2021年3月5日 第3回厚生労働省統計改革検討会 議事要旨

日時

令和3年3月5日(金)

場所

書面開催

出席者

<構成員(五十音順、敬称略)>

 

<オブザーバー(敬称略)>

議題

(1)厚生労働省 統計改革ビジョン 2019 の進捗状況 等
(2)その他

議事

 
議題1:厚生労働省統計改革ビジョン2019の進捗状況等について(資料1~3)
統計改革の進捗状況を整理した資料1~3について、次の評価及び意見等をいただきました。
 
(1)資料2「1.ガイドラインの作成とPCDAサイクルの着実な実施」について

(梶木委員)
○ 統計標準ガイドラインに沿って業務計画が進行しており、着実に改革が実施されていると思われました。コンプライアンスチェックについては、今後、調査対象数を増加させる必要はあるものの、まずは大きな不適正事案が認められなかった点を評価したいと思います。
 
(神林委員)
○ 個別マニュアルの試行作成が今年度の工程に含まれていますが、5ページでは個別マニュアルを構成する、統計実施計画書と業務マニュアルともに「記載イメージ」と書かれており、実際に試行作成したのかどうかはっきりとしません。どの段階まで進行しているのかを明記すべきと考えます。
(事務局から)
 厚生労働統計のうち8つについて、今年度中に統計実施計画書及び業務マニュアルの作成をおおむね完了しましたので、その旨、資料(資料2の3ページ)に追加します。
 ただし、業務フロー図は、未完成の部分がありますので、次年度以降、対応します。
 それ以外の統計についても、順次、個別マニュアルの整備を進めます。
 
○ ガイドラインに基づく統計実施計画書にもあるように、調査には担当者から委託機関まで、さまざまな主体が関わります。コンプライアンスチェックは、どの階層の関係者にも関わることと思いますが、調査客体からの情報では、最末端の調査担当者のコンプライアンスしかチェックできないと思われます。関係各機関のコンプライアンスチェックをどう実施するかを再検討する必要があると思います。
(事務局から)
 今年度は、統計委員会、統計改革推進会議における議論を踏まえ、まずは、実査現場でのチェックの仕組み作りに優先して取り組みました。ご指摘については、当省としても課題と認識しています。今後、政府全体の動向を踏まえ、関係機関の確認方法について、検討します。
 
○ 国民生活基礎調査でのコールセンターの導入は、新型コロナウィルス感染症対策として位置づけられていますが、統計業務の外注の一環とも解釈できるので、統計標準ガイドラインとも関係すると思います。コールセンターの設置をガイドラインに含め、その先行実施として国民生活基礎調査を位置づけることができればよいと思います。
(事務局から)
 ご指摘を踏まえ、今後、ガイドラインの内容の整備に努めます。
 
(美添委員)
○ 統計標準ガイドラインの作成は優れた取り組みと思います。全体で1000ページにもなる資料であれば、統計担当職員の負担が増加することを懸念しましたが、必要に応じて外部のコンサルティング機関も活用しているとのことでしたので、安心しました。
○ 4ページで「課室長は、統計実施計画書に沿って業務が行われているか職員の監督を随時実施」と記されていますが、「監督」という表現は、心情的に厳しすぎると感じました。毎月勤労統計調査事案のときに、部下の意見を十分に吸収しなかった点の反省を記すとすれば「日常的に業務内容を確認し、必要な助言を与える」などの表現が適当と思います。このような表現は、過去の厚労省の文書でも見たような記憶があります。
○ コンプライアンスチェックについて、今回、初めての試みと伺って、やや意外でした。私の知る限り、ほとんどすべての統計調査では、調査客体に対する事後的なチェックを実施しています。厚労省の統計でも、このような品質管理を、主要な統計すべてに対して導入してください。
(事務局から)
 ご指摘を踏まえ、資料を(資料2の4ページ)を修正します。
 また、コンプライアンスチェックによる品質管理を厚生労働統計の企画・作成から公表までの一連の過程に位置づけるよう、今後も取組を進めます。
 
(2)資料2「2.情報システムの適正化」について

(梶木委員)
○ 今回の新システム構築に当たっては、予算要求・査定の制約はあるものの、省内各局・各課における統計業務に共通のものとして進めることが有益と考えます。費用対効果の面ではもちろんのこと、従事する職員に幅広い活躍(省内異動)の場を与えることにもつながると考えます。政府主導のIT政策とうまく連携できるよう工夫して頂きたい。
(事務局から)
 ご指摘のとおり、新システム(次期統計処理システム)では、統計改革ビジョンに記載されている「幹部職員や人事異動後の職員でも容易にコンピュータ処理の内容が理解しやすいアーキテクチャ(設計概念)」を取り入れたシステムを目指します。また、構築・運用に当たっては、省内の情報政策担当部門と調整の上で実施します。
 
(神林委員)
○ 工程表ではAIやRPAなどの導入に向けた調査研究が今年度、来年度には実機検証に移ることになっています。8ページの<システム共通>にあげられた2つのポイント、ともに(具体的にはそれぞれ9ページと10ページ)、可能性を並べただけのようにみえ、来年度の実機検証に含めることができるように思えません。資料3の来年度予算では、「統計業務の改善」の「厚生労働省統計処理システムの今後の方向性に係る概念実証に関する調査研究の実施」に似た記述がみえるので、この点は来年度にずれ込んでいるのかもしれません。進捗が遅れているのであれば、どの程度遅れており実機検証に影響が出るかどうかを記述する必要があると思います。
(事務局から)
 来年度実施する「実機検証」に関しては、想定される次期統計処理システム環境の中で、利用の可能性があるプログラム言語の動作、実行結果の同一性の確認などに特化して実施する予定です。
 なお、ご指摘の9ページ「今後の統計処理システムに向けた移行方針」や10ページ「ICT技術の統計処理システム活用方法の検討」の予定に関しては、8ページ「2021年度(令和3年度)の取組方針」に記載している「要件定義」において具体的に反映予定で、工程表のスケジュールに沿って進めています。ご指摘を踏まえ、資料(資料2の8ページ)を修正します。
 
(美添委員)
○ システム共通では汎用的な言語ないしツールを用いる一方、毎月勤労統計調査については C/C++を導入するという記述で、その中間が存在しないようにみえます。実際には従来どおりSASやSPSSなどを利用すると確認できましたが、公表資料にもその程度の記述があると理解しやすいと思いました。いずれにせよ、汎用的なツールを採用することによって、今後、多数の職員によって加工・修正が可能となるという意味と理解します。
(事務局から)
 現行システムで提供しているSASやSPSSといった汎用的なツールは、システム共通(次期統計処理システム)でも提供を予定しています。なお、具体的な製品名については、政府調達を行う関係で仕様書に記載できないものの、ご指摘のとおり、次期統計処理システムで導入するソフトウェアは、汎用的なものを採用する予定です。
 
(3)資料2「3.組織改革・研修の拡充等」について

(梶木委員)
○ 研修の実施によって「資格」を付与することは良い試み。給与やポストとの関連を持たせれば将来の人事政策にも有効に活用できると感じました。
(事務局から)
 統計データアナリスト等の資格については、統計人材プロファイルに取り込み、今後の人事政策に活用していきます。
 
(美添委員)
○ 人材育成への取組みを評価します。さらに、次のような方法が考えられます。
・データアナリスト、データアナリスト補の人材を増やし続けること。
・総務省統計研究研修所の研修を受講した職員が、省内で講師として教育を担当する機会を作ると、自分自身の理解を高めることができます。
・客観的な能力の指標である「統計検定」(日本統計学会公式認定)を活用してく ださい。統計改革の点検の際には、各府省で資格所有者数が報告されました。そのとき、統計検定の資格所有者数は、最も多かった統計局は30名ほどでしたが、厚労省は少なかった。統計検定などの資格所有者数を公開することは、厚労省が作成する統計の品質保証にもつながります。
(事務局から)
 まずは、政府全体の取組である統計データアナリスト等の人材育成を第一としつつ、ご指摘の省内講師の機会創出、統計検定の活用についても、省内における統計の人材育成方針を推進する過程で実践・検討します。
 
(4)資料2「4.データの利活用・一元的な保存の推進」について

(梶木委員)
○ 調査票情報の二次利用に関する審査期間がやや長期化していると感じました。個人情報保護の観点からの提供データ自体の調整は必要としても、元々データ自体に機微にわたる秘密性が少ないと感じていたため、申請自体について広範なチェックは不要との印象を持っていましたが、長期化した特別の理由があるのでしょうか。
(事務局から)
 統計法第33条に基づく申請(政策統括官(統計・情報政策担当)分))の平均審査日数は、平成30年度は47日、令和元年度は99日と2倍以上増加しており、審査時間は長期化しています。
 その理由としては、平成30年6月以降の統計法をはじめとする関連法令等の改正を受けて、申請書類の増加や申請様式の大幅な変更を行ったこと、また、これに伴い、申請書類に疑義がある場合の確認や、申請書類の不備対応に時間を要し、審査日数が増大したものと考えています。なお、今年度改定された総務省ガイドラインを踏まえ、令和3年3月下旬までに厚生労働省事務処理要領の改正を行い、様式等の見直しの一部を先行して行う予定です。
 
(川口委員)
○ 厚生労働省データ利活用検討会に参加させていただきましたが、行政データの利用について、雇用保険データ、年金データの利用可能性について事務局の方に詳細な資料をご準備いただきました。検討の中で既存統計の代替という観点からは難しい部分があることがわかりましたが、同時に様々な分析を行える可能性があることもわかりました。検討会座長のとりまとめもそのようなニュアンスだったと思います。
今後どのような時間軸で、どの行政データの利用を検討するのか、が今回の資料では不明です。より具体的な記述を記載していただけないでしょうか。
(事務局から)
 ご指摘を踏まえ、資料(資料2の15ページ)を修正します。
 
(美添委員)
○ 厚生労働省データ利活用検討会で外部有識者の意見を聞いている姿勢を評価します。なお、いくつかコメントします。
・統計法33条などによる、二次利用申請に対する審査は容易ではないため、急に増やすことは困難と思います。一方、二次利用の拡大は、新統計法の精神でもあり、避けて通れない課題です。具体的な対策として、審査を容易にするようなデータベースと審査システムを構築することが適当と考えています。このシステムは厚労省単独ではなく、各府省で協力して、総務省が主導すべきものですが、厚労省としてもあらかじめ課題を整理しておけば、実現が近づきます。
・主な利活用促進策に記してある「行政記録情報により補完的な情報が得られないか検討を進める」という方針は歓迎しますが、1つか2つ、具体的な改善可能性を示さなければ高い評価は得られないと思います。統計として活用できる情報は業務統計として公表していることは、どの府省でも主張することで、言い訳と受け止められてきました。
(事務局から)
 システムについては、ご指摘があったことを総務省に伝え、対応方針を検討します。
 また、行政記録情報の活用については、デジタル庁設置の動向に関連して、「データ戦略タスクフォース第一次とりまとめ」(令和2年12 月21 日デジタル・ガバメント閣僚会議決定)に盛り込まれている、ベース・レジストリ整備の動きを踏まえて検討を進めます。
 
(5)資料2「5.EBPMの実践を通じた統計の利活用の促進」について

ご意見等なし
 
(6)資料3「令和3年度予算案の概要」について

(神林委員)
○ 4.6億円の内数は、具体的に記述するべきではないでしょうか。
(事務局から)
 令和2年度予算では、プロジェクトを一体的に進める観点から、「厚生労働省統計作成プロセスの標準化及び統計処理システムの今後の方向性に関する調査研究経費(4.6億円)」として予算措置を行いました。令和3年度予算においては、個別にプロジェクトを進めていくため、「厚生労働省統計処理システムの今後の方向性に係る概念実証に関する調査研究の実施」と「毎月勤労統計調査の全国集計移行・開発業務」に分けて予算要求をしています。
 

照会先

政策統括官付参事官付統計・情報総務室 坂部

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