2021年2月5日 第25回中央訓練協議会議事録

人材開発統括官付訓練企画室

日時

令和3年2月5日(金) 10:00~11:45

場所

Web開催

議題

(1)令和2年度ハロートレーニング(公的職業訓練) の実施状況等について【報告】
(2)令和3年度全国職業訓練実施計画(案)について
(3)令和4年度ハロートレーニングの実施規模について
(4)その他

議事

 

○今野浩一郎名誉教授(学習院大学) 定刻になりましたので、第25回中央訓練協議会を開催させていただきます。本日の協議会は、前回に引き続きまして新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、Web会議で開催をさせていただきます。今日の御参加の方の紹介ですが、時間の都合がありますので、参考資料に出席者名簿がございますので、それを御覧いただきたいと思います。なお、鈴木一弥京都府商工労働観光部長の代理として、河島幸一商工労働観光部副部長に御出席いただいております。よろしくお願いします。
まず議題に入る前に、本日使用する資料とWeb会議の対応等について事務局から説明がございます。よろしくお願いします。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 事務局から事務連絡をさせていただきます。本日の協議会ですが、今、座長のほうから御説明がありましたとおり、Web会議による開催となります。Web会議の接続に問題等が生じましたら、事前に送付させていただきましたマニュアルに沿って、事務局宛てにメール又は電話で御連絡をいただければと思います。出席者の方におかれましては、御発言を希望される場合はZOOMの「手を上げる」機能によりまして意思表示をお願いいたします。「手を上げる」ボタンを押した上で座長から指名をされた後に、マイクをオンにして御発言ください。発言終了の際には「以上」などと言っていただくようお願いします。その上でマイクをオフにしていただければと思います。また、音声の乱れによりましてほかの発言者の発言内容が聞き取れないことがありましたら、その旨をチャット機能で事務局のほうにお伝えいただきましたら、再度発言していただくなどの対応を取りたいと思います。以上でございます。
○今野浩一郎名誉教授 それでは議事に入りたいと思います。今回は令和3年度の全国職業訓練実施計画(案)と令和4年度の公的職業訓練の実施規模を中心に議論をしていただきたいと思っています。まず議題(1)ですが、「令和2年度ハロートレーニングの実施状況等について」、事務局から説明をしていただきます。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 申し遅れましたが、私は訓練企画室長の平川と申します。今日はどうぞよろしくお願いいたします。まず、資料1を御覧ください。直近の公共職業訓練と求職者支援訓練の実施状況です。資料の2ページですが、こちらは離職者訓練と在職者訓練の実施状況です。まず離職者訓練のほうですが、受講者数は施設内訓練それから委託訓練ともに、昨年同月と比較して若干減少しているところです。受講者数については、昨年の5月頃の新型コロナの影響が非常に大きかったときに大きく減少しておりまして、その後回復はしてきておりますが、この直近11月までの合計では前年より減少ということになっております。
下にある表が在職者訓練ですが、こちらは更にコロナの影響を受けておりまして、特に昨年4月頃はほとんどの訓練校が休校していたということで、年間のトータルの数が大きく落ち込んでいるという状況です。
続いて3ページです。こちらは分野別の実施状況です。施設内訓練は建設系、製造系、サービス系が多く、委託訓練は事務系、情報系、介護系が多いということで、こちらは例年同様の傾向となっております。
4ページです。こちらは長期高度人材育成コースの実施状況です。昨年と比較いたしまして、受講者数も増えておりますし、コース数で見ますと、一番下の一番左になりますが、560コースということで、昨年より67コース増えております。内訳で見ますと、介護福祉士コースですとか、保育士以外の、その他のコースというところが昨年より61コース増えているという状況です。
5ページは学卒者訓練の状況、それから6ページは障害者訓練の状況です。こちらはどちらも令和元年度の数字ということになっておりますが、前年度と比較して、受講者数は若干減少しているということです。
7ページを見ていただきますと、こちらからが求職者訓練の実績ということになります。こちらは12月までの受講者数になりますが、約1万7,000人ということで、昨年同時期と比べますと、大体1,500人ぐらい増えているということです。内訳で見ますと、基礎コースのほうは減っておりまして、実践コースのほうは増えているという状況です。その下が就職状況ということで、一番右に就職率がありまして、大きく下がっておりますが、こちらは令和2年度分が、令和2年4月の1か月分の数字しかまだ取れないということでの就職率ということですので、その辺りは勘案して見ていただければと思います。
続いて8ページです。こちらは分野別の実施状況ですが、こちらも令和2年度は4月に修了した訓練コースの1か月分のデータということになっておりますので、御留意いただければと思います。昨年の数字は掲載しておりませんが、分野別に昨年の4月に修了した訓練コースの数字と比べますと、例えばITや医療事務といったところは昨年より就職率が上がっているというような状況になっております。
9ページです。こちらは実施機関からの求職者支援訓練コースの申請・認定状況です。基礎コースと実践コースの割合は3対7ということで、こちらは例年とほぼ同じということです。それから現在までの認定数、認定定員数ですが、基礎コースと実践コースを合わせまして約4万5,000人ほどとなっております。今年度予算上の定員は5万人ということですので、5万人には届いておりませんが、一定程度認定をしているという状況になっております。
10ページです。こちらは都道府県別の状況ですが、このグラフの一番右にありますのが基礎コースの比率ということで、全国の合計で見ますと、先ほど申し上げましたが、基礎コースと実践コースの比率が3対7ということで、基礎コースが28%ということになっております。県別で見てみますと、5対5になっているような県もありますが、ほとんどの県で基礎コースの割合が実践コースを下回っているといったような状況になっております。
11ページです。こちらは定員に対する応募の状況、それから受講に至った受講者数ということで、棒グラフの左から順に定員、応募者数、受講者数となっております。令和2年度上半期の状況ですが、右下の表を見ていただきますと、応募倍率が令和2年度の上半期が1.02倍ということで、直近では1倍を超えてきているということになっております。
そちらを分野別に見ましたのが12、13ページになりまして、応募倍率が1倍を超えておりますのは、12ページ左上のIT分野、それから13ページ左上のデザイン分野ということになっております。デザイン分野には、例えばWebデザイン、ホームページの作成等も含まれますので、今そういうところが応募倍率が高いという状況になっております。
14ページです。こちらは受講者の受けている分野の講成比について令和元年度と令和2年度を比較したものになりますが、特に、介護福祉のところが8.5%だったものが11.7%ということで、講成比が増えております。下にありますのが中止状況ですが、定員が半分埋まらなければ一旦募集したコースが中止になるということがありますので、その中止率については、実践コース全体で昨年同期と比較して下がっているというような状況になっております。
15ページです。こちらは受講者の年齢別で見たものでして、受講されている方は25歳~29歳の層が一番多くなっております。それからコース別で見ますと、基礎コースは45歳~49歳の方が一番多く受けておられて、実践コースでは25歳~29歳の方が一番多くなっております。
16ページです。こちらはどのような分野の訓練を受講しているかを年齢別に見たものです。若い方はITですとか理美容などを受けておられる方が多くて、45歳以上は介護福祉、営業・販売・事務分野が多くなっているような状況です。
最後の17ページです。こちらは男女比でして、実践コースの男女比は女性が7割で、基礎コースは女性が75%となっておりまして、大体例年と同じ傾向になっております。どの分野でも女性が多いのですが、ITについては男性のほうが多くなっております。
資料2のほうも続けて御説明させていただきます。資料2は令和3年度予算案についてです。昨年10月の第1回協議会では、概算要求についてということで、これと同様な表で概算要求の状況について御説明したところです。そのときは求職者支援訓練については、予算額や訓練規模は予算編成過程の中で調整していくということで、事項要求となっておりましたが、予算案として資料2の2ページの真ん中になりますが、求職者支援訓練のところが予算額としては115億円、それから人員としては5.1万人ということで予算を要求しているというところです。
3ページです。前回の中央訓練協議会においてもこのポンチ絵は参考資料としてお付けしたところですが、雇用と福祉の連携による離職者への介護・障害福祉分野の就職支援パッケージということで、介護分野の訓練について、職場見学等をカリキュラムに組み込むことを条件に、委託費等を1万円分上乗せするという内容ですが、こちらについては第3次補正予算で前倒しで実施することとしております。
それから参考資料3で、公的職業訓練の月別受講開始者数の推移を付けております。こちらは先ほど御説明いたしました受講者数の月別の動きを見たものでして、黄色い折れ線グラフが求職者支援訓練、青いほうが公共訓練の離職者訓練ということで、これは対前年同月比の折れ線グラフですが、昨年の3、4、5月辺りが前年比で大きく落ち込んだところですが、その後回復をしておりまして、特に求職者支援訓練については大幅に増加をしているところです。
その次に参考資料4がありますが、求職者支援訓練について、省令改正を予定しておりますので、その御説明です。まず、一番上の①のところは、先ほど申し上げました介護のパッケージのもので、1万円上乗せするといったような内容の省令改正になります。②はオンライン訓練ということで、求職者支援訓練について、オンライン訓練の実施を可能にするという省令改正です。③が諸々の要件緩和でして、求職者支援訓練は今後も対象者が増えることが見込まれておりますので、訓練実施機関の方がより参入しやすいようにということで、要件緩和をさせていただくということです。例えば訓練実施実績の要件の緩和ですとか、あるいは就職率などが一定基準を下回った場合の欠格要件について、一定程度緩和させていただくということになります。こちらは2月の中旬頃の公布施行を予定しております。
最後になりますが、参考資料5です。オンライン訓練の実施状況です。公共職業訓練については昨年の5月末に制度改正をしておりまして、オンライン訓練が実施可能となっております。求職者支援訓練は先ほど申し上げましたとおり2月中旬に制度改正を予定しております。昨年5月からの公共職業訓練で、オンライン訓練の実施状況ですが、今年度は高障求機構のポリテクセンターですとか、都道府県の訓練校では、いろいろ機材調達などを進めていただいたということで、試験的に実施などはされておりますが、本格的な実施は来年度以降になるのではないかと見込まれております。来年度開始いたしましても、何分初めてのことですので、最初は手探りでやっていく状況になるのではないかなと思っております。
一方で委託訓練のほうですが、専門学校では既にオンラインを導入されているケースもありましたので、そういうところでやっていただいておりますので、こちらに書いてありますが、一定程度、11月末時点で3,000人ほどの方が受講されているということです。長くなりましたが御説明は以上です。
○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございました。それでは皆さん、御意見、御質問がありましたらお願いします。仁平さん、どうぞ。
○仁平章総合政策推進局長(日本労働組合総連合会) 仁平です。どうもありがとうございます。資料1の12ページに実践コースの分野別の受講状況がありますが、これを見ますと、応募者が増えている一方で、IT分野と介護福祉分野の定員は減っています。労働者のニーズに応えるということも必要ですし、企業側のニーズを細やかに把握して、迅速にそのようなコースを追加していくということも必要だと思っております。
質問ですが、定員が減っている理由について教えていただけないかと思っております。訓練を行う事業者の申請が減っているのか、減っているとすれば、それはどのような理由なのか。あるいは、もしかすると地域ごとに応募者が偏っていて、こうなっているのかと思わなくもないのですが、この辺りについて、どんな理由があるのか分かれば教えていただければと思います。
○今野浩一郎名誉教授 どうぞ。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 分野によりまして、これは基本的に民間の実施機関の方が認定申請をされてこられるというところです。求職者支援訓練につきましては、制度創設以来、受講者数がずっと減ってきているといったような状況もありまして、手を挙げていただく実施機関もそれに伴ってずっと下がっていったというトレンドの中で、制度創設が平成23年で、ずっと下がってきたところなのですが、今、コロナの中で受講者数も増えてきていて、手を挙げていただく実施機関の方も多くなっているという状況です。
ですので、その減っているというところにつきましては、もともと減っているトレンドからちょっと上がってきているという見方もできるかとは思います。分野別にどういったところが手を挙げてこられるかというのは、各地域でニーズを踏まえて手を挙げてこられるということですので、詳細に分析はしておりませんが、例えばIT関係で言いますと、地域別に恐らく偏りなどがあるかとは思いますので、詳細に見てみないと分からないところがありますが、動きにつきましては、短期的な動きの影響もあるかと思いますが、その辺りは、長期的なITに対するニーズなのか、それともコロナの影響の直近の動きなのかというのも見ながら検討してみたいと考えます。
○仁平章総合政策推進局長 ありがとうございます。今の御説明のとおり、多分、足下でこのニーズが随分変化しているのではないかと思っております。数字を見る限り、これに何か十分に対応できていないのかと思ったりもするものですから、この辺にやはりスピード感を持ってどうやっていくのかということが課題ではないかと思っておりますので、意見として申し上げたいと思います。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございました。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 今の件でよろしいでしょうか。
○今野浩一郎名誉教授 どうぞ。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 IT分野などにつきまして、今、応募倍率が上がってきておりますが、タイムラグというのも恐らくあるかと思います。ですので、地域のほうでニーズがあるようであれば、例えば高障求機構さんも実施機関の開拓などもいたしますので、必要な訓練が確保されるように取り組んでいきたいと考えております。
○仁平章総合政策推進局長 ありがとうございました。
○今野浩一郎名誉教授 よろしいですか。それでは、画面を見ていてよく分からないのですが、関口さんですか。
○関口正雄常任理事総務委員会委員長(全国専修学校各種学校総連合会) よろしいですか。
○今野浩一郎名誉教授 はい。
○関口正雄常任理事総務委員会委員長 私からは、資料1-4の長期高度人材育成コースの実施状況についてと、資料2-1の予算に関して、非正規雇用労働者のための長期高度訓練コースについて御質問したいと思います。前回も大きな予算を付けていただいたにもかかわらず、我々の努力ももう一つということもあります。ただし、全体的な都道府県で実施していただいている状況については、長期高度という名称がほとんど使われていなくて、このコース自体の意味合いが周知されていないという問題だとか、募集期間が1か月未満の所、東京などはそうなのですが、そういうことで応募者がコースを知って対応するということについて行動がうまくいかないという問題がある等々、あるいは講座数が限定的だという課題があるということも申し上げていたところです。今回の数字を見ますと、若干ですが、介護・保育の従来のものも伸びていますが、その他のコースのほうは講座数が少し増えているということで、僅かですが講座数の拡大というところについては向上が見られると思っているところです。
とはいえ、4年目に入るわけですので、やはり私どもが各都道府県の専門学校により積極的な対応を促したり、あるいは都道府県に対して要望を出すときに、この求職者訓練の細かい分野別等々の説明に類した、例えばどんな講座が開講されているのか、新しく許可されたのか、それが都道府県別で見るとどんな状況なのかとか、非正規のうちの、例えば年齢的なことも含めてプロフィール等々で、どのような方が申し込んでおられるのか、この辺りのデータがそろそろ欲しいところです。それを踏まえて、我々のほうの行動とか、都道府県の担当への働き掛けというものをより積極的にできると考えております。次年度、いつ頃その辺の詳細な報告、あるいは中間的なもので、その辺のデータを出していただけるのかどうかということです。
別途確認させていただいたところ、令和2年のこの長期高度の402億円に対して、令和3年度は122億円ということですので、280億円減額されています。これは全体の予算から見ても減額の一番大きな要因になっているわけです。この非正規雇用労働者が今非常に苦境に立っているということは、いろいろ報道でもありますから、求職者支援訓練だけではなくて、非正規の人たちの安定的なキャリア形成につながるという意味での長期高度コースですので、大変重要なコースと思っております。そこで、これだけ大きな減額ですから、このコースをどう現状を評価されて、次にどう向かおうとされているのかという、大局的な見解も是非お聞きしたいということです。
○今野浩一郎名誉教授 どうぞ。
○篠崎人材開発統括官付人材開発政策担当参事官 事務局の政策担当参事官の篠崎でございます。長期高度人材コースへの御指摘ありがとうございます。まず大局的な評価ですが、メニューの多様化を進める中で、働き方改革を進めるときに、長期にしっかりと資格を身に付けていただいて、資格を身に付けることによって就職率もいいコースなので、それを多様化していこうということで、保育分野、介護分野以外にも広げていこうとした中での状況です。御指摘のとおり徐々に増えていますので、一定のニーズを酌み取ることはできているのかと。予算上は4,000人、5,000人、今そういう規模でやっておりますが、予算上は2万人とか、かなり万単位の用意をしておりましたが、実際はそこまで定員がいっておりませんので、それこそ2年コースの場合は急に増えるわけではないということもありますので、実績を見て予算のほうは減額をさせていただいたということで、実績が増えてくれば、またそれを見ながら必要な予算を確保できるようにしていきたいと思っております。
それから、この周知の問題ですが、介護福祉、保育のほかには、今、福祉系で言うと、精神保健福祉士とか、ほかに調理師とかメニューがいろいろでき始めております。効果的に周知しろという御指摘は大変大事だと思っておりますし、この高度コースに限らず、どういうコースがあり、また御提案のあったように、こんなふうに就職できたというのもあったほうがいいのではないかとありましたので、長期高度に限らず多様なメニューがあるということを示していく。また御指摘のところとしては、都道府県に働き掛ける材料ともしたいということでしたので、今は明確に時期は申し上げられませんが、そういったことを都道府県に働き掛けるだけではなく、求職者に働き掛ける意味でもそういう情報提供の向上には努めるように、宿題とさせていただきたいと思っております。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 もう1つ質問があったのですが。事務局いいですか。現状どうなっているかという詳細なデータはいつ公表なのかという御質問がもう1つあったのですが、この点については。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 データにつきましては、広報を周知していく中で非常に大事なことだと思っておりますので、早急に検討したいと考えております。
今後の長期人材コースにつきましては、4月開校がメインだという特殊性がありますので、広報のやり方が非常に大事ではないかと考えております。4月の直前に募集いたしましても、なかなか人が集まらないという状況もありますので、やはり通年通した広報が大事かと思っておりまして、各労働局のほうでいろいろ工夫されている事例などをもう把握はしておりますので、そういったのものも、全国の労働局、ハローワークですとか、あるいは都道府県のほうにも共有をいたしまして、効果的な周知ができるようにしたいと考えておりますし、その際、参事官からも今申し上げましたが、データが当然そろっているほうがいいということですので、そちらのほうも工夫して取っていきたいと考えております。以上です。
○関口正雄常任理事総務委員会委員長 よろしいでしょうか。
○今野浩一郎名誉教授 どうぞ。
○関口正雄常任理事総務委員会委員長 ありがとうございます。できるだけ早く頂きたいということと、繰り返しになりますが、名称の問題や募集期間の長期化ということについても、都道府県に対して御指導いただきたいと思っております。先ほどのお話の中で、令和2年までのおおむねの入校者目標が2万人という話でしたが、今年度は9,000人を目標ということで前回にお聞きしたような記憶がありますが、現状5,271人ですので、4,000人弱増やさないといけないということから考えると、これまでの伸び率からいって、相当な努力をしないと達成できない目標であるかと思いますので、改めて我々のほうも努力をいたしますが、都道府県に対する対応のほうも、改めてよろしくお願いいたします。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 その次に手を挙げていらっしゃる日本商工会議所、どうぞ。
○杉崎友則産業政策第二部担当部長(日本商工会議所) 日本商工会議所の杉崎でございます。新型コロナの影響により、雇用維持への取組とともに雇用吸収力がある産業や成長分野へのいわゆる「失業なき労働移動」を円滑に進めていく必要がございます。そのために離職者訓練、求職者支援訓練が果たす役割は極めて重要でありますし、これらの訓練はこれまで以上に大きく注目されております。一方で、先ほど仁平さんからも御発言がございましたが、日商の調査でも、建設業や介護・看護業などでは、コロナ禍においても深刻な人手不足が続いております。人手不足業種では採用意欲がある企業もいまだたくさんございます。このような人手不足業種やITをはじめとした今後の成長が期待できる業種に関連する訓練につきましては、強化・拡充をしていただきたいと思います。
次に、学卒者訓練について一言申し上げたいのですが、中小企業にとって若年の即戦力人材のニーズは非常に高く、学卒者訓練の就労者は正にそうしたニーズに合致した貴重な人材であります。だからこそ就職率も高いのだと思います。したがいまして、学卒者訓練は対象となる若年者にその魅力を十分にPRしていただくとともに、就職に至るまでのきめ細かい支援を講じるなど、こちらも強化・拡充をしていただきたいと思います。以上でございます。
○今野浩一郎名誉教授 事務局から何かございますか。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 事務局です。人手不足分野の訓練の設定の促進ということですけれども、例えば介護分野につきましては、先ほど申し上げたようなパッケージなども実施しているところでございます。分野につきましては、地域訓練協議会などでもニーズについて共有をいたしまして、設定を進めていくということですので、地域における人手不足の状況なども踏まえて、コース設定が進むように引き続き強化してまいりたいと思います。
学卒者訓練につきましても、ありがとうございます。こちらも非常に有効な大事な訓練だと思っていますので、引き続き取り組んでまいりたいと思っております。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 それでよろしいですか。それでは、河島さんどうぞ。
○河島幸一商工労働観光部副部長(京都府)(代理出席) 京都府の河島でございます。よろしくお願いいたします。何人かの委員の皆様方も既に御発言されておりましたけれども、このコロナの中で解雇離職者等が今後増えていく中で、公共職業訓練の果たす役割はますます重要になってくるかと思います。その中で、今年度の公共職業訓練におけるオンラインの訓練実施の関係ですが、参考資料5で御説明していただきましたけれども、制度改正をしていただくと同時に、それに必要な予算措置を速やかに取っていただきました。
京都府におきましても10月に条例改正をさせていただきまして、今は機器の導入を急いでおります。全体がそろってまいりますのは、3月ぐらいに整備が完了する予定ですので、本格実施は来年度からという状況になってございます。その中で、実施に当たって私どもから2点だけお願いしたいと思っております。1つは都道府県で条例等を改正する可能性がある、今回のような制度改正とか新しい制度の導入につきましては、私どもも議会調整等々がございますので、できるだけ早く速やかに情報提供を頂きたいということを1点お願いしたい。
それから、オンラインによる職業訓練というのは、実際の現場では緒に付いたばかりで、職業訓練指導員の多くがオンライン訓練に対するソフトとか機器操作、環境整備などの理解がまだ十分にされておりません。なかなか情報系の指導員以外の対応が難しい状況です。このため京都府では、訓練校の中にオンライン訓練の検討会を指導員中心に立ち上げて、いろいろ検討を進めているところですけれども、こうしたことをしっかりサポートしていただけるような、例えば職業大学校での指導員研修、ここにオンライン訓練に関する要素を身に付けられるような研修なども企画・実施をしていただいて、そうした人材の育成の部分でもお力を頂ければ幸いかと思っておりますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。
○今野浩一郎名誉教授 どうですか事務局。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 まず1点目ですけれども、制度改正の情報につきましては、なるべく早くお伝えするように、引き続き努めてまいりたいと思います。
2点目のオンライン訓練ですけれども、先ほどの御説明でも申し上げましたけれども、やはり今始めたところですので、皆さんなかなか手探りの状態で御苦労されていると伺っております。指導員の方も情報系の指導員の方は比較的付いていきやすいというようなことですけれども、ノウハウがまだ溜まっていってないというような状況かと思います。このオンライン訓練につきましては、高障求機構のポリテクセンターでもいろいろ工夫してやっているところですので、そちらのほうでもノウハウをなるべく蓄積いたしまして、全国の都道府県の訓練校の方に還元できるような形でやっていければと考えておりますので、そのように高障求機構さんにもお願いしていきたいと思っております。
○今野浩一郎名誉教授 河島さんいかがですか。
○河島幸一商工労働観光部副部長(京都府)(代理出席) はい、結構でございます。よろしくお願いいたします。
○今野浩一郎名誉教授 今おっしゃられた、人材育成上のサポートは非常に重要ですよね。
○河島幸一商工労働観光部副部長(京都府)(代理出席) そうですね、現場はハードが整備をされても、それを実際に動かしていく部分が課題かと現場のほうでは認識してございます。
○今野浩一郎名誉教授 ほかに、堀さん、手を挙げていますか、ではどうぞ。
○堀有喜衣人材育成部門副統括研究員(独立行政法人労働政策研究・研修機構) ありがとうございます。2点教えていただければと思います。まず、資料1-2の在職者訓練ですけれども、数の上ではほぼ半減しているような感じに見えるのですが、これは休校などの要因があったと、先ほど御説明いただいたのですが、今後どの程度、例えば来年度はどのくらい回復する見込みがあるのかについて教えていただけないかと思います。
そして第2点目に、資料1-15に、年齢別の属性別の分析がありまして大変参考になるのですけれども、これを見ますと若者で実践コースが多くて、中高年で基礎コースが多いという、意外な結果ではあったのですが、例えば男女別に見るとどういう違いがあるのかとか、あるいは取れるかどうか分かりませんけれども、学歴別に見るとどのような違いがあるのかなど、もう少し詳しい属性別の内訳を示していただけると大変助かるのですが、もしお分かりのことがあればお教えください。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 いかがですか。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 まず、資料1の2ページの在職者訓練が半減という状況ですが、4、5月辺りはもう10分の1ぐらいの数になっておりましたので、その影響が続いております。その後の回復の度合いですけれども、実は訓練が休講していた間の分の離職者訓練などが食い込んできたりしまして、施設内訓練ですので、やはり教室とか機材とかのキャパがありますので、そうした意味でも在職者訓練のほうが思うように入っていけない状況もございます。ですので、その休講の影響がどれくらいで回復していくかはちょっと見通しがなかなか難しいのですが、引き続き段々回復はしてくるのだろうと思っているところです。
2点目の受講者の年齢別の内訳のところで、15ページになりますけれども、基礎コースが45~49歳が多いというところで、若干推測になるのですが、ここのところが男女比で見ますと、通常より女性の比率が高くなっております。通常は女性7割ですけれども、ここは8割ぐらい女性になっていまして、推測ですけれども、例えば女性の働いておられなかった方が、この年齢になって労働市場に参入しようというときに基礎コースを受けておられるのではないかなと、想像になりますが、そういうところもありますので、データのほうは、今後またお示しの仕方は検討したいと思いますし、そうした分析のほうもしていきたいと思っております。
○今野浩一郎名誉教授 堀さんいかがですか。
○堀有喜衣人材育成部門副統括研究員 ありがとうございます。是非、データの詳細な分析をお願いできればと思っております。
○今野浩一郎名誉教授 今の在職者訓練についてですが、お話があったように後半に行けばいくほど、施設がなくてできないという影響が非常に大きいとおっしゃられましたけれども、ということは、すごく需要があったけれどもできなかったということですか。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 施設全体のキャパシティーがある中で、離職者訓練のほうは訓練のほうでやっていくということで、在職者訓練のほうはその都度短い期間のものをやっていくという感じでやっておりまして、やはり離職者訓練のほうが長期的に何箇月ということで先に組んでありますので、そうしたこととの兼ね合いでということはあるかと思います。
○今野浩一郎名誉教授 ということは、結局募集ができなかったということですか。施設がないから、限界があるから。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 その辺りの影響がどれくらいだったかというのは、手元に数字があるわけではないのですが、そのような話も聞いているところです。
○篠崎人材開発統括官付人材開発政策担当参事官 補足で申し上げますと、統計的なものではないですけれども、現場の話としては、ニーズとしてももちろん普段はやりたいというのはあるのですが、コロナ禍ですので、それこそ研修にまで出させるのかというのがありますので、そういうところが出しにくいとか、集合でもきちんと感染防止対策をすれば、研修もすればいいですし、訓練は離職者訓練もしているのですが、わざわざそういうところまで出すのかと。あと、企業側のニーズとしても若干出しにくいというのが前半はあったと聞いております。今後ここをどう回復してくるかは分かりませんが、そういう話も聞いております。
○今野浩一郎名誉教授 ほかにいかがですか。では佐久間さんから行きましょうか、どうぞ。
○佐久間一浩事務局次長・労働政策部長(全国中小企業団体中央会) 佐久間でございます。よろしくお願いいたします。事務局に3点ほど御質問をさせていただきたいと思います。まず、資料1の3ページで、令和2年度公共職業訓練の実施状況の所ですけれども、この参考という数値の中で、雇用期間の定めのない就職者数の割合があります。下の※の最後に、「雇用期間の定めのない就職者数とは、正社員就職者数並びにパート・アルバイト及び派遣社員で雇用期間の定めのない就職者数を計上」とあるのですが、これは正社員の就職者数並びにパート・アルバイトで雇用期間の定めがないものと、あと派遣社員で雇用期間の定めのない、派遣社員であっても雇用期間の定めのないということで、これは結局どのように見ていくのか分からないので、ここの解釈を教えていただきたいのが1点です。例えば委託訓練の52.5%と、上の表の都道府県が実施している委託訓練が全体で66.1%ですが、この辺の違い、何か全部が含まれているように読めるのでご教示をお願いします。
2点目は、資料1の14ページで、認定コースの中止状況が記載されています。
その前の12、13ページには分野別の定員充足率が載っています。定員充足率は高い分野や低い分野があったりします。この辺の中止と定員充足率の考え方、どのぐらいになったら中止を判断されているのかどうか、全くいなければ中止にしているのかどうか、これを確認させていただきたいと思います。
3点目は、資料3-1を拝見させていただいて、令和3年度における全国職業訓練実施計画があります。これはどうしても人手不足感の高い介護分野が、労働の移動の関係でも、介護分野に移動してもらいたいということがあるのですが、介護分野への重点方策について具体的になにか方策をとっているのか。単に開催するだけで、現状の中止率などを見ると、[開催されない、集まらない]ということで、何か方策をお考えになっているかをお伺いしたいと思います。
最後にすみません、これは意見です。令和3年度の予算について資料2で記載していただいています。令和3年度についてはもう決まっていることですのでやむを得ないと思うのですが、コロナの影響があって、それに応じて、例えばJEEDが費用というのも節約、減額をしながら、そこの中で効率的な人材育成を図ろうということで取り組んでいただいていると思うのですけれども、令和4年度について、これをこのままやっていくと、コロナの状況から、また雇用保険の財政が非常にもう厳しいどころではなくなってきていることがあって、やはりこれは一般財源のほうからこの費用は充当をしていただきたい。例えば差引剰余の部分のマイナス分というのは充当していただくことで、4年度についても充実したものが実施できるのではないかと思います。ある程度、コースメニューも絞らなければいけないと考えます。例えば、介護などはまたコースを設定しても中止になることが多いとか、そういう問題がありますので、是非、4年度に当たっては、一般財源からの充当、そしてもしそれができなければ、やはりもっと絞らなければいけない、さらなる工夫が必要なのではないかと思います。以上でございます。
○今野浩一郎名誉教授 いかがですか。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 まず、1点目の資料1の3ページの下の所で、「雇用期間の定めのない」という所ですけれども、被保険者として就職した場合に、就職率にカウントすることになっていますので、その中の内訳として、雇用の期間の定めのある場合もありますので、「雇用の期間の定めのない」ということで別に集計をしているところです。
○今野浩一郎名誉教授 ちょっといいですか、今の点についての質問の内容は、派遣社員の期間の定めのない契約とは何ですかという、そういう質問ですね、佐久間さん。
○佐久間一浩事務局次長・労働政策部長 そのとおりです。この正社員、パート・アルバイト、派遣社員別に何か統計みたいなものが出ていますかということを、内訳が分かれば教えていただきたいのですが。
○今野浩一郎名誉教授 どうですか、まずはその定義の問題は。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 常用で派遣会社に雇用期間のない形で勤められている派遣労働者の方だということです。
○今野浩一郎名誉教授 そういうことですね。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 内訳の数字はちょっと確認をいたします。そこまで細かく集計しているかは確認をしないと今は分からない状況になっております。
2点目の資料1の14ページの中止の所は、こちらの中止の考え方ですが、定員の半分の応募がなければ中止をしても構わないというような取扱いになっております。
3点目の、やはり介護分野に重点を置いてということで、人手不足ですけれども、この介護については先ほど予算の所で御説明しましたが、1万円を上乗せするというところは今回やらせていただいているところです。毎回このように1万円を全て上げていくのをどの分野にというのもなかなか難しいですけれども、そういう工夫とか、あるいは各地域で実施機関を開拓するというようなことで、訓練枠の実施機関の確保をしていくことになるかと思います。
それから4点目の、雇用保険財政がなかなか厳しいというところですけれども、求職者支援訓練につきましては、今のところ一般会計が全体の5%入っていることになっております。本則では1対1ということで50%ですが、それが今は暫定的に引き下げられており、全体の5%になっております。こちらについては令和3年度までの暫定措置になっていますので、今後、財政当局などとも早急に調整をしていくということです。あとは限られた予算の中での効率的な予算の執行にも引き続き取り組んでいきたいと考えております。
○今野浩一郎名誉教授 佐久間さんよろしいですか。
○佐久間一浩事務局次長・労働政策部長 はい、ありがとうございます。
○今野浩一郎名誉教授 青田さんどうぞ。
○青田光紀求職者支援訓練部長 先ほど京都府の方からお話がありました、オンライン訓練の関係の話ですが、当機構におきましても、今現在、端末を整備しながら、整備された施設から順次、実施可能な訓練カリキュラムにおきまして実施することとしているところでございます。実施に当たりましては、当機構におきましては、マニュアル等を整備いたしまして、指導員に対しまして、オンライン訓練の説明会を行い、指導員の方々については今対応していただいている状況でございます。併せて、当機構の指導員以外にも、都道府県の方々の指導員に対しましても、オンライン訓練の研修を今年度の後期から準備しておりますので、そちらの公募をさせていただいて、御希望があれば、都道府県の指導員の方々につきましても是非受けていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございました。ちなみにちょっと教えていただきたいのですが、機構の訓練は実習が多いではないですか。そういうのはオンラインでどうするのですか。
○青田光紀求職者支援訓練部長 基本的に当機構が考えているオンライン訓練につきましては、やはり学科又は座学の部分でしか取りあえず今は考えておりません。ただ、今後、ICTを活用したオンライン訓練の在り方も検討しながら拡充していく必要があると思っておりますので、それにつきましては今後の検討としております。
○今野浩一郎名誉教授 例えば将来はICTをやったとして、バーチャルリアリティーか何かで、自分のうちで機械を動かして訓練するとかそういうことになるわけですか。
○青田光紀求職者支援訓練部長 それにつきましても、訓練効果という点で、対面でやる実際に機器を触ってやる訓練とどの程度その効果の違いがあるかを含めて検討しなければいけないと思いますので、できるものについてはやっていくと思いますが、それにつきましても今後の検討にしたいということでございます。
○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございます。
皆さんからいろいろ御質問いただきましたので、次の議題に移りたいと思います。「令和3年度全国職業訓練実施計画(案)について」です。事務局から説明をお願いします。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 それでは、資料3を御覧ください。令和3年度における全国職業訓練実施計画ですが、毎年度、全国の訓練計画ということで、これは厚生労働大臣が定めるものとなっており、本協議会で御議論いただいているところでございます。第1回の協議会では、令和2年度との比較の表の形で一旦御議論いただいておりまして、そこで御了解いただいた内容も含めて、今般、本文のほうに盛り込んで、赤字で見え消しにしておりますので、御意見を頂きたいと思います。
まず、1ページの下からになりますが、労働市場の動向と課題等ということで、こちらは最近の動向を踏まえた書き換えということですが、新型コロナウイルスの影響の話を書いています。コロナウイルスが雇用に与える影響に一層注意する必要があると書いています。
それから、3ページですが、下のほうで、障害者の訓練についてです。もともとは平成28年度、それから平成30年度の法改正の内容について記載がありましたが、こちらは落としまして、上のほうに簡潔に、「職業人生の長期化を踏まえ、今後は雇入れ後のキャリア形成支援を進めていく必要がある」と記載しております。4ページは、現在の状況を今年度版の数字に差し替えたものがメインになっております。
5ページの上の段落ですが、オンライン訓練について記載しております。実施を可能としたところですので、今後、実施状況や訓練効果を踏まえながら、引き続き推進していくということで記載しております。それから対象者数ということで、こちらは令和3年度分の数字に差し替えたものになっておりますが、この対象者数等については、前回の協議会で表の形で一旦御議論いただいた内容で、令和3年度分の内容に置き換えています。6ページの真ん中辺りですが、介護分野の話で、新型コロナウイルスの影響で、人材確保がより困難となっている介護分野の訓練を推進していくということで、記載を追加しております。7ページの真ん中辺り、ITの関係で、今までIT理解・活用力の訓練をやっておりましたが、それを令和3年度から、生産性向上という観点から取り組んでいくという見直しを踏まえ、書き換えています。
9ページの真ん中の下辺りですが、人手不足分野ということで、特にデジタル分野とか介護分野を明記しております。
10ページ以降は、求職者支援訓練の各訓練設定の枠がいろいろありますが、それの見直しで、こちらも前回の協議会で御了解いただいているものになります。変更点としましては、10ページの上のほうで、訓練認定規模の下限の目安ですが、情報系は5%だったものを10%に引き上げるとか、あるいは地域ニーズ枠につきまして、地域でニーズに応じたコースを設定しやすくなるように、10%を20%に引き上げること、それから新規参入枠がありまして、これから訓練のニーズが増えていく中で、新規参入を容易にするということで、20%のものを30%に引き上げるといったような見直しです。簡単ですが、資料の御説明は以上でございます。
○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございます。それでは皆さん、御質問、御意見をお願いします。いかがでしょうか。よろしいですか。数字等については、前回もう議論しました。池田さん、どうぞ。
○池田三知子労働政策本部長(一般社団法人日本経済団体連合会) 先ほどの議題でも、オンラインによる訓練の重要性ということでやりとりがあったかと思います。それに関連して、資料3の5ページの、なお書きで、オンラインによる訓練実施のことが書かれているのですが、その重要性から考えれば、なお書きではないのではないかと思います。加えて、座学の訓練であれば、録画配信を活用して、学びたい人がいつでも学べる環境を整えることも検討に値するのではないかと思います。ただ、録画講座だと双方向のコミュニケーションができないという部分がありますので、座学のうちの可能なものについては録画配信にしていただけると、諸経費の削減効果もあると思いますので、検討いただければと思います。
○今野浩一郎名誉教授 いかがですか。事務局、お願いします。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 まず、1点目の書きぶりの所は、是非修正を考えさせていただきたいと思います。重要性がよく伝わるような書き方にさせていただければと思います。
2点目の録画のところですけれども、今のところオンライン訓練は同時双方向型ということで、今こうやってお話をしているような画面と音声でやりとりができるものに限っておりますが、実際にどういったやり方がいいかにつきましては、これからいろいろ進めていく中で検討して、いろいろ改善を図っていきたいということです。それから、もう1つ、映像で勉強するのは非常に有効なことでもありますので、後ほど第11次の能開計画の御説明もいたしますが、その中でも書き込んでありまして、そういった動画についても積極的に取り組んでいこうと考えています。
○池田三知子労働政策本部長 ありがとうございます。是非、いろいろな選択肢を考えて、有効なものにしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○今野浩一郎名誉教授 では仁平さん、どうぞ。
○仁平章総合政策推進局長 ありがとうございます。資料3の7ページの在職者訓練の内容のところです。前回の発言とも重なるのですが、ITの利活用のところで、ITの利活用で求められるスキルの中身も変化してきていると思います。すごく感覚的な話になってしまいますが、例えば、テレワークへの対応とかネットワークのセキュリティの強化、こういったものの必要性が高まっているのではないかと思いまして、IT分野という、言葉だけでなくて、中身の充実が大事だと思いますので、是非、計画案の中にも具体的に記載していただいたほうがいいのではないかと思います。こういった変化に対応して、スピード感を持って取り組んでいただきたいと思います。
もう1点ですが、これは中期的な視点になるかもしれませんが、理系人材が不足しているということもよく言われる話でして、職業訓練だけでこれに対応するのは難しいと思われます。計画案の中ではITとかAIなどを強調して記載いただいており、これはこれでいいと思いますが、例えば、科学分野などの現場でも人材ニーズがあると思います。今後のことですが、今後の策定などに当たり、日本の将来の産業基盤を支えるような理系人材の育成と、こういう観点についても、是非一考願いたいと思います。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 どうですか。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 まず1点目の、ITの訓練のところですが、御指摘のとおり、IT分野については日進月歩といいますか、いろいろ状況が変わっておりまして、特に最近はテレワークといったようなことも出てきております。こちらのIT分野の訓練につきましては、例えば情報セキュリティの話なども、実は既に盛り込んでやっておりますし、テレワークなども必要に応じて入れていくことになるかと思いますので、その辺りを具体的に書き込ませていただければと思います。
2点目の、全体の理系人材というお話ですけれども、こちらは職業訓練の計画ということですが、当然、職業訓練だけではなく、教育とか、産業界とか、日本全体で取り組んでいくような課題になっているかと思います。その中で、職業訓練の果たすべき役割はあるということですので、この計画の中に全体の部分がどこまで書き込めるかは検討したいと思いますが、全体の中でということが分かるように何らかの修正ができればと思います。以上でございます。
○今野浩一郎名誉教授 よろしいですか。
○仁平章総合政策推進局長 ありがとうございます。2点目は、何か文字を入れてくれということよりは、今回、ITとかAIとかいうところに焦点を当てて、表現上は強調されているので、今後策定する中で、更に基礎的なところの視点も持ったほうがいいのではないかという意見ですので。今回、何か言葉を入れてくれとか、別にそういう意味で言っているわけではありませんので、事務局のほうで是非御検討いただければと思います。
○今野浩一郎名誉教授 他にいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、幾つか大切な御意見を頂きましたので、それを活かして最終的な計画案を作っていただいて、その内容については私に一任させていただければと思います。よろしいでしょうか。
それでは、3つ目の議題「令和4年度ハロートレーニングの実施規模について」です。事務局、よろしくお願いします。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 御説明いたします。令和4年度のハロートレーニングの実施規模ですけれども、実は事務局から令和4年度の具体的な実施規模の案は今日の段階でお示しする資料はありません。全体的なもろもろの資料を今から御説明させていただいて、その中で今後あるべき姿等といったことについて幅広い御議論をいただければということです。
まず資料4ですけれども、前回10月に中央訓練協議会が行われた後に、全国47都道府県でそれぞれ行われた地域訓練協議会で出された主な意見について、ポイントとしてまとめているものです。かいつまんで主だったところを御紹介します。まず1ページ目の1.制度周知のところですけれども、上のポツで、コロナ禍において安心して受講できる体制整備が望まれているということで、特に求職者支援訓練等については、給付金を受けながら訓練を受けられる、公共職業訓練も雇用保険を受けながら無料で訓練を受けられるというセーフティネットでありますので、そういったものを周知すべきだという意見だと捉えています。
それから2.地域の特性を踏まえた訓練設定ですけれども、オンラインの話があります。オンライン訓練で遠隔地の負担を軽減すべきであるとか、デジタル化、それから先ほどもお話がありましたテレワーク等について対応できる人材の育成が求められているという御意見があります。それから3.人材不足分野については、介護分野であるとかデジタル分野について、重要だということで意見をいただいています。
次のページの4.受講者属性等を踏まえた訓練設定については、育児を行う方や高齢者に対しては短期の訓練ニーズがあることや、高齢者についてもIT系訓練が必要ではないかという御意見です。
それから5.訓練実施期間も、オンライン、リモート方式と書いてありますけれどもオンラインでの訓練ということで、コロナ禍の中で接触を減らしていく運営が必要ではないかということです。最後の6.総論的意見という所では、中小企業は情報分野が弱いところがあるので、そういったところを重点的にやっていただきたいという意見がありました。
それから資料5は、先ほど資料1では直近の実施状況ということでしたけれども、こちらはここ数年の実施状況のものです。こちらについては御説明は省略しますけれども、適宜御参照いただければと思います。
○篠崎人材開発統括官付人材開発政策担当参事官 続いて、参考資料6-1を説明いたします。政策担当参事官の篠崎です。こちらは今審議会で議論中の第11次の職業能力開発基本計画です。来年度の令和3年度から令和7年度までを対象期間とする5か年計画の現在の案です。1月にも審議会で御議論いただきましたが、大きな柱としてはこういったようなもので議論しております。
先ほど室長が申し上げましたように、訓練の量については雇用情勢を見ながら概算要求を進めていくということがありますので、今の時点で案としてお示しできませんし、当然そういうものを見ながら予算を確保するということだと思っていますが、どちらかというと質の部分とか分野、先ほどIT分野とか介護の御指摘がありましたが、どういう分野に重点を置いていくのか、どのようにとか、そういう質のところの御意見も皆様から頂ければと思っています。
それに当たって、今、5か年の計画にどういうことを盛り込もうとしているかという御紹介です。6-1の1枚紙にありますように、方向性、柱としては大きく変わった所だけ御紹介しますと、一番左の今後の方向性で産業構造の変化に対応したというのは当然ですが、その下の労働者の自律的・主体的なキャリア形成の推進というのも大きな柱にしています。こちらは産業構造が変わるとともに、人生100年時代ということで職業人生が長期化する中で、労働者自身が自律的なキャリア形成をしていくことも重要であろう、またそれが企業と労働者それぞれがうまく学ぶ好循環を作れるようにということで、大きな柱にしています。
職業訓練の関係を中心に御紹介します。右の緑の箱のほうの基本的施策に主なものを掲げています。箱の中の1つ目の○の後段ですが、公的職業訓練におけるIT活用スキル・ITリテラシー等の訓練を組み込んだ訓練コースの設定の推進です。先ほど御意見がありましたように、セキュリティとか情報通信、テレワークとかそういうものを使いこなす能力とか、そういうスキルも変わってきますので、そういったものを情報系の訓練だけではなくて、多くの訓練の中で基礎的スキルとして学んでいただけるような工夫が必要であろうという御指摘を頂きましたが、これは引き続き推進することが必要であろうと思っています。
それから2つ目の○は、オンラインによる公的職業訓練の普及です。公共職業訓練のほか、求職者支援訓練においても、2月中旬以降にオンライン訓練を可能とする制度改正をする予定です。まだこれは可能にするとしただけですので、どう訓練の質を上げていくかという、御示唆もありましたが、これを工夫していく必要がありますので、単に普及というよりは質の向上のための工夫をしていく必要があろうと思っています。
これも御議論がありましたが、その際はAR・VRの技術の活用など、単に映像にするということではなくて、訓練が効果的にできる、場合によっては事前に予習をしておく、あるいは事後的に復習するときにも役に立つと思いますので、実際の実技において例えば溶接をやる時間は限られていますけれども、事前にそういう技術を使うことによって、そういう実技の訓練が短縮できるのではないかとか、工夫をしていかなければいけないと考えています。これはまだ課題設定ですが、5か年の中でそういう方向でやっていきたいと考えています。
それから大きな箱の2つ目です。労働者の主体的なキャリア形成の関係ですが、○の2つ目、IT利活用等の企業横断的に求められる基礎的内容を中心とする動画の作成・公開と書いています。これは一般的に例えば無料動画があれば、今もありますけれども、そういったものを厚労省だけではなくて、世の中全体で広げていけば、一般的な学びにつながるのではないかと。
また、御指摘がありましたが、そういうのを作れば例えば離職者訓練とか在職者訓練の中でも、集まったときだけではなく、事前に見ていただくとか、あるいは事後的に見ることによって理解が深まるとか、あるいは訓練への壁が高い方というのもいると思いますが、事前にそういうものを見ることによって、訓練へのハードルが低くなって申し込みやすくなるとか、いろいろな効果が期待できますので、それを活用ということのためにも工夫をしていきたいと。まだこれから取り組むということですが、そういうことを検討していきたいですし、先ほど申し上げましたように厚労省だけでできるものではありませんので、民間なり関係省庁とも協力しながらやっていきたいと思っています。ここは労働者の自発的な部分に載せていますが、公共職業訓練のところにも活用できたらいいと思っています。
それから3つ目の大きな箱の中で、地域訓練協議会を通じた産業界や地域のニーズを反映してということです。これは引き続きでありますが、正に重要なポイントでありますので、介護もそうですし、人手不足分野、どういうスキルが求められているのか、どういうコースが求められるかということを、中央レベルだけではなくて地域訓練協議会の場などにおいても議論していただくということが大事だと思っています。
それからこの箱の一番下の○で、デジタル技術を活用した在職者・離職者、企業等への情報発信の強化ということで、離職者訓練、在職者訓練だけではなく、大きな人材開発全般について厚労省も含めて情報発信をしっかりしていくということによって、スキルアップが必要な方がスキルアップできるように、特定の離職者だけではなくて在職者についても、今後スキルアップが求められていますので、5か年計画の中では当然離職者訓練も引き続き大事ですし力を入れていきますが、在職者訓練についても対応をしていく。
また、これまでの集合的な訓練だけではなくて、恐らく一人一人に求められる能力は変わってきますので、集合的な訓練ということではなくて、個別に応じたスキルアップができるような環境を整備していく。なかなか具体案が難しいというのがありますが、5か年計画の中でそういったことにも取り組んでいきたいと思っています。説明は以上です。
○今野浩一郎名誉教授 全体の説明はこれで終わりですか。
○篠崎人材開発統括官付人材開発政策担当参事官 はい。座長、お願いします。
○今野浩一郎名誉教授 それでは皆さん、御質問、御意見をよろしくお願いします。それでは関口さんからどうぞ。
○関口正雄常任理事総務委員会委員長 こういう大きな長期の職業能力開発の基本計画というものの中で、例の雇用保険を財源とした教育訓練給付制度、特に私の関心としては専門実践教育訓練等になるのですが、それは位置付けとしては4番目の箱の中なのでしょうか、ということをまずは教えていただきたいと思います。
〇今野浩一郎名誉教授 事務局、どうぞ。
○篠崎人材開発統括官付人材開発政策担当参事官 政策担当の篠崎です。教育訓練給付はいろいろな労働市場インフラとかの意味もありますが、具体的には一番上の箱に「教育訓練給付におけるIT分野の講座充実に向けた関係府省の連携」と記載しています。これも当然IT分野は例示ですので、また教育訓練給付は先ほど御指摘のように、専門実践というような新しい分野もありますので、そういったことを含めてであります。
特に専門実践については、文科省の認定するような社会人向けのコース、それから経産省で認定する第四次産業革命スキルとか、そういった関係省庁と協力して増やしている部分も多いのが実践的な部分ですので、そういったところは計画の中に盛り込んでいるところです。以上です。
○関口正雄常任理事総務委員会委員長 分かりましたが、実際に専門実践教育訓練のほうで言えば、受講の分野と言いますか、それは看護が圧倒的なのですね。それで医療系の資格がずらっと並んでいる中で、MOTなどの専門職大学院等が上位に入っているという、かなり特徴のある傾向を示していると思います。ITについては大学も専門学校も、通常コースの所はなかなか専門実践教育訓練というのは対応できていないという実情があるので、若干の違和感を感じるところではあります。
それから併せて言うと、専門実践教育訓練の情報公開がまだ2回ほどしかなされていないのです。これも毎年毎年タイムリーに開示していただくことで、その辺についての専門学校その他大学や専門職大学院の対応も促進されると思いますので、情報公開の頻度を上げていただきたいというのは、これは要望です。○今野浩一郎名誉教授 篠崎さん、何かありますか。お聞きしておけばいいですか。
○篠崎人材開発統括官付人材開発政策担当参事官 ありがとうございます。1点だけ補足申し上げますと、先ほど看護の分野とかが多いのではないかということ、IT系が少ないのではないかということですが、正に実態はそうかもしれませんが、今後はその少ない部分にも力を入れていかなければいけないということで書かせていただいていますので、既存の所、多い所を書いているということではないので、御理解いただければと思います。後のことは御指摘として受け止めさせていただきます。ありがとうございます。
○今野浩一郎名誉教授 それでは森さんどうぞ。
○森信介専務理事(一般社団法人全国産業人能力開発団体連合会) 森でございます。これは質問ではなくて意見なのですけれども、直近で公的職業訓練に関する注目すべきNHKのテレビでの紹介とか新聞記事があったので、簡単に紹介させていただきます。
1つ目は1月21日にクローズアップ現代で取り上げられたものですけれども、タイトルが「“コロナ失業”職業訓練は雇用を救えるか」ということで、今期待される職業訓練ということで事例や、その効果とか課題等が紹介されていました。おおむねポジティブな取り上げ内容だったのですけれども、ひとつ気になったのが再就職のために職業訓練を利用している人は12万人と、ハローワークを利用する人の3%にすぎないというような紹介をされていたということが1点です。
2点目は、2月4日に日経新聞に掲載されていましたけれども、「学び直しに収入増効果」ということで、内閣府が行ったリカレント教育の実施で、収入が増える傾向が強まるとの分析結果がまとまったと。その中でOJTとか海外留学まで幅広い学び直しの効果が見られたと。この中で、公的職業訓練はサンプル数が少なく、有意な変化が見られなかったというようなレポートになっていましたので、我々訓練を実施している事業者としては、公的職業訓練の効果について、今後どのようにデータを集めて効果を示していくことができるかを会員と協議して、改めて報告ができるようにしたいと考えています。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございました。御意見としてお聞きしておけばいいかと思うのですが、何か事務局で言いたいことはありますか。なければいいです。
○篠崎人材開発統括官付人材開発政策担当参事官 政策担当参事官の篠崎です。一言だけ。先ほどのNHKの話もおおむね好意的でしたけれども、課題があったと考えています。ハローワーク利用者のうち3%というのは、全員がハローワークで訓練を受けるはずもなくて、同じ職種に転換する人もいますし、それはちょっとミスリードの部分もあるかと思いますが、一方で、まだ利用を知らない、職業訓練を知らなかったという紹介もありましたので、知らないとか利用しにくいという部分もあろうかと思いますので、それは前向きな課題と受け止めて取り組んでいきたいと思います。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 それでは杉崎さん、どうぞ。
○杉崎友則産業政策第二部担当部長 ありがとうございます。先ほども申し上げましたが、「失業なき労働移動」を推進していく必要がありますので、離職者訓練や求職者支援訓練が果たす役割は極めて重要です。また人口減少下で我が国経済が持続的に成長・発展していくには、一人一人の労働生産性を高めていく必要もありますので、在職者訓練の重要性も非常に高まっています。したがって、いずれの訓練も十分な規模を確保していただくとともに、利用対象者に対して幅広く周知していただくことで、利用を促進していただきたいと思います。
先ほど御説明がありましたが、地域訓練協議会を通じて、訓練ニーズをしっかりと把握していただき、訓練内容の見直しも是非お願いしたいと思います。
先ほどの資料2の令和3年度の予算に関連して、委託訓練の予算が昨年比で約300億円減額されている一方で、訓練規模は前年と同規模の13.5万人を保っています。皆様御承知のとおり、二事業財源をはじめ財源の枯渇化が必至な状況の中で、これだけ多額の予算を減額しても、なお同じ訓練規模を確保できるのであれば、ほかの訓練についても事業内容を見直していただいて、より高い効果を目指していただくとともに、運用規律も徹底していただきたいと思います。
加えて、先ほど御説明いただいた資料3の、全国職業訓練実施計画の7ページに記載されている、ポリテクセンターが実施している生産性向上人材育成支援センターについては、非常に好評である旨を伺っています。予算にメリハリを付けていただいて、こうした事業は是非拡充していただくことで、中小企業における労働生産性向上、人材育成支援強化をお願いしたいと思います。
また、本年4月から改正高齢法が施行されますので、中高年齢者に対する在職者訓練の強化も重要でありますし、障害者の皆さんに対する訓練についても、法定雇用率の引上げがありますので非常に重要だと思います。
最後に参考資料6の第11次計画に関連して、中長期的には外国人の労働者の方が受講できる訓練や、各訓練が外国人の方の受講に対応していくという必要性も高まっていくと思いますので、是非、こういった観点も検討に加えていただければと思います。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 全体的に御希望を発言していただきましたので、お聞きして事務局としては対応を考えていただければいいと思いますが、その中で事務局として何かコメントしたいポイントがありますか。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 資料2の委託訓練の減額の所ですけれども、こちらは先ほどお話が出ていました長期人材育成コースの実績を踏まえまして、予算要求上減らさせていただいて、長期コースは1年、2年ですので非常に単価が高いところですので、その辺りで、コロナの中で短期の離職者がこれからたくさん出てくるというところで、今年度はそちらに振り向けさせていただいたということです。
長期人材については、非常に重要な訓練だと思っていますので、こちらはこちらで頑張っていきたいと思います。いずれにしても予算の効率的な執行というのは、当然大事なことですので、引き続き取り組んでいきたいと考えています。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 今の御質問で、そうだと思って私が気になったことがあります。ヨーロッパなどではそういうのは普通だと思いますけれども、外国人に対する教育訓練というのは今どうなっているのでしょうか。お客さんはいるのですか。
○篠崎人材開発統括官付人材開発政策担当参事官 事務局の篠崎です。基本的に日本人か外国人か問わず、日本で働いている方というのが基本的考え方です。一方で、特別な配慮ということで言うと、日系人の方向けにそういうコースというのは設定できるようになっていて、日系人の方が集中している地域、都道府県などだとそういう委託訓練を設けています。その場合、日本語能力に配慮することもやりながら、職場で使うコミュニケーションも教えるというコースもあります。
離職者訓練ですと、特別な配慮というと、そういうことです。日本で働いているので通常、日本語はできますので、外国人だからというコース設定はいらないのが基本だと思いますが、場合によっては日系人の方とか日本語がそれほど上手ではなくても働いている方が、転職しようと思ったとき、日本語も含めた、あるいは職場でのコミュニケーションスキル、介護するときに特別な用語とか職業によってだいぶ専門用語がありますので、そういうものも含めたものとかをITスキルとともに付与するような、そういう日系人向けのコースはやっています。これは一部ですがそういうのが実態です。
数が多くなったときにどういう課題があるか、そういう方向けのコースを作るかというのは今後の課題かと思っています。
○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございました。仁平さん、どうぞ。
○仁平章総合政策推進局長 ありがとうございます。私から求職者支援制度の話に関連して発言させていただきます。労働組合の立場からしますと、今の2回目の緊急事態宣言が出たことの影響で、雇用がこれから急速に悪化するかもしれないということで、強い危機感を持っています。そのとき雇用保険でカバーされていない方にとって、この求職者支援制度は、こういう局面でこそ積極的に活用が求められているものなのではないかと思っています。
それで1つは周知の問題なのですけれども、こういった方々はハローワークに来られない方々もいるので、そういう意味では、広くどうやって周知して知っていただくのかということは、是非検討して多くの人に使ってもらえるようにしてほしいと思っています。
その上で、財源の問題が非常に気になっていて、他の委員の皆さんからもあったところですが、この制度をこの局面で一般財源、今は国庫負担がずいぶん低くなっているものですから、広く使ってもらうということであれば、一般財源の導入を是非求めたいと思っています。私からは以上です。
○今野浩一郎名誉教授 事務局どうぞ、何かありますか。
○篠崎人材開発統括官付人材開発政策担当参事官 事務局政策担当の篠崎です。まず周知の問題は、ハローワークに来た方以外の周知というのは本当に課題だと思っています。ちなみに今後も引き続き工夫していきますが、最近の取組ですと公共職業訓練と求職者支援訓練に対する周知ということで、普段より分かりやすい専用のホームページを作りました。またその周知について、例えば官邸LINEというのがあるのですが、その中でも紹介をしていただきました。緊急事態宣言が出たときに前後して、公的職業訓練があるというのも官邸LINEで発信しました。そういう工夫は随時していきたいと思っています。
それから財源の問題は、御指摘のとおり離職者訓練だけではなく、二事業、それから雇用保険、いろいろ全般として雇用情勢に応じてという問題でありますので、そこは受け止めていきたいと思います。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 それでは池田さん、どうぞ。
○池田三知子労働政策本部長 今の議題は令和4年度ハロートレーニング実施規模についてであり、直接は関係ありませんが、雇用保険の財源問題や予算規模に関連して大きな問題提起をさせていただくとともに、また厚労省その他の学識経験者の皆さんの御意見を伺いたいと思います。
既に他の委員からも御発言があるように、コロナ禍の下で失業予防対策として雇調金が積極的に活用されて、雇用維持に役立っております。そのことは大変評価しておりますが、従来の雇調金の目的である、景気変動に伴う失業予防という枠を超えて、新型コロナ感染症対策に雇調金の巨額なお金が使われているために、二事業財源が枯渇化していることが非常に大きな問題になっています。
一方で、多くの委員の方からも発言がありましたように、コロナ禍でこれからもし雇用情勢がさらに悪化したり、またポストコロナにおいて、失業なき労働移動として成長産業に人材をシフトしていくという観点から、ハロートレーニングなどの様々な人材育成施策が大事になってくると思います。しかしながら、二事業財源が枯渇化している中で、様々な人材育成施策に十分な予算が確保できるのかと、非常に懸念しています。
従来、雇調金は景気変動等の観点で事業者連帯という形で運用してきたわけですが、今回は感染症対策に巨額のお金が出ていっており、感染症対策における失業予防対策と、ハロートレーニングなどの人材育成施策を二事業という同じ財布でまかなうことで、それぞれの機能をきちんと果たしていけるのかという問題意識を持っています。
経団連としても、また、日商や全国中央会、連合としても、雇用保険の問題に関しては別途、雇調金に是非一般財源を投入していただきたいと要望しているわけですが、なかなか進展がありません。是非、ハロートレーニングなどの人材育成に関わっている皆さんが、このような状況をどのように考えておられるのか、お伺いできればと思います。
コロナで改正特措法が施行され、感染症対策としての支援が議論されていくと思いますが、もし改正特措法の支援で雇調金が使われてしまうと、雇調金で感染症対策をやっていくことを認めてしまうことになりはしないか、雇調金のそもそもの意義が変わっていってしまうのではないかと、個人的に懸念しています。
そういった意味で、厚労省をはじめ、人材育成施策に関わっておられる皆さんはどのように考えておられるのかについて伺えればと思います。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 どうしますか。
○篠崎人材開発統括官付人材開発政策担当参事官 人材開発政策担当参事官の篠崎です。御指摘いただきましたハロートレーニングについては、正に離職者、在職者に対するスキルアップで、これは事業主の共同連帯の雇用保険二事業を使っている部分も大きいということです。求職者支援訓練については、一部一般財源が入っているということです。
そういった中で、コロナ対応に限らず離職者に対する訓練をする、スキルアップをするというのは非常に大事なものですし、本来の特別会計の使用目的の大事な局面、特に不況期には大事な局面ですので、そういったものがどういうものが必要か、そして必要なものについては必要な予算を確保するように努力していかなければいけないのだろうと思っています。
御指摘はその他雇用調整助成金など、その他の部分も含めた御指摘ですので、ハロートレーニングの観点から他の制度についてコメントするのはなかなか難しいのですが、そういったことも含めて、どう財源を確保するかというのは、私どもの部局のみならず厚労省全体の課題だと思っていますので、そこは御指摘として受け止めたいということで御容赦いただければと思います。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。いろいろ御意見を頂きましたので、それを参考にして政策に活かしていただければと思います。それでは今日は用意された議題はここまでですが、その他として何かありますか。事務局からはその他として何かありますか。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 事務局としてはその他の所は特段ございません。
○今野浩一郎名誉教授 そうですか。皆さん、全体を通して言い残したことがあれば、御意見を頂ければと思います。よろしいですか。それではこれで本日の中央訓練協議会を終了いたします。次回の開催は、9月頃が予定されています。別途事務局から連絡があると思います。それでは今日はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。