第4回身体障害者補助犬の訓練及び認定等のあり方検討会議事録

日時

令和3年3月8日

場所

TKP新橋カンファレンスセンター

議題

第4回身体障害者補助犬の訓練及び認定等のあり方検討会

議題
  1. (1)今後のスケジュールについて
  2. (2)訓練基準・認定要領改正のためのワーキンググループについて  
  3. (3)介助犬・聴導犬の訓練事業者・指定法人へのヒアリング結果について
  4. (4)厚生労働科学研究について(報告)
  5. (5)その他
              

議事

議事内容
○水村専門官 定刻となりましたので、ただいまから「第4回身体障害者補助犬の訓練及び認定等のあり方検討会」を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、大変御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。本日はWebでの開催となります。
まず始めに、構成員の出席状況について御報告いたします。本日は12名の構成員に出席いただいております。1名が欠席となります。江藤座長、中野構成員、事務局は会場からの参加となります。本検討会のオブザーバーとして、警察庁交通局交通企画課より、岸田様にWebで御出席いただいております。また、後半に厚生労働科学研究の報告を頂く場面がありますので、研究代表者の国立障害者リハビリテーションセンター飛松総長に御出席いただいております。
続きまして事務局のメンバーを御紹介します。自立支援振興室長の金原です。自立支援進行室社会参加活動係長の田中です。課長補佐の平田につきましては、所用により欠席となります。障害保健福祉部長の赤澤につきましては、遅れての参加となります。私は自立支援振興室福祉用具専門官の水村です。
続きまして、本検討会の取扱いについて御説明いたします。本検討会の議事については、公開とさせていただき、また議事録につきましては、後日、当省のホームページに掲載することとしておりますので、御承知置き願います。
本日の議事に入る前に資料の確認をさせていただきます。構成員の皆様には、事前にお送りさせていただいておりますが、議事次第、参加者名簿、資料1、資料2、資料3、資料4、最後に参考資料の1から3となります。
今回はWeb開催としておりますので、ミュート機能を設定いただき、御発言される際は「手を挙げる」というアイコンを画面に表示していただく、若しくは実際に挙手してお知らせ願います。
それでは、本題に入らせていただき、江藤座長に議事を進めていただきたいと思います。江藤座長、よろしくお願いいたします。
○江藤座長 座長を務めさせていただいております江藤です。この検討会の第4回ということで、構成員の皆様には、年度末のお忙しい中を御出席いただき、どうもありがとうございます。
早速議事次第に沿って進めさせていただきます。議題の(1)今後のスケジュールについて、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○水村専門官 事務局の水村です。今後のスケジュールについて、資料1を御覧ください。前回12月の検討会にて、本検討会については次年度も引き続き開催させていただける方向で御了解いただきました。スケジュールを組み直させていただきました。訓練事業者や指定法人に対するヒアリングを行いまして、課題も見えてきたことから、次年度から介助犬並びに聴導犬の訓練基準と認定要領の見直しを行いたいと思います。ここではあり方検討会の下に、ワーキンググループを設置して、議論を進めていくこととし、訓練基準、認定要領、各々の改正案がまとまり次第、本検討会を改めて開催し、皆様にお諮りしたいと考えております。これら詳細については後ほど御説明したいと思います。
全体の流れとして事務局としてはこのように進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。以上です。
○江藤座長 どうもありがとうございました。ただいま御説明いただいた内容につきまして、御意見がございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
それでは、続きまして議題(2)訓練基準・認定要領改正のためのワーキンググループについてです。事務局より資料の説明をお願いいたします。
○水村専門官 それでは、資料2を御覧ください。資料2-1が訓練基準、資料2-2が認定要領のワーキンググループと2つに分かれております。次年度のワーキンググループは、訓練基準と認定要領とに分けて設置することを考えております。補助犬の質の向上や、使用者からの視点から見直しを行うに当たり、メンバーは医師、獣医師、各専門職、ユーザーで構成しております。
訓練基準には訓練事業者の7箇所を加えます。認定要領では、訓練事業者を入れ替えて、指定法人の7か所をメンバーとしています。
なお、訓練事業者については、20事業者以上ございまして、全てお呼びすることは難しいですので、事務局としての基準を設けて選定させていただきました。その選定ポイントとしては、1点目、過去5、6年間ぐらいの認定実績数、もう1つは直近3年間で認定実績があるかどうか。認定実績の有無です。次に、事業者の所在エリア、最後に実際、今回のヒアリングに御協力いただけたかを勘案して、総合的に決定させていただきました。
2つのワーキンググループは同時期に進めるのではなく、まずは補助犬認定のための枠組みとなる認定要領のワーキンググループから開始して、まとまり次第、訓練基準のワーキンググループに移行したいと思います。各ワーキンググループの回数は、各々3回から4回を想定しています。
あり方検討会と引き続きとなりますが、ワーキンググループの座長としては、医師でもある江藤座長、獣医師としては水越構成員、専門職の理学療法士としては佐藤構成員、作業療法士として吉田構成員、言語聴覚士として立石構成員、社会福祉士としては森戸構成員に、ユーザーとして日本介助犬使用者の会の木村様、日本聴導犬パートナーの会の松本様にそれぞれお願いしたいと考えております。
また、参考資料3にありますとおり、現行のあり方検討会開催要綱に、ワーキンググループの設置を加えさせていただきました。資料としては以上となります。
○江藤座長 どうもありがとうございました。ただいま御説明いただきました内容について、御意見がございましたらよろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。
○有山構成員 有山です。よろしいでしょうか。
○江藤座長 どうぞ。
○有山構成員 全日本ろうあ連盟の有山です。よろしくお願いいたします。ワーキンググループには、専門家のメンバーの方が多いですが、障害当事者が参加されているのかどうかを確認したいのです。なぜかと申しますと、障害当事者がきちんと当事者と参加して議論をしていただくようにお願いしたいと思っております。
○江藤座長 ありがとうございます。メンバーの中に当事者が参加しているかということですが、事務局のほうでお願いします。
○水村専門官 事務局です。当事者としては、現ユーザーとして2名参加いただこうと思っております。聴導犬パートナーの会の松本様、こちらは聴導犬のユーザーとなります。また、介助犬使用者の会の木村様、こちらは介助犬のユーザーとなります。このお二人は、平成14年、昔のあり方検討会のときに、当初、基準等を作成したときのメンバーのお二人ですので、時間の経過を経て、これまでの流れを踏まえて、御意見を頂ける強力なメンバーかなと思っております。また、実際、ワーキンググループを進めていくにあたっては、当事者のヒアリング等を追加して行うなど、その辺もまた来年度考えていければなと考えております。以上です。
○江藤座長 よろしいでしょうか。
○有山構成員 有山です。承知いたしました。ありがとうございました。
○江藤座長 そのほかに御意見ございますでしょうか。
それでは、続きまして議題(3)に移らせていただきます。「介助犬・聴導犬の訓練事業者・指定法人へのヒアリング結果について」です。事務局から説明をお願いいたします。
○水村専門官 事務局水村です。それではヒアリング結果について資料3を御覧ください。これまで構成員の皆様から頂きました御意見を論点として、訓練事業者と指定法人に対する書面ヒアリングを実施しました。実地に実際に出向いてのヒアリングも見据えて考えてはいたのですが、やはりコロナ禍もあり、今回は未実施とさせていただきました。期間は1月15日から約2週間です。対象は全ての訓練事業者、指定法人とし、回収率は全訓練事業者からは30%台でしたが、過去5年間に認定実績のある所からでは約80%の回収率でした。指定法人については80%を超える回収率でした。実際にヒアリングをした内容については記載のとおりとなります。
次のページになりますが、主な意見を抜粋しておりますので、かいつまんで御説明します。「認定要領に関する主な意見」です。「認定の申請書類について」という所では、訓練事業者ごとではなく、統一した記載フォームを用いて指定法人が確認・評価できるようにしてはどうかなどです。「審査、基本動作などの検証、フォローアップについて」という所では、育成犬の質を確保するには、指定法人間で意見交換や研修の機会などの環境整備が必要ではないか。またリモートや録画を活用した認定審査については、柔軟に取り扱うことを考えてもよいのではないか。フォローアップに係る費用負担の在り方について検討すべきなどです。
下のほうにありますが、「訓練事業者から認定要領に関する意見」も頂きましたので、載せております。ここでは面談や合同訓練を指定法人で行う負担が大きく、改善が必要である。的確な審査が確保されれば、質の確保は可能であるなどの意見を頂きました。
次のページに「訓練基準に関する主な意見」をまとめております。訓練内容としては、介助犬は合同訓練の日数(40日以上)が長すぎ、聴導犬(10日以上)は短かすぎる。日数ではなく1日の上限時間を決めたらよいのではないか。また、介助犬も聴導犬も同じ期間でよいのではないかといった意見が目立ちました。「訓練者要件・訓練体制」については事業者同士の連携体制の構築は課題ではあるが、社会参加や自立の捉え方の違いが埋められないと難しい。指定法人が全国に7か所だけであり、地域偏在があるため、窓口となる組織の設定など、訓練事業者とのマッチング・協働できる組織作りを全国展開する必要があるなどです。
次のページに行きます。「犬の健康管理・確保」についてです。他の補助犬育成団体とつながることで犬のキャリアチェンジを実現できるのではないか。補助犬の適性については、国際的基準に準拠したアセスメントを実施し、適性を査定の上、合同訓練を実施しています、などです。ここでは「指定法人から訓練基準に対する意見」も頂きまして載せております。使用者が補助犬を使用することによる自立や社会参加に関する達成目標の基準は、明確にする必要がある。加えて、犬と暮らすことによる心理的効果などをどの程度加味すべきか議論してはどうか、などです。
次のページに行きます。またその他に「普及・啓発に関する主な意見」も頂いております。SNSの活用やオンラインイベントの推奨は意見が多かったと思います。リハ専門職、OT、PT等の職種への補助犬理解促進など、医療機関に対する普及・啓発をしてほしい、などです。
「その他の主な意見」です。リモートでの相談や面談について言及されていたり、補助犬に完璧を求めすぎるユーザーが、ストレスを与えてしまわないように、過度な規定とならないように見直すことが必要、などの意見を頂きました。
これらは事務局としての方針としてではなく、あくまでもヒアリングで主だった内容をピックアップさせていただきました。以上です。
○江藤座長 ありがとうございました。ヒアリングの結果について非常にたくさんの御回答、御意見を頂いているわけですが、その中から主な意見として御説明を頂きました。まずは訓練基準の見直しに向けた意見について、構成員の皆様より御意見がありましたらお願いしたいと思います。ここでは次年度のワーキンググループで議論するため、論点の方向性の確認ということでよろしいかと思われます。ワーキングで話し合ってもらいたいポイントについて挙げていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
○三浦構成員 日本身体障害者補助犬学会、神戸大学の三浦です。今回のヒアリング結果は本当に短い期間の中、厚労省でよくこれだけしっかり取りまとめていただいたことを感謝いたしますとともに、やはり実際に熱心にされているところが、特に訓練事業者さんについては御回答くださっていることが数字的にも分かってきたことかと思います。その上で、やはり日数とか時間制限とか、あるいは書類の形式とか、やはり明確な基準を設けてほしい、あるいは基準を変えてほしい、もちろんその中には長くしてほしいという意見と、短かくしてほしいという意見、あるいは動物福祉の視点から1日当たりの時間を制限してほしいとか、様々やはり数値的なところをしっかりワーキンググループで御検討いただくことをお願いしたいと、私としては考えます。以上です。
○江藤座長 三浦構成員、どうもありがとうございます。そのほかにいかがでしょうか。訓練規定に関する意見、ここには主な意見として出ているわけですが、非常にたくさん御回答を頂いております。佐藤構成員どうぞ。
○佐藤構成員 結果の取りまとめをありがとうございました。いろいろ参考になる御意見があったかと思います。訓練環境の所で、訓練内容の所で公共の場での訓練が難しいという認定前の犬の公共の場での訓練が難しいということですとか、どういう環境での訓練結果を基にして認定に持っていくかという、その訓練の現場の様子というか環境といいますか、そういったところもある程度統一した基準があるといいなと思っています。公共の場での訓練に関しては、厚労省のほうにも御尽力を頂かないといけないと思いますけれども、実地訓練がうまくできるような内容の検討が必要かと思っています。以上です。
○江藤座長 どうもありがとうございます。そのほかにいかがでしょうか。
○有山構成員 有山です。訓練の場所についてですが、地域別の数を見ると全国的なバランスを言えば、特に北海道、東北地方が少ないように思います。今後はそういった場所が増えるように、先ほど佐藤構成員から御意見がありましたが、環境の整備というところも統一できるように、ワーキンググループの中で議論をしていただければいいかと思います。
○江藤座長 どうもありがとうございます。そのほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。吉田構成員どうぞ。
○吉田構成員 日本作業療法士協会の吉田と申します。よろしくお願いいたします。取りまとめの結果を拝見して、本当にいろいろな情報がたくさん載っているので大変に有り難く思っております。ありがとうございます。先ほど、佐藤構成員がおっしゃったこと、有山構成員がおっしゃったことと重複する部分があるのですが、訓練をする場所とか場面をもちろん統一することは必要なことであろうと考えます。また個別性ですね、希望しておられる方がどういう生活をされているのかというところを鑑みて、個別にその方に必要な環境や場面を設定することが、今どのようにされているのか少し疑問な点がありますので、そういった点も明確に、必要であればこういう場面で必ず練習をするというようなことを盛り込めたら、今後質の高い補助犬につながるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。以上です。
○江藤座長 どうもありがとうございます。そのほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○長岡構成員 よろしいですか。東京視覚障害者生活支援センターの長岡です。よろしくお願いいたします。ヒアリングの結果を見させていただいて非常に勉強になると思いますが、この中で特に結果でまとめていただいた中で、社会参加や自立の捉え方の違いが埋められないという記述、さらに次のページで自立や社会参加に関する達成目標の基準を明確にする必要があると、こういう記載があるのですが、これは補助犬の多分基本的な部分、つまり事業者によって捉え方が違うというのは、補助犬そのものの存在自身に非常に大きな影響を及ぼすのではないかと思うので、この辺はやはりしっかりと詰めていただいたほうがいいかと思います。
障害福祉サービスで言うと訓練等給付なのか介護なのか、その辺が比較的にはっきりしているのですが、ここがはっきりしないと、この補助犬としての意義が薄れていく可能性もあるので、そこはお願いできたらと思います。
○江藤座長 ありがとうございます。次年度のワーキングで話し合っていかなくてはならないようなポイントを挙げていただいておりますが、そのほかいかがでしょうか。いろいろと御指摘いただきましてありがとうございます。
続きまして、認定要領の見直しに向けた意見について、同じように構成員の皆様から御意見をお願いしたいと思います。同じように次年度のワーキングで取り上げて話し合ってもらいたいようなポイントについて挙げていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。吉田構成員、どうぞよろしくお願いします。
○吉田構成員 日本作業療法士協会の作業療法士の吉田と申します。よろしくお願いいたします。こちらのほうも非常に参考になる情報がたくさん入っていて、有り難い情報となっております。ありがとうございます。まずこれまで幾つかの指定法人の方、あるいはそこに関わられている方、そして訓練事業者の方等から少しお聞きしたことを、聞いたこととして意見を述べさせていただきます。
統一したフォーム、評価内容を統一するというようなことが必要なのではないかと感じています。指定法人によって、評価するその内容に少しばらつきがあって、どちらの指定法人で認定を受けることにするかみたいなことについて、訓練事業者の方が悩んでいらっしゃるというようなことも少しお伺いしたことがあります。決して認定をしてもらいやすいとか、もらいにくいとかという問題ではないとは思うのですけれども、やはり同じ補助犬の質の確保ということですので、その辺りを統一していくというのは必要なのではないかと思っております。以上です。
○江藤座長 ありがとうございます。そのほかに構成員の皆様から御意見、基本的にはヒアリングの結果が参考になるかと思うのですけれども、次年度のワーキングで取り上げるべきような課題、あるいはポイントについてお願いしたいと思います。佐藤構成員、よろしくお願いします。
○佐藤構成員 PT協会の佐藤です。こちらの資料も参考になることとがたくさんでありがとうございました。この資料を拝見していると、認定審査の透明性みたいなものというか、不平等的なものを感じる内容が少し含まれているかなと思っています。ですので、今吉田構成員のほうでおっしゃっていた認定基準というか、評価方針みたいなものを統一することも1つですし、あとは認定審査に関わる委員の構成をどうするのかということですとか、その人たちの役割を明確にすることがどこの審査機関、指定法人に頼んでも同じように審査されるということにつながっていくのかと思っています。その辺は検討していただけるといいかと思っております。以上です。
○江藤座長 どうもありがとうございます。今までは結構ばらばらであったというようなことが意見の中でかなり出されておりますけれども、構成員の皆様から更に御意見を頂きたいと思いますがいかがでしょうか。三浦構成員、どうぞ。
○三浦構成員 補助犬学会の三浦です。非常に難しいことではあると思うのですが、今回も、普及・啓発に関わる指定法人が補助犬を認定するに当たり、補助犬がどういう訓練士さんに訓練されてきたのかなということ、すなわち、この訓練士の資格制度基準化の問題というところが、非常に困難なことではあるのかもしれませんが、やはり、認定の基準を設けるということは必要であり、ある程度、育成に関わる人の基準あるいは資格というものに関しても、併せて御検討を頂けたらいいのではないかと考えます。以上です。
○江藤座長 ありがとうございます。水越構成員、よろしくお願いします。
○水越構成員 日本獣医生命科学大学の水越と申します。意見がちょっと重複してしまうところもあるのですけれども、私もこの認定要領に関する主な意見を見ますと、まず認定審査基準や試験科目を明文化、これはもっともなことだと思います。しかしそれだけでなく、審査員についてですが、特に専門職について。例えば私で言いますと、獣医師ですが、獣医師の中にも専門性がありますので、どういう専門性を持った獣医師が入るのかであるとか、恐らくほかの専門職についてもどういう人を選ぶのかということが非常に必要になってくるかと思います。同時に三浦構成員のほうからも意見がありましたが、訓練側についても要項があってもいいのかと思います。以上です。
○江藤座長 どうもありがとうございます。先ほどは訓練基準を中心に御意見を頂いておりますけれども、両方が絡むこともあるかと思います。認定要領の見直しに向けた御意見、更に訓練基準についても次年度のワーキングで取り上げていくことになりますが、そこで取り上げなくてはならないというようなポイントをもう少しありましたらよろしくお願いします。森戸構成員、よろしくお願いします。
○森戸構成員 よろしくお願いします。アンケートの取りまとめをありがとうございました。認定要領の意見に書かれているところで、訓練事業所の方から、訓練事業所の認定審査員のほうが、リハ専より介助犬のことを理解しているという意見もあるのですけれども、恐らく介助犬の認定、聴導犬の認定もそうなのですけれども、犬の認定ということで、訓練事業所の方の御意見はあると思うのですが、ユーザーの方の状態をどう評価して認定していくかということもあると思いますので、その辺りを認定要領にきちんと盛り込んでいくことで訓練事業所の方にも理解を深めていただきたいというのが1つあると思います。あとは皆さんから意見が出ていることは検討していけるといいと思います。以上です。
○江藤座長 ありがとうございます。いかがでしょうか、ほかに。次年度ワーキングを立ち上げて、それぞれ検討していくことになるわけですけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
それでは続きまして、先ほどの説明にもありましたけれども、普及・啓発についてどのように検討していくかということで、御意見を頂きたいと思います。普及・啓発について、資料その他の所になっていたと思います。5番目のページになりますけれども、よろしくお願いします。いかがでしょうか。実際に認定基準・訓練基準を見直していくわけですけれども、今までの実際に聴導犬や介助犬の活躍具合といいますか、せいぜいまだ70、少し減ってきているぐらいの数なわけです。実際にはニーズはもっとあるのではないかということも含めて、普及・啓発が必要ではないかと考えています。いかがでしょうか。石川構成員、お願いします。
○石川構成員 横浜市役所の石川です。なかなか訓練基準・認定基準のところで行政が関わる役割というのは、難しいと言いますか私自身も見えていない点がありますので、その辺り行政としての関わりが何か必要なのかどうか、その辺をちょっとサジェスチョンいただければと思っています。
一方、逆に普及・啓発の部分に関してはここにも書いてあるとおり、自治体の役割というのは、自治体とか学校というところでは非常に大きなところがあるのかなと思っていますので、この辺りについてはできる限り御協力させていただく必要があるかと考えております。
○江藤座長 ありがとうございます。そのほかにいかがでしょうか。立石構成員、よろしくお願いします。
○立石構成員 よろしくお願いいたします。言語聴覚士協会からまいりました立石でございます。普及・啓発というところで主な意見の所にも書かれていますけれども、作業療法士・理学療法士の方に比べて、言語聴覚士については補助犬の中でも、特に直接関わるのは恐らく聴導犬ということになると思いますけれども、まだまだどう活用されるのかとか、実態がどうかとか、そういうことについての理解は決して広く知れ渡っているということではないと思います。ですからやはり専門職に対しての普及・啓発ということも、とても重要ではないかと思います。
ちょうど、と言うとおかしな言い方になりますが、本年度はコロナの影響でリモートとかオンラインなど、否応なくそれを使わざるを得ないという状況が生まれていると思います。協会で行う様々な研修などの事業についても、なかなか現地では集めるのが大変でしたが、オンラインだとむしろ人が集まるというような状況もありますので、そういうものもうまく活用して普及・啓発活動に使っていくのがいいのではないかと思います。ありがとうございます。
○江藤座長 どうもありがとうございます。そのほかにいかがでしょうか。中野先生。
○中野構成員 中野です。今の専門職への理解・啓発というのは私も非常に重要だと思っています。私は視覚障害が専門なので、盲導犬について述べますが、盲導犬はそれなりに広がっているとはいえ、やはり視覚障害のリハビリテーションの専門家が十分に補助犬の役割を理解し、広げていく役割を果たせているかというと、まだまだだと思います。さらに、理解を広げていく必要性があるのではないかと思います。
その際に非常に重要になるのが、補助犬というふうに犬を先に出してしまうのではなくて、人の理解を中心に考えていく必要があるということです。まず、視覚障害や聴覚障害、肢体不自由というように人のことを中心に考えることが大切で、その上で、どういう人にとって補助犬が向いているのか、それからその人が補助犬を使うとどのように生活の質が改善していくかということを含めて、専門職に働き掛けをしていくことが非常に重要だと思いますので、このような観点も是非議論の中に入れていただければ有り難いと思います。以上です。
○江藤座長 どうもありがとうございます。いかがでしょうか。水村専門官。
○水村専門官 事務局水村です。まだまだ御意見を頂きたいのですが、少し厚労省の取組をお話できればと思います。今年度はなかなかコロナ禍もあり、予定通りには実施できなかったのですが、毎年もちろんリーフレットを使って自治体等にお配りして普及・啓発を続けています。また普及イベントとしてこども霞が関見学デーなど、地方の身体障害者補助犬普及・啓発イベント、こちらは日本補助犬情報センターと協働して、関西エリアや地方を回ってトークショーや、実際にデモンストレーションを行うということを行ってきました。
また第2回あり方検討会は5月29日の書面開催になりましたが、そのときの資料としてお付けしたのが昨年度の障害者総合推進事業で身体障害者補助犬の普及・啓発のあり方に関する調査研究を行い、自治体向けのガイドブックを作り発信もしていますので、この辺の活用もしていただければと改めて思っています。
また今年度、現在作成中ですが、子供の頃から補助犬についての情報を普及していきたいということで、小学校3、4年生ぐらいから理解ができ、大人も含めてSNSで見られるような動画を、今現在作成しています。発信してお知らせしたいと思っていますので、併せてよろしくお願いします。以上です。
○江藤座長 どうもありがとうございます。普及・啓発につきましては事業も行われています。有山構成員、よろしくお願いします。
○有山構成員 有山です。今のお話を聞いて子どもとか専門の方だけではなく、当然障害者の理解も必要だと思います。活用が少ないのは、情報がないので、当事者に向けてPRをする必要があると思います。それらも含めて啓発を進めるようお願いしたいと思います。
○江藤座長 ありがとうございます。利用者さんの側、当事者の方々も情報が不足しているわけで、普及・啓発については課題が幾つかあるかと思いますけれども、いかがでしょうか。次年度のワーキングに向けてということで、本日はいろいろ御意見、御議論を頂きたいわけですけれども、訓練基準についてあるいは認定要領についても話し忘れたというようなことがありましたら、御意見を頂ければと思います。今は普及・啓発ということで御意見を頂いている最中ですけれども、途中で思い出されたら御意見を頂きたいと思いますから、どうぞよろしくお願いします。
○有山構成員 有山です。以前1回目と3回目に参加したときに、発言したのですが、聞こえない者としては手話言語がありますので、専門の方に対しては手話言語の理解も含めて、啓発・啓蒙をしていただきたいと思っています。
○江藤座長 ありがとうございます。啓発・啓蒙のやり方についての御意見があるかと思いますので、よろしいでしょうか。次のその他について御意見を頂こうと思いますけれども、また思い出されたことがありましたらそこでも御発言いただいて構いませんので、それでは、資料の最後のその他について何か御意見がございましたら、よろしくお願いいたします。中野構成員、よろしくお願いします。
○中野構成員 その他ということで発言します。既にカリキュラムを持って訓練士を養成している所もあるかと思います。盲導犬の場合には長い歴史があります。私も少し関わらせていただいているのですが、盲導犬訓練士学校も設立されております。そこで、ワーキングにおいて、盲導犬訓練士の訓練カリキュラムの中で、一体、どういうカリキュラムがあり、その中でどのような内容が機能していて、どういうカリキュラムについては、今後、まだ更に精査しないといけないのかというようなことを、1つの情報として集めていただいてもよいのかなと思っております。
訓練士養成カリキュラムの中には、例えば障害の理解に関する非常に基本的なところからスタートして、それぞれ補助犬を使うユーザーというのはどういうユーザーなのかという内容があると思います。先ほど御指摘がありましたが、例えば手話だとか点字だとか、そういった犬に関わること以外の、障害の理解に関わることも非常に重要なことかと思われます。そういったことも訓練士学校の中では学ぶようなカリキュラムになっていますので、まだ試行的な部分もあるかと思いますが、その中でどういうところが機能しているかを調べていただくと、今後、何らかの参考になるかなと思って発言させていただきました。以上です。
○江藤座長 ありがとうございます。訓練基準の所でも訓練士の資格について御意見があったかと思いますけれども、養成校ですね、訓練士学校でのいろいろなカリキュラムについてもワーキングで検討すべきということかと思います。そのほか、その他ということにつきましていかがでしょうか。事務局、どうぞ。
○水村専門官 事務局水村です。御意見をいただきたいポイントがございまして、コメントいただければと思っております。その他の意見にもございましたが、今後、特に認定要領の所で話題になると思いますが、いわゆるオンラインのリモートとか事前の録画とか、そういうことを通じて認定していくというお話が中核になる気もします。この辺で特に注意しなければいけないことや参考となること。また、いろいろお考えがありましたら御意見を頂ければと思います。よろしくお願いします。
○江藤座長 いかがでしょうか。この取りまとめの中のその他の主な意見で、リモートに関するいろいろな意見が出てきているわけですけれども、いかがでしょうか。リモートについては取り上げることが必ずあるかと思いますが、その際にポイントとなる点、留意すべきこと、あるいはいろいろ普及に関してもリモートというのは当然使われるかと思いますが、その他ということで、いかがでしょうか。御意見を頂けますでしょうか。三浦構成員、よろしくお願いします。
○三浦構成員 補助犬学会の三浦です。前回の検討会でも申し上げましたとおり、今の実態の流れとしてリモートを導入していくという必要性はあると思います。一方、リモートの限界というのも常に見えてくるところで、例えば録画であればベストショットのものでいいのかどうか。あるいは食べ物がある状況でどうかとか、なかなか画像だけでは評価しきれない部分、リモートの限界も踏まえた上で、ハイブリッドは様々な形がございますので、もちろん積極的な導入を御検討いただきたいのですが、併せて不得意なところも御検討いただけたらと思います。以上です。
○江藤座長 ありがとうございます。水越構成員、どうぞ。
○水越構成員 水越です。リモートに関してはどこができるか、どこができないかというところの精査が必要ではないかと思います。例えば動作の部分でも録画となるとやり直しが利くとか、良いところだけチョイスしてということも可能と言えば可能なわけです。そこの部分はライブでやる必要があるとか、しかし録画でも大丈夫な部分はあるのではないかということで。現在のコロナという状況もありますし、また全国各地に認定法人を作るのは現実的でないというか、難しいというところがあると思います。そう考えると、リモートでできるところはリモートでというふうに考えていく必要はあるだろうと思います。ですけれども、先ほど三浦構成員からハイブリッドという話がありましたけれども、どのようにハイブリッドにするのかというようなところは精査して決めていく必要があるのではないかと思います。以上です。
○江藤座長 ありがとうございます。いかがでしょうか。その他ということですから、先ほど御説明いただいたものに限らず、ワーキングで検討しなくてはならないような項目がございましたら、よろしくお願いいたします。吉田構成員、よろしくお願いいたします。
○吉田構成員 日本作業療法士協会の吉田です。今、三浦構成員と水越構成員のお話を伺っていまして、関連したことではあると思いますが、リモートあるいは録画でしか見れない場面というのもあるかなとも考えています。今までは総合評価の中で特定の場面を見て状況を判断するということだったかと思います。もちろん、録画には気を付けないといけない部分もあるのですが、指定された環境の中でではなく、対象としている希望者の方が自分が生活する場面の中で本当にその犬が機能しているのかどうかというところを、もし見るのであれば例えばお家でどうなのか、職場でどうなのかといったところは、むしろ録画を積極的に使用することも有効な材料になるのではないかと思いますし、もしかしてそこまで訓練事業者の方が関わっていないような団体であれば、これは社会の中での自立した生活を行うという事業ですので、そこまでする必要があるということにもつながっていくのかなとも考えます。また検討が必要なところはあるかと思いますが、以上のような意見を持っています。以上です。
○江藤座長 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、いろいろと御意見を頂きましたけれども、次の議題に移りたいと思います。続きまして議題(4)です。報告事項となりますけれども、厚生労働科学研究について事務局から説明をお願いいたします。
○水村専門官 事務局水村です。厚生労働科学研究の指定課題「身体障害者補助犬の質の確保と受け入れを促進するための研究」ということで、令和元年度、今年度と、研究を進めてまいりました。この後、研究代表者である国立障害者リハビリテーションセンター飛松総長より研究の概要について、まだ3月まで研究は続きますが現段階の報告ということで、お願いできればと思っております。それでは、飛松総長、お願いいたします。
○飛松総長(国立障害者リハビリテーションセンター) 画面共有はこちらからはできないので、そちらでページをめくっていただきたいと思います。
○水村専門官 はい。
○飛松総長 まず、2年間にわたって「身体障害者補助犬の質の確保と受け入れを促進するための研究」というものを指定課題として行いました。次、お願いします。
この研究の目的は、補助犬の質を確保し社会での受け入れを一層進めることとして4つの柱があります。1つは現行法令、既存の各種ガイドライン等の内容を学術的な視点で検証するというもので、担当は小澤温先生です。2つ目の課題としては、補助犬の衛生管理の実態を把握し、訓練事業者および使用者が行うべき対応を取りまとめるというもので、これは構成員のお一人でもある水越先生に分担研究者になっていただいております。3つ目としては、交通事業者、飲食店、ホテル、医療機関等、各分野で補助犬使用者を受け入れるための留意点について取りまとめるというもので、これは帝京科学大学アニマルサイエンス学科講師の山本真理子先生と、研究協力者として高柳友子先生にお願いしています。4つ目としては、障害者のニーズを的確に把握するために、補助犬の種別毎の需給推計方法について検討するということで、これは当センターの研究所室長の清野絵研究員に担当してもらっています。次、お願いします。
1番目の現行法令、既存の各種ガイドライン等の内容を学術的な視点で検証するということであります。

○飛松総長 1.の盲導犬訓練施設、介助犬訓練事業、聴導犬訓練事業の運営および指定基準に関して比較検討することを行って分かったことは、盲導犬訓練施設の指定基準が国家公安委員会規則第17号に基づいていることと、介助犬訓練事業、聴導犬訓練事業の指定基準が身体障害者補助犬法施行規則第7条に基づいていることが分かりました。その内容としてはここに書いてあるようなものであり、両者にほとんど差はないのですが、次、お願いします。
この文言の中に、介助犬訓練事業、聴導犬訓練事業では苦情解決のための体制が整備されている。しかしながら、盲導犬にはその文言がないということですが、盲導犬に関しては別の所に苦情解決について明記されているので、ほとんど内容的には同等であろうと判断できるということです。ただ、盲導犬訓練施設の指定法人は毎事業年度ごとに、これらのことを国家公安委員会に提出する義務があるということで、訓練施設に対する国家公安委員会の監督権限が更に大きいと考えられることが分かりました。次、お願いします。
次に、盲導犬訓練施設、介助犬訓練事業、聴導犬訓練事業と他の身体障害者社会参加支援施設の設備および運営基準の比較をいたしました。それによりますと、盲導犬訓練施設に関しては、身体障害者社会参加支援施設の設備及び運営に関する基準の第4章に記載がある。しかしながら、介助犬訓練事業と聴導犬訓練事業の記載はされていないということです。そのために他の身体障害者社会参加支援施設との比較は、盲導犬訓練施設に限って検討してみたということで、他の身体障害者社会参加支援施設の設備および運営に関する基準では、身体障害者福祉センター、補装具制作施設、盲導犬訓練施設、視聴覚障害者情報提供施設の4施設が記載されているので、これらを比較してみたということです。その中で、ここに書かれているような建物の面積とか設備基準、職員の配置基準等基準があり、その中で盲導犬訓練施設で他に見られないものは何かというと、入所者の健康管理に関してはこの施設固有の基準であるということで、盲導犬と利用者を併せて訓練する事業と捉えられているのではないかと結論しています。次、お願いします。
これらの盲導犬訓練施設、介助犬訓練事業、聴導犬訓練事業の指導監査はどうなっているかということですが、これは社会福祉法第70条が根拠となって、身体障害者社会参加支援は第2種社会福祉事業であることから、都道府県(政令市)による指導監査の対象になっているというものです。その都道府県(政令市)の監査報告に関しては、社会福祉法人の一般監査事項に準じていることと、盲導犬に関しては、この基準に、厚生労働省令をもとに、さらにこれらのことが加えられていることがあるということで、さらに一層厳しく監査の基準があることがみられると。しかしながら、これらに対しての指導監査がどの程度行われているのかに関しては、今回の研究からは分かりませんでした。次、お願いします。
以上が、法制度上、どのようになっているか点検したことでありまして、次に補助犬の衛生管理の実態を把握し、訓練事業者および使用者が行うべき対応を取りまとめるということで、これは水越先生(構成員)が担当したものです。1年目の令和元年度においては、補助犬訓練事業者に対する補助犬の衛生管理についてのヒアリング調査を行い、ヒアリングの対象は日本盲導犬協会、日本介助犬協会、日本聴導犬推進協会であります。加えて、補助犬の衛生管理についての海外の文献調査を行ったと。それから、現行の「身体障害者補助犬の衛生確保のための健康管理ガイドライン」というものがございまして、それを検証したということです。
その検証の結果、訓練事業者が使用者に具体的に指導するようにとは書かれていない。ですから、そのガイドラインを見て具体的にどうすればいいのかというところにつながらないことが分かりました。訓練事業者が補助犬の衛生管理として何が必要かについての理解が足りないので、具体的な指導になっていないということであり、そのためにどうしたかというと、健康管理ガイドラインが理解できるようにと言うと変ですが、それを具体的にどうするか手引きが必要であるということで、2年目、今年度ですが、身体障害者補助犬の衛生確保のため、健康管理ガイドラインの手引き書を作ろうということで、「補助犬使用者及び訓練事業者のための補助犬衛生管理の手引き」を、ただいま作成中です。これに関しては日本獣医師会理事の佐伯先生、TeamHOPE代表の太田先生、日本盲導犬協会、日本介助犬協会、日本聴導犬推進協会、そして盲導犬使用者、介助犬使用者、聴導犬使用者の当事者から内容についてチェックを頂いているところです。次、お願いします。
これがまだ作成中ですので、中身はこれからも動くことがありますが、目次として補助犬の衛生管理、補助犬の健康管理の2つのことについて、非常に細かく具体的にどうするかということで、1の補助犬の衛生管理としては、(1)使用者による健康状態の観察、(2)体重の管理、(3)飲水の管理、(4)被毛の管理、(5)耳掃除、(6)爪切り、(7)足裏の管理、(8)肛門腺の管理、(9)歯磨き、(10)装具の管理、2の補助犬の健康管理としては、(1)定期健康診断、(2)予防接種、(3)各種予防措置、(4)マイクロチップの装着、(5)ブルセラ症の発生予防、(6)その他の人獣共通感染症の予防、(7)不妊手術(去勢・避妊手術)、(8)遺伝性疾患の排除、(9)熱中症の予防、こういったことについて具体的にどのようにしたらよいかを書いた手引きを作りつつあります。次、お願いします。
次は、山本先生の担当ですが、交通事業者、飲食店、ホテル、医療機関等、各分野で補助犬使用者を受け入れるための留意点について取りまとめるということで、1つは既存の医療機関向けのガイドブックを検証し、いわゆる問題というものは特にないのですが、基本的なスタンスとして、補助犬の同伴受け入れの判断を医療機関に委ねる記載になっており、見方によっては受け入れなくてもいいという印象を与えてしまうのではないか。補助犬の安全・衛生面の情報が不十分である。こういうことが受け入れをためらうところにつながっていくのだろうと考えたということです。
また、既存のいくつかあるガイドブックの内容について、現場の意見をヒアリングしました。10か所の病院を無作為抽出して聞いてみたということで、おおむね既存のガイドブックやマニュアルに満足していると。しかしながら、受け入れ体制を整えてみたけれども、実際にユーザーを受け入れたことがなく、「実際に受け入れてみないと分からない」「職員がマニュアル通りに動いてくれるか不安」ということで、ユーザーの受け入れ経験のある病院の事例や、問題があったときの対処方法などを知りたいということが、ヒアリングの結果分かりました。基本的に、一般の人が立ち入ることのできる区域であれば、受け入れることが基本であるということを明確に記載する必要がある。また、場面ごとの具体例や、補助犬の安全・衛生面の情報を追加する必要があることが、これらの検証から言えるということになります。次、お願いします。
今のは医療関係ですが、各分野の受け入れ実態調査を行いました。調査対象はここに書いてある医療機関、公共交通機関、宿泊施設、飲食店、複合商業施設、賃貸住宅管理・所有者、管轄側として保健所、省庁、当事者として補助犬ユーザーに調査を掛けました。文献的には受け入れ拒否を経験したユーザーは、補助犬法施行直後・現在ともに多く、法律を説明しても受け入れが認められない「完全拒否」を経験した人は4割程度いる。拒否事例の多くは施設側の「準備不足」「情報不足」が原因であるということで、普及・啓発が大事であるということです。
そして、受け入れ側、管轄側に受け入れの実態(経験や不安等)を把握するためのアンケート調査を行いました。これは、一部は厚生労働省令和元年度障害者総合福祉推進事業「身体障害者補助犬の普及・啓発のあり方に関する調査研究」により実施されたものです。
医療機関での調査では、受け入れ経験あり17.3%、受け入れに不安あり22.6%、これは医療機関ですのでアレルギーのこととか、他の患者さんの理解・反応、補助犬の衛生に関することや、ユーザーへの対応などで不安があると。受け入れの対策を講じているが1割という結果でした。
宿泊施設(旅館21軒)に関する調査では、受け入れ経験ありがおよそ4割、受け入れに不安ありがおよそ6割で、これは他の利用者の理解・反応、アレルギー、その他です。受け入れの対策を講じている所が1割ということです。
飲食店に関しては、受け入れ経験ありが地方では0.0%、都会においては16.7%ということで、受け入れに不安ありが両者とも大体半分です。受け入れに前向きであるのは地方においては3割、都会においては半分という実態でした。
賃貸住宅に関しては、受け入れ経験ありと答えたのが2.4%、受け入れに不安ありがおよそ9割近くで、他の入居者に対する説明や苦情がきたときのこと、匂いのこと、排泄物処理などが賃貸住宅で受け入れるときの不安材料になるということです。受け入れに前向きであると答えたのが8%、条件次第では受け入れてもよいと答えたのがおよそ4割というところでした。
保健所に関しては、補助犬ユーザーからの相談を受けたことがあるのが5.6%、飲食店からの相談があったというのが13.4%、病院からの相談があったのが2.2%で、相談があった場合には障害福祉課につなげるという回答が複数あったということでした。
省庁(12省庁)に関しては、障害者差別解消法に関する職員向け研修に補助犬の内容を加えているのが2省庁、補助犬に関する取り組みを実施しているのが3省庁ということでした。次、お願いします。
これは当事者ですが、各分野の受け入れ実態調査(つづき)です。受け入れ拒否のときに、どのような対策や工夫をしたかということで、拒否されたときに法律を説明する、訓練事業者へ連絡する、パンフレットを提示することで、半分ぐらいは受け入れに変化があったのですが、そういったことをしても35.7%は特に拒否に関する変化がなかった実態であったということです。受け入れられるためには補助犬の衛生面、行動面が問題になると思いますが、それに対しては、ほとんど全てのユーザーが徹底してやっていたということでした。あと、分野によって受け入れの経験があったり、受け入れに対する姿勢、不安は異なることが分かり、また飲食店では受け入れの姿勢や経験に地域差があるということで、分野の現状に即したガイドブックの作成が必要であるということになり、今年度は各分野の受け入れガイドラインの策定ということで、現在、作成中です。基本的には、『すべての人(ユーザー、受け入れ側、他の利用者)が安心して補助犬の同伴を受け入れられる社会の創造』を目指すということで、補助犬同伴の受け入れは、基本的な「権利」の保障であることを周知する。ならびに、各分野が抱える不安や疑問を解消する内容にしていくということで、そういったことに基づく補助犬ユーザー受け入れガイドブックを、ただいま機関別に作成中です。それから、一般向け補助犬リーフレットということで、これはユーザーのヒアリングから、現在、外国人労働者や中国・韓国系料理店等で日本語での説明が理解できないことがあるので、英語、中国語、韓国語、ベトナム語など多言語のリーフレットを作ろうと、今、山本先生が頑張っているところです。次、お願いします。
次に、4番目の課題ですが、障害者のニーズを的確に把握するために、補助犬の種別毎の需要推計方法について検討するということで、本当のところを言いますとこれはなかなか苦戦しました。まず先行研究ですが、2つの推計値が確認できました。1件は20年以上前の調査で盲導犬希望者数が約7,800人でした。これは日本財団が1999年にやったものです。その根拠は、「盲導犬使用者の候補者」として盲導犬を持たない視覚障害者1級・2級を、また「潜在希望者および顕在希望者」として独自の調査により、十分明らかにすることがまだできていないのですが、盲導犬の使用希望や関心等から人数を割り出したというものです。もう1つは、2017年に発行された日本盲導犬協会50周年記念誌に記載されている数値で、それによりますと盲導犬希望者数は約3,200~2.600人くらいとなっています。この計算式の指標として、「盲導犬使用者の候補者」として盲導犬を持たない視覚障害者1級・2級の人数から、飼育不適や外出なしなどの人数を除き、外出する人数のみを取り上げ、あとはその他ですが、そういう数を掛け算して算出しています。これは過去の先行研究の内容です。次、お願いします。
先行研究とはまた別に、どういうことをしたかというと、それぞれ盲導犬については視覚障害者手帳1級・2級、聴導犬に関してはこれまた1級・2級、介助犬については身体障害者手帳1級・2級を基本とし、これは後で批判をいただきましたが、次、お願いします。
どういうのが指標になるかというので、1つは管理能力、年齢、これは管理能力につながります。利用適性に関する評価項目、使用希望、日本聴導犬協会の規定で会社勤めの場合には、職場にも補助犬を同伴できる。自宅訓練を受けられる。継続できる等の条件があります。介助犬使用者に関しては介助犬認定試験に合格するだけの責任能力等があるということで、ここに障害等級と年齢、それから一般的なこととして、みんなが犬を飼いたい、大好きというわけではないので一般的な日本の飼育率を掛け、なおかつ、そこに戸建てに住んでいる係数を掛けというふうにして試算していくと、盲導犬の利用推計値は約5,900人、聴導犬は4,300人、これは言語のところが統計から抜くことができなかったので、言語障害者が入っている問題があります。介助犬については、この計算式によると約3万6,300人と出てきました。ただし、この係数を掛けていいものかどうか。とりわけ戸建てに住んでいる人の割合を掛けてみたこととか、多々問題があることは十分理解していますし、また障害の1級・2級の対象となる聴覚障害においては、言語障害も含めて計算しているということで、まだまだ数値には問題があるとは思いますが、この研究においてはそこまでやったということです。以上、研究の4つの柱を御説明いたしました。以上です。
○江藤座長 ありがとうございました。研究の概要につきまして御報告いただきました。今年度は残りわずかですけれども、引き続き研究の取りまとめをお願いいたします。それでは、本日の検討会の議題は一通り終了したかと思います。検討会はここまでとさせていただきます。事務局、今日は本当にたくさんの御意見を頂きましたけれども、今回の議論を踏まえて今後のスケジュールについて、改めて構成員に連絡するようお願いいたします。
○水村専門官 事務局水村です。本日は委員の皆様から活発な御意見を頂きまして誠にありがとうございました。次年度のワーキンググループや、来年度に入ってからの検討会につきましては、本日、御議論いただいた題を踏まえ、追って事務局より御連絡させていただきます。
○江藤座長 それでは、本日の議論はこれまでとさせていただきます。年度末の御多忙の折、御出席いただきましてどうもありがとうございました。今後ともまたよろしくお願いいたします。


 

照会先

 

障害保健福祉部企画課自立支援振興室