2021年1月27日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

日時

令和3年1月27日(水)14:00~

出席者

出席委員(19名)五十音順
(注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人1名
欠席委員(2名)
行政機関出席者
  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  中井清人(医薬安全対策課長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
  •  田宮憲一(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員) 他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは、定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会のWeb会議を開催します。本日はお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。この度の医薬品部会につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただいております。また、先日、1月25日付けで、薬事・食品衛生審議会の委員の改選が行われております。本部会につきましても、新しく委員の任命が行われております。つきましては、委員の御紹介をさせていただきたいと思いますが、あらかじめお送りさせていただいております医薬品第一部会の委員名簿、これに即しまして、私のほうから委員の先生方を御紹介させていただきます。お名前のみ御紹介させていただければと思います。まずは赤羽悟美委員でございます。飯島一誠委員でございます。遅れてこられますが、石川欽也委員でございます。それから、大谷壽一委員でございます。大森哲郎委員でございます。続きまして、岡淳一郎委員でございます。川上純一委員でございます。本日御欠席ですが、合田幸広委員でございます。それから、新しく着任された委員ですが、小崎健次郎委員でございます。遅れて御参加と聞いております。さらに、新しく着任された先生ですが、佐藤直樹委員でございます。佐藤雄一郎委員でございます。柴田大朗委員でございます。続きまして、代田浩之委員でございます。武田正之委員でございます。次は新しく着任された先生ですが、田﨑嘉一委員でございます。それから、本日御欠席ですが新しく着任された委員としまして、長谷川俊史委員でございます。平石秀幸委員でございます。堀恵委員でございます。続きまして、新しく着任された先生ですが、松野智宣委員でございます。それから、宮川政昭委員でございます。最後、森保道委員でございます。以上、21名でございます。
続きまして、この部会の部会長ですが、1月25日の総会において部会長の選任も行われております。この医薬品第一部会につきましては、森保道委員に部会長をお願いすることとされておりますので、御報告を申し上げます。森部会長から一言お願いできればと思います。
○森部会長 皆様、虎の門病院内分泌代謝科の森保道でございます。この度は杉薫前部会長の後任として、この大役を拝命することになりました。本第一部会におきましては、各分野の第一人者でいらっしゃる委員の先生方、また、参考人の先生方より貴重な御意見を頂戴し、一つ一つの議事につきまして科学と医療の両面から適切な判断を積み重ねていきたいと考えております。是非とも先生方の御協力、御支援をお願い申し上げます。
○医薬品審査管理課長 ありがとうございます。さらに、薬事・食品衛生審議会で、第7条第5項の規定に基づいて、部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理するとされておりまして、部会長代理については部会長から御指名いただくことになっています。森部会長、よろしくお願いいたします。
○森部会長 私のほうからは、合田委員にお願いしたいと思っておりますが、いかがでございますか。よろしいでしょうか。それでは、合田委員に部会長代理をお願いしたいと思います。ありがとうございました。
○医薬品審査管理課長 合田委員からは、事前に部会長代理について御了承いただいておりますので、合田委員に部会長代理をお願いしたいと思います。
続きまして、委員の出欠について御説明させていただきます。本日ですが、現在のところ、当部会委員数21名のうち、2名御欠席で2名遅れてこられます。したがって、17名の委員にこのWeb会議に御出席いただいておりますので、定足数に達していることを御報告いたします。なお、本日でございますが、審議事項議題1に関しまして、名古屋市立大学大学院医学研究科 血液・腫瘍内科学分野教授である飯田真介先生を参考人としてお呼びしております。どうぞよろしくお願いいたします。
○飯田先生 よろしくお願いします。
○医薬品審査管理課長 ありがとうございます。続きまして、部会を開始する前に、事務局のほうより所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告させていただきます。薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は、当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定されております。
今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
改選後初めての医薬品第一部会ですので、特に御留意いただきたい事項などにつきまして、事務局から御説明させていただきます。
○事務局 事務局でございます。それでは、本部会への参加にあたっての留意事項を3点ほど説明させていただきたいと思います。第1に守秘義務の関係です。国家公務員法第100条におきまして、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」と規定されております。本審議会の委員、臨時委員、専門委員は、非常勤の国家公務員となっておりまして、この規定の適用を受けますので、職務上知り得た秘密については漏らすことのないようお願いいたします。
続きまして、2点目として、薬事に関する企業等との関係です。関連資料といたしまして、事前にメールにて、資料11として「薬事分科会規程及び薬事分科会における確認事項」をお送りさせていただいております。こちらの資料の8ページ目ですが、薬事分科会規程第11条におきまして、先ほど御紹介したとおり、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定されております。審議の中立性・公平性を確保する観点から規定がされておりますので、これらに該当する場合、また、任期中に該当することとなる場合には、速やかに事務局まで御連絡いただくようお願いいたします。
最後、第3ですが、薬事分科会の審議事項でございます。先ほど御紹介した分科会規程、p15になりますが、医療用医薬品のうち、こちらのほうの表右側、「部会」「分科会」という欄がありますが、区分ごとに印が付いておりまして、○印が審議、△が報告、▲が文書配布による報告、×については審議・報告はなしとなっております。基本的にはこれに基づきまして、部会、分科会において御審議をお願いしているところです。
続きまして、同じく薬事分科会規程、p6の第7条ですが、「部会における決定事項のうち、比較的容易なものとして分科会があらかじめ定める事項に該当するものについては、分科会長の同意を得て、当該部会の議決をもって分科会の議決とする。ただし、当該部会において、特に慎重な審議を必要とする事項であるとの決定がなされた場合はこの限りではない。」という定めがあります。先ほど御紹介した表に記載している事項以外にも、このただし書きにありますように、「部会において特に慎重な審議を必要とする事項である。」と決定がされた場合には、分科会において御審議をお願いすることとなります。
委員の皆様におかれましては、このような規定を御承知の上、御審議いただくようお願いいたします。説明は以上ですが、御不明な点がありましたら事務局までお申し付けください。
○医薬品審査管理課長 よろしいでしょうか。それでは森部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○森部会長 部会長の森です。改めてよろしくお願いいたします。それでは、事務局から審議の進行方法の御説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明させていただきます。
審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれては、まず御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願いいたします。その後、部会長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際には、マイクがミュートになっていないことを確認の上、御発言をお願いいたします。なお、発言者が多いときには、発言された委員がこちらスカイプのメッセージに御記入いただくことで、部会長より発言者を順番に御指名いただけますので、こちらのスカイプのメッセージ機能も適宜御利用をお願いいたします。
○森部会長 よろしかったでしょうか。では、本日の審議に入ります。まず事務局から、資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告を行ってください。
○事務局 事務局でございます。それでは、本日のWeb会議に係る資料の確認をさせていただきます。本日、あらかじめお送りした資料のうち、資料1~7を用いますので、お手元に御用意いただければと思います。このほか、資料8といたしまして、「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」を、資料9としまして、「専門委員リスト」を、資料10として、「競合品目・競合企業リスト」を事前にメールにてお送りさせていただいております。なお、システムの動作不良などがありましたら、会議の途中でも結構ですので事務局までお申し付けください。
続きまして、本日の会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。資料10の1ページ目を御覧いただければと思います。「サレドカプセル25他2規格」です。本品目は「クロウ・深瀬(POEMS)症候群」を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
2つ目、2ページ目ですが、「アセノイラミン酸」です。本品目は「GNEミオパチーによる筋力低下の進行抑制」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
最後、3ページ目ですが、「KMW-1」です。本品目は「深達性II度又はIII度熱傷における壊死組織の除去」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に記載の品目を競合品目として選定しております。以上でございます。
○森部会長 ただいまの事務局からの御説明に、特段の御意見はありませんでしょうか。はい。それでは、本Web会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆さんの了解を得たものといたします。では次に、委員からの申出状況について報告してください。
○事務局 事務局でございます。薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申し出状況については、次のとおりです。議題1「サレド」につきましては、退室委員、議決に参加しない委員、ともにいらっしゃいません。議題2「アセノイラミン酸」につきましても、退室委員、議決に参加しない委員、いらっしゃいません。最後、議題3「KMW-1」につきましても、退室委員、議決に参加しない委員、いらっしゃいません。以上でございます。
○森部会長 今の事務局からの説明に、特段の御意見等はありませんでしょうか。よろしければ、皆さんに御確認いただいたものといたします。本日は、審議事項3議題、報告事項3議題、その他事項1議題となっています。それでは、審議事項の議題に移ります。では、議題1について、機構から概要を説明していただけますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、医薬品サレドカプセル25他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。資料1の審査報告書を御覧ください。審査報告の一番下、全40ページの通し番号で5ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。
本剤は、サリドマイドを有効成分とするカプセル剤であり、2008年10月に「再発又は難治性の多発性骨髄腫」の効能・効果で、また、2012年5月に「らい性結節性紅斑」の効能・効果で承認されております。なお、本剤においては、サリドマイド製剤安全管理手順(TERMS)の下、処方医師、責任薬剤師、患者及び特約店責任薬剤師を登録し、中央一元管理を行うこと、また、薬剤管理及び妊娠回避の徹底等を遵守すること等の承認条件が設定されております。
今般、医師主導治験としてクロウ・深瀬(POEMS)症候群(以下、「POEMS症候群」)を対象とした臨床試験が実施され、有効性及び安全性が確認されたとして、医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。
今回の開発対象であるPOEMS症候群は、多発性骨髄腫の類縁疾患で、多発ニューロパチー、臓器腫大、浮腫、胸水等の多様な臨床症状を呈する全身性疾患であり、疾患の進行により、神経障害、呼吸不全及び腎不全等を出現することから、その予後は不良であるということが知られております。POEMS症候群は、欧米と比較して本邦で発症頻度が高い疾患と考えられており、本邦における患者数は392人、有病率は10万人あたり0.3人と推定され、本剤は希少疾病用医薬品に指定されております。
POEMS症候群の治療法として、国内診療ガイドラインでは、自家末梢血幹細胞移植適応患者に対しては自家末梢血幹細胞移植を伴う大量化学療法が主流とされ、初回寛解導入レジメンとして、本薬とデキサメタゾンの併用療法が推奨されております。また、移植非適応患者や再発・難治患者に対しては、本薬とデキサメタゾンの併用療法等が推奨されております。
なお、本薬は、2020年3月現在、欧米を含む50以上の国又は地域で承認されておりますが、POEMS症候群に係る効能・効果で承認されている国又は地域はありません。
本申請の専門委員として、資料9に記載されております5名の委員を指名しております。臨床試験成績を中心に審査の内容を説明させていただきます。
まず、有効性について、自家末梢血幹細胞移植の適応とならないPOEMS症候群患者を対象に、国内第II/III相試験(以下、「JPOST-10試験」)が実施されました。最初にJPOST-10試験の主要評価項目について御説明いたします。審査報告書の通し番号10ページ、上から3行目の「申請者は、以下のように説明した」から始まる段落を御覧ください。POEMS症候群は多様な臨床症状を呈し、臨床症状を評価する場合、治療開始後12か月程度の期間が必要であると考えられたものの、プラセボ群に対して24週を超える基礎治療の継続は、亜急性増悪や生命予後に影響を与える可能性があり、倫理的に困難であると考えられました。POEMS症候群の多様な病態の根底には形質細胞の増殖及びそれに伴うVEGFの過剰分泌があるとされており、血清VEGF値と臨床症状の相関を示す報告があること、血清VEGF値は薬剤療法開始24週後に安定することから、主要評価項目として投与24週後の血清VEGF減少率が設定されました。その結果、主要評価項目について、審査報告書の通し番号8ページの表3を御覧ください。本剤群では、プラセボ群と比較して血清VEGF減少率が高い結果が認められました。
審査報告書の通し番号10ページ、下から17行目の「機構は」から始まる段落を御覧ください。開鍵前に作成された統計解析計画書では、主要評価項目の主要な解析において、欠測値は、LOCF、すなわち欠測以前の実測値により補完することは規定されていたものの、データの採否などの詳細は規定されておらず、症例固定及び開鍵後にLOCFの詳細な定義がなされました。そのため、主要な解析に加えて欠測値の補完方法を変えた複数の感度解析の結果について、確認いたしました。審査報告書の通し番号11ページの表4を御覧ください。主要評価項目である投与24週後の血清VEGF減少率について、解析間で検定結果に差異はあるものの、いずれにおいても、本剤投与によりプラセボと比較してVEGF値が減少する傾向が認められました。
次に、JPOST-10試験及び自家末梢血幹細胞移植の適応のあるPOEMS症候群患者を対象とした国内第II相試験(以下、「JPOST-13試験」)における副次評価項目とされた臨床症状の筋力や胸水量について御説明いたします。
審査報告書の通し番号12ページの表5及び6を御覧ください。徒手筋力試験では特に下肢筋力で改善する傾向が認められました。また、審査報告書の通し番号13ページの表7に示しましたとおり、胸水量変化では本剤群で減少する症例が多く、増加する症例は少なかったなど、一定の改善傾向が認められました。加えて、審査報告書の通し番号12ページ、下から2ポツ目に記載しましたとおり、JPOST-10試験長期オープン期において、正中神経の複合筋活動電位の振幅、運動神経伝導速度及びF波潜時は改善する傾向が認められました。
さらに、審査報告書の通し番号13ページの「7.R.1.2 無増悪生存期間及び全生存期間」の項を御覧ください。POEMS症候群に対する治療は延命を目的として実施されると考えられることから、無増悪生存及び全生存についても検討を行いました。JPOST-10試験では、無増悪生存及び全生存を評価する計画ではなく、事後的に情報を収集してイベントを抽出したため、打切りの取扱いにより有効性を過大評価することのないよう、一部の打切りをイベントとして扱った保守的な検討も行いました。その結果、審査報告書の通し番号16ページの図2に示しましたとおり、プラセボ群と比較して本剤群において無増悪生存期間及び全生存期間が延長する傾向が認められました。
以上の検討から、本剤の有効性は一定程度期待できると考えました。
次に、安全性について、審査報告書の通し番号18ページの表9及び10を御覧ください。臨床試験における有害事象の発現状況の比較において、POEMS症候群患者では多発性骨髄腫患者と比較して、特に洞性徐脈等の不整脈関連の有害事象が高頻度に認められ、重篤な有害事象も認められておりました。
この点について、審査報告書の通し番号19ページの「7.R.2.2 不整脈及び心血管関連の有害事象について」の項を御覧ください。POEMS症候群患者における不整脈発現のリスク因子の探索を目的としたコホート内ケースコントロール研究から、「亜急性増悪」及び「心疾患もしくは心電図異常」がリスク因子であると考えられました。また、不整脈イベントの半数以上は、投与開始から3週間以内に発現していましたが、投与開始後3週以降においても不整脈イベントの発現が認められていました。
審査報告書の通し番号29ページの表14を御覧ください。重症度がGrade3以上の有害事象並びに不整脈及び心血管関連の事象の発現割合は、100mg/日又は200mg/日投与と比べて300mg/日投与で増加する傾向が認められました。以上を踏まえ、不整脈及び心血管関連の事象に対する注意喚起について検討いたしました。
審査報告書の通し番号33ページの「1.2 安全性について」の項を御覧ください。審査報告書に記載しました各要点を踏まえ、添付文書の警告において、本剤の投与開始及び投与後は定期的な心電図検査又は心電図モニタリングを実施し、循環器を専門とする医師との連携の下で使用すること、特に本剤の投与開始時及び増量後の一定期間は、重篤な不整脈等への適切な処置が行える入院管理下で投与することを、注意喚起することが適切と判断いたしました。また、治療開始に先立ち、患者又は家族等に重篤な不整脈等の発現リスクを十分に説明し、文書で同意を得てから投与を開始することを注意喚起することが適切と判断いたしました。さらに、不整脈発現のリスク因子として挙げられた「亜急性増悪」及び「心疾患もしくは心電図異常」を有する患者では、不整脈発現のリスクが増大する可能性があることを添付文書の「重要な基本的注意」及び「特定の背景を有する患者に関する注意」の項において、注意喚起することが適切と判断いたしました。
最後に、効能・効果について、審査報告書の通し番号34ページの「1.3 効能・効果及び臨床的位置付けについて」の項を御覧ください。放射線療法や自家末梢血幹細胞移植を伴う大量化学療法が適用できないPOEMS症候群の患者に対する治療選択肢は極めて限られていること、先に御説明しましたように、国内診療ガイドラインにおいて移植適応患者の初回寛解導入レジメンや移植非適応患者や再発・難治患者に対して本薬の投与が推奨されていること等を考慮すると、本剤はこれらの患者に対する治療選択肢の一つとして位置付けられると考えました。
一方、JPOST-10試験及びJPOST-13試験における有効性及び安全性を考慮すると、国内診療ガイドラインにおいてPOEMS症候群に対して標準的に推奨されている他の治療法に取って代わる治療法ではないと考えました。
以上より、添付文書の効能又は効果に関する注意において、本剤の投与に当たっては、本剤の有効性及び安全性を十分に理解し、国内のガイドラインを参考に、本剤以外の治療の選択肢についても十分検討した上で、本剤の投与の適否を慎重に判断することを注意喚起することが適切と判断いたしました。
以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適切と判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。
なお、審査報告書に誤記がありましたので、訂正させていただきます。審査報告書の通し番号で37ページの表18を御覧ください。目的に「本剤を長期投与した際の安全性及び安全性」と記載されておりますが、正しくは、「本剤を長期投与した際の安全性及び有効性」のため、訂正させていただきます。また、同じく37ページの表19を御覧ください。主な調査項目の2点目に記載されております「本薬の使用又はその他の治療」は、正しくは、「本剤の使用又はその他の治療」のため、訂正させていただきます。なお、本訂正について審査への影響はありません。申し訳ございませんでした。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。追加で御紹介させていただきますが、本議題では飯田参考人にお越しいただいております。
○森部会長 では、飯田参考人から、本議題について御発言をお願いいたします。
○飯田参考人 はい、こんにちは。名古屋市立大学血液・腫瘍内科学の飯田です。では、本剤の臨床的な位置付けについて、追加で発言をさせていただきたいと思います。クロウ・深瀬症候群(POEMS症候群)は、希少疾患です。主に脳神経内科領域で、手足のしびれ、特に下肢のしびれとか足がもつれるなどの症状で発見されたり、あるいは総合内科とか一般内科で肝脾腫と大量の胸腹水、そして、末梢神経障害症状を呈して診断されることが多い疾患です。難病に指定されておりまして、特定疾患ですけれども、……。
○事務局 事務局でございます。飯田先生、接続が悪いようなので、少々お待ちいただけますでしょうか。
(機器不調のため中断)
○事務局 もう一度お願いできますでしょうか。
○飯田参考人 もう一度初めからのほうがいいでしょうか。
○事務局 最初の疾患の御紹介の部分は聞こえていましたので、その次からお願いいたします。
○飯田参考人 申し訳ありません。POEMS症候群の病態に関わっているのは、説明がありましたようにVEGFという因子が血中に増加しているということですが、それを引き起こしている原因として、骨髄中の腫瘍性の形質細胞が増加しているということが原因とされています。ですから、治療としては、多発性骨髄腫に準じた治療が行われている現状がありますが、残念ながら希少疾患であるがゆえに、POEMS症候群に適応となるような標準治療は全くないという現状です。
日本血液学会のガイドラインにおいては、一番有効な治療は大量メルファラン療法と自家末梢血幹細胞移植療法でありまして、骨髄腫よりも年齢層が若いものですから、約半数の方に自家移植の適応があり、この治療を行いますと、5年生存が9割近くて、無増悪生存率も5年で7割合程度という報告があります。ところが、見つかったときには、移植適応の年齢でありましても、非常にPSが不良で、呼吸もままならないという方もいらっしゃいますので、そういった方はすぐには移植療法に進めず、それ以外の治療で一旦病勢を落ち着かせる必要があります。また、移植適応ではない年齢の高い患者さんにおいては、現在ではメルファラン・プレドニゾロンとか、メルファラン・デキサメタゾンという治療が選択されますけれども、それも効かなくなってきますと、次なる治療が必要になります。そういった中で、サリドマイドはVEGFを減少させるということと、腫瘍性形質細胞を減らすという効果が期待できますので、日本血液学会のガイドラインにおいて、エビデンスは低いのですが、カテゴリー2Bというレベルで推奨されています。
サリドマイドをどこで使うかということに関しては、移植適応患者さんの場合には、例えば血管内脱水、すなわちキャピラリーリークが起こって、血管内脱水になっているため末梢血幹細胞採取が難しい場合とか、もう1つは、PSが悪すぎて、そのまま移植を行うと痰の排出ができないために肺炎を合併してICUでの呼吸器管理が必要になることが想定される患者さんです。我々もそういった方を経験しておりまして、そういった方にはサリドマイド・デキサメタゾンで症状を改善させてから移植にいくほうが安全だと考えております。その場合に、移植前にメルファランを使ってしまうと、自身の造血幹細胞の採取効率が悪くなってしまいますので、アルキル化剤以外の治療が必要ということで、サリドマイドが有効であると学会では考えております。
したがいまして、移植に進みたいけれども、リスクが高くてすぐにはいけないという患者さんの導入療法としてサリドマイド・デキサメタゾンを使用できればと考えております。また、移植非適応、あるいは移植後に再発したという患者さんに対しては、1つの治療の選択肢としてサリドマイド・デキサメタゾンが使用できれば、患者さんにとっては大変良いと考えております。現在は保険適用もありませんので、実際の臨床現場では各施設の倫理審査委員会で承認を得て、その上でサリドマイドのTERMSという委員会での審議を経て使わせていただいているという現状です。今回、千葉大学で医師主導治験が実施されましたので、その効果も含めて御検討いただきまして、何とか患者さんに使えるようにしていただきたいと願っております。以上です。よろしくお願いいたします。
○森部会長 ありがとうございました。では、次は委員の先生方から御質問等がありましたらお願いいたします。
○佐藤(直)委員 かわぐち心臓呼吸器病院の佐藤ですけれども、先ほど副作用の所で、資料20ページ目に洞性徐脈等の報告がありましたけれども、重篤な例は恒久的なペースメーカーの植込みということになっているようですけれども、ほかの軽症例というのは、中止、あるいは減量することで元に復しているのかどうか。それとも薬剤によって、いわゆる洞性徐脈が発生してしまう、あるいは失神等を起こすような状況になると不可逆的な要素というのが、この薬剤によってあるのかどうかだけを確認させていただきたいのですけれども、お願いします。
○森部会長 分かりました。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構より回答させていただきます。臨床試験における軽症の不整脈関連の事象に関しては、本剤の減量又は休薬によりまして改善する傾向が認められております。
○佐藤(直)委員 分かりました。ありがとうございます。
○森部会長 機構の方に伺っていいですか。シロスタゾールはどのような位置付けなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 シロスタゾールについては、徐脈等が起こった際の治療薬として、関連する学会のガイドラインで推奨されている薬剤であり、医療従事者向けの情報提供資材に選択肢の1つとして記載しております。
○森部会長 飯田参考人にお伺いしたいのですけれども、徐脈に対する臨床的な対応法は、どのように先生方はいつもされていらっしゃるのでしょうか。
○飯田参考人 飯田です。多発性骨髄腫の場合も、高齢者、特に80歳代以上の患者さんに使うときには、よく徐脈が起こります。ただ、今回のJPOST-10あるいはJPOST-13の試験で起こったように、急激に起こるということはなくて徐々に起こってきますので、通常は患者さんが動くと息切れするとか、そういった症状を訴えたときに脈を取ると、徐脈になっておりますが、通常はやめるだけで、すぐ回復されております。ただ、恐らくはこの疾患に伴って、自律神経障害も起こっていると考えられますので、緊急的な場合にはアトロピン製剤などを使うと思いますが、ただ、それでも改善しない場合には、やはり一時的なペーシングも必要になる可能性があると思います。多発性骨髄腫においては、ほとんどの場合、徐脈と診断した際に中止すれば回復しますので、この点は十分に添付文書に記載いただいて、注意喚起をして循環器の先生と一緒に診ていただくことが必要になっていくと思います。以上です。
○森部会長 ありがとうございました。佐藤委員、いかがでしょうか。
○佐藤(直)委員 はい、理解しました。そうすると、POEMS症候群自体とこの薬剤の兼ね合いで重篤になりやすいという理解でよろしいということではないかと思います。
○森部会長 はい。では、ほかの先生方から、追加の御質問はありますか。
○宮川委員 日本医師会の宮川でございます。この疾患の治療の困難さは飯田先生のお話でわかりました。そこで33/40で、「有効性について」という中で、有意差が認められていないとしつつも、本剤の有効性は一定程度期待するということのコメントがあります。この中で10/40の所ですが、最終評価時の欠測値を中止時、早期移行時直前のデータで補完することの理由についてというところです。亜急性増悪時は、水分とか血清タンパク、ともに大量に血管内から血管外の漏出が起こっており、血清VEGF値が必ずしも薬剤効果の評価に適しているとは言えないとされていますが、実際に亜急性増悪により早期移行した9例というのは、どのような状態であったのか確認は可能なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。機構より回答いたします。審査報告書、通し番号28ページ中ほどで、「その上で申請者は」で始まる段落の2ポツ目、「亜急性増悪により」をご覧ください。亜急性増悪が認められた患者は、長期オープン期に早期移行し、本剤の治療が開始されました。亜急性増悪が認められた患者は、300mgまで増量可能な計画であり、7例で300mgまで増量されまして、そのうち5例ではVEGF値についても改善・減少する傾向が認められております。
○宮川委員 分かりました。そういう意味では、増量することによって、一応、レスキューができたというか、改善がされたということで理解してよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ご理解のとおりで、患者の状態に応じて、そのような治療が行われるものと考えております。
○宮川委員 分かりました。それから、もう1つの根拠として、結果的に、全ての症例で二重盲検期、早期移行時、中止時は、治療中でなかったというような記載もあるのですが、それはどういう意味なのでしょうか。意味合いがちょっとよく分からなかったものですから、教えていただければ幸いです。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。御指摘の部分を確認させていただきたいので、少々お待ちください。
(中断)
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。先生からの御指摘がありました11ページ目の全ての症例で「二重盲検期早期移行時/中止時」は、治療中でなかったとの記載について、長期オープン期への早期移行時には本剤の投与を中止していた期間がございましたので、本剤の投与は行われていなかったということになります。
○宮川委員 分かりました。非常に難しい取り方をしなければいけないことが理解できました。
それから、サロゲートエンドポイントが検査値の血清VEGF、それが主要評価項目とされているわけですけれども、臨床症状の軽減ではなく、投与24週後の検査値をエンドポイントとしたというのがあるわけです。その検討過程というのは、それをエンドポイントとした理由というのは何なのかよく理解ができなかったのですが、その辺について機構のほうはどのように解釈されているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。審査報告書の10ページ目、一番上から3行目の「申請者は、以下のように説明した」から始まる段落を御覧ください。今回、臨床試験においてVEGFを用いた理由ですが、まず臨床症状を評価しようとした場合、このPOEMS症候群が多様な症状を呈することから、まず症状の評価として用いるべき項目の設定が難しいということ、またその症状が改善するまでには12か月程度の期間が必要であると考えられましたが、プラセボ対照試験において、24週を超えるプラセボ投与の継続は、亜急性増悪や生命予後に影響を及ぼす可能性があり、倫理的に困難と考えられたことから、臨床症状を主要評価項目に設定することは見送られました。VEGFは、POEMS症候群自体の疾患と関連する報告があり、血清VEGF値が薬剤療法開始24週目に安定することから、主要評価項目として血清VEGFの値が設定されました。
○宮川委員 よく分かりました。つまり、10ページの3ポツ目の所で、仕方ないというわけではないのですけれども、ご説明いただいた意味で倫理的に困難であるというような様々な状況の中で、そのようなエンドポイントの設定をされたと理解してよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、ご理解のとおりです。
○宮川委員 はい、ありがとうございます。
○森部会長 これについては、飯田参考人から御助言を頂くのは可能でしょうか。
○飯田参考人 ありがとうございます。本来は筋力とか、客観的に測定できるとすれば神経伝導速度とかで評価する方法があります。しかし、資料にはないかと思いますが、実臨床では治療して移植をした場合でも、動けなかった方がリハビリをして歩けるようになるのに、やはり1年ほどかかっています。神経伝導速度なども一部の治験症例では実施されているようですけれども、やはり痛みを伴う検査だと思いますので、エンドポイントとして全ての患者さんで調べることは難しかったのではないかと考えています。そういう意味では、私どもは、POEMS症候群の活動度の評価にVEGFの血清中の濃度を測定して、臨床的には使っていますので、VEGFをサロゲートエンドポイントにされたのは適切な判断ではないかと考えています。以上です。
○森部会長 どうもありがとうございました。宮川委員いかがでしょうか。
○宮川委員 はい、飯田先生の非常に困難な症例であるという、非常に大変な症例であるということの中で、こういう臨床試験さえも非常に難しい判断をしなければいけないという意味合いもよく分かりましたので、了解いたしました。ありがとうございます。
○森部会長 続いて、柴田委員から御質問を頂いています。柴田委員どうぞ。
○柴田委員 柴田です。機構の方に御質問したいのですが、質問は今、宮川先生から御指摘のあった、最初の点の解析方法の所です。審査報告書31/40、「適合性書面調査結果に対する機構の判断」というセクションがあります。最後の文章で、「欠測値の補完方法の変更前後で」という所から経緯を記載して、申請資料を構成するようにという指示が出ています。一方、タグ2.5に「臨床に関する概括評価」、臨床概括評価という冊子がありまして、11ページにこの辺のところの変更前後の経緯が記されています。
まず、事実関係の確認なのですが、このタグ2.5の11ページに書いてある話は、機構の指示を受けて追加された内容なのか、機構の指示を受ける前からこれが書いてあったのか、念のために確認させてください。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。御指摘のありました2.5につきまして、ページ数をもう一度教えていただけますでしょうか。
○柴田委員 タグ2.5の10ページから11ページの所です。LOCFという方法の定義が曖昧であったこと、及びそれに対して変更がなされたことについての定義が書いてある部分です。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。こちらについては、適合性調査の結果を受け、機構の指示で追記されたものになります。
○柴田委員 ありがとうございます。これについてのコメントですが、結果として現在提示されている解析に、先ほどのお話も踏まえますと、医学的な理由付けというのは成立しそうですので、現在審査報告書11/40ページの表4に書いてある、LOCF、一番上の行が主たる解析結果と現在みなされているものだと思いますが、この結果に基づいて評価をすることは一定の合理性があると判断します。ただし、添付文書にこの結果を記載するとき、単にLOCFと書いても全然インフォーマティブではないので、オントリートメントで最後に測定された値で計測した旨の定義が分かるように補っていただくとともに、インタビューフォーム等、あるいは提供資材等においてもきちんと、読まれる先生方が理解できるような定義で記載していただくことが必要だと思います。以上です。
○森部会長 柴田委員、大変に貴重な御指摘ありがとうございました。この注意書を正しく記載することによって、このプライマリーエンドポイントの解析を担保するということでよろしかったでしょうか。
○柴田委員 はい、そのような意図です。経緯を拝見しますと、これは本来であればやはりプロトコールであるとか統計解析計画書に書かなければならない事項であろうと思いますが、このような経緯が生じることも、疾患の特性を考えると理解できなくもない経緯ではあります。1点残念なのは、それが指摘を受けるまで書かれていなかったという点ですが、これについてはきちんと公開の場でそういう経緯が議論されているので、透明性を確保した上で、現在の機構が主たる解析だとみなすものに基づいて、判断することが許容できるかなと考えました。
○森部会長 ありがとうございます。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。
○森部会長 宮川先生、どうぞ。
○宮川委員 今、柴田委員のおっしゃったことはすごく重要なことです。私も先ほど、そのところまでは言い切れませんでした。柴田委員に言っていただいて大変助かりました。そういう意味で補完というところで、中止時・早期移行時なのか、早期移行時直前のデータを用いるのかという考え方で、表4の所の変更前とその後のことが表に出ているわけです。そういう所をクリアにちゃんと説明して明らかにならないと、誤解を与えるようなことになりますので、その所だけは是非お願いしたいと思います。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただきましてありがとうございます。御指摘を踏まえ、添付文書においても明確になるように修正したいと思います。
○森部会長 そのほかの委員の方から御質問をお受けいたします。いかがでしょうか。飯田参考人に、もう一度お伺いしたいことがあります。副次評価項目になっている神経内科的な評価ですが、今回の解析で得られた成績は患者さんの臨床的な側面からも有用性がある結果と考えてよろしいでしょうか。
○飯田参考人 そうですね、VEGFが最初に下がってきます。その後で、筋力や神経伝導速度、あるいはF値の回復が認められてきます。そうなれば、リハビリで患者さんの状態は確実に良くなられますので、そういう意味ではVEGFを1つの代替エンドポイントとして、それ以降には本来のエンドポイントとなる臨床症状における有効性が認められると考えていただいてよいと思います。全症例に効果が認められたわけではありませんけれども、実際に、臨床現場で使っていても、全例に効くわけではありません。よく効く方が多いですけれども、やはり効かない方もいらっしゃいますので、そういう意味ではそれを反映していると考えています。
○森部会長 ありがとうございました。そのほか委員の先生から御質問はいかがでしょうか。今回、添付文書の一部追記改訂がありますが、この内容に関して特に御質問等はありませんでしょうか。
○堀委員 すみません、よろしいでしょうか。
○森部会長 堀先生、おねがいします。
○堀委員 確認させていただきたいので、機構の方に質問します。今、森先生より添付文書のことについて、ということでしたので、添付文書の18の薬効薬理の所について質問いたします。薬効薬理の18.2、多発性骨髄腫に関する作用という所の後に、18.4参照と書いてあります。そして次のページをめくりますと、18.4のクロウ・深瀬のPOEMS症候群に関する作用の後に、括弧して18.2参照と書いてあります。これというのは18.4のPOEMS症候群に関する作用は、まったく18.2の多発性骨髄腫に関する作用と一緒と考えてよろしいのでしょうか。教えてください、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 機構から回答します。御指摘いただいたとおり、本来の作用機序についてはまだ明確になっていない部分がありますが、このPOEMS症候群に対する作用に関しては、多発性骨髄腫に類似した作用であると考えています。
○堀委員 ありがとうございます。そうすると、このクロウ・深瀬(POEMS)症候群には先ほども御説明がありましたように、類縁疾患、要するに多発性骨髄腫の類縁疾患なので、今現在でも多発性骨髄腫に関する作用がそのまま該当され、その範囲をPOEMS症候群にも広げると理解してよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御理解のとおりです。
○堀委員 分かりました、ありがとうございます。クロウ・深瀬(POEMS)症候群に関する作用が、一般市民だと、骨髄腫の類縁疾患である、ということがすぐに分かることは、ちょっと難しいと思ったので、確認させていただきました。ありがとうございます。以上です。
○飯田参考人 飯田ですけれども、よろしいですか。今の御指摘の所で、やはり形質細胞性腫瘍が原因になっているという意味で、骨髄腫類縁疾患であるALアミロイドーシスも同様です。あるいは、もっと稀な疾患で、Systemic Capillary Leak Syndromeといって、形質細胞性腫瘍が存在し時々ハイポボレミックショックを起こすような慢性の疾患もあり、それ以外にも様々な形質細胞性腫瘍をベースにした全身疾患があります。POEMS症候群はその中では比較的頻度の高い疾患だと考えています。ですから、治療としては腫瘍性形質細胞を減らすということが治療の主体になっています。以上です。
○堀委員 はい、分かりました。飯田先生、どうもありがとうございました。以上です。
○森部会長 ありがとうございます。そのほか委員の先生方から御質問はございませんでしょうか。では、最後に医薬品リスク管理計画について先生方から特に御質問、御指摘点はありませんでしょうか。審査報告書の37ページに表16~19と、リスクを管理する計画が列記されていますが、特にこの点について御質問、御意見はありませんでしょうか。
飯田参考人にお伺いしたいことがもう1つあります。今回の臨床試験の中で、失神をした症例が確認されていますけれども、明らかに不整脈を伴っていたことが確認されていない事例も含まれていたようですが、リスク管理計画の中に現在不整脈という項目はありますが、失神という項目は含まれていません。今回の再度の承認に関連して、失神を含めるということは、臨床上の意義はいかがでしょうか。
○飯田参考人 はい、ありがとうございます。失神については、例えば多発性骨髄腫でサレドを長期使用している場合も自律神経障害が起こってきますので、高齢者では時々あります。恐らく徐脈もそうなのですけれども、POEMS症候群ではかなり早期に起こっている患者さんがいらっしゃると思うので、そういった意味では今後注意が必要になってくると思います。一般的には起立性失調のような場合が多いのですけれども、血圧自体も下がってしまう方もいらっしゃいます。ですから、やはり失神については、十分に調べておく必要があると考えています。
○森部会長 御意見ありがとうございました。柴田委員から御意見を頂いています。いかがでしょうか。
○柴田委員 はい、37ページの表19について機構の方に質問します。目的がコホート内ケースコントロール研究と書いてあるのですが、比較対照の患者さんはどのようにして確保するのかと見てみますと、調査対象施設における全POEMS症候群患者さんという形になっています。本剤の追跡調査と同じ枠組みでこれができるのかというのを、念のために機構の方にお聞きしたいのですが。倫理委員会等を別途通して全例調査するのであれば、その全例調査開始までの期間の情報が別途取れるのかというのを確認したいのです。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構から回答いたします。調査方法としましては全例調査方式ということで、本剤が投与された全員が対象となりますが、本剤が投与された施設において本剤投与例だけでなく、本剤非投与例についても情報を収集して、比較をするという計画になります。
○柴田委員 そのデザインは分かるのですが、このようなデザインは科学的には望ましいと長く言われてきたのですが、なかなか行われにくい理由としては、きちんとコホート研究という形でやろうとすると、どう患者さんに説明をするのか、その他、研究倫理の面で手続上のややこしさがあって、少し難しいところがあるのですが、今回はそこがちゃんと詰められているということですね。不可能だと申し上げているわけではなくて、手順的にちょっと難しいところがあるので、丁寧にやらないと混乱すると思うので、質問です。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答します。御質問ありがとうございます。先生の御意見としては、審査報告書の表19の、本剤未投与例のほうのデータがどの程度取れるのかということ、コホート内ケースコントロール研究が詳細にどこまで詰められているかという御質問と理解しましたが、御質問の意図は合っていますでしょうか。
○柴田委員 はい。
○医薬品医療機器総合機構 ご指摘の点について、表19で示したのは概要であり、今後詳細を詰めていく予定です。きちんとした評価ができるように今後検討していきたいと思います。
○柴田委員 分かりました。コホート内ケースコントロール研究ということであれば、コホート研究としての建付けを作らないといけないので、ちょっと時間がかかると思います。計画概要にはレトロスペクティブでも可と書いてあるので大丈夫だろうと思うのですが、そこは実務的にきちんと適切な時間軸に収まるように指導していただければと思います。以上です。
○森部会長 柴田委員、ありがとうございました。機構はよろしいでしょうか。大丈夫でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、ありがとうございます。
○森部会長 先ほど、飯田参考人から失神の観察の重要性のことも伺っていますけれども、添付文書の副作用の項目の中の不整脈の項目には失神の記載がありますが、別立てとして特に失神の項目がないということを指摘したいと思います。この点について、委員の先生方から何か追加の御発言や御意見はございますか。現状の添付文書の記載でよろしいか、若しくは失神について別の項目を立てるべきか。御意見はいかがでしょうか。
委員からの御発言はありませんでしょうか。では、飯田参考人、できましたら少し御意見を伺ってよろしいでしょうか。度々申し訳ありません。
○飯田参考人 先ほど述べた失神の原因としては、hypovolemiaや起立性失調が多いと思うのですけれども、それ以外にも房室ブロックであるとか極端な徐脈の場合にも起こりうると思いますから、臨床的には全て失神という表現になりますけれども、両者の面で注意書きが必要かと思います。
○森部会長 ありがとうございます。機構いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。失神ですけれども、添付文書の重大な副作用の11.1.14の項をご覧ください。こちらに「心停止、洞停止、失神、徐脈等の不整脈、心不全等があらわれることがある」と記載しており、失神にも注意していただくように注意喚起しています。
○医薬品医療機器総合機構 追加になりますが、先生がおっしゃるように、失神の原因は不整脈以外にもいろいろ考えられ、それ以外の主な原因としては起立性低血圧等が考えられますが、11.1.13の項で注意喚起をしているため、失神について注意喚起させていただいていると考えていますが、いかがでしょうか。
○飯田参考人 11.1.13と14に、両方とも記載がありますね。それでよろしいかと思いました。ありがとうございます。
○森部会長 どうもありがとうございました。分かりましたので、これで結構でございます。そのほか全体を通じて先生方から追加の御発言はありますでしょうか。ありがとうございました。それではこの後、議決に入ってよろしいでしょうか。特に議決に入ることに関する異議はありませんでしょうか。
それでは本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし薬事分科会に報告とさせていただきます。続いて、議題2に移ります。飯田参考人、どうもありがとうございました。大変参考になりました。ありがとうございます。
○飯田参考人 お世話になりました。ありがとうございました、失礼いたします。
(飯田参考人退室)
○森部会長 議題2について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 事務局です。それでは議題2、資料2、アセノイラミン酸を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明させていただきます。資料は、資料2の中の2つ目、「事前評価報告書」をお開きいただければと思います。今回ですが、申請者は「ノーベルファーマ株式会社」、予定される効能・効果は、「GNEミオパチーによる筋力低下の進行抑制」です。希少疾病用医薬品を指定するための3要件がありますので、それぞれの要件について御説明させていただきます。
まず、最初の要件です。「対象患者数」ですが、GNEミオパチーは指定難病の「遠位型ミオパチー」に該当しており、患者数は大体167人~345人と推定されております。以上より、患者数5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
続いて、2つ目の要件である「医療上の必要性」ですが、GNEミオパチーは、GNE遺伝子の変異により、アセノイラミン酸の生合成が低下することで発症するとされる遠位型のミオパチーでして、筋線維の変性/壊死を主病変とする疾患です。筋力低下に伴うQOLの低下等の問題により、日常生活において次第に常時介助が必要となり、重症の患者については寝たきりになることもあります。現在、本邦ではGNEミオパチーを適応とした医薬品は承認されておりませんので、リハビリテーション等や筋肉痛に対する対症療法が行われている現状ですので、医療上の必要性が高いと考えております。
最後に、「開発の可能性」ですが、海外の第III相試験において、本剤のGNEミオパチーに対する有効性は示されておりませんけれども、国内第II/第III相試験において有効性が示唆されており、現在、追加の国内臨床試験を実施する予定となっております。
以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがって、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えておりますので、よろしく御審議のほどお願いいたします。
○森部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問等がありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。よろしかったでしょうか。それでは、議決に入らせていただきます。本議題について指定を可としてよろしいでしょうか。御異議はないようですので、指定を可とし薬事分科会に報告とさせていただきます。ありがとうございました。
続いて議題3に移ります。議題3について、事務局から概要を説明してください。
○事務局 議題3、資料3、KMW-1を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」のファイルをお開きください。
報告書の1ページ中段を御覧ください。申請者は「科研製薬株式会社」、予定される効能・効果は、「深達性II度又はIII度熱傷における壊死組織の除去」です。
まず、1ページの「対象患者数」についてです。厚生労働省の患者調査より、本邦における熱傷及び腐食の年間の受診患者数は最大2.7万人、DPC導入の影響評価に係る調査より、熱傷・化学熱傷・凍傷・電撃傷による入院患者のうち、外科的デブリードマンが行われたのは1,898件であったことから、指定基準を満たしているものと考えております。
次に、「医療上の必要性について」です。入院治療が必要な深達性II度又はIII度の熱傷患者は、熱傷受傷面積に応じて死亡率の増加が認められ、感染症や敗血症による全身状態の悪化や死亡を防ぐためには、受傷後は可能な限り早期に壊死組織を除去することが重要とされております。現在、本邦において壊死組織除去は主に外科的デブリードマンが施行されていますが、多量の出血を伴うことが多いこと、壊死組織だけを切除することが困難で、正常組織も一部含めて切除される場合があること等の課題があり、かつ、外科的デブリードマンの施行が困難な患者に施行される保存的デブリードマンにおいて使用される薬剤はいずれも標準的治療になっていないことなどから、新たな治療薬の開発が望まれています。また、深達性II度又はIII度の熱傷患者を対象とした海外第III相試験において、本剤により壊死組織が完全除去された被験者割合が93.3%であったこと、及び国内第III相試験においては○○%であったことから、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
最後に、「開発の可能性について」です。先ほど御説明した海外第III相試験及び国内第III相試験成績に基づいて承認申請を行う予定であることから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。
したがって、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○森部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問等がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。御質問を受け付けます。特にないようですね。それでは、議決に入ります。本議題について指定を可としてよろしいでしょうか。御異議はないようですので、指定を可とし薬事分科会に報告、大丈夫ですか。よろしいですか。報告とさせていただきます。もし、音声の不都合等がありましたらおっしゃってください。
続いて、報告事項に移ります。報告事項について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。それでは、報告事項議題1~3について、まとめて事務局から御説明させていただきます。まず報告議題1ですが、医薬品コムクロシャンプー0.05%の製造販売承認事項一部変更承認についてです。資料4です。本剤ですが、クロベタゾールプロピオン酸エステルを有効成分とするステロイド外用剤でして、頭部の尋常性乾癬に係る効能・効果で承認されております。今般、頭部の湿疹・皮膚炎を有する患者を対象とした国内臨床試験が実施され、マルホ株式会社より頭部の湿疹・皮膚炎に係る効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされております。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断されております。
続いて報告事項議題2、優先審査指定品目の審査結果について御説明させていただきます。今回、優先審査となった品目がありますので、その御報告になりますが、資料5をお開きください。販売名は「フォシーガ錠5mg他1規格」、一般名は「ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物」、申請者は「アストラゼネカ株式会社」です。「慢性腎臓病」に係る効能・効果で承認申請がなされております。
優先審査の該当性について、通し番号7ページを御覧ください。優先審査の要件である「適応疾患の重篤性」については、適応疾患は、「生命に重大な影響がある疾患」に該当すると判断されております。
続いて、「医療上の有用性」ですが、現在、本邦において慢性腎臓病を効能・効果とする医薬品は承認されておらず、慢性腎臓病の進行抑制/治療には、アンジオテンシン変換酵素阻害薬及びアンジオテンシンII受容体拮抗薬が用いられており、一部は糖尿病性腎症に対して承認されているものの、様々な病因からなる慢性腎臓病に対する有効性は示されていないことから、慢性腎臓病に対する既存の治療法は存在しないと考えております。
今般、慢性腎臓病患者を対象とした国際共同第III相試験が実施され、プラセボ群と比較し、本剤群において、主要評価項目である「主要複合エンドポイントのうち、いずれかのイベントの初回発現までの期間」の延長が認められております。また、安全性については、現時点で得られている情報を踏まえると忍容可能と考えております。
以上より、本剤の医療上の有用性は高く、本剤は要件のうち、「ア 既存の治療法、予防法若しくは診断法がないこと」に該当すると判断されております。これらを踏まえ、優先審査品目に該当すると判断させていただいております。
最後、報告事項議題3、医療用医薬品の再審査結果について御報告いたします。資料は資料番号6-1から6-3です。資料6-1が有効成分名「リドカイン・プロピトカイン」、販売名が「エムラクリーム及び同パッチ」。資料6-2は、有効成分名「ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩」、販売名が「プラザキサカプセル75mg及び同カプセル110mg」。資料6-3は、有効成分名「イルベサルタン/トリクロルメチアジド」、販売名が「イルトラ配合錠LD及び同配合錠HD」です。
これらの品目については、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査及び製造販売後臨床試験に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要がない「カテゴリー1」と判定させていただいております。報告事項については以上です。
○森部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問等がありましたら、お願いいたします。
○宮川委員 日本医師会の宮川ですが、よろしいでしょうか。
○森部会長 宮川先生、どうぞ。
○宮川委員 議題1のコムクロシャンプーの5/16の所です。細かいことなのですが、表6です。その中の群間差という所で-1.87という表現があります。これはどういう意味で用いられたのか、臨床的な意義というのは何なのでしょうか。プラセボと本剤を比較すればいいのですが、群間差を用いたという意味合いは、どういう意味なのでしょうか。より有効だということを見せたかったのかどうかということなのですが、これが表現として適切なのかどうかお聞きしたいと思います。
○森部会長 機構から御回答いただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。有効性の結果について、開発段階で臨床的意義の説明を求めていました。海外試験では、本剤と、本邦では適応がなく、欧州で適応がある、ケトコナゾールシャンプーが用いられました。これらを用いた試験において有効性の確認がされており、その結果を用いて臨床的意義が説明されております。その中では、IGAレスポンダーとノンレスポンダーの4週後のTSSの変化量が2.3から2.7であり、このTSSを構成する紅斑、鱗屑、そう痒が、それぞれ0.60から1.3という差が認められているという結果であったことから、本剤とプラセボでTSSの変化量の差が3以上程度あれば、臨床的に意義があると申請者から説明がされていました。
今回ですが、先ほど先生がおっしゃられたとおりで、平均値が-1.87というところの結果が出ていて、想定よりは小さいのですけれども、統計的に有意であるということ、各スコアの平均値の差がおおむね0.6程度の差があることから、臨床的に意義があると捉えているところです。この疾患自体、プラセボでも自然経過によって治ることがあり、髪の洗い方等でも改善されることもありますので、プラセボと比較した差を見たほうが適切だと考えております。説明は以上です。
○宮川委員 分かりました。非常に曖昧だということが分かりました。そのような意味では対プラセボというところの中で様々なものが使われるわけですから、臨床的意義が非常に低いという中で考えなければならないのかと思います。変な言い方で申し訳ないのですが、それは了解しているのです。ただ、本剤はストロンゲストのクラスのステロイドです。これは適正使用が非常に重要だと思われます。そのような意味では、既承認の尋常性乾癬とは、適応の判断とか医学的な管理というのは非常に異なるのではないでしょうか。湿疹とか皮膚炎とかというような形で、追加で承認するのは結構だろうと思いますが、添付文書に何らかの記載がないと非常に問題が起こるのではないかと思います。
いたずらに多用され、本来あるべき姿ではなくなることも懸念されます。今、機構からもありましたように、スキンケアという形で適切に洗い方とかそういうのをすれば、ある程度治っていくようなところに、ストロンゲストを使うというのは、非常に問題があるのではないかという懸念がありますので、是非、適正使用の徹底ということで問題があるのではないかと思ったのでご質問いたしました
○事務局 事務局より回答させていただきます。御指摘ありがとうございました。御指摘を踏まえて、今後、製造販売後において適正使用されるように、添付文書等において工夫できることについて検討いたします。
○宮川委員 もう1つです。この添付文書には処方箋医薬品という記載がないのです。そうすると最近、業界誌などでは零売という形を推奨する薬局がかなり出てきています。薬局などで零売をするようなことが起こってくると、このシャンプーも軽々しく扱われるのではないかと懸念します。ですから、薬物療法で用いる薬は大変貴重なものであるという認識から、売ればよいという考え方の一部の薬剤師がするという、そういう認識をしっかり私たちが持っていないと危険です。使用者である消費者に対して著しく不利益をもたらすことがあるのではないかと懸念しております。こういうことに対しては、今後ある程度の線引きをしていかなければいけないのかなと思いますが、いかがでしょうか。
○医薬品審査管理課長 まずは、医療用の医薬品ですので、これについては、基本的には医師の診断に基づいてという形で使われることを想定はしております。いろいろな動きがあるということについては、私どもも仄聞はしておりますが、それについてどうこうというところまでは、まだ大きな動きとしてはないかなと思いますので、いずれにしても、これについては医療用のお薬という形で認識しております。ステロイドとしては非常に強いステロイドですので、安易に使われるべきものではないということについては十分承知しておりますので、仮にそういうような動きがあった場合には、また何らかの対応を考えたいと思います。そういった形で先生の御指摘は受け止めておきたいと思います。どうもありがとうございます。
○宮川委員 よろしくお願いいたします。
○森部会長 宮川委員、貴重な御指摘をどうもありがとうございました。宮川委員から冒頭に御指摘がありました本剤の有効性に関する報告書の記載ですが、是非機構の方にお願いしたいのは、あらかじめ臨床試験が行われる際に想定されている有効性評価の基準というのがあるかと思います。その内容が報告書に織り込まれて、どの程度の差が見られれば臨床的に有効であるかがあらかじめ分かるような形で記載いただき、実際の臨床試験がその要件を満たしたことを委員の先生に確認いただけるような形で御作成いただければ、大変助かります。この点を是非、御協力をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答え申し上げます。御意見を頂き、ありがとうございました。御意見を踏まえて今後、審査報告を取りまとめさせていただく際に参考にさせていただきます。ありがとうございました。
○森部会長 そのほか、報告事項について御質問はございますか。
○柴田委員 柴田ですが、一言よろしいでしょうか。
○森部会長 お願いいたします。
○柴田委員 今、森先生からお話があった件について、ちょっと機構、あるいは本省の方にお伺いしたいのですが、今、森先生に御指摘いただいたことについては、それぞれの臨床試験がどのような症例数設定根拠で計画されたのかというのが必要になると思います。そのときに、臨床的に意味のある差をどのぐらいだと設定したのかという話が出てくるので。それについて、最近は審査報告書とか公開資料の中で、基本的に余り表に出てこないようになっていますが、何か方針があるのでしょうか。そういうものは出さないということにしてあるのでしょうか。
○事務局 そのような方針はないと理解しておりますが、機構から何かございますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答え申し上げます。そのような取決めは特にございません。
○柴田委員 ありがとうございます。論文等においても、サンプルサイズの設定根拠というのは単にNを決めるだけではなくて、どのぐらいの臨床的に意味のある差を検出しようとしてこの試験が計画されたものであるのかというのを明確にする上で重要な情報で、論文を書くときには必ず書きますし、最近は臨床試験のプロトコールなども公開されるようになっていますので、決して非公開にすべき情報ではないので、この点を御検討いただければと思います。以上です。
○森部会長 柴田委員、どうも貴重な御意見をありがとうございました。そのほか御質問はございますか。よろしいでしょうか。それでは、報告事項については御確認いただいたものといたします。
続いて、その他の事項に移ります。その他の事項について、事務局から御説明いただきます。お願いいたします。
○事務局 その他事項議題1、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について、御説明いたします。今回は、令和2年12月9日に開催された第43回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請を行うことが適当と判断され、本部会に御報告する品目が2品目、3件ありましたので御説明いたします。その他事項のフォルダにあります資料7、公知申請事前評価報告書のファイルをお開きください。ページ番号は、各ページの最下部に記載してある通し番号に基づき御説明いたします。
3ページを御覧ください。まず、ミコフェノール酸モフェチルの「造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制」に関する日本造血細胞移植学会からの要望について御説明いたします。以降、ミコフェノール酸モフェチルはMMF、移植片対宿主病はGVHDと略させていただきます。本要望については、令和元年8月の第39回の検討会議にて、医療上の必要性が高いと判断され、開発要請が行われておりました。
本要望の公知該当性について説明いたします。22ページを御覧ください。まず有効性です。海外で実施された無作為化比較試験において、MMFはGVHDの予防効果を有することが示されており、海外の診療ガイドラインにおいて、GVHDの予防に対する標準的療法、急性/慢性GVHDの治療に対しても二次治療の選択肢の1つであると記載されています。また、国内臨床試験においてもGVHDの抑制に対する有用性が報告されていること、成人及び小児の国内使用実態調査において、GVHDの抑制に対するMMFの使用実態が確認されていること、国内の診療ガイドラインにおいてもGVHDの抑制に対する選択肢の1つとしてMMFが記載されていることから、成人及び小児のGVHDに対するMMFの有効性は期待できると判断されました。
次に、安全性についてです。22ページの(2)を御覧ください。国内外の臨床試験、国内使用実態調査において認められた主な有害事象は、粘膜炎、感染症、好中球減少等であり、いずれも既承認の効能・効果において添付文書で既に注意喚起されており、新たに問題となるような有害事象は認められていないことが確認されました。
以上より、成人及び小児のGVHDに対するMMFの有効性及び安全性は、医学薬学上公知であると判断されました。なお、検討会議において、効能・効果及び用法・用量は、23~26ページに記載の内容とすることが適切と判断されております。
○事務局 続けて、ニトロプルシドナトリウムの公知申請について御報告いたします。29ページを御覧ください。今般、検討会議において公知申請を行うことが妥当と判断された要望は、ニトロプルシドナトリウム水和物の小児のうっ血性心不全の治療に対する適応追加です。本要望は、日本小児循環器学会及び日本小児麻酔学会から提出されました。
本要望の公知該当性について説明いたします。有効性の評価について、43ページを御覧ください。要望内容に関して、本剤は米国、豪州において小児の急性心不全に承認されており、国内外の臨床試験評価書及びガイドライン並びに本邦での臨床使用実態を踏まえ、小児のうっ血性心不全への有効性は、医学薬学上公知と判断可能と評価されております。
安全性の評価については、国内外の臨床試験で認められた有害事象のほとんどが、血圧低下、心拍数増加といった既知のものであって、国内使用実態調査では、本薬の減量や投与中止が必要となるような因果関係が否定できない有害事象は認められておりません。加えて、製造販売業者が収集した国内外の副作用情報について、4例の一酸化炭素ヘモグロビン血症が確認されており、本薬の投与速度が速い場合に生じる可能性があることから、添付文書にて投与速度に関する情報提供を行った上で忍容可能と評価されております。
以上より、本要望内容の有効性及び安全性は、医学薬学上公知と判断可能と評価されました。なお、検討会議において効能・効果及び用法・用量は、45~47ページに記載の内容とすることが適切と判断されております。
続いて、51ページを御覧ください。同一の薬剤、ニトロプルシドナトリウム水和物の小児の高血圧性緊急症の治療への要望について御説明いたします。要望は、うっ血性心不全と同じ日本小児循環器学会及び日本小児麻酔学会から提出されたものです。
本要望の公知該当性について説明いたします。有効性の評価について、62ページを御覧ください。本薬の小児の高血圧性緊急症に対する有効性は、海外での承認状況、国内外のガイドライン及び教科書の記載等を踏まえ、検討会議において医学薬学上公知であると判断されており、安全性に関しては、うっ血性心不全と同様、臨床使用において管理可能と判断されております。
なお、検討会議において効能・効果、用法・用量は、64~66ページに記載の内容とすることが適切と判断されております。以上より、本要望内容の有効性及び安全性は、医学薬学上公知と判断可能と評価されました。以上です。
○森部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問等がありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、その他の事項については御確認いただいたものとさせていただきます。
本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はございますか。
○事務局 ありがとうございました。事務局です。次回の部会は、2月25日(水)の午後5時から開催させていただく予定ですけれども、状況に応じて開催方法については、追って御連絡させていただきます。また、改選後初めての部会ですので御案内させていただければと思いますが、資料をお送りさせていただいた後に、もし御質問等がございましたら、開催案内と同時に質問のメールアドレスをお送りさせていただいておりますので、事前に質問のある委員の先生方におかれましては、それらも御活用いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○森部会長 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。貴重な御意見を多々、どうもありがとうございました。失礼いたします。

( 了 )

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局 

医薬品審査管理課 課長補佐 柳沼(内線2746)