第7回 審査支払機能の在り方に関する検討会 議事録

日時

令和3年3月10日(水)15:00~17:00

場所

全国都市会館 大ホール 
千代田区平河町2-4-2
(オンライン開催)

出席者

構成員(五十音順)

議題

  1. 1.議論の整理(案)について
  2. 2.その他

議事

議事録
○姫野保険課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第7回「審査支払機能の在り方に関する検討会」を開催いたします。
本日は、大変お忙しい中、御参集いただき、誠にありがとうございます。
本日も、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。会議中、御発言の際はZoomの機能で挙手をしていただくか、難しい場合には画面越しに手を挙げていただき、座長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
次に、本日の出欠状況ですが、宮田構成員から欠席の御連絡をいただいております。また、横尾構成員からは、公務の関係から遅れて出席するとの御連絡をいただいております。
なお、代理出席の申出がございます。岡﨑構成員の代理として、川村様に御出席いただくこととしたいと思いますが、御異議はございませんでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○姫野保険課長 それでは、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
では、以降の議事運営は菊池座長にお願いいたします。
○菊池座長 本日も、大変お忙しいところ、御参集いただきまして誠にありがとうございます。
本日、支払基金と国保中央会のヒアリングは特に予定してございませんが、構成員の皆様からの質疑に対応していただくため、両機関から御出席をいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速、議事に入ります。
今日は、まず議題2のその他のレセプトのオンライン化につきまして御議論をお願いしたいと考えております。
それでは、資料1「オンライン請求の促進に向けた対応の方向性」について、事務局から御説明をお願いいたします。
○大竹保険データ企画室長 ありがとうございます。
資料1について、保険データ企画室から御説明をさせていただきます。
前回、前々回と御議論いただきましたオンライン請求の促進ということでございます。紙レセプトを少しでも減らしていけないかということでございますけれども、前回までいただいた御意見としまして改めて確認というか御紹介をさせていただきますと、例えば保険医療機関等に対するペナルティーや義務化といった取組ではなくて、自然と紙レセプトが減るような、現場に負担をかけない対策案を検討すべきという御意見。また、オンライン資格確認等システム、特にレセプトの振替機能についてでございますけれども、これの効果を見極めてから対応すればよいのではないかという御意見。また、レセプト返戻後の修正をしやすいレセコンの改修が予定されていない中では、保険医療機関等の負担が増えるのではないかという御意見。また、現在のこのコロナ禍において、現場のコスト、手間を増やすべきではないというような御意見をいただいておりました。
そのような御意見も踏まえまして、今回資料1ということで提出させていただいておりますけれども、前回から修正したところがございます。具体的には、下の図に点線囲いのところが2か所ございます。
まず、一番左のほうの点線でございますけれども、オンライン請求の促進に向けた対応についてということですが、システムベンダー、システム事業者の方に周知を行うということとともに、オンラインの返戻再請求について利便性向上にしっかりとつながるシステム開発・改修が行われるように、国としてもシステムベンダー、事業者の方に働きかけを行いたいということでございます。
その上で、2021年10月から紙媒体による返戻をなくすということでございますけれども、その先でございます。2022年度中の前ということでございますけれども、返戻再請求のオンライン化を進めるに当たっては、一定の実効性を担保する必要があるということもございますけれども、一方で2021年から始まりますレセプトの振替、これが開始になった後の資格過誤の状況、どのくらいレセプトの返戻が減るかということであったり、システムの影響というものを踏まえると。その上で実施時期や方法を判断するということでございまして、前回も同趣旨のことを下に※で書いておりましたけれども、改めて明確に記載させていただいたということでございます。そのように実施時期、方法を判断ということでございますので、右の矢印の中ですけれども、これも2022年10月からとしておりましたが、2022年度中ということで多少幅を持たせていただいたということでございます。
このような形で修正をさせていただきまして、大きい方向性として上の枠に書いてございますけれども、社会全体としてデジタル化を進めていく中で、医療機関・薬局を含め、デジタル化のメリットを生かしていけるように取組を進めていきたいと考えております。
このような形で提出させていただいておりますので、御議論いただければと思います。よろしくお願いします。
○菊池座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関しまして、御意見、御質問等ありましたら、挙手の上、お願いしたいと存じます。
まず、松本構成員からお願いします。
○松本構成員 ありがとうございます。松本でございます。
まずはこの表、資料1の中ほどの2021年10月からという部分でありますけれども、オンライン資格確認のレセプト振替によって本年10月審査分から資格過誤を理由とした保険者からの再審査申出がなくなることから、返戻そのものが減少するということは大変意義があることと考えています。
ここでお尋ねしますが、レセプトの振替開始と同時に紙媒体による返戻を廃止し、一部の保険者においてはオンラインによる再審査申出の義務化を提案されていますけれども、紙媒体による返戻は廃止されるが、再請求は紙で行ってもよいという理解でよろしいでしょうか。事務局にお尋ねいたします。
○大竹保険データ企画室長 ありがとうございます。
御指摘のとおりでございます。現在は紙媒体と電子媒体の両方で返しているということでございますけれども、紙媒体で返戻されるので紙を使って再請求をしているというような御意見もいただいたということがございますので、大きい方向性としてオンラインでの再請求をお願いするということでも、紙媒体での返戻をまず2021年10月の段階でなくすことを考えておるということでございます。その場合においても、再請求はあくまでもオンライン、紙媒体、この時点では両方とも可能ということでございますので、医療機関・薬局の皆様方におかれては、この期間、ある意味試行期間というとあれですけれども、どのように運営できるかということを御検討いただきたいと考えております。
なお、10月と書いてありますけれども、10月診療分ということでございまして、実際には11月末とか12月上旬に返戻する分からになると考えております。
以上でございます。
○松本構成員 分かりました。両方で可能ということで御返答をいただきました。
その月に返戻があるかどうかは、審査支払機関のオンライン請求システムに接続して返戻の有無を確認しなければ分かりません。審査支払機関では毎月増減点連絡書などの連絡事項を郵送しているので、併せてその返戻レセプトも同封されております。また、電子端末はレセプトを送るための専用機と規定されていることもあって、返戻の見逃し防止のために紙を送付しているという位置づけにもなっております。したがいまして、オンライン請求医療機関に対して返戻がオンラインのみになることについて徹底した周知を行った後、返戻の見逃しを防止する必要があると考えています。その前提としてオンライン資格確認によるレセプト振替が正確に行われるということが大変重要であり必要になると考えておりますけれども、この点についてまた確認をさせていただきたいと思います。
○菊池座長 松本構成員、幾つか質問がおありなのでしょうか。
○松本構成員 そのとおりです。
○菊池座長 一問一答式でかなり続くでしょうか。
○松本構成員 もう少し続かせていただきます。
○菊池座長 まとめてお聞きいただくわけにいかないでしょうか。
○松本構成員 その都度お答えいただいたほうが分かりやすくなるのではないかと思いますが。
○菊池座長 では、長時間にわたらなければ。
お願いします。
○大竹保険データ企画室長 データ室でございます。
ありがとうございます。しっかり周知を行うということは御指摘のとおりかと思いますし、返戻の見逃しを防止するという機能もあるということでございますので、見逃しをいかに防ぐかというところは検討させていただければと思います。
その上で、御指摘いただいたとおり、レセプトの振替が正確に行われるということが大事というか、この議論の前提ということかと思いますし、それによって医療機関の負担が減るはずだということかと思いますので、まずはこのレセプト振替がしっかりと機能するように取り組んでいきたいと考えております。
以上でございます。
○松本構成員 ありがとうございます。
次に、一番右の2022年度中と書かれた部分についてですけれども、医療機関からの再請求をオンラインのみに強制する部分ですが、図に追加されましたようにオンライン資格確認により過誤の状況やシステムの影響、レセコンの改修状況、そして、医療機関での負担軽減の状況なども踏まえて判断するものと理解いたしましたけれども、その理解で問題ないでしょうか。確認させていただきたいと思います。
○大竹保険データ企画室長 御発言いただいたとおりでございます。再請求をオンラインによるもののみにする時期につきましては、御指摘いただいたとおり、レセプトの振替開始後に資格過誤の状況だとかシステムへの影響を踏まえて、実施時期、方法を判断するということにしたいと考えております。
○松本構成員 以前、私は電子でも紙と遜色ない修正方法で対応できるようになれば現場も受け入れやすいと述べましたけれども、この対応が一番左のシステムベンダーに周知を行うとともに、システム開発・改修を行うように働きかけるようにという記載だと思います。しかしながら、この記述ではベンダーに丸投げしているようにも見えます。現場でやり取りをしている経験から申し上げますと、費用面の問題もさることながら、ベンダーにそこまでの自覚、責任感があるのか甚だ疑問に思っております。
医療機関は厚生労働省の医療情報システムの安全管理ガイドラインを遵守してオンライン請求をしています。このガイドラインを準用しているレセプト請求のセキュリティーに関するガイドラインには、オンライン請求システムと他システムとをネットワーク接続する場合には、他システムからの悪影響を遮断することと規定されていることから、電子請求端末はレセコンとは離れた場所に置いてあることが一般的であります。
また、紙と遜色ない修正方法にするには、わずかなシステム改修で容易に対応できるものではないと聞いております。レセコンは一定期間経過すると入替えをしますので、本来であればこうした返戻に紙と遜色ない修正ができる機能を備えたレセコンに置き換わったタイミングで義務化すべきであって、小手先の対応で義務化すれば医療機関は必ず混乱いたします。医療機関がオンラインでの再審査請求を自然に便利に活用するには、電子請求端末とレセコンが離れた場所に置いてあることが一般的であることを踏まえて、両者を物理的に分離することが厚生労働省により求められるという認識を変えていくための取組がまずは必要なのではないでしょうか。その上で、オンライン請求の機能をレセコンに取り込んだり、オンライン資格確認の定着でオンライン請求の端末とも接続することが普通になるように、厚生労働省としてはどのようにシステムベンダーに働きかけを行う予定なのでしょうか。教えていただきたいと思います。
○大竹保険データ企画室長 ありがとうございます。
まず、電子請求端末とレセコンを分離して置いておくことが一般的というお話をいただいております。これは今後オンライン資格確認システムが稼働していくと変わっていくところもあるかとは思いますけれども、厚生労働省としては物理的に分離する以外の方法もセキュリティーの確保として認めているということがございます。その旨、レセプト請求も含めてセキュリティーのガイドラインの規定の趣旨をしっかりと周知していく、伝えていくということは大事だと思っておりますので、ある意味オンライン資格確認が始まるという節目でもございますので、引き続き丁寧に周知をしていきたいと考えております。
その上で、利便性の高いレセコンをどうつくっていくかということかと思います。今はあまり使われていないので利便性もあまり向上していないというところもあるかと思いますので、そういう働きかけを行うに当たっては、あらかじめこの辺りにかなりニーズが高まるという、対応の時期というものはあらかじめ明確にお示しするということがシステムベンダーの方にしっかり対応してもらうという意味でも大事だと考えております。
なので、今回、2022年度中というスケジュール感をお示しさせていただきましたけれども、こういうスケジュール感をしっかりと提示させていただきながら、また、診療報酬改定などのタイミングに合わせて医療機関・薬局の皆様にとって利便性が感じられるような改修がされるように、ベンダーの方々、事業者の方々に働きかけをしていきたいと考えております。
○松本構成員 長くなって恐縮です。
最後です。上の四角の中に、オンラインで請求を行っている医療機関において、デジタル化のメリットを最大化していくために紙レセプトを減少させていく必要があると書かれております。紙で修正するより使いにくいレセコンの使用を強制した上で、改修費用もかかって負担増となるようなことがあってはならないと考えています。医療機関におけるメリットとは何かということも含めて、本件をどのように進めていく方針であるのか、改めて事務局からの答弁をお願いしたいと思います。
コロナ禍において、医療機関は国民の命と健康を守ることを最優先に日々尽力しております。また、したがって非常に疲弊もしております。新型コロナウイルス感染症との闘いはまだまだ先が見えない状況において、さらなる負担増になるということではなく、自然と紙が減る、現場に負担をかけない対応となるように重ねてお願いしておきたいと思います。
まず答弁をお願いいたします。
○大竹保険データ企画室長 データ室でございます。
まず、この資料にもございますけれども、デジタル化を進めていく趣旨というところかと思います。大きい話としては、今後、少子高齢化というか人口減少社会という中でいかに省力的、効率的にサービスを提供していくかということが大事になってくるという問題意識もございます。その上で、今回のコロナ禍を踏まえて、より一層デジタル化を進めていくということが強く動機づけられたということかと考えております。
そういった中で、政府としてもデジタル化を進めていこうということで様々な取組をより一層進めていこうと取り組んでおりますけれども、この点につきまして、政府としてはデジタル社会の実現に向けた改革の基本方針というものもお示ししておりますが、その中で強調されているのは、デジタル化が目的ではなくて、あくまでもそれは手段にすぎないということを強調しているところでございます。
そういった意味でも、今、構成員から御指摘いただいたとおり、医療機関の皆様方にとって、紙をなくすのが目的というわけではなくて、我々としても、紙はなくなったけれども医療機関の負担が増えたということでは本末転倒ということかと思っておりますので、あくまでもトータルとして便利になったと言える必要があると思っております。その上でということになりますけれども、紙レセプトというものを極力減少させていくということで、例えば郵送作業が不要になるということであったり、セキュリティー面が強化されるということもございますし、機械的にレセプトの事前チェックなどもスピーディーに行うことができるということもございます。
あと、レセプトの振替とか分割というサービスをしっかりやっていこうということになりますと、その電子化が必要ということもありますので、これを進めていくと事務コストの削減にもつながるということかと考えております。そういったメリットをしっかりと出していくためにも、また、今後のオンライン資格確認等システムを使って様々な情報が見られるということを進めていくわけですけれども、そのようなメリットを生かすためにもやはり電子化を進めていく必要があるだろうということで、これらの取組について医療機関、薬局の皆様方、または保険者の方を含めて全体として歩調を合わせて進めていきたいということで、何とぞ御理解をいただければと考えております。
引き続きこういった対応が現場の皆様方に円滑に受け入れられるように、システムベンダーへの働きかけであったり、資料中にも記載がございますけれども、資格過誤の状況であったり、システムの影響の見極めといったものをしっかりと、また丁寧にやっていきたいと考えております。
以上でございます。
○松本構成員 とりあえずまた他の構成員の方々のお考えをお聞きしたいと思います。
○菊池座長 それでは、平川構成員、お願いいたします。
○平川構成員 日精協の平川です。
我々精神科の場合は、以前申し上げましたけれども、生活保護の患者さんが多い。また、精神保健福祉法に絡む自立支援医療とか、保険と診療報酬と公費負担制度等が絡んだような体系になっています。さらに、それに自治体で行っている支援制度もあって大変複雑な状態になっております。
今回、資格確認は自立支援については対応しないということになっているのですが、このような形でオンライン請求のことがどんどん進んでしまうと、進んでいない部分と進んでいく部分に非常に乖離が起きて、病院の会計窓口等が大変混乱することが予想されます。遅れてしまった場合の責任を医療機関のほうが取るという形は大変困るので、この辺、誰がどう責任を取るのかといいますか、どういう形で遅れている分野についての対応をするかということを考えていらっしゃるか、御意見を伺いたいと思います。
○大竹保険データ企画室長 ありがとうございます。
冒頭、オンライン資格確認のお話もいただきましたけれども、御指摘のとおり、生活保護の方であったり、公費負担医療、自治体の単独事業につきまして、制度開始当初は対象になっていないということでございます。それで、我々も様々なところで御説明をさせていただいておりますけれども、やはり医療機関の皆様方からはそういうところも電子化というかマイナンバーカードで済ませるようにならないと、真の意味での効率化につながらないというようなお話もいただいております。
なので、我々としても、大きい方向性としては対象としていくのだろうと思っておりまして、例えば生活保護につきましては、現在オンライン資格確認の対象にするということで法律の改正なども提案させていただいているという状況にございます。そういった取組も行いながら、ほかの公費であったり自治体といったものも含めて検討していくと考えております。
以上でございます。
○菊池座長 平川構成員、よろしいですか。
○平川構成員 よく分かりませんが、とにかくもしうまくいかないときのこともきちんと考えていただかないと、全体ではよさそうな話なのですが、現場は非常に混乱してしまうということは目に見えているので、その辺のところも配慮をいただきたいと思います。先ほど松本構成員がおっしゃったとおりで、現場は大変混乱すると思いますので、そこは周知いただきたいと思います。
○菊池座長 ありがとうございます。
それでは、河本構成員、お願いします。
○河本構成員 ありがとうございます。
オンライン請求の促進に向けた対応について、システムベンダーに周知を行うという記載がございますけれども、その際には、改修費用の軽減に向けた調査、あるいは複数の保険者が一括して改修を行う場合のその負担軽減といったことの検討等も併せて進めていただければと考えております。また、その際に、以前に申し上げましたけれども、システム改修に対する財政支援についてもいま一度御検討いただければと思います。
また、国が主導して実施時期を判断していくということになるわけですけれども、これは以前に申し上げましたが、医療機関、保険者、支払基金が一体的に取り組む必要があると思いますので、歩調を合わせつつ一気呵成に進めていくということを要望したいと思います。
なお、今回の報告書の取りまとめの中にも一部記載がございますけれども、今後、オンラインの義務化の検討をする際には、レセプト原本データの一元管理とか、そういったICTに係る将来像も可能な範囲で併せてお示しいただき、その下での検討も可能になるようにお願いしたいと思います。
以上です。
○菊池座長 御意見、御要望ということで承りました。
それでは、林構成員、お願いします。
○林構成員 ありがとうございます。日本歯科医師会の林でございます。
既に松本構成員等から御意見をいただいておりますので、手短にさせていただきたいと思います。
歯科医師会におきましても、オンライン請求に関しましては、それに切り替えようとしている医療機関もかなりの数として出てきており、インセンティブをつけていただいて、今回のオンライン資格確認システムを含めてですけれども、そういった環境に対応できるよう促進していきたいと思ってございます。
この中の資料1のところではございますが、まさにこのオンライン請求の促進に向けてのシステムベンダーの周知や利便性の向上といったところが鍵となることは明白でございます。その中において、先ほど松本構成員からも御発言がございましたが、システム改修に伴いまして、それの費用等に関しましては、結局インセンティブにつながらないというところに結びついてしまう可能性もございますので、慎重に対応していただきたいところでございます。
それから、オンライン請求に関しまして、再請求でございますが、当月ダウンロードをしなければ月遅れでのダウンロードはもうできないという形に現状はなってございます。それのサインが先ほどもありましたけれども、紙の返戻という形もございます。この辺り、混乱のないように今後も使用する医療機関がインセンティブを感じられるようにしっかりと対応していっていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
それでは、森構成員、お願いします。
○森構成員 ありがとうございます。
  今の松本構成員、林構成員の発言と重複するところもありますけれども、意見を述べさせていただきます。
  オンラインによる返戻の再請求なのですけれども、現状、システム上の課題と業務上の
課題があります。業務上の課題に関しては、確かに現場でも努力していかなければならないことがあるのかもしれませんが、システム上の課題を解決しないままオンラインでの再請求を義務化することは、現場にとってはデジタル化によるメリットではなく、デメリットになってしまいます。現在、システム上の課題としてオンライン再請求に対応していないレセコンもあれば、レセコンとオンライン請求端末が切り離されており、返戻データをオンライン請求端末に一度ダウンロードし、USBにコピーをしてレセコンに移さなければならないことがあります。今後、オンライン請求端末、レセコンがつながって、回線を通じた情報のやり取りが安全にできるようなシステム上の対応が必要だと思います。そうした課題を解決して進めるべきだと思います。
先ほど松本構成員、林構成員からもありましたけれども、現状では紙での返戻があることによって返戻があったということが分かりますが、それに気がつかないと大変なことになります。紙媒体での返戻廃止するのであれば、そういうことへも対応していただきたいと思います。
  デジタル化のメリットを最大限に生かしていくという点では、現在薬局から審査支払機関にアクセスをして返戻レセプトのデータをオンラインで受け取っていますが、将来的には紙の返戻が個々の薬局に送られてくるように、自動的に回線を通じて薬局へ返戻レセプトが送られるシステムが構築されると、デジタル化のメリットになると同時に、先ほどの医療機関・薬局が返戻に気がつかないということも回避できるのではないかと思います。
  また、現在、レセコン上、再請求に対応できないところもあり、システムの改修が必要なこととともに、費用負担の問題があります。過度に負担がかかるようであれば、当然対応が難しい薬局も出てくると思います。様々な課題がありますけれども、まず重要なことは、今後、レセプトの請求から審査、返戻、再請求の大きな流れの中で、デジタル化のメリットを最大限にしていくにはどうしたらいいかという全体像を整理して進めるべきではないかと思います。その上で、スケジュールありきではなく、課題解決の状況や現場での状況、安全性、システムベンダーの対応状況などを見ながら実施時期等を判断いただきたいと思います。
 以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
それでは、大石構成員、お願いいたします。
○大石構成員 ありがとうございます。私、前回等の検討会で申し上げましたけれども、やはり全体を効率化しないと、今まで話をしていたような部分的な効率化だけでは全体の効率は上がらないので、紙をなくしていくことというのは必須だと思っています。なので、大きな方向性としてまず紙をなくしていくということをまずはっきり決めるということと、今回のものはまだ大まかになってはいますけれども、期限を決めていくことがすごく大事だと思っていて、なぜならば、やはり期限が決まらないと、例えばシステムベンダーとか医療機関もいつまでに何をすればいいのか分からないので結局やらないという問題になってくるかと思います。期限が決まれば、結局そこがお尻になってくるので、システムベンダーも、要は選ばれるシステムになっていくためにはこれをやらなくてはいけないということをきっちり認識して動いてくれると思っています。なので、期限を決めるということはぜひやってほしいです。
それから、もう一つ申し上げたいのは、その中でどういうふうな仕掛けにしていくのかということに関しては、先ほどの御発言の中にもありました、例えば請求システムとレセコンが物理的に切り離されていなくてはいけないというようなセキュリティーの確保の仕方というのは、今の技術の中で別にそうではなくてもできるものはいっぱいあって、先ほど厚労省様の御発言でも、別にほかの方法を使うことを禁じてはいないとおっしゃってくださったと思うのですけれども、そこら辺を決定すること、要は、ほかの方法を使ってもいいのです、もしくはこういう方法であれば利便性があってセキュリティーが確保できるということを具体的にお示しいただくことによって、今発生しているこの話だけではないいろいろ病院の中での古いセキュリティーの考え方によって発生しているいろいろな非効率というものの解消にもつながっていくので、結果として病院の中でも大きくメリットがあると思うのです。
なので、ぜひそこら辺も併せて御検討いただいて、よりよい、今までの仕組みではないところ、グレードアップした今のデジタル化の流れに合ったような仕組みをつくって紙をなくしていく、期限を決めるということが必要なのではないかと思っていますので、ぜひよろしくお願いします。
○菊池座長 ありがとうございます。
それでは、木倉構成員、お願いします。
○木倉構成員 ありがとうございます。協会けんぽの木倉です。
今、御発言が続いておりますように、オンライン請求の促進に向けては、やはり現実的な課題を解決することが前提でありますが、できるだけ速やかに進めていただきたい。そのときに、この二段書きにしていただいているように、保険者における再審査の申出のほうの効率化も同時に進めていただきたいと思うわけですが、前回も指摘させていただきましたように、ここには2021年10月からと、今回修正をしていただいている2022年度中にやることという意味でお書きいただいているとは思うのですが、そのいずれからも、特に右下にありますように、その先に向けてということが少し明確になっていない。紙媒体で請求されたレセプトに係る再審査申出を除くとしか書いていないということで、現在、紙媒体で医療機関から出てくるものについて、これがオンライン化で減少していけば紙媒体で請求されるレセプトというものはなくなりますから、これもオンライン化でどんどん効率的になっていくと思うのですが、その間にありましても、前回も発言させていただきましたように、我々は画像データ、テキストデータで紙媒体のものをオンラインで支払基金から受け取って、それを再審査して、再度紙に直した形で支払基金に返しておるということがまだ手作業として残っております。この部分につきましては、支払基金と我々保険者の側の間の話ではありますが、オンラインで再審査内容を指摘させていただくということは技術的には可能だろうと思いますので、ぜひこの矢羽の先に向けての方向性をまた示していただきたいと思っております。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
松本構成員、どうぞ。
○松本構成員 簡単に申し上げますけれども、何人かの構成員からお話がありましたが、現実的な現場の課題を解決するということは最優先すべきであって、これは別に古い考えでもなんでもないということははっきり申し上げたいと思います。
また、スケジュールありきで現場を混乱に陥れるのであれば、それは違っていると思います。あくまで大まかな目安は必要かとは思いますけれども、やはり現場を壊すことなくしっかりと丁寧な議論を進めていくことが大事だと思っております。
以上です。
○菊池座長 それでは、黒田構成員、お手が挙がっていると思います。お願いします。
○黒田構成員 ありがとうございます。
情報コンピューターサイエンティストと病院の電子カルテの責任者という2つの立場で少し意見を申し上げます。
繰り返しお話しになっているとおり、病院のほうにはそれなりの負担はあるのだろうと病院の責任者としては感じてございます。片方で、病院でこういう運用をしていて常に思うのですが、期限が切られていないとベンダーさんは動いてくれないというのは私たちが持っている肌感覚です。国から示されている期限というのは非常に大きくて、その期限に向かって全力で走るということをしてくださるのがベンダーさんだと理解していますので、やはりある程度明確な期限を切っておくということは是非していただきたいというのが希望です。
その上で、コンピューター科学者の立場で申し上げるならば、90%のものを100%にするのには、0%のものを90%にするのと同じだけのコストがかかります。最後の10%で倍かかってしまうということです。ですので、漏れてくるものがあるのは仕方がなくて、最後のところの調整だと考えていますので、今、松本構成員がおっしゃっているように、現場で混乱する場合が幾つか出てくるでしょうから、その場合には最後の瞬間に受け止めるということはある程度方向性としては確認をしておいて、その上で全員で最大限の努力をするということが最も必要なことなのではないかなと思います。そうしておかないと、いつまでたっても物事は効率化しないというのが現実だと思います。
最後に、現実の問題として、私ども、つい先だって特定共同指導で御指導いただいたわけですが、その中で比較的目立ったのが、再請求もしくは請求の上で審査の上で最終的には請求をできなかったもの、我々の立場からすると、お認めいただけなかったものについて、診療録に変更になっていることが記載されていないという指摘でした。これは割と重要な課題だなと思っていまして、これを紐解いて考えるならば、請求の情報がオンラインでつながってレセコンに戻ってきて、レセコンの情報がさらに電子カルテまで伝搬するということが行われない限り、この部分はいつまでたっても人の手で一生懸命修正をし続けるしかなくなってしまうわけです。
そういう意味では、オンライン化することによって、全体の情報がきれいに整合性が取れる形になることの可能性は非常に大きいわけで、そういった幾つかポイントになるところ、ここが変われば現場の仕事は減るでしょうというところを捉えて、何がしかのベストプラクティス的なトライアルをぜひともどこかでやる。そういうふうなことも事業として御検討になるのがよいのではないかなということを意見として申し上げておきたいと思います。
私からは以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
それでは、横尾構成員、お願いします。
○横尾構成員 ありがとうございます。
当初、本日のこの会議が、3月市議会日程と重なる日程でありましたので、参加は難しいと思い、事前に意見メモを提出しました。メモの趣旨も踏まえながら意見を申し上げたいと思います。一部修正のメモは後で送っております。
そのメモに入る前に、まずは事前にいただいた内容について申し上げます。
本文5ページにありますように「コンピューターチェックに関して今後統一を図っていく」ということを今回明確に記述いただいており、この進展には大いに期待をしているところです。以前から申し上げていますように、「見える化」という意味でも、あるいは「デジタル改革の効果」という意味でも大変注目されるところですので、ぜひスムーズな進展を期待しています。
そのためにもぜひお願いしたいのは、十分なテスト・ラン、つまり検証・実証を行っていただきたいと思います。十分な実証をしておけば、本稼働でのミスも減っていきますし、将来的にも円滑な運営が可能になると思いますので、このことはぜひ期待したいと思います。
2つ目は、データのストックということです。このことについては、宮田先生も提出の意見メモにもあります。宮田先生は、幾つかの意見項目の最後に、「全国のデータを集めることができるのは審査支払機関である」という認識を示されています。私も同じような認識を持っています。国民の医療と健康に関して、どのような行動をしたか、またはどのような医療を受けたかという記録も残りますし、場合によっては、健康がどういう時にどんな変化をした、あるいはどんな疾病に繋がったかということも記録に残る訳ですので、これらは今後の医療や健康政策に十分に活かせる、基となる貴重なデータだと思います。厚生労働省におかれては、そのようなことも想定し、ぜひ今後に生かしていただきたいと大いに期待を寄せるところです。
特に疾病などにつきましても、エビデンスベースの政策が今後重要な時代と言われていますが、まさにこのデータはそれを支えるものであります。今後の医療、健康の政策に生かすためにも、このデータのストックということもぜひ考えていただければと思います。今回はそこまでの議論にはなっていないと思いますけれども、そういったことが重要になると思います。
そして、本文関連の最後ですが、今回はデジタル改革が大いに注目され、9月にはデジタル庁が動き出すということであり、昨日ぐらいから本格的に国会でも議論が始まっております。私は、ここでの一番の要は「デジタル時代の国家経営」をどうするかということだと思います。そういう意味でも、この審査支払機能に関わる部分も、「デジタル時代のマネジメント」をどのように行うかということがとても重要でありますので、そういったことを観点に置いて取り組むべきと思っています。
例えば、純粋に国民の視点だけから見て、国民が医療を受けてどんな支払いになるのかということを現状を確認しますと、大きく2つの審査支払機関があり、それぞれサービスをしていただいて、また、それぞれに組織運営、機構運営をしていただき、システム運用をして対応していただいている状況であるといえると思います。
今回、この会議では、それらの中で審査結果の差異のことや、あるいはコンピューターチェックの効率などについて協議、検討がされました。細かな作業をしていただいた事務局や、また、大所高所、多方面の御示唆をいただいた各委員の皆様に感謝と敬意を表したいと思うところです。
今後について考えてみますと、重要になっていくのは、より合理的で効果的、効率的な仕組みや運営をつくっていくことがとても大事であると思います。まさにマネジメントだと思います。一般的にも、このマネジメントの生産性をどう上げるかということが今後の時代のテーマになっていくと思います。
現状では2つの機関がそれぞれ存在し、今後もそれを維持するということを前提にこれまでも検討がされてきた経緯がございますけれども、マネジメントという観点に立ちますと、全体として、例えば統合するのか統一するのか、どこら辺を共同化するのかなど様々なことがありえますけれども、ぜひそれらの議論などは回避せずに検討しながら、よりよい姿を目指していくことが必要になるのではないかなと感じています。2つの組織の運営、あるいはそれを統一した場合のより合理的なやり方などがありますけれども、これらをうまく調整しながら、効率的、生産的なやり方を求め、よりよい状態を創造していくという改革が今後とも重要になります。
これらを志向するということも、ぜひまとめの中の末尾部にでも触れていただいて、今後に生かしていただきたいなと願うところです。
ともすると、こういう議論になると、関係者の方々等にとっては仕事に関わることでもありますので、心配があったり、不安もあったりということが一般的にはあり得ます。けれども、そのことで生産的議論が慎重になってはもったいないことです。統合や統一など微妙なこともあるかもしれませんが、困難性もあるものの、それらを克服しながら、よりよい姿を目指していく。そういった姿勢が今後より重要になるのではないか。デジタル改革ということを考えればなおさらそうではないかと強く思うところです。
これまでの一連の検討は、かなり詳細なことを今日も皆様出していただいていますし、準備いただいています。でも、一般の皆さんにはなかなか分かりにくい専門的なこともありますし、十分に伝わっているかというと、まだまだこれからという面もあるかと思います。ですので、やはりしっかりと分かりやすく果たしていく努力も必要だろうと思います。
そういった意味でも、議論の最後に整理案として「今後の対応」とありますが、可能ならば、今ほど申し上げているような内容を加えていただくか、あるいはその趣旨を加えていただくとありがたいと感じています。
それは何かといいますと、現状の改善案では必ずしも抜本的な改革推進には至らない面もまだ残されているようですので、将来的によりよい審査支払機関の体制を実現し、そのことによって国民的コスト負担をより軽減するようなこと、また、より効率的、効果的、そして、より合理的な仕組みやマネジメントを実現、構築することが重要になってまいります。今後の検討においては、これらの統合や統一などの議論についても聖域化するのではなく、むしろ、国民の視座や目線から見てよりよい姿、あるべき姿を探究していく。これらの検討が今後とも必要であると感じます。そして、そのことによって、真に改革が実行できるよう努力していくことも重要であるという趣旨をぜひ付記いただくとありがたいと感じております。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございました。
ほかにはよろしいでしょうか。
それでは、ございませんようでしたら、この課題につきましては様々な御意見が出されたところでありまして、引き続き事務局におかれましては取りまとめに向けて調整をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
次に、議題1の議論の整理(案)につきまして議題とさせていただきます。
これまでの構成員の御意見を基に議論の整理案を用意していただきましたので、本日はこの資料を基に本検討会の取りまとめに向けた御議論をお願いしたいと思います。
それでは、資料2及び資料3について御説明をお願いします。
○姫野保険課長 ありがとうございます。
それでは、資料2と資料3、若干行ったり来たりするかもしれませんけれども、併せて御説明をしたいと思います。
資料2につきましては、これまで皆様方からいただきました御意見などを基に、議論の整理案ということで事務局にて整理したものでございます。
まず1ページ目、「はじめに」の部分でありますけれども、審査支払機関改革は、公的医療保険制度の加入者である国民が審査基準の統一化により全国どこでも質の高い医療が受けられること、及び国民負担の軽減の観点から業務効率化を進めることを目的に掲げ、検討・取組を進めているという前提を記載してございます。
以下、これまでの支払基金、国保の高度化計画、あるいは2019年5月の社会保険診療報酬支払基金法の改正、また、その次のパラグラフでございますが、これまでにまとめた計画、規制改革実施計画といったものに基づきまして、今回の検討、議論を行ったということを整理してございます。
次の2番目ですけれども、本検討会における検討事項ということでございます。主に審査結果の不合理な差異の解消、システムの整合的かつ効率的な在り方に焦点を当てて検討してきたということで整理をしてございます。また、その他の重要事項についても検討したとしてございます。
次の2ページでございますけれども、具体的な検討課題をここに整理してございます。
「(1)審査結果の不合理な差異の解消に関する事項」でございます。まず、診療報酬の審査委員は保険診療ルールを様々な臨床現場に当てはめ、両者の間を埋めながら医学的に診療の妥当性を判断しており、一定の差異は避けられない中、どのような差異が不合理な差異であるか、実例を基に議論の前提を確認したという経過を記載してございます。また、その中では、特にコンピューターチェックの統一、審査基準の統一、自動レポーティング機能による差異の見える化といった3つの観点から御議論いただきましたので、そういった記載をしてございます。さらには、雇用が流動化し、被用者保険と国民健康保険の間を移動する国民が増える中で、国民への平等な医療サービスの提供が損なわれることがないようにするべきとの意見も踏まえ、基金、国保、都道府県間及び組織間における不合理な差異の解消のための取組について議論を行ったと記載してございます。
2つ目のテーマですけれども、支払基金、国保中央会・国保連合会のシステムの整合的かつ効率的な在り方について議論いただきました。審査支払システムそのものの目指す姿と、医療機関、保険者による一部の機能の利用という内部の視点と外部の視点の双方から最終的に目指す姿を議論していただきました。
それから、次の「(3)その他に関する事項」でございますけれども、1つ目のパラグラフに小さなポツがありますけれども、オンライン請求の促進、レセプト原本データの一元管理、診療データの審査における活用、次のページですが、在宅審査、審査支払業務の平準化等といった5つのテーマについて御議論いただいたという整理をしてございます。
次の3番目からテーマごとの議論の整理をしてございます。
まず3として審査結果の不合理な差異の解消についてということでございます。(1)は審査結果の不合理な差異の定義ということで、これも初回の議論の中でも出ましたけれども、「不合理な差異」とは臨床現場の多様性や審査委員の臨床経験・専門的知識等を考慮しても、なお、医学的な判断として説明が困難な審査結果が不合理な差異であることが確認されたというところを出発点として記載してございます。
それ以下、審査支払機関内での差異の解消、そして、その次のページから審査支払機関の間の差異の解消といったところを記載してございます。
この概要につきましては資料3のほうにまとめておりますので、そちらを御覧いただければと思います。
資料3の1ページ目に審査結果の不合理な差異の解消に向けた工程という形で概略を整理してございます。先ほど申し上げましたように、縦軸にコンピューターチェックから事務点検・審査、自動レポーティングという審査の流れがあります。その3つの部分についてそれぞれ御検討いただきました。
コンピューターチェックの部分につきましては、横軸で時間軸を掲げておりますけれども、支払基金のコンピューターチェックの全国での統一、そして、国保のチェックの統一、または両機関でのコンピューターチェックの整合性の実現といったところをそれぞれプレゼンテーションをいただきました目標年限に落とし込んでいるところでございます。
それから、事務点検・審査という2段目の部分ですけれども、各機関で、都道府県で設定しております審査基準について事務局でも調査をさせていただきました。現状にありますように、基金で約3万3000件、国保で約1万8000件という基準がございますけれども、それぞれの重複や整合性についてはまだまだ整理ができていない状況でございましたので、これを1年かけて棚卸しをしていくというスケジュール感をここで示してございます。
その右側ですけれども、整理をした審査基準につきましては、最終的には原則全国で統一していくという方向性についてもここで示してございます。具体的な時期については、なかなか難しい面もございますけれども、24年4月と一定の時期を区切って検討を一巡するというような形でお示ししてございます。具体的な統一完了までに要する期間については、22年10月までに棚卸しをする中で確定をしていくというイメージでございます。
その下、具体的に審査基準を統一するための枠組みということでございますが、現在でも連絡会議という形で両機関の審査基準の全国統一化に向けた取組が行われておりますので、こういった枠組みを活用していくというのが一つでございます。
さらに、括弧書きでございますけれども、地域レベルで審査基準の検討を行っていく際に、支払基金と国保連合会両機関が情報共有・協議を行うといった全国統一につなげる方策についても検討してはどうかという御提案があったことも踏まえて、こういった記載をしてございます。
また、支払基金と国保連と審査委員の併任を順次実施するというような御提言もありましたので、こういったことを盛り込んでございます。
最後の3段目ですけれども、自動レポーティングにつきましては、支払基金からのプレゼンテーションの中でコンピューターチェック付せんの処理の差異の見える化をしていくということもございました。また、コンピューターチェック付せんが付されないレセプトにつきましても、優先順位をつけて対象としていくということもプレゼンテーションされておりましたので、そういった内容を盛り込んでございます。さらに、見える化した差異については公表していくということ、また、国保についても支払基金と整合的なレポーティング機能も実装し、最終的には両機関で比較できる形で結果、PDCAの状況を公表していくといったことを記載してございます。
左側の矢印にありますように、こういった流れを踏まえてコンピューターチェックの精緻化や職員、審査委員へのフィードバックといったことを進めていくという方向性をこの中で整理してございます。
次のページになりますけれども、システムの整合的かつ効率的な在り方という2つ目の大きなテーマについても御議論いただきました。その内容を文章編とほぼ同じ内容でこの1枚に整理してございます。
まず、目指すべき姿ということで、左側に薄い緑の部分がありますけれども、まず、整合性の実現という意味では、受付領域のオンライン請求システムや受付時の形式チェック、告示・通知に基づくチェックといったものについては、共同利用を目指してはどうかということでございます。
また、審査領域のコンピューターチェックにつきましては、業務要件の整合性をまずは確保していくということ。そして、その中では自動レポーティングについても整合性を合わせていくといったところをここに盛り込んでございます。この部分の工程につきましては、その右側にありますように、国保総合システムの公開が2024年となってございます。国保につきましては、工程を示すに当たっては時間軸、財源といったいろいろな制約要件があるという御意見もございましたので、そういったことを踏まえて、まずこの国保総合システム更改に合わせて対応していくものとしてこういった内容を整理しているところでございます。また、体制につきましても、国保中央会、そして、デジタル庁との連携といったことをここにお示ししてございます。
下側の紫で書いている部分ですけれども、効率性の実現ということでありますが、審査領域、支払領域という部分につきましても、将来的には共同利用を進めていく。また、審査支払機関の外との関係でありますけれども、可能な機能から医療機関・保険者による利用のための機能開放も検討してはどうかという御意見をいただきましたので、そういったことも盛り込んでございます。また、共同利用をする機能とその他の機能、システムとの疎結合化ということも重要であるという御指摘をいただいておりました。こういった点についてもここに盛り込んでいるところでございます。
また、この工程につきましては、昨年12月にたたき台としてお示しした際には、効率性の実現の部分についてどれぐらいの目標年限で進めるかということはもう少し実務的に詰めさせていただきたいということを申し上げておりましたが、今回ここにお示ししているものの中では、2026年4月というところを一つの目標時期として、こうした共同利用機能の共同開発といったものをデジタル庁などとも連携しながら進めてはどうかということでお示ししているところでございます。
その他、注釈で細かく書いている部分もありますが、例えば※4にありますように、こういった共同開発、共同利用を進めていくに当たりましては、支払基金・国保の意見調整の仕組み、それから、合同の実務部隊といったものが重要であるという御指摘もいただきましたので、そういったことも記載してございます。
また、※7にありますように、デジタル庁との連携の重要性も御指摘いただいておりましたが、例えばGov-Cloudといったことも構想されておりますので、そういった利用の可能性も検討するといったことも付記しているところでございます。
資料2に戻っていただきたいと思います。
先ほど資料2の3ページまで御説明しましたけれども、その後、8ページのところまでが今資料3で御説明したものを文章に落とし込んだものでございますので、御確認いただければと思います。
そして、9ページからがその他の課題の部分になります。
まず、「(1)オンライン請求の促進」については、今日、資料1ということで御議論いただきましたので、それを踏まえてまた事務局にて整理をしたいと思ってございます。
「(2)レセプトデータの一元管理」でございます。この部分につきましては、審査支払機関と保険者との間でレセプト原本データを再審査などがあった場合に送受信をしてございます。そのため、レセプト原本データの検索・送受信、原本管理といった業務が生じ、業務の非効率性の一因となっているということを課題の設定として記載してございます。
レセプト原本データの一元管理につきましては、国保については既に実現しているということでございましたが、被用者保険につきましては、支払基金が同様にアーカイブ機能を提供して原本保管を行うという案と、再審査請求の申出があった際に写しレセプトで対応できるように支払基金が写しレセプトを保存して再審査を行うという2案を提案させていただきました。これにつきましては、2つ目の案について方向性としては合理的であり、発展性があるため継続検討すべきであるという御意見がありましたが、一方で、支払基金がアーカイブ機能を提供する1つ目の案では、保険者がデータを参照するといったときに手間や時間、費用がかかって合理的ではないのではないかと。むしろ写しのレセプトでの対応で十分ではないかという御意見がありました。その御意見をここで列挙しているところでございました。
「(3)診療データの審査における活用」につきましては、現状では診療報酬のオンライン請求ではCSVファイルあるいはテキストファイルの送受信のみが対応とされておりますので、審査の際に診療データが必要になる場合には個別に紙や電子媒体の送付を行うということになっております。これがために保険医療機関、審査支払機関の双方に業務負担が生じているのではないかというのが課題設定でございます。診療報酬の審査につきまして、レセプト情報に基づく審査が基本でありますが、一部の審査では検査値や画像、動画なども活用されているということでありますので、その実態についてもヒアリングをさせていただきました。
次のページになりますが、具体的な例をここにも示してございます。例えば①にありますように、算定された診療内容が一般的な診療内容と異なる場合、また、輸血の実施の適否を判断するためにヘモグロビン値を確認するといった例示も示されたところでございます。こういった現状も踏まえた対応方針についての御意見ですけれども、画像・動画データなどにつきましては、現行の審査における活用のボリュームであれば電子媒体などの対応も行われておりますので、必要性は低いのではないかという御意見もいただいておりました。他方で、検査値データにつきましては、学会等のガイドラインも踏まえて審査の質、効率を高めることができるものについては、審査の参考情報として提出することを含めて検討してはどうかという御意見もいただいておりますので、そういったことでここには例示をしてございます。
「(4)在宅審査」でございますが、政府方針でもデジタル化という流れもございます。また、柔軟な勤務体系による審査委員の確保、利便性向上という観点、また、コロナ禍・コロナ後における新しい時代の審査委員・職員の働き方といった観点から、推進する必要があるという御意見を多数いただきましたので、こういった形で整理をしてございます。
他方で、在宅審査につきましては、セキュリティーの担保、個人情報の取扱いといった課題の御指摘もいただきましたし、また、審査の現場での審査委員と事務局あるいは他の審査委員との協議といったことの必要性も留意して課題を解決する必要があるという御指摘もいただきましたので、記載をしてございます。
3番目のパラグラフにありますように、コロナ後に求められる対応として、在宅審査に必要なセキュリティー、また、審査の質の確保の検証を進めることによって、関係者の理解を得ながら在宅審査の実施方法の検討を行い、支払基金のほうからも試行実施ということもプレゼンテーションをいただいておりましたので、そういった試行実施を経て推進するべきであるといった形で整理をしてございます。
「(5)審査支払業務の平準化等」の部分でございますが、現状では月次のサイクルで請求・支払が行われておりますが、審査支払業務の平準化をすることによって、受付時の情報処理のピークに合わせたシステムリソースの余剰を削減することができたり、あるいは医療機関に対する支払時期のさらなる早期化といったことが可能になるのではないかという課題設定でございました。
この点、まず支払基金のシステムリソースの余剰につきましては、新システムをクラウド化するということでございますので、解消されつつあるということ。また、国保につきましても、2024年4月に国保総合システムのクラウド化ということも打ち出されておりましたので、そういった意味ではこの点については解消されることが見込まれてございます。支払時期のさらなる早期化のためには、幾つか例示をして御議論いただきましたけれども、医療機関経営においては既に2か月サイクルでの資金フローが定着している一方で、保険者側の資金調達の課題に目途がつかないということも御指摘いただきましたので、そういった形でここは整理をしてございます。
他方で、コロナ禍も踏まえて、緊急のキャッシュニーズへの対応ということについては課題としても御提示いただいておりましたので、そういった課題についてもここに提示しているところでございます。
最後、今後の対応についてということでございますけれども、今回のこの検討会で工程表を取りまとめるという前提の下で、今後の対応として、2つ目のパラグラフにありますように、これまでの計画、規制改革実施計画に加えて、今回の改革の方向性、工程表を踏まえて、厚労省、支払基金、国保中央会において工程表を策定し、改革の進捗をフォローアップしていくということでいかがかということで事務局のほうでここは記載させていただいてございます。
説明は以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございました。
宮田構成員のメモは皆さんにはもう渡っていらっしゃるということは、お目通しいただけるという状況ですね。であれば、ここで改めて御紹介いただく必要もないかなと思いますので、皆様から御発言をいただきたいと思います。
それでは、横尾構成員からお願いします。
○横尾構成員 ありがとうございます。
私、先ほどは、開会直後に、少し遅れての途中参加になったものですから、会議次第の順番を少し勘違いして、本当はこの場で申し上げなければいけないことを、先に申し上げてしまったようです。たいへん失礼しました。そのことをまず説明させていただきたいと思います。
あわせて、万が一参加できない場合も考え、意見を出しましたので、皆様のお手元にあるかと思います。御覧いただければありがたいと思います。
ということで、先ほど意見を申し上げており、重複いたしますので、以上、簡潔に意見の紹介と補足とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○菊池座長 ありがとうございます。
それでは、河本構成員、お願いします。
○河本構成員 ありがとうございます。
まず、4ページ目の自動レポーティング機能の関係でございます。これは御案内のとおり、支払基金の業務効率化・高度化計画の中でも自動レポーティング機能で差異を抽出して速やかに対処すると記載されているところでございますけれども、この自動レポーティング機能というのはこれまで十分に見えていなかった様々な審査上の差異を自動で見える化することによって、従来ある意味遅々としていた見える化を迅速に進めて、結果としてスピーディーな差異の解消につなげていくという目的、そういう大きなメリットがある項目だと認識しております。
5ページ目に、自動レポーティング機能によって見える化された差異について、不合理か否かに関わらず全ての差異の情報公開を行うとございますけれども、審査支払機関においては、支部や本部の検証を終えた後の段階ではなくて、検証データを自動レポーティングしてここにこういう差異があるということが分かった段階で差異の情報公開を行っていただきたいと考えております。
また、自動レポーティング機能で差異が見える化した件数というのは重要な指標であると思いますので、件数も併せて公開していただきたい。この自動レポーティングによる差異の見える化を迅速に進めることによって、当初は、支払基金にとってはある意味宿題が積み上がるという形になるかもしれませんけれども、まずは差異の見える化が差異解消の第一歩だと思いますので、見える化が迅速にしっかり進んでいるかということをきちんと注視していく必要があるのではないかと思います。
これを含め、私がこの議題に対して申し上げたいことが5点ございます。まずは、レポーティングの対象について、以前支払基金に御提示いただいた中では、令和3年、4年度の情報公開においては、審査の一般的な取扱事例とか、あるいは審査情報提供事例といったことが挙げられておりましたけれども、それのみならず、この自動レポーティングの対象を拡大していただきたいと思います。4ページの③の2番目の○で、コンピューターチェックで付せんがつかないレセプトについても保険者からの再審査請求等で見える化を図ると記載していただいておりますけれども、保険者からの再審査請求のレセについては、査定の有無に関わらず自動レポーティングの対象としていただきたいと思います。また、支部間差異として、保険者等から疑義照会を受けた事例も自動レポーティングの対象とすべきであると考えております。その辺り、明記をお願いしたいと思います。
これが1点目でございます。
2点目が支払基金と国保のシステムの整合的かつ効率的な在り方というところで、8ページ目でございます。この中で、1番目、2番目の○でいろいろ記載していただいておりますけれども、支払基金と国保連のシステムの共同利用あるいは共同開発等については、共同利用のための整備に被用者保険に追加的な費用がかかるということも想定されるところでございます。そういう場合には、それがどういう効果を生むのか、またその将来の効果も示したいただいた上で、一部公費負担ということも含めて十分に協議をお願いしたいと考えております。
3点目でございます。9ページ目になりますけれども、レセプト原本データの一元管理の話でございます。レセプト原本データの一元管理については、将来の業務の効率化に向けて大変重要な提案であると考えておりますので、厚生労働省、支払基金、協会けんぽさん、私ども健保連を含めて、今後も継続的に検討するというような形で追記していただければと思います。
4点目、在宅審査の関係でございます。10ページ目になりますが、在宅審査については、費用対効果を踏まえて検討するというような趣旨をどこかに入れていただければと思います。
最後、5点目、審査支払業務の平準化の関係でございます。今回追加されている特別な事情の対応、有事の場合の対応というような一番最後の○でございますけれども、こういった特別な有事の対応については、別途国において検討すべき課題だと考えます。保険者としては、従来から申し上げておりますけれども、やはり資金繰り等の問題から現行以上の支払の早期化というのは大変難しいと考えておるということを申し述べさせていただきます。
以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございます。
それでは、黒田構成員、その後、佐藤主光構成員、お願いします。
まず黒田構成員、お願いします。
○黒田構成員 ありがとうございます。
意見を3点、基本的には2点にまとめてお話をします。
1点は、今回の資料の中で書いていただいていることを改めて強調して申し上げますけれども、今回国保と基金の話だったわけですが、最終的に行われるべきことという意味では、7ページに記載されているように、医療機関や保険者に対して、最終的につくられたものを国民全体のものとして機能開放するべきである。これがクラウドの本当の効果だということを書いていただいてございますけれども、これについては非常に重要な事項だと思いますので、落とすことなくこのまま残していただきたいということをお願いしたいと思っています。
同じように、正確な場所を見落としてしまいましたが、共同開発体制の構築ということもうたっています。これも最初から設計をするときに共同開発の部隊をつくるという表現も入れていただいてございましたが、こういったふうに組織の統合というお話が途中で出てございましたけれども、そこまで至らなくとも、少なくともコンピューターシステムについては共通化するのであれば、それを開発する部門も共通であってよいし、そこには厚生労働省が強く関わっていただきたいということは非常に重要なことだと思うので、こういう国全体での効率化ということについては改めて強く申し述べますし、それについては記載を落とすことのないように取り扱っていただければとお願いいたします。
これはまず1点目です。
2点目は、10ページ、在宅審査の2個目の○です。在宅審査において非常に重要なことをいっぱい御指摘になっているのですけれども、片方で、これまでの経緯を考えたときに1つ懸念することがございます。2番目、3番目で、当然重要なことではあるのですが、セキュリティーという言葉が非常に強く強調されています。これまでの経緯で厚生労働省の関係のところでセキュリティーという言葉が強調されるがあまり、現実的ではない解法が提案されて、実際には物事が動かないということが繰り返し行われてきているように私は感じています。ですので、これは文章の一部の変更のお願いなのですが、2つ目の○の最後の読点の前、「課題を解決する必要がある」の前に、「現実的な手法を用いて」、もしくは「現実的な解法を用いて」といった言葉を挿入していただいて、セキュリティーは重要ではあるけれども、解き方は現実的でなければならないということについてはあえて記載いただきたいと考える次第です。
私からは以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございます。
それでは、佐藤主光構成員、お願いします。
○佐藤(主)構成員 よろしくお願いします。
私のほうからも3点、既に横尾構成員からの御指摘もあったと思いますけれども、やはり今、日本経済、社会はこれからデジタル化に向かっていかなければならないという大きな流れがあると思います。なので、今回は支払基金や国保連合会の話ではありましたけれども、デジタル化の取組というのはほかの分野、特に自治体の業務であるとか、そちらも含めてやられていますので、その辺りのことも参照されていろいろと参考にされたらいいかなと思います。
それから、今、既に黒田構成員からも御指摘がありましたけれども、やはりセキュリティーがこういうことをやらない言い訳になりやすいのです。例えば在宅審査の話を今回取り上げていただいていますけれども、もちろんいろいろとハードルが高いことは分かるのですが、やるかやらないかではなくて、どのようにしたらセキュリティーを確保しながらできるのかと。もちろん、今、ICTの技術は日進月歩でありますので、したがって、やはり最新の技術を前提に、在宅審査はどこまでできるのか。在宅審査に限らないのですけれども、オンライン請求も含めて、セキュリティーをあまり言い訳にしないで、それを守りながらできることは何かということを考えていただければいいのかなと思いますというのが1点目。
2点目なのですけれども、自動レポーティングの話、先ほども御指摘がありましたが、やはり大事なのはPDCAサイクルを回しながら差異の見える化を図っていくことだと思います。今回は2024年4月という形である程度期限を区切ってはいただいていますけれども、この分野で求められるのはスピード感だと思いますので、ぜひやりっぱなしではなく、逐次状況を確認しながら、必要に応じて改善をしていく、させていくこと。それから、自動レポーティングで見えた差異については迅速にその解消に努めるということが求められるかと思います。
それから、私、財政学者なのでこちらが本業なのですが、財源問題。もし財源がボトルネックだということであれば、例えば今、政府共通プラットフォームの議論もありますし、デジタル庁との連携という話もありましたけれども、国にやはり予算措置を求めるというのはあってしかるべきだと思います。これはある意味公共財の提供のようなものですが、広く公開するということも前提にするのであれば、単に支払基金の中だけで閉じた、あるいは国保連合会の中で閉じた話ではないと思いますので、そこは国全体での取組として予算措置も求めていくということはあってしかるべきだと思います。
あと、最後に細かいことですけれども、支払業務の平準化について、既に災害対応について問題意識を提示させていただいておりますけれども、やはりこういう時代でありますので、平時の仕組みと非常時の体制というのはちゃんと分けて考えたほうがいいかと思います。もちろん平時においてあまり重要な話ではないのかもしれませんが、非常時にどうするかという対応についてやはり留意しておく必要があるかなとは思いました。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
それでは、平川構成員、お願いします。
○平川構成員 ありがとうございます。
資料の11ページなのですけれども、今後の対応についてというところの最後の2行目からです。「厚生労働省、支払基金と国保中央会において速やかに工程表を策定し」とございますが、今回メインの課は保険課ですよね。ただ、診療報酬をつくっているのは医療課なわけです。今回の資格確認のほうは保険データ企画室になりますか。課が非常に縦割りになっていて、PDCAを回すにしても、課の壁というのが必ず出てきてしまうように思います。最後の厚生労働省省内のきちんとした意見統一をしていただく、もしくは進捗状況の確認をしていくような仕組みがないと、支払基金や国保中央会にばかりノルマを課しているような感じもするので、こういう齟齬が現場の末端の医療機関のほうには非常に大きな影響が出てくると思いますので、そこについては厚生労働省内の統合というような言葉を入れていただいて、足並みを揃えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池座長 ありがとうございます。
それでは、木倉構成員、お願いします。
○木倉構成員 ありがとうございます。協会けんぽの木倉です。
私のほうからは2点、9ページのレセプト原本データの一元管理ですが、前回も少し申し上げましたが、この考え方の基として、国保において既に実現しているということで、被用者保険のほうについてもというニュアンスで書かれておりますが、国保は市町村国保のときからの連合会として、まさに名前も連合会ですが、保険者そのものというような機能としての共同のレセプトの管理が行われておる、利用も行われておるのだと思いますが、被用者保険において支払基金、このアーカイブ機能ということについては、継続検討ということでもちろん結構ですが、考え方としては目的に照らしながら効率性ということを検討していければと思っております。
支払基金のほうが審査、再審査ということにおいて活用されるということであれば、そう長期に保存することもないのかと思いますが、私どもとしては、特定健診を行い、指導を行い、受診勧奨も行う。また、受診後の重症化予防ということに役立っているということで、やはりある程度長期間にわたる指導に健診データとレセプトデータを、しかも、ビッグデータとしてというよりも個人として結合しながら活用していくということが、本務でもありますし日常的に活用しております。ビッグデータという意味ではNDBの活用ということもあるわけですが、そういう個の活用ということ、長期の活用と保存期間の観点も含めて、目的に照らしながら、今後、どういうところのデータベースはどう使うのかということも含めて検討していっていただきたいと思っております。
それから、11ページの非常時のキャッシュニーズへの対応ということですと、ややこの報告書の中で触れられること、審査支払機能の在り方とはちょっと違って、やはり国において対応されるべきものではないかという感じがしております。
以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございます。
それでは、佐藤好美構成員、お願いします。
○佐藤(好)構成員 ありがとうございます。佐藤です。
資料2について2点申し上げます。
まず、1ページ目の「はじめに」の冒頭で、審査基準の統一が国民の利益であるということを書いていただけたことは、とてもいいと思いました。その上で、なのですけれども、若干修文の提案をさせていただければと思いました。1行目の真ん中あたり、「国民が」の後、「審査基準の統一化により全国どこでも」の後に読点を打って、「働き方、年齢によらず、同じく質の高い医療が受けられること」としていただければ、今回の審査支払機能の在り方の理念を表記することになるのではないかと思います。これはお願いです。
もう一点です。検査値についての記載があったかと思います。10ページです。2つ目の○の2ポツ、「検査値データについては、学会等のガイドラインも踏まえ」とあります。検査値データを出していただき、審査支払の機能に載せてほしいということを前回までにお願いしています。ここには「学会等のガイドラインも踏まえ」と書いてあるのですけれども、「も踏まえ」と言うからには、「も」の前にそもそも何かがあって、学会等のガイドラインも踏まえるのだと思います。学会等のガイドラインについては、ヒアリングでも、学会によりいろいろなものがあることが指摘されています。そもそも、例えば薬については投与前の肝機能検査や腎機能検査が必須のものがありますし、そういった情報はガイドライン以前に添付文書等に書かれているはずです。添付文書等にあるそういった情報の判断には検査値のデータが必要ですので、必要性について「学会等のガイドラインも踏まえ」の前に記載していただきたいと思います。要望です。
あと、先ほど資料1のところで発言の機会を逸したので、発言させていただきます。2022年度中の目標年限を設定することに私も賛成です。目標年限を入れないとなかなか物事は進まないと思います。現場ができたらやろう、ということではなくて、ここに向かって進めていくという決意で進めていただければと思います。その上で、現場が混乱することは誰も望んでおりませんので、そのために何をするかということで協力してやっていただければと思います。特に、コロナ禍でデジタル化が進んでいないことは私ども痛感したところです。逆に言うと、今、ここで年限を区切ってやることで予算がつくような部分もきっとある。今だからつく、今でなければつかない予算もあると思いますので、ぜひとも年限を入れて、ここに向かっていくんだ、という総意でよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
岡﨑構成員の代理の川村様、よろしくお願いします。
○川村参考人 川村です。
全国市長会の国保を代表する立場として、構成員の岡﨑から意見を4点ほど預かってまいりましたので、発言させていただきます。
まず1点目に、議論の整理の関係のところ、7ページの(2)ですが、考慮すべき制約条件の2つ目のポツに国保総合システム改修費用についての記載をいただいております。この件につきましては、これまで岡﨑のほうから幾度となく御説明いたした上で、訴えてきたことを踏まえていただいたということで大変感謝しておりますが、こちらの書きぶりは「国による支援も検討する必要がある」という表現になっておりまして、全国市長会としては表現が大変弱いと考えております。こちらの表記につきまして、国による支援は必須であるというぐらいに報告書の段階では明記していただけるようお願いしたいと思います。
また、細かい話ですけれども、国保は市町村国保以外にも国保組合がございますので、この箇所で「市町村国保」とある点につきましては、「国保保険者」としていただきたいというお願いをいたします。
次に2点目ですけれども、レセプト原本データの一元管理につきましては、提案ですが、先ほど健保組合さんからも御意見をいただきましたが、国保につきましては既にレセ管によりましてデータの一元管理ができておりますので、実装しております国保側のシステムを利用していただくことも可能だと考えておりますので、御検討いただけるのであれば、国保サイドとしては協力したいと考えております。
3点目は、オンライン請求の促進で様々御議論が出たところだとは思いますが、全国市長会としましては、やはりオンライン請求を進めていくという考え方については重要なことと考えております。これによりまして、審査支払機関あるいは保険者の業務の効率化、経費の低減につながりまして、また、医療機関につきましても、業務の効率化ができるのではないかと考えております。そういった観点から、こういったことにつきましては、何らかの形で年限等もあると思いますけれども、示していただきたいと考えております。
最後、4点目ですけれども、こちらも全国市長会の立場から申し上げさせていただきますが、構成員の中では聖域をつくらず審査支払機関と国保連合会を統合すべきと記載すべきとの御意見もございましたが、10年越しの論議と存じておりますが、国保連合会については、御案内のことかと思いますが、審査支払事務以外にも、例えば第三者の求償事務であったり、ジェネリックであったり、そういった保険者の業務の共同処理を行っておりまして、国保側としましては、支払基金とは基本的に性格が異なっていると考えています。
また、これまで重ねてまいりました本検討会の議論につきましても、支払基金と国保連のシステムの整合的かつ効率的な在り方と審査結果の不具合な差異の解消について論議してきたと認識しておりますので、こういった論議につきまして取りまとめる方向になっていると認識しております。ここで両機関の統合や統一について取り上げていくということは、論議の混乱を招き、今後の取りまとめに支障を来すことにもつながりかねないため、いかがなものかと考えておるという意見を預かっております。
長くなりましたが、以上です。
○菊池座長 川村様、ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
ございませんようでしたら、少し早いのですが、本日はここまでとさせていただきます。本日いただきました御意見につきましては、引き続き事務局で整理をしていただき、次回検討会で改めて取りまとめに向けた議論をさせていただきたいと存じます。
それでは、次回日程などにつきまして、事務局からお願いいたします。
○姫野保険課長 次回検討会の開催日時につきましては、3月29日月曜日の15時からを予定しておりますが、詳細につきましては追って御連絡いたします。
○菊池座長 年度末に予定されておりますが、どうかよろしくお願いいたします。
それでは、以上をもちまして、第7回「審査支払機能の在り方に関する検討会」を終了いたします。
どうもありがとうございました。