第94回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録

 

 
第94回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会(議事録)
 
1.日時 令和3年1月15日(木) 15:30~16:23
 
2.場所 AP虎ノ門 会議室Aルーム(一部オンライン会議会場)
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)

3.出席委員
(公益代表委員)
○東京大学大学院法学政治学研究科教授 荒木 尚志
○慶應義塾大学名誉教授 大前 和幸
○大阪大学大学院高等司法研究科教授 水島 郁子
○読売新聞東京本社編集委員 宮智 泉
○慶應義塾大学大学院法務研究科教授    森戸英幸

(労働者代表委員)
○全日本海員組合奨学金制度運営管理部長代理  楠 博志
○日本化学エネルギー産業労働組合連合会副会長 安原 三紀子
○全国建設労働組合総連合労働対策部長  田久 悟
○日本基幹産業労働組合総連合会中央執行委員 黒島 巌
○UAゼンセン労働条件局部長  髙橋 義和
○日本労働組合総連合会総合政策推進局長 仁平 章
  
(使用者代表委員)
○一般社団法人 日本経済団体連合会労働法制本部長 鈴木 重也
○東京海上ホールディングス株式会社人事部ウエルネス推進チーム専門部長 砂原 和仁
○鹿島建設株式会社安全環境部部長 本多 敦郎
○日本製鉄株式会社 人事労政部部長 山内 幸治


4.議題
(1)創業支援等措置に係る特別加入制度に関する団体ヒアリング等
(2)労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱(諮問)
(3)その他
 


5.議 事

○荒木部会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第94回労災保険部会を開催いたします。本日の部会は、部会長以外は、皆様、オンラインでの参加ということで実施します。なお、委員の出欠状況ですが、中野委員、久保田委員、北委員が御欠席と伺っております。あと数名遅れて入られる予定の方がおられますが、それを踏まえますと、公益代表、労働者代表、使用者代表、それぞれ3分の1以上の出席がございますので、定足数を満たすことになることを御報告いたします。カメラ撮りはここまでということでお願いします。
議題1は「創業支援等措置に係る特別加入制度に関する団体ヒアリング等」です。それでは、事務局及び連合大阪労働安全衛生センターの西野方庸参与から御説明をお願いいたします。
○労災管理課長 それでは、資料1について、まず私、労災管理課長の山田から御説明します。資料1は、タイトルにありますとおり、「改正高年齢者雇用安定法に基づく創業支援等措置に係る特別加入制度について」ということで、まず、創業支援等措置の概要について、資料1-1で御説明します。1ページめくり、タイトルは「雇用保険法等の一部を改正する法律案の審議における附帯決議」というのがあります。これは、雇用保険法、高齢法についても改正がこのときなされたわけですが、昨年3月31日の参議院の附帯決議におきまして、ここのアンダーラインにありますとおり、「今回の創業支援等措置により就業する者のうち、常態として労働者を使用しないで作業を行う者を特別加入制度の対象とすることについて検討すること」と決議がなされているところです。この創業支援等措置というものは何かというのが次のページ以降になります。
3ページ、ここに雇用保険法等の一部を改正する法律の概要があります。具体的には、下の段の枠の中の1番ですが、「高齢者の就業機会の確保及び就業の促進」について高齢法の改正がなされております。①65歳から70歳までの高年齢者就業確保措置、この中に、括弧にありますが、労使で同意した上での雇用以外の措置、これを講ずることも含めて企業の努力義務にするなど、70歳までの就業を支援するといった内容になっております。この施行は令和3年4月施行となっております。
4ページ、具体的に雇用以外の措置ですが、右下の枠の所になります。雇用以外の措置については大きく2つあります。いずれも、労働者の過半数を代表する者などの同意を得た上で導入ということになりますが、④にありますとおり、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度をその事業主において導入する。あるいは、⑤事業主が自ら実施する事業、あるいは、事業主が委託、出支(資金提供)等をする団体が行う事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものに係る業務に70歳まで継続的に従事できる制度の導入、といった内容になっております。
5ページが、これについて規定している法律の条文です。さらに6ページは、この法律に基づく施行規則が掲げられております。関係するものを摘記しております。「創業支援等措置の実施に関する計画」ですが、第四条の五、事業主は、創業支援等措置に関する計画を策定することになっております。2項ですが、この計画には、次に掲げる事項を記載するものとなっております。これは、一号から十二号まで列挙されております。例えば二号は、業務の内容に関する事項、三号は、高年齢者に支払う金銭に関する事項、四号は、契約を締結する頻度に関する事項、あるいは九号、後からまた出てきますが、安全及び衛生に関する事項といったものもあります。また、3項になりますが、下の所です。事業主は、3項の二号にありますが、書面を労働者に交付するなどの方法によって、各事業所の労働者にこの計画を周知することになっております。
7ページ、この計画については、労働者の過半数を代表する者の同意を得ることになっておりますが、その要件等が書かれております。
8ページ、これらを踏まえて、就業確保措置の実施及び運用に関する指針が既に定められて告示されております。8ページの真ん中より下の(2)の所に、過半数労働組合等の合意に係る留意事項とありますが、このロの所に、実施計画に記載する事項については、次に掲げる点に留意することとなっております。例えば、③個々の高年齢者の希望を踏まえつつ、個々の業務の内容・難易度や業務量等を考慮し、できるだけ過大又は過少にならないよう適切な業務量や頻度により契約を締結することとなっております。
9ページの上になりますが、ロの⑥高年齢者の安全及び衛生の確保に関して、業務内容を高年齢者の能力等に配慮したものとするとともに、創業支援等措置により就業する者について、同種の業務に労働者が従事する場合における労働契約法に規定する安全配慮義務をはじめとする労働関係法令による保護の内容も勘案しつつ、当該措置を講ずる事業主が委託業務の内容・性格等に応じた適切な配慮を行うことが望ましい。あるいは、業務委託に際して、機械器具などを譲渡、貸与する場合に、それらによる危害を防止するための必要な措置といったことが指針の中に盛り込まれております。これを踏まえて、どのようなことを盛り込んでいくかについては、職業安定局において記載例なども現在、検討している状況です。これらが創業支援等措置部分の概略になります。
これらを踏まえて、資料2で、今回、この特別加入制度を拡大することに関連して、連合大阪の労働安全衛生センターから御説明と伺っておりますので、お願いいたします。
○西野参与 連合大阪労働安全衛生センターの参与として仕事をしております西野と申します。どうぞよろしくお願いします。それでは、資料2に従いまして御説明していきたいと思います。「高年齢者雇用安定法による創業支援等措置にかかる労災保険特別加入制度について」ということで、特別加入団体についてどのように考えているかということでお話をしていきたいと思います。
2ページ、まず、私どもの連合大阪労働安全衛生センターの御紹介をいたします。連合の本部が「中小職場の労働安全衛生向上に向けた5ヵ年計画」というものを1999年に策定しまして、地方連合会で健康安全センターを設立しようという方針を出しました。これに基づいて、2001年に連合大阪(構成組織は40団体ありまして、構成員としては37万3,000人ぐらいになっています。)に安全衛生対策の常設の機関ということで設立をしたということです。ということですので、構成組織の代表が役員を務めるということで活動しています。こういう職場の安全衛生活動を活性化する、それから、中小職場の安全衛生活動を促進することを主な目的にしております。
具体的な活動については、労働安全衛生に関する教育・研修会の開催、それから情報の提供。2つ目に、個別の労働安全衛生、災害補償に関する相談事業をしております。3つ目に、地域で中小職場の安全衛生活動の支援をする活動を展開してきたところです。ちなみに、設立当初は、労災防止指導員制度というものがありまして、労働団体代表ということで大阪でも40名ほどが活動しておりましたので、そういう活動の集約も大きな課題になっておりました。さらにもう1つ、個別の労働組合の事務局を対象とした労働保険事務組合として、「近畿労働組合福祉協会」というのが従前よりありましたが、この業務を連合大阪労働安全衛生センターの一部として引き継いで運営をしていくことになっていきます。事務組合としての業務もやっていることになります。
役員体制としては、理事長はJR連合の西村さんがなっておりまして、副理事長が3名、これ以外に理事が17名、各構成組織から代表として出ていることになります。あと事務局、それに、私、西野が参与として参画をしています。ちなみに、私の所属しております関西労働者安全センターというのは、安全衛生、それから労災補償を課題にしています市民団体の事務局員となっております。専門的な、調整等が必要になってきますので、そのために私が参与として参画をしているということです。所在地は、大阪市中央区の連合大阪の事務局に置いています。
3ページで、近畿労働組合福祉協会について若干説明をしておきたいと思います。1976年に、当時、連合はありませんで、日本労働組合総同盟、いわゆる同盟ですが、それの大阪の傘下の労働組合を対象として、労働保険事務組合が設立されました。そして、当時の労働大臣の認可を受けているということです。労働組合を対象とする事務組合ということで、現在、委託労働組合数、労働組合以外にも若干、関係団体がありますが、それを含めて60事業場となっております。当協会と同じような産別を問わない労働組合の事業を対象とした事務組合としては、ほかに、東京には労働組合福祉協会、それから、愛知に、連合愛知安全衛生センターが事務組合として運営されています。それから、ほかにも、産業別労働組合で地方ごとに労働保険事務組合が運営されていたりもします。そういう状況があります。
それからもう1つ、労働組合の委員長については、労働者を雇用していない活動の形を取っているような所については、特定作業従事者として特別加入の枠組みがありますが、この特別加入団体については、現在のところ東京と愛知だけの2か所で運営されていて、大阪は、これに連携した取組を推進しています。
働組合対象の事務組合としては、特徴が割とはっきりしておりまして、委員長が代表者ですから、第1種特別加入者になるわけですが、それ以外にも、通常は所属する会社の業務に従事をしていて、それ以外に労働組合活動をやる、あるいは、職務を一時免除をされて、労働組合活動をする非専従の執行委員という立場の方がいろいろおられます。こういう方についても、労災保険の第1種特別加入者ということで加入をしています。ということですから、ほかの事務組合さんと違うのは、常時使用労働者数よりも特別加入者のほうが多いことが結構あったりするということです。
それから、労働組合ですので、役員は2年任期ということが結構あります。そうなってきますと、加入と脱退が2年ごとに行われることが普通にありまして、割と加入、脱退というのが頻繁にあるのが事務組合としての特徴かなということです。以上が労働保険事務組合、それから安全衛生センターの紹介です。
4ページ、高年齢者雇用安定法による創業支援等措置に関する特別加入について、次のようなことではなかろうかと思います。65歳~70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度が導入されたということです。それまでの雇用時と同様の業務、あるいは異なる業務に、業務委託契約に基づいて就業するということになります。高年齢者ですから、個々の能力に見合った自律的な働き方による就業ということになりますが、この場合に、従前と異なる業務について新たに就くことになってきますと、当然、やはり安全研修が必要になってくるだろうということになるかと思います。
それからもう1つのほうですが、65歳~70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入ということで、事業主が自ら実施する、いわゆる社会貢献の事業。事業主が委託、出資等をする団体が行う社会貢献事業ということです。この場合については、社会貢献ですから、様々なバリエーションが当然考えられることになってくるかと思います。そうなってきますと、その業務についての研修の取組が必要になってくると思います。ただ、そうは言いましても、高年齢者の自律的な働き方が前提とはなってきますが、やはり安全衛生研修ということになってくると思います。
5ページ、そういうことで、具体的に創業支援等の措置で想定される業務はどのようなものがあるか。それから、労災発生事例としてどのようなことが考えられるかということで以下に書いてあります。想定される業務としては、何と言っても、これまでの職業生活に基づいた経験や技術、それから専門性をいかしてということになってきますと、講師として教えるとか、研究・調査に係るとか、そういう業務。それから、経理等の事務作業がやはり多いだろうと考えました。
例えば、さらに具体的に言いますと、労働者のこれまでの経験や技術、専門性をいかした形で、経理等の事務作業の業務委託契約が結ばれるような事例。それから、農業機械メーカーが従前より事業展開している中山間地域での農業者養成講座に、高年齢者が運営担当者や講師として参画する等の事例。さらに、自動車メーカーが車を題材にした小学校への出前授業を行う際、企画、出張授業を高年齢者に委託する事例ということです。こういう事例は、社会貢献の授業などで割と一般的にどうも行われているようだということで、私自身がいろいろ連合傘下の労働組合を通じてお聞きした範囲で言うと、例えばこのようなことかなということで挙げさせていただきました。
そのようなことで、労災が具体的に起きるとしたらどのようなことが考えられるだろうかということで、以下に挙げています。「講義中に、教壇から足を滑らせて転倒して、足首を捻挫した」という例。それから、「長時間のデスクワークにより腰痛が再発した」という事例。それから、社会貢献などということになってきますと、やはり社会的に外に出てという仕事が割と多くなりますでしょうから、そうしますと、「出先への移動中に交通災害に被災した」ということもありうるのではなかろうかと思います。以上が事例ということです。
6ページ、そうすると、この創業支援等措置の特別加入を考えた場合に、災害防止措置としてどのようなことが想定できるだろうかということです。以下、考えたことを列挙してあります。
特別加入時に、まずは高年齢者向けの安全衛生研修を実施する。さらに、1年ごとに安全衛生の研修の機会を確保することが考えられます。基本的には、その内容ですが、「高年齢者の安全と健康確保のためのガイドライン」というのが昨年に策定されて公表されていますが、これに基づいて、高年齢者を念頭においた研修というのがいいのではないかと思いました。出張研修、それからオンラインでリモート研修がもう可能に、一般的にはもうなりつつあるかなということで、こういうものを利用して、遠隔地の特別加入者であっても、大阪周辺には限らず、全国どこでも災害防止措置を適切に実施することが可能ではないかということです。
さらに内容についてです。高年齢者の災害の特徴が割とはっきりしていますから、転倒災害対策などの基本的な災害防止対策、腰痛防止、それから加齢による体力の衰えの問題など、こうした問題に重点を置いた研修機会を確保していくことになるかと思います。
それから、創業支援等措置実施計画でどのような業務委託をするかということが明確にはなるでしょうから、特徴的な高年齢者のグループ、集団ということになってきますと、その特徴の内容を踏まえた災害防止措置もまた考えられるかなということです。そういうものについては、またスポットで研修をやることも考えられると思います。
以上のようなことで、70歳までの高年齢者が創業支援等の措置で業務の付託を受けるときに、特別加入ができる特別加入団体を創設して、全国の事業場を対象に運営していくことを想定したところです。
安全研修を実施するのに際して、当連合大阪労働安全衛生センターの実績としては、これまでもずっとやってきたことは、労働組合を対象とした安全衛生研修、それから、地域の労使団体の研修会等の企画、それから講師派遣もやってきましたし、事業所の安全衛生研修ももちろんやります。さらに、高年齢者のことでしたら、例えば、大阪府シルバー人材センター協議会の安全研修とか、それから、大阪府下の各市のシルバー人材センターの安全研修などもこれまで担当してきた経緯があります。そういうことですので、特別加入団体を作って、それで安全研修をしっかりやってという災害防止措置についてはイメージができるかなと考えたところです。私の説明は以上となります。ありがとうございました。
○労災管理課長 それでは、今、御説明いただいたものを踏まえて、事務局で資料3、資料4ということでまとめさせていただいております。まず、資料3ですが、特別加入制度の対象範囲を拡大するに当たりまして、昨年度は3つのものについて拡大を御検討いただいた際に、就業者数、業務の範囲、その他、項目を整理いたしました。これに沿って事務局で整理したものです。
まず、業種全体の就業者数です。これは、この制度自体が今年の4月からの施行ということですので、実際の人数はこれからということにはなりますが、一応、統計上、これは2018年の労働力調査から取っておりますが、60~64才の正規就業者数のうち、65才を超えても働きたいと希望する方を試算したところ、約135万人いらっしゃるということです。もちろん、この方が全て雇用ではない形の、今回のような創業支援等措置になるわけではありませんが、全体としてはそういった数字がございます。
また一方で、次の○の所ですが、日本・東京商工会議所の調査で、これは昨年の9月に公表されたものがございます。アンケートの結果、約20%の中小企業が、いわゆる今回の創業支援等措置に相当する制度を導入することを予定検討しているという結果が公表されています。これは単純に135万人に20%を掛けるということはできませんが、1つ、全体の裾野の可能性としての参考にはなろうかと思っております。
次に業務の範囲です。これは前提として、当然高齢法に基づく創業支援等措置の枠組みの中で業務に従事するということを前提に、具体的にどのような業務が想定されるかということですが、先ほどの連合大阪安全衛生センターから御説明がありましたとおり、これまでの経験や技術、専門性を生かした講師、あるいは研究調査に係る業務、又は経理などの事務作業が多いということで御報告いただいたものを、ここに書かせていただいております。また、災害の状況もそれに応じて、足を滑らせて転倒する、腰痛あるいは交通災害の被災といったものが考えられるというところです。
その下ですが、「同種もしくは類似の既存の業種」はどのようなものがあるかということです。次の資料4/4にも出てきますが、「その他の各種事業」、具体的には「前各項に該当しない事業」あるいは「教育業」といったものに近いものがあるのかなと考えております。
次に、特別加入団体の担い手の有無です。先ほど御説明いただいた連合大阪労働安全衛生センターにおいて手を挙げていただけるということが、今、想定されています。また、特別加入団体の承認の要件です。実際の想定される従事者の数は今後具体的になってくるわけですが、最初のところの業種全体の就業者数を再掲させていただいております。
また、組織運営方法の整理ですが、これは先ほども御説明がありましたとおり、構成員の資格、その他について規定があり、また、実際に適切に運営されております。
それから、労災保険事務の処理が可能であるということですが、これについても定款の中に、労働保険事務組合の業務の規定がございますし、役員、事務局、会計について規定があり、実際に運営がなされていると聞いております。事務所の所在地はここにあるとおり、大阪市の中央区ということです。
最後に、労働災害防止の措置についてということです。先ほどの説明にもありましたとおり、加入時に高年齢者向けの研修を実施する、あるいはガイドライン等に基づいて、特に高年齢者を置いた研修を実施する。また、この主たる事務所は大阪市ですが、出張研修あるいはオンラインによるリモート研修の実施によって、遠隔地の特別加入者へも災害防止措置を適切に実施するということです。
また、その他ここにありますとおり、転倒災害防止、腰痛防止、その他に重点を置いた研修。それから最後の所ですが、特別加入に交付された創業支援等措置実施計画、これは実施計画を作ることが高齢法の中で要件となっておりますが、これの中で、安全及び衛生に関する事項が盛り込まれるということで、この内容を踏まえた災害防止措置を適切に実施するということです。
次に、資料4です。今回、この創業支援等措置については、昨年、御議論いただいた特別加入の対象とは少し異なる論点があるかと思いまして、事務局で整理させていただいたものです。
2ページを御覧ください。まず①です。創業支援等措置のために設けられる特別加入枠組みの保険料率の設定をどう整理するかということです。法上は、創業支援等措置により実施する業務の内容については、特段の制約があるわけではありません。そういった中で、また、実際にこの法律の制度の施行が4月からということですので、現時点においては就業の実態あるいは災害の発生状況等についての実績となるデータはないところです。
これに関してですが、対応案にあるとおり、本日のヒアリング、御説明がありましたとおり、講師、事務作業といったものが多いのではないかというお話がありました。そうしますと、例えば講師ということであれば、学校等の教育に関する事業に適用される「9425 
 教育業」、あるいは事務作業については、各種会社の本社、支社等の事務所、法律事務所などに適用される「9416 前各項号に該当しない事業」といったものが、既存の業種として、類似するものとして考えられるかなと思います。
これらについては、その下にあるとおり、「94 その他の各種事業」ということで、料率3/1,000となっておりますので、この3/1,000の料率で設定し、スタートするということで、御提案させていただきたいと思います。
3ページを御覧ください。既存の特別加入枠組みと創業支援等措置のために設けられる特別加入枠組みとの重複をどう整理するのか。これはどういうことかと申しますと、創業支援等措置と言うのは65歳以上についての、高齢法に基づく措置ということです。既に、昨年御了解いただいた3つの業務を含めて、特別加入が認められているものがございますが、当然、概念上、重なってくる場合がございます。その場合に、②ですが、両方に加入することはできない規定になっていますので、いずれかを選ばなければならないということです。その際に、自由に選択できるということになれば、単純に料率の低いほうに流れてしまうということになりかねませんので、ルールを決めておく必要があると考えております。
それが4ページの所です。対応案として2つ書いております。案1が、既存の特別加入枠組みに加入する。それに該当するのであれば、それに優先して加入していただく。案2は、創業支援等措置のために設けられる新たな特別加入枠組みに加入する。この2案が考えられるところですが、案2を採用した場合は、既存の特別加入枠組みと同じような作業に従事しているケースになりますが、どちらに加入するかによって料率が違ってくることは、果たして合理的なのかということもありますし、労働災害の実態に即した料率設定となるかというところに意義があるのかなと思っています。
一方で案1を採用すれば、これはもともと既存の特別加入団体において、当該加入者の業種、事務作業に特化した形で、労働災害の防止措置をやっていただいているということがありますので、こういったことも踏まえて、案の1ということで、もし既存の枠組みの業務であるということであれば、既存の特別加入のほうに加入していただくということでどうかということで、御提案させていただきます。
5ページ目を御覧ください。③です。1つの特別加入団体において、多様な業務に関する災害防止措置を実施する必要があるということがあります。従来、特別加入については、それぞれの仕事の内容に応じて設定されているということですが、今回の高齢法のこの措置に基づくものについては、必ずしもそういった制約があるわけではありません。もちろん、先ほどのヒアリングの中では、当面考えられるものとしては、講師とか、事務的な作業といったものがメインではないかという御説明を頂いたところです。また、これにつきましては対応案として、創業支援等措置については、労使合意の上で創業支援等措置実施計画を定めるということとなっており、この中で安全及び衛生に関する事項を定めるということになっております。
これについて、先ほどの連合大阪安全衛生センターの御説明の中で、ここで定められる安全衛生に関する事項も踏まえて、災害防止に関する措置を講ずるということを考えているというお話がございました。これは、今回、仮にこの特別加入の枠組みが認められた場合に、ほかの団体がこの特別加入の団体として、当然承認申請をしてくることも考えられるわけですので、連合大阪様が今回表明されているような形で、安全衛生に関する事項、計画に定められたものを踏まえて実施していくということを、一般的な要件として、今回の特別加入団体の創業支援等措置に係る特別加入団体の承認要件としてはどうかということを御提案させていただきます。事務局からは以上でございます。
○荒木部会長 資料1から資料4まで御説明いただきました。何か御質問、御意見等がありましたらお願いします。オンラインの方々はチャットのほうに「発言希望」と入力していただければと思います。
○鈴木委員 経団連の鈴木でございます。私からは西野参与様と厚生労働省に質問を、それぞれ1個させていただければと思います。
まず、西野参与には大変丁寧な御説明を頂き、また日頃から安全衛生活動に御尽力いただいておりますことを感謝申し上げたいと思います。
質問ですが、創業支援等措置に基づく65歳以上の方が、いろいろな企業で働かれると思います。例えば組合がない企業から委託を受ける場合とか、あるいは組合があっても連合傘下でない組合から委託を受けるというような場合もあろうかと思うのですが、これはオープンにと言いますか、幅広く受け入れられる御予定かどうか、質問させていただきます。
それから、厚生労働省の事務局への質問ですが、労働力調査で、65歳を超えて働きたいと希望する方の資産、これは135万人ということですが、この内訳として、どういった産業、どういった職種に就かれている方かというデータがあれば、教えていただきたいと思います。
○荒木部会長 まず、西野参与からお願いいたします。
○西野参与 まず結論から言いますと、連合の系列ということは関係なく、高年齢者雇用安定法に基づく創業支援等措置に係る特別加入ということであれば、受け付けるということで考えていきたいと思います。当然、連合として全ての創業支援等措置により働く高齢者のセーフティネットを提供するということは大きな役割だと考えておりますので、関係なく受け付けるということでやっていきたいということを想定しています。
○荒木部会長 事務局からお願いいたします。
○労災管理課長 御質問いただいた135万人の内訳ですが、今確認しております。具体的な業種その他について、今はないところです。申し訳ありません。
○鈴木委員 ありがとうございました。
○荒木部会長 ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。それでは西野参与におかれましては、御多忙の中御参加いただきありがとうございました。ここで退室いただき、更に議論を進めたいと思います。本日はありがとうございました。
○西野参与 ありがとうございました。
○荒木部会長 更に何か御議論があれば伺いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、第1の議題については、本日の議題を踏まえ、省令案の要綱について、次回の部会に諮問案件ということで掛けさせていただきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
次の議題ですが、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱等(諮問)」という案件です。事務局より説明をお願いします。
○労災管理課長 A4の縦紙で省令案要綱がございます。もう一つ、A4の横の紙で2枚組みになっておりますが、省令案についてということでお出ししております。中身の説明上、横書きのA4の資料のほうで、今回の内容について御説明させていただきます。
まず、改正の趣旨ですが、このパラグラフの3番目からですが、賃金総額に保険料率を掛けて、保険料を払っていただくというものですが、それが困難な事業については、請負金額に労務費率を乗じた額を賃金総額とするというようになっておりまして、ここで言う労務費率については、労災保険率の改定に合わせて改正を行っているところです。
今般、平成30年4月の労務費率、それから労災保険率の見直しに当たりまして、以前、この労災保険部会に提出させていただいた資料に誤りがございました。これは昨年12月8日に御報告させていただいたところですが、これを前提として、当時設定しました「水力発電施設、ずい道等新設事業」に係る労務費率、労災保険率に影響が生じるということが判明したところです。この資料に基づいた場合、この事業についての労務費率は「19%」ではなく「18%」、また、同じ時期に改定した労災保険率についても、現行の「1,000分の62」ではなく「1,000分の64」となるところです。
そのため、本来の労災保険率(64/1,000)、それから労務費率(18%)に基づいて算定した一般保険料の額が、現行の労災保険率(62/1,000)、それから労務費率(19%)に基づいて算定した一般保険料の額よりも下回る場合には、ある意味で徴収しすぎていたということになりますので、この差額分を還付するということで、事業主に不利益な取扱いとならないようにするという措置を講じたいというものです。この基本的な方針については、12月8日の部会において、御説明させていただいたところです。
具体的な改正の内容は、2です。まず(1)ですが、今回、この対象となっている労務費率と労災保険率については、今年度までというものですが、残り短いのですが、まだ今年度は3月までございますので、省令案が通った施行日から今年度末までに、新たに保険関係が成立した水力発電施設、ずい道等新設事業に係る労災保険率及び労務費率を、本来の労災保険率(64/1,000)、労務費率(18%)とするというものです。
(2)と(3)ですが、これは先ほど御説明した差額分の還付ということです。これは2つに分かれておりますが、(2)については、平成30年度から施行日前までの間に、施行日後は直すことによって、今後こういうことは生じないわけですが、それまでの間に労災保険に係る保険関係が成立した請負による建設の事業、括弧であるように水力発電、ずい道ということで、かつ労務費率で賃金総額を算定するものですが、施行日において現に一の事業とみなされるもの、これは私どもは一括誘致と呼んでおりますが、これについて、労災保険率、労務費率を、本来の労災保険率、労務費率で計算することによって、還付させていただくという御提案です。
「ただし、一定の場合にあっては、現行の労災保険率及び労務費率とすることができるものとする」と書いています。これはどういうことかと言いますと、労災保険率を変えることによって、還付すると、支払った保険料が下がりますので、いわゆるメリットの計算をする際に分母が小さくなって、かえってメリット収支率、あるいは最終的にはメリット料率が上がる場合がございます。そういう場合、かえって事後の保険料が上がってしまうケースがあり得ますので、そういった場合を勘案して、そういうケースにおいては従前の、現行の保険率、労務費率とすることができることにしたいと考えています。
(3)ですが、請負による建設の事業、これは申し上げたとおり水力発電、ずい道等ですが、単独の有期事業ということです。単独の有期事業については、当該事業の中で、メリットも勘案して計算しますので、本来の労災保険率、労務比率に基づき、算定した場合の一般保険料の額が現行の労災保険率及び労務比率に基づいて算定した一般保険料の額よりも低い場合には、本来のものとするということで、お返しをするということで対応させていただきたいと考えております。
その下の4の所ですが、施行期日を書いています。公布日は1月下旬、施行期日は令和3年2月1日ということで考えております。今回、このような形で労災保険率、労務比率を検討するに当たっての基礎資料に誤りが生じて、結果として還付等が生じることで、大変御迷惑をお掛けしたということです。改めてお詫びを申し上げたいと思います。
○荒木部会長 ただいま諮問案件ということで、諮問のあった件について、御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。特段の御意見はございませんでしょうか。それでは、関係者に不利益が生じない形での対応ということですので、特段御意見がないようでしたら、諮問のあった件につきましては、当部会としては妥当と認め、労働条件分科会長宛てに報告することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
                        (異議なし)

○荒木部会長 ありがとうございました。それでは、そのように進めさせていただきたいと存じます。
労働政策審議会令第7条第7項により、部会の議決をもって分科会の議決とすることができ、同令第6条第7項により、分科会の議決をもって審議会の議決とすることができると定められております。
また、労働条件分科会運営規程第7条におきまして、当部会の議決をもって分科会の議決とするということになっており、労働政策審議会運営規程第9条におきまして、分科会の議決をもって審議会の議決とすることとなっております。したがって、当部会の議決が審議会の議決ということになります。
それでは、事務局に答申案を用意していただいておりますので、これを読み上げることとしたいと思います。
○労災管理課長 読み上げさせていただきます。令和3年1月15日、労働条件分科会分科会長荒木尚志殿。労災保険部会部会長荒木尚志。労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について。令和3年1月15日付け、厚生労働省発基0115第2号をもって、労働政策審議会に諮問のあった標記については、本部会は審議の結果、下記のとおり結論を得たので報告する。記。厚生労働省案は妥当と認める。以上です。
○荒木部会長 ただいま読み上げられた内容で、部会長から分科会長、分科会長から労働政策審議会長宛てに報告し、この報告のとおりで厚生労働大臣宛てに答申を行うこととしたいと思います。なお、答申は後ほど皆様に送付させていただきます。
本日予定した議題は以上ということになりますが、この際、何か御発言があれば伺いますが、特段よろしいでしょうか。よろしければ、本日の部会は以上で終了といたします。次回の日程については、事務局より追って連絡させていただきますが、今般の緊急事態宣言を踏まえて、持ち回りによる開催となる場合がありますので、御了承いただければ幸いに存じます。また、これまで議事録の署名を労使の委員にお願いしておりましたが、昨年12月25日付けで運営規程が改定され、不要となりましたので、今回から省略させていただきます。詳細は追って事務局より連絡させていただきます。本日は以上といたします。どうも、お忙しい中御参加いただき、ありがとうございました。