第314回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

日時

2021年(令和3年)1月15日(金) 13時00分~

場所

オンライン会議会場
東京都千代田区平河町2-4-2 全国都市会館 第2会議室(3階)

出席者

(公益代表委員)
  • 小野 晶子
  • 鎌田 耕一(部会長)
  • 松浦 民恵
(労働者代表委員)
  • 木住野 徹
  • 永井 幸子
  • 奈良 統一
  • 仁平 章
(使用者代表委員)
  • 佐久間 一浩
  • 中西 志保美
  • 平田 充
  • 森川 誠

議題

(1)へき地の医療機関への看護師等の派遣等について(公開)
(2)その他(公開)

議事

議事内容
○鎌田部会長 皆様、お忙しいところ、ありがとうございます。それでは、ただいまから第314回労働力需給制度部会を開催いたします。本日は、公益代表の藤本委員が所用により御欠席されております。また、本部会は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、オンライン会議として開催いたします。本日は、公開にて、へき地の医療機関への看護師等の派遣等について御審議をいただいた後、労使協定書の賃金等の記載状況について報告がございます。
それでは、議事に入りますので、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。議題(1)へき地の医療機関への看護師等の派遣等について、事務局から御説明をお願いいたします。どうぞ。
 
○東江補佐 それでは、事務局から御説明申し上げます。「へき地の医療機関への看護師等の派遣について」が1ページ、2ページ目は、「社会福祉施設等への看護師の日雇派遣について」ということで、前回12月23日に事務局として対応案をお示しさせていただきましたが、今回も引き続き、対応案ということで、お示しさせていただいております。1ページ目のへき地の医療機関への看護師等の派遣につきましては、前回お示しした「考え方」及び「対応案」と同じものを示させていただいております。2ページ目を御覧ください。「社会福祉施設等への看護師の日雇派遣について」ということで、前回の部会で委員の方々から御意見を頂きました。その御意見を踏まえて、対応案ということで下線を引かせていただいております。この下線の部分について、前回提出資料から追加させていただいております。
対応案ですが、まず前回、(1)適切な事業運営の実施を図るための措置と、(2)適正な雇用管理の実施を図るための措置ということで、2つを示させていただきました。この2つにつきまして、さらに下線の部分ですが、労働者派遣法に基づく指導監督により適切な労働者派遣の履行確保を図るということで追加させていただいております。その上で、(1)として、適切な事業運営の実施を図るための主な措置ということで、1つ目の矢印です。派遣元・派遣先は、労働者派遣契約の中で、派遣される看護師の業務を、基本的には利用者の日常的な健康管理とするということを書かせていただきました。具体的に※1として、単に日常的な健康管理業務と定めるのではなくて、労働者派遣契約の中に、例えばバイタルチェックといった形で、派遣就業日に求められる業務をできるだけ具体的に定めるよう努めることとするということを、※書きとして追加させていただきました。そして、必要に応じ、派遣される看護師に求める条件を定めるということで、※2として追加しております。
※2の部分ですが、例えばということで、派遣先の施設類型と同じ施設類型における勤務経験、具体的には例えば、特別養護老人ホームに派遣される場合であれば、特別養護老人ホームでの勤務経験がどれだけあるかといったようなこと。次に、当該業務内容を適切に遂行するために必要な研修を受講しているかどうかといった条件を労働者派遣契約の中に定めることは可能ですので、こういったことを定めることを具体的に書かせていただきました。
次の矢印を追加させていただきました。派遣先で利用者の病状の急変が生じる場合は可能性として排除できないかと思います。こういった場合等のために、あらかじめ緊急時の対応、具体的には相談すべき医師、医療機関といったものを決めておいて、緊急時にはそこに相談するといったような緊急時の対応をあらかじめ定めておくことを追加させていただきました。
次の矢印は教育訓練の話です。派遣元は、看護業務を適切に遂行するための教育訓練を実施することと書いておりましたが、それを派遣就業前に実施するということを明確化しております。
4つ目の矢印ですが、派遣元は、派遣就業日の業務内容等をきめ細かに把握した上で、派遣就業前に派遣労働者に説明することということですが、先ほど申し上げた緊急時の対応をあらかじめ定めておいた上で、派遣元がそれをきめ細かに把握して、緊急時の対応も含めて派遣労働者にあらかじめ説明すること。その上で、次の矢印ですが、派遣先でも、派遣労働者に対して、あらかじめ定められている緊急時の対応については、しっかりオリエンテーションを実施して、派遣労働者が円滑に就業に入れるようにしていただくことを追加しております。
次の矢印も、追加しているものです。派遣先は、派遣就業開始前に、他のスタッフに対して派遣労働者の業務内容等を説明して連携を促すということです。派遣就業をする際には、当然、福祉施設の他のスタッフとの連携も必要になってくるかと思いますので、そういった連携についても、しっかり派遣先で図っていただくことを追加しております。
対応案として追加させていただいた点は以上になります。こちらも踏まえて御審議いただければと思います。私からの説明は以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に対する御質問、御意見がございましたら、画面上に分かるように手を上げていただいて、私のほうで指名させていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。それでは、御発言のある方。仁平委員、どうぞ、お願いします。
 
○仁平委員 ありがとうございます。連合の仁平です。今回、前回の部会を踏まえた修正案の説明を頂いたところです。これまでも申し上げてきたことの繰り返しになりますが、日雇派遣というのは不安定な雇用の最たるものであって、労働者保護の観点から問題があると思っています。看護師の人材確保については、本来、医療政策の中で検討すべき課題であり、その考えに変わりはございません。
その上で、今回の修正案に対して意見を述べさせていただきたいと思いますが、対応案の真ん中のマルの所です。太字で加えていただいている「労働者派遣法に基づく指導監督により適切な労働者派遣の履行確保を図る」と書いてあります。この実効性の確保ということが、極めて大事だと思っています。書いてあるだけではなく、実際にどう担保するかということです。先日のヒアリングで、看護協会より、日雇派遣を解禁するのであれば就業規則や処遇、業務内容など適切な雇用管理の確保を求めるという意見がありました。また、日雇派遣においては雇用管理が十分行われていないという実態も明らかになっているところです。履行確保を確実に行うために具体的に、どのように指導監督を行うのか、この点について事務局にお伺いできればと思います。よろしくお願いします。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。それでは質問の部分がありましたので、具体的な指導監督のあり方について、事務局からお願いいたします。
 
○松原課長 仁平委員からの御質問にお答えいたします。指導監督についての具体的な内容ですが、労働者派遣法上の派遣事業は許可事業者で、許可事業者に対しては、必要な指導監督を行うということが当然のことと考えております。労働者派遣法上の履行確保という意味で、新たな業務などを行う場合については、一般論として申し上げますが、その事業者に対する指導監督をしっかりやっていくということになると考えています。
また一方で、労働者派遣法上、派遣先に対して指導監督も可能です。この度、この内容がお認めいただけるという前提で言えば、そのような形で履行確保をしっかり図っていくということになろうかと思っています。
 
○鎌田部会長 仁平委員、追加でありますか。
 
○仁平委員 1点だけ、質問させてください。そうすると、ほかの派遣事業者と同じような指導監督しかしないということになるのでしょうか。改めて、この点について確認させてください。
 
○松原課長 あくまでも今回のお図りしている内容がどのようになるかによりますが、それを前提で申し上げれば、新たな業務というものが追加された場合というのは、私どもとしてそれがどのように施行されているかという状況を、把握していくということになります。一般的に行う事業者に対する指導監督というものにプラスするという部分が出てくるものと考えているます。
○仁平委員 ありがとうございます。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。
 
○仁平委員 はい。
 
○鎌田部会長 では、ほかの方からありますか。中西委員、どうぞ。
 
○中西委員 御説明を頂き、ありがとうございました。私からは社会福祉施設等への看護師の日雇派遣について、1点、意見を申し上げたいと思います。社会福祉施設等の介護・福祉の現場では、医療関連業務等の緊急時の対応が発生しうる点を想定しているため、より詳細な事項が追記されたものと理解しています。そのため、本日の対応案については適切なものであり、特段の異論はありません。以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。御意見として伺っておきます。ほかにはありませんか。永井委員、どうぞ。
 
○永井委員 私からも看護師の日雇派遣について、意見と、確認させていただきたいことを述べさせていただきます。まず対応策(1)の1つ目の矢印の所です。派遣元、派遣先は労働者派遣契約において、「必要に応じ、派遣される看護師に求める条件を定めること」と記載されています。これまでのヒアリングでも、派遣元と派遣先のニーズのマッチングが課題として挙げられてきたと認識しています。派遣元が事前に派遣する看護師の経歴や能力などを正確に把握できていないと、実際の現場ではミスマッチが生じてしまうのではないかと懸念しています。この「必要に応じ」とあるところについては、必要に応じて条件を定めるのではなく、ミスマッチを防ぎ、利用者の安全を確保するためにも、きちんと派遣契約にあらかじめ定めておくことが必要ではないかと考えています。これは意見です。
2つ目は、確認になりますが、派遣される看護師の業務については、「基本的には利用者の日常的な健康管理」と記載されていますが、全国老人福祉施設協議会からのヒアリングの中でも、「職種連携や情報伝達、さらには医学的安全性といった懸念もある中で限定的な範囲で捉えていくことも考えられる」といった意見も出されています。日常的な健康管理業務に限定するべきではないかと考えますが、「基本的には」という文言が付されているのは、それ以外の業務もあり得るということなのか、ここを確認させていただきたいと思います。
関連して、ここは意見になりますが、※の1に、「日常的な健康管理を具体的に定めるよう努める」とありますが、業務の範囲については単なる努力義務ではなく、確実に定めるべきものであり、「努める」という表現は削除すべきかと考えるところです。以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。それでは、2点の御意見と、基本的には日常的な健康管理というところで、1点の確認ということでしたので、事務局からお願いいたします。
 
○松原課長 永井委員の御質問について、お答えいたします。基本的な日常的な健康管理という記載ですが、まず現在、福祉施設等への派遣が認められている状況ですが、ここで認められている内容としても、日常の健康管理業務というものが基本であるということを前提となっております。また、現在、行われている派遣の実態においても日常管理業務を中心としてされていると認識しています。私どもとしては、様々なヒアリング結果や各委員の御意見を踏まえますと、日常的な管理業務が福祉施設等では中心になっていくと認識しております。この内容でお認めいただく形になれば、その旨を通知等々で確保していきたいと思っています。
ただ、完全に日常管理業務だけという形で限定できるかというのは、派遣の契約の中で決めていただくことになり、様々な、業務も当然存在するわけですので、その意味で「基本的には」と書いているところです。派遣契約の民民の関係の中での契約の書きぶりということがありますので、「基本的には」という形を記載させていただいています。私どもとしては日常の健康管理業務というものが現行の認められている派遣の中でも基本となっていますし、実際にそのように行われていますので、そこが業務の中心になってくるものと考えています。以上です。
 
○鎌田部会長 永井委員、よろしいですか。
 
○永井委員 はい、ありがとうございました。
 
○鎌田部会長 それでは、佐久間委員、先ほど手を挙げられましたか。佐久間委員、どうぞ。
 
○佐久間委員 佐久間です。よろしくお願いします。私も今回の看護師の日雇派遣についてですが、前回からこの「対応案」について、より詳細に記載を加えたということと、ヒアリング等を通して雇用管理面、そして労働局を始めとした「監督」と言いますか、こちらを充実すれば何とかこれでお認めいただければと思っています。
1点、この対応案の所で、永井委員も言われていたところと、私も同じようなところの指摘なのですが、今、課長からも御説明がありましたが、この基本的な利用者の日常的な健康管理とあって、これが※の1の説明になると、「単に日常的な健康管理と定めるだけではなく、バイタルチェックなど、派遣就業日に求められる」と。バイタルチェック以外には、どういうものが基本的にあるのか。基本的なものですが、ここに書いていただくか、または別の実際の契約のところで4項目や5項目など、もう少し分かりやすく、例示していただけるとよいと考えます。現場の関係の方々というのは基本的には分かっていらっしゃるかもしれませんが、その例示を書いていただく、またはこの場で教えていただくか、どちらかをしていただければ、より基本的な項目というものが分かりやすくなるのではないかと思っています。やはり看護の業務を慮るに、その人とか、その施設によっても、基本的な項目というのは、若干やり方などが変わってくると思いますので、その辺り、どういうものになるのかを教えていただければと思っています。または明記していただきたいと思います。以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。佐久間委員、できるだけ例示して分かりやすいようにするという御意見と伺ってよろしいですか。
 
○佐久間委員 はい、そうですね。それができれば、意見ということでお願いします。
 
○鎌田部会長 では、御意見ということで伺っておきます。ありがとうございます。ほかの方から何かありますか。木住野委員、どうぞ。
 
○木住野委員 2点、発言させていただきます。まず雇用管理に関することです。日本看護協会のヒアリングの内容の中でも指摘されていたことだと思いますが、派遣契約であらかじめ定められた業務以外のことについて、何か指示があって対応せざるをえないという場合に、派遣元および派遣先において、相談窓口や苦情処理の仕組みを整えていく必要性の指摘があったと思います。相談窓口の整備について、行政における監督において、どう対応可能なのかということをお伺いしたいと思います。これは質問です。
もう1つ、実際に職務を遂行する中で、緊急時に何か起こったときに、派遣労働者に責任が押し付けられるということは厳に避けなくてはいけないことだと思います。責任の所在に関して、対応案の(2)の最後の矢印の所ですが、「労働者派遣契約を締結する際には損害賠償を含む責任の所在について明確にするよう努めること」と、記載があります。ここは、「努めること」という努力義務ではなく、「明確にすること」とするべきなのではないかと思います。これは意見です。以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。それでは相談窓口の整備についての質問ということですので、お願いいたします。
 
○松原課長 木住野委員の御質問について、お答え申し上げます。まず日本看護協会などから御意見がありました相談窓口の件ですが、労働者派遣法上、派遣元の責任者、派遣先の責任者を必ずことになっています。その上で、派遣労働者の相談を必ず受け付けるという形になっています。私どもとしましては、仮に前提として置きまして、今回この形でお認めいただくということになれば、委員の御意見もございましたので、相談窓口が設置されていることや、派遣就業前などに派遣労働者に対して、その旨を御説明するという形で対応を求めていきたいと思います。以上です。
 
○鎌田部会長 追加で御質問はありますか。木住野委員、よろしいですか。
それでは、ほかにありますか。松浦委員、どうぞ。
 
○松浦委員 すみません、今更なのですが、文言のことで、大切な点なので確認をしておきたいと思います。へき地の医療機関への派遣は「看護師等」ということで、看護師、准看護師、薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師が含まれると記載がある一方で、社会福祉施設等への日雇派遣については「看護師」となっています。確認ですが、へき地については「看護師等」の派遣であり、社会福祉施設等については「看護師」の派遣であるという理解でよろしいですか。また併せて、このような差を設けておられる意図についても確認をさせていただければと思います。よろしくお願いします。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの質問について、事務局からお願いいたします。
 
○松原課長 松浦委員の御質問について、お答えを申し上げます。まず、松浦委員の御認識のとおりで、へき地の医療機関への看護師等の派遣の「看護師等」においては、1ページの対応案にあるように看護師、準看護師、薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師ということで考えています。
一方で、2ページ目の社会福祉施設等への看護師の日雇派遣の所ですが、こちらは「看護師のみ」の形で考えております。こちらが看護師ということで限定する理由ですが、労働者派遣法上、日雇派遣の例外業務については、専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務ということが必要ということで、ここに合致するかどうかということ、これを御検討いただいているわけです。保健師助産師看護師法上で、看護師については、傷病者若しくはじよく婦(褥婦)に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者とされている一方で、準看護師については医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、こうした業務を行うことを業とする者とされているところです。このため事務局としては、今回は一定の裁量を持って看護業務に従事することが認められている看護師について、専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務という形で認められるのではないかということで、今回、看護師について御提案申し上げている次第です。以上です。
 
○鎌田部会長 松浦委員、いかがですか。
 
○松浦委員 ありがとうございます。へき地については医療機関なので医師が必ずいることから、医師の指示の下で業務を行う「看護師等」の部分も含まれる一方、社会福祉施設については医師が必ずしもいないケースもあるから、「看護師」に限定されているということではないのでしょうか。
 
○松原課長 基本的に社会福祉施設等については、おっしゃるように医師が常駐するわけではありません。そうした点も踏まえて、今回お図りしておりますのは、やはり専門的な業務と言えるかどうかという視点で考えさせていただいています。追加する業務として認められるものとして、専門業務として認められるのは、準看護師は入らず、看護師が入るという考え方をしているというものです。
へき地の医療機関の看護師については、おっしゃるように基本的に医療として広く考えさせていただいています。前回、対応案で御説明しましたように、一定の形を取ればいわゆるチーム医療というものの支障を回避できるという考え方をもって御提案させていただいているということです。以上です。
 
○松浦委員 はい、分かりました。ありがとうございます。
 
○鎌田部会長 それでは、ほかにありますか。平田委員、どうぞ。
 
○平田委員 ありがとうございます。対応案を確認させていただきました。これまでの議論やヒアリングを通じて出た懸念等にに対応する適切な対応案と考えています。以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問はありますか。ほかに御質問、御意見がないようですので、これまで5回にわたり審議を行い、議論を尽くしてきたと考えています。各委員において真摯に御議論いただき、また事務局においても数多い関係者の調整を行っていただいたことに感謝したいと思っています。私としては、本日、委員から御意見があった内容について、事務局に整理していただき、最終的な対応案とともに次回に御報告いただくこととしたいと思いますが、そういった進め方でよろしいでしょうか。
 
(了承)
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。そのように進めたいと思います。
それでは、次の議題に入ります。労働者派遣事業報告書に添付される労使協定書の賃金等の記載状況について、事務局から報告をお願いいたします。
 
○吉村補佐 事務局から御報告させていただきたいと思います。資料2「労働者派遣事業報告書に添付される労使協定書の賃金等の記載状況について(一部事業所の集計結果(令和2年度))」の御報告です。労働者派遣事業報告書に添付される労使協定書の記載状況については、昨年10月14日の労働力需給調整部会においても、一部について御報告申し上げ、12月をめどに結果について公表を行うことと説明させていただいていたところです。大変遅くなりましたが、この集計について御報告申し上げたいと思います。また、当部会の資料として厚生労働省のホームページに掲載され、公表されます。
まず資料2の1ページから報告いたします。「集計の概要」です。本集計は、労働者派遣法第23条により派遣元事業主に提出を求めている「労働者派遣事業報告書」及び当該報告書に添付された労使協定書から、一部事業所を抽出して集計を行ったものです。集計項目については、7つの項目があります。その項目について概要を御報告いたします。まず、1ページの下の部分です。「1 選択している待遇決定方式」です。待遇決定方式については、派遣先均等・均衡方式と労使協定方式の2つの待遇決定方式がありますが、その選択の割合は、「派遣先均等・均衡方式」が8.2%、「労使協定方式」が87.8%、併用が4.0%という状況です。
2ページから8ページまでは、「2 労使協定書の賃金(基準値0年)の記載状況(令和2年度)(全国計100.0)」です。抽出された事業所の各労使協定書上に記載される賃金の額(基準値0年)の下限額の集計を行ったものです。例えば、労使協定書に「1,000円~」などと幅を持った書き方の場合には「1,000円」として集計しています。このため、実際に派遣労働者に支払われている賃金を計上したものではないということに御留意いただきたいと考えています。また、抽出した一部事業所の地域性を除去するために、地域指数を全国計の指数100.0に換算して集計しているところです。集計についてですが、職業分類については、厚生労働省編職業分類に基づく中分類の区分で整理しているところです。その職業分類において、先ほど申し上げた下限額の平均額、最大値、中央値、一般賃金水準との差額の平均値、賃金構造基本統計調査と職業安定業務統計等の使用割合を出しているところです。必要なサンプルサイズを満たしていない職業については、「-」として表示しております。
この集計結果については御覧のとおり、8ページまで職業分類別に続いているところですが、大変恐縮ですが、個々の職業分類の数値の報告については割愛させていただきたいと考えております。
9ページに、「3 能力・経験調整指数の選択状況」について記載しています。能力・経験調整指数については、「0年」が95.4%、「3年」が76.5%、「10年」が72.7%となっており、選択割合が高くなっているという状況です。
9ページの中ほどですが、「4 通勤手当の支給状況」についてです。通勤手当については、実費が88.4%、定額支給が5.0%、時給額等に含めた合算による支給が3.6%となっています。続いて9ページの下ですが、「5 退職金の支給状況」です。退職金の支給状況としては、退職制度の方法が36.4%、退職金の前払い、または賃金等に合算して支払う方法が52.3%、中小企業退職金制度等への加入の方法が6.3%となっているところです。
続いて10ページです。10ページの上側ですが、「6 賃金の改善(法第30条の4第1項第2号ロ)の状況」です。労使協定においては賃金の改善について定めることとなっていますが、その方法として「高度な就業機会の提供」が最も多く75.7%、「昇級」が48.2%、「別手当の支給」が39.9%等となっているところです。
続いて、「7 締結主体・有効期間」についてです。締結主体については、「労働組合」が5.3%、「過半数代表者」が94.7%となっております。有効期間については、「1年」が最も多く68.9%、「2年」が27.5%となっております。なお、有効期間については画一的な基準を設けることはしておりませんが、目安として2年以内とすることが望ましいとしているところです。非常に簡単ではありますが、以上、御報告申し上げます。
 
○鎌田部会長 それでは、ただいまの報告について御質問、御意見がございましたら、画面上で分かるように手を挙げていただきたいと思います。どうぞ、お願いいたします。永井委員、どうぞ。
 
○永井委員 2ページ、労使協定書の賃金の記載状況の所についてです。派遣労働者の同一労働同一賃金の改正法が昨年4月から施行され、今回初めて職業分類ごとの労使協定に記載される金額を示していただいたということですが、表でいうと、右側にあります職業安定業務統計の金額と、中央値の値にほとんど差がなく、どの業種もほとんど同じになっております。これは、多くの派遣会社が労使協定においては職業安定業務統計の数値を採用していることがうかがえるのではないかと思っております。
昨年10月の部会において、この労使協定方式に係る一般賃金水準について議論した際に、最大値を参考値として最も高い賃金の額を合わせて示すことにより、労使協議で議論する際の参考としてほしいという旨の発言が事務局から説明としてあったと思います。労働組合としてももちろん取組を進めてまいりますが、今回の集計結果の公表に当たっては、行政においても派遣労働者の処遇改善に係る取組を促すとともに、今回の集計を基に賃金を一方的に引き下げるといったことについては、労働条件の不利益変更になるということを是非周知していただきたいと思います。意見です。よろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。御意見として承りたいと思います。ほかにございますか。ございませんか。
それでは、ほかに御質問はないようですので、本日の議題についてはここまでとさせていただきます。事務局から何か連絡事項はございますか。
 
○清水補佐 12月25日の労働政策審議会本審において、労働政策審議会運営規程が改正され、議事録の署名が廃止されることとなりました。したがって、労働力需給制度部会においても、議事録署名人の指名は行わないこととなりますので御連絡いたします。また、次回の部会の日程については、追って事務局から御連絡差し上げますので、よろしくお願いいたします。以上です。
 
○鎌田部会長 それでは、以上をもちまして、第314回労働力需給制度部会を終了いたします。本日は皆様、おつかれさまでした。ありがとうございます。