第315回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

日時

2021年(令和3年)1月29日(金) 13時00分~

場所

オンライン会議会場
東京都千代田区平河町2-4-2 全国都市会館 第3・4会議室

出席者

(公益代表委員)
  • 小野 晶子
  • 鎌田 耕一(部会長)
(労働者代表委員)
  • 木住野 徹
  • 永井 幸子
  • 奈良 統一
  • 仁平 章
(使用者代表委員)
  • 佐久間 一浩
  • 中西 志保美
  • 平田 充
  • 森川 誠

議題

  1. (1)へき地の医療機関への看護師等の派遣等について(公開)
  2. (2)職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者、労働者供給事業者、労働者供給を受けようとする者等が均等待遇、労働条件等の明示、求職者等の個人情報の取扱い、職業紹介事業者の責務、募集内容の的確な表示、労働者の募集を行う者等の責務、労働者供給事業者の責務等に関して適切に対処するための指針の一部を改正する件案要綱について(諮問)(公開)
  3. (3)労働者派遣事業の許可等について(非公開)
  4. (4)有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可について(非公開)

議事

議事内容
○鎌田部会長 ただいまから第315回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会を開催いたします。本日は公益代表の藤本委員、松浦委員が所用により御欠席されています。また、本部会は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、オンライン会議として開催いたします。
本日は、議題(1)、「へき地の医療機関への看護師等の派遣等について」、議題(2)、「職業安定法に基づく指針の一部を改正する件案要綱について」、御審議いただいた後、許可の諮問に係る審査を行います。このうち、許可の諮問に係る審査については、資産の状況等の個別の事業主に関する事項を扱うことから、「公開することにより、特定の者に不当な理益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある場合」に該当するため、非公開とさせていただきます。傍聴されている方につきましては、議題2の終了後に御退席いただくことになりますので、あらかじめ御了承ください。
それでは議事に入りますので、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。議題(1)、「へき地の医療機関への看護師等の派遣等について」、事務局から御説明をお願いいたします。
 
○東江補佐 事務局から御説明申し上げます。資料1です。へき地の医療機関への看護師等の派遣についてというのが1枚目、社会福祉施設等への看護師の日雇派遣についてが2枚目です。それぞれ考え方と対応案を、前回の部会に引き続きお示しをしております。
1枚目のへき地の医療機関への看護師等の派遣については、前回の部会から変更はありませんので、2ページ目を御覧ください。社会福祉施設等への看護師の日雇派遣について、対応案をお示しさせていただきました。変更点については、(1)適切な事業運営の実施を図るための主な措置として、1つ目の矢印の部分です。派遣元・派遣先は、労働者派遣契約において、看護師の業務を日常的な健康管理とする。その具体例として、※1に記載をしておりました。委員の皆様から意見を頂きまして、そこにバイタルチェックなど、日常的な健康管理の業務の具体例を記載しておりましたが、具体例として口腔ケアを追加しています。この資料上は、口腔ケアということで具体例を追加しておりますが、今後仮にお認めいただいた場合には、今後の通知等の中で、より具体的な形で、日常的な健康管理を示させていただきたいと考えています。
もう1点変更点があります。※1の口腔ケア後に、「派遣就業日に求められる業務をできるだけ具体的に定めることとする」となっています。前回の資料では「具体的に定めるよう努めることとする」となっておりましたが、委員の御意見を踏まえ、「できる限り具体的に定める」と記載をさせていただきました。変更点はこの2点です。
そのほか前回の部会においては、派遣契約の中で、派遣される看護師に求める条件を定める必要性であったり、事故が起こった際の責任の所在を明確にする必要性についても、御指摘を頂いておりますが、仮にお認めいただける場合には、そうした点も含め、派遣元・派遣先に求める措置を明確化し、周知をしてまいりたいと考えています。また、適切な派遣就業、日雇派遣の就業ということになるように、労働者派遣法に基づく指導監督により、履行確保をしっかり図ってまいりたいと考えています。事務局からの説明は以上です。よろしくお願いします。
 
○鎌田部会長 それでは、ただいまの説明に対する御質問、御意見がありましたら、画面上に写るように手を挙げてください。私のほうで指名させていただきます。永井委員、どうぞ。
 
○永井委員 私のほうから2点確認させていただきたいと思います。今も御説明のあったところなのですが、対応策の(1)適切な事業運営の実施を図るための主な措置の1つ目の矢印の所です。前回の部会でも意見として、労働者派遣契約において、必要に応じ、派遣される看護師に求める条件を定めることとされていることについて、必要に応じてということではなく、契約上あらかじめ確実に定めるべきだという発言をさせていただきました。今回、示された案においては、必要性に応じという表現は残ったままですが、これまでの部会の中でも課題とされてきた、派遣先・派遣元のミスマッチの防止、利用者の安全の確保をどのように担保するのか、事務局にお伺いをしたいと思っております。
もう1つは、次の(2)についてです。こちらも先ほど少し触れられておりましたが、3つ目の矢印の責任の所在という所です。前回の部会では、努めるということではなく、あらかじめ契約上明確にしておくべきだということについて、木住野委員から意見があったと記憶しております。責任の所在に曖昧な点が残れば、前回も言っておりますが、有事の際、立場の弱い派遣看護師に責任が押し付けられることも懸念されますので、この点についてもどのようにお考えか、事務局にお伺いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。今、2点ほどお尋ねがありましたので、事務局からお願いいたします。
 
○東江補佐 お答え申し上げます。今、委員からいただきました質問ですが、まず1点目ですが、派遣される看護師に求める条件について、派遣契約で定めていただく必要性は認識しております。派遣元・派遣先の話合いの中で、そこは必要に応じて定めていただきたいと思っております。
2点目につきましても、責任の所在について、派遣元・派遣先の中で話し合っていただいて、適宜定めていただくというその必要性については、重々認識をしておりまして、御意見も踏まえて、今後仮にお認めいただいた場合には、社会福祉施設等に対して、対応案にある措置を求める中で、周知をしてまいりたいと考えております。また、先ほど申し上げましたとおり、適正な派遣就業となるよう、しっかりと指導・監督ということで、履行確保を図ってまいりたいと考えています。以上です。
 
○鎌田部会長 永井委員、追加の御質問はございますか。
 
○永井委員 大丈夫です。ありがとうございました。
 
○鎌田部会長 ほかに御質問は、仁平委員、お願いします。
 
○仁平委員 連合の仁平です。まずへき地への看護師等の派遣についてですが、派遣元・派遣先における研修及び教育の訓練を確実に実施していただきたいと思います。それと、へき地医療支援機構が看護師等の派遣について、適切に支援調整をしているかということについて、労働行政としても厳格に指導監督していただきたいと思っております。
次にもう1つの社会福祉施設等への日雇看護師の派遣についてです。繰返し発言をさせていただきましたが、日雇派遣というのは、不安定雇用の最たるものです。労働者保護の観点から問題があるとの立場に変わりはございません。看護師の人材確保については本来、医療政策の中で検討すべき課題であって、現場の声をしっかりと踏まえて、取り組んでいただくことを基本に据えていただきたいと思っております。今回の対応案については、あくまでコロナ禍における看護師等の不足という、この緊急事態下において、極めて例外的な措置として容認することはやむを得ないと考えております。しかしなから、労働側として、日雇派遣の例外業務の追加は一切必要ないという認識であるということについては、改めてこの場で強く申し上げておきたいと思います。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。御意見として承りたいと思います。
ほかにございますか。それでは、へき地への医療機関への看護師等の派遣及び社会福祉施設等への看護師の日雇派遣については、これまでの6回の審議を踏まえ、それぞれ本日事務局より説明いただいた案のとおり対応するということでよろしいでしょうか。
 
(異議なし)
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。それでは、ほかに御発言ある方いらっしゃいますか。平田委員、どうぞ。
 
○平田委員 今回の対応案については、基本的に異論ございません。取りまとまったということを踏まえ、最後に2点意見を申し上げます。
今般の議論によって日雇派遣の例外業務が追加されることになりましたが、我々経団連といたしましては、時代の変化等に対応しつつ、派遣労働者や遣先等のニーズをしっかりと制度に反映させていくことは、引き続き重要だと考えています。
次に2点目です。昨年7月に中間整理でまとめたように、今後は、新型コロナウイルス感染症による派遣労働者の雇用への影響について検証を行うとともに、引き続き検討事項とされた項目についても、議論を深めていくことが望ましいと考えています。
以上2点を意見として申し上げておきます。ありがとうございました。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。今の御意見について、何か事務局からコメントはございますか。
 
○松原課長 平田委員の御意見でございますが、中間整理において、今後の労働者派遣制度の在り方等については、同一労働同一賃金に係る施行状況や、今般の経済状況等を踏まえまして、更なる検討を行うことが適当であるとされております。また現下の新型コロナウイルス感染症による派遣労働者の雇用の影響等について、専門的見地から、検証を行うことが適当ということも、当部会で整理いただいていると考えておりますので、これに従いまして、適切な対応を取ってまいりたいと考えております。
 
○鎌田部会長 平田委員、何か追加の御質問、御意見はございますか。
 
○平田委員 松原課長のご答弁、承知しました。ありがとうございます。
 
○鎌田部会長 それではただいま了承された対応案を踏まえて、事務局から、「労働者派遣事業の適正な運用の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令の一部を改正する政令案要綱」の諮問がございます。事務局は資料を画面上に表示をお願いいたします。
では、事務局から資料の説明をお願いいたします。
 
○東江補佐 御説明申し上げます。本日付けで厚生労働大臣から、労働政策審議会会長宛てに、この政令案要綱について諮問をさせていただいております。内容については、今画面に映し出しております。別紙に記載をしているとおりですが、簡単に御説明申し上げます。第1、第2、第3とありますが、第1の適用対象業務が、これまで審議してきた中で申し上げますと、へき地の医療機関への看護師等の派遣について、第2が社会福祉施設等への看護師の日雇派遣についてです。
まず第1の適用対象業務ですが、この業務の実施の適正を確保するためには、業として行う労働者派遣により、派遣労働者に従事させることが適当でない業務として定められている、医師法第17条に規定する医業等の範囲から、次に掲げる業務に係る派遣労働者の就業の場所が、へき地にある病院等である場合を除く、つまり、この1から5までに掲げるものについては、派遣を可能とするというものです。1が看護師、2が准看護師、3が薬剤師、4が臨床検査技師、5が診療放射線技師ということで掲げています。こちらの業務の場所が、へき地にある病院等である場合には、派遣を可能とするという内容です。
次に第2です。日雇派遣の例外業務として、その業務を迅速かつ的確に遂行するために、専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務のうち、労働者派遣により、日雇労働者を従事させても、当該日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務に、社会福祉施設等において行う看護師の業務を加える、つまり、社会福祉施設等での看護師の業務を日雇派遣の例外業務として加えるという内容です。
次に第3です。この政令の施行日については、令和3年4月1日から施行するということです。イは必要な経過措置について定めるものです。政令案要綱の内容については以上です。
 
○鎌田部会長 それでは今の説明に対する御質問、御意見はございましたら、画面上に映るように挙手をお願いいたします。仁平委員、お願いします。
 
○仁平委員 2点ございます。4月1日の施行予定ということですが、改正する法令の周知については、混乱を招かないよう、派遣元・派遣先、労働者に対して徹底していただきたいというのが1つです。
もう1つはこの間もお願いしてきたことですが、派遣元・派遣先の取組状況について、施行状況をきめ細かく検証して、当部会に報告していただきたいということを改めてお願いしたいと思います。仮に十分な雇用管理がなされていないなど、適切な運用が行われていない実態が見られる場合は、制度の廃止も視野に、厳格な対応を講じていただきたいと思います。以上です。
 
○鎌田部会長 今の御意見について、何か事務局からコメントはございますか。
 
○松原課長 今回この要綱案をお認めいただいた場合、事務局としましては、4月1日の施行を目指して手続を取ってまいりたいと考えております。その手続に際しまして、周知を行うことは当然ですが、施行後には、適切な指導・監督を行いまして、履行確保に努めてまいりたいと考えております。
また、その履行確保に際しまして、新たに追加された業務等につきまして、施行状況を私どもで把握するのは、当然必要なことであると考えておりますので、その施行状況については、どのぐらいの期間で把握するのかというのはございますが、然るべき時期に当部会に対し、状況の御報告はさせていただきたいと考えております。
 
○鎌田部会長 ほかにございますか。
それでは、当部会に諮問がありました、「労働者派遣事業の適正な運用の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令の一部を改正する政令案要綱」について、当部会としてはおおむね妥当と認めることとして、その旨を職業安定分科会長宛てに報告したいと思いますが、いかがでしょうか。
 
(異議なし)
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。特に御意見がないようですので、事務局は報告文案を画面上に表示をお願いいたします。
それでは、画面に表示している案のとおり、職業安定分科会に報告することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 
(異議なし)
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。特段の御意見がないようですので、職業案定分科会にこのとおり報告させていただきます。事務局から本政令案に関して発言がありますか。
 
○松原課長 ありがとうございます。本日御報告いただいた政令要綱案については、職業安定分科会に御報告申し上げ、その上で政令改正の手続を取っていくことになりますが、施行は4月1日とさせていただいております。施行後には事業の状況把握が必要になりますので、これに伴う事業報告の改正を行う必要があります。例えば追加された業務について、事業報告上、施行状況を把握できるようにする必要がありますので、今回の改正に伴う様式改正につきまして、改めて御報告させていただきたいと考えています。
 
○鎌田部会長 今の点について、何か御質問ございますか。それでは、そのように進めたいと思います。
続いて議題(2)に移ります。事務局から説明をお願いいたします。
 
○東江補佐 資料2-2の議題(2)です。こちらは職業安定法に基づく指針の一部を改正する件ということで、こちらについて改正するものですが、昨日1月28日付けで労働政策審議会会長宛て諮問させていただいております。その概要について説明させていただきます。
概要の趣旨の部分ですが、1ポツ目です。こちらの告示については、職業紹介事業者が事業の運営に当たり、その改善、向上を図るために必要な事項等を定めたものです。2つ目ですが、職業紹介事業者が、求職者に対して金銭等を提供することにより転職を勧奨し、労働市場における需給調整機能を歪めている側面を踏まえ、こちらの指針の一部を改正するものです。
改正の内容ですが、現行の指針においては、職業紹介事業者が求職者に金銭等を提供することにより求職の申込みを勧奨することは好ましくないということで規定しております。この規定について、職業紹介事業者が「お祝い金」その他これに類する名目で求職者に社会通念上相当と認められる程度を超えて金銭等を提供することにより求職の申込みの勧奨を行ってはならないとするものです。
こちらについては、令和3年4月1日に適用ということで考えています。御審議いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 ただいまの説明に対して、御質問、御意見がございましたら、画面に映るように挙手をお願いいたします。木住野委員、どうぞ。
 
○木住野委員 資料2-2についてです。この中の2.の「改正の内容」において、「お祝い金」その他これに類する名目で求職者に社会通念上相当と認められる程度を超えて金銭等の提供をすることにより」とございますが、「社会通念上相当と認められる程度」とは具体的にどの程度の金額を想定しているのでしょうか。
 
○松原課長 社会通念上相当と認められる程度の考え方ですが、例えばお祝い金という名称を使っていましても、いわゆる実費、つまり交通費ですとか、そういうものに使われる場合もありまして、この額だと良く、この額だと悪いということを一概に言うのは難しいと考えておりまして、私どもとしましては、実態に応じて判断していくということになると考えております。
一方で、現在、私どもで医療、介護、保育の指針等を守っていただく紹介事業者を、自ら手を挙げて適正な事業運営を宣言いただく制度を設けておりますが、この中では例えばということで、500円程度のもの、クオカードなどでお渡しするような場合は、雇用の安定を阻害するようなお祝い金には当たらないだろうということで例示させていただいております。実態を十分に踏まえながら、適切な指導・監督をしていきたいと考えております。
 
○鎌田部会長 木住野委員から追加で御質問はございますか。
 
○木住野委員 ありがとうございました。
 
○鎌田部会長 ほかに御質問はございますか。ほかに御質問、御意見がないようですので、当部会に諮問があった要綱について、当部会としては妥当と認めることとして、その旨を職業安定分科会長宛てに報告したいと思いますが。いかがでしょうか。
 
(異議なし)
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。特に御意見がないようですので、事務局は報告文案を画面上に表示をお願いいたします。
画面に表示されている案のとおり、職業安定分科会に報告することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 
(異議なし)
 
○鎌田部会長 特段の御意見がないようですので、職業安定分科会に、このとおり報告させていただきます。
それでは、公開の議題はここまでとさせていただきます。冒頭に申し上げましたとおり、傍聴の方々については、ここで御退席いただくようお願いいたします。
(傍聴者退席)