第5回職場適応援助者養成研修のあり方に関する研究会(議事録)

日時

令和3年1月20日(水) 10:00~11:30

場所

オンラインによる開催

議事

○秋場地域就労支援室長補佐 ただいまから第5回「職場適応援助者養成研修のあり方に関する研究会」を開催します。参集者の皆様方には、御多忙のところ御参集いただきましてありがとうございます。本日は、全員オンラインでの開催としております。御発言される際は、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、座長より指名を受けてから、マイクのミュートを解除し、御発言いただきますようお願いいたします。
以降の議事進行につきましては、朝日座長にお願いいたします。朝日座長、よろしくお願いいたします。
○朝日座長 皆さんおはようございます。コロナウイルスの感染拡大を受けまして、座長である私も含めて遠隔による開催ということになりましたが、御容赦いただきたいと思います。
4月から検討してまいりました本研究会も、本日が取りまとめの最終回となりました。引き続き活発な御議論をお願いいたします。それでは早速でございますが、議事に移りたいと思います。本日は報告書案について御意見をいただくというのが中心でございます。ではまず、議題1の報告書案について、事務局から資料の御説明をお願いします。
○秋場地域就労支援室長補佐 報告書(案)の本文に入る前に、前回御議論いただきましたモデルカリキュラムと研修方法のオンライン化の部分について、少し案を変更しましたので、そちらの御説明からさせていただきます。資料1-1を御覧ください。こちらの修正した箇所ですが、ストレス把握に関して、当初、6「職場における雇用管理」の所に「ストレスの把握と対処の重要性」を入れておりましたが、この科目が講師の要件が、主に企業の方になっているため他の科目に入れてほしいという御意見を踏まえ、10「事業所での支援方法の基礎理解」に移動しています。3の障害者の権利擁護に関して、前回、皆様から様々御意見をいただきまして、「障害者権利条約と合理的配慮等」と括弧で入れる形で追記をしております。企業在籍型も同じように変えております。
次に、講義と演習について、非常事態下においてどのように対応するかというところですが、前回、酒井委員、高岡委員からオンデマンド方式も場合によっては活用できるのではという御意見をいただきましたので、リアルタイム方式を原則とし、オンデマンドの方も繰り返し視聴することで、知識の定着が図られるような内容については実施を認めるという形にしております。
また、オンライン方式について演習については限定的に認めるという形にしておりましたが、今後の可能性も含め、その他の演習もオンライン方式で実施する場合は、事前に厚労省と協議の上、可能とすることにしております。またその場合、地域差や時期によって事情が異なる部分もありますので、全国一律とか、全ての機関一律ではなくて、各機関、各地域や時期によって判断するという形にしております。
実習については、前回、恒常的な実施方法のみ書いていましたがが、非常事態下においての特例として別立てにしました。これまで、佐藤委員、岡本委員から、一部の内容について演習で代替できるのではないかという御意見をいただきましたので、一部の内容について演習やオンライン等で代替することについて、厚労省と事前に協議の上、可能とするとしております。また、全国一律ではないという表現も先ほどと同様に入れております。資料1-1カリキュラム及び研修方法の見直しについての説明は以上です。
続いて、資料1-2報告書(案)にまいります。こちらは第4回でお示しした骨子案をベースに、頂いた御意見を踏まえて修正するとともに、全体的に文言の適正化を行いました。大きく変えた部分について簡単に御説明させていただきます。
まず構成ですが、Ⅲの5.「ジョブコーチのスキルアップに向けた研修の必要性」を入れました。こちらはもともと4.の「就労支援を担う人材の底上げ」の中で、横断的・垂直的な人材育成の一部として入れていましたが、佐藤委員から、別立てにしたほうが分かりやすいのではという御意見をいただきまして、別立てにしております。
本文にまいります。6ページ目の3つ目の○で段落ごと追加しています。こちらは、「職場適応援助者養成研修の現状」の部分になりますが、前回、酒井委員の御発言を受けてJEEDと大臣指定の養成研修は、これまでいわば両輪としてジョブコーチの養成を行ってきたということや、異なる点などを追加しております。
7ページの、「地域の就労支援体系とジョブコーチ支援」の1つ目の○です。こちらは構成上わかりやすくなるよう、この章の位置づけを明記しました。4つ目の○は、訪問型ジョブコーチの課題に関する部分ですが、前回、小川委員から、訪問型の活動が低調になっていることについて、もっと踏み込んで書き込むべきという御意見がありましたので、文言を追加しています。その下の○では段落ごと追加しています。前回、酒井委員から、ナカポツに配置している「主任職場定着支援担当者」について全く触れてないのではないかという御指摘がありましたので、段落ごと加筆いたしました。第3節の「高等教育機関におけるジョブコーチの養成」の部分は、文言の適正化を図っております。
9ページ、4.「就労支援を担う人材の底上げ」の部分ですが、3つ目の○を段落ごと追加しています。前回小川委員から就労支援の基礎的なスキルの部分について横断的に、様々な人に学んでもらった方がよいのではないかという御意見や、JEEDの「就業支援基礎研修」などが開始されているという話やジョブコーチ養成研修との棲み分けといったお話がありましたので、加筆しています。
続いて、5.「ジョブコーチのスキルアップに向けた研修の必要性」は冒頭目次について説明しました独立させた部分になっております。内容としては、前回の骨子案から大きくは変えておりません。
第Ⅳ章です。1つ目の○は、こちらもこの章の位置づけが分かるよう追加した部分です。第1節の5つ目と6つ目の○は第2節のモデルカリキュラムの見直し案の冒頭にありましたが第1節の考え方の方に持ってきています。12ページ、1つ目の○のモデルカリキュラムの見直し案の(2)ですが、前回、権利擁護について皆様からたくさん御意見をいただきましたので、障害者権利条約等の話を入れています。14、15ページのモデルカリキュラムは先ほどご説明しました案を挿入しています。
第Ⅴ章の第2節に研修方法の所では、先ほどご説明しましたオンデマンド方式について追加したものです。17ページの第2節、上から2つ目の○ですが、前回小川委員から、今後のオンラインの可能性について次につながるような内容を入れてほしいという御意見がありましたので、こちらも段落ごとに追加した部分です。第3節の3つ目の○は、非常事態下の実習の特例の部分については、前回の皆様の御意見を踏まえて、全体的に修正をしています。
最後になりますが、「おわりに」ですが、これまでの御議論を踏まえて、今回新たに書き加えた部分になります。資料の説明は以上です。
○朝日座長 ありがとうございました。ただいま事務局から前回の議論を踏まえて、修正を加えたカリキュラムと、リモートを中核とした研修方法の見直し案、そして報告書案全体についての御説明を頂いたところです。報告書案についての議論に入る前に、カリキュラムと研修方法の見直し案について、意見を頂戴したいと思いますが、いかがでしょうか。御発言がある方は、挙手マークでお知らせいただきたいと思います。岡本委員、お願いします。
○岡本委員 研修方法の見直し案について、前回の議論を踏まえて、検討していただき、ありがとうございました。緊急事態宣言が出た週末が明けて12日から、東京センターではジョブコーチ養成研修の実技研修が始まっています。緊急事態宣言が出そうだという段階から、本部ともやり取りをして実習先の調整などに神経をとがらせていたのですが、結局、どうしても実習を受け入れられない会社も一部に出てきたため、実習の一部が先送りになるという事態が起きました。そのとき、事前に協議するという事前というのは、どれくらいのタイミングなのか、どういう条件なのかと考えたのですが、直前というより、少し前の段階でも危険性を考えながら、一部ビデオで実施することも可能といったこともあり得るのか、本当に直前にその場その時に考えていくというニュアンスなのか、今のところのお考えを教えていただければと思います。お願いします。
○朝日座長 岡本委員、ありがとうございました。関連する御発言はありますか。では、資料1-1の研修方法の見直し案について、事前協議という文言を入れていただきましたが、その事前の捉え方について、事務局から御説明をお願いいたします。
○秋場地域就労支援室長補佐 事務局です。こちらで非常事態下とした部分ですが、今回のコロナ禍のみならず、天災等も含んだ意味で非常事態下としています。例えば今回のコロナの関係で言えば、ある程度予測が付く部分もあると思いますので、できるだけ早い時期から御相談いただき準備いただくことが可能かと思っています。一方、地震や集中豪雨など、予測が不可能な場合もありますので、そういう場合は、本当に直前の相談になるかと思います。
○朝日座長 ありがとうございました。岡本委員、よろしいですか。
○岡本委員 ありがとうございます。
○朝日座長 前回の議論を踏まえて、協議をすれば代替による実施も可能であるというところに力点が置かれているので、事前のところは、状況に応じて、ケースバイケースで速やかに協議をしていく必要があると受け止めていただくのがよろしいのではないかと思いました。ほかに、資料1-1のカリキュラムと研修方法についての見直し案については、何かありますか。これらについては、報告書本体にも含まれていますので、また後でお気付きの点があれば、さらに御発言を頂ければと思います。
それでは、前回頂いた意見に基づいた部分は確認をさせていただいたということで、報告書案に移りたいと思います。この報告書については、それぞれ関連している内容ですので、各章ごとに確認するというよりは、全体を通じて議論を進めていきたいと思います。これまでの意見については、反映していただいたということですが、更に追加したほうがよい内容、あるいは表現の変更等、工夫したほうがよいこと等がありましたら、具体的にどうすべきかということを含めて、御意見、御発言をお願いしたいと思います。どの部分からでも結構です。佐藤委員、よろしくお願いいたします。
○佐藤委員 JEEDの佐藤です。新しく入れていただいた箇所について、2か所ほど質問を含めての発言になりますが、6ページ目の職場適応援助者養成研修の現状という所の3ポツ目で、JEEDと大臣指定の研修機関との役割分担、協力について、整理をしていくという記載を入れていただいています。整理することについて異論はないのですが、ここに特別な配慮を必要とする受講者というのが例示されていることについて、研修受講にあたって、必要な合理的配慮を行うことは実施機関としては義務だと認識をしているので、このような文言が入ってしまうと、それを否定しているような誤解を与えてしまうのではないかという懸念があります。ですから、表現をどうするかということを検討する必要があるのではないかということが1点目です。
2つ目ですが、7ページ目の地域の就労支援体系とジョブコーチ支援の所の3ポツ目でジョブコーチとほかの支援とのつなぎについて記載していただいているところですが、前回のバージョンでは、ジョブコーチから就労定着支援事業のことが記載されていたかと思います。実際に研究会の中でも、そういった御指摘、御意見があったかと思いますが、今回落ちているのは何か理由があるのでしょうか。私は入れたほうがいいかと思っているのですが、その理由も踏まえて意見を述べさせていただければと思います。
○朝日座長 ありがとうございました。佐藤委員から、2つ意見を含めた御発言がございました。関連する御発言等、ほかの委員からはありますか。それでは、事務局から、この点について御説明をお願いしてもよろしいですか。
○秋場地域就労支援室長補佐 事務局です。1つめの特別な配慮が必要な受講者の部分については、今ここでどういった書きぶりがいいか思いつかないのですが、そういった誤解が生じるということであれば、表現を工夫してみたいと思います。
○朝日座長 それから、7ページのつなぎのところですね。
○就労支援専門官 障害福祉課の井上です。2点目について、就労定着支援事業から、なかぽつセンターと変更させていただいた所ですが、就労定着支援事業に関しては就業面の生活の部分の支援というところをメインにしながら、定着を支援していくという役割分担になっています。このため、実務上は確かにジョブコーチの職場での支援と定着の生活面の支援がつながるというケースがあるかと思いますが、ここの文脈における職場での支援の部分をつないでいくということで考えたときには、就労定着支援事業ではなく、なかぽつセンターというところがまず一義的には出てくるのかなということで、記載を変えさせていただいています。
繰り返しになりますが、実際の支援の中ではジョブコーチを使いつつ、就労定着支援事業がその後、生活面をフォローしていくというようなやり取りはあると認識をしていますが、先ほどのような理由でここは、なかぽつセンターということで変更しています。
○朝日座長 ありがとうございました。今、事務局からそれぞれ御説明いただきましたが、佐藤委員から更に御発言はありますか。
○佐藤委員 地域の中で支援のコーディネートといったことでいうと、やはりもう少しうまく就労定着支援事業を活用して支援していく必要があるのかなと思いますが、職場での支援に限定した形での意味合いで就労定着支援事業が落ちていることについては理解しました。
○朝日座長 鈴木委員から関連する御発言はありますか。それでは、鈴木委員から御発言いただいた後、さらに議論を深めていきたいと思います。よろしくお願いします。
○鈴木委員 前半の6ページの3つ目の所についてです。前回も酒井委員から御発言がありましたが、これはどちらかというと聴覚障害の受講者に対し手話通訳者を配置すると、数十万とか百万とか費用がかかるということが、私たち民間の実施機関にしてみれば、大きな問題だということです。
関連しますが、私たちが2月に愛知県で開催する予定だった会場がコロナウイルスの影響で使用できなくなり、今、探しているところなのですが、民間の施設を借りた場合、1日で30万、40万と費用がかかるので、それだけで受講料が全部飛んでしまうというような課題にも今、直面しています。ほかの会場を利用した場合、受講料をもらうという形で実施すると、従来の金額の倍の金額の受講料を設定しなければならないといった形になってしまいます。ここの記載の趣旨としては、特別な配慮は、もちろん必要だけれども、費用の問題で私たち民間の実施機関が、研修を開催できなくなったり、様々な地域で開催をするという地域のニーズに応えられなくなる可能性があるといったニュアンスのほうが強いのではないかと思っています。以上です。
○朝日座長 ありがとうございました。この部分は前回、酒井委員からの御指摘があった所かと思いますので、酒井委員から改めて何か御意見等、御発言をお願いしてもよろしいでしょうか。
○酒井委員 6ページの部分についてですが、実は今度大阪で2月に、ジョブコーチ養成研修を実施する際に聴覚障害の方の応募があり、受講していただくということが決定しています。その方と研修方法についていろいろ打合せをさせていただいているのですが、手話通訳者を1日依頼すると、1日だけで受講料1回分の1.6倍ぐらいの費用が掛かってしまいます。6日間ということになると、やはり費用の面では我々の法人にとっては過重な負担となり、全日程配置することは到底できないので、一部配置しながら、あとはどのように講師の話した内容をきっちりと伝えていけるかということを、お互いに調整をしているところです。そういう意味では、費用面での過重な負担というところについて、何か配慮をしていただければいいかなと思い、前回も発言させていただきました。
7ページの所ですが、就労定着支援事業については井上専門官からお話があったとおりだと思います。その上の2つ目の○の部分について、前回も同様の記載があったのですが、ジョブコーチ支援は、就労移行支援事業所等を利用されて、就職をした後に職場適応支援に入るのですが、就労定着支援事業は就職6か月後から入るので、連携という意味合いでは、就業・生活支援センター、就労定着支援事業等というより、就労移行支援事業所との連携が一番強いのではないかと思いますので、ここに就労移行支援事業所という名称も加えてはどうかと思いました。
○朝日座長 ありがとうございました。新しい問題提起も含めた御発言を頂きました。小川委員お願いします。
○小川委員 7ページの3ポツ目について、就労定着支援事業は、財源の問題や、あるいはもともとの制度の役割分担の問題で、生活面を主として支援するものだということは基本的には理解するところですが、やはり現場では就労移行支援事業の一人のスタッフが就労移行支援事業で行ったアセスメントをきちんと企業に伝えて、そのときにジョブコーチの視点を持って企業に対する助言、調整を行って、また生活面の問題も視野に入れて、生活面と就業面の支援を一体的に行っていくということが重要だということについて、この研究会でもそういった趣旨の話合いがなされてきているのではないかと思います。
また、ワーキンググループのほうでも、福祉と労働のシームレスな就労支援制度のあり方ということが検討されていく中で、この一文について就労定着支援事業のほうは、生活面であるからという理由でそれが抜けて、労働施策のジョブコーチと障害者就業・生活支援センターのつなぎのところだけが残るというのは、正直、ちょっと残念だなと思うところです。現行の制度下でも、地域での障害者の就労支援は就労支援機関が連携して行っており、ジョブコーチ支援、就労定着支援事業、それから障害者就業・生活支援センター等が連携して、定着支援を行っているという文言に置き換えて、どこからどこへのつなぎというよりも、労働施策と福祉施策が連携して行うという、そこのつながりの重要性については、是非、残すような文章にしていただきたいと考えます。
○朝日座長 小川委員、ありがとうございました。これまでの御発言から整理をさせていただくと、まず1点が6ページの特別な配慮については、研修機関にとって過重な負担がかかるということにつながってくるわけですが、特別な配慮が必要な受講者と言ってしまうと、そもそも合理的配慮提供義務があるのに、それぞれの組織の性質によって違うような印象を与えるのではないかという懸念があると思います。ポイントとしては、受講者等と言うよりは、その受講者を受け入れるための研修環境とか、特別な研修環境の準備が必要な場合といったような形で合理的配慮とは少し整理する形で表現をするといいのではないかと、御意見を伺って感じました。ここについては事務局で、より適切な表現に変えていただくということで、この点については一応決着したいと思いますが、皆さん、よろしいでしょうか。
7ページの所については、先ほど井上専門官から御説明を頂戴しましたが、地域のつなぎの部分で就労定着支援事業などを入れ込んでおいたほうがいいのではないかという御意見が相次ぎました。この件について、ほかの委員の皆様から何かありましたら、お願いするとともに現時点での事務局としての考えがあれば説明をしていただきたいと思います。ほかの委員の皆様方からは、この点について何か御意見はありますか。高岡委員、その後に佐藤委員の順番で御発言をお願いしたいと思います。
○高岡委員 今、精神や発達の就労が増えていますが、やはり生活が乱れると就労を続けていくことが困難であるということがあります。私としても生活を含めた上での定着支援というものが必要かなと感じています。
○朝日座長 ありがとうございました。佐藤委員、御発言をお願いいたします。
○佐藤委員 私も3ポツ目の所には、就労定着支援事業について触れていただいたほうがよいと思っています。ただ、単にジョブコーチから就労定着支援事業につなぐという表現だけだと、不十分かと思います。生活面のことを含めて、全体を見た上で必要な支援をコーディネートすることが、ジョブコーチに求められる役割であるといった記載があるかと思いますので、そういった視点から記載していただいたほうがいいのかなと思います。
訪問型ジョブコーチの活動が停滞してきているという指摘もありますが、中にはすごく積極的に活動なさっているところもあります。移行支援をやっていて、定着支援もやっていて、ジョブコーチもやっていてというような法人で、特に力量が結構ある法人の中には、ケースによっては、ジョブコーチ支援の後、ジョブコーチ支援のフォローアップ支援ではなく定着支援事業のほうに繋いだり、そのままジョブコーチ支援のフォローアップ支援を実施するなど、その辺はかなり状況に応じて支援サービスをいろいろ組み合わせて、選択してなさっているのではないかと思います。3ポツ目についても、そういった様々な支援サービスをうまく御本人のために使っていくという視点を入れたほうがいいのではないかと思います。
○朝日座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。高岡委員、佐藤委員からは、生活を見据えた部分の書き込みも必要ではないかという趣旨の御発言を頂きました。井田委員、お願いいたします。
○井田委員 在籍型ジョブコーチとして活動している私としては、正に小川委員が言われたことを実感しております。どちらかと言うと私は、発達障害が中心だったので、以前はそれほど生活ではなくて、企業に入ってからのフォローという形で支援を行っていたのですが、今は、精神障害の方(メンタル)の支援も併せてやっているので、連携が非常に重要だと感じます。文言については事務局にお任せしますが、そこの所を加味していただくと有り難いと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。さらに御発言はありますか。鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 ジョブコーチ支援からどうつなぐかという話は、皆さんおっしゃるとおりだと思います。ただ、もう1つの問題としては、地域の中で就労移行支援事業所からジョブコーチにつなぐというところの位置付けの弱さというのも、やはりあるのではないかとすごく感じています。どう次につなぐかというところは記載されていますが、一連のプロセスの中でジョブコーチ支援にきちんとつなげるような流れについても記載が必要ではないかと感じております。以上です。
○朝日座長 ありがとうございます。さらにいかがでしょうか。今日はまとめの会ではありますけれども、今いただいた御意見を踏まえて、最終的に必要な表現の工夫などをしていただくということになります。この段階でこういう表現にしますというのは難しいと思いますが、是非、いろいろな観点から御意見を頂戴できればと思います。山地委員、よろしくお願いします。
○山地委員 まず、皆さんの議論を聞いて特に思うところですが、制度上の就労定着支援事業所、就労移行支援事業所は期間が決まっています。現場ではそこを超えた活用の仕方をしないと、そのケースに対応できないという現状があります。皆さんのおっしゃるとおり、つなぎを上手にやるということが非常に大事な支援になっていると、とても実感していますので、もう一度考えていただきたいと思います。
それとは別個に、障害者就業・生活支援センターの役割が、地域によっては同じようなところもあるので、主任職場定着支援担当者については違いますが、「障害者就労・生活支援センター等」にしていただくと、いろいろな方が読んだときに、御自分のこととして受け取っていただけるのではないかと思いました。
○朝日座長 ありがとうございます。これまでの御意見をまとめますと、まずは何らかの形で地域の就労支援機関での動きのようなものが一度押さえとしてあって、そこでは当然、生活に関わる部分も念頭に置いて支援が進められるという認識に立った上で、つなぐということについては、どこかの支援からジョブコーチにつなぐといった形やジョブコーチから次の支援へつなぐという、つなぎ方の多様性みたいなものが実際にはあって、それを認識した上で、特にここに書かれているような配置型、訪問型ジョブコーチから企業在籍型ジョブコーチへのつなぎなども重要な要素であると。だからジョブコーチの研修体系に、その辺りを十分に生かしていくのだと。
そういうような整理で、前段のところの書きぶりで実態をうまく表すことができれば、その中でこういった文章が生きてくるのではないかということを感じました。事務局からはいかがでしょうか。
○秋場地域就労支援室長補佐 事務局です。この部分は確かに、ジョブコーチからということで、一方通行な書きぶりになっておりました。皆様の御意見を聞いて、実態とは少し違うことがわかりましたので、書きぶりは考えてみたいと思います。
○朝日座長 委員の皆様、よろしいでしょうか。表現の方向性としては、先ほどお話したような書きぶりにしていくということで、この点についてはよろしいでしょうか。
それでは、ほかの部分でさらに何かお気付きの点、御意見等がありましたらお願いしたいと思います。全体を俯瞰する形で是非、御意見を賜りたいのですが、松為委員、お願いしてもよろしいでしょうか。
○松為委員 松為です。全体を読ませていただいて、議論の中身がかなり丁寧に反映されていると感じました。私は全部何度も読み返していますが、特にここの修正が必要という感じはしないです。先ほど議論になっていた福祉から雇用へのつなぎというところで、正に今、精神障害の人たちが入るときには、9時5時と5時9時の両方をセットしていかないといけません。つなぎという場合でも、単なる9時5時という使用場面ではなくて、5時9時のことを踏まえた上で包括的に支援できるつなぎをやってもらいたいというのがすごくあります。
ただ、そのときにカリキュラムの中で、こういった人たちに対する生活支援のあり方をどこで言及するのかというのが、よく分からなかったです。例えば障害特性の科目の中で、特に精神障害の場合には生活と一体感でもっていかなければいけないと。精神の場合には医食住ですよね。医療と仕事と住まいをセットとして出していくというのが、特に精神障害の方を支援するときには大事ですよといったことをちゃんと言及してもらえれば、今言った、9時5時、5時9時がセットになって支援を引き継ぐことの重要性も理解できるのではないかと思うのです。
そういった意味では、特に研修カリキュラムの中身のところに、9時5時、5時9時をセットしなければならないという障害の特徴を踏まえたことを、是非とも言及して認知しておいてもらいたいと思いました。全般的には今まで議論したことが、結構丁寧にまとめてあるなという感じが、私にはいたします。以上です。
○朝日座長 どうもありがとうございました。実際の研修の実施に当たって、留意点につながるような御発言を頂けたと思います。カリキュラムの限られた時間とボリュームの中で最善を尽くすという点では、改めて生活そのものを項目立てするのは難しいと思いますが、松為委員がおっしゃったように、関連性が強い障害種別等の科目において、その辺りを意識化していくというのが非常に重要であると承りました。ほかにいかがでしょうか。征矢委員、御発言を頂戴してよろしいでしょうか。
○征矢委員 征矢です。カリキュラムの見直しの中で、ハローワークという現場からの意見として、企業に対しての合理的配慮提供義務に関する内容を入れていただいたので、現場としては非常に助かっているということを申しておきたいと思います。以上です。
○朝日座長 ありがとうございました。それでは、さらにお気付きの点等がありましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。山地委員、お願いします。
○山地委員 9ページの「就労支援を担う人材の底上げ」についてです。今、委員の皆様からの発言にもありましたように、生活を支えていくことが精神障害の方の定着につながるということを、本当に身に染みて実感しています。生活を支える中では、医療機関との協力関係というのがとても必要で、我々支援機関とジョブコーチは、医療機関と上手につながって連携するスキルも必要です。医療機関というのは、就労支援を知らない機関でもあって、大半の外来や入院の患者たちは、就労支援を知らない医療機関から情報を得ていくという現状があります。
最後の4つ目の○に、就労支援の基礎的な知識・スキルを習得できる研修を様々な就労支援関係者に受講してもらえるようという記載がありますが、医療機関とうまくやり取りをするために、医療機関の情報や現状、医療機関の役割についてきちんと知ることができたら、上手に支援ができるのではないかと思うので、そのような文言が入ったら、尚良いのではないかと思いました。以上です。
○朝日座長 ありがとうございます。山地委員の御指摘はモデルカリキュラムで言うと、13の「地域における関係機関の役割とネットワークの活用」という項目に該当すると思います。現在では雇用、福祉、教育等地域の関係機関の役割ということで、当然、医療機関は関係機関に含まれていると思いますが、項目として本文辺りに特筆するのか、あるいは、そういう認識をどこかできちんと押さえておくことが必要と承りました。関連する御発言はいかがでしょうか。井田委員、お願いいたします。
○井田委員 議題に関連してというより、最後に事後報告の時間があればと思ったのですが、先日、発達障害に特化された病院から依頼があり、医療関係者への研修として、民間の企業在籍型ジョブコーチとして1時間半ぐらいお時間を頂いてお話をしたのですが、先程山地委員がおっしゃったように、医療機関もすごく企業の実態を知りたがっているという感想をアンケートで頂きました。医療機関も、発達障害の方を企業に送り出す支援機関の方も、非常に連携を望んでいるという実態がありましたので、この場で報告させていただきます。
○朝日座長 関連する御発言をありがとうございます。さらにいかがでしょうか。高岡委員、よろしくお願いします。
○高岡委員 医療と就労に関して、移行支援事業所等の支援機関は病院に関しては、どういう窓口から入り込んでいったらいいか分からず、敷居が高いとおっしゃります。また、主治医の先生が忙しいため、時間をとってもらうのが難しいという話はよく聞かれます。病院の就労支援に関する窓口に担当者がいて、先生との間をとれるということができればいいのですが、医療機関はだいたいのところが、精神保健福祉士が窓口になることが多いのかと思います。やはり先生達も就労に関する知識はそれほどありませんし、外来となってくると、1ヶ月に1回、10分~20分という中で、その方の状況を見ていかなければならないという難しさもあると思いますので、今後も連携というのは課題になっていくのかなと感じています。
○朝日座長 医療現場の実情を踏まえた御発言、ありがとうございます。雇用、福祉あるいは教育から医療サイドへのアプローチと、逆に医療サイドから雇用、福祉へのアプローチという双方向性がすごく重要ではないかと、お話を伺っていて感じました。ジョブコーチのあり方というのは、正に雇用・労働側からどのようにアプローチしていくかということなので、問題意識として医療機関との関連性を、いつも認識しておくということについて、どこかで強調しておくことは必要かもしれません。
そして、医療機関がいかに雇用・労働の分野にアプローチしていくかについては、例えば医療機関における教育の問題であったり、就労支援へのアプローチであったりということで、医療機関側もまたどこかで考えていただかなければいけないという双方向性があるのではないかと思いました。その辺りを踏まえて、この問題提起について事務局からいかがでしょうか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局の小野寺です。今御指摘があった、9ページの4の「就労支援を担う人材の底上げ」の問題意識というのは、もともと地域で障害者の就労支援に関わっていただいている方のネットワークには様々な方が入ってきており、御指摘にあったような、医療機関の方や学校教育の現場の方など、様々な方がいる中で、障害者を中心に置いたときに、その方たちが就労支援をどういうように展開していくかというところにあります。
支援自体がぶつ切りになってしまっているという現状もありますので、全体を俯瞰し、プロセスを理解した上で、それぞれの方が立ち位置をどう取ってどう支援していくかということが、とても重要になっている中、広く裾野が広がった人材の皆さんに、雇用・福祉、生活、医療といったいろいろな面を含めて、障害者の就労支援を行っていく上で、必要な横断的基礎知識というのをまずは身に付けていただく必要があるのではないかと思います。先ほど御紹介がありましたが、障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会の人材育成のワーキンググループの中でも、大変大きなテーマとして今議論をしているところです。今いただいた御意見は、ワーキンググループでの議論につなげていくという意味で、大変示唆深いと思いますし、この報告書も御指摘を踏まえて、内容を少し充実させて、今後の検討の中での議論に生かしていきたいと思います。
○朝日座長 ありがとうございました。小野寺課長から、今までの議論に対するお考え、方向性をお示しいただけたと思っております。それでは小川委員、お願いします。
○小川委員 10ページです。ポイントは、スキルアップ研修です。今回のカリキュラムの見直しでは、様々な内容が必要だということについて意見交換をしました。ただ、研修自体のボリュームをこれ以上増やすことは難しいだろうということで、スクラップアンドビルドをしていくという考え方で、調整をしたと思っています。そして更に必要ということで出た様々な意見については、スキルアップ研修のほうで対応しようということでまとまっているのではないかと思います。
それについては10ページでよく表してくださっているのですが、いろいろ出たアイディアや必要だというポイントが網羅的に、スキルアップ研修で取り扱いましょうと包括的に書かれている印象があります。ジョブコーチというのは専門性が更に高まって、幅広い知識技術が必要とされており、養成研修自体は最低限必要な事項について網羅的に基礎的に押さえるものであり、そこからスキルアップ研修で取り扱うものについては、更に上級のものやスーパービジョンに関するもの、あるいは障害特性別に必要なもの等、例示してくださっているのも、非常に分かりやすいと思います。
しかし、それらについて、スキルアップ研修で取り扱っていきましょうという包括的な雰囲気で終わるのではなくて、最後に、「スキルアップ研修で行う内容について、体系的に検討していくことが必要であろう」というような一文を入れていただけると、ワーキンググループのほうでも就業の基礎研修とジョブコーチ養成研修とで、もう少し階層的な研修のあり方が必要ではないかと言われていますので、そこにもつながるのではないかと感じています。最後の一文で結構なので、可能性を御検討いただけると有り難いと思います。
○朝日座長 小川委員、ありがとうございました。関連する御発言はありますか。松為委員、お願いいたします。
○松為委員 スキルアップ研修についてはすごく分かっているのですが、前回の人材の育成のあり方に関する研究会ときに、スキルアップ研修を考えたのですが、私はあのときから、どう考えたらいいのかと思ったのが、我が国の就労支援における人材育成の全体のシステムがよく見えていないのです。なぜかというと、一方で労働大臣指定研修の職業カウンセラーという、非常に緻密な研修体制があり、それとジョブコーチ養成研修、そしてジョブコーチのスキルアップ研修について、全体的な体系を、将来展望として中長期とは言わないけれども、中期的な形でもいいから、一体化していくようなシステムを、今後考えてもらいたいというのが私の意見です。そうしないとジョブコーチと職業カウンセラーが、全く別問題になってしまいます。
例えばスキルアップ研修を受講してシニアジョブコーチ、それがだんだん労働大臣指定研修のカリキュラムを受講した職業カウンセラーにつながっていくような形にするのかどうか。もしそうであれば、労働大臣指定研修カリキュラムを、どういう形で位置付けていくのか。我が国全体の就労支援の人材のビジョンとして、こういったスキルアップ研修や上級ジョブコーチみたいなものを考えていくのだったら、大きな将来展望として考えてもらいたいということを、この報告書の最後のところに付け加えたら、より明確化し、将来的に我が国における全体の就労支援や人材育成のあり方を考える上では、大きな課題ですよということを指摘できるのではないかと思います。
○朝日座長 では小野寺課長、お願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 松為先生、ありがとうございました。今の御指摘は、大変重要だと思っております。今、人材育成をテーマとしてワーキンググループで検討を行っていますが、それだけではなく、アセスメントや就労支援機関のあり方全体の話ということでは、おっしゃったように人に着目すると、職業カウンセラーやジョブコーチといった形があります。また人材が配置されている職業センターだったり、ナカポツだったり、就労支援機関それぞれという位置付けもあったりして、それらを体系的にイメージした上で、人材育成の体系がリンケージしないといけないのではないかと思っています。それは、今後の雇用・福祉連携の中での障害者の支援をどうやっていくかという施策のあり方にも関連するだろうと思っています。その辺りは事務局でも障害福祉課と連携し、全体像を俯瞰しながら整理をしていきたいと思っておりますし、その辺りがにじみ出るような形で、最後にここでの総括的な一言は追記していきたいと思います。
○朝日座長 ありがとうございました。スキルアップとは何かという体系化の部分と、その先にある全体の就労支援人材のあり様について、今回の研究会はそこ自体を討議する場ではありませんでしたが、ジョブコーチのあり様、研修のあり様を深掘りしていくと、当然この議論でも前提になっていた全体像を見据えた上で、どうするかということになりますので、そこは御意見を頂きましたとおりスキルアップ研修の例示にとどめるのではなく、そもそもの全体像というか、その辺りを踏まえていくことが必要なのだということが分かる文言を加えていただくということで、まとめさせていただきたいと思います。小川委員、お願いします。
○小川委員 今、発言することはこの報告書に含めること以外のことでも大丈夫ですか。それは一通り議論が終わった後にまた時間を設けていただけますか。
○朝日座長 会議の進行を見据えながらそういった機会も最後に入れようかと思っておりましたが、今のところは、報告書案についての議論に限定させていただき、後ほど御発言をお願いいたします。では、報告書について、更にいかがでしょうか。表現上の工夫などについて、幾つか御指摘を頂きましたので、あとは事務局に作業を進めていただきまして、最終的な表現については、私が座長として責任を持って皆様方の御意見が反映しているか確認することにしたいと思います。
それでは、報告書案については、以上とさせていただき、今日が最終回ということですので、感想、御期待、今後の展望等で何か御指摘がありましたら、御発言をお願いします。先ほど小川委員が挙手されましたので、口火を切っていただいてもよろしいでしょうか。
○小川委員 発言したいと思ったのは、養成研修の担い手についてのことです。この報告書では、論点になっていませんので、発言を遅らせたところなのですが、報告書の中に、JEEDと大臣指定の研修機関が両輪となってこの養成研修を担ってきているとの記載があり、若干の役割分担についても触れていただいているところです。
全体の流れとしては、養成研修の受講希望者が増えて、機構のほうでも、大臣指定の研修機関のほうでもニーズに応じて定員を増やしてきたという経緯があると思います。また、現状では、企業在籍型ジョブコーチのニーズのほうが定員よりも、やや多めで、選考を必要としている現状もあるように思います。
一方、訪問型ジョブコーチについてはかなり裾野が広がって、受講者の中には、受講の目的が、果たしてジョブコーチ養成研修なのかとクエスチョンが付く場合もあって、そういった方に対しては、やはり選考をして、必要に応じて対象から外れていただくようなこともしている現状があると思います。
今のは全体の話ですが、これから様々な変化をしていくときに、養成研修の質の担保をどのようにしていくのかがやはり重要な課題になっていると思います。今回、鈴木委員、酒井委員もジョブコーチ連絡協議会の加盟機関として参加していただいており、それぞれが独立した養成研修の指定機関ですが、ジョブコーチの質、養成研修の質を上げるために、お互いにコミュニケーションを取って、それぞれの養成研修の内容についても徐々に理解を深めて、お互いのノウハウを出し合って、最も質の高い養成研修をジョブコーチ連絡協議会としてできないかということについて、現在、検討と準備を始めているところです。
今回、ワーキンググループでは就労支援機関に対する就労支援のいわゆる基礎研修、それからジョブコーチ養成研修について、すみ分けや階層化が必要ではないかという議論がなされているところだと思います。ジョブコーチ養成研修に関しては、確立されたテキストがなく、非常に実践ベースで実施している現状があり、今回この研究会でも10年間の変化について意見交換をし、こういうところが随分変わってきて、この辺は重視しなければならないということについて非常に良い議論ができて、内容をどうすべきかという方向性が見えたと思います。しかし、ジョブコーチ養成研修は、やはり実践と切り離せないところがあると思いますので、それは実践に熟知した人たちが担い手になるべきであり、また、相互に連携しながら、その質を一緒に高めていくという取組も必要であると思っています。
ジョブコーチ養成研修の担い手については、実施要領に、これまでの就労支援の実績あるいは研修の実績、その他、幾つかの規定で定められていますが、読み取りようによっては、かなり様々な機関がこの養成研修に参入できる可能性があり、それほど非常に高いハードルになっているわけでもないというところがあります。
これから養成研修や様々な就労支援の研修については、過渡期で再編されていくところだと思いますが、まとめとして申し上げたいのは、特にジョブコーチの養成研修は、企業に対するサポートなど、現場感覚が必要な一段階上の研修ですので、質の担保について、是非、慎重に行っていただきたいと思います。
養成研修の実施要領の中で、職場適応援助による援助その他これに類する就労に関する研修を行った経験がある機関が、研修実施機関としての要件を満たす旨の文言があるのですが、「その他これに類する」というところを、どの程度拡大して解釈するかによって、ちょっとした研修を、多くの受講者を集めて、都道府県をまたいでやっていれば、養成研修ができると読み取れるのか、それとも、ジョブコーチに特化した研修の実施経験とネットワーク、あるいは講師の準備などができる能力が必要なのかというところで、この規定のハードルも変わってきますので、養成研修機関の認定というのは慎重に行っていただければと思っているところです。
○朝日座長 どうもありがとうございました。では、これは御意見ということで、議事録に残させていただくということで進めていきたいと思いますが、ほかにいかがでしょうか。井田委員、お願いします。
○井田委員 9ページの「就労支援を担う人材の底上げ」の3ポツ目に関連して、法律上の位置付づけや役割は異なるもののということで、「障害者職業生活相談員資格認定講習」を入れていただき、企業在籍型ジョブコーチとしては非常に有り難いなと思いました。ここを何らかの表現で、講習を受けた人が必須とは言いづらいのかもしれないのですが、まずは講習を受けて、障害者の支援というのはどういうものかを分かった方がジョブコーチ養成研修を是非受けていただきたいという内容にできないかと思いました。
障害者職業生活相談員の資格要件として、実務経験に関する要件があったと記憶しているのですが、ジョブコーチ養成研修を受講する方も、認定講習を受講した方とか、実際に支援経験がある方を対象とすることを、ある程度、臭わせるような内容があるといいのかなと思いました。何も知らない方が研修を受けて、そこから吸収するという御意見の方も当然いらっしゃると思いますが、特に企業在籍型ジョブコーチは受講希望者が多いので、すぐに必要な方に受講していただけるような方向にならないかなと思いましたので、一言意見として申し上げたいと思います。
○朝日座長 ありがとうございました。既存の研修のあり方や役割分担等を含め、改めて整理していくというところもつながっていくのかなと思いました。今般のジョブコーチ研修のあり方に関する検討を通して、それらが質の確保にどうつながっていくかという展望は、御参加いただいた皆様にも共通する思いだと思っています。鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 鈴木でございます。総論的な話になりますが、私は、地域ということ、現場ということ、もう1つは実践ということがキーワードになるかと感じています。都道府県別に見ると、訪問型ジョブコーチが全然いない地域があるといった資料がこの研究会でも提出されていましたが、東京や大阪の大企業や特例子会社会社など、法制度的にも、事務的にもしっかりしているような所に対し、そうではないという所をどうするのかということです。
是非、皆様にも見ていただきたいと思っている資料があるので、本当に簡単な資料ですが、御紹介させていただきたいと思います。浜松市の状況について、静岡県浜松市がどのような位置付けになるのかよく分かりませんが、障害者雇用だとか、そういった話が行政から一切届いていないような50人未満の企業が96%ぐらいで、5年前の資料で、ハローワークの行政指導があるのは、3.2%くらいだということです。
従業員数で言うと、50人未満の従業員数の企業が6割で、私たちがふだんジョブコーチとして現場に入っていくというと、どちらかというと、50人未満の企業在籍型ジョブコーチも配置できないような企業です。そういったところで重度障害の人とかが、地域と一緒に働く、町のそこここにいるような障害のある人たちとどうやって一緒に働いていくのかということが、本当の意味での地域の障害者雇用の底上げにつながっていくし、そこに関われる人材というのが本当に重要なのだと思っています。これは本当に個人的な思いで、皆様にも是非お伝えできたらと思い、最後に発言させていただきました。
○朝日座長 ありがとうございました。今日は最終回ということで、後ほど、事務局の小野寺課長から御挨拶いただきたいと思いますので、ただいま続いた御発言も含めて一言いただければと思います。ほかはよろしいでしょうか。山地委員、お願いします。
○山地委員 今回のカリキュラムを入れていただいた障害当事者の方のお話を聞く機会に関することで、委員の皆様方に、障害当事者に講演していただくとか、話をしていただくことのイメージを、何か少し持っていただけたらなと思い、インフォメーションも含めてなのですが、毎年私たちのなかぽつで、これから働きたい障害当事者が企業の方に向けて発信をするという会を行っています。
今年も3月15日から20日の間、「当事者セミナー」という名前で、全てオンラインで配信することになりましたので、こういう人が働いていて、その方の病気について、自分がどのように語っていくのかというようなイメージをつかんでいただけたらいいなと思いましたので、インフォメーションです。是非、聞いていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○朝日座長 情報提供ということで、ありがとうございました。後ほど山地委員の御所属のホームページなどにアクセスすれば、今、頂いた情報が手に入るということです。
それでは、そろそろ時間が迫ってまいりました。今日は最終回ということで、報告書(案)について御意見を頂きましてありがとうございました。この研究会においてはジョブコーチ研修、カリキュラムのあり方について深掘りしてきましたが、御意見の背景には、その先にある就労支援人材の全体像であったり、質の担保であったり、研修後の受講者の質をどのように図っていくかということがあります。
大学を卒業した学生の質をどのように追跡していくかということでも、いつも同じ問題に直面するのですが、当事者の方の取組であったり、医療機関の取組であったり、そういったものをいろいろな角度から複合的に、重層的な役割を求めて、結果として、全体として進めていくということは非常に重要であり、今回、ジョブコーチ支援の切り口から深められたのではないかと思っております。
遠隔下での開催でありましたので、進行に不手際があったかもしれませんが、御容赦いただきまして、最終報告書の完成を待ちたいと思います。私からの発言は以上でございます。それでは、最終回ですので、最後に事務局の小野寺課長から御発言いただいて、終了とさせていただきたいと思います。
○小野寺障害者雇用対策課長 朝日座長、本当にありがとうございました。円滑な進行と、取りまとめをしていただき、感謝申し上げます。また、各先生方におかれましては、お忙しい中、継続して5回という急ピッチでの開催に御協力いただきまして、本当にありがとうございました。
今回は、モデルカリキュラムの見直しということで取り組んでいただきましたが、それ以上にジョブコーチ自体のあり方を改めて問い直すいい機会だったと思っております。
一方で、障害者の就労支援ということで言うと、福祉と雇用の連携を非常に重視しながらやってきたものの、やはりすごく縦割りになっているという状況が否めない中、そこを、打破していこうということで、私たちも障害福祉課と意見交換し、検討を深めており、一体的に課題に取り組んでいこうという状況ができつつあります。
その中で、先ほどもあったように、10年先ぐらいを見据えた上で、地域の障害者を中心に置いたときにどういう支援のあり方があるべきなのか、それを支える人材がどうあるべきなのか、その人材を育成、確保していくために、どういうところに政策を仕込んで、後押ししていくのかということを、できる限り広い視野と、福祉との強い連携の中で考え直していこうということになっています。それは、必ずしも今まで積み重ねたものをガラガラ、ポンするわけではなく、これまでのいろいろな示唆深い経験がありますので、その知見も踏まえながらスムーズに連携の枠組みというのを作っていけたらいいと思います。
そのときに、例えば養成研修に特化して申し上げれば、小川委員から御指摘がありました実施機関をどう考えるかということについて、地域でのジョブコーチの活動状況や配置状況を見ながら、日本全体におけるジョブコーチの養成について見渡した上で、実施機関をどのように指定していくのかというところにもつながってきますし、何回か御指摘のあったJEEDとの役割分担についても、やはりJEEDはセーフティネットとして、国に代わってやっていただくというところに位置付けがありますので、そこを十分に踏まえた上で、指定機関との役割分担があって然るべきだと思います。ここについては、私たちも改めて考えていかなければいけないと思います。
それと、全体での人材育成の中で、ジョブコーチ養成研修については、先ほど井田委員からも御発言があった障害者職業生活相談員講習や、これから雇用・福祉横断的に作っていこうとしている基礎研修も含めて、その上に乗っかるジョブコーチ養成研修というのが、全体のイメージになっていますし、上級ジョブコーチのような、更に高いレベルのジョブコーチを育てていくという体系を作った中で、改めてカリキュラムや、そこで何を教えていくのかということを考えるタイミングがあると思います。そのときには、是非、知見を頂きたいと思いますが、全体の大きな人材育成の見直しと、ジョブコーチ自体の体系的な育成のあり方について、今後は、併せて見ていかなければいけないと思います。
また、ジョブコーチ自体の役割については、私は企業在籍型については、養成自体のお手伝いをすれば、その後の活動というのは企業が自立的にやっていける時期にきているのではないかと思っており、障害者雇用の一歩を踏み出していただく、あるいはその後の円滑な雇用を進めていただくべき、地域の中小企業に対して訪問型や配置型ジョブコーチによる支援をどのように手厚くやっていくかを検討する局面かと思っています。その辺りも政策的にはメリハリを付けながら集中的に財政資源を投入していく時期かと思いますし、今後また全体の議論の中で御意見を頂く機会があろうかと思いますので、引き続き御協力をお願いしたいと思います。
今回の研究会の改めての感謝をお伝えするのと併せまして、今後の方向性について共有させていただきました。私からは以上です。ありがとうございました。
○朝日座長 ありがとうございました。ほかに事務局からよろしいですか。
○秋場地域就労支援室長補佐 本日頂きました御意見については、先ほど座長からも御発言いただきましたが、事務局の方で改めて整理した上で、最終的な文言については朝日座長と相談して報告書として完成させ、ホームページにアップする予定です。ありがとうございました。
○朝日座長 ありがとうございました。それでは、以上をもちまして、第5回職場適応援助者養成研修のあり方に関する研究会を終了させていただきたいと思います。皆さん、どうもありがとうございました。