第21回 厚生労働省国立研究開発法人審議会高度専門医療研究評価部会 議事録

日時

令和3年1月14日(木) 15:00~17:30

場所

オンライン開催(磯村ビル3階 会議室)

出席者

委員

議題

  1. 開会
  2. 議事
    1. (1)次期中長期目標(案)について
    2. (2)その他
  3. 閉会

配布資料

資料1 国立高度専門医療研究センター第3期中長期目標(案)目次
資料2 国立高度専門医療研究センター第3期中長期目標(案)の概要について
資料3 国立高度専門医療研究センター第3期中長期目標(案)一覧
資料4 国立高度専門医療研究センターの評価に関する主な評価軸(案)等について
参考資料1 中長期目標・計画策定 スケジュール
参考資料2 「業務・組織全般の見直し」と第3期中長期目標(案)の対応状況
参考資料3 独立行政法人の目標の策定に関する指針(抜粋)

議事

第21回 厚生労働省国立研究開発法人審議会高度専門医療研究評価部会

○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室星野室長補佐
それでは、定刻となりましたので、只今から第21回「厚生労働省国立研究開発法人審議会高度専門医療研究評価部会」を開催いたします。
委員の皆様には、大変お忙しい中、お集まりいただき、誠にありがとうございます。
議題に入るまでの間、議事進行を務めさせていただきます、研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室の星野と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、斎藤委員が1時間ほど遅れての御出席と、花井委員が17時頃御退席という御連絡をいただいております。出席委員に関しましては過半数を超えておりますので、会議が成立することを御報告いたします。
それでは、医政局研究開発振興課長の笠松より御挨拶をお願いいたします。
 
○医政局笠松研究開発振興課笠松課長
研究開発振興課長の笠松でございます。本日は、お忙しい中、お時間をいただきまして、ありがとうございます。
新型コロナ感染症の関係で、前回同様オンライン開催とさせていただいております。
本日の会議でございますが、ナショナルセンターの6NCの中期計画が今年度で終了いたしますことから、今回の部会では、次期の中長期目標の策定をするに当たって、委員の皆様から御意見をいただくものでございます。
前回開催しましたときに、御議論いただく時間を十分に取ることができなかったということがございましたので、今回、少し時間を長く取らせていただいたのと、事前に資料を御覧いただいて今日を迎えていただいているところです。何せ6NCについて、それぞれNCの研究開発、医療、政策への提言・貢献、そして運営といった多岐にわたる項目でございますので、事務局の方から御説明をさせていただきたいと思いますが、様々な御視点からの御意見をいただきますよう、先生方、何とぞよろしくお願い申し上げます。本日はよろしくお願いいたします。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室星野室長補佐
それでは、会議の進め方について御説明いたします。
本日はオンライン会議となっておりますので、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようにお願いいたします。
御発言の際は、Zoomサービス内の「手を挙げる」ボタンを押していただき、座長の指名を受けた後に御発言をお願いいたします。発言の際は、マイクのミュートを解除いただきますようにお願いいたします。
また、資料の内容について御発言される場合は、資料番号、該当ページを明言いただくようお願いいたします。
さらに、御発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
なお、進捗管理のため、事務局よりチャット機能を利用して、経過時間等を画面に表示させていただきますので、あらかじめ御承知おきください。
続きまして、本日の議事の説明に入らせていただきます。
本日の議事は、本年度がNCの中長期目標期間の最終年度に当たるため、NC6法人の次期中長期目標(案)について御議論いただきたいと思います。
国立研究開発法人の中長期目標につきましては、研究開発成果の最大化に関する事項を定めるとともに、総務大臣が決定した独立行政法人の目標の策定に関する指針に基づき策定することとされております。
また、中長期目標の策定に当たっては、独立行政法人通則法第35条の4第3項及び第4項の規定に基づき、あらかじめ、総務省に設置された独立行政法人評価制度委員会の意見を聴くとともに、それに先立って、各府省に設置される研究開発に関する審議会の意見を聴かなければならないとされているところです。
このため、本日は、国立高度専門医療研究センター6法人の次期中長期目標(案)について御審議いただきたいと思っております。
次に、次期中長期目標の策定に係る今後のスケジュールでございますが、参考資料1でお示ししているとおり、本日の部会と1月26日に開催される総務省の独立行政法人評価制度委員会の意見を踏まえて、財務大臣の協議を経た後、2月中旬から下旬をめどに厚生労働大臣が目標を策定し、法人に指示するとともに公表を行います。
法人は、次期中長期目標を受けて次期中長期計画を策定し、法人から厚生労働大臣へ認可の申請がなされ、大臣がこれを承認するという流れになっております。
それでは、本日の会議資料の確認をお願いいたします。
委員の皆様におかれましては、議事次第、資料1~4、参考資料1~3がお手元に御準備されていますでしょうか。
資料1は、次期中長期目標(案)の目次となります。第2期中長期目標からの目次上の変更点は下線の引いてある2か所になります。内容については後ほど議事の中で御説明させていただきます。
次に、資料3は、6センターの次期中長期目標(案)の全文を一覧に並べた資料になります。本日はこちらについて御審議いただくこととなりますが、目標(案)の内容は資料2に概要をまとめておりますので、この後の議事で資料2を用いて目標の御説明をさせていただきます。
資料4は評価軸になります。評価軸についても議事の中で御説明させていただきます。
参考資料1は、中長期目標と中長期計画策定までのスケジュールをお示ししています。
参考資料2は、昨年9月に本部会で委員の皆様に御審議いただきました「業務・組織全般の見直し」と次期中長期目標(案)の対応表となっております。次期中長期目標(案)は「業務・組織全般の見直し」を踏まえて作成しておりますが、具体的な反映状況につきましては、本資料により御確認いただくことで代えさせていただきます。
最後に、参考資料3は「独立行政法人の目標の策定に関する指針」の該当箇所を抜粋したものを参考として添付しております。
本日の議事の流れですが、全体を5つのパートに区分し、パートごとに説明を行った後、皆様から御意見をいただくこととしております。
具体的には、資料1の目次のうち、1つ目のパートとして「第1 政策体系における法人の位置づけ及び役割等」と「第2 中長期目標の期間」について。
2つ目のパートは「第3 研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する事項」のうち「1 研究・開発に関する事項」について。
3つ目のパートは、第3のうち「2 医療の提供に関する事項」と「3 人材育成に関する事項」「4 医療政策の推進等に関する事項」について。
4つ目のパートは、「第4 業務運営の効率化に関する事項」について。
5つ目のパートは、資料4により「評価軸について」を御審議いただきますようお願いいたします。
事務局からの説明は以上です。何か御質問等ございますでしょうか。
それでは、今後の進行は祖父江部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
○祖父江部会長
どうもありがとうございました。それでは、早速始めたいと思います。
前回、時間が非常に少なかったということもございまして、今回少し時間を長めに取っていただいたということでございます。ただ、内容が非常に多岐にわたっておりまして豊富でございますので、それでも中々時間が足りなくなるかもしれませんが、全体として2時間ぐらいということでよろしくお願いしたいと思います。
それでは、初めのパートは法人の役割・中長期目標期間について、でございます。
まずは事務局から御説明をお願いいたします。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
それでは、資料2に基づいて説明をさせていただきます。
まず、資料2の1ページ目を御覧いただきたいのですが、この資料の見方について、まず簡単に御説明申し上げます。
この資料ですが、第3期中期目標(案)の項目ごとにポイントとなる部分を抜粋しております。実線で囲っている部分につきましては、6NC共通で記載する事項でございまして、一方、破線で囲っている内容につきましては、各NC個別に記載する内容を表しております。そして、文章中の朱書きあるいは下線で書いている部分は、次期中長期目標で新たに位置づける内容を表しておりますので、その点、御覧いただければと思います。
基本的には、資料3のほうが全文を表すものでございますけれども、6NC全ての全文を説明するとやや時間が足りなくなるおそれもございますので、資料2を中心にポイントを絞って御説明させていただきますので、よろしくお願いします。
それでは、資料2の「第1 政策体系における法人の位置づけ及び役割等」について、まず御説明いたします。
1に書いておりますのは、国の政策体系上の法人の位置づけでございます。基本的には前回、第2期中と変わりませんが、健康・医療戦略推進法に基づくもの、あるいは厚生労働省が掲げる政策体系における基本目標、施策目標を踏まえて、研究開発の推進・政策医療を向上・均てん化させることを記載しております。
2に「法人の役割(ミッション)」が書かれております。6NC共通のものとしましては、国立研究開発法人に関する法律あるいは独立行政法人通則法に基づいて、我が国における科学技術の水準の向上を通じた国民経済の健全な発展その他の公益に関する研究開発の最大限の成果を確保すること等が掲げられています。
中でも、研究開発及び医療の提供のところにつきまして、ポツで4つございますけれども、少し追記をしておりますのが3つ目のポツでございまして、医療の質の向上に必要な指標・根拠に基づく医療(EBM)・個別化医療の確立に資するような研究開発というものを明示的に書いて、しっかりと進めていただきたいということを記載しております。
そして、4つ目のポツでございますけれども、コホート等の研究基盤の整備とNCをはじめとする研究機関間のデータシェアリングを明示して、重点的に取り組んでいただきたいということを記載しております。
次に「3 法人の現状及び課題」についてでございます。各法人それぞれ現状と課題が異なりますので、別々の内容となっております。
国立がん研究センターでございますけれども、御承知のとおり、がん疾患全体の本態解明に至っていないというところもございますし、中でも希少がんや難治がん、小児がん、AYA世代、高齢者のがん、これらの医療の提供に当たっての有効な診断・治療法が開発されていないことが課題として掲げております。
次に、国立循環器病研究センターでございます。予防医療による発症の遅延化、症状の軽減化等々ございますが、加えて循環器病領域においても遺伝性の関与を示す疾患が存在するということから、その原因遺伝子の同定や適切な治療法の研究開発の推進が期待されるということでございます。
次に、国立精神・神経医療研究センターでございます。国民の5人に1人が何らかの脳あるいは心の問題を抱えているという非常に大きな課題ということと、未診断疾患イニシアチブ(IRUD)の代表機関として、難病やゲノム医療の一層の研究発展を図っていく必要があるということでございます。
次に、国立国際医療研究センターでございます。今般のCOVID-19のほか、多様な新興・再興感染症における健康危機の問題に備えて、感染症危機対応のための体制と人材育成の強化を図る必要があるということ。そして、その他、臨床、国民啓発、政府政策の支援、国際協力など幅広い領域において主導的な役割を果たしていただきたいということでございます。
国立成育医療研究センターでございますけれども、この領域においても、例えば発達障害や、肥満、糖尿病と合併した疾患といった新たに原因不明の疾患が判明するなど本態解明に至っていないような疾患がございますので、そこの原因分析や診断法、治療法の研究開発の推進が期待されるということでございます。
国立長寿医療研究センターでございますが、フレイルの予防や介入により、要介護の大きな要因である運動器疾患などの認知症の要因を減らすということや、介護ロボットの開発等々につきまして、現場のニーズを踏まえつつ社会実装を目指すということを掲げております。
その後、6NC共通のことでございますけれども、これらの研究開発を支えるために必要な専門領域が多様化しているということもございますので、研究支援に係る専門性を有する人材の確保を図ることや、ゲノム医療や医療情報基盤など6NCの分野横断的な領域について、6NCでの相互連携が重要であるということを課題として掲げております。
次のページを御覧ください。「法人を取り巻く環境の変化」でございます。
6NC共通としましては、令和2年3月27日に改定がされました健康・医療戦略において、診断・治療に加えて予防の重要性が増すということや、罹患しても日常生活にできるだけ制限を受けずに、疾病と共生していくための取組が望まれているところでございます。加えて、AIやロボット、ビッグデータなどの利活用を進められる分野として医療・介護分野がございまして、創薬等の研究開発の進展や、ゲノム解析などの技術を生かした新たなヘルスケアサービスの創出等が見込まれているというような環境変化がございます。
「5 国の政策・施策・事務事業との関係」でございます。NCは、先ほど申し上げました健康・医療戦略に即して策定されました「医療分野研究開発推進計画」を踏まえたゲノム医療や個別化医療の実現、基礎研究から実用化までの一貫した研究開発、これらについて重点的に取り組むとともに、各研究開発の質の向上に努めることが必要であるということでございます。そして、各センターが担う疾患につきましては、それぞれの疾患に関連する法令や政策等を踏まえて、研究開発の推進や医療の提供に努めるということが求められております。
次に、「第2 中長期目標の期間」でございます。これは第2期中期目標と同様6年間を予定しておりまして、令和3年4月から令和9年3月までを目標期間として定めたいと考えております。
私からの説明は以上でございます。
 
○祖父江部会長
どうもありがとうございました。今の御説明に対しまして、質疑というかコメントでも何でもよろしいかと思いますが、一応10分ということで時間を取っておりますので、これは手挙げですか。チャットに出てまいりますか。どのようになっていますか。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室星野室長補佐
御発言の際は、Zoomのチャット機能を用いて、「手を挙げる」というボタンがありますので、そちらのほうを押して御発言いただければと思います。
 
○祖父江部会長
花井先生からよろしくお願いします。
 
○花井委員
ありがとうございます。手短に。2ページのセンターごとの現状と課題のところで、国際だけが、前段が感染症の人材強化で後段はいろいろやりますと書いてあって、肝心のリサーチのこと、研究に関して書いていないのです。国際はこれまでの議論でも、6NC間のデータシェアリングで中心的な役割を担えないかという議論もあったので、総合病院を持っているということから、いわゆる6NCの研究開発について何か国際として役割があるようなことはないとおかしいかなと思いました。なので、国立国際医療研究センターが総合病院を持っているという特性から、6NCの中でどのようにリサーチで役割を果たすのかという課題についてはあったほうがいいように思いました。以上です。
 
○祖父江部会長
厚労省の方、今の御質問に対して何かございますか。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
資料3の3ページ目を御覧いただければと思います。花井先生がおっしゃるとおり、概要として抜粋したところにはそうした要素が多く含まれていないのですが、資料3の3ページ目にございます「法人の現状及び課題」というところでは、もう少し具体的に各疾患における取組内容などを記載させていただいているところでございます。
 
○花井委員
これは抜粋になっているので、こちらを見なければいけないのですね。申し訳ないです。
 
○花井委員
国際だけが研究開発に関して何もなかったので、ちょっと気になったので、申し訳ないです。分かりました。
 
○祖父江部会長
他によろしいでしょうか。何かございますでしょうか。後の方でまた細かいそれぞれの課題の各論的なことが出てまいりますので、そことオーバーラップする部分もちょっとあるかと思いますが、何かここでございますか。福井先生、どうぞ。
 
○福井部会長代理
今、祖父江先生がおっしゃったとおり、どこで話をしていいかよく分からないのですけれども、いくつか意見を述べたいと思います。
1ページの下から5行目辺りに「医療の質の向上に必要な指標」という言葉が今回新たに入っていますので、ぜひ質指標クオリティ・インディケーターを用いた質の改善の動きに加わっていただきたい。私は十数年間、厚生労働省から研究費をいただいて、この関係の調査研究をやってきましたが、6つのナショナルセンターにはあまり熱心に加わってきてもらっていないように思います。医療の質の向上を言う以上は指標を測定して、それを改善している、またはほかの病院と比べてこんなにレベルの高い医療を提供しているということが分かるような活動をぜひお願いしたい。
2点目です。国立循環器病研究センター、長寿医療研究センター、がん研究センターでは、予防という言葉がかなり頻繁に出てきております。ほかの国の施設が関わっていると思いますが、予防とか国民の行動変容について横断的に取り組む施設があったほうがいいのではないかと考えます。
つまり、重要なミッションが公衆衛生の向上及び増進だと思いますが、そこのところを正面から扱う部署というか、6つのナショナルセンター全体を横串でまとめるようなファンクションを持った部署なのか部門があったほうがいいのではないかと思いました。
 
○祖父江部会長
どうもありがとうございます。今の福井先生の御発言に対して、厚労省の方から何かコメントはございますか。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
特に2点目の予防に関する視点でございますけれども、この部分につきましては、例えば国立国際医療研究センターや他のセンターでも、箇所箇所では時々表現として出てきているところでございまして、ある意味、ほかのNCも含めて少し大きな課題であるとは認識しております。記載の仕方につきましては少し検討もさせていただき、今後、個別に御説明をさせていただきたいと思っております。以上でございます。
 
○祖父江部会長
どうもありがとうございました。ちょっと時間が来ておりますが、今の福井先生の予防ということが今後の非常に重要な課題だというのは今までの議論の中でも少しずつ出てきたのですが、ここへ来て予防という言葉がかなりいろいろなところに出てまいりました。では、予防をやっていくのにどういうやり方でどういうアプローチをしたらいいのかというところが、言葉としてはあるのですが、具体的にどうやって攻めるのかというところが出ていないので、また後で議論することになると思いますが、今、福井先生もちょっと触れられましたけれども、例えば6ナショセン共有のあるいは全国的なものでもいいのですが、コホートをずっと追いかけて、どういう形質が疾患の発症に関わるかというような、そういう大規模なベースをどこかでやらないと、なかなか本当の予防につながらないかもしれないなと思っているのです。その辺はまた各論のところで議論ができたらと思います。 どうぞ。
 
○医政局笠松研究開発振興課笠松課長
関連して、事務局のほうでございますけれども、個別のところで書いてあるというのは先ほど室長から申し上げたとおりです。また、後ほど御議論の対象になるかと思いますが、社会医学、公衆衛生、それから予防、行動変容といったところについては、6NCそれぞれの研究ということはもちろんありますが、かなり共通する部分がございます。それで人材育成、研究コホートというような共同でやっていくという部分もかなり大きい部分がございます。これはJH、6NC共通組織の中でいろいろなことをやっていこうということの大きな柱の一つになっております。こういったところは後ほど御説明申し上げることになると思いますが、柱は社会医学、行動変容、予防、そして研究支援の人材育成といったところをまた御議論いただければありがたいと思います。よろしくお願いします。
 
○祖父江部会長
分かりました。ありがとうございます。時間でございますので、また後で各論のところでいろいろ議論できると思いますので、先へ進ませていただきますがよろしいでしょうか。
それでは、2つ目のパートに進みたいと思います。ここは研究開発に関する事項についてということで、今の御質問とか御議論が少し個別的にうたわれておりますので、ここでもう少し議論が深まるのではないかと思います。まずは事務局から御説明をお願いできますでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
それでは、先ほどの資料2の3ページ目、第3にあります「研究・開発に関する事項」について御説明させていただきます。このパートは、研究・開発の中で[1]の戦略的、重点的な研究・開発に関する事項と、(2)の実用化を目指した研究・開発の推進及び基盤整備に分かれております。
まず(1)の方、戦略的かつ重点的な研究・開発の推進に関する事項について御説明します。 この項目についての6NC共通の項目でございます。3ページ目の一番下にございますとおり、症例集積性の向上、臨床研究及び治験手続の効率化、研究者・専門家の育成・確保、臨床研究及び治験の情報公開、治験に要するコスト・スピード・質の適正化について一層強化するということは引き続きお願いしたいと考えております。
また、First in human試験をはじめとする治験・臨床研究体制の強化等々につきましても、これまでと同様、しっかりと推進をしていただきたいと考えております。
その上で、各6NC個別の事項でございますけれども、国立がん研究センターにおきましては、基本的には前回の項目と同様ではございますけれども、グローバルスタンダードとなり得る診断・治療法の研究開発ということに少し着目して進めていただきたいというように目標として掲げております。
次に、国立循環器病研究センターでございますけれども、昨今、評価委員会でも少し話題になりました超小型のECMOなど、革新的な医療機器の開発を引き続き進めることや、病態や発症機序未解明あるいは治療法未解明疾患に対する新たな分子・遺伝学的解析法に基づく病態解明や治療法の開発について、力を入れて進めていただきたいということでございます。
また、少し予防とも関連しますけれども、住民コホート、疾患コホートの連結によるシームレスライフステージのコホートの解析あるいはその診療実態の把握等々に基づいて、AIによって未来予測をし、予知医療の具現化というところについて少し取組を進めてもらいたいということを掲げております。
国立精神・神経医療研究センターでございますが、これも評価委員会で少し話題となりましたデュシェンヌ型の筋ジストロフィーの治療薬といったものの開発等も進んでおりますので、これらの治療薬の研究開発や応用を進めていただきたいということや、難治性・希少性の高い疾患における治療薬開発、標準治療法の確立に向けた研究といったものをしっかりと進めていただきたいということを掲げております。
そして、4ページ目の下2つのポツに書いているとおりですけれども、発達障害や統合失調症、PTSDなどの病態解明や治療に向けた研究、あるいはゲノム、脳画像的基盤の解明や治療開発、社会支援制度に向けた研究、これらも進めていただきたいということでございます。
5ページ目を御覧ください。国立国際医療研究センターでございますが、これまでの取組に加え、薬剤耐性菌に対する研究、また、これまでの国際感染症もろもろの研究について、予防という観点も含めた研究開発を進めていただきたいというところでございます。
次に、HIV感染症や肝疾患、糖尿病等々の新たな医薬品や予防・診断・治療法の研究開発を進めていただきたいということと、昨今のCOVID-19に代表されます新興・再興感染症への対応として、国立感染症研究所と連携した取組の推進を進めていただきたいということでございます。
次に、感染症等々のレジストリやバイオバンクを充実させること、そしてゲノムの解析による未来型医療を実現するための予防・診断・治療法の研究開発を進めていただきたいということでございます。
また、HIV感染症等々の病態変容解明のためのコホート研究といったことも取り組んでいただきたいと掲げております。
次に、国立成育医療研究センターでございますが、免疫不全症や小児がんをはじめとする難治性疾患に対する遺伝子治療等の先進的治療に関する研究開発を進めていただきたいということを掲げております。
また、小児難病等に対する再生医療の研究開発であるとか、小児慢性特定疾患に対する治療法や小児肺高血圧、小児多動症等の研究開発を進めていただきたいということを掲げております。
そして、少子高齢化ということで、これまでも取り組んでいないわけではないのですが、明示的に不妊症や不育症に対する研究開発についてもしっかりと進めていただきたいということを掲げさせていただいております。
次に、国立長寿医療研究センターでございますけれども、ゲノム解析情報からのドラッグ・リポジショニングの取組であるとか、認知症等々について、早期診断技術の開発や予防方法の確立等の研究開発及び予防策の社会実装といったところにも取り組んでいただきたいと掲げております。
また、フレイルなどの老年病に対する診断・予防・治療ケア等のための基礎・臨床・疫学・ゲノム・工学研究を進めていただくとともに、高齢者の感覚器の疾患における再生医療の推進などにも取り組んでいただきたいと掲げております。
そして、2025年問題を見据えた在宅医療やエンドオブライフケア等々の研究開発であるとか政策提言を取り組んでいただきたいと掲げております。
また、その下にございますとおり、バイオバンクと連携した老化・老年学に関する大規模コホートの構築とそれを活用した研究の実施・統合などを進めていただくというようなことを掲げております。
次のページの「[2] NC間の疾患横断領域における連携推進」でございます。これは先ほど若干御説明しましたが、手元にも卓上配置資料として御用意していただいておりますが、JHを通じた取組をさらに一層進めていただきたいということでございまして、具体的にはNC間の疾患横断領域を中心とした研究開発とそのための基盤整備、人材育成に取り組んでいただきたいということでございまして、中でもゲノム医療、大規模医療情報の活用、コホート研究基盤の活用、健康寿命延伸のための疾患横断的予防指針提言、実装科学推進のための基盤構築等、NCがそれぞれの専門性を生かしつつ、相乗効果を発揮できるような研究領域における研究開発の推進等に取り組んでいただきたいと掲げております。
また、人材育成につきましては、特にNCで不足している機能としての研究支援人材をしっかりと育てていただきたいと考えておりまして、JH内で適切なガバナンス体系を構築し、定期的な活動状況の評価をしていくということを通じて、これらの機能がきちんと働くということを、評価委員会等を通じてきちんと評価できるような体制を構築したいということを掲げております。
なお、総務省の評価委員会の中でも、ここの参考に書いているとおり、JHの具体的な取組内容や評価軸、6NC共通的に目標に取り組むことなどを行い、定期的に活動状況の評価を行い、適切にPDCAを回していくということをしてはどうかという提言もいただいているところでございます。
次に「(2)実用化を目指した研究・開発の推進及び基盤整備」でございます。
6NC共通のところでございますけれども、NCをはじめとする研究機関等との間のデータシェアリングができる仕組みを強化するということや、ゲノム情報を活用した個別化医療の確立に向けた研究を推進するということを掲げております。
その上で、次の7ページを御覧いただきたいのですが、各NC個別の事項でございます。
国立がん研究センターにつきましては、臨床導入への出口を見据えた次世代医療開発の推進及び人材育成、ICTの研究及び活用、そして臨床研究中核病院でございますのでARO機能を強化し、我が国の臨床研究の中核的な役割を担うというようなことを目標として掲げております。
次に国立循環器病研究センターでございますけれども、循環器病対策基本法というものが成立しておりまして、これに伴う循環器の役割等々が新たに位置づけられる予定でございますので、そうしたものへの対応と取組をしっかり進めていただくということや、AROの機能の整備などを進め、臨床研究の中核的な役割を担う体制を整備していただきたいというところでございます。
国立精神・神経医療研究センターは、精神・神経疾患を有する人々の社会復帰のための支援、地域での生活に即した治療・ケアの開発等々をしっかりと進めていただくということや、レジストリ、コホート及びバイオリソースの整備や充実を図っていただくということを掲げております。また、国立精神・神経医療研究センターでもARO機能の整備等々による役割を担っていただきたいということを掲げております。
国立国際医療研究センターでございますけれども、令和2年の今回のCOVID-19のパンデミックの経験もございますので、これに限らずというところで、新興感染症発生時への備えとしての臨床情報や感染者検体を収集したバイオバンク・データセンターを新たに整備・運営し、そして我が国の研究開発を支援する体制を整備していただきたいと考えております。また、国際共同臨床研究・治験ネットワークの拡充などを進めていただくということを期待しているところでございます。
次のページでございますが、国立成育医療研究センターでは、本態解明がなかなかなされていないような疾患もございますので、全ゲノムの解析や小児希少疾患の原因遺伝子解明の推進、医療分野のICTの活用等を進めていただくとともに、ARO機能の整備、成育基本法に関連する様々な対策、取組の推進を目指していただきたいということを掲げております。
国立長寿医療研究センターでございますけれども、産学官連携による長寿工学研究の推進であるとか、バイオバンクを活用した認知症のゲノム医療推進基盤の充実、介護予防・重症化防止のための研究開発等を進めていただきたいということを掲げております。
こうした形で、先ほど福井先生からお話がありました予防といった要素も盛り込みつつ、目標を整理させていただいているところでございます。以上でございます。
 
○祖父江部会長
どうもありがとうございました。それでは、今の御説明に対しまして、時間は30分取っておりますが、それをちょっと超えるぐらいでもいいかと思いますが、何か御質問、コメント等がございますでしょうか。どなたかございませんか。大西先生が挙手をされておられます。
 
○大西委員
がんセンターのところに「グローバルスタンダードになり得る診断・治療法の研究開発」という文言がございましたけれども、これは資料3のほうを拝見しますと「アジアに多いがん種の予防・診断・治療について国際連携を推進する」ということがうたわれていますが、こういった国際連携を目指して活動するということが内容なのでしょうか。それとも、本当に治療法・診断法について国際的な実施がされていくようなものを開発していくということが目指されているのでしょうか。ちょっとニュアンスが違うと思うのですけれども、教えてください。
 
○祖父江部会長
今の御質問に対していかがでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
資料3の10ページ目を御覧いただけますでしょうか。
今回、資料2で抜粋させていただいたのはここの部分でございまして、「遺伝子の解析等による未来型医療を実現するためのグローバルスタンダードになり得る診断・治療法の研究開発」ということで、総論的に書いているところから抜粋させていただいております。
先生のおっしゃっているような要素につきましては、各論の中で書いているような項目でございまして、その中で、例えばアジアにおける連携の推進であるとか、そうしたものを記載させていただいているという関係性にはなっているというところでございます。
 
○大西委員
そのグローバルスタンダードという言葉は非常に高い志を持った言葉であるのではないかと思うのでございますけれども、そうしますと、各国でがんセンターが開発された診断法・治療法が実行されていくという体制を目指していくのか、それとも医療機関同士の連携を中心としたことを進めていくということが目指されている内容なのかということの違いについて御認識されているのかどうかということをお尋ねしたかったのです。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
前者の思いを持って、こうした記載をさせていただいているところでございます。
 
○大西委員
そうしますと、いろいろな戦略が必要になってきますね。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
例えばグローバルスタンダードとなり得る新たな診断法・治療法の開発等々のところで1つ考えておりますのが、例えばメディカルAIの開発といった取組を通じて、新しい診断や治療法に向けた取組を進めていきたいというようなことを考えているところでございます。
 
○祖父江部会長
何人かお手が挙がっておりますので、この順番で行きますが、藤川先生、どうぞ。
 
○藤川委員
資料2でいきますと6ページ目のJHのことです。
最後のところに、「JH内で適正なガバナンス体制を構築し、定期的に活動状況の評価を行うこと」とあります。私もたしかこの前の審議会のときに、ここをどうやって評価するのかというのが難しいですねというようなことを言ったような気がするのですが、これに対して独立行政法人評価制度委員会の中では、各6法人共通的に盛り込んで、それぞれに評価するというように読めるのですけれども、実際に6つのNCが非常に有機的にいろいろな活動をして、簡単に割り切れないのではないかなと。それぞれのところに入れるといっても、最初のうちは少しずつの活動なので、1~2年はそれでも何とかなるのかもしれませんが、6年間の中期目標なので、そうなると、各NCの評価の中に埋め込むというだけでうまく評価できるのか。この次の6年間はJHの活動がとても大事なものになると思っていますので、ここをどうするのかということに関して、私も適切な方法がうまく言えないのですけれども、ここをどうするのかは非常に大きな問題かなと思いました。
 
○祖父江部会長
何かコメントはございますか。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
ありがとうございます。6NC共通して、共同で組織を立ち上げて、そして連携をどのように進めていくのかというのは新しい試みであって、その取組を具体的に進めるための本部としてのJHというものを立ち上げたところでございますけれども、その評価の方法につきましては、後ほど御説明もしますけれども、資料4の3ページ目を御覧ください。具体的にどのような形で評価をしようかというところを新たに項目として追記しております。ここで、それぞれ共通的にこうした項目について評価をしていく必要があるのではないかというところでございまして、大きく「[1]研究開発環境の整備・充実の観点」と「[2]領域間連携研究推進の観点」、次のページの「[3]アウトリーチ・理解増進の観点」「[4]研究者、研究開発人材の育成・支援の観点」、この4つの項目につきまして、少し具体的な連携の成果等を出していただいて評価をするということを現状では考えております。
6NCの取組内容というものはそれぞれ共有するというような観点で考えておりまして、そうしたことから評価も、この1つの指標をもって6NCそれぞれで同じ評価をしていくというようなことを考えているところでございます。
 
○祖父江部会長
ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは、なるべくたくさんの方に御質問いただくといいと思います。福井先生、順番にお願いします。
 
○福井部会長代理
私は2回目ですけれどもよろしいですか。
 
○祖父江部会長
どうぞ。
 
○福井部会長代理
2点ほど。1つは、今、藤川先生が言われたJHについては、新しい試みで、すごく期待しています。バイオバンクもJHで統括するようですし、人材育成も非常に重要だと思っています。
ただ、先ほど意見を申し上げましたように、予防とか行動変容、公衆衛生の業務自体をやるところが必要ではないかと私は思っています。必ずしも同じものをイメージする訳ではありませんが、アメリカにはCDC and Preventionというところがありますし、公衆衛生、予防、行動変容というキーワードで、国民に向かって研究と業務を行うという部門があったほうがいいのではないか。JHの組織では全国民に向かってそういうテーマでの研究や業務はなかなか難しいのではないかと思われます。
2点目、簡単に。国立国際医療研究センターは今回のパンデミックにはすばらしい対応をされていると思いますが、今後、今回のCOVID-19と似たもの、またはそれ以上に予測できないことがいろいろ起こってきますので、フレキシブルに新しい問題に対応できるようなモデルを示すのも国立国際医療研究センターの役割ではないかと思います。ジェネラルな能力を持っている施設でないと、新しい医療上の問題にフレキシブルには対応できないと思いますので、そういうことも頭に入れておいてほしいと思います。以上です。
 
○祖父江部会長
ありがとうございました。厚労省の方、何かレスポンスはございますか。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
1点目のJHに対する期待あるいは業務としての将来性の問題につきましては、先生のお話も踏まえて少し考えたいと思います。次に、国立国際医療研究センターのフレキシブル性でございますけれども、現在もかなりフレキシブルに業務をやっていただいておりまして、我々としても非常に助かっているのですけれども、その組織をどうするのかというところにつきましては、現在、予算措置でもそこの部門の体制強化のための予算を若干増額しております。具体的に人件費等々で6.4億円ほど増額をして体制強化をお願いしておりますので、そうした中で、そのような体制みたいなものについても検討していただけるのかなと考えております。以上です。
 
○祖父江部会長
どうもありがとうございました。それでは、前村先生がお手を挙げておられますので、お願いします。
 
○前村委員
前村です。3ページの「(1)担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な研究・開発の推進」と6ページの「(2)実用化を目指した研究・開発の推進及び基盤整備」をどのように分けているかというのを100%理解していないのですが、研究開発の中でより重点的なものを(1)にして、実用化を(2)にしているという認識でよろしいでしょうか。私は循環器が専門なものですから各論的なことで申し訳ないのですが、循環器病対策基本法ができたというのは循環器領域にとっては非常に大きなことでありまして、これから6年間は循環器病対策基本法にとっては非常に大事な時期なので、循環器病対策基本法の中に研究推進というのも非常に大きな項目として掲げられているのですけれども、そういう意味では、(1)の重点的にやるところに循環器病対策基本法に基づく研究の推進みたいな形で入れてもいいのかなと思いました。
逆に、7ページに国立循環器病研究センターの循環器病対策基本法に基づく専門的な循環器病に係る医療体制の整備とあるのですが、医療体制の整備が研究のところに入ってくるというのにちょっと違和感があったのです。全国的な医療体制の整備をするための基礎データとなるようなものを提供するという意味での研究はあると思うのですが、医療体制の整備自体は後ろのほうに出てくるものかなという気はしたのですけれども、いかがでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
ありがとうございます。確かに先生のおっしゃるような問題もございますので、書きぶりについては少し調整をしたいと考えております。
 
○祖父江部会長
いいですか。
 
○前村委員
分かりました。
 
○祖父江部会長
それでは、深見先生、どうぞ御質問をお願いします。
 
○深見委員
中期目標で次の世代の医療で必要なことということで、非常に網羅されて書かれていると思うのですけれども、COVID-19が発生したことによって、ここではあまり書かれてないのですけれども、遠隔医療や地方との連携といったところの視点がないのですが、そこを入れなくていいのかという点です。
あと、人手不足に対してどのぐらい自動化というのか、省力化というのか、そういったところを改善できるのかという辺りのところに対して、何かコメントしなくていいのかなと思いました。以上です。
 
○祖父江部会長
厚労省の方、何かございますか。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
ありがとうございます。1点目の遠隔医療の問題でございますけれども、その後に説明します医療の提供のところの9ページ目に、AIやICTを活用した医療の提供という項目がございまして、ここで少し表したいと考えております。
2点目の省力化等々の問題でございますけれども、一部、長寿医療研究センターの方で介護ロボットの研究開発といった項目が含まれているところでございますが、先生がおっしゃっているのはもう少し広い意味での省力化といったことを目指した方がよいかということでしょうか。
 
○深見委員
長寿のそのようなところを含めて、長寿のところでは介護ロボットということで非常に実用化しているのですけれども、他のセンターにおいても、ロボットというだけではなくて、うまく活用できるシステムの導入が必要なのかなと。
今回のCOVID-19もそうですが、医療体制が脆弱性が言われています。体制そのものもそうなのですが、システムの運用とかPCRが何でできないのかとか、我々大学にいると別にPCRなんて全然問題なくできますし、そういった中でどうして増やせないのかとか、いろいろなところがシステムの問題にあるような気がしていて、人的な問題もそうなのですけれども、システムの縦割りであったり、部署ごとの役割分担がかえっていろいろなことを弊害している。それはゲノムのネットワークなんかも同じだと思うのですけれども、自分たちのところでやるというような垣根の撤廃が次に必要なのかなというのを感じたということです。
それから、前半のところは、専門性の高いナショナルセンターで、地方からそこまで来られればいいのですけれども、来られないような方々もたくさんいますので、こういった遠隔医療ができることによって、地方への恩恵、実際に来られない人でもうまく活用できるようなことがあるといいなと考えています。以上です。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
ありがとうございます。先生がおっしゃることは非常に構想も大きく、我々としてもそうした取組等、今後の社会を考えると、というところであると思うのですけれども、現状から申し上げますと、そうした政策提言をしていくというような機能もNCの役割としてございまして、これはNCだけではなくてほかの医療機関も大きく連携して、あるいは社会としてのシステムをどう備えていくのかという問題にもつながることでございますので、そうした観点も含めながら、提言等をいただくという話ではないかと考えております。
 
○祖父江部会長
ありがとうございました。それでは、花井先生、よろしくお願いします。
 
○花井委員
ありがとうございます。1つだけ大枠のところで気になったところがありまして、健康・医療戦略の中で、いわゆる治癒のほかに共生というのをかなり強く打ち出して書いてあるのです。この本意が、健康・医療戦略の本文を読んで、もちろん共生が大事だというのはよく分かる。もちろんそのとおりだし、私どもは長期慢性疾患なので、疾病とともに生きるということの重要性は分かるのですが、しかしNCのような高度機関において、これに対する応答が結構難しいのかなと。いわゆる診断・治療・治癒モデルからちょっと外れた話になるので、そもそもNCの得意分野ではないわけですけれども、しかしながら、この中期目標を掲げるに当たって、それぞれのNCを取り巻く環境の中にこれを引用して、疾病との共生ということが書かれている以上、何らかの応答が必要かなと。
そもそも最初はそのモデルがガチガチだったがんが、いわゆる患者さんの生きるQOLとかそういうところでかなり取り組んでいるとか、あと、長寿とかも元々割と生活と近いところでやるというところがあるので、それぞれそもそものミッションの中には若干そういうことはあるのですけれども、わざわざ大枠でこのように両輪としての共生と言われたときに、例えば国際はそれに対して具体的な応答はないのですけれども、事務局として健康・医療戦略における共生が強く打ち出されたことに対するNCとしての受けというのはどのような感じで考えたらいいのですか。
例えば局所的には、当然僕はHIVで国際に関わっているので、長期療養の領域に入っているから若干NCなのだけれども、いわゆるソーシャルなケアといったことについてもいろいろやってはいただいている。局所的には結果としてそういうことになっているのです。ただし、このような大枠の中で提案されたときに、NCとしての受けというのがこの文言だけでは見えてこないのですけれども、事務局としてどう整理されているのかを教えていただきたいと思いました。以上です。
 
○祖父江部会長
いかがでしょうか。
 
○医政局笠松研究開発振興課笠松課長
研発課長です。
御指摘ありがとうございます。花井先生がおっしゃるとおりでして、個別の話としては、先ほどの御指摘あるいは精神・神経の難病だとか、成育の子供さんなどの病気とともにという部分が個別にはあるというのはおっしゃるとおりで、その中で、全体で共生をどう考えていくかというところは、今まで私どもがNCとして真正面からどうだったかというところは御指摘があろうかと思います。
私たちとしては、新しい医療を開発していくという、新しい医療とは何かといったときに、個別化医療もそうですが、その新しい医療そのものに個々人の生活というものをどう組み入れていくのかということ自体が、新しい医療を提供するといったときに、ややもするとバイオメディカルのところだけに焦点が行きがちでありますが、そういったソーシャルなところにどのように手が届くかというところは、個別の研究の大きな課題であろうと思っております。
そういった共通の課題を、先ほど御期待もあり課題も御指摘をいただいたJHのようなところで、全体としてどうやって領域横断的なところを考えていくか。こういうことは課題になってくるというのは重々認識しております。ただ、文字の中にフィロソフィーとしてそれをどうやって入れていくか、そういう共通課題、個別医療、新しい医療と患者さんの社会生活というところをどう組み込んでいくかというのは、まだ個別の課題のところにとどまっているかなと思っておりますが、先ほど申し上げたようなJHその他のところで課題を深めていきたいと思っております。
 
○花井委員
もしかしたら、あまりにも大きな柱として先に入ってしまっているので、共通のところで何か一文加えておいたほうがいいのかもしれないかなとも思いました。ありがとうございます。
 
○医政局笠松研究開発振興課笠松課長
ありがとうございます。今の問題提起を我々の中でももう一度咀嚼して、形にしたいと考えております。
 
○祖父江部会長 斎藤先生、手を挙げられていますか。どうぞ。
 
○斎藤委員
今回6NCで横断的にというのは大変いい試みだと思っております。それで問題点もあるという話ですが、途中参加のため、ちょっとトンチンカンの発言になるかもしれません。6年間という中期であることを考えると、今回は個別の評価をするというのではなくて、もっとソフトな評価をするという試みがあってもいいのではないかと思いました。ピアアプレイザルのような形で、例えば、どこそこのNCはタスクフォースにこれだけの人を送ってくれた、これだけの協力をしてくれた、こういう情報を出してくれたというようなことをお互いにアプレイザルするようなソフトな評価があるというのもいいのかなと。それは長期的な効果を求めるものであって、今年何か成果が出るというようなアプローチではありませんが、お互いに必要な情報・人材を協力し合うというのはとても重要なことであり、長期的には正しい戦略だと思いますので、そのようなアプレイザルを一度お考えいただいてもいいのかなと思いまして発言いたしました。以上です。
 
○祖父江部会長
よろしいですか。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
ありがとうございます。今の御指摘も少し検討課題に乗せておきたいと考えております。
 
○祖父江部会長
ちょっと時間が来つつありますが、私のほうから1つだけ質問させていただきたいのです。ページはどこということはないのですが、先ほど来、何人かの先生が、予防ということを今回の非常に大きなテーマとして、各ナショナルセンターがそれぞれに予防をやりますということをずっとおっしゃっているのです。今もちょっと出ましたけれども、横糸的にやるJHというのが、この文章だけだと一体この6年間で何をミッションとして目的達成型のような格好でやるのかというのがちょっと見えなくて、僕がもし本気で予防をやるということであれば、横糸的なというか、今の費用とこの人員だとちょっと無理かなと思っているのです。
結局、例えばアルツハイマー病でもがんでも、実際に病気が起こるまでの間に20年、30年の時間をかけて病気が成長していくわけです。それをどう断ち切るかというのが予防の一番眼目になるところだと思うのですが、発症してから病気をどうするかという問題は、今いろいろと新しい次世代型のものも出てまいりましたのでいいのですが、予防を本格的に取り組もうと思うと、正常・健常コホートから発症までの間をきちんとこの6ナショナルセンター1個でいいと思うのですが、ずっと追って、いろいろな疾患がそこから出てくるということをきちんと前ぶり的にデータデポジットしていくというような体制をどこかでやらないといけないと思うのです。
これは世界的にもほとんどやられていなくて、長浜市とか久山町とか、東北メディカル・メガバンクというのはあるのですが、ナショナルセンターでやっているような疾患に応用できるかというと、すぐには応用できにくいのです。ですから、もし、ここにそういう目的志向型の何かがやれるのであれば、そういう方向をこの6年間でやれるというふうに言うのか、あるいはもうちょっと先を狙ってやるのか、そこは分かりませんが、予防というものを正面から取り組む基盤をどこかでつくらないと、予防、予防とやっているのですけれども、疫学的なデータはもちろん出てくると思いますし、先ほどの遺伝子多型みたいなものから予防的なものにつなげる道はあるのではないかとは思いますが、予防というのは非常にたくさん出てきますので、こういう横軸的なものが出てきたということになると、発症前のものと病気になってからどうするかというのを少し整理して、今後やっていくということも一つの方法かなと思いました。ちょっとお金がかかるとは思います。
それから、福井先生は先ほど何の業務をやるのかが分からないということをおっしゃったのですが、目的とそれに伴う業務がJHにも備わっていないといけないのかなとは思った次第です。
長くなりましたが、感想です。厚生労働省の方は何かありますか。いいですか。
 
○医政局笠松研究開発振興課笠松課長
先生、ありがとうございます。研発課長でございます。
6年でやることと短中期のことともっと長期のこととあるので、先生がおっしゃったのは恐らくもう少し長期のことなので、この6年という枠にどういう形で落とせるかということは、少し私どもも作業として検討させていただきたいと思います。
考え方としましては、卓上配付で配らせていただいたJHの活動方針の裏側に具体的な事業を書いております。予防という漢字2文字は書いていないのですが、先生がおっしゃった予防につながる要素が幾つか入っているかなと思っております。レジストリをサポートする情報基盤を確立するとか、いろいろなレジストリと連携するとか、あるいは共同研究として社会医学、バイオバンクといったこと、それから人材育成のところでは疫学、公衆衛生、疾患横断的なところ、こういったところを今のところはまだ目指すという段階でございます。これの中で進めていくときに、先生方から期待と御指摘というところでいただきました。具体的にこれをどうやって目標にし、事業をし、そしてそれをガバナンスとしてどうしていくのかというのはまだまだ実は課題ではあります。理事長会議にきちんと報告はするけれども、表にありますように推進本部がしっかり計画を立てて自立性を持ってやっていくのだということを今、進めようとしております。
この中長期目標との関係でいいますと、まさにこういうことが書かれて、先生方にきちんと御報告をする、こういうことを考えておりますというものをこれから中期的に評価されていく。それ自体が1つの大きな変化なのだろうと思っております。目標、事業、ガバナンスのところが正直まだきちんと整理し切るというところまで至っておりませんが、具体的にこの中長期目標にどうやって生かしていくのかというところは、今日の先生及び各先生方からの御指摘をいただいて、6NCともよく相談をして、きちんとしたものに落とし込んでいきたいと思っております。
 
○祖父江部会長
どうもよろしくお願いいたします。すみません、私が長々と話をしたせいでちょっと時間が遅れました。大体よろしいのではないかと思いますので、あまり時間がないので少し急ぐ必要がございますが、それでは3つ目のパートに移りたいと思います。医療の提供・人材育成等に関する項目についてということでございます。事務局の方から御説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
事務局から御説明します。
資料2の8ページを御覧ください。医療の提供という項目がございます。ここで6NC共通として掲げている項目としまして、まず、高度かつ専門的な医療、標準化に資する医療の提供というところでございますが、研究施設、医療機関等の知見を集約しつつ研究部門との密接な連携を図り、その研究成果を活用し、先進医療を含む高度かつ専門的な医療の提供を引き続き推進するというような項目を共通で掲げさせていただいています。
「(2)患者の視点に立った良質かつ安心な医療の提供」につきましては、これまでと同様な記載になりますけれども、チーム医療の推進あるいは特定の職種の過度な負担の軽減を図りつつ、継続して質の高い医療の提供を行うということを記載させていただいています。
そして、先ほど若干触れましたけれども、9ページ目でAIやICTを活用した医療の提供、NCをはじめとする研究機関及び医療機関間のデータシェアリングを通じて、個別化医療の確立等診療の質の向上に取り組むというようなことを追記させていただいているところでございます。
各NCの内容でございますけれども、国立がん研究センターにおきましては、希少がん、小児・AYA世代のがんや難治がんなどに対して関係医療機関と連携し、質の高い医療や患者個人に最適な治療の提供を推進するということを明示的に記載させていただいています。
次に、国立循環器病研究センターでございますが、ロボット支援心臓手術、ハイブリッド心臓・脳血管手術、経カテーテル手術などの先駆的な取組を推進するということを明記しております。
国立精神・神経医療研究センターでございますけれども、これまでも鬱病に対してはTMSを用いた治療の標準化の医療を行ってきたところでございますけれども、対象を双極性障害の患者に広げつつ、医療の提供を進めていくということを追記しているところでございます。
国立国際医療研究センターでございますけれども、これまでもしっかりと取り組んできているところではございますが、HIV感染症の診療については、引き続きエイズ治療・研究開発センター(ACC)において、最新の高度な診療を提供するというところを明記させていただいているというところでございます。
国立成育医療研究センターは、2つ目のポツに書いているところでございますが、合併妊娠症への対応の充実、生殖補助医療の拡充、出生前診断・支援、胎児治療の推進、先天性疾患治療の充実等に取り組むということで、これまでも取り組んでいるような取組について、さらに充実を図っていくというようなことを記載させていただいております。
国立長寿医療研究センターでございますが、認知症とフレイルが最も重要な病態であることから、それらに対する治療及び予防策の提供について重点的に推進するということを追記させていただきます。
次に「3 人材育成に関する事項」でございます。
ここにつきましては、先ほどから何回か触れております研究支援人材の育成について追記させていただいておりまして、JHのほか大学などアカデミア機関とも連携しながら取り組んでいくということを記載させていただいています。
次に「4 医療政策の推進等に関する事項」でございます。
「(1)国の政策提言に関する事項」につきましては、NCの連携によるデータベースやレジストリ整備、これはJHなどの取組あるいは各NC間の取組を通じて、エビデンスに基づく政策提言を進められる余地も更に生まれてきておりますので、しっかり取り組んでいただくということでございます。
「(2)医療の均てん化並びに情報の収集及び発信に関する事項」でございますけれども、情報発信の仕方として、正しい情報が国民に活用されるようホームページを活用するということで、これまでの研究成果や医療に関する様々な情報をより積極的にホームページ等を使って提供していくというような方向性について、少し明記をさせていただいているというところでございます。
次のページでございますが、「公衆衛生上の重大な危害への対応」については、引き続き対応をお願いするということでございます。
「(4)グローバルヘルスに貢献する国際協力」はNCGMに国際医療協力局という国際方面に目を向けた専門の組織がございますので、ここでの目標を設定するというものです。、アジア等における臨床試験ネットワークを形成し、国際的な人材育成、EBM、医療技術展開などに取り組む。また、新興・再興感染症などの国際的な公衆衛生上の危機対応に国際機関と連携・共同して取り組むということを明記しているところでございます。
「(5)看護に関する教育及び研究」でございまして、これは国立国際医療研究センターのほうに各6NCの看護師を養成するための国立看護大学校というものを設けておりまして、ここでの目標設定でございます。基本的に内容は変わりませんが、NCとの連携をさらに進めるということや、NCのニーズに対応した人材育成ということにしっかり取り組んでいただきたいということを明記させていただいているところでございます。私からの説明は以上でございます。
 
○祖父江部会長
ありがとうございます。ただいまの御説明に対しまして、御意見、御質問等がございましたら、随時よろしくお願いします。お手が挙がっていますね。斎藤先生、どうぞ。
 
○斎藤委員
ありがとうございます。ちょっと違和感を覚えたのが10ページの一番下のホームページの活用なのですけれども、これは今どき当然のことで、それよりももっと広く情報を拡散させるということでしたらSNSのほうが今はよほど力が強いので、それについても触れておいていただければと思います。ホームページは今さらという感じがいたしました。以上です。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
検討させていただきます。
 
○祖父江部会長
よろしいですか。そうしたら、中野先生、よろしくお願いします。
 
○中野委員
私は小児科医ということもあって、私の方からは国立成育医療研究センターのことでお尋ねさせていただきたいと思います。
今回の医療の提供におきましても、合併妊娠症への対応の充実等、産婦人科領域の記載で新しいものが出てきております。また、既に前項でお話しされたことかと思いますけれども、研究開発でも、不妊症と不育症という全く異なる疾患だと思うのですけれども、産婦人科領域との連携ということで出ております。
菅総理の御就任時の会見でも、不妊症治療をしっかりとやるようにということと、なおかつ、今の時代にもちろんマッチしたものであるということで、同意はできるのですけれども、このように産婦人科領域のことが国立成育医療研究センターのところに新たに加わっているということは、6NCの中にはほかに産婦人科領域を扱うところはないと思いますので、国立成育医療研究センターの中で、もちろん今でもある程度充実しておりますが、小児に加えてさらに産婦人科領域の充実を目指してという方向性ということでよろしいのでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
これまでも決して取り組んでいないというわけではなくて、取り組ませていただいているところではございますけれども、さらに充実を図るという趣旨で記載させていただいているところでございます。
 
○祖父江部会長
よろしいでしょうか。そうしたら、花井先生、よろしくお願いします。
 
○花井委員
何度もすみません。各論で申し訳ないのですけれども、国際医療研究センターのエイズ治療のところに引き続き高度な診療を提供していくことと書いてあるのですが、本文を読んでも、岡センター長が非常に力を入れて取り組んでいるPrEP、いわゆる暴露前予防、Pre-Exposure Prophylaxisというのをやっているのです。だから、予防ということが全体として出ていて、せっかく予防という言葉があるので、エイズも予防に入っているから予防をやっているのを書いておいたほうがいいのではないか。しかもセンター長自らかなり力を入れているところなので、何で本文に入れなかったのかなと思ったので、もし入れられるものであれば入れておいたらいかがでしょうかということです。以上です。ありがとうございます。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
ありがとうございます。国際の方とも確認をして、適切な文章を入れるように検討したいと思います。
 
○祖父江部会長
ありがとうございます。それでは、藤川先生、よろしくお願いします。
 
○藤川委員
超高齢化社会になってしまっていて、その中で高度医療を推進するNCということは分かるのですけれども、記載がないわけではないのだけれども、高度医療を提供した後のケアがどうなのか。予防にもこれから重点を置くとのことですが、予防ももちろん大事だけれども、その後、完全にみんなが治るわけではなく、1つのNCで解決するわけではなく、複数の領域にかかりながら、どこかしら不健康な毎日を送りつつ、長い人生を全うするという人が増加する中で、もうちょっとその辺りを意識したこの先の6年の目標というのが必要なような気がしました。
 
○祖父江部会長
厚労省のほう、何かコメントはありますか。
 
○医政局笠松研究開発振興課笠松課長
先ほど花井委員から共生というところを1つフィロソフィーとしてどうしていくかという問題提起がございました。そしてまた医療の治癒というところに必ずしも至らない患者さんにとって、病気とどうやって付き合っていくのかというところだと思います。
これはNCが非常に得意にしている分野というよりは、地域医療とのネットワーク、面で対応していくようなところになろうかと思っています。ただ、面で対応していくといっても、NCの場合、全国にいい医療を皆さんでやっていきましょう、役割分担をしていきましょうというところがとても大事なところだと思いますので、均てん化のところ、あるいは人材育成のところ、こういったところで慢性の患者さんにどうやって新しい切り口のもの、よりよい医療が提供できるようになるのかというところ、少し我々もNCと相談しながら、そこら辺は総論なのか各論なのか、NCという点ではなくて、医療機関との線・面として、中期計画の中でどのようなことがやれるのかということを、もう一度深掘りしてみたいと思います。
 
○祖父江部会長
ありがとうございます。それでは、福井先生、よろしくお願いします。
 
○福井部会長代理
私からはまた2点ほど。1つは、良質な医療という場合に、ほかの病院でできないあるいはほかの国でできないような新たな医療を行えるということと、既にエビデンスとして確立されている医療をどれくらい誠実に行っているかという、2つの側面があります。新しい医療は比較的簡単にアピールできると思いますが、最初のところでも申し上げましたが、どれくらいエビデンスをきっちり守った医療を行っているかということは、質指標として、数値として出すという作業が国際的に既に行われていますので、ぜひクオリティ・インディケーターや質指標も用いて、ほかの病院よりもこれくらいすばらしい医療をしているということをアピールするのに使っていただきたいと思っています。
それとの関連で、2点目です。ほかの病院とこんなに異なる医療を提供しているということがもう少し外部の者に分かるような発信の仕方は何かないでしょうか。全くほかの病院でできない、ナショナルセンターだけでやっているということは非常に分かりやすいのですけれども、もうちょっとうまくアピールできるようなデータを出せるといいですね。曖昧な言い方で申し訳ないのですけれども、研究だけではなくて医療もこれだけ一般の病院とは違うこと、質の高いことが行われているということについて発信をしていただきたいと思った次第です。以上です。
 
○祖父江部会長
厚労省、何かコメントはありますか。
 
○医政局笠松研究開発振興課笠松課長
最先端の医療をしっかりやっていくということについては、今、先生が御指摘のとおりだと思います。
また、標準と言うと言葉がぼやけてしまいますが、適切なすばらしい医療、世界的にスタンダードになっているすばらしい医療をきちんと届けるという意味では、本文でいうと、資料3の18ページの下から19ページにかけて「また」と。要は臨床評価指標を策定し、医療の質の評価をし、情報発信することということはミッションとして掲げております。先生の御指摘は、それがどれだけきちんとできているのか、NCとしてどれぐらい積極的にそこにコミットあるいはコントリビューションしているかどうかという課題の御指摘かと思います。この辺りは、理念として掲げているけれどもどうなのかというところについて、事あるごとにNCとよく相談をしていきたいと思います。
 
○祖父江部会長
ありがとうございます。ちょっと時間がなくなってきました。前村先生、よろしくお願いします。
 
○前村委員
では、手短にいきたいと思います。6NCはそれぞれの専門領域で非常に専門性の高い人材を育成するというのが主な目的の一つだと思います。それは10ページの3に書き込んでくださっていると思うのですけれども、今度の中期計画内で働き方改革に本格的に取り組んでいくことが大事だと思うのですが、タスクシフトする上で、タスクシフトできる人材を育てる、専門性の高い人材を育てるというのも大事だと思うのです。その辺を意識したことを書き込んだらいかがかなと思うのですが、いかがでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
ありがとうございます。この項目ではないのですけれども、次に御説明する第4の業務運営に関する事項、資料2の11ページで少しタスク・シフティング/タスク・シェアリングの推進ということをうたっております。これをやるためには、当然のことながらそれができる人材の確保も進めていかなければならないというところでございます。
 
○前村委員
NCによってはかなり系統立ってその教育をやっているところがありますね。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
ですので、書き込む場所としてはこちらのほうで整理をさせていただいているところでございます。
 
○前村委員
分かりました。
 
○祖父江部会長
ありがとうございます。私のほうから本当に1点だけ。
これは前もちょっとお話ししたのですが、NCと企業との関係をもう少し活性化していく必要があるだろうということで、いろいろなやり取り、先ほど来、出ているようなレジストリのデータとか、全国から集めたデータとか、そういうものの企業との連携をやろうとすると、いろいろな法律的な足かせでなかなかうまくいかない場面がございますので、10ページの3に下の赤いところで書いてありますが、ぜひそこもやっていただけると、特に厚労省はそういうお立場にあると思いますので、よろしくお願いしたいなと思っております。付け加えました。よろしくお願いします。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
ありがとうございます。
 
○祖父江部会長
時間がちょっと過ぎておりますので、次に移りたいと思います。4つ目のパートは業務運営等に関する事項についてということでございます。事務局から資料を使って御説明いただけますでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
それでは、資料2の11ページ目を御覧いただけますでしょうか。「業務運営の効率化に関する事項」というもので、大きく2つございます。
1つ目は「効率的な業務運営に関する事項」でございます。これまでの効率的な業務運営体制のための定期的な事務や事業の評価、役割分担の明確化、職員の適正配置等を通じた弾力的な組織の再編や構築を行う。これに加えて、働き方改革への対応として、労働時間短縮に向けた取組やタスク・シェアリング、タスク・シフティングの推進をしていくということでございます。
次に「電子化の推進」でございます。業務の効率化にも大きく影響するところでございますけれども、幅広いICT需要に対応できるセンター内ネットワークの充実を図っていただきたいということを明記させていただきます。
次に「第5 財務内容の改善に関する事項」でございます。
「自己収入の増加に関する事項」では、これまで同様、中長期目標期間における期首における期末の財務内容の改善を図るというところでございますが、これに加えて、引き続き運営費交付金以外の外部資金の積極的な導入に努めることということで、競争的資金や企業治験等の外部資金の獲得をさらに進めるということを引き続き進めていただきたいと考えています。
次に「資産及び負債の管理に関する事項」につきましては、固定負債を償還確実性が確保できる範囲として、運営上、中長期的に適正なものとなるよう努めるということでございまして、特に破線で書いている次のセンターにつきましては、財政状況・長期借入金の実績を踏まえた目標を課したいと考えております。
大きく2つに分けていまして、1つ目が国立精神・神経医療研究センターと国立国際医療研究センターです。この2つのセンターは、第2期中長期目標期間もそうではあったのですが、繰越欠損金が多額のものが残っておりますので、これを着実に解消できるよう、繰越欠損金の解消計画を策定し、それを公表し、取り組んでいただきたいと考えております。
2つ目、国立循環器病研究センターと国立長寿医療研究センターでございますが、この2つのセンターは、第2期中長期目標期間中に建物の建て替えを進めているところでございます。建て替えますと、それに伴う償還等が生じてきておりますので、これまで以上に経営改善を進めていただき、確実に償還をしていただく。そのための取組を進めていただきたいと考えております。
次に「第6 その他業務運営に関する事項」です。法令順守等内部統制の適切な構築は引き続き進めていただくということや、人事の最適化のとして、他の独法等との人事交流といったものをしっかりと進めていただくということは言うまでもないことですが、3のところにその他の事項として、目次にも追記させていただいた情報セキュリティー対策に関する事項を改めて明記をしています。以前からしっかりと取り組まなければならないということは言うまでもないことなのですけれども、中長期目標期間の中でもきちんと項目として明記をして、それに対する取組の評価等をしっかりと進めながら対策を進めていただくとしたいと考えております。
最後に、エイズ裁判の和解に基づく対応につきましては、NCGMのほうでしっかりと取り組んでいただくというふうに考えております。以上でございます。
 
○祖父江部会長
どうもありがとうございました。質疑は15分程度ということになっておりますが、いかがでしょうか。何か御意見、御質問はございますか。藤川先生、どうぞ。
 
○藤川委員
資料3の27ページ、全部書いてある目標の内容です。一番下のところで「幅広いICT需要への対応を図ること」とあるのですけれども、その下に、先ほどのサマリーのほうでも「幅広いICT需要に対応できるセンター内ネットワークの充実」という文言がありまして、これが国立循環器病研究センターにだけないのですけれども、国立循環器病研究センターが新しい場所に移って、既に充実が図られているということなのでしょうか。とはいえ6年間あれば、充実はやっていかなければいけないので、入れてあってもいいかなという気もしたのですが、そこら辺はいかがでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
国立循環器病研究センターでは、建替のときに、センター内のネットワークにつきましてはかなり検討して、充実したものを作成しているということですので、そういう意味で今回記載は見送ったという形にしております。
 
○藤川委員
とはいえ6年間たつと、この辺りのことは進歩が著しい分野でもあるので、少なくともちゃんとした更新をしていくということは必要なのではないかと。充実は必要なのではないかなと思います。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
分かりました。少しセンターとも相談させていただいて、記載ぶりを検討したいと思います。
 
○祖父江部会長
ありがとうございます。ほかに何かございますでしょうか。
今のことと少しずれるかもしれませんが、先ほどのJHは全体をインテグレートする場所になると思うのですけれども、今の場所とか建物を造る予定があるのかどうかとか、人員をどうするのかとか、少し戻るような形になってしまうかもしれませんが、この卓上配付だけですとちょっと分かりにくいので、この間も御説明いただいたと思うのですが、もう一回御説明いただけるといいかなと思います。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
ありがとうございます。JHでございますけれども、物理的な場所としましては、NCGM、国立国際医療研究センターの中にこの組織のための執務室を設けて、実際に業務を行っていただいています。
人員なのですけれども、各NCから4~5名ずつ出していただいて、そうした方々が、ほかのNCでは業務ができないということにならないように、6NCクロスアポイントメント契約を結びまして、それぞれのほかのNCの業務にも携われるような人事上の工夫もしながら、人員を確保しております。人員数としては26名おりまして、現状では、週に1~2回集まって業務ができるような形を取っております。
今後、この組織の拡充等も含めた対応は、業務の内容に応じてなされるべきものだと考えておりまして、その辺りにつきましては、今後6年間の業務内容に応じて適宜適切に検討されていくべきものと考えております。
業務なのですけれども、お手元の資料の方に書いているとおりでございますが、新たなニーズに対応した研究開発の支援・強化、そして6NC連携で効果的な研究開発が期待される領域の取組の支援・強化、研究成果の実臨床への展開への支援・強化等々を実現するために何ができるのかということをそれぞれの部門で検討し、進めていくというふうに考えておりまして、後ろのページに書いてありますとおり、今後具体的に取り組む事業として、データ集積のための基盤強化・拠点化、共同研究の推進、広報、知財、法務、人材育成等に取り組むとしております。
予算ですけれども、各NCからそれぞれこの組織が動くための運営費を出し合って業務を行うこととしておりまして、今年度の予算としましては8.5億円程度の予算を確保して取り組むという形を取っております。以上でございます。
 
○祖父江部会長
今の予算のところで、今のお話だと各NCから削って持ってくるという話なのですが、法人にならないとそうなってしまうというような議論も前にあったのですけれども、今のサイズからいうと、皆さんの期待は非常に大きいので、今後はどういう方向でしょうか。この6年間はそれでいくということでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
今年度につきましては、予算を各NCの御理解をいただいた上で、出し合っていただいているというような形になりますけれども、今後予算をどうしていくのかという話につきましては、基本的には6NCの内部の共通の組織でございますので、6NCの理事長先生等と相談しながら予算の配分額を決めていただくというような形になると考えております。
 
○祖父江部会長
いかがでしょうか。期待感が非常に大きい割には、規模があまり大きくないなというのが印象でございます。私はこれが非常に気になったので、今、お聞かせいただいたのですけれども、これに関して、あるいはほかの問題でも結構ですが、何かございますでしょうか。福井先生、どうぞ。
 
○福井部会長代理
私も事前説明で只今の説明を伺いました。ここの本部長がどれくらいの権限を持っているのか、6つのナショナルセンターを統括できるぐらいのパワーが与えられているのか疑問に思いました。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
ありがとうございます。6NCの理事長会議の場でも、センター長の役割なり権限をどうするのかということについては議論を重ねているところでございまして、基本的には業務の大枠のところは、各6NCの理事長とも諮りながら決めていきますが、実務のところにつきましては、センター長に権限を与えて、フレキシブルに動いていくという方向性で検討が進んでいる、あるいは業務の内容は整理されているという状況でございます。
 
○祖父江部会長
ありがとうございます。よろしいですか。
財務内容の今のセッション、業務運営の効率化に関する事項のところについて、もうちょっとだけ時間がありますが、何かございますか。よろしいでしょうか。
もしなければ、最後のパート、評価軸について御意見を伺いたいと思いますので、事務局から資料の説明をまずお願いできますでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室星野室長補佐
評価軸に関しましては、資料4を御覧いただきたいと思います。こちらに6NCの第3期中長期目標における評価軸を一覧として整理させていただいております。
基本的には、中長期目標でいうと「第3 研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する事項」について評価軸を定めるということとなっております。評価軸については、研究開発の事務及び事業を評価する際の視点となるものです。参考資料3「独立行政法人の目標の策定に関する指針」を配付しておりますけれども、各国立研究開発法人の役割やそれぞれの目標に応じて、法人や研究開発に関する審議会の意見を踏まえて、研究開発に課する事項の目標策定時に適切な評価軸を設定して、法人に提示するという方針となっております。
法人の評価に当たりましては、こちらの評価軸を1つの視点として行うことによって、例えば資料4の1ページ目に記載してあります重点的・戦略的な研究開発に関して評価を行う場合、成果や取組の科学的意義が十分に大きなものなのかどうかという科学技術的な観点を踏まえて評価するという整理になっております。
また、評価軸を基本として評価を行う際には、定性的な観点と定量的な観点の双方を勘案することとされております。このため、各評価軸の定性的視点と定量的視点を資料の備考欄に記載しております。
定量的視点については、法人として数値を上げること自体が目的化することが適当でない場合がございますので、指標を設定する際には研究開発の現場への影響等についても十分考慮した上で、評価・評定の基準として取り扱う評価指標と、正確な事実を把握し、適正・厳正な評価に資するために必要なモニタリング指標とを切り分けて、当該指標がどちらなのかを明示することとされております。
備考欄の定量的視点にあります「(評)」と書いてあるものが評価指標になりまして、「(モ)」と書いてある指標がモニタリング指標ということで整理をさせていただいております。
第3期の中長期目標の評価軸になりますけれども、基本的には第2期中長期目標の評価軸をベースに設定しております。1ページの右上に米印を書いてありますけれども、第2期中長期目標期間から変更があったもの、または新たに追加したものについては下線を引いております。
主な変更点としましては3ページを御覧いただきたいのですけれども、JHに関する評価軸を新たに設定しており、「[3]NC間の疾患横断領域における連携」という項目の中で評価軸を設けております。
主に4つございまして、研究開発環境の整備・充実の観点、領域間連携研究推進の観点、アウトリーチ・理解増進の観点、研究者、研究開発人材の育成・支援の観点、この4つを評価軸として、それぞれ定性的な視点と定量的な視点を定めております。令和3年度以降のNCの評価を行う際には、この評価軸に沿ってNCの業務が適切に行われているかという視点を含めて評価を行うことになりますので、皆様の御意見をいただけると幸いでございます。事務局からは以上になります。
 
○祖父江部会長
どうもありがとうございました。評価軸について御説明いただきましたが、何か御意見、御質問等はございませんでしょうか。斎藤先生、どうぞ。
 
○斎藤委員
ありがとうございます。6NC横断的にというのは、それぞれの知見を持ち寄ってということもありますけれども、やはり多様な見方、視野が広がり今まで思いつかなかったようなことをお互いに共有できるような取組であると思っています。
今、多様性というのが大変重要視されておりまして、人材に関しても多様性というのが重要であると認識されてきております。最後のページの研究者、研究開発人材の育成というところなのですけれども、多様な人材を採用するという取組はもっと奨励されてしかるべきだと思いますので、それを少し加えていただけたらと思います。女性、外国人など、今までとは違う視点で物を見られる人が入ってくることによって活性化する、その効果を期待したいと思います。以上です。
 
○祖父江部会長
ありがとうございます。厚労省の方、何かコメントはございますでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室星野室長補佐
貴重な御意見をありがとうございます。
斎藤先生からいただいた視点も踏まえて、JHとも相談しながら、どういう記載ができるか改めて検討したいと思います。
 
○祖父江部会長
どうもありがとうございます。ほかにはございますでしょうか。藤川先生、どうぞ。
 
○藤川委員
先ほども評価のことは御質問して、今のまさに[3]の横断領域における連携のところにそうした評価の軸を設けますという御説明をいただきましたが、やはりここに書かれていることというのは、あくまでもJHが、6NCが人を出してきて内部の組織である。けれども、独立しているとは言い難いという状況なので、非常に難しいところだとは思うのだけれども、その評価軸というのはあくまでも各NCからJHに対してどういう貢献ができたかということが多いような感じがいたします。
よって、委員が非常に期待しているJHが、よりJHとして独自の活動をしていくとか、そういった発展が見られてくる頃になれば、この評価軸では足りないということになってくるのかなとは思うのですけれども、6年間たって、この評価軸で足りるという状況であれば、JHの活動が足りなかったということになるのかなと思いますし、途中で、これでは足りないから評価軸を変えようという状況になることを期待するしかないのかなとは思います。何となく従来の6NCの延長線上という感じがしてならないという感想です。
 
○祖父江部会長
いかがでしょうか。厚労省のほう、何かレスポンスはございますでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室星野室長補佐
貴重な御意見、ありがとうございます。
JHにつきましては、今年から本格的に稼働しているということもございまして、今後どのような成果が出てくるかというのは中々見通すのが難しいと考えております。藤川先生の御指摘のとおり、今後JHが発展していく中で、このような評価軸でいいのかどうか見直すタイミングもあろうかと思いますので、しかるべきタイミングでまた見直す機会をいただければと思っております。
 
○祖父江部会長
よろしいでしょうか。どうもありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。何かございますでしょうか。
これは海外との人材交流とか、海外の人材をどう取り込むかというようなことをあまりうたっていないのですが、先ほど人材の多様性の質問がちょっとございましたけれども、その辺はどうなっておりますでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室星野室長補佐
国内外の人材獲得ということと思いますけれども、こちらについてはJHだけということではなく、資料4の6ページ目を御覧いただきたいのですけれども、「(2)実用化を目指した研究・開発の推進及び基盤整備」の「[5]研究者、研究開発人材の育成・支援の観点」という中で、定性的視点の中で国内外の人材獲得・育成戦略という点と、定量的視点のでは国内外の育成研究者数を指標として示させていただいておりますので、こちらの中で対応していきたいと考えております。
 
○祖父江部会長
分かりました。企業についてもそうですか。企業との人材の交流というのはどこかにうたってありますか。全体的に言うと、海外もそうですが、企業との人材の行き来が乏しい面があるかなと思っているのです。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室星野室長補佐
御質問の件ですけれども、企業との連携についても、6ページの[5]の定性的視点の中の国内外の人材獲得というところで整理をさせていただきたいと思っております。
 
○祖父江部会長
国内外の人材獲得、アカデミアとの交流は非常に盛んに行われているのですが、企業との人材交流というか人の行き来がかなり少ないかなという印象を持っておりますので、その辺のことも特化して検討していただけるといいかなと思っております。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
事務局です。
今、祖父江先生からお話があったような視点を少し明記できるような形で文章の工夫をしたいと思います。
 
○祖父江部会長
よろしくお願いします。
先ほどの法律的なヒューマンマテリアルとか、そういうものの企業との共有とかNCからの企業への供与、あるいは人がこちらに入ってくるというような流れがもう少し強くなるといいかなとは思っているのです。なかなかそれがうまく稼働していないので、それはどこに原因があるのかということも検討していただけるといいかなと思っております。
海外なんかだとそういうところが非常にスムーズにやられておりまして、1つは法的なアカデミアとしての研究をやっているものですから、倫理とか指針にのっとってやっていて、いわゆる個人情報保護法みたいなものの法律の運用が、アカデミアと企業の間でかなり段差がありますので、そういう点での障壁が結構大きいのかなとは個人的には思っています。ですから、その辺をちょっと解き明かすようなことも追々やっていただけると、その交流が盛んになるのではないかなという感じはします。感想も含めてです。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室星野室長補佐
ありがとうございます。
 
○祖父江部会長
いかがでしょうか。これは最後のパートでございますので、このパートについての御質問でも結構でございますし、遡って、今までで言い忘れたとか、特に追加の質問があるとかということでございましたら、もう少し時間がございますので、御発言いただけるといいなと思いますが、いかがでしょうか。なかなかない機会でございますので、ぜひ御発言いただけるといいなと思います。斎藤先生、よろしくお願いします。
 
○斎藤委員
ありがとうございます。余計なことなのですけれども、今までずっと感じていたことは、定量的な評価というのが客観的なものであるように見えるのですが、あまり内容がないけれども数字だけは上がっていますと言って、それをアピールするようなところがあって、定量的な評価というのはいかがなものかということをいつも思いながら毎年見ていました。定量的な評価というのは本当に必要なのですかねというのが疑問です。
6NCの方たちというのは大変すばらしい業績を残していて、それが論文の本数だ何だというところで評価される方たちではないような気がするのですけれども、いかがでしょうか。
 
○祖父江部会長
いかがでしょうか。非常に本質的な問題提起でございますけれども、厚労省の方は何かコメントはございますか。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室星野室長補佐
貴重な御意見、ありがとうございます。
確かに斎藤先生のおっしゃるとおり、定量的指標については我々も多少思うところはあるのですけれども、参考資料3として配付している「独立行政法人の目標の策定に関する指針」というところで、一定程度の定量的指標の記載が求められております。これは他の独立行政法人も全て同じですので、そこは御容赦いただきたいと思っております。
 
○祖父江部会長
よろしいでしょうか。ただ、これは定性的と書いてありますが、定性的視点という意味ですね。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室星野室長補佐
そうです。定性的な視点と定量的な視点で、それを両方合わせてNCの業務に対して中長期目標期間の評価を行っていくという一つの要素になるとお考えいただいて構いません。当然、年度計画に対してどういう成果が上がったかというのは毎年、評価部会で御審議いただくのですけれども、評価を行う際の一つの視点として、今後、評価を行っていただきたいと思っております。
 
○祖父江部会長 どうもありがとうございます。
いかがでしょうか。何でも発言していただければいいと思います。何かございませんでしょうか。いいですか。
途中で基本法のことがちょっと出ましたが、今、法律的な基本法が出ているのは、もともとはがんがあって、それから循環器がございまして、成育のものがありました。これはまだ分かりませんが、恐らく認知症がいくかもしれないという感じがしております。ですから、ナショナルセンターの扱っている疾患が基本法という形で、これはもちろん患者さんのために医療を促進するということでつくられているわけですが、同時に、次のステップに向けての研究的な側面も含まれるということだと思いますので、この辺の動きというか、いつもそこが言葉では出てくるのですが、具体的にこの法律に基づいてこういうことを進めたいと思っているとか、そういうことがちょっと見にくい面もあるかなと感じているのですが、その辺は厚労省の方から見ていかがでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
ありがとうございます。おっしゃるとおり、今、循環器病の基本法とか、あるいは成育の基本法とか、そうしたものが法律としては出来上がり、法律に照らして、それぞれの法律に基づく協議会等で、具体的な基本方針を定めているところです。
その中で、例えば、成育医療研究センターはこういう役割を担うということが定義されていくわけですけれども、今、現状においては、その検討がまだ終わっていない分野があります。
そのような状況ですので、この文章上では少し具体的に書き切れなかったというところでございまして、書きぶりとしては法律に基づく対応をしっかりとやっていくということで、その法律に基づく基本方針等が出来上がることによって、それに基づく対策はしっかりやってねという書きぶりにしているという状況でございます。
 
○祖父江部会長
がんは10年ぐらい前、もっと前にできていますけれども、あとの3つはこの1~2年で出来上がってきているので、次の6年は、私はどちらかというとそういう法律も含めた何かナショナルセンターがやっていこうとしていることが出てくるといいのかなと期待しているのです。その辺の動きはまだ今オンゴーイングというか、始まったばかりと理解していいですか。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
今、そういう検討の最中ですので、その内容が整理された段階で、しっかりと取り組んでいただくということになりますし、必要に応じてこうした中長期目標を改定して具体的に中に取り込んでいくということも今後考えられるのかなとは考えております。
 
○祖父江部会長
ありがとうございます。よろしいでしょうか。そろそろ時間が本当に迫ってまいりましたが、何か全体を通して、考え方とか、この際ちょっと聞いておこうとか、そういうことはございませんでしょうか。よろしいですか。
今日は2時間半という非常に長い時間を設定していただいて、申し訳ございません、私が時間を少し読み違えておりまして、途中で時間が延びたりしましたけれども、もしなければ、ここで今回の会は終わりにしたいと思います。
事務局のほうから、今後に向けた連絡など何かございますでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室星野室長補佐
事務局です。大西先生が挙手をされていたようなので、御確認をお願いしたいと思います。
 
○祖父江部会長
すみません、大西先生、よろしくお願いします。
 
○大西委員
ちょっとお伺いしたいと思ったのは、見直しの機会というのはいつ頃に設定されるのか、また、どういった手続で見直しができるのかということについて、事務局のほうの御説明を伺いたいと思いました。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室北室長
中長期目標自体は、この2月に一度、各法人に対して、厚生労働大臣の指示という形で示します。その後、例えば中長期目標の修正の必要が出た場合においては、その都度、本評価部会の方に意見も諮りながら、適宜直していくということになりますので、見直しの機会としては、ある意味、その必要性が生じれば毎年度あると考えていただいて結構です。
 
○祖父江部会長
参考資料1というのがあったのですが、これは今日あまり触れられなかったのですけれども、それぞれの先生方は御覧になっておられますでしょうか。最後にちょっとだけ時間がございますので、参考資料1を使って今後の流れを簡単に、ほんの1~2分で説明していただければと思います。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室星野室長補佐
御説明が不足していたようで、大変申し訳ありませんでした。
それでは、参考資料1について、今後のスケジュール等を含めて簡単に御説明させていただきます。
本日は中長期目標(案)の意見聴取というところで、今回、評価部会を開催させていただきました。この後は、この評価部会でいただいた委員の皆様の御意見を踏まえて、中長期目標(案)をこちらで修正させていただきます。
一番下の行になりますが、並行して、総務省の独立行政法人評価制度委員会で1月26日に中長期目標(案)の調査・審議が行われます。そちらも修正意見等がありましたら、それらを踏まえて、厚生労働省で中長期目標(案)の修正を行います。その後、修正した中長期目標(案)について、今度は総務省の独立行政法人評価制度委員会に諮問をいたしまして、中長期目標(案)の審議を行います。
その審議が終わりましたら、中長期目標(案)の財務大臣協議があります。厚生労働省と財務省の間で中長期目標(案)の内容を協議いたしまして、最終的に2月中旬ぐらいを目途にして、中長期目標の策定がされます。
その後、各NCから、この中長期目標に沿った6年間の中長期計画の承認申請を受けることになります。そちらにつきましても財務省との協議を行った上で、厚生労働省が各NCに対して中長期計画を承認するという流れになっております。それが3月下旬に中長期計画が承認されるという流れになりまして、4月1日から次期中長期目標期間が開始されるという流れになっています。以上になります。
 
○祖父江部会長
ありがとうございます。今、大西先生からも御質問がございましたけれども、今日いろいろな意見が出ましたね。これをどこまでか分かりませんが反映していただくというプロセスが恐らくあると思うのですが、我々はそれをもう一回見ることは難しいのですか。どういうプロセスになっていますか。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室星野室長補佐
本日皆様からいただいた御意見を踏まえて、厚労省の方で中長期目標(案)を修正します。修正した中長期目標については、委員の皆様に情報提供させていただきたいと考えております。
 
○祖父江部会長
分かりました。ありがとうございます。どうもありがとうございました。ちょうど時間になってまいりましたので、大体この辺りで閉じたいと思いますが、よろしいですか。どうもありがとうございました。
それでは、最後に何か事務連絡はございますでしょうか。今、今後の予定などもおっしゃっていただきましたので、大体分かったところでございますが、何かございますか。
 
○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室星野室長補佐
先ほどもスケジュールを御説明させていただきましたが、本日、御議論いただいた次期中長期目標(案)について、本部会と総務省の独立行政法人評価制度委員会の意見を踏まえて、厚生労働省で次期中長期目標を策定して、各NCに指示することとなります。決定した内容につきましては、委員の皆様に情報提供させていただきたいと考えております。事務局からは以上です。
 
○祖父江部会長
どうもありがとうございました。それから皆様、非常に活発な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
前回と今回の2回にわたって行ったということでございますので、いろいろ反映さしていただいて、またフィードバックしていただけるということでございますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日は以上ということで、この会を閉じさせていただきます。
どうもありがとうございました。