよく知られているように、乳がんというのは5年以降も引き続き診療を受けるというものですので、5年有病数は乳がんについては過小評価であることはよく知られているのでその影響であると考えています。
24枚目を御覧ください。(C)はレセプトによる検討です。健康保険組合で被保険者150万程度のレセプトについて、2014年度の1年間のデータを名寄せして、個人単位にリンケージしました。そのデータを用いて、高血圧性疾患と糖尿病について検討を行ったということです。大規模だとは言っても、健康保険組合に限られていますし、特定の組合ということですので、そこで(D)として、社会医療診療行為別調査による検討を行いました。これは1か月のレセプトではありますが、全国のレセプトを無作為に抽出したものです。これについて、高血圧性疾患と糖尿病について検討を行っています。
25枚目を御覧ください。右の図ですが、赤が新規方法で、青が現行方法の推計値で、点々模様がレセプトの実測値です。これは、ちょっとややこしい検討になっておりますが、簡単に御説明します。
これまでは全部患者調査のデータを使っていたのですが、これは、レセプトのデータを使っています。新規方法というのはこのレセプトのデータに患者調査の総患者数の推計方式を適用し、再来患者数に平均診療間隔と調整係数の7分の6を掛けるという形で求めたものです。入院外レセプトというのは診療日の情報が記載されておりませんので、仕方がないので10月のレセプトを使って1日平均の再来患者数を求めて、その患者の以前の診療状況は月別の診療実日数から平均診療間隔を推計するということをやっています。このときに新規方法の場合には、13週以下を算定対象にし、現行方法の場合には30日以下にするという形を取っています。
レセプトの実測値ですが、これは、8月から11月の受診者であり、かつ4月から7月と12月から3月にも受診したと。つまり、長期通院継続中という患者数を実測したということです。ただ、その場合には開始と中止が含まれておりませんので、ある一時点のということを考えると、過小評価になっているのではないかと考えられます。図を見ていただきますと、そういう見方をすると、高血圧性疾患についても糖尿病についても、新規方法がレセプトの実測値に比較的近いというように見られるのではないかと考えています。
26枚目を御覧ください。これは、社会医療診療行為別調査による検討です。こちらは1か月のレセプトですので総患者数は推計できません。そこで、1か月の診療実日数を求めることにしました。図の黒い線が、社会医療診療行為別調査の実測値です。社会医療診療行為別調査は大規模な調査なのですが、疾患別に見ると多少ばらつきが出るので、多少のがたがたが見えます。ただ、きれいな減少傾向であることはお分かりいただけると思います。診療間隔が延びるということは、1か月の診療実日数が短くなることに全く対応するということです。赤の1か月の患者調査データによる新規方法の1か月の診療実日数は、その推移傾向がきれいに一致していることがお分かりいただけると思います。青のほうは、31日以上を除いてしまっているので、長い診療の部分を全部捨ててしまっているので経過を十分に表せないという状況になっているということです。
27枚目を御覧ください。これが糖尿病で、先ほどと同様の傾向です。それから、これは1999年を1とする10年余りの推移を示しておりますが、実測値で絵を描いても似たような絵になります。
28枚目を御覧ください。新規方法の妥当性検証のまとめです。患者調査の新規方法による通院継続中患者数は、国民生活基礎調査の主な傷病の通院者数及びがん登録の悪性新生物の5年有病数と比較的一致しておりました。患者調査の新規方法による推計値は、高血圧性疾患と糖尿病で、レセプトによる通院継続中患者数の実測値と社会医療診療行為別調査による1か月の診療実日数の実測値と比較的よく一致しておりました。以上より、比較データが限られた検討結果ではあるものの、平均診療間隔の算定対象の新規方法については、おおよその妥当性が検証されたと考えています。
次は、調整係数について簡単に御紹介します。30枚目を御覧ください。先ほど御説明がありましたが、調整係数というのは総患者数の推計において、平日の調査の患者調査による再来患者数を1週間の平均再来患者数に調整する係数を言います。現行方法は7分の6で、1週間のうちで日曜は休診という診療状況を想定したものです。1週間のうちで、土曜の午後と日曜が休診という診療状況を想定すると7分の5.5で、これを「代替値」と呼ぶことにします。
31枚目を御覧ください。最近の医療施設の曜日別診療状況を確認した上で、調整係数について現行値と代替値の適切性を検討しました。方法は、2005年から2017年の患者調査と医療施設調査を利用しています。患者調査による平日1日の再来患者数に対する医療施設調査による1か月間の平均再来患者数の比、これは調整係数に相当しますので、「相当値」と呼ぶことにします。
32枚目を御覧ください。これが曜日別の診療施設割合で、病院のほうです。左が午前です。青が2005年で、赤が2017年の診療施設の割合です。月火水木金は100%程度で、土曜日は7割ぐらいです。日曜日、祝日は、ほぼゼロです。右側が午後です。月火水木金は8割余りですが、土曜日になると2割程度に下がります。33枚目が一般診療所です。こちらは、午前は木曜日が低くて、土曜日はかなり高いという状況です。ただ、午後を見ますと土曜日は2割程度まで落ちます。34枚目は歯科診療所です。こちらも午前は木曜日が低くて、土曜日は非常に高いです。午後は、土曜日は余り下がらず50%程度は開いています。それから、年次推移はほとんどないということです。
35枚目を御覧ください。これが調整係数の相当値です。病院を見ますと、2005年、2008年、2011年、2014年、2017年と5つの柱を立てましたが、現行値の7分の6をちょっとだけ上回っています。大体6.2になりますので、6と比較すると1.03倍ということで、ちょっとだけ高いということです。一方、一般診療所は7分の6よりちょっと小さくて、5.8ぐらいですから、0.96倍ということで、ちょっと小さいということです。一方、歯科診療所はかなり小さいです。ただ、総患者数推計上は、歯科診療所というのは、う蝕などの歯科疾患だけですから、それ以外の疾患は、特別大きな問題はなさそうだということです。
36枚目を御覧ください。まとめますと、曜日別診療状況については、年次間ではほぼ一定傾向です。患者調査と医療施設調査による相当値から見ると、代替値への変更が支持されず、また、歯科疾患の推計に課題があるものの、現行値の7分の6が比較的適切であると示唆されたと考えています。
37枚目を御覧ください。「おわりに」ですが、これまでの話をまとめました。一番下に書いてあるように、新しい推計方法の早期の導入が望まれると思います。
38枚目は、平成27年度・平成28年度の研究班メンバーです。39枚目は、先ほどと同じメンバーですが、平成29年度・平成30年度の研究班メンバーです。40枚目が、今日お話ししたものの引用文献になります。以上です。
 
○大久保主査
橋本先生、どうもありがとうございました。膨大なデータに基づく解析・分析について、短時間のうちに要領よく御説明いただきましてありがとうございます。橋本先生の御説明に関して、幾つかコメントや質問などがあるかと思いますが、その前に本ワーキングの課題及び論点ということで、事務局から御説明を頂き、その後にまとめてディスカッションをしたいと思います。では、事務局、よろしくお願いします。
 
○渡保健統計室長
資料5をご覧ください。本ワーキンググループでの議題及び論点です。議題、平均診療間隔及び総患者数の算出方法について。論点1、平均診療間隔の算定上限に関して見直すことでよいか。論点2、見直す場合には上限を設けることでよいか。また、設ける上限は何日程度が妥当か。橋本先生に様々な観点から御研究いただき、当室でも対応を検討させていただきましたけれども、まずは平均診療間隔について、現行の上限30日を変更してはどうかと。変更後の上限は、今、御発表があったとおり、91日ではいかがかというところです。委員の先生方からの御意見をよろしくお願いいたします。
 
○大久保主査
今、本日議論しなければいけない論点について御説明を頂きました。総患者数を求めるときには平均診療間隔と調整係数の2つがありますけれども、今回は平均診療間隔の見直しに焦点を当てて進めたいという御説明がありました。
それでは、今の事務局の説明で何か御質問、若しくは橋本先生の御説明も含めて、各委員から御意見、御質問等があればよろしくお願いしたいと思います。今回と第2回を予定しています。第2回は患者調査全体に関するコメント等もあるようですが、そういったことも含めて、忌憚のない自由な議論ができればいいかなと思いますので、各委員の先生方、御自由に御発言いただければと思います。いかがでしょうか。
では、私から。本来のテーマからちょっとずれているかもしれませんけれども、橋本先生の27枚目、26枚目の所です。これは社会医療の分析ですが、この折れ線グラフが2005年、2006年と急に上がっているのは、何か特殊な事情があるのでしょうか。
 
○橋本先生
特にそういうことはないと思います。多分、これは抽出に伴う変動だと思います。というのも、社会医療診療行為別調査というのは、全体を推計するために求められているものなので、傷病別に細かく見ると件数がそれほどないので、どうしても推定精度に一定の限界があります。ただ最近は御承知のとおり、NDBデータになりましたので、膨大な数を推計、要するに抽出していないので、最近の状況は全く違います。しかし、以前の1999年から2009年くらいまでは、そういう形で全体はバイアスのない形で推計されているのですけれども、どうしても細かく見るとばらつきが出てくる。多分、これはばらつきだと思います。いろいろ調べてみましたが、そのほかの統計上、糖尿病等、こういうものについての特別な状況を私は見つけられなかったので、多分、そういう理解でいいのだろうと思っています。以上です。
 
○大久保主査
ありがとうございました。大変よく理解できました。もう1つですが、25ページのほうで患者数の推計をされていますが、このレセプトの患者数は、主傷病だけを取っているのですか。それとも、レセプト上は複数の傷病が出てきますが、いかがでしょうか。
 
○橋本先生
これは全部、主傷病に限定しております。基本的に患者調査は主傷病で議論されておりますので、これは全て主傷病だけです。ほかのものは入っておりません。
 
○大久保主査
ありがとうございます。私からは以上ですが、ほかの委員からはいかがでしょうか。一応、30日から13週、すなわち91日まで延ばすという橋本先生からの御提言です。どうぞ、御発言をお願いします。津下先生、よろしくお願いします。
 
○津下委員
長期処方が普及していますし、31日以上を切ってしまうと過小評価につながるというのは十分理解できますので、平均診療間隔を実態に合わせて修正するということで、より正確に実態を把握できるようになると思います。それを前提にお尋ねします。例えば、同じ傷病でも、例えば糖尿病のような病気だと、大病院と中小の病院では診療間隔が違っているのが実情です。病院種別でその割合が違っているという意味で、この算定は全国まとめてそういうようにされるのか、病院種別や疾患種別、急性疾患や慢性疾患でそれぞれに平均診療間隔が違うという状況があると思うのです。そういうものを算出するときに、疾患別とか病院種別で算出してそれを足し込むのか、それとも全部を同じ算定式で計算するのか、どのようになっているかというのが1つです。
もう1つは、これはなかなか難しい話だと思うのですけれども、複数の医療機関、日常診療の管理は近くで受けて、ときどき合併症のチェックなどでは大きな病院にかかられるという患者がいます。多分、同じ日に両方かかっているということはないと思うのですが、実際はそういうように、ダブルカウントみたいになっている人もいるのかなと思うのです。その辺りを配慮することは難しいと考えればよろしいのでしょうか。
もう1点は、1.65倍、影響が違うというのが出ていました。それだと、今までの総患者数で出された数字と今後新しい方法で出される数字に、かなり大きなずれがあるということで、しばらく両方の数字を丁寧に出していかれる予定なのか、この3点を御質問させていただきたいと思います。
 
○大久保主査
御質問は、橋本先生と事務局側とに、2つあると思うのですが、橋本先生からいきますか。
 
○橋本先生
御質問、ありがとうございます。まず16枚目の図を御覧ください。右の図を御覧いただきますと、平均診療間隔ですが、御承知のとおり非常に長い疾患から、慢性腎不全や骨折などは短いに決まっているのです。本来、平均診療間隔を疾患ごとに求めるということであれば、それはある意味で非常に難しい議論をしているのではないかと思うのですが、今回は単なる上限を決めただけですので、短いのは普通に入るだけです。そういう意味では、全く一律に上限を決めただけで、短いものは全部普通に入るので何の影響もないということになります。
ですから、医療機関によって違うとか、疾患によって違うとか、性別や年齢によって違うとか、地域によって違うということが仮にあったとしても、上限だけの話なので余り影響はない。ただ、ものすごく極端に、要するに非常に特殊な疾患で、1年ぐらい診療間隔があるべきだという疾患が仮にあったとすれば、それは除かれてしまうことになるので、今回の再来には入らないことになってしまうのです。そういう特殊な疾患は患者調査としては対象にしないだろうというか、余り議論の中心にはならないだろうと思っています。
2つ目の複数医療施設の問題については、実は主傷病で、その日に受療した患者ということになるので、仮にその方が大きな病院でかなり長い間隔で受療していて、比較的近い所で頻繁に受療しているという場合だったとしても、その日に受療しているという観点からだけしか見ていないので、ダブルカウントにはならないのです。ただ、問題点が1つだけあります。例えば、ある人が眼の疾患で眼科にかかっていて、その方は血圧も高くて内科にかかっているという場合を考えますと、今回の総患者数推計上、こういうものは重複カウントになります。ただ、同じ医療施設で同時に、例えば高血圧で2つの医療施設を受療することはほとんどないはずですから、高血圧性疾患とか白内障というように疾患を切れば、複数医療施設を受療していることに伴う過大評価は余り出てこない。
一方、全傷病で見ると明らかに過大評価になります。今回の研究班では試算しておりませんが、以前の研究班で試算したところによると、全傷病でやると複数医療施設の受療に伴って3割か4割ぐらい過大評価になります。ですから、総患者数推計上は、全傷病を対象にしないという原則になっています。
3つ目の1.65倍についての課題は、かなり昔から知られていて、もっと早く何とかするべきではなかったかと、実は個人的に思っています。ただ、この課題の難しさというのがあります。というのも、ぴったり推計して数字が求められるという問題ではないので、実は非常に難しいのです。それで、なかなか手をつけられず、平成二十何年の研究班までは、提言に至らなかったのだと思っています。ですから、この大きな影響についての対応は、是非やっていただきたいと思っております。実は研究班としての提言の中にも、ここの文章が含まれています。これは是非、前向きに御対応いただきたいと考えています。以上です。
 
○大久保主査
事務局のほうからいかがですか。
 
○渡保健統計室長
最後の御指摘については、丁寧に説明をしていくことが重要かと思っております。まずは、今回御議論いただいていることを踏まえて、先ほど御説明したとおり、令和2年の調査から新しい計算方法で出したいと考えております。その際には旧方式も、併せて参考として出そうと考えております。ただ数字を2つ並べ続けるということについては、やはり混乱を招くのではないかと考えておりますので、御意見をお伺いしていきたいと思っております。以上です。
 
○大久保主査
津下先生、よろしいでしょうか。
 
○津下委員
はい、ありがとうございます。丁寧に御説明いただいて分かりました。最後の点だけは心配しているところなので、御検討をよろしくお願いします。また、患者数というものを、我々使う側というか見る側だと、どういうように計算されているかということは、今まで余り関心を高く持ってなかったかなという反省もあり、やはりどういう計算式で、どういう根拠で出されているかというのは、ちゃんと見ていかないといけないと思いました。橋本先生、ありがとうございました。
 
○大久保主査
ほかに御意見、御質問等はありますか。小池先生、御発言をよろしくお願いします。
 
○小池委員
よろしいですか。論点1の見直しに私も賛成ですし、設ける上限についても、13週以下というのが妥当なのかなと思います。その上で、平均診療間隔と初診の扱いという部分と、このワーキンググループで調整係数をどのように扱うのかということについて、橋本先生にコメントをいただきたいのと、調整係数については、事務局のお考えをお教えいただきたいと思っております。
まず平均診療間隔が延びているというところは、非常に説得力のある御説明を頂きました。これはあくまでも念のための確認ですが、患者調査の外来の初診の扱いというのは、初診かどうかを聞いているということは理解しています。しかし、診療報酬上は、患者が任意に治療を中止して1か月以上を経過した後、再び同一の保険医療機関において治療を受ける場合には、同一疾患同一症状であっても初診として取り扱うという扱いがあります。13週までになると、初診・再来の扱いがどうなるか、若干、気になっています。
参考の15ページの総患者数の多い疾患を見ますと、初診・再来の問題が起こりにくい、高血圧や歯周病、糖尿病、脂質異常症、気分障害等なので、大丈夫ではないかと思いますし、橋本先生の1994年の論文の中でも、総患者数に占める初診の割合そのものが3%ぐらいとして非常に少ないので、ここが多少ずれたとしても、全体に与える影響は小さいのではないかという論考もされておりますから、その後の状況も踏まえ、何か変化がなかったのかということについて、コメントを頂戴できればと思います。
また、調整係数については今回の御説明を通じて、1990年当時と現在と差がないということは分かりましたが、そもそも当時設定されていた7分の6ということについての検証が行われたかということを少し教えていただきたいと思います。1995年当時から、土曜日も半分程度は開いているのではないかとか、診療所も平日が毎日開いているわけではないということはどうかというのがありました。「厚生の指標」の1月号でも、土曜日は半日開いているけれども、患者数が他の曜日よりも多いということが書かれております。これも1994年の論文の中で、医療施設調査で1週間の外来患者数を取ったものと、患者調査の火・水・木のいずれか1日の外来患者数の比較からも考察されておりますので、恐らく限られたデータの中から、今回の結論は妥当ではないかと思いつつ、現在までの検討状況とか、これまでの研究班の中での議論についても御紹介いただければと思っております。
 
○大久保主査
それでは橋本先生、よろしくお願いします。
 
○橋本先生
小池先生、どうもありがとうございます。総患者数推計について、最初に検討されたのが柳川洋先生の研究班で、そのとき小池先生と一緒に御議論させていただいたのをよく覚えております。ですから、とても詳しい先生から御指摘を頂いて大変有り難いと思っています。まず、初診の問題については、要するに今回13週を超えた部分について、再来として扱うのか、それとも新来として扱うのかという問題です。これについては研究班でもかなり議論を行いました。ただ、そんなに大きく違わないです。小池先生も御指摘のように、それから今回もそれを分析しましたけれども、やはり5%も変わらない感じです。逆にいうと、どちらがいいのかという議論をデータから決定することが非常に難しいと。どっちもほとんど一緒だから、そんなに違わないという結論になりました。そこで研究班としての議論はどうしたかというと、特別な根拠がない以上は現行方法の変更を提案しないほうがいいだろうという議論が1つあります。もう1つは、患者調査において、再来患者数とか新来患者数は、推計患者数の中で別に表章をされているわけです。その表章と総患者数で出てくる新来患者数とか再来患者数が多少とは言いながらも違ってくるというのは、非常に混乱が起こり得るのではないかという2つの議論があって、今回は特別に御説明いたしませんでしたけれども、そういう中で、研究班の中ではかなり議論は伯仲したのですが、結論としてはやはり現行方法をそのまま踏襲して、13週以下については初診ではなく再来患者として扱うことにしました。
また、調整係数の議論については、昔議論したときよりも今回は、医療施設調査では再来患者数が表章されるようになりましたので、新来と再来を分けて議論できるようになったので、議論自体は以前よりは細かくできるようになりました。ただ、そうはいっても、これで十分かと言われると、どうもなかなか微妙な問題があります。ただ、今日御報告したように、研究班としては、歯科疾患の部分については議論を残しつつも、それ以外の部分については、患者数の面から言うと、どうやら7分の6がいいのではないかと。医療施設の開設状況が、何曜日が開いているかという状況を見ると、なかなか微妙なところですけれども。それから御指摘のとおり患者調査そのものも、火、水、木ではなくて、火、水、金から抽出するとか、そういう変更が行われておりますので、その変更も検討の中に入れて議論をしたのですが、結局、現在の状況から考えると、どうも7分の6がよさそうだということになっています。ただ、曜日別の患者数が得られているわけではありませんので、その意味で、積極的に変えるという議論をするためには、もう少し曜日別の患者数とか、そのほかの議論をするべきではないかと、個人的にはそう思っています。とにかく、研究班の結論としては現行のままでいいのではないかという結論となりました。以上です。
 
○大久保主査
ありがとうございます。事務局から調整係数についていいですか。
 
○渡保健統計室長
橋本先生に御説明いただきましたのと、同様の考え方です。今回1つ御議論いただいております平均診療間隔につきましては、30日を変更したほうがいいのではないか、91日が良いのではないかというところまで御研究、御検討いただいていますが、調整係数のほうは、そこまでの研究成果やデータ等がそろっていないのではないかと思っております。御指摘いただいているような課題は残ると認識しておりますけれども、今回については、調整係数は変更しないというところで考えております。
 
○大久保主査
小池先生、よろしいですか。更に追加の御意見はございますでしょうか。樋田先生、何か御意見等はございますでしょうか。
 
○樋田委員
平均診療間隔の推計値が、どのくらい精緻に行われているのかということが重要なことかと思います。前回診療日情報がある調査票は、全調査票の中でどのぐらいの割合を占めているのか、あるいは、前回診療日情報の欠測割合を教えて下さい。また、この欠測は、推計値に与える影響が十分少ないと評価できるのか教えていただければと思います。数回の患者調査データの分析をされている中で、前回診療日情報の欠測に、例えば1996年には欠測率が少なかったのが、2014年には欠測率が増えているとか、そういう傾向はあるのか教えていただければと思います。最後に、前回診療日情報には、傷病別に欠測のパターンがあるのかどうかでしょうか。もしパターンがあるのであれば、そのパターンが平均診療間隔の推計に影響を与えるようなパターンであるのかどうかを、御検討されているのであれば教えていただければと思います。以上です。
 
○大久保主査
ありがとうございます。では、橋本先生、お願いします。
 
○橋本先生
御質問ありがとうございます。まず、診療間隔が不明と、前回の診療年月日が不明というデータは、実は極めて少ないです。すみません、今は数字を持っていないので正確な数字が出せないので、多分そちらのほうで示していただけると思いますが、我々としては、その不明がどの程度あるのかという検討そのものは行いました。非常に少ないので、それをどう取扱いをするかということは、平均診療間隔の場合、基本的には普通の欠損処理という形で今回は取り扱っています。それで、それほど大きな問題はないのではないかと考えています。それは確かに、みんな13週であるとか、みんな0日であるとかという仮定を入れると、結構それは影響が出ますけれども、よほどそういう仮定でも入れない限り、そういう極端なことを入れない限りはそれほど影響が出ないということは確認をしました。
それから年次変化については、ちゃんと記憶がなくて申し訳ありませんが、ちょっと増えていたかもしれないというくらいだったような記憶があります。ただ、不正確なので、この点については、後で確認をしたいと思っております。
それから疾患との関係については、特別な検討をしておりません。非常に少ないので、疾患別の議論は行いませんでした。以上です。
 
○大久保主査
数としては非常に少ないのではないかと、橋本先生の御発言がありましたが、今は確かなデータがあるのではないかと。
 
○渡保健統計室長
事務局です。前回診療日の欠測の割合は2、3%です。例年2、3%台で、特に傾向というのもございません。
 
○大久保主査
樋田先生、よろしいでしょうか。
 
○樋田委員
欠測の割合が非常に少なくて、特にパターンがないということであれば問題ないのかなと思います。ありがとうございました。
 
○大久保主査
時間がもうちょっとありますので、ほかに。この際ですので。また次回ありますが、次回の検討課題も含めて御意見あればと思います。私から1つ、質問なのですが、1.65倍になるということで、その前の推計方法と2つ出すという話でしたが。それは何年まで遡るのか。決まってなければ決まってないでいいです。
 
○渡保健統計室長
これから出す令和2年の調査につきましては、今回決めていただいたもので、新しいもので出すのと同時に、旧推計も参考でお示ししようと思っております。特段の遡りはしないと考えておりますけれども、今回御議論いただきまして、91日上限でというお話ですので、それを踏まえて、次回ワーキングで御議論いただく資料としては、ある程度のものは作りたいと思っておりますが、これから検討させていただきます。
 
○大久保主査
当面は令和2年ということです。橋本先生の資料にもありましたけれども、遡れば遡るほど倍率というか、数が増える、平均診療間隔が最初のほうは10日以下だったのが、段々伸びてきているので、遡ると比率は増加すると考えていいのですか。
 
○橋本先生
実は、診療間隔というのはどんどん伸びておりますので、13週よりも長い部分、あるいは30日よりも長い部分というのは、昔に行けば行くほど少なくなっているというわけです。つまり、影響が大きいのは最近の部分であって、だから2014年が一番大きな影響であって1.65倍。おそらく令和2年は、それよりも影響は大きくなるだろうと思います。逆にいうと1990年ぐらいまで遡るとほとんど、1.ちょっとになる。非常に、影響がどんどん小さくなります。昔に遡れば遡るほど大した意味がないということになってはきます。ただ、どこまで遡るべきかというのは、また別の議論だとは思います。以上です。
 
○大久保主査
橋本先生、ありがとうございました。先生おっしゃるとおりで、私が少し誤解していたようです。ありがとうございます。津下先生どうぞよろしくお願いします。
 
○津下委員
直接関係するものではないですけれども、今回議論している患者調査は主傷病名で統計を取っているということですが、調査票には副傷病名について全て取っています。例えばどういう疾患にほかのどのような疾患が合併しやすいか、などが分かるのですが、副傷病名も含めて出されているものが公表値としてございますでしょうか。
 
○大久保主査
これは事務局でよろしいですか。
 
○渡保健統計室長
調査票に副傷病を載せておりますので、その結果もお示しておりまして、例えば主傷病と副傷病を掛け合わせたような表というのをお示ししております。e-Statで統計の結果を見ていただきますと、副傷病を使った表も幾つか御覧いただけると思います。推計については、基本的に主傷病でやっているものですけれども、副傷病を使った表も作っております。
 
○津下委員
ありがとうございました。
 
○大久保主査
予定の時間は残り5分ですので、いろいろ御意見があるかと思いますが、最後の1つとして、どなたか御意見、御発言があればと思いますが、よろしいでしょうか。特にないようでしたら、今日いろいろな御意見が出まして、おおむねというか、91日を上限とするということについては、皆様の了解を頂いたということですけれども、それ以外の御意見もいろいろ出ていました。本日出されました御意見を踏まえて、次回、このワーキングで更にしっかりとミーティングしていきたいと思っております。
また、まだちょっと時間の関係で発言できなかった、若しくは後からこういうことも最後に確認したいということがありましたら、今月中に事務局宛にメールで御連絡を頂ければと思います。事務局の方には、今回出された御意見について整理していただいて、次回のワーキングで更に検討していきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
一応、本日予定しておりました議題は、時間がまいりましたので、これで終わりたいと思いますが、事務局から何か御案内等はございますでしょうか。
 
○奥垣統計企画調整室長
1点、御報告事項がございます。最初に御説明いたしました参考6の患者調査における「平均診療間隔」及び「総患者数」の算出方法等の見直しに関するワーキンググループの設置要綱を御覧ください。2.「本ワーキンググループは令和3年3月までに検討を行い、検討結果を検討会に報告する」となっていますけれども、次年度も引き続き検討をお願いしたいと考えております。したがいまして、本要綱は、「厚生労働統計の整備に関する検討会」の座長にお諮りした上で、要綱の改正をさせていただく予定でございます。
 
○大久保主査
事務局としては、これでよろしいでしょうか。事務的なお話だと思いますのでよろしくお願いいたします。それでは、事務局にバトンをお返しいたします。
 
○奥垣統計企画調整室長
皆さま、本日は長時間にわたり御議論いただきありがとうございました。また、一部ネットワーク環境が悪く、御迷惑をお掛けいたしまして申し訳ございませんでした。これをもちまして、第1回患者調査における「平均診療間隔」及び「総患者数」の算出方法等の見直しに関するワーキンググループを閉会いたします。
次回のワーキンググループにつきましては夏頃の開催を予定しておりますが、日程調整を含み、別途、事務局より御連絡いたしますので、皆様方におかれましては御協力いただきますようお願いいたします。本日はお忙しいところを本当にありがとうございました。
 
○大久保主査
ありがとうございました。

(了)

照会先

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