第3回社会福祉連携推進法人の運営の在り方等に関する検討会 議事録

日時

令和3年2月9日(火) 16:00~18:00

場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア 8D
(東京都千代田区内幸町2丁目2-3 日比谷国際ビル8階)

出席者

構成員(敬称略・五十音順)

川原(かわはら) (たけ)(よし)     川原経営グループ 代表
田中(たなか) (しげる)(座長)  埼玉県立大学 理事長
松原(まつばら) 由美(ゆみ)     早稲田大学人間科学学術院 准教授 
宮川(みやかわ) (やす)(のぶ)     独立行政法人福祉医療機構 福祉医療貸付部福祉審査課長 
山田(やまだ) (ひろ)()     地域密着型総合ケアセンターきたおおじ 代表

議題

(1)社会福祉連携推進法人の施行に向けた検討について
(2)その他

議事

 
○田中座長 定刻になりましたので、ただいまより第3回「社会福祉連携推進法人の運営の在り方等に関する検討会」を開催いたします。
本日は、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、オンラインでの開催になります。構成員の皆様には、御多忙の中お集まりいただき、ありがとうございます。
会議に先立って、事務局より本日の構成員の出席状況を報告いただくとともに、資料の確認をお願いいたします。
○高坂補佐 本日の構成員の出欠状況について、御報告申し上げます。
本日はオンラインでの開催となりますが、全ての構成員に御出席をいただいております。また、資料につきましては、座席表及び議事次第に加えまして、
資料1 社会福祉連携推進法人の運営の在り方等に関する論点整理(社会福祉連携推進業務➁)
資料2 令和2年度における「小規模法人のネットワーク化による協働推進事業」の取組例について
の2種類を準備させていただいており、事前にメールにて各構成員に送付させていただいております。
以上でございます。
○田中座長 ありがとうございました。
カメラの方々はこれにて御退出ください。
(カメラ退室)
○田中座長 早速ですが、議事に入ります。
まず、事務局より、資料1及び資料2について説明をお願いします。
○初鹿専門官 それでは、資料1から説明させていただきます。
資料1「社会福祉連携推進法人の運営の在り方等に関する論点整理(社会福祉連携推進業務➁)」を御覧ください。本日御議論いただきます論点としましては、社会福祉連携推進法人の業務のうち、経営支援業務、物資等供給業務、それから、貸付業務の3点となります。
2ページ目に経営支援業務と物資等供給業務の内容の検討に当たっての視点を載せております。一番最後のポツにありますとおり、連携推進法人が行う経営支援業務、物資等供給業務の具体的な内容については、社会福祉法人制度改革等を踏まえ、社会福祉法人が公益性、非営利性を具備する法人にふさわしい透明性の高い経営を確保する観点から、連携推進法人としてどのような関わりができるか、社会福祉法人を初めとする社会福祉事業を経営する者が人口動態などを踏まえた地域ニーズの変化に的確に対応し、効率的な経営を確保する観点から、連携推進法人としてどのような関わりができるかなどの観点から御検討いただきたいと考えております。
おめくりいただきまして、3ページ目と4ページ目に経営支援業務に関する論点整理を載せております。論点としましては、経営支援業務について、1つ目、具体的に実施可能な取組は何か、2つ目、事務処理の代行は実施可能か、他の法律の適用関係はどうなっているのかの2点でございます。
1点目につきましては、社会福祉法第125条第3号の規定により、社員が経営する社会福祉事業の経営方法に関する知識の共有を図る取組であること、当該取組を連携推進法人が支援するものであることに該当している必要がございます。
「経営方法に関する知識の共有」については、特定の社員が持つ経営方法に関する知識を共有することに限らず、社会福祉事業の経営ノウハウを共有することが広く該当することとしてはどうかと考えております。
また、「当該取組を連携推進法人が支援する」とは、当該取組の実施に当たって、社員間の連絡調整、社員へのコンサルティングなどの支援を行うことをいうものとしてはどうかと考えております。
論点の2つ目につきまして、事務処理の代行は、効率的な経営方法のひとつであり、連携推進法人が事務処理を代行することについては、特定の経営方法を社員間で共有するために、連携推進法人が社員への支援を行うことに該当するため、連携推進法人は、社員の事務処理を経営支援業務として行うことができることとしてはどうかと考えております。
4ページ目でございます。連携推進法人が事務処理の代行を行う際、他法令に違反しない範囲で行うことが必要となります。
会計関係の業務や人事労務管理の業務については、社会福祉法人が他者に事務処理を委託している例がございますが、連携推進法人が行う場合には、他法令に抵触しないもの(例えば、報酬等請求事務のデータの作成の代行や会計帳簿の記帳代行など)を行うことが可能となります。
※印に2つありますとおり、租税に関する申告や書類の作成等は、税理士法に基づき、連携推進法人が行うことはできません。また、社会保険労務士法別表第1に規定された労働基準法や職業安定法などに基づく書類の作成手続などについては、社会保険労務士法に基づき、連携推進法人が行うことはできないところでございます。
これらを踏まえまして、社員に対する経営ノウハウ等に関するコンサルティングの実施、賃金テーブルの作成等人事・給与システムに関するコンサルティングの実施、社員の財務状況の分析・助言、社会福祉法人会計に関する研修の実施等適正な財務会計の構築に向けた支援、社員の特定事務に関する事務処理の代行などを経営支援業務の例示としてはどうかと考えております。
5ページ目につきましては、御説明させていただいた内容を絵としてまとめたものでございます。
続きまして、6ページ目に物資等供給業務の論点を載せております。論点としましては、物資等供給業務として具体的に実施可能な取組は何か、それから、社員の施設での給食の供給は実施可能かの2つでございます。
1つ目につきましては、社会福祉法第125条第6号の規定により、社員が経営する社会福祉事業に必要な設備又は物資であること、当該設備又は物資を連携推進法人が供給することに該当している必要がございます。
「当該設備又は物資を連携推進法人が供給すること」については、連携推進法人が一括調達して社員に供給することのほか、連携推進法人が生産して社員に供給することを含むこととしてはどうかと考えております。
2つ目の論点につきましては、社員の施設で提供される給食の供給については、食品衛生法等関係法令を遵守した上で、社員から連携推進法人が委託を受けて、物資等供給業務の一環として行うことができることとしてはどうかと考えております。
その際、給食に必要な設備については、特定の社員の施設の厨房を活用するほか、連携推進法人が必要な設備を持つことも認められることとしてはどうかと考えております。
これらを踏まえまして、紙おむつやマスク、消毒液等の衛生用品の一括調達、介護ベッドや車いす、リフト等の介護機器の一括調達、介護記録の電子化等ICTを活用したシステムの一括調達、社員の施設で提供される給食の供給などを物資等供給業務の例示としてはどうかと考えております。
なお、医薬品、医療機器に係る調達を行う場合には、地域医療連携推進法人と同様、連携推進法人が一括購入を調整して、個別の購入の契約については社員それぞれが締結する必要がございます。
7ページ目は、今、御説明させていただいた業務をイメージ化したものでございます。
ここまでが経営支援業務と物資等供給業務の論点でございます。
次からが貸付業務に関する論点整理でございます。9ページ目に検討に当たっての視点を載せております。
貸付業務による貸付けは、社会福祉法第127条第1号に規定する連携推進法人の目的に合致するとともに、貸付原資を提供する社員である社会福祉法人の法人運営の安定性を損なわない範囲で行われる必要があります。
したがって、貸付業務による貸付けは、金融機関等からの資金調達の補完的位置づけとなり、貸付けを受けた後の法人運営の見通しを踏まえつつ、一時的な資金需要に対応するものであるべきと考えられます。
以上を踏まえれば、貸付業務については、制度施行から当面の間、リスク管理の観点から、慎重な検討を行った上、抑制的に行われるべきであると考えられます。
社会福祉法人は資産の法人外流出が禁止されているところ、連携推進法人の貸付業務の原資とするために、社員である社会福祉法人が連携推進法人に資金を貸し付けることは、例外的に認めることとなります。
したがいまして、貸付金の原資を提供する社員である社会福祉法人と連携推進法人との間の金銭消費貸借契約、連携推進法人と貸付けを受ける社員である社会福祉法人との間の金銭消費貸借契約を締結して行うものについて議論を進めたいと考えております。
10ページ目は、貸付業務に関する法律上の規定を載せておりますので、参考にしていただければと思います。
11ページ目からが論点の整理となります。論点につきましては、貸付業務について、1つ目、貸付けの当事者で合意すべき内容、2つ目、貸付原資を提供する社員のルール、3つ目、貸付けを受ける社員のルール、4つ目、金利や上限額の設定等、5つ目、焦げついた場合の責任の所在等をどのように考えるかでございます。
1つ目、貸付けの当事者で合意すべき内容については、契約方法としましては、まず、貸付原資提供社員と連携推進法人との金銭消費貸借契約、連携推進法人と貸付対象社員との金銭消費貸借契約をそれぞれ締結していただき、貸付資金が返済不能となる場合に備えて、返済不能時の資金回収手続や回収資金分配等の処理について私法上の契約を結んでいただきたいと考えております。
貸付原資提供社員と連携推進法人との契約と、連携推進法人と貸付対象社員との契約の履行、貸付金の振込は、同一日に行っていただきたいと考えております。
連携推進法人の目的に鑑み、貸付原資提供社員と連携推進法人との金銭消費貸借契約、連携推進法人と貸付対象社員との金銭消費貸借契約には、債権譲渡禁止特約を盛り込んでいただきたいと考えております。
続きまして、12ページ目から貸付原資を提供する社員のルールを載せております。連携推進法人への貸付けの要件につきましては、貸付原資を提供する社員の社会福祉法人の法人運営の安定のため、連携推進法人への貸付金の提供に当たっては、以下を要件としてはどうかと考えております。
1つ目、拠点区分として本部拠点を設け、当該本部拠点の貸借対照表に連携推進法人への貸付金を計上すること。2つ目、貸付けを行う年度の前年度の法人全体の事業活動計算書における当期活動増減差額が黒字であること。3つ目、直近3カ年度の本部拠点の事業活動計算書における当期活動増減差額の平均額を上限とすること。4つ目、貸付金原資を調達する目的で、金融機関等からの借入、資産の売却を行わないこと。5つ目、貸付金利は高利でない適正な利率(無利子を含む)であること。6つ目、当該連携推進法人から貸付けを受けていないことの6つを要件として考えております。
この要件を考える上での参考としまして、資料の最終ページ、24ページ目を御覧ください。こちらに「社会福祉法人の法人本部会計における収支差額の状況」を載せております。赤く囲んでおりますところが法人本部拠点における当期活動増減差額の平均となっておりまして、こちらは、社会福祉法人全体のものになっております。法人によって規模は変わってきますが、法人全体のサービス活動収益規模を見たときに、全体としましては、大体117万5000円ぐらいが法人本部拠点における当期活動増減差額の平均額となっているところでございます。
では、お戻りいただきまして、12ページ目の中段から説明させていただきます。貸付原資提供社員の手続につきましては、理事会、評議員会において、貸付けの当事者で合意すべき内容について承認を受けることとしてはどうか、その際、貸付対象社員の状況次第では、返済されない可能性があることを十分考慮した上で、理事会、評議員会において丁寧に議論していただき、手続を進めることとしてはどうかと考えております。
また、貸付原資提供社員の法人運営の安定性が損なわれることのないよう、貸付原資提供社員は、連携推進法人への貸付けについて、予め所轄庁に相談することが望ましいこととしてはどうかと考えております。
そして、貸付原資提供社員から連携推進法人への貸付けは、社会福祉充実財産の控除対象財産とはならないこととしてはどうかと考えております。
続いて13ページ目になります。貸付原資提供社員から提供される貸付原資は、法人本部の資金であり、貸付対象社員の貸付金の使途は社会福祉事業に限定されていることから、貸付原資提供社員から連携推進法人への貸付けは、社会福祉法人の事業区分上は社会福祉事業の一環として位置づけられるものであることとしてはどうかと考えております。
その他としまして、貸付原資の提供は複数の社員からできるが、貸付対象社員を除く全社会福祉法人である社員から行わなくてもよいこととしてはどうか、また、貸付原資提供社員は、提供上限額の範囲内であれば、連携推進法人を介して複数の社員に対して、同時に複数の貸付けを行うことを妨げるものではないこととしてはどうかと考えております。
続きまして、14ページ目に、貸付けを受ける側の社員のルールを載せております。まず、理事会、評議員会において、貸付けの当事者で合意すべき内容について承認を受けることとしてはどうか、そして、抵当権の担保の設定については、連携推進法人からの貸付け以外の場合と同様、基本財産を担保とする場合のみ、貸付対象社員は当該法人の所轄庁の認可を得る必要があることとしてはどうかと考えております。
また、貸付金使用後、連携推進法人に対して、速やかに当該貸付金の使用状況について報告を行わなければならないこととしてはどうかとしております。
貸付対象社員の脱退の手続については、連携推進法人への加入脱退は原則自由であることも踏まえ、精算等に留意しつつ、社員総会における全員一致の決議を必要とすることなど定款に定めることが望ましいことを示すこととしてはどうかとしております。
また、複数の連携推進法人から同時に貸付けを受けることはできないこととしてはどうか、さらに同一社員が複数回貸付けを受けることを妨げるものではないが、この場合、既に貸し付けられた金額が完済されている必要があることとしてはどうかと考えております。
続きまして、15ページ目から金利や上限額の設定等について載せております。まず、貸付期間につきましては、法人の経営環境は、報酬改定など3年程度で大きく変わることがあり得ることから、貸付原資提供社員の運営に支障のないように、貸付期間は3年以内としてはどうかと考えております。
続いて貸付金額の上限ですが、こちらは、貸付原資提供社員から連携推進法人への貸付金額については上限を設けることを前提に、連携推進法人から貸付対象社員の貸付金額については、返済可能な額としてはどうかと考えております。
続いて、貸付金の金利の設定等については、貸付けの安定性を確保するため、高利でない適正な利率(無利子含む)が設定されていること、担保や保証人の設定等が必要に応じて適切に行われていること、貸付けに当たっての事務手数料等については、会費や金利に上乗せして回収することが考えられるが、利益を得る目的で不当に高額な価格を設定することは認められないこと、適切な遅延損害金の設定を行うことをルールとしてはどうかと考えております。
利率につきましては、社会福祉法人は「高利な融資事業」を収益事業として行うことができないことを踏まえる必要があると考えております。
また、貸付原資提供社員から連携推進法人への貸付けの利率とそろえることは不要と考えております。
続きまして16ページ目、貸付金の使途ですが、貸付対象社員が社会福祉事業の継続に最低限必要と認められる使途で、かつ、返済が見込まれやすいものに限定してはどうかと考えております。
使途の例示としましては、貸付対象社員が行う社会福祉事業の安定的な運営に必要な改修、貸付対象社員が行う社会福祉事業の安定的な運営に必要な職員の人件費等として、貸付対象社員の役員等報酬に充てることは認められないこととしてはどうかと考えております。
続きまして、焦げついた場合の責任の所在の論点整理です。返済の延滞時や不能時の取扱いに沿って、期限延長等の処理を行うこととし、それでも返済が期待できない場合は、連携推進法人は貸付けの当事者で合意した返済不能時の処理に沿って処理を行うこととしてはどうか、また、抵当権を設定している場合には、貸付対象社員の施設の状況も踏まえつつ実行し、貸付原資提供社員への弁済を行うこととしてはどうかとしております。
弁済不能が見込まれる貸付金については、貸付原資提供社員の計算書類において見える化されるよう、例えば、「引当金」に計上するなど、会計上のルールを明確化することとし、具体的なルールの内容については、別途、連携推進法人の会計基準の策定作業において、併せて検討させていただきたいと考えております。
なお、弁済不能が見込まれる貸付金に関する連携推進法人での会計処理についても、連携推進法人の会計基準において検討させていただきたいと考えております。
続きまして、17ページ目からその他の論点を載せております。まず、連携推進法人のルールとしまして、連携推進法人には貸付けについて合意すべき内容のうち、貸付対象社員の名称、貸付けの金額及び契約日、予算・決算等の貸付対象社員の重要事項の承認方法を貸付対象社員ごとに記載し、所轄庁の認定を受けることとしてはどうかと考えております。
手続が円滑に行われるよう、所轄庁によるこれらの認定の前に、貸付原資提供社員及び貸付対象社員は、各法人内での手続を完了させなければならないこととしてはどうか、貸付原資提供社員から連携推進法人への貸付金については、他の資金と区分経理し、貸付対象社員への貸付け以外への使用を禁止してはどうか、所轄庁が貸付業務の終了(貸付原資提供社員への返済完了)を把握するために、貸付業務の終了後は、連携推進方針の変更の認定を受けなければならないこととしてはどうかと考えております。
続きまして18ページ目、所轄庁の認定については、連携推進法人の所轄庁は、高利でない適正な利率が設定されていることや、担保や保証人の設定が必要に応じて適切に行われていることなど、社会福祉法人の法人外流出の禁止などの観点から、貸付内容を確認するとともに、必要に応じて貸付原資提供社員及び貸付対象社員の所轄庁に対して情報提供、意見照会を行い、特段の問題がなければ、認定して差し支えないこととしてはどうかと考えております。
また、所轄庁が円滑に認定できるよう、施行までに認定のチェックリストを作成したいと考えております。
続きまして19ページ目、「社会福祉連携推進法人の貸付業務による貸付けは、民間金融機関やWAMの補完的な役割を担うものであること」という、最初に検討の視点で書かせていただいたことを通知に明記してはどうかと考えております。
また、既に貸付業務以外の連携推進法人の実施について、認定を受けた連携推進法人が、新たに貸付業務を行う場合には、連携推進評議会での意見聴取を経て、理事会、社員総会の承認を受けなければならないこととしてはどうかと考えております。
20ページについては、連携推進法人が行う貸付けの基本スキームを載せております。
続いて21ページ目は、貸付けの手続を時系列で並べた手続フローになります。
続いて22ページ目が貸付けについて当事者で合意すべき内容のイメージです。
続いて23ページ目が連携推進法人における貸付けの記載イメージということで、これまで論点で御説明させていただいた内容を絵にしたものになります。
資料1の説明につきましては以上でございます。
続きまして、資料2「令和2年度における『小規模法人におけるネットワーク化による協働推進事業』の取組例について」でございます。
こちらは、前回の検討会の際に、山田構成員から「小規模法人のネットワーク化による協働推進事業」の取組例の中で連携推進法人の議論に資するものを紹介してほしいといただいた御意見を踏まえて、今回、資料をお出しさせていただきました。
1ページ目にありますとおり、「小規模法人のネットワーク化による協働推進事業」においては、小規模な社会福祉法人等からなるネットワークを構築し、当該ネットワークを通じた協働事業を推進することを目的に、平成30年度に創設しました。
この事業においては、地域貢献のための協働事業、人材確保・定着のための協働事業、事務処理部門の集約・共同化の事業の全部又はいずれかを行うこととしております。
以下、これから説明させていただく取組例は、令和2年度の国庫補助協議段階での実施主体における事業計画の内容になっておりまして、新型コロナウイルス感染症の影響により、必ずしも計画どおりに事業が進捗していない場合があることを御了承いただければと思います。
1つ目、山形市の取組例としましては、運営主体は山形市内の特別養護老人ホーム施設長連絡会が運営しており、31法人がネットワークに参加しております。地域貢献のための協働事業として、SDGsを学ぶオンライン講座の開催ですとか、人材確保定着のための協働事業として、介護人材の定着に向けて認知症や身体拘束等のオンライン講座の開催しています。
2つ目、伊賀市の取組例としましては、伊賀市社会福祉協議会が運営しておりまして、15法人がネットワークに参加しております。地域貢献のための協働事業としましては、例えば災害時の相互支援協定に基づき避難者の受入先の調整等の実施や、人材確保定着のための協働事業では、ネットワークに参加している法人の専門職の中から講師を登録させて、職員能力向上のための研修等を開催しています。
続きまして2ページ目、滋賀県の取組例としましては、社会福祉法人が運営していて、8法人がネットワークに参加しております。ここでは、地域貢献のための協働事業として、地域住民の困りごとを相談支援する「なんでも相談会」の開催などをしています。
続いて、京都府の取組例としまして、行政とネットワーク参画法人が共同で運営しており、5法人と京都府、関係市町、ハローワークなどがネットワークに参加しております。人材確保定着のための協働事業としましては、20法人が参加する合同就職説明会を開催したり、採用3年以内の職員の交流会をオンラインで開催したりということをしております。
5つ目、熊本県の取組例としましては、天草市保育所連盟が運営しており、48法人がネットワークに参加しております。地域貢献のための協働事業としましては、例えば各園の園外散歩の機会などを通じて地域における単身高齢者に対する見守り等の実施や、人材確保定着のための協働事業として、合同面接会の開催の実施をしています。
資料の説明は以上でございます。
○田中座長 説明ありがとうございました。
本日も論点が多岐にわたりますので、テーマを区切って議論を行ってまいります。最初に、社会福祉連携推進業務のうち、経営支援業務、物資等供給業務に関する論点整理から議論を始めます。資料で言うと、資料1の1ページから7ページまでの関連で、各構成員より御意見や質問をお願いいたします。
なお、これらの業務の自由度はかなり高いものとなっておりますので、各構成員で知見をお持ちの方は、こうした業務をどのように位置づけるべきかに関して積極的な御提案をお願いいたします。併せて、資料2についても、御意見、御質問があればここで伺います。
では、どうぞ。発言される場合、挙手をお願いします。
宮川構成員、お願いします。
○宮川構成員 ありがとうございます。
御質問も含めてなのですが、4点ほどございまして、まず1つ目は、4ページ目でございます。先ほど御説明いただいた中段のところですが、税理士、社会保険労務士の業務に関しては、税理士法や社会保険労務士法に基づき行うことができないとなっているかと思いまして、私もそのとおりだと思っているところなのですが、例えば税理士事務所や社労士事務所に事務を簡略化することを目的として、社会福祉連携推進法人がそういう事務所と契約して、こういう業務を各法人に対して行うということができるのかどうか、ちょっと私も制度がよく分からないのでそういうことが可能なのかどうかというのが1つ目です。
2つ目は、その下の〇の一番下の・ですが、社員の特定事務に関する事務処理の代行、その特定事務はどういうものが当たるのかという想定を教えていただきたいというのが2点目です。
3点目でございますが、飛びまして6ページ目でございます。物資等供給業務に関する論点整理の「➁について」の2つ目の大きな〇でございますが、「その際、給食に必要な設備については、特定の社員の施設の厨房を活用するほか」となっておりますが、この場合、各社員から、例えばある法人の厨房を持っている法人に対して、それを借りた場合に、その借りたことに対して施設の利用料みたいな形で払うことが可能なのかどうかという点について教えていただけたらと思います。
あと、最後、4点目になりますが、こちらの物資等供給支援業務全体と経営支援業務全体についてでございます。図示を見ますと、委託料という形で結構お金が出てくる格好になっており、余りないかとは思いますが、もし各社員に割り当てられた委託料を払うことができなかった場合の想定も、連携法人として事前に相談をしておいたほうがいいかなと思いました。
以上でございます。
○田中座長 宮川構成員、ありがとうございました。質問4点ございましたので、お答えください。
○初鹿専門官 まず、1点目ですけれども、今、直接御質問いただいたことができるかできないかというのを明確にお答えすることができなくて大変恐縮なのですけれども、この社労士ですとか税理士が自分の所属しているところ以外の法人に対する租税の申告ですとか、それから、労働基準関係とか職業安定関係の書類の作成手続を行うときには、それぞれ、税理士は税理士事務所、それから社会保険労務士は社会保険労務士事務所に所属している必要があるということで、その事務所に所属している者であれば業務ができるという形になっております。
ですので、社会福祉法人がそれらの事務所に委託して業務の代行をしているということがあると思うのですけれども、その間に連携推進法人が立って、さらに委託を円滑にしていくといったことが可能なのかどうかというのは確認させていただければと思います。
2つ目ですけれども、社員の特定事務に関する事務処理の代行ですけれども、資料のつくりが分かりにくくて恐縮ですけれども、4ページ目の上のポツの上から5行目から6行目に載せているような報酬等請求事務のデータの作成の代行ですとか会計帳簿の記帳代行といったことが社員の特定事務に関する事務処理の代行に当たると考えております。
続いて、特定の社員の施設の厨房を活用するときの施設の利用料ということですけれども、こちらは連携推進法人に参画する社員でお決めいただいて、利用料を一定程度お支払いいただくということは可能かと思います。
それから、最後ですけれども、業務が委託として発生する場合の委託料が払えないような場合ということですけれども、基本的には、こういったことはなるべくないように、事前に連携法人と、それから社員間でどういった業務を連携推進業務として連携法人がやっていくのかというのは、よく話し合っていただいた上で対応していく必要があると考えております。
以上でございます。
○田中座長 よろしゅうございますか。
では、ほかの御意見や御質問があればお願いします。
山田構成員、お願いします。
○山田構成員 ありがとうございます。
質問の前に、先ほど事務局のほうから、私が前回お願いしていました「小規模法人のネットワーク化による協働推進事業」の取組例を紹介していただきまして、ありがとうございました。御礼申し上げます。
次に質問なのですけれども、今、宮川委員がおっしゃったことと一部重なるのですが、6ページの「➀について」の2つ目の〇に「生産して社員に供給する」という表現があります。生産して社員に供給するというのは、次の➁の食事提供をイメージされているのかどうかという質問が1つです。
それから、6ページの「➁について」ですが、ここも、宮川構成員と一部重なるのですが、2つ目の〇印の「社会福祉法人が必要な設備を持つことも認められることとしてはどうか」という表現です。
結局、その上の行に「社員の施設の厨房を活用する」という言葉があります。実際、現実的には、特定の社員の厨房を使用することは一般的に行われるのではないかと思われますが、その場合に、連携推進法人固有の設備を持つというイメージはちょっとしにくくて、やはり特定の社員の厨房に置かれている設備を共用することになるのではないかと考えています。宮川委員おっしゃったように、利用料を払うとかいう形になるのか。要はそんなイメージになるかと思われますので、いわば、この必要な設備を持つことを認められることとしてはどうかというふうな表現とか、あえてこういう表現は要らないのかなあと思ったりいたしました。
以上です。
○田中座長 山田構成員、ありがとうございました。お答えください。
○初鹿専門官 ありがとうございます。
1点目の、「生産して社員に供給する」というのは、まさに御指摘いただいたとおり、➁の部分の給食の供給の論点を引き出すための書きぶりでございます。
2点目ですけれども、現実的には特定の社員の厨房を活用していくことになるというのは確かにそうだと想定しているところではあるのですけれども、ただ、連携法人自体が連携推進業務のために必要な設備を持って、そこで給食を供給できるようにしていくといったことも否定されるものではないということで、今回こういった形で並べて記載しているところでございます。
以上です。
○山田構成員 了解しました。
○田中座長 川原構成員、どうぞ。
○川原構成員 私は、7ページ目のところですけれども、システムの一括調達ですとか、設備・物資の一括調達とあるのですけれども、この一括調達したそのコストはどのように社会福祉法人、各社員が負担するのかという辺りをお聞きしたいと思います。その下に「大量購入による調達コストの縮減」と書いてありますので、恐らく社会福祉連携推進法人が一括して大量に購入して、その物資をまた各社員のほうが購入すると、社会福祉連携推進法人から購入するという形になるのでしょうか。そうすると、委託費ですとかいうふうな概念ではなくて、直接もう連携推進法人とその各社員の社会福祉法人との取引関係が成立するという形の整理でよろしいでしょうか。
○田中座長 どうぞお答えください。
○初鹿専門官 ここの一括調達については、ものによって、それから、相手との会社との関係にもよってくるかとは思っておりまして、ここでいう、一番下のところの「設備・物資の大量購入による調達コストの縮減が期待」というのは、多くのところが購入したほうが、まとめて買ったほうが費用が一般的に下げられるといったことを念頭に置いて記載しているようなところになるのですけれども、仕組みとしましては、連携推進法人が調達するための相手の法人との調整まで行って、それぞれの社員が実際の購入の契約を直接交わすということもあり得ると思いますし、今、御指摘いただいたような連携法人がまとめて買って、それをさらに社員に対して配っていくような形というのもあり得ると思います。どちらのパターンもあり得るのではないかと考えております。
○川原構成員 ということは、社会福祉連携推進法人と個別の社員間での直接物資の購入取引というのも形態としてはオーケーというふうな形、適正な利益を付加した上で取引しても構わないということ。
○初鹿専門官 そうですね。それはあり得ると思います。方法によっては、委託という形になるとは思うのですけれども、連携法人と社員間でのそういった形のやり取りというのはあり得ると思います。
○川原委員 ありがとうございます。
○田中座長 松原構成員、お願いします。
○松原構成員 社会福祉連携推進法人が行うことができる内容として、もう一度教えていただきたいのですが、どこまで福祉事業や連携推進事業ができるのか、給食はオーケーで、何だとだめというその線引きがよく分からなかったので、整理して教えていただけますか。
○初鹿専門官 こちら、前回の議論とも少し及んでくるようなところではあると思うのですけれども、連携推進法人は社会福祉連携推進業務を行う法人になっておりまして、この連携推進業務というのが、社員の連携を推進していくということになります。その社員が社会福祉事業を実施している法人ということで、基本的に社会福祉法人が中心と考えているようなところでございます。
今回、物資等供給業務の中でできる業務として整理させていただいた給食の施設の運営につきましては、給食の施設の運営自体が物資等供給の支援の業務に当たるということであれば、各社員の連携ですとか各社員の業務を支援していくということに該当しますので、給食施設の運営はできると考えております。
一方で、法律上で連携推進法人は社会福祉事業を行うことはできないと規定されておりまして、また、前回の議論の中でも、社会福祉推進事業以外の業務、連携推進業務以外の業務でどのような業務ができるかというところで、例えば社会福祉事業でなくても、有料老人ホームですとか、そういった社会福祉事業に類するようなものを実施してしまえば、社員同士の連携を推進していくというその部分にしっかり連携推進法人が取り組んでいくことが難しいのではないかということもありまして、そういった業務はできないこととしてはどうかという形で論点を提示させていただいて、御議論いただいたようなところでございます。
○田中座長 よろしいですか、松原構成員。
○松原構成員 考え方としては、モノの供給ならオーケーで、直接的なサービスは連携ではないという立てつけででしょうか。
○初鹿専門官 考え方としましては、社員への支援になるかどうかというところになりまして、モノの供給自体は、これをあくまで社員に対するものの、社員がその物資を活用してそれぞれ社会福祉事業をしていただくために、社員に対する支援になるからモノの供給はできると。先ほど申し上げたような連携法人が何か施設を運営するということ自体は、なかなか社員への支援に当たっていくことが難しいものがあると考えています。
一方で、サービスを提供するという中でも、前回御議論いただいた地域福祉支援業務の中では、一定サービスを提供していくことが社員への支援に当たるということもありますので、そういったものはできるようなこととしてはどうかと論点を示させていただいたところでございます。
ですので、視点としましては、モノであるかどうかというよりも、社員に対する支援になるかどうかというところでございます。
○松原構成員 ありがとうございます。例えば社員の施設を使って、皆で認知症カフェをやったという場合も、これは支援という考え方でしょうか。
○初鹿専門官 そうですね。今回のこの業務でいうところの、前回御議論いただいた地域福祉支援業務に該当してくるとは思うのですけれども、認知症カフェをやるときに、ある社員は施設を提供して、ある社員は例えば人を出してとか、ある社員はそこに来られる、参加される利用者の方の送迎をしてという形で、皆さんで何か一つのこととしてその認知症カフェを運営するということであれば、その社員間の調整をしていくために、これを連携法人が支援するということであれば業務に該当するのではないかと考えております。
○田中座長 今の例でよろしいですか。例えばですが。
○松原構成員 ありがとうございました。
○田中座長 ほかにこの7ページまでの関連でございませんか。
また後で気がつきましたら戻っていただいても構いませんが、では次に移ります。
続いて、貸付業務について議論を行います。資料1の9ページから25ページまでですね。これについて、各構成員、御意見、御質問があればお願いいたします。挙手をしていただくと見えます。
山田構成員、どうぞ。
○山田構成員 ありがとうございます。
資料の9ページの視点のところ、あるいは11ページの貸付けの当事者で合意すべき内容、あるいは12ページの貸付原資を提供する社員、この辺りに関連してくる質問です。1点目です。
まず、地域医療連携推進法人については非営利法人が参加できないということになっていますが、社会福祉法人の連携推進法人は非営利法人も参加する可能性があります。この場合、非営利法人からの資金拠出の制限について検討ができないかどうかというのがまず1点目です。
それから2点目は、地域医療連携推進法人でも融資ができるようになっていると聞いていますが、この貸付実績というのがあるのかどうかというのが2点目です。
それから3点目が、9ページ、16ページ、いずれにも関連するのですが、一時的、補完的というところです。これはWAMとか民間金融機関に融資を受けたものに限定と理解していいのでしょうか。要するに協調融資的なものに限定すると考えていいのかどうかです。
あと4点目、9ページに、当面の間、抑制的に行われるべきという表現の部分ですが、この「抑制的に行われるべき」というのをどのように担保するのかということですけれども、例えば18ページの所轄庁の認定段階とか、こういうイメージで考えていいのでしょうか。
たくさん質問して申し訳ありません。以上です。
○田中座長 4点、質問ございました。お答えください。
○初鹿専門官 すみません。御質問いただいた順番とちょっと前後しての回答になってしまうのですけれども、まず2点目から回答させていただきますと、地域医療連携推進法人は貸付けの実績あるかどうかということですけれども、こちらは貸付けの実績はないと聞いております。業務としては、こちらの社会福祉連携推進法人と同じように、法律上、業務として位置づけられているのですけれども、現時点では使われていないと聞いております。
それから3点目ですが、ここでいうところの一時的な資金需要に対応しているというのは、WAMですとか民間の金融機関から既に資金の融資を受けているものだけに限定するのかということですけれども、まずは、WAMですとか、それから、民間機関からそれぞれの法人で借りるような対応をしていただいて、それでもなかなか難しいようなところがこの貸付業務を通じて資金の貸付けを受けることを想定しております。
それから4点目、当面の間、抑制的に運営するということの担保の方法ですけれども、まず1つとしましては、こちらの資料の中で貸付原資提供社員、貸付金の原資を提供する社員である社会福祉法人が連携推進法人に貸せるお金というものを、上限としましては、本当に数百万円程度、1法人当たりから連携推進法人に貸せる金額としましては、その法人の運営の安定ということを重視しまして数百万円程度に抑えるということ、それから、実際に貸付業務の認定を受けられるまでに、慎重な手続を経なければならないといった制度面から、まずは小さく始めていくことというのを考えております。以上の点から抑制的に行われるということの担保をしていきたいと考えております。
御質問いただいた点、戻りまして、営利法人からの拠出の制限が可能かどうかということなのですけれども、前回の検討会での御議論のときに、例えば寄附は連携推進法人がその地域で活用されていくためにですとか、様々な業務ができるようなためにということで、幅広く受け付けるべきではないかという御議論もあったところですので、例えば社員の寄附を一律に禁止とか制限するということは考えられると思うのですけれども、ぜひ本検討会の中で御議論、御意見いただければなと思っております。
ただ、社員のうち、例えば営利法人のみの特定の法人格のみの寄附を禁止するといったような形だと、社員間の平等性の観点ということからも望ましくないのではないかなと考えておりますので、特定の法人格からのみ寄附を受けられないとしていくことはなかなか難しいかとは考えております。ただ、それ以外の制限の方法については御議論いただいて、御意見いただけますと幸いでございます。
○田中座長 課長、どうぞ。
○宇野課長 ありがとうございます。福祉基盤課長でございます。
今、初鹿が説明したとおりではございますけれども、私のほうからも補足させていただきます。
1つは、WAMとか民間金融機関の補完的な役割としたことについて、確かに我々の制度設計のイメージとしては、WAMとか民間金融機関から貸付けを受けることがなかなか難しいところが対象になるとは考えております。
ただ、先ほど山田構成員が御質問された趣旨として、必ずWAMや民間金融機関の貸付けを受けていることが条件かというと、そこは必ずしもそうではないのではないかと考えています。例えば民間金融機関にお話は持っていったけれども、貸付けを断られたところに対して、民間金融機関の融資実績がないから、連携法人の貸付けの対象にはなりませんという話になると、結局、社会福祉法人の安定性には寄与しませんので、そこが必ず条件だというところまでは我々は考えていません。まずは民間金融機関に御相談いただき、最後の手段としてお使いいただく形で制度設計を提案しています。
そういう意味では、「抑制的な」という言葉は、まさに今回御提示した制度全体の立てつけそのものでありまして、その中には所轄庁の認定も入っていますし、貸付けの諸々の要件も含めて、今回そういう考え方のもとに制度設計を提案しているということを御理解いただければと思っております。
○田中座長 いかがでしょう、山田構成員。
○山田構成員 ありがとうございます。結構です。
○田中座長 川原構成員、お願いします。
○川原構成員 私から2点ほど確認させていただきたいのですが、まず12ページですが、➂のところです。「直近3カ年度の本部拠点の事業活動計算書における当期活動増減差額の平均額を上限とすること」となっているのですけれども、これは貸付けの上限ですので、貸付けというのはある意味資金の移動だと思いますので、その資金の移動について、この事業活動計算書をベースにその上限額を設定するというのに少しいかがなものかという思いがございます。資金収支計算書ですとか、そちらのほうに基づいて上限金額を定めたほうがよいのではないかと思うところがまず1点でございます。
それとあと、2点目が15ページの➀のところですけれども、「高利でない適正な利率(無利子含む)」とあるのですけれども、これは例えば貸付けを行った社会福祉法人がほかのWAMですとか金融機関から借入等を行って調達していて、そこでの平均調達金利を下回る金額で社会福祉連携推進法人に貸し付けた場合というのは、別な見方をすると寄附にならないかという懸念があるので、そこら辺はいかがでしょうか。
その2点でございます。
○田中座長 いずれも重要な質問だと私も思います。お答えください。
○近社会福祉法人経営指導専門官 では、私から回答させていただきます。
まず1点目ですが、上限をいわゆる事業活動損益でなくて、キャッシュベースで把握すべきではないかという意見ですけれども、川原構成員のおっしゃるとおり、もし仮にキャッシュフローを明確に把握できるのであればそれがベストだと思うのですけれども、御存じのとおり、社会福祉法人の資金収支計算書につきましては、いわゆる未収未払いなどを含んだ概念でつくられていまして、事業活動、P/Lと同じような構造となっています。そうしたときに、そんなにP/Lの差額と資金収支差額が乖離することは通常余りないと、私どももいろんな分析をさせていただいている中で確認できているところでございます。
もう一つは、これも資金収支計算書の構造上の問題なのですけれども、仮に資金収支差額で原資を算定する場合に、長期の借入金なんかも原資になってしまう可能性も否定できず、いわゆる貸付原資として借入金が入ってしまうということはどうなのかと考えております。
あと、そもそもの話として、この支払資金の範囲には、短期の借入金なんかも含まれておりますので、区分を変えたところでも、これは借入金が入ってしまうということは否定できないので、そうしたときに、いわゆる資金収支と事業活動、どちらがいいのかと比較考量したときに、これは事業活動のほうがベターなのではないのかということで、私どもの案ということで提示させていただいております。
○初鹿専門官 2点目につきましては、私からお答えいたします。連携推進法人が貸付対象社員に貸付けするその利率次第では、そもそも貸付原資の提供社員の資金、原資を使っているので、それがWAMや民間から借りているお金の利率を下回ってしまうと寄附に当たる可能性があるのではないかということですけれども、最初に検討の視点で御説明させていただいたとおり、社会福祉法人、法人外流出が禁止されている中で、この連携推進法人を通じてほかの社会福祉法人に貸付けをするということについては法人外流出の例外として今回認めていくという形で、今回認めるとしたらどのような方法で認められるかということで、ここの資料でまとめているところにはなるのですけれども、この利率の部分で、無利子にすることも含めて、今回、連携推進法人への貸付けに当たるお金というのは法人外流出の例外、貸付けに係る一連の契約行為が全体として例外になると考えているところでございます。ですので、寄附には当たらないという形で整理したいと考えております。
以上です。
○田中座長 課長、お願いします。
○宇野課長 今の2点目のところにつきましては、むしろ逆にお伺いしたいと思う部分があるのですけれども、12ページの➃のところで「貸付金原資を調達する目的で、金融機関等からの借入、資産の売却を行わないこと」、つまり、今回の貸付けをするための借入は禁止をするという要件とセットで考えています。
ただ、もし川原構成員の御懸念の点が、「直接の貸付けはだめです」と。あるいは「直接の貸付ができないことはわかったけれども、ほかの例えば長期の貸付けとかいろいろな貸付けがあることが結果的に寄付につながってしまう可能性がある」という部分の御懸念なのかという点で後者であれば、そこはちょっと整理が必要かもしれませんけれども、結局、寄附に当たるかどうかに当たっては、最終的には税務当局の話になってきますので、そうすると、我々としては、最後は国税庁なりに伺ったとしても、恐らく個別判断だという話になってしまって整理がつかない可能性はあるとは思います。我々として制度設計するに当たっては、少なくとも➃というところで、寄附にならないように、貸付原資の調達と貸付は一応切り分けた制度設計にはしているつもりでございます。その点だけ補足させていただきます。
○川原構成員 今おっしゃられた➃のところ、貸付原資を調達する目的で金融機関等から借入ですとかを行うことはだめだというのはまさにそのとおりだと思っております。今の寄附に該当するのかどうかというのは、税務上もそうかもしれないのですけれども、社会福祉法人の法人外流出に要は該当するかどうかという観点が大きいのかなと思いますので、もしこれも、金利についても貸付け本体と同様に法人外流出には該当しないという整理をされるのであれば、寄附ではないというところで明確にしていただければいいのかなと、1点思います。
それとあと、先ほどのキャッシュフローではなく、事業活動計算書でというふうなところで私が引っかかりましたのも、今話をさせていただいた➃のところの金融機関等からの借入を原資にして社会福祉連携推進法人に貸し付けるのはだめだという立てつけであれば、借入を行うことによって貸付けの上限金額を左右されるということもないのかなという気はしております。
確かにおっしゃるように、事業活動計算書と資金収支計算書、本部拠点においてはそれほど大差がないというのは私も承知しているところでございます。
○田中座長 どうぞ。
○宇野課長 川原構成員、ありがとうございました。今のお話のうちの1点目については、ここは確かに検討の段階では無利子というのをどう扱うか、いわゆる法人外流出に当たるかどうかというところについては、無利子を含めてこれには当たらないという整理とすることを考えています。というのは、この貸付けの趣旨自体が社会福祉法人の最後のよりどころとして、事業の安定性に資するものとするという観点も重要ですので、無利子を含めてもいいのではないかということで、法人外流出には当たらないという整理でどうかと考えています。
以上です。
○田中座長 川原構成員、ありがとうございました。
宮川構成員、お願いします。
○宮川構成員 ありがとうございます。私から4点ほど御質問させていただきたいと思います。
まず1点目でございますが、9ページ目のところで書いてありますとおり、「抑制的に行われるべきである」ということで、私も制度の当初はそれでいいかなと思っているのですが、大前提としまして、拠出される社会福祉法人は、お金が戻ってこないかもしれない可能性を踏まえて貸付けに係る相談をしてもらえればなという前提のもとに、まず1つ目は、ここの9ページ目の➀で念のための確認なのですが、貸付金の原資を提供する社員である社会福祉法人と社会福祉連携推進法人との間の契約となっておりますが、一応これは社会福祉法人が原資を出すという想定になっておりますけれども、社会福祉法人以外の法人格から寄附ではなく、借入ということで原資を出すということは、貸金業法等の規制によって制限されているのかどうかという点をお伺いしたいというのが1つ目でございます。
続いて2点目でございますが、12ページ目になります。もともと抑制的に進める制度で、一つの法人さんが出せる金額というのはかなり制限があると思いますので、その範囲内でやるということであれば、多少は弾力的であってもいいのかなと私は思っておりまして、12ページの社会福祉連携推進法人への貸付けの要件のところの➁「貸付けを行う年度の前年度の法人全体の事業活動計算書が黒字」であると出ておりますが、上限とするのが次の➂で、3カ年の平均をとりますということになっておりまして、これは1カ年赤字であっても大丈夫だという話だと思いますが、一方で、➁のほうでは直近の決算書全体は黒字であると要件がなっておりますので、ちょっと厳しいのかなあという気がしているというのが2点目でございます。3カ年平均でもいいのかなと思っておるところでございます。
3点目でございますが、飛びまして14ページのスライドの一番下のところでございます。「同一社員が複数回貸付けを受けることを妨げるものではないが、この場合は今までの貸付金が完済されている必要があることとしてはどうか」というところでございますが、一回の貸付けが多分そんなに大きくないということが想定される中で、その一回の貸付けで足りない場合、一回返して、また借りたほうがいいのかなと一瞬考えたのですが、もともと拠出される金額がそんなに大きくないと思われますので、その場合に、一回返してもまた借りられる金額には限界があると思いますので、一回完済しているという要件があるのはちょっと厳し過ぎるのではないのかなという気がしているというのが3点目です。
そして最後に4点目でございますが、次の15ページ目のスライドの一番上の貸付期間でございます。この返済のところ、3年以内ということでございますが、原則として3年以内ということはいいと思うのですけれども、あとの段で出ておりますが、もし返済が滞った場合に期間を延ばすことができるというようなお話が出ている中で、3年以内と完全に限定してしまいますと、3年間で返済しなければいけなくなってしまうと、返済できない可能性が出てくる法人がもし多発してきた場合にちょっと厳しいのかなというのがありますので、例えば実際の意見を聞くなどして、もう少し弾力的に取り扱うようにしてもいいのかなと思ったりしたところでございます。
以上4点でございます。
○田中座長 4点、同じく大切な観点からの御質問をいただきました。お答えください。
○初鹿専門官 ありがとうございます。
まず1点目、社会福祉法人以外の社員が貸付けをする場合に貸金業法等の制限があるのかということですけれども、貸金業法を所管する金融庁からは、たとえ貸付けが反復的でなくて1回だけのようなものであったとしても、貸付けをするということについては貸金業法の適用になるかどうかというところの検討の俎上に乗ってくると聞いておりまして、社会福祉法人が連携推進法人に貸付けをすることについては適用の除外にはなるのですけれども、社会福祉法人以外の法人格の社員が連携法人に貸付けをしたい場合には、やはり貸金業法のスキームにのっとって許可等の手続をしていただく必要があるというところでございます。
2点目から4点目のところ、こちら、総じての回答になってしまうのですけれども、貸付けの原資を提供する側も少ししか提供できないのではないかということですとか、3年間だとなかなか返済できないところが出てくるのではないかということですとか、あとは、3年だと実際に使える使途も限定されてくるのではないかといったことで、実際にこの貸付業務を使っていくことの広がりを考えたら、もっと要件を緩めていくということは実際御意見としてはあるのだと思います。ただ、実際に始めていくに当たっては、例えば地域医療連携推進法人のほうでは実際やっている例がなかったり、社会福祉法人が貸付けをするその原資を提供する社会福祉法人の運営の安定性というところをやはり重視していきたいと考えておりまして、まずは実際のこの制度の施行に当たってはなるべく厳しく制度をつくっていって、実際に施行された後に、実際にやっていく中でもう少し柔軟に対応できる部分があったほうがいいのではないかというニーズとか、そういう柔軟に対応ができるような状況、実際にやってみたらそういう状況だったということであれば、必要に応じて見直しをしていくようなことをしたいと考えておりまして、現時点では、12ページ、14ページ、15ページで御指摘いただいたような厳しい要件を課しているところで、それを案としているところでございます。
以上です。
○田中座長 課長、どうぞ。
○宇野課長 宮川委員、ありがとうございました。今の2点目、3点目、4点目の御指摘、非常にありがたい御指摘と思っております。まさにこれは論点であり、別にこれで決まったわけではありませんので、御議論いただければと思うのですが、1点ご留意いただきたいのは、今、初鹿が申し上げたことに加えてですけれども、この社会福祉連携推進法人の貸付業務については、社会福祉法人自体は法人外流出が厳しく制限されている中で、その例外として、税務当局を含めて御了解いただいた最大のポイントは何かと申しますと、これは貸付けごとに所轄庁の認定が必要としていることにあります。
貸付けごとに所轄庁の認定が必要だというスキームを前提にしますと、我々といたしましては、確かに貸付業務自体をどう有効に使っていくかという観点も必要なのですが、もう一つは所轄庁の認定業務の負担をどう考えていくかという部分も一方でバランスとしては考えなければいけません。
そういう中で、できるだけ使いやすくしていくという方向にすればするほど、認定の類型自体が決まった形以外の応用問題が増えてくるというところがありまして、これは連携法人の規模にもよりますけれども、一般市も入ってきますので、そういう中では、18ページに書きますとおり、一回一回の認定で、かつ、返済までチェックしますので、そうすると、返済期間の途中でまた次の追貸しを認めてもいいではないかというのは、普通だったらいいと思いますけれども、所轄庁の認定業務というのを考えたときに、果たしてそこまでちゃんとフォローできるのかどうかという部分のバランスを考える必要もあります。結局、結論としては初鹿と同じなのですが、まずは慎重にという部分で、そこは社会福祉法人制度という部分、社会福祉法人が持っている部分プラス、こういう所轄庁の業務量の部分というところも踏まえた案ということで御理解いただければと思っております。
○田中座長 ありがとうございました。
宮川委員、どうぞ。
○宮川構成員 ありがとうございます。それであれば18ページに出ておりましたとおり、2番目の〇でございますが、「所轄庁が円滑に認定できるよう、施行までに認定のチェックリストを作成すべきではないか」ということですが、私としましては、現在貸付業務をやっておりますが、所轄庁が各法人の貸付の状況や決算の内容をなかなか見切れていないというケースというのが結構あるかと思いますので、この辺のチェックリストもぜひ丁寧な作成をお願いできればと思います。
以上です。
○田中座長 ありがとうございます。
ないようでしたら、私からも聞いていいですか。
一委員としての質問ですが、貸付原資提供社員から連携推進法人への貸付けは期間制限はないのですか。借りるほうは3年でしたよね。提供社員と推進法人の間の契約は何年と特に書いていないのですが、それはないのでしょうか。
○初鹿専門官 2個それぞれ契約があって、社員が連携法人に貸すほうは3年と決まっているけれども、連携推進法人に対して社員が貸すほうは、ここの資料上で契約期間としては出てこないのですけれど、どちらの契約というのも、基本的に同一日に履行していただくことを前提としておりまして、また、お金が返済された後に、貸付けの対象社員から連携推進法人のほうにお金を返済したら、連携推進法人のほうでプールされることなく、貸付原資提供社員のほうにお返しいただくということがスキームの前提と考えておりまして、基本はどちらも変わらずに3年にはなるだろうとは考えてはおります。
○田中座長 実態としては、個別の項目ではそうなるという意味ですね。ありがとうございます。
もう一つ、14ページに「貸付金使用後、速やかに使用状況について報告を行わなければならない」と書いてありますが、これは個別の取引ごとですか。それとも、まとめてでしょうか。建物を建てる場合などは一回で使ってしまうかもしれませんが、賃金だと、何カ月かにわたって使ったりするかもしれません。個別に使用状況を報告するのでしょうか。
○初鹿専門官 ここは、使用のされ方、今、御指摘いただいたとおり、人件費などの毎月、しかも人ごとによってタイミングが違ったりしたら、その都度出すとかいうとなかなか煩雑になってくると思うので、ここで意図したいこととしましては、使用状況を全然報告することなしに、いつの間にか使ってしばらくたっていたということがないようにしたいというような趣旨でございまして、ある程度まとまった期間で連携推進法人に幾ら使ったという報告をしていくという形になるかと考えております。
○田中座長 例えば半年に1度とか1年に1度とか、それでもいいと。個別にお金を使ったからではないのですね。
○滝澤法人指導監査官 事業の中身によって少し報告の仕方は工夫していきたいと思います。ランニングコストのような話であれば一定期間を区切って、例えば1カ月以内ですとか、3カ月以内ですとか、期間を区切って報告するような形を想定していきたいと考えております。
○田中座長 説明ありがとうございました。
松原構成員、お願いします。
○松原構成員 念のため確認させていただきたいのですけれども、この貸付けを受けられる社員は社会福祉法人に限定している一方、貸付原資を提供する社員も社会福祉法人に限定しているのでしょうか。
○初鹿専門官 10ページ目の「貸付業務に関する法律上の規定」を御覧いただきたいのですけれども、こちら、第125条の第4号というところで「資金の貸付けその他の社員(社会福祉法人に限る。)が社会福祉事業に係る業務を行うのに必要な資金を調達するための支援として厚生労働省令で定めるもの」ということで、貸付けを受けられる社員は、法律上で社会福祉法人に限っているところでございます。貸付けの原資を提供する側というのが、これ自体は社会福祉連携推進業務の体系の中で制限があるわけではございませんので、社会福祉法人以外もあり得るところではあるのですけれども、ただ、実際に貸付けをしていくとなると、貸金業法の法律上の規定にのっとってやっていかなければいけないということもあるので、かなりハードルは高いので、余り行われることは想定されないのではないかと考えております。
以上です。
○松原構成員 先ほども、川原委員でしたか、質問で、結局、社会福祉法人以外であればそれは想定されないのでしょうけれども、もし可能になった場合、今、社会福祉法人が原資を提供する場合には、法人本部会計の収支差額のところが限度だから大した金額でないのだけれども、社会福祉法人以外になるとそういう限度は全く設けていないという考えでしょうか。
○初鹿専門官 そうですね。その場合には、連携推進法人に対する原資の提供という部分では限度額はないところになります。ただ、実際に貸付けを受ける社員が返済可能な額の範囲にはなってきますので、その部分で返済可能な額ということでの制限はかかると考えております。
○松原構成員 その返済可能な額というのは、当事者同士が返済可能と考えたらオーケーという考え方でしょうか。
○初鹿専門官 そのとおりです。当事者の合意の中で返済可能な額がどのくらいかというところの範囲内で借りていただくということになります。
○宇野課長 今の説明のとおりなのですが、ただ、これは貸付けの認定が必要になってきますので、それは所轄庁が審査することになります。かつ、この所轄庁認定のところの論点の中では、各社会福祉法人の所轄庁ともよく情報共有してくださいということがあります。情報提供、意見照会を行って、特段の問題がなければ認定して差し支えないということも併せて提案させていただいておりますので、そういう意味で所轄庁認定というところをかませていると御理解いただければと思っています。
○田中座長 ほかによろしゅうございますか。
川原構成員、それから山田構成員の順でお願いします。
○川原構成員 ありがとうございます。
9ページの部分なのですが、「制度施行から当面の間」という記述があるのですけれども、これは具体的に何らかの、例えば5年後に見直しですとか、そこら辺が決まっているのでしょうか。なぜかといいますと、先ほど来、制度施行当初なので、これは抑制的にというお話がございました。ただ、金額の上限ですとか、その期間ですとか、実際にこれが制度施行されて、どのような形で皆さんが運用されていくか、そしてまた、WAMですとか、あと民間金融機関からの借入を補完するとなった場合には、本来的にはもう少し機動的であってもいいのかなという気もいたしますので、そこら辺の見直しというのは、将来的に行うということだと思うのですけれども、何らかの期間の定めという辺りは考えられているのでしょうか。
○初鹿専門官 この「制度施行から当面の間」、ここの部分、9ページで指している期間、具体的に決めているものではないのですけれども、この連携推進法人の創設が盛り込まれている「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律」において、5年間で検討して必要な見直しを行うことという、一般的な5年後の見直しの規定というのは入っていますので、この貸付業務の「制度施行から当面の間」どうするという、ここに直接期間をお答えするものではないものの、ただ、連携推進法人全体として、施行後5年以内の見直しということで議論をしていくことになると思います。
○川原構成員 ありがとうございました。地域医療連携推進法人も5年後に見直しというふうな、たしか立てつけだったと思いますので、質問させていただきました。
○田中座長 山田構成員、お待たせしました。
○山田構成員 12ページです。「貸付原資を提供する社員のルール」というところの〇の上限額のところですね。先ほど抑制的ということのポイントの一つは、金額をある程度小さな金額ということで、24ページの3カ年の平均の数字とか御説明いただいたところです。これがちょっと、私、基本的なことを誤解しているのかもと思ってお聞きするのですが、この上限額というのは法人ごとと考えてよろしいのですよね。
○滝澤法人指導監査官 そのとおりです。
○山田構成員 そうなると、21ページのフロー図ですけれども、このどこの時点で上限額というのは確定すると思ったらよろしいでしょうか。➂、➃辺りと思ってよろしいのですか。
○宇野課長 今言った上限額というのは、あくまでも連携法人に貸し付ける各法人の上限額になります。そういう意味では、実際にはどうするかというと、例えば5法人があって、5法人が社員としてあって、そのうち1法人に残りの4法人が貸しますというときに、その4法人のうち何法人がその貸付けに参加するかによって総額が変わってくるわけです。そうしますと、結局この中で言うと、恐らく➀のところで決めてもらわないと、多分実際には決まりません。途中に書いてありますとおり、4法人全部参加するかもしれませんし、いや、うちは参加しないという法人が出てもよいものですから、➀の段階で御議論いただかないと、貸付け全体のスキームは決まらないということになります。
○山田構成員 はい。それから、11ページですけれども、「貸付けの当事者で合意すべき内容」というところに何点か書かれています。ただ、貸付原資を提供する法人が連携推進法人に貸し付ける資金を拠出するとなった場合に、理事会、あるいは評議員会の承認が要ると思うのですけれども、そこでこの貸付業務を行う、要するに連携推進法人の6つの業務のうち貸付業務を行うということで認可された連携推進法人については、やはり決算状況とか、先ほどのキャッシュフローとか、こういう情報を常に共有していることというのを前提条件にしたほうがいいのではないかと考えていますが、いかがでしょうか。
○初鹿専門官 まず、貸付けの原資を提供する社員と、連携推進法人と、それから貸付けの対象の社員については、連携法人の所轄庁が貸付対象社員、提供社員、それから貸付けを受ける社員のそれぞれの所轄庁と情報共有できるような規定を盛り込んでおりますので、それぞれの担当する所轄庁のところで何か情報を共有していったり、認定に当たっての意見照会というのが法律上できるような形の整備にしているところでございます。
また、貸付けを受ける側の法人のことになるのですけれども、こちら、資料の14ページの上から2つ目のポツに※で書いているのですけれども、貸付対象社員は、社会福祉法第127条第5号トに基づきまして、自法人の予算等の重要事項について、連携法人の承認を受けなければならないこととなっていますので、その法人、貸付けを受ける側の法人がどのような予算の状況ですとか重要事項を決めていくときに貸し付けられたお金を予期せぬ使い方をされないよう、連携推進法人で確認できるようにしているところでございます。
○山田構成員 ありがとうございました。
○田中座長 宮川構成員、お願いします。
○宮川構成員 2点御質問と1点お願いでございますが、まず質問のほうで1点目は、12ページのスライド、一番下の〇でございます。「また、貸付原資提供社員から社会福祉連携推進法人への貸付けは、充実財産の控除対象財産とはならないこととしてはどうか」となっておりますが、今後、会計基準の検討会があるかと思いますので、そこの議論を踏まえながらで構わないと思うのですけれども、私が不勉強なので教えていただきたいのですが、貸付金はどのようにB/S上に乗ってくるか、各法人によっても変わってくるかと思いますが、例えば長期貸付金みたいな形でB/S上にもし乗るとすると、それは控除対象になるのではないかなという気がしたので、そこに関する質問が1つです。
もう一つの御質問は、16ページの一番上の貸付金の使途でございまして、これは例示でございますので、改修ですとか職員の人件費で、役員等報酬には充てていけないというのは私もそのとおりだと思いますが、法人さんが買われる少額な物品購入ですとか、日々の運営資金みたいなものも一応等で対象となってくるのかどうかお伺いします。
ただ、銀行の借入の借換えの資金とか長期に長年法人が持っている未払金の支払いとかに充当しては良くないと思いますので、それ以外のものであれば基本的にはいいのかという点の御質問でございます。
あと、1点お願いでございますが、先ほども川原構成員がおっしゃったように、多分、かなり抑制的な貸付けの制度になっているかと思い、スタートではもちろん抑制的で構わないと思うのですけれども、5年後の見直しに向けて、例えばここからは私の主観でございますが、現在の個々の法人と連携推進法人が契約を締結する形はかなり事務的に煩雑だと思っておりまして、将来的には、例えば今の社会福祉法人の法体系上では出資みたいなものは認められていないと思いますが、社会福祉連携推進法人自体がやはりある程度お金をストックして貸付できるような形も今後の議論の中では検討していただけたらと思いますので、是非よろしくお願いします。
以上です。
○田中座長 では、質問にお答えください。
○近社会福祉法人経営指導専門官 まず1点目ですけれども、まさに今会計のほうも時を同じくして検討させていただいているところでして、おっしゃるとおり、長期貸付金といいますか、しっかりと貸付けのストックが見えるような形で社会福祉法人の会計のほうも、今、勘定科目のほうをどうするかというのを検討しているさなかでございます。
ただ、充実財産の中の控除対象財産とするのかどうかという議論につきましては、これはその一部の、ほかに貸付制度が認められている法人との整合性、そういったものも検討しなければいけませんし、あるいは、この業務、当然回収することが前提ではあるのですけれども、焦げついてしまった場合、いわゆる徴収不能引当金として費用化された場合には、いわゆる費用という形で控除されます。したがいまして、ここでいわゆる二重控除の問題なんかも出てきますので、そこについてはちょっと分けて考えなければいけないところなのかなと考えておるところでございます。
以上です。
○初鹿専門官 2点目の使途なのですけれども、こちら、必要な改修ですとか人件費というのは例示になっておりまして、社会福祉事業の継続に最低限必要と認められるもので返済が見込まれやすいものであれば、物品の購入ですとか運営資金に充てるというのは言えるかと思います。宮川委員御指摘いただいたとおり、以下、長期に借りていたものの返済とか、そういったものに充てるということは使途としてふさわしくないのではと考えております。
○田中座長 ありがとうございました。ほかはよろしゅうございますか。
ほかに御質問、御意見がないようでしたら、本日の検討会はこれにて終了いたします。事務局は、今日の議論を精査して、必要な資料の修正があればお願いいたします。
最後に、事務局から次回の日程について報告をお願いします。
○高坂補佐 次回第4回では、社会福祉連携推進業務のうち、人材確保等業務、法人のガバナンスルールなどについて御議論していただく予定でございます。日程については追って御連絡させていただきます。
以上でございます。
○田中座長 本日は、それぞれの御専門の立場から、大変深い質問、あるいは提案等をいただきまして、ありがとうございました。
これにて終了いたします。
 

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