2021年1月29日 第29回社会保障審議会 議事録

1.日時

令和3年1月29日(金)16:00~17:00

2.場所

オンライン開催(厚生労働省省議室)

3.出席者

委員 ※50音順
秋田委員、荒木委員、石上委員、今村委員、植田委員、小国委員、小塩委員、
鎌田委員、楠岡委員、小堀委員、神野委員、新保委員、武田委員、立谷委員、
田中委員、田辺委員、津谷委員、永井委員、中里委員、野口委員、平井委員、
平野委員、増田委員、宮本委員、山口委員
 

4.議題

  1. (1)会長の選出について
    (2)全世代型社会保障改革について
    (3)令和3年度厚生労働省予算案について

5.議事

議事

○度山大臣官房審議官(総合政策担当) 定刻をやや過ぎて申し訳ございません。ただいまから第29回「社会保障審議会」を開会させていただきます。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
開催に先立ちまして、事務的な御連絡を申し上げます。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催とさせていただきました。オンライン会議における発言方法について確認をさせていただきます。
オンラインで御参加の先生方、画面の下にマイクのアイコンが出ていると思います。会議の進行中は、基本的に皆様のマイクをミュートとさせていただきますけれども、御発言をされる際には「手を挙げる」ボタンをクリックしていただきまして、会長の御指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言をいただくようお願いをいたします。御発言が終わりました後は、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いをいたします。
また、議題に対しまして御賛同いただく際には、カメラに向かってうなずいていただくということで、いわゆる異議なしの旨を確認させていただきたいと思います。
なお、本日の会議は動画配信システムのライブ配信により一般公開する形としております。
本日は、多くの委員の方が改選もしくは再任されて初めての会合ということになります。会長を選出させていただくまでの間、便宜上、私、総合政策担当審議官の度山のほうで進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
まずは、社会保障審議会各委員の御紹介につきましては、誠に恐縮ではございますが、時間の都合上、資料1-1の委員名簿をもちまして御紹介に代えさせていただきたいと思います。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、菊池委員が御欠席との御連絡をいただいております。また、鎌田委員と中里委員は少しログインが遅れているようでございますが、その他の委員の皆様には御出席をいただいておりまして、委員総数3分の1を超えておりますので、会議は有効に成立しておりますことを御報告申し上げます。
議事に入ります前に、事前に議事次第のほか、資料を送付させていただいておりますので、お手元に御準備いただければと思います。
それでは、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○度山大臣官房審議官(総合政策担当) それでは、最初の議題に入らせていただきます。
まず、当審議会の会長の選出を行っていただきたいと存じます。社会保障審議会令第4条では、「審議会に会長を置き、委員の互選により選任する」と定められてございます。選出の方法につきましては、委員の互選となっておりますので、委員の皆様にお諮りをしたいと存じますが、いかがでございましょうか。
神野先生、お願いします。
○神野委員 僭越でございますけれども、私は最年長ですので、年の功でもって会長候補を推薦させていただければと存じます。
社会保障の様々な分野、医療とか介護とか福祉の諸分野において、幅広く識見をお持ちで、かつ造詣が深いという点、さらにまた御経歴等々を勘案いたしましても、埼玉県立大学の理事長でいらっしゃいます田中滋委員を御推薦申し上げたいと思いますので、御高配くださればと思います。
○度山大臣官房審議官(総合政策担当) ただいま神野委員から田中委員に会長をお願いしたらどうかとの御発言がございましたが、皆様、いかがでございましょうか。
(首肯する委員あり)
○度山大臣官房審議官(総合政策担当) うなずきが見られますので、田中委員に本審議会の会長をお願いしたいと存じます。田中先生、どうぞよろしくお願いをいたします。
それでは、早速で恐縮ですけれども、以後の進行をお願いしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
○田中会長 ただいま会長を務めるようにとのお話をいただきました田中でございます。
言うまでもなく、現代社会において社会保障制度とは、国民の生活に安全、安心感をもたらす最も大切な制度の一つです。本審議会はそれを扱う大変重要な審議会です。委員の皆様とともに真摯な議論を親会のみならず、分科会、部会等で進めてまいる所存でございます。
委員の皆様には、いろいろなところで御協力いただくことになりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
早速ですが、議事を進めてまいります。
社会保障審議会令第4条第3項では、「会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員がその職務を代理する」となっております。この定めに基づき、会長代理を御経験が豊富な増田委員に引き続きお願いしたいと存じます。
増田委員、よろしくお願いいたします。
次に、分科会及び部会への委員の所属について御報告いたします。
社会保障審議会令第5条第2項及び第6条第2項では、「分科会については厚生労働大臣が、部会については社会保障審議会長がそれぞれ属する委員を指名すること」となっております。この定めに基づき、今回、改選となります何人かの委員の方々には、その専門性を踏まえて、資料1-2の「社会保障審議会委員の所属分科会・部会一覧」のとおり、分科会、部会への所属をお願いいたします。内容を御確認いただき、御了承いただきたいと存じますが、よろしゅうございますでしょうか。
(首肯する委員あり)
○田中会長 会場にいないとちょっと時間がかかりますけれども、御了承いただいたと理解いたします。よろしくお願いいたします。
次の議題に移ります。議事2「全世代型社会保障改革について」、議事3「令和3年度厚生労働省予算案について」、事務局から一括して説明をお願いします。
○伊原政策統括官(総合政策担当) 政策統括官の伊原でございます。
資料2に基づきまして、「全世代型社会保障改革について」を御説明させていただきます。
2ページですが、一昨年の9月から全世代型社会保障検討会議というものを開催してまいりました。そこに至る経緯などを最初に御説明します。
まず、2014年4月に消費税が5%から8%に上がりました。これは、まさに表題にありますとおり、社会保障・税一体改革という形で進められました。左にございますような増収分を活用した社会保障の充実と、持続可能性を確保するための制度改革を両輪にしながら進めてまいりまして、2019年10月に消費税が10%に上がる。これに伴いまして、併せて社会保障プログラムの充実も一区切りしまして、一体改革後の社会保障改革をどうするかという議論としてこの全世代型社会保障改革が進められてまいりました。
3ページは、この社会保障・税一体改革の間に行われた社会保障の充実のプログラムです。子ども・子育て支援、医療・介護、年金それぞれの分野につきまして、必要な充実策が講じられてまいりました。
4ページは、持続可能性を高めるという議論で、様々な改革がこの間も行われてまいりました。特に、社会保障関係費、国費の部分の関係で表したのがこの表です。毎年、様々な制度改正を行い、効率化を図ってきたところであります。
5ページは、以前、この社会保障審議会でも御報告させていただきましたけれども、社会保障・税一体改革が2025年を念頭に置いた改革であったのに対し、今後、その先を考えてまいりますと、2040年頃を展望した改革が必要であるということで、2年ほど前にお示ししたものでございます。
左側にございますように、人口構造の変化を見ますと、2025年以降、高齢者人口の伸びは緩やかになってまいります。他方、生産年齢人口の減少は加速していくということで、課題として一番大きいのは、右側にありますように、就業者数の推移を見ていただきますと、今のままで進むと、2040年には就業者数が1000万人以上縮減することになる。医療・福祉はまだニーズが高まるわけですけれども、そこのマンパワーをどうするかという辺りが課題になるというお話をさせていただきました。
6ページは、社会保障の将来見通しでございます。2018年から2025年、2040年という形で見てまいりますが、上にありますように、社会保障給付費の対GDP比は、2018年度の21.5%であるのが、2040年にはだいたい2ポイントほど伸びまして23.8~24%ということで、1割強増えると見込んでおります。
7ページは、こうした中で、2040年までの人口の増加を俗に言う生産年齢人口の15歳~64歳以上人口、65歳以上の人口、75歳以上の人口の前年に比べる増加率をプロットしたのがこの表です。これを見ていただきますと、まず青い部分、いわゆる生産年齢人口の減少は、安倍政権がスタートしてから、毎年1ポイント内外の減少がずっと続きまして、これは2040年まで続いてまいります。
それに対しまして、65歳以上の緑色の人口増加率のほうは、2014年には3.5%の伸びでしたが、現在の2021年は0.5%の伸びということで、非常に低い水準になってまいりました。今後を見てまいりますと、2040年まで1%を下回る水準がずっと継続いたします。2030年後半でやや上がりますけれども、これは団塊ジュニアが高齢者になるというところでございます。
このように、高齢者人口全体で見ますと落ち着いてまいりますけれども、75歳以上人口の増加を見ますと、2021年の今は0.5%で、ある意味ボトムは低いのですけれども、来年から4%内外が3年続きまして、その後にまた落ちてまいります。2030年にはマイナスになるというふうに、75歳以上人口は特に医療費の問題、その10年後には介護費の問題がございますけれども、この辺は大きく上がり下がりがあるというのが課題となっております。
こうした人口構造を中心としたことを念頭に置きながら、全世代型社会保障検討会議が令和元年の9月からスタートされまして、全部で12回の会合が開かれました。社会保障審議会からは、遠藤先生が代表して参集されました。
9ページからその報告のポイントをまとめております。結局、報告書は3回出ております。中間報告と第2次中間報告と最終報告です。
まず、9ページの年金、労働の部分は、人生100年時代というものを迎えて、高齢者の方々を中心により長く働く、あるいは社会参加をするとしたことから、年金に関しまして受給開始時期の選択肢を拡大する。75歳まで開始時期を引き上げるということをしたり、適用拡大、在職老齢年金の見直しというものが行われました。労働、雇用に関しましては、70歳までの就業機会確保ということで、高年齢者雇用安定法の改正が行われた次第でございます。
10ページは、まずフリーランスです。雇用関係にないフリーランスの保護、支援をしていくということから、3省庁連名でガイドラインを策定していきます。独禁法、下請法、労働関係法令の適用関係が決まりまして、現在はパブリックコメントをやり、近いうちにこのガイドラインがまとめられるという状況でございます。あわせまして、その下に労災保険の特別加入制度の対象拡大ということも整理されたところでございます。
もう一つ、最低賃金も議論されまして、今後3年間、年率3%をめどとして引き上げられてきたことを踏まえまして、より早期に全国加重平均が1,000円となることを目指すことになり、それを今後とも方針を堅持するとしながらでしたが、昨年は新型コロナウイルス感染症の話もございまして、そうした状況も加味した対応をすることが整理されたところでございます。
11ページは少子化対策です。少子化対策につきましては、去年の5月に少子化社会対策大綱がまとめられておりますが、この全世代型社会保障検討会議では、大きく3つのテーマが実際に細かいところまで決められました。
1つは不妊治療について、保険適用を令和4年度から実施することが決まりました。それまでの間、現行の制度の拡充ということが示されております。それから、待機児童の解消を目指すということで、令和3年度から令和6年度末までの4年間で最大約14万人の保育の受け皿を整備することとされた次第です。それから、男性の育児休業の取得の促進ということで、出生直後の休業取得を促進する新たな枠組みの導入が打ち出されております。今、開会中の通常国会に法案が提出される予定となっております。
それから、疾病予防・介護予防という観点から、国民健康保険の保険者努力支援制度の抜本強化、介護インセンティブ交付金の強化といったことがまとめられております。さらに、介護分野での業務の効率化ということから、様々な対策も打ち出されております。
12ページは、昨年末の最後の大きな課題であったのはこの医療のテーマでございます。1つが医療提供体制の改革ということで、地域医療構想、医師偏在対策、働き方改革といったことについての見直しが打ち出されました。
次に、後期高齢者の自己負担の在り方ということで、75歳以上の高齢者の方で、一定以上の所得の方に2割負担をお願いするとしたことが議論となりまして、最終的に一番下の◎にありますように、課税所得が28万円以上、同時に年収が200万円以上の方に限って、医療費の窓口負担を2割とすることが定められました。長期頻回受診患者への配慮措置としまして、施行後3年間は1月分の負担増が3,000円に収まるような措置を導入するとされたところでございます。
最後に13ページ、もう一つ医療保険の関係で、医療提供体制との関連もありまして、大病院への患者集中を防ぎ、かかりつけ医機能の強化の観点から、定額負担を拡大するということで、紹介状なしで大病院を受診する場合の定額負担を求める制度について、特定機能病院や一般病床200床以上の地域医療支援病院以外の病院につきましても、対象範囲を拡大するという形が整理されたところでございます。
以上が全世代型社会保障改革の概要でございます。
通信機器のトラブルで途中から音声と画像が切れてしまっていたようです。途中から再開しますけれども、ポイントだけに絞ります。
8ページから、全世代型社会保障検討会議のところですが、12回会合を開きましたとお話ししました。その後、説明のポイントをお話しさせていただきましたけれども、12月に最終報告をまとめました。その最終報告の部分だけ御説明させていただきます。
12ページのところで、大きな議論になりましたのが、後期高齢者の自己負担割合の在り方でございました。ここの部分につきましては、団塊の世代が2022年に75歳以上になるということもありまして、一定以上の所得の方について窓口負担は2割をお願いしていく。それをやることによって現役世代の負担の上昇を抑えていくという議論が行われまして、最終的には、課税所得が28万円以上、年収200万円以上の2つの条件を満たす方について2割にするとされたところです。なお、長期頻回受診患者につきましての配慮措置ということで、施行後3年間は1月分の負担増が3,000円に収まるような経過措置を導入するとされたところでございます。
もう一つが、13ページの大病院への患者集中を防ぐための定額負担の拡大というところで、現在、特定機能病院と200床以上の病院のうちの地域医療支援病院に紹介状なしで外来受診した場合の定額負担をお願いしています。初診5,000円というものがございますけれども、ここについて、紹介患者への外来を基本とする医療機関のうち、200床以上の病院に対象範囲を拡大するということがまとめられたところでございます。
以上が全世代型社会保障検討会議の結果でございます。
○松永会計管理官 続きまして、会計課会計管理官をしております松永と申します。私からは議題3にあります令和3年度厚生労働省予算案について御説明をさせていただきます。資料3になります。
まず、1ページ目ですけれども、厚生労働省予算案の全体像でございます。一般会計、歳出の額でございますけれども、33兆1380億円と前年度比1519億円、0.5%の増となっております。
2ページは、今、申し上げた一般会計のうち、社会保障関係費についての記載でございます。社会保障関係費は、32兆7928億円、前年度比1609億円の増となっております。その増減のところの下に「実質的な伸び 3500億円程度」という記載がございます。これは注4で記載をしておりますが、政府全体の社会保障関係費の実質的な伸びは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた足元の医療費の動向を踏まえまして、医療費にかかる国庫負担分を2000億円程度減少させたベースのものと比較すると、3500億円程度になるという見込みを立てているところです。
続きまして、3ページは厚生労働省予算案における重点事項の全体像をお示ししたものでございます。新型コロナウイルス感染症から国民の命・雇用・生活を守り、新たな日常を支える社会保障を構築するためということで、左側に枠で囲んでおりますけれども、今年度の三次補正予算と併せまして、右側にあります3つの柱を立てまして、それぞれ切れ目のない予算措置を講ずるということにしております。
以下、4ページ以降でそれぞれの柱のポイントになるところを御説明したいと思います。
4ページ、1つ目の柱のウィズコロナ時代に対応した保健・医療・介護の構築でございます。
まず、資料の見方でございますけれども、これは金額で「補正」とありますのが三次補正予算、「当初」と書いてありますのが令和3年度の予算案、括弧で書いておりますのは前年度、令和2年度の当初予算額となってございます。実線囲みで書いてある記載は、財務大臣との折衝を経てまとまったものでございます。点線囲みで記載しているものは、三次補正で措置した内容を御紹介しているものでございます。
4ページで主なものといたしますと、まず、左側にありますが、感染防止に配慮した医療・福祉サービス提供体制の確保ということで、これは新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金による支援などで、補正予算1兆6442億円、当初予算で533億円を措置しております。
下のほうに実線で囲んでおりますけれども、大臣折衝事項でまとまったものがございまして、こちらは新型コロナ感染症を踏まえた診療報酬上の特例的な対応というものが認められまして、期限を区切りまして特例的に外来における小児診療に係る評価、各医療機関等における感染症対策に係る評価を行う。また、当面の間、回復患者の転院支援に係る評価、中等症以上の患者に対する評価を行うことにしております。
そのほか、右側でございますけれども、PCR検査・抗原検査等の戦略的・計画的な体制構築、保健医療分野の研究開発の推進といったところで措置をしているところでございます。
5ページでは、まず、地域医療構想・医師偏在対策・医療従事者働き方改革の推進等ということで、補正予算が3.6億円、当初予算が1021億円を措置しております。ここでも大臣折衝事項がございまして、先ほどの診療報酬上の特例的な対応のほかに、薬価改定につきまして、市場実勢価格を適時に薬価に反映して国民負担を抑制するため、価格乖離の大きな品目について、新型コロナウイルス感染症による影響も勘案した上で行うということにしております。
右側になりますけれども、介護の受け皿整備、介護の人材確保です。ここでも大臣折衝事項がございまして、介護報酬改定について改定率は全体で0.70%として、そのうち令和3年9月までの間の新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価をプラス0.05%としております。
そのほか、健康寿命延伸に向けた予防・健康づくりなどを措置しているところでございます。
6ページは項目のみの紹介にしますけれども、がん対策・全ゲノム解析等の推進、循環器病対策の推進、肝がん・重度肝硬変の治療研究・患者支援等の推進、難病・小児慢性特定疾病対策等の推進といったものを措置しております。右側は、国際機関等を通じた国際貢献の推進、下に行きまして、医薬品、食品の安全確保、水道の基盤整備などを措置しております。
7ページからは、2つ目の柱の雇用就業機会の確保です。主なものといたしましては、雇用調整助成金等による雇用の維持・継続に向けた支援ということで、補正予算が1兆4735億円、当初予算でも6853億円を措置しております。そのほか、業種・地域・職種を越えた再就職等の支援、非正規雇用労働者の再就職支援、新規学卒者等への支援。右側に行きまして、医療介護福祉保育等分野への就職支援、就職氷河期世代活躍支援プランの実施、高齢者の就労・社会参加の促進などを措置しております。
8ページでも女性活躍・男性育休の推進、障害者、外国人に対する支援。右側に行きまして、柔軟な働き方がしやすい環境整備、最低賃金・賃金引上げ、同一労働同一賃金、ハラスメント対策などに取り組むことにしております。
9ページからは、3つめの柱の「新たな日常」の下での生活支援ということでございます。主なものとして総合的な子育て支援、ここでは待機児童解消に向けた保育の受け皿整備などで措置をしております。そのほか、児童虐待防止対策・社会的養育の迅速かつ強力な推進。右側に行きまして、不妊症・不育症に対する総合的支援の推進、母子保健医療対策の推進、ひとり親家庭等の自立支援といったことを措置しております。
10ページになりますけれども、属性を問わない相談支援、多様な参加支援、地域づくりに向けた支援の一体的実施による重層的支援体制の整備促進、生活困窮者支援・引きこもり支援、自殺総合対策の推進。右側でございますけれども、障害児・者支援、依存症対策の推進ということで、ここは大臣折衝がございますけれども、障害福祉サービス等報酬改定について、改定率は全体で0.56%で、そのうち、令和3年9月末までの間の新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価というものをプラス0.05%としております。そのほか、戦没者遺骨収集等の推進、年金制度の運営、被災地における心のケア支援などを措置しているということでございます。
11ページ以降は参考資料ということで説明は割愛させていただいて、適宜御覧いただければと思います。
以上、駆け足でございましたけれども、私からの説明は以上でございます。
○田中会長 説明ありがとうございました。
事務局からの説明は以上となります。
ただいまの統括官及び会計管理官から説明のあった事項について、御意見、御質問がおありの方は御自由に御発言ください。挙手されても、指名するのにちょっと時間がかかるかもしれませんけれども、必ず見つけます。
平井委員、お願いします。
○平井委員 ありがとうございます。
田中先生、また増田代理をはじめ、皆様には大変お世話になりまして、このたびこうした機会をいただきまして、本当に感謝を申し上げたいと思います。
ただいま全世代型の社会保障、また厚労省の今年の予算につきまして、詳細な御説明をいただきました。基本的には評価をさせていただきたいと思いますが、いろいろと不安なこともございますので、何点かだけ申し上げたいと思います。
まず、一つは今後の基本認識でありますが、今回、消費税がこうした全世代型の社会保障あるいは個別の予算の背景にはあると思うのですが、私ども地方団体を預かっておりますけれども、地方消費税が激減するという状況にあります。今は減収補填の特例をつくっていただきまして、何とか急場をしのごうということをやっているわけであります。
社会保障というのは、国民生活にとりまして基盤を成すものでありまして、本来、消費税というのは安定的な税収があると、神野先生にもそういう意味で教えを請うたこともございますが、そういう意味の税収であったはずなのですが、今回はかなり減収があるだろうと思いますし、国も一緒だと思います。
ですから、そうしたときでも、やはり社会保障というのは国として責任を持って措置しなければならないものだという基本認識については共有をさせていただきたいと思いますし、今後、安定的な財源というものをどうやって確保していったらいいのか、新型コロナを乗り越えていく上で、どういう将来に向けての知恵があるのか、そうしたことは議論しておく必要があるのかなと考えております。これが第1点であります。
第2点目といたしまして、個別のことにつきまして、特に新型コロナとの関係で申し上げたいと思いますけれども、先ほどワクチン接種について7400億円の補正という話がございました。これは恐らく三次補正のことだろうと思います。そのほかにも、いろいろとお金がついているのだろうと思いますが、ワクチンを全国民に対して接種しなければいけない。今、現場で市町村は、集団接種の会場づくり、あるいはコールセンターなどを進めておられます。我々都道府県も同じようなことを一般医療従事者等に向けてやったり、コーディネートをしているところでありますが、相次いでおりますのは、特に大都市部なのかもしれませんが、厚労省の内示額があまりにも少ないということであります。これについては100%国で措置をするとおっしゃっていますし、先般、河野大臣も同じことを知事会に対しておっしゃってくださったわけでありますが、いかんせん今の内示がない状態がございまして大変危惧をしております。昨日、三次補正が成立して、これで補填をされるということなのかもしれませんが、きめ細かい財政措置をお願い申し上げたいと思います。
また、新型コロナについて、診療報酬が大臣折衝の中で加わったということがあり、評価をいたしたいと思いますが、これに限らず、例えば薬局であるとか、あんま・はり・きゅうマッサージ師とか、様々な業種について社会保障系でもいろいろと影響が出ているところでありまして、きめの細かい経営安定対策を考えていかないと、社会保障の根幹が崩れてしまうのではないかと危惧しておりますので、お願いを申し上げたいと思います。
また、雇用就業機会につきまして、あるいは独り親や生活困窮者、自死につきましてのお話もありました。新型コロナ対策で必要な分野というのがあると思います。今、政府の発表に出た有効求人倍率は一定程度確保されているとおっしゃっていますし、私どもの数字もそうですけれども、雇用調整助成金で救われるところがあります。やはりリーマンショックのときのような基金制度なども考えながら、雇用を維持していくという抜本的な対策を今後も組んでいかないと、なかなか切り抜けられないのではないかと危惧しておりますし、独り親とか生活困窮者、あるいは自死といったセーフティーネットを張っていくという対策も、もちろん通り一遍のものもあるわけでありますが、新型コロナということでの柔軟かつ機動的な対策も必要ではないかと思います。よろしくお願い申し上げます。
○田中会長 平井委員、ありがとうございました。
続けて、小堀委員、宮本委員の順でお願いいたします。
○小堀委員 御指名ありがとうございます。経団連の社会保障委員会の委員長をしております小堀と申します。よろしくお願いいたします。
まずは、新型コロナウイルス感染症への御対応につきまして、医療従事者の方をはじめとする関係者の皆様の御尽力に敬意を表したいと思います。
今はまさに国民一人一人が重大な危機感を共有し、全ての関係者が一丸となって対応していくことが求められると思います。経済界といたしましても、感染予防策の徹底、テレワークの一層の推進などに引き続き取り組んでいきたいと思っております。同時に、コロナ対策を含めた我が国の医療を支える社会保障制度を持続可能なものにしていくということが極めて重要であります。こうした観点から、事務局から説明のございました全世代型社会保障改革は極めて重要であると認識しております。
我が国は、高齢者への医療や介護を中心とする社会保障給付費の増加に伴って、これを支える現役世代の保険料の負担が重くなってきている。今後、団塊世代の後期高齢者入りと生産年齢人口の急減により、こうした世代間の給付と負担のアンバランスがさらに拡大していく。支え手である現役世代の保険料負担がますます重くなることが懸念されております。
こうした中、年末に閣議決定された全世代型社会保障改革の方針の中でも、とりわけ後期高齢者の自己負担の見直しは、現役世代の負担上昇の抑制の観点からも重要な前進と評価しております。今後、着実かつ可能な限り速やかな施行をお願いしたいと思っております。
他方で、今回の改革にとどまることなく、生産年齢人口の減少が加速する2040年頃も見据えて、我が国の社会保障制度の持続可能性を確保していく取組が引き続き重要でございます。政府においては、間断なく次なる改革に向けた取組を進めていただくよう、お願いしたいと思います。
以上でございます。
○田中会長 小堀委員、ありがとうございました。
続いて、宮本委員、お願いいたします。
○宮本委員 ありがとうございます。
特に、事務局の丁寧な御説明に感謝申し上げたいと思います。
全世代型社会保障検討会議の報告書についても、事務局の取りまとめにはいろいろ御苦労があったと拝察いたします。ただ、その最終報告等の内容については若干の違和感を持つところもございますので、これからの議論の発展への期待も込めて一言申し上げられればと思っております。
全世代型社会保障の考え方そのものは、前の自公政権の頃の社会保障国民会議や安心社会実現会議から練り上げられてきた社会保障改革のキーコンセプトにほかならないわけでございます。これは、決して世代間対立を前提にするのではなくて、現役世代、高齢世代、支える側、支えられる側という二分法から脱却して、誰もが社会に参加して力を発揮できるという条件をつくっていく。現役世代についても、元気で当たり前という考え方は取らないで、きちんと支援をしていくという考え方であると私自身は理解しております。
御紹介のあった中間報告、最終報告も、特に基本的な考え方の部分については、今、申し上げたようなことに触れられてはいるのですけれども、中身については、どちらかというと年金・医療の両面で、支えられる側にかかるコストを減らして、そのことによって現役世代の負担を減らすというところに力点が行き過ぎているのではないかと思っております。
例えば、コロナ禍の中でも、既に御発言があったように、特に就職氷河期世代、なかんずく非正規の若年層女性に打撃が集中していると思います。さらに、その打撃がいわば氷河期ジュニアとも言うべきその子供たちも、経済的な困難のみならず、登校日数が減るとか、教育サービスの幅が狭まるという形で様々な打撃を受けているわけです。
保険料が軽減されても、この世代はそもそも社会保険に入れていないという場合も多々あって、その恩恵も行き渡らないというところもあろうかと思います。そして、就職氷河期世代、そのジュニア世代、さらにはその間の世代も新氷河期世代のようになってしまうと、これまでの委員の御発言にあったように、2040年を越えていくこと自体が非常に難しくなっていくということでございまして、ぜひともこのたびの報告書はそれとして、さらにその後で全ての世代、特に現役世代が遺憾なく力を発揮できる場づくりと条件づくりというところにも力点を置いた形で、議論を発展させていっていただきたいと思います。
以上でございます。
○田中会長 宮本委員、ありがとうございました。
続きまして、今村委員、お願いいたします。
○今村委員 ありがとうございます。
先ほど、平井知事からコロナのワクチン接種についてのお話をいただきました。まず、冒頭、このワクチン接種につきましては、日本医師会、都道府県医師会、地域の医師会、さらに会員が迅速かつ安全なワクチン接種に全力で協力をしていきたいということを申し上げたいと思います。その際に、地域の医師会と自治体、特に市町村とがしっかりと早くから連携をして、地域の実情に応じた接種体制の構築に努めていくことが重要だと思っております。
さて、社会保障審議会の各部会あるいは分科会では、社会保障の持続可能性について真摯に議論されていると思っておりますけれども、その際に、今のコロナの感染症の影響というものをしっかり確認しながら、慎重かつ丁寧な議論をしていただきたいと思っております。
大規模な制度改革をする際に想定外の問題が生じやすく、また硬直的な制度運用がされれば、現場に不安や混乱を招きかねません。現場のしっかりとした理解がないと、こういった制度の改革というのはなかなかスムーズに進まないと思っております。地域の実情に応じて、かつ柔軟に運用され、丁寧な説明がなされることを求めたいと思っております。
また、日本という国として非常に財政状況が厳しい中で、さらにコロナで経済的に大きな影響を受けて財政的な問題も懸念されますけれども、やはりこういった必要な財政的な支援については、引き続きお願いを申し上げたいと思っております。
また、医療提供体制につきましては、感染症への対応と通常の医療が両立し得るような医療提供体制を構築できることが重要だと思っております。
もう一点最後に、医師の働き方というものも大変大きな問題だと考えております。これは2024年4月から始まるわけで、医師が健康で誇りを持って医師として働けるためには大変重要な施策だと思っておりますけれども、拙速な議論になることはぜひ避けていただきたいと思っております。
これは望ましいことではないかもしれませんが、現在の医療提供体制というのは医師の派遣で成り立っておりますので、自院の労働時間を短くするということで、拙速な派遣医師の引上げということにつながらないような仕組みの構築を求めたいと思います。また、医療機関として医師の労働時間の短縮計画を策定したときに、それを評価するための評価機能や高度な特定技能の審査をする審査組織といったものが非常に重要になってまいります。こういった両組織がしっかりと連携して、持続的、安定的に業務が遂行できるように、ぜひ国としても御支援をお願い申し上げたいと思います。ありがとうございます。
○田中会長 今村委員、ありがとうございました。
続きまして、荒木委員、お願いいたします。
○荒木委員 ありがとうございます。
全国町村会の荒木でございます。
新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、医療体制も危機的な状況が続いている中で、医療関係者はもとより、多くの皆さんが感染拡大防止に向けて御尽力をいただいているところでございます。心から感謝を申し上げます。
国、地方自治体が国民や事業者と一丸となって、何としてもこれ以上の感染拡大を阻止しなければなりませんが、とりわけ市町村においては、早期のワクチン接種体制の確立が大きな課題となっており、都道府県とともに全力で準備を進めているところであります。
本日説明のあった全世代型社会保障改革においても、新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた社会保障の新たな課題について検討いただいていたようでありますが、何よりも今般のコロナ禍において痛感しているのは、命と健康を守る医療や保健福祉の提供を、全国どこにいても受けられる仕組みづくりが重要だということであります。
また、コロナ禍は、東京一極集中の弊害やリスクを顕在化させました。テレワーク等の働き方改革や「新しい生活様式」の先には、地方への移住・定住をはじめとした新たな価値観による地域の発展がぜひとも必要になると思います。人口減少・高齢化に悩む全国の地域が活力を取り戻し、豊かな地域社会を創出していくことが、ひいては社会保障制度の持続可能性の向上に資することを市町村の立場から強調させていただきます。
以上でございます。
○田中会長 荒木委員、ありがとうございました。
そのほか、発言希望の方はおありでしょうか。
武田委員、お願いいたします。
○武田委員 ありがとうございます。
社会保障審議会の委員を拝命いたしました武田でございます。田中先生、増田先生をはじめ、皆様には大変お世話になりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
また、事務局におかれましては、本日、全世代型社会保障改革と令和3年度予算に関し大変分かりやすい御説明をいただきまして、どうもありがとうございました。
2点、意見を申し上げたいと思います。1点目は全世代型社会保障改革に関してでございます。全世代型社会保障検討会議で最終報告が出され、先ほども御説明をいただいたとおり、後期高齢者の自己負担割合の在り方が示されたことについては大変望ましい方向だと考えております。関係者の皆様の御尽力に改めて敬意を表したいと思います。ぜひ着実な実行、遂行をお願いできればと考えます。
一方で、社会保障制度の持続可能性を高めるための取組は、今回のこの改革で終わりではないと考えております。御説明をいただきました人口構造の変化を見据え、2040年、あるいはその先の2050年に向けて今からロードマップをしっかり描いていくことが大切ではないかと思います。
2点目は地域医療構想についてです。まずは、コロナ感染症の中で、現場で御対応いただいております医療従事者の方々をはじめ関係者の皆様に、この場を借りまして心から感謝を申し上げたいと思います。まずはそうした方々に対する十分な支援が必要と考えております。
同時に、日本全体で見ると利用されている病床は一部であり、医療資源が十分に効率的に使われているかどうかという点については、今後検証が必要と考えております。また、地域医療構想への取組についても、地域によって進んでいる地域と進んでいない地域がございます。ぜひ地域医療構想の実現に向けて取組を加速していただければと考えます。
以上です。ありがとうございました。
○田中会長 武田委員、ありがとうございました。
次に、小塩委員、発言をお願いいたします。
○小塩委員 一橋大学の小塩です。今日から参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
私も全世代型社会保障の在り方について、簡単にコメントさせていただきます。1つはマイナーなコメントなのですが、全世代型社会保障の考え方は、社会の支え手をできるだけ増やしましょうというアイデアだと思うのです。それに対応するためには、統計の見方も、今までのように65歳以上とか75歳以上というふうに年齢で区切るだけではなくて、社会の中でどれだけの人が支えているのかという実質的な中身を反映するような統計の取り方を工夫してもいいのではないかと思っています。これが1つです。
もうちょっとメジャーなコメントをさせていただきますと、先ほど宮本先生も御指摘のあった点なのですが、全世代型社会保障の議論で十分にフォローされていない問題があると思います。それはやはり現役世代の人たちの貧困の問題だろうと思います。特に日本は就職氷河期世代を抱えています。この人たちが結構大きなウエートを占めております。この人たちは、はっきり言えば年金をもらっている人たちに支えてもらっているという面もありますので、貧困の問題が顕在化していないという問題があります。ですから、相対的貧困率という統計にもしっかり出てこないという特徴があります。
しかし、これからこういう人たちが高齢世代になりますと、貧困の問題が一挙に出てくる可能性があります。そういう状況を見据えて、現時点からセーフティーネットの見直しが必要になるのではないかと思います。
それに関連して申し上げますけれども、支え手が増えると同時に、支え方も非常に多様化してくると思います。例えば、このコロナ禍でのウーバーイーツのように、今までの制度が想定していなかったような働き方が増えてまいります。そういう働き方の多様化に関して、現在のセーフティーネット、具体的に言うと、社会保険料の拠出の仕方が対応できているかと言われると、ちょっと難しいという面があります。働く、賃金をもらう、それに応じて保険料を払っていただくという従来型の保険料拠出の仕方で十分なのか、税と社会保険料の在り方を見直す必要があるのではないかという議論もこれから出てくるのではないかと思います。そういう点も含めて議論を深めていく必要があると思います。
以上です。ありがとうございました。
○田中会長 小塩委員、ありがとうございました。
次に、立谷委員、お願いいたします。
○立谷委員 私のほうから、今までの議論を聞いていて、重要なことがいろいろ御提言なされてきたと思うのですが、2点、申し上げたいのです。
社会保障の財源の問題については、今、新型コロナという非常に不安定な要素と向き合っています。私たち市長会としましては、この状況からできるだけ早く脱却するために、ワクチンの接種についてしっかりした体制で臨んでいきたいと。先ほど、平井知事から市区町村の役割ということでお話がございましたけれども、このワクチン接種については、我々基礎自治体、市区町村の事務なのです。
市長会でも今、皆さんと議論を進めているのですけれども、ここで出てきたのは、ワクチン接種の担い手になる医療機関のクリニックの先生方が、今村先生みたいに私はやるとおっしゃってくださる人もいるのですが、地方に行きますと担い手になる医療機関の先生方の参入がなかなか困難なところもあるのです。そうしますと、集団接種ということになりますが、その集団接種につきましても、集団接種会場のドクターを確保するのに非常に苦慮している。これが実際の都市自治体の状況であります。当然、これは平井知事たち知事会でいろいろと御検討願って御支援願いたいと思うのですが、町村になりますとさらに困難になってくるのです。この集団接種体制のドクターをはじめとする体制をつくるのに、非常に困難になってくるということが懸念されるわけです。
そこで、先ほども今村先生から話がございましたけれども、厚労省の示しているワクチン接種単価ですと、接種を促進することはなかなか困難なのです。集団接種をするにしても膨大なコストがかかってきますから、現実的には非常に困難だというのが各都市自治体の試算の結果です。現実的に開業医の先生方もなかなか参入が難しいという状況になっているのです。
それで、一昨日ですが、私ども市長会として総理のほうに、基礎自治体が医療機関でのワクチン接種を促進できるようなお願いをしていきたい。ひいては、そのような財源について御検討いただきたいということを強く要望してまいりました。その答えはいずれ出てくると思いますけれども、そういう中でやはり各医療機関のできるだけ多くの参加をお願いしていかないと、基礎自治体、特に小規模自治体では極めて大変な状況にあるということを一つ御理解いただきたいと思います。
もう一点は、今、問題になっております新型コロナによる介護問題が社会的に非常に大きな問題になってございます。特に若い女性がクローズアップされていますけれども、私ども基礎自治体として介護の問題は極めて強く関わっております。そういう中で、介護施設の人手不足は常に悩んでいる問題なのです。おかしいではないかという声もあるわけです。片方で介護が問題になって、労働者が職にあぶれるということが大きな社会問題になっていながら、介護の現場は相変わらず人手不足なのです。ここのミスマッチは一体何なのだろうと、介護の現場の方にもう少し誘導していきたいという気持ちがあります。
就職氷河期というのは一つの象徴的なテーマでありまして、就職氷河期に限ったことではなくて、やはり就職の機会としての介護現場がさほど大きなつくりになっていない、介護の人手不足の対応がうまくついていないというのが現状なのです。
市長会の要望としまして、2級ヘルパーの無償での資格取得がウェブでできるように今いろいろと調整しながら、要望しながらやっておりますけれども、また、根本的な問題として、介護の現場の報酬も含めた待遇改善というものが大きな課題になってきているのではないかという感じを持っております。
介護はお金のかかる仕事になりますけれども、全体的な財源の問題も出てまいります。これは相当大きな議論になりますので、ここで軽々に話を申し上げることはできないと思うのですが、我々の地域社会として、今、一番大事なことは、新型コロナからできるだけ早く脱却していきたい。そのために、市区町村、我々基礎自治体として相当な覚悟で頑張らなくてはいけないということになってこようかと思います。そのことを皆さんに御理解いただきたい。
なお、小規模町村、小規模自治体においては、知事会にぜひお願いしたいと思うのですが、相当な御支援のもとに、例えば医療機関が少ないところがありますから、そうすると集団接種です。集団接種会場の設置その他についても、現実的にシミュレーションするとなかなか大変でございます。
それらのことを含めて、ぜひ地方三団体として力を合わせて頑張っていかなくてはならないと思っておりますので、そのところを皆さんに御了解いただきながら、また、一昨日、市長会として総理に強く要望してまいりましたから、その結果も踏まえて、力を合わせて対応していきたいと思っておりますので、御協力をお願いしながら意見の開陳とさせていただきます。
○田中会長 立谷委員、ありがとうございました。
まだ発言希望の方はあるかもしれませんが、時間となりましたので、本日はこれにて閉会いたします。
本日、出された様々な意見を踏まえて、厚生労働省におかれては社会保障制度の運営や改革を進めていただくようお願いいたします。
委員の皆様には、お忙しい中、御参集いただきまして、どうもありがとうございました。
以上でございます。