2021年2月9日第2回「障害者の就労支援体系の在り方に関するワーキンググループ」議事録

 

 
 
1.日時 令和3年2月9日(火)15:00~17:30
 
2.場所 オンライン会議(厚生労働省 職業安定局第1会議室)
 
3.出席者
菊池アドバイザー、眞保アドバイザー、阿部アドバイザー、網屋アドバイザー、石﨑アドバイザー、岡田アドバイザー、小幡アドバイザー、叶アドバイザー、久保寺アドバイザー、工藤アドバイザー、酒井アドバイザー、鈴木アドバイザー、藤尾アドバイザー、又村アドバイザー、松下アドバイザー、横堀アドバイザー、赤澤障害保健福祉部長、達谷窟高齢・障害者雇用開発審議官、小野寺職業安定局障害者雇用対策課長、竹内障害福祉課長、小林障害者雇用対策課長補佐、石井障害福祉課長補佐、塩田人材開発統括官付特別支援室室長補佐(オブザーバー)、川口文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長補佐(オブザーバー)、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部(オブザーバー)

4.議題
(1)ワーキンググループにおける論点について
(2)その他
 
5.議事
○菊池主査 時間が過ぎましたので、ただいまから第2回「障害者の就労支援体系の在り方に関するワーキンググループ」を開催いたします。
皆様におかれましては、大変お忙しい中、御参加いただきまして、どうもありがとうございます。
本日も前回同様オンラインでの開催としております。私のみ厚生労働省の会場から司会を務めさせていただきます。
若干注意事項ですが、議事進行中は皆様のマイクはオフ(ミュート)とさせていただきます。最初に私が発言を希望される方を募りますので、御発言を希望される方は「手を挙げる」のボタンをクリックしてください。御発言される方を私のほうで指名させていただきますので、指名された後にマイクをオンにして発言を開始してください。御発言の際は、まずお名前を名乗っていただき、ゆっくり、分かりやすく御発言をいただくようお願いいたします。また、音量の関係で、マイクに近いところでお話しください。発言後は必ずマイクのスイッチをオフにしていただきますようお願いいたします。
操作方法などについて御質問などございましたら、随時事務局までお問合せをお願いいたします。
会議運営に御協力のほどお願いいたします。
それでは、事務局よりアドバイザーの出席状況、資料の確認をお願いいたします。
○竹内障害福祉課課長 障害福祉課長の竹内でございます。
本日のアドバイザーの出席状況について御報告させていただきます。本日は全員出席の予定でございますが、阿部アドバイザーのみ遅れて参加されるという状況でございます。
続いて、資料の確認です。
本日の資料は、議事次第、資料1-1、資料1-2、参考資料1から3までとなります。事前に御案内しております厚生労働省ホームページに全て掲載しておりますので、適宜ダウンロードし、御準備のほどよろしくお願いいたします。
このほか、岡田アドバイザー、叶アドバイザー、久保寺アドバイザー、工藤アドバイザー、鈴木アドバイザー、藤尾アドバイザー、又村アドバイザー、横堀アドバイザーより机上配付資料を提出いただいております。
以上でございます。
○菊池主査 ありがとうございます。
それでは、議事に入ります。
議題1につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
○石井障害福祉課課長補佐 障害福祉課の石井です。
資料1、資料2について御説明をさせていただきます。資料1、2につきましては、前回第1回で御議論いただいたところ、その内容を事務局で整理させていただいたものです。
資料1-1につきましては、整理した内容を項目ごとに並べているものです。大きな柱1として「現状の課題」、2として「論点を踏まえた議論等の整理」という2つに分けております。さらに、2の「論点を踏まえた議論等の整理」につきましては、(1)から(3)の内容で整理しています。資料1-1につきましては、全体の構成を把握する上で適宜御参照のほどよろしくお願いいたします。
具体的な内容につきましては、資料1-2に基づいて御説明をさせていただきます。資料1-2をお開きください。資料1-2「論点を踏まえた議論等の整理(案)」について、1つ目の柱「障害者の就労支援体系に係る現状の課題」でございます。こちらにつきましては、参考資料2におつけしております前回お示しさせていただいた論点案で記載しているものをそのまま転記させていただいております。その中で、特に3マル目だけ追記しておりますので、少し補足的に説明させていただきます。
3マル目、また書き以降です。第1回のワーキンググループにおきまして、就労支援においては、関係分野を含む複数の支援者による支援ネットワークが重要である旨、御指摘があったところです。このため、各地域の就労支援機関については、関係分野も含めてそれぞれの支援施策がどのような形で組み合わさっているか、そういったことを理解することが必要ではないかといった御指摘について、現状の課題に追記させていただいております。
また、そのような取組を進める上で、例えば両制度、雇用・福祉双方の制度に精通した人材が少ないのではないか等の課題についても御指摘いただきましたので、それらをポツ書きで併せて書かせていただいております。これが現状の課題で追記させていただいた部分です。
続きまして、大きな柱「2.論点を踏まえた議論等の整理」です。1つ目の柱「(1)障害者の就労支援体系に係る課題について」ということで、雇用・福祉双方の課題についてまとめてさせていただいております。最初、総論として書かせていただいている内容です。まず、雇用施策と福祉施策とではそれぞれの目的実現に向けて各施策が展開されているところ、就労支援というのは、雇用施策、福祉施策の結び目になっている旨、記載しております。
このため、2マル目です。雇用施策・福祉施策双方の強みを最大限発揮できるよう、支障となっている課題があれば、お互いの相互理解の下、双方で解決の途を探っていくのではないか、そういったことを総論として書かせていただいております。
その上で、1ページ目最後、基本的な考え方です。1マル目、障害者の就労支援につきましては、雇用・福祉双方共に、その支援を通じまして、例えば「生計の維持を図ること」「能力の発揮の機会を確保すること」「社会経済活動への参加を実現すること」が支援の主な方向性として挙げられるところです。
一方で、2マル目です。第1回のワーキンググループにおきましては、両者の制度の違いにより支援の方向性、スタンスに大きな隔たりがあるのではないか、そういった御意見も頂戴したところです。
そこで、最後の3マル目です。雇用・福祉双方の共通認識として持つべき障害者の就労支援における基本的な考え方や支援の方向性について、改めてこのワーキングにおいてどのような内容が考えられるか等々を論点として掲げさせていただいております。
続きまして、就労支援体系における基本事項についてです。こちらは2つの内容を書かせていただいております。1マル目、就労支援が必要な人に必要な支援が提供されるといったことが重要であるということで、支援に隙間がないか精査する必要性がある旨を書かせていただいております。ただ、一方で、第1回では、例えば公務部門に勤務する障害者について支援が不十分である、又は福祉施策においては自治体によって支援の利用の可否が異なる、そういった御指摘があったところです。
ですので、1マル目の後段です。こういった働き方や場所により必要な支援が受けられない場合があるとすれば、それは今後改善を図っていかなければいけない。では、上記のほかに具体的にそのような隙間になっている部分はないか、そういったことがあればこのワーキンググループで御指摘くださいということで、論点に掲げさせていただいております。
2マル目につきましては、また別の内容です。2マル目後段です。就労支援ニーズが増大し、支援対象者が広がる中において、雇用と福祉両方のすみ分けについて、明確に線引きをするのでなくて、両者の強みを生かして補完し合っていくことも視点としては必要ではないか、そういったことを論点として書かせていただいております。
その具体的な内容につきましては、2ページ後半「一般就労と継続支援との関係について」というところです。1マル目で書かせていただいておりますのは、就労継続支援の現状です。現在、就労継続支援A型・B型につきましては、原則、一般就労中の利用というのは想定していないところです。
一方で、3ページ目の1マル目です。前回第1回のワーキンググループの中で、例えば短時間雇用については、企業において短時間勤務し、それ以外の時間については就労継続支援の中で働くといったこともあり得るのではないかという御指摘があったところです。
そういったことで、2マル目、このように一般就労をしつつ、就労継続支援を利用することについて、就労継続支援の役割や目的、企業との関係などを含め、どのように考えるかということを論点として提示させていただいております。
また、3マル目、就労継続支援A型につきましては、さらに具体的な御指摘があったところです。例えば、加齢等の影響により一般就労が難しくなったときなどのキャリアトランジションの場面などを想定し、利用できるほうが、障害者本人、企業ニーズが高いのではないかといった御指摘があったところですので、このような指摘について、就労継続支援A型の役割、目的、企業との関係などを含めどのように考えるかということを論点として書かせていただいています。
その上で、4マル目、これら一般就労と就労継続支援の関係において、雇用施策においては、支援すること、対応すべきこととして何か考えられるかどうか、こういったことを論点として書かせていただいております。
以上が一般就労と就労継続支援の内容ですが、さらに次のマルです。第1回の御議論の中でいわゆる「みなし雇用」の導入についても御指摘があったところですので、この御指摘についてもどのように考えるかということを論点として加えさせています。
3ページ目後半です。定着支援につきましても、第1回においてアドバイザーの皆様方からいろいろ御指摘をいただいたところです。1マル目、まず定着支援の実態についてということで、定着支援における就業面と生活面の支援というのは、障害者本人、企業のニーズとしてそれぞれ具体的にどのようなものが求められているか、こういった実態をまず整理すべきではないかということで、そのような論点を書いております。
その上で、2マル目です。そのような支援実態を踏まえて、改めて定着支援における雇用と福祉施策の役割分担についてどのように考えるか。また、現行、一定の役割分担の下、実施しております定着支援の取組、例えばジョブコーチ、障害者就業・生活支援センター、または障害福祉サービスである就労定着支援事業、そういったものについて実態を踏まえ、改善すべきものはないかということを論点に加えております。
さらに、3マル目、また書きです。定着支援につきましては、特別支援学校等の卒業生に関しましては、学校との連携も必要になるところです。4ページ目、そのような観点から、雇用・福祉・教育の連携、役割分担についてどのように考えるかということを論点として書かせていただいております。
続きまして、相互理解・情報共有の項目です。1マル目、2マル目につきましては、雇用・福祉施策双方にとって情報発信をちゃんとしていくこと、又は正確な理解を促していくこと、こういったことを論点として掲げさせていただいております。
その上で、3マル目、4マル目は、雇用・福祉双方で本人同意の下、相互に情報共有を図っていくことも重要ではないかということ、また、情報共有先としては、双方の支援機関のみならず、企業や医療機関などの関係者、さらには教育分野との連携についても、例えば必要に応じ、教育側の個別の教育支援計画の内容なども相互に情報共有することも検討すべきではないかということを論点として書かせていただいております。
4ページ目一番下「その他」につきましては、通勤や職場等における支援についての話です。通勤や職場等における支援につきましては、令和2年10月から雇用施策と福祉施策が連携した新たな取組を実施しているところです。
このため、2マル目、この新たな取組の実施状況を踏まえながら、通勤や職場における支援の在り方についても検討を重ねていく必要があるのではないかということを論点として書かせていただいております。
5ページ目からは雇用施策における課題、または福祉施策における課題について記載させていただいております。
最初の1マル目「雇用施策における課題」です。ハローワークや地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターといった職業リハビリテーション機関について、さらなる対応や改善が必要な部分があるとすれば、何か考えられることはないかということを論点として書かせていただいております。
また、福祉施策における課題につきましては、前回第1回におきまして各アドバイザーからいろいろと御指摘をいただいたところでございますので、論点として整理させていただいているところです。
1マル目「就労系障害福祉サービスについて」ということです。就労移行支援や就労継続支援A型・B型につきましては、その支援の趣旨・役割を改めて整理する必要があるのではないか。また、この際、生活介護や自立訓練といった他の障害福祉サービスとの関係についてどう考えるか、そういった旨の御指摘もありましたので、それを論点として記載させていただいております。
また、特にA型・B型につきましては、具体的にいろいろと御指摘を頂戴したところでございますので、5ページ目後半からは、A型・B型について、さらに詳細な論点を記載させています。
5ページ目下です。就労継続支援A型についてということで、2マル目の下線からでございます。就労継続支援A型につきましては、制度創設当時と比べて、障害者雇用が大きく進展していることからも、地域において果たすべき役割やその性格について再考する必要があるのではないか。その上で、A型につきまして、今後進む方向としてはどのようなことが考えられるかということを論点として書かせていただいております。
そういった御議論していただく上で、そもそも就労継続支援の検討に当たりましては、まず事業所で実施されているA型の支援というものはどのようなものなのか、そういったことも整理する必要があるのではないか。例えば、特例子会社で行われているような雇用管理と比べてどのような違いがあるのかどうか、そういった整理もA型を検討するに当たっては必要ではないか、そういったことを論点として書かせていただいております。
続きまして、6ページ中頃、就労継続支援B型です。B型につきましては、2マル目後半からです。現在就労継続支援B型につきましては、地域における多様な就労・社会参加ニーズを受け止めている状況です。その結果としまして、年齢の高い方の利用等が増えている実態がございます。このような中で、3マル目の下線です。就労継続支援B型が地域において就労支援としてその一翼を引き続き担うためには、果たすべき役割、その性格について、今後どのようにあるべきかどうか、そういったものを論点として書かせていただいております。
以上が就労支援体系に係る課題でございます。
続きまして、6ページ後半から「(2)新しい就労支援ニーズへの対応について」です。こちらは短時間雇用への対応とキャリアトランジションへの対応ということで、2つの中項目を設けております。まず、短時間雇用への対応につきましては、全て再掲です。先ほど短時間雇用については、企業において短時間勤務し、それ以外の時間については就労継続支援事業の中で働くといった指摘があったという旨、御紹介させていただきました。そのようなものを再掲として記載しておりますので、御確認のほどよろしくお願いいたします。
続きまして、7ページ目上、キャリアトランジションへの対応ということで、こちらも2つの内容を記載しております。1つがキャリアアップニーズへの対応について、もう一つが加齢等状況の変化に伴う対応についてです。キャリアアップニーズへの対応につきましては、1マル目です。前回第1回におきましても障害のある社員のキャリアアップについても対応を考えていかなければいけない旨、御指摘があったところですが、では、そもそもそういった障害のある社員のキャリアアップとして、現在、具体的にどのようなニーズがあり、どのような対応が求められているのかということを一つ論点として掲げさせていただいております。
その上で、具体的にそういった取組を進める上で、何か課題となっていることや必要な支援というものはないかということを2マル目で記載させていただいております。
続いて、加齢等状況の変化に伴う対応でございます。1マル目です。前回第1回でも多数のアドバイザーから御指摘があったところですが、加齢等の影響による体力の低下等により、企業の中で継続的に働き続けることが困難な場合も少なくないという御指摘があったところです。
そのような場面を想定したとき、1マル目の下線です。可能な限り一般就労において働き続けることを支援する一方で、本人の希望や状態等に応じ、就労継続支援といった福祉施策の利用に移行するということも考えられるのではないかということ。さらには、2マル目、今後このような雇用から福祉への移行を想定した連携体制や取組を検討する必要があるのではないかということを記載しております。
このような雇用から福祉に対応した取組として、3マル目です。例えば「週3日の一般就労」と「週2日の就労継続支援」の併用を認め、緩やかに移行を進めていくことなども考えられるが、このようなことについて留意すべき点等を含めて、どのように考えるかということを記載しております。以上が新しい就労支援ニーズに係る課題への対応です。
最後、「(3)他分野との連携について」です。1つ目が教育分野との連携ということで、1マル目、2マル目につきましては、定着支援の内容、情報共有の内容を再掲として記載させていただいております。
8ページ目上は、前回御議論いただいた中で、特別支援学校の生徒の保護者等に対する取組も重要である旨、何人かのアドバイザーから御指摘をいただいたところですので、下線でそのようなことを書かせていただいております。「特別支援学校の生徒の保護者等に対する取組として、どのようなことが行われており、またどのようなことが必要であるか」ということを記載しています。また、2マル目、3マル目ですが、普通校に関しましても、特別支援学校ほどではないものの、知的障害や発達障害の疑いのある生徒などが年々増えてきているのではないかといった指摘があったところ、このような普通校の生徒への進路選択や就職支援に当たっても、雇用分野・福祉分野と教育分野の連携が必要ではないか。また、具体的にはどのような方策が考えられるかということを記載しております。
最後に、障害年金につきましても、前回の御議論の中で御指摘いただいたところを記載しているところでございます。
非常に駆け足での説明になりましたが、事務局からは以上です。
○菊池主査 ありがとうございます。
それでは、意見交換、質疑応答に入りたいと思います。非常に盛りだくさんな整理案でございますので、いろいろな御議論があろうかと思います。今日の議題はただいま御説明いただいた議論等の整理案をめぐる議論ただ1つでございます。
議論の仕方ですが、特に項目ごとに区切るといったことはせずに、全体を通じて御自由に御意見をいただきたいと思います。先ほど申しましたように、Zoomの「手を挙げる」の機能、ボタンを使って合図をお願いしたいと思います。できるだけ多くの皆様に御発言いただきたいと思っております。まずは一巡。できれば今日御出席の全員の皆様から御意見等を伺って、それで時間があれば二巡目、追加で御意見等を伺いたいと思っております。
御自由に御発言をお願いしますが、とはいえ人数も非常に多く御出席でいらっしゃいますし、時間も限られておりますので、あまり長くなった場合には、私のほうで適宜まとめてくださいという御案内をさせていただくことがあるかもしれませんが、その節は御容赦のほどお願いいたします。
それでは、工藤アドバイザーのほうからトップバッターで御意見をいただけますでしょうか。
○工藤アドバイザー すみません。お時間を先にいただいて、ありがとうございます。
私は中途失明で、全盲なものですから、慣れない点字と、それからパソコンそのものもあまり強くないので、多少もたもたしながら、ちょっと時間がかかるかもしれませんが、発言させていただきたいと思います。
まず、机上配付させていただいた資料は、基本的には割愛させていただきます。これから若干ダブって発言することもありますが、そちらのほうは1回目のときに発言しようと思っていながら残した私の問題意識ですが、それは後で皆さん、御覧になっていただければと思います。
最初にICTの環境とデジタル改革に関連して発言したいと思います。今、これらの技術が非常に発展しているのですけれども、これは視覚障害者にとっては非常にうれしかったり、喜んだ時期があったのですね。ところが、それは長続きしませんで、あまりにもテンポが速く進むと、視覚障害者がそれに追いついていけなくて、今、喜んでばかりはいられないという状況に来ております。これはよくも悪くも視覚障害者の生活とか教育とか就労に非常に大きな影響を及ぼします。特にその中で私たちが一番困っていることは、アクセシビリティーの確保なのです。それができていないという問題があります。
近年、デジタルテクノロジーの進歩ということで、聞き慣れない言葉なのですけれども、デジタルトランスフォーメーション(DX)が非常に注目されております。これは、今、産業界全体を巻き込んで、クラウド化とかスマホとか、そういうことに全部適用されていっているわけですが、基本的にはアクセシビリティーとかそういうことが十分保障されてしかるべきなのですが、現実にはそこのところが抜け落ちております。したがって、私たち視覚障害者にはアクセスできないようなシステムになっている例が非常に多いことが見受けられています。
そういうことで、くしくもデジタル庁が今度できるということで、このワーキングから外れるかもしれませんけれども、今後設置されるデジタル庁には障害当事者を含めた、そういう人たちに参画させて、ぜひアクセシビリティーの確保、開発、改善、メンテナンスも含めて、そういう形のイニシアチブを発揮してほしいと思います。
視覚障害者の支援団体として認定NPO法人タートルというのがあります。これは「中途視覚障害者の復職を考える会」と呼ばれていますが、私もそれに関わった一人なのですが、そちらのほうで最近、主にパソコンを使ってテレワークも含めて働く、そういう人たちへアンケート調査を実施して、100人余りの回答があったのです。
中身はまだ見ていませんが、聞き及ぶところによると、その中で一番切実な問題はICTのアクセシビリティーの問題。それからICTに精通している専門の支援員、つまり、ジョブコーチがいない。あとは在職者訓練であるとか、そういう訓練の場がない。そういうことが切実な声として出ておりました。
もしそのアンケートに取り組んだそちらの了解が得られれば、次回のこの検討会の場に資料として提供させていただこうかなと考えております。
ICT専門の支援員、そういうジョブコーチが必須だということを強く感じております。
職業訓練とか在職者訓練は、これまでにも私たちを取り巻く実情は厳しいということを発言してきましたが、これらについては、労働とか福祉とか、そういうことに関係なく利用できるようにしてほしい。というのは、社会資源が地域に偏在して、少ないという実態があるからです。地域的に社会資源が偏っていると、そういう形を取ると、強みを発揮するということにもつながっていくのではないかと思います。
ただ、この場合、問題に感じるのは、それらの訓練に要する報酬。それに労働系と福祉系では差が出てくるという問題もクリアしないといけないのではないかなと思っております。
また、視覚障害者の訓練というのは、マンツーマンが基本になりますので、どうしても人件費とか経費がかかります。それに見合った報酬も検討する必要があるのではないかと思います。
障害者の就労支援ということを考えると、支援のタイミングというのもライフステージによって違ってくるのではないかと思っております。特に視覚障害者にとっては、働いている途中で障害者になったとき、それに対する支援が大変重要であるということ。これは今までも述べてきたことでもあります。
私は、ピアサポーターの存在というのは非常に重要だと考えております。ピアサポーターについては一歩踏み込んだ考え方を取れたらいいのではないかと思っています。ともすると、ピアサポーターは、障害者が障害者をという視点で捉えがちなのですけれども、障害者を対象とした支援というイメージなのですが、雇主や福祉施設など、そういう側にも意見を伝えられるというか、そんな形が考えられないかということです。
幾ら障害者が望んだからといって、必ずしも支援が受けられないという実情が現実にあるわけです。知的障害者は、特に自分の意見を伝えられない。他の障害者でもそういう場合があると思いますし、あるいは健常者でもあるかもしれませんが、自分の意見を伝えるということは、かなりストレスがかかることです。話しやすい人に意見を伝えると。そういう意味では、代理人、弁護士みたいな感じに捉えていいと思うのですが、そういう人を通して職場の上司に伝えるとか、そういうシステムができると、今よりは率直に自分の意思を伝えられるようになるのではないかと思います。これは何も雇用だけでなくて、福祉就労とか、そちらにも同じことが言えるのではないかと思っております。
最後に、このワーキングの進め方について思ったことを述べたいと思います。1回、2回、3回までがこういう形の意見をどんどん集約すると。4回、5回ではそれの取りまとめに入るということですね。そうすると、1回から3回目までいろんな意見がたくさん出てくると思いますので、中長期的な視点で法律や制度の改正が必要なことというのが一つあると思うのです。短期的なところで、現行の法律や制度でも十分対応できるということがあると思います。それが2つ目です。
それから、ここのWGには直接関係なくても、これは非常に重要な課題。
そういうふうに3つに分けた整理をした上で、あとは時間の許す限り議論を深めていってほしいと思います。特に2番目の現行の制度でも十分できるのではないかということについては、私たち視覚障害者のことを考えたときに、そのことが指摘できるのです。例えばジョブコーチが少ないということ。視覚障害に精通したジョブコーチというのは、全国に2~3人しかいないと言われているのです。そうすると、過去2回、厚生労働省の中で地域の就労支援の在り方に関する研究会第1次、第2次を開催して、その中でも2回目のときには、視覚障害者、聴覚障害者に精通したジョブコーチの育成・配置が課題であると。「必要である」だったですかね。そういうふうに報告書にまとめられているのですが、それはほとんど進んでいないのです。
それから、いろんな通達、例えば「視覚障害者に対する的確な雇用支援の実施について」という通達が出ていたり、様々なマニュアルとか事例集もたくさんつくったのにもかかわらず、むしろ今は停滞していっている感じなのです。全体から見ると後退しているかもしれないです。せっかくそういうものがあるので、それがなぜできないのか、その辺も検討したりすることは必要ではないかと思います。
ジョブコーチ、職業訓練についても、現に訓練施設などもあるわけです。ただ、視覚障害者にはそれが利用できる状況になっていない。とすれば、今さら全国的につくるとかそういうことは全く不可能なわけですので、そうすれば、今ある制度で恩恵が受けられないというか、それが行き届かないところについては、現行制度を少し手直しをすることによって可能になるのではないかと思うのです。例えばこちらから出掛けていくとか、または当事者がその地域のほうに出てくるとか、その辺の仕組みを付加する、そういう形を取ることによってそういうことが可能になるのではないかと思ったりしています。
取りあえず私からの発言は以上とさせていただきます。ありがとうございました。
○菊池主査 視覚障害者のお立場からということでありながら、非常に幅広に御発言をいただきまして、ICT、デジタル改革、その他の関係、これらはこの整理案にもほとんど出てきていないところで、今の大きな流れの中にある課題でもあるので、何らかの形で言及したほうがいいだろうということになると思いますし、それ以外にも様々広い観点から御発言いただけた。ありがとうございました。
それでは、松下アドバイザー、小幡アドバイザー、酒井アドバイザーの順番で参ります。
まず、松下アドバイザー、よろしくお願いいたします。
○松下アドバイザー よろしくお願いします。
今、工藤さんから言われた視覚障害者の支援というのは、ハローワークも非常に難しいと思っています。
それは置いておいて、今回発言させていただきたいのは、まず事務局に1つ質問なのですけれども、御説明いただいた資料の中に出てきます一般就労をしながら継続支援を利用することに関してです。第1回目が終わってから幾つかの市町のほうにいろいろ質問をしたのですが、大抵の市町は個別に相談に乗ってオーケーを出しますよということを言われるのですけれども、そういうスタンスでいいのかというのが質問の1つ目です。
それから、短時間雇用ですけれども、短時間雇用とB型、A型の中には施設外での就労、施設外での支援をやっているところがあると思うのですが、これの整理というのは、雇用だと違って、施設外の訓練だとどういう違いがあって、雇用のほうがいいのかとか、その辺も聞いてみたいです。
最後に、前提としてこの会の役割というか、あまりにも幅が広いので聞きたいのですけれども、今回我々が受けたのは障害者の就労支援における雇用と福祉の施策の連携強化というところですが、「障害者の就労支援における」なので、一般就労。前、福祉の就労も含むのかという質問、ここにも落とし込まれていますが、一般就労と限らないとなかなか幅が広くて難しいなと思うので、その辺、認識を共有できたらなと思っています。
以上です。
○菊池主査 松下アドバイザー、御発言はこの質問のみということでよろしいですか。
○松下アドバイザー いいです。
○菊池主査 分かりました。
それでは、事務局のほうからお願いいたします。
○石井障害福祉課課長補佐 障害福祉課の石井です。
まず最初、御質問がありました一般就労中の就労継続支援の利用に関しまして、原理原則で申し上げますと、就労継続支援につきましては、一般就労が難しい方が利用するサービスですので、一般就労中の利用というのは想定していないというのが回答です。ですが、当然ケース・バイ・ケースによって、例えば、就労継続支援を利用していた方で一般就労をされた後も引き続き週2日ぐらいは就労継続支援を利用したほうが、働き始めの体調管理等が確実にできるという場合などがもしあるとすれば、支給決定をする自治体の個別判断において、そのような利用を認めるというのも妨げていないというところです。このため、松下アドバイザーが各自治体からそのように御確認したということであれば、確かにそのような形になっているというところです。
2つ目の御質問は、質問の意図が分からなかったので、もしこの御議論の中で必要なことでございましたら、また別途教えていただければなと思いますが、事実関係ということでしたら、後でまた御説明をさせていただければなと思います。
3つ目、今般、まさに就労支援体系の在り方について御議論をいただくという中で、一般就労に限って議論してみてはどうかという御提案もあったところでございますが、それも含めて、各アドバイザーが障害者の就労支援というのはどこまでを射程にすべきかどうかというのも一義的には御議論いただくところかなと思っております。
もちろん、雇用施策との連携ですので、一般就労の実現ということが念頭にあるものの、そこに至るまでの支援というのも、当然一般就労に向かう支援としては重要であると思っておりますので、福祉施策としての就労支援、雇用施策としての就労支援、双方がこのワーキングの範疇に入ってくるのかなと思っているところでございます。
○松下アドバイザー 了解です。
○菊池主査 松下アドバイザー、よろしいですか。
○松下アドバイザー はい。
○菊池主査 それでは、小幡アドバイザー、お願いいたします。
○小幡アドバイザー 全国精神保健福祉会連合会の小幡です。よろしくお願いいたします。
私からは、今、就労体系のところについて議論を深めていくということになりますが、他分野との連携について、どこまで関与し切れるのか気になっているところであります。とりわけ教育分野との連携は重要かと思っているのですが、ここで挙がっている議論の多くは、特別支援学校を背景としている。もちろん一般の教育も含まれてはいますが、高等教育や、通常の特別支援学校ではないところに所属している障害をお持ちの生徒さんや、精神疾患などはとりわけ思春期以降に発症もありますので、普通の学校の中での進路指導等、そこに携わる教育関係者にもこの福祉の雇用の道筋があるよということを認識しておいてもらう、その人が全部専門的な知識を持てということではなく、必要があれば適切なルートの関係性を持てるという連携が取れるように指摘いただきたい。
そのことによってカバーできることがかなり増えてくるのではないかと思います。また、知的や発達障害の方に特化するという部分はもちろんありながらも、全障害者を対象とする教育分野として連携が必要かと思いますので、御議論を皆さんでしていただければと思います。
また、短時間雇用については、精神疾患を持っている方は、比較的これをどういうふうに運用したり、自分たちのスタイルに落とし込めるかというのは非常に大きいかと思います。一般就労と言われている雇用の20時間の枠との壁がいろいろある中で、どう調整をつけていけるのか。また、キャリアトランジションのところについても、いろんなバリエーションがグラデーションとしてある。ここについては、実は障害者だけではなくて、一般労働者のところでも同じような背景があるととらえ、議論を尽くして現場に提示するということがきめ細かにないと、独り歩きをして、都合のいいように調整されてしまうということにも利用されかねない懸念があると思います。キャリアアップとダウンという話の中でこの用語が出てきたとお聞きしていますけれども、よくよく中身について周知徹底していくというのが一般労働分野についてはとりわけ必要かなと思っているところです。
福祉系の就労サービス、A型やB型を含めて、雇用・福祉の連携のモデル的な側面ももちろんあるけれども、私としては、ベースは福祉系にあると思っています。ここでの雇用と福祉のモデルケースをA型だけにとどめるということがないように、私自身、ちょっと気をつけながら皆さんの議論に加わっていきたいと思っているところです。
○菊池主査 ありがとうございました。
それでは、酒井アドバイザー、お願いします。
○酒井アドバイザー 全国就労移行支援事業所連絡協議会の酒井でございます。
論点の整理案についてですけれども、幅広い内容を丁寧に、かつ簡潔にまとめていただきまして、ありがとうございます。これらについて幾つか意見を申し上げたいと思います。
まずは2ページ目からの幾つかの項目に重ねて記載があります就労継続支援について、一般就労をしながら並行利用についてということですが、障害者雇用、障害福祉サービスとしても現在対象者も広がり、対象者像も様々であるため、並行利用ができるということはいいことだと思います。
ただ、より職業自立の促進であるとか円滑な福祉サービスへのソフトランディングという観点から、一定の有期間での利用が望ましいのではないかなと思います。
また、企業がこのような対象者の雇用を進めていく、ソフトランディングしていくまでの雇用維持をしていく、そういうインセンティブがより働くよう、例えばこういう制度においても対応が何かしら考えられないか。具体的には生計の維持を図るとか、職業自立を図るということも踏まえてですけれども、週20時間未満の短時間労働者の取扱いでありますとか、カウント方法等についてもさらに柔軟な対応ができないか、ぜひ検討していただきたいなと思います。
3ページ目の中段にみなし雇用についてという記載がございます。いわゆるみなし雇用制度のようなものによって、障害者施設への企業からの発注が増えることは喜ばしいことですが、一方で、業種によって発注できるものの違いがありますから、制度上の公平性の担保ができるのかなとか、社会のインテグレートを促進するという観点からも、少し慎重に検討する必要があるのではないかなと個人的には思うわけです。代表的な諸外国の例でフランスなどのこともよく取り上げられるのですけれども、今、申し上げたような課題から、昨年辺りから若干見直しがされていると記憶しています。そういう諸外国の取組なども参考に検討を進めていかなければいけないのではないかなと思います。
そもそも現行の雇用率制度の算定式には、発注の受け手側として期待される就労継続支援事業のB型の利用者であるとか、あるいはA型の雇用保険に加入していない利用者であるというのが、この計算式上に含まれていないわけでありまして、実施に当たっては、この辺りを含めて整合性を図る必要性があるのではないかなと思います。
1回目はこれで終わっておきます。
○菊池主査 ありがとうございます。
いかがでしょうか。又村アドバイザー、お願いします。
○又村アドバイザー ありがとうございます。全国手をつなぐ育成会連合会の又村でございます。
私のほうからは、かなり多くの資料、発言の要旨を送らせていただいておりますので、恐縮ですが、それをお読みいただく前提で、趣旨を御説明したいと思います。
御覧いただいているものが今回御用意をさせていただいたものでございまして、このページと項目については、先ほど事務局さんのほうから御説明いただいた内容ですので、御確認いただいている前提でお話をしたいと思います。
まず、基本事項として、状態によって支援が受けられないということがあるかないかということについては、前回就労定着支援の利用者のお話をさせていただきました。基本的には就職をすることで生活面の支援が必要な状態の人が使うという理解をしておりますけれども、利用する経路によって使えたり、使えなかったりするというところについては改善が必要と考えております。
3ページの一般就労と就労継続支援との関係ですが、今般も新型コロナの関係でいわゆる一時帰休の状態になった知的障害のある人が、ルーチンの乱れがありまして体調不良とか体重増加などでお困りになっている事例が複数報告されています。こういった場合に、先ほどのお話にもありましたが、期間を区切って就労継続支援、A型がよいのか、B型がよいのか、場合によっては自立訓練がよいのか、この辺の議論はあろうかと思いますが、利用を促進するといった対応は必要と考えています。
これは福祉サイドのお話になりますが、就職直後の半年間は、職場定着は送り出し事業所で対応し、その後、就労定着支援事業が担うということになっていると思いますけれども、一部の自治体では就職直後に送り出し事業所の支援と重ねて自立訓練を活用することで、短期集中型の生活上の組立ての支援をしているという事例がございます。就労定着は3年使えるわけですので、短期集中型と長期、腰を据える型が選べるということについては、前向きに評価してよいと思いますので、こういったことも組合せの中で検討が必要かなと考えております。
次に、企業に働いている間の就労継続の使用、利用についてですが、先ほど実際にそういうことは支給決定の中であり得るという御報告もいただいておりますけれども、基本的には現行の事業定義については、通常の事業所に雇用されることが困難な障害者が対象で、就労機会の提供と生産活動等の機会の提供を通じて知識・能力の向上の、私は「訓練」という言葉は好きではないですが、トレーニングをすることが就労継続支援の定義ですので、その意味では、高齢化に伴うキャリアトランジションとリワークの考え方というのは、整理する必要があるのかなと考えております。
他方で、就労移行支援は、就労継続よりももう少し明確に就業に向けたいわゆるジョブトレーニングをするという整理になっておりますが、御案内のとおり、障害者能力開発校においては在職者向けの講習が展開されていますので、そういったところとの役割分担も含めて、併用ができるのかというところは検討の余地があるかと思います。なぜかというと、障害者職業能力開発校が身近な地域にあるわけではないからです。就労移行支援のほうがまだ身近な地域にありますので、これは同じ目的で、制度を股にかけて利用できるとよいのかなという趣旨です。
それから、みなし雇用あるいは在宅就業支援団体制度の見直しにつきましては、いわゆる就労継続の賃金あるいは工賃の向上に資する取組と考えています。今、慎重な検討もというお話がございましたが、これは当然の大前提としながら、他方で、残念ながら特に就労継続B型を利用している方は、B型プラス年金2級では到底生活費が追いつかないという状況がありますので、これについては、賃金・工賃の向上について本気で考えるならば、選択肢の一つになるのであろうと。その際には障害者雇用率に算入可能になるのか、しないのかといったことも検討課題になると考えております。
次が定着支援の実態でございますが、前回のワーキンググループでも皆様のお話をつぶさにお聞きして、労働と福祉で捉え方、関わり方に違いがあるのだなということがよく分かりました。というのは、就職後の定着支援は、一義的には企業側が主体的に行うのだろうと考えていますが、月に1回、最長3年間にわたる就労定着支援の関わりは過剰ではないかという御意見もありました。一理あるとは思っております。ただ、他方で、そういう濃厚なサポートがあることで軌道に乗る方がいることも事実なので、選択肢としては企業労務中心の、いわゆる企業の方ができる範囲でやっていただくという意味の定着サポートから、濃厚な支援があることによって軌道に乗る方まで選択肢が用意されていることが重要と考えております。その前提に立った場合、結局のところ、その方がどれぐらいのサポートが必要かということについてのアセスメント機能が十分ではないのが一つ問題ではないかと考えました。
ですので、アセスメント機関を今から立ち上げるのですと、時間、人、物、金が非常にかかりますので、例えば就職に結びつけた機関、これは特別支援学校であったり、ハローワークであったり、ナカポツセンターであったり、就労移行支援であったりするわけですが、そういった団体が定着サポートを提供する他分野の機関と必ず支援会議を開催して、具体的な表現で言うと少し反応されてしまう方がいるかもしれませんが、例えば特別支援学校では、3年生が卒業すれば2年生が3年になることは明々白々で、どちらに力点を置くかといったら、3年生の進路指導に力点を置くのは当たり前ですから、申し訳ないけれども、就職後のフォローアップは小まめにはできないよということであれば、その時点で就労定着支援が使えるようにし、ほかの方の御意見で、初見の人の支援にいきなり入るのは難しいのではないかという御意見もありましたが、であればこそ、早いタイミングで支援会議が開かれ、御本人・御家族を含めてそこで顔合わせをして、必要な支援が共有される場が必要ではないかということを考えた次第です。
4ページです。その他の雇用・福祉施策の連携については、とりわけこれは知的障害者分野において顕著なのですけれども、通勤あるいは職場における支援ということが非常に重要なのですが、先ほど事務局さんからお話があったように、今、雇用納付金制度に基づく助成金もあり、昨年の10月から特別事業も始まっているところですので、ぜひ利用実態と好事例を把握していただければなと考えております。
5ページ目、雇用施策の課題ですが、3点ほど考えております。1つは、そもそものお話で、障害者雇用を後押しする制度や仕組みについては、かなり考えていただいていると理解しているのですが、全国どこでも使えるかというと、使える状態になっていないということがあると思います。平たく言うと、使える場所と支援する人が足らないということです。これはなぜかと考えると、もちろん税財源も投入しているとは思うのですが、基本的には納付金によってこの手の事業は実施されていると理解していますので、その意味では、その辺りを進めるために、現行は基本的には納付金は調整金、報奨金に充当するということになっていると思いますが、この原則を見直す必要があるのではないか。
それはなぜかというと、なかなか障害者雇用を進めにくい中小企業から納付金が収められて、特例子会社などで比較的障害者雇用を進めやすい大企業が報奨金を得るという傾向もあるかと聞いておりますので、その意味からの見直しということも検討が必要かと思います。
次に、特に発達障害を含む精神障害分野においてですが、障害者雇用の対象となる人についての見直しも必要と考えます。基本的には今、手帳がないと駄目なわけですが、知的障害に関しては、救済措置と言うと表現がよくありませんけれども、いわゆる職業上の障害判定制度があります。しかしながら、精神障害分野は基本的に対象になっていないと理解していますので、そうすると、精神保健福祉手帳を持っていないとカウントされないというところの課題をどう考えるかは一つポイントかと考えています。
もう一つは、労務管理を軸として障害者雇用の推進を進めるのは非常にいいと思っているのですが、残念ながら知的発達障害分野における職場定着に資する取組、例えば付添いを含む通勤時の支援であるとか、職場内におけるコミュニケーションの支援の好事例というものがなかなか広がっていないと理解しておりますので、良い取組みを水平展開できるとよいのではないかと考えています。
就労系の障害福祉サービスについてですけれども、一つは、私ども育成会が再三申し上げておりますが、就労系のみならず生活介護も含めた再編、少なくとも役割の再整理が必要と考えております。この辺りは皆さんもよくご存知だと思いますので、割愛します。
もう一つは、今、様々な働き方。働くというのは、この場合、「働く」だけではなくて、あえて平仮名で「はたらく」としておりますが、冒頭に事務局さんからもお話があった社会参加ということも含めた「はたらく」を考えた場合に、企業で一般就労、特例子会社、A、B、生活介護といった選択肢が存在しているという状況自体は、育成会としては評価しております。ただし、キャリアトランジションを希望した場合、あるいはキャリアトランジションが必要な状況になったかどうかのアセスメントに基づいて、次のキャリアを提案する相談機能が弱いのではないかということが一つ課題と思っております。
もう一つ、これは多様な選択肢の裏返しになるのですが、今回のコロナのように、景気後退がかなり明確になった場合、就職先が当然なくなります。そうすると、企業就労できる人の働き口がなくなるわけで、次の選択肢はA型になる。A型を利用する方が増えると、大変失礼な言い方であることは承知の上で、分かりやすく、頑張ればA型を利用できる方というのがA型にいられなくなります。そうすると、その方がB型に行きます。そうすると、頑張ればB型を利用できる人が生活介護に行きますという、いわゆる玉突き的なことが起こり得るのかなと考えておりますので、この辺りの対応策も重要と考えています。
7ページです。他分野との連携につきましては、特別支援学校から卒業してすぐ就職した人に対するフォローアップ体制をどう考えるかということについては、先ほど言った(8)の話が重要と考えております。
最後、障害年金制度ですが、とりわけ知的障害分野、これは精神障害もそうですけれども、「就労(福祉的就労を含む)」と書きましたが、まさに就労継続A型、B型を利用していることをもって、1級だった人が2級に変更されているという事例が数多く育成会には寄せられております。審査の実態と基準については既に明確化されていると考えていまけれども、この辺りに差配があるとすれば、どこなのかということが1点。
もう1点、知的障害に関しては、いわゆる生まれつきの障害になりますので、知的障害という状態変動がない障害であるということを前提とした判定基準に改めていくということも必要ではないかと考えております。
私からは以上になります。ありがとうございました。
○菊池主査 ありがとうございました。
続きまして、叶アドバイザー、お願いいたします。
○叶アドバイザー こんにちは。全国社会就労センター協議会の叶と申します。
事前にお送りしておりますセルプ協の資料を御覧になっていただければと思います。施設体系に関わるセルプ協の基本論について送らせていただいております。
現状といたしましては、一般就労が困難な人々で働くことを希望している人が就労支援事業で働いている人は、A型、B型共にかなりの数になってきて、特にB型は27万人になろうという状況になっておりますが、重度の障害を持っている方であったり、高齢の障害者であったり、あるいは就職したけれどもうまいこといかなかった人たちなどが多く利用されているという状況があります。
お配りしている資料の4ページに我々が考える施設体系というのが書いてあります。4ページの真ん中のところにあるのが、当面の体系ということで、当面に関しては現状の体系を充実させるということで、セルプ協のほうでは位置づけております。(1)定着支援型と(2)就労移行です。一般就労を目指して定着を目指していくということで、(3)と(4)が今のです。(3)がA型で、B型が就労支援型という位置づけで出しておりますが、こういう多様な就業の場があって、それぞれが選択できて、あるいは双方向に移動ができるということが大事だと考えております。
どうしても一般就労がベストで、一般就労が絶対という価値観があるというふうになりがちなのですけれども、それぞれの事業をそれぞれが選択しながら、それぞれの働き方をしていくということが重要だと考えております。
とはいっても、特に就労継続支援B型はいろんな課題があると思うのです。働く場であるけれども、工賃と年金だけではどうしても地域での生活が難しいという状況がありますので、我々が目指すこととしては、そこで生き生きと働いて、年金といろんな手当と工賃、賃金と合わせて地域での生活が可能となるということを目指していくということが一つあるかと思います。
そのためには、仕事の確保策がとても重要だと思います。一つは官公需、行政機関からの仕事。民間企業からの仕事ということで、そういう仕事の確保が大事と思っていまして、優先調達推進法ができましたので、それに関してはさらなる充実が必要かなと思います。
民間企業については、仕事が入る仕組みを何とかつくっていく必要があると思っていまして、これは施設外就労も含めて、企業の中で仕事をするということも含めて、そういう仕組みが必要だと思います。
先ほどちょっと話が出ましたが、みなし雇用として雇用率に入れていくということもあるでしょう。ただ、フランスの場合の例を見ると、雇用率には入れないけれども、納付金の減額をしていくということもあるでしょうし、あるいは報奨金とか調整金の受給の対象にするとか、あるいは今ある在宅就業障害者支援制度を見直していくとか、そういうふうに仕事を確保していく仕組みが必要だと思っています。
ここで最も重要になるのが、仕事があればいいということでなくて、適正な条件による仕事の確保が大事だと思っていまして、安い価格でどれだけ仕事が増えても高工賃にはつながっていきませんから、適正な価格での仕事の確保というのが、官公需の場合もそうですし、民間からの仕事の場合もそうですし、重要だと考えております。
また、B型に関しては労基法適用ではありませんから、いろんな補償の仕組みがありません。労災についてもないということもありますので、労災に代わる補償の仕組みとか、そういうことも検討していく必要があると思います。
最後に、いずれにしても本人の意向を尊重しながら、多様な働く場があって、きちんとしたアセスメントの中で選択していくことができるような、そういう体系が必要かなと思っているところです。
取りあえず以上です。
○菊池主査 ありがとうございました。
それでは、久保寺アドバイザー、阿部アドバイザー、鈴木アドバイザー、藤尾アドバイザーの順番でお願いいたします。
まず、久保寺アドバイザー、お願いいたします。
○久保寺アドバイザー 就労継続支援A型事業所全国協議会の久保寺でございます。よろしくお願いします。
自立支援法の検討段階、古い話になりますが、厚労省の原案で就労継続支援は今のA型、雇用型だけでありました。個人的には当時の厚労省の担当部局の方々の情熱と勇気には今も尊敬をしております。今、思うと、A型事業が少し時代を先取りし過ぎてしまったのではないかなと感じますが、ただ、時代が後追いをしてきて、機が熟したようにも感じます。
まず、利用計画という視点からですが、各事業種の横断的な利用や移動が柔軟的になされるということが前提になりますが、就労アセスメントは人生スパンでの利用計画であるべきですし、利用決定プロセスに権威を持たせるという制度であるべきだと思います。ちょっと乱暴な言い方をすれば、事業所から支給決定の影響を排除するということが必要だと思います。
それから、人材問題はあるにしても、現行の障害者就業・生活支援センターの強化が一番の近道のように感じます。
次に、A型事業所についてですが、A型の役割としましては、賃金と年金を合わせて地域で自立した生活ができるという意味で社会に貢献をしている、あるいはできると考えています。
事業所の状況としては、一部の旧福祉工場、それから一部の悪質A型事業所を除けば、多くの事業所は労働者として処遇できるA型に希望を持って支援をしていると理解しています。しかし、その多くが生産活動収支の赤字状況であります。しかし、生産性という視点で言えば、対象者は明らかにハンディーを背負った障害者であります。A型の在り方に関わりますが、収支については少し緩やかな対応も必要かもしれないと思っています。
それから、本当に一般就労ありきだけでよいのでしょうか。日本では諸外国に比べて重度の障害者が職場で働いていると多くの方が指摘されています。企業の現場では疲弊していると聞きます。障害者ビジネスのようなものが台頭するという下地を知らない間につくってしまっているのではないかと思います。したがって、より合理的配慮ができる労働者、あるいは一部労働者として処遇できるような福祉的就労分野も充実を図るべきだと思います。
A型事業の課題の解決については、情報開示と良質な仕事の確保ができる制度の導入というふうに考えています。障害者優先調達推進法に民間企業からの発注促進策としてみなし雇用の検討、あるいは在宅就業障害者支援制度の改正が必要だと考えています。
もう一点、個人の利用者の労働者としての権利は保障するとしても、福祉予算が投入されているA型事業所には、雇用制度のメリットについては少し制約がかかっても仕方がないのかなと考えています。そういう意味では、就労継続支援事業は、A型は少し福祉サイドにシフトし、B型には一部労働者性を担保するなどが考えられます。現在の非雇用の人たちにも準労働者として社会に貢献していただきたいと考えています。例えば労災等を適用する準労働者として位置づけるタイプと、それから福祉施策のみの非雇用の現在のB型に分離するなど、A型あるいはB型の再編も必要かもしれないと考えています。
最後になります。机上の資料にも載せさせていただきました。特に別紙2のところで、超党派の国会議員によるインクルーシブ雇用議連がありまして、現在市民側の団体は17団体なのですが、障害者就労支援体系を検討するということが必要だと思いまして、当面の施策を検討する前に目指すべき将来施策を検討しようということで、一昨年の8月から毎月検討しています。1年半かけて。もう少し調整が必要なのですが、今はコロナの関係で国会の議連の勉強会ができないのですが、今通常国会で勉強会に取り上げてもらう予定でおります。
このワーキング等で取り上げるということは難しいのですけれども、PT等で俎上にのせていただければ幸いかなと思っています。
以上であります。
○菊池主査 ありがとうございました。
続きまして、阿部アドバイザー、お願いします。
○阿部アドバイザー 日本身体障害者団体連合会の阿部です。
まず、今日冒頭に工藤さんがお話ししましたICTということについて、私たちの立場からもお話しさせていただきます。コロナ禍の中でなかなか移動が大変になったということで、身体障害のある団体の中でICTに取り組まざるを得なくなったという言い方をしてよいかと思いますが、でも、この可能性の大きさにすごく驚いたということです。併せて、重度障害の方々のテレワークの事例などを教えていただきますと、テレワーク、リモートワークの可能性はとても大きい。ただし、これを使うためには、工藤さんのお話にもありましたけれども、多くの人がこの技術、使いやすい機器、使いやすさということでありますので、これも工藤さんの提案のように、デジタル庁の中で障害がある人への支援ということにしっかり取り組んでいただきたいと思いました。
あとは、雇用と福祉の連携ということですけれども、福祉は市町村、身近な場でとなっていますが、雇用関係は福祉圏域とか県で1つとかということで、身近な場面では、住んでいる地域によっては対応が難しいこともあるのかなと思いながらなのですが、であれば、地域での連携の事例をもっと示していただければと思いました。
例えば自立支援協議会の中で連携しているという例もあるかもしれませんし、あとは、それぞれの地域で就労支援センターがその役割を果たしているという例もあろうかと思います。そのようなことで、それぞれの地域ということを考えれば、この福祉と雇用の連携という意味の今の検討はすばらしいと思いますが、これを地域ごとに、暮らしている地域でどう達成していくかという視点が大事なのかなと思います。
そのようなことから、障害者就業・生活支援センター、ナカポツセンターは大きな役割をしていると思いますが、福祉圏域に1か所ということでありますので、障害者就業・生活支援センターについて、後ほど藤尾さんから、現状と課題もあるのであれば話していただければありがたいなと思いました。
それから、先ほど小幡さんが普通校の中での支援というお話をされました。特別支援学校の支援については、岡田アドバイザーが資料をたくさん出していただきました。これについてもすばらしい例を示していたけれども、全ての特別支援学校を考えると、課題というのはあるのかどうかというのも、それぞれの暮らしている地域を考えると、教えていただきたいと思いました。
そして、普通校のところに戻りますけれども、今、大学でも発達障害の学生さんの学びの支援に取り組んでいると思いますが、就労の支援というのもすごく大事なことだと思います。今回は大学の問題は出てまいりませんでしたが、その辺も大事なことではないのかなということで、申し上げさせていただきます。
もう一点はキャリアトランジションということで、加齢に伴って一般就労が難しくなった場合に、就労継続支援のサービスも併せて使うという趣旨だったと思います。でも、これは反対の発想もあるのかなと思いました。就労継続支援事業のサービスを受けていながら、一般就労への自信と意欲を持ってもらうための取組というのもあろうかなと思っているところです。
等々のお話をさせていただきました。一貫性がなくて、いろんなところを取り上げてのお話でしたけれども、とても大事な検討がここで行われている。この検討をそれぞれの人々が暮らしている地域でどう実現していくかという視点、その辺の重要性ということを確認させていただいて、お話しさせていただきました。どうもありがとうございます。
○菊池主査 ありがとうございました。
それでは、鈴木アドバイザー、お願いいたします。
○鈴木アドバイザー 東京障害者職業センターの鈴木です。どうぞよろしくお願いいたします。
私のほうからも事前に机上配付資料として皆さんにお配りしております。その中で、私は雇用施策サイドに身を置く者なので、その観点から幾つかピックアップして少し言葉を補足したいと思います。
まず、松下さんのほうから、このワーキンググループで「就労」と言ったときに、どこまでを議論の対象とするのかという問題提起があったと思います。事務局の方にまとめていただいた論点整理案の1ページ目の下から2ページ目にかけて「就労支援における基本的な考え方について」のところで、共通認識として持つべき方向性の箇所にアンダーラインが引かれています。この部分について、私としては、障害の有る無しにかかわらず、働く能力、あるいは意思のある者については、それぞれの能力に応じた働く場を確保して、そこで力を発揮して社会参加していくというのがとても大切な視点だと思います。したがって、このワーキンググループにおいては、一般就労に限らず、その能力に応じてA型事業所がふさわしい方、あるいはB型事業所がふさわしい方、そういった就労の場も含めて議論の対象にしていいのではないかと考えます。
次に、(3ページ下段の)定着支援に関してですが、福祉サイドにおいても就労定着支援事業が始まって、この分野に算入してきました。従来から雇用施策サイドにおいて取り組んできた内容になります。
ここの部分をどういうふうに役割分担、整理するといいのかということを少し考えてみたのですが、定着支援として求められる内容には、(1)就労した障害者が今現に、不適応状態にあったり、あるいは何らかの課題が生じていて、職場の方で対応に困っているといった喫緊の課題に対する対応の部分と、それと、(2)そうなる前の予防なり、あるいはそういう不適応のサインを早期に把握する、そういうシグナルを早期にキャッチするという目的で実施する定着支援というものがあるかと思います。
前者の現に生じている問題に対する対応というのは、結構ボリュームが大きいです。時間も取られますし、マンパワーも取られます。そういう場面への対応は、地域障害者職業センターや障害者就業・生活支援センターがこれまで取り組んできて、ノウハウも蓄積されてきているので、そういった部分への対応は、これまでと同様、ハローワークも含めた雇用施策サイドの就労支援機関が対応すればいいのかなと。
一方で、不適応の兆候の早期把握なり、あるいは予防措置としての現状確認等々の部分については、企業自らがそういった信号をキャッチしたり、あるいは家庭との連携においてそういった状況を早期に摘み取っていくということが基本だと思いますが、それに併せて、今、就労定着支援事業のほうで月に1回以上(?)事業所を定期的に訪問して状況をチェックするという枠組みが出来てきているので、そうした取組を通じて早期発見、予防措置的な部分での定着支援を担える部分があるのではないかと考えています。もしその中で集中的な定着支援が必要だという状況が確認されれば、雇用施策サイドの支援機関に繋いでいただいて連携して取り組めれば、より相互の、補完した形での支援ができるのではないかと考えます。
次に、5ページの「雇用施策における課題について」のところです。今、雇用施策サイドで職業リハビリテーションの支援を進めていく中で感じているのは、多くの、そして様々な障害をお持ちの方が実際に就職をするようになりました。企業において働く機会が過去に比べて大幅に増大しております。そういった中で、障害当事者に対する支援というのは勿論とても大切ですけれども、企業に対してどうサポートしていくかという視点も同じぐらい大切であると感じています。その部分がいま一つ弱いかなと感じていますし、我々にとってもそこのノウハウをどんどん積み重ねて、企業をサポートしていくという姿勢が問われているのだと思います。そこら辺が一つ課題だなと思います。
もう一つ、資料では触れていませんが、就労支援の対象となる障害者像に随分と広がりが出てきています。障害者手帳を持っている人だけではなくて、いわゆるグレーゾーンと言われる人たちも多く就労支援機関を訪れるようになっています。
もちろん、就労支援機関では障害者手帳の有無を問わず、必要であれば必要な支援を行っていきますが、いざ雇用率制度とかそういった制度の中にどう組み込んでいくかというと、まだ正式に位置づけられていない方もおり、今後そこら辺をどういうふうに整理していくのかというのも一つの課題であると感じております。
最後に、7ページ「キャリアトランジションへの対応について」です。その中で、特にキャリアアップの支援としてどういったものが実際現場で生じているのかという問いかけがありましたけれども、これは実に様々です。様々なニーズが企業から寄せられます。それら一つ一つに応えていこうとしていますが、キャリアアップに関する支援ニーズの中には、人事制度をどうするか、評価制度をどうするか、職位制度をどうするかといった企業経営、人事管理の視点を必要とするようなニーズも一定寄せられています。それらに対しては、支援機関のスタッフでどこまで対応できるのかというと、おのずと限界があって、そういう場合、地域障害者職業センターとしては外部の専門家の力、そういった分野にたけた方の力を借りて対応していくということを基本としています。
キャリアアップニーズとは違いますが、冒頭工藤さんのほうから、例えば定着支援の部分でも視覚障害者のICTにたけた支援員がいない、非常に限られているというお話がありました。実際に我々のセンターでも視覚障害者を対象としたICTに係る支援を求められることが多い状況にあります。その場合、当センターの職員でそこに対応できるかというと、そこまでのノウハウを十分に持ち得ていない。その場合は外部の専門家、特に視覚障害者支援団体に在籍するICTの専門家のお力を借りて対応するという形で、一つ一つの支援ニーズに応えようとしています。そういう意味では、そういう外部人材をいかに広く確保するか、育てていくかという視点も大変大切になってくると感じております。
私のほうからは以上になります。
○菊池主査 どうもありがとうございました。
続きまして、藤尾アドバイザー、お願いいたします。
○藤尾アドバイザー 千葉障害者就労支援キャリアセンターの藤尾です。よろしくお願いいたします。
論点整理のほう、ありがとうございます。随分いろいろ書き込んでいただいたなと思って拝見していました。
先ほど阿部アドバイザーのほうからも、ここでナカポツの現況というリクエストもありましたので、そちらのほうも入れていきたいと思うのです。2月4日に出ていた報酬改定案の中で、就労定着支援事業の月一の面談というところが「支援レポート」という形に書き換えられていて、支援の濃淡がつけられるようになったのかなと拝見していたので、これを僕らはすごく前向きに捉えながら、今後の動向を見ていきたいなと思っています。
まず最初に、ナカポツセンターについてお話をさせていただきますと、現状としては、私の意見のほうには書いたのですけれども、既に地域においては就労面における基幹型のセンターのような役割をしているのではないかという印象を持っています。センターが機能するために地域にネットワークを張る。状況としては困難事例が回ってくることが非常に多い。それから、前回の検討会の報告でもあったのですが、初回の相談でどこに行ったかによって方向性が決まってしまうというお話がありましたけれども、ナカポツに限って言うと、そういったスタンスではないです。お見えになった方のインテークを取って、その中でアセスメントを取らせていただける方であればアセスメントを取って、必要に応じてハローワークと一緒に就職活動に移行する方もいらっしゃれば、逆に準備性がまだ難しいという方であれば、地域の資源を使った準備訓練へのあっせんと。これは福祉です。就労移行支援事業所等へのあっせんという形で、そこである程度ワンストップで対応している状況があります。そういうことを考えると、前回のは窓口の問題というよりも、現在人材育成のほうでもやられていると思うのですが、どういうふうにそこでマネジメントしていくかという問題になってくるのかなと思うので、今後ナカポツセンターがどう位置づけになっていくのかということを考えると、千葉市に10月に基幹相談支援センターが初めてできたのですけれども、やっている内容としては地域のボトムアップ、あるいは困難事例です。場合によっては就労定着支援事業。うちのセンターを見ていると、多いのは就労定着支援事業を選択しない方、要は、契約しない方、あるいは使ったのだけれども途中で崩れてしまって、そこと仲たがいをしてしまって離れてしまった方。もちろん、3年利用した後に、それでもまだ支援がちょっと必要だねという方、様々いらっしゃるのですけれども、こういった方々に対するセーフティーと、一方で、特別支援学校の卒業生を中心としたこういったものの制度を利用できない現状の方々の支援というところが今、大きな役割になっているのかなと思っています。
ナカポツセンターに関して言うと、近年、精神発達の方が増えてきていて、これまでであれば、1年ぐらいたつと安定して、年1回ぐらい、あるいはOB会とか茶話会に来たときにお話を聞く程度でうまく回っていた方が多かったのでけれども、波が崩れるタイミングが1か月あるいは2か月に1回というふうにあると、そのタイミングでの訪問、面談ということを継続的に行う対象の方が増えてきている現状があります。
一方で、先ほど来挙がっているキャリアトランジションの話ですが、転職の相談が非常に多いです。働き始めたときは、この金額でいいですと言っていたのだけれども、将来的に家庭を持ちたい、あるいはもっともっと稼ぎたいということで転職を希望される方。本来はこの仕事を希望していなかったということで、もっともっとやりたいことがあるのだということで転職希望をされる方ということで、転職の支援というところでは、前回もあったキャリアアップのところはかなり件数としては多いのかなと思っています。
ただ、この件に関しては若干懸念しているところがあって、必要のある方に対して、そういった視点を持って支援をするということは非常に重要だと思っています。ただ、こういう形だからこれでいいのですという形づくりにならないことはすごく重要かなと思っています。本人の意向、希望に即した形での支援をするということを大前提にして。先ほど小幡アドバイザーがこれが利用されるようになったらいけないというお話もされていたかと思うのですが、こういった支援が必要なときに、どういう枠組みがあればいいのかという視点で準備をしておく。先ほどアセスメントの話をされた方もいらっしゃいますけれども、それをしっかりとマネジメントしていく支援がとても重要になってくるのかなと思っています。
もう一つ、他機関との連携のところで、これは岡田アドバイザーに怒られてしまうかもしれないのですが、平成18年以降、これだけ就労支援機関、福祉から就労というところが基盤整備をされてきた中で、18歳のときに就労という選択を非常に考えていくというところについて、今後は皆で一緒に考えていく必要があるのかなと思っています。
18歳で、そこから先、少し経験を増やしてから就労するという流れができてくると、今、挙がっている定着の難しさというところがもう少し変わってくるのではないかなという印象を持っています。
取りあえず以上です。ありがとうございました。
○菊池主査 ありがとうございました。
それでは、横堀アドバイザー、お願いいたします。
○横堀アドバイザー クリーンリースの横堀です。中小企業です。
ペーパーを机上資料で先に出させていただいています。その中で強調して言っておきたい点だけピックアップしてお話をしたいなと思います。
まず、昨年のロクイチ報告でゼロ企業のほとんどが中小企業ということで、これから障害者雇用自体を伸ばしていこうと思うと、中小企業、特に100名以下のところがターゲットになってくるのだろうと思っている前提で、僕たち中小企業がどんなことを思っているのかというところだと思うのですが、作業とか仕事の困り事ではなくて、それ以外の部分、それが人間関係や会社との意思疎通、そういった部分で、中小企業は特例と違ってそんなに細やかな支援ができるわけではないので、そういうかゆいところに手が届くような支援という部分を福祉に連携をしてやってもらいたいというのが、中小企業のほとんどの意見なのだと思います。
本来その役割はナカポツがやっていってもらわなければいけない部分だろうと思っているところなのですが、実は今回、皆さんの資料が送られてくる中で、藤尾さんの資料を拝見して、それまではナカポツには正直諦めていた部分があって、地方に行くと、老舗の社福が運営しているような公共性のまるでないようなナカポツがいっぱいあって、まるで機能していない。
ただ、藤尾さんの資料を見させていただくと、福祉の立場と雇用の立場を両方明確に理解されているすばらしい意見だなと思いました。なので、それが地域差なのか、俗人的な問題なのか分からないのですけれども、こういう方がいらっしゃるのだったら、今、雇用と福祉の連携ということを考えるワーキングだと思うので、だとするのであれば、中核はナカポツでなければいけないはずだし、実は20年前にこの制度ができたときの厚生省と労働省の連携の一丁目一番地がナカポツだったのだと思うのです。それが20年たって、向こう20年見据えて制度を考え直そうといったときも、やはりまたこのナカポツが大事なのかなと思いました。
なので、ペーパーの私の意見にはそこは載せてはいないのですが、全国的なナカポツをもう一度しっかりとした再整備というか、統一的に運用されるような仕組みをここでもう一度検討してもらえないかなと思ったのが率直な感想です。
次に、私のほうで前回のワーキングでお話をさせていただいたキャリアトランジション。すばらしいお名前をつけていただいて、加齢の対応についてのところで、私、資料でグラフを1つつけています。この説明だけさせてもらおうかなと思います。弊社は、個人個人の時間生産性がグラフで出るシステムになっていて、17年分ぐらいデータがございます。その中で、18歳で弊社に入社して。これは2~3年ぐらい前の資料なので年齢がちょっと変わっていますけれども、今、46歳の方で、横軸が年齢、縦軸が時間生産性になります。青い折れ線グラフがその年の最大の時間生産性です。緑の線が1年間の平均の時間生産性になります。
よくお話に挙がる加齢の問題というのは、見ていただいて分かるとおり、40歳前後でがくんと生産性が落ちるのです。これはこの人だけに限ったことでなくて、実は30代後半から50歳ぐらいの間で誰しもが必ず起きる状況なのです。それが果たして障害と関係あるものなのか、健常・障害を問わず皆さん老化していきますので、作業能力が落ちてしまって、ただ、健常の方だと、長年のキャリアの中で違う部署ができるようになったり、転換が可能だったりするのですけれども、なかなか障害をお持ちの方だと、こういう作業以外にできる場所がなくて、では、これだけ作業能力が落ちた人間を中小企業が雇用として維持していけるのか。これは現実問題で、ぜひそういう受け皿としてのA型の利用というのは真剣に検討していただきたい。今でもそういう使い方をされている現実ではあると思うのですけれども。というふうに思っています。
最後に、論点全体的に言えることだと思うのですけれども、教育から福祉、福祉から一般雇用、一般雇用から福祉という循環フローの中で流れる仕組みでないといけないと思っています。皆さん、いろいろな御意見がございましたが、最終のゴールと言っていいのか、ピークと言っていいか分かりませんけれども、一般就労でないと、例えば福祉就労が充実し過ぎると、僕たち中小企業が身銭を切りながら彼らを雇用管理して、彼らに仕事を教えて一緒に仕事をやっているというのは、多分みんな良心とモラルの中で歯を食いしばってやっているのだと思うのです。それがあまりに福祉就労が充実し過ぎてしまうと、みんなA型になってしまいますよ。一般就労などはやめてA型でやったほうがいいよと中小企業がみんな思ってしまうということを忘れないでいただきたいなと思っています。
取りあえず以上です。
○菊池主査 ありがとうございました。
今の横堀アドバイザーの御発言の中にもあった関係で、藤尾アドバイザーのときにちょっとお聞きしたいなと思ったことがあったので、1つだけ藤尾アドバイザーに確認させていただきたいのですが、私は千葉県の基幹相談支援センターとか、いろいろ関わりを持たせていただいたりしていて、千葉県の取組が非常に進んでいるというのは承知しているのですが、藤尾さんのキャリアセンターの就労支援の部分において、千葉県の独自の取組でここまでやってこられている部分があるのか。そして、先ほど全国各地、必ずしもそうでないという御発言かと思いましたが、その際にノウハウというか、そういったものを提示していただいていると思うのですが、千葉県の取組を進めていくということについて、この段階で何か御発言いただければと思うのですが、いかがでしょう。
○藤尾アドバイザー ありがとうございます。
千葉ではナカポツセンターが現在16あるのですけれども、平成18年から連絡協議会という組織を立ち上げまして、ナカポツセンターがどうあるべきかということを常々議論をしてきています。当時はまだまだナカポツセンターが法人の持ち物と捉えられているような時代で、そうでなくて地域の資源なのだということを各法人にもしっかりと訴えていくためには、ナカポツセンターの協議会が必要だろうということで、そこからずっとこの活動をしてきています。その活動の中では、地域で必要とされる資源にならなければいけないということで、地域の意見を吸い上げるネットワークを必ず全てのセンターでやろうということで、そこから上がってきたものを中心に、その業務内容なども、もちろん厚労省からいただいている業務内容に即してなのですが、運営をしていくという流れをつくっています。
この間、ナカポツ同士でもよくけんかをしましたし、今日岡田アドバイザーがいらっしゃるからよく分かりますけれども、教育委員会とも物すごくけんかをしました。ただ、そういった時期を経て大分いろんな意見交換ができるようになり、本当に必要なものは何だろうかということが見えてきたような実情があります。
一方、県のほうでは企業支援が必要だろうということで、各ナカポツセンターに県単位で企業のOBを配置して、企業支援員というのを配置しています。これは企業の雇用相談専門の専門員です。それとナカポツのスタッフが連携を取って動く。もっと言うと、ハローワークの雇用指導官などとも連携を取って動くので、ほぼここが一本のラインになって支援をしていくと。
変な話、企業支援員とナカポツの支援員が法人内でけんかをすることもあります。こういった大変な人をお願いしたいのだけどと。いや、そんなのは企業がうんと言わないよみたいなやり取りがしょっちゅうあるのですけれども、こういったことをけんけんがくがくしながらやってきて、それが今も続いているというところが、ひょっとしたら千葉のいいところなのかなと感じています。
以上です。
○菊池主査 どうもありがとうございました。
ちょっと私が口を挟んでしまいましたが、あと4名の方、できれば御発言をいただければと思っております。石﨑アドバイザー、お願いいたします。
○石﨑アドバイザー ありがとうございました。
今回事前の資料や議論等を聞かせていただきまして、冒頭で工藤アドバイザーもおっしゃられていたことだと思うのですが、様々御指摘いただいていることの中に、制度改正を伴わなくとも比較的早期に工夫によって実現できそうな内容と、制度改正が必要であったり、あるいは将来に向けて大きな改正が必要になるものという形で区分できるのかなと思いました。
比較的早期に対応ができそうなものとしては、今、お話にもあったような好事例の周知ですとか、諸機関の連携や情報共有といったことですとか、あと、これもどこまでというのはありますけれども、支援のICT化の導入によって、例えば支援員の偏在の問題を多少なりとも改善していくとか、そういった方向というのはできるのかなという印象を受けたところでございます。
他方、制度改正を伴うものとして議論に上ったものとしましては、複数のアドバイザーからも指摘がありましたみなし雇用の制度でありまして、これはほかのアドバイザーの中からも指摘が出ているように、場合によっては直接雇用のインセンティブをそぐおそれもありますので、慎重に検討する必要もありますし、また、叶アドバイザーからの御指摘でしたか、発注に際して適正な条件でといったように、制度設計上のいろいろな工夫が必要かなと思いますけれども、私個人としては導入の検討が必要な時期になってきているのではないかという認識を持っております。
あとは、これは又村アドバイザーのほうから指摘がありましたが、障害者手帳所持者以外の就労支援ニーズを抱えている者をどう取り込んでいくかという課題ですとか、あと、現行の納付金、調整金制度、このままでよいのかという点も、本ワーキングの枠の中かどうかというところはありますが、検討課題になるのかなと思っております。
また、工藤アドバイザーがおっしゃられていたピアサポーターの文脈の中で、障害者が自分の意見を事業主側に伝えるような仕組みが必要ではないかというお話だったかと思いますけれども、例えばドイツなどを見ますと、従業員代表の障害者版というものがありまして、企業はそうなのですが、企業だけでなくて、日本で言うB型に相当するような作業所においてもそういった代表の選出が求められているところでありまして、今後そういった仕組みなども検討の課題になってくるのかなという気はしております。
その上で、ほかのアドバイザーの方にぜひお尋ねできればと思った点が何点かありまして、お尋ねしたいのですが、まず1点目、特に叶アドバイザー、久保寺アドバイザーにお尋ねしたい内容としましては、現在就労継続支援の利用者の方の中に、もちろん一般就労への移行を目指しておられる方と、そうではなくて長く働き続けたい方と両方いらっしゃるということだと思うのですけれども、それはある程度年齢あるいは経験で類型化できるものなのか、それとも必ずしもそうではなくて、例えば若年であったとしても同じ場所で長く働きたいという希望を持つ方もいるし、高齢でもまだまだ一般就労を目指していこうという人がいるということなのかという辺りについて教えていただきたいということ。
あとは、両アドバイザーから今後の就労支援体系の大きな見直しの図表を示していただいたと思うのですが、両アドバイザーの示していただいた図の中で、お互いに一致されている部分とそごのある部分があるのかなと思ったのですが、その辺りについて、もしよければ教えていただけるとうれしいなと思いました。
これは両アドバイザーに限らない話かもしれませんが、キャリアトランジションというのを考えたときに、例えば一般就労で働いていた障害者の方がほかの障害者の就労支援に関わる、ピアサポーターとなるというキャリア展開の在り方が現実にどの程度あり得るか。また、そういった事例があるのかどうかということも教えていただきたいなということ。
最後に、これは横堀アドバイザーにお尋ねするべきかもしれませんが、就業面の支援と生活面の支援があって、それぞれ分かれ得るとは思うのですけれども、例えば労働者の健康の管理といった問題に関して考えたときに、それは生活面の支援というふうにきれいに分かれるものではないと思うのですが、とはいえ、企業は労働者に対して健康配慮義務を負ったりもしますので、どういう位置づけになってきて、その支援はどういった形で実施されると望ましいのかといった辺りについて御感触。これは横堀アドバイザーに限らず、ほかのアドバイザーでも結構ですけれども、聞かせていただけると大変ありがたいです。
すみません。長くなりましたが、以上になります。
○菊池主査 ありがとうございました。
これまでの議論を整理していただきまして、ありがとうございます。
質問がございましたが、先に一巡させたいので、差し当たりは進めさせていただきます。
網屋アドバイザー、お願いいたします。
○網屋アドバイザー 第一生命チャレンジドの網屋でございます。
私のほうからは、皆さんからも御意見がございました福祉と就労、雇用との関係の中で、A型の位置づけと企業との関係を今後どういうふうに考えていくのかということについては大変関心を持っております。今回アドバイザーの中で私と横堀さんのところが企業からの代表ということで参加をさせていただいているのですが、たまたま横堀さんのところでは、先日のお話でもお聞かせいただきましたとおり、会社、グループの中でA型の運営等もされていらっしゃるということですので、その中で今の運営の実態みたいなものがどういう感じになっていらっしゃるのか。先ほどもいろいろと御説明をいただいた部分もありました。ですので、その辺りをぜひお聞かせいただけるとありがたいなと思っています。
今回、我々もA型に進出するのかどうかという話になったときに、東京の中ではなかなか難しいなと思っている部分もあるのですが、北海道という地域性もあるのかもしれないですが、そういう福祉全般に幅広にカバーされるという運営をされているというところに私としては大変頭が下がるなという思いでいっぱいでございます。
しかしながら、運営するとなると、実際にはいいことばかりでなくて課題もいっぱいあるのだろうなと思っていますので、実際にやられてみた上でのいい点とか課題というところをお聞かせいただけるとありがたいなと思っています。
あと、先ほど皆さんのほうからもキャリアトランジションの話が出ています。前回の話の中で私もお話をさせていただいたところではございますが、先ほど横堀さんのところから数字で具体的にお示しいただいたところも大変ありがたかったなと思っているのですが、当社の中で言えば、どちらかというと50代ぐらいなってという感じかなと思っているのですが、なかなか就労が厳しくなって、では、この先どうしていこうか。その道筋を相談できるところがなかなかなく、結果としては地域の就労支援センターと相談しながらB型に移行していったという事例が幾つかございます。
今回の話の中でも、例えば一般就労と福祉をうまく組み合わせながら週3日の一般就労と云々という話などもいただいています。こういう仕組みが将来的にできていくと、一つおもしろいパターンではあるのかなと考えておりまして、我々企業側としては当然雇用率の関係もありますので、できる限り長く働いていただきたいという思いがある一方、やはり能力の低下というところをどういうふうに企業として判断していくのかというところもしっかりと考えていかなければいけないのだろうなと思っています。
結果として、当社の場合には一般企業就労からB型になったということですので、能力としては相当ダウンしていたという状況だったのだろうなと判断しています。ですので、段階的に雇用から福祉に移行していくという仕組みをしっかりと考えていくということを議論できると、もう少しスムースな移行、もう少し早い時期での移行とか、そういうことの検討の材料にはなるのだろうなと思っていますので、この辺りについてもぜひ皆さんと議論をさせていただければなと思っております。
私のほうからは以上でございます。
○菊池主査 ありがとうございました。
横堀アドバイザーに対する複数の御質問がありましたので、後ほど時間があればお話しいただきたいと思います。
あと、岡田アドバイザーと眞保アドバイザー。もしよろしければ岡田アドバイザーからお願いしてよろしいでしょうか。
○岡田アドバイザー ありがとうございます。
時間もありませんので、私のほうから幾つかだけ。お渡しした資料でございますが、実際に今、使っている、私が校長をやっていたときの流山高等学園の「進路の手引き」でございます。高等部から特別支援学校に入っていらっしゃる方については、ほとんど初めて診断をされた人、初めて手帳を取った人、そういう方たちがたくさんいらっしゃいますので、保護者に3年間かけて丁寧に説明をしてまいります。
下に行っていただいて、全体像が分かる3年間の計画が出てきます。こういう感じで進路説明会、三者面談、現場実習、また面談という繰り返しをしながら、全体の制度の概要、本人の状況、保護者の本人に対する状況、そういうものを生徒そのものも理解しながら、自分の子供、あるいは本人が今後どういう進路選択をしていくのかというのが見えるように、3年間の見通しを持たせたり、進路選択というのはどういうことなのか、障害者就労がどういうことなのかということについてイメージを持っていってもらうようにしていきます。
見ていただければ分かるように、実習があったり、面談があったり、アセスメントがあったりということを繰り返していくような形で保護者が理解できるようにしていく。あるいは卒業するに当たって、どんな支援機関があったり、あるいは年金があったり、成年後見制度があったり、余暇活動があったり、グループホームとか、生活全般にわたって障害のある生徒が独りで生きていくための制度とか手続について御理解していただけるように説明を何度も繰り返していきます。
それから、1年生と3年生辺りで重点を置く説明というのがあります。パワポの資料をお送りしたかと。これは1年生ですので、どんなイメージになるのかということが分かるような形で御説明します。
3年生のものは、卒後支援というのがあります。就職した後に、この後どういう支援がされていくのかということについて説明をして、具体的に理解をしていってもらうようにします。そのために個別の移行支援計画などの説明も行われます。
エクセルの資料、個別の移行支援計画というのは、この問題点の中にも書かれていた個別の教育支援計画をいろんな機関で共有するということも必要なのではないか。それは多分どの都道府県でも現在共有をされていると思っています。個別の移行支援計画という形で、福祉系と就労系と両方にわたって、進路先、余暇活動、地域での活動、医療とか健康に関する、どんな病気を持っていて、どういう病院にかかっているのか、どういう状態が起こったりするのか、そういうことも含めて個別の移行支援計画に記入して、これを先ほどの藤尾さんの障害者就業・生活支援センターさんと本人と保護者と学校で共有して、そして進路先とも共有していく。
これをつくる過程で本人の意向。高校生ぐらいになると、本人の意向と保護者の意向が違ったりするので、カリキュラムの中で、本人は実際はどうしたいのか、保護者と切り分ける形で自分の意見をつくらせていくということもしていっているところもあります。
そういうことをやりながら移行支援計画をつくって、障害者就業・生活支援センターさんや市の就労支援センター、千葉県では中核地域生活支援センターというのがあるのですが、そういうところと情報を共有して、そして就労先等と共有することによって、例えば就労先で発作がありましたとか、あるいはこういうことが起こっていますということを事前にちゃんと御理解いただいた上で就労していって、そのことが起こったときにどういう対処をするかということを御理解いただいておくということが大事なポイントかなと思っております。そういうことをしていますので、そこの中の問題点として挙がったところについては、これは全ての都道府県で同じようなことが行われていると思っています。
もう一つ、就労支援のシステムについての資料があります。千葉県では就労支援の就労率というのが非常に低かった時期があって、かなりてこ入れをするために就労支援のネットワークをつくりました。特別支援学校を6つの地区に分割して、それぞれネットワークをつくって、実習先とか就労先がぶつかり合わないように情報を共有していくというシステムをつくってまいりました。
校務分掌として就労支援コーディネーターというものを置いて、地区ごとに障害者就業・生活支援センターさんと共同でセミナーを開いたり、そこに特例子会社連絡会、中小企業家同友会の皆さんたち、あるいは新しい企業の皆さんたちに集まっていただいて、地区ごとのセミナーとか連絡協議会とかをやって情報共有していくという仕組みをつくっていく。もちろん、特例子会社連絡会が開いている研究協議会などにも就労支援コーディネーターが出ていったりするわけですが、そういうことをすることによって、企業さんからよく怒られていた、現場実習がほかの学校とかぶって困るとか、そういうトラブルがなくなって、就労率が30%ぐらいだったものが40%ぐらいに上がっていったという流れがありました。組織化することによって。
ただ、これはもろ刃の剣で、教員の業務量が非常に増えたのです。下のほうに行けばどれほど大変かというのが分かりますが、実習先の確保ぐらいで1万社とかを確保するわけです。千葉県、東京都、埼玉県、神奈川県というところで。そこと連絡を取り合いながらやっていくことになりますので、非常にオーバーワークになっているというところで、ここに障害者就業・生活支援センターさんや人員を充てていただく。教員でなくていいと思っているのですけれども、そういう人たちがいてくれて情報共有してくれると非常にありがたいなと思っているところもあります。
いずれにしても、こういうネットワークをつくることによって、窓口校をつくって、例えば1つの学校が千葉県内の幾つかの会社については完全に取りまとめの窓口になっています。こういうことをすることによって集約化と整理ができて、学校間のいろんなトラブルがほとんどなくなり、企業さんから怒られることもほとんどなくなりました。そういうことと併せて情報の共有が非常に進んだと思います。就労支援に関するネットワークを都道府県の中につくっていき、一元化していくということは非常に重要だなと思いますが、そこに対する人充てをちゃんとしてほしいなと思っています。
最後に定着支援です。先ほどのパワポの3年生の資料ですが、移行支援という会議を行っていくのですけれども、今、特別支援学校は、卒業したら障害者就業・生活支援センターと一緒に支援をして、3年間でスライドさせていって、3年たったら障害者就業・生活支援センターに完全に移行させていくようにスライドさせていく。多分これはどこの都道府県もほとんど同じようにやっていると思います。
その後、卒業した学校ですから、ちょっとこういうので困っているのだという話が特別支援学校に来れば、障害者就業・生活支援センターのほうに話を持っていって、共同でいろんな問題を解決するということかなと思っています。そのシステム自体は悪くはないかなと。いろんな窓口があるけれども、最終的な集約口は、卒業後は障害者就業・生活支援センターが吸収していくという形でやっていったりしていますので、そのスタイル自体は多分どこの都道府県もある程度共有化されているのではないかなと思います。
問題点のところにありました幾つかのことについて御説明をさせていただきました。
以上でございます。
○菊池主査 どうもありがとうございました。
全体としての千葉県の取組というのがまた見えてきたような気がいたします。
それでは、眞保アドバイザーのほうからお願いできますでしょうか。
○眞保アドバイザー ありがとうございます。
まず、論点が大変多岐にわたる中でおまとめいただきまして、ありがたいと思います。
また、今回各アドバイザーの皆様方の貴重なお話をお伺いしまして、いろんな御示唆いただいて、大変勉強になりました。申し訳ございませんが、時間がございませんので、共感する点等をお話しする時間は割愛をさせていただきます。
私のほうからは大きく2点ほど論点として気にかかっているところをお話しさせていただきたいと思います。(1)と(2)、一つずつぐらいあるのですが、まず先に(2)のほうをお話し申し上げます。
(2)のほうの雇用から福祉へのキャリアトランジションの問題に関係するところでございます。小幡アドバイザーさんから出たお話にも関係するかなと思うのですが、まずはこの問題は御本人の御希望、ニーズが一番大切だということが大前提にあろうかと思います。また、その背景には、これは障害のある方、ない方関係ないと思うのですけれども、今、障害のない方も60歳以降あるいは65歳以降のキャリアトランジションにおいてはいろんな葛藤があるところです。同じような仕事を担うケースでも賃金何割か減額となります。これは生涯における賃金制度の中で当然と言えば当然のことですが、そうした状況の中で葛藤があるわけです。
当然障害のある方も、これまで賃金を得て労働を供給している中で、福祉の領域に現行の制度のまま変わるということですと、大幅な賃金、工賃になるか、A型とB型と変わると思うのですが、いずれにしても収入がダウンするということが伴ってくると思います。これは知的障害の方であれば、ご本人と保護者の御意向もありますし、精神障害の方であれば、御本人の納得、そうしたところが必要になってくると思います。ですので、この問題を議論する大前提として、丁寧な相談支援ということが求められてくると思います。
では、そうした丁寧な相談支援をどこが担っていくのかということですけれども、これが(1)に関わってくるところなのですが、先ほど来お話が出ていますように、ナカポツというところが大きくなってくるのかなと思います。というのは、現状では、先ほど岡田先生から特別支援学校からの就労支援のお話を伺いましたが、いずれにいたしましても3年ということが今、現行の制度で中心になってきていますので。もちろん、私も以前勤務していた県の教育委員をさせていただきましたので、3年以降、特別支援学校の先生がずっと寄り添っている例はたくさん知っているのですけれども、定着支援も3年ということになりますと、実は御本人の高齢化と保護者の高齢化、両方がございまして、就労の基盤となる生活の背景が大きく変わるということが、長く雇用労働を続けていると必ず起きてくるということです。では、その際の相談というのは、既に長く働いているということを考えますと、恐らく定着支援とか学校とも縁が切れているかもしれないということを考えますと、ナカポツの機能の強化を一定程度考えていく必要があるのかなと思っております。
あと、少しつけ加えさせていただきますと、2番の新しい就労支援ニーズのところで、医療との連携という議論が出ておりませんでしたので、医療との連携の在り方をどのような形にしていくのかという点を追加が必要ではないかと考えます。これは企業様からも大変ニーズを伺っているところですので、ご検討いただけたらと思います。
もう一つは、最初のところで工藤アドバイザーさんから出ておりましたが、テレワークは今後一定程度増えてくると思います。また、精神障害のある方にお話を伺いますと、テレワークに親和性のある方もいらっしゃいますので、テレワークを進めるに当たっての就労支援の人材育成は、今後のことになってくるかと思いますけれども、必要になってくるのではないかなと考えております。
以上です。ありがとうございました。
○菊池主査 ありがとうございました。
最後のほうで医療との連携というこれまで出ていなかった論点を御提示いただきまして、これについて次回また整理案をお出しいただく際に、今日は時間がないので、眞保先生から企業の取組とかお話がありましたので少しお話を伺って書き込んでいただけると、またそれについて皆さんで議論ができるかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
ありがとうございます。
ということで、一巡でこの時間になってしまったと。半ば予想された事態ではあったのですけれども、なかなか二巡目でまたじっくりというわけにまいりません。ただ、私の一存で申し訳ないのですが、後半部分の皆様はそれまでの御発言に対してコメント等もしていただけたと思うのですが、最初のほうで大分自重されたかなという気がいたしまして、とりわけ松下アドバイザーさんから御質問のみという形になって、御意見が多分おありだと思いますのと、酒井アドバイザーは一巡目でこのぐらいにということで、多分遠慮されたと思うので、すみません、まずお二人からお話を伺い、そして複数のアドバイザーから御質問ございましたので、横堀アドバイザーから御返答いただくと。今日はこのぐらいかなという気がいたしております。
それでは、よろしければ、松下アドバイザー、いかがでしょうか。
○松下アドバイザー 松下です。よろしくお願いします。
ナカポツのことで少しだけ発言させていただきますと、藤尾さんのところの千葉をまねて、実は愛知もそういう仕組みを一部取り入れてやろうとしております。これで2年たちますけれども、なかなかうまくいっていないというのが現状でございます。ただ、千葉がうまくいっている理由というのは、けんけんがくがくの意見交換ができているということはあると思いますので、愛知もこれを取り入れてやろうとしているということです。
藤尾さんの意見書を読ませていただいて、本当に熱い人、やはり人材かなというのを我々は一番感じておりまして、ハローワークの職員もそういう人材を専門援助のほうに配置しているところはうまくいっていますし、そうでないところはなかなかうまくいかない。帰するところ、システムがあっても人材が肝だなと思っているところです。
私のほうからは以上です。
○菊池主査 ありがとうございます。
それでは、酒井アドバイザー、いかがでしょうか。
○酒井アドバイザー お時間いただきましてありがとうございます。
途中で終わっていましたので、引き続き整理案についての意見を申し上げたいのですが、定着支援についてです。意見の整理の中でも障害者就業・生活支援センター、就労定着支援事業、雇用、福祉にまたがってこの分野を行っているわけですけれども、雇用と福祉施策によって支援のスタンスが違うということが挙げられて、本当にそうだなと思いますし、就労定着支援というのは、報酬上の仕組みの問題もあるのですが、誕生して間もない制度ですから、定着支援のスタンス、理念の浸透であるとか、就労定着支援というのは実際何をするのかと。支援技術の普及でありますとか、法改正とかではなくて、私たち団体としてもその辺りを整理してもっとやるべきことがあるなと思っているところです。
そういう中で定着支援のリソースというのはまだまだ充実が必要だと思っています。そういう中で就労定着支援の設置数が福祉分野においては、当初想定していたより思うように伸びていないという現状もあって、それは運営上の仕組みの問題というものもあります。年間にコンスタントに就労者を輩出していかないと、なかかなこの事業を継続して運営していくことが難しいということであります。
他方、福祉サービスにおいては、現在障害福祉計画とか、あるいは今回改定がありましたが、報酬においても継続支援から一般就労へさらに促進していこうという流れがございます。そういう中で、先ほどナカポツの機能充実ということも挙げられておりましたが、今後、例えば福祉サービスの中で出身事業所が小規模な事業所から就労実現された方、あるいは継続支援から就労実現された方、その中でも定着支援事業が出身母体で利用できない方というのも想定されますので、障害者就業・生活支援センターに対して新たに就労定着支援の指定に関して、指定をして機能を持つという仕組みが考えられないか、ちょっと検討いただきたいなと思っているところです。
5ページの雇用施策に係る課題ですけれども、1つだけ申し上げさせていただきますと、公的機関が行う就労支援については、地域の就労支援のリソースの状況によって求められるものも変わってくると思うのですが、現場から見ていますと、地域センターの役割については、実践のフィールドも持ちながら、もう少し直接支援から後方支援に回れるものがないか。研修など就労支援の人材育成には力を入れていただいているのですけれども、もう少し後方の支援や支援のコンサルティングを行っていただいて、地域の就労支援の底上げにさらに貢献していただけないか。現場の感覚としてもそういうことも検討いただけないかなと思うところです。
さらに、A型の進む方向性についてですが、私も実際現場ではA型事業所も運営しているわけです。いろいろ課題が指摘されながらも7万人以上の障害者が雇用されているという状況になれたことは大変意義の大きいことだと思うのですが、一方で、雇用されている障害者の方を障害福祉サービスだけで支え続けていくということがどこまで継続できるのか、どこまで続けていけるのかということも課題に挙がってくるのではないかなと思います。
少し大きな話になりますけれども、今後の方向性として、障害者のある方だけではなく、対象者を就労困難者層に広げて、保護雇用とか社会的雇用とか、そういう仕組みが将来的に発展的にこのフレームやノウハウを生かして進められればいいのではないかなと。これは希望としてですが、思っているところです。
7ページ目のキャリアアップについてですが、これは雇用する企業がその視点を持つということが大前提ですけれども、社内でのキャリアアップについては、人事上の評価はセットであると思いますので、これは前回も申し上げましたが、障害者雇用制度として企業に労働条件の向上を目指すインセンティブというのが何か考えられないかということ。転職をしてのキャリアアップについては、既存の人材開発施策や制度について、障害者雇用にも運用ができるものがないか、この辺りも検討してはと思います。
最後に、教育との連携、普通校との連携について論点に含めていただき、ありがとうございます。これは私も発言しましたので。在学中の早い段階で本人、家族や進路を考える教員の方に情報発信などのアプローチとか、あるいは職業体験が連携の下に容易にできるようになればなという思いで発言したものですけれども、今日ほかのアドバイザーの方からもありましたように、層は違いますが、発達障害の大学生の課題など、現場では多く聞かれますから、雇用、福祉、教育の連携の在り方については、この場では限界があるかもしれませんけれども、幅広く連携の可能性を検討していかなければならないことだろうなと改めて感じました。
お時間いただきましてありがとうございました。
○菊池主査 ありがとうございます。
それでは、横堀アドバイザーから先ほどの御質問に対するコメントをお願いできますでしょうか。
○横堀アドバイザー クリーンリースの横堀です。
まず、石﨑さんのほうから御質問のあった健康面の話ですけれども、私のところは中小企業ですので、特例子会社と同じように例えば産業医がいたり、PSWがいたりということはあり得なくて、一般の人たちと同じように肩を並べて働いてもらっているという中で、せいぜいできても厚労省に言われている健康診断ですとか、それからコロナ禍だったり、インフルがはやるような時期だったら、朝の体温チェックを入り口でしているとか、状況はどうだというのを朝礼のときに確認するという程度が限界で、それ以外の生活の部分というのは、うちは自分たちで福祉の部分も持っているので、そちらのスタッフに任せてやっていくということで、今まではそれが外部の福祉との連携の中でやっていくと、なかなか意思疎通もうまくいかなかったり、思ったように動いてもらえなかったりというのが、同じグループの中で動いていきますので、それはここ5年ぐらいは大分うまく回るようになったのかなと思っています。
次に、網屋さんから御質問のあった弊社のA型の実態の話ですけれども、第一生命さんと同じで、弊社も昭和46年から雇用してきた中で、田舎ですので、平均賃金が15万ぐらいの中で、うちを辞めて地元のB型にとなったとき、月の工賃1万5000円とか2万円という世界に果たして放り出せるのかという問題がずっと弊社にはありまして、周りの目等もありながら、あそこ、放り出したぞと言われることがないようにしなければならないということで、いろいろ試行錯誤してつくったのがA型になります。
今、うちはA型を2か所やっていて、セーフティーネット型という形でやっているA型というのは、入り口を設けていません。なので、おたくのA型を利用したいのですという入り口というのは設けていないのです。基本的には一般就労で受けるという前提で受けた中で、加齢だったり、それ以外の支援が必要な方の受け皿としてのA型の運用という形を取っています。
いい点、悪い点ということであれば、これでようやっと特例子会社と肩を並べられるような支援の体制をつくれるようになったというのが現状で、実は特例もA型もカテゴリー的には、端と端かもしれませんが、保護雇用だと思っています。中小企業だと一般の人たちと肩を並べてやってもらわなければいけないということだと思っていますので、そういう意味では、悪い点というのは1点もなくて、いろんな課題が解決できたと思っています。
以上であります。
○菊池主査 ありがとうございます。
本来であれば、このような形で皆様同士の議論をもう少し活性化させたいというのが当初の狙いでもあったわけですが、かといってお一人3分という発言時間を設定するのも、まとまったことを言うにはある程度の時間がないと言えないという部分もありますし、皆さん、まだまだ発言されたいことがたくさんあったと思うのですが、本当に申し訳なく思っております。
今回も多くの資料を御提出いただきましたが、言い足りなかった部分については、また事務局のほうで整理をしていただき、今日の議論を反映させた整理案が出てくると思いますので、次回の会議に合わせて事前にそのメモを御提出いただければと思います。
それでは、今日はこの辺にさせていただきますが、すみません、時間がもう来ているのですが、私から事務局に2点お願いがあります。これから取りまとめに向けて、1つは中身に関わるのですが、事業主の責任というか、合理的配慮義務との関係は、親会との関係では、それは第3ワーキングの課題だよねと言われていまして、宿題なのです。ただ、これまでの議論の流れとか、あるいはそれ自体が非常に難しいテーマなので、これから議論するというのは難しいと思うのですが、しかし、第3ワーキングが何もやらなかったのかと怒られることにもなりますし、今後の課題であることは間違いないので。さらに皆様から何か御意見があれば大変ありがたいので、次回御提示いただく整理案の中に何らかの形で。通勤支援、職場における支援辺りかなとも思いますが、ちょっと組み込んでいただけたらなと思います。
もう一点はまとめにかけてなのですが、ちょっと大きな話ですけれども、今回労働施策と福祉施策の連携ということでやっているわけですけれども、言ってみれば、労働・雇用施策の中での福祉的支援、個別的支援の必要性、ニーズの高まりという背景があると思うのです。それで福祉施策との重なりというのが出てきていると。
同じように、今、コロナとも関係しますけれども、求職者支援制度と生活困窮者支援制度、重なりがこれから必ず政策課題になってくると思うのです。求職者支援の中で就職率が落ちていると。その中で個別支援が必要だという状況になってきていて、それは生活困窮者支援制度と重なってくるので、この連携が必ず必要になってくると思うのです。
実は障害者施策と困窮者支援施策は事実上重なりがあって、障害者施策の中で様々な困難を抱えた方がその施策を利用されていたり、逆に生活困窮者支援の自立相談支援の中で、障害を持つ方が困窮者施策を利用して就労支援をやっておられるという例も幾らでもあると思うので、事実上そこも重なっていますから、このまとめに当たって、今後狭い意味での障害者施策を超えた射程を持つような、そういうものにつくっていっていただきたいというのが私からのお願いなので、ちょっと御検討をお願いできればと思います。
すみません。時間を要してしまいました。
それでは、予定していた時間を過ぎましたので、最後に議題「その他」といたしまして、事務局からお願いいたします。
○竹内障害福祉課課長 障害福祉課長の竹内でございます。
本日は御多忙の中、御議論いただきましてありがとうございました。
第3回は2月25日木曜日を予定しております。次回につきましても、本日と同様に「論点を踏まえた議論等の整理」について議論いただきたいと考えておりますが、詳細につきましては、主査と御相談し、別途御連絡させていただきたいと思います。
また、第4回からは、第3回までの議論を踏まえたワーキンググループとしての取りまとめに向けた検討に移っていきたいと考えております。このため、まだ議論の中で触れられていない新しい論点などがございましたら、第3回、次回までに御発言いただきますようお願いいたします。
最後に、各アドバイザーにおかれましても、先ほど主査からもお話があったとおり、引き続き言い足りないことも含めまして参考となる資料などがございましたら、幅広に事務局まで御提供いただければと思います。菊池主査と相談し、机上配付資料としてお配りするなど、活用させていただきたいと思います。
事務局からは以上でございます。
○菊池主査 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。
皆様、どうもありがとうございました。お疲れさまでした。