第148回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和3年2月19日(金) 13:00~13:30
 

場所

 オンラインによる開催
 厚生労働省職業安定局第1会議室
 

議事

議事内容
○伏木雇用保険課長補佐 皆様、お世話になります。事務局から、開催に先立ちまして、オンラインの御案内をさせていただきます。本日もですが、新型コロナウイルス感染症蔓延防止の観点から、部会長以外の委員の皆様には、Zoomを利用して御出席いただいています。部会の進行中は、皆様のマイクをオフとさせていただいていますが、事前にZoomの参加方法をお送りしておりますように、発言なさる際は挙手していただき、部会長の許可をいただいた後に、マイクをオンにしていただいて発言いただくということでお願いします。また、会議進行中、通信トラブルで接続が途切れてしまった場合や音声が聞こえなくなった等のトラブルがありましたら、チャットや御案内している電話番号に御連絡ください。また、通信の遮断が大きい場合は部会を一時休憩とさせていただくこともありますが、御容赦ください。また、本日もコロナウイルスの蔓延防止の観点から、傍聴につきましても、別会場でオンラインで行わせていただいております。傍聴の皆様におかれましても、併せて御理解いただきますようお願いいたします。オンラインに関する説明は以上となります。
 それでは、部会長、よろしくお願いいたします。
○阿部部会長 それでは、ただいまより第148回職業安定分科会雇用保険部会を開催いたします。本日の委員の出欠状況は、全委員が出席予定でございますが、柴田委員が後ほど接続されると思います。それから、志村審議官においては、所用のため遅れての参加となると聞いております。
 それでは、議事に入ります。本日の議題は、「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について」となっております。本件は、厚生労働大臣から労働政策審議会長宛てに、2月19日付けで諮問を受けております。まず、事務局から資料について説明をいただき、その後、委員の皆様に御議論いただきたいと思います。それでは事務局、お願いいたします。
○伏木雇用保険課長補佐 それでは説明いたします。雇用保険課長補佐の伏木です。資料1-1、資料1-2がありますけれども、1-2の概要をお開きください。
1.改正趣旨です。私どもでやっております休業支援金については、この場でも何度も延長とかをお諮りしてまいりましたが、もともとは中小企業の資金繰りや人員面の苦しいところを支援するという観点で、中小企業の労働者を対象としてまいりました。今般、年明けに改めて緊急事態宣言が出て、新型コロナウイルスの対応が長期化してきているという中で、大企業につきましても雇用維持の支援策を強化する必要があるだろうということです。雇用調整助成金も大企業の助成率を上げたりという対応をしておりますけれども、そうしたことと併せて、大企業に雇用される労働者の中で、休業手当を受け取りづらい、シフト制等の勤務形態で働く労働者も支給の対象としようというものです。もちろん基本的には雇調金を活用いただきたいという姿勢は変わっておりません。ただ、特に昨今はシフトで働くような方々の労働契約がどういう状況にあるか必ずしも明らかでないというところもあり、休業手当もお支払いしづらいという状況が生じていると言われている部分もあります。そうしたところに限定的に対応していくということです。
 改正趣旨の3つ目です。これは、また別の話ですけれども、今、対象となる休業支援金の期限については、中小企業も合わせてですが、緊急事態宣言の解除宣言のあった月の翌月末ということにしております。今だと3月7日まで緊急事態宣言が出ているので、4月末が翌月末ということになるのですけれども、これが2月中に解除されたときの取扱いについて、要はそれで早まってしまうのではないかという点についての取扱いを定めることとするというものです。
 具体的な内容を説明します。2.改正の概要です。1つ目と2つ目の○は、大企業の方に対する対応です。1つ目は、令和3年1月8日以後の期間で、事業主が休業させて休業手当を受け取っていない云々という、もともとの対象の方ですが、ここに大企業のシフト労働者等というのを加えます。2点補足します。令和3年1月8日以後というところは、※1にありますけれども、都道府県ごとに、少し手前の時期から時短要請をしているような場合がありますので、そうした部分があれば、その発令の日以後の期間としようと考えております。2つ目は、事業主が休業させたという部分です。シフトの方々の労働契約のあいまいさということを少し話しましたが、今、中小企業の方も含めてこういう扱いをしていますが、※2にありますとおり、過去に一定の勤務実績がある、継続的にずっと働いてきて、かつ、コロナの影響がなければ同様の勤務を続けさせていたと事業主の意向が確認できるという場合も、休業支援金の支給に当たっての休業と判断しておりますので、そういったところも含んでいますということを注釈に入れております。
 1点目は1月8日以降、年明けの緊急事態宣言の話でしたけれども、2点目は、昨年4月の緊急事態宣言についてです。昨年の4月1日から解除が5月でしたので、翌月末の6月末までを対象にするということです。こちらは、支給額を休業前の賃金の6割とさせていただきたいと考えています。※3にありますけれども、今、休業支援金は基本的に8割ですが、昨年の期間は大企業の雇調金の助成率は4分の3ということで、企業は自己負担で支払っています。それで8割より低い率で支払われている労働者さんもいらっしゃるので、そうしたところのバランスを踏まえて休業前の賃金の6割とさせていただきたいと考えています。
 3点目です。これは1月中に緊急事態宣言が解除された場合の取扱いということです。だからといって早まるのではなく4月末までとするものです。こちらは年度末を跨ぐ話になるので、企業の年度を跨いだときの人事計画にも大きく影響してしまうだろうというところで、4月30日までというのを動かさないという判断です。内容としては以上です。御審議いただいて、了承を頂ければ、できるだけ早く公布して、速やかに施行していきたいと考えております。
 資料1-1は、省令案の要綱です。はじめに諮問書が付いており、その続きが要綱です。詳細についての説明は割愛させていただきたいと思います。御不明点等がありましたら、御質問をいただければと思います。私からの説明は以上です。
○阿部部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について御質問、御意見がありましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。湊元委員、お願いいたします。
○湊元委員 日本商工会議所の湊元です。それでは、意見を申し上げさせていただきたいと思います。大企業のシフト労働者に対して、休業支援金・給付金を適用することについて趣旨は理解いたしますが、企業、労働者双方が混乱しないように、対象となるシフト労働者の範囲や給付金額の算定等について、分かりやすく丁寧に周知をお願いしたいと思います。なお、雇用調整助成金の支給決定額が2兆8千億円に達しており、雇用保険二事業の財源の枯渇化が必至な状況であります。また、要件の緩和も続いておりまして、既に事業主が負担する共同連帯制度である雇用保険二事業の範疇を大きく超えて、感染症対策としての性格が非常に強くなっていると思っております。
 したがいまして、これまでも申し上げてきたことではありますが、一連の措置は、非常事態ということもあるので、財源は雇用保険二事業ではなく一般会計による国費で負担すべきであると考えております。加えて、雇用保険二事業や失業等給付に関わる保険料率は、一般会計による国費を充当するなどして、将来にわたり引き上がることがないよう、重ねてお願いたします。
 そもそも雇用保険二事業に過度に依存して雇用を支えるというのは、もはや限界ではないかと思っております。二事業への貸出額が急増している失業等給付、年々支出額が増加している育児休業給付も含めて、雇用保険制度全体の持続性が極めて危惧されるところであります。今回のコロナが収束しましても、今後また同様の危機に見舞われる可能性も十分にあると思います。したがいまして、この機会に、雇用を支える枠組み全体を抜本的に見直して、雇用保険制度等の在り方を検討する時期にきているのではないかと考えておりますので、意見として申し上げておきます。以上です。
○阿部部会長 ありがとうございました。それでは、菱沼委員、お願いします。
○菱沼委員 ありがとうございます。湊元委員と同様、意見を申し上げたいと思います。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の期間延長によって、特に厚生労働省におかれましては、雇用維持に日々努力する中小企業への各種支援策の検討に連日御尽力を賜っているということに改めて感謝申し上げるところでございます。
 雇用調整助成金の特例措置の再三にわたる延長、在籍型出向による雇用維持の後押しをする産業雇用安定助成金の創設、それから、今回の議論になっています大企業に雇用されるシフト労働者等を対象とした休業支援金の適用など、中小企業だけでなく大企業で働く方の生活を守るというところにも目を向けたという措置だと考えており、それだけ我が国の経済が置かれている状況の深刻さを物語るものだと受け止めております。
これだけの支援策を政府で御検討いただいているのですが、なお企業の継続や雇用維持に必要十分かどうかは、感染状況の確かな収束が見通せない以上、未だ誰にも判断することはできず、もはや保険制度である雇用保険の財政だけでは対応できるものでは到底ありません。予備費だけでなくて一般会計を雇用保険財源に充当するなど、国全体で対応していくほかに方法はないと思っております。
今回の検討項目には、財源が枯渇している雇用保険事業から支出されるものも含まれているかと思います。つきましては、令和4年度の予算を計画するに当たりましては、この二事業に関わる差引剰余でマイナスとなっている全額を、予備費や一般会計から充当していただき、早急に雇用保険財政の健全化を図っていただくこと、そして雇用保険料率の引上げを図ることなく、措置の手当をしていただきますよう、強く要請申し上げるところです。以上です。
○阿部部会長 ありがとうございました。それでは、平田委員、お願いします。
○平田委員 経団連の平田です。意見を申し上げておきたいと思います。昨年7月に創設されたと思いますが、休業支援金・給付金は、雇調金を通じて休業手当を支払う企業を支援することが原則であるところ、休業手当が支払われない、あるいは複雑な雇調金手続きに慣れない中小企業に雇われている労働者のために、あくまでも特例的に創設されたと認識しております。
 そうした中、そもそも特例的な措置であった休業支援金・給付金を大企業のシフト労働者等にも適用を拡大することは、特例に更に特例を重ねるということになり、休業手当を支払う企業を支援するというのは、雇調金の本来の趣旨から大きく外れることになるということを申し上げておきたいと思います。それから、対象者が広がることで、不正受給のようなものも懸念されます。引き続き、事後のチェック、不正受給が行われた場合の返還命令の厳格化など、不正防止に徹底して努めていただきたいと考えております。以上、意見ですけれども、もう1つ質問させていただきたいと思います。
 省令案要綱の所ですが、1ページ目の最後の所に、「職業安定局長が定める雇用形態にあるものに限る」と書いてありますけれども、これは決まっている定めがあるのか、これから検討するのか、そういったことを教えていただければと思います。以上です。
○阿部部会長 ありがとうございました。御質問がありましたので、事務局、お願いいたします。
○長良雇用保険課長 ただいまの御質問でございますが、省令案の概要で、大企業に雇用されるシフト労働者等という形で整理しております。これの中身として念頭に置いているのは、いわゆるシフト労働者と、日々雇用、登録型派遣といった形で働かれている方であって、労働契約の内容について所定労働日が明らかになっていない。所定労働日が明らかにならないと、休業という概念が判然としないというようなことがありますので、こういったところに休業手当の支払いが行き届きにくいという状況を踏まえて、このような形で対象者を特定することを考えているところです。そのような考えのもとで、安定局長の定めというのは、省令案要綱が施行されるタイミングに合わせて措置をしたいということですので、現時点ではまだ準備中ですが、考え方は以上です。
○阿部部会長 平田委員、よろしいですか。
○平田委員 分かりました。施行のときに通知が出て、それは公開されるということでよろしいですか、そういう理解で。
○長良雇用保険課長 そのような予定です。
○平田委員 承知しました。ありがとうございます。
○阿部部会長 ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。特段、よろしいですか。それでは、これ以上の御意見、御質問はないようですので、当部会としては、「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」については、「おおむね妥当」と認めることとして、その旨を職業安定分科会会長宛に報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(了承)
○阿部部会長 ありがとうございます。それでは、報告案を画面に表示しますので、御確認ください。
(報告文案の画面共有)
 ただいま画面に表示されております「報告文案」によって、職業安定分科会へ報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(了承)
○阿部部会長 ありがとうございます。それでは、この報告文案で、後ほど開催されます職業安定分科会に報告したいと思います。本日の議題は以上です。この際に、委員の皆様から御発言はございますでしょうか。特によろしいですか。
 それでは、次回の日程ですが、事務局から改めて各委員に御連絡がありますので、よろしくお願いいたします。それでは、以上をもちまして本日は終了したいと思います。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御参加いただきましてありがとうございました。