第6回 事務所衛生基準のあり方に関する検討会 議事録

労働基準局安全衛生部労働衛生課

日時

令和3年2月15日(月)12:30~14:30

場所

オンライン開催

議題

(1)全体の取りまとめ
(2)その他

議事

○矢吹有害作業環境指導係長 ただいまより第6回「事務所衛生基準のあり方に関する検討会」を開催いたします。
 本日は、感染症の防止対策として、オンラインにより開催することとし、一般の傍聴を募集せず、報道関係者のみの傍聴を受け入れることとしていますので、御承知おきください。
 それでは、以降の議事進行を高田座長にお願いいたします。
○高田座長 よろしくお願いします。
 それでは、事務局からオンラインによるスカイプの操作方法等について説明をお願いいたします。
○矢吹有害作業環境指導係長 御説明させていただきます。
 本日は、ハウリングの防止のため、御発言されないときには、カメラ、マイクをオフに設定をお願いいたします。
 また、御発言される場合には、御発言がある旨をチャットに書き込み、座長から指名されましたら、カメラ、マイクをオンに設定の上、氏名をおっしゃってから御発言をお願いいたします。
 このほかに、進行中、通信トラブル等の不具合がございましたら、チャットへの書き込み、または緊急連絡先への御連絡をお願いいたします。
○高田座長 それでは、議事に入りたいと思いますので、円滑な進行に御協力くださいますようお願いいたします。
 最初に事務局の配付資料の確認をお願いいたします。
○矢吹有害作業環境指導係長 事務局から本日の資料の確認をさせていただきます。
 資料1「事務所衛生基準のあり方に関する検討会報告書(案)」、また、参考資料1として「参集者名簿」、参考資料2として「事務所衛生基準のあり方に関する検討会報告書(案)の概要」、参考資料3として「事務所衛生基準規則ほか関係条文等」を御用意しております。
 資料に不足等ございましたら、事務局まで申しつけてください。
○高田座長 よろしいでしょうか。
 それでは、議事の(1)全体の取りまとめにつきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○搆主任中央労働衛生専門官 それでは、資料1を御説明いたします。この報告書案は、前回事務局から提案した骨子案と、そのときの議論を踏まえて肉づけしたものです。参考2は、その概要ということになります。
 「はじめに」の項目は、事務所則で規定する範囲や役割を簡潔に示したものです。
 次の「事務所衛生基準等の現状」につきましては、事務所則と快適職場指針の現状を示したものです。旧労働安全衛生規則から昭和46年に分岐して、事務所に特化した衛生基準を定めたものであること、したがって、有害業務ではなく一般的な衛生基準を定めたものであること、関連するIL0条約や勧告も参照して定めたものであることなどを記しました。また、このような守るべき基準だけでなく、事業場における快適な職場環境の形成のための自主的な取組も重要であるとして、指針が定められていることにも言及しました。
 次の項目では課題と対応状況を記しています。前回の骨子案では、統計資料も念頭に置いていましたが、長期間の流れが統計としてうまく反映されないとの御指摘もいただきましたので、大きな流れを中心に示すこととしました。旧事務所衛生基準規則が制定された昭和46年以降の50年の中で、昭和60年に男女雇用機会均等法が制定され、それ以降職場での女性の活躍が順次定着し、平成28年には女性活躍促進法に至っています。高年齢労働者も増加して一定割合を占めていますので、年齢に関わらず全ての労働者にとって働きやすい環境を目指すことが求められています。
 多様な働き手ということでは、障害を持つ労働者も同様です。障害者雇用促進法で障害者が職場で働くに当たっての支障を改善する措置が求められていますが、公共の場においてもバリアフリー法により移動の環境が整備され、通勤時の負担が軽減されてきています。
 事務所における作業環境も変化しています。従来は専門職が用いていた各種事務用機器が情報機器端末などに置き換わり、多くの人が標準的な作業として使うようになっています。
 なお、この検討は、ここ1年の間に急速に普及が進んできています在宅テレワークなどに焦点を当てたものではありませんけれども、事務作業がテレワークにも対応することで書類の電子化が進められたり、職場に常駐する人員数が減少したりと、本体となる事務所での作業にも影響が出てくることは考慮しております。
 こうした事務所をめぐる課題を踏まえまして、事務所衛生基準の関連規定についても見直すことが求められており、平成30年、働き方改革関連法案の審議においても、事務所等における清潔、休養等を見直すこととされました。
 令和元年度には、事務所の実態調査を実施してデータを集め、また、労働者のニーズということで、JILPT、独立行政法人労働政策研究・研修機構に労働者からの声を直接集めてもらうウェブ調査も行ってもらったところです。
 昨年8月からの本検討会におきましては、検討課題として4つの論点、すなわちトイレの設備、照度、空気環境、更衣室・休養室等を取り上げることとし、先ほどの労働者ニーズの調査、トイレ設備に関する学会基準、それに建築物衛生法で収集した事務所の空気環境のデータ、JISの照度基準なども参考にしつつ議論いただいたところです。
 この議論のまとめは、5ページからの「3 主な論点と議論のまとめ」に記してございます。トイレ設備、更衣設備と休憩設備等、作業面の照度、作業環境測定の4つとその他としております。
 この部分は、前回お示しした骨子案にも具体的に出したもので、骨格は同じであります。
 具体的に述べていきます。5ページはトイレ設備のところですが、男性用と女性用の区別の原則を維持すること、プライバシーが確保される独立個室型の便房については、バリアフリーのトイレを含めて弾力的な取扱いが可能ではないかということ、小規模の事務所では男女別とすることに対する例外を設けてもよいのではないかということです。「多機能トイレ」と書いてありましたものは、「バリアフリートイレ」と言い方を変えました。
 6ページの下「更衣設備、休憩の設備等」のところは、初めての部分です。前回御議論いただきましたところをまとめてこちらで記したものであります。まず、更衣設備やシャワー設備については、被服の汚染という観点ではなくて、制服の着替えや夜勤など日常の活動を念頭に置いた設備として認識している実態にあるということ、それから今後も様々な変化が想定されますので、法令で一律の規定を設けることは、事業場の選択肢を少なくしてしまうことにもつながるのではないかということでありました。
 7ページのイの休憩の設備については、現状努力義務とされておりますが、既に設置利用されている実情にあります。また、労働者ニーズも内容的な充実という観点のものでしたので、衛生基準というよりは事業場の取組を期待するというトーンになっております。
 ウの休憩室につきましては、専用のものとする解釈が出ておりますけれども、これは男女それぞれに設けるということとも関連して事業場への負担が大きいということ、それから体調不良者等が横になって休むということを考えますと、その機能の確保こそ重要だということでありました。その際、プライバシー確保と適切な管理とのバランスに留意が必要だということでありました。
 7ページの下のほうから作業面の照度があります。8ページに作業環境測定、これは二酸化炭素、一酸化炭素の含有率についてでありますが、こちらについては前回までに整理されていますので、説明は省略させていただきます。
 (5)その他は、今回追加させていただきました。第1回の検討会と第5回でも実態に合わなくなった用語の見直しについて御指摘をいただいていますので、具体的に記すこととしました。当日出ていませんでしたが、事務局で確認しましたところ、「かや」というのもありました。かやは、自然の風を生かすところではもちろん今も有効だと思われますけれども、事務所内の設備ということではあまり関係なかろうということで、事務所則の例示からは削除したいと思います。3はここまでです。
 9ページの中頃から4番で、具体的に見直し方針を書き出しました。項目だけでしたので、今回初出ということであります。
 まず、(1)トイレ設備についてです。こちらは前回の議論のまとめに従いまして整理をしております。アで便所の設置に関する原則、イで便所の定義、ウで少人数の事務所における例外、エで付加的に設ける便所の取扱い、オで事業場における取組、カで事務所以外での便所の取扱い、このようにしております。
 アのところですが、便所の設置については、男性用と女性用の区別に関する原則、それから労働者数に応じて定めている男性用、女性用便房の必要数に関する規定は、基本的にそのままだということを明記しております。すなわち、現行法令に従って設置しているところ、会社について、そのままで法令上何ら問題はないということになります。
 それでは、何が変わるのかということになりますが、それがイ以下になってきます。独立個室型という便房の便所は、プライバシーが確保されるタイプということですが、こちらについては別枠として弾力的な取扱いをする余地があるということで、これは衛生水準を下げることなく、事業場においての選択肢を増やすという考え方です。
 ウの少人数の事務所における例外については、独立個室型の便房からなる便所であれば、例外として男性用と女性用の区別しない場合もやむを得ないということ、これはその趣旨を考慮すれば、せいぜい労働者数l0人までということであります。
 それ以外の事務所については、エのほうにあります。これは先ほどの原則のとおり、男性用便所と女性用便所を備えていなければいけないということですが、これを設けた上で、男性用と女性用の区別がない便所を設けることについては、事務所則上の選択肢に加えてもいいのではないかという提案です。男女別でない車椅子利用者用のトイレもいいし、オストメイトのためのトイレもよいし、一般のサイズのトイレでも構わない。これらは男性用便所、女性用便所とも、既存のトイレ設備の混雑緩和にもつながりますから、必要な便房数の一部として、男女に基本的に半分ずつ振り分けて取り扱うということになりますが、男性用と女性用の区別がないということで独立個室型であることが必要です。
 10ページのカのところを御覧ください。以上のような考え方は、これまでの議論も事務作業に着目して議論してきたわけではないので、選択肢を増やすという意味での緩和措置は、工場や現場など、労働安全衛生規則が適用される事業場に対しても適用するという考え方であります。
 次、(2)更衣設備、休憩の設備等。資料では、「等」が抜けていましたので、訂正いたします。表題は、正確には「更衣設備、休憩の設備等」です。こちらは前回の骨子案では審議中のため空欄でしたので、今回初出になります。
 アの更衣室やシャワー設備については、御指摘を踏まえて使われ方の現状もあえて示した上で、安全な利用、プライバシーの確保といった基本事項を明記しました。
 イの休憩の設備については、広さや附帯設備といった事業場ベースの課題を指摘するにとどめております。
 ウの休養室・休養所については、随時利用が可能という機能の確保を重点としております。利用頻度が高ければ、おのずと専用の施設ということになると思われますが、使用される頻度が低い場合は専用でなくてもよいとし、代わりに、利用者が困らないよう、目隠しや必要な出入り制限など当然の配慮をする旨をできるだけ具体的に記してみました。
 10ページの一番下、(3)作業面の照度についてです。これはあくまでも健康障害を防止する観点からの視環境の確保であるということと、それから前提として、必要な場合は、労働者個々人が視力を矯正しておくといった点を記しております。
 その上で、イ、照度の基準の見直しを示しました。事務作業ごとに適切な照度を定めることが最も重要でありまして、精密な作業については、事務所則で示す照度の下限値によらず、JISなどを参照して事業場で決めてほしいということを備考のところに書いておりますが、これは事業場で1つということを意味するわけではなく、該当する作業が複数あれば、それぞれの事務作業に応じた照度を定めてほしいという趣旨を記載しております。日本産業規格は、具体的にはJIS Z9110というものですが、これまでの議論で紹介されたとおり、作業別に詳細な規定がありますので、事業場として参照すべき規格だと思われます。その上で、事務所則での基準としては、照度の下限値として300ルクスを示すのみとしております。
 また、附随的な事務作業、粗な作業は、照度の下限値を70ルクスから上げて150ルクスということにします。資料の袋詰めとか編綴といった、書いてある文字や内容を深く読み込んで識別する必要がない作業に限定することになります。
 なお、本文に付記しましたのは、情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインに関連する事項です。令和元年7月に全面改正されたばかりですが、キーボード上での照度を300ルクス以上としており、その部分はこの改正によって変更は必要ありません。結果的に対応済みという理解でよいと思いますが、前回の検討会で御指摘いただきましたとおり、細部の事項をみると、例えばディスプレイに当たる照明の照度の上限が示されているなど、現場で分かりにくくなりそうな部分を整理しておくほうがよいと考えております。
 (4)作業環境測定については、測定頻度の議論でしたが、これは現行どおり2か月以内ということであります。電子機器の利用は、現行の制度においてももちろん利用可能なわけですけれども、その旨を分かりやすいように明記するということを考えております。
 その他は、先ほどのとおり、実態に合わなくなった「カードせん孔機」などの古い用語や、「かや」についての見直しを行います。
○高田座長 御説明ありがとうございました。
 それでは、報告書案について、議事を進めていきたいと思います。
 まず、「1 事務所衛生基準等の現状」「2 事務所における労働衛生上の課題と対応状況」については、前回の検討会の骨子案に肉づけしたものとなっております。こちらの書きぶりについて御意見、御質問等がありましたら、お受けしたいと思います。
 よろしいでしょうか。「1 事務所衛生基準等の現状」と「2 事務所における労働衛生上の課題と対応状況」については、特に御質問、御意見等ないということでしたら、先に進めたいと思います。もしまたお気づきのことがありましたら、事務局のほうに御連絡をいただければと思います。
 そうしましたら、先に進めたいと思います。では、「3 主な論点と議論のまとめ」というところに入ります。こちらにつきましては、(1)トイレ設備、(2)更衣設備、休憩の設備等、(3)作業面の照度、(4)作業環境測定とございます。(1)トイレ設備について、この場で何か確認等ございましたら、御連絡いただければと思います。よろしいでしょうか。
 そうしましたら、(2)更衣設備、休憩の設備等につきましては、今回新たに記載されているものとなっております。こちらについて御意見、御質問等ありましたら、お願いできればと思います。
 林先生、もし御発言等ありましたら、お願いいたします。
○林委員 (4)作業環境測定のところですが、よろしいですか。
○高田座長 そうしましたら、先に(4)作業環境測定のほうに進みたいと思いますので、林先生、お願いいたします。
○林委員 作業環境測定の3つ目、「近年」というところから始まっている文章の最後のところで、「在室者の大幅な増加や制御設定の変更は」という文章があるのですが、これは内容としてはいいと思うのですが、「制御設定の変更」というところについて、もう少し具体的に書いておいたほうがいいのではないかなと今、思っています。
 これは前委員会での調査の内容、結果から記載している部分、そういうことだと思うのですけれども、それをエビデンスとして、「制御設定の変更」というのはどういうものであったかというのを確認して、もう少し明確に記載できるのであれば、そのようにしておいたほうがいいのではないかと思ったものですから、御報告したいと思いました。
○高田座長 報告書案の文章を読み上げますと、「在室者数の大幅な増加や二酸化炭素濃度の制御設定値を高く設定することで外気導入量を減少させる事例もあり、室内の二酸化炭素濃度の上昇につながっている」という文章になっております。
○林委員 それであれば明快ですので、申し訳ありませんでした。
○高田座長 では、こちらの内容で問題ないということでしたら、このように進めさせていただきたいと思います。
○林委員 はい。ありがとうございます。
○高田座長 ありがとうございます。
 作業環境測定について、ほかの委員の先生から追加で何かございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 そうしましたら、戻りまして、(3)作業面の照度について、何かございますでしょうか。明石委員、御発言があるようでしたら、お願いいたします。
○明石委員 ありがとうございます。
 8ページの3行目から始まる黒丸がありますが、前半は多分事業者のことを書いているのでしょうけれども、後半の「必要に応じて」の部分が後ろの10ページと書き方に齟齬があって、ここは労働者の話だと思うので、少し加筆をしていただいたほうがいいのではないかなと思います。
○高田座長 ありがとうございます。
 事務局、追加で何かございますか。
○搆主任中央労働衛生専門官 御指摘ありがとうございます。
 4と呼応して同じことですので、御指摘どおりにしたいと思います。照度の確保以前に、必要なら視力を矯正するということが重要だと書かれているところ、労働者が自ら行っておくべきことということで、追記しておきたいと思います。
○高田座長 ありがとうございます。
 ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 そうしましたら、「4 事務所衛生基準の見直し方針」についてです。こちらにつきましては順番に行ったほうがいいと思いますので、まず(1)トイレ設備についてです。前回の検討会でお示ししたポイントと議論の内容を踏まえて、事務局で肉づけしている部分がございますが、こちらについて御質問、御意見ございますでしょうか。明石委員、お願いします。
○明石委員 ありがとうございます。
 ウの部分、少人数の事務所は「労働者10人」という仕切りが設けられていますが、労働者10人と決められた要因は何でしょうか。
○高田座長 事務局、お願いします。
○搆主任中央労働衛生専門官 御説明いたします。まず、現行法令においては、トイレは労働者数によらず男女別とする必要がありますが、これまでの議論で、いかなる場合も男女別とするのは現実的に厳しいという議論があったところです。独立個室型のトイレについては、プライバシーが確保されるので、やむを得ない場合は独立個室型のトイレ1つでもよい場合があるのではないかということだったと思います。
 したがって、独立個室型のトイレが1つである場合を考えますと、男女共用でない場合であれば、例えば女性のみが利用するケースでは、20人ごとに1つということで、20人まで許容されます。少人数の事務所の例外として設ける場合に、これを男性と女性とが交互に使うとすると、さすがに20人で1つというわけにはいかないと、係数0.5をかけて半数ということを提案しております。
 現行法令で認められない男女共用のトイレをどこまで認められるべきかという点では、やや慎重に進めなければならないという状況もあります。これまで進めてきた議論においては、マンションの1室を事務所として使用するような場合が例にあがっていました。仮に100平方メートル弱のスペースがあるとして、その半分が事務室の執務環境に、残り半分が通路その他に充てられるとすると、この執務環境に収容できる人員は、気積から換算すると1人4平方メートル以上ですから10人程度になると考えられます。男女共用の独立個室型のトイレが1つということですと、どう考えてもこの程度が限界ではないかということで提案した次第です。
 実は、1つの男女共用トイレに10人でも多すぎるという意見もいただいたところですが、第2回検討会において、空気調和・衛生工学会の小瀬教授からは、トイレが1つということだとふさがった状態ではほかに手段がなくなりとても困る状態であり、3つのトイレのうち2つがふさがっている状況とはだいぶ違うのではないかという指摘をいただいたこともご記憶のことと存じます。このように、10人で少なすぎるというご指摘は理解できるものの増やして本当に大丈夫かということと、10人では多すぎるので減らすべきという議論も勘案して、せめて10人までは認めることができないものかと事務局として提案したものです。
○明石委員 ありがとうございます。
 説明の趣旨は分かりました。しかし、そうだとすると、男女共用であることなどを明記しないといけないのでは。現行法令でも、女性20人の事務所、あるいは男性30人の事務所に対してはトイレが1つあればよいわけですから、書き方を工夫してもらわないと、10人以下でないとダメだというように読まれてしまうのではないでしょうか。
○搆主任中央労働衛生専門官 ご指摘のとおり、法令上は、女性20人のみで男性がいない事務所では、確かにトイレは1つで構いません。それは、少人数の事務所ということではないので、エのところで読むことになりますので、ウのところでは、男女共用であることを明記するようにします。ウのところでは、労働者が10人以下の場合には、女性3人・男性7人でも、女性8人・男性2人であっても、男女共用のトイレ1つでよいということを提案しています。
○明石委員 そのとおりです。指摘したポイントは、ウのところに、男女共用トイレのことだと明記しないと、女性のみあるいは男性のみ少人数の事務所かのように誤解されるということです。
○搆主任中央労働衛生専門官 御指摘ありがとうございます。
 少人数の事務所で、これを男性用と女性用に区別しない1つの便所を設ける場合にはということを先に書くということですね。
○明石委員 そうですね。また、「少人数の事務所」と書かれても、事務所と言ってもマンションだけとは限りませんし、いろんなパターンがあるので、表で仕事をしている人、裏で仕事をしている人がいて、一緒に働いている人が10人なのか、在籍している人が10人なのか、運用において事業者が困らないよう、明記してもらう必要があります。
○搆主任中央労働衛生専門官 1つのトイレですと最大限10人ですけれども、ウのところでは、同時に就業する労働者が10人と明示をして、共用される場合の運用を限定的に記載するということですね。
○明石委員 それと、最大限10人ということについても申しあげると、10人がよくて、11人は認められないということになるのであれば、10人とする根拠を明示すべきだと思います。衛生的にという話はよく分かります。ただ、構造上造れないところもあるし、15人ぐらいいるというところも普通にあるかもしれませんし。
○搆主任中央労働衛生専門官 現行法令では、男性と女性の人数が合わせて5人でも9人でも10人でも、すべて各々の性別の便所を設けることとなっており、そうでない、つまり男女共用の便所1つということは認められていません。それでは現実には厳しいというところから、せいぜい10人までは男女共用の便所1つにできないだろうかという議論になったわけです。確かに10人と11人の境目というのは、もちろん出てきてしまうのですけれども。
○明石委員 最小公倍数は20人だと思うのですが。
○搆主任中央労働衛生専門官 従業員20人というところでは、事務所の大きさはどの程度の面積を想定されているのでしょうか。そのときに、その中でトイレを設けるのが現実的でないというのはどういうことになりましょう。
○明石委員 女性のみであれば20人に1つでいいわけですね。
○搆主任中央労働衛生専門官 そうです。
○高田座長 そうしましたら、冨高委員、御意見があるようなので、御発言をお願いします。
○冨高委員 ありがとうございます。
 男女共用のトイレを20人まで1つでよいとしてしまうと、今とあまり変わらないではないか、という話になってしまうことと、もともとは先ほど事務局のほうからも御説明があったように、職場がマンション等の一室でというところから話が始まっておりましたので、極めて少人数、イメージ的にはせいぜい5人程度を考えておりました。先ほど明石委員がおっしゃっていた、男性と女性が合わせて10人を超える場合に男女共用のトイレ1つだと違反になるのではないかという懸念は、今回「10人程度」ということで、「程度」という言葉が追加されていたので、少し緩和をされたのかなと考えていたところでございます。
○高田座長 ありがとうございます。
 明石委員のほうはいかがでしょうか。
○明石委員 まず、日本語として「程度以下」という表現はないと思うので、「以下」を外してもらいたいということが1つです。
 それから、先ほど来申し上げていますが、女性だけの職場は20人に1つでいいわけですね。男性だけだと、30人で1個でいいわけですね。
○高田座長 事務局、どうぞ。
○搆主任中央労働衛生専門官 お答えします。仮に女性だけの職場であれば、最低限の法令上の設備としては1個で足りるということになります。
 また、男性のみということであれば、法令上は男性用大便所を1つと男性用の小便所を1つ設ける必要があります。
○明石委員 法令上の基準としては、10人程度という言い方はあまりしないように思いますが、その根拠は何になるということでしょうか。
○高田座長 事務局から何かありますか。
○搆主任中央労働衛生専門官 まず、先ほど女性の基準を取り上げたのは、1種類で簡潔であるために例示したものです。男性用の場合は、大便所と小便器と2つあるため複雑になりますが、小便所省略する前提で考えると20人に1つということになりますので、女性のみ、あるいは男性のみの場合、混雑し過ぎないという機能を損なわないためには、それぞれ20人まで1つのトイレということが可能です。ただし、それを男性と女性が交互に使うということになりますと、同性のみと同じようにはいかないわけで、すれ違わずに時間を置くなどある種の安全率を見込み、半分の10人までということであります。現状では認められていない男女共用のトイレとして救えるのはせいぜい10人までということです。明確にするためには、「10人以下」と明示したほうがよいと思いますが、共用の場合という限定した上で、そのように記載をすべきでしょうか。
○明石委員 救えるのが10人以下という意味が分からないです。
○高田座長 恐らく救うとか救わないとかいうことではなく、根拠のデータというものがないかということが御質問なのではないかと思いますが。
 冨高委員、御発言があるようなので、お願いします。
○冨高委員 根拠のデータについては事務局にお願いしたいと思いますが、今回あくまでも「少人数の事務所における例外」ということで、例外なのですね。先ほど事務局から女性のみ、男性のみ、小便器を除いても、現行基準では20人が最大ということでしたので、例外だということを考えると、これと同じということはないだろうと思っています。
○高田座長 ありがとうございます。
 事務局、お願いします。
○搆主任中央労働衛生専門官 冨高委員の発言にもありました「例外」という観点から、事務局としても根拠もいろいろ調べてみました。ILOの第120号勧告という、商業事務所に関する第120号条約の関連勧告、recommendationsというものがあります。条約と異なり、勧告の一字一句が批准国の法令を拘束するわけはありませんが、そこには、家族のみ、あるいは労働者5人以下のところは、例外として別に定めることができるという規定がありました。
 男女合わせて5人までという規定では、見直しの効果も限られることから、現行20人の半分として10人を提案しております。
○高田座長 明石委員、今の御説明で何かございますでしょうか。
○明石委員 私がこの検討会で申し上げてきたのは、できるだけ現実に即して見直せるものは見直しましょうということで、難しいものもあるということですが、この部分は根拠としては薄いような気がどうしてもしてしまいますけれども。
○高田座長 ほかの委員の方で今の人数の議論について御意見ございますでしょうか。10人以下というところで反対の御意見の委員の方、いらっしゃいますでしょうか。今、明石委員がおっしゃっているように、もう少ししっかりとした根拠が必要であるとか、何か御意見ございましたら、お願いできればと思います。住徳委員、御発言あるようでしたら、お願いいたします。
○住徳委員 今までのお話を伺っていて、私も「ウ 少人数の事務所における例外」のところで労働者10人以下というのは、ちょっと唐突感があるなという印象は持ちました。明石委員のご指摘のとおり、現場での運用という点から考えてみると、それが在籍する労働者なのか、それとも常にそこにいる労働者なのかによって、受け入れ方が違ってくるなというのがまず1点。
 もう1つは、「10人以下」という表現が唐突にならないようにするためには、少人数の事業場のことにも配慮した例外という前向きの提案だということが伝わるような表現にすることがよいと思います。20人に1つだと、例外としてもさすがにひどいということで決めるということが伝わるのがよいと。
○高田座長 ありがとうございます。
 ほかの委員から何かございますでしょうか。明石委員のほうはいかがでしょうか。
○明石委員 ありがとうございます。
 私も、ここの部分については、書き方を工夫していただきたいと思います。
○高田座長 ありがとうございます。
 そうしましたら、事務局において、この部分の書き方をもう少し調整していただいて、また委員にお諮りいただくことでよいですか。
○搆主任中央労働衛生専門官 複数の委員から御指摘いただきましてありがとうございました。
 この部分について、基本的には、住徳委員が言われたように、少人数の事務所において労働者も事業者も困っている現状にあり、何とか現実的な解決策を設けたいというのが委員の皆さんの総意だと思われますので、そのように調整します。どこまでだったらよいのかという点については、書きぶりを工夫し、委員だけでなくトイレを使う事業場に対して、わかりやすく納得できる形で整理するようにいたします。
 住徳委員からご指摘のあった、在籍者なのか、そこにいる人なのかということについては、考え方をあらかじめ申し上げますと、トイレの規定については、もともと混雑度の指標から出ているところですので、法令の他の箇所に多い「常時使用する労働者数」ではなく、「同時に就業する労働者数」を基本として定めることが適当と考えます。シフトなどで同時に就業しない人までは数えず、その作業場に最大何人いるのかということになります。書きぶりについては、事務局でも工夫して提案し、御相談したいと思います。
○高田座長 よろしいでしょうか。
 今、事務局から御提案がありましたけれども、何かございますか。よろしいでしょうか。
 そうしましたら、事務局で案文のほうを分かりやすく修正していただいて、皆様にお諮りするような方向で進めさせていただきたいと思います。
 (2)の更衣設備、休憩の設備等について、こちらは初出の部分でございますけれども、委員の皆様から御質問、御意見等ございましたらお願いいたします。
 (2)更衣設備、休憩の設備等については、特に御意見がないようですので、次の(3)照度についてお願いします。はい、吉武委員、御発言ください。
○吉武委員 ありがとうございます。
 (3)作業面の照度のところですが、基本的にはこれでよいと思います。
 1点だけコメントします。イの照度の基準の末尾に発光体を用いた作業における視環境の確保において言及があります。とても大切なことですが、例示されている「タブレット、スマートフォン」について、一番大事なパソコンを入れてほしいということです。ぜひ「タブレット」の前に入れ、「パソコン、タブレット、スマートフォン」のような書きぶりにしておいたほうがいいように思います。
○高田座長 ありがとうございます。
 単純に「パソコン」だけで、ディスプレイとかは特に書かなくてよろしいですか。
○吉武委員 そうですね。情報機器ガイドラインにおいては、デスクトップ型とノート型と分けて書かれていたり、パソコンについてもパーソナルコンピュータの略語であることを明記していますが、ここでは特に詳述しなくてよいと思います。
○高田座長 ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょうか。
○搆主任中央労働衛生専門官 御指摘ありがとうございます。そのように明らかにしたいと思います。
○高田座長 そのほか、照度について御発言ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 そうしましたら、(4)作業環境測定のところについて御発言ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 (5)その他、用語に関してですけれども、今回「かや」も含めて書かれておりますが、こちらについて、前回いろいろ議論がございましたけれども、御発言ございましたらお願いできればと思います。よろしいでしょうか。
 そうしましたら、こちらで全体の確認が終わったところですが、御発言いただいていない委員の先生で何かございましたら。よろしいでしょうか。
 そのほか、報告書案全体について御意見がございましたら、お願いできればと思います。よろしいでしょうか。冨高委員、お願いします。
○冨高委員 ありがとうございます。
 先ほど議論したところの報告書の取扱いについて教えてください。座長一任という形になるのでしょうか。
○高田座長 事務局からお願いします。
○搆主任中央労働衛生専門官 先ほどのトイレの少人数の例外のところについては、まず事務局で案を作りまして、座長と御相談しつつ、各委員の御意見もいただくようにします。その上で、最終的には座長のところで御一任いただきたく存じますが。
○冨高委員 ありがとうございます。
 この検討会としては、基本的にはこれで進めるということでよろしいのですね。
○搆主任中央労働衛生専門官 この1点だけでしたので、そのようにしたいと思いますが、最後の調整のところは丁寧にさせていただきたいと思います。
○冨高委員 ありがとうございます。お願いします。
 全体ということでしたので、一言だけ申し上げたいと思います。報告書案については、先ほどのペンディングのところを除いて、この内容でよいと思っております。前回の検討会でも申し上げたとおり、本検討会では、事務所則に定められている措置の実効性を高めるために、様々な環境の変化や多様性への対応ということで見直しをしてきたわけですが、事業場の実態に応じた柔軟な運用が可能ともなります。そのことが衛生基準の後退につながらないよう、働きやすい環境整備のための配慮や丁寧な周知、そして女性の職域拡大という視点を踏まえた対応を引き続きお願いしたいと思っております。
○高田座長 御意見ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 そうしましたら、今、御意見いただいたことも含めまして、事務局からも話がございましたとおり、トイレのところの部分については案を出していただいて、座長のほうが確認して、また皆様方の御意見も踏まえつつ取りまとめて、最終的には座長のほうで取りまとめて最終のものとさせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
 特に反対の御意見がなければ、そのようにさせていただきたいと思います。
○高倉労働衛生課長 私からいいでしょうか。
○高田座長 そうしたら、お願いします。
○高倉労働衛生課長 事務局、高倉でございます。御議論ありがとうございます。
 残りましたトイレのところに関しては、事務局のほうで書きぶり等をまた検討いたしまして、案文を御提示するという対応を取らせていただきますけれども、明石委員が言われた20人に合わせるべきではないかという御意見、あるいは10人という人数が唐突ではないかという御意見、おのおのごもっともな部分もあるということは私も認識はしております。
 一方で、今回男女別の原則というものを緩和するといいますか、それに対する例外を設けるのだという視点、観点がありまして、共用で使う上においてもプライバシーが確保されなければならないという状況が一方ではございます。さらにトイレの個数の議論のところで、第2回の検討会で小瀬教授のほうからいろんな資料、御説明をいただいたわけですが、そもそもの事務所衛生基準は、少人数のところは若干甘いといいますか、そういうことも指摘はされていたわけです。先ほど事務局のほうから申し上げましたように、そもそも少人数でも1個は結構厳しい場合があるというのは、想像に難くないようなところもございますので、そういったことで、今回特別なといいますか、少人数の事務所における例外の規定を設ける上においては、高めの20名に合わせるのはさすがにちょっと無理があるのではないかと。10名が唐突というのは十分理解した上で、だからといって20名に合わすことはちょっと難しいだろうと思いますので、その中で一定の、それよりは少人数のところの線を何とか引かないと仕方ないのではないかなと考えておるところでありますので、今後案文、修正したものを御覧になっていただくときには、この点に関しましてはちょっと御理解いただいた上で御覧になっていただけたらと思います。
 以上です。
○高田座長 ありがとうございます。
 そうしましたら、今の発言に対し何かありますでしょうか。
 それでは、本日の議論は終了とさせていただきまして、進行を事務局のほうにお返しいたします。
○矢吹有害作業環境指導係長 ありがとうございます。
 最後に田中安全衛生部長より御挨拶を申し上げます。
○田中安全衛生部長 皆様、6回にわたりまして、御多忙の中、議論に御参加いただきまして、大変ありがとうございます。
 本検討会は、昨年度の調査結果も踏まえて実施をしてきたもので、昨年度から参画いただいておりました委員におかれましては、2年近くにわたって関わっていただいたということでございまして、重ねて感謝を申し上げます。
 本日の議論で1点、トイレのところについて案文を調整させていただくわけですが、それ以外につきまして、基本的に大きな方向性としては、本日報告書案として取りまとめていただいたものかなと思ってございます。
 事務所則もできて50年ということですし、女性の活躍等々、様々状況が変わっています。そのように状況が変わる中でも、やはり働く人が衛生的に健康に働けるということ、また、労働者が衛生を確保しつつ働けるよう、事業者も様々な形でいろいろな形でサポートしていけるということで、やはり現場の水準が後退することなく、より使いやすく、より健康、衛生的になるような方向で議論を進めていただいたと思ってございます。
 それぞれの項目、非常に重要な論点も含んでいると考えております。
 今回おまとめいただいた内容につきましては、事務所衛生基準規則ということで、省令でございますので、法令的な観点、整合性等々もございますので、実際の省令、解釈というところにつきましては、そういった点も事務的には事務局のほうで整理をさせていただきながら、さらに検討して取組を進めていきたいと考えてございます。
 改めて本検討会に関しましての皆様方の御協力、御指導に感謝を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
○矢吹有害作業環境指導係長 それでは、これで「事務所衛生基準のあり方に関する検討会」を終了いたします。
 これまで御活発に御議論をいただきましてありがとうございました。