令和3年度第1回社会復帰促進等事業に関する検討会(議事要旨)

 

 

1.日時 令和3年7月5日(月) 13:00~14:24
 
2.場所  AP新橋 D+Eルーム
 
3.出席者
○日本通運株式会社人財戦略部専任部長 池田 祐一
○日本商工会議所産業政策第二部部長 大下 英和
○一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部上席主幹 坂下 多身
○東京海上ホールディングス株式会社人事部専門部長 砂原 和仁
○全国中小企業団体中央会参与 中澤 善美
○セコム株式会社総務人事本部参与 二宮 美保
○鹿島建設株式会社安全環境部長 本多 敦郎
○日本製鉄株式会社人事労政部部長 山内 幸治

4.議題
  社会復帰促進等事業に関する令和2年度成果目標の実績評価及び令和3年度成果目標について
 
5.議事<主な指摘事項と対応>
<概算要求全体について>
○ これまでも、全体的に収入が増えない中で支出を削減してほしいと指摘してきている。未払賃金立替払事業により予算全体が大きくなっているが、全体としてメリハリをつけて、経済界が真に求める施策を実施してほしい。コロナの影響により厳しい状況にあったことは理解するが、PDCAを回す以上は、低評価となっている事業について、不要不急と判断されるものや、制度の趣旨目的に合致しない事業は、徹底して見直して、料率が引き上がらないよう、しっかりと対応してほしい。
 
○ 令和3年度予算は、未払賃金立替払事業を除く額は、昨年度より減っているものの、期待していたより削減額が小さくがっかりした。15年前1000億円前後ではあるが、10年前は500億円前後で、3年前から800億円前後に戻ってきている。コロナの影響で不安定な企業経営をしている中で、予算削減は大事なところ。従来の評価方法ではなく、1つ1つ労災勘定から出すものなのかという視点で見直しが必要。社会復帰促進等事業は、打出の小槌ではない。
 
<目標設定・評価の在り方について>
○ 検討会の役割は、「社会復帰促進等事業に係る目標管理に関する基本方針」の趣旨にある「PDCAサイクルで不断のチェックを行い、その事業評価の結果に基づき、予算を毎年精査するとともに、合目的性と効率性を確保するため、各事業の必要性について徹底した精査を継続的に実施する」ことにあると認識している。趣旨に沿った形での対応をお願いしたい。
 
○ コロナ禍において、オンラインを活用するなど工夫をして実施できた事業もあれば、数字をあげられなかった事業もあった。しっかりと検証し、柔軟な対応によりうまくいった事業でのやり方を、別事業でも活かしてほしい。
 
○ 個々の事業について指標を設けて判断した結果が今回のABCD評価であり、これは重要なことと思うが、一方で、その事業の周辺の環境がどうなっているか、その事業がリーチすべき企業や労働者の状況はどうなっているかを踏まえた上でアップデートしていく必要がある。例えば、「No.38過重労働の解消及び仕事と生活の調和の実現に向けた働き方・休み方の見直し」について、働き方改革に係る企業の取組は進んできており、コロナ禍の影響も含めて企業や労働者の認識も受け止め方も変わってきている。指標はそのままで数字を変更するとしているが、個々の事業がリーチする周辺の企業や労働者の状況を踏まえた上で、指標そのものも含めて見直していく必要がある。
 
○ 社会復帰促進等事業は幅が広い。個々の事業の良し悪しだけでなく、全体の予算の中でこの事業構成でよいのかということを考えていく必要がある。例えば、D評価の「No.32女性就業支援・母性健康管理等対策費」と「34外国人技能実習機構に対する交付金」について、女性活躍や外国人の活躍は大事なテーマだが、政府の様々な施策の中での事業の位置づけをみて、事業を評価するということも必要ではないか。社復事業全体の在り様と、いくつかの他のテーマと重なっている中で行われている各事業の在り様を併せ考えた上で、社復事業として実施する事業は何かという視点が今後の見直しでは必要。
 
○ アウトカム指標、アウトプット指標が現在示されているものでいいのかどうか検討してほしい。特に「アクセス件数」がアウトプット指標となっているものは妥当か甚だ疑問。すべての事業について、目標をゼロから見直す場が必要。その上であれば、目標を多少下回ることがあっても一喜一憂する必要はない。真に必要な事業であれば、多少目標を下回ることがあっても存置する必要がある。
 
<個別事業について>
 
○ No.7 労災疾病臨床研究事業費補助金事業
・アウトプット指標が未達成の理由として、公募スケジュールの周知が不十分だったとあるが、それならば周知の仕方を見直せばいい。それ以前に、そもそも応募が少ないことが背景にあるのではないか。
 
○ No.32女性就業支援・母性健康管理等対策費
・ 担当部署の使用パソコンの賃貸料等の負担経費が事業内容に書かれているが、担当部署のシ
ステム稼働や処理に係る目標を掲げるのはいかがか。
 
○ No.33多言語相談支援事業
・ 通訳などを介して問い合わせるということが一般的であるところ、その中でアプリの利用率だけを捉える指標は妥当でないのではないか。引き続き、相談体制全体の整備が必要。
 
○ No.33多言語相談支援事業
○ No.39テレワーク普及促進等対策
○ No.41中小企業退職金共済事業経費
○ No.42独立行政法人労働政策研究・研修機構運営費・施設整備費
・ これら4つの事業について、なぜ社会復帰促進等事業費の中から出ているのか。何らか労働災害の削減に資するとの説明も納得しがたい。内容をしっかりと見直してほしい。
 
○ No.34外国人技能実習機構に対する交付金
・ 労災案件が多いというが、どの職種で多いか。D評価だが目標を変えていないのはコロナ禍であるから達成できなかったのか。
 
○ No.36産業医学振興経費
・産業医について、職域接種を進めようにも、企業は産業医を確保できていない。産業医科大にはしっかりと優秀な人材を輩出してほしい。また、途中で専門研修コースなどから離脱し、産業医として従事する義務を果たさないケースがあると聞く。地域枠なども参考に、常勤の産業医が安定的に輩出されるように対応を強化してほしい。産業医科大に入りながら産業医にならない人への就学資金の返還だけでなく、しっかりとした対策を講ずるようお願いしたい。