第3回障害者就労を支える人材の育成・確保に関するワーキンググループ(議事録)

日時

令和3年2月18日(木)15:30~17:30

場所

オンラインによる開催(厚生労働省職業安定局第1会議室)

議事

○小林障害者雇用対策課課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会 第3回 障害者就労を支える人材の育成・確保に関するワーキンググループを開催いたします。皆様方におかれましては、お忙しいところ御参集いただきまして誠にありがとうございます。本日のワーキンググループは、Zoomを使ったオンラインで開催いたします。開催に当たり、簡単ではありますが、オンラインについて操作方法のポイントを御説明させていただきます。
ワーキンググループの進行中は、皆様のマイクをOFFとさせていただきますが、御発言をされる際には、サービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックいただき、主査の許可があった後にマイクをONにして、お名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。なお、通信遮断等が生じた場合には、一時休憩とさせていただくことがありますので、御容赦くださいますようお願いいたします。
続いて資料の確認です。本日の資料は議事次第、資料1と参考資料1~4です。これらの資料に不備がありましたら、事務局までお申し付けください。
それでは議事に入ります。以後の進行は、長谷川主査にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○長谷川主査 皆さん、こんにちは。福島大学の長谷川です。では、議題1について事務局から御説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。資料1に基づき御説明申し上げます。「これまでの議論等の整理(案)」として御提示しておりますので、前回からの変更点を中心に御説明申し上げたいと思います。
まず1.の「現状の課題」です。前回、人材の育成については記載が豊富にありましたが、確保の所がやや薄いのではないかという御指摘を頂きましたので、改めて現状の課題にも、人材の確保が重要になっているというように追記しております。
2.の(1)の○の1つ目は、病院ということではなく診療所もということでしたので、ポツで・診療所というのを加えております。2つ目の○では、なお書きの中盤以降に、障害者本人を中心に置いた上で、支援に携わる人たちが雇用と福祉のそれぞれが同じ方向を向いていることが必要で、人材育成に当たっては、この点も留意しなければならないということを追記しております。
次のページの(2)マル1は、研修の受講対象者の範囲です。基礎的研修については、前回もほぼ異論はなかったかと思いますが、受講対象者の範囲について、どなたかを排除するということではなく、幅広い方々に受講いただけるように門戸を広げるべきということです。特に医療機関や教育関係者について積極的に受け入れることも重要というように記載しております。
3つ目の○では、一定の悉皆的な受講の枠組みについては、これまでも御説明してきたところですけれども、それについては研修の質を確保しつつ、一番下の○にありますように、就任に当たって基礎的研修の受講を要件とするような人材、現在ここにおいては障害者就業・生活支援センターの就業支援担当者が考えられるのではないかと掲げておりますが、それ以外にも就労系障害福祉サービスの配置職員のうち、どの支援員を就任にあたって基礎的研修を受講いただくような悉皆的な枠組みとして考えればいいのか。ここについては特に本日、御意見を頂きたいところです。まず、ナカポツセンターの就業支援担当者を悉皆的にということについて、どうお考えになるかということです。それ以外にも、こうした悉皆的な枠組みとして考えていくべきだという支援員を御意見としてお持ちであれば、是非とも御意見を頂きたいと思います。
マル2が、分野横断的な基礎的研修の内容です。1つ目の○については、前回も理念等の教育の重要性について御指摘があり、就労支援の目的や理念等を研修の内容に盛り込むべきではないかと記載しております。その上で、座学だけではなく、実践的な内容として、ページの一番下のポツから始まっている、具体的な内容や御意見を頂きましたので、次のページにわたって3点、具体的な内容を追記しております。
3つ目の○です。対企業への支援スキルの重要性については、これまでにも御指摘がありました。そういった内容について具体的な御意見を頂きましたが、以下の3点です。例えば動画等を活用した企業に対する支援スキルの習得、地域資源の活用を促すことの重要性を理解させること、職務の切り出し、社内の障害者雇用への理解促進の支援などについてのスキルの習得といったことで、具体列挙しております。また、この3点のほかにも、企業担当者のメンタルヘルスに係る支援の必要性の理解と基礎的知識を習得させることも必要という御指摘もありましたので追記しております。
その次の○です。障害者のライフステージごとに必要な支援が変わっていくということで、こういった内容であったり、特別支援学校を卒業したての年齢の方に対して、青年心理学に関する内容も含めるべきではないかという御指摘がありましたので、追記いたしました。
次は「留意点」の1つ目の○です。こうした基礎的研修を受けていただいた後、あるいは範囲を広く受講される方もいるという中で、続けて専門人材の入口の研修が幾つか用意されているわけです。それらのうち、例えば職場適応援助者養成研修、いわゆるジョブコーチの養成研修であったり、ナカポツセンターの就業支援担当者研修などが用意されているわけですが、こうした上に重なってくる研修の前提として、基礎的研修の受講を要件とするといったことが考えられる中で、まず、こういった形で基礎的研修を悉皆的に受けていただいた後に、次の専門人材の研修に移っていただくという組立て式で考えるべき研修には、一体どういうものがあるかということも、今回、是非お伺いしたいところです。この案としては、今、ジョブコーチ養成研修とナカポツの就業支援担当者研修などを掲げておりますけれども、それら以外にも何かそういったことを考えるべきかと。こういった形で積み上げていく場合においては、当然、分野横断的な基礎的な研修の内容と、その上に重なってくる研修の内容については、再整理をする必要があると考えております。
また、研修内容の調整という意味で申し上げますと、企業の担当者が受講する障害者職業生活相談員認定講習と、今回の基礎的研修の内容の重複についてはすり合わせが必要ではないかといったこと。受講の意欲向上のために筆記試験や、習熟度の確認の意味でロールプレイ等の実施を研修修了後に行ってはどうかといったこと。基礎的研修の内容に盛り込むべきものについて、あるいは留意点について、ほかに何かあれば是非本日頂きたいと思います。
マル3が、就業支援に係る研修の体系及び内容等についてです。先ほど申し上げたように、分野横断的な基礎研修について、例えば職場適応援助者養成研修や就業支援担当者研修等を受講する前の段階の研修として位置付けると考えたときに、その上に重なってくる専門人材の階層研修については、より高度なもの、専門性の高いものに特化していくことが望ましいのではないかと記載しております。
それから専門人材の研修体系については、次のページにありますが、実践的な内容を積極的に取り入れるべきということです。この辺りも具体的に御意見を頂いたので、3つ具体列挙しております。
その次の「留意点」ですけれども、実践的な内容として前回御意見を頂いた、例えば就労支援の実績がある就労支援機関での現場実習とか、レポートの評価といったことを実施するに当たっては、やはり実習受入れ先の量的な確保に係る実現可能性や実行可能性を踏まえて検討していく必要があるだろうということで、留意点に記載しております。
併せて2つ目です。受講に当たっての何らかのインセンティブというのは、前回からも御意見を頂いていましたが、このインセンティブの検討に当たっては、それを個人に対して、あるいは事業所に対して、いずれに措置するのが適当なのかという件についても、検討する必要があるのではないかといった御指摘を頂きましたので記載しております。
留意点の最後の○です。分野横断的な基礎的研修と、先ほどのようにその上に階層的に積み重なってくる各専門人材の研修それぞれの内容については、非常に切り分けが難しいことから、具体的な研修の中身を検討するに当たっては、また別途、専門家にお集まりいただいて、既存の研修内容を整理した上で検討する必要があるのではないかとしております。
それから、マル4各専門人材の育成についての1点目で、サービス管理責任者等について記載しておりましたが、前回、相談支援専門員についても是非記載をということでしたので、ここの部分に相談支援専門員についても、今後何らかの検討をということで追記しております。次のジョブコーチについては、2つ目の○で資格化によるブランディングについて追記いたしました。
5ページに移ります。(3)人材育成の実施主体についても、御意見を頂きました。質の担保に留意しつつ、量的な観点からも、民間機関の活力を活用するという御意見がありましたので記載しております。
(4)人材確保についてですが、御指摘があったように、人材確保については少し打ち出しをしたほうがいいということで、改めて別項目としてこちらにまとめております。上から3つ目の〇ぐらいまでが、前回同様の記載です。4つ目以降、特に高等教育機関における育成については、各方面からの御意見がありましたので、改めて追記をいたしました。高等教育機関において、学生たちに就労支援の現場に対してのイメージを持っていただくために、現場での実習や体験ができる機会を作ることで興味を持っていただいたり、キャリアイメージも描いた上で、こういった人材になりたいと考える人を増やしていくといった意味でも、高等教育機関の場において、就労支援機関の人材の育成が重要という御指摘がありましたので、この辺りを書いております。併せて、研究者を増やしていくといった意味での重要性の指摘もありましたので書きました。それ以外に専門人材を確保するといった観点から、効果的と思われる取組があれば、是非本日またいただきたいと思います。
(5)が「その他」です。最後のページの下から2つ目の○が、新しい記載です。就労支援の質の向上のためには、各支援機関において蓄積されているノウハウとか、各企業においても雇用管理上のノウハウが積み重なっておりますから、そういったことについても共有できる仕組みが必要ではないかといった御意見を頂きましたので、改めて追記いたしました。資料の御説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○長谷川主査 それでは質疑応答に入りたいと思います。御質問や御意見があれば、「手を挙げる」のボタンをクリックしていただいて、私が指名させていただきますので、その後にお名前を名乗って御発言を頂くよう、お願いいたします。特に2点議論したい部分があるということなので、できれば議論が混乱しないように、分けて話せればいいかと思います。既に手を挙げていただいていますが、まず基礎研修を就任要件とする専門人材の範囲がどうあるべきかということです。もちろん、それに関わってほかの部分もお話なさりたい場合には、遠慮なくお話いただければと思います。では、最初に深水アドバイザー、よろしくお願いします。
○深水アドバイザー ビーアシスト株式会社の深水です。本日もよろしくお願いいたします。今回は事前に資料を提供させていただいておりましたので、そちらを使いながら御説明できればと思います。1枚めくってください。まずは前回までに皆様からいただいた御意見を基に図にまとめました。ジョブコーチのグレードⅠとかグレードⅡなどは、長谷川アドバイザーがおっしゃった内容がすごくしっくりきましたので、名称をお借りして作成させていただきました。
論点として最初の基礎的研修の範囲に関しては、皆様からの意見もあったとおり、人材の裾野は広くというところで、教育・医療機関とか学生とか、企業担当者というのを幅広く対象としていきたいと思いました。ただ、医療・教育機関からの参加については議論をされていたと思うのですが、例えばハローワークだったり、行政の福祉課の方だったり、そういう行政サイドの参加はどうなのかと思い、加えてもいいのではないかと考えました。
また、どの支援員を対象とするかという議論については、企業からすると、正直言って余りピンとこないと言いますか、移行支援とは結構連携があるのですけれども、A型、B型というところからすると、なかなか連携が薄い印象があり、こちらの議論については回答が難しいと感じました。企業からすると、障害者の加齢問題やリワーク、リタイアなどというところからも、連携は強化したいと思ってはいるのですけれども、正直言って御縁が薄いかなと考えております。そのほかの点もほかの資料でまとめたのですが、基礎的研修の受講範囲については、一旦これで発言を終了いたします。
○長谷川主査 具体的に図も作っていただいて、非常に分かりやすかったと思います。ありがとうございます。同じ点について次に田川アドバイザー、よろしくお願いします。
○田川アドバイザー くすの木クリニック、JSNの田川です。2ページの(2)の「人材育成の対象、研修内容及び体系について」のマル1とマル2に関係して、受講対象者の範囲と基礎的研修の内容について、意見を述べたいと思います。受講対象者の範囲ですけれども、いわゆる就労系の福祉機関と呼ばれる所の職員全員が原則だと思います。「就労系」と呼ばれていて、継続Aとか継続Bで働く人は、ちゃんとそういう知識を身に付けていただきたい。ただ、この中で企業の方は、この研修を受けないといけないのかというと、やはり若干難しいところもあると思うので、これはまた別に考えなくてはいけないと思います。人数的に全員でどのぐらいになるかはよく分からないのですが、例えば就労系事業所に就職して3年以内にこの研修を受けるとか、そういう要件にすれば散らせるのではないかと思います。
それから、前にもお話したのですけれども、いわゆる就労系の施設のサービス管理責任者は、サービス管理責任者に就任する条件として、やはりこれは受けておいていただかなくてはいけないのではないかと思います。今は、全然就労に導けない就労移行と、かなりの成績を出している就労移行とに二極分化されていて、これは問題だと言われながら、実はサービス管理責任者の今までの経験が問題にされていなかったこと自体が、とてもおかしなことだと私は思います。また、いわゆる計画相談も本当に真面目な方が多いのですけれども、就労に関して余り御存じない。計画相談を受けられた方が「就労したい」と言って来られるときに、時々、意見の違いが出てしまったということもありますので、計画相談も、そこへ就任される前に、この研修を受けておかれるのが大事ではないかと思います。
もう1つは研修の内容です。このようなことを言うと語弊があるかもしれないのですが、就労継続A型あるいは就労継続B型の職員は、一部を除いて、そこに来ているメンバーが一般企業へ就職するためにここでトレーニングをしているという意識がほとんどないと思うのです。また、福祉で働いておられる方はずっと福祉で、一般企業というものを御存じない方がとても多い。やはりその辺の問題はものすごく大きいと感じています。基礎的研修の内容の中に、企業とは何か、企業で働くというのはどういうことかということを、非常に強いインパクトで出せるような研修内容を1つ入れていただきたいと思っております。以上です。
○長谷川主査 どうもありがとうございます。最初の深水アドバイザーの御意見だと、A型、B型というのはイメージしにくいので、対象とするかどうかが自分のほうでは分からないというお話だったかと思います。今の田川アドバイザーのお話だと、正にそこが重要だということで、この辺りは非常に議論すべきところかと思います。いろいろな図や資料を作ってくださっている方々もいらっしゃいますので、続けて皆さんに御意見を伺っていきたいと思います。では図を作ってくださっている小川アドバイザーから、まずお願いしてもよろしいですか。
○小川アドバイザー 小川です。全体を説明すると時間が掛りますので、今の論点だけをまず説明させていただきたいと思います。全体のイメージとしては、まず就業支援基礎研修を土台にして、その上に専門的な研修としてジョブコーチ養成研修を置きます。それから、ナカポツやサビ管の研修はやはり業務に非常に直結した研修であるため、それは現状を維持します。あと、就業支援スキル向上研修や就業支援実践研修、就業支援課題別セミナーは、ジョブコーチ研修のほうに統合するというような全体案です。
その中で就業支援基礎研修については、全部の土台になる研修ですけれども、一定の質を担保しながら実施できる範囲にするという考えに立ち、人数、対象の絞り込みを行っています。この提案では、一般就労への移行、職場における雇用管理・定着支援に携わる人を主たる対象にするのが就業支援基礎研修であると考えています。福祉的就労の継続A、継続Bの方も対象にするという考え方もありますけれども、そこは先ほど申し上げた基準で対象外としています。
「対象外」と言った場合、それはまったく受講できないことを意味するのではありません。下の所に赤い色を付けていますが、企業在籍型・訪問型JC、ナカポツの担当者、就労移行支援事業の中での就労支援員、就労定着支援事業、これについては受講を義務付け、配置の要件とする。就労移行支援事業の場合には就労支援員と職業指導員と生活支援員がかなり分け隔てなく業務をしているという実態は了解していますが、それにしても一定の基準を設けるために、あえてここでは就労支援員を対象にしています。ただ、そのほかにも受講の希望があれば受講可能ということで、学校教育、医療関係者、就労継続A・Bの方たちも参加可能という形にしています。
上のほうの先修条件化というのは後ほど話題になると思いますので、後ほどに譲らさせていただきます。あと企業の場合、障害者職業生活相談員の方はまた別立てで考えるということで、例えば企業在籍型JCの場合には、この就業支援基礎研修若しくは障害者職業生活相談員研修が先修条件になるような考え方もあるかと思って作っております。取りあえず最初の論点については以上です。
○長谷川主査 ありがとうございます。皆さんに手を挙げていただいているのですけれども、A型、B型を対象にするかどうかというところで、特に御意見のある方は画面上で手を挙げていただくことはできますか。では、松村アドバイザーと髙谷アドバイザーで順にお話いただけますか。
○松村アドバイザー 全国社会就労センター協議会の松村です。よろしくお願いいたします。私どもは福祉サイドということで御意見を申し上げます。A型、B型の職員にとっても移行というのは、大変重要な役割だとは思うのですけれども、A型、B型にはそれ以外の最低賃金を守っていかなくてはならないとか、工賃を向上させていかなくてはならないという大きな役割もあると考えています。そういう中でA型、B型の職業指導員に関しては、私は任意でいいのではないかという考え方を持っています。以上です。
〇長谷川主査 ありがとうございます。では、髙谷アドバイザーお願いいたします。
○髙谷アドバイザー くしろ・ねむろ障がい者就業・生活支援センターぷれんの髙谷と申します。よろしくお願いいたします。資料1の2ページの「人材育成の対象、研修内容及び体系について」を網羅した発言をさせていただきたいと思います。「基礎的な知識・スキルの付与に係る研修の受講対象者の範囲」ということで、基礎的研修のことになると考えています。〇の3つ目と4つめの下線に触れると、3つ目の〇の「一定の人材を悉皆的に」という言葉の「悉皆」は、受講を必須とする仕組みが必要と記載されています。この悉皆的というのを目指すことになると、一定の人材の範囲の4つ目の〇の「就労系障害福祉サービスの配置職員のうち、どの支援員を対象とするか」という下線の部分に関わってくるかと思います。
まず、一定の人材というのは、事業所のサービス管理責任者、そして外との折衝のあるスタッフということなので、就労支援員が現実的に優先されるべきではないかと思っています。もちろん直結的なナカポツ、訪問型ジョブコーチ、企業在籍型ジョブコーチも含まれると思います。全て障害福祉サービスということで考えていくと、全てのサービスを義務としてしまうのは、全国の事業所数を考えると実現が難しいと考えるところから、就労移行支援事業所と就労定着支援事業所に受講の義務を設ける。そして就労継続支援事業所A型、B型については、任意希望によって参加可能とするのがよいのでないかと。ただ、一般就労に向けた基礎的知識の習得は、就労系サービス全体で大切にすべきだということから、基礎的研修の体制が整った後に、就労継続の職員についても研修受講の義務化の検討を再度してはどうかと考えます。
また、就労移行支援事業所だけでも全国に3,000か所以上あって、受講する人数が1万人を超えると想定すると、実現可能な実施体制を考えて、やはり経過措置を設けるとか、経験年数や研修歴によって受講免除を取り入れることも検討する必要があると思います。加えて基礎研修が義務や設置要件となると、現在の就労支援関係研修修了加算という取り扱いが心配になってくるところですが、上位の階層研修を修了した場合において、新たな加算を設けるなどの充実を図っていただきたいと思います。人材育成の対象については以上です。
○長谷川主査 ありがとうございます。今野アドバイザーから手が挙がっています。どうぞお願いします。
○今野アドバイザー ベネッセビジネスメイトの今野です。2点ほど申し上げたいと思います。1点目は、御説明いただいた資料1の2の「論点を踏まえた議論の整理」の(1)の2つ目の○の4行目の、なお書き以降です。私はこれまで共通言語ということを申し上げてまいりました。私は、この部分が非常に大事な部分だと思っており、議論の根幹の部分だろうと思っています。同様の表現は、2の論点整理の(2)のマル2の分野横断的な基礎的研修の内容の最初の〇にも、雇用と福祉の両分野の支援者が同じ方向を見ていることが重要であるが、就労支援に当たっては、という表現があります。ですから、ここは「なお」というよりは、独立した○にしてほしいと思っており、強調していただきたいと思います。
本ワーキンググループでは、かなり共通認識ができてきていると思うのですが、他のグループの議論を傍聴して聴いておりますと、実は議論にやや幅があると感じております。先ほども他のアドバイザーからお話がありましたが、今回、このような議論の場が設けられた背景をもう一回確認してみると、障害のある人が企業における就労を目指す中において、総合支援法と障害者雇用促進法が車の両輪として機能することによって、地域から雇用の場に人を送り出すということを更に実行性のあるものにするために、福祉的就労の意味を改めて整理しながら、教育の場から就労の場に至るまで切れ目のない支援が必要であって、そのためには共通の認識に立ったアセスメントが重要である。さらには、そうした役割を適宜、適切に機能させるマネジメントが必要であると、そういう認識に立って3つのワーキンググループがそれぞれ議論されていると思っております。
障害のある人が企業就労を目指す中において、A型事業所やB型事業所において一旦訓練を受ける、あるいは企業就労においてうまく適応できなかった場合などに、A型、B型で体制を整えて、改めて企業就労を目指すなど、いろいろなケースが考えられると思います。私は、この一連の議論の経過の中で、障害者の職業生活における日々のいろいろな場面において、適宜、アセスメントが行われ、関係者間のマネジメントの下で就労に向けた適切な支援が行われているという光景を思い浮かべるようになってまいりました。そうしたイメージの中で、他のグループでは、先ほどはPDCAのサイクルというお話もありましたが、私たちのグループにおいては、ナカポツセンターの役割が極めて重要であり、雇用と福祉の橋渡し役、ハブとしての役割を担う中で、しっかりとしたマネジメント機能が撥揮できる人材の育成が必要だと、このような議論になってきたと感じています。先ほどの小川先生の整理の中でも、そういうものを感じました。
また、先ほど田川アドバイザーのお話にもありましたが、企業としては、障害者雇用促進法の精神を中心に据えながら、コンプライアンスであったり、CGSRであったり、障害者雇用のきっかけは様々あろうかと思うのですが、一旦採用したならば、育てて戦力化していくことは、障害の有る無しにかかわらず、企業の使命であると認識していますので、A型やB型の皆さんにおいては、働きたい障害のある人が1人でも多く働くことができるように企業に送り出してほしいと思いますし、障害者とともに支援実績やノウハウを企業に伝えてほしい、このようにお願いしたいと思います。そういう意味では、先ほど来議論のある、この人材の要件、研修の要件には、是非入れていただきたいと思うわけです。
2点目ですが、オールマイティーな知識と経験を要するスーパーバイザーといえども、これは一朝一夕に誕生するわけではないと思います。研究と研鑽を重ねながら、その実力を確認しつつ育成していく、そういう必要性については、議論の整理において、この資料におまとめいただいているとおりだと思いますし、これまでの皆さんの議論のとおりだと思います。
企業が重視している職業生活相談員の認定講習の扱いについては、先ほど小川先生からも言及はありましたが、福祉サイドの基礎研修と、そのどちらかというように並立していただいている点において、例えば福祉と雇用の人材の交流があった場合には有効に機能するという考え方があると思いますので、先ほどの小川先生の資料の整理については、私としては非常に肯定的に捉えたいと思っております。
その上で、(5)「その他」の中で、全般的な障害者の就労支援に係る土台を持った人材の育成を前提とした上で、発達障害、視覚障害など、個々の障害特性に精通することについて言及しておられる。この点について、一例を申し上げたいと思っています。事務局に資料を用意していただきましたので、出していただければ、あるいは後ほど御覧いただければと思います。
新宿区四谷に日本視覚障害者職能開発センターという社会福祉法人があります。この法人が独立行政法人の高齢・障害・求職者雇用支援機構の委託を受けて、特定技能指導員講習、視覚障害・就労支援者講習会という研修を行っております。それから、発達障害においては、埼玉県の事例で恐縮ですが、埼玉県発達障害者支援センター「まほろば」が連続講習を開くなど、専門的な研修を行っています。これらは埼玉県に限らず、他の都道府県でも行われているのかもしれませんが、このようなそれぞれの役割の中で各団体が行っている研修も視野に入れながら、上手に活用していく考え方があってもよいのではないかと思うところです。以上です。
○長谷川主査 どうもありがとうございました。では、手を挙げてくださっている方々、皆様の御意見をまず伺いたいと思います。若林アドバイザー、お願いします。
○若林アドバイザー 私は単純な意見でして、研修の対象となる層ということで、悉皆とかということで言うと、基礎的なところになるかと思うのです。これまでの議論の中で、実は福祉とかナカポツセンターなどの労働分野、労働分野といっても職業安定分野については話が出ているのですが、実は全く出てないのが、これはなかなか難しいかもしれませんが、職業訓練分野なのです。障害者の職業訓練分野、職業能力開発分野についても、もちろん職業訓練校という学校の中で特別な訓練をやっている場合もあるのですが、委託訓練という制度もあるわけで、そうなってきますと、こういった基礎研修的な知識は必要だと思います。職業能力開発行政で研修をやってはいるのですが、その辺りとの関連性についても検討していく必要があるかなというのが1つです。
もう1つが、障害者の職業訓練分野は、福祉などと比べるとかなり規模が小さいマイナーな分野ですので、訓練分野の声を代表しますと、なかなか他の情報が入ってこないというところもありますので、障害者の職業訓練分野も含めて視野に入れて議論していただけると大変いいのかと思います。以上です。
○長谷川主査 分かりました。そうですね、ありがとうございます。では、次は鈴木アドバイザー、お願いします。
○鈴木アドバイザー 単純に意見だけということで、(2)のマル1の最後の受講の要件のことです。小川アドバイザーのほうは更に細かく書いてありましたが、私も基本的には就業支援の基礎研修と書きました。障害福祉サービスの移行・定着、さらに就労系サービス管理責任者、ここのところは必須であってほしいと思っています。
あと、Aとか、Bとか、医療関係、教育等というのは、本当に優先順位の問題もあろうかと思いますし、そこのところはエリアの希望とかキャパの問題等もありますが、基礎として必須とするのは、移行・定着、サビ管の就労系のところではないかと。そして、繰り返しになりますが、私自身も職場的にはジョブコーチの研修に上がる場合には、就業支援の基礎研修と合わせて、企業在籍型の場合は、障害者職業生活相談員研修は、それはどちらかというような形、そのように思います。以上です。
○長谷川主査 どうもありがとうございました。簡潔にまとめてくださって、ありがとうございます。次、佐藤アドバイザー、お願いします。
○佐藤アドバイザー JEEDの佐藤です。今の基礎的研修の受講対象者の範囲の点についてですが、資料の1番「現状の課題」に、「雇用から福祉における切れ目のない支援の実現」とあることも考えますと、皆さんがおっしゃっているのと同じような意見ですが、基礎的研修の受講を要件とするのは、就労系福祉サービスの配置職員のうち、就労移行支援事業所の就労支援員と、定着支援事業所の定着支援員、サビ管の方が適当ではないかと私も思います。あと、皆様もおっしゃっていましたが、ジョブコーチなども基礎的研修を受けた後に養成研修を受けるのが適当ではないかと思います。
また、基礎的研修の受講を要件とする対象者として、ナカポツの担当者をどう考えるか、というお話がありました。ナカポツの職員の研修はJEEDで実施していますので、実施者の立場で申し上げますと、参考資料3の図を見ていただくと分かりますように、ナカポツ研修と現状の基礎研修が一部重複しております。同様に、ジョブコーチの養成研修も重複があるという図になっています。ジョブコーチについては、基礎的研修を受けた後に養成研修で必要なことを上乗せしていくという考えが示されていますので、ナカポツの担当者についても同様に整理をしていくことが適切ではないかと思います。以上です。
○長谷川主査 ありがとうございます。では、緒方アドバイザーお願いします。
○緒方アドバイザー 特別支援学校の緒方です。皆さんがおっしゃっているように、基礎的研修の対象者については、こちらは論点整理等については、「医療機関や教育関係者を積極的に受け入れることも重要」とありますが、小川アドバイザーや鈴木アドバイザーの資料のとおりに、私は基礎的研修については、中心となる対象者は就労支援関係者であって、それで本当に余裕があれば、教育関係者とかが個人で参加される余地を残しておくというような対象者の限定で構わないと思っております。以上です。
○長谷川主査 どうもありがとうございます。お待たせしました。松村アドバイザー、お願いします。
○松村アドバイザー 先ほど少しお伝えし忘れた部分があります。私たちの役割は送り出すだけではなくて、支援の立場としてセーフティネットとしての役割が大きいと思っています。A型、B型は、一般就労から色々な理由によりフェードアウトされた方々を、いかに安心して受け入れていくかという役割も大きいのではないかと考えます。
そのセーフティネットの対象となった方のなかには、自宅に長年引き込まれていた方もおり、そういう方々をまた一生懸命支援させていただくわけです。そういう中で、私たち福祉サイドの職員として、少し研修の中身を申し上げさせていただけるのであれば、多角的な組立てとして、ロール・プレーイングの部分、研修実習の部分という形で構成された場合、研修実習の部分については、私たち福祉サイドでも十分お力添えできるのではないかと考えています。あと、研修の受講対象の部分ですが、就労する可能性を考えていくのであれば、A型、B型とともに、生活介護において生産活動を行っているところや地域生活支援センターの職員についてどのように取扱うかについても、議論が必要かと考えています。以上です。
○長谷川主査 どうもありがとうございます。今の点については、皆様からお話を伺ったかと思います。そのうえで、義務的な受講の対象者について、A型、B型は、最初の段階から義務的な対象とすべきではないのではないか、という御意見が多かったと思います。
一方で、田川アドバイザーがおっしゃったような形で、A型、B型の支援員をやっていらっしゃる方は、企業がどういった所かも知らない中で、なかなか一般就労のイメージができない形でしか支援できないのではないか、そうなると、A型、B型が更に取り残されていってしまうことがあるのではないかといった懸念をもちました。もちろん松村アドバイザーがおっしゃったように、A型、B型は、その場で最低賃金とか、あるいは高い工賃を実現するのもすごく重要な役割ですので、その難しさはあるとは思います。ただ受講は義務ではない、仕事も非常に忙しいとなると、なかなかA型、B型は、任意で受講してもいいよと言われていても、受講していくには、すごく頑張らなくてはいけないとか、事業所の理解がないといけないとか、そういったことがあると思うのです。ですので、希望して受講することも促せるような、義務の人はもちろん受けるのだけれども、そうではない人は別に受けなくてもいいというようなメッセージにならないように、むしろ是非受けてほしいのだけれども義務ではないという形にするには、何かアイディアとかがあれば出していただきたいと思ったのですが、何かありますか。では、田川アドバイザーと今野アドバイザー、お願いします。田川アドバイザー、お願いします。
○田川アドバイザー くすの木クリニック、JSNの田川です。いいアイディアというのはないのですが、人数が分かれば、それはそれなりの対応ができるだろうと思います。例えば、スタッフが8人いる所だったら、まず1年に2人ずつとか、そういう形で受講していくという方法はあると思います。だから、それは工夫すれば何とでもなることではないか。髙谷アドバイザーが言われたみたいに、何か過渡的な措置とか、目標年を決めて、それまでにいろいろやっていくというやり方もあると思うのです。
要は、一番大事なのは、A型であれB型であれ、一般企業への就労を意識して支援していくのか、あるいはいかないのかというところが別れ目になってくるのではないか。ここでもう外してしまったら、一般就労へ行かなくてもいい所だということになりかねない。これは私としては心配なところです。
自立支援法ができたときに、当時の企画課長の村木さんの話を聞きましたが、A型もB型も、働きたいと思う人がいろいろな形で一般就労を何度でも目指せるところだ、それがこの制度だというお話を聞いて、とても感激したのですが、今でもそういうものは残っていると思うので、そういうのを消さないようにしていく必要があるのと思っています。以上です。
○長谷川主査 ありがとうございます。先に今野アドバイザーの御意見を伺います。よろしくお願いします。
○今野アドバイザー 私どもベネッセグループでは、私は特例子会社に所属しておりますが、ベネッセソシアスというA型事業所も同時に運営をしております。そういう立場で申し上げれば、A型から特例子会社に送り出す、そういう事例もありますし、逆に特例子会社からA型に送り出す、送り出すという言い方が適当かどうかは分かりませんが、そこでもう一度本人の状況を踏まえて訓練をして、再び特例子会社に送り出す。そういう観点で人材の育成をしております。
そういう観点からすると、A型の支援においても、当然、そういった就労に関するその人の能力、強み、弱みを踏まえながら、どのようにしたらこの人がまた特例子会社で働くことができるか、あるいは特例子会社の中で一旦A型に行ったほうがいいといった場合に、どういう観点で、どういう部分を訓練し直して、また戻っておいでというふうに送り出すか。それが地域の中でできるようになれば、正に先ほど私が申し上げたような、総合支援法と障害者雇用促進法が、しっかりとギアがかみ合って動いている形になってくるのではないかと思うわけです。
そういった意味では、そこに関わる人がどういう認識、意識を持って取り組んでいくのか。ここで申し上げていいのかどうか分かりませんが、時々、B型あるいは移行支援の所にお邪魔して見学させていただいたりすると、私どもの職場で十分戦力になるなと思われるような方がおられるわけです。「おられるじゃないですか?」と申し上げると「いやいや、まだです」と返事が返る。何がまだまだなのかというと、その人がいなくなると、自分の事業所が回らなくなってしまうみたいなことをおっしゃる方もいるわけです。それでは何のためにA型、B型をやっておられるのかという本質論が、この議論の整理の中にも「障害者を中心に据えながら」と書いていただいていますが、本当にそうなのかを、この際、見詰めていくべきではないかと思います。
そういった意味では、ときどきこの就労系の福祉サービスに関わる人も含めて、企業就労という形、そこで行ったり来たりすることは、先ほど私どもの例で申し上げたように、これは有りだと思いますが、最終的にどういう形を目指していくのか、どうすればこの人が企業で働けるのか。或いは、どこの企業で働けるのかというところまで、現場のナカポツセンターの皆さんは考えながら支援していると思いますので、そういう固まりがこの制度によってできるといいなと考えたいと思います。以上です。
○長谷川主査 ありがとうございます。お話の間に小川アドバイザーと松村アドバイザーに手を挙げていただきましたので、まず小川アドバイザーからお願いします。
○小川アドバイザー 就労継続AとBの方たちの話題ですが、基本的にAでもBでも移行でも、可能性のある方たちは、雇用就労への移行をちゃんとやっていくべきということは前提だと思います。ただ、研修の性格としては、先ほど申し上げたように、一般就労への移行と職場における雇用管理と定着支援、ここに携わる人たちの知識と技能をきちんと付与することに焦点を当てるべきだと思います。その際に、私の資料でも、就業支援基礎研修の中身で、一般就労と福祉的就労の違いを内容に含めていますが、まずここを押さえることは非常に重要で、作業の延長に雇用就労があるのではなくて、やはり雇用就労の場面で何が求められるのか、福祉的就労の場面と一般就労の場面での支援の違い、考え方の違いについて押さえることが必要だと思っています。
その上で、AとBの方たちに受講していただきたいのですが、A型、B型は事業所によって性格も異なり、非常に幅があります。そこで研修を是非受けさせたいという所について、いかに促進するかという方策については、研修体制加算を付けてしまうと、加算が取れるということを理由に、モチベーションと関係なく受講者が増えることが起きてくるかと思います。一方、悉皆にすると、研修受講に対して多分加算は付かなくなるのではないかと思います。結局は研修費用の補助とかそういったことで、A、Bの所について促進することと、それから選考の受講条件のところで、A、Bについて差を付けない。A、Bのほうからちゃんと申込みがあった場合には、もし定員を上回った場合に、移行を優先して、A、Bを取らないことはしないと、そのような仕組みにするしかないかと考えました。以上です。
○長谷川主査 どうもありがとうございます。報酬加算すると、その加算だけを目当てにという事業所はどうしても出てくるかもしれないのですが、今の就業支援基礎研修は移行の就労支援の方は報酬加算ありになっていますけれども、ということは、そこではやはりそういう事態が生じているということなのでしょうか。
○小川アドバイザー 一概には言い切れないですけれども、実際に訪問型の研修でそういう方たちもいると。一概に断定はできません。
○長谷川主査 分かりました。ただ、今おっしゃったように、報酬加算の形にするのか、それとも、研修を受けるための費用とか、交通費とか、あるいはその日のその人の賃金分とかは何らかの形で金銭的に対応するというのは、ほかのやり方としてはあるのかなと思って伺いました。では、松村アドバイザーお願いします。
○松村アドバイザー 主査のお尋ねの部分ですが、移行と定着については義務というような形なのですけれども、移行に関しては段階的に事業所数、定員数が減ってきているという全国での現状があります。定着の事業所数も十分足りていないというようなところで、A型、B型の事業所が、それぞれの地域の中で、就労移行の役割を十分担って頂いているという現状もあると思います。ですから、義務化をするというようなことであれば、A型、B型事業所の中でも、就労移行の実績のある事業所、その地域性に基づいて就労移行支援事業所の役割を担っていただいているところは、圏域や都道府県で十分押さえることができますので、義務にしていただいたらどうかなと考えます。それ以外のA型、B型の方に関しても、任意というような言い方が少しやる気が失せるという形であれば、最初に受講対象となっている方々が終わった次に出ていただくというような、第二弾のような位置付けにされたらどうかなと思いました。
○長谷川主査 ありがとうございます。では、髙谷アドバイザーお願いします。
○髙谷アドバイザー 同じようなところですが、A型、B型の希望があったらという、そこに要件を設けて、例えば過疎地域で労働人口がそもそも少ないような地域だと、移行支援事業所がない地域も全国にはあります。その地域に関しては、一般就労への、支援実績がある事業所もあり、今後も一般就労への支援を地域の中で担っていく事業所においては、その実績で受講ができる。そういう要件を考えていくと良いと思います。
ただ、先ほど発言させていただいたとおり、まずは就労移行支援と定着のサービス管理責任者、それから就労担当者が受講は必須という要件にして、その後に、段階的にというか、まずその受講体制が整った後に、A型、B型についてはどのように実施していくのかを検討していく、段階的なものが実施可能なものになっていくのではないかと思っています。受講希望の方が1万人を超える、それを全国で研修を行うことになったら、次の実施主体のところにも関わってくると思います。資料の5ページの人材育成の実施主体というところが、これらの研修をサービス管理責任者研修とか、相談支援基礎研修を担っている都道府県について、これらの研修を実施することはやはり困難ではないだろうかと考えています。
また現行の就業基礎研修を実施しているJEEDのみではやはり全国の人数を充足できない可能性があるのではないかと。ですので、既に職場適応援助者養成研修を担っている団体等の民間を活用していくことが、悉皆的に研修が実施できる方法ではないかと考えているところです。
○長谷川主査 どうもありがとうございます。今野アドバイザー、お手を挙げていただいているのですが、まだ残っている論点がたくさんありますので、もしどうしても御発言したければあれですけれども。
○今野アドバイザー 小川アドバイザーの明解な整理と髙谷アドバイザーのお話を聞きして、そのとおりだなと。そういう段階を付けながら考えていくことは今後の議論に委ねるべきかと思いました。
○長谷川主査 そうですね。いろいろ御意見が出たと思うのですけれども、今の意見を踏まえて、事務局で何かおっしゃりたいことがあればどうぞお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。ありがとうございました。いろいろなお立場から御意見を頂きましたので、整理をさせていただきたいと思いますが、明確にナカポツセンターの就業支援担当者研修と考えられるのではないかと、当初から書いていましたが、ここについては特に御異論はないという理解でよろしいでしょうか。ありがとうございました。では、今頂きました意見を踏まえて、また再整理したいと思います。ありがとうございました。
○長谷川主査 皆さんからたくさん御意見を頂いてよかったと思います。
次に、特に階層的な研修の所について御意見を頂きたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。3ページの(2)のマル2の辺りですが。深水アドバイザーからお願いします。
○深水アドバイザー 深水です。また資料のほうをお願いしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。研修の体系や階層の辺りについて意見を出させていただきたいと思います。マル3にかかる内容になるのですが、すみません、ちょっとプレイヤーからの意見みたいな感じになってしまうのですが、研修の内容もそうですが、その研修を受講した後とかに、グループワークとか情報共有の回数を増やして、お互いフィードバックしていくことで効果が高まることが非常に多いのではないかと思っています。受講しました、実践をします、その後どうだったかというようなところを、プレイヤー同士が共有できるような仕組みというのがあると非常にうれしいと思っています。例えばリモートを活用した定例会とか、オンラインサロンのような仕組みなどが作れないかなと。分野横断的な人材育成のためには継続的な取り組みを検討していただけると非常にうれしいと思っています。
実際に我々もこの人脈とかで意見交換することが多いですけれども、どうしても企業なら企業とかというように、大体業種で固まってしまう傾向がありますので、福祉・教育機関、医療機関を含めて意見交換できるような仕組みがあると、研修で学んだことがすごく活かせる場面ができるのではないかと思っています。
また、小川アドバイザーの資料のほうは取りに行くという形になっているのですが、上位のコースの中では専門性が高いコースを、選択制にできるような形にして、そういう中で視覚、聴覚、難病というような専門家の育成もそうですし、イメージ的には、運転免許をイメージしたような感じで、普通とか大型とか特種がいろいろあるように、選択したジョブコーチのコースで一定の実績を出した後は、今度はまた別のコースを受けることができるとか、必須科目、選択科目などを設置することによって、新しい最新の情報も入ったりしますので、繰り返し受講を促すような仕組みというのがあると、より主体的に参加者も取り組めるのではないかと考えました。
次の議論に入ってくるところもあるかもしれないのですが、ちょっとその実績についてもお話させていただきたいと思います。どういうものが実績になるのかというお話の中で、現場からすると、そのジョブコーチの皆さんが行ってきた内容というのを現場の知恵の集積につなげたいと強く感じます。支援計画から活動報告まで一連の内容の報告はもちろんですけれども、例えば支援した対象者や受け入れた企業の対象者からのジョブコーチに対する評価、クライアントからの評価というものも反映するべきではないかとか、あとは失敗事例とか困難な事例に取り組んだというところも広い意味では本当に実績だと思いますので、そういうものも吸い上げるような実績という考え方がほしいと思っています。今のところはこちらで一旦終了させていただきます。
○長谷川主査 どうもありがとうございます。緒方アドバイザーが50分で退室なさると伺っているのですが、最後に何か御意見があればお伺いしたいと思います。
○緒方アドバイザー 基礎研修の内容とかではないのですが、研修の体系の階層化については同感です。ただ、基礎的研修については、留意点として、裾野を広げるという意味では、前回も話したように短期集中型でもいいと思うのですけれども、その上の上位の研修については、できれば年間を通じて所属する職場でのOJTと、そして上位研修でのOff-JTを組み合わせた形が有効ではないかと考えます。また、上位の研修では、実践的な内容ということですけれども、やはり一定期間ジョブローテーション的なことを行って、実際に他の事業所で経験を通して労働と福祉の補完的な専門性を高めるということが有効ではないかと考えています。
○長谷川主査 どうもありがとうございました。では、小川アドバイザーよろしくお願いします。
○小川アドバイザー 研修の階層化についてですが、まず、就業支援基礎研修が全部の土台になるというのはこれまで議論されたとおりです。すみません、資料を映していただけますでしょうか。図の所だけで結構です。基本的には福祉に携わる方、それから労働に携わる方、または雇用現場の方に共通する研修体系、あるいはそれに付随した資格のようなものができたほうが分かりやすいという考え方に立っていますので、研修の階層化ということは、全部この真ん中の黄色のジョブコーチのラインの所に集約して表しています。
図には書いていませんが、名称として「ジョブコーチ」という言葉がいいのか、それともジョブコーチはジョブのコーチだという印象が強すぎるので、新たに別の漢字であるとかカタカナの言葉を入れたほうがいいのか、それについては別な議論になります。ただ、ここではやはりこれまでの議論の中で使われている「ジョブコーチ」という言葉を使っています。その上で、就業支援基礎研修がまず土台になって、イメージとしてはこれまでの就業支援基礎研修が2日程度だったと思いますが、これがボリュームとしては3日ぐらいになるかと考えます。その上にジョブコーチ養成研修がきます。ジョブコーチ養成研修では、現行のカリキュラムのうち、基礎的な部分、例えば制度についての基礎とか、考え方についての基礎に関する内容は就業支援基礎研修のほうに移っていきます。ジョブコーチ養成研修では、障害のある方の就労の支援に特化した技術系の話がボリュームとして膨らんでくると思います。
その上にスキルアップ研修が乗っかります。このスキルアップ研修というのは、ジョブコーチ養成研修の更新制度を是非入れましょうという考え方を土台にしていますので、更新のためには、スキルアップ研修を一定の期間、一定の科目を受講し続けることが更新に必要になります。その更新の期間とか、どれぐらいの科目を取ったら更新になるのかは具体的すぎる議論ですので、ここではいたしません。ただ、これまでの国家資格の中では、例えば学会での発表とかそういうものもこのカウントに入れるようなやり方をとっている所もありますので、必ずしも研修を受けることだけではなくて、そうしたものもカウントにしながら更新していくことも必要になるかもしれません。いずれにしても、ここの資格ということをある程度意識した場合には、それをコントロールする事務局、とにかく資格制度についての事務局を担う機関が必要になってくると思います。
その上で、上級ジョブコーチ研修というのが一番上に乗っかります。この上級ジョブコーチ養成研修については、ジョブコーチ養成研修を一定期間更新していることが前提になって、それプラス実務経験、そしてこの研修を受講するということが要件になるということです。上級が、その他の下のほうのジョブコーチ養成研修と内容的にどのように異なるのかについては、実践経験があって、応用的な課題について解決する知識と技能を持っていることと、それを言語化してスーパービジョンできることが要件になってくるかと思います。そこで、実務経験と、それから更新を一定期間されているというようなことを要件として入れています。次に、右のほうの就業支援スキル向上研修や就業支援実践研修は、現状では明確な階層化という考えにはなっていないのかなという印象を持っています。そのため、これについては、左の方のジョブコーチ養成研修と上級ジョブコーチ養成研修、さらに就業支援基礎研修の所に統合する考えを示しています。このようにニーズは分散して移行させれば、ここのニーズについて応える研修がなくなったことにはならないと思っています。
あともう1点、ちょっと論点が変わってしまうのですが、研修を実施することだけで終わるのか、その結果について認定または国家資格を付与するのか、いろいろなレベルはあると思うのですが、資格という言葉を使えるかというのは、リクルートにも随分関わってくるところかと思います。この業界にまず一歩踏み出そうというときに、いろいろな人たちはまず資格を取るところから始まります。基礎的な資格を取るということが、その分野を目指す第一歩になることが少なくありません。研修修了した結果、研修修了要件がこれで得られるだけという説明と、何々資格が取れるという説明では、受講者にとっての意味が違ってきますので、是非とも資格と関連させた研修の階層化を検討していただきたいと思います。以上です。
○長谷川主査 どうもありがとうございました。今野アドバイザーお願いします。
○今野アドバイザー ありがとうございます。今の小川アドバイザーの御説明は非常に腹落ちしますし、最後におっしゃられた資格ということと研修の階層をリンクさせるというのは、私自身も、会社の中の研修を受けた人のその後の働き方とかを考えた場合にも、非常にイメージしやすいと思いました。また、例えば企業に支援センター等からお越しいただいた場合に、その方がどういうスキルを持った方なのかが分かるように、最近は皆さん首から名札をぶら下げて来ていただきますけれども、そこが資格とリンクされるようなストラップの色が違うとか、あるいは名札にそういうものが表示されているということになると、我々も非常に対応がしやすいと思いますし、その階層化、資格化というのは、企業としても非常に対応しやすいと思います。
1つ、小川アドバイザーに質問というか確認させていただきたいのが、先ほど私が申し上げたような、例えば視覚障害あるいは発達障害というようなやや特殊性というか、専門的というか、そういう部分というのはこの基礎研修の部分に入れるべきなのか、あるいは先ほどちょっと私が触れたような、外部の研修をリンクさせていくのかということについては、何かお考えがおありなのでしょうか。
○小川アドバイザー 障害特性に対する支援の違いというところは、就業支援基礎研修、それからジョブコーチ養成研修、スキルアップ研修、この3つのところで、やはりこれも階層的に取り扱っていくべきだと思います。まず、基本的にこれだけは知っておいてほしいということは就業支援基礎研修のところで一定の時間扱って、その障害特性に対して基本的にどんな問題が生じやすくて、どんな対応をすべきかということは、ジョブコーチ養成研修のところで扱われて、また、スキルアップ研修のところでは、障害のある方の人数が少ない部分、あるいは非常に対応が難しい部分については、これまで述べたところでは対応が難しいので、スキルアップ研修のところで特化してそれについて扱っていくというような組立てがいいのではないかと思います。
○今野アドバイザー ありがとうございます。
○長谷川主査 ありがとうございました。ほかの部分でも構いませんので、御意見等ありましたら是非お願いします。LITALICOの長谷川アドバイザーはいかがでしょうか。
○長谷川(敦)アドバイザー 御指名ありがとうございます。まず、厚生労働省の皆さんは、これだけ様々な論点を皆さんの意思や組み入れてうまく整理いただいて、非常に感謝しています。難しい論点をうまくまとめていただけているなと実感しております。今日議論にもありました、深水アドバイザーや小川アドバイザーからもありましたが、しつこく申し上げますが、「ジョブコーチ」に名称を一本化というのは是非とも実現できるといいと変わらず思っています。小川アドバイザーのおっしゃるとおり資格化すると、国家資格にしていって、その先のキャリアが見えるようにするというのは非常に大切な論点だと思っていますし、いつかこのジョブコーチを題材にしたドラマや、漫画ができるというようなところを目指していくとまたグッと認知度も変わっていくのではないかと思っているので、是非、小野寺課長と石井補佐、それが実現できるようにお願いしたいと。
2点目は、今日論点に挙がっていない他の観点にはなるのですが、業界全体としてこの就労支援の質を向上させていく、同時に就労支援人材の育成をもっともっと加速させていくために、データに基づいた就労支援が実現できるICTのシステムというものを構築して、全福祉施設並びに関連する企業に関して導入してもらえるように、是非できないかと、そうしたことを目指せないかと思っております。これは実は正直言うとうちのITALICOの内部で作っていこうとしているものにもなりまして、我々もICTを使った支援をやってきてはいるのですが、もっと多面的に利用者の方のデータをためて、データを基にエビデンスを持って、何が本当にその人にとっていい支援なのかをもっと謙虚に学んで実行していくべきだったと、ノウハウを共有化すべきだったと思っています。
今我々も含めてこの業界として非常に優れた方もいらっしゃいますが、やはり誰にどういう支援をして、どういう結果になったのかというのが、特にデータとしては全くたまっていないというようになっている結果、それぞれの地域ごとに職人芸的に非常にすばらしい就労支援ができる方がいらっしゃると思っています。逆にどこまでいってもこのICTの力だけでは不十分で、きちんとそういう方が経験を積み重ねるのが基本だとは思っていますが、一方で、今回論点にも挙がっているように、では、視覚障害の人の就労支援がもっと大事だとか、聴覚の人の就労支援の専門人材が少ないとか、難病の人の就労移行の利用も増えているとか、より多様な人がこの就労支援サービスを利用するという観点を捉えると、どんなエキスパートも、この多様な全ての人の就労支援のエキスパートにはなれないと私は思っています。こういうことを補完するために、より新しい人がどんどんこの業界にも入ってくるので、サービスの質を高めるためには、俗塵的に頼らないで、客観的なデータを基にノウハウが共有化され、データを基に人材育成が行われていくというような業界に進歩させることが非常に大切だと思っています。
例えば、一体どういう支援者、支援者自体もいろいろな個性を持っているので、どういう支援者がどういう個性を持った利用者にどんな支援をして、結果的にはどんな職種のどんな業務に仕事として就いて、その後、御本人が定着できたのか、人生のQOL自体がどう上がったのか下がったのかをきちんとデータとして蓄積していく、そのデータを分析的に使えるようにしていく基盤を作ることです。そうすると大きいのは、もちろん誰かに何かを教えてもらうことは大事なのですが、支援者自身が、自分が支援した結果、利用者の人たちがどう変化しているのか、どういうアウトプットにつながったのかを、支援者自身がそのデータを分析的に見られるようにすることで、自分自身の学習がもっと主体的に進められるのではないかと思うのです。今、自分自身の支援の結果を見たときに、自分はこういう利用者の人への支援はうまく進んでいないとか、こういう利用者の人には自分は得意だなとかいうことも分かるでしょうし、この特定の群の人には一向に目標のスキル獲得ができていないとかということが学べたり、不安が強いという人たちには自分はちょっと支援が苦手だとか、面接訓練は非常に高い効果を出しているとか、自己分析のプログラムは今一だなとか、そういうものが全部分かるようになることによって、では、面接訓練のプログラムは効果が高いから、ほかの事業所にもそれを共有化していこうとか、そのように他の人もそれが実践できるようにしようということにもつながります。自己分析が自分は今一なのであれば、もっといいプログラムを開発するとか、効果が高いプログラムを活用するとか、そういうことにもつながっていけるのではないかと思っています。
そういうデータを国家全体としてためていくことができれば、地域ごとの就労支援の実力、問題点が明らかになってくると思っています。国家全体として、何が今できていて、何が弱いのかも明らかになるので、問題を明確にすることによって、より精度の高いマクロの施策もミクロの施策というのも実行できるのではないかと考えています。うちの社員もそうなのですが、皆さん地域ごとに本当に熱心に一人一人の就労支援をやっているのです。この一人一人の就労支援を積み重ねて本当に社会が変わっているのか実感が持てないと、我々の支援は本当につながっているのかと、よく社員からも聞かれたりするのですが、データがたまるようになれば、一人一人の支援の結果というのが、ノウハウとして、ほかのこれから就労支援を受ける障害のある方の力にもなっていくのですね。そういうノウハウが共有化されて加速することによって、もっともっと障害者の就労支援が促進されるのではないかと思っています。
長くなりましたが、このデータに基づいた就労支援を実現するICTシステムの導入というのを、1つの文章というよりは、カテゴリーとして、このICTの活用を論点としても是非まとめていただけると有り難いと思っています。長くなりました以上になります。ありがとうございました。
○長谷川主査 次に、鈴木アドバイザーからお願いいたします。
○鈴木アドバイザー くらしえん・しごとえんの鈴木です。私も資料を出させていただきましたので、それを見ながら説明させていただきます。共有をお願いいたします。こちらの資料はイメージ図ということで、小川アドバイザーのきめ細かいものとは全然違うと思います。その中で、今、論議の中で出てきたようなジョブコーチという言葉はあえて使わずに、職場適応援助者という言葉を使っております。
もう1つは、私自身は、実績や更新研修という中に企業在籍型をどのように位置付けるかということがよく分かっておりません。なぜなら、企業在籍型というのは年間の支援実績でいくと、6か月というスパンで2ケースということで、ケースなのかということで実態については分かっていないところがあります。
そういう中で、資料というよりもこのイメージ図ですが、私自身の中で研修の体系を幾つか考える上で、今もお話がありましたが、ジョブコーチという名称や現場支援と言うか、この研修の形態もそうですけれども、もう一回、どうしてもこの点はということをお伝えしたいと思っておりますので、その点はよろしくお願いいたします。
実際、私自身は2006年から15年にわたり、職場適応援助者の助成金を受給して今日までそれを仕事としております。今まで165ケースで年間に10ケース前後、現場でプレイヤーとして、また、マネージャーとしてやってきております。
そして、この5年間、雇用保険会計に行く前に、先ほど長谷川アドバイザーからありましたデータについても、この5年間、その前まではJEEDに年間の件数やどういう支援実績、その実績の取り方自体はもっと検討していかないといけないと思いますが、恐らく、実際この5年間の実績は、誰がというのが本当に分からなくなっていて、私たちも本当に全然見えない状態にあると思います。そこで、データをきちんと取っていくということは、今後、非常に重要なことだということは同意見です。
「ジョブコーチ」という名称についてですが、私自身は「職場適応援助者」という言葉で説明することが多いです。なぜなら、私たちは適応上の課題があったときに予想される、あるいは見いだす必要性がある場合に呼ばれるわけです。中には、物事が大きくなり問題が表出しきってからの依頼は、どちらかというと離転職支援という話になっていくと思いますが、私自身が適応援助というところにこだわっていて、準備訓練や実習を通して雇用となったときに生じる様々な変化を、本人や職場と一緒になって整理していくことが一番重要だと思っています。
特に障害特性にかかわらず共通することは、やはり最初の2週間から1か月、そして支援の終了時の2か所だと思っております。つまり、定着支援へどのようにバトンタッチするのか、その時期だと思います。やはり、最初は職場内にどのような人的、物的な環境があり、それが本人にどのような影響を与えるのか、この先表出する課題の見通しなどを付けるということがポイントとなりますが、もう1つ大事なポイントは支援の終了時期です。職場に慣れて余裕が出た頃、目や手が離れたときに何が表出されるのかということに対する対処法の見通しです。つまり、定着支援への橋渡しが非常に重要視されると思っています。そのためには、雇用現場の表面的な部分ではなく深さが非常に重要で、その深さの期間がどれぐらい必要なのかということが支援期間になってくると思います。
2番目です。少し横道にそれてしまい申し訳ないのですが、現場の感覚、就労支援のワーキングで様々な人たちが様々に就労と言うけれども、働くという言葉についても総論的には何となくそうだねと言いますが、言葉の意味が本当に同じなのかということが非常に重要だと思っています。特に私たちの現場における一言は非常に重いと思っています。
そういう中で、例えば本人についても、ものすごく頑張っている方に対して、「よく頑張ったね、もうこれ以上無理することないよ」と言うこともありますし、ときには現場の方から、「私たちを取るか、障害者を取るかはっきりさせてほしい」と迫られることもあれば、私たちの助言の下に、一緒に働いている方の配置転換や契約の問題にまで及ぶこともあるわけです。ですから、定着ということはありますが、そういう意味での適応援助という問題は私はものすごく重要ではないかと思います。
そして、私自身、適応援助者をやっていて思うのですが、ナチュラルサポートという言葉になってくるのでしょうけれども、会社や現場から私たちが用無しになることが目的だと思います。本人とは、縁を切ると言うと変ですが、要するに、不必要な支援はせずに短い時間に集約されて、雇用現場での支援が、次の職場内ではこの方、地域においてはこの方という形で、支える支援者は絶えず変わっていくという、その転換期における支援は非常に重要になってくると思います。
現場における雇用実績や支援実績は非常に重要で、私自身もものすごく悩んでおり、日々これでいいのかと複雑化しています。ですから、どうしても傲慢になってしまいますので、私に対するアドバイスを自分自身が求めています。そういうことを含めて、絶えず自分たちの活動をきちんと振り返る場所、先ほど小川アドバイザーのお話の中にもありましたスーパーバイズの話などが非常に重要になってくると思っております。最後ですが、それに見合うだけの専門性が高い研修体系と報酬単価のところは非常に重要だと思います。長くなってしまい、すみません。以上です。
○長谷川主査 いろいろお話いただきました。ジョブコーチの名称が良いのかどうかということについて、皆さんも良いアイディアを考えておいてください。髙谷アドバイザーからお願いいたします。
○髙谷アドバイザー ぷれんの髙谷です。最後に人材の確保についてです。下にある「効果的と思われる取組み」についてになるのだと思うのですが、現在、福祉の専門職においても障害者の就労支援を学ぶ機会が減ってきている現状があるかと考えております。小川アドバイザーがおっしゃっていたように、高等教育の他、福祉専門職の養成機関においても就労支援を学ぶ機会を増やしていくことが、就労支援の基礎的な知識の付与になり、将来的に安定した人材の確保になると考えております。
今回の基礎的研修、階層的研修というところは実務経験を積んでということになり、それを資格化するかということ。もう一方で、養成機関、高等教育のところで就労支援についての資格を考えていくという両方をしていくことが、将来的に、10年後につながっていくのではないかと考えております。階層の研修、資格については、上級ジョブコーチの職場適応援助者の研修については、小川先生、鈴木先生の御意見と同じです。以上です。
○長谷川主査 どうもありがとうございます。ただいま、深水アドバイザー、松村アドバイザー、小川アドバイザー、佐藤アドバイザーが手を挙げていただいております。この4人に御発言いただき事務局に戻そうと思いますが、よろしいでしょうか。では、深水アドバイザーからお願いいたします。
○深水アドバイザー ビーアシストの深水です。人材確保についてずっと議論に上がっておりましたので、私は企業の立場ですので、新規の採用というよりも、今いるプレイヤーをどのように活用していけばいいのかというところから意見を申し上げます。資料の御提示をお願いいたします。まず、今いる人材の流動性を高めるという考え方はどうかと思っております。ジョブコーチの出向やレンタル移籍、あるいは、パラレルキャリアと言うか副業への後押しは一つどうかと思いました。
社会福祉法人などでは組織内での異動もあるかと思いますので、ジョブコーチの資格は持っているのだけれどもジョブコーチの仕事をしていない人について、せっかく持っているスキルをいかせる場面はないかということ。あと、企業在籍型の社会での活動も助成対象にしてもらえると、訪問型や配置型に比べれば局地的なノウハウになってしまうのかもしれませんが、すごく深掘りされている方もいらっしゃいますので、そういった他企業のジョブコーチの力を借りるということもいいのではないかとすごく思いました。
また、企業在籍型に関して言うと、私も資格を持っているのですが、手続の問題等もあり助成金の活用は正直できておりません。そういう中で、受講をして実際に活動もしているのだけれども、助成対象になっていないという企業在籍型のジョブコーチはすごく多いのではないかと思っております。こういう助成の対象も見ていただけると、ジョブコーチそのものの認知度の向上、ノウハウの横展開は非常に早くなるのではないかと思っております。
もう1つは、ジョブコーチの配置を義務付ける、若しくは、奨励はどうかということです。今、生活相談員の数が相当増えているのですが、やはり義務付けになっているというのが非常に大きいと思います。5人いれば義務付け、特に罰則などがあるわけではないのですが、実際に結構な企業で導入されております。就労人数などに応じて、今は産業医も配置が義務付けられており、人材マネジメントの上でもジョブコーチの配置はいいのではないかと。上場企業だけでも約4,000企業ありますので、そういう企業にジョブコーチを配置していけば、今、企業はSDGsなど、持続可能な成長に非常に取り組んでおりますので、そういう部分にも訴えられるのではないかと思いました。
もう1つは、他の支援分野との協業というところで、外国人、ひとり親、高齢者など、雇用の環境調整が必要な人たちの支援が他分野にはいろいろあると思いますが、ノウハウが非常にかぶっているのではないかと思うところもあります。実際、福祉の法人の方では正しくかぶって支援されている所も多いと思います。そういう所の他ジャンルへの参加、あるいは、 他ジャンルから参入してもらうということもアイディアとしてどうかと思いました。
また、長谷川アドバイザーのデータのお話のところは非常に必要だと思っております。(5)ですが、情報の蓄積・共有については是非形にしていきたいと思いますし、切れ目のない支援のためには絶対にここは必要な内容なのではないかと考えております。ありがとうございます。
○長谷川主査 ありがとうございました。今のところについて、ひきこもりや外国人など、就労困難性を抱えている方はほかにもいらっしゃると思うので、そういう意味でもそことの連携はとても大事になっていくのではないかと思っております。生活困窮者自立支援法上の就労支援事業などとどういう連携ができるのかというのは、今後の検討課題だと思います。そういうことも踏まえ、先ほど髙谷アドバイザーがおっしゃっていたように、障害者だけではなく、いろいろ就労支援を必要としている人がおり、就労支援を学ぶ機会を必要としているということで、福祉の所での勉強や研修に入れられていくとなおいいのではないかと思いながら聞いておりました。では、佐藤アドバイザーからお願いいたします。
○佐藤アドバイザー JEEDの佐藤です。少し違う箇所でもよろしいのでしょうか。
○長谷川主査 はい。
○佐藤アドバイザー 5ページの(3)「人材育成の実施主体について」です。
基礎的研修の受講対象範囲をかなり広げて、特定職種については悉皆的な受講のしくみにする場合に、どのように実施するかということですが、特定の職種について就任の要件とするならば、全国一律に統一のカリキュラムで同質の研修を実施する必要があると思います。それから、複数の機関が実施することも想定されますので、その場合、実施主体による差がないようにし、安定的・継続的に実施していけるような体制を作ることが必要になってくるかと思います。
また、質の担保については、4ページのマル3就業支援に係る研修の体系及び内容等の留意点の所に記載していただいており、先ほども多くの方がおっしゃっていましたが、カリキュラムについて別途しっかり検討する機会を設けて、統一カリキュラムを作成するプロセスが必要になると思います。
現在、JEEDで基礎研修を行っておりますが、平成20年度の厚労省の「障害者の一般就労を支える人材の育成のあり方に関する研究会」で提示された「就労支援員向け研修のモデルカリキュラム」を基にしています。研究会では、就労支援員の役割や必要な能力を整理した上で、研修内容や実施方法、時間などが検討されました。新しく実施する基礎的研修についてもそういった検討を行うことが必要になるかと思います。
あと、量的ニーズへの対応については、先ほどもJEEDだけでは難しいのではないかというお話がありましたが、そのとおりかと思います。ですので、官民が協力してやっていくことが必要になるかと思います。実施主体による差がないようにするため、就労支援に高い実績がある、講師を担える人材が配置できているなど、認定する要件を設定していくことが必要になると思います。認定機関がないような地域が出てきてしまっては実行上問題がありますので、地域格差が生じないように、セーフティネットの機能を果たすことが独法としてのJEEDの役割と認識しております。以上です。
○長谷川主査 では、小川アドバイザーからお願いいたします。
○小川アドバイザー 1つ目は、今、佐藤アドバイザーからお話があった実施主体のことについてです。就業支援の基礎研修はかなり悉皆になる義務的な研修になり、その上のジョブコーチ養成研修のところからは、資格と関連した研修にしたほうがいいというイメージを持っています。ただ研修を提供するのと、資格に関連した研修を提供するのとでは、随分、意味合いが違ってくると思います。
資格と関連した研修を提供すると、今、佐藤アドバイザーからお話があった、内容の標準化、質の担保が非常に重要になってきます。また、フォローアップです。研修受講者の横のつながりを作り、資格取得者の社会経済的な地位についてもちゃんと横のつながりを持って、そこの向上についても意識していくような理念が必要になってくるのではないかと思います。資格を作った場合には、非常に強い事務局機能が必要だと思います。その事務局機能単体で力を持てるというのは難しいので、そこに対して協力をしていくという姿勢も必要になってくるので、かなり様々な要素を持った実施機関の認定が必要になってくるのかと考えます。
2点目は、少し話が飛びます。就業支援基礎研修が義務的な研修になると、義務になると就労移行支援等の研修加算が取れるのではないかと思います。その場合に、就業支援基礎研修のところで、研修に対するインセンティブがなくていいのかというと、私は少なくとも多くの方にジョブコーチ養成研修までは受講していただければと思いますので、もしこれが悉皆研修になった場合に、就労系の福祉サービスの所に、ジョブコーチ養成研修を受けた場合に、研修体制加算のようなものがちゃんと付き、それが上級ジョブコーチになると更に階層も上がるという仕組みにしていただければと思います。
最後に、長谷川アドバイザーがおっしゃったデータのところについては、非常に共感するところです。ただ、それはデータの質や内容にもよりますが、これを国がやっていくのは非常に難しい側面もあり、やはり、データを取りデータベースでちゃんと支援の質を上げていこうというコミュニティが必要で、資格を持った人たち、あるいはそれをつなげる養成研修機関、そういった所がコミュニティになることによって、就労支援は専門的な知識、技能、それもちゃんとエビデンスに基づいたものが作れるのではないかと思いますので、長谷川アドバイザーの御発言と関連させて資格、養成のところの重要さを改めて強調したいと思います。以上です。
○長谷川主査 では、松村アドバイザーからお願いいたします。
○松村アドバイザー 実は私たちの業界はKKDと言われておりました。勘と経験と度胸、このKKDで仕事をしていると言われておりました。このような形で私たちの仕事をきちんと分析していただき、弱み強みが見えたら、より効率的な仕事ができるかと思いました。また、年間で10万人の障害者の方が就職しており、支援度も間違いなく上がっていると私たち現場では感じております。早急に人材を確保しなければならない、場合によっては増やしていかなくてはならないと思います。
そういう中で、短期、中長期という考え方をすると、中長期については、ここで議論されている形で進めることができれば、きっとすばらしい成果が得られると思いますが、短期に関しては、惜しまれながらこの業界を去っていった私たちの先輩方がいらっしゃいますので、しばらく、その方々に現場に戻ってきていただいて、お力を借りて中長期まで一緒につなげていけないかと考えているところです。
あと、本日の議論でどなたも触れていないことについて触れさせていただきます。議論の整理の「その他」の一番最後に、「教育から福祉、一般就労間での支援」とあります。地域によっては、ここがすごくスムーズにできている所もあると感じております。私たちのような福祉の現場サイドから見ると、この3つをうまく融合させる有効な手段は、支援学校からお見えになり、その多くは高等部の2年生のときに就労移行支援事業所で受けていただく就労アセスメントがありますが、本来の就労アセスメントの役割が適切に行われていれば、かなりの情報共有や支援の連続性が発揮されるのではないかと感じております。
最後ですが、先ほど申し上げたように、一般就労をしていただける方であっても、最近は福祉的な支援を要する方がすごく増えてきています。その中で、例えば、これまで議論してきた研修についても、最後の目的は何かというところだけは外してはいけないのだろうかと考えております。個人的には、今まで議論している研修の中身というのは、障害のある方々が一般企業に就労されたら、少しでも定着していただくということが目的ではないかと考えております。以上です。
○長谷川主査 どうもありがとうございます。では、長川谷アドバイザーからお願いいたします。
○長川谷(敦)アドバイザー 少し細かい点かもしれないのですが、人材育成の実施主体についてです。どういう所を実施主体として選ぶのかというのが非常に大切だと思いつつ、同時に、選ばれた実施主体の方々がより良い研修にし続けていこうとPDCAをちゃんと回していくという力へインセンティブが働くことも、すごく大切ではないかと思っております。
どのような人がどのような熱量を持って研修をするのかということはすごく大事だと思います。それこそ、今日ここでお話いただいているように、今野アドバイザー、鈴木アドバイザー、深水アドバイザー、松村アドバイザーに話していただくと、聞いている側もすごく心に火がついて情熱が伝わり就労支援を頑張ろうと、体系的にはまとまらないかもしれないのですが何かいいと、人材育成においてそういう心に火がつくということは大事だと思います。
体系的にまとまった知識だけをしゃべっていればいいという実施主体ばかりにならないように、その実施主体が受講者の心に火をつけて満足度を高めていくというベクトルにしっかり向いていくように、実施主体に対する評価、研修を受けた側が研修を実施している所をちゃんと評価して、どこの実施主体の研修の満足度が高いのか、低いのか、改善されているのかということを、多分、これはちゃんと予算を付ける話になると思うのですが、全国的に把握して、満足度が低い所は実施できないようにする、満足度が高い所には少しインセンティブがあるなどということ。
小川アドバイザーがおっしゃったように、多分、集まった研修生の方々をコミュニティにしていき、今後も高めあえる関係性にするということはすごく大事だと思います。多分、そこまでは義務的に入れても、コミュニティ作りはなかなか行動レベルに落としづらかったりするので、ただ、コミュニティがすごくできている所はきっと満足度が高いと思います。そういうところを満足度として測って、質の高い研修が全国に展開される制度になればと思っております。以上です。
○長谷川主査 皆さん、たくさん御意見を出していただき、ありがとうございます。ほかにもおっしゃりたいことがあるかもしれませんが、一旦、終了させていただきます。本日出た御意見については事務局で整理していただき、次回までに事務局で報告書の案を作成していただきます。よろしくお願いします。
では、議題(2)「その他」に移ります。事務局から何かありますか。
○小林障害者雇用対策課課長補佐 特段ございません。
○長谷川主査 分かりました。長時間にわたってしまいました。特に厚労省の皆様は、1時から第1ワーキングもやっていらしてお疲れかと思います。どうもありがとうございました。では、本日の議論はこれで終了ですので、最後に、事務局から連絡事項等はありますか。
○小林障害者雇用対策課課長補佐 次回の日程は、3月26日(金)の開催を予定しております。詳細は追って事務局より連絡いたします。また、3月中旬に、この会議の親会議である、障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会の開催を予定しております。親会議では、このワーキンググループを含めた各ワーキンググループの議論の経過報告を事務局よりさせていただく予定ですので、皆様方におかれましては御承知おきください。以上です。
○長谷川主査 では、障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会 第3回 障害者就労を支える人材の育成・確保に関するワーキンググループを終了させていただきます。皆様、本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。