2020年12月23日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

日時

令和2年12月23日(水)15:00~

場所

新橋8E会議室(8階)

出席者

出席委員(13名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人2名

欠席委員(10名)

行政機関出席者
 河野典厚(医療機器審査管理課長)
 中井清人(医薬安全対策課長)
 新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
 山本晴子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構医務管理監)
 山田雅信(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 木下勝美(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員(機器審査等部門担当)) 他

議事

○医療機器審査管理課長 先生方おそろいのようですので、「薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会」を開催したいと思います。本日は年末のお忙しい中にもかかわらず御出席いただきまして、本当にありがとうございます。現時点で、医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち、13名の先生に御出席いただいておりますので、薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしていることを報告いたします。局長は公務のため欠席の予定でございます。審議官は遅れて出席というように聞いております。
次に、本日の審議に参考人としてお越しいただいている先生を御紹介させていただきます。議題1に関して、独立行政法人奈良県立病院機構理事長の上田裕一先生でいらっしゃいます。それから、Webでの御参加でございますが、国立大学法人富山大学医学部第二内科教授の絹川弘一郎先生に御参加いただく予定になっております。よろしくお願いいたします。
続きまして、部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、御報告させていただきます。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員、又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。毎回で大変恐縮ではございますが、委員の先生方におきましては御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
○事務局 次に、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、本日の全ての議題について、医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため非公開といたします。これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでといたします。
続きまして、配布資料の確認をさせていただきます。事前にお知らせしましたとおり、本日の部会においてもペーパーレスで会議を進めたく、お手元には議事次第及び座席表のみを紙でお配りしております。タブレットの操作について、御不明点等がございましたら、お近くの事務局員までお声掛けいただければと思います。
続いて、部会の利益相反について御報告いたします。資料3「競合品目・競合企業リスト等一覧」をお開きください。本日の審議品目である医療機器「植込み型補助人工心臓 HeartMate3ですが、重症心不全患者の循環改善に用いられる植込み型補助人工心臓であり、今回心臓移植不適応の重症心不全患者に対する長期の循環補助の適応追加のための、製造販売承認事項一部変更承認申請がなされております。本日の審議事項に関する競合企業として、資料3に示す企業について、委員の皆様から寄付金・契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、薬事分科会審議参加規程第12条の「審議不参加の基準」に基づき審議に参加できない委員は、議題1において一色委員が該当しております。また、議題1の参考人として本日お越しいただいた絹川先生におかれましては、議題1の申請資料として提出された国内治験の効果安全評価委員であり、加えて製造販売業者からの寄付金・契約金があると御申告いただいております。ただし、薬事分科会審議参加規程第5条に基づき、部会が必要であると認めた場合に限り出席し意見を述べることができます。絹川先生は、心不全診療の中でも心移植と補助人工心臓を用いた重症心不全管理の両者を専門とされている先生であり、また、本審査の利用資料である補助人工心臓治療関連学会協議会Destination Therapy適正使用指針の作成も担当されていることから、医療現場のニーズの観点から参考人として御意見を聴取すべく、部会として絹川先生の参考人としての御出席につき、御確認をお願いいたします。なお、参考人であるため議決には参加しません。以上、御報告いたします。
それでは、以降の進行について、荒井部会長、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 最初に、今事務局から説明いただきましたが、その内容について、御意見、御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。御異議がないようですので、今説明がありましたように、絹川先生には参考人として、本日御意見を頂くことになります。よろしくお願いいたします。
それでは、議題1に入ります。「植込み型補助人工心臓HeartMate3」の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び使用成績評価の要否について始めさせていただきます。お聞きのように、本議題については一色先生に御退室いただきますので、少々お待ちください。
(一色部会長代理退室)
○荒井部会長 先ほどのお話のように、参考人として上田裕一先生、絹川弘一郎先生に御参加いただいております。それでは、機構から説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 植込み型補助人工心臓HeartMate3のフォルダを開いていただき、資料1-1を御覧ください。以降、ページの数字はページの一番下に緑色で記載された通しページで御説明いたします。本審査に当たり、資料の1ページに記載された計8名の専門委員から御意見を頂戴いたしました。そのうち、磯部委員は国内治験において一定期間治験分担医師であったこと、堀委員は同治験の治験協力者として関与されていたことから本申請のCOI該当者にあたります。しかしながら、今回、御審議いただく植込み型補助人工心臓を使用したDestination Therapyの知見や経験を有する専門家は国内において限定的であり、本申請の審査を行う上では、そのような専門家の意見が必要と判断し、総合機構の定める規定に沿った手続を経て参加いただいております。
また、審査報告書に4点誤記が確認されましたので、当日配布資料2にお示ししております。お詫びして訂正いたします。
それでは、審査報告書に沿って審査の経緯を御説明いたしますので、資料1-3の「審査報告書」を御覧ください。
初めに、品目の概要を御説明いたします。審査報告書10ページ1.審議品目の概要を御覧ください。本品、「植込み型補助人工心臓HeartMate3」は、治療抵抗性の末期重症心不全患者に対して使用する植込み型左心補助人工心臓LVADです。図1、その下の図2に示しますように、血液ポンプ等の体内植込み部品と、システムコントローラ、バッテリ等の体外構成品などから構成されます。
10ページの2段落目を御覧ください。本品は、心臓移植適応の患者に対して心臓移植までの橋渡し、BTTに使用するLVADとして承認を取得しております。本申請は、心臓移植の適応とならない患者に対して、生命予後を改善し在宅管理によってQOLを向上させるためにLVADを使用する治療(DT)としての適応を追加することを目的とした、外国製造医療機器製造販売承認事項一部変更承認申請です。
本品の概要を、動画を用いて御説明いたします。ホワイトボードを御覧ください。こちらは本品を体内に植え込んだ状態です。血液ポンプは左心室の心尖部に直接取り付けられます。左心室から血液を脱血し送血グラフトを経由して上行大動脈に駆出されます。
血液のポンプの内部の様子です。内部のロータが回転することで、遠心力により血液を駆出しています。このロータは磁気浮上のため、従来の遠心型ポンプにある回転軸受は有しておりません。このロータの回転数を調整することで、血液の駆出量を調整しております。
血液ポンプのポンプケーブルは体内から体外に貫通し、体外でモジュールケーブルに接続され、システムコントローラに接続されています。このケーブルにより、血液ポンプへの電力供給や駆動信号を送達しております。こちらが実際に装着した状態です。バッテリを携帯し、システムコントローラに接続しております。これらのシステムにより、病院外での日常生活を可能にします。以上が本品の概要となります。
次に、開発の経緯を御説明いたしますので、審査報告書12ページ上段から次ページの表1にかけて、(1)開発の経緯を御覧ください。心不全は進行性の臨床症候群であり、大多数の心不全は急性心不全として発症後、代償化され、慢性心不全に移行します。治療抵抗性の末期重症心不全患者は、至適薬物療法による症状コントロールや緩和ケアが治療目標となり、QOLが低下した状態で生活し、根治療法は心臓移植のみとなります。
米国において本品の前々世代品である「HeartMate VE LVAS」は、1998年にBTTの適応を米国で承認取得した後、心臓移植不適応の重症心不全患者に対して、至適薬物療法との無作為化比較を行ったREMATCH試験の成績により、DTの適応を2002年に米国で初めて承認取得し、その後、HeartMate VEを改良した「植込み型補助人工心臓HeartMate XVE LVAS」、本品の前世代品である「植込み型補助人工心臓HeartMateⅡ」が開発され、いずれも米国においてBTT及びDTの承認取得をしております。その後、本品では血液ポンプを磁気浮上式の遠心型ポンプを採用することで、ポンプ内部の軸受を非接触とし、前世代品と比較して小型化と高耐久性を目的として開発されました。
本邦では、2010年以降のBTTの症例数が現在までに1,000例を超え、LVAD治療が着実に普及してきた一方、心臓移植の適応とならない重症心不全患者に対しては、現在も有効な治療は確立されておらず、補助循環が必要な場合は、入院環境下で体外式の補助人工心臓、体外式VADを使用するか、緩和ケアが実施されてきました。
しかしながら、体外式VADによる合併症リスクは低くなく、短期間でポンプ交換を要すること、入院期間の延長やQOLの低下等の問題を有すること、至適薬物療法による治療の限界もあることから、本邦でのDTに対する臨床的ニーズは高い状況といえます。これらの背景から申請者は、本邦にDTを導入すべく本申請がなされました。
続きまして、審査報告書14ページ上段、(2)外国における使用状況を御覧ください。本品のDT使用につきましては、米国では2018年10月に、欧州では2015年10月に承認されております。
続いて、非臨床評価について御説明いたします。審査報告書17ページ下段から19ページの上段にかけて、(3)安定性及び耐久性を御覧ください。本申請では非臨床試験成績は提出されておりませんが、DTは心臓移植が治療のゴールとなるBTTと異なり、生涯にわたって実施される治療であり、使用時間も長期となる可能性が想定されることから、総合機構は耐久性に係る評価の充足性について申請者に説明を求めました。申請者からは、DTのような長期補助について、市販前評価における合理的な設定目標として本品の植込み部品の目標寿命を5年と設定していること、血液ポンプの駆動耐久性試験は目標寿命の5年評価を超えて現在も実施中であり、故障するまで継続して実施する予定であることが説明されました。総合機構は申請者の説明を踏まえ、18ページ下段から19ページ上段にかけてお示ししていますように、本邦において、心臓移植の適応とならない治療抵抗性の末期重症心不全患者に対して緩和ケアに代わる治療は存在しないこと、市販前評価における科学的及び時間的な合理性を踏まえると、目標寿命を5年と設定し、5年の耐久性評価をもって本品の一定の耐久性を担保するとした申請者の方針は受入れ可能と判断しました。一方で、DTでは耐久性について、5年を超える長期評価は必要と考えることから、現在5年を超えて継続されている血液ポンプの駆動耐久性試験を市販後においても継続し、結果を定期的に総合機構に報告するとともに、必要に応じて適切な措置を講ずることが重要と考え、これを承認条件5として付すことといたしました。
それでは、臨床試験成績について御説明いたします。審査報告書21ページ表7を御覧ください。本申請における臨床評価資料として、米国で実施されたMOMENTUM3試験(LTコホート)、及び国内DT治験(P3治験)の2試験の試験成績が提出されました。また、参考資料として、国内DT治験の2年フォローアップ成績、米国で本品の前々世代品を用いて至適薬物療法との優越性を検証するために実施されたREMATCH試験、本品の前世代品HeartMateⅡによるDTの有効性及び安全性評価のために米国で実施されたHeartMateⅡ米国DT試験の試験成績が提出されました。
続きまして、審査報告書の22ページの表8を御覧ください。MOMENTUM3試験(LTコホート)の試験の概要をお示ししております。本試験は、心臓移植の適否を問わず、治療抵抗性の末期重症心不全患者を対象とし、LVADの長期使用について、本品の前世代品であるHeartMateⅡとの非劣性検証を目的とした、前向き多施設共同非盲検無作為化比較試験です。本試験では、本品群190例、HeartMateⅡ群176例が登録されました。そのうち、植込み時にDTとして治験機器を植え込まれたのは本品群111例、HeartMateⅡ群106例と全体の6割ほどでした。本試験の主要評価項目は、mRSが3を超える障害を来す脳卒中の発現又はポンプ交換のための再手術のない、移植までの生存、離脱又は24か月間のLVAD使用と設定されました。
本試験の結果について御説明いたします。審査報告書26ページ表9を御覧ください。表9に登録患者の患者背景をお示ししています。表の上側に登録患者の平均年齢を示していますが、LTコホート全体で60歳前後、DT症例では本品群の平均は65歳、HeartMateⅡ群で平均61歳でした。
続いて、審査報告書28ページ表10を御覧ください。主要評価項目の達成率については、LTコホート全体で本品群は79.5%、HeartMateⅡ群は60.5%であり、本品群のHeartMateⅡ群に対する非劣性が示されました。DT症例のみを対象としたサブセット解析においても、主要評価項目の達成率は、本品群77.5%、HeartMateⅡ群55.7%であり、本品群のHeartMateⅡ群に対する非劣性が示されました。
審査報告書30ページ図6に、DT症例における生存率の推移をお示ししておりますので、そちらを御覧ください。植込み後2年生存率は、本品群82.2%、HeartMateⅡ群69.2%と、本品群に有意に高い結果が示されました。そのほか、QOLや心機能状態、6分間歩行試験などについてはベースラインから改善が認められ、特段の懸念は確認されませんでした。
続いて、再入院の状況を御説明いたします。審査報告書35ページ図8を御覧ください。植込み後2年の再入院回避率は両群で10%前後と低く、使用目的別で比較しても大きな差は認められませんでした。次ページ下段、表15に、再入院の理由をお示ししております。主なものとして、感染、出血が確認されました。
続いて、有害事象について御説明いたします。審査報告書38ページ表16を御覧ください。DT症例における重篤な有害事象の主な発現状況について、デバイス血栓症疑いの発現率はHeartMateⅡ群と比較して本品群で有意に低く、1患者年あたりの事象発現率では出血、主要な感染、脳卒中、デバイス血栓症疑いの発現頻度は、HeartMateⅡ群と比較して、本品群で有意に低い結果が認められました。なお、有害事象の全体的な発現状況の傾向は、LTコホート全体とDT症例で同様でした。
続いて、国内DT治験について御説明いたします。審査報告書40ページ表18を御覧ください。国内DT治験は、DTの国内医療生活環境における適合性を確認することを目的として、心臓移植不適応の重症心不全患者を対象に実施されました。申請者は当初、本品の前世代品であるHeartMateⅡに対してDTの適応にかかる承認取得を計画していたため、国内DT試験は本品でなくHeartMateⅡが使用されました。
本治験の結果について御説明いたします。審査報告書41ページ表19を御覧ください。こちらに本治験の患者背景をお示ししております。登録患者の平均年齢は66歳であり、42ページの表20に、登録患者の心臓移植不適応の理由を示しております。主な理由として、年齢、腎機能障害、肝機能障害が確認されております。
同ページの下段、表21で主要評価項目について御説明いたします。国内DT治験の主要評価要項目は、植込み後12か月時点におけるmRSが3を超える脳卒中の発生がない状態、又は血液ポンプの修理又は交換のための再手術がない状態での生存と設定されました。主要評価項目の達成率は、植込み後1年で60%、2年で40%でした。主要評価項目未達成例のうち、植込み後30日以内に死亡した症例が2例確認されております。死因は、それぞれ脳出血、急性循環不全の疑いと判定されております。
国内DT試験の再入院の状況については、審査報告書46ページ表24を御覧ください。植込み後、退院した8例全てで再入院を認め、植込み後2年までの1患者あたりの総再入院期間は90.3日でした。そのほか、副次評価項目、安全性について、特段の懸念は見受けられず、米国におけるHeartMateⅡの臨床試験成績と同様の傾向が確認されました。
以上の臨床試験成績を踏まえ、総合機構における審査の概要について御説明いたします。まず、本品のDTとしての有効性及び安全性についてです。審査報告書58ページ、2)本品のDTとしての有効性及び安全性を御覧ください。同ページの表30、提出された臨床試験成績の主要評価項目の達成率及び生存率の比較のとおり、米国における本品の前々世代品の至適薬物療法との優越性検証を目的に提出されたREMATCH試験、本品の前世代品HeartMateⅡのDTとしての有効性及び安全性の評価を目的としたHeartMateⅡ米国DT試験や国内DT治験の成績を踏まえると、本品のDT使用における有効性は、臨床試験成績から示されていると判断しております。
一方、安全性については、前世代品からの設計改良により、有害事象及び不具合の発生率は改善していると考えますが、至適薬物療法では発現しないLVAD特有の有害事象及び不具合の発現リスクは、提出された臨床試験成績から残存していることが示されております。その場合でも、DTの対象患者は薬物療法や体外式VADなどの補助循環法によっても継続した代償不全に陥っている重症心不全患者であり、心臓移植の適応とならない患者、すなわち本邦において現在は緩和ケア等に治療が限られる患者が対象であることを踏まえると、生命予後及びQOLの一定の改善が見込まれるDTの臨床的意義は大きいと考えます。したがって、十分なリスク低減化措置を講ずることで、心臓移植の適応とはならない末期重症心不全患者に対する新しい治療デバイスとして、本品のベネフィットはリスクを上回ると判断しました。
DTの長期成績について、審査報告書60ページ中段から次ページの図17までを御覧ください。DTは生涯にわたって継続される治療であることから、BTTよりも使用期間の長期化が想定されると考えます。総合機構は、本邦におけるDT患者の長期の安全性やQOL評価について明らかでないこと、本品の長期使用に関して、海外を含めても知見は少ないことから、後述する使用成績調査の実施に加え、MOMENTUM3試験及び国内DT治験の長期予後について解析結果を総合機構に報告し、必要に応じて適切な措置を講ずることが重要と考え、これを承認条件3及び承認条件4として付すことといたしました。
続きまして、市販後の安全対策について御説明いたします。審査報告書62ページ中段、(3)本邦におけるDT導入に際してのリスク低減化措置を御覧ください。本邦にDTを導入するにあたり、総合機構は同ページ中段にお示ししている、既承認のBTTと異なるDTの特徴として、治療ゴール、患者背景、患者選択にあたり配慮すべき事項、この3つのポイントを踏まえ、慎重に導入を進める必要があると考えます。本邦へのDTの導入にあたっては、補助人工心臓治療関連学会協議会より、DTを行う上での指針案及び実施基準案を作成いただいております。本申請の審査においては、これらについて実施施設及び実施基準、患者選択基準、患者管理体制等を確認いたしました。
実施施設及び実施医の基準については、63ページ上段、1)実施施設・実施医基準にお示ししたとおり、導入時は国内治験実施施設に限定することとされております。総合機構は、DTの特徴を踏まえると、本邦におけるDTの使用経験が少ない現状では、導入段階では実施施設を限定し、適応判断や終末期の対応も含め、使用経験も重ねながら患者管理体制等を構築する必要があると考えます。その上で適応に係る判断が問題なく実施され、患者管理体制が十分に整備されていることを使用実態から確認した後に、実施施設の拡大を判断する必要があると考えます。
関連学会から示された基準案では、国内治験実施施設、すなわちDTの適応判断や患者管理について一定の経験を有する医療機関に限定して導入されることから、総合機構はこれを受入れ可能と判断し、本品に対して承認条件1を引き続き付すことが必要と判断しました。
続きまして、患者選択基準について審査報告書64ページ表34を御覧ください。DTは生涯にわたる患者自己管理が必須であり、適切な自己管理の可否が安全性に大きく影響することから、適切な患者選択がDTの安全性を担保する上で必須であると、その専門協議での意見を踏まえ、総合機構は患者選択基準には、次のページの上段にお示ししている1.から4.が担保されることが必要と考えます。
関連学会から示された基準案では、高リスク患者への適応は推奨しない、又は除外する旨が示されていること、植込み時に一定の自己管理能力が確認され、患者の適切な意思決定プロセスが確保されること、症例選択の適切性について一定水準以上を担保される仕組みを整備することとされていることから、関連学会が作成したDTの指針及び実施基準を遵守することで市販後の安全性は担保可能と判断しました。併せて、関連学会が作成したDTの指針及び実施基準を遵守すること、及び高リスク患者への適応を検討する際は、患者や家族等に対してDTのリスク及びベネフィットを十分に説明し、理解が得られた上で慎重に判断される必要があること、以上この2点について添付文書等で注意喚起を行うことが必要と判断しました。
患者管理体制については、審査報告書67ページ中段から次ページにかけてを御覧ください。DTの患者管理体制はDTの特徴を十分に考慮した上でフォローが必要と考えます。また、国内治験は少数例で実施され、DTの本邦での臨床経験が乏しいこと、また、既にDTが導入されている米国等、海外とは国民性や社会環境も異なることから、DTの導入に際しては、使用経験を積み重ねながら、LVADに対する社会的な理解も得つつ、医療体制等を整備し、柔軟に運用を進めていくことが重要であると考えます。
総合機構は、関連学会が作成した実施基準案ではこれらの点が考慮されていると考え、DTの導入に際し一定水準以上の安全性が確保されていると判断しました。また、在宅治療プログラムに関する支援体制について、承認条件2を引き続き付すことが必要と判断しました。
最後に、使用成績評価について御説明いたします。審査報告書69ページ表35に調査の概要をお示ししておりますので、御覧ください。本申請の使用成績評価については、総合機構は主な事項として、次に申し上げる3点を判断根拠にしております。1つ目は、本邦におけるDTの長期成績、特にQOL評価は明らかでないこと、2つ目はDTにおける適切な患者フォローや医療体制は症例経験を積み重ねながら最適化を図る必要があること、3つ目は臨床試験成績において高い再入院率が確認されていることになります。以上の3点を踏まえ、国内臨床使用実態下において全症例の情報を収集し、有効性及び安全性を評価するとともに、必要に応じて追加のリスク低減化措置を講ずる必要があると判断しました。
申請者は症例登録期間について、MOMENTUM3試験(LTコホート)と同程度の症例登録を見込んだ期間を設定していること、これまで本邦において関連学会により実施されているLVADの市販後レジストリであるJ-MACSを活用し全症例を登録すること、追跡期間を最低3年以上、総調査期間を7年の範囲内において追跡することと設定しております。総合機構は、申請者から示された使用成績評価の計画案を妥当と判断し、これを承認条件3といたしました。
以上の審査を踏まえ、総合機構は審査報告書72ページ中段に記載している使用目的にて本申請を承認して差し支えないと判断し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本品は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断します。また、使用成績評価期間は7年と設定することが妥当と判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。
今回の報告に先立ち、北澤委員から事前に御質問を頂きましたので、回答と併せて御紹介いたします。御質問は、審査報告書66ページ中段3.の2段落目の上から4行目、「関連学会において、事前指示として患者の意思を確認しておくべき項目の統一、患者への説明・同意取得に用いる文書の共有についても検討され、臨床倫理の専門家及び法律家も交えてそれぞれの案を作成中とあるが、具体的にどのような文書か、また説明・同意文書には患者やケア提供者の視点が反映されているか」というものでした。
総合機構の回答を御説明いたします。まず、LVAD治療はリスクも大きく、既存のBTTにおいては治療のリスク・ベネフィットについて、文書や臨床成績等の図示、ビデオ等、各実施施設において患者や家族等に分かりやすいよう工夫されて説明がなされてきたと理解しております。
DTでは、治療選択時に終末期を意識せざるを得ないことから、患者等への事前の説明や理解が重要であると考えております。関連学会では、DTの課題について多職種で議論する研究会を以前より立ち上げており、臨床成績にとどまらず、患者の意思決定プロセスや終末期医療のあり方についても積極的に議論されてきたところです。今回のDTの導入にあたっては、これらの事前の議論を踏まえ、現在関連学会でDTに関する事前説明文書及び終末期医療の指示書の内容について、施設間で統一すべきドラフトを作成中と伺っております。
説明資料の具体的な内容としては、国内治験で使用された事前説明文書等を参考に、心不全の推移におけるLVADの位置付け、LVADやDTの治療によるメリット・デメリット、これまで得られている臨床成績、終末期医療の患者意思の重要性、LVAD治療において想定される状態変化、有害事象の具体的な事例、意思決定のあり方や延命措置の説明などが含まれております。この検討メンバーには、心臓外科医、循環器内科医だけではなく、緩和ケア医、在宅診療医、臨床工学技士や看護師等のコメディカル、医療安全や医療倫理、法律の専門家も参画しており、ディシジョンエイドの観点から、説明方法も含めて議論されているところです。今後、関連学会で議論をまとめ、作成された案を基に各施設で資料等が作成され、患者等への説明に使用される予定です。総合機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 どうもありがとうございました。それでは、まず参考人としてお越しいただいている、上田先生から何か追加の御意見、御説明がございますでしょうか。お願いいたします。
○上田参考人 ありがとうございます。私自身は心臓血管外科医として45年間働いておりまして、心臓移植の適応審査と、もう25年ほど前ですがVADの開発段階で、関与したことがございます。先ほどの説明に加えて、1点だけ触れておきたいことは、DestinationのDTとは別に、いわゆる心臓移植の適応になった方々に対するBridge To Transplant、BTTというところでVADの数多くの実績があります。今も移植を受けられる方の中には、5年間、補助循環を受けてから移植に至っている方もいらっしゃいますし、3、4年間VADの補助中は100名以上の方々がおられます。つまり移植対象の方々に対するこの体外循環と言いますか、体外心室補助VADというのは、ほぼ確立したところに来ています。それでも、やはり出血があったり、脳卒中や感染など、お示しになったような有害事象が発生しています。心臓移植という目標があるために3、4年待って、あるいは5年後に移植ということもあるのですが、今回のDTではその目標がありません。ずっとこの機械が付いた状態であるという特殊な状況で、この関連協議会もその点については議論されているところです。
だから移植対象ではないという言葉は、その外側全部がVADの適応となるわけではなくて、移植対象の人たちとその周りにもう1つDTに該当する適応の方々をどのように絞るかというところが、今日、御説明のように非常に困難なところもあります。また、患者さんに対してこの治療を提案する際の、いわゆるインフォームドコンセントは1回ではなくて、数週間、数箇月かけた説明が私は必要ではないかと思っています。一縷の望みに、どうしても藁をもすがるというような形になる適応というのは、問題です。これは、ハイリスクの症例は適応から避けるということをおっしゃっていますが、患者や家族にしてみると、見捨てられたと思われる心配もあろうかと思い、非常に丁寧な、また、おっしゃったような複数の職種の人たち、さらにコーディネータの人たちや心理士等が関わった、きっちりとしたインフォームドコンセントの記録を残す必要があろうかと思っています。
施設による差があっても困りますし、また適応が広がったということで多くの施設が実施するものではないということが、今日も言明されていますし、恐らく心臓移植施設等に限定されて導入されることかと思います。導入段階の問題点への対応が、このDTの行く先を決める非常に重要なキーポイントになろうかと思って説明を聞いておりました。光明は、そういう移植適応外の方々にも、3、4年先まで生き長らえる可能性があるという明るいものと、一方でそれに至るまでに脳卒中であったり、出血による死亡であったり、また、2年間ではほとんどの人が、再入院が必要となるという極めて綱渡り的なところもある医療であることを、いかにそれを患者さんに理解してもらうか、また、心臓外科医や循環器内科医、臨床工学技士による在宅での応援、支援がない限りにおいては、この治療は成り立たないと思います。そのベースとなるのは先ほど申し上げたBridge To Transplantの経験で積んでおられるので、それを拡大していくことになりますが、その際にどれぐらいの対象者が発生するのかということを考えていかないと、幾らチーム医療と言いながらも、その在宅でのサポート、VADの維持管理は大変難しくなります。
また6か月間、介護人と言いますか、家族と言いますか、ケアギバーが身近に付いていただいてサポートしてあげないと、精神的に不安定なこともありましょうし、数多くのサポートによって成り立つ医療だということを御理解いただけたらと思います。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、もうお一人、絹川先生がライブで参加してくださっています。絹川先生、いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
○絹川参考人 ただ今、御紹介いただきました富山大学の絹川でございます。参考人として意見を述べる機会を与えていただきまして、ありがとうございます。私は、先ほど審査報告中にございました、補助人工心臓治療関連学会協議会の中で、Destination Therapy部会というものを立ち上げておりまして、そちらで部会長をさせていただいております。その関連で今回このような医療ニーズについて申し上げる立場にあるのかと理解をしております。この医療ニーズについては、先ほど来、幾つか既に御報告されている部分でございますが、心不全というのは基本的には様々な治療がありますが、必ずしも皆さんがその治療でハッピーではない。特に身の回りのこともできないようになるという重症心不全の症例も一定数おられます。こういう患者さんは、年齢を問わずいらっしゃるわけですが、今後、日本での心不全の患者さんは2030年前後まで増えるということが想定されておりますので、重症例も増えるということになろうかと思います。
この重症心不全というのは、薬物治療やデバイスの治療が不成功裏に終わったという理解になりますが、そこでもなおかつ心臓移植という非常に画期的な治療は、もちろん存在するわけであります。先生方皆さん御存じのように、我が国の心臓移植は大変成績はよろしいわけですが、なかなか、数としては全ての移植希望の患者さんのニーズを満たすには至っておりません。その関係上、途中で審査のところでも記載がございましたが、平均4年近く待機をしているという状況です。当然、4年という長い間を待つのは通常の内科治療では限界がありますので、そこで植込み型のLVAD治療というのが承認されてきて、今、上田先生からも御指摘がありましたが、Bridge To Transplantというカテゴリが今まで我が国での保険償還という要件になっていたわけであります。
この植込み型LVADに関しましても、私どもJ-MACSというレジストリを組んでおりまして、全例登録をやっているのですが、現在、既に1,100例以上の登録がありまして、2年生存率が89%ということで、これはもう世界一の成績です。ですので、世界一の植込み型LVADの成績で、世界一の心臓移植の成績にブリッジしているというところが、現状我が国での重症心不全治療になります。しかしながら、移植適応年齢を65歳ということで上限を切らせていただいております。これ以上移植適応の患者さんを増やしてしまうということは、ただでも長く待っている若い方を、もっと長くお待ちいただくことになりますので、これ以上の年齢上限引上げというのは現実的ではありません。もちろん、どんどん移植のドナーの患者さんが増えれば、今後そういう道もないわけではありませんが、やはりそこに関しては、まだ先は見通せない状況であります。
しかしながら、65歳という年齢というのは、今の我が国ではまだ若い部類と言っても良いわけでありまして、前期高齢者と言われておりますが、75歳までの患者さんといいますと、一般に皆さん活動性が高い方が多いですし、やはり社会への関心も失っていない方が数多くいらっしゃいます。ですので、65歳を超えただけで瞬間にこの移植適応がなくなってしまって、それが同時に植込み型LVADの保険適用もないというのは、非常に我々としては不公平感もあるかと従前から考えておりました。当然、ドナーを必要とする心臓移植の適応の考え方と、機械を使った治療ということでは、年齢に対する考え方に違うスタンスがあっていいと我々は常々思っておりました。
この植込み型LVADというのものはどんどん進歩しております。先ほど御紹介いただきましたように、米国では2001年以来このDestinationがだんだん広まってきたわけですが、米国では、このDestinationという形で使用されている方がほぼ半数になってきております。我が国でBTTとの住み分けが本当にどのぐらいの数になるかというのは、まだ誰も100%の答えはございませんが、我々がここ10年にわたって患者さんとの向き合いをしている中では、必ず一定数このDestinationにより恩恵を受ける患者さんがいるという確信を持っております。
それからもう一点、高齢者と別の視点を申し上げたいと思います。悪性腫瘍の既往がある、あるけれどもすでに癌は治療している、しかし治癒してまだ5年たっていないので移植登録ができないという若い方の重症心不全、特にアドリアマイシン心筋症がその典型例ですが、こういう事例もございます。こういう場合に、植込み型LVADでのDestination therapyを施行して、そこで一時凌げば、数年後には移植登録が可能になるという、そういう事例も十分想定されまして、こういう方は本当に若い方なので、完全社会復帰も目指せますし、恩恵は高齢者よりも更に大きいのではないかと思います。
このような、必ずしも高齢者に特化した適応だけではないところもありますので、是非この辺りも御理解いただきたいと思っております。こういうところも踏まえますと、やはり我が国において、このDestinationの導入というのはなるべく早く、喫緊の課題と我々は言い続けております。もちろん、上田先生からも御指摘を頂きましたように、ゴールが移植ではありませんので、医学的な適応、患者さんへの御説明、患者さんの自己管理の能力が担保されている、などBTTとはやや違ってくる側面があると理解しております。それでもなおかつ終末期というのは必ずこのDestinationのなかで生じてくるわけで、そのときにどのような対応をするべきか、このようなことを、法律家の先生や医療倫理の方、そして、我々の仲間でありますコメディカル、そういう幅広い職種で、ここ数箇月に渡りまして、部会において検討させていただきました。まだ100%の内容ではありませんが、私の中では90%ぐらいまでは出来上がったと思っておりまして、恐らく資料としてそちらにお届けしていると思いますが、ぜひ御覧いただきまして、御判断いただければと思います。以上で私の意見とさせていただきます。ありがとうございます。
○荒井部会長 絹川先生ありがとうございます。通常のこの部会では、機器としての安全性や有効性を軸に審議していただいているわけですが、お聞きのようにこの機器の場合、それ自体が医療、あるいは社会に対してインパクトというか、かなりの影響があることが容易に想定がされるわけです。まずは、これまでの議論、説明を踏まえて、委員の方々から、御意見、御質問いかがでしょうか。梅津委員どうぞ。
○梅津委員 早稲田大学の梅津です。これは非常に大変な案件だということを、まず、皆さんに御理解いただきたいと思います。それはなぜかというと、機械というのはいつかは壊れると誰もがみんな思っていると思います。それをあえて一生使うという中での決断なのです。でも、それをやらないと選択肢が増えないのです。だから、このような形で今回提案されて協議会の議論の下に。5つの承認条件を付けたことは、私は全て正しいと思っております。そのような中で、私はこの分野を45年ぐらいやってきたので、是非とも言いたいことがあります。
死ぬまで使う人工臓器にはどんなものがあるかというと、例えば、ステントや人工弁、ペースメーカーなどが該当します。ペースメーカーは信号を送る、人工弁は圧力が上下してそれに伴って弁が開閉する、ステントは血管内の狭くなった所を広げてそのまま置いておくというように全てパッシブな状態で使われます。ところが、人工心臓は血流としてエネルギーを送るというアクティブな面を持っているわけです。ですから、余計気を付けなければいけない人工臓器のです。
もう1つは、承認条件がこれで今回決まって、これでいきましょうということになったときに気を付けなければいけないのは、世の中のテクノロジーはどんどん進歩していることをいつも考慮しておくことです。例えば、車の自動運転などを見ても、目を見張るような技術がどんどん出てきていると思います。そういうものと、今回決めたような承認条件に対して将来、車の運転をしてもいいのではないかなど、承認条件にかかわる新しい可能性の話が出てきたときに、フレキシブルに今日決まったことが全てではなく、これは一生使うものなので、世の中に進歩することはいっぱいあると思います。そういう中でフレキシブルに審査の条件内容を変えるという機会を是非とも残していただきたいと思います。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。そのほかの委員、御意見はいかがですか。中谷委員どうぞ。
○中谷委員 中谷です。上田先生、絹川先生、梅津先生も言われましたが、私もこの分野に関わってきた者として状況を少し追加したいと思います。末期臓器不全に対しての対応として移植か人工臓器かという問いかけが各臓器で行われています。その中で心臓に関しては、心臓移植か人工心臓かということで研究・開発が進められてきました。特に、人工心臓の場合は、耐久性がどれぐらいか分からず、かつ、心臓移植の場合は、いつ臓器が出てくるかどうか分からないうちに重篤な心不全に陥って亡くなってしまうという問題があります。その意味で、まず、人工心臓は心臓移植へのつなぎとしてBTT(Bridge to Transplant)という形で行われてきました。
本格的に我が国で植込み型補助人工心臓が使われるようになったのが、2010年に、当部会で検討され承認されてからですが、その当時想定されていた補助期間は、BTTとして、精々1、2年でした。もっと長く用いるのは今回審議されているDTとしての適応が必要だろうと考えられたのです。しかし、日本でのBTTの成績が良かったので一気に心臓移植を希望する人が増加し、それまでは、心臓移植はできないと思われていたのが、在宅でのBTTが行えるようになったこと、そして、その成績が良いことで心臓移植が現実味を持って末期心不全に対しての治療の選択肢になりました。
このために、心臓移植希望者が増えて、今、言われているように、心臓移植実施までに4、5年待たなければならなくなりました。その待っている間、確かに多くの合併症もあるのですが、移植をして元気になっている方も多くおられます。そのような形の補助人工心臓の臨床でのバックグラウンドがあるので、既にこのDTにおいて問題となる長期間の補助ということに関しては、かなりの部分、もう体制が作られているという状態に、図らずもなってしまったという状態です。いくつかの問題点、すなわち脳梗塞が起こったときにはどうするのか、感染症はどうするのか、家に帰ってから長くなってきたときに家族がどうするのかということなどに関しては、多くのことが経験され、解決したとは言いませんが、いろいろな対応を取ることがなされています。DTで起こると想定されることは、既に考えられてきたというか、対応し、悩み、やってきたというバックグラウンドがあります。従って突然このDTという長期循環補助ということが出てきたわけではなく、そういう意味でのバックグラウンドは、もう既にあるということです。
もう一点、自分が強く関与したJ-MACSという登録システムですが、これは植込み型補助人工心臓装着例を全例登録することにしました。かつ植込み型補助人工心臓を実施するその施設は、この全例登録に入らない限り、植込み施設とはなり得ないという形で施設基準に織り込むことで、実施した症例の確実なフォローアップができる体制の形にしています。ここで1点だけ、部会長が言われたように、心臓移植のバックアップがないところで行うことに対してはどうかということがあります。これは上田先生もIC(インフォームドコンセント)をどうするかが課題であることを強く、強調されていた点だと思います。そのバックグラウンドとしてはこれまで述べてきたことがありますので、上田先生としてはそこが気になるとされ、それに対しては絹川先生が説明されたように、チームを組んで行うことで対応するようになってきています。このような状況となっており、この新しい治療手段を承認することは、我が国における末期心不全に対する治療選択を大きく広げることになると思います。
もう1つは、このようなDTという治療は、年を取った人だけが対象という認識を持たれるかもしれませんが、絹川先生も言われていましたが、実は、若い人でがんになって、抗がん剤治療が効いて癌の方は治療できたのに、その薬によって心不全になり、さらにその心不全が急速に悪化して末期急性心不全になってしまうことがあります。その人は、正に心臓移植の適応となり得るのですが、1点だけ、すなわち抗がん剤治療が早期に効果を発揮して癌は治癒されたのですが、がんが治癒してまだ5年たっていないから、癌が再発する可能性があるとされるため、心臓移植の適応から外れることになります。そうなるとBTTとしては適応することができません。このような人も元気になってもらうチャンスを、このDTというコンセプトがあると得ることができます。是非認可する方向で審議していただきたいと思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。齋藤委員どうぞ。
○齋藤(知)委員 海外、特にアメリカでの臨床試験では、原疾患で、虚血性心疾患や冠動脈疾患が多いのですが、日本では弁膜症あるいは拡張型心筋症が多く、原疾患の内容が異なるような印象を受けます。この原疾患の相違が、臨床成績に影響を受けるか否かについてお伺いしたいと思います。もう1つの質問ですか、高齢者が対象となるということで、高齢者といっても、一人暮らしの単身世帯、老々で生活されている一世代、三世代の大家族で生活されているなど、生活実態が個々に異なります。在宅でこのような医療機器を管理するのには、専門的知識を持った人材が介入していかないと、しっかり管理できないのではないかと危惧します。そういった意味で、家族に対する教育、あるいは、ケアを提供する人たちに対する教育など、そのような教育または人材育成システムが現状でしっかりできているかについてお聞きしたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。総合機構より回答いたします。2点御質問をいただいており、1点目が提出された臨床試験で原疾患が国内でもどうかといった御質問と理解しました。その1点目の御質問に関しては、確かにおっしゃるとおり、臨床試験では確かに、差分といいますか、偏ってはいるのですが、現状、BTTが行われている患者背景等を見ますと、特にその点は評価として懸念されるようなところはないと総合機構は考えております。
2点目の高齢者、特に高齢者に関しての在宅管理、そのケアには周りの家族等も含めた管理のあり方についてという御質問だと思いますが、その点についてもDestination Therapyの導入というところで、65歳以上の患者さんが入ってくる可能性は出てくるのですが、これも現状BTTで65歳以上はほとんどいないかと思いますが、60歳を超えた患者さんが今いらっしゃいます。そういった患者さんに関しては、施設で特に対応していただいている状況です。
実際の患者さん管理が極めて重要であることも踏まえて、施設で定期的な再教育や教育入院という形でケアギバーの介護者の方も含めて一緒に再教育といいますか、管理について定期的に確認されていることが1つです。
あと、Destination Therapyに関しては、やはり、そういったところが心配になりますので、今、DT部会、関連協議会で作られている実施基準の中で、再教育に関する点と患者さん自身の自己管理能力といいますか、その能力を定期的に確認することで、患者さんに取られている介護体制を定期的に見直すことが記載されておりますので、今、BTTで行われている状況も踏まえて、DTの導入によっても、それは実現というか担保されると考えております。
○齋藤(知)委員 最初にこの機器を使える施設が、BTTを実施した施設に限定するというようなお話ですが、それは、そのようなバックグラウンドを踏まえて設定しているという認識でよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 今、予定の施設は国内試験を実施した7施設ということになっておりますが、それらの施設は、もちろん、いずれもBTTの経験がある施設です。今、お話のあったような患者管理の経験や、BTTにはないDT患者さんの特徴を踏まえた患者管理、その患者さんを導入する時点の適応判断。こういった経験を有する、まずは治験を実施した施設で慎重に始めて、その状況を見つつ、その他の、今、BTTが行われているような施設に拡大できるかどうかを、経過を見ながら判断していくことになると思います。
○荒井部会長 そのほか、委員から御意見いかがですか。宮川委員どうぞ。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。いつも厳しい意見ばかりで申し訳ありません。いろいろな臨床上困難な事例の中で、感情的に議論するということがないように、問題を整理して考えていかなければいけないと考えます。今、各委員がお話になった現状での問題点は、先ほど言ったような高齢という問題をどのように考えるかだと思います。誰でも高齢になるわけですから、今、装着している人も必ず高齢になっていきます。それも経過的な措置の中でさえ患者年齢の上昇を加味して考えなければなりません。導入時点の年齢のみでなく、長期に渡る話を考えなければいけません。
そうなると、進歩の中で改善していくかことができるのか。これは完全に患者管理の中で、導入時だけでなく、患者が高齢化した時までの医療体制の問題になってきます。そこまで言及することが大事ですし、問題点だろうと思います。ですから長期的な問題なのか近未来的な問題なのか、現時点で可能性として、どうなのかということを真摯に考えていかなければなりません。私たちはこれを1つの課題、将来に対する課題として、しっかりと取り上げ、医療に取り組む環境の私たちは、このような問題が将来いろいろな所で起こり得るのだと認識して審査しなければなりません。将来に明確な課題を持って、それを解決していくのだという決心をしながらやっていくべき問題点がここに潜んでいることを考えなければなりません。現状での患者の困窮を救いたいというエモーショナルな問題ではなく、ここまで技術革新をして、できている問題であれば、それを将来解決していけるという見通しも含め、是非そういうものを考慮して、しっかりと議論の中で解決していくべき問題であろうと思います。
各委員が言っておられたことの繰返しですが、これは私たちのこれからの自らの問題です。現状での選択肢のみで、私たちが承認するわけではありません。将来の確実なる進歩も加味した中での議論もありうることだと思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。先ほど中谷委員からいただいたフレキシビリティが必要だということと、同様の視点からのご意見と思います。私からプリミティブな質問です。14ページに海外での使用状況が出ていたのですが、ふっと思ったのですが、承認の時期はそんなに違わないのですが、米国とカナダでは、使用数にものすごい違いがあります。何かこの辺には原因があるのですか。もし、分かっていたら。
○医薬品医療機器総合機構 正確にお答えは、すみません、申請者に確認が必要なところではあるのですが、恐らく保険制度の違いか、これがHeartMate3という申請者の最新モデルで、現状、前世代モデルのHeartMateⅡもまだ世界中で使われている状況なのですが、そのⅡから3に移っている状況ということですので、もしかしたら、そういった影響もあって、まだ米国でメインで使われている、米国の企業のためそもそもの数は多いかと思いますが、そういった可能性もあるかとは思いますが、正確な背景というのは、今、存じ上げておりません。
○荒井部会長 ありがとうございます。もう1点だけ、これは一番、実は皆さん興味を持っておられると思うのですが、実際にこのデバイスを使うようになる患者の数については、どのような予測が出ているのでしょうか。多分、企業が出した予測しかデータがないのかもしれませんが、どんな数が出されているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。この想定されるDTの患者数は、審査をするにあたり、私たちもずっと調べてきたといいますか、審査をしている中で検討はしてきたのですが、なかなか具体的な数字、エビデンスといいますか、そういった数字が出てこない状況です。
そのため、申請者からの情報として、臨床現場の方々への調査といいますか、アンケートをしておりまして、あくまでも相場観のお話ではあるのですが、実際、新規に植え込まれる患者さんとしては、BTTと同程度だろうと。多くてもそれぐらいだろうと。今、BTTの症例数が年間100例から150例新規に植え込まれるということなので、DTでも1年あたりの新規患者数はそれぐらいだろうと。ただ、今回、実際には施設を限定して慎重に導入していくところでもあるので、それよりは少ない規模で推移していくのだろうという考えが示されております。
一応、参考の情報ではありますが、米国では昨年、2018年のデータですが、大体、2,600例程度の新規LVADの患者さんの数と出ております。このうちの割合として1/4程度がBTTで、先生方からもお話がありましたが、その2,600例あたりの半分ぐらいが、今、Destination Therapyとして使用されていると。日本が同じようになるかというのは、いろいろな違いがあると思うので、将来的にはこのような分布になるかもしれませんが、現状では具体的な数字としてはお示しできないということになります。
○荒井部会長 ありがとうございます。課長からどうぞ。
○医療機器審査管理課長 今の御質問に少し補足させていただきます。機構からの説明のとおりで、正確な数字を推定するのは非常に難しいと考えております。現在、年間BTTが100件から150件というのは機構が申し上げておりましたが、いろいろな論文を調べてみますと、例えば、東北地方6県24施設での対象患者の疫学的調査によると、DTはBTTと同じぐらい又は数倍程度、それでも、恐らく1,000例は超えないのではないか、それぐらいの規模感ではないかと考えております。
○荒井部会長 ありがとうございます。その他の御意見いかがでしょうか。よろしいですか。さまざまな御意見をいただきましたが、当部会として、今日、冒頭で申しましたように、単に安全性があるから、有効性があるから、データがそろっているから承認という安直なものではなく、宮川委員、中谷委員から御発言頂きましたように、この機器が今後の医療全体にかなりの影響を及ぼしてくる可能性があること、その中で見直しをやっていかなければいけないということを十分に踏まえた上での判断ということで、かなり重い判断です。この点につきまして、委員の方々にも十分御理解いただいた上で、ほかに特に御意見がなければ、議決に入らせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
はい、ありがとうございます。それでは議決に入らせていただきます。医療機器「植込み型補助人工心臓HeartMate3」の承認事項の一部変更について、本部会として承認を与えて差し支えないものとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。また、使用成績評価は期間を7年として指定することでよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決いたします。なお、本件は分科会にて報告を予定しております。
それでは、これで議題1を終了いたしますので、上田先生、絹川先生どうもありがとうございました。
(参考人退出)
○荒井部会長 一色部会長代理は御入室ください。
(一色部会長代理入室)
○荒井部会長 それでは、会議に戻ります。本日の議題「その他」ですけれども、事務局から委員の先生方に2件御報告があると伺っております。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より、過去の部会審議品目に係る部会委員の利益相反誤報告について説明させていただきます。
当日配布資料3を御覧ください。薬事分科会の審議参加規程第12条では、申請企業又は競合企業から年度あたり500万円を超える寄付金・契約金等の受取があった委員は、当該審議品目の審議が行われている間は審議会場から退室することとなっております。本年4月に書面開催された医療機器・体外診断薬部会において、一色委員よりニプロ社から50万円を超えて500万円以下の寄付金・契約金等を得ているという申告がありましたが、今般改めて確認を行ったところ、500万円を超える支払いがあったことが判明しました。
一色委員におかれましては、該当項目について誤った判断のもとに記入してしまったとのことで、訂正の御申告をいただいております。この件による審議結果への影響については、4月部会での議題は一般的名称の新設に関するもののみであって、個別品目の承認に関わる審議に該当しないため、薬事分科会審議参加規程第18条により、同規程第12条の規定は適用されず審議及び議決に影響はありません。
今後の改善策として、利益相反回答票の記入要領にて、注意喚起を行うことといたします。説明は以上となります。
○荒井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。もう1つ報告をお願いします。
○事務局 続きまして、事務局より「医療機器プログラム実用化促進パッケージ戦略」について報告します。当日配布資料4です。医療機器プログラムにつきましては、昨今、AIを利用した画像診断支援プログラムや患者の行動変容を促すことで疾患の治療を行うアプリケーション等、様々なものが開発されていまして、新たな診断・治療の手段として期待されているところです。この医療機器プログラムにつきましては、従来の医療機器とは異なる特性を有しておりまして、実用化を促進していくためには、その特性を踏まえた審査制度、若しくは審査体制の整備が必要であることから、厚生労働省におきまして、「医療機器プログラム実用化促進パッケージ戦略」、通称「DASH for SaMD」を取りまとめまして、11月24日に公表しています。なお、医療機器プログラムの審査迅速化の必要性につきましては、本年10月に開催されました規制改革推進会議医療・介護WG、また、経済財政諮問会議でも指摘されているところです。
パッケージ戦略の具体的な内容につきまして説明します。資料の4ページです。大きく4つに分かれていて、1つ目が萌芽的シーズの早期把握と審査の考え方の公表、2つ目が相談窓口の一元化、3つ目が医療機器プログラムの特性を踏まえた審査制度の検討、4つ目として早期実用化の体制強化等となっています。
1.につきましては、厚生労働省の調査事業等で、国内外における医療機器プログラムの開発・承認状況や規制制度等を調査するとともに、その結果を踏まえ、審査の考え方や具体的な評価指標を作成・公表していくこととしています。
2.ですが、(1)1.該当性相談、これは薬機法の規制対象となるかどうかに関する相談です。2.の開発相談、これは通常PMDAで受け付けている治験プロトコル等に関する相談になります。それから、3.の医療保険相談、これらの相談を一元的に受け付ける窓口を置き、連携強化を図ることとしています。また該当性の相談事例について、可能な限り整理・公表していくこととしています。
それから3.の(1)、海外のデータの活用等、効率的な審査を実施していくこととしています。また、今般の薬機法改正で導入され本年9月に施行されました、変更計画確認手続制度、通称IDATENにつきまして、積極的に活用していくこととしております。さらに、革新的な医療機器プログラムを個別に指定し、優先審査等の対象とする制度の創設についても検討していくこととしております。
最後に4.ですが、早期実用化のための体制強化等の施策としまして、PMDAに医療機器プログラムに特化した専門的な審査組織を設置することとしています。また、(2)ですが、薬食審の医療機器部会の下に専門調査会を設置し、医療機器プログラムの承認の可否等について御審議いただくことを検討しています。さらに、産学官連携フォーラムの設置及び承認事例公開DBの充実化等を図ることとしています。
今後のスケジュールについてですけれども、いずれも年度内に検討を開始し、速やかに措置をするということとしています。本部会にも関係します、先ほどの専門調査会の設置につきましては、年度明け早い段階で設置できるように準備を進めたいと考えています。事務局からの報告は以上になります。
○荒井部会長 ありがとうございます。御質問はいかがですか。4枚であっさり説明されましたが、これ、かなり大きな話だと思われます。伺うのは簡単だけれど、後で意外といろいろな仕事が降りかかってくるだろうなという危惧を感じながら、説明を伺っておりました。1つだけ、1.2.3.の相談の一元化は、相談をする側からするとありがたい。これは具体的には厚労にその部署ができるのか、PMDA側にそれができるのか、どうなのでしょう。
○医療機器審査管理課長 御質問ありがとうございます。その点につきましては、どこに窓口を設置するのが相談される方の効率性などにもつながるか、そこについては引き続き検討したいと思っております。
○荒井部会長 ありがとうございます。委員の方々、よろしいでしょうか。今の説明に関しては御理解いただいたということで、多分何らかの形で皆さん、降りかかってくると思いますので、その旨御了承ください。よろしいですかね。それでは、これで2つほど報告ということで、報告を終了させていただきたいと思います。
これで、本日予定されておりました議題は、数は少ないのです。特に最初の議題は大変重かった訳ですが、お陰様で全て終了しました。事務局から連絡事項をお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 本日も、お忙しい中、いろいろ御意見をいただきましてありがとうございました。次回の部会につきましては、2月12日を予定しておりますが、詳細につきましては、また後日メールで御連絡させていただきます。
それから、来年の1月末をもって薬食審委員の任期を迎える先生方がいらっしゃいまして、その方を含めまして、本日御出席いただいている先生の中で4名の先生、本日最後の御出席という先生がいらっしゃいます。私から僭越ですが簡単に御紹介いたします。齋藤知行先生、中島先生、中谷先生、桃井先生。この間、いろいろお忙しい中御出席いただき、様々貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございました。また、何かの形でいろいろ御指導、御意見賜りますと幸いでございますので、どうぞよろしくお願いします。本当にありがとうございました。事務局からは以上です。
○荒井部会長 改めて部会長として、4名の先生方、御礼申し上げたいと思います。長いこと本当にありがとうございました。
それでは、これをもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医療機器審査管理課 

再生医療等製品審査管理室 室長 大原(内線4226)