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技術革新(AI等)が進展する中での労使コミュニケーションに関する検討会(第7回)議事録
政策統括官付政策統括室
日時
令和3年1月29日(金)10:00~12:00
場所
厚生労働省省議室(9階)
出席者
- 委員(五十音順)
-
- 池田委員
- 井上委員
- 戎野委員
- 大竹委員
- 鬼丸委員
- 後藤委員
- 佐久間委員
- 佐藤委員
- 仁平委員
- 根橋委員
- 守島座長
- 森戸委員
- 事務局
-
- 伊原政策統括官(総合政策担当)
- 村山政策立案総括審議官
- 松本政策統括官付参事官
- 高松政策統括官付政策統括室労働経済調査官
- 竹中労働基準局労働関係法課課長補佐
- 木嶋職業安定局雇用政策課雇用復興企画官
- 前田雇用環境・均等局総務課雇用環境・均等企画官
- 黒田人材開発統括官付政策企画室長
議題
(1)委員からの報告
・根橋委員
(2)ヒアリング
・株式会社荒木組 前田知明様
・株式会社ベイシア 重田憲司様
(3)その他
・根橋委員
(2)ヒアリング
・株式会社荒木組 前田知明様
・株式会社ベイシア 重田憲司様
(3)その他
議事
- 議事内容
- ○守島座長 皆さん方、おはようございます。
定刻になりましたので、ただいまから「技術革新(AI等)が進展する中での労使コミュニケーションに関する検討会」の第7回を開催いたしたいと思います。
本日はオンラインでの開催とさせていただいております。皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。カメラはないですね。
本日は、所用により冨山委員が御欠席でございます。
また、本日は、委員の皆様方のほかに、ヒアリングのために株式会社荒木組の前田様、株式会社ベイシアの重田様にオンラインで御出席をいただいております。
議事に入ります前に、オンラインでの開催に当たりまして、事務局より御説明がございますのでお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○高松政策統括官付政策統括室労働経済調査官 本日は、皆様にオンラインで出席いただいておりますので、留意事項を御説明いたします。
まず、検討会中は原則としてカメラはオン、マイクはミュートとしてください。委員の皆様には、御発言の際は、参加者パネルの御自身のお名前の横にあります挙手ボタンを押していただいて、座長から指名があるまでお待ちください。座長から指名後、マイクのミュートを解除して御発言ください。発言終了後は、マイクをミュートに戻し、再度挙手ボタンを押して挙手の状態を解除していただければと思います。
また、検討会の最中に音声等のトラブルがございましたら、チャット機能でお知らせいただくか、事前に事務局からお送りしております電話番号まで御連絡ください。
なお、通信遮断などが生じた際には、検討会を一時中断させていただく場合がございますので、御承知おきいただければと思います。
以上です。
○守島座長 ありがとうございます。
それでは、議事に入りたいと思います。
まず、本日の進め方について簡単に御説明いたします。最初に、JILPTの『Business Labor Trend』2020年11月号に掲載されました「ヒアリング調査:新しい技術の導入が雇用・労働に与える影響について」に関して、事務局から御紹介をいたします。
続いて、根橋委員から、長野県における労使の対話に関する取組について御報告をいただきます。その後、ここまでの2つのプレゼンテーションに関する事実関係の確認等がございましたら、若干時間を取らせていただきたいと思います。
その後で、AI等のデジタル技術の導入と労使コミュニケーションについてという内容で、株式会社荒木組の前田様、株式会社ベイシアの重田様の順番でお話をいただきます。2社のプレゼンが全て終了した後で、まとめて質疑応答と自由討議を行いたいと思います。
それでは、資料1の『Business Labor Trend』2020年11月号について事務局から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○高松政策統括官付政策統括室労働経済調査官 それでは、事務局から説明いたします。
資料1の1ページ目を御覧いただければと思います。こちらはJILPTが発行しております『Business Labor Trend』11月号の記事でございます。
1ページの中段のところに〈ヒアリング調査〉と書いてあるところがありますが、表題「新しい技術の導入が雇用・労働に与える影響」ということで、厚生労働省からJILPTに要請したヒアリング調査の結果について記事にまとめられたものでございます。
質問項目としましては、中段のところに「質問項目は主に」というところがありますが、1~4として書いているような新技術の活用の考え方、背景、取組内容、労使コミュニケーション、課題と展望などについて聞いていただいております。今回、この検討の参考としていただくために御紹介させていただくものでございます。
全体のまとめとしましては、2ページの右の中段のところですが、「労使コミュニケーションの深化・再構築を」というところがございます。「ヒアリング企業等でおおむね共通していたのは、」「新しい技術を採り入れる際には、働く人が理解し、効果を感じられるように進めることが円滑な導入につながるという点だ。」というまとめとされております。「それには導入を推進する部門と現場とのコミュニケーションが必要」で、今回の「多くの事例で旗振り役となる部署、担当者や現場の管理職などが周知に努め、職場全体に効果を実感するように水を向けて浸透を図った。」とされております。
以下、事例1から事例8までとしまして、新技術導入に関する取組の事例が掲げられております。このうち、事例8について産業別の労使コミュニケーションの取組として電機連合さんの事例がありますので、これについて触れたいと思います。資料の一番下に書いてあります番号での42ページになります。
まず、左側にあります「背景」というところに書いてありますが、電機連合では「その時々の時代背景を踏まえた産業政策」というものを策定してこられておりまして、2019年7月に第7次産業政策としてまとめられたということでございます。以下、この文章についての説明がされておりますけれども、労使コミュニケーションに関しても触れられておりますので、その部分を御覧いただきます。
47ページの右側の上のほうの「経営側との交渉・協議や職場コミュニケーションで労働組合が求められてくるもの」というところで、労使コミュニケーションについて触れられております。ここに書いてあるとおりですが、「電機連合では、AI等の導入に伴う環境整備・職場変化の中で、『労使のコミュニケーションは今後、一層重要になってくる』と捉えている。」ということです。
その6行ほど下にありますけれども、「具体的な労使協議のテーマとして」とあるところです。「1.新たな技術や生産設備を職場に導入する際の事前の労使確認、2.新たに求められる人材の育成環境の整備、3.多様な人材が活躍する職場環境の構築に向けた議論、4。個人データの保護、デジタルストレスへの対処――等について、『従業員一人ひとりの意思や意見を確認することを、スムーズかつスピードアップして行うには組合の確認が重要だ』と主張する。」とございます。
「また、従業員のエンゲージメント(愛着心)についても触れ、労働移動が活発化する企業でのエンゲージメントの低下を補う役割も担えるとの見方を示す。」と書かれております。
さらに、第7次産業政策の内容につきまして経営側とのやり取りということにも触れられております。49ページの左下のところになります。「産業政策の策定過程での企業・加盟組合の反応」というところですが、「今回の産業政策については、電機・電子・情報通信産業経営者連盟(電経連)の加盟企業に対して説明した。労働組合としても今後、産業のビジネスやビジョンの変化に対応していかねばならないし、意識すべきであり、是非、意見交換をやっていきたいと考えている』とされております。
さらに、新型コロナの影響についても触れられておりますので、簡単に触れますが、その右の列の下段のところ、「労働運動もニューノーマルへの対応が必要」というところがございます。電機連合さんでは「6月の定期大会をオンラインで開催」したというところで、「対面を基本とする組合活動の変更を余儀なくされている。」状況ということです。
その5行下になりますけれども、「様々な制限がある一方、距離的、時間的な制約からこれまでコミュニケーションが取りにくかった人との対応が可能になったというメリットもある。ただ、組合活動の多くは対面を基本としたものなので、在宅勤務が常態化した職場でいかに活動していくかが課題であり、試行錯誤しながら進めている」とされてございます。
記事の説明は以上でございます。非常に大まかな説明とさせていただきましたけれども、産業別の労使コミュニケーションの取組の事例として御紹介いたしました。
この後、根橋委員から、地域での労使コミュニケーションの取組について御報告がございますので、それに先だって参考までに御紹介いたしたというものでございます。
説明は以上です。
○守島座長 ありがとうございました。
続きまして、長野県における労使の対話に関する取組について、根橋委員から御報告をいただきたいと思います。根橋委員、よろしくお願いいたします。
○根橋委員 改めまして、おはようございます。
連合長野の根橋でございます。いつもお世話になっております。
本日は、このようなプレゼンの機会を与えていただきましたことに感謝申し上げたいと思います。
私からは、この検討会のテーマである技術革新が進展する中での労使コミュニケーションについて、そのコミュニケーションの在り方は企業・組織内の労使のコミュニケーションにとどまらず、社会対話の必要性が問われているのではないかという視点でお話を致します。長野県内では、いまだトライアルの時期を脱することはできておりませんが、行労使はじめ、多様なステークホルダーの参加による社会対話と協働の取組を進めてきております。その立ち上げまでに至る経過や実践例、成果や課題などについて資料に沿って報告をさせていただきたいと思います。
お示ししている資料の2ページで、改めてではありますが、技術革新、DXの推進、働き方改革の進展は、それぞれの企業・組織の労使コミュニケーションが重要であって、全ての起点であると捉えております。しかし、そうした技術革新の影響については、地域の産業構造、労働市場、働き方、仕事、産業の在り方など、社会全体にも大きな影響を与える多面的なテーマになると考えております。
中でも、個別の企業、個別の労使だけでは解決できない課題、また、そうした対応もできない企業や組織、労働者を地域社会全体で支えていく枠組みと政策が必要となるということ。そして、使用者と労働者の相互利益になるように、労働市場、教育・訓練、社会保障制度など、各種セーフティーネットを適応させていくことで、誰もが居場所と出番がある地域社会をつくり出していくことが求められていると考えております。
そのためにも、日常平時から地域における産業や地域の強みと弱みを知ること、そして、強みを高めて弱みを克服する政策をつくり出していくこと。そうするためには、日常平時からの社会的なコミュニケーションを通じて、実態を的確に捉えた政策づくりが必要になると考えております。
すなわち、現場の課題を組織の課題、社会全体の課題として捉えていくためには、この社会対話の取組は欠かせない取組であると考えております。
次の3ページの上段に記載をさせていただきました、この検討会の起点となります2019年の労働政策基本部会の報告書においても、変化に対応できない労働者を社会全体で支える必要性について言及をいただいております。技術革新により求められるスキル、エンプロイアビリティ向上に向けた環境や機会の提供が重要になることを踏まえれば、政労使、行労使を含む多様なステークホルダーが総力を挙げて、変化の実態を見据えた能力開発、その環境整備あるいは就労支援などのセーフティーネットの構築をしていかなければいけないと考えております。
現在、長野県や長野労働局、他の関係機関においても、産業・労働・暮らしに関わる様々な審議会、検討会が設置されております。連合長野も数多くの審議会等々に参画をしてきておりますが、こうした場における検討は、どちらかというと広範で共通性のある課題については実効性が担保できると考えておりますが、個別の産業、企業、地域によって課題が大きく異なる対応策・支援策の検討に対しては、どうしても表層的で表面的な理解の下での判断に陥りがちだということ、実態、ニーズに適合した政策につながっていないことも見受けられるのではないかと感じています。
4ページには、長野県の実態の紹介をさせていただきました。全国で4番目に広い面積を持ち、北海道に次いで多い77の市町村を有している長野県であります。県内を大きく10圏域で分けており、県行政もこの圏域ごとに地域振興局が設置されております。
さらに、右の図にありますように、産業構造・就労環境も各圏域・地域で大きく異なっているのが特徴で、県一律の方針、施策の策定では、各地域、産業に応じた対応に限界があることも課題であると考えております。
そうした実態も含めて、5ページに記載させていただきました、従来の地域政策の策定を支えてきた構造自体の見直しが不可欠になっているのではないかという視点と、記載のような視点の転換と拡がりという点から、既存の縦を基軸にした組織・会議体などの枠組みを飛び出した新たな社会対話の場、プラットフォームを、7年間かけて提案、対話を積み上げてつくり上げてまいりました。
とりわけ、視点の転換では、社会対話とそのプラットフォームづくりの必要性について共有化を図るということ、そして、視点の拡がりでは、長野県内は99.8%が中小企業でございます。その経営者、労働者を産業・地域横断的な視点で支えていく、また連携を構築していくという視点で、皆さんとの対話を繰り返してまいりました。
その結果、6ページにありますように、2018年に6つの産業別会議、10圏域の地域別会議の設置を確認することができまして、以降、7ページ、8ページに記載の組織に沿った全体会議また産業別会議、地域別会議をそれぞれ社会対話の視点で積み重ねてきています。
産業別会議、地域別会議の策定に当たり、とりわけ産業別会議のほうは、長野県を支える産業をどう分類するかということも、県の下で対話を繰り返し、策定をしてきたところであります。
9ページには、新たに立ち上げた産業別会議、地域別会議の構成を記載しております。6つの産業別会議には88機関に参画をいただいております。また、10の地域別会議には267の機関・組織に参画をいただいております。平均値ではありますが、各産業別会議には14~15の組織、地域別会議には26~27と会議体としては参画数が多いのかなと思っておりますが、産官学金労言それぞれより産業・地域ならではの組織に参画をいただいている状況であります。
10ページには、まだトライアルの域を出ませんが、現在の実態を踏まえた成果と課題の記載をさせていただきました。まず成果でありますが、最大の成果は、目の前に見えている表面的な課題だけではなくて、地域・産業ならではの課題が見えてきたということ、また、共有化されてきたということではないかと考えております。その上で、課題解決に向けて、参画、関係する各組織の役割が明確になったということ。そして、役割意識を持って新たな連携も生まれ始めてきたという点も最大の成果ではないかと考えております。
新たな連携という視点では、この会議体を通じて、地域の中小企業、また労働者が連携して新たなプラットフォームが構築されておりまして、そのプラットフォームに県や関係機関が参画するという新しい形も出てきております。その中で、キャリア教育、そしてスキルアップ訓練等々の検討もされてきており、そういった解決手法と、地域のシステムづくり、対話づくり等々も進んできたという点も大きな成果の一つであると考えております。
一方で、多くの課題も浮き彫りになっています。7年かけて対話を積み重ねてきたのですが、どうしても会議設置の目的の共有化がされておらず、1点目に掲げております社会対話と連携の新たな場づくりについては、どちらかというと、やる必要のない会議を立ち上げてくれたと捉える一部の参加者やコーディネーターのやらされている感が目立っており、淡々と会議を進めてはいただいているのですが、県全体会議の報告だけにとどまっているということも見受けられております。
そして、2点目、3点目は、そのコーディネーター役や担い手の不足等々を重要な課題として捉えております。初めての会議体でもありますので、その仕切りや参画団体の招集については信頼関係が必要になるため、立ち上げに当たってコーディネーター役を県の部局と県の地域機関にお願いいたしました。しかし、主体性を発揮していくためには、仕組みとして、行政の外で、産業や地域の中にコーディネートできる人材を設置し、信頼関係を構築していくことも非常に重要な視点ではないかと考えております。まだまだコーディネート役や担い手が不足している実態があります。
そして、そうした力が発揮されないと、どちらかというと、従来の縦型の課題を脱却できない、ボトムアップアプローチの限界も見えてきているという点も大きな課題ではないかと思っております。また、参画するメンバーも内向きな視点、近視眼的な傾向が強く、産業・地域全体を視野に入れた議論にならないといった課題も顕在化しています。
以上、どちらかというと課題ばかりが浮き彫りとなっている実態もありますが、ぜひともこうした社会対話、社会コミュニケーションの必要性においても、この検討会を通じて強く発信をいただくようにお願いしたいと思います。そのことが、地域を支える課題解決力、現場力、地域力の強化につながっていくのではないかと考えております。
最後になりますが、様々な課題がありながらも、11ページにありますように、喫緊の課題であるコロナ禍を踏まえた、またアフターコロナを見据えた県内の産業の振興策について、現在、長野県の新型コロナ対策産業支援・再生本部会議を立ち上げております。連合長野も参画をしながら、今後のデジタル化、技術革新に向けた検討を積み重ねていくところでありますが、この会議体に働き方改革で構築した産業別・地域別の会議を設置いただいて、もっと深掘りした検討、実効力ある政策をつくり上げられないかということを今、提案をしているといった状況でございます。
以上、長野県内の労使対話また社会対話の取組について報告をさせていただきました。御清聴ありがとうございました。
○守島座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまのJILPTの資料についての御説明、それから、根橋委員の御説明の2つに関して、事実確認、何らかの御質問等がございましたら、お願いしたいと思います。御意見等は後で自由討議のときにお願いしたいと思いますので、今の時間は確認のための御質問等をお願いいたしたいと思います。どなたでも御発言いただいていいと思います。御発言いただくときには挙手マークを押していただいて、進めていただければと思います。
後藤委員、お願いいたします。
○後藤委員 質問ということでよろしいですか。
○守島座長 質問でお願いいたします。
○後藤委員 根橋委員、ありがとうございました。
資料にも書かれておりましたとおり、前段の基本部会での、新しい技術が発展していく中にあっては地域での取組が働く場を確保していく上では非常に重要になってくるという議論を踏まえて、その事例の御報告だと思っておりますので、これが機能していくことが非常に重要だと感じています。
その上で2点、より具体的に教えていただきたいのですけれども、2つの産業別の会議と地域別の会議を設置されたということですが、それぞれの会議を踏まえて、具体的にどういった取組が多くの関係者の方々の意識の変化を促したのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。あるいは、会議を設置したという、場を設けたということだけで意識が変化し始めたのだということであれば、その旨もお聞かせいただきたいと思います。
もう一つですが、効果と課題について、特に現場での課題は近視眼的な傾向が多いであるとか、コーディネーターの方々からは面倒な会議を立ち上げたなという意見もあるという御紹介でしたけれども、こうした現場における課題を今後どう乗り越えていき、社会対話を実効性のある取組にしていこうとお考えなのか、もう少し具体的な対策あるいは何か必要な支援があるかといったことをお聞かせいただければと思います。お願いします。
○守島座長 根橋委員、どうでしょうか。
○根橋委員 ありがとうございました。
どのように意識の共有化を図ったのかということについて御質問をいただきましたが、この点が一番苦労いたしました。経営者の皆さん、労働者の皆さん、行政の皆さんなど様々な方とお話を進める中で、認識の共有化や、社会対話の必要性がなかなか理解されないということがあったのですが、共通する課題や、経営者、企業、労働者が困っている課題をまずは共有して、自らの企業だけでは対応できないという意識をどう持っていただくかということに注力し、県の担当者とも悩みながら取り組みを進めました。資料の6ページに「働き方改革・就業促進戦略会議」とありますが、立ち上げた当時は「働き方改革・女性活躍推進会議」となっておりました。やはり経営者の皆さんはこの先、人材不足が深刻化し、特に中小に人材が来ていただけないという思いが強くありましたので、この会議の名称を「働き方改革・就業促進戦略会議」に変更し、その中で地域別・産業別を立ち上げたらどうかということになりました。それぞれ課題意識を持っておられましたので、立ち上げが焦点化でき、協力関係につながったのも一つの要因かと思っております。
加えて、それぞれの具体的なメンバーについて、我々連合長野としては、各地域別会議、産業別会議には産業別組織、地域別会議には地域協議会の皆さんに参画をいただいているのですが、どちらかというと、自らが属している企業のことだけを内向きで考えている傾向があり、その企業が地域に与える影響がこの先どうなるのかということがなかなか共有できていない、そういった意識になっていないということも大きな課題だろうと思います。
また、中小企業の経営者の皆さんからは、どうしても企業内の取組だけでは、深みのある、これからの社会に適用する人材の育成ができないということで、他社人材との対話、他流試合の必要性ということを多くの経営者の方たちがおっしゃっておりました。
企業・組織を横につないだ産業・地域の枠で深く対話をし、それを企業に持ち込んでいくことで人材育成につながるのではないかというニーズから、そういう場をつくってしっかり参画させるということも、今一つ一つ積み重ねているところであります。ありがとうございました。
○守島座長 ありがとうございました。
ほかに質問等ございますでしょうか。大丈夫そうですね。
根橋さん、それからJILPTの御説明もありがとうございました。
それでは、各社からのヒアリングに移りたいと思います。最初に、株式会社荒木組の前田様から御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○前田氏 株式会社荒木組経営企画部の前田と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、資料に記載しました現在の取組、コミュニケーションや新たな技術にチャレンジできるようになったかということについて、経緯を中心に説明させていただきたいと思います。資料の内容につきましては、見ていただければ分かると思いますので、そのようにさせていただきたいと思っております。
弊社はこの4月で創業100年を迎える岡山県域を事業エリアにした総合建設業の会社です。従業員数は211名、その中の工事部門に配属された100名程度の社員は、年間常時稼働する30程度の作業所に分かれて勤務しています。
私が入社しました三十数年前は、数年間、顔を合わすことのない社員、先輩方も多くおられました。先輩の背中を見て育って、経験や技術のある協力会社の職人さんの後ろ盾で、それぞれの作業所の担当者がライバル意識もありながら競い合って、緊密なコミュニケーションとかは必要のない、皆無のような職場だったと思っております。
また、建設業の特性として、1つの失敗が命や大きな損失につながるということで、上司の指示どおりに今までの成功体験に沿って、変えることを非常に嫌がって、確実にミスのないということが大切だという会社で、言われたことは確実にやるけれども、自分で考えて新たな取組にチャレンジするということは本当になかなかできない企業カルチャーという会社でした。
そういった中、建設業を取り巻く社会環境が大変厳しくなった時期に、現3代目の社長が会社のほうを引き継ぐようになりました。その社長は、二十数年かけて、今のこういった資料に書かせていただいているようなコミュニケーションであるとか取組にチャレンジできる社風につくり変えてきました。
従業員のみんなが努力して認められ、重要な仕事を担っているのに、社長である自分が跡取りだからという形で社長にぽんとなりました。そんな自分に、みんなや三十数年前の俺が俺がという中で独立した社員一人一人が自分についてくるだろうか、認めてもらえるだろうかというところが一番のスタートになっています。社長は、経営者として自分の業務を認めてもらえることからスタートしようということで始まりました。
そのためにまず取り組んだのが、教科書どおりの経営を志して、経済学の書籍等を読みあさったり、経営セミナーに参加して異業種のベンチマークになる経営者の手法とかをいち早く学んで、それを実践してきました。
そういった中で、自社のブランドが通用するエリアで、価格競争をしないで特命で受注できる会社を目指すという方針を明確に定めて、組織としてみんなが同じ方向を向くことに力を注ぎました。
社風をつくるのが経営者の仕事で、いわゆる公式で会社で決めたルールというところはあるのですが、本当に会社が動いていくのは社内の非公式のルールであるということを意識して、そこをコントロールすることに注力してきました。そのために、特に重要視したのがコミュニケーションだと捉えています。
最初に社長が取り組んだのが、自分自身が編集長になって、毎月社内報を発行することを実施しました。仕事に取りかかる担当者の写真とコメントを載せるようにしました。各部門の出来事や社員の仕事を紹介するようにした。現場の担当者からすると、社報を家に持ち帰って、奥さんや子供に俺の現場はこんなふうになって、こんなふうにできたのだよと自慢することで、お子さんはお父さんはすごいなということで、家庭の中でのコミュニケーションで仕事の話をするということを大切にしました。
それから、他の現場の者は、今までは自分の現場のことしか見ていなかったのですが、他の会社、他の作業所の状況を見て、あんなことをやっているのか、こんなことをやっているのかということで興味を持つ。それで、ちょっと聞いてみようかなということで、ネットワークというかコミュニケーションができるようになってきました。
それと、会社のパンフレットをリニューアルするときには、社長自ら作業服を着てモデルになるよということで、とにかく見える、それから関係性をつくっていくということに力を入れてきました。
新しいことを取り入れる面では、いち早く社長が、インターネットがそこそこいろいろニュースに出てくるようになったら自分が加入して、自分のメールアドレスを社員みんなに公開して、やり取りをしようではないか、メールを始めている人はどんどんメールでやり取りをしようよということも呼びかけました。
それと同時に大切にしていったのが、今のはやりで言えば、社内にインフルエンサーをつくろうということで、自分がそれぞれのセクションでのキーマン、会社の中で次に将来キーマンになるだろうという人材に、社長自らが声をかけて、自分がリーダーになって新しい取組のプロジェクトをどんどん始めて、活動を始めていきました。その活動を進めながら、自分の会社のブランドが通用するエリアで、価格競争をしないで特命受注を目指すという方針を定めて、組織として計画立てて、みんなが同じ方向を向くように、それを通知するために、社内のネットワークを導入する、ハード面の整備を進めてきました。
二十数年かけてこのような取組を継続して続けていく、そういった中で会社として新しい取組にチャレンジすることを恐れることのない社風に変わってくることができたのかなと思います。
そして、キーワードになるコミュニケーションなのですけれども、確かに技術が進歩して社内のネットワーク等を整備して、広く早く伝えることを大切にしてきたのですが、それと同時に引き続き大切にしてきたのがフェース・ツー・フェースで話をすること。会社の1年が始まる4月に、社員全員が集まれる日曜日に新年式ということで、自分の言葉で社員が全員参加できる場を持って会社の方針を説明する。
それから、現場が始まるときには、現場辞令ということで、今であれば社内の辞令等をネットワークで交付するということもあるのですが、必ず手渡しで一人一人に渡して、そのときに今会社はどうであるか、4月1日に言った、会社がどう進んでいくかという内容について、改めて自分の口で必ず一人一人に伝わるようにコミュニケーションを取っています。
それから、弊社の本社なのですけれども、3階のフロアに営業系、工務系、事務系といったものがワンフロアで、仕切りのない一部屋でできる限り、あの部門がどんなことをしているのかが分かるようなハード面の工夫をしているのですが、社長と役員は2階のフロアにいます。3階に向かって中廊下を設けて、ふと気がつくと、社長がその3階のフロアを時間ができればうろうろする。特別何かを話しかけるということではないのですが、そういった中で会社内の人間が話していることにちょっと聞き耳立てて、あんなことを言っているな、こんなことを言っているなということを聞き取るといった、フェース・ツー・フェースというのか分かりませんが、そういう活動を大切にしています。
こういった中で技術は進んでいくのですが、やはりコミュニケーションというのはフェース・ツー・フェース、ネットワークで早く伝えるというコミュニケーションを引き続き大切にしていくということ。
それから、コミュニケーションを取る上で、今、大切にしているのは、ネットワーク等が進んでペーパーレスという形もあるのですが、あえて見える化ということで掲示物を掲示する。言ってみると、あまりに技術が進んでデータ等が見えなくなる、情報の共有はできるのですけれども、公式なものは出てくるのですが、細かい部分については逆に目につくように掲示することで、それぞれ会話する、コミュニケーションを取らないといけないなという環境に持っていけるようなことを引き続き展開してやっています。
そういったことに基づいて、今回、資料で提出させていただきましたが、いろいろな取組が進んでいるのかなと考えております。今回の趣旨にならった報告になったかは分かりませんが、私からの報告は以上にさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○守島座長 前田様、どうもありがとうございました。
ただいまの御説明についての質疑応答は、次の重田様の御発表が終わった後でまとめて行いたいと思います。
続きまして、株式会社ベイシアの重田様に御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○重田氏 ありがとうございます。
今、御紹介いただきました、私は株式会社ベイシア流通技術研究所の所長を務めます重田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
では、資料1ページ、本日のアジェンダはこのような形で発表させていただきたいと思います。
2ページは、まず、株式会社ベイシアについての会社概要になります。ベイシアグループは昭和33年創業の衣料スーパーのいせやから始まっております。1996年に現在のベイシアと社名を変更いたしまして、グループには、ホームセンターを展開しますカインズ、衣料専門店のワークマンがございます。本日お話をさせていただきますベイシアは、2000年よりワンフロアでの展開をしますスーパーセンター業態というものの展開を始めまして、おかげさまで企業規模を拡大できてきております。
昨年12月末現在で、売上げは3033億で、店舗数は141店舗となっております。ベイシアでの従業員数は、現在1万7301名、そのうち正社員、嘱託社員を含みます3,246名、パート、アルバイト社員は1万4055名となっております。昨年の10月にグループでの全体売上げは1兆円を超えることができました。
3ページはベイシアにおける労使コミュニケーションについてです。まず、ベイシアグループには、労働組合がございません。そのため、集団的な労使交渉や協議といったものはほぼ行われておりません。それゆえ、制度変更については、使用者側からの一方的な通知や押しつけなどといった意図に反した反応をされるケースもございます。こういった場合の解決手段は個別での話し合いになりますが、この個別の解決の数を少なくするための努力といたしまして、丁寧な説明と事前協議が必要と考えております。
制度的な面でのコミュニケーションを円滑にするための制度としては、こちらの資料に記載させていただいたものになりますが、後段でまた御説明しますが、この中で社内報のサポートツールとしましてベイグルというものを構築して利用しております。これは正社員だけではなくて、パートやアルバイトを含む全員がスマートフォンや自分のPCで見ることができる、自宅でも見ることができるという情報でして、直接アンケートを取ったり、声を聞くことのできる場としても使っております。または、賞与支給であったり、パート社員まで支給対象となります決算御礼といったものがございまして、そういったときには事業部ごと、店舗ごとに、店長が直接面談の時間を取っているということも行っております。
また、要望や不満を表明する制度としては、こちらに記載させていただいたようなものがございます。自己申告制度であったり、コンプライアンスのホットメールとか電話ということも設置しております。また、5年ほど前よりビデオ会議を活用しております。これも後段、御説明させていただきます。
次ページ、ベイシアでは様々な業務の改善に取り組むことをしてきておりまして、これは当社の経営理念であります「For the Customers」の中に「チェーンストアイズモアディスカウントビジネスに徹する」という一文がありまして、ロープライスで販売することが大前提だと、そのためには、ローコストオペレーションでなければならない、そのためには、生産性の向上が絶対に必須であるといったことで、当社では商業の工業化という言い方をしておりますが、こういった改善を繰り返すといった改善文化を定着させることに取り組んできております。具体的に改善というと、自動化や機械化、IT化といったことがございます。
次ページから幾つか事例を紹介させていただきます。まず、システムによる事例になりますが、バーコードによって消費期限管理。これは消費期限が切れた、時間が過ぎた物が人によるチェックをすり抜けてレジまで来てしまったら、全てレジで販売を食い止めるといった仕組みを導入していたり、次ページは道具と手順による改善になりますが、鮮魚の作業室の中が左の写真にあるように、以前は水浸しの状態で作業をして長靴を履かないと仕事にならないという状態でした。これは、ドライ化をしまして、現在では右側のように通常のキッチンシューズで作業ができ、水浸しにならない。衛生的で安全であるといったことを取り組んできております。
この取組の場合、現場のパート社員、アルバイト社員を含めて、一番のポイントは、まず「why」と、「What」を理解してもらうということです。この説明をすることに注力いたしました。パート社員に実際に取り組んでもらって、実際に想定した動作、作業を行ってもらって手順変更を繰り返し、あるべき形を固めてまいりました。そして、全店展開、横展開をするときには、トレーナーによるチームを結成いたしまして、店舗ごとに時間をかけ入り込んで拡大をしてきております。一斉での展開ということではなく、店舗ごとに徐々に拡大するという方向を取ってきております。
次ページの事例は、作業室の機械化になります。フライヤーの問題なのですが、オートリフター付のフライヤーを導入することによって、作業そのものの標準化、出来上がりの商品のレベル、品質の統一、作業者に対しての危険度の減少を実現したものです。担当業務ごとの専門家を育成するのではなくて、作業場の中で発生する業務が幾つかのパートを担当できるマルチタスク化を目指しているという点もございます。新たな機器を導入するようなケースは、作業手順を変えるといったことと比べて理解しやすく、スムーズな導入や業務転換が可能となります。
次ページで説明する内容は、発注業務そのもののシステム対応です。需要予測型自動補充発注を当社では展開しております。これの拡大に当たっての事例を紹介したいと思います。まず、需要予測型自動補充発注についてですが、個人判断による発注から同一ロジックによる発注に変えて、売れ行きに合わせた在庫コントロールを実現させるためのものです。
9ページになりますが、現在、自動補充発注導入による目的は、限られた売場での利益の最大化です。この辺の理解、目的の共有といったことも展開をするに当たってはどうしても必要なことになります。そのため、自動補充発注が利益最大化を目標とするために、人の手による発注を低減し、欠品の削減や過剰在庫によるロスの削減を目指すという認識合わせがまずありました。
10ページ。店舗展開に当たりまして、担当者の中には発注業務を必要以上に時間をかけて行う方がいらっしゃいました。自動補充発注を導入した後も、推奨値が出てきて、最終的には店舗で数字が変えられるために、自分が納得いく数量に変更するため、以前と同じ時間をかけるということも実際には見られました。中には、精度の高い発注をする方ももちろんいらっしゃるのですが、理解していただくのは、発注業務に時間をかけていた作業をほかの業務にかけていただく。売場のメンテナンスにかけるということを当社では目標とし、必要性を理解していただきました。
POSデータというものは幾つ売れたかは分かるのですが、どういう状態でどこで売れたのかはそれだけだと分かりません。それの分かる状態を現在はつくろうとしてきておりまして、そのために売場、商品が変わったら、棚割のデータのメンテナンスを徹底することを店舗でしなければならないことといたしました。
まず、店長が理解しなければいけないので店長への説明、店舗担当者に対してもパートやアルバイトも含めて直接説明ができるビデオ会議システムを活用しております。このビデオ会議システムの利用によって、現場業務が変わる際にはおおむねこういった手順を踏んでおります。さらに、店舗別、個人別の自動補充発注比率というものを出して、数字の変化がないという社員に対しては、その後のフォローとして直接的にSVが指導するといったこともしております。
11ページからは、レジ待ち混雑の解消というシステム、レジ混雑予測システムというものを導入したときの対応です。スーパーへの不満の上位には、レジで待たされるといったことが大きくあります。この解消のために、レジ混雑予測システムを導入して、業務役割を見直した事例についてお伝えいたします。
このシステムは、入り口にセンサーを設置しまして来店客数を取ります。また、レジレーンごとに待っている人の数を把握して、15分後、30分後に何台レジが必要かというものを担当者に知らせる仕組みです。混雑してから応援をするのではなく、混ませないための応援を依頼するといった仕組みになります。
13ページ、レジ業務は現金を扱うということもあり、お客様と直接接するということでもあり、なかなかなり手がいない職種です。現金の過不足が発生した場合の報告書作成などもあり、担当者にしてみると非常にストレスがたまる仕事と言えます。以前、自動釣り銭機を導入した際に、私が直接店舗でパート社員に言われたのが、機械化することによってストレスがなくなりましたということがございました。また、一番は過不足の心配をしなくていい、決められたとおりの操作をすれば基本的にミスは起きないといった安心感からストレスが減りましたという声でした。
このレジ混雑予測システムは、システム導入前からレジ担当者のスケジュールやその対応をサポートする役割をレジ前係という形で規定しておりました。しかし、実際はなかなか機能している店舗が少なく、混雑してから応援を要請するということが多くありました。レジ担当者は待っているお客さんのプレッシャーを感じていたり、応援に入る担当者にしてみると、急に呼ばれて急にレジに入れと言われるので、それまでしていた仕事を放り出さなくてはいけないといったことのストレスがございました。このシステム導入によって業務が変わる肝となるレジ前係の役割を決めました。
まず、このシステムを導入した店舗のマネージャー1名と4名のパート社員を選抜いたしまして、そのメンバーによってルール作成を進めました。お客様、チェッカーに対して何をしたらいいのか、システムからの情報を基にどう判断するのか、また、このレジ前係となるパート社員の権限はどこまで持たせたらいいのかといったことを決めてまいりました。
次ページのグラフは、縦にレジ稼働台数、横に時間となっておりますが、青い線はシステム算出の必要レジ台数、赤は稼働させたレジ実績です。上が導入直前で、下が導入直後2か月です。明らかにこのシステムどおりに人を動かそうとしているといったことがお分かりいただけるかと思います。
その結果が次ページになりますが、上のグラフと下のグラフで大きく違うところは、赤いところがどのぐらいの差があるかといったところになるのですが、赤のところは規定以上に混雑をさせている状況を表しています。お客様からレジ待ちクレームがなくなるには、この赤を少なくさせることになるわけですが、混雑状況を上と下で比べると客数がほぼ一緒です。同じ日曜日です。売上げもほぼ同じなのですが、実際に混雑状況はこれほどの差が出てきたということになります。
次ページは、こちらの店舗でこの取りまとめをした上で、これのいいところを横展開しようということになりまして、そのときの活動になります。レジ前係、業務の再設定や全店活動に向けてスタートさせました。まず、何が駄目なのか、何がいけない状態なのかということをどう認識してもらうのかを起点としまして活動計画を練りました。インタビューや現場観察、ビデオ撮影、施策の検討会、店舗勉強会など6か月の活動となりました。
17ページですが、レジ前係が必要なのか、必要ではないのかというアンケートをとったりだとか、次ページ、具体的に情報の共有といったところで重視したのは、画像であったり動画であったりといったところです。客観的に見られるといったところを重視いたしました。また、最終的には社内広報と教材等にどう生かすかというところです。
次ページで、実際に現場観察もいたしまして、レジ前係がどんなふうに動いているかを見ました。混雑をさせている店舗のレジ前係は、やはり現場にいることが少なく、サービスカウンターといった別の業務をしていることが非常に多かった。一方で、混雑の少ない店舗はレジ前に立っていることが長いということが客観的に分かりました。
次ページの写真は、10時38分なので開店してからまだ40分もたっていないときのある店舗です。これは、レジ運営マネージャーの勉強会でこれを教材として活用いたしました。この光景を見てあなたはどう思いますかと参加者に問いかけて、教育部、トレーナー、システム担当者、店舗レジ運営マネージャーの選抜14名で、残念ながらここにはパート社員は参加できていなかったのですが、現場を担当していますマネージャー14名に参加してもらい、この勉強会を開催いたしました。
その中で出てきた意見が次ページにあることになります。お客様の状態を見て、こんなサポートが必要だということや、この後にこういったことが想像できる、予想できるといったことを出してもらいました。
次ページ、一方でこのときにほかのレジはどうだったかというと、奥までレジを開けられていないという実態がございました。まず、これを開ける必要があるねという共通認識です。
参加者から多く出た意見が次ページにあるような形です。箱を抱えたお客様にはカートを持っていきたいな、しっかり誘導しなければいけないなと。では、これは誰が対応するのか。レジ前係がいたら、こんな状態にはしないよねといったことです。
こちらから、どんなことをしたらいいのかといったことを24ページに、ポストイットを使って書き出しをしまして、何をしていくかというものをまとめてまいりました。
次ページです。具体的にレジ前係の5大役割というものを決めまして、誘導、補助、開閉、支援、整備という形でマニュアルづくりにもつなげるようにいたしました。
参加者の反応というのが次ページに書いてあるところですが、勉強会に参加して何をしなければいけないのかが明確になった。やるべきことやその教え方が分かりました等々で、5大業務を決めましたので、これを早速店舗に持ち帰って展開いたしますという声が挙がってまいりました。
次ページです。同時に、教育部も店舗教育を開始いたしまして、先ほどの最初にシステムを導入したモデル店のレジ前係のパート社員の動きを実際にビデオで撮影し、それを教本としてビデオを各店に展開いたしました。また、実際に担当者に集まってもらって、店舗での教育を実施いたしました。
やはり状態を見てもらって、先ほどの写真も含めてなのですが、何をしなければいけないのか、それがお客様に対してどうつながるかといった理解をさせるところに重点を置いて実施しております。
28ページ、社内報での掲載をいたしました。この勉強会の報告であったり、次ページ、モデル店舗でのレジ前係のモデルスタッフの動きといったものの周知を図りました。
次ページです。結果、現場がどう変わったかというと、役割が明確になってレジ前係を担当できる人が増えました。これをどんどんやっていきますと、結果的に、この次の資料にございますように、お客様の声が変わりました。
31ページでございます。見ていてとても気持ちがいいとか、待つストレスが少なくなって印象がよかったとか、多少待っても気にならなかったということがプラスの効果として現れました。
32ページ、現場の動きが変化して、お客様の声が結果的に変わったといったところは、成功の要因としては強い危機感からスタートし、可視化の威力であり、現場に納得をしていただくというプロセス、肝になるのはきっかけと協働の場づくりといったことかと思います。
33ページ、チェッカー業務をレジ前係がサポートすることで、結果としてお客様へのサービスレベルが向上いたしました。新技術の導入はチャンスとして捉えて、業務の切り口を変えて、新たな業務、上の例で言えば、それぞれ個別に一人一人がチェッカーとして動いていただけだったのを、そこのサポートをするためのレジ前係という形で置いて、業務をつくり変えたことによって、新たなお客様満足につながったということです。ポイントは現場の声をいかに反映させるか。ですから、このプロジェクトの最初のスタートは、現場のパート社員の中で何をしていったらいいのかといったところがプロジェクトスタートで、肝だったと思います。
34ページ、最初でツールの紹介をちょっとしましたが、ベイグルという名の社内イントラシステムを作っております。これは、グループの中のパート、アルバイトを含む全社員がスマホやPCで見ることができ、決して業務利用ではなくて社内報のサポートツールとして使っています。また、意見を聞いたりアンケートをすることもできます。
構築のきっかけは、店舗が増え、グループ内企業同士、または店舗間の情報共有がなかなかされない、現場の担当者が自分の店しか分からないといったことをいかに解消していくか。また、うちの中でこんなふうにお客様から見られています、お褒めの言葉をいただきましたであったり、新しい商品が出ましたみたいなものの情報の共有として、参加意識を高めてもらうことを目的として、ほぼ毎日更新をされています。
業務の徹底を図るためのツールとしては、このほかにビデオ会議システムがあり、マニュアルを作成するものも2年ほど前より電子化いたしまして、店舗マニュアル、手順書の更新、閲覧がしやすい状態としております。これは現在、タブレットで見られるようになっています。
35ページです。先ほどオートリフターの件があったのですが、ベイグルの中で昨年12月28日に、オートリフターを12月の初旬に展開した店舗でこんな手順で作業が変わっています、これの切り替えはこんなふうに進めましたという情報の共有もさせていただいております。
以上が、当社が業務改善に当たって労使間のコミュニケーションといいますか、現場をいかに巻き込んで新しい業務をつくり出して、それをさらに展開していくための活動といったことについて触れさせていただきました。
最後のページで、新型コロナ感染症拡大による影響とその課題について御説明させていただきたいと思います。感染拡大当初、購買集中による欠品などといったお客様への御迷惑をおかけすることがございました。ただ、おかげさまでと言っていいのでしょうか、スーパーマーケットに関しましては非常に支持をいただいておりまして、営業成績としては堅調に推移しております。
もう一つ影響といたしましては、従業員の安全確保に向けた施策など、この辺の費用増であったり、不安をいかに解消するかといったところは、リスク対策室というものを昨年より立てまして、そこで集中して対応しております。こちらが中心になりまして、問題の調査や把握、対応策の決定や発信、全て対応しています。平時からありますコンプライアンスメールやお客様相談部へのメール、電話等も使いまして、そこが相談の受付をしております。
一方、コロナ対応になりましてから、在宅勤務が一気に進みました。グループウエアの対応というのはもう4年ほど前から導入はしていたのですが、なかなかリモートワークが進んでいなかったのが実情でした。これが一気に進んだといったことがございます。部門による差はまだありますが、在宅勤務は部門によって8割、9割、少ないところでも2割、3割といった形になっております。当然、店舗はそうはならないので、その辺の差というのはございます。
この1年でテレワークツールの利用を中心に、グループウエアの活用はさらに進んでおりますが、一方で個人による差がより大きくなっているのが実情だと思われます。
今必要な課題としては、改めてのOA推進であり、ビジネスプロセスの見直し、BPRの推進であり、現場ユーザーが業務に専念できる環境のサポートであると認識しております。
少々時間をオーバーいたしまして申し訳ございません。私からの報告は以上となります。ありがとうございました。
○守島座長 どうもありがとうございました。
それでは、続いて、質疑応答及び自由討議に入りたいと思います。
ただいまの2社からの御説明とその前にありました根橋委員からの御説明も含めて、御質問とか御意見がございましたら、お願いいたしたいと思います。御意見のある方は挙手いただいて、私が指名いたしますので、よろしくお願いいたします。
大竹委員、お願いいたします。
○大竹委員 ありがとうございました。
私は重田さんにコメントと質問をしたいと思います。非常に興味深くお聞きしました。特に、伝統的なコミュニケーション手段や、労使交渉というものではないけれど、新しい技術、AIや画像処理といったものを、エビデンスを使って教育したり、コミュニケーションを活性化する手法として、あるいは労働者を巻き込む手法として使っているということがすごく印象的でした。
それは、もともと労働組合ありきでないからこそ、こういう技術やエビデンスを使ってコミュニケーションを取っていかなければならないというバックグラウンドがあったのでしょうか。それとも、こういうことに使えるのだということが別にあったのか、そういうことをお聞きしたいと思います。
○重田氏 ありがとうございます。
現場でシステムとか新しいツールが出たときに、やはり使われて始めて実績だと思っています。ここは実はなかなか難しくて、システム開発は声が大きい人にどうしても引っ張られてしまうケースがあるのですが、それは誰が使っているのかと終わった後に見てみると、これしか使われていないというケースがあるといった失敗も多々ございます。
ただし、店舗での業務をどう変えていくかというのは、最終的に全店が変わるということを目的としていますので、当然現場の人たちが納得しないと動いてくれないというのは実際にございます。私も店長経験が数店舗ございますが、そこではふだんからのコミュニケーションをどう取っておくかというのが一番重要でして、今度こうなるからこれだけ頑張ろうねということを言っても、大体うまくいくわけがないので、それがまず一つポイントではあるのですが、やはり現場の人たちが気持ちよく仕事をしていただけるためには、納得してくれないとやはり人は動いてくれませんので、そこのところを重視するためには、こういったエビデンスをうまく使って、それが今は画像であったり映像であったりといったところが利用しやすいということはあるかと思います。
○大竹委員 追加で、レジ前係の話はすごく印象的でしたが、重要な意思決定や指揮命令の一部をやっていますね。普通でしたら、何となくここは混んでいるからここに入ってくださいというのをリーダークラスでない人がやると、うまくいかないはずですが、それはこういうエビデンスの下で指示しているから言うことを聞くのかなと思って聞いていました。
○重田氏 おっしゃるとおりです。
最初にシステムを導入した店舗で、レジ前係を社員がやるというと人数が限られてしまいますので、パート社員の中でもここに入れる人は、言い方が悪いかもしれないのですけれども、気が利く人、いろいろ気が回せる人が重要だという話になって選抜しました。選抜したメンバーも、私が応援者を指示して呼んでしまっていいのですかという反応が最初はございました。ただし、店長がそこにずっといるわけにはいかないのだから、あなたたちがやりましょうという話をして、これはその辺を担当してくれる人たちの納得ももちろんなのですが、実はほかの社員全員にそのことを理解させるといったことはちょっと苦労いたしました。
ですが、そこは店長に頑張ってもらって、朝礼であったりミーティングの場であったり、うちは社長の分身が店長だという言い方をするのですけれども、その店長の分身がレジ前係にいて、ことレジのコントロールに関してはその人が絶対ですと。それまでは、応援で入るのですけれども、自分の判断で抜けてしまう人がいて、結果的にまた呼ばなければいけないというケースがあったのですが、その権限を渡してからは、レジ前係がいいと言うまで出てはいけないというルールにしましたので、こういったところが難しかった点でもあるのですけれども、意外と何が目的で今こうなっていて、だからこの活動をしているのですといったことを回って説明を教育部がしたというところが理解されやすかったかと思っています。
○大竹委員 ありがとうございました。
○守島座長 佐久間さん、お願いします。
○佐久間委員 ありがとうございます。
全国中小企業団体中央会の佐久間と申します。今日はありがとうございます。
私は荒木組とベイシアの両者にお伺いしたいと思います。
まず、荒木組さんのほうで、今日はありがとうございます。建設現場のほうにこういうIT機器と言っていいと思うのですけれども、例えばドローンで工事の俯瞰とか、いろいろな建設機械関係でもAIという情報関係機器が入ってきて、作業をしている方々の効率というのは非常に高まって、それによって作業環境の関係、または女性の職員、社員の方を入れるのが促進されたりということが出てくると思うのですけれども、実際に現段階で効率化したためにどこの部署に動かすとか、そういうものにはまだまだつながらないのか、あるいは、現状では部署の異動というよりは、作業の効率化、生産性というものにつなげようとしているのが現状ではないかと思うのですけれども、その辺の感触を教えていただきたいと思います。
それから、ベイシアさんなのですけれども、非常に興味のあるお話をありがとうございます。すばらしい自動補充発注システムとか組まれているということで、本当に興味のあるシステムであります。最終的には現場の作業の方々が店舗で決めると述べられたと思うのですが、この自動補充発注システムと現場の作業感覚の誤差、やはり自動のほうがAIといってもいいのかもしれませんけれども、それによってかなり誤差が少なくなっていると思いますが、店舗ごとの現場ではどちらのほうが合っているのでしょうか。
もう一点、レジの関係なのですけれども、ベイシアさんも時間帯によっては、そうは言いながらもレジの前は結構混んでいるような印象があって、人がカートを押しながら待たれているということで、逆に少し待たせるという戦略もあると思うのですが、レジも18台ぐらいあって空いているところがあると思うのですけれども、どのぐらいお客様がストレスを感じるところの感覚というか、戦略みたいなものを教えていただければと思います。
○重田氏 分かりました。
まず、最初の自動発注の問題ですが、こちらはどうしても担当者によっては、中でもちょっと触れましたけれども、私のほうが正しいという人が実はたくさんおります。一生懸命業務に携わってくれているパート社員の中には、この自動発注は当たらない、私のほうが正しいという人もいらっしゃいまして、そういう方も中には本当にいます。ただし、平均点でいいと我々として思っていますので、7割当たっていればいいというところで進めてきております。
今、実際には、業務そのもので発注業務があなたの仕事ですとしてしまうと、1日中発注端末を持って売場にいるという方が実際に散見されました。ですから、そうではなくて、しなければいけない業務を細かく規定しましょうということで、発注はシステムにお任せしましょう、基本的にはそれでいい。その分、先ほどもちょっと触れましたが、どこでどうやって売れたのかというのがこれから先はより重要になってくるので、ここを正しく店で捉えられるようにしましょう。ただ単に100個売れましたではなくて、どうしたので100個売れましたというのがきちんと分かるようにしましょう。そうすると、担当者の人たちが今度は考えることが変わっていくはずなので、そこにつなげたいということでやっております。
精度という意味では、実は自動発注も全部が全部万能ではないので、特にコロナ禍になって最初の買いだめが発生したときは、当然のことなのですけれども、大外れも大外れです。得手不得手がありますので、この辺は今後もより精度アップをさせようというところでございます。
もう一点のレジ待ちのほうでございますが、実は我々では「ワン・プラス・ツー」という言い方をするのですが、レジを打っている人が1人います。そのほかに2人お待ちいただくまでは許容していただきましょうというのが、当社の戦略です。ですので、打っている人を入れて2人待っていると、時間的には大体3分ちょっとになるのです。この辺までは待てるというのが、いろいろ聞いた中で我々としては捉えているところです。1人も待たせないようにしましょうという戦略ももちろんあるとは思うのですが、これは非常に過剰なレジ供給という形になりますので、今、当社では「ワン・プラス・ツー」というところになっております。
○佐久間委員 ありがとうございます。
○守島座長 前田様、いかがでしょうか。
○前田氏 先ほどの質問なのですけれども、現場の効率化という部分のお話をどう展開していくかということなのですけれども、現実には建設業というのは重層構造で、それぞれの専門職種、技術を持ったベテランが業務に当たらないといけないといった部分が、今の新しい技術というところで機械化されて、経験が浅くても大丈夫。ベテランの人についても、体力的に衰えた部分をカバーする。そして、技術が足りない部分を賄って、職人さんが減ってきたところをカバーするといったところが一番のポイントになってくるかなと思っております。
そういった意味では、そういったことがない限り、建設業のほうも運用していくのがなかなか難しいと考えておりますので、どんどん導入をしていかないといけないし、進んでいくかなと考えております。お答えになっているでしょうか。
○佐久間委員 どうもありがとうございます。
○守島座長 ありがとうございます。
佐藤委員が手を挙げていらっしゃいますので、どうぞ御発言ください。
○佐藤委員 ありがとうございます。
ベイシアさんにぜひお伺いしたいのですけれども、改善文化の中に生産性向上というものがあって、生産性が向上すると今度は社員の満足度というかエンゲージメントが高まるということがよく言われますが、もし御社で満足度とかエンゲージメントとかを測っていらっしゃるものがあれば、こうした取組を通してそれがどんなふうに変わってきているかというのを御教授いただければありがたいです。
○重田氏 すみません、何か数値的なものとしては明確に捉えられておりません。そういった面では申し訳ございません。
そういう意味だと、正直今、流通業へのなり手が少ない。どうしても人手不足というのが、特にレジのところであったり、入社はしていただくのですけれども、レジは嫌ですという人が相変わらず多いのです。全体的に労働力不足といったところに今後は対応していかなければいけないので、より生産性を高めるというか省人化を図っていく必要があるといった点ではございます。
一方で、こういったことをやってきた結果がどうかなのですけれども、ここ数年の正社員の離職率は非常に低くはなっております。
○佐藤委員 どうもありがとうございました。
○守島座長 ありがとうございました。
仁平委員が手を挙げていらっしゃいますので、どうぞ御発言ください。
○仁平委員 ありがとうございます。
荒木組さんとベイシアさんは労働組合がない現場のお話ということで、興味深く聞かせていただいたのですが、私は前段にご説明いただいた『Business Labor Trend』の記事に関して意見を申し上げてもよろしいでしょうか。
○守島座長 どうぞお続けください。
○仁平委員 『Business Labor Trend』の47ページと49ページで、AIに連動するロボット技術も含めて今後、新技術が普及することで、既存の雇用に影響が出るのではないかといった課題認識が示されているのですが、こうした局面においてもディーセントワークを実現していくためには、必要なスキルを特定し、習得していくための職業訓練を講じていくことが重要なのではないかと思っております。
加えて、これまでも申し上げてきたところでございますが、変化への対応が難しい方へのセーフティーネットをどう構築していくかということと、労働移動を考える場合には、雇用吸収力があって、かつ一定期間産業を維持することが可能で、さらにディーセントな労働条件を維持できる産業をどう生み育てていくのかといった視点が重要なのではないかと思っております。
そういうことを考えるにつけ、個別労使あるいは個別産業では対応が難しい課題もあるのではないかと思っております。より幅広い枠組みでの議論が必要であると思いますし、部会報告においても業種、産業、地域、全国レベルでの政労使の対話の必要性が示されているわけでありますが、そういった対話の枠組みの構築について、ぜひ具体的に検討していく必要が今後あるのではないかと考えております。
また、47ページに記載されている、事前の労使の確認であるとか、新たに求められる人材の育成、多様な人材が活躍できる職場環境、個人データの保護やデジタルストレスへの対応などは、繰り返しになりますけれども、重要な視点だと思っております。こういった事項について、どのように協議を進めていくのか、今までのヒアリング事例も参考に、より具体例を示していくということは、今後AI等新技術の導入を進めていこうとしている職場や、労働組合のない職場における労使コミュニケーションの強化にも役に立つものだと考えております。
最後になりますが、電機連合の記事にも問題意識は記載されていますが、使用者との交渉・協議を如何に実効性のあるものとするかという視点からしますと、労働者の本音、困りごと、職場の実態といったものをしっかり把握するコミュニケーションができてこそ、交渉・協議がうまくいくのではないかと考えておりまして、そのための職場におけるコミュニケーションの在り方についてもぜひ議論を深めていく必要があるのではないかと考えております。
以上です。
○守島座長 ありがとうございました。
御意見ということなので、特にレスポンスはありません。
○仁平委員 結構です。意見です。
○守島座長 続いて、後藤委員から手が挙がっておりますので、後藤委員、お願いいたします。
○後藤委員 ありがとうございます。
荒木組さんとベイシアさんにそれぞれお尋ねしたいと思います。今日はありがとうございました。
まず、荒木組さんにつきまして、ドローンの活用による測量であるとかMCバックホウを使用した施工など、自動化ではないのですが、より高度な技術の活用事例がありますが、先ほどの佐久間さんとのやり取りの中で、技術の進展は人手不足を補ったり、あまり高度な技術を持っていない人についても、そういった作業に携われるようサポートするというお話だったと思うのですが、逆に現場で作業される方の中には職人気質の方がいらっしゃって、高度な技術であるとか新しい技術を導入するときに、例えばドローンを使ったほうがいいだとか、バックホウをもっと高度化したほうがいいということをお勧めしたり、利用を促した際に、抵抗を受けることがあったのか、あるいはそれをどういうふうに乗り越えていったのかというのがまずお聞かせいただきたいことの一つです。
加えて、今社員規模は200人ぐらいかと思うのですけれども、新技術等を導入したことによって、社員が集まりやすくなっているということが見受けられるのか。この2点についてお聞かせいただきたいと思います。
次に、ベイシアさんについては、パート、アルバイトの方々が今1万4000人ぐらいということなのですが、資料の中に商業の工業化という記載があり、これは非常に分かりやすい表現だと思うのですが、こういった社内での工業化が急速に進んでいったときに、一見すると人が要らなくなってくるのではないかという印象を受けたのですけれども、実際に、パート、アルバイトの方々の規模は変化しているのかどうかということ。
もし、あまり大きく変化していないのだとすると、役割が店舗の中でいろいろと変わっていくのではないかと思っていまして、店舗の中あるいはグループの中で、例えば、今までチェッカーだった人が100人いたけれども、80人で済むようになったときに、残りの20人の人たちは先ほどのレジ前係をやるだとか、新たな場所に人を配置することによって、全体的な規模感はあまり変わっていないということなのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
荒木組さんからお願いします。
○前田氏 まず、現場のお話になると思うのですけれども、どのように職人気質の方に受け入れていただくような形に展開していくかということなのですが、弊社のほうでも先進的に取り入れた協力会社の方と仕事をしていくといったところで、こちらの資料にもつけさせていただきましたけれども、こういったスピードであるとか、実際にやっているところを同時に見ていただくということをどんどん協力会社の方にメッセージとして出していって、やってみようかということで、すぐに展開できないですが、そういうことを繰り返しながらやっていく。
それから、うちの現場の担当者のほうも、あの現場でやれたのだから俺の現場もやれるかなという形で、ちょっとずつインフルエンサー的な方を1人でも2人でも増やしていって展開していくというやり方で進めていっています。
それから、こういったITであるとかを取り組んでの研修事業に、会社の中で入ってこられる方が増えたか増えないかというところでありますけれども、明確には何とも言えないところはあるのですが、社内でとにかく新しい技術について自分ができないで、若い人間にやれよという指定がどんどんなくなって、自分でもやっていかなければいけないかなという形になってきたので、ある意味では若い方の気持ちとかスキルということについて、逆にベテランとか先輩の社員のほうが取り入れていくというところでコミュニケーションが取れる環境になってきたので、これをどうするのかという形で、逆にコミュニケーションが広がっていって、ある意味ではそういう定着とか、入ってきた先輩から後輩の人間に社内の環境はいいよねという形で、安定してリクルート関係で入社していただけることは増えてきたかなと考えております。
○後藤委員 ありがとうございます。
ベイシアさん、お願いします。
○重田氏 まず、パート、アルバイトの変化は、実は私どもスーパーセンターという、それまではGMSスタイルで、例えば2フロアで展開していたものを1フロアの店舗に変えました。1フロアの店舗で、集中レジで衣食住全て会計できますという形の業態なのですけれども、これにしてから、一気にパート、アルバイト比率を高めることができるようになりました。出店が多くなったというのはその時期にありまして、2000年から2010年ぐらいまでの間ですけれども、いっときパート、アルバイト比率が一番高い店舗だと88%ぐらいまでいったというタイミングもございました。
ただし、その後、いろいろな意味で製品の品質であったりその辺を高めようという動きになりまして、現在はそんなに高い状態ではありません。80%前後かもうちょっと切っているかというところだと考えております。
全体のパート、アルバイト比率の変化というのは、お店の業態、スタイルによると思っていますので、私どもでもスーパーマーケットがあり、スーパーセンターがあり、小型店もやっていまして、この辺によって随分違ってはきます。小型店の中にはパート社員の中のマネージャーであったり、一部店長であったりというのも出てきてはおります。
一方で、先ほどの例として、レジをやっていた人が省人化できることによってほかの部門またはほかの職種へといったことは、当然そういうふうになってきております。今、切り口とすると、縦割りで仕事をしていたのを、できるだけ横割りに変えられるところがないかという取組をしておりまして、部門を超えて同じような仕事はまとめてその人たちがやれるようにしましょうと。
パート社員の場合ですと、出勤する時間帯が限られていたりということがございますので、今まで時間帯が違っていても、この人にはこの部門を担当してもらっています。ですので、1日に発生するものは全てその人がやっていましたという仕事の仕方ではなく、今はその時間帯に発生する業務はこういったものがありますので部門は複数です、または部門を超えて担当していただきますというやり方に変わってきております。
全体的なパート、アルバイトの人数が減っているかというと、先ほどちょっと触れましたように、なかなか応募が少ないのが実態ですので、これから増えることはそうそうないだろうと思いますが、仕事の再配置という意味におきましては、今は縦から横へという形で切り替えを進めようとしているところです。
○後藤委員 ありがとうございました。
○守島座長 ありがとうございました。
続いて、戎野委員が手を挙げていらっしゃいますので、どうぞよろしくお願いします。
○戎野委員 両企業様にお伺いしたいのですけれども、今のお話にもありましたが、職人さんですと非常にプロ意識を持ってやっていらっしゃって、ベイシアさんでも、例えば在庫コントロールは機械よりも私のほうが上だという、これまでの経験や蓄積から持つプライドなり誇りがある中で、ここは機械に変えていきましょう、AIに変えていきましょうというときには、それなりの心の葛藤があると思うのです。
荒木組様への質問ですが、今の御回答を聞いていて思ったのですけれども、技術革新を進めるに当たって、まずその前提にコミュニケーションがちゃんとできている。みんなの共有の課題としてそれに向かって取り組んでいくというのがあるからこそ、プロ意識も超えて改革に取り組めるのだなと思いました。新たな技術を学ぶに当たっては、今まで培ってきた技術でないものを新たに学ばなければいけないわけですので、特に高齢者にとっては大きな意識改革になるかと思いますが、このような意識改革を行うに当たって常日頃からどういうコミュニケーションを心がけていたのかというところを教えて下さい。
もう一つは、ベイシアさんですけれども、パートさんがたくさんいらっしゃるということで、店長さんからのコミュニケーションを日頃から心がけていらっしゃるとのことですが、このレジ前係などは、やはりパートさん同士の協力というものも物すごく重要で、パートさん同士のコミュニケーションも不可欠だと思います。しかし、勤務というのは週5日いらっしゃる方もいるかもしれませんけれども、週数日で1日わずか数時間働く方もいらっしゃると思いますので、コミュニケーションが取りにくい方々もいらっしゃるかなと思いました。そこで、パートさん同士のコミュニケーションについて、どう気をつけていらっしゃるのかということと、このようにいろいろ機械化やAIということをやってくると、コミュニケーション格差というものも一方で出てくるのではないかなと思うのですが、その辺りの問題はないのかということをお伺いしたいと思います。
○前田氏 それでは、私のほうからお答えさせていただいてもよろしいでしょうか。
○守島座長 よろしくお願いします。
○前田氏 どのように進めていくかということなのですけれども、資料のほうにもありますけれども、温水つきの便座といった新しいこともどんどん現場の中に取り入れてやっていく。まずはうちの社長がやっているようなのですけれども、通訳つきの機械があったらこれを現場の中に入れて、外国人の職人の方が多くなれば、取り入れていこうと自分で買ってきて、現場で使ってよという形で、まず変えていくということを当たり前に自分が先導して見せて、社長がそこまでするのなら自分たちもやらないといけないなということを現場の管理者の人間がやっていくといったことをどんどん続けていくと、周りの協力会社の方々も力にしてみようかなという強力なコミュニケーションというか、まずやってみて、失敗してもいいのでとにかくどんどん取り組んでいく。その中で、やってみてこれいいよなということが1つ増えることで、恐れずに明らかにしていけるということです。
ですから、そういうこと一つ一つを積み重ねていくことを意識してやっていくという中で、ちょっとずつプロ意識というか、変わっていくということを二十数年の経験則の中でみんな意識してきたので、それが普通にできるようになってきた。そこがこういった新しい技術を協力会社の職人さんたちにも届けていく上で、大変重要なコミュニケーションの取り方かなと考えていますし、意識しています。
○重田氏 ベイシアのほうからよろしいでしょうか。
まず、コミュニケーションの手段ということでもあり、パート同士のコミュニケーションの問題も多少関わってくるのかと思うのですけれども、私どもの中で円滑にするための施策制度みたいなものの中に、フレンドリースタッフ表彰とか部門別の販売コンテストというものを毎月実施しています。
フレンドリー表彰というのは、レジの人ももちろん対象になりますし、売場の人もそうですし、スタッフでもそうなのですけれども、お店の中でフレンドリー表彰にふさわしい人をお店の中で募ります。そういった中で、自分の店の中でこの人のフレンドリーはこんなにすばらしいというものを集めて表彰するということをやっていたり、お客様の声をいただきます。クレームももちろんいただくことはありますが、お褒めの言葉をいただくこともございます。こういったものは先ほど紹介したベイグルとかで全社員に公開します。個人情報は当然伏せてありますけれども、お客様からこのお店にこんなお褒めの言葉をいただきましたみたいなものを共有していくというのが普段からのコミュニケーションであったり、パートさん同士の中でもある程度リスペクトしてもらうみたいなところはつながっているのではないかと思います。
コミュニケーションの格差はどうかと言いますと、確かに発生すると思います。ですので、これをいかにそうさせないかといったことで、店長には直接話をする機会を、年に数回にはなってしまいますが、これを持っているのと、基本的には朝礼とか昼礼といった機会で、実は朝礼だけやってしまいますと、午後に出勤してくる人がいますので、当然情報が共有されないということにもなりますので、もちろん掲示物が一つあるのですが、それ以外に店長が必ず同じことを朝に言って午後にも言ってといったことをしております。
ちなみに私が店長だったときには、月間で1回ずつ、大体1週間かけて10回ぐらい同じことを言う時間をつくりました。そうすると、そのどこかに全員1回は参加しろというと、直接話をする機会ができるということをやっております。これは全員がやっているわけではないので、何名かはやっているかと思いますが、そうやって何とかコミュニケーションロスが発生しないような形も取ろうとはしております。
以上でよろしいでしょうか。
○守島座長 ありがとうございました。
ほかにどなたかございますでしょうか。
根橋委員、お手を挙げていらっしゃいます。どうぞ。
○根橋委員 ありがとうございます。
前田様、重田様、ありがとうございました。大変参考になりました。
ベイシア様の取組について、御紹介いただきましたように、個々の対話を積み重ねており、コミュニケーションは日常平時から取られているということで参考にさせていただきたいと思っています。その中でもポストイットを使ったワークショップが、納得のコミュニケーションをつくり上げる、いわゆる合意形成のプロセスに重要な役割を成しているのではないかと思っております。
そこで、そのワークショップを展開するときに、ファシリテーターが非常に重要な役割を果たしており、意見やアイデアを出しやすくする役割を担っていると思います。地域の中でもコーディネーター人材が不足しているという報告もさせていただきましたが、御社がファシリテーターや、意見を出してもらったものをまとめる人材の育成などで気をつけているところ、人材発掘などの方法がありましたら御紹介をいただきたいと思います。
○重田氏 ファシリテーションは難しいですよね。実は、最初はやはりSIerさんに協力をいただきました。SIerさんにそういうフィールドイノベーターという人たちがいまして、最初にありがたいことに無料でお試しでどうぞと言っていただいた時期があったので、そこでファシリテーションしていただいたケースがございました。
そこで、先ほどあの場に参加したトレーナーを参加させて、そういう活動をしている中で、実はトレーナーのメンバーが全員ではないのですけれども、その中からそういったことができるようになる人間が出てまいります。その者が、例えばフレンドリーマネージャーみたいなものは定期的にテレビ会議を行っていますし、集まったりもしていました。ここ1年は集まれていないのですけれども、そういった場で彼女たちは既にカード出しと呼んでいますけれども、こういう手法を使って意思決定、またプロセスの変更みたいなものに取りかかっているというものは事例として確かに出てきております。
流通技術研究所でもこの辺のいわゆるPM的な業務がきっちりこなしていける、ファシリテーターになれるような人材育成というものはなかなかできていないのが実情でして、これからその辺のプログラムは取りかかっていこうとしているところではございます。結果的に、自然発生的にこの人とこの人はできるようになっているねみたいな形が現状です。
○根橋委員 ありがとうございました。
○守島座長 ありがとうございました。
鬼丸委員が手を挙げていらっしゃいますので、どうぞ御発言ください。
○鬼丸委員 ありがとうございます。
いろいろ勉強をさせていただきまして、大変刺激をいただきました。
1つ、実は先ほど御質問いただいた、まさに社内のコーディネーターも含めた働きかける側の人材育成について、意識的なお取組が何かあれば教えていただきたいということで、両社にお伺いできればと思っております。
もう一つは、そのように「社内で業務を刷新したい」「新しい取組を進めたい」というときに、自社内にある技術やスキル、新しい方法などがうまく結びつくとは限らず、社外・他分野、他産業など様々なところから、新技術といった新しい情報などを得ることも大変重要ではないかと考えております。
そういった面で社外とのコミュニケーションですとか、新しい技術、新しい取組の情報を得たり、交流したりするという意味で、社外の皆様とのコミュニケーションを取るということについて、御社の中で意識されていることですとか、何か意識的に社内の人材に働きかけていることなどがあればお教えいただければありがたく存じます。
○守島座長 ありがとうございます。
前田さんからお願いできますか。
○前田氏 教育面ということにつきましては、意識的にその仕事の教育ということで職業教育、またはそれぞれのセクションで、それぞれが計画して、半期半期といいますか、会社の中の半年半年の中でプログラムを組んで実施していくということでやっています。
そこの起点になるのが、社内の幹部のほうがまずは自分の中からいろいろ声をかけてスタートする。スタートして選ばれた中でキーマンとなる人間が新たに自分が持ちかけて、次の世代というかグループに展開するという形で、まずはキーマンを迎えて社内全体に展開していくということで、即効性という意味では多少遅い面もあるのですけれども、そういった中で確実に社内の中に根付くような形で教育のほうは進めていっております。そういった中で、ITや新しい技術ということについて、現在も積極的に取り入れていくという形です。
それから、アンテナを張ろうということで、社内のネットワーク等を使いまして、こんなことがある、あんなことがあるということは、それぞれのコミュニケーション、部門の会議であるとか部会であるといったところで積極的に情報を提供して、新しいことに取り組んでいくのが大切なのだという会社の雰囲気、社風をつくるところを意識して進めているというところです。
○重田氏 ベイシアの重田です。
まず、人材育成といったところになるかと思うのですが、ここは、今は体系化しようとしているところもありますが、まず、一つの例ですけれども、例えばオフィス365をうちではグループウエアとしてグループ内で展開しております。ここが当社もなかなか活用し切れているというところまではできていなくて、この辺をやはり社内のそういう興味の関心の高い人材をいかに集めてインフルエンサーになってもらえるかといったところが必要だと思っています。
実は、導入した当初、各部から1名ずつ、あなたがITリーダーですみたいなやり方をした時期がございました。ただし、どうしてもやらされている感が強くなってしまって、なかなか広がらないとか、下手すると会議にも出てこないということがございました。これは、職種がどうだとかは一切関係なく、興味を持っている人、自ら使いこなしている人をいかに集められるかというのがポイントかなと考えております。
ここはまだ実現できていないのですが、まさに今取り組もうとしているところではございます。というのは、リモートの環境が外せないような1年になってきまして、もう少しリモートの活用の仕方を根本的に変えようと。なおかつ、アフターコロナも見据えて、元に戻ることは少ないと思っているので、ワークスタイルが全く変わることを前提にリモートを方針からもう一回見直そうという委員会を立ち上げたところです。
それと、社外とのコミュニケーションというところも含めてなのですけれども、一つは中途採用を積極的に進めています。やはり中の人材だけではなくて、特にIT系のところは外からの刺激も含めて、技術を持った人、そういったことに携わってきた人を積極採用しております。
今、私のところで採用して、昨年の夏前に入っていただいたのですけれども、人材教育とか研修のIT企業の専門家だった方に転職サイトからうちのほうに来ていただいて、今、その人とうちの中のプログラムであったり、その辺のことを組み立てようとしているところでございます。
それと、積極的に中途採用を進めていますと先ほど言ったことが一つ。
あと、以前はセミナーに参加するというと、東京に行かなければいけないとか、我々は群馬に本部があるものですから、1日がかりだったのですけれども、今、オンラインセミナーは時間さえうまくできれば1日に幾つも受けることが可能になりますとか、逆に比較的ハードルは下がったかなと思っていますので、この辺に積極的に参加しなさいと。毎月、無料のセミナーであったり、有料のセミナーであっても、これに参加したいということであればちゃんと申請をしなさいということで、申請したものに関しては、もちろん内容を見てですけれども、許可をして参加していただいているといった形で、人材の育成、特に社外とのコミュニケーション、いわゆるアンテナを高くして情報を取ってこいというのはそんなやり方をしております。
○守島座長 ありがとうございました。
最後に、池田委員から手が挙がっておりますので、どうぞ御発言ください。
○池田委員 時間も迫っておりますので手短に、それぞれの業界の特性に応じて1つずつ質問をさせていただきたいのですが、まず荒木組様に対して、建設業というとよく聞くこととして重層的な下請構造みたいなものがあるかと思うのですが、そうなるとコミュニケーションというのも一企業単位ではなかなか成立しないこともあるのかと素人的にイメージが浮かんでしまうのですが、その業界の特殊性によってコミュニケーションで工夫なり取り組んでいらっしゃることがあるかというのを伺いたいと思います。
それから、ベイシア様に対しては、今日の御説明は特に小売業が中心だったと思うのですが、パート、アルバイトの比率が下がりつつあるけれども高いというのはこの業界の構造ではないかと思うのですが、パート、アルバイトの方が多いということによって、正社員が多いような普通の企業とはまた違う取組が必要なのではないかと思うのですが、その特殊性にどのように対処されているかというのをお聞かせいただきたいと思います。
○守島座長 それでは、前田さん。
○前田氏 まずは、重層構造という中で協力会社の方々とコミュニケーションを取るのは大変重要なことでありまして、年に数回、協力業者の経営者の方を招いて食事等、コミュニケーションを取る場を設けて、そこで一人一人の経営者の方とうちのトップが話をして、実際に困っていることはこんなこと、あんなことということを酒も入れながら、今はなかなか難しいのですが、直に話をするという機会を大変大切にしております。
また、各協力業者の方は、今の自分の会社の中で社員教育がなかなかできないということで、荒木アカデミーということで、本来は各会社でやるべき職人の方々の教育をうちの会社のほうで、それぞれの業種の別の会社の方を集めて、まとめてうちのほうで主催して教育を実施するということで、関係性を強化していくというところを意識して活動を進めております。
○守島座長 ありがとうございました。
○池田委員 ありがとうございます。
○重田氏 では、ベイシアのほうからですが、パート、アルバイトが多いというのは確かにそのとおりで、これはコミュニケーションを取ろうとしないと取れませんので非常に難しい部分がございます。
そこで、今日御紹介したベイグルというのは、全員が見られる社内報という状態で作り上げております。これはベイシアの広報室が毎日のように記事をアップして、いわゆるコミュニケーションをしやすいような状況、同じ情報を共有しますという形をやっています。こちらは、1日に2,000~3,000人ぐらいに視聴していただいています。家に帰ってから夜中でも見られているなというのは分かりますので、誰がというまでは取っていませんけれども、これがコミュニケーションのポイントの一つかと思います。
あとは、直接店長がパート社員にも、例えば決算御礼という話をさせていただきましたが、そういったものも一人一人手渡しをして、話をしなさいということでの徹底をやっております。
ちょうどこのコロナ禍になってコロナ手当みたいな形の支給もございましたし、昨年、最初に触れさせていただきましたが、グループで1兆円を超えることができたので、アルバイトまで含めてグループ内の全社員に記念品を配らせていただきました。そういったことも店長とコミュニケーションのチャンス、機会になるような形で会社としては設定しているといったところでございます。
○池田委員 ありがとうございました。
○守島座長 ありがとうございました。
時間が少し超過してしまいましたので、本日の議論はこのぐらいで終わらせていただければと思います。活発な御議論をありがとうございました。それから、御紹介いただいた2社の方々には、非常にすばらしい話をありがとうございます。根橋さんも御苦労さまでした。
それでは、次回について事務局から御連絡いただきたいと思います。
○高松政策統括官付政策統括室労働経済調査官 次回の検討会は2月26日金曜日の14時から16時までの開催を予定しております。詳細については、追って事務局から御連絡いたします。
○守島座長 それでは、本日のこの会議はこれで閉会とさせていただきたいと思います。
皆さん方、どうも御出席ありがとうございました。