第96回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録

 

 
第96回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会(議事録)
 
1.日時 令和3年2月16日(火) 15:00~15:48
 
2.場所 AP虎ノ門 会議室Aルーム(一部オンライン会議会場)
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)

3.出席委員
(公益代表委員)
○東京大学大学院法学政治学研究科教授 荒木 尚志
○慶應義塾大学名誉教授 大前 和幸
○名古屋大学大学院法学研究科教授 中野 妙子
○読売新聞東京本社編集委員 宮智 泉

(労働者代表委員)
○全日本海員組合奨学金制度運営管理部長代理  楠 博志
○日本化学エネルギー産業労働組合連合会副会長 安原 三紀子
○全国建設労働組合総連合労働対策部長  田久 悟
○日本基幹産業労働組合総連合会中央執行委員 黒島 巌
○UAゼンセン労働条件局部長  髙橋 義和
○日本労働組合総連合会総合政策推進局長 仁平 章
  
(使用者代表委員)
○セコム株式会社 人事部主務 久保田 祥子
○鹿島建設株式会社安全環境部部長 本多 敦郎


4.議題
(1)労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する省令案の要綱等について(諮問)
(2)その他
 


5.議 事

○荒木部会長 それでは定刻ですので、ただいまから第96回労災保険部会を開催いたします。
 本日の部会はオンライン中心で実施いたします。なお、委員の出欠状況ですが、森戸委員、水島委員、北委員、山内委員、砂原委員、鈴木委員が御欠席と伺っております。公益代表、労働者代表、使用者代表、それぞれ3分の1以上の出席がございますので、定足数を満たしていることを御報告いたします。
 カメラ撮りはここまでということでお願いします。
 第1の議題は「労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する省令案の要綱等について」です。本件は諮問案件となっております。では、事務局より説明をお願いいたします。
○労災管理課長 それでは、私、労災管理課長山田から御説明させていただきます。お手元の資料に、省令要綱について、意見を求める諮問文があります。その後に省令案の要綱、それから省令案の概要がありますが、説明の便宜上、その次にA4の横置きの資料がありますので、こちらで説明をさせていただきます。
 まず、①「介護(補償)等給付・介護料の最高限度額・最低保障額の改定について」です。これは毎年、年に1度改定をしているものですが、この労災保険法に基づく介護(補償)等給付については、最高限度額と最低保障額があります。最高限度額については特別養護老人ホームの介護職員の平均基本給を参考に、最低保障額については最低賃金の全国加重平均を参考にして見直すということでこれまできております。今般、令和2年度特別養護老人ホームの介護職員の平均基本給、それから現行の最低賃金の全国加重平均に基づきまして、この給付の最高限度額、最低保障額を見直すものであります。
 また、併せまして、その下にあります、炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法、これは炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関し、この中毒症にかかった労働者に対して特別の措置を講ずるものですが、これに基づいて、経過措置として支給する介護料の最高限度額及び最低保障額について同様に見直すことを提案させていただくものです。 この炭鉱災害については、現在、福岡で令和元年度に13人の方が実際にこの介護料を受け取っている状況です。額につきましてはその下にあるとおり、この介護(補償)等給付については最高限度、最低保障それぞれ、「常時介護を要する者」、「随時介護を要する者」とありますが、このような形で金額を改定させていただき、随時介護の場合はおおむね常時介護の半分と考えております。
 それから右にあります、炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法に基づく介護料につきましても、この介護(補償)等給付とほぼ同じ並びで、ただ、これについては「常時監視を要し、随時介助を要する者」という類型もいらっしゃいますので、この一番上の「常時監視及び介助を要する者」のおおむね4分の3を基準に設定をしております。そういった御提案です。
 次ページ、②「遺族(補償)等年金の定期報告等の一部廃止について」です。これは昨年も、国民の様々な手続・提出物の簡素化という観点から、傷病(補償)年金、障害(補償)等の年金受給者の定期報告について、簡素化についてお諮りをし、御了承いただいたところです。今般、更に遺族(補償)等年金の定期報告について、一部廃止ができないかということの御提案です。
 上にありますとおり、現在、労災年金受給者に対して定期報告を求めております。具体的には、年に1回の定期報告の際に、戸籍、住民票、厚生年金等の支給額が分かる書類を添付していただき、それにより、生存、転居、そういった情報ですとか、厚生年金などの確認を行っております。今般、マイナンバーを活用した情報連携により、本人確認情報、あるいは日本年金機構が保有する厚生年金等受給関係情報をオンライン照会により確認することが可能になったということです。これにより、御遺族の方が1名の場合につきましては、マイナンバーの情報連携によって必要な情報を取得できる者についての定期報告はもうオンライン照会でできるということですので、廃止をしたいと考えております。
ただし、マイナンバー連携により必要な情報が取得できない方もあります。書いてありますとおり、遺族が2名以上の場合の定期報告について、実際に受給されている方のほかに、受給はされていないけれども受給資格が将来発生する方について、現に労災年金を受給していない方の個人番号については取っておりませんので、こういった方に関する死亡・婚姻等の情報収集ができないということから、当該受給者、こういった方についての定期報告は廃止をしないということで考えております。
 その下の、一部の遺族(補償)等年金受給者、これは障害の状態があるということが要件になっている方、それから介護(補償)等給付の受給者、更には一部の石綿救済法に基づく特別遺族年金受給者については、現在、定期報告の際に障害の状態の変化を確認するため診断書の添付をお願いしているところです。
 これまでの受給者のデータによりますと、障害の状態に変化があるということはかなりまれであります。実際、障害状態の変更で失権してしまったという方は、過去10年ほど遡っても10件という状況です。こういった状況の中で、国民の手続負担軽減の観点から、今般、医師の診断書の添付を求めないということを考えております。もちろん、状況の変化があった場合には、当然、報告をしていただく必要はありますので、その旨の周知については定期的に受給者の方に行って、必要な情報の提供をお願いしたいと考えております。これが年金の定期報告の一部廃止についてです。
 次ページ、③「労災就学援護費の額及び労災就労保育援護費の額の改定について」です。この労災就学援護費については、業務災害などによって死亡し、あるいは重度障害を受け、又は長期療養を要する労働者の子弟の学資などの支弁が困難であると認められる方の学資の一部を支援することを行っております。具体的な支給額につきましては、子供の学習費調査、それから消費者物価指数を参考に見直しを毎年しております。これについて、今般、子供の学習費調査、これは平成28年度と平成30年度、それから消費者物価指数、これは令和元年度実績見込みと令和2年度見通しですが、これに基づき、これらの支給額の見直しを提案させていただくところです。
 具体的には、下の表にありますとおり、上から3番目の「労災就学援護費のうち高等学校等(通信制を除く)」の所ですが、現行は1万8,000円となっているところを1万7,000円、それからその下の「高等学校等(通信制)」では、1万5,000円のところを1万4,000円、一番下の「労災就労保育援護費」については現行の1万2,000円を1万3,000円に変更するという提案です。
 今回、特に高等学校につきましてはいずれも引下げの御提案になっております。これは、子供の学習費調査について、昨今、文部科学省において取りまとめられたデータを私たちで確認したところ、特に私立の高等学校に関しまして、平成28年度の学習費の総額が104.0万円だったところが、平成31年度には97万円ということで、減少している状況で、こういったものを反映した結果です。
 この背景について、様々、この統計を担当している所にも私ども確認いたしましたけれども、今、いわゆる私立高等学校授業料の無償化の方向で、実際、令和2年4月から開始をされているわけですが、この前の段階で、既に都道府県において実質的に無償化をしていくという先行事例があります。例えば、東京都、神奈川、大阪、京都などが先行している、こういったところも結果として表われていると聞き及んでおります。こういったことを背景といたしまして、今回、改定の御提案をさせていただくものです。
 次ページ、④「労災療養援護金の支給事業に係る規定の削除について」です。改正の趣旨ですが、労災療養援護金の支給事業と申しますのは、かつて労災保険制度に打切補償制度が存在した時期(昭和35年以前)では、療養開始後に3年を経過してもなお傷病が治らない場合には、1,200日分の打切補償費というものがございましたが、そうしますと、法律上、労災保険法の規定による保険給付を受けることができない方が出てきました。こういった方の援護を図る制度として、これまでこの支給事業を実施運用してきたところです。
 これにつきましては、一番下の〇にありますとおり、新規の申請については既に16年間実績がなく、また直近3年間の支給の実績も0件ですので、今後、新規の支給申請も見込まれないという状況ですので、この労災療養援護金の支給に係る事業を廃止することとし、当該の規定を削除することを御提案させていただきます。
 次ページ、⑤「働き方改革推進支援助成金の改正について」です。これは改正の趣旨の所で書いてありますが、働き方改革推進支援助成金のうち、テレワークコースに係る規定を削除して、以下の助成金を新設するという改定を提案させていただくものです。
 これについては、「労働時間適正管理推進コース(新規)」と書かれておりますが、助成概要にありますとおり、労務・労働時間の適正管理を推進し、生産性の向上を図って、労働時間等の設定の改善の成果を上げた中小企業事業主に対して助成をするものです。
 具体的にどういう場合に助成対象になるかですが、1つ飛ばして「成果目標」を御覧ください。①にありますとおり、新たに勤怠(労働時間)管理と賃金の計算をリンクさせて、自動的に賃金台帳などを作成・管理・保存できるような統合管理ITシステムを用いた労働時間管理方法を採用するとともに、賃金台帳等の労務管理書類について5年間保存することを就業規則に規定すること。また、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」、これに基づく研修を労働者などに対して実施すること。さらに、②にありますとおり、賃金を3%以上引き上げる労働者を就業規則等に規定をすることで、この助成の金額が更に上乗せされていくという内容になっております。
 今回の推進コースについては、経緯といたしまして、令和2年4月1日に労働基準法の一部を改正する法律によりまして、賃金請求権の消滅事項、それまで2年であったものが5年(当面の間3年)に延長され、それに伴い、賃金台帳などの労働関係に関する書類の保存期間についても、同じく5年(当面は3年)と延長されたところです。
 こういったことに各事業主におかれては御対応いただくということではありますが、これに関しまして、この改正労働基準法案の、衆議院、参議院の厚生労働委員会の附帯決議におきましても、「中小企業等における記録の電子データ化を支援し、記録の保存等にかかる負担の軽減を図ること」という決議が成されています。こういったことも受けまして、労働時間等の設定の改善の成果を上げた事業主に対して支援を行う、こういった趣旨です。これにつきまして、予算上も計上しておりますけれども、その根拠となる省令の規定の改正をお願いしたいというものです。
 最後ですが、⑥「毎月勤労統計に係る追加給付について」です。毎月勤労統計調査につきましては、事業所の規模によって抽出率が違っております。500人以上の大きな事業所については全数調査とするということですが、これについて、神奈川県、愛知県、大阪府について、平成31年1月分から、調査対象と指定していた500人以上の規模の事業所について、調査自体は全数でやっておりましたが、実際の集計には含めていなかったということが、実は事後的に分かりました。これにつきましては、既に昨年11月のこちらの審議会で御報告をさせていただいております。
 改めて集計した結果、集計に含めていなかった79事業所を含めた形で、数字が訂正をされた結果、下の○にありますとおり、令和元年8月から令和2年7月まで、その次の令和2年8月から令和3年7月までの期間に適用される年金のスライド率、それから一時金換算率に影響が出たということによって、結果として、過少給付になった方が生じていたということが判明しました。
 具体的には、いわゆる年金の差額一時金というものです。これは既に御報告はさせていただいておりますが、対象としては、概算として約120人程度、1人当たり4,200円程度、対象の方全体で合計50万円程度と見込んでおります。この方々に、差額に相当する分を追加給付として支給をするための所要の改正を提案させていただくものです。
 ※にありますとおり、今回の改正については、この追加給付の支給額の算定方法を記載することと併せて、これは行政上の誤りから起因するものでありますので、追加給付をした場合に、メリット収支率の算定に反映をさせないということも併せて措置をさせていただきたいというものです。
 以上、6点につきまして、省令の改正についてお諮りするものです。以上です。
○荒木部会長 ありがとうございました。それでは、ただいま諮問のあった件につきまして、御意見、御質問等がありましたら、チャットに発言希望と入力をして発言していただきたいと思います。仁平委員、お願いいたします。
○荒木部会長 今、仁平委員が入り直されておられますので、それでは、経団連の代理出席の阿部様、先にお願いいたします。
○阿部代理 経団連の阿部です。本日、委員の鈴木が欠席で、阿部が代理出席させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。質問は⑤の働き方改革推進支援助成金の改正についてですが、先ほど課長から新しく創設される労働時間適正管理推進コースについて御説明いただきまして、この内容、趣旨については理解したのですが、この新しいコースを社会復帰促進等事業で実施する理由、必要性について御説明を追加でお願いいたします。
 あと、細かい内容になるのですが、成果目標の①の所で、賃金台帳等を作成し、5年間保存することとあるのですが、この「等」の中にどういったものが含まれるのかを教えていただければと思います。
○荒木部会長 事務局よりお願いします。
○労災管理課長 まず、社会復帰促進等事業において実施する理由です。今回、御提案させていただいている助成金のもともとの経緯としては、御説明いたしましたとおり、労働基準法の改正によりまして賃金債権の期間と、それから、併せて賃金台帳などの書類の保存期間が延びることについて助成をしていく、支援をしていくということの附帯決議があったというのが契機でございます。ただ、今回の御提案は、単にそういったことをやるということだけではなくて、併せて労働時間管理、賃金計算をきちんとリンクさせていくことによって労働時間の管理、把握をきちんとすることにより、昨今、非常に請求などが多くなっておりますが、そういった長時間労働などを原因として脳・心臓疾患その他、そういったことがないようにしていくということの非常に重要なツールになるかと思っておりますので、今回、社会復帰促進等事業の事業として御提案させていただくというものです。
○労働条件政策課 賃金台帳等ですが、具体的には労働基準法109条に規定する書類等、例えば協定書等がこちらに入ると考えております。
○荒木部会長 阿部様、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○阿部代理 はい、ありがとうございました。
○荒木部会長 それでは、仁平委員、マイクはつながりましたでしょうか。
○仁平委員 大変失礼いたしました。
○荒木部会長 よろしくお願いします。
○仁平委員 私からは③の労災就学援護費の額の改定のところについて、1点確認させていただきたいと思います。子供の学習費の調査とか消費者物価指数に基づいて、給付額を見直した結果、今回、高等学校について減額になっているということで、課長からもその背景として、私立も含め高校の授業料の実質無償化が順次この間進んできたことがある、という説明もあったわけですが、労災就学援護費とは、資料の改正の趣旨の所にもあるように、被災した労働者のお子さんの就学状況の実態や遺族の要望等を勘案して、学資等の支援、支弁が困難であると認められる者に学資等の一部を支援するもの、であります。この減額によって、高等学校に通うお子さんたちの学校生活にマイナスの影響がないのかということについて、もう一度確認させていただきたいと思います。
○荒木部会長 事務局よりお願いします。
○労災管理課長 では、お答えさせていただきます。まず、今回、高等学校については、結果として、引き下げという御提案です。この基になっているデータについては、子供の学習費調査によって、平成28年度と平成30年度を比較したときに、全体としての学習費が減っているということが反映されているということです。この背景については、もともと令和2年4月から私立高等学校授業料の実質無償化が開始されるということに先立って、東京都、神奈川、大阪、京都などの先行していた都道府県で実施された結果、こういった全体としての学習費が減少したという状況です。
 統計自体はその当時のものということになるわけですが、今般、見直しによりまして、実際引き下げになる御提案ではありますが、令和2年度から実際に全国的に実質無償化というところがスタートしたということですので、タイミング的にも、こういった引き下げによって、実際の実質無償化によってある程度教育費の負担の軽減が進められているという中での御提案ということですので、こういった方々に対して著しく負担のしわ寄せがいくことにはならないようにと考えております。
○荒木部会長 仁平委員、いかがでしょうか。
○仁平委員 状況について説明いただいて理解できました。この項目以外も含め、いずれの項目についても、労側としては、妥当な内容なのではないかと思っております。ありがとうございます。
○荒木部会長 ありがとうございました。続いて、中野委員が発言希望ということですので、お願いいたします。
○中野委員 名古屋大学の中野です。私も今の③の労災就学援護費及び労災就労保育援護費についてお尋ねします。こちらの表の一番最後の労災就労保育援護費については、今回引き上げとなっておりますが、御承知のように、一昨年の秋から保育についても無償化が実施されております。そうすると、今回、保育が無償化されているにもかかわらず、労災就労保育援護費は引き上げということになります。これは、この制度の見直しの在り方が、文科省のほうでまとめている統計データに実際の費用が反映されて初めて、こちらの援護費も見直されるという仕組みになっているためで、保育の方の制度の改正から数年遅れで保育援護費についても見直しがくるということになるのでしょうか。
○荒木部会長 事務局よりお願いします。
○労災管理課長 御指摘を頂きまして、ありがとうございます。確かに制度が導入されて、その結果どうなるかというのが、統計が出ないと分からないところでして、御指摘によると、結果として、ひょっとしたらその次の改定のときに、この金額が変わってくる可能性はありますが、現時点では、私ども、そのエビデンスとして具体的にどの水準がいいのかというものを客観的につかむ数字として、現在、お出ししているというところになるのかと思っております。ですから、若干、その制度の改正とそれに伴う実態の数字、それから、それを受けたこれらの援護費の改定について、若干のタイムラグがあるのではないかという御指摘は、ある意味そのとおりかと思っておりますけれども、これらについては、また実態を次に把握した上で、適正な金額というところを御提案させていただければと思っております。
○荒木部会長 中野委員、いかがでしょうか。
○中野委員 承知しました。ありがとうございます。
○荒木部会長 経団連の代理出席の阿部様から、再度手が挙がっております。よろしくお願いいたします。
○阿部代理 度々すみません。もう一度先ほどの助成金の所に戻るのですが、今回、助成対象として労務管理用機器等の導入・更新費用ということで、恐らくタイムレコーダーとか、そういったものが入るのかなと思いますけれども、先ほど賃金台帳等の所で、そういったタイムレコーダーの記録も入るのかなと思っていたのですが、要は、労働時間をきちんと把握していくというときには、賃金台帳の保存だけではなくて、そのほかにも、タイムカードの記録やパソコン等の立ち上げたときのログイン・ログオフの記録といったものを全て取って、最終的に何か問題があれば、突き合わせていくということだと思いますので、今回、助成対象として、導入した機器の記録を保存することも、この助成金を支給するための要件としてはどうかという提案でございます。
○労災管理課長 今の御質問の趣旨を確認させていただきたいと思います。今の御指摘は、賃金台帳等、この中に何が入るのかということを踏まえた上で、実際に労働時間あるいはその賃金について、そのシステムに基づいて計算したものについて、具体的にきちんと保存をしているかどうかということについても、この要件の中に明確に含めるべきではないかという御提案という理解でよろしいでしょうか。
○阿部代理 そうです。労務管理用の機器で導入したものの中に、労働時間に関する関連した記録等を残すものがあかと思いますので、助成金の費用で導入したものについては、そういったものもきちんと5年間保存していくことを要件としてはどうかという提案です。
○労災管理課長 御指摘ありがとうございます。今、御提案させていただいております成果目標の①ですが、これの内容については、まず、時間管理と賃金計算をリンクさせて、そのデータを作成して、管理して、保存できるITシステムを用いた方法を採用すると。採用する上で、更に労務管理の書類について、これは当然電子データも含むわけですけれども、確実に5年間保存するということを就業規則に規定をすると。規定をして、確実に運用していただくということを条件に助成金をお出しするという御提案です。
 実際に、例えば5年後に、本当に保存されているかということについて後から確認をして5年後に助成金をお支払いするという設計には、この助成金の制度上は当然なっておりませんけれども、ただ、労基法上きちんとこういった書類については確実に保存をしていただくということは、今後、求められることではありますので、助成金としては、その事業所の中での規定上、それを確実にするという形になっているかということを確認させていただいた上で、実際にそれに基づいて運用していただきたいということですので、5年たって、後からそれを出してくださいというところまでは書いてはおりませんけれども、私ども助成金を担当する立場としては、当然、そのような形で運用していただきたいというところで、この助成金の運用をさせていただければと思っております。
○荒木部会長 阿部様、いかがでしょうか。
○阿部代理 そういったことで事前に確認して、助成対象となっている会社に、こういったものを5年間保存していくのだということを、厚労省のほうで、現場のほうでしっかりと確認して進めていくということでありましたら、過去に支給して、5年たって、またそれを遡ってというのは助成金の性格にそぐわないと思いますので、最初の申請段階できちんと確認していただければと思います。
○労災管理課長 はい、ありがとうございます。これは助成金の要件としては明確でありますし、きちんと明確にした上で、そういったことを守っていただけるかどうかということを確認した上で、助成金の支給をさせていただくようにしたいと思います。
○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ほかに特段御意見がないようでしたら、諮問のあった件につきましては、当部会としては妥当と認め、労働条件分科会長宛てに報告することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○荒木部会長 ありがとうございます。それでは、そのように進めさせていただきます。
労働政策審議会令第7条第7項により、部会の議決をもって分科会の議決とすることができ、同令第6条第7項により分科会の議決をもって審議会の議決とすることができると定められております。また労働条件分科会運営規程第7条におきまして、当部会の議決をもって分科会の議決とするということになっており、労働政策審議会運営規程第9条におきまして、分科会の議決をもって審議会の議決とするということになっております。したがって、当部会の議決が審議会の議決となります。
 それでは、事務局に答申案を用意してもらっておりますので、それを読み上げていただくことにいたします。お願いします。
(答申案配布)
○労災管理課長 それでは、お手元に配布させていただきました答申案を読み上げさせていただきます。
 令和3年2月16日。労働条件分科会分科会長荒木尚志殿。労災保険部会部会長荒木尚志。「労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」について、令和3年2月16日付け厚生労働省発基0216第1号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本部会は、審議の結果、下記のとおり結論を得たので報告する。記。厚生労働省案は、妥当と認める。
以上でございます。
○荒木部会長 ただいま読み上げられた内容で、部会長から分科会長、分科会長から労働政策審議会長宛てに報告し、この報告のとおりで厚生労働大臣宛てに答申を行うこととしたいと思います。
 それでは、次の議題に移ります。「その他」ということになります。事務局より説明をお願いします。
○補償課長 補償課長の西村でございます。資料2の最後に添付されています2枚物の資料を御覧ください。令和2年度「労災保険あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師施術料金算定基準」の改定について、この資料を御覧いただきたいと思います。私からは、今回の算定基準の改定について御報告を申し上げたいと思います。
資料の2枚目を御覧ください。あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師の施術料金の支払いに関して図示したものです。あん摩マッサージ、はり及びきゅうの施術については、医師の診断書を受けて施術を受けることとなっております。被災された労働者の方は、医療機関と同様に、労働局から指名を受けている施術所であれば、施術料金を負担することなく施術を受けることができます。御本人から受領委任を受けた施術所については、その施術料金を労働基準監督署に請求するという仕組みになっております。
 この算定基準については、労働基準局長の通達によって定めております。今般、健康保険について改定がありました。私どもの労災保険についても、健康保険の改定を踏まえて、原則2年ごとに改定をしております。繰り返しになりますけれども、今回も健康保険の改定内容を踏まえて改正を行ったものです。それでは、改定の概要について御説明いたします。資料を戻っていただきまして、1枚目の2の改定内容の所を御覧ください。
 大きく4点について改定しております。まず1点目は、初検料及びはり・きゅう、マッサージの施術料の引上げです。この表にあるとおり、健康保険の改定額と同額を引き上げております。表では引上額は10~60円になっておりますけれども、このように健康保険の引上額と同額の初検料、施術料の引き上げを行っております。
2点目は、往療料に関しての改定です。出掛けていく際の料金です。4kmを超えて往療を行った場合は加算が付いておりました。その加算額を、今回、健康保険のほうで引き下げられたことを踏まえて、労災保険においても引下げを図ったものです。4km超が、従前3,240円を3,060円ということで引き下げをしたものです。
3点目は、変形徒手矯正術の算定方法等の改正ということです。変形徒手矯正術と言いますのは、上肢と下肢に関節がありますけれども、この関節が拘縮してしまったときに、その可動域を広げるために関節に対して行う施術というものです。この施術は、筋肉など関節以外に対して行うマッサージと合わせて行うというものです。そのことから健康保険におきましては、これを明確化するため加算額として整理したものです。変形徒手矯正術の料金について、加算額として明確化して整理をしたものです。労災保険においても、同様に整理をして改定をするということです。また、従来は、6か月を超えて診断書の交付を必要としておりましたけれども、健康保険のほうで1か月ということになりましたので、労災保険のほうも1か月を超えて受ける場合に、再度、医師からの診断書の交付を求めることにしております。
最後の4点目ですが、「関節マッサージ」の廃止です。労災保険では、マッサージの加算として関節マッサージという項目を設けておりました。しかしながら、今般、変形徒手矯正術がマッサージの加算ということで明確に整理されましたので、変形徒手矯正術とこれまで設けておりました関節マッサージというものが重複することになり、関節マッサージを廃止することといたしました。以上が、4点の改定内容でございます。
これらの改定につきましては、2月1日以降の施術分から適用するということで通知しております。今回の改定によりまして、今年度、令和2年度の影響額は残り少ないわけですが、5万4,000円という影響額ということになっています。説明、報告は以上でございます。よろしくお願いします。
○荒木部会長 ただいまの説明について、御質問、御意見等があればお願いいたします。御質問、御意見等はありませんでしょうか。特にないということでしたら、報告事項ということでお聞きしたことになります。その他、この際何か御発言があれば伺いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、本日予定した議題は以上ということになります。次回の日程については、事務局より追って連絡をさせていただきます。本日は御参加いただきまして、どうもありがとうございました。以上といたします。