2020年12月4日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和2年12月4日(金)16:00~
 

出席者

出席委員(19名)五十音順



欠席委員(2名)

(注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人2名

行政機関出席者
 

  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  中井清人(医薬安全対策課長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
  •  田宮憲一(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員(新薬審査等部門担当))
  •  林直治(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員(再生医療製品・ワクチン等審査部門担当)) 他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会のWeb会議を開催いたします。本日はお忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。このたびの医薬品部会についても、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。本日のWeb会議における委員の出席状況ですが、山口委員、山本委員から御欠席との御連絡を頂いております。また、大曲委員、川上委員が後ほど遅れて御参加と聞いております。したがいまして、本日は現在のところ、当部会委員数21名のうち、17名の委員がこのWeb会議に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 なお、本日、審議事項議題5に関しまして、福岡看護大学基礎・基礎看護部門基礎・専門基礎分野の岡田賢司先生、JCHO東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターの山名哲郎先生を参考人としてお呼びしております。よろしくお願いいたします。
 部会を開始する前に、事務局より、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告いたします。薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様から薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 また、本日のWeb会議に際し、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者におきましてマスクを着用したまま説明させていただく場合がありますが、御了承いただければと思います。それでは、清田部会長、以降の進行をよろしくお願いします。
○清田部会長 部会長の清田です。今までの音声は聞こえていますか。ありがとうございます。それでは、事務局から審議の進行方法の御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。本日、Webでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明いたします。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願いいたします。その後、部会長のほうから順に発言者を御指名させていただきます。御発言いただく際には、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言をお願いいたします。なお、発言者が多いときには、発言されたい委員はメッセージのほうに御記入を頂くことで、部会長より発言者を順番に指名させていただきますので、適宜メッセージ機能のほうも御利用いただければと思います。
○清田部会長 これまでの御説明に御質問、御意見はございますか。よろしいでしょうか。それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告をお願いいたします。
○事務局 事務局です。それでは、本日のWeb会議に係る資料の確認をいたします。本日は、あらかじめお送りしている資料のうち、資料1から資料18-2と、製剤写真を用いますので、お手元に御用意をお願いいたします。このほか、資料19として、審議品目の薬事分科会における取扱い等の案を、資料20として専門委員リスト、資料21として競合品目・競合企業リストを事前にメールにてお送りしております。なお、システムの動作不良などがありましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
 続きまして、本日のWeb会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告します。資料21を御覧ください。まず1ページ目、ジョイクル関節注30mgですが、本品目は、変形性関節症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定をしております。
 続きまして2ページ目、オルミエント錠4mg他1規格です。本品目は、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
 続きまして3ページ目、ヌーイック静注用250他6規格です。本品目は、血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
 続いて4ページ目、リンスパッド点滴静注用1000mgですが、本品目は、重症α-アンチトリプシン欠乏症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
 続いて5ページ目、ガーダシル水性懸濁筋注シリンジです。本品目は、肛門癌及びその前駆病変を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に記載の1品目を競合品目として選定をしております。
 続いて6ページ目、アルンブリグ錠30mg他1規格です。本品目は、ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定をしております。
 続いて7ページ目、リムパーザ錠100mg他1規格です。本品目は、BRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵癌における白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法後の維持療法を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
 続いて8ページ目、マブキャンパス点滴静注30mgです。本品目は、同種造血幹細胞移植の前治療を予定効能・効果としており、こちらについても同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目なしとしております。
 続いて9ページ目、アダリムマブBS皮下注20mgシリンジ0.4mL「第一三共」他2規格です。本品目は、関節リウマチ他既存治療で効果不十分な乾癬等の効能を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定をしております。
 続いて10ページ目、3-ヨードベンジルグアニジンです。本品目は、3-ヨードベンジルグアニジンシンチグラフィ陽性の難治性褐色細胞腫・パラガングリオーマを予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定をしております。以上です。
○清田部会長 今の事務局からの説明に、特段の御意見はございますか。よろしいでしょうか。それでは、本Web会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の御了解を頂いたものとします。それでは、委員からの申出状況について御報告をお願いいたします。
○事務局 事務局です。薬事分科会審議参加規程第11条に基づく、各委員からの申出状況及び第5条に基づく取扱いについて、次のとおりです。
 まず議題1、ジョイクルについては、退室委員なし、議決に参加しない委員として清田委員、中野委員、南委員。議題2、オルミエントについては、退室委員なし、議決に参加しない委員として、亀田委員、島田委員、中野委員、南委員。議題3、ヌーイックについては、退室委員なし、議決に参加しない委員として、亀田委員、川上委員、島田委員、中野委員、濱委員、南委員、宮川委員、渡辺委員。議題4、リンスパッドについては、退室委員、議決に参加しない委員ともにいらっしゃいません。議題5、ガーダシルについては、退室委員なし、議決に参加しない委員として南委員。議題6、アルンブリグについては、退室委員なし、議決に参加しない委員として亀田委員、川上委員、濱委員、南委員、宮川委員、渡辺委員。議題7、リムパーザについては、退室委員、議決に参加しない委員ともにいらっしゃいません。議題8、マブキャンパスについては、退室委員なし、議決に参加しない委員として、島田委員、中野委員、南委員。議題9、アダリムマブBSについては、退室委員なし、議決に参加しない委員として亀田委員、川上委員、清田委員、島田委員、中野委員、南委員、宮川委員。議題10、3-ヨードベンジルグアニジンについては、退室委員なし、議決に参加しない委員として南委員。議題11についても、各委員より寄付金、契約金等の受取りの申告を頂いておりますが、本議題は薬事分科会審議参加規程第18条の、個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議に該当いたしますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で、申告書を公開することをもって、審議及び議決に加わることができるものとなっております。以上です。
○清田部会長 今の事務局からの御説明に特段の御意見はございますか。よろしいでしょうか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。
 本日は審議事項が11議題、報告事項が6議題、その他事項が1議題となっております。それでは、審議事項に移ります。今回は、議事次第から順序を変えて、議題5、議題1から議題4、議題11、続けて議題6から議題10の順に審議いたします。まず、議題5について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料5、医薬品ガーダシル水性懸濁筋注シリンジの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。紙資料を御確認の方は、資料5の審査報告書を御準備ください。タブレットを御覧になる方は資料5のフォルダを開き、星印が付いている審査報告書ファイルをお開きください。これ以降の説明におきましては、お示しする審査報告書のページ数はページの下部に青色で、37分の何々と表記されているページ数とさせていただきます。審査報告書の青い数字の1ページに、本申請の概略を記しております。
 本剤は、遺伝子組換え酵母を用いて製造され、ヒトパピローマウイルスの6、11、16及び18型の4種の型のL1タンパク質で構成されたウイルス様粒子を有効成分とし、アルミニウム塩をアジュバントとして含むワクチンです。4種類のHPV型については、以降「4種HPV型」と呼ばせていただきます。本剤は、本邦において、4種HPV型に関連する子宮頸癌等の疾患の予防を効能・効果として、2011年7月に承認されております。今般、MSD株式会社より、男性に対する尖圭コンジローマ、また男性及び女性に対する肛門癌及びその前駆病変の予防に対して、本剤の有効性及び安全性が示されたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。本剤は、海外において、2020年8月時点で、131の国又は地域で承認されており、そのうち男性に対する適応は102の国又は地域において承認されております。なお、本剤の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料5の専門委員リストにお示しした6名の方々です。審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。
 まずは有効性について御説明します。審査報告書の7ページを御覧ください。海外第III相試験020試験では、16~26歳の健康男性を対象に、陰茎/肛門周囲/会陰部等の肛門外に当たる部位である性器周辺部の複合疾患イベントに対する本剤の発症予防効果を検討しています。性器周辺部の疾患には、尖圭コンジローマ、陰茎/肛門周囲/会陰部の上皮内腫瘍であるPIN及び陰茎/肛門周囲/会陰部のがんが含まれ、審査報告書では、これらの疾患を一括して、性器周辺部病変と御説明しています。また、同試験では、肛門癌の発症頻度の低さを考慮して、肛門性交を行うために罹患リスクが高いと考えられる、男性と性交渉を行う男性、すなわちMSMの方を対象に、AINと呼ばれる肛門上皮内腫瘍及び肛門癌の複合疾患イベントに対する発症予防効果についても評価しています。審査報告書では、このAIN及び肛門癌を一括して、肛門疾患と御説明しております。
 まず、性器周辺部病変に対する本剤の発症予防効果の結果を御説明いたします。審査報告書の8ページの表4を御覧ください。16~26歳の健康男性を対象とした4種HPV型に関連した性器周辺部病変に対する本剤の発症予防効果は90.4%であり、発症予防効果の両側95%信頼区間の下限値は、事前に設定された評価基準の20%を上回ったことから、本剤のプラセボに対する優越性が検証されました。また、審査報告書の16ページの表11を御覧ください。表11は、性器周辺部病変の疾患イベントの内訳を示しております。発症した性器周辺部病変の内訳は、プラセボ群の3例のPINを除き、全て尖圭コンジローマであり、発症例数は本剤群で3例、プラセボ群で31例であったことから、尖圭コンジローマに対する本剤の発症予防効果は期待できると判断いたしました。
 続いて、肛門疾患に対する本剤の発症予防効果の結果について、御説明いたします。審査報告書8ページに戻っていただき、表5を御覧ください。MSMを対象とした4種HPV型に関連した肛門疾患に対する本剤の発症予防効果は77.5%でした。肛門の疾患イベントの内訳は、17ページに移っていただき、表12に記載しております。肛門の扁平上皮に由来し、肛門癌の前駆病変とされるAIN2/3に対する本剤の発症予防効果は、74.9%でした。通常、検査により肛門癌の前駆病変が検出された場合には、治療介入が行われるため、定期的な検査が実施される臨床試験では、肛門癌の発生を直接検出することはできませんが、HPV感染からAIN発症を経て肛門癌発症に至る自然経過を踏まえますと、4種HPV型に関連したAIN2/3に対する予防効果の結果から、4種HPV型に関連した肛門癌に対する本剤の発症予防効果は期待できると考えます。
 次に、国内試験について御説明いたします。審査報告書の10ページ、表7を御覧ください。国内第III相試験122試験では、16~26歳の健康男性を対象に、肛門性器部、すなわち性器周辺部及び肛門内の4種HPV型に関連した持続感染の発生率(6か月以上)を主要評価項目としております。持続感染の予防効果は83.3%であり、本剤のプラセボ群に対する優越性が検証されました。また、日本人における有効性評価に当たり、国内外の診療ガイドライン及び文献等から、性器周辺部の尖圭コンジローマはHPV感染による性感染症であり、性器周辺部へのHPVの持続感染を経て発症する疾患であること、及びHPVの肛門内持続感染は肛門癌発症と強い関連があるとされていることを踏まえ、海外020試験及び国内122試験の、性器周辺部及び肛門内それぞれの4種HPV型の持続感染も評価しました。国内122試験における性器周辺部及び肛門内、それぞれの4種HPV型の持続感染の予防効果も、020試験と同様の結果であったことから、尖圭コンジローマ、肛門癌及びその前駆病変であるAINに対する本剤の発症予防効果は、日本人男性においても期待できると判断いたしました。
 なお、肛門疾患につきましては、HPV感染から前駆病変を経て肛門癌に至る病理学的な発生過程に、MSM集団とその他の男性集団、又は男性と女性で相違が見られないこと、罹患率や発症時期に大きな男女差がないこと、肛門癌及びAIN2/3におけるHPVの検出率に大きな男女差がないことから、本剤の4種HPV型に関連した肛門疾患の効能・効果を男性に限定する必要はないと判断いたしました。
 次に、安全性について説明いたします。臨床試験及び海外における製造販売後の本剤の安全性については、審査報告書18ページから24ページに記載しております。提出された資料から、今回新たに接種対象に加わる男性において、既承認の接種対象である女性と比較して、新たな懸念は認められず、本剤は忍容可能と判断いたしました。一方で、本剤を含むHPVワクチンの接種後に、いわゆる「多様な症状」を発現した症例が、日本人女性において報告された経緯があることから、日本人男性における接種後の「多様な症状」の発現状況について、製造販売後調査により、情報収集することが必要であると判断いたしました。審査報告書35ページの表20を御覧ください。ここには、一般使用成績調査の骨子を示しております。本調査では、本剤が接種された可能な限り全ての男性を対象に、「多様な症状」を含む有害事象が収集される予定となっております。
 以上の審査の結果、機構は、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は、新効能医薬品であることから、再審査期間は4年と設定することが適切と判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。説明は以上になります。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○事務局 事務局から追加で御紹介します。冒頭に紹介いたしましたが、本議題では岡田参考人、山名参考人にお越しいただいております。
○清田部会長 それでは、参考人の先生から、本議題について御発言をお願いいたします。まず、岡田先生から御発言をお願いいたします。
○岡田参考人 先ほどの機構からの御報告に関して、特に追加などのコメントはありません。機構からの評価に賛成いたします。
○清田部会長 続きまして、山名先生から御発言をお願いいたします。
○山名参考人 私も、ただいまの機構からの御報告に関して、異論などは全くございません。支持いたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問を受けたいと思います。いかがでしょうか。
○渡辺委員 質問があります。予防効果ということは十分に理解できましたし、重要な薬剤だと思います。この薬剤が当該目的で使われる場合に、女性の子宮頸癌に対してという場合なら、通常は婦人科にということになるのですが、こういう場合というのは、大腸肛門外科とか、そういう所が主な診療科というか、予防を行うような診療科という位置付けになるのでしょうか。教えていただきたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 接種場所としましては、御指摘いただきましたように泌尿器科や内科が想定されております。
○清田部会長 女性は婦人科でいいのですよね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○山名参考人 肛門周囲の尖圭コンジローマの患者は、肛門科ですとか、大腸肛門外科を受診されることが多いので、そういった肛門科又は大腸肛門外科での接種というものも想定されると思います。また、泌尿器科医から紹介されるケースが多くありますので、男性に関しては肛門科と泌尿器科というのが、大きな診療科になるのではないかと思います。
○渡辺委員 先ほど事務局の方から、内科なども実施施設として可能性があるという話を伺いましたが、そうなると、こういう薬剤があるのだ、こういう治療ができるのだということを、内科診療所等にも周知するというか、そういう方法も御検討されるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 申請者のMSDには、そのような資材については内科等にも配布するような話をしております。なので、広く周知されるものと考えております。小児科も配布の対象になっております。新しくできる資材については、男性、女性を区別しないで、全て1つの資材になっておりますので、特定の女性、男性だけとはいわず、幅広く周知ができるものと考えております。
○渡辺委員 了解いたしました。大変いい方向だと思います。
○島田委員 この疾患は皮膚科でもよく診るのですが、ただ、予防効果を期待して注射をするとなると、皮膚科はふさわしくないかもしれませんが、このワクチンは基本的に女の子に推奨されているものですよね。ところが、いまだになかなか反対意見もあるし、先ほど言われた副作用ですが、あれはほぼ否定されていると私などは思っているのですが、いまだに副作用のことで、結局全面的に推奨されないような状況です。それを男の子のほうにまで広めるということなのですが、順番的に言うと、本当は子宮頸癌が一番のターゲットになるわけだから、そこでもうちょっと女の子に対して、100%と言うと語弊があるかもしれませんが、まずは推奨されて、それから男の子のほうにいくというのなら話は分かるのですが、男の子にどうやってこれを。肛門病変と言っても、将来MSMになるかどうかなんて分からないし、どういう男性に打ったらいいのかというのがよく分からないのです。これは予防ですから、一旦できてしまったという人に対しては無効ですよね。
 ということなので、予防効果を期待するのであれば、少女、何歳だったか忘れましたが、9歳か10歳か11歳かなら、意義があると思うのですが、男の子に打っても意義があると思いますが、外国は、女の子のほうにほぼ打つということを前提にして、男にも打てば、全体的に予防効果があるということになるのですが、日本のように、女の子にさえきちんとやっていないような国で男にも打つということが、承認されれば、それは悪いことではないかもしれないけれども、順番的に変だなという感じはします。
○清田部会長 外国では男女関係なく、同様に、子供に打つということになっています。ですから、小児科で打つというパターンもありますし、女の子の場合は、婦人科で打つというようなこともあろうかと思います。ですから、外国ではもう普通にやっていますので、同じような投与の方法になろうかと思います。
○事務局 女性の接種については、定期接種の議論の中で、どのように情報を伝えていくかということの議論がなされているところだと思います。こちらのガーダシル、今回の議題については、まず薬事承認ができるかどうかという話で、女性と同様に定期接種にするかとか、どのように国として勧奨するかとか、その辺りについては、またこの薬事承認を前提として、厚生科学審議会等で議論されるものと思います。
○清田部会長 ということでよろしいでしょうか。
○島田委員 それは分からなくはないけれども、ちょっと論理構成がおかしいなという感覚を私は持っています。薬事承認はしてもいいと思います。これは安全性もあるし、予防効果があるのはいいのですが、そういう意味では、せっかくこういうものが承認されるのであれば、ちゃんと国民に幅広く知らしめて打っていくというような姿勢がないと、意味がないのかなと思います。これは私の意見ですから、薬事承認に関しては承認するというので、私も異議はありません。
○事務局 厚労省の中でも別の部局ときちんと連携して対応いたします。
○清田部会長 ほかに御意見はございますか。
○宗林委員 単純な質問なのですが、子宮頸癌のワクチンを打つときに、例えば打つ場所に行きますと、痛くて失神することがありますとか、痛みということについて、いろいろと注意書きがあるのですが、これも同じことなのでしょうか。添付文書にはそれは表れていないのですが、痛みに対する注意が相当なものなので、ちょっとお聞きします。
○医薬品医療機器総合機構 投与方法ですが、女性と同じ筋注になりますので、痛みという点では同じだと考えております。
○宗林委員 接種は1回でしょうか、2回でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 全部で3回になります。
○宗林委員 分かりました。余りの痛さに途中で断念するという方も結構多く、余り緊張するとよけいに痛みを感じるので、失神しないでくださいとか、書いてあるので、これはどうかなと思いましたのでお聞きしました。ありがとうございました。
○清田部会長 ほかに御意見はございますか。
○事務局 菊池先生から御意見を頂いているので、代読いたします。添付文書の取扱いについて、「9歳以上の女性に」となっているところから、「9歳以上の者に」と書き替わるので、そこに目印が必要でしょうか、という御質問がありました。また、「HIVを取り扱っているエイズ治療・研究開発センターでも推奨いたします。MSMの方にとっては「女性」が「者」となった意義は大変大きいので、歓迎いたします」とコメントを頂いております。
○清田部会長 菊池先生の御指摘のとおりで、そのようにするべきと思います。ほかに御意見はございますか。
○宮川委員 7/37ですが、海外の第III相試験において、予防効果が評価された性器周辺部の病変と肛門上皮内の腫瘍について、国内の第III相試験の発生状況のデータもあれば教えていただきたいのですが、122試験です。そちらにも、どのような形で記載があるのかについて、教えていただければ幸いです。
○医薬品医療機器総合機構 国内試験においては病変は出ておりませんで、持続感染のみという形になっております。
○宮川委員 それは持続感染ということだけなのですね。国内で投与されたものは、持続感染に対してだけということでよろしいのですね。
○医薬品医療機器総合機構 病変も収集対象になっていたのですが、結果的に持続感染しか認められなかったということになります。
○宮川委員 その旨はきちんと分かるようにしていただければよろしいのかなと思います。海外の試験と国内の試験が、そのような形で異なるのだということの理解というのは重要なことだろうと思います。もちろん、海外と比べて日本の場合は、症例数が少ないというのは理解できるので、しっかりと記載されていれば問題ないと思います。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。今の内容については、審査報告書の16/37ページの表11の下の所に記載しております。御指摘ありがとうございます。
○清田部会長 ほかによろしいでしょうか。ないようですので、議決に入りたいと思います。なお、南委員におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。岡田参考人、山名参考人には御退室いただきます。ありがとうございました。続いて議題1に移ります。議題1について、医薬品医療機器総合機構から概要の説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、ジョイクル関節注30mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。審査報告書をお手元に御用意ください。以後の審査報告書のページ数は、審査報告書の下段に50分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるジクロフェナクエタルヒアルロン酸ナトリウムは、ヒアルロン酸ナトリウムに非ステロイド性抗炎症薬であるジクロフェナクを共有結合させた高分子化合物であり、実施された臨床試験成績等を踏まえ、今般、膝関節、股関節、足関節の変形性関節症(以下、「OA」)に関する効能・効果で製造販売承認申請がなされました。本申請の専門委員として、資料20に記載されている8名の委員を指名いたしました。主な審査内容について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。なお、審査報告書44ページの10.その他の項に有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜御参照ください。
 まず、本剤の有効性について御説明いたします。本剤のOAに対する有効性の評価は、関節の構造及び病態や、各関節のOAにおける薬物療法も共通していることを踏まえ、OAの中で最も患者数の多い膝関節のOA患者を対象とした613/1031試験により検証した上で、実施可能性も考慮した613/1033試験から、肩関節、肘関節、股関節又は足関節のOA患者に対する有効性が、膝関節と同様の傾向が認められるかを検討する方針とされました。まず、審査報告書26ページの表23を御覧ください。本表は、膝関節のOA患者を対象とした613/1031試験の主要評価項目である、投与後12週間におけるWOMAC A(痛み)スコアのベースラインからの変化量を示しており、一番下の行にあるように、本剤群とプラセボ群との対比較において、統計学的に有意な差が認められ、プラセボに対する本剤の優越性が検証されております。
 続いて審査報告書28ページを御覧ください。表26は、肩関節、肘関節、股関節又は足関節のOA患者を対象とした613/1033試験の主要評価項目である投与後12週間における患者日誌による痛みスコアのベースラインからの平均変化量の全体集団における結果を示しております。表26の一番下の行にあるように、本剤群の改善効果がプラセボ群を上回る傾向が認められ、この傾向はその上の表25にお示しした対象関節別の結果から、下肢の関節のOAに偏って認められておりました。
 また、審査報告書34ページの表32及び表33にお示しした臨床症状及びQOLに関する評価項目並びに対象関節の部位特異的な有効性評価項目の結果も踏まえると、股関節では主要評価項目に加え、疼痛以外も含む臨床症状、QOL等に関する評価項目についても、本剤の有効性が示唆され、足関節は膝関節及び股関節より有効性が小さい傾向はあるものの、足関節に特異的な有効性評価項目では、本剤の有効性が示唆されました。一方、肩関節及び肘関節では、各評価項目における本剤群の改善効果がプラセボ群を一貫して上回る傾向は認められなかったこと等から、申請者も本剤の有効性が示唆されたとは考えず、申請効能・効果には含めない判断がなされました。
 機構としては、膝関節のOAに対する本剤30mgの有効性は示されており、また、関節の構造、OAの病態や治療の類似性に加え、下肢使用時における関節部位への荷重の影響等が共通していること等も考慮し、股関節及び足関節のOAに対する本剤30mgの有効性も期待できると判断いたしました。
 安全性について、審査報告書36ページの表34に本剤の臨床試験における安全性の概要を、審査報告書37ページの表35に主な有害事象の発現状況をそれぞれ示しております。また、審査報告書37ページ以降に記載した、本剤の薬理作用等から懸念される事象に関する検討内容も踏まえ、機構は、OA患者における本剤の安全性上の重大な懸念は示唆されておらず、既承認のヒアルロン酸ナトリウムの関節内注射剤や、ジクロフェナクナトリウムの局所皮膚適用製剤等と同様の安全対策を講じることで、本剤のリスクは管理可能と判断しております。また、対象関節別の安全性情報から、現時点で膝関節以外のOA患者において特有の懸念は認められていないと考えますが、臨床試験における股関節及び足関節のOA患者の検討例数は限られていること等も踏まえ、製造販売後の調査等において、本剤の安全性情報を引き続き集積し、得られた情報を臨床現場に適宜情報提供することが適切と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本剤を申請効能・効果、用法・用量にて承認して差し支えないとの結論に達し、本部会にて御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品又は特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体は劇薬に該当し、製剤は毒薬・劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
 渡辺委員より、「プラセボ等の比較において、本剤の優越性が検証されてはいますが、ヒアルロン酸ナトリウム架橋体製剤や、精製ヒアルロン酸ナトリウム注射液といった同種同効薬とのHead to Headの比較は必要ありませんか」との御質問を頂いております。
 回答としては、本剤はヒアルロン酸ナトリウムにジクロフェナクを共有結合させた化合物の新有効成分含有医薬品としての開発であった点を踏まえると、必ずしも同種同効薬との比較試験でなければ、本剤の有効性及び安全性を確認することは困難であるとも言えないと考えており、対照薬としてプラセボを用いたことは容認できると考えております。なお、今後実施される特定使用成績調査において、ヒアルロン酸ナトリウムの関節内注射剤から本剤へ切り換えた症例に関する切換え理由や、切換え前後の安全性及び有効性の推移等の情報収集を行い、切換えに関連する評価等が行われる予定となっております。
 また、南委員より以下の御質問を頂いております。「足関節のOAに対する本剤の有効性についてですが、審査報告書28ページの表25にあるように、足関節のOA患者を対象に含む1033試験の主要評価項目である患者日誌による痛みスコアのベースラインからの変化は、プラセボと比較し、点推定値が-0.07、95%信頼区間が-1.03から0.89と、ほとんど変わりません。また、CTDモジュール2.5、臨床に関する概括評価、42ページにある、当該スコアの推移のグラフである図2.5.4.2の4を見ても、プラセボを上回ることは全く示唆されません。したがって、足関節のOAについては、有効性がプラセボを上回る傾向は示されていないと言えるので、効能・効果から足関節のOAは除外するのが適切と考えます」との御意見を頂いております。
 以上の御質問に対するお答えとしては、613/1033試験の足関節のOA患者における主要評価項目の評価結果は御指摘のとおりですが、足関節は接地方法を変えるなどにより、感じる疼痛を小さくできやすいという特徴を有していると考えており、主要評価をはじめとする疼痛の評価に影響を及ぼした可能性もあると考えております。
 一方、審査報告書34ページの表33の対象関節の部位特異的な有効性評価項目に示すように、肩関節、肘関節では本剤群がプラセボ群を下回る傾向も散見されますが、足関節については本剤群の改善効果がプラセボ群を下回る結果はなく、おおむね上回る傾向が認められております。
 以上を踏まえ、足関節のOAに対する本剤の有効性についても、一定の期待ができると判断し、足関節のOAを効能・効果に含めることは可能と考えました。
 なお、御指摘のありました足関節を含め、本剤の特定使用成績調査においては、安全性のみならず、有効性についても引き続き検討することが計画されており、有効性に関する積極的な情報収集を行っていく、と申請者より回答されております。御説明は以上です。よろしく御審議のほど、お願いいたします。
○清田部会長 それでは、あらかじめコメントを頂きました渡辺先生、先ほど機構からの回答がありましたけれども、いかがでしょうか。
○渡辺委員 知りたいのは、本薬剤が、ヒアルロン酸にジクロフェナクをくっ付けることが、どの程度意味があることなのかということを知りたいわけです。そうすると、プラセボと本剤との比較で、本剤がより優越性があったと言っても、それはヒアルロン酸が含まれているからよかったのではないかということだけかもしれないわけです。
 したがって、同種同効薬と言えるかどうか分かりませんが、サイビスクディスポ、スベニールというのがあって、それはヒアルロン酸が含まれていて、多くの変形性膝関節症の患者さんは、ヒアルロン酸も何回か打ってもらってすっきりしたという感じで言っているわけです。ですから、そのヒアルロン酸が効いているのか、それともジクロフェナクを追加したことが良いのかということについては答えが出ていないと思うのです。
 お尋ねしますけれども、使われたプラセボというのはどの程度のプラセボなのか、単なる生食みたいなものなのか、どのようなものを比較対象としてプラセボと呼んでいるかを教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 お答えいたします。本剤の臨床試験で用いられたプラセボについては、生理食塩液が使用されております。
○渡辺委員 そうすると、生理食塩水と比べれば、ヒアルロン酸が良いに決まっているという整形外科の先生が多いと思うのです。問題は、ジクロフェナクをくっ付けたことにどれだけの意味があるかということが、本薬剤の売りでしょうから、それだったらヒアルロン酸単独対ヒアルロン酸とジクロフェナクをくっ付けたものとの比較をしなければ、この薬剤が本当に有効かどうかというのは分からないと思うのですが、そういう議論は今までになかったのでしょうか。
○清田部会長 部会長の清田です。渡辺先生の御指摘はごもっともな御意見だと思います。先ほどの機構からの説明の最後のほうに、この薬が世に出た場合、この薬を打った後にヒアルロン酸単独でのスイッチも行われるようなことをおっしゃっていて、そういう意味でクロスオーバーなスタディというのはできる可能性はありますよね。ですから、そこで多分明らかにしたいというのが、メーカー側の意向かと私は思います。
○渡辺委員 何か、そのクロスオーバーということで本当にちゃんとした評価ができるかというか、そこが問題のような気がいたします。それでいいということだったらいいのですが、なんとなく○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○も感じます。
○清田部会長 コメントを頂きました南先生、機構からの回答についていかがでしょうか。
○南委員 ありがとうございます。まず、渡辺先生の疑問は私も常々感じております。やはり、私もがんの領域で臨床開発に携わっていると、新薬は既存薬と比べてほしいという思いはありますが、オプションが増えることが現場にとっては利便性が高まるだろうという回答は予想できましたので、あえて触れませんでした。
 新しいコンセプトの薬剤ですので、こういう薬が登場するということは、現場にとってメリットになるだろうというのは理解できます。それから、1031試験の結果に基づけば、膝関節のOAに関しては有効性が明らかに示されていると思いますので、私は、承認はいいと思うのです。問題は、1033試験に基づいて足関節に効果があるかということにはやはり疑問を感じています。もともと1033試験というのは、有効性を証明するための試験ではなかったのだろうということが、文面からは推察されます。全体集団で-0.05、これを傾向と取るかどうかというところですが、この全体では-0.05というのは、全て股関節での効果で説明されているわけです。股関節ぐらいの差があれば、確かに効いているのかなと思いますが、足関節の-0.07というのは、もちろん有効性を証明するための試験ではないし、ましてやサブセットですので、これだけ取り上げてうんぬんかんぬんするのはいかがなものか、という議論は当然あると思います。
 ただ、全体として-0.05で有効性が示唆されているというのであれば、全体として承認をしておいて、その内訳を提示して、使用者側に働きかけるというのが科学的な論理ではないのかと感じます。肩関節、肘関節を除くのであれば、足関節も除くべきだろうと思います。実際にアセトアミノフェンだったと思いますが、鎮痛薬の使用に関しては、本剤群のほうがたくさん使われています。プラセボと比べて、多くの鎮痛薬を使われているということが載っていたと思いますので、やはり整合性が取れないのではないかという気がいたします。股関節と膝関節に関しては問題ないと思いますが、やはり足関節を含めることに疑問を感じますが、いかがでしょうか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 先生、御指摘ありがとうございました。確かにおっしゃるように、まずは1033試験については、我々としては、一応傾向があると言っていいかどうかという御指摘はそのとおりかと思うのですが、全体としてはマイナスの数値が一応出たというところで、この試験自体を全く無意味だ、評価できないというふうには言えないかと思っています。
 その上で、4つの関節で実施されたわけですけれども、先生もよく御確認いただけたのだと思いますが、表32とか表33辺りで個別のところも見た結果、申請者としても肩と肘に関しては有効性があったということを主張するのはちょっと難しいということで、申請段階で股関節と足関節に限定してきたということはありましたが、我々としては開発者側として有効性が期待できないと言っているところまで、なかなか広げていくことに躊躇もあり、申請効能での承認が可能ではないかというふうに判断した次第です。
 アセトアミノフェンの消費量なのですけれども、表32で投与12週近辺では、一応足関節についても本剤群では-38mg/日と、プラセボ群も-55mg/日なので、確かにプラセボのほうは少ないのですけれども、4週後に比べれば大分追いついてきているというような状況かと思います。
○清田部会長 南先生、よろしいですか。
○南委員 考え方、理論構築としてちょっとおかしくて、プライマリーエンドポイントで評価すべきで、もしこの-0.05で傾向があると言うのであれば、全体として承認してもいいのかなと思いますが、これ以上議論しても何か無駄なような気がしますので、取りあえず表にしておいて、足関節には効果はほとんど見られません、という売り方をするということを是非条件としていただきたいと思います。
○清田部会長 ありがとうございます。御質問のほうがちょっと立て込んでいますので、まず亀田先生、お願いします。
○亀田委員 亀田です。渡辺先生たちの質問に少し関連するのですけれども、この試験に関しては、ヒアルロン酸の注射をやっていた患者さんというのは、除かれているのか入っているのかということなのです。もし、そういう治療を受けている患者さんも入っている、受けていたことのある患者さんが入っているのであれば、そういう前治療歴のある患者さんと、ない患者さんに分けた場合に、有効性がどうだったかというのが1つの答えになると思います。
 2つ目の質問に関しては、やはりOAというのはプラセボが非常に効く代表的な疾患であって、実際にプラセボでも相当改善していて、関節によってはそれに比べて更に有意な改善があったということです。そう考えると、長期的な予後というのはものすごく大事で、それによって例えば手術が将来的にどのぐらい避けられるだろうかということになります。そうすると、エックス線の進行というのが大事になるわけです。この期間においては、エックス線において明らかな有用性は認められていないということなのですが、例えば、症状が軽くなるとそれで動いてしまって、かえってエックス線が進むとか、そういった難しい問題もあります。ですから、エックス線の評価に関しては、機構のほうとしてどう捉えたかということを2つ目の質問とします。以上です。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 後半の御質問のほうからお答えします。まず治験中においては、プラセボ群と本品群において、エックス線での評価において、OAの進行、改善について差は認められておりません。また、疼痛が改善したことによって動きすぎてしまい、OAが進行するのではないかとの危惧につきましても、特に進行は認めておりません。
○清田部会長 最初の御質問に対するデータはありますか。ヒアルロン酸の前治療が行われた群と。
○医薬品医療機器総合機構 ちょっと層別解析の結果があるかどうか今確認しておりますので、もしよろしければ先に進めていただいて、見付かった段階でお答えするというふうにさせていただきたいと思います。
○清田部会長 了解しました。亀田先生、ちょっとお待ちください。
○亀田委員 はい。
○清田部会長 浦野先生、御意見はございますか。
○浦野委員 渡辺先生の御指摘というのは、私も本当にそこは重要だと思っています。結局、ヒアルロン酸というコンポーネントとジクロフェナクのコンポーネントの両方とも抗炎症作用があることが分かっているものを、それを共有結合することによって、抗炎症作用が出ましたと。それによって、結局、膝関節だとか、いろいろな関節の炎症等が良くなるということが言われています。それは、それぞれのコンポーネントで比較をしない限り新しい薬として認めてはいけないのではないかというのが、私が感ずるところです。
 特に審査報告書の14ページに、ジクロフェナクの遊離に関しては非酵素的な加水分解によるものであると推測されると書かれています。そうすると、これはエステル結合なので、エステラーゼとかそういうものを書くのかと思ったら、非酵素的と言っているのだとすると、実際に生食だったり、若干酸性の領域にして入れると思うのですが、その状態で、実際にジクロフェナクが徐放的にどのぐらいの時間で出てくるのかというデータがないとまずいかと思うのです。データはそこまで追いきれなかったのですが、原薬の安定性の所を見ると、ここには安定であるということしか書いていないのです。この辺の整合性が取れないというところも、やはり問題点です。私は、どうしても臨床側ではなくて基礎側の人間なので、論文を出したら、まず間違いなくこれは通らないと思います。コントロール実験がないので、こういうものでも本当に薬として通していいのかというのは、私はこれに関してはかなり強く疑問に思うのです。機構側の御意見を聞かせてください。
○医薬品医療機器総合機構 すみません、ジクロフェナクの部分が出てくるというところに関してという御質問でよろしいでしょうか。
○浦野委員 はい、ジクロフェナクが出てくるところが、14ページには非酵素的な加水分解によって引き起こされると推測されると書かれています。このエビデンスというのはあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 申請資料のほうには含まれていなかったのですけれども、申請者に確認したところ、まずエステラーゼは複数試した結果、エステラーゼでは切れないことは確認されていると伺っています。あと、非酵素的な加水分解と説明されている点については、原薬や製剤の安定性試験では安定なのですけれども、温度をかけた場合などの苛酷試験ではジクロフェナクが遊離されることは確認されております。また、pHに依存してジクロフェナクが切れることは確認されておりますので、申請者より非酵素的な加水分解によるものだと説明されているところです。
○浦野委員 その情報が読み取れなかったので。過酷試験のところで壊れていくということは書いてあったのですが、ジクロフェナクがどれだけ出てくるのかということと、実際に今回、投与後1か月後くらい定量可能であったと。定量可能というのは、どれぐらい出ているのかということ。もし、これが本当に共有結合性で、かつ徐放性の製剤としてこれが機能するというのだとしたら、そのデータをもって言わないと。かつ、ジクロフェナクが効く、あるいは別途のヒアルロン酸も効く、どちらをメインの薬効と考えているのか。今回の審査報告書を見ると、どちらかというとジクロフェナクのほうのことを考えているように見えるのですけれども、実際に定量されている量というので、その治療効果が本当に出るのだろうか、ということも言わないと、やはり共有結合型の徐放性製剤としては余り認めてはいけないというか、全部仮想上の話なのです。確かに効くことは効くというのは、私はそこはいいと思うのです。でも、そこで認めるのだとすると、渡辺先生の御指摘のとおり、ヒアルロン酸だけで効いていたらどうするのですか、というところになってると思うのです。やはり、そこはデータが出てこない限り、これは認めたらいけないのではないかと私は思います。
○清田部会長 機構はいかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。ジクロフェナクに関しては、先ほど言った定量というか徐放的に出てくるというところまでは見えているのですけれども、あくまで関節腔内での作用が考えられるというところです。ここは、私どもの審査報告書の書き方が悪かったのかもしれないのですけれども、ジクロフェナクの徐放による効果というところよりは、ヒアルロン酸による滑膜の保護と、あとは局所の部分ではジクロフェナクによる炎症の鎮静化がある程度考えられるのではないかというところで考えております。決してジクロフェナクの徐放化型の薬剤というような捉え方ではないということだけ御説明させていただきます。
○浦野委員 そうなのですね。審査報告書だと、どちらかというと持続的にジクロフェナクが遊離して、長期にわたってジクロフェナクが膝周辺に残留することが原因であるというふうに書いてあるのですけれども、この辺の表記は直したほうがいいのではないかという気がします。いずれにしろ、将来、このデータでは論文が通らないのは確実なので、こういうデータで本当に薬として通していいのかというところを議論したほうがいいのではないかと思います。私からは以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。機構からはよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 ちょっと、記載ぶりがジクロフェナクに寄った、包括されたような捉え方をされるような記載であったという御指摘につきましては、書き方が悪かったのかもしれませんので、今後の審査において、気をつけさせていただきたいと思います。
○清田部会長 これは、機構のほうに持ち帰っていただいて、後日、浦野先生をはじめ私どものほうに御報告いただくということでよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○清田部会長 それでは、次は宮川先生、お願いいたします。
○宮川委員 今まで南先生、渡辺先生、浦野先生の的確なお話で尽きます。これは、医薬品第二部会の姿勢を問われている薬が出てきたと思います。単にまとめるのではなくて、しっかり議論したほうが良いのではないかというのが、私の率直な意見です。足関節承認は無理なのではないでしょうか。審査報告書を素直に読めば結論を導くことが出来るのですから、これ以上論議してもしようがないのかと思います。患者主観と推測の報告書の中身で、本薬を審査するというのは、限界があります。浦野先生の御意見に賛同しますし、先ほどの渡辺先生、南先生、亀田先生がおっしゃることは全て正しいことだろうと私も思います。
○清田部会長 それでは、登美先生から先に御意見を伺っておきます。
○登美委員 登美です。もう先生方が何度もおっしゃったことと同じ話になります。足関節について承認していいのかというところが、私自身よく分からないのです。添付文書等を見ても、血中濃度が、大体1週間たつとほとんど血中にはないということで、動物実験ではもっと長期的に関節の中にあるということは、検出はされているということなのですが、検出されているということと、実際にそれが薬理効果を発揮するかということは、全く別の次元だと思います。その検出された濃度がどれぐらいで、それがきちんと鎮痛効果を持つ濃度であるのかというところは、問われるべきだと思います。
 逆に、そこが出ていないからこそ、アセトアミノフェンの服用量というのが、消費量というのは変わらないのではないか。変わらないというよりは、逆にプラセボよりはここでは減っていないという結果につながっているのではないかということで、特に鎮痛効果で、足関節で痛みのスコアの改善がほとんど見られていないような気がするのです。そういうところがあるにもかかわらず、ジクロフェナクの効果を売りにするというのは、おかしいのではないかと思います。
 同じことなのですけれども、審査報告書においてもジクロフェナクが前面に出てきているということは、まあ修正という話もありましたけれども、添付文書の薬効薬理の作用機序においても、ジクロフェナクの消炎鎮痛作用が期待できるというふうなところがまず書かれています。やはり、この書き方は明らかにジクロフェナクの効能を第一に訴えた添付文書の書き方だと思いますので、先ほどのお話とはちょっと違うのではないかということで、何をメインの薬効として考えていくかを問われるのかと思います。
 質問なのですけれども、足関節のところで販売後に更に評価をしていくと。その中で、ヒアルロン酸と単独の製剤との比較をしていくということなのですけれども、現状として承認されているヒアルロン酸製剤というのは、足関節には使われていないという認識でいるのですけれども、そのような場合には、どういうことで足関節に対する、今回申請されている薬剤の有益性を評価していくのか教えてください。
○清田部会長 いろいろな御意見を頂きました。機構から答えられるところは答えてください。
○医薬品医療機器総合機構 機構です。登美先生から御指摘を頂きました添付文書における薬物血中濃度の推移は、恐らく16.1項のデータを御覧になっているのではないかと考えております。こちらは膝関節腔内投与した製剤からジクロフェナクが遊離し、全身循環へ移行し、分布したジクロフェナクの血中濃度推移を示しております。関節局所ではより高いジクロフェナク濃度になっているものと考えております。
 具体的にヒト滑膜組織内でのジクロフェナクの有効濃度はどのような値なのかというところについては、正直申し上げまして報告はありませんでしたので、明確な情報はありません。ジクロフェナクテープ外用剤のヒトのデータ等を基に、本剤の、ウサギのモデルでの関節局所濃度から、一定程度のジクロフェナクの効果が示せるような関節局所濃度が維持されるのではないかという報告は頂いているところです。
○登美委員 今のところですけれども、テープの場合は持続的に一定の速度で放出されるために長時間されるというのは分かるのですが、今回の場合、血中濃度は時間とともに下がっているので、テープ剤との比較というのは単純にはできないと思います。
○清田部会長 部会長としては、いろいろな御意見を頂きましたので、それを整理して、本日は承認しない。次回までにもう一回整理をして、皆様に回答する。それで、改めてディスカッションさせていただきたいと思います。医薬品審査管理課長から何かありますか。
○医薬品審査管理課長 審査管理課の吉田です。ものとしてはヒアルロン酸とジクロフェナクが共有結合して一応別の物質になりますので、新しいものとしての評価としてプラセボと比べて、一応その差を出しています。薬事の整理の仕方としては、有効性は示されているという形になるのだろうと思っています。
 ただ、ものが既存のもの2つの、いわゆる配合剤的な考え方にどうしても引っ張られるところがあります。これまでの議論を聞いておりますと、何が効いているのかとか、どういう形で効くのかとか、そういうところは少し曖昧なところもありますので、その辺りを少し整理させていただいて、それで改めて最終的にどうするかというのを御議論いただくと。新しくデータをまた取ってという話に行く前に、一回その辺りの考え方を整理して、再度御議論いただくという形でどうかなと思いますが、いかがでしょうか。
○清田部会長 皆様よろしいでしょうか。次回までお時間を頂くということで、本日ここでは承認しないということで御理解を頂きたいと思います。よろしいでしょうか。
○登美委員 はい、そのようにしていただければ大変有り難いと思います。
○清田部会長 機構のほうはいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 先生、申し訳ございません。本日は結論を頂けないということについては、我々の力不足もあったかと反省しております。ただ、審査管理課から御説明があったように、本品目については1つの有効成分ということで、プラセボ対照の試験で比較評価がなされ、有効性は示されていたと判断しております。ヒアルロン酸の部分とジクロフェナクの部分がどれだけ有効性に寄与しているかというところについて、分けて評価をするというのはなかなか難しいかと思います。本日頂いた御意見などをもう一度内部で整理をさせていただいて、また審査管理課の方とも相談させていただいて、先生方に御理解いただけるような評価として御説明できるか、一度考えさせていただきたいと思います。
○清田部会長 よろしくお願いします。議題2に移ります。議題2について機構から御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2、オルミエント錠4mg及び同錠2mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明します。
 審査報告書をお手元に御用意ください。以後の審査報告書のページ数は、各ページの下段に46分の幾つで記載している数字を使用します。本来の有効成分であるバリシチニブは、ヤヌスキナーゼ阻害剤であり、既存治療で効果不十分な関節リウマチに係る効能・効果で承認されております。今般実施された臨床試験成績等を踏まえ、アトピー性皮膚炎に関する効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。本申請の専門委員として、資料20に記載されている5名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に御説明いたします。なお、審査報告書38ページ、10.その他に有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜御参照ください。有効性について、ステロイド外用剤で効果不十分な中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者を対象とした国際共同第III相試験であるBREEZE-AD7試験成績より御説明いたします。審査報告書15ページ、表12を御覧ください。本試験では、投与16週時における皮疹に関する医師の全般的評価が「病変なし」又は「病変はほとんどなし」とされた患者の割合であるIGA(0/1)達成率及び全身の皮膚症状をスコア化したEASIスコアがベースラインから75%以上減少した患者の割合であるEASI-75達成率が、co-primary endpointとされ、プラセボ群との差の行に示すとおり、いずれの評価項目についても4mg群とプラセボ群との対比較おいて、統計学的に有意な差が認められ、プラセボ群に対する本剤4mg群の優越性が検証されております。日本人部分集団の成績は、同じ表12の下半分に示すとおり、本剤4mg群の成績は、全体集団と異なる傾向が認められたものの、本剤2mg群では、全体集団と同様の成績が得られております。
 次に、審査報告書17ページ、表15を御覧ください。こちらはステロイド外用剤で効果不十分、かつシクロスポリンで効果不十分、又はシクロスポリンによる治療が不適格な中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者を対象とした国際共同第III相試験であるBREEZE-AD4試験であり、主要評価項目である投与16週時におけるEASI-75達成率について、プラセボ群との差の行に示すとおり、4mg群とプラセボ群との対比較において統計学的に有意な差が認められ、プラセボ群に対する本剤4mg群の優越性が検証されております。日本人部分集団の成績は、同じ表15の下半分に示すとおり、全体集団と同様の成績が得られております。
 先ほどのBREEZE-AD7試験の日本人部分集団における本剤4mg群の成績が全体集団とは異なる傾向を示しましたが、同試験の複数の評価項目・評価時点で4mg群がプラセボ群を上回っており、また、BREEZE-AD4試験においては、4mg群も含めて、全体集団と同様の成績が得られていること等から、日本人アトピー性皮膚炎患者においても、本剤4mgの有効性は期待できるものと考えております。
 本剤2mg群については、これまで御説明した臨床試験において、プラセボに対する優越性は示されておりませんが、主な有効性評価項目で、本剤2mg群の成績にプラセボ群を上回る傾向が認められること、ステロイド外用剤非併用の本剤単独投与試験では、プラセボ群に対する本剤2mgの優越性は検証されていること、また、審査報告書27ページ、表23に示すとおり、本剤4mg又は2mgの投与により、一定の有効性が得られた患者では、その後、本剤2mgに減量又は2mgを継続しても、おおむね有効性が維持されていることから、本剤2mgについても一定の有効性は期待できると考えております。
 以上より、機構は、アトピー性皮膚炎に対する本剤の有効性は期待でき、用法・用量については、本剤の通常用量を4mgの1日1回投与とし、患者の状態に応じて2mgに減量することが適切と判断いたしました。
 安全性について、審査報告書29ページ、表25に本剤の臨床試験における安全性の概略を、審査報告書30及び31ページの表26及び表27に本剤の臨床試験において認められた有害事象の発現状況を、既承認効能・効果である関節リウマチとともに示しております。こちらの表では、アトピー性皮膚炎をAD、関節リウマチをRAと表記しております。患者背景、ばく露期間、併用薬等が試験間で異なるため、直接の比較に限界はありますが、現時点では、関節リウマチ患者における安全性プロファイルと比較して、次に述べる皮膚感染症を除き、アトピー性皮膚炎患者に特有の新たな安全性上の懸念は示唆されていないと判断いたしました。
 皮膚感染症については、審査報告書32ページ以降の7.R.3.2、皮膚感染症に記載しております。要約いたしますと、本剤のアトピー性皮膚炎患者を対象とした臨床試験では、関節リウマチ患者と比較して単純ヘルペスウイルス感染症の発現が多く認められていること、アトピー性皮膚炎患者は皮膚バリア機能の低下により、皮膚感染症を合併しやすいとされていること、本剤は免疫抑制作用を有することを踏まえますと、アトピー性皮膚炎患者への本剤投与時には十分な観察を行い、皮膚感染症の発現に注意するよう、新たに注意喚起を行うことが必要と判断いたしました。
 効能・効果について、臨床試験では、ステロイド外用剤等の既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎患者において、有効性及び安全性が確認されていることから、本剤の効能・効果は既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎と設定することが適切と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は、新効能医薬品としての申請であるものの、既に付与されている再審査期間の残余期間が4年以上であることから、本申請に係る効能・効果の再審査期間は、既に付与されている再審査期間の期限である令和7年7月2日までとすることが適切と判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。
 また、渡辺委員より、「内服剤である本剤と、外用薬であるコレクチムは、いずれもヤヌスキナーゼ阻害剤ですが、これらの同時併用について、添付文書で注意喚起しないのでしょうか。それとも、併用は問題ないとの判断でしょうか」との御質問を頂いております。
 御質問に対する回答を申し上げます。本剤と外用JAK阻害薬との併用に関して、外用JAK阻害薬による全身ばく露は、極めて限定的とされていることから、併用により全身性の副作用が増強される可能性は低いと考えております。一方、本剤及び外用JAK阻害薬は、ともに皮膚感染症のリスクを有することから、臨床試験における両剤の併用経験はない旨を、資材等を活用して臨床現場へ情報提供するとともに、製造販売後の調査等において収集された情報を精査し、追加の安全対策の必要性を検討するよう申請者に指示し、申請者も適切に対応する旨を回答しております。以上が、御質問に対する回答です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、御質問を頂いた渡辺先生から、ただいまの答えについていかがですか。
○渡辺委員 皮膚感染症が少し懸念されたので質問したのです。今、頂いたお答えで大変満足しております。ありがとうございました。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見はありますか。
○登美委員 関連して1つよろしいですか。今、経口のほうは併用しないことということで、添付文書を見ますと、それが用法のところに書かれているのですが、こういうのは、例えば禁忌、あるいは10番の相互作用とか、そういったところに載せるのとはまた別の扱いになるのでしょうか。その辺の切り分けがあれば教えていただきたいと思ったのですが。添付文書の書きぶりです。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきありがとうございます。免疫抑制剤との併用についての添付文書の記載と理解しておりますが、確かに当該内容は新記載要領の添付文書におきましては、ご指摘いただいた箇所に記載する内容と考えております。一方、関節リウマチに係る初回承認時に用法・用量に関連する注意として同様の注意喚起を記載している関係上、今回の効能追加におきましても、7.5項にアトピー性皮膚炎に対する注意喚起として記載しております。今後の新たな品目などについては、どの部分で注意喚起していくかは適切に対応させていただければと思っております。
○登美委員 分かりました。ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御意見、御質問はありますか。
○濱委員 用法について確認をさせていただきたいのですが、4mgスタートで2mgに減量した後、もう一度4mgに戻すことは許容しているのですか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきありがとうございます。添付文書では、6項の用法・用量に、通常成人にはということで、4mgを1日1回、患者の状態に応じて2mgに減量することとありますが、2mgに減量した後に効果不十分となった場合には、再び4mgも投与可能な用法・用量となっております。
○濱委員 現実的にはそうなると思いますが、この添付文書の記載だと、2mg減量後4mgまで増量が可ということが読み取りにくいかと思いました。
○医薬品医療機器総合機構 承知いたしました。この品目は資材も作る予定ですので、先ほど審査報告書にて御紹介させていただいた減量又は再増量の臨床試験成績も、臨床現場に適宜情報提供して、そういう理解が深まるよう努めてまいりたいと思います。
○濱委員 よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ほかにありますか。
○宮川委員 これはお願いですが、JAK阻害剤は最適使用推進ガイドラインでは初めてになります。効能が同じでも、デュピクセントは抗体医薬ですので、一括りにはできません。オルミエントが関節リウマチで承認された際には、同じくJAK阻害剤で比較薬として承認されて、薬価収載されています。関節リウマチの患者さんも多いので、最適使用推進ガイドラインの作成を、できれば検討していただければ幸いです。お願いとして発言させていただきました。
○事務局 すみません、途中で少し音声が途切れてしまったのですが、御趣旨としては、今回のアトピー性皮膚炎でガイドラインを作ることに賛成いただくのと、可能であればリウマチのほうも作れないかという御意見ということでよろしいですか。
○宮川委員 はい。
○事務局 承知いたしました。今回の審議事項とは別になってしまうのですが、リウマチのほうは既にたくさんの薬剤が出ていて、現場で既に使用していただいているところですので、その辺り、既存の医療現場の状況や使用の状況の把握をして検討いたします。ありがとうございました。
○清田部会長 ほかに御質問はありますか。よろしいですか。それでは、議決に入りたいと思います。亀田委員、島田委員、中野委員、南委員は、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。私についても同様の取扱いです。本議題について、承認を可としてよろしいですか。ありがとうございます。それでは、御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。事務局から引き続き御説明をお願いします。
○事務局 先ほど宮川委員からも御指摘がありましたが、本剤は最適使用推進ガイドラインを作成しておりますので、御説明いたします。資料18-2になります。今回、オルミエントの最適使用推進ガイドラインとなりますが、アトピー性皮膚炎については、先ほどありましたとおり、抗体医薬品のデュピクセントのほうで既にガイドラインを作成しておりまして、今回、オルミエントについても、デュピクセントと変わらないような臨床的位置付けになりますので、同様の最適使用推進ガイドラインを作成しております。
 全体の構成としては、既存のガイドラインと同様で、2ページの「はじめに」で対象となる薬剤、本剤を記載しております。3ページに本剤の作用機序、4ページから臨床成績の概要を記載しておりますが、先ほど機構から説明がありましたので、内容は割愛いたします。
 10ページ、本剤を適切に使用いただくために必要な施設の要件を記載しております。具体的にこちらに記載の3要件を満たす施設において使用していただくこととしております。また、投与の対象となる患者について、12ページに記載をしております。患者選択の要件については、アトピー性皮膚炎の確定診断がなされていること、既存治療に効果不十分であること等が確認されることとしております。また、その下、本剤の投与継続の取扱いについて記載をしております。投与開始後8週間までに治療反応が得られない場合には、本剤の投与を中止すること、投与中は定期的に効果を確認することなどを記載しております。13ページ、こちらは投与に際して留意すべき事項として、先ほどからも議論がありましたが、JAK阻害剤等様々な留意すべき事項がありますので、それぞれ重要な基本的注意などに記載がされている事項について、入念的にガイドラインについても記載しております。
 こちらのガイドラインについては、本日頂いた御意見も踏まえつつ、引き続き検討を行い御確認いただいて、本剤の効能追加の承認日に通知として発出する予定としております。また別途、中医協にも御報告をするとともに、発出の際には、本ガイドラインの保険請求上の取扱いについて、保険局医療課より留意事項通知が発出される予定です。以上、簡単ですが、ガイドラインの現行の案について御説明をさせていただきました。
○清田部会長 菊池先生から早速御意見を頂いておりまして、ガイドラインについては、添付文書内にURLを書いてもらうと有り難いということです。
○事務局 承知いたしました。
○清田部会長 菊池先生、承知されたようです。よろしくお願いいたします。ほかに御質問がありましたら承ります。濱先生、どうぞ。
○濱委員 先ほどの件です。結構です。
○清田部会長 ありがとうございます。御質問がないようでしたら、御確認いただいたものといたします。続きまして、議題3に移ります。議題3について、機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料3、医薬品ヌーイック静注用250他の製造販売承認の可否等について、説明いたします。タブレットの場合は、資料3のフォルダの星印が付いている審査報告書のファイルを開いてください。
 審査報告書の6ページを御覧ください。6ページの1項の起原の項に記載しております。本剤は、血友病への治療薬として開発され、シモクトコグアルファ(遺伝子組換え)を有効成分とする遺伝子組換え血液凝固第VIII因子製剤です。海外では、米国及び欧州を含む50以上の国又は地域で承認されています。本剤の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料20に記載した7名の委員です。
 審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明いたします。審査報告書18ページ、表15になります。有効性については、出血時に本剤を投与した際の止血効果と、定期的に本剤を投与した際の出血回数の低減効果の2種類を検討しております。表15に出血時の止血効果について、判断基準を示しております。表15の基準によって、止血効果を著効又は有効と判定された出血エピソードの割合を、有効性として評価しております。GENA-01試験では、94.4%が出血エピソードで有効又は著効と判定されております。続いて、審査報告書25ページを御覧ください。7.R.2.1、出血時投与の有効性についてです。他の臨床試験でも、74.9~100%の割合で、止血効果が著効又は有効と判定されており、出血時の止血効果は期待できるものと判断しております。次に、24ページの表23を御覧ください。本剤を定期的に投与した際の有効性を記載しております。定期的に投与した場合の有効性は、年間の出血回数であるABRで評価されております。GENA-21b試験のABRは4.87、両側97.5%信頼区間の上限は5.93で、事前に設定した基準29を下回りました。審査報告書の27ページを御覧ください。表25に記載しましたとおり、本薬を定期的に投薬した際のABRについては、他の複数の臨床試験でも低い値であったことから、定期的投与における出血回数の低減効果が期待できるものと判断いたしました。
 続いて、安全性について説明いたします。27~29ページにかけて記載をしております。提出された臨床試験成績において、既存の血液凝固第VIII因子製剤に比べて問題になるような有害事象等は認められておらず、本剤の安全性は忍容可能と判断いたしました。29ページを御覧ください。上のほうに記載しておりますとおり、インヒビターの発生及びショック・アナフィラキシーについては、既存の血液凝固第VIII因子製剤と同様に添付文書等において注意喚起を行う予定です。
 最後に審査報告書35ページを御覧ください。3番の総合評価になります。以上の審査の結果、機構は、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。
 続いて、部会の先生3名から事前に頂いた御質問について、説明いたします。渡辺先生から「CTDモジュール1.7、同種同効品一覧にあるように、既に遺伝子組換えヒト血液凝固第VIII因子は、多数の品目が開発されています。これらに加えて本剤が市販される意義は、一体何でしょうか。患者さんにいかなる福音があるのでしょうか。比較して優れた点がアピールできなければ、承認の意義は乏しいのではないでしょうか」といった趣旨の御質問を頂いております。
 御質問に回答いたします。御指摘のとおり、血友病Aの治療薬は既に複数存在しております。また、本剤については、例えば半減期が長いなど、既存の類薬に比べて明確に差別化できるポイントはなく、機構としては既存のものと臨床的には同じ位置付けになるものと判断しております。申請者のもともとの開発の意図としては、本剤がヒトの細胞で製造されるということから、従来のCHO細胞など、他の細胞株由来のものと比べて、インヒビターの発現リスクを低減することを、当初は期待していたという面もあるようです。
 一方で、実施された臨床試験結果を見ますと、インヒビターが類薬と同程度には発現しており、開発の当初に意図した結果ではなかったということで、先に申したとおり、類薬と同じ位置付けとなろうかと存じております。なお、既存の類薬と同程度の臨床評価は行われておりますので、有効性を示す試験成績に不足はありませんし、安全性上、特段の懸念もないことから、同じ位置付けとはいえ、治療選択肢が1つ増えること自体に臨床的意義がないとまでは言えませんので、本剤の承認を否定するものではないと考えております。
 続けて、半田先生から御質問を3点頂きました。
 1点目は、本製剤は第VIII因子のBドメイン除去型のリコンビナント製剤ですが、この処理は低分子化による薬剤製造上のメリット以外に、薬理学的又は生物学的、免疫学的メリットはあるのでしょうか。2点目は、未治療患者を対象とした海外第III相試験、GENA-05試験で、インヒビター発現率が既存のリコンビナント製剤と比較して低いようですが、1番目の質問と関連していることはあるのでしょうか。3点目は、GENA-05試験の患者さんの中で、凝固第IX因子製剤の抑制例が報告されていますが、この詳細を御教示いただければ、という御質問を頂いています。
 御質問の1点目と2点目について、まとめて説明いたします。まず、血液凝固第VIII因子のBドメインを除去するという分子の特徴自体からは、薬理学的又は免疫学的なメリットというのは、特に期待されているものではありません。審査報告書28、29ページを御覧ください。28ページで、申請者としては、既存の遺伝子組換え第VIII因子製剤に比べて、インヒビターの発生割合は本剤のほうが低いと説明をしています。一方、機構としては、インヒビターについて、GENA-05試験の数値と他の剤の文献情報の厳密な比較はできませんので、本剤のインヒビター発生割合は既存の類薬よりも低いとまで結論付けるのは難しいと考えているところです。
 3点目の御質問、GENA-05試験の第IX因子抑制の症例について、説明いたします。「第IX因子の抑制」が有害事象として報告された症例で、GENA-05試験の開始から約40日後に、第VIII因子に対するインヒビターが発現しており、それから約6か月後にはそのインヒビターを減らす免疫寛容療法を受けております。第IX因子がなぜ抑制されたかに関しては、経過を確認しましたが、明確な原因になるようなものは、確認できておりません。もしかしたら、第IX因子などの凝固因子を含むバイパス製剤が使われたことも、第IX因子の抑制と関連がある可能性はなくはないとも思っていますが、はっきりとした原因が症例報告からは見出されておりません。第IX因子の抑制は、本剤投与との因果関係はない有害事象として報告されています。
 川崎先生からも御質問を頂いているのですが、御審議の際に川崎先生から質問内容を御紹介いただいて、その後にこちらから回答について説明したいと思います。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 まず渡辺先生から、ただいまの御説明に対して、いかがでしょうか。
○渡辺委員 明解な御説明で、菅総理大臣の話を聞いて耳にすると、そういうものなのかなと思いました。ありがとうございます。
○清田部会長 半田先生、いかがでしょうか。つながっていますか。
○半田委員 こういう製剤に関して、特に一部の領域を切った製剤というのは、何かコンフォーメーションとかが変わってきて、やはり免疫学的に異常が起こるのではないかと思ったのです。もともと、どうしてこのような製剤を作ったのか、出発点はどうだったかなというのは興味があったので、質問しました。内容に関しては、それで納得いたしました。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。川崎先生、つながっていますか。
○川崎委員 はい。川崎です。審査報告書では目的物質由来不純物は○○○と○○○とされ、承認申請書では純度試験として、○k、○k、○○kの組成を測定することとなっています。これは○○と○○のヘテロダイマーのことだと思いますが、まず、この試験はヘテロダイマーの管理が目的かどうか確認させていただけませんでしょうか。
○清田部会長 いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より説明いたします。まず○○、○○は、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○と○○○○○○○になります。御質問のヘテロダイマーとは、○○と○○が会合したものです。また、審査報告書8ページ、2.1.6項、本剤の純度試験としては、○○○○○○○○○と、○○○○○の2種類を実施しております。
 川崎先生の1点目の御質問は、○○○○○○○○○の試験で3つの分子量のペプチド鎖が測定されるのですが、ヘテロダイマーの管理をどうされているかという質問と理解しております。○○○○○○○○○では、○kDaの○○と○kDaの○○、それから○○kDaのペプチド鎖が測定されるのですが、こちらはヘテロダイマーではなくて、○○○○という、○kDaと○kDaが○○○○○○○○○○○○を測定しております。したがって、純度試験のうち○○○○○○○の管理対象は、○○○○の○○kDaを対象とし、ヘテロダイマーではないということになります。1点目は以上です。
○川崎委員 分かりました。この○○kタンパク質は、目的物質でしょうか、それとも関連物質、または目的物質由来不純物になるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ○○○○になります。というのも、○○kDaの○○○○は、○○○○○○○○○○○○○○○○○○、○○○○○○○○kDaと○kDaのヘテロダイマーになることから、こちらは○○○○に分類されています。
○川崎委員 分かりました。本質記載ではよくわからなったのでお尋ねしたのですけれども、○○○○○○○○○○○ということですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○川崎委員 もう1つお尋ねしたいことは、○○○○○試験のところで、○○○○%以上となっているのですけれども、○○○とはこちらはヘテロダイマーのことでよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ○○○○○では、○○○を測定している試験ですので、御質問の○○○とは、○○○○○○○と、○○○○○○○○○○○○○の○○kDaの○○○○の両方になります。
○川崎委員 分かりました。どうもありがとうございました。別にコメントさせていただいた記載整備についても、ご対応よろしくお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 はい。御指摘を踏まえて対応を検討いたします。ありがとうございました。
○清田部会長 南先生、御質問をお願いします。
○南委員 渡辺先生、半田先生の質問とも重なるのですが、数多くの製剤がある中で、この薬剤は何らかの比較試験がないまま承認されようとしているのです。どういうセッティングで使用されることを想定しているのか疑問に思います。既存薬とは余り違わないという御説明は理解したのですが、どういうセッティングで実際に使用されているのでしょうか。インヒビターは各製剤共通と考えていいのでしょうか。他の製剤が効かなくなってもこの製剤が効くとか、あるいはその逆ということはあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 まず、血友病の治療に用いる第VIII因子製剤は、大きく分けて、本剤のような従来型のものと、半減期を延長したタイプの2種類があります。製剤を選択するにあたり、従来型を使う患者さんもいらっしゃいますし、半減期延長型のほうが活動度に合っている患者さんもいらっしゃいます。その辺りは、患者さんの状態に応じて、製剤が選択されていくものと思われます。
 それからインヒビターに関しては、第VIII因子がない患者さんに第VIII因子を入れるということで、今のところ、血漿由来、細胞由来の別や、製造に用いる細胞基材がヒト細胞でも動物細胞でも、インヒビターのリスクは同様に存在します。インヒビターの発現リスクが多いとか少ないかというほど、製剤ごとに厳密な判断ができるようなエビデンスまでは、得られていないというのが現状です。
 また、第VIII因子製剤に対するインヒビターが出た場合、他の第VIII因子製剤が使えるかという点については、基本的に全て使用不可になるという認識です。
○南委員 そうすると、投与間隔の違い、使い勝手だけが違うという理解でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そのとおりです。ありがとうございます。
○南委員 クリアな説明をありがとうございます。
○清田部会長 菊池先生から。
○事務局 事務局から読み上げます。菊池先生からは、「この資料だけ大部なのは新作用機序だからでしたか。血友病も取り扱う当科としては、選択肢が増えることは歓迎いたします。今のところ、インヒビターはなしですね」というコメントを頂いております。
○医薬品医療機器総合機構 コメントありがとうございます。インヒビターに関しては、他剤に比し多いか少ないかは決着がつかない状態ですが、発現はしていますので、それに関しては注意喚起等をしていく予定です。
○清田部会長 ありがとうございました。他に御質問はないようですので、議決に入ります。亀田委員、川上委員、島田委員、中野委員、濱委員、南委員、宮川委員、渡辺委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。続いて、議題4に移ります。機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料4、医薬品リンスパッド点滴静注用1000mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明します。資料4のフォルダの星マークが付いている審査報告書のファイルを開いてください
 まず、審査報告書の2ページを御覧ください。リンスパッドは、重症α-アンチトリプシン欠乏症を効能・効果として開発されたα-プロテイナーゼインヒビター製剤です。α-アンチトリプシン欠乏症は、αプロテイナーゼインヒビター(以下、alpha-PIと略します)の欠乏を起こす遺伝性の疾患です。プロテイナーゼインヒビターであるalpha-PIの結合によって、好中球に由来するプロテアーゼによる組織損傷が起こり、主な症状として肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(以下、COPDと略します)などが現れます。ヒト血漿から精製されたalpha-PIを有効成分とする本剤の投与によって、alpha-PIを補充することで、プロテアーゼによる肺組織の破壊進行が抑制されるとされています。本剤は、α-アンチトリプシン欠乏症患者へのalpha-PIの補充に用いる目的で開発され、海外では米国を含む10か国で承認されています。本剤の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料20に記載した7名の委員です。
 審査の概要について、臨床試験成績を中心に御説明します。審査報告書17ページを御覧ください。7.R.1項の審査方針について御説明します。有効性としては、alpha-PI濃度とCTを用いた肺密度が検討されました。まず、alpha-PI濃度については、COPDの発症リスクが高くなる閾値というものが知られています。alpha-PI濃度をこの閾値よりも高く維持できるかが、臨床試験で検討されました。審査報告書18ページを御覧ください。表22に試験結果を示しています。表22に示した国内臨床試験が一番上のGTI1401試験です。国内臨床試験を含む複数の試験において、alpha-PI濃度の平均トラフ値が、目標値である50mg/dLを維持することが示されました。審査報告書13ページの表17を御覧ください。こちらは、CTを用いた肺密度を指標とした肺気腫の進行速度に対する効果を評価した結果になっています。表17のalpha-PI製剤であるProlastin群では、プラセボ群に比べまして、肺密度の低下が減少する傾向が示されました。以上より、alpha-PIには重症α-アンチトリプシン欠乏症における一定程度の有効性が期待できると考えました。
 次に、審査報告書21~22ページを御覧ください。安全性については、提出された臨床試験成績及び海外製造販売後の安全性情報において、特段の問題となる有害事象等は認められていないことから、本剤の安全性は忍容可能と判断しました。続きまして、22ページを御覧ください。臨床試験及び海外製造販売後に認められた過敏症及びショック・アナフィラキシーについては、添付文書等で注意喚起される予定となっています。最後に、27ページを御覧ください。表29及び3.総合評価になります。日本人における検討症例が、極めて限られていたことから、製造販売後には本剤を使用した全例を対象とする使用成績調査の実施が必要であると判断しまして、承認条件としています。
 以上の審査の結果、機構は、本剤を承認して差し支えないと判断しました。本剤は、希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年、特定生物由来製品に該当し、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しました。薬事分科会には報告を予定しています。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問がありましたら承りたいと思います。大隈先生。
○大隈委員 2つ質問をさせていただきたいのですが、添付文書で効能又は効果の所に、COPDが発症したというのは削除されていると思いますが、今、重症α-アンチトリプシン欠乏症だけになっています。その書きぶりと、下の所の5番の効能又はうんぬんの所ですが、COPDや気道閉塞を伴う肺気腫等の肺疾患を呈し、かつ重症など書いてありますので、その辺の書きぶりの整合性はどうかなということが疑問です。
 また、後ろのほうの18番の薬効薬理の所で、18.2に効果が書いてありますが、下から2行目に肺気腫の発生を予防的に抑制するような効果も示されています。この薬剤が、発症する前の予防的な投与もできるかどうかを教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただいたのは、添付文書1ページ目の4項、5項の辺りです。これら効能・効果の検討の経緯に関しては、審査報告書26ページ1.1項、効能・効果についてを御覧ください。もともと申請時には、「COPDを発症した重症α-アンチトリプシン欠乏症」という効能・効果で申請されていました。この辺り、どの程度厳密に効能・効果に規定したほうがよろしいのか専門協議にて御意見を頂いています。1.1項に記載したとおり、本剤投与によって肺気腫の発症、呼吸機能低下は抑制できる可能性はある一方で、肺組織の破壊や、呼吸機能の低下が始まってしまうと、症状の進行を完全に阻止することは困難である可能性があるということ。また、労作時息切れ等の症状を呈している患者さんは、本薬の投与対象となる可能性があるということ。COPDの診断基準に完全に合致していなくても、本薬の投与が必要になることは想定される、といった御意見を頂きまして、効能・効果は「重症α-アンチトリプシン欠乏症」とし、添付文書5項の効能・効果に関連する注意において、COPDや肺気腫等という形で諸注意として詳細を記載させていただいたという経緯でございます。
 予防的な投与が可能かということに関しては、全く症状がない患者さんは、むしろα-アンチトリプシン欠乏症の診療にそもそもいらっしゃらないというのが現状で、基本的には何らかの症状が出てから、先生の所に御相談に行って、そこからいろいろな疾患との鑑別を受けて、α-アンチトリプシン欠乏症と診断が付いてから、本剤が投与されるという実態になります。症状を発症する前からの予防的な投与は不可能ではありませんが、余りそのような予防投与のニーズはないと考えられています。
○大隈委員 ありがとうございます。そういう予防投与というよりは、先ほどの専門委員のコメントにもありましたように、1回発症してしまうと、なかなか進行を止めるのが難しい面もあるのではないかというコメントだったかと思います。そういう肺気腫等が発生する前に、重症α-アンチトリプシン欠乏症を診断された場合の、発症を予防するような投与方法というのはあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 基本的にこのα-アンチトリプシン欠乏症の診断が、まず大変難しいので、労作時の呼吸症状などだけでは診断できず、診断がつくまでに、ほかの要因がないのか、喫煙していないかなど、いろいろな鑑別すべき疾患や、状態を観察していくことにはなるかと思います。ですので、初めから投与するというよりは、何かお困りなことがあって受診をして、診断結果ないし呼吸器症状の長期的な経過を見ながら、本剤を使用するかを先生と御相談して投与されていくのかなと思います。なお、本剤は週1回の点滴静注ですので、それなりに負担もあります。症状が軽い方というよりは、ある程度の症状がある方が投与対象になることが想定されます。
○大隈委員 承知しました。
○清田部会長 それでは次に、南先生から御質問があります。どうぞ。南先生、いらっしゃいますか。
○南委員 すみません、ちょっと聞き取りにくかったものですから、申し訳ありません。確認したいことがあるのですが、α-アンチトリプシンの濃度を維持するということは、理論的には重要だということは理解できるのですが、また、本薬によって濃度が維持できているということも理解できるのですが、これが本当にサロゲートエンドポイントとしていいのかというところが、ちょっとよく理解できなかったのです。例えば、第II相試験の表17のCT値は、確かに差はあるようなのですが、本当に意味がある程度の差なのかというところ、このまま本承認として本当にいいのかというのが気になります。
 海外では、現在進行形のランダム化、無作為化のダブルブラインド試験の結果が承認条件の前提とされているとのことでしたが、海外で第III相試験がネガティブに終わった場合は、本邦での承認取消しができるかどうかということについて、確認させてください。
○医薬品医療機器総合機構 α-アンチトリプシン製剤の海外での承認というのは、基本的に血中濃度のみで行われたのが1980年代ぐらいの話になります。α-アンチトリプシンを補充すると、肺組織の破壊の進行が抑制されるという理論的な話に関しては、実証には非常に時間がかかることになります。肺組織の破壊の進行の程度について、臨床的に明確な相違が見られるのにどのくらいかかるかというと、臨床の専門委員の先生の感覚では5年ないし10年ぐらいはかかってしまうだろうとのことです。ですので、臨床試験において、CTの肺の密度に差が出るかというのは、現在進行形で見ているわけですが、そちらの臨床試験も相当時間がかかっており、10年近く海外で実施中のままというところになっております。
 フェーズIIの結果からは、恐らくは実施中のフェーズIIIでネガティブな結果が出ると予測はしていないのですが、もしネガティブな結果が出た場合は、いきなり承認の取消しというよりは、さらなる臨床試験の追加ないしは情報提供などの手段から、まず検討していくことになろうかと思います。
○南委員 承認の仕組みが、やはり海外と日本とでは違うので、サロゲートで承認した場合に真のエンドポイントを用いた比較試験でネガティブになっても、日本では承認は取り消されたという実例がほとんどないので、真のメリットがないまま使われ続けることを懸念します。これは制度の問題かもしれませんが、また御検討いただけたらと思います。
○医薬品医療機器総合機構 試験の結果が出てみないことには何とも言えませんので、結果が出た段階で、再度、検討していきたいと思います。
○南委員 よろしくお願いします。
○清田部会長 それでは、川崎先生、どうぞ。
○川崎委員 川崎です。承認申請書や添付文書の中で、一般名称としてヒトα-プロテイナーゼインヒビターが使われているのですが、一般名は生物学的製剤基準名の乾燥濃縮人α-プロテイナーゼインヒビターとすべきなのではないかと思いました。本品目は一般名に関する課長通知が発出されていますでしょうか。質問は以上です。
○医薬品医療機器総合機構 添付文書はCTDモジュール1.8のファイルです。御指摘は、添付文書中央上部の生物学的製剤基準の「乾燥濃縮人α-プロテイナーゼインヒビター」という記載と、添付文書3項の表の「ヒトα-プロテイナーゼインヒビター」の書き分けかと思います。中央上部には、製剤全体についての名称として、凍結乾燥製剤であることから、「乾燥」等を付した生物学的製剤基準名を記載しております。一方で3項の組成の表は、有効成分そのものの名称として「乾燥」などは付かない「ヒトα-プロテイナーゼインヒビター」という成分そのものの名称を記載しているというところです。
○川崎委員 お尋ねしたかったのは、1添付文書9の有効成分に関する理化学的知見の一般名のところです。ここは通常、基準名、または一般名に関する課長通知に掲載された名称が記載されると思っていたのですが、有効成分を学術名で記載してよいということでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 本邦の一般的名称(JAN)の課長通知ですが、本剤は該当する通知はないので、申請者は添付文書の19項には有効成分名で記載したのだとは思いますが、有効成分名か生物学的製剤基準名か等、記載の適切性を検討の上、対応を検討したいと思います。
○川崎委員 承認申請書の最初の名称の項も、一般名称、JANなどで記載されるものと思っていたのですが、プロテイナーゼインヒビターになっています。申請書についても基準名ではなく、学術名でよいのか、御検討いただけたらと思います。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 申請書は、記載の規則にあっているか今一度確認の上対応していきます。
○清田部会長 ほかに御質問はありませんか。よろしいでしょうか。
○宮川委員 先ほどの南先生と同様なのですが、表17です。ちょっと教えていただきたいのですが、海外の第II相試験のベースラインからの有効評価時点までの変化量を結果として判断されているという所ですが、どの程度のプラセボ群との差で有効性と言われているのか、数値の差の読み方を教えていただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 審査報告書13ページ表17には、ベースライン時点から最終時点の変化量として、肺密度の低下の差分を示しています。こちらに関して、どのくらいが意味のある差だと考えられるのかという御質問について、この疾患では、差分がこれだけあればいいというような明確なコンセンサスは現時点ではありません。また、この表は海外の第II相試験の探索的な結果ですので、有意差があるという情報ではなく、本剤群のほうがプラセボ群に比し肺密度の低下が小さい傾向が見られたという評価にとどめております。非常に難しい御質問で、α-アンチトリプシン製剤で、まださほど肺密度の結果がきれいに出た臨床試験がたくさんはございません。肺密度にどのくらい差があれば果たして、どのくらい予後と連動するのか、ないし臨床的にメリットがあると言えるのかというのは、今後数十年間の歴史的評価を待たざるを得ないのかなというところです。
○宮川委員 そういう意味では、すごく時間が長く掛かるものだと思います。効能・効果では、COPDを発症したというのは取られて、肺気腫の進行速度で判断せざるを得ないというのは、この薬剤の特性だろうと思います。そのところは先ほど南先生も御懸念されていた部分かと思います。ですから、そのところで有効性の取り扱いの困難さが問題点として残り続けるのだろうと思います。ですから、今後さまざまな臨床試験が行われ、問題が起こったときに、なかなか日本では取り下げることができないというところが問題点としてあります。問題発生時の承認の取り消しなどに関する懸念材料があるのではないかとお話させていただきました。
○医薬品医療機器総合機構 御意見のとおりかと思います。ありがとうございます。
○清田部会長 それでは議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。続きまして、議題11に移ります。議題11について、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。直前の議題との関係で、議題11について説明いたします。
 資料11の1ページ目の1、改正の趣旨を御覧ください。医薬品医療機器等法第42条第1項に基づき、保健衛生上特別の注意を要する医薬品等について、薬事食品衛生審議会の意見を聞いて必要な基準を設けることができるとされており、生物学的製剤基準において、ワクチン、血液製剤等に係る基準を定めています。今回は、乾燥組織培養不活化狂犬病ワクチン、乾燥組換え帯状胞疹ワクチン(チャイニーズハムスター卵巣細胞由来)、乾燥濃縮人α-プロテイナーゼインヒビターについて、所要の改正を行います。
 乾燥組織培養不活化狂犬病ワクチンについては、製造販売業者からの申出に基づく海外との整合性の観点から、感染研の担当室において妥当性の確認を行った上で、使用する標準品等について改正するものとなります。
 乾燥組換え帯状胞疹ワクチン(チャイニーズハムスター卵巣細胞由来)については、製造販売業者からの申出に基づく海外との整合性の観点から、機構における審査を行った上で純度試験におけるタンパク質量の規定について改正するものとなります。なお、これら2つに係る一部変更承認の可否については、部会の審議事項又は報告事項に該当しないため、本日の議題には入っていません。
 3点目は、前の議題で製造販売承認の可否の審議を行った販売名リンスパッド点滴静注用1000mgである乾燥濃縮人α-プロテイナーゼインヒビターについては、ほかの血漿分画製剤と同様の構成としています。本部会の後、薬事分科会に報告を予定しています。
 なお、事前に川崎委員より御意見を頂いています。「乾燥組換え帯状胞疹ワクチンについては、純度試験のためポリアクリルアミドゲル電気泳動法に染色方法を記載したほうがよいのではないか」という御意見を頂いています。こちらについてですが、確認したところ、ほかの基準において同様の状態となっているものについて、染色方法を定めているものと定めていないものがありました。生物学的製剤基準では、基本的にミニマムリワイヤメントとしての基準を定めており、承認書では更に細かい規定をしています。本剤についても、承認書において染色方法を定めています。基準自体に染色方法を定めるかどうかについては、ほかの基準も含めてどのようにするか、今後、検討させていただきたいと考えています。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質問がありましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、議決に入ります。本議題について、改正を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、改正を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。続きまして、議題6に移ります。議題6について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料6、医薬品アルンブリグ錠30mg他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明します。以後の審査報告書のページ数は、各ページの82分の幾つで記載している数字を使用します。
 本剤の有効成分であるブリグチニブは、未分化リンパ腫キナーゼ、以下「ALK」と略しますが、ALKチロシンキナーゼ阻害剤であり、ALKのリン酸化を阻害することにより腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。今般、本剤はALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を効能・効果として、承認申請されました。令和2年8月時点において、本剤はALKチロシンキナーゼ阻害剤による治療歴のないALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に関する効能・効果にて、34の国又は地域で承認されています。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料20にあるとおり8名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を御説明します。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、海外第III相試験であるALTA-1L試験が提出されました。有効性については、審査報告書40ページの表26及び図2を御覧ください。ALKチロシンキナーゼ阻害剤による治療歴のないALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者を対象としたALTA-1L試験において、主要評価項目とされた無増悪生存期間について、クリゾチニブ群に対する本剤群の優越性は検証されたこと等から、本剤の有効性は示されたと判断しました。
 安全性については、審査報告書44ページ、7.R.3を御覧ください。本剤投与時に特に注意を要する有害事象として、間質性肺疾患、膵炎(膵酵素増加を含む)、肝機能障害、徐脈、QT間隔延長及び視覚障害が認められています。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理、本剤の休薬等の適切な対応により忍容可能と判断しました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には使用成績調査の実施が必要であると判断しています。
 以上のような審査の結果、機構は、ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会には報告を予定しています。
 川崎委員より、承認申請書10ページ、確認試験における比較及び試験方法の記載の整備に関して、御指摘を頂きました。こちらについては、適切に修正させていただきます。御指摘いただき、ありがとうございました。説明は以上になります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。 
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問を承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ないようですので、議決に入りたいと思います。
○濱委員 申し訳ありません。濱ですが、1つ質問してよろしいでしょうか。
○清田部会長 どうぞ。
○濱委員 この製剤の識別コードについて質問があるのですが、最近、製剤に付帯される識別コードは、印字の技術が進歩することによって、含量や薬名が記載されるようになってきました。これは薬剤師から見ると……。
○清田部会長 音声が途絶えています。
○濱委員 識別記号は、錠剤の識別性を高める重要はものと思っています。今日、議論されたオルミエント錠も、4mg錠と2mg錠には、それぞれ4と2という表示がされて解り易いのですが、このアルンブリグの識別コードは、U3とU7ということで、含量である30mg、90mgを想像できない数字です。想像できないものになっています。機構の方にここでお聞きしたいのは、この識別コードについて、何か指導する、基準というものがあるのかどうかということです。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構より回答させていただきます。識別コードに関する基準は特にありませんので、機構より企業に対して指導するということはありません。御質問に対する回答は以上です。
○濱委員 錠剤鑑別、医療安全を考えると、やはり識別記号から製剤を特定できるような、含量や成分名の記号などが分かるとよりいいので、そういったことを指導していただければ嬉しいというのが希望なので、意見として言わせていただきました。ありがとうございました。
○医薬品審査管理課長 すみません、審査管理課の吉田ですが、識別コードの扱いを厚労省で何かできるのか、もう一度確認して、何か対応できれば考えさせていただきたいと思います。どうもありがとうございます。
○濱委員 ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御質問はありますか。
○浦野委員 浦野です。よくあることですが、PFSではすごく大きな差が付いていて、OSでは余り差が付いていないという結果かと思うのですが、今回のこの薬剤に関して、何か特別な理由などは報告書のどこかに書かれているのでしょうか。あるいは、製薬会社から何か説明はあるのでしょうか。
○南委員 南ですが、発言よろしいですか。
○清田部会長 機構から先に回答できれば、お願いします。
○南委員 承知しました。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構より回答させていただきます。PFSで大きな差が認められ、OSではPFSほど大きな差が認められなかった理由についてですが、ALTA-1L試験は未治療の患者を対象にしており、治験薬による治療をしたにもかかわらず増悪してしまった場合には、現在承認されている様々な薬剤が二次治療として投与されておりました。したがいまして、後治療の影響等がPFSとOSの結果の乖離につながったという可能性があるのではないかと考えております。御説明は以上です。
○浦野委員 私としては、御説明で了解しました。もし南先生から、追加がありましたら教えてください。
○南委員 繰り返しになりますが、ちょうどこの第III相試験が行われたときに、日本でもアメリカでもアレクチニブが使えるようになって、アレクチニブもこの薬と同等かあるいはそれ以上と思えるぐらいの効果が示されていますので、当然、この試験の後でアレクチニブを使ったということは想像に難くないと思いますので、後治療の影響だと私も考えます。以上です。
○浦野委員 この薬自体の効果は非常に認めるところですので、審査に対しては全く問題ないと考えます。ありがとうございました。
○清田部会長 ほかに御質問はありますか。よろしいでしょうか。
○事務局 事務局です。菊池先生から御意見を頂いていますので、代読させていただきます。用法及び用量で、90mg、7日間、その後、180mgの根拠と、副作用が生じたときに減量がかなり細かく書かれていますが、根拠はどこかにありますかという御意見を頂いています。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構より回答いたします。審査報告書の63ページ、7.R.5.1に本薬の申請用法・用量の設定根拠について記載をしています。御説明は以上です。
○清田部会長 菊池先生、よろしいでしょうか。
○菊池委員 その根拠がそこに書いてありますが、その科学的根拠が全然なくて、減量などもしています。そういうことで大丈夫なのかという意見です。それから1週間で上げていくのは、何かの根拠があるわけですか。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。審査報告書の37ページ、7.1.3.1項を御覧ください。海外第III相試験が実施される前に、海外第I/II相試験が実施されております。海外第I/II相試験において、本薬のRP2Dが180mgQD投与と決定されたのですが、その後に実施された拡大パートにおいて、本薬の投与開始から7日以内に発症する肺関連有害事象が認められたこと等から、本薬90mgを第1から7日目にQD投与した後に、180mgを第8日目以降QD経口投与する用法・用量が追加されています。追加された用法・用量における有効性、安全性の成績を踏まえて、第III相試験においても、当該用法・用量で試験が実施され、臨床的有用性が示されたことから、今回の申請用法・用量になっております。
○菊池委員 分かりましたが、それがそこまではっきり言われる根拠なのかなと、ちょっと読み取れませんでした。すみません。コメントしました。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問はありますか。それでは、ないようですので、議決に入りたいと思います。亀田委員、川上委員、濱委員、南委員、宮川委員、渡辺委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。続きまして、議題7に移ります。議題7について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題7、資料7、医薬品リムパーザ錠100mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より説明いたします。審査報告書のページ数は、各ページ下部の28分の幾つと記載している数字を使用いたします。
 DNA修復に関与するポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼであるPARPは、DNAの一本鎖切断部位に結合し、当該切断の修復に寄与すると考えられています。本剤の有効成分であるオラパリブは、PARPの機能を阻害することによってDNAの二本鎖切断を蓄積させることから、BRCA遺伝子変異等により、二本鎖切断の修復機構に欠損が認められる細胞では、細胞死が誘導され、腫瘍の増殖が抑制されると考えられております。現在、本剤は卵巣癌及び乳癌に係る効能・効果で承認されております。今般、BRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵癌における白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法後の維持療法を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は令和2年2月の当部会における審議を経て希少疾病用医薬品に指定されております。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料20にございますとおり、4名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として海外第III相試験であるPOLO試験が提出されました。有効性については、審査報告書7ページの表2及び図1を御覧ください。白金系抗悪性腫瘍剤を含む一次化学療法が16週以上継続された後、疾患進行が認められないBRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する膵癌患者を対象としたPOLO試験において、主要評価項目とされた無増悪生存期間について、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されたこと等から、本剤の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については審査報告書11ページ、7.R.3を御覧ください。本剤投与時に、特に注意を要する有害事象として骨髄抑制、間質性肺疾患及び二次性悪性腫瘍が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理、本薬の休薬等の適切な対応により忍容可能と判断しました。ただし、日本人のBRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵癌に対して、本剤を投与した臨床試験成績は得られていないこと等を踏まえて、製造販売後には使用成績調査の実施が必要であると判断しております。
 以上のような審査の結果、機構は、BRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵癌における白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法後の維持療法を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤はBRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵癌における維持療法に係る効能・効果で、希少疾病用医薬品に指定されていることから、今回追加する効能・効果等に対して再審査期間は10年と設定することが適当であると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
○南委員 先ほどの質問と同じ質問を、今度は私がさせていただければと思うのですが、PFSに差は見られたけれども、OSに差が見られていない。症例数が少ないということもあるのですが、海外ではS1等が使えません。この疾患に関しては治療オプションがかなり限られていると思われるのですが、この後治療の影響というのは解析したのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。審査報告書の11ページの図2の下の所に記載されているように、後治療を受けた患者の割合等について解析は行っておりますが、後治療によるOSの影響は不明であったという結論に至っております。
○南委員 不明だということは分かったのですが、このOSをどうしたらいいのだろうというところは、やはり不明のままですね。仕方ないと思います。
○清田部会長 いかがでしょうか。
○南委員 まあ仕方がないのだろうと思います。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問ございますか。それでは議決に入りたいと思います。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。続きまして、議題8に移ります。議題8につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題8、資料8、医薬品マブキャンパス点滴静注30mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より説明いたします。以後の審査報告書のページ数は、各ページの31分の幾つで記載している数字を使用いたします。本剤の有効成分であるアレムツズマブ(遺伝子組換え)は、慢性リンパ性白血病細胞及びヒト免疫細胞の細胞膜に発現するCD52と結合し、抗体依存性細胞傷害、補体依存性細胞傷害活性を誘導することにより、これらの細胞に対して増殖抑制作用を示すと考えられています。現在、本剤は慢性リンパ性白血病に係る効能・効果で承認されております。今般、本剤は同種造血幹細胞移植の前治療を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は令和2年2月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。令和2年9月時点において、同種造血幹細胞移植の前治療に係る効能・効果で本剤が承認されている国又は地域はありません。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料20にございますとおり、4名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として国内第I/II相試験であるHE0402試験及びHE0403試験が提出されました。有効性については、審査報告書8ページの上から1行目を御覧ください。HLA適合若しくは一抗原不適合の血縁者ドナー又はHLA適合の非血縁者ドナーのいない、同種造血幹細胞移植の施行予定の造血器悪性腫瘍患者を対象としたHE0402試験において、主要評価項目とされた移植成功率の結果は90.9%であり、一定の移植成功例が認められました。また、審査報告書8ページの下から2行目を御覧ください。HLA適合若しくはHLA一座不適合の血縁者ドナー又は臍帯血を除いたHLA適合若しくはHLADRB1一座不適合の非血縁者ドナーから同種造血幹細胞移植を施行予定の後天性再生不良性貧血患者を対象としたHE0403試験において、主要評価項目とされた移植成功率の結果は91.7%であり、一定の移植成功例が認められました。以上のHE0402試験及びHE0403試験の成績により、同種造血幹細胞移植の前治療としての本剤の一定の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、審査報告書12ページの7.R.2を御覧ください。本剤の使用時に特に注意すべき有害事象は、既承認の効能・効果と同様であり、造血幹細胞移植の施行に対して十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、同種造血幹細胞移植の前治療としての本剤の検討症例は限られており、製造販売後には本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
 以上のような審査の結果、機構は同種造血幹細胞移植の前治療を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は同種造血幹細胞移植の前治療に係る効能・効果で希少疾病用医薬品に指定されていることから、今回追加する効能・効果等に対して再審査期間は10年とすることが適当であると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ないようでしたら議決に入りたいと思います。島田委員、中野委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への御参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。続きまして、議題9に移ります。審議事項の議題9、それから報告事項の議題3について、機構からの概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構から説明いたします。審議事項の議題9と報告事項の議題3について、説明いたします。資料はタブレットの資料9になります。まず、審議事項の議題9、医薬品アダリムマブBS皮下注20mgシリンジ0.4mL「第一三共」、同皮下注40mgシリンジ0.8mL「第一三共」及び同皮下注40mgペン0.8mL「第一三共」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否及び毒薬又は劇薬の指定の要否について説明いたします。資料9の別紙(3)毒薬・劇薬等の指定審査資料のまとめ、別紙(4)生物由来製品又は特定生物由来製品の指定資料のまとめを適宜御覧ください。
 本剤は、ヒト抗ヒトTNFαモノクローナル抗体であるアダリムマブ(遺伝子組換え)[アダリムマブ後続2]を有効成分とする製剤であり、ヒュミラを先行バイオ医薬品とするバイオ後続品として、第一三共株式会社により製造販売承認申請がなされました。先行バイオ医薬品のヒュミラは、原体・製剤ともに劇薬に指定されていることから、ヒュミラと同等/同質である本剤についても、原体・製剤ともに劇薬とすることが適当と考えております。また、チャイニーズハムスター由来の細胞を用いて製造されることから、生物由来製品とすることが適当と考えております。審議事項の議題9、本剤の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
 同一品目に係る報告事項の議題3についても、併せて御説明いたします。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤とヒュミラの同等性/同質性が確認されたことから、本剤をヒュミラのバイオ後続品として承認して差し支えないと判断いたしました。以上になります。
○清田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ないようでございますので、議決に入りたいと思います。亀田委員、川上委員、島田委員、中野委員、南委員、宮川委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。私についても同様でございます。本議題につきまして、劇薬及び生物由来製品の指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。また、報告事項議題3についても、御確認いただいたものといたします。続きまして、議題10に移ります。議題10について、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 議題10、資料10、3-ヨードベンジルグアニジン(ヨウ素131)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書のファイルをお開きください。報告書1ページ中段を御覧ください。申請者は富士フイルム富山化学株式会社、予定される効能・効果は、3-ヨードベンジルグアニジン(MIBG)シンチグラフィ陽性の難治性褐色細胞腫・パラガングリオーマです。以下、3-ヨードベンジルグアニジンはMIBG、褐色細胞腫・パラガングリオーマはPPGLと略します。まず、1ページの対象者数について、厚生労働省における全国疫学調査及び文献報告より、本邦におけるMIBGシンチグラフィ陽性の難治性PPGLの総患者数は約600人と推定されることから、指定基準を満たしているものと考えております。
 次に、医療上の必要性について、難治性PPGLは進行が緩徐な腫瘍であり、他の悪性腫瘍に比べ臨床経過が長いとされるものの、根治は困難であり、5年生存率は40~45%とされ、予後は不良です。難治性PPGLのうちMIBGシンチグラフィ陽性が確認された場合には、本邦未承認であるものの、ヨウ素131のMIBGによる内照射療法を第一に検討することとされており、治療薬の開発が望まれていることから、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、開発の可能性について、MIBGシンチグラフィ陽性の難治性PPGL患者を対象とした国内第II相試験において、尿中カテコールアミン類の減少効果を指標とした奏効率は23.5%であったことから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問と御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入りたいと思います。南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。続きまして報告事項に入ります。それでは、報告事項議題1について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 議題1、医薬品テセントリク点滴静注1200mgの製造販売承認事項一部変更承認について、報告いたします。本剤は、programmed cell death-ligand1、以下PD-L1と略しますが、PD-L1に対する免疫グロブリンG1サブクラスのヒト化モノクローナル抗体であるアテゾリズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、進展型小細胞肺癌及び切除不能な肝細胞癌を効能・効果として承認されております。また、本剤は、化学療法既治療の非小細胞肺癌に対しては、本剤の単独投与、化学療法未治療の扁平上皮癌を除く非小細胞肺癌に対しては、他の抗悪性腫瘍剤との併用投与に係る用法・用量で承認されております。
 今般、中外製薬株式会社から、化学療法未治療のPD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対して、本剤の単独投与に係る用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
○清田部会長 委員の先生方から御質問ございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、報告事項議題1については、御確認いただいたものといたします。では、続きまして事務局から。
○事務局 では続きまして、報告事項議題1に関連してテセントリク点滴静注1200mgについて、その他事項として、最適使用推進ガイドライン(案)を作成しておりますので、御説明します。資料18-1を御覧ください。下のページ番号で、2ページの枠内を御覧ください。対象となる効能・効果に変更はありません。用法・用量について、化学療法未治療のPD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対する内容が追加されています。10ページ以降に、今回審査された主な臨床試験の結果を記載しております。化学療法歴のない切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌のうち、PD-L1発現状況がTC3又はIC3の患者集団において、対照群とされた化学療法群と比較して、本剤単独投与群で全生存期間の有意な延長が認められました。安全性については19ページに記載しておりますが、今回審査された臨床試験において、新たに懸念される事象は認められていません。22ページを御覧ください。有効性に関する事項について、本剤の単独投与に関して有効性が示されている対象を追加するとともに、本剤の有効性が確立していない患者に関する記載等を変更しております。25ページ以降の投与に際して留意すべき事項については、マル5に今回審査された臨床試験を追加したのみで、そのほかに変更はございません。説明は以上です。
○清田部会長 委員の先生方から御質問等ございましたら、承りたいと思います。いかがでしょう。ないようですので、その他事項議題1のテセントリク点滴静注1200mgの最適使用推進ガイドライン(案)については、御確認いただいたものといたします。引き続き報告事項議題2~6について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。報告事項議題2~6について、まとめて御説明をいたします。まず、報告事項議題2です。医薬品リムパーザ錠100mg及び同錠150mgの製造販売承認事項一部変更承認について、御報告いたします。資料13になります。本剤は、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼを阻害するオラパリブを有効成分とする抗悪性腫瘍剤でして、現在白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法、BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌における初回化学療法後の維持療法及びがん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性、かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌を効能・効果としております。今般、アストラゼネカ株式会社から、相同組換え修復欠損を有する卵巣癌におけるベバシズマブ(遺伝子組換え)を含む初回化学療法後の維持療法及びBRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断がされております。
 報告事項議題の3については、先ほどのバイオシミラーになりますので割愛いたしまして、報告事項議題の4、医薬品リツキサン点滴静注100mg、同点滴静注500mgの製造販売承認事項一部変更承認について、御説明をいたします。資料15になります。本剤は、CD20を標的とするマウスとヒトのキメラ型モノクローナル抗体であるリツキシマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤でして、現在はCD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫等を効能・効果として承認がされております。今般、全薬工業株式会社から、CD20陽性のB細胞非ホジキンリンパ腫に対する本薬の投与方法として、第2サイクル以降に一定の条件を満たした場合に、既承認の通常速度投与よりも投与時間を短縮する90分間投与を可能とするために、希釈濃度の変更に係る用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断がされております。
 続いて報告事項議題の5に移ります。承認条件について御報告する品目が1品目です。資料16になります。イピリムマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする医薬品ヤーボイ点滴静注液50mgの承認条件に係る御報告となります。2ページ目を御覧いただきますと、本剤は、平成27年7月に根治切除不能な悪性黒色腫の効能・効果で承認がされており、承認時にページ中ほどに記載の承認条件が付されております。この度、ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社から実施された特定使用成績調査の結果等に関する報告書が提出され、機構において評価がされております。特定使用成績調査については、3ページ目に提出された資料の概要、(1)製造販売後調査の結果を御覧ください。平成27年7月3日から開始され、平成29年2月28日までに本調査に登録された調査票回収対象症例578例の情報を基に調査結果がまとめられました。本調査において、新たな注意喚起を要するような情報は得られておりません。そのため8ページ、総合評価になりますが、提出された資料から承認条件は対応されたものと判断をしております。
 最後に、報告事項議題の6、医療用医薬品の再審査結果について御報告をいたします。資料17になります。資料17-1、有効成分名はフルベストラント、販売名がフェソロデックス筋注250mg。資料17-2、有効成分名はインダカテロールマレイン酸塩、販売名がオンブレス吸入用カプセル150μg。資料17-3、有効成分名はアバタセプト(遺伝子組換え)、販売名はオレンシア皮下注125mgシリンジ1mL、同皮下注125mgオートインジェクター1mL。資料17-4、有効成分名はブデゾニド/ホルモテロールフマル酸塩水和物、販売名がシムビコートタービュヘイラー30吸入及び同タービュヘイラー60吸入。最後に、資料17-5、有効成分名タゾバクタム/ピペラシリン水和物、販売名がゾシン静注用2.25、同静注用4.5及び同配合点滴静注用バッグ4.5です。これらの品目ですが、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査及び製造販売後臨床試験に基づいて再申請が行われ、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要のないカテゴリーIと判定をさせていただいております。報告事項については以上です。
○清田部会長 委員の先生方から御質問等がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、報告事項の議題2~6については御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はございますか。
○事務局 長時間にわたり御議論いただきまして、ありがとうございました。次回の部会は、令和3年1月29日、金曜日午後4時から予定しておりますが、状況に応じて部会の開催について、また追って御連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日はこれで終了といたします。どうもありがとうございました。お疲れ様でした。
( 了 )
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 柳沼(内線2746)