2020年11月20日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

日時

令和2年11月20日(金)14:00~

場所

新橋8E会議室(8階)

出席者

出席委員(17名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人1名

欠席委員(6名)

行政機関出席者
 山本史(大臣官房審議官)
 河野典厚(医療機器審査管理課長)
 新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
 山本晴子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構医務管理監)
 山田雅信(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 木下勝美(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員(機器審査等部門担当)) 他

議事

○医療機器審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会を開催させていただきます。委員の先生方におかれましては、御多用の中御出席いただきまして誠にありがとうございます。現時点で、医療機器体外診断薬部会委員23名のうち、17名の先生に御出席いただいておりますので、薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことをここに御報告いたします。
事務局に人事異動がありましたので御報告させていただきます。独立行政法人医薬品医療機器総合機構医務管理監の山本です。
○医務管理監 10月から医務管理監になりました山本と申します。前職は、国立循環器病研究センターで勤務しておりましたけれども、10月からこちらで参加させていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 なお、山本医務管理監におきましては、今も話がありましたように、国立循環器病研究センターに関係する案件がありました場合には、審議の際に中座させていただくことを御報告いたします。
次に、本日の審議に参考人としてお越しいただいている先生を御紹介いたします。議題1に関して、国家公務員共済組合連合会虎の門病院血液内科 副院長、血液内科部長でいらっしゃいます谷口修一先生にお越しいただいております。
○谷口参考人 谷口です。よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 続いて、部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条の適合状況の確認結果について報告させていただきます。薬事分科会規程第11条において、『委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない』と規定されております。今回、全ての委員の先生方より薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので報告させていただきます。
委員の先生方におかれましては、会議の都度、書面の御提出を頂きまして御負担をお掛けしておりますけれども、引き続き御理解、御協力を賜りますよう何とぞよろしくお願いいたします。
○事務局 次に、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、本日の全ての議題について、医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため非公開といたします。
これより議事に入ります。傍聴の方につきましては、恐れ入りますが御退席をお願いいたします。
続いて配布資料の確認をさせていただきます。事前にお知らせいたしましたとおり、本日の部会においてもペーパーレスで会議を進めたく、お手元には議事次第、座席表及びタブレットの使い方のみ紙でお配りしております。タブレットの操作について御不明点等がありましたら、お近くの事務局員までお声掛けいただければと思います。
続いて、本部会の利益相反について御報告いたします。資料8、競合品目・競合企業リスト等一覧をお開きください。まず1ページ目の、医療機器「Cellex ECPシステム」ですが、ステロイド抵抗性又は不耐容の慢性移植片耐宿主病、(以下「慢性GVHD」)に対する体外フォトフェレーシス治療に用いるシステムであり、外国製造医療機器製造販売承認申請がなされております。
2ページ目の、医療機器「Harmony 経カテーテル肺動脈弁システム」ですが、ブタ心のう膜由来の自己拡張型経カテーテル肺動脈弁TPVと、血管を介してTPVを右室流出路まで経皮的に送達するためのデリバリーシステムから構成される医療機器であり、同様の効能・効果等を有する製品として資料に記載された品目が競合品目として提出されています。
3ページ目の、医療機器「エドワーズ サピエン3」ですが、ウシ心のう膜由来の経カテーテル大動脈弁生体弁と、これを大動脈又は肺動脈弁位に送達するデリバリーカテーテルシステム等から構成される経カテーテル生体弁留置システムであり、同様の効能・効果等を有する製品として資料に記載された品目が競合品目として提出されています。
4ページ目の、医療機器「Surpass Streamlineフローダイバータシステム」ですが、破裂急性期を除くワイドネック型で大型若しくは巨大内頸動脈内動脈瘤に対する血管内治療に使用されるフローダイバータシステムであり、同様の効能・効果等を有する製品として、資料に記載された品目が競合品目として提出されています。
その他一般的名称に係る影響企業のリストが5ページから9ページまでございますので、必要に応じて御覧ください。
本日の審議事項に関する競合企業として、資料8にお示しする企業について、委員の皆様から寄付金・契約金等の受取状況をお伺いしたところ、薬事分科会審議参加規定第12条の「審議不参加の基準」に基づく審議に参加できない委員はいらっしゃいませんでした。以上御報告いたします。
以降の議事進行については荒井部会長にお願いいたします。
○荒井部会長 まずはじめに、今の事務局からの説明について、何か御質問等はありますか。よろしいですか。この時期にこれだけお集まりいただきましたので、小池都知事の指示もありますし、マイクがありますので大きい声を出して頂く必要はありません。なるべくコンパクトに進めさせていただきたいと思っております。御協力ください。
議題1を始めさせていただきます。Cellex ECPシステムの高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び主要成績評価の要否についてです。先ほど御紹介いただきました本議題については、谷口修一先生にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。それでは、事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題1について、事務局より御説明いたします。資料1のファイルをお開きください。本議題では、医療機器「Cellex ECPシステム」の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について御審議をお願いいたします。
ファイル1の1ページ目を御覧ください。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器に対しては、部会の御意見を聞いて、新たに一般的名称を新設することになっております。今回、Cellex ECPシステムに対応して、新設を予定する一般的名称は、「体外フォトフェレーシス装置」です。定義は、「体外フォトフェレーシス治療を行うために、ヒトの全血から分離した白血球等に光活性薬剤を注入し、紫外線照射及び返血するためのシステムをいう。通常、血液成分を分離する装置、血液回路、UVAランプ等から構成され、光活性薬剤を含むものもある。」となっています。
本品はクラスⅢ、高度管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、本品は保守点検を行う必要のある医療機器と考えております。一般的名称の新設に関する説明は以上となります。
審議品目及び審査の概要については医薬品医療機器総合機構より説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。本審査に当たり、東京慈恵会医科大学薄井紀子先生、自治医科大学神田善伸先生、国家公務員共済組合連合会虎の門病院谷口修一先生の3名の専門委員から御意見を頂戴いたしました。
資料1のファイル中にある審査報告書を用いて御説明いたします。以降、ページ番号は緑色で記載しております通し番号でお伝えいたします。
はじめに品目の概要について御説明いたします。通し番号12ページの中段の図1を御覧ください。本品は、本体、キット、メトキサレン溶液及びUVAランプから構成され、体外フォトフェレーシス治療(以下ECPという)を行う機器となります。本品を用いた治療の概要を動画を用いて御説明いたします。小さい画面で大変恐縮ですが、奥の画面を御覧ください。
患者は、両腕に送血ラインと返血ラインを取っています。凝固を防止するため同時にヘパリンを投与しながら、患者の全血を採取します。処理の間は、ディスプレーに参考情報として、処理した血液量、採血・返血速度、ライン圧力などの測定値が表示されます。全血は装置中央にある遠心分離器に送られ、ここで赤血球と、白血球・血漿からなるバフィーコートに分離されます。装置にはオプティックセンサーが付いており、バフィーコートと赤血球との境界を検知し、バフィーコートが広がる際の境堺を連続的に監視します。
遠心分離器により分離されると、赤血球が一度バッグに溜まり、それから患者に返血されます。目標全血処理に達すると、患者から追加で少量の全血が採血され、これが赤血球の層を押し上げ、バフィーコート分割を遠心器の最上部から押し出すことになります。採取されたバフィーコートはバッグに移送されます。移送される際はヘマトクリットセンサーを通過します。このセンサーにおいて、赤血球が検出されるとチューブが閉塞され、遠心器からのバフィーコートの取出しが停止します。
バッグ内のバフィーコートの量に合わせて、メトキサレン溶液をバッグ内に注入します。メトキサレンは、DNAを標的にする光活性物質で、結合すると架橋を形成します。メトキサレン処理されたバフィーコートはラインを通りながらUVA照射されます。それにより、メトキサレンが活性化し、白血球のアポトーシスを誘導し、患者体内で免疫寛容を起こすと考えられています。返血ラインから患者に返血されます。以上が、本品を用いた治療の概要です。
次に、開発の経緯を御説明いたします。審査報告書に戻り、通し番号の13ページの上段の(1)開発の経緯を御覧ください。移植片対宿主病(以下GVHDと呼ぶ)は、急性白血病等に対する治療法である同種造血幹細胞移植後の重大合併症の1つです。ちなみに、同種造血幹細胞移植は、他者であるドナーから提供された造血幹細胞を移植するものを指します。
GVHDは、病理組織学的又は臨床徴候により急性GVHDと慢性GVHDに分類され、本品の対象疾患は慢性GVHDとなっています。急性GVHDの定義は、同種造血幹細胞移植後、早期に見られる皮疹、黄疸、下痢を特徴とする症候群で、移植片の宿主に対する免疫学的反応によるものとされる一方、慢性GVHDは、ドナーの造血幹細胞から分化し、成熟したリンパ球による障害により、皮膚、口腔、眼、内臓、関節筋膜、生殖器等全身に対する異常による晩期型障害が認められ、患者のQOLを著しく低下させると言われています。
現在の慢性GVHDに対する標準的治療法は、ステロイドを中心とした薬剤の長期投与ですが、長期間のステロイド剤投与に伴う有害事象も少なくありません。更に、ステロイド治療が奏功しない慢性GVHD患者も一定程度存在しており、現在のステロイド抵抗例に対する標準的な治療方法は確立されていません。したがって、このような背景から、ステロイド抵抗性又は不耐容の慢性GVHDを対象に、本邦への本品導入を行うため、医療機器製造販売承認申請が行われました。
なお、本品は医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会において、早期導入すべき医療機器に指定されております。また、本申請の使用目的であるステロイド抵抗性又は不耐容の慢性GVHDに対する治療デバイスとして、希少疾病用医療機器にも指定されています。
続いて通し番号14ページの表1、外国における許認可状況及び販売状況を御覧ください。メトキサレン溶液を除いた部分について、米国では1987年4月に前世代品が、2009年3月に本品が承認されています。欧州では1994年12月に前世代品が、2008年3月に本品が認証されています。メトキサレン溶液は、米国、欧州ともにそれぞれ1999年2月、2000年4月に承認を受けています。
本品の非臨床試験については、通し番号16ページから20ページにお示しております。各試験結果を審査した結果、特段の問題は認められませんでしたので、詳細説明は割愛させていただき、以降臨床試験成績について御説明いたします。
通し番号23ページ中段の(1)、TKS-01試験を御覧ください。TKS-01試験は、ステロイド抵抗性、依存性又は不耐容の慢性GVHD患者を対象として、国内3施設で実施された多施設共同単群試験となります。本治験における患者選択基準及び除外基準は、通し番号23ページ下段から次のページにかかる表4のとおりでした。治療期間と治療頻度は、通し番号24ページ下段の表5のとおりであり、本治験においては24週まで本治療が継続して行われました。
次に、本治験結果について御説明いたします。通し番号27ページ中段の3)試験結果を御覧ください。本治験においては、有効性に関する主要評価項目として、24週時点における皮膚などの各臓器の治療効果判定と、ステロイド量の変化とを組み合わせた判定が行われました。24週時に治療効果判定が実施されなかった中止例3例を除いた12例での有効率は66.7%であり、両側95%信頼区間は34.9~90.1%となり、事前に設定した閾値奏功率を満たしました。
次に、安全性について説明いたします。通し番号29ページ中段の2.安全性評価を御覧ください。本治験の有害事象は、15例、106件、100%に発現しました。そのうち重篤な副作用として心不全が1例、6.7%に発現しました。
次に、本品の審査における主な4つの論点について説明します。1つ目の論点は、本品の有効性及び安全性についてです。特に安全性について説明します。通し番号36ページ上段の2)安全性についてを御覧ください。本治験においては、全例で有害事象が発現しておりましたが、多くは原疾患及び合併症並びにステロイド等の長期投与に伴う感染状態により認められる有害事象であり、本治療に特有の有害事象はありませんでした。
本品との因果関係が否定できない重篤な副作用としては、心不全が1例で6.7%報告されていますが、当該事象の原因としては、本治療を実施する前から認められていた収縮性心膜炎の悪化によるものではないかと考えられており、本品との因果関係は極めて低いと治験責任医師及び治験分担医師により判断されております。
また、本治療時にカテーテルを挿入したことが誘因と考えられる「深部静脈血栓症」が1例(6.7%)で見られておりますが、添付文書上で血栓塞栓症が発生するおそれがあるため、患者の状態に応じて適切な量の抗凝固剤を投与する旨の注意喚起が図られていることも踏まえ、安全性に関する治験成績について、現段階で対応し得る適切なリスク低減措置が講じられていると判断しております。
2つ目の論点は、本品の対象患者についてです。通し番号36ページ中段の(2)本品の対象患者についてを御覧ください。本治験では、18歳から66歳の患者が被験者として含まれており、18歳未満の患者については患者数が少ないなどの影響から、本治験には含まれていませんでした。ただし、18歳未満の患者について、文献や海外での使用実績から、有効性及び安全性が確認できるため、添付文書上で18歳未満の患者に対しては、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ使用する旨を注意喚起した上で、18歳未満の患者への使用を制限しないことが妥当と判断しました。
3つ目の論点は、本品の治療期間と治療頻度についてです。通し番号38ページ中段の(3)治療期間と治療頻度についてを御覧ください。慢性GVHDに対するECPの最適な治療期間・回数は確立されていないため、上市した際には、本治験での治療期間である24週を超えて、実臨床上での治療を可能としたいと申請者は考えています。医薬品医療機器総合機構としては、本品が漫然と使用される状況は避けるべきであると考え、第24週を超えての治療の継続については、患者の状態に応じて慎重に検討される必要がある旨の注意喚起を図るよう申請者に対応を求めました。また、第24週以前であったとしても、本治療において臓器障害の改善がなく、ステロイドの増量が必要な症例に対して、治療期間の週数を遵守しようとして、本治療を漫然と繰り返すことは不適切であり、医師が本治療の有効性を治療途中で判断するなど、患者に見合った適切なタイミングで治療継続の適否を確認する必要があることについても、併せて注意喚起を図るよう申請者に対応を求め、適切に添付文書上で注意喚起が図られたと判断しました。
4つ目の論点は、製造販売後安全対策についてです。通し番号39ページ中段の(4)製造販売後安全対策についてを御覧ください。まず、製造販売後安全対策の対応のうち、適正使用に関して御説明いたします。医薬品医療機器総合機構は、本品の安全性に関する試験成績について、現段階で対応し得る適切なリスク低減措置が講じられており、臨床上許容できると判断しています。また、本品の使用上における注意喚起についても、添付文書において適切に情報提供が図られており、更に本治療に用いる手技は、一般的な血液浄化療法と同等であり、新規性の高い手技ではないことを踏まえると、本品が患者の状態に応じて適切に使用されるのであれば、本品使用に際し、特段問題は生じないと考え、適正使用指針の策定は不要と判断しました。
また、対象疾患が慢性GVHDであることを踏まえると、本治療の実施医・実施施設は、骨髄移植等が可能な医師・施設に限定されることが想定されるため、実施医・実施施設要件の設定も不要と考えております。併せて、これら要件の遵守を求める承認条件の付与も不要と判断いたしました。
最後に、使用成績評価についてです。通し番号39ページ下段ト項を御覧ください。本治験にて、日本人に対しての治療実績が確認され、安全性に関連し、製造販売後に引き続き検討すべき事項はないこと。本品の治療対象が希少疾病であり、使用成績評価で収集できる症例数が限定されること。更に、ECPは海外にて20年以上実施されている治療法であり、海外における臨床使用実績が十分にあること。以上の3点を踏まえて医薬品医療機器総合機構は使用成績評価で得られる情報により、新たな安全性上の懸念が特定される可能性は低く、使用成績評価の指定は不要と判断しました。
なお、申請者と早期導入の要望を行った日本造血細胞移植学会が連携し、市販後の本品治療に関する詳細情報を収集調査し、必要に応じて医療現場への情報提供を行う予定としております。
以上の審査を踏まえ、医薬品医療機器総合機構は本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。医薬品医療機器総合機構からの報告は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○荒井部会長 それでは、参考人としてお越しいただいている谷口先生から追加の御発言等がありましたらお願いいたします。
○谷口参考人 通し番号13ページの(1)の8行目辺りを御覧ください。ここに3行ぐらいさらりと書いてありますけれども、慢性GVHDは移植された造血幹細胞から分化したドナーさんのリンパ球により、いわゆる自己免疫疾患のような病態をとってきます。ここに各種臓器が書いてありますけれども、慢性GVHDが進行しますと、非常に重篤で、QOLは著しく低下と表現してあります。著しく以上の言葉はないのかもしれませんが、患者さんは本当につらい状態になっていきます。
例えば、口腔、眼などはちょうどシェーグレン症候群のような乾燥症候群で、眼は乾燥でやられていきます。口腔内は乾燥から始まり、扁平苔癬といって粘膜が盛り上がってきて、各所に潰瘍を作っていき、感染も起こしてきますし、かなりの疼痛を伴います。
皮膚は、最初の起こり始めはちょっと赤みのある炎症程度ですが、慢性化すると、色素沈着が起こり、色素沈着の上に鱗屑というか角化した表皮がたまり、皮膚剥離も起こり、最終的には皮膚の硬化が起こってきます。肺については、いわゆる閉塞性肺疾患と似た病態をとりますが、閉塞性機転が主体を占める呼吸困難が出現します。筋肉、関節も拘縮を起こしてきます。
ですから、これはステロイド等の初期治療に反応しない場合、これらの症状がゆっくりですけれども進行性に増悪していきますので、なかなかステロイドの量を下げられず、長期投与せざるを得なくなります。こうなると、ただでさえ慢性GVHDに伴う免疫不全がある上に、その上に長期・大量のステロイドが入ってきて、感染症で致命的になっていきます。
治療法として、今まで我々は免疫抑制剤の他の種類を持ち合わせませんので、なんとか患者さんの症状を軽減させようと免疫抑制をかけていくありません。言葉は適切でないかもしれませんけれども、患者さんは、年余にわたり慢性GVHDの症状で苦しんだあげく、最終的には感染症や呼吸不全等で亡くなっていかれます。
ECPシステムに関しては、我々はかなり長い間、国際学会等で海外の素晴らしい成績というほどではないのかもしれませんが、発表を聞いてこの効果については知っておりました。私たちにとりましては目を見張る効果を期待しますが、ステロイドの必要量が少なくなるだけでも有り難いのです。データだけ見ると、例えばECP治療後、高率に完全寛解に入っていくような効果とはちょっと違うかもしれませんが、患者さんはかなり症状が軽減されますし、免疫抑制剤の使用量も減る効果は期待できます。進行した方は、それが治癒するまではもっていけないのかもしれないのですが、それをもうちょっと早めに使う。そこまでになる前に使ってあげることで治ってしまうことも、私は期待したいと思っています。ちょっと感情的な説明になったような気もしますが、以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、委員の方々から御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。
○永井委員 神戸大学の永井です。承認審査の可否とは直接関係ないかもしれませんが、治験というか臨床試験について、然るべき理由があるなら別ですが、PMDAから申請者に指導していただくのがよさそうな点を、2、3コメントさせていただきます。
1つ目は、通し番号26ページの下のほうです。もともと10症例を目標としていたところ、15症例も治験に組み入れています。数百例規模の治験で数例オーバーというのはよくありますが、今回の場合は50%も多くの症例を組み入れてます。いまだ安全性が確立していない治療に必要以上の患者を危険にさらすという点で、ここは問題ではないかと思います。
2点目は、通し番号33ページの中ほどです。重篤な有害事象と副作用という言葉についてですが、特に国内治験の報告で副作用という言葉が使われています。まず第1点は、いわゆる一般的なSAEの規準である、後世に残る障害とか、入院の延長というのではなく、今回の試験では軽度、中等度、高度という、独自の規準を用いている点が何故なのかという点です。
それと、先ほど言及した副作用という言葉についてです。個々の症例で因果関係が否定できないものを全て副作用と称している記載に見えます。有害事象が副作用であると言うためには、因果関係をきちんと示唆する情報のエビデンスがあって、初めて有害事象が副作用になるわけです。個々の症例、特に今回は単群の臨床試験で比較対照もありませんので、その症例で必ずしも因果関係を否定し得ないものが1つあったからといって、それを副作用と称して、今後どこかに残っていくというのは疑問に思います。以上コメントです。
○荒井部会長 3点、御質問というか御指摘を頂きました。まず人数のところからお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 本件は先生の御指摘のとおりかと思います。きちんと検証試験として、症例設計をしたときには10症例というお話で組んでいました。ところが、実際は15症例入っていたということです。今回は長期間の治験であるというところも踏まえて、中止例が大体どれぐらいになるのかというところが読めなかったということから、10症例での治験ではあるのですけれども15症例入ってしまっているというところかと思うのです。少数例の治験であるのに、プラス5症例も入っているというところは本当に御指摘のとおりかと思います。今後、こういう治験についてはPMDAとしても、プロトコルを組む段階で少し申請者等に注意喚起はしていきたいと考えております。ありがとうございます。
○荒井部会長 谷口先生、この点、すなわち治験の途中で予定よりも人数が増えたという点について何か御意見はありますか。
○谷口参考人 確かに、治験ですから安全性は分からないわけです。先ほど申し上げましたように、国際学会等で我々はかなりこの治療を知っていました。それと臨床試験とは違いますが、それほど危険な治療に患者さんを持っていくという意識は余りなかったのだろうと思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。梅津先生どうぞ。
○梅津委員 早稲田大学の梅津です。早期導入すべき医療機器の指定とか、希少疾病用の医療機器の指定という案件に対しては、初めは数が少なかったのだろうということは予測できます。これがうまくいかなかったら、途中で数を増やすというフレキシビリティを持ってこういうものはやらないと、現実的でないと私は思うのです。私は、やっていることは決しておかしいことではないというように感じました。以上です。
○永井委員 科学的効果と安全性の観点から、倫理委員会等で然るべきプロセスを経て承認されたなら問題なかったとは思います。
○荒井部会長 こういう希少疾患で一定の効果が海外では出ているとものに関しては、梅津先生の御指摘にもありましたようなある程度のフレキシビリティも必要かと思われます。重要な御指摘かと思います。その他にはいかがでしょう。宮川委員どうぞ。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。今ご指摘のあったことは非常に物事の核心に迫ったお話だと認識します。ですから、柔軟な考えも必要ですが、もともとどうあるべきかという議論は深くあるべきと思います。その辺は慎重にしなければいけないという前提で、今のようなお考えでよいと思います。その原則論が崩されてしまうと、この審議の意味がなくなってしまうということだけは踏まえていただければと思います。
○荒井部会長 今の御指摘も大事なポイントと思われます。今後も同じようなものが出てくると思いますので、慎重に両面から、基軸が崩れないような形で、なおかつ一程度の柔軟性をもって検討する姿勢が必要かと思います。よろしければ2点目の御質問に移ります。副作用と有害事象という言葉の定義、扱い方、それからもう1つ御指摘を頂いたグレーディングに関しての軽度、中等度、高度という言葉を使っていることに関してです。PMDAからお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 軽度、中等度、高度という形で今回重篤度を分けています。他の治験でこのような形で軽度、中等度、高度という定義が、例えば通し番号33ページの表12-4の下に※で記載させていただいているのですけれども、こういう定義で分かれているというのは珍しいというのは御指摘のとおりかと思います。
今回、慢性GVHDに関連して、谷口先生からも御紹介いただいたとおり、QOLが低下するというところもあり、例えば高度であれば仕事又は日常生活ができない程度の症候又は症状というような形で定義はされているところではあります。おっしゃるとおり、プロトコル相談の段階等で、どのように安全性の情報を集めていくかというところについては、機構側も注意して確認していきたいと思います。先生の御意見を参考にさせていただいて、今後気を付けていきたいと考えております。
副作用というところについては、有害事象は全ての本治療に関係ないものも含め、患者に起こった事象として有害事象が集められています。その中で、申請者としては本治療に関連しているものを副作用として集めてはいるところではあります。今回、慢性GVHD患者であって、病態も多岐にわたっていて、もともと持っている症状等もありましたので、恐らくその有害事象も100%に発現していて、多数発現している。その中で副作用がどれだったのかというところについて、申請者側も含めて、因果関係がはっきりしていない部分もあったという御指摘かと理解しております。
副作用として因果関係がはっきりしていない部分も含めてしまっていることについては、ちょっと病態的に難しい部分もあったのかなと想像するのですけれども、こちらについては申請者の考察を踏まえて審査をさせていただいているという状況です。谷口先生、もしよければ本治療に関連して、例えば有害事象が発生したときに、本治療と結び付けて因果関係が確認できる副作用等があれば、そういう御見解を教えていただけますか。
○谷口参考人 私自身は、ここで提示してくれた部分で流量はそんなに多くないと思うのですけれども、一応体外に血液が出るわけですから、そこに伴う副作用は考えます。それ以外の副作用というのはそれほど問題にならないと理解しています。
○荒井部会長 ありがとうございます。どうぞ。
○永井委員 今の点に関連したコメントです。因果関係が否定できないからといって、必ずしも副作用ということはありません。逆に、一見因果関係がないように思われるもの、例えば抗うつ剤による自殺企図ですが、そういったものは症例数を積み重ねて初めて分かるわけです。しかも、今回の場合は単群ですから、コントロール群に比べて多いか少ないかという議論もできないわけですから、ここで副作用という言葉を使うのは適切でないと思います。
更に言えば、特に副作用はタイプA、B、Cとあって、特にタイプCの副作用は、症例数を積み重ねて集団に照らして頻度が多いか少ないかを評価して初めて分かるものです。言葉の注意を御指導いただいたほうがいいのではないかと思います。以上です。
○荒井部会長 今のご指摘は、先ほどの人数の話とも類似していて、たしかに機器の評価の場合には、種々の背景によりある程度表現形をモディファイすることはあるかもしれません。しかし、言葉の定義については、そこの基軸が変わってしまうと、出てきたデータが何を意味しているのか分からなくなってしまい、この部会でも判断ができなくなってしまいます。そういう大変重要な点ですので、今後は極力注意して進めていただければと思います。その他にはよろしいですか。
○今野委員 浜松医大の今野です。教えていただきたいことがあります。今の副作用の話ですけれども、御発言にあるとおり、ある程度症例が集まってこないと確定できない要素がいっぱいあると思います。これまでにも同様の例が当然あると思います。そうすると、現時点でフィックスすること自体がかなり難しいのであれば、そういう取り扱いで残しておくというような形にはできないのですか。つまり、ある段階でこういう可能性が高いけれども、それは症例数が増えることによって、カテゴリーが移る可能性もあるような位置付けというのはできないのですか。
○永井委員 私が答えてもよろしいですか。ここでもし副作用という言葉を使うのであれば副作用疑いという言葉のほうが適しています。その言葉を使わないのであれば、因果関係を否定できない有害事象などという言い回しが適していると思います。
○今野委員 そのようにしなさいということですね。
○永井委員 はい、そうだと思います。
○荒井部会長 少なくともここに出てくる議論のときには、接頭語や疑いといった表現が付くことはあるかもしれませんが、有害事象と副作用は厳然と違いますので、そこは区別してデータを挙げていただきたいという御意見だと思います。私も正論だと思います。よろしいでしょうか。
○宮川委員 機構にお願いしたいことは、これから言葉の厳密さというものをしっかり考えていただかないと困ります。先ほど谷口参考人から、非常にミゼラブルで、感情的にならざるを得ないぐらいの問題が存在するという報告で、どうしても表現が曇ってしまいます。しかしながら、こういうものを事象として、数値として挙げる場合には厳格でなければいけないはずなのです。事実と感情は分けなければいけない。それは機構がしっかりしなければ駄目です。そのことだけは申し上げたいと思います。
○荒井部会長 どうぞ。
○医療機器審査管理課長 御指摘いただきましてありがとうございます。永井先生からの御指摘の中で、まず副作用と有害事象との関係でコメントさせていただきます。一般的には有害事象のほうが概念的には広い概念だと理解しています。因果関係の有無にかかわらず、生じた有害事象をまとめたものが有害事象であり、副作用というのは、「有害事象」のうちで因果関係が否定できないとか、因果関係の疑いがあるといったようなことでもう少し狭い概念で整理するのが一般的かと思います。間違っていたらまた御指摘を頂ければと思います。
その中で本品で言うと、外国で既に先行して使われており、ある程度因果関係の有り無しというのは、そういうところを参考にしながら考えることも可能と考えます。今後は御指摘のとおり、用語の定義、使い方については、我々も、PMDAも注意しながら使っていくというのは御指摘のとおりだと思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。どうぞ。
○今野委員 副作用、それから有害事象は日本語ですよね。経験的には、意外とカテゴリーが一致しない場合があります。ひも付けは確実にできているという理解でいいですか。今の話でも副作用、それから有害事象は、受け止め方で対象品によって随分変わってくる可能性があると思います。世界共通とする用語としてひも付けられているという理解でよろしいのですか。
○永井委員 はいそうです。副作用と有害事象という言葉は、世界共通で使い分けられています。今野先生が先ほどおっしゃられたように、コンベンショナルには、因果関係が否定できないものは副作用というように扱っていましたが、その扱い自体も徐々に変わってきています。最新の動向と言いますか、知見に照らして御検討いただければと思います。
○医療機器審査管理課長 御指摘ありがとうございます。もう1つ、治験デザインの症例数との関係でもコメントを頂きました。これも御議論があったとおり、また宮川先生がおっしゃるとおり、原理原則という観点からすると、被験者の皆様が不当に安全性であるとか、倫理上の問題にさらされることがないということが一番大事なポイントではないかと思っています。
その上で、目標症例数を上回って組み込まれるということは、実態としてあり得ると思っています。そこを余りにも厳密にしてしまうことによる現場への影響ということもあると思うのです。それは対象の疾患であるとか、用いる医療機器、あるいは医薬品などの性質といったようなことも含めながら、適切に対応していただくことが大事なのではないかと思う次第です。
○荒井部会長 宮川委員どうぞ。
○宮川委員 今のお話はその通りだろうと思います。この場合は体外循環をしますので、その体外循環をするということでの問題点と、このような塗料をするということでの問題点と、フォトフェレーシスをするということの問題点を分けなければいけません。だからこそ、軽度、中等度、高度という表現が適切でないと考えます。ここに記載してある、容易に耐え得る程度とか、日常生活に対する云々、そのようなものは、その人によってグレードが違ってくるわけです。このような軽度、中等度、高度という自覚症状のみでのスケールは問題があるのではないでしょうか。事前に相談があるわけですから、その時にしっかりと指導していくことが必要で、最初のところから立て付けが悪かったのではないかと思います。
○荒井部会長 何かコメントはありますか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘頂きましてありがとうございます。用語の定義というところも踏まえて、試験を実施する前に、企業からプロトコル相談していただくことがほとんどであるところも踏まえ、機構側でも気を付けて用語の定義については考えていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○荒井部会長 その他にこの件についてありますか。
○大隈委員 国立感染症研究所の大隈です。少し確認させていただきます。通し番号14ページの表1でEUの承認国についてです。承認国のみだと情報が分からないのです。EUの全ての国ではないと思うのですけれども、承認国というのはどれぐらいの国なのか、どういう国なのかが分かれば教えてください。
15ページの表3で、本品又は本品による治療の関連ありというところの有害事象のところです。ここに、死亡の件数が書いてあります。これには注釈があって、因果関係は認められていないということです。これの死因だったり、それは因果関係がないと判断された根拠みたいなものが分かっていれば教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 EUのどちらの国で使えるのかというところについてはちょっとお時間を頂きます。少々お待ちください。
○荒井部会長 国のほうと、もう1つの死因のどちらかは即答できますか。
○医薬品医療機器総合機構 因果関係の死亡のところは。
○荒井部会長 それを調べるのに時間がかかるのだったら、いったん飛ばして先に進めます。
○医薬品医療機器総合機構 はい、申し訳ありません。因果関係のところなのですけれども、照会事項の照会回答でやり取りをしております。病院での記録によると、本品との因果関係は認められなかった、というベースでしか御説明は頂けないような状況です。本品が理由となって今回死亡したというわけではない、というところの確認は取れているというような状況となっております。すみません、EUのところはお時間を頂きます。
○荒井部会長 先生、死亡のところは文献とか、自発データということですので、これは突っ込みだすとなかなか詳細は分からないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○大隈委員 分かる範囲で結構です、大丈夫です。ありがとうございます。
○荒井部会長 EUの国のところは分かり次第声を掛けてください。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○荒井部会長 本品について、その他に御意見はよろしいですか。
○齋藤(嘉)委員 国立医薬品・食品衛生研究所の齋藤です。永井先生がおっしゃった、有害事象と副作用について、医薬品の例で言うと、先ほど河野課長がおっしゃったように、今のところICHのE2Aの規定だと、因果関係が否定できないものは全て副作用となっています。因果関係の観点からは、今回の審査に関して、副作用という文言を使っても問題ないかと考えています。ただ、先ほど永井先生がおっしゃったように、FDA等では因果関係がある程度示唆されたものについて副作用とするという意見があるとは聞いております。副作用における因果関係評価につきましては、今後、審査のガイドラインに関して検討すべき事項であると、私個人も考えております。
○荒井部会長 分かりましたか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、分かりました。失礼いたしました。結構各国で取られていて、例えばイタリア、ドイツ、フランス、デンマーク、ベルギー、オーストリア、スペイン、スイス、イギリス、スウェーデンなどと、EUにおいて各国多数で承認が取れている状況です。
○荒井部会長 大隈委員よろしいですか。
○大隈委員 はい。
○荒井部会長 本日は、最初から濃厚なディスカッションになりました。その他に御意見はよろしいでしょうか。ありがとうございます。重要な御指摘を多数頂きましたので、今後のこの部会に役立てていきたいと思います。特にないようでしたら議決に入らせていただきます。よろしいでしょうか。
一般的名称、「体外フォトフェレーシス装置」を、高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定するということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。また、医療機器「Cellex ECPシステム」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定は不要としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。また、使用成績評価も不要としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議ないようですので、このように議決させていただきます。本件は分科会にて報告させていただきます。これで議題1を終了いたします。谷口先生、ありがとうございました。
引き続き議題2に入ります。議題2、医療機器「Harmony経カテーテル肺動脈弁システム」の希少疾病用・疾患用医療機器の指定の要否を始めます。事務局から説明をお願いします。
○事務局 はじめに、希少疾病用医療機器の指定制度について、概要を御説明いたします。本制度は、医療上の必要性が特に高いにもかかわらず、患者数が少ないことにより、本邦での開発が進んでいないものについて、その開発を促進することを目的とした制度です。その指定基準は3つあり、対象者数が本邦において5万人未満であること。代替する適切な医療機器や治療方法がない、又は既存の医療機器等と比較して、著しく高い有効性若しくは安全性が期待されるなどといった、医療上への必要性が高いこと。また、対象疾病に対して、当該医療機器を使用する理論的根拠があり、開発計画の妥当性が高いこととしております。なお、この指定が直ちに製造販売承認に結び付くものではありません。まず、当日配布資料1をお開きください。
本品の外観になっております。本品は、肺動脈弁逆流症に対する経カテーテル的弁留置術に使用することを目的として開発されたもので、被覆布の付いた自己拡張型ステントの中心に、ブタ心嚢膜由来の生体弁を縫着した経カテーテル肺動脈弁と、デリバリーカテーテル、弁をカテーテルに圧縮収納するローディングシステムがセットとなっております。弁は2サイズあり、各々長さ5cm程度のものです。本品の海外承認実績はありません。
次に、マイプライベートファイルにお戻りいただき、資料2をお開きください。まず、中ほどにある予定される使用目的又は効果についてですが、本品は、右室流出路への外科的パッチ修復術又は経カテーテル的バルーン弁形成術の既往があり、肺動脈弁置換が必要とされる重度肺動脈弁逆流症の患者に使用することを想定しております。右室肺動脈コンデュイットや人工弁が留置されている患者は対象外です。申請者は日本メドトロニック株式会社で、本年7月に希少疾病用医療機器の指定申請がなされました。
次に、総合機構による事前評価結果の概要を御説明いたします。まず、対象患者数についてです。本品が対象とする右室流出路の異常を伴う疾患は、ファロー四徴症をはじめとする先天性心疾患が挙げられ、その想定は2ページ目の表1にお示ししますとおり、合計1万4,000人程度と推定されます。年間診断数は3ページ目にあります表2のように推計されますため、本邦において5万人未満という指定基準を満たしていると判断しております。
次に、医療上用の必要性についてです。これら肺動脈弁逆流や狭窄を伴う先天性心疾患患者は、現状、肺動脈弁機能を温存するために右心室と主肺動脈をつなぐコンデュイットや、人工弁への外科的置換術により治療されておりますが、これらのデバイスは寿命が限定的であるために、多くの患者はその生涯において複数回の開心手術を受けています。心肺バイパスを伴う開心術自体もリスクを伴うものですが、手術回数を重ねるごとに死亡リスクは上昇するため、本品のような経カテーテル的方法で、1回の開心手術を回避することは臨床的に有用であると考えられます。
本邦においては、長期耐久性と良好な臨床成績を有するePTEEコンデュイットも使用されていますが、こちらは医師のハンドメイドですので、安定供給の観点から、本品を市場導入する意義があると考えられます。
なお、前回部会にて肺動脈弁位への適応拡大について御審議いただきましたエドワーズ社のサピエン3は、外科的に植え込まれたコンデュイットや生体弁の機能不全を対象としており、本品とは治療対象者が異なります。以上のことから本品は医療上の必要性が高く、指定基準を満たすと判断しております。
次に、5ページ目の下のほうの開発の可能性についてです。本品は、米国、カナダ、日本を含む国際共同治験が実施されており、米国FDAへの承認申請がされております。また、この治験成績を基に本邦での製造販売承認申請が行われる予定です。よって、本品の開発の可能性は高く、指定基準を満たすと判断しております。
以上より、本品は希少疾病用医療機器の指定基準を満たすものと判断しております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 今、説明いただきましたように、これはこの部会で通す通さないという話ではなくて、希少疾病用の医療機器としての指定についてのその要否をここで御検討いただくというものです。何か御質問等はありますでしょうか。御意見はいかがですか。特にないようでしたら議決に入らせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
○中谷委員 数が少ないのですが、先天性心疾患の治療をしていく上で、肺動脈弁位の逆流に対しての対応というのはかなり難しくて、今も言われたように外科医が作ったパーツで、かなり逃げる形ではしてきているのですが、やはり高齢というか、成人になってきた段階で逆流のために運動障害がでてくる。しかし、手術を何回も繰り返しているのでやりにくい。そういう意味で、TAVIと同じような考え方のカテーテルを用いるこういうシステムが導入されればいいと思います。やはり数が少ないので希少疾病という形ではないと、とても承認まで至らないだろうということで、10年ぐらい前だったら諦めの境地という感じだったと思うのです。こういう形になってきて、いよいよという段階ですので、是非とも認めていただきたいと思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。ほかの委員の方々はよろしいですか。それでは、議決をさせていただきます。医療機器「Harmony経カテーテル肺動脈弁システム」について、本部会として希少疾病用医療機器に指定することとしてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件も分科会にて報告をさせていただく予定です。これで議題2を終了いたします。
続いて、議題3に入らせていただきます。医療機器「エドワーズ サピエン3」の使用成績評価の指定の要否についてです。事務局から説明をお願いします。
○事務局 本議題は、経カテーテル生体弁であるサピエン3の大動脈弁位適応について、初回承認時に適応から除外された慢性透析患者に対する適応拡大を行うに当たり、使用成績評価の指定の要否及び期間について御審議いただくものです。先発品と構造、使用方法等が同一性を有し、先発品の使用成績評価期間中に承認される、いわゆる「追っかけ新医療機器」については、先発品と同様の考え方により使用成績評価期間を設定することになるため、簡略な資料を用いて審議を行っていただいておりますが、本品はそれに該当しないため、使用成績評価の要否に関する審査報告書を作成しております。
それでは、資料3の審査報告書に基づき、総合機構より概要を御説明させていただきます。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。資料3、審査報告書4ページ目、下段、2.審議品目の概要を御覧ください。本品は、経カテーテル大動脈生体弁と、これを大動脈又は肺動脈弁位に送達するためのデリバリーカテーテルシステム等から構成される経カテーテル生体弁留置システムです。自己大動脈弁弁尖の硬化変性に起因する症候性の重度大動脈弁狭窄を有し、又は外科的に留置した大動脈生体弁の機能不全による症候性の弁膜症を有し、かつ外科的手術を施行することができず、本品による治療が最善であると判断された患者に対して既に適応を取得しております。
今回の一部変更承認申請は、これらの所見を有する慢性透析患者に対する適応拡大を目的としたものです。心血管系へ負荷が掛かっている慢性透析患者へ本品を適用するリスクは、非慢性透析患者に比べ高くなると考えられたこと、慢性透析患者では、一般的に生体弁の劣化が早いことが知られていたことから、これまで慢性透析患者は対象から除外されていました。しかしながら、今回、慢性透析患者に対する臨床試験成績が得られたため、適応拡大を目的として、一部変更承認申請がされました。
次に、審査報告書6ページ目、表1、国内臨床試験成績を御覧ください。国内の慢性透析患者28例に対して、外科的大動脈弁置換術に対する非劣性を確認するため、本品を使用した単群臨床試験が実施されました。主要評価項目、手技後1年の死亡率は10.7%で、達成目標45%を下回ったことから、外科的大動脈弁置換術に対する非劣性が示されました。また、手技後1年までに生じた構造的弁劣化は認められず、大動脈弁再インターベンション又は弁摘出に至った症例も認められませんでした。そのほか、国内臨床研究25例において、手技後3年の死亡回避率は55.7%、手技後3年の観察期間を通じて3例に構造的弁劣化が確認されました。
審査報告書7ページ、2段落目に移りまして、総合機構は外科的大動脈弁置換術を実施した本邦の慢性透析患者の手技後3年の生存率は42.1%とする報告を踏まえ、慢性透析患者に対する本品による治療においても、一定程度の長期的な有効性及び安全性が見込まれると判断しました。
また、一般的に慢性透析患者に対する本品の構造的弁劣化のリスクは非慢性透析患者に比べ、慢性透析患者で高くなると考えられますが、外科的大動脈弁置換術を実施した日本人慢性透析患者に対する手技後5年の構造的弁劣化回避率が82%という報告もあることから、外科的大動脈弁置換術を実施した慢性透析患者と顕著に劣るわけではないと判断いたしました。
使用成績評価の必要性について御説明させていただきます。審査報告書7ページ目、(2)使用成績評価の必要性についてを御覧ください。国内臨床試験成績から、慢性透析患者に対する本品を用いた治療において一定程度の有効性及び安全性は示されましたが、臨床試験の症例数、観察期間及び実施施設は限られており、国内での臨床使用下における留置後の長期的な有効性及び安全性は十分に確認されていないため、使用成績評価の対象とすることが妥当と考えます。
最後に、使用成績調査の計画案を、審査報告書8ページ目、表3に示しております。慢性透析患者に対する本品の有効性及び安全性の調査を目的として、予定する症例数は最低100例、評価期間は7年とすることが妥当と判断いたしました。総合機構からの説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 対象症例数は施設数もかなり増やして、最低100例ということで、そういった成績評価を指定するといったことでいかがでしょうかということです。御意見等はありますか。いかがでしょうか。
○宮川委員 お尋ねしますけれども、この予定する症例数100例とした根拠は何でしょうか。サピエン3の場合は、以前は全例と言ったのを私は覚えているのですが、これを100例とした根拠というのは、機構はどのように考えたのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。今回も施設を限定して、導入される予定なのですけれども、その導入施設において、大体年間○例程度の患者さんが見込まれるということで、そこから算出しまして、○施設程度で○例ということで、最低100例というようになっています。導入施設以外の所でこれが使われるということは、今のところは想定しておりませんので、実質、全例というような形にはなると思っています。
○宮川委員 最低100例という数字の根拠を教えていただきたい。普通は症例数が集まらないのであれば、全例であってもかまわないのではないでしょうか。例数を切ったということがわからないのでお聞きしました。このような疾患の場合、異所性カルシウム沈着など、様々な問題もあります。どうして症例数を100としたのかお聞きしたいのです。
○医薬品医療機器総合機構 確かにおっしゃるところかと思いますので、全例という書き方に、全例で調査するという形に変更させていただきたいと思います。
○宮川委員 ここで全例とそのように簡単に翻されても困ります。機構が突然この場で変えること自体がわかりません。なぜ100例とした根拠があるのかとお聞きしたのです。詰問しているみたいで悪いのですが、機構に根拠を考えていただきたいと思うので、お尋ねしています。
○医薬品医療機器総合機構 御意見どうもありがとうございます。今まで、今回、透析患者さんにということで、その前に透析患者さんではない方に全例調査をかけていますので、そこの辺である程度見られるということで、今回は100例という形に、実質全例なのですが、100例という、これまでの経験も踏まえてということです。
○宮川委員 根拠が薄弱であるということがわかりましたので、全例ということであればそのようにしていただければと思います。
○荒井部会長 管理課長どうぞ。
○医療機器審査管理課長 御質問ありがとうございます。承認に際しての条件を付けるときの法律上の規定から申しますと、基本的には必要最低限の条件を付けるというような考え方に基づき条件は付けるものです。今、簡単に御説明がありましたが、先行する疾患の中でのある一定の範囲での知見があるということを踏まえて、一定数の症例数を今回限定するという考え方に至ったということではありますけれども、事実上、これが全例でも良いということなのであれば、そこにつきまして、また機構のほうでもきちんと整理した上で対応させていただきたいと思います。
○荒井部会長 宮川委員、よろしいでしょうか。ポイントを突いた御指摘ですし、この部会はこういう感じに自由にご発言頂ける状況が大切と認識していますが、とは言っても、この場で指摘されたのですぐ変えましょうというのも好ましいとは思われません。法律上の必要最小限という点は1つの縛りとして、現実にあると思いますので、これに関しては、今の御説明で最低100例という表現で、概ねご理解頂けたかと思います。この辺は今後も慎重にやっていきましょう。
○一色部会部長代理 TAVIをやっている施設にいる立場から発言させていただきます。使用成績調査の数が決まっていないというのはメーカーの立場からするとそれなりのストレスではあるかと思います。予定外に症例数が非常に増えてしまうこともありうる訳で、100例程度と見込んでいたけれども、実際には倍の200例になってしまった場合の負担というのは極めて大きくなりますので、この数字はやはり、宮川委員がおっしゃいましたようにきちんと説明のつく理由があれば私は100例でもいいのではないかと思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。
○中谷委員 この書き方がやはりおかしいと思います。多分、これは既登録期間が1年間としていて、1年間で想定されるのは100~○○例で、恐らく100例、今も言われたように100例は登録してもらわないと困るということを加味すると、連続症例で100例までやれば、取りあえずOKとするというのが、基本的に機構が求めたところだと思います。けれども、この書き方だと、○○例あったとして都合の悪いものは省いて、結果、100例でも構わないと取れる、それが最大の問題点で、今、指摘のあったところだと思うのです。それだったら、今言われたような形で、何例か分からないというのが心配だというのは、それは分かります。だから、連続でやって、100例できた段階で打ち切ると、そうすると、登録期間のほうを少し幅を持たせておけば、全て丸く治まると思いますけれども、その辺のところを変な形でやっているから、最も求められている連続性という形のところが欠けていて、これだけ揉めているというか、私も疑問に思うところです。
○荒井部会長 ありがとうございます。安全管理監、どうぞ。
○安全管理監 PMDAの安全管理監でございます。市販後の調査の一般的なことでお答えをさせていただきたいと思います。まず、承認条件等で全例調査をかけるのは、非常に治験での症例数が少なくて、使用経験が非常に少ないとか、それから、使用経験はあるのだけれども、大変心配な危険性の高い有害事象、副作用が見込まれるとか、そういう場合に、最も早く安全性データを市販後に集めようと、そういう目的のために全例調査というのをかけるのが普通です。
一方、使用成績の評価、使用成績の調査というのは、これは一定のやり方が規定されておりまして、省令の中で規定されているのですけれども、登録された医療機関において、当該、機器とか医薬品を使用した患者について、今、中谷先生がおっしゃったように連続して登録するというのは規定されております。ですから、全ての医療機関ではありませんけれども、調査をすると決めたその対象の医療機関で契約を結んで、その医療機関で当該医療機器を使われた患者を連続して登録していくということになっております。ですから、使用成績評価の目的に応じて目標の症例数というのも決定されておりますので、目標症例数が登録をされれば、その時点で使用成績調査というのは終了する。そこで当該登録は止めるというようになっていると思います。
○中谷委員 そうしたら、私の言い方が悪かったかもしれませんが、多分、私の言っていることと、今、言われたことは全く差がないと思っているのですが、私が言いたかったのはそういうことであって、この文章を見ただけでは、それが分からないということを言っているだけであって、逆に言うと、PMDAは実はこう思っているのだろうと思って言わせてもらったのです。ですが、それを言って、話がややこしくなるので、私の意見として言わせてもらったのに、あえて反対のような形で言われると、私としては、それは何だと言いたくなります。
○安全管理監 私は直接医療機器の審査担当をしておりませんので、報告書等の書き方が多少足りないところがあったのではないかと思います。それとついでですが、全例調査となった場合でも、市販後の調査の計画書の中では目標とする症例数というのは決めておかれるのは普通です。
○中谷委員 だから私はそのことは構わないと言ったではないですか。100例なら100例で構わないと言ったではないですか。何を聞いているのですかと言いたくなりますよ、そのようなことを言われたら。
○安全管理監 申し訳ございません。
○荒井部会長 今野委員、どうぞ。
○今野委員 多分、一番の問題なのは、御指摘に応じて、「では、全例にします」と答えてしまったところだと思いますので、その辺りの調整を内部でしっかりしていただければいいのではないかと感じました。以上です。
○中谷委員 ちょっといいですか。結局、全例という言い方は確かに誤解を招いたかもしれない、連続したという言い方をさせてもらったのは、そこであって、今もそのことは座長も言われたと思います。恣意的に省いたものはないと。それはある意味では、全例調査ですよね。言葉の定義をどうするかという問題であって、その全例というのを、例えば1年間であった全例とか、普通、全例という言い方をすると期間を区切ってやるとか、そういう形になると思います。だから、これ、ちょっと話がややこしくなっているから、連続する100例をやるという形で、多分そういうことをこれは示されていると思うので、それはそれで私はいいと思いますが、この書き方だと連続しているということが分からないというところが、問題だということがみんなの指摘される点だと思っています。だから、全例にこだわっているわけではなく、連続するという言い方もさせてもらっているのは、そこにあるわけです。
○荒井部会長 管理課長、どうぞ。
○医療機器審査管理課長 先生方、御指摘を頂きまして、ありがとうございます。今野先生からの御指摘もそうですし、様々な先生からの御指摘もそのとおりだと思っておりまして、まず、全例調査とするのか、症例数100例を目標としてやるのかということについて、もう一度機構のほうで整理をさせていただいて、その結果を、もし、よろしければ荒井部会長に御報告させていただいて、その結果をまた先生方のほうに展開させていただくという形での御対応を提案いたしますが、いかがでしょうか。
○荒井部会長 今の御提案でよろしいですか。それでは、また改めて検討していただき、時間的な要素もありますので、まずは私のほうに報告していただいて、次回またその結果をこの部会で報告いただくということにさせていただきたいと思います。使用成績評価の指定のところでこれだけディスカッションが出るのは私が知る限りなかったと思いますが、今日は中谷委員からのご指摘をはじめ、色々なご意見を頂きました。確かに、企業から見れば全例が重いのは事実ですが、そういった状況を認識しながらも適正な数を定める必要があります。数が多くても恣意的に良い症例だけ集めてというのは論外ですし、その辺についての意見は全く一致していると思います。それでは、管理課長の御意見がありましたように、この点については御検討いただき、改めて御報告いただくということで進めさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
そのほか、議題3についてよろしいでしょうか。よろしければ、議決を行わせていただきたいと思います。医療機器「エドワーズ サピエン3」の使用成績評価は期間を7年として指定することとしてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件も分科会にて報告させていただきます。
それでは、議題4に進ませていただきます。医療機器「Surpass Streamline フローダイバー システム」の使用成績評価の指定の要否です。事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局より議題4「Surpass Streamline フローダイバータ システム」の使用成績評価の指定の要否について御説明いたします。
資料4、1ページ目を御覧ください。今回御審議いただく医療機器の品目の概要となっております。申請者は、日本ストライカー株式会社です。本品目は、破裂急性期を除くワイドネック型で、大型若しくは巨大内頸動脈内道脈瘤に対する血管内治療に使用されるフローダイバータシステムです。
これは、現在使用成績評価期間中であります既承認品「Pipeline Flex フローダイバータシステム」及び「FREDシステム」と同等の適応範囲と構造を持つことから、本品につきましても使用成績評価の対象とすることが妥当であると考えております。調査期間については、既承認品と同様の考え方に基づき、患者追跡期間3年、登録期間2年、準備・解析期間1年の計6年を課すことが妥当であると考えております。御説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。本件につきまして、御意見、御質問はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは議決に移らせていただきます。医療機器「Surpass Streamline フローダイバータ システム」の使用成績評価は、期間を6年として指定することとしてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。本件も分科会にて報告させていただきます。
では、議題4を終了して議題5に進めさせていただきます。議題5、「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否」を始めさせていただきます。では、事務局のほうから説明をお願いいたします。
○事務局 議題5、「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」説明いたします。資料5を御用意ください。既存の一般的名称にいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を新設する際には、いずれのクラス分類に該当するかについて、また、その保守管理に専門的な知識を要するものとして、特定保守管理医療機器に指定するか否かについて御審議いただいております。今回は医療機器の承認に際し、一般的名称の新設が必要なものが6品目ございます。
まず、資料5-1を御覧ください。新設予定の一般的名称は、「人工心臓弁結さつ器」です。定義は、「人工弁や人工弁輪を自己弁輪部に結さつする際に用いる金属性の植込み型器具をいう。器具を留置するためのアプライヤ等の器具を含む場合もある。」です。本品はクラスⅣ、高度管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器については、本品は保守点検を行う必要のある医療機器ではないため、不要と考えております。
続いて5ページ目、資料5-2を御覧ください。新設予定の一般的名称は、「チタンサファイアレーザ」です。定義は、「外科処置等に用いるレーザで、基質としてチタンサファイアを使用するものをいう。」です。本品はクラスⅢ、高度管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、本品は保守点検を行う必要のある医療機器であるため、必要と考えております。
続いて8ページ目、資料5-3を御覧ください。新設予定の一般的名称は、「経中隔用能動型穿刺器具」です。定義は、「心房中隔(卵円窩)の穿刺により、カテーテル導入の通路作製等のために用いる器具をいう。本器具には針型やワイヤ型があり、カテーテルイントロデューサを用いて経皮的に右心房まで導入される。また、高周波発生装置等とともに使用する。」です。本品はクラスⅣ、高度管理医療機器に指定されるものであると考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については不要と考えております。
続いて11ページ目、資料5-4を御覧ください。新設予定の一般的名称は、「液体金属毛細管体温計」です。定義は、「患者の体温を測定するために使用する測定装置をいう。本品はガラス製の細い中空管であり、上部と下部が密封され、基部にあるバルブにガリウム合金等の液体金属(水銀を除く。)が充填されている。毛細管原理に基づいて機能し、記録された熱によって、目盛付きカラムに充填された媒体が比例的に膨張する。」です。本品はクラスⅠ、一般医療機器に指定するべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については不要と考えております。
続いて14ページ目、資料5-5及び15ページ目、資料5-6を御用意ください。新設予定の一般的名称は、「単回使用視力補正用色付薬剤含有コンタクトレンズ」及び「単回使用視力補正用薬剤含有コンタクトレンズ」です。前者の定義は、「眼の前面に直接装着する着色剤又は紫外線吸収剤を含有する視力補正用眼科用レンズをいう。薬剤の効果を意図してレンズ内又は保存液中に医薬品を含有するものをいう。通常、医師の指示により使用する。本品は単回使用である。」です。後者は、前者の定義に含まれている「着色剤又は紫外線吸収剤」を含有しないものです。新設予定の2つの当該一般的名称はクラスⅢ、高度管理医療機器に指定されるものべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については不要と考えております。新設予定の一般的名称に関する説明は以上でございます。
なお、資料5-6に記載の品目について補足説明をさせていただきます。マイプライベートファイルにお戻りいただき、当日配布資料2を御覧ください。
○事務局 医療機器「ワンデー アキュビュー セラビジョンK」について、追加で御説明させていただきます。現在審査中の当該品目は、アレルギー性結膜炎患者のコンタクトレンズ装用時のアレルギー症状を緩和させることを目的として、抗アレルギー剤であるケトチフェンを保存液中に含有させたものです。
2ページ目にお進みください。この品目の主目的は視力補正であり、その使用中の不快感を低減させる目的で薬剤を含有させていることから、医療機器たるコンビネーション製品として申請されました。OTC薬の○○量とはいえ医薬品を含有していることから、本品の販売に当たっては、使用対象者であるアレルギー性結膜炎患者に適切に情報提供がなされた上で販売されるよう、医師の指示があることを確認できた患者に限定して、適正使用のための情報提供とともに販売されることを、製造販売業者に担保させることといたしました。
3ページ目に、製造販売業者の提案する販売方法を記載しております。「医師の指示を確認できた患者にのみ、情報提供を行って販売することを確約できる販売店に限定して本品を提供する」とのことです。今後も類似の品目が申請された際には、同様に医師の指示に基づく販売を担保させる方針としたいと考えております。以上で「単回使用視力補正用薬剤含有コンタクトレンズ」の一般的名称が付される予定の品目についての補足説明を終わります。
○事務局 御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。5つの品目につきましての、それぞれの医療機器としての指定の要否についてです。まず、委員の方々から御質問等いかがでしょうか。
○山上委員 日本大学の山上ですけれども、これはコンタクトレンズですが、薬剤は確かインタールとか、もっと薬効の低いものが入っているときは医療機器扱いで、ザジテン(ケトチフェン)のようにはっきりとした薬の効果があるものに関しても同じ医療機器扱いで大丈夫なのですか。医薬品扱いにしないで、こちらに入ってしまっていますけれども、そこは問題ないのでしょうか。
○事務局 御回答させていただきます。薬剤の効能を意図せず、添加物のような形で使うものに関しましては、明確に医療機器として取り扱います。今回のケトチフェンに関しましては薬剤の効能を意図して含有させているものではありますが、主目的は視力補正でして、視力補正を行う際に付随する症状を緩和すること、要はコンタクトを使用しなければ薬剤を必要としない点で、機器の使用が主目的であるために医療機器として審査しております。
○山上委員 そうすると、これから先、例えばもう少し薬効の強いものとかも入ってくるかもしれませんが、それも同じように主目的はそうではないということで、全て医療機器扱いにするということなのでしょうか。
○荒井部会長 これは課長から。
○医療機器審査管理課長 御指摘、御質問ありがとうございます。当日配布資料2の2ページ目に「薬剤含有コンタクトレンズ品目概要」という所があろうかと思いますが、そこの最初のポツの所に「医療機器たるコンビネーション製品として承認予定」と記載があります。これは医療機器のコンビネーションとしての申請中ということで、今、審査が進められているところですが、先生御指摘のとおりに医療機器側のほうが主目的なのか、含有する医薬品側のほうが主目的なのかというところによって、見る観点というのもやはり変わってくると考えております。
今回につきましては視力補正が主目的で、アレルギー性の結膜炎ももちろん、これも低減するというような目的もございますが、今回につきましては視力補正ということを主目的と考えて、医療機器を主としたコンビネーション製品と考えています。今後の話としましては、含有する薬剤の目的などによって、医薬品側が主目的になる可能性というのも十分にあると思いますので、それは個別の品目ごとに、どちら側で主目的として審査するのがよいのかということは、我々はPMDAと連携しながら考えていきたいと考えております。
○山上委員 ただ、現時点でOKとなると、ほとんどの非ステロイド系のアレルギー剤は全部OKではないかと思うのですけれども、今後もほぼそういう路線でいくことでよろしいのですね。
○医療機器審査管理課長 アレルギー薬ということであれば、これが前例になるという可能性は十分にあると思いますが、それ以外の薬剤ということも今後あり得ると思っておりまして、そういったような薬剤の種類によって、どちらを主目的と考えるかということは十分検討の上、審査していきたいと考えております。
○山上委員 ありがとうございます。
○荒井部会長 では、どうぞ。
○髙松委員 今、こちらの品目概要のほうには、やはり「効果を意図して」というふうに書いてあるのですよね。だから、こういう言葉が独り歩きしてしまいますと、承認されたときには主目的ではないかもしれませんが、販売されるときに、それをうたいながら販売してしまうと、やはり勘違いになると思います。だから、その辺はしっかり整理していただければと思います。
○荒井部会長 宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 山上委員はじめ、お二人の委員がご指摘したことが重要なことで、「○○○○だからいいよ」ということではないのでしょう。では、○○○○なら、○○○○だったらどうなのかということになってしまいますし、これは薬剤の含有量の話ではないわけです。薬剤が入っているということがどうなのかということが問題になってくるわけです。そのところが非常に難しい問題です。1回承認されると、先ほど山上委員がおっしゃったように、これから次から次へと同様なことが起こってくることが想定されます。そのときに歯止めがききません。そして使用者が本当にそのような目的で使用することが予見できるわけではありません。痒みがないので1日の規定が、2日、3日となれば、その人に健康被害が起こってしまう可能性があります。歯止めを強く効かせないといけないと思いますので、これは慎重に考えていただかないといけない事例であり、今後の問題だろうと思います。
○荒井部会長 どうぞ。
○医療機器審査管理課長 御意見いただきましてありがとうございます。先生方からの御指摘のとおりに、やはり販売時において、きちんと販売されること、それが購入者に対して適正使用に関する情報がきちんと伝わることということが、やはり大事だと考えておりますので、先ほどの説明にもありましたけれども資料5の3ページの販売方法の件に関しましては、私どもとしましては、承認時に承認条件を付けるということも含めて対応していきたいと考えております。
○荒井部会長 よろしいでしょうか。そのほか御意見いかがですか。コンビネーションの機器に関しては、今後もかなり出てくると思いますし、宮川委員から御指摘があったように、実際に世に出回ってからどのように使われるのかについての予測は難しいのが実情です。この事例に限らず、特にコンビネーション器具に関しましては、慎重に対応していきたいと思います。そのほか御意見、どうぞ。
○山上委員 あと、コンタクトの場合は売り方ですね。適正販売といって「医師の指示を確認した上で」とありますけれども、どこまで認める御予定なのでしょうか。診療所でのみ売るのか、薬局で売っていいのか、本当のOTCと同じように、その辺のドラッグストアでも売れるのか、その辺のラインがこの文章だとちょっとはっきり分からないので、御説明いただきたいのですが。
○事務局 御回答いたします。医療機器に関しましては、診療所での販売というものはしておりませんで、医療機器の販売業者によって販売されるのですけれども、医師の指示、具体的には処方箋のようなものを確認できた方のみに販売することが確約できる、つまり、製造販売業者との間で、それを確約することができる販売店でのみ、この製販業者がコンタクトレンズを卸すということにしております。現状で一般的にコンタクトレンズを売っている販売店の中で、そういった約束ができる販売店のみで販売される予定となっております。
○荒井部会長 山上委員、よろしいですか。では、宮川委員。
○宮川委員 約束できる販売店のみというのは非常に難しい。それと同じようなことが今までいろいろなことがあったはずで、皆さんご存じであろうと思います。ですから、取り扱いに際して、医療機関が併設されているところなどをはじめに考えなければなりません。あるいは販路をきちんと決めて、何らかの規制をかけて開始しなければ問題が多くなるということだろうと思いますが、山上委員、いかがでしょうか。
○山上委員 コンタクトの扱い業者は、本当にレベルがと言ったらあれなのですが、多岐にわたりますので、このぐらいの表現ですと、本当にほぼ全部OKみたいな感じに聞こえてしまいますので、ここのところをとにかくもう少し厳密に規定しておかないと、線引きできなくなると思いますので、それはかなり問題だと思いますけれども。
○事務局 現状は申請者の信頼できる販売店にのみ卸すというような形の、申請者からはそういった形の提案がなされておりますけれども、委員御指摘の点を踏まえまして、今後、販売の方法に関しましては、医師の指示がきちんと確認できることを担保させる方法について、当方で検討させていただきたいと思います。
○荒井部会長 どうぞ。
○宮川委員 担保する方法とは、具体的にどうするのでしょうか。「善処します」というのと同じになってしまいます。それが確約できなければ許すわけにはいきません。
○医療機器審査管理課長 御質問、御意見ありがとうございます。先ほども申し上げましたとおり、ここの販売の方法に関しましては、承認時におけます製造販売業者に対する承認条件という位置付けを我々としては考えております。したがいまして、実際にどのような形でやるのかということにつきましては、今後、私どもはPMDAと一緒に、また詰めて検討してまいりたいと思いますし、そこに外れるような販売方法が仮になされると、承認条件に反するという話にもなりますので、その厳密性というのは、そういったような法律上の規定も含めながら担保していきたいと考えております。
○荒井部会長 では、今の点につきましては、課長からお話がありましたように、ただ「善処する」ではなくて、明確に今後検討していただいて、そういう規定を作っていただくという御説明でよろしいでしょうか。特に御意見を頂きました山上委員、宮川委員、よろしいですか。そのほか、このコンタクトに限らず、全製品につきまして御意見ございますか。北澤委員、どうぞ。
○北澤委員 ついでに教えてほしいのですけれども、このコンタクトレンズは、テレビCMとかはできるようになるのでしょうか。
○事務局 担当部署がおりませんので、後日に御回答させていただければと存じます。
○事務局 すみません、基本的な理解としては、できると思っております。
○北澤委員 それは入っているのが一般用医薬品だからですか、すみません、少し気になって。
○荒井部会長 どうぞ。
○髙松委員 今のように一度、販売承認を受けてしまうと、最近の電車内広告のように、目に余るものが結構多いのですね。スマホなどの表示でも、ちょっと検索を掛けると、そういう宣伝がどっと出てくると。そういうのを私たちとしても適正な広告とは考えていない部分もあるので、誘導される広告は国民に対しても不信感を与えてしまうものと思いますので、そこはしっかりと整理していただければと思います。
○医療機器審査管理課長 すみません、御意見につきましては担当の部署のほうに伝えまして、連携を取りたいと思っております。
○荒井部会長 どうぞ。
○福山委員 国民生活センターの福山です。コンタクトレンズなのですけれども、結構健康被害の情報とかが多く来るものでして、結局コンタクトレンズを買うときに掛かったお医者さんと、眼障害が生じてから行くお医者さんが違うということが結構あるのですね。買うときだけどこか適当に行って、あとはもうそこには行かないで、何か健康被害を受けたら別のところに行くという。そういったことが起きないように、こういったものを販売する際に眼障害を起こさないために消費者へ適切な情報提供をしていただけるよう、留意していただければと思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。そのほか御意見よろしいでしょうか。それでは、この議題5につきまして、議決に移らせていただきます。5品目ございます。「人工心臓弁結さつ器」を高度管理医療機器として指定、特定保守管理医療機器としては指定しないということでよろしいでしょうか。
2つ目です。「チタンサファイアレーザ」、これも高度管理医療機器として指定、特定保守管理医療機器としては指定しないということでよろしいでしょうか。ごめんなさい。これは両方です。チタンサファイアですね。特定保守管理医療機器としても指定するということでよろしいでしょうか。
「経中隔用能動型穿刺器具」を高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないということでよろしいでしょうか。
次に行きます。「単回使用視力補正用色付薬剤含有コンタクトレンズ」並びに「単回使用視力補正用薬剤含有コンタクトレンズ」を高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないということでよろしいでしょうか。これについては先ほどの販売とかその辺につきまして、幾つか御意見いただきましたが、また改めて当該部署のほうで御検討いただくということでお願いいたします。
最後です。「液体金属毛細管体温計」を一般医療機器として指定し、これは一般です。特定保守管理医療機器としては指定しないということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。分科会で文書報告をさせていただきます。
それでは、最後の議題です。議題6「部会報告品目」を始めさせていただきます。では、事務局のほうから説明をお願いいたします。
○事務局 議題6、「部会報告品目について」、資料6に沿って御説明いたします。横向きの資料です。令和2年5月から令和2年9月末までの5か月間に承認された品目のうち、クラスⅣの医療機器、臨床評価が必要なクラスⅢの医療機器、承認基準外の体外診断用医薬品など、本部会への報告対象となっている品目について、まとめております。医療機器96品目につきましては、事前送付をもって報告とさせていただき、詳細な説明は割愛させていただきます。体外診断用医薬品32品目は、55ページ以降に記載されており、新規検査項目をコンパニオン診断薬・新規の使用目的の追加等、重要なものについては、販売名に内容を記載しておりますが、こちらも詳細については割愛させていただきます。御報告は以上でございます。
○荒井部会長 ありがとうございます。これは既に資料等を御覧頂いているかと思いますが、何か御意見とかございますでしょうか。いかがでしょう。よろしいでしょうか。それでは、これは報告ですので、これでよろしければ議題6は終了させていただきます。
「その他」ですが、事務局のほうから委員の先生方に御報告があると伺っておりますので、お願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。事務局でございます。当日配布資料の3を御確認ください。医療機器「Sientra ブレスト・インプラント」の製造販売承認について報告させていただきます。昨年の10月18日に行われた医療機器・体外診断薬部会において、アラガン社の「ナトレル ブレスト・インプラント」を迅速に承認した経緯を御報告いたしました。その背景なのですが、当時、本邦で薬事承認を取得していたアラガン社のブレスト・インプラントの1つが、ブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫の発生リスクが高いことを理由に世界的に自主回収となり、その結果、本邦において当該製品のシェアが高かったこともあり、ブレスト・インプラント関連製品の供給が滞るという状況になっておりました。そこでブレスト・インプラントの欠品状況を打開すべく、アラガン社の別製品であり、リンパ腫の発生リスクが低いナトレル ブレスト・インプラントを迅速に承認し、同部会において御報告した次第です。
一方で、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会、日本形成外科学会、日本乳癌学会及び日本美容外科学会の4学会から、この際に承認した品目は、形状などで現状のニーズを十分に反映した品目でないこと、1社の事情により、本邦におけるブレスト・インプラントの供給が滞る事態を回避するために、他社製品についても薬事承認するよう要望を頂いておりました。この要望を受けまして、本年の8月20日に本品、「Sientra ブレスト・インプラント」を承認いたしました。
改めて資料の1ページ目を御確認ください。今回承認した品目は、株式会社メディカルユーアンドエイから申請された「Sientra ブレスト・インプラント」となっております。2012年より米国で使用されている品目となっており、本邦既承認のインプラントと異なる点としましては、資料の中ほど、「形状・構造」の欄にありますが、インプラントの表面が微細孔加工となっている製品が含まれていること、また、日本人の平均的乳房形態に近い形状である、いわゆる「しずく型」のアナトミカル型の製品が含まれている点であり、本邦において要望の高い特徴を持った製品となっております。
安全性の面ですが、以前、安全性の懸念で回収された製品とは異なり、リンパ腫発生リスクは低い品目となっておりまして、また、長期的な安全性の確保に関しましても、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会等の2学会より、患者レジストリによる長期的なフォローアップを実施いただくこととなっております。
資料の8ページ目を御確認ください。今回の承認に際しては、対象疾患の方に本品の安全性等の情報を提供すべく、4学会により作成いただいた情報提供資料を通知にて発出しているところです。
以上、ブレスト・インプラントにつきましては、昨年の部会において報告させていただいたこともあり、本部会でも続報として報告させていただきました。これで報告を終わります。
○荒井部会長 ありがとうございました。この件につきまして、御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。これは報告ですので、それでは特に御意見がなければ、これは終わらせていただきます。これで本日予定していた議題は全て終了いたしました。事務局から連絡をお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 先生方におかれましては、本日も長時間にわたり御議論、御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。次回の部会につきましては、12月23日を予定しております。詳細につきましてはまた後日、メール等で御連絡させていただきたいと思います。連絡事項は以上でございます。
○荒井部会長 ありがとうございました。今日は冒頭でなるべく短めにと申しましたが、結局、予定どおりぴったり2時間掛かってしまいました。申し訳ございません。しかし、大変充実したディスカッションができたと思います。ありがとうございます。
それでは、これをもちまして、本日の医療機器体外診断薬部会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。
( 了 )
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医療機器審査管理課 

再生医療等製品審査管理室 室長 大原(内線4226)