第104回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

令和3年2月19日(金)10:00~12:00

場所

オンラインによる開催(厚生労働省職業安定局第1会議室)

議事

○阿部分科会長 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第104回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しいところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。本日の分科会もZoomによるオンラインでの開催となりますので、開催に当たりまして、改めて事務局から説明がございます。
○小林障害者雇用対策課課長補佐 事務局障害者雇用対策課課長補佐の小林です。本日もZoomを使ったオンライン会議となっております。開催に当たり簡単ではありますが、オンラインについて操作方法のポイントを御説明させていただきます。本日、分科会の進行中は、皆様のマイクをオフとさせていただきます。御発言をされる際には、手を挙げるボタンをクリックいただきまして、分科会委員長の許可があった後に、マイクをオンにして、お名前を名乗ってから御発言いただきますよう、お願いいたします。なお、通信遮断等が生じた場合には、一時休憩とさせていただくこともございますので、あらかじめ御了承くださいますよう、お願いいたします。オンライン会議に係る説明については以上です。
○阿部分科会長 それでは、よろしくお願いいたします。本日の委員の出席状況ですが、岡本委員が御欠席となっております。また、田中職業安定局長におかれましては、所用のため途中で退席される予定と伺っております。
それでは議事に入ります。本日の議題ですが、1から3が障害者雇用関係助成金の見直しに係る省令1件、告示2件の諮問です。議題4が除外率制度の対象業種における障害者雇用に対する実態調査についての報告、5が障害者雇用率制度・納付金制度等について、議題6がその他となっております。本日、議題4の関係で、労働政策審議会運営規程に基づき、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構より、春名副総括研究員、古田主任研究員、そして伊藤研究員に御出席いただいております。まず、議題1から3について、まとめて事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。要綱案の御説明に移る前に、まず参考資料2に基づき、全体の今回の見直しについて御説明を申し上げます。参考資料2「令和3年度障害者雇用関係助成金の見直しについて」という資料です。障害者雇用関係助成金については、対象障害者の雇用の促進、継続を図るといった目的で一部雇入れ助成金等を除き、納付金助成金として運用をしてきたわけですが、平成25年、納付金の財政状況等に鑑み、一部の助成金については二事業で措置をしてきたところです。
令和2年度、左側の図にありますように、障害者雇用安定助成金については、今申し上げた経緯がありまして、現在、二事業で措置をしております。これらの助成金について、令和3年度については、原則、納付金助成金に移管をしたいということで、本日お諮りをしたいと思っています。
令和2年度のほうに記載があります障害者雇用安定助成金ですが、2つのコースがあります。障害者職場定着支援コース、障害者職場適応援助コースの2つのコースについて、定着支援コースについては、実績等を勘案して、正規・無期転換、職場支援員の配置、職場復帰支援に絞り、原則納付金のほうに移管をするということを考えています。正規・無期転換については、二事業のほうでキャリアアップ助成金というのがありますので、こちらの中のコースとして移管し、それ以外の2つについては、納付金助成金に移管ということを考えています。
もう1本、障害者職場適応援助コースについては、一部内容の見直しをしつつ、納付金助成金に移管ということです。見直しの中身としては、企業在籍型の職場適応援助者については、企業の自立的な取組を支援するというような趣旨で、同一の援助者について、1回のみの助成という形での見直しを図るとともに、その企業在籍型、ジョブコーチの支援終了後、6か月以内に職場支援員の配置を行った場合についても支給対象とするといったことで、合わせての拡充も措置しながら、財源の見直しを図っていきたいと考えています。以上が見直しの概要です。
資料1-1に移っていただき、要綱に基づき御説明申し上げます。まず1-1、省令ですが、これは障害者のそれぞれの助成金について、対象となる事業主に係る規定になっています。第1、障害者介助等助成金についてです。1ですが、障害者雇用安定助成金の障害者職場定着支援コースに係る規定です。(1)以降、職場復帰支援に係る部分を規定しています。(1)雇用する労働者のうち、雇入れ後に障害により1か月以上の療養及び職務開発その他職場への適応を促進するための措置が必要とされた障害者に対し、休職期間中又は復帰の日から3か月以内に、例えば労働時間の配慮、勤務地の配慮、職務開発、職種の転換など、職場適応措置を実施する事業主、これらの事業主であって、職場適応措置に係る障害者を継続して雇用するもの。(2)ですが、今申し上げたような形で、職務転換を行った場合に、職務転換後の職務遂行に必要となる基礎的な知識及び技能を習得させるための研修を実施する事業主。2、職場支援員の配置に係る規定ですが、雇用する障害者の雇入れ等から一定期間以内に職場支援員の配置又は委嘱を行った事業主ということです。この一定期間以内のところですが、先ほど拡充として申し上げました企業配置型ジョブコーチ支援終了後6か月を経過する日までというのを、制度拡充として加えております。
第2です。職場適応援助者助成金についてです。いわゆるジョブコーチの助成金ですが、1が訪問型職場適応援助者、訪問型ジョブコーチに係る規定です。障害者に対して、この障害者の対象は現行同様の対象となっています。次ページです。職場に適応することを容易にするための援助に関する計画。これはジョブコーチ支援計画ですが、これに基づき、訪問型職場適応援助者による援助の事業を行う社会福祉法人等。2については企業在籍型ジョブコーチに係る規定で、同様にジョブコーチ支援計画に基づき援助を行う、ジョブコーチの配置を行う事業主ということです。これらについて、令和3年4月1日から施行したいと思っております。
資料1-2です。助成金の額等を定める告示の要綱になります。第1としては、障害者介助等助成金の職場適応措置等に係る助成金の額に対する規定です。1ですが、職場適応措置について、対象障害者1人について月額4万5,000円、中小企業事業主にあっては月額6万円ということで、対象1人について、12か月を上限としております。2ですが、職務転換に必要な基礎的な研修等を実施した者に対して、6か月ごとに区分した各期間において、定めた額を支給することとしています。次ページです。1、2、3というように要した費用に基づいて、2万円、4万5,000円、9万円、中小事業主にあっては3万円、6万円、12万円というように、それぞれ規定を置いています。
第2、職場支援員の配置等についての額です。1が職場支援員の配置又は委嘱を行った場合の事業主に対する支給額です。24か月、当該障害者が精神障害者である場合には36か月を上限として、1ですが、配置については、1月につき3万円、中小事業主にあっては4万円です。2ですが、委嘱に当たり、委嘱の回数に1万円ということで、1月につき4万円を上限としております。2ですが、支援員の配置に係る支給額として、支援をする障害者が短時間労働である場合の規定です。3万円、中小企業にあっては4万円ということについて、短時間労働である場合には1万5,000円、中小規業事業主にあっては2万円と規定しています。同様に令和3年4月1日からの適用としております。
最後、1-3ですが、職場適応援助者助成金の額等についての規定です。第1、職場適応援助者助成金の額ですが、1は訪問型ジョブコーチに係る規定で、それぞれ訪問型ジョブコーチについては、障害者が精神障害者以外の場合には、4時間以上の援助を行った日数につき1万6,000円、4時間未満の場合には8,000円、精神障害の方に対しての3時間以上の援助の場合には1万6,000円、3時間未満の援助の場合には、日数に応じて8,000円という額を規定しています。2、企業在籍型についてです。精神障害者以外の障害者に対し、1月につき6万円、中小企業事業主にあっては8万円、精神障害者に対する措置については、1月につき9万円、中小企業事業主にあっては12万円という額を規定しています。3が訪問型ジョブコーチの研修受講に係る助成措置です。研修受講後、6か月以内に実際に援助を行わせた場合は、費用の2分の1を乗じた額を支給するものと規定しています。4が企業在籍型ジョブコーチの短時間労働者に係る規定で、それぞれ6万円、中小企業にあっては8万円、3万円、中小企業にあっては4万円ということ。9万円、中小企業にあっては12万円とあるものを、5万円、中小企業においては6万円と読み替えています。次のページ、5です。これも企業在籍型ジョブコーチの研修受講に係る助成の措置で、同様に費用の2分の1を助成するということを規定しています。
第2ですが、援助の期間についての規定です。まず訪問型ジョブコーチについての規定で1とありますが、精神障害者以外の場合については、障害者1人1回の援助につき、1年8か月を限度とすること。2については、精神障害者に対する援助期間で、2年8か月を限度とするということ。それから、3については企業在籍型ジョブコーチの規定で、最後のページになりますが、援助の期間としては、1人1回につき6か月ということで規定しています。これらについても、令和3年4月1日適用ということでお諮りをしたいと考えています。事務局の説明は以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。本件は本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会に対して、諮問がなされたところです。当分科会としては、本件について議論を行った上で、その結果を労働政策審議会に報告したいと考えております。それでは、まず質疑応答に入りたいと思います。御質問や御意見がありましたら、手を挙げるボタンをクリックしていただき、私が指名した後に聴覚、視覚障害者の方々の皆様への情報保障の観点から、お名前を名乗って御発言いただくよう、お願いいたします。それでは、竹下委員、お願いいたします。
○竹下委員 日視連の竹下です。ありがとうございます。3点について発言いたします。第1点目は、この制度変更と言いますか、雇用二事業からまた雇用納付金に変更するということ自身は反対はしませんが、こういうことを幾度も繰り返すべきではないと考えています。今回、納付金財源が苦しくなったから、雇用保険二事業にずらした。また今度は、納付金が多少豊かになったのか雇用保険が苦しくなったのかは分かりませんが、財源の問題で変更するのは、制度の有り様としては極めて不自然だと思っております。今後、こうしたことがまた起こるのかどうか。こういうことが起こらないためには、どうしたらいいのかということについて、少しお考えいただきたいというのが要望です。
あとの2点は、質問です。まず資料1-2について教えてください。第1の職場介助者の助成金について改善がされたことは有り難いのですが、その期間についてですが、職場介助者は、私も理解が間違っていなければですが、まず10年間は第1段階があって、その次5年間は助成率が下がるのではなかったかと思っていますが、この点は今回どうなるのかというのが1点目の質問です。
それから、資料1-3についての質問です。第2の1と2でジョブコーチの支援が記載されて、期間が延長されたことも、これは非常に歓迎したいのですが、この期間の考え方で、1回につきという意味の捉え方であります。例えば視覚障害者の場合で言いますと、視力が一旦低下した時点で、職場適応のための援助を受ける。更にその後、例えば全盲になった場合に、2度目の職場改善のための援助が必要になるかと思っておるわけですが、その場合には、これは、その都度1年8か月という形でジョブコーチの援助を受けられるという趣旨でしょうか。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは、御質問もありましたので、事務局からお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。まず1点目ですが、竹下委員から御指摘のあった助成金は、納付金助成金で措置をしております職場介助者に対する助成金のことかと思います。おっしゃるとおり原則10年での措置です。今日お諮りをしておりますのは、それとは別で、別途、職場支援員に対する措置があり、そちらの案件になります。1点目は竹下委員の御理解のとおりです。2点目ですが、ジョブコーチ支援は、課題が生じた際に職場に介入して調整することになりますので、おっしゃったような場面のように状況が変化して課題が生じた場合には、援助を使っていただくことになっております。以上です。
○阿部分科会長 竹下委員、よろしいでしょうか。
○竹下委員 分かりました。ありがとうございました。
○阿部分科会長 それでは、仁平委員、お願いいたします。
○仁平委員 連合の仁平です。ありがとうございます。助成金の移管についてですが、予算額や支給要件等については移管先でも遜色のない内容になっているのか、改めて1つ確認させてください。また、障害者の初回雇用コースは、廃止となっております。単に廃止とするだけではなく、障害者雇用をより進めていけるよう、初めて障害者雇用を検討している企業に対して今後、ノウハウの支援に向けた助成金の創設や支援策、強化策等についての検討もお願いしたいと思っております。まず、質問と要望をさせてください。
○阿部分科会長 それでは、質問がありますので、事務局、お願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。1点目の御質問で、予算等遜色がないのかという御質問です。二事業から納付金の助成金に移管をした助成金の中身について、今回は先ほども御説明しましたとおり、要件等は一部拡充をしている形で、廃止をせずに移管をしたものは基本的に遜色のない内容になっておりますし、納付金の場合には機構の予算の範囲内で支給になりますので、それぞれの助成金について予算額は特にありません。今申し上げたような状況ですので、遜色のない状況で令和2年度以降も運用していくと考えております。以上です。
○阿部分科会長 仁平委員、よろしいですか。
○仁平委員 引き続き、障害者雇用に必要なサポートをしっかりやっていく姿勢でご対応頂きたいと思っております。その上で労働側として、諮問の内容については妥当なものと考えております。以上です。ありがとうございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは、高橋委員、お願いいたします。
○高橋委員 ありがとうございます。ダンウェイの高橋です。大きく2点の意見を申したいと思います。まず初めに、令和3年度障害者雇用関係助成金の見直しについて申し上げます。障害者雇用支援を目的とした助成金の財源を二事業会計から納付金会計に移管することは、助成金の趣旨や枯渇化が必至な二事業会計の現状に鑑みますと、妥当であると考えております。
なお、二事業会計と同様に、事業主が拠出している納付金会計に関しては、30億円強に達する事務事業費の効率化等、運用規律の徹底を是非図っていただきたいと思います。次に、「トライアル雇用助成金」に関して、特に雇用ゼロ企業割合が高い100人未満の中小企業にとって、障害者を雇用するきっかけとして非常に有効な施策であることから、幅広く周知、利用を促進し、柔軟な対応をしていただきたいと思っております。
続きまして、助成金廃止に関して意見を述べたいと思います。令和3年度で廃止される助成金について、参考資料2に記載があります「特定求職者雇用開発助成金、障害者初回雇用コース」をはじめ、複数の助成金が廃止予定となっております。
しかし中小企業は、資金余力はもとより、障害者の雇用・定着等に係るノウハウやマンパワーが十分でないため、助成金は非常に有り難いといった声が多く聞こえてきております。したがって、助成金の趣旨がニーズに合致しているのか、幅広く周知され十分に認知が行き届いているのか、そして、申請手続は可能な限り簡素化されているのか等、単に廃止とするのではなく、利用が低調にとどまっている課題をしっかりと分析することが必要であると思います。本年3月の法定雇用率の引上げに対する懸念の声が多く聞かれている中で、これらの助成金を廃止するということであれば、厚生労働省におかれましては、中小企業における障害者雇用や定着支援等に関するニーズ・課題、助成金に対する意見・要望をしっかりと調査、分析していただき、令和4年度にはこれらに代わる新たな助成金を創設する、若しくは、既存の助成金の使い勝手を向上させる等、障害者の雇用・定着等に係る中小企業支援策をより一層強化・充実していただきたいと考えております。以上になります。
○阿部分科会長 ありがとうございました。御意見として承りたいと思います。ありがとうございます。それでは、池田委員、お願いいたします。
○池田委員 経団連の池田です。ありがとうございます。コロナ禍により、雇用保険二事業の財政が極めて厳しい状況にあり、二事業予算の思い切った重点化が求められているところです。そうした中、今回、助成金の重点化を図りつつ、助成金の一部を納付金財政に移管するといった措置を講じられることについて賛同いたします。一方で、トライアル雇用助成金等、企業からのニーズが大きい助成金もありますので、こうした企業のニーズが大きい助成金については、継続していただくよう、お願い申し上げます。加えて、助成金制度の安定的な実施の観点から、納付金財政の持続可能性を高めていくことも重要な課題だと思っております。この点に関し、納付金財政の来年度、再来年度といった短期的な状況の見通しについて、厚労省事務局から御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは、御質問がありますので、事務局、お願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。納付金財政についての短期的な見通しの御質問でした。これは、前回の審議会でも、この当分科会の場でも一旦お示しをしております。令和4年度までの見通しとして、3年度、4年度は単年度収支がマイナスになる見込みと考えております。ただ、足下の剰余金が300億円弱ありますので、これらについて活用しながら、財源の運用を図っていくということかなと思っております。いずれにしても、令和5年度に法定雇用率がどうなるかということと、それ以前の令和2年度、3年度、4年度で実雇用率がどう動いていくかについても、各年度ごとに財政収支を精査し、見通しは改めてリバイスしつつ、運用について留意をしながらと考えております。以上です。
○阿部分科会長 池田委員、何かありますか。
○池田委員 結構です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、長谷川委員、お願いいたします。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。意見として幾つかお伝えしたいのですが、助成金制度については、これまでも結構細かい変更も含めて制度の変更がたくさんあるかと思います。そういったことがある度に現場の方々は非常に混乱していらっしゃることが多いと思います。また、そのために作業量等が増えて負担が増えるということがあるのではないかと感じておりますので、変更は最小限にとどめるべきなのではないかなと以前から感じておりました。
もう1つは、今、変更や廃止を決めて、4月1日から変更されるということだと思いますが、特に廃止する制度を利用しようと思って準備していた事業主の方々にとって、非常に不意打ちになるのではないかなと感じています。ですので、廃止すべきでないとまでは言えませんが、使おうと思っていた事業主の方が窓口に相談に行かれた場合には、制度は廃止になりましたが、こっちの制度が利用可能なのではないかと、ほかの制度への結び付けができるように、是非、窓口等で対応していただきたいなと思っています。私からは以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。御意見として承りたいと思います。それでは、佐渡委員、お願いいたします。
○佐渡委員 愛媛県ビル管理協同組合の佐渡です。助成金制度についてですが、見直しについての廃止するコースだけでよろしいのですが、コースの予定数、予算額、実績数と実績額をお教えいただけたらと思います。
○阿部分科会長 それでは、御質問ですので事務局、お願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課課長 障害者雇用対策課課長の小野寺です。廃止するものについてということで、今回の納付金助成金に移管する際に廃止するものについて先に申し上げたいと思います。まず職場定着支援コースの中で、柔軟な時間管理、休暇についての部分、短時間労働者の勤務時間延長、中高年の雇用継続支援、社内理解の促進の4つの廃止を予定しております。それぞれのメニューごとの執行額は把握できていない状況です。したがいまして、元年度の実績件数だけを申し上げたいと思います。実績件数で申し上げますと、柔軟な時間管理が135件、短時間労働者の勤務時間延長が62件、中高年の雇用継続支援が7件、社内理解の促進が8件でした。一方で、今回こちらの分科会でのお諮りではありませんが、特開金の初回コースに係る部分について申し上げます。これは、元年度の実績が144件、約1億7千200万円の実績があります。御説明としては以上です。
○佐渡委員 分かりました。ありがとうございます。
○阿部分科会長 よろしいですか。ありがとうございます。倉知委員、御意見、御質問があればお願いいたします。
○倉知委員 今回の見直しは、全体として内容はよろしいかと思います。1点だけ気になるところがありまして、職場適応援助者助成金の訪問型職場適応援助者助成金のことです。ここだけが納付金制度の趣旨になじまないのではないかと思っています。と言うのは、1つが、この対象が必ずしも就職をしている人だけではない、就職前の支援をするケースも結構多いと思うのですが、それが果たして納付金という制度に合っているのかというのが1つです。2点目は、訪問型職場適応援助者助成金を助成する対象が社会福祉法人等になっているのですが、企業に助成をしないというところが、納付金制度の趣旨と合致しているのかという点です。3点目が、障害者職業センターに配置型職場適応援助者がいると思います。これと訪問型職場適応援助者が一緒に支援して、基本的には行うことは同じなのです。配置型職場適応援助者が交付金でやられていて、訪問型だけが納付金でやるというところに違和感があって、そういうところで、この助成金だけはそぐわないのではないかと思っています。
また、交付金でやっている訪問型職場適応援助者ですが、これはすごく人件費が安くて、どこの社会福祉法人も赤字を出しながらやっているのです。と言うのは、ここだけで1人の人員を確保しなければいけないからです。そのこともあるので、納付金にすることで報酬額が上がって、赤字にならなくてもやっていけるというのであれば、趣旨に合わなくても実を取ればいいのかなと思うのですが、そこが変わっている様子ではないし、予算の範囲内ということで不透明なところがあるので、私はここにすごく懸念があります。
○阿部分科会長 事務局から何かございますか。
○小野寺障害者雇用対策課課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。まず、1点目ですが、いわゆる雇用前からの支援については、納付金による措置はそぐわないのではないかという御指摘がございました。冒頭の私の助成金の説明のところで申し上げましたように、促進法上は、いわゆる対象障害者に対しての雇用の促進・継続を図るためにということでして、この対象障害者は、必ずしも雇用されている者というような限定が掛かっているわけではないと認識しております。倉知委員からかなり実績があるのではないかという御指摘がありましたが、直近の実績を申し上げると、いわゆる雇用前支援のみで終わったというケースは、令和元年度については1件しかなかったということですので、相当なレアケースであろうと考えています。
それから、いわゆる訪問型については社会福祉法人の活動に対しての助成ということでやっておりますが、これ自体は結果的には企業に対しての支援の代替になりますので、そういった意味で企業の雇用を支えているということでの助成金と理解しております。ただ、おっしゃるとおり財源の問題で、果たして本当に納付金で措置するのがいいのかどうかというところも含めまして、今後、全体の支援の在り方を検討していく中で、整理すべきところがあれば整理していきたいと考えております。
○阿部分科会長 倉知委員、よろしいですか。
○倉知委員 はい。
○阿部分科会長 ほかに御発言される委員はいらっしゃいますでしょうか。よろしいですか。それでは、今回は諮問ですので、当分科会で皆さんから御意見はございましたが、厚生労働省案を妥当と認め、その旨を分科会長名で労働政策審議会会長に御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の表示を順次させていただきたいと思います。まず、議題1の報告文案です。
内容を簡単にまとめて話しますと、障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱については、本分科会は下記のとおり報告するということで、厚生労働省案は妥当と認めるというように書いてございます。
次の議題2の報告文案です。障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則第20条の2第2項の規定に基づき、厚生労働大臣が定める障害者介助等助成金の額等を定める件の一部を改正する件案要綱についてに、本分科会は下記のとおり報告するということで、厚生労働省案は妥当と認めると書いております。
続いて、議題3です。障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則第20条の2の3第4項の規定に基づき、厚生労働大臣が定める職場適応援助者助成金の額等案要綱について、本分科会は下記のとおり報告するということで、厚生労働省案は妥当と認めると書かれております。
以上が報告文案の概略ですが、この報告文案で労働政策審議会会長宛てに報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○阿部分科会長 それでは、そのように報告させていただきたいと思います。ありがとうございました。今後、労働政策審議会会長宛てに報告した後に、労働政策審議会会長から厚生労働大臣に答申することとなっております。ありがとうございました。議題4に移ります。まず、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の古田研究員から説明をお願いしたいと思います。
○古田主任研究員 高齢・障害・求職者雇用支援機構障害者職業総合センターの古田と申します。これから、昨年度から今年度の2か年で実施した除外率制度の対象業種における障害者雇用に関する実態調査に係る報告をさせていただきます。
資料2を御覧ください。研究の目的です。障害者雇用率制度における除外率制度は、2002年の障対法の改正で廃止されたものの、個別の企業に対する影響に鑑み、当分の間は維持され、2004年と2010年に引き下げられた後は率設定が維持されております。しかし、雇用が困難とされてきた業種においても、障害者雇用に対する先進的な取組は様々見られ、障害者雇用の進展が見られるところです。そこで、除外率設定業種における障害者雇用の実態を調査するため、本調査を実施したところです。
次に、調査研究の方法です。3つの調査を実施しました。1つ目は、事業所に対する質問紙調査で、2018年の6・1調査の結果を基に、除外率が適用される事業所から2万5,700事業所を抽出して実施しました。2つ目は企業に対するヒアリング調査で、質問紙調査に御協力いただいた事業所が属する企業から選定し、訪問調査(一部は電話調査)を実施し、8社の事例について分析を行いました。3つ目は海外の制度に関する文献調査で、障害者雇用率制度のあるフランスやドイツ、障害者雇用率制度のない米国において、どのような根拠に基づき、どのような政策形成過程を経て、除外率に相当する仕組みの廃止を実現しているか、そのプロセスを調査いたしました。本日は、事業所に対する質問紙調査と、企業に対するヒアリング調査の結果を中心に御紹介させていただきます。
4ページを御覧ください。まず、現在、除外率制度自体は業種ごとに設定されていまして、雇用率算定に当たって、雇用義務の対象となる障害者の職種までは考慮されませんが、本調査では当該業種が除外率の適用を受けることとなった基となる、「障害者が就業することが困難であると認められる職種」における障害者雇用の実態を把握するため、従前の除外労働者制度における除外職種の定義などを基に、「障害者が就業することが困難であると認められる職種」を16に分けて調査を行いました。本調査では、この職種を「対象職種」と表記しておりますので、先にお伝えさせていただきます。
結果です。まず、回答事業所の属性と対象職種における障害者雇用の状況は、2019年6月1日現在の段階で、対象職種の業務に従事する障害者数の回答があったのは、回答事業所の約25%の1,870事業所でした、先ほどもお伝えしましたとおり、この数字は、あくまで対象職種に従事する障害者がいる事業所数とその割合でありまして、対象職種以外の職種での障害者は含まれておりません。対象職種の業務に従事する障害者の障害種別は、一部の職種を除き身体障害者が8割以上となっておりました。また、過去20年程度の間での対象職種に従事する障害者数の変化を聞いたところ、全ての職種で増加又は横ばいと回答した割合が最も高い結果となりました。
5ページを御覧ください。対象職種に従事する障害者がいる事業所における対象職種の雇用管理改善の実施状況については、約2~3割が実施しているという結果でした。項目としては、「障害者本人の安全を確保できるような工夫・改善」の実施率が最も高い状況で、職種別に見ると、「児童福祉施設において児童の介護、教護又は養育を職務とする者」と、「警備業務に従事する者」については、全ての項目において全体の平均を上回っておりました。
次に、技術革新について聞いたところ、世間一般の進展状況は、いずれの項目も約4割強が「ない」という回答でした。導入状況については、1割弱が導入しており、項目で見ると「少ない身体的動作で業務ができるようなツール・設備等」と「障害者本人の安全を確保できるようなツール・設備等」の導入率が最も高い結果となりました。
めくっていただきまして対象職種別に見ますと、「小学校、特別支援学校及び幼稚園の教育職員」と「建設用重機械の操作、起重機の運転又は玉掛けの作業を職種とする者」は、全ての項目で全体の平均を上回っておりました。導入している技術革新については、特定の対象職種の業務を行う場合を想定して開発されたと思われる特殊な装置やシステムに関する記述がある一方、タブレット、カーナビ、オートマチック車など、日常生活で普及しているものに係る記述も多く見られました。こちらのページには、その一例を掲載しておりますので、御覧いただければと思います。
8ページを御覧ください。対象職種に従事する障害者数の増減別で、雇用管理改善の実施状況を見たところ、対象職種に従事する障害者数が「増加」していると回答した事業所のほうが、いずれの雇用管理改善の項目も「実施有」と回答する割合が最も高い結果となりました。
次に、今度は技術革新の導入状況を見たところ、「少ない身体的動作で業務ができるようなツール・設備等」以外の項目で、「横ばい」と回答した事業所の導入率が最も高く、次に「増加」していると回答した事業所が続く結果となりました。
次に、現在、障害者が就いていない業務に障害者を配置するとしたら、どのような支障があるかということについては、「業務遂行を手助けする援助者、介助者が必要になる」という項目、それから、現在、障害者が就いていない業務に障害者を就けるために何が必要だと思うかについては、「同僚、上司等、ともに働く人の理解」という項目の選択率が最も高い結果となりました。
最後に、除外率の廃止・縮小に資する取組等についてのアイディア・意見等を自由記述で求めたところ、1,307事業所から回答がございました。そして、得られた回答の65%が、除外率の廃止・縮小に否定的な意見を表明する内容となっておりました。具体的には大きく3つに分かれまして、業種以外の観点による除外率の設定、法定雇用率の算定方法の見直し、障害者雇用を行う事業主に対する支援といった内容に分類されました。
次のページからは、企業に対するヒアリング調査において収集した3つの事例を簡単に御紹介させていただきます。
1つ目は、警備業を営む企業です。この企業では、対象職種である警備員として身体障害者を3名雇用しております。この会社は施設警備業務・雑踏警備業務・交通誘導警備業務に1名、機械警備業務に2名の障害者を配置しておられます。この企業で職場配置においては、体力面などに配慮して配置しているのですが、その一例として、身体障害のある社員を機械警備業務に配置しておりました。この機械警備というのは、現場に警備員が向かう通常の警備業務とは異なって、本社事務所にいる社員がカメラやセンサーを活用して遠隔で警備を行い、通報を受けた際に、センサーが異常を察知した際に、直ちに現場に駆け付けるものです。そのときに、実際に現場に駆け付けるときも、駆け付け業務ではなくて、事務所の待機業務とか連絡調整を担当とするといった配慮も行っておりました。
2つ目の事例です。医療業の事例です。この法人では、医師が1名、看護師2名が対象職種として従事しておりました。いずれも身体障害がある方です。看護師2名は外来業務に配置されています。それは、外来業務は病棟と異なって、患者の容体の急変とか緊急の手術など、突発的に対応しなければならないことが少なく、業務手順の見通しがつきやすいと考えておられることに基づくということでした。この方々には、勤務時間や配置に関する配慮を行っておりました。この法人については、そのほかに対象職種以外の職種での障害者雇用に積極的に取り組んでおられ、各病院の入院患者の食事を一括で調理するセントラルキッチンで、主に知的障害のある方を多く採用し、30名を超える障害者が活躍しておられるということでした。
3つ目の事例です。保育業の事例です。この保育園では、調査時点で2名の障害者を雇用されております。いずれも保育士の業務です。右側のほうにお二人の事例を記載しているのですが、Aさんは長年の勤務の中で腰痛に襲われるようになり、15年ほど前に身体障害者手帳を取得されました。この方の配置に当たっては、保育園と御本人との話合いの上で、身体的負担の軽い2歳児クラスを担当するように配慮しているということでした。Bさんについては、採用の段階で、てんかんの服薬をしていること、それから、現在は症状が落ち着いていることについて御本人からの説明があったそうです。それを踏まえて、実技試験で十分な保育技術があることが確認されたため、試用期間後に正式採用に移行することを条件に勤務を開始され、実際に試用期間終了後も継続して雇用することになっているということです。
次に、ヒアリング調査結果のまとめです。採用段階では特定の免許や技能があることを前提としていることが多く、一般求人に障害者が応募してきた際、必要とされる資格の有無などを考慮し採用する場合が多いことが分かりました。配置や業務分担は体力面の負担等を考慮し、本人のペースで進めやすい業務が選ばれている傾向もありましたが、一方で障害があっても業務に支障はないという事例もございました。技術革新は、障害者の労働環境改善を目的とするものではないのですが、作業員全体、周囲の人の安全や利便性に資するものであるため、結果として障害のある社員の働きやすさにつながっていることが分かりました。このように、対象職種の障害者雇用では、障害者自身が専門性と技能を生か かして、様々なサポートを受けながら活躍していることが明らかになりました。一方、対象職種以外での障害者雇用については、ここに記載しているとおりです。
最後に、除外率設定業種における障害者雇用についての課題です。安全性の確保、専門性や技能を担保する資格や免許の保持が大きな課題となっていることが分かりました。対象職種の業務ウエイトが高いため、他部門で障害者雇用をしても雇用率達成が難しい状況にあることや、対象職種以外の業務での仕事の切出しには限界があるといったことも同時に聞かれました。
次のページからは総括です。これまで御説明した内容と重複している部分も多いので、簡単に御説明させていただきます。まず、除外率設定業種における障害者雇用の実態として、過去20年程度の間での障害者雇用の進展の結果、除外率が適用される事業所の約25%で障害者雇用がなされていると考えますが、知的障害者及び精神障害者については、あまり増えていないものと思われます。現在、障害者が就いていない業務に障害者を配置する場合、「人的支援」と「本人・周囲の安全確保」の2点が支障となっていることが示唆され、対象職種の業務に就くために免許・資格等が必要になっていること、警備業法などの制度の存在が課題となっていることが考えられました。
一方、障害者の体力面の負担などを考慮し、本人のペースで進めやすい業務に配置している事例などのように、障害者自身が専門性と技能を生かし、サポートを得ながら活躍していることが明らかになりました。これは企業全体での実雇用率のカウントとしていることが、除外率設定業種の対象職種であまり増えていなかった知的障害者や精神障害者の雇用促進にも、一定程度寄与しているものと考えられます。
次に、対象職種における雇用管理改善の実施率は約2~3割でしたが、雇用管理改善は低予算、低コストで実施できるものもあるため、企業に対し具体的な雇用管理改善の取組事例を情報提供することが有意義だと考えられます。それから、対象職種に従事する障害者数の増減別で見た結果から、対象職種における障害者雇用促進のためには、多様な雇用管理改善の実施が重要であること、それから、技術革新の導入率も1割弱程度でしたが、その理由の1つとして、企業が技術革新を障害者雇用に特化するのではなく、労働者全体に対して活用しているため、技術革新と障害者雇用をダイレクトに結び付けていない可能性があると考えられます。よって、技術革新の進展を障害者雇用に活かすためには、企業に技術革新を障害者雇用にどのように結び付け、どのような効果が得られるかといったことを具体的に示すことが必要だと考えられます。技術革新の導入状況を対象職種の業務に従事する障害者数の増減別で見た結果から、障害者雇用の減少を抑制し、その維持・拡大に寄与する一因として、技術革新の導入が重要である可能性が示唆されました。
最後に、除外率の廃止・縮小に向けての取組に当たっては、企業に対して除外率廃止・縮小の必要性に係る説明を十分に行い、理解を得た上で進めていく必要があると思います。同時に、除外率が設定されていない業種も含めた業種間で不公平感が残らないような対応が必要だと考えられます。
一番最後のページには、海外の制度に関する文献調査の結果の概要をお付けしましたので、適宜御参照いただければと思います。私からの説明は以上となります。ありがとうございました。
○阿部分科会長 今、御報告いただきました件に関して、質疑応答に移りたいと思います。御質問や御意見がありましたら、手を挙げるボタンをクリックし、私が指名した後にお名前を名乗って御発言いただくよう、お願いいたします。それでは竹下委員、お願いいたします。
○竹下委員 日視連の竹下です。3点ほど発言させていただきます。まず第1点は、基本的な考え方の問題ですが、今、古田研究員からも報告がありましたように、除外率制度を廃止すると決めてから既に18年ほどたつと思います。しかも、その間に除外率制度を下げたのは、改正後の平成16年の施行時と平成22年かと思います。そのときに10%下げただけで、その後ほぼ10年近く、全く廃止に向けた行動はされていないことは、極めて重大な問題だと思っております。
法律によって改正されたにもかかわらず、いかに経過措置と言えども、既に17、8年間、それがそのままに存続されていることは改正法の考え方そのものが実施に移されていないということですから、いわば違法状態が長期化していることであろうかと思います。そのためにも除外率制度廃止に向けてピッチを上げるべきですし、そのための施策が講じられるべきだと思っております。その具体的な施策を講じるために、2つ指摘したいと思います。
1つは古田先生の報告で、65%の対象企業の方々が廃止については消極意見でしたが、これらの反対意見の内容が重要だと思うのです。なぜ消極意見なのか、それは例えば現在の技術革新や企業実態の変化、更には障害者の雇用分野における進出あるいは技術的ないしは専門的な能力を身に付けた障害者が十分に存在しているということなどを踏まえて、考えられるべきだと思っているわけです。そういう消極意見に立っている企業に対して、なぜ消極意見かという分析がきちんとされないと、それらの人たちに対する説得的な政策提言にはなっていかないのではないかと思っております。
最後に、課題として古田先生が指摘された内容を見ますと、書いてあることは基本的にそのとおりですが、少し違うかなと思っていることを申し上げておきたいと思います。例えば、免許制度が必要であったり、あるいは何らかの技術、専門性が必要な職種が含まれている企業あるいは事業所であったとしても、その事業所全体として見たときに、障害者雇用を進めることで、特定の職種以外の職種での採用というのは十分に考えられるはずです。そういう意味では、事業所全体で考えることが問われることを意識すべきではないかと思います。
2番目は、たとえ免許制度や資格等の専門性が必要であったとしても、この間の法律改正等含めて、免許制度や資格取得が障害者においても十分可能になってきていることを踏まえた問題解決に向けての、あるいは課題解決に向けての提言がされていくべきではないかと思っております。以上です。
○阿部分科会長 竹下委員から御意見を頂きましたが、2番目の除外率制度廃止に対して消極的な理由の分析がもしあれば、古田さん、お願いします。
○古田主任研究員 JEEDの古田です。今回の内容については自由記述で回答されたもので、分析というか、幾つか実際に書かれていたものを御紹介させていただきたいと思います。まず1つは建設業だったのですが、中小企業では人手不足なこともあり、現場作業員としては厳しいものがある。職種によって障害者を雇用できるか難しいので、除外率は残してほしいといった御意見がありました。医療業の方からは、業務によって障害者を雇用できないものもあるため、除外率の廃止・縮小は企業に不利益になるといったこと。運送業については、ドライバーの比率が高いので、雇用できる障害の種類や程度が限られていると。従業員だけでなく、社会的な安全への配慮を考えたときに、除外率を廃止することは負担が大きいと考えられる。こういった事例があったことを御紹介します。
○阿部分科会長 竹下委員、よろしいですか。
○竹下委員 はい。
○阿部分科会長 続いて、小出委員、お願いします。
○小出委員 育成会の小出です。このような資料を改めて調査いただきまして、ありがとうございます。私は、知的障害という観点から発言させていただきます。16ページの総括で、対象職種の業務に従事する障害者は、一部の職種を除いて、身体障害者が8割以上。その次の文言ですが、障害者雇用の対象となった時期が、知的障害あるいは精神障害の場合は遅れているというところも鑑みて、こういうふうな結果が現れていることになるかと思います。ある程度の評価かなと思います。また、以前、使用者側の方が、今後の日本の雇用形態がジョブ型になるということを言われていたと思います。しかし、私ども障害者雇用、特に知的障害の場合は、既に従来からジョブ型であると思っております。というのは、企業の新入社員のように、入社してからだんだんキャリアをアップして管理職に就くというキャリアアップという道ではなくて、その職種の中で限られた業種について雇用が進められてきたということです。
この雇用率の除外率を考えますと、そういう事業者において、特に知的障害、精神障害の雇用率が上がっていかないのは、それぞれの働く業務についての改善、視点がまだまだ弱いのではないかと思います。今現在、非常に経済的にも厳しい中において、業務の切出しと言っても、アウトソーシングを進めるということがあります。ですから、各企業において、知的障害あるいは精神障害の方々の業務についての開発や取組は、今後ますます重点を置かれることが重要ではないかと思います。その辺の支援のほうも積極的にお願いしたいと思います。以上です。
○阿部分科会長 御意見、ありがとうございました。続いて、小原委員、お願いします。
○小原委員 大阪大学の小原です。大変興味深い資料でした。どうもありがとうございました。私からは2点です。この紙での調査及びインタビューの調査の中に、コロナ禍、不況に関連するコメントがあったかどうか。そういう回答があったかどうかということです。
先ほどから出ていた65%の企業は否定的ということですが、これが多いと感じるのか、少ないと感じるのか、いつの時点で調査されたかということにも大きく関連して、コロナの状態というのが大きく関係してくると思いました。紙のほうは調査されたのが約1年前で、2月となると、それほど状況は深刻ではない。状況は深刻だったわけですが、初めの頃で、もしかしたら今聞くと随分違うのではないかという気がしました。その1年前の状態で65%というのが多いのか、少ないのか、高いのか、低いのかというのは、両方とも重要だと思っております。というのも、除外率は長期的な話と短期的な話と両方同時に考えなくてはならなくて、長期的な話でいきますと、先ほど御回答にありました、うちの業種は雇うのが難しいというのは必ずしもそうではなくて、雇っている所はあると思いますので、その事例を出せば良い示唆になるかと思いますが、現状の経済状況に関しては、やはり今の声を取っておかなければならないかなと思います。こういう調査は頻繁にやることはなかなか難しいのですが、タイムリーなところでも数値が欲しいと思いました。
2つ目は、今後ですが、ヒアリングをするときに是非、雇用継続、雇用と同時に採用の難しさであったり、採用を始めたときに、そこに決意したと言いますか、1人目を雇ったというところのヒアリング、声がありますと、ゼロ企業が1企業になる、1人目を雇うところの示唆になるのではないかと思いました。2つ目はお願いです。以上です。
○阿部分科会長 それでは御質問がありましたので、古田さん、お願いします。
○古田主任研究員 JEEDの古田です。まず1点目のコロナ禍の影響のことですが、御指摘いただいたとおり、実際、質問紙調査を行ったのが、2020年2月から3月でしたので、質問紙においては、コロナに関する記述及び回答は特段ありませんでした。ただ、ヒアリング調査は7月から10月で、当初、訪問でお願いしたかったのですが、やはり、もうコロナの影響でなかなか訪問調査を実施するのは難しく、一部企業は電話調査という形になった状況です。
○阿部分科会長 65%は低いか高いのかというのがありましたが、どうでしょうか。否定的というか、消極的な企業が多い。
○古田主任研究員 今回の調査は7,341事業所から回答があり、そのうちの約18%について自由記述の回答がありました。その中の65%は自由記述を振り分けた結果ですので、必ずしも否定的かどうかと聞いたわけではないので、こちらで分類したところがあるのですが、その65%が否定的だったという状況です。それが高いか低いかということに関しては、過去と比べる材料がありませんので、私からは何とも言えないのですが、今回の結果だけを見ますと、こういった状況だったということです。
○阿部分科会長 小原委員、よろしいですか。
○小原委員 はい。
○阿部分科会長 それでは阿部委員、お願いします。
○阿部委員 日身連の阿部です。よろしくお願いいたします。先ほどの報告は、具体的にいろいろなことが分かってありがとうございました。私の質問、確認というのは、12ページ、事例2の医療業の所で、対象職種以外の業務内容と従事している従業員の状況という中で、セントラルキッチンの中で知的障害の方をはじめ、25年ほど前からセントラルキッチン、システムの中で雇用があったということは非常に大事なことだと思いました。
また、そうしますと、今、納付金財政も変わってきているわけですが、25年も前であれば、納付金財政も豊かであって、例えば職場での環境整備にも十分に助成金が行き届いた時期ではないか思います。やはり、障害がある人の作業工程の単純化を行うには機器の導入も大事だと思いますので、そういう時期のものだったのではないかと思いますが、それはいかがでしょうか。現在、職場の環境整備のときの納付金財政は厳しくなってきている折、機器の導入などはなかなか難しくなったということを、前回そういうお話を伺っております。いろいろな働き方の中ですが、知的障害の方にとっては作業工程を単純化することが大事です。かつてはかなり機器の導入ということで活用されていたようなことを聞きましたので、そのようなことで古田さんから、確認ですが、お話を頂ければお願いいたします。
○阿部分科会長 それでは、御質問ですので、お願いいたします。伊藤研究員、お願いいたします。
○伊藤研究員 JEEDの伊藤です。この事例2に関するヒアリングを行いました。委員御指摘のように、知的障害の方が30名以上働かれているのが、この医療法人のセントラルキッチンという所になります。1日に8,000食を超える入院患者の方々の食事を提供されています。委員の御指摘のように、知的障害の人たちが作業に参加できるように、作業工程を細分化して、皆さんが各チームに分かれて作業に参加されています。このヒアリングを行った際には、助成金等の質問もしたのですが、この人事の担当の方も25年間ずっと担当されているわけではなかったようで、25年前の助成金の使用について詳しく聞くことはできませんでした。そういった御期待に応えられず申し訳ありません。
○阿部分科会長 阿部委員、ということです。よろしいですか。
○阿部委員 ありがとうございます。今、私がお話したかったことは、機器の導入によって、作業工程の細分化、単純化によって働く機会が多いというのも今までありましたし、ただ、そのような機器の導入に関する財政が厳しくなっているということも、しっかり考えていかなければいけないと思いました。機器が導入されることによって、働く人が増えてくるということは、私たちは意識しておく必要があると思って発言いたしました。ありがとうございました。
○阿部分科会長 続いて倉知委員、お願いします。
○倉知委員 公益委員の倉知です。詳細な研究結果をありがとうございました。私が知りたかったのは、業種における対象職種の割合はどれぐらいなのか、もし分かっているのであれば知りたいと率直に思いました。
総括の最後の、除外率廃止・縮小に向けての取組の方向性で、先ほども少し話題が出ましたが、65%が否定的だというのは、私は100%でないのだと逆に驚いたのです。自分の事業所の法定雇用率が上がるわけですから、そこを否定的に捉えるのは当然だと思うのです。というのは、除外率廃止・縮小を覆すのは無理だと思っている会社が多いと思うのです。ですから、私はこの数字は逆に、良い意味ですごいなと思いました。
今後の対応で、廃止・縮小は決まっているわけですから、無理だと思っている企業に必要性を説明することはそんなに有効なのかなと思っていて、先ほども出たと思いますが、やはり、こんなにやれるのだと成功事例を提供していかないと、必要性を話してもしようがないのではないかと思ったので、コメントだけさせていただきました。以上です。
○阿部分科会長 最初のほうはどなたがお答えできますか。事務局、お願いします。
○小野寺障害者雇用対策課課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。業種における対象職種の割合についてですが、今回の調査の中においてもし分かればJEEDのほうでと思いますが、基本的にはいわゆる困難性があるであろうという職種に就いている労働者の割合が今の除外率という考え方に通じているものと思いますが、その点少し御参考にということで、JEEDのほうからお願したいと思います。
○古田主任研究員 JEEDの古田です。私のほうでも業種における対象職種の割合というのは、今回の調査では把握できておりません。申し訳ありません。
○阿部分科会長 ということです。倉知委員の御意見は承ります。続いて、池田委員、お願いします。
○池田委員 経団連の池田です。3点御質問させていただきます。1点目、今回、7,341事業所が回答されたということですが、大企業、中小企業別の割合について、もし分かれば御教示いただきたいと思います。
2点目は、16ページの3つ目の○に、人的支援、本人・周囲の安全確保が支障となっているといった意見があります。前者に対しては、特に中小企業では人材や資金面での制約があって対応が難しいと考えられますし、また後者については、大企業でも例えば公共交通機関など、従業員と乗客の安全確保の優先がやむを得ない業種や職種もあるのではないかと思うのですが、こうした点について、改善に向けた取組のイメージなどがもしあれば御教示いただきたいと思います。
最後に、今回のプレゼンは海外に関する調査は対象外ということですが、海外においてノーマライゼーションを推進するに当たって、業種や職種等に対する特例措置がどのような状況なのかということについて、御説明していただければ有り難いです。以上です。
○阿部分科会長 御質問ですので、お願いいたします。
○古田主任研究員 JEEDの古田です。1点目と2点目については、私から回答させていただきます。まず、7,341事業所の企業規模ですが、今回は事業所に対して調査を行ったものですので、企業規模までは把握しておりません。
2つ目の「人的支援」と「本人・周囲の安全確保」については、障害者を就けるために困っていること、配置するために何が必要かという質問での回答で、特に多かったところから記載しておりますので、それを踏まえて改善に向けて今後検討していくという流れになるかと承知しております。
○阿部分科会長 もう一点についてお願いします。
○春名副統括研究員 海外については、適性や安全配慮の観点から特定の職種について制限する必要があるのではないかということで、フランスにおいては該当の特別な職種として36職種のリストが決められておりまして、法定雇用率に達せず納付金があるときに、その該当職種に就いている従業員数に応じて納付金を減額するという制度を決めており、36職種について、それが妥当かどうかについての検討が現在進められているところです。ドイツとアメリカについても調べましたが、特にそういったリストを決めているわけではなく、安全配慮や適性の観点と、それが障害者差別禁止に該当しないかという観点を、個別に判断していくという形になっております。
○阿部分科会長 ちなみに、先ほど企業規模は分からないということですが、事業所規模も分からないですか。事業所規模のほうも今回の調査では分かっていないということだそうです。池田委員、よろしいですか。
○池田委員 ありがとうございました。
○阿部分科会長 それでは眞壁委員、お願いします。
○眞壁委員 全国精神保健福祉会の眞壁です。先ほど倉知委員が100%ではないのかというのは、私もそう思いました。1つは、精神障害者の場合、障害者の欠格条項があるというのは、障害者の除外率の廃止にも影響があります。ですから、除外率の廃止と同時に欠格条項の廃止も考えていかなければいけないのではないかと思っております。
特に精神障害の場合は、どういう障害なのかよく分からない方がたくさんいらっしゃるのです。というのは、本当に身近にいる方はよく分かると思うのですが、余りそういう人と接しなかったりする人は、何をする人なのか分からないというか、怖いというイメージもあったりして、やはり、自由記述で、なるべくだったら雇いたくないとなると思うのです。法的にも欠格条項を廃止していくことを進めていかないと、なかなか難しいのではないかと思います。以上です。
○阿部分科会長 続いて、武石委員、お願いします。
○武石委員 私から2点あります。1つは倉知委員がおっしゃっていたように、35%の企業が多分、具体的な問題を指摘しなかったということで、アイディアとかそういう記述だったのだと思います。除外率は廃止するという方向が明らかになっていますので、できない理由や難しい理由を余り掘り下げても生産的ではなくて、この35%のポジティブな意見に注目して、どうすればできるのか対応を考える必要があるのではないかというのが1点です。
もう1つは、それとも関連するのですが、技術革新、いろいろな機器を導入することによって、例えば見守り用カメラとかいろいろなものがありますが、こういうものが今非常に発達していますので、こういうものの支援によってかなりカバーできる部分があるのではないかと思います。ですので、こういう技術の部分がどんなふうに使われているかという事例も提供していただいて、積極的な活用を促すことも進めてもいいのではないかと思いました。
質問ですが、例えば見守りカメラとか、AIの機器を導入することによる助成の仕組みというのは、今、設備の助成金でこういうのも対応できるのでしょうか。以上です。
○阿部分科会長 御質問ですので、お願いします。
○小野寺障害者雇用対策課課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。武石委員からの御質問で、見守りカメラ等の助成金の措置ということですが、基本的には障害者のために何らかの工夫がなされた機器でないと、それをもって助成ということには現在なっておりません。ただ一方で、例えばこういった形での除外率を引き下げるに当たって、様々な支援が必要という議論の中において検討の余地はあるのかなと考えております。以上です。
○武石委員 ありがとうございます。
○阿部分科会長 それでは山内委員、お願いします。
○山内委員 使用者側の山内です。私からは意見が1つと、質問が1つです。まず最初に意見ですが、貴重な調査報告結果だと受け止めております。ありがとうございました。中でも各企業が工夫をして取り組んでいる状況が非常によく分かりました。これは今回の除外対象職種だけではなくて、私どものような常に障害者の方々を雇用している企業にとっても非常に参考になると思いました。したがって、先ほどから各委員からお話を頂いているように、できるだけ事例を開示していただけると有り難いと思っております。これは意見です。
もう1つは質問です。少し厳しい質問になるかもしれませんが、最初にこの調査の結果、2万5,700の事業所から回収率28.6%をどのように受け止めているか伺えればと思います。なぜかと言いますと、私ども企業の場合、例えば従業員にサーベイを行いますと、回答率が低い場合は、我々会社側が行っていることがもしかしたら関心が低いのではないか、あるいは我々がやろうとしていることが誤っているのではないかと振り返りに使うケースが非常に多いのです。やはり、この回収率をどのように捉えて、改善等につなげていくのかということについて御意見を頂ければと思います。質問と言いますか、この28.6%ということについて、どのように受け止め、どのような形につなげるように考えているか教えていただければと思います。
○阿部分科会長 御質問がありましたので、古田研究員、お願いします。
○古田主任研究員 JEEDの古田です。質問の28.6%ですが、JEEDで調査をするときは、約2割余が大体通常の回収率となっておりまして、この調査の結果だけが特段低いとか、そういうことではなく、むしろJEEDの中では回収率が悪くなかったという認識で思っております。以上です。
○阿部分科会長 以上だそうですが、山内委員がおっしゃることは、私も重々理解できますが、多分、大方こういう調査をやりますと、これぐらいの回収率になるのではないかとは思います。
○小野寺障害者雇用対策課課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。御指摘の問題意識については、私どもの要請研究でもありますので、今後更に回収率を上げていく努力というか、何か工夫ができるかということについて、本省とJEEDで調整して取り組んでまいりたいと考えますので、御理解いただきたいと思います。
○山内委員 ありがとうございます。7割の企業、事業所の方々がどのようにこの調査を受け止めているか。いわゆる、除外率の対象になっていることは間違いないわけですから、その方々がどうなのかということについても少し気にかかるところがありましたので、是非、今頂いたような形で進めていただけると有り難いです。ありがとうございました。
○阿部分科会長 お時間も随分経ちましたので、ほかの議題もありますので、委員から御質問、御意見があったということは、この調査が非常に貴重な調査であるということの裏返しかとは思います。この辺りにさせていただきまして、次の議題に移りたいと思います。資料3について事務局から御説明いただいて、その後、委員から御質問や御意見を頂きたいと思います。それでは、事務局からお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課課長 障害者雇用対策課課長の小野寺です。では、時間も押しておりますので、資料3に基づき、少し簡略化して御説明します。まず、1の除外率制度についてです。経緯等については、先ほどの調査の冒頭にもJEEDのほうからもありました。平成14年に廃止を決めて、平成16年、平成22年と2回にわたり、一律に10ポイント引き下げてきたということで、廃止を目指す基本方針の下に取り組んではきているけれども、先ほども竹下委員からもあったように、10数年そのままになっているという状況になっています。
その上での現状ですけれども、4ページにありますような除外率になっています。5、6ページは変遷についての状況をお示ししています。最後の7ページは除外率についてですが、雇用状況報告による雇用率の産業別のデータは中分類での把握になりますので、中分類による設定がされている除外率を推移をプロットしているのが7ページです。御覧いただくとお分かりいただけるように、全体産業平均の実雇用率とそれほど大きく変わらず、緩やかでありますが、改善は進んでいる状況になっています。
先ほど、JEEDの調査の中で、複数の委員から御指摘のありましたが、好事例について積極的に共有をというお話もありましたので、また夏以降、本格的な議論を進めていく際に別途事務局のほうでも用意をして、共有したいと考えています。
引き続き2は、9ページ以降になります。自宅や就労施設等での障害者の就業機会の確保についてということで、主に在宅就業障害者支援制度について、今回は情報提供しています。本制度については、促進法上、今現状においては直接雇用を推進するということでの建付けになっていますが、それ以外にも在宅とか施設において就労される方々のお仕事を確保するということで、企業の業務の発注に際して評価をして、障害者の平均給与を生み出すに足りると考えられる金額として、35万という設定の中で、それに見合った発注額に対して2万1,000円を掛けて、特例調整金として企業側にお支払いするという制度です。
次頁に3つのパターンがあるという御紹介と、実績としては11ページにありますように、直近の令和元年度については、在宅就業団体としての認定は22団体になっていますが、年間を通じて、企業の方々に対して特例調整金としてお支払いしたのが766.5万円、それに際しての発注の形が直接障害者に対して7件と、団体を介して10件という状況があります。
12ページは、事例の紹介をしています。直接発注としては、在宅の方に対しての例えばサーバー管理業務とか、CADを使ったような形での仕事の発注、団体を介しての発注としては、モニタリング業務などをお仕事として発注しているケースとか、施設外就労などでスーパーなどに出向いて業務を行っているというようなことで、これらの取組を通じて一般の就労への道筋というのも実現しているということの御報告がありました。
13ページ以降は、今回の在宅就業障害者支援制度についてより一層活用が図られるためにということで、団体と団体の申請の受付をしている労働局にアンケートを取っています。団体の登録申請について苦慮した点としては、こちらにありますような申請手続の煩雑さだったり、登録要件のハードルが高いといったこと、あるいは管理者等を確保しなければならないといったことでの負担感とか、団体自体に対しては何ら支援の措置はありませんので、経費等の捻出が困難といった御意見がありました。労働局からも同じように、登録要件や手続の煩雑さについての意見がありました。
次の14ページでは、課題として、まずは在宅就業障害者ということで、在宅就業する障害者のみを対象としているかのような名称であり、施設外就労や団体の事業所を介してのお仕事の発注も含まれるという制度の目的がうまく伝わらないだろうということで、名称の変更や制度自体の周知、認知度の向上であったり、登録申請要件の見直し、少額発注をより支給対象とすべき見直しといったこと、それから団体側の負担の軽減であったり、発注額に応じて特例調整金をお支払いしていますが、雇用率に算定するといった御意見もありました。最後がこれらの制度での効果ということで、やはり障害者自身のスキル、意欲の向上や就職に結び付くといった効果が見られたということです。
引き続いて3は、中小企業における障害者雇用の促進です。17ページには、以前にもお示ししています中小企業の取組が遅れているといった状況。それから次のページですが、未達成事業所で見た場合であっても、未達成企業の約85%が300人以下であったり、あるいはゼロ人企業で見ますと、ほぼ100%に近い形で300人未満の所が占めているという状況があります。
19ページですが、初めて障害者を雇用した中小企業に対してのアンケート調査によりますと、やはりノウハウが不足しているがために、取組が進んでいないという状況が見てとれます。20ページ以降は、昨年4月からスタートしている中小事業主の認定制度の状況を御紹介しています。21ページにありますように、昨年末の状況で22の事業主が認定を受けています。22ページには、具体的な認定を受けた事業所の取組の例を御紹介しています。
続いて23ページです。雇用率引上げの際にも御指摘を頂きました中小事業主への支援強化ということで、令和3年度要求におきまして精神障害者の雇用トータルサポーターを増員していて、これについてはこれまでハローワークの中で精神障害者の方の相談に当たっていたというやり方を、企業に出向いていく担当を作って、企業に対して直接的に精神障害者の雇入れに対しての支援を行っていく形を取っています。補正予算に盛り込んだので、前倒しで2月から対応が進んでいるということを御報告します。
今回、中小事業主への支援ということで、事業協同組合等算定特例状況についても御報告します。24ページに制度の概要があります。またこれに加えて、25ページにありますように、特区の取扱いではありますが、LLPといった形でのやり方も制度としては拡充しています。
次のページですが、実施状況として直近では8の組合数、それから時系列で見てもこれらを通じての障害者数というのは増加していることが見てとれると思います。27ページ以降はこの制度の利活用に向けてのアンケートを取っています。認定組合、ビルメンテナンス業ですとか介護事業といった、同一業種での構成が多いということですが、8組合のうちの7組合から回答を得ています。
認定を受けるメリットとしては、雇用率制度がお互いに補完しあえるとか、採用・定着を一括で取り組めるといったことであったり、一方で課題や問題点としては業務確保に関すること、それから要件としても特定事業主として認定されると、全体の取組の中での約束が果たされなかった場合、取消しができないといった御意見が組合側からありました。
最後のページになりますけれども、障害者雇用を促進するための特定事業主に対しての措置としては、特別支援学校等に対してのいろいろな働き掛けであったり、求人活動を組合で統括するといったようなこと。進まない理由としては、メリットの少なさとしてやはり、業務発注に係るメリットに対しての御要望だったり、一定の雇用障害者数がいないと特定事業主の認定が受けられないといったことで、断念する企業もあるという声もありました。要望については、発注に対しての優先的な措置、それから雇用義務のない組合企業についても組み入れられる仕組みにしてほしいといった御要望もありました。
最後に労働局からの意見としては、この認定に当たり、全体として実施計画を立て、取組についての1つの指針を示すのですけれども、これについて果たされないとしても認定の取消しがないといったことで、こういった措置の見直しも検討すべきではないかといった意見もありました。駆け足になりましたが、事務局としての御説明は以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは資料3について、これから委員の皆様から御質問、御意見を承りたいと思いますが、3つの項目がありましたので、順番にそれぞれお願いしたいと思います。まず除外率制度ですが、先ほども議論しましたけれども、何か委員のほうから御質問、御意見ありますでしょうか。では内田委員、お願いします。
○内田委員 御説明ありがとうございました。労働側の内田です。私からは意見を述べさせていただきます。3ページの2項にもありますとおり、この除外率制度は機械的に一律の雇用率を適用することになじまない性質の職務もあるという観点から、設定されており、その後、ノーマライゼーションの観点から廃止が決まっています。労働側としても、除外率制度については障害の有無に関係なく、就労を希望する方が働き続けられる社会の実現や、1人でも多く雇用されて働くことができるように、将来的には廃止すべきと考えます。
一方、現在、除外率が設定されている業種において、ノーマライゼーションの進展状況や、同業種における諸外国での対応、あるいは合理的配慮に必要な技術的課題の解消の度合いなどを勘案し、障害者が働き続けられるための環境整備についての実態把握が必要ではないかと考えます。その結果を踏まえ、対策が不十分な業種については、環境整備における更なる研究や支援、ポジティブな事例の紹介等といったことが必要になるのではないかと考えます。更にJEEDの調査結果を見ますと、職場介助等の人的支援や同僚・上司等の理解、あるいは障害者本人の免許取得などの課題が浮き彫りになっており、これらの課題解決が必要であるとも考えます。その上で、廃止に向けては実態を踏まえた上で目標を設定すべきでないかと考えており、今後どのようなタイムテーブルで廃止に至るかについても検討が必要ではないかと思います。私からは以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。御意見として承りたいと思います。では、高橋委員、お願いします。
○高橋委員 ありがとうございます、ダンウェイの高橋です。除外率制度について資料3の7ページに、除外率設定業種の実雇用率推移が記載されていますけれども、除外率適用後の実雇用率であるにもかかわらず、民間企業全体の実雇用率2.15%、更には本年3月からの法定雇用率2.3%に達していない業種が多くあります。
こうした状況の中、更にはコロナ禍で貨物運送取扱業を始めとした除外率設定業種の企業など、先ほど助成金のパートでも申し上げましたが、中小企業は雇用定着のノウハウ、マンパワーが十分でない状況も含め、障害者に適した作業の切出しが難しいことなどから、除外率制度の維持を望む声が多く聞かれています。本制度及び業種ごとに設定された除外率は、引き続き維持していただきますよう、是非お願いします。また、この前の議論において、多くの委員からこういった声がなぜたくさん上がっているのかということを、より慎重に確認、検討を是非していただきますよう、お願いします。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。では、続いて池田委員、お願いします。
○池田委員 経団連の池田です、ありがとうございます。まず除外率制度について、ノーマライゼーションの観点から廃止する方向で段階的に引下げ、縮小されてきていることについて、重く受け止めています。近年、短期間の内に雇用率の引上げが続いていることも踏まえれば、除外率の引下げ、縮小を行うに当たっては、是非とも、少なくとも3年から5年といった十分な準備期間を確保していただきたいと思いますし、支援策も講じていただきたいと考えています。
その上で、御批判を覚悟で問題提起をしたいと思います。障害者や企業を取り巻く環境が大きく変化している中で、技術の進歩を障害者雇用の促進に結び付けることがどうしても難しい職種などが、現実に存在していると思います。例えば鉄道業の運転士など、公共の安全を担う業務は従業員への安全配慮義務、顧客の安全確保が大前提となって、有事の際は現場で即断即決の適切な対応が求められるところです。もし万が一事故が発生した場合、企業側の責任が問われかねません。それ以外の業種、職種においても、除外率引下げの影響は非常に大きいと伺っています。先ほどのJEEDの方のコメントにも、諸外国においても業種や個別の事情に応じて、何らかの配慮がされているという話もありました。除外率の見直しを議論する際には、対象となっている業種・職種の状況や、例えば活用できる安全技術の有無、導入状況、中小企業における対応可能性などを十分に精査して進めることが必要ではないかと考えています。
昭和51年当時の合理的判断の下に設定された除外率について、平成16年、平成22年と一律に10ポイントずつ段階的に引き下げられてきましたが、今後とも一律の引下げといったやり方を継続することでよいのか、若しくは企業が提供するサービスの内容や特性、障害者の安全といったことも踏まえて、特別に考慮する業種がないのか、今一度検討する必要があるのではないかという点について、問題提起をしたいと思います。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは長谷川委員、お願いします。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。1つは意見で、もう1つは質問があります。まず意見からですけれども、除外率が設定された当時というのは、雇用義務制度の対象が身体障害者に限られていたと思います。そのことを前提に除外率が設定されていると思うのですけれども、その後、知的障害者、精神障害者が雇用義務の対象になってきて、実際に雇用される知的障害者、精神障害者の方々が増えてきている中で、かつて設定された除外率というのが果たして実態を正確に反映しているか、雇用しづらさというのを正確に反映しているかというのは、改めて検討する必要があるのではないかと思います。
廃止が決定されている制度ですので、今更、制度をいじるということに対しては確かに少し躊躇を覚えるところがありますけれども、ただ、そうは言っても除外率のポイントが本当にゆっくりとしか減っていかない中で、そうだとすると、しっかりこの制度を見直すことも必要になってくるのかなと感じています。
2つ目は質問になります。この除外率の設定と納付金制度、納付義務の制度というのは連携しているのですか。具体的に言うと、資料3の7ページで鉄道旅客業とかは55%の除外率が設定されているものの、実際に実雇用率が非常に高くなっている中で、こういった所は調整金等を得られているのかといったことや、除外率が設定してあって雇用義務の分が減っている場合は、減った分しか納付金を払わなくていいのかということについて、教えていただければと思います。
○阿部分科会長 ありがとうございます。では御質問がありましたので、2つ目の点で。
○小野寺障害者雇用対策課課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。御質問のありました雇用率と納付金制度の連携ということですが、雇用率においては除外率を加味した上で実雇用率というのを算定しています。納付金についても同様に除外率を加味して算定した上での実雇用率に基づく納付ということになっています。以上です。
○長谷川委員 よろしいでしょうか、福島大の長谷川です。調整金については、例えば実雇用率3%だったら、0.8%分の調整金は得られているということですか。
○小野寺障害者雇用対策課課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。納付金、調整金は率ということではなくて、その月に応じて何人過不足があるかという考え方です。その過不足の算定に当たっては、納付金については除外率を当然加味した上での過不足を見ていまして、その上で調整金は、除外率を適用せずにということで計算をすることになっています。
○阿部分科会長 人数でやるということですよね。
○小野寺障害者雇用対策課課長 その通りです。
○阿部分科会長 雇われている人数で調整金は支給されているということですね。長谷川委員、よろしいですか。
○長谷川委員 ありがとうございます。その上で意見なのですけれども、除外率自体を下げていくということが難しいのであれば、除外率は設定しつつ、納付金の支払いはしていただくという形もあり得るのではないかと思いました。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは倉知委員、お願いします。
○倉知委員 公益委員の倉知です。除外率制度は今、長谷川委員がおっしゃったように、困難な職種の、除外率というのは今の時代に合った見直しも必要かなという思いはあります。ただ、既に制度の廃止が決まっているので、これにエネルギーを使うよりは、廃止が決まったのでこのまま粛々と進めていって、段階的ならば少なくとも5年ごとには見直す、削減していくとか行程を明確にすることで、それぞれの企業が今後の準備ができるのではないかと思っています。
大事なことは、今議論するのは、減らすかどうかということではなくて、減らすのは決まっているわけですから、どのようなサポートをしていくべきかというところに議論を集中することではないかという気がしました。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。除外率について皆様からの御意見を承りたいと思います。今後この議論は続けていきますので、また議論したいと思います。それで、残り時間があと5、6分程度になってきましたが、資料3は残り2つ項目があります。ちょっと全部消化できないのではないかと思っていますので、時間まで取りあえず2番について御意見、御質問があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。森口委員、お願いします。
○森口委員 労働側の森口です。私からは在宅就業障害者支援制度について、質問と意見を述べたいと思います。
○阿部分科会長 はい、どうぞ。
○森口委員 基本的な部分で、制度の実態についての質問になります。企業が在宅就業の障害者に対して請負で業務を発注すれば、計算式に基づいて特例調整金が支給されることになりますが、仮に企業が直接雇用することができれば、雇用率にカウントされて雇用率を超えていれば、障害者雇用調整金が支給されることになります。現状の制度の実態として、どちらがインセンティブとしてメリットがあるのか確認させてください。
関連しての意見になりますが、労働側として本制度については否定するものではありません。企業の中では請負で業務を発注するのは、通年での業務が難しいという理由もあると思います。昨今の新型コロナの影響により、テレワークによる在宅就業が進む中で、制度の実態によっては本来一般就労すべき人や一般就労したい人が請負の在宅就業になってしまうということを、労働側として懸念を持っています。これまでも本分科会で発言していますが、労働側としては賃金や労災といった労働者保護の観点から、一般就労への移行につながる制度が重要であるということを、意見として述べさせていただきます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。御質問がありましたので、お願いします。
○小野寺障害者雇用対策課課長 ありがとうございました。障害者雇用対策課長の小野寺です。まず1点目として御質問いただいた、直接雇用して調整金を受ける場合と、こういった形で仕事を発注して特例調整金を受ける場合と、どちらがインセンティブがあるのかという御指摘だったのですけれども、これについては個々の事業所のそれぞれの状況によって、一律に判断できるものではないと考えていますが、先ほど申し上げましたように基本的な考えは、1人の障害者の方に平均的な賃金をお支払いする、それに諸経費をある程度踏まえた上で35万で割った上で、それに対して報奨金の額と同額の2万1,000円を掛けているということになりますので、企業規模にもよりますけれども、調整金は2万7,000円ですから、そこでの差は一定付いているということで、直接雇用をより一層評価している制度にはなっていると思っています。以上です。
○阿部分科会長 それでは武石委員、倉知委員の順番でお願いします。では武石委員、お願いします。
○武石委員 法政大学の武石です。時間がないので簡単に申し上げたいと思いますが、私は、この働き方というのはもっとポジティブに評価していいのではないかと考えています。今もありましたように、通常の労働者の在宅ワークも広がっていますし、雇用類似の働き方ということでかなり働き方というのが柔軟化している中で、障害者の方の働き方もそれに合わせて柔軟化というのは1つの方向ではないかと思います。ただ、やはり先ほどもお話がありましたが、本当は雇用できるのに、こういう働き方が広がることによって、雇用ではない働き方が不用意に広がっていくというか、そういうことは防止しなければいけないので、その辺りの兼ね合いだと思います。
1つは、やはりこの働き方のメリット、デメリットが両方あるので、それを踏まえて今どういう状況があるか。メリットというのは多分、就業機会がこれによって拡大するということがあると思うのです。こういう働き方が拡大しないことによって、どのぐらいの障害者が働きにくくなっているのかみたいな、ちょっと難しいのですが、そういう実態が分かればいいかなと思っています。
これを広げるためには、1つは中間的な就業支援団体のインセンティブと、それから発注する企業へのインセンティブというのを考える必要があって、特にこの支援団体に関して今、余りにも支援策がなさすぎるのではないかと考えます。要は、1つはこの働き方のメリット、デメリットをきちんと踏まえた上で、私は一定メリットがあると思うので、それを広げる方策を考えてはどうかという提案です。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは倉知委員、お願いします。
○倉知委員 公益委員の倉知です。私は逆に、そんなに力を入れる制度なのかなという思いはあります。今回の資料の10ページで非常に分かりやすい発注パターンを示していただいたと思いますが、先ほど森口委員からも話が出たように、パターン1とかパターン2というのは、今は在宅ワークがかなり雇用という環境の中で広がってきているので、これは雇用のほうに推進していく形に持って行ったほうがいいのではないか。ここを余り強調すると、雇用よりもこちらにシフトしていくことにならないかという心配があります。
とすると、この制度として対象となるパターン3は、私は効果があるのではないかと思います。恐らくこれからこの在宅就業支援団体は、就労継続支援事業所がなって、施設外就労を結構やっていますので、そこをやるときに、その仕事を出している企業にプラスの納付金が支払われるのは制度として非常にありかなと思っています。そこが私のこの制度に対する意見です。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。ほかにこの2番の項目について御発言ある方はいらっしゃいますか。よろしいですか。では、3番目について御発言のある方はいらっしゃいますか。次回も余り時間がないようなので。大変恐縮ですが、少し時間を延長させていただければと思います。それでは、手短に御発言をお願いしたいと思います。それでは佐渡委員からお願いします。
○佐渡委員 愛媛県ビル管理協同組合の佐渡です。事業協同組合の算定特例制度についての所です。これは以前より幾度か意見を申し上げましたので簡単に言いますと、私どもの組合も、このアンケートにも出ていますけれども、平成28年1月に取得しました。8組合というのは非常に少ない数字で、全国の組合数から考えると全く少数で、この制度をいかに利用して障害者の雇用の促進に結び付けていくかということが課題だと思いますので、今後、アンケートにあるような結果、また、このアンケートは算定特例を取得した組合であって、していない組合からも是非アンケートを取っていただき、どのような制度であればこの制度を利用して障害者を雇用していくのかということも検討していただければと思います。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。では、高橋委員、お願いします。
○高橋委員 ありがとうございます、ダンウェイの高橋です。大きく2点、資料全般に関する納付金制度と、もにす認定制度について意見を述べさせていただきます。
まず初めに納付金制度について、参考資料3-2の今後の検討に向けた論点整理に、「納付金制度の適用範囲を拡大すべきかどうか」と記載されていますが、資料3の19ページ、中小企業における障害者雇用の課題に記載のとおり、中小企業は障害者の採用や受入体制の整備、定着等の面で、情報やノウハウが十分ではないこと。また、求人を出しても応募がなかなか来ない等の声が聞かれていること。更にはコロナ禍で障害者の業務が減少し、雇いたくても雇えない状況が発生していること。また、足元の極めて厳しい景況感に加え、社会保険料や最低賃金、同一労働同一賃金、事業主拠出金等の負担増が続いていることなど、こうした状況を考慮しますと、日本商工会議所としては納付金の適用範囲の拡大に関して強く反対をします。厚生労働省におかれましては、法的強制力を用いるのではなくて、経営資源やノウハウが十分でない中小企業の実態を踏まえて、支援策を強化・拡充するなどの政策により、障害者雇用を推し進めていただきたいと考えています。こうした意味の中で、資料3の23ページに記載の、雇用ゼロ企業を対象とした企業向けチーム支援をこれまで以上に実施することということは、この時宜にかなった重要な取組であると考えています。
次に、もにす認定制度に関して資料3の20~22ページに記載がありますとおり、障害者雇用に前向きに取り組む中小企業にとって、認知度の向上等に寄与することから積極的に推進していっていただきたいと考えています。一方、認定企業数は、昨年4月の施行から12月末時点で22件に留まっていますので、更なる増加を期待したいところです。したがって、厚生労働省におかれましは、本制度の幅広い周知はもとより、例えばJEEDや地方自治体などが作成した好事例集に掲載されている中小企業に申請を働き掛けるなど、能動的な活動をお願いしたい、期待したいと思います。また、インセンティブを拡充することも有効だと思います。
最後になりますが、障害者雇用率制度、納付金制度など、障害者雇用政策の検討に当たりましては、是非とも中小企業の実態をしっかりと考慮していただきますよう、改めてお願い申し上げます。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。ほかに御発言のある方はいらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。今後の議論に非常に参考になりますので、今日時間が余りありませんでしたので、資料3について、あるいはその他についても、もし御意見があれば事務局にお寄せいただければと思います。それでは、本日の議論はこれで終了したいと思います。最後に事務局から連絡事項がありましたら、お願いします。
○小林障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課課長補佐の小林です。次回の日程については、3月12日の開催を予定しています。詳細は追って事務局より御連絡させていただきます。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。それではこれで、障害者雇用分科会は終了とします。本日はお忙しい中、ありがとうございました。