第18回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 議事録

健康局 健康課予防接種室

日時

令和3年2月10日(水) 10:00~12:00

場所

厚生労働省 専用第21会議室(非公開)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

  1. (1)今後の新型コロナワクチンの接種について
  2. (2)その他

議事

議事内容
○元村室長補佐 それでは、これより第18回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」を開催いたします。
本日は、御多忙のところ、御出席いただき、誠にありがとうございます。
初めに、分科会委員に改選がありましたので、御報告いたします。
大石委員、三田村委員が本分科会より御勇退され、新たに1名の委員が就任されましたので、御紹介いたします。
国立感染症研究所感染症疫学センター長の鈴木委員です。よろしくお願いいたします。
○鈴木委員 疫学センターの鈴木です。よろしくお願いします。
○元村室長補佐 本日の出欠状況について、御報告いたします。
沼尾委員から御欠席の連絡を受けております。
現在、委員18名のうち17名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
初めに、本日の会議の取扱いについて御説明をさせていただきます。
本日の会議の主な趣旨は、新型コロナワクチンの最初の製品が、今後我が国において承認される可能性が高まっている状況を踏まえ、承認後すぐに支障なく接種が開始できるよう、分科会としても、承認後速やかな対応が必要となると想定され、そのため、事前に現時点の添付文書の案なども踏まえながら、方針の確認等をさせていただくことにございます。
本日の議事は非公開としております。非公開とする理由ですが、厚生科学審議会運営規程第5条におきまして、審議会の会議は公開としつつ、公開することにより知的財産権その他個人もしくは団体の権利利益が不当に侵害されるおそれがある場合には、会議を非公開とすることができるとされています。
今回は、円滑な審議を実施するために、薬事当局において審査中の、最終的に確定していない資料内容等がありますことから、ファイザー社に非公開とすることを前提に、特別に現時点の添付文書案を提出いただいております。議事の公開により、ファイザー社の権利利益が侵害されるおそれがございます。
また、予防接種実施規則等の内容は、全体的に添付文書を踏まえて議論、決定されるものであり、議事の一部について現時点の添付文書案を用いないとすることも困難でございます。
以上のことから、事前に分科会長に御相談し、本日の議事を非公開といたしました。
なお、現時点の添付文書案と関連のない資料と本日の議事録は、薬事承認がなされた後に公表することとし、議事録につきましては、承認後、確定された添付文書案とそごのある内容がある場合は、その部分は委員に確認の上削除するなどの対応を取ることとしたいと考えております。
それでは、議事に先立ちまして、資料の確認をさせていただきます。
ペーパーレス化となっておりますが、分科会の資料はお手元のタブレット端末で閲覧する方式とさせていただいております。タブレット端末資料を御確認いただければと思いますが、番号01「議事次第」、02「座席表」、03「資料1」、03「参考資料2」、10「参考資料3」、11「参考資料4」と利益相反関係書類となっております。あと、お手元のほうに机上配付資料ということで、資料2と参考資料1をお配りしているところでございます。
資料の不足等がございましたら、事務局のほうにお申し出ください。
それでは、ここからの進行は、脇田分科会長にお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 分科会長の脇田でございます。今日もよろしくお願いします。
厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で、今後の新型コロナワクチンの接種についてということであります。
まず、利益相反の確認を事務局からお願いします。
○元村室長補佐 審議参加の取扱いについて御報告いたします。
本日御出席いただきました委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況、薬事承認等の申請資料への関与について申告をいただきました。
各委員からの申告内容につきましては、資料の利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
本日は、議事内容に関し、「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する方はいらっしゃいません。
引き続き、各委員におかれましては、書類の確認をしていただいて、正しい内容を申告いただきますようお願いいたします。
事務局からは以上になります。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
それでは、議事に入っていきたいと思います。
議事次第には、「今後の新型コロナワクチンの接種について」が1番で、2番目に「報告事項」ということであります。
まず1番目の議題、「今後の新型コロナワクチンの接種について」でございます。
資料1を事務局から説明してください。お願いします。
○川瀬室長補佐 それでは、資料1につきまして御説明させていただきます。
資料1と机上に配付しております参考資料1の添付文書案の現時点のものにつきまして、適宜触れながら御説明をしたいと思っております。
資料1を御覧いただければと思います。「今後の新型コロナワクチンの接種について」という資料でございます。
2枚目は、これまでの新型コロナウイルス感染症の発生状況をまとめたものでございして、8日の24時時点となっております。
陽性者が、これまで合計で40万人強いらっしゃいまして、現時点で入院治療を要する者が3万人程度、うち重症者が759名、死亡者数がこれまでの累計で6,476名となってございます。
3ページ目は、発生動向を示したものでございまして、8日時点の新規陽性者7日間移動平均が2,147名、その1週間前の移動平均が3,324名となってございます。
4ページ目は、重症者の推移を示したものでございまして、2月8日時点では、先ほど御説明したとおり759名となってございます。
5ページ目が、これまでの新型コロナワクチンに関係するような経緯について簡単にまとめたものでございます。
2019年12月に武漢において、当時は原因不明の肺炎ということで報告がなされ、その後、それが新型コロナウイルスというものであると発表されました。
日本では、2020年1月15日に1例目が確認されております。
その後、特措法の改正などを経て、4月に緊急事態宣言が出され、5月には解除になっておりまして、7月31日にファイザー社とワクチン供給に係る基本合意を政府として行ったところです。その後、8月7日にはアストラゼネカ社との基本合意が結ばれておりまして、10月29日にはモデルナ社とワクチン供給に係る契約が締結されております。
そして、分科会でも御議論いただきましたけれども、12月2日に予防接種法の改正法案が成立いたしまして、新型コロナワクチンに係る臨時接種について、法律上位置づけられたというところでございます。
その後、12月10日にアストラゼネカ社とワクチン供給に係る契約締結、12月18日にファイザー社が日本において薬事承認申請をし、今もまた緊急事態宣言が出されておりますけれども、今年の1月20日にファイザー社とワクチン供給に係る契約を締結したという状況でございます。
また、2月5日には、アストラゼネカ社から、日本においてワクチンの薬事承認申請がなされているという状況でございます。
6ページが、先般改正された予防接種法の改正内容を簡単にまとめたものでございます。御案内のとおり、新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種について、臨時接種の特例を設けたというものでございます。費用は国が全額負担するという形になってございまして、そのほかの救済制度や副反応疑い報告については、臨時接種とみなして予防接種法の規定を適用していくのだということになってございます。
そこの米印にも書いてございますけれども、通常、臨時接種であれば接種勧奨と努力義務がかかってくることになりますけれども、これは有効性・安全性に関する情報等を踏まえて、政令で適用しないことができると規定されているところでございます。
この法律を受けて、実際に接種を実施していくに当たって、本分科会、そして副反応部会においては、接種に関する重要事項として、対象とするワクチンについてどのようなものを使うのかということや、大臣が実施を指示する際に、対象者、実施期間等を定めて指示をしますので、その内容であるとか、先ほどの公的関与、接種勧奨と努力義務の取扱いについてどのようにするかということを御議論いただければと思っております。
副反応報告基準につきましては、副反応検討部会において御議論いただくことと考えておりまして、それを簡単に示したのが7ページの図でございます。これも前回の17回目の分科会に提出した資料を一部変えているものでございますけれども、そのときから接種に関する重要事項については本分科会で、副反応に関するものについては副反応検討部会でとなってございます。
具体的に御検討いただきたい事項をまとめたのが8ページでございまして、マル1からマル7まで書いてございます。
まず最初のマル1、使用するワクチンは、端的に言えばファイザー社のワクチンを使用することについてどのように考えるかということを御検討いただければと思っております。
次の実施期間ですけれども、ワクチンの供給契約や保存可能期間のほか、今回の臨時接種の趣旨からすると、なるべく短期間で接種を進めることが必要になってくると思いますので、そういったことを踏まえて実施期間をどのように設定するかということ。
対象者につきましては、希望する方が受けられるようにするということや、ちゃんとした救済制度を適用していくという考え方を考慮して、対象者について、特に薬事承認との関係でどのように設定をするかということでございます。
通常の定期の予防接種でも設定しておりますけれども、接種不適当者あるいは接種要注意者についてどのように設定するかということや、先ほど来、御説明していますけれども、公的関与、つまり接種勧奨、努力義務につきまして、今回は政令で対象者を指定して、これらの適用を除外することができるとされております。これにつきまして、例えば接種勧奨につきましては接種機会を逃さないようにするといった観点も踏まえれば、どのような対応が適切かということ。また、妊娠中あるいは授乳中の方に係る努力義務についてどのように考えるか。また、重症化率・死亡率は低いのですけれども、発症者に占める割合は高い若年層についてはどのように考えるかといった点について御検討いただければと思っております。
その他の接種方法に関する事項といたしまして、同一ワクチンの接種間隔をどうするか。あるいは、異なるワクチンの接種間隔についてどのように考えるか。既感染者の接種についてどう考えるか。アナフィラキシー、血管迷走神経反射への対応についてどのように考えるか。高齢者や基礎疾患を有する方についてどのように考えるか。こういったことを踏まえて、さらに予診票の質問項目についてどのように考えるかということについて御議論いただければと思っております。
副反応疑い報告基準につきましては、副反応検討部会で議論いただくこととしてはどうかということでございます。
駆け足で申し訳ありません。そのまま続けて御説明させていただきますけれども、幾つか連関し得る論点について、まとめて御説明をできればと思っておりまして、まず最初に、大臣の指示にも関係する使用するワクチンと実施期間につきましてまとめております。
10ページを御覧ください。現時点で、日本国内での供給が予定されているワクチンにつきまして、ここに載せておりまして、ファイザー社につきましては年内に約1億4400万回分の供給を受けるという契約になってございます。
アストラゼネカ社につきましても、今年初頭から1億2000万回分の供給を受ける。そのうち3000万回分につきましては、今年の第1四半期中に供給を受けるという形になってございます。
モデルナ社につきましては、これも今年の上半期に4000万回分、今年の第3四半期に1000万回分の供給を受けるというような契約になっております。
当たり前ですけれども、いずれもワクチン開発に成功した場合という留保がついております。
11ページでございます。ファイザー社のコロナワクチンの作用機序を図示したものでございます。こちらはファイザー社の説明資料の中から抜粋したものでありますけれども、ファイザー社、BioNTech社が共同で開発しているワクチンにつきましては、メッセンジャーRNAをヒトの細胞に届けるということになってございます。図1にありますけれども、そのメッセンジャーRNAはウイルス抗原、スパイクタンパク質の設計図となる部分でございまして、それが細胞内に導入されて、細胞内のリボソームにおいてこのスパイクタンパク質が生産される。それに対して、抗体産生と細胞性免疫の両方が誘導されるということが、作用機序を細かくかみ砕いた説明となってございます。
12ページは、各国での添付文書の内容も含めてコロナワクチンがどのように承認されているかというものをまとめたものです。作用機序は、物が同じですので当然どれも共通のような形になってございます。
その他の事項で、例えば効能・効果につきましては、各国で書きぶりが若干異なる部分があるのですけれども、基本的にはCOVID-19、新型コロナウイルス感染症防止の予防接種という形になってございます。
接種対象者は、各国で16歳以上となっておりまして、用法・用量は、いずれも筋肉内注射で2回となっております。
接種間隔につきましても、3週間となりますけれども、一部「少なくとも」というような修飾語が入ったりしているというところがございます。
接種不適当者につきましても、基本的にはアレルギーといいますか、アメリカでは重度のアレルギー反応、アナフィラキシーなどの既往歴がある方は不適当としております。イギリス、EUにおきましては過敏症がある方となってございます。
貯蔵方法は、報道等でもされておりますけれども、超低温、マイナス80度~マイナス60度といった温度帯で貯蔵して、製造から6か月程度の保存可能期間という形になってございます。
日本につきましては、今、審査中ですので、この資料上は審査中としておりますけれども、机上に配付しております参考資料1のファイザー社の添付文書案を御覧いただければこれに相当する内容が書いてございまして、例えば同じように、この添付資料の1ページ目でございますけれども、SARS-CoV-2による感染症の予防、かみ砕いて言えば、新型コロナウイルス感染症の予防という形になってございます。
接種対象者につきましても、16歳以上の者に行うということ。
用法・用量は、筋肉内に2回接種するということで、それは通常3週間の間隔ということと、1ページ目の「7.2 接種間隔」のところで、もし1回目の接種から3週間を超えた場合には、できるだけ速やかに2回目の接種を実施するということが書かれております。
見るところが行ったり来たりして申し訳ないのですけれども、接種不適当者が日本の添付文書で一番上のほうの赤い枠で囲った2.のところに書かれておりまして、明らかな発熱がある、重篤な急性疾患にかかっている、重度の過敏症の既往歴がある、そのほか予防接種を行うことが不適当な状態にある者といった形で、現時点の案としてはそういった列記がされているということでございます。
13ページがコロナウイルス感染症のファイザー社のワクチンの有効性についてまとめたものでございます。
上の枠のところが海外治験の発症予防効果を示したものでございまして、VEというのはワクチン有効率でございますけれども、これまで新型コロナウイルス感染症の感染歴がない被験者における有効率が95%であったということでございます。
感染歴を問わない被験者ということで、分母を増やして見てみると、有効率は94.6%になるということでございまして、かつ、治験薬の1回目接種から14日後までの発生例を見たところ、プラセボ群と同様に推移しておりますので、そのことから考えると、2回目接種以降で本剤群、つまりワクチン群の発症予防効果が期待できると考えられているところでございます。
その下の枠の国内試験における免疫原性についてというところは、審査中となってございますけれども、一部、添付文書案に記載があるところでございまして、添付文書案の4ページの上のほうに、接種群とプラセボ群における血中の中和抗体価の値が書かれてございます。プラセボ群に比べて、本剤接種群、ワクチン群のほうが中和抗体価が高いという結果になっているということでございます。
14ページを御覧いただきまして、今度は安全性のデータでございます。現時点の情報におきまして、被験者の多くに局所反応や全身事象が認められていたものの、ほとんどが軽症または中等度であり、回復性が認められるというのが臨床試験の概要でございます。
頻度の高いAE(Adverse Event)を見ていきますと、接種部位の痛み、疲労、頭痛、筋肉痛、悪寒、関節痛、下痢、発熱、接種部位の腫脹というのが10%以上で見られましたけれども、通常は軽度または中度で、数日で消失したということでございます。こちらの詳細につきましては、この資料1の参考として56ページ以降に有害事象の発現状況を載せておりますので、細かくは56ページ以降を御覧いただければと思います。
これらのうち、より重篤なものにつきましても少ないながらも発生しているというところでございます。ただ、本剤群におきまして、今、2万例のうちの126例、プラセボ群におきましても約2万例のうち111例という形で、基本的にあまり差はないような状況になってございます。
治療薬との関係が否定されなかった事象は4例ございまして、その転帰につきましては、リンパ節症は未回復、心室性不整脈は回復、その他は軽快という形になっております。
死亡例につきましても数例発生しておりまして、本剤群で2例、プラセボ群で4例という形。ただ、いずれも治験薬との因果関係は否定されたということでございます。
15ページは、接種期間についてどのように考えるかという資料でございます。以下の点を考慮すべきではないかということで、3つ掲げております。
まず1つ目が、今後、一番最初に接種が始まるであろうファイザー社のワクチンの供給契約について言えば、年内にワクチンの供給を受けるという契約になってございます。
マル2でございますけれども、一方で、保存可能期間は超低温下で、製造から6か月間と見込まれておりますので、年内のぎりぎりのタイミングで供給されたワクチンにつきましては、製造・供給日にもよると思うのですけれども、令和4年の早い時期になっても使用可能なものがあり得ると考えられます。そのときに、使用可能なワクチンについてはなるべく無駄が生じないように配慮する必要があるのではないかということでございます。
一方で、今回、臨時接種という枠組みで行いますので、蔓延予防上緊急の必要性があるということで行うものでございますので、なるべく短期間に接種を進めるということも考慮すべきではないかということでございます。
駆け足で御説明しました対象ワクチンの設定と実施期間につきましてまとめたものが16ページでございます。
有効性・安全性につきましては、臨床試験を通じて、感染歴がない被験者においては95%の有効率、感染歴を問わない形で見ても94.6%の有効率が確認されてございまして、2回目接種以降で新型コロナウイルス感染症の発症予防効果が期待できるとされておるところでございます。
また、安全性に関しましては、臨時接種として使用することに関しては、現時点では重大な懸念は認められないと考えております。
実施期間については、この前のページで御説明したとおりですけれども、供給契約、保存可能期間、なるべく短期間で接種を進めるといった観点で設定してはどうかと考えております。
論点として、マル1、現時点で判明している有効性・安全性に関する情報を踏まえ、薬事承認がされましたら、ファイザー社のワクチンを予防接種法の接種として使用することについてどのように考えるかということでございます。
マル2が、それを使って実施するとなったときの実施期間でございますけれども、これはおおむね1年間という形。仮に2月中旬に接種開始ということになれば、令和4年2月28日までという設定にすることについてどのように考えるかと提示させていただいております。
次の論点グループでございますけれども、対象者、予防接種不適当者・要注意者、また公的関与に関する取扱いについて御説明をさせていただきます。
次のページ、番号が見えないのですけれども18ページでございますが、新型コロナワクチンの概要ということで、先ほど御説明した資料の再掲でございます。ここの議論の中でいえば接種対象者は各国16歳以上になっておりますし、日本における添付文書案でも16歳以上となっておるところでございます。
接種不適当者につきましては、いずれの国においても、過敏症であるとかアレルギー反応の重いものがある人については、接種不適当者という形になっているということでございます。
日本における接種不適当者、いわゆる禁忌として掲げられているのは、机上配付資料、参考資料1のファイザー社の添付文書案の1ページの赤枠で囲っているとおりとなってございます。
19ページを御覧いただきまして、対象者についてどのように考えるかというところをまとめたものでございます。今、御説明しましたように、各国で臨床試験の対象であるということもあって、ファイザー社のワクチンについては16歳以上の方を接種の対象としており、かつ、それ以外の理由、例えば何歳以上であるといった理由で接種対象者から除外されるグループは設定されていないところでございます。
ただ、別途の議論としては、当日の状況とかを踏まえて接種不適当者ということは当然規定されているのですけれども、少なくとも高齢であるといったことによって接種対象者から除外されている人は設定されていない状況にございます。
あと、接種を希望する方の接種機会を確保することや、救済制度の対象とするということを考慮して、接種対象者につきましては、薬事承認で認められている範囲内で広く設定すべきではないかと考えております。
論点につきましても、薬事承認上の適用の対象となる者については、予防接種法上の接種対象者と位置づけてはどうかとまとめさせていただいているところでございます。
次の論点に移りまして、20ページでございます。接種不適当者・接種要注意者についてまとめているのですけれども、これは審査中の情報がかなり多く含まれておりますので、この資料ではなくて添付文書案のほうで御説明をさせていただきます。
接種不適当者につきましては、先ほども御説明したように、1ページ目の赤枠の2.接種不適当者という欄に列記されている4類型が記載されてございます。
接種要注意者につきましては2ページ目を御覧いただきまして、「9.特定の背景を有する者に関する注意」の中の「9.1 接種要注意者(接種の判断を行うに際し、注意を要する者)」の中で、9.1.1~9.1.7まで列記されてございます。これは筋肉内注射を行うのですけれども、抗凝固療法を受けている者、血小板減少症または凝固障害を有する者につきましては、接種後に出血、挫傷が現れることがあるという注意喚起がなされてございます。
9.1.2は、定期接種でも同じように要注意者に含まれているところでありますけれども、過去に免疫不全の診断がなされている者、近親者に先天性免疫不全症の者がいる者という形になってございます。
9.1.3、9.1.4、9.1.5、9.1.6、これらも基礎疾患を有する方であるとか、アレルギーを疑う症状を呈したことがある方ですとか、けいれんの既往がある方、成分に関してアレルギーを呈するおそれのある者、これも定期接種の要注意者にも含まれているものでございます。
9.1.7が定期接種に含まれていないものでございまして、これらのほかに一般状態の悪い者ということが記載されてございます。
また、接種要注意者とまでは書かれていないのですけれども、特定の背景を有する者というグループの中で、9.5で妊婦、9.6で授乳婦という記載がなされておりまして、妊婦につきましては予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種することと書かれてございます。9.6の授乳婦につきましては、予防接種上の有益性、母乳への有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討すること。ヒト母乳中への移行は不明であるという記載がなされているところでございます。
21ページ、22ページは、定期接種における不適当者と要注意者について記載をしたものでございまして、詳細については御説明を省略しますが、21ページの不適当者の関係で、ここに書かれているような方々が不適当者としているのですけれども、一番下の○でございますが、これら以外に、定期接種におきましては、海外で相当するものを受けた者等を念頭に、「当該予防接種に相当する予防接種を受けたことのある者で当該予防接種を行う必要がないと認められるもの」につきましては、接種の対象者からは設定としては外されている。ただ一方で、不適当者の中には含まれていないという状況になってございます。
22ページは定期接種の要注意者でございまして、飛ばさせていただいて、23ページを御覧ください。今回の添付文書と定期接種で既に規定されているものとの対応表をつくったものであるのですけれども、左側は審査中となっておりますので、添付文書案の記載のとおりでございます。
まず、接種不適当者につきましては、基本的には定期接種で定められているものと同じとなるかと思っております。一部、重度の過敏症の既往例がある者というのが不適当者の2.3に記載されているのですが、過敏症という表現につきましては、HPVやロタにおいても同じような表現がなされていて、これについて現行の定期接種の取扱いでもアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者ということで読み込むという形になってございます。
接種要注意者の関係でいきますと、ファイザー社の現在の添付文書案にある抗凝固療法を受けている者、血小板減少症または凝固障害を有する者というのが明示的に定期接種の要注意者に書かれているわけではないのですが、基本的には基礎疾患を有する者というところで読み込めるのではないかというところでございます。
一方で、一般状態の悪い者というところについては、必ずしも基礎疾患を有する方だけではない可能性がありますので、そこについては定期接種での取扱いからはみ出る部分があると考えてございます。
24ページが、不適当者・要注意者についてまとめたものでございます。情報のまとめについては今、詳細に御説明したので省きますが、論点のところでございまして、マル4-1でございますが、添付文書に示された不適当者に基づき、現行の予防接種実施規則に書かれている不適当者を今回の新型コロナウイルス感染症の予防接種につきましても適用するということでどうかとしております。
先ほど御説明したとおり、基本的には現行の規定の中で十分読み込めるだろうと認識しておりまして、項目の加除は生じない見込みとしております。
また、「当該予防接種に相当する予防接種を受けたことのある者で当該予防接種を行う必要がないと認められるもの」につきましては、今回は接種不適当者として規定してはどうかとしております。
これは、今回のワクチン自体がどのぐらい有効性が持続するのかといったところについてはまだ分からない部分がございますので、その時々の医学的知見に基づく判断によって柔軟に対応ができるように、制度的に完全にはじいてしまうということではなくて、不適当者という枠の中で見ていくのが適当ではないかという趣旨でございます。
マル4-3でございますけれども、要注意者につきましては、添付文書における要注意者の欄の記載を基に、まだ出していないのですけれども、今後出すことを考えております今回のコロナウイルス感染症に係る臨時の予防接種実施要領の中に規定することとしてはどうかと考えております。
基本的には、定期の実施要領に書かれているものを活用しつつ、先ほどちょっとはみ出るかもしれないとお伝えしていた一般状態が悪い者について読めるようにするということを考えているところでございます。
次の論点に入るのですけれども、25ページに妊娠中の方と授乳中の方についてまとめております。先ほども触れましたけれども、特定の背景を有する者という形で妊婦・授乳婦が位置づけられておりますので、それの対応をどうするかという観点でございます。
ファイザー社のワクチンにつきまして、既に接種を実施している米国、英国、EUあるいはWHOの見解をまとめたものが25ページの資料でございます。
アメリカでは、妊娠中の方につきましてはデータが限られているということ。一方で、ワクチン接種を選択することはできるということで書かれております。
参考情報ですけれども、臨床試験の中では、妊娠中の女性は対象外という設定ではあったのですが、途中で妊娠が判明した方とかがいらっしゃいまして、その方々については、安全性に関する懸念は認められなかったという発表がされているところでございます。
英国につきましては、妊娠している場合については合併症を疑うリスクが高い場合を除いてワクチンを受けるべきではないとしつつも、リスクが高いと思われる場合には医師等と接種について相談をしましょうということが書かれているところでございます。
EUにつきましては、ベネフィットとリスクを考慮した上で、専門家と協議して決めてくださいねということを書かれております。
WHOにつきましては、妊婦へのワクチン接種の有益性が潜在的リスクを上回る場合を除き、接種は推奨していないとなってございます。
一方で、右側の授乳中の方についてなのですけれども、アメリカにおいては、安全性に関するデータや母乳栄養の乳児または母乳排せつに対するメッセンジャーRNAワクチンに関するデータはない。一方で、ワクチン接種を選択することはできると書かれております。
イギリスにおいては、授乳中の方も接種を受けることは可能となっておりまして、一方で、実際母乳で育児をしている方については、それが終わるのを待ってからワクチンを受けることを決めてもよいという書きぶりになってございます。
EUにおいては、授乳に関する研究はないけれども、リスクは予想されないということを示されております。
WHOは、授乳中の女性には接種を勧めるべき。授乳の中止は推奨しないということが書かれているところでございます。
日本の産婦人科関連学会からの提言でいきますと、妊婦を接種対象から除外することはしないという御提言があるところでございます。
26ページでございます。今度は妊婦ではなくて若年層の方々に関するデータでございまして、全体の陽性者数の状況を見ますと、陽性者は20~50代で多いのですが、死亡者は60代以上で多くなっているという状況がございます。
27ページでございますけれども、感染者の状況についてということで、年齢によって重症化、死亡者の割合については異なっておりまして、高齢者は高い、若者は低い傾向にあるということでございます。
28ページでございますけれども、重症化因子についてという資料で、重症化しやすいのはやはり特に高齢者と基礎疾患のある方ということで、仮に30代の重症化率を1倍としたときに、50代はそれに比べて10倍であるとか、60代になると25倍という形で倍率が高くなっていくということが示されております。
また、これも審査中の情報なので、簡単にまとめた表がお示しできないのですけれども、29ページに反応原性事象の発生状況をまとめている資料があるのですが、これにつきましては先ほど触れましたこの部分の参考資料の56ページ以降に有害事象の発現状況について、16~55歳、55歳以上という2つのグループで発現状況が比較できる資料が載ってございます。いずれにつきましても、基本的には16~55歳のグループのほうが、55歳以上のグループよりも有害事象の発現状況が高くなっているという形になってございます。
30ページは、前回の分科会でも御説明した図ですけれども、この資料で言いたいのは、対象者の特性によって有効性の大きさが異なる場合、同じワクチンであっても接種の判断は異なり得るということでございます。
31ページは、それを制度的にどのようなことを考えないといけないかということでございまして、公的関与をどうするかということがございます。今回、もともと予防接種法上の臨時接種という形で行いますので、31ページの下の表になっている臨時接種につきましては、疾病の蔓延予防上緊急の必要があるということで、接種勧奨はありますし、努力義務も原則かかってくるというものになってございます。
一方で、上の3つ目の○ですけれども、臨時接種と同様の趣旨で実施するから、原則としては接種勧奨の実施と接種を受ける努力義務を適用することとした上で、必要に応じて、例外的にこれらの規定を適用しないことを可能としております。具体的には、政令で対象者を定めて、適用除外することができるとなってございます。
今、御説明した妊婦・授乳婦、そして若年層の方々につきまして、これらの規定上の取扱いをどうするかということが一つ御検討いただきたい点でございまして、その情報をまとめたのが32ページでございます。
対象者別のリスクベネフィットをまとめたものでございますけれども、妊娠中の方、授乳中の方につきまして、妊娠中の方につきましては被験者数も限られておりますし、実使用においても、まだ状況が必ずしも明らかになっていないというところでございます。
一方で、試験や実使用経験から、特段の安全性の懸念が認められているというわけではありませんので、リスクが高いだろうということを考えると、接種機会を提供する必要はあるのではないかと考えております。
授乳中の方につきましては、海外の例を見ても、授乳中に接種するということ自体についてリスクとみなしていない、あるいは接種を控えるという推奨まではしていないという状況でございます。
若年層の方々につきまして、特に16歳以上40歳未満の方につきましては重症化率、死亡率は低いですので、接種により期待される重症者、死亡者の減少数は必ずしも多くはない。
一方で、感染者数はこの年代において、ほかの高齢の年代よりも多い状況にございますので、新型コロナウイルス感染症による個人や社会への影響は大きいという状況になると言えると思っております。
論点でございますけれども、マル5-1、まず、接種勧奨をどうするかというところでございますけれども、実施期間を区切って実施するものでもありますし、緊急の蔓延予防上実施するという趣旨も踏まえて、接種勧奨の規定は、接種対象者全員に適用することとしてはどうか。これは接種を受けたい方の接種機会を守るという観点からも、こういったこととしてはどうかと考えているところでございます。
マル5-2は妊娠中の方でございまして、こちらにつきましては努力義務を適用しないこととしてはどうかとしております。一方で、授乳中の方につきましては、海外の動向等も考慮して、努力義務の適用は除外しないとしてはどうかと考えております。
マル5-3が若年層、特に40歳未満の方につきまして、感染者の総数に占める若年層の割合は高い、また、重症化、死亡するケースも少ないながらも発生しているところでございまして、医療提供体制に一定の影響を与えていると評価できるため、現時点においては若年層についても努力義務の適用は除外しないとしてはどうかと考えております。
ただ、接種順位が設定されていない40歳未満の方への広範な接種が始まるまでには、入手可能な最新の科学的知見を踏まえて、改めてこの努力義務の適用について議論する機会を設けてはどうかとしております。
次が論点のマル6でございまして、接種に関するその他の事項ということで、この中でも5つ論点を設定しております。
34ページを御覧ください。同一ワクチンの接種間隔でございます。これまでも見てきましたように、ファイザー社は各国において3週間後に2回目の接種となっております。一方で、急な発熱が当日にあったという場合などもありますので、1回目からちょうど21日後に接種をすることができない場合も当然考えられるかと思っております。
論点でございますけれども、通常、定期接種でもそうなのですが、予防接種の実施規則において接種間隔を定めるのが通例でございまして、今回の新型コロナウイルス感染症につきましては、規則上の接種間隔については少なくともこの間隔を置いてほしいという最低限のものを規定しつつ、手引あるいは実施要領において標準的な接種間隔を示すということが適当ではないかとしております。
考え方といたしまして、海外の国際共同治験におきましては、1回目接種から18~22日の間隔を置いて、これは別の言い方をすると1回目接種の19~23日後に2回目の接種を行った場合の有効性・安全性が評価されているところでございます。
また、添付文書におきましても用法・用量と接種間隔のところで、通常3週間の間隔で接種するとしつつ、1回目の接種から3週間を超えた場合には、できる限り速やかに2回目の接種を実施するとされております。
以上を踏まえますと、この図に書いているのですけれども、実施規則においては許容される最短期間を記載して、具体的には18日以上の間隔を置いて、2回筋肉内注射するという最低間隔を記載しつつ、手引等においては標準的には20日の間隔を置いて2回筋肉内注射をする。1回目から20日を超えてしまった場合は、できるだけ速やかに2回目を実施するという記載としてはどうかとしてございます。
35ページが、これとは別のワクチンとの接種間隔についてでございます。アメリカでは、ほかのワクチンとの同時接種は行わずに、接種間隔は14日間の間隔を空けるべきとしてございます。これは異なるワクチンとの同時接種に関する情報が不足しているということ。
一方で、接種による利益が上回る場合、創傷時の破傷風トキソイド、麻疹などのアウトブレイク時の予防接種については、接種機会を逃さないようにするために短間隔での投与を検討する余地があるとしてございます。
イギリスにつきましては、少なくとも別のワクチンは7日間の間隔を空けるべきとしております。不活化ワクチン間の干渉は限定的であると考えられるということ。一方で、安全性に関する懸念の証拠はないのだけれども、有害事象が生じた場合に、どのワクチンによるものなのかの判断が困難になる可能性があるということで、こういった設定にしているということでございます。
これを踏まえまして、論点マル6-2でございますけれども、これまで用いられている生ワクチン、不活化ワクチンではない新しいタイプの実使用実績のないワクチンであるということから、異なるワクチン間での干渉、安全性に関する情報が不足している状況において、海外の例を参考としつつ、同時接種は行わないということ。接種間隔は13日以上の間隔を置くこととしてはどうかと考えております。
36ページが既感染者への接種についてでございます。既感染者につきましては、各国接種可能としているところでございまして、アメリカにおいては既感染かどうか関係なくワクチン接種を受けるべきとしております。
参考に書いておりますけれども、ファイザー社の臨床試験においても、感染者も含めて治験を行っていて、その場合であっても有効性はあると判断されているところでございます。
イギリスについては、既感染者であってもワクチンを受けることができるとしております。
EUにおいては、既感染者に対するワクチンの効果を結論づける十分なデータがないとしております。
WHOにつきましては、ワクチン接種の意思決定に際して、事前の感染確認の検査は推奨しないとしてございます。
論点マル6-3ですけれども、我が国においても既感染者を接種対象から除外せずに、事前の感染検査は不要としてはどうかと考えているところでございます。
37ページ以降がアナフィラキシーへの対応でございまして、各国の実際に広範に接種を始めて以降のアナフィラキシーの発生状況をまとめたのが37ページの資料でございます。
アメリカでは、約1000万回接種時点で50件、イギリスでは、約590万回接種時点で101件という形になってございます。ただ、当局の評価という2段目のところですけれども、いずれにおいても接種のメリットが上回っているという評価をしてございます。
原因物質に関する言及といたしましては、アメリカにおいてはポリエチレングリコールやポリソルベートに対して重いアレルギー反応を起こしたことがある方については、接種は推奨していないという状況になってございます。
EUにつきましては具体的なデータがないのですけれども、アナフィラキシーの全例を調査するように各国に要請しているというところでございます。
38ページがアナフィラキシーについて簡単にまとめたものでございまして、ほかのワクチンでも起こり得るようなものであるということでございます。
上の3つ目のポツでございますけれども、アメリカでの報告を詳しく見て見ますと、アナフィラキシーが起こった方の74%は接種後15分以内で起こっている。さらに90%は接種後30分以内に発生している。さらに、発生した方の8割はアレルギーの既往のある方であったというところでございます。
右下の図が接種からアナフィラキシー発症までの時間を見ているものでございまして、おおむね30分以内に発症しているという状況でございます。
39ページが今回のワクチンの構成成分でございますけれども、有効成分はメッセンジャーRNAで、トジナメランという名称になってございます。添加物としては、先ほど来、アメリカのほうでも言及されておりましたけれども、添加物の2段目のALC-0159という名称のものの中にポリエチレングリコールが含まれているという状況でございます。そのほか、アジュバントについては今回のワクチンでは使用されていないという状況でございます。
ページ番号が明記されていないのですけれども、40ページのアナフィラキシーに対する対応についてというところでございます。ほかのワクチンでもまれにではありますけれどもアナフィラキシーは発症するものでございまして、できるだけ予診時に工夫をしたりとか、発生した場合の早期発見・早期対応、副反応により健康被害が生じてしまった場合の被害救済など、複数の対応により備えることで、対応が可能ではないかということでございます。
特に接種後の観察につきまして適切な対応ができるようにするということが大事かと思っておりまして、その次の41ページ、これもページ番号を振っていないのですけれども、アナフィラキシー発生時に対応するための接種後待機時間についてという資料でございまして、海外におきましてはおおむね15分以上とされております。イギリスでは、接種後は15分以上の観察を行うことが望ましい。アメリカでは、少なくとも15分以上はモニタリングで、一方、これまでにアレルギー反応を起こしたことがある方については、少なくとも30分間は経過を観察とされてございます。EUにつきましては、イギリスと同じ15分以上の観察。WHOでは、既往がある方は30分間、ほか全ての方については15分間という形で整理をされております。
論点でございますけれども、過去にアナフィラキシーを含む重いアレルギー症状を引き起こしたことがある方については、接種後の経過観察を30分間とし、その他の者については少なくとも15分間としてはどうかとしてございます。
その次のページ、これもページ番号を振っていないのですが、42ページになるのですが、血管迷走神経反射でございます。これも、このワクチンだけではなくて、ほかのワクチンでも起こり得るものでございます。
血管迷走神経反射に対する各国の反応につきましては、イギリスでは初回で血管迷走神経反射が現れたとしても、2回目の接種を受けることができるとしております。アメリカでは、血管迷走神経反射はほとんどが15分以内に発生する。一方で、1回目で受けたときに血管迷走神経反射を起こした方であっても、2回目の接種を受けることが可能としております。EUでも起こることがあると。一方で、湿疹によるけがを防ぐための予防措置が大事なのだということが書かれておるところでございます。
論点といたしましては、アナフィラキシーのところで既に皆さん15分程度は経過観察をしましょうとなってございますので、特に血管迷走神経反射について過去に採血等で気分が悪くなったり、失神等を起こしたことがある方については、接種後の経過観察を30分間行うこととしてはどうかとしております。
これによって、基本的には皆さん15分間経過観察をする。過去にアナフィラキシーを含む重いアレルギーを起こしたことがある方については30分間の経過観察を行うということ。また、それとは別に採血等で過去に気分が悪くなったり、失神を起こしたことがある方についても30分間の経過観察を行うことしてはどうか。まとめるとそのような形になるということでございます。
43ページが高齢者や基礎疾患を有する方への接種についてでございます。上段のほうの各国の考え方でございますけれども、アメリカでは、基礎疾患を有する方についても投与できるとしておりまして、WHOでも同じように、基礎疾患を有する患者にはワクチン接種が推奨されるということ。あるいは、高齢者にもワクチン接種が推奨されるということが書かれてございます。
EUにつきましては、ノルウェーで接種後死亡した例が多発したということを踏まえて、それを受けた後の対応といたしましては、EUにおいても虚弱な高齢者を含め、ワクチンに使用方法に関して何か製品の情報を修正する必要はないということでございます。このノルウェーの死亡例を端緒に、現時点での死亡例について報告を評価したところ、65歳以上で接種後に亡くなった事例の多くは、原因としてもともとの既存疾患の進行が最もあり得るのではないかという評価をされているところでございます。
同じように、我が国において2009年の新型インフルエンザワクチン接種のときの対応について少し紹介をしているのが下段でございます。もともとこの接種の開始前に、実施要領におきまして、新型インフルエンザ予防接種の適否を健康状態や体質を勘案して慎重に判断してくださいという規定がなされておりました。
一方で、接種開始後に基礎疾患を有する高齢者等の死亡事例が報告されまして、それらの報告について薬食審の安全対策調査会と新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会において検討を行った上で、枠囲いのような見解が示されております。
すなわち、重度の基礎疾患を有する患者においては、ワクチンの副反応が重大な転帰につながる可能性も完全には否定できないことから、接種時及び接種後の処置について留意する必要がある。実施要領についても、既に慎重に判断するようにと書かれているのだけれども、これを徹底するようにという規定がなされたところでございます。
44ページがそれをまとめたものでございまして、論点のところでございますけれども、基礎疾患を有する方については、罹患した場合の重症化リスクが高いことから、接種の利益は基本的には大きいと考えられるところです。一方で、これは偶発的な要因による場合も含めてですけれども、基礎疾患が悪化する事例が報告される可能性があると考えております。
一方で、高齢者や基礎疾患を有する方については、諸外国でもワクチン接種の有益性がリスクを上回ることを示唆することが報告されておりまして、こうした方々についても接種を提供するべきではないかということでございます。
接種の判断は、本人の同意に基づいて行うことが基本ではあるのですけれども、基礎疾患を有する方でも状態が悪化している場合であるとか全身状態が悪い方につきましては、特に慎重に予防接種の適否を判断する必要があることについて注意喚起をすることとしてはどうかとしてございます。
45ページが、以上の項目を含めた予診票の質問事項についてでございまして、定期の予防接種においても当然予診票には質問項目を作っておるのですけれども、右の論点のところに書かれているように、少し様式の変更を行うこととしてはどうかと考えてございます。
まず1つは、今回は国において標準的な説明書案を作成することとしておりますので、3段目のコロナワクチンの説明書を読んで、効果や副反応などについて理解しましたかということにしております。
また、今回は接種順位をつけて実施しますので、その方が対象かどうかを確認する欄を設けてございます。
接種要注意者に該当するかどうかを確認する項目も作っておりまして、今回、筋肉注射であることを踏まえて、抗凝固療法を受けている方とか、血小板減少症あるいは凝固障害を有する方ではないかということを、御本人にとっても分かりやすいように、血をさらさらにする薬とか、血が止まりにくい病気みたいな形でちゃんと確認ができるようにしてはどうかとしてございます。
その次は、アナフィラキシーがあるということでございまして、従来は皮膚に発疹や蕁麻疹が出たりしたことがありますかとしているのですけれども、端的に、重いアレルギー症状(アナフィラキシーなど)を引き起こしたことがありますかという記載ぶりにしております。
最後、異なるワクチン間との干渉や安全性に関する情報が不足している状況におきまして、先ほどの海外の例を参考にしつつ、他のワクチンとの接種間隔は13日間の間隔を空けることとするために、2週間以内に予防接種を受けましたかということを聞くとしてございます。
次のページは、論点というよりは情報提供の在り方をまとめたものでございまして、当然、皆さんがちゃんと十分な情報を基に自分自身で接種するかの判断が行えるように、情報提供を行っていきたいと考えてございます。
接種を受ける方向けにつきましては、ここの表の左上にあるようなホームページ、SNSなども使いながら、情報提供していきたいと思っております。
当然、打つ側、実施主体である自治体、医療機関等につきましても、ちゃんと情報発信をしていかなければいけないと思っておりまして、説明会の場であるとか、通知事務連絡、ホームページなどにおいてワクチンの取扱いや接種に関する注意事項等についても情報提供していきたいと考えてございます。
最後でございますけれども、副反応疑い報告につきましてです。
今回、予防接種法上の臨時接種として新型コロナワクチンの接種を行うことになりますので、法律上の副反応疑い報告制度が適用されることになります。そのほか、定期の予防接種でも行っておりますけれども、予防接種後の健康状況調査も形を変えて、より幅広い対象者に実施することとしてございます。
また、今回は先行接種者の健康調査、先行的に受ける方に対する健康状況のフォローアップを実施するとしております。
評価体制も通常の予防接種と同じように副反応合同部会で検討するのですけれども、通常よりも高頻度で実施をしていきたい。必要があれば、緊急時にも開催したいと開催したいと考えてございます。
次のページ、これも前回の分科会で御説明しておりますけれども、副反応疑い報告制度における報告と評価の流れでございまして、こういった流れに沿って副反応疑いの集計・評価を行っていって、必要な措置を取っていきたいということでございます。
その次のページが副反応疑い報告以外に実施する調査でございまして、先ほど御説明しました先行接種者先行調査が左側の赤っぽいグループのほうです。もう一点が、一番右のオレンジっぽい部分ですけれども、接種後健康状況調査というものも行いたいと考えておりまして、これは通常のワクチンよりも規模を拡大して、ワクチン1回接種当たり50万人程度を抽出して、調査を実施したいと思っております。
そのほか、企業が薬機法との関係で行うことになります製造販売後調査も行われるということでございます。
51ページが副反応疑い報告基準についてですけれども、副反応につきましては、副反応検討部会で審議が行われておりまして、新型コロナワクチンの報告基準につきましても、同部会で検討することとしているところでございます。具体的には一番下の赤い枠のところでございますけれども、収集に当たり、どのような症状を類型化し、定めるのかについて整理すること。副反応疑い報告基準に定める症状における、接種後に症状が発生するまでの期間の設定について、副反応検討部会で審議をいただいて、整理をするということとしてはどうかとしているところでございます。
長くなってしまいましたが、説明は以上でございます。
○脇田分科会長 詳細な御説明、ありがとうございました。
今日は、今、説明のあった論点がマル1からマル7までございましたけれども、新型コロナワクチンの接種に向けて、近々承認があるということですが、承認された場合に備えて、今回の分科会では論点を整理するということだと承知しております。なので、今、事務局から提示されました説明、論点について御意見を広く伺うということだと思います。
一方で、時間が限られていますので、少し順番に整理しながら御意見を伺っていきたいと思います。
まず、マル1の使用するワクチン、それから実施期間についてのところで御意見を伺いたいと思います。
最初の使用するワクチンというのは、承認予定のものがファイザー社のものであり、実施期間は1年を想定しているということ。まずはこの点から御意見、御質問をいただければと思います。
どうぞ御発言ください。
○福島委員 大阪市立大学の福島です。
詳細な御説明、どうもありがとうございました。大変よく分かりました。
スライド16枚目の論点マル2なのですけれども、実施期間というのが、臨時接種として無料で打てる期間ということかと理解していますが、それでよろしいでしょうか。
○脇田分科会長 回答いただく前に、そのほか御質問はございますか。
坂元先生、どうぞ。
○坂元委員 いわゆる接種期間と、今回、接種対象者、例えば高齢者は年度で採用するので、そこの整合性です。例えば年度でいけても接種期間がその前に終わってしまう場合は、その辺の通知等をしっかり行ってほしいということです。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほかはいかがでしょうか。
どうぞ。
○信澤委員 接種するワクチンの種類のことなのですが、現時点ではもちろんファイザー社しかないと思いますが、当初、3種類いずれかを選べるという話もあったと思うのですけれども、これからどんどん輸入がされてきて3種類そろってきた場合に、どの地域はこのワクチンというようにこちらから決めてしまわれるのか、やはり選べるという状況になるのか、まだ決まっていないのかもしれませんけれども、もし決まっているようでしたらお知らせいただければと思います。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
では、その3点を事務局からお願いします。
○川瀬室長補佐 最初の、今回の実施期間おおむね1年間というところが無料で受けられる期間なのかどうかというところですけれども、この実施期間において行うものが、今回の法に基づく臨時接種ということになりますので、御質問のとおり、この期間が無料で受けられる期間とイコールになると考えてございます。
2点目、対象者の方を年度で考えられるものと、今回の期間がおおむね1年間という形で、年度や1年間あるいは2月末までというところが混在するということにつきましては、接種順位を高位に位置づける高齢者の方の考え方は、令和3年度中に65歳になる方という形で設定をしております。その方々は、実施期間における最初のほうに受けられますよということ。
期間については、そのほかの方々も含めて、みんなが受けられる期間として、この場合であれば、仮に2月中旬に始まれば令和4年2月28日までという設定でございますので、必ずしも年度という考え方と期間という考え方が連動しているわけではないのですけれども、おっしゃるとおり、いろいろな期間の考え方が並行して出てくることになると思いますので、そこについては周知は徹底していきたいと考えてございます。
もう一つ、ワクチンの種類が複数出てくるとき。当然、ワクチンの承認されたものが1種類でありましたら、このワクチンしかないわけでございますけれども、仮に今後ほかのワクチンも承認されてきた場合なのですが、基本的には地域によってこのワクチンしかないということはあまり想定していなくて、公平に配分するようにしたいと思っております。
一方で、基本的には接種施設ごとにどのワクチンを取り扱っているかというのはすみ分けをしてもらいたいなと考えておりますので、そういったところとかで、なるべく紛れがないようにということはやっていきたいと思いますし、接種済証においても、どのワクチンを打ったかということは記載をすることになりますので、そういったところで御自身でも分かるようにするということは大事かなと思っております。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほか、マル1の使用するワクチン、マル2の実施期間についていかがですか。また戻りますから、いろいろ論点がありますので、次に進みます。
17ページを見ていただきますと、論点マル3が対象者、マル4が予防接種不適当・要注意者、そしてマル5が公的関与の取扱いということで、それぞれ論点が19ページ、24ページ、32ページとなっていますから、いろいろ飛んで申し訳ないのですけれども、19ページのところは、対象者として薬事承認上の適用の対象となる者にするということ。
それから、24ページのほうでマル4-1からマル4-3までありますので、ここを見ていただく。
あとは、32ページもマル5-1からマル5-3まであります。
ここのところは、かなり御意見があるところかなと思いますので、委員の先生方から御意見をいただければと思います。
池田委員、どうぞ。
○池田委員 マル5-3に関してよろしいでしょうか。
こちらの論点で示されているのは、若年層についても努力義務の適用は除外しないということでございますが、本件につきましては、私の意見としては努力義務の適用から除外してよいのではないかと考えます。
その根拠でございますけれども、1つ目は、先ほど28ページで重症化率が年代ごとに示されておりましたが、30代、40代は重症化率が比較的高くないということがございます。
2点目でございますが、先ほどファイザー社の副作用の御説明のときに、55歳以上に比べて、55歳以下か未満か分からないのですが、若年層のほうが副作用の発生率が若干高いという御説明がございました。
3点目でございますが、他国、既に日本よりも先駆けてワクチンを接種しております国を見ましても、例えばイギリスであれば、フェーズIの段階での優先順位のリストを確認しましたところ、50歳以上の方までが対象となっておりまして、順次5歳ずつ年齢を下げていっているのですが、現状50歳以上が優先順位として決まっておりまして、それ以降は今後また検討ということになっております。
フランスにおきましても、もちろん基礎疾患のある方などは別ですが、50歳以上の方が現状のフェーズIの優先順位リストの中に含まれておりまして、その他の人は今後、優先順位を検討ということになっております。
ワクチンを先行して実施している他国におきましても、50歳以上が接種順位として決められているというところもございますので、我が国におきましても今後のワクチンの供給状況も踏まえ、そこが供給不足になる可能性も不確定でございますし、なおかつ若年層に対する科学的なエビデンスが今後蓄積することを待って、改めて努力義務の適用について議論してはどうかということで、現時点では積極的に進めるといいますか、努力義務の対象とすることを支持するようなエビデンスは極めて乏しいと考えております。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
池田先生、その場合に、努力義務を外す若年層というのはここに書かれている16歳以上40歳未満を想定されていますか。
○池田委員 そうですね。他国では50歳としておりますけれども、先ほどの28ページの重症化率のデータを見ますと、40歳で区切るのも一つの考えかと思います。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
坂元先生、どうぞ。
○坂元委員 今回はファイザー社のワクチンですが、今後ほかのワクチンが出たときに、今、16歳以上というところが、場合によるとほかのワクチンだと18歳以上とか。市町村としては混乱が起きないような態勢は取りたいと思いますが、これは薬事承認との関係もあるとは思いますが、市場に複数のワクチンが出たときに、年齢に関しての情報は速やかに開示していただきたいということをお願いいたしたいと思います。
○脇田分科会長 釜萢委員、どうぞ。
○釜萢委員 まだ薬事承認が決まっていないので、あくまでも現時点における推測ですが、外国においては、アストラゼネカ社のワクチンの接種の適用の年齢が、65歳以上が入らないような選択をしているところもあると聞いていまして、その場合に、アストラゼネカ社のワクチンが我が国に入ってきた場合に、今の池田先生のお話のような形のものとの整合性をどのように考えたらよいかということが気になりましたので発言をいたしました。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほか、いかがですか。
では順番に、森尾委員と福島委員。
○森尾委員 高齢者についてですけれども、判断に迷われる方が多いかなと思います。その点で、年齢として65歳とか75歳とか85歳とかという区切りであるのですけれども、できれば65歳以上、75歳以上、85歳以上というデータがうまく示せれば、副反応とかの判断の基準になるかなと思います。それが1点目です。
2点目は若年者のことですけれども、恐らく集団予防の観点からということが中心の接種の努力義務かと思いました。これに関しても16~40歳というところ、先ほどのデータは16~55歳、55歳以上というところなので、いろいろな説明をするときに、16~40歳でどうなんだということが重要だと思いますし、これから行っていく中で、医療従事者等を含めてここら辺の年齢層のデータを出していくことが重要かなと思いました。この点について、コメントです。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
福島委員、お願いいたします。
○福島委員 ありがとうございます。
今まさに言われたことと関係しているのですけれども、そもそも論を申し上げるかもしれませんが、スライドの31と32を並列に御覧いただきながら、私の意見を聞いていただきたいと思います。31ページには定期のA類等も並列されておりますが、今まで厚生労働省から公表されてきたスライドによる定期の予防接種の考え方では、A類は集団予防に重きを置いていますので、努力義務はありますし、そのために接種勧奨を行いますというトーンだったと思うのです。それだけ重要なワクチンだから、皆さん考えてくださいねと。そのために市町村から個人宛てのお知らせ、すなわち接種勧奨が行きますよと。
今回のコロナに関しては、最初に接種勧奨が来ていて、これは接種券を送りますということかと思うのですけれども、その後に、努力義務を課すかどうか考えるというトーンになってしまっていると思うのです。
私の考えとしては、これだけ社会的な影響が甚大な疾患に対して、有効性と安全性が治験で確認されたワクチンができたので、皆さんに考えていただきたいワクチンということで努力義務はありますと。その接種勧奨も行うのだけれども、優先順位はつけていきますという考え方が合理的かなと思ったのです。その辺りの整理について聞かせていただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
○脇田分科会長 では、そこはまた伺います。
鈴木先生、どうぞ。
○鈴木委員 今、福島委員がおっしゃったことにも関連しますけれども、この臨時接種、蔓延予防上緊急の必要性があるという前提の上で努力義務が課されると理解するのであれば、16~40歳は現状において流行拡大のドライビングフォースになっているということを考えると、この対象者に対してどのタイミングから実際に打てるかどうかというのは供給量との兼ね合いもあると思いますが、まさにこの対象集団について努力義務を課さないというのはあり得ない選択肢ではないかと私は考えています。
以上です。
○脇田分科会長 では、ここで区切りますから、同じ関連であればどうぞ。
○池田委員 最初に発言した者ですが、努力義務を将来的に課すことは、私はこのワクチンの有効性や今後の感染の状況やワクチンの供給によっては、若年者の方にもぜひ受けていただきたいし、そのようにすべきですけれども、優先順位をこの分科会では決められないわけで、政府のほうで優先順位は決まっていて、その中で濃淡をつけるとしたら、努力義務を順次出していく。今はこの方々です、次はこの方々ですということをここで提案する以外に方法がないので、そのように申し上げた。
もし、政府の分科会のほうで、各国のように年齢ごとにきめ細かく5歳刻みで、次はこの方、次はこの方というのが示せるのであれば、努力義務は一律にかけてもいいと思いますけれども、とにかく優先順位を決めていく、要するに限られた資源をどのように効率的に配分し、多くの方を救っていくのかという順序立てをどこかでしないといけないので、どこかの分科会で優先順位がエビデンスに基づいてきちんとつけられるのであれば、努力義務は一斉にかけてもいいですけれども、そのようなメッセージがない限りは、濃淡をつける必要性があると考えます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
今、最初に池田委員に御発言いただいた若年層に関する努力義務の論点のところで、何名かの先生から御意見をいただきましたし、そのほかにも、その他の製剤が出てきた場合に内容を示してほしいということとかがございました。
その点について、事務局のほうから何かございますか。
○林予防接種室長 ありがとうございます。
まず、幾つか御質問にお答えしていこうと思います。
事実から申し上げると、優先順位については内閣官房のコロナ感染症分科会のほうで検討がされております。この資料でいうと64ページにありますように、高齢者を先に、そしてその後、基礎疾患を有する方であるとか、次の年齢の方であるとか、その後についても、供給量等によって順次あるいは段階的に行う場合もあると思いますけれども、そういった優先順位をつけていくということになっております。
その考え方の基礎となっているのはその方々の重症化のリスクや感染のリスクで、重症者、死亡者をできるだけ減らすという観点から順次接種をしていくということになっておりますので、まさに今日、何人かの先生がおっしゃってくださったような考え方に基づいて行っているということになります。
それは、この分科会の担任事項ではないということでありますけれども、そちらはそちらのほうにかけ持っていらっしゃる先生もいらっしゃいますので、決めていただくということでお願いしたいと思っております。
御質問としては、ほかのワクチンで年齢が違っている場合には、その辺はしっかり周知をしていかないといけないと思いますし、その中で一番たくさんの人が接種できるようにするためには、予防接種法上の対象者の幅は一番広いところに取っておかなくてはいけないということになりますので、今後ほかのワクチンが出てきたときに、またそういったことについても議論の対象になると考えております。
努力義務がなぜかかっているのかということだと思うのですけれども、私どもの御提案させていただいた趣旨は、福島先生の御意見に極めて近いところでございまして、31ページの資料の御参照がありましたけれども、定期接種において、A類では接種勧奨あり、努力義務ありとなっています。また、臨時接種については、疾病の蔓延予防上緊急の必要があるという趣旨で接種勧奨と努力義務があるということが原則となっております。
今回のワクチンについて、集団予防効果があるかどうかということまではまだ十分に分からないということはあるものの、鈴木先生から御指摘のあったように、20代、30代を含めて非常に感染者の数が多いことであるとか、そういった方々の中でも重症化される方がいらっしゃることとか、そういった方々で感染が広がることが社会的に非常に大きな影響を与えており、また医療提供体制にも大きな影響を与えていることであるとか、そういったことを総合的に考えると、接種順位として高齢者よりも早いということではないわけですけれども、そういった方々の接種が社会的に重要ではないということにはなりにくいのではないかと現時点では予想しております。
諸外国でも、今はワクチンとの供給量との関係で上のほうからやっているわけですけれども、そういったところで、接種が途中で止まるということになるのかどうか。そういったことはしっかり見ていく必要があると思いますけれども、若い人に接種しないという議論にはあまりなっていないようにもお見受けしております。
そういう中で、ただ、まだエビデンスが十分ではないのではないかという御指摘にも配慮させていただいて、32ページにありますように、現時点で、本則としては努力義務の適用がなされるものなので、除外しないということを御提案しておりますけれども、40歳未満の方で基礎疾患のある方ではない方とか、医療従事者ではない方というところに広く接種が始まる時期までの間には、またこういった場で御議論いただいて、そのときに、やはり努力義務は外すべきなのかということを検討する機会はあると思いますし、そのときまでの科学的知見を見るチャンスはあると思いますけれども、基本的な考え方としては何人かの先生におっしゃっていただいたように、この臨時接種の趣旨を考えると、努力義務を外すというところまでのものではないのではないかと御提案をしている次第でございます。
○脇田分科会長 あと、森尾先生から、高齢者の年齢はもう少し10歳刻み等の考え方があろうかというところがあったと思います。
○林予防接種室長 利用できるデータについては、できるだけお示しするという考え方ですけれども、副反応のデータについては55歳のところで刻んだデータの提供を受けていますので、現時点ではそれ以上の細かいものは持ち合わせていないところです。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
あとは、マル5-2で、努力義務を外す対象としては妊娠中の方というところがございますけれども、こちらも授乳中の方は外さないということで、これはよろしいですか。ここら辺で御意見があれば。
さらに、今のマル3からマル5までのところ、また戻りますから、あれば言っていただいて、先に進ませていただきます。
坂元委員、どうぞ。
○坂元委員 年齢をある程度小刻みに定めるというのは、現場の市町村としては予約とかいうときに結構煩雑になってしまうということもありますので、現場としてはあまりがちがちにつくっていただかないほうがやりやすいということも考慮していただきたいとお願いします。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
伊藤委員、どうぞ。
○伊藤(澄)委員 23ページの定期接種での取扱いのところで、定期接種に一律の問題だと言われると、そうですかと言うしかないのですけれども、接種要注意者が予防接種で接種後2日以内に発熱の見られた者と書かれているのですが、このワクチンは1回目の接種から発熱の頻度が高いのではないかと思われるのですが、1回目で発熱をされた人は2回目はどうするのかという議論になるのではないかと懸念しておりまして、この点についてはどういう考え方なのかを教えていただきたいと思います。
○脇田分科会長 その点、事務局からお願いできますか。
○林予防接種室長 ありがとうございます。
これは接種要注意者でありますので、接種をできないということではないので、この方々の状況を把握していただいて、ある意味、程度の問題ということかも分かりませんけれども、著しい副反応があった方であるかどうかということを確認していただいて、接種をするということなのかなと思っております。
普通の予防接種でもそのような運用が恐らく行われていて、比較的頻繁な副反応についてはよくあるものとして次の接種が行われ、非常に重い症状が出た者については、必ずしも次の接種を行わないという運用が通常の予防接種でも行われているのではないかと考えております。
○脇田分科会長 佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 ありがとうございます。
マル4の接種不適当者・接種要注意者についてです。
添付文書を見ますと、9.1.7で上記に掲げる者のほか、「一般状態の悪い者」とありますが、これはどのように反映されるのか、現時点でお考えがあれば教えてください。
○脇田分科会長 事務局、お願いします。
○川瀬室長補佐 ちょっとページが飛んでしまうところでもあるのですけれども、44ページを御覧いただけますでしょうか。論点という赤枠の一番下のところに、基礎疾患の状態が悪化している場合や全身状態が悪い者等については、特に慎重に接種の適否を判断する必要があるという注意喚起をまずさせていただくということと、あとは今、見ていただいている23ページの接種要注意者のリストの中で、まだ書きぶりはこれからだと思いますけれども、例えば基礎疾患を有する者の次に、先ほどの書き方のように全身状態が悪い方とかを入れるということは考えられるかなとは思っております。
○脇田分科会長 どうぞ。
○佐藤委員 施設での接種も検討されているところでもあり、現場でイメージが湧くような、例えば海外の事例なども含めて、何かイメージをお持ちなのであれば、「例えば」というような表記をすることも可能だと思いますので、どこに記載するかは分かりませんけれども、現場の方々がイメージがつくような表記を御検討いただければと思います。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
リモートの白井先生、どうぞ。
○白井委員 接種不適当者のところなのですけれども、要注意者になると思うのですが、今日は熱がなかったけれども昨日まであったとか、1週間前まであったとか、発熱だけではないですが、体調不良がいつまでに収まったら接種してもいいですよねというのは現場でよく聞かれていることなので、そのような想定が添付文書に入るのか、逆にQAぐらいで示されるのかということは、目安を示していただきたいなと思っています。
急性感染症からどれだけ空けたらいいのかというのが、大体1週間だったりということがよく定期接種の場合ではあるのですけれども、その辺は御配慮いただけますでしょうか。この点を質問させていただきます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
事務局、その点はいいですか。
○林予防接種室長 ふだん、どの程度の運用がなされているかということも勉強させていただいた上で、できるものかどうか考えてみたいと思います。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほか。
釜萢委員、どうぞ。
○釜萢委員 一言触れておきたいと思いますが、妊娠中の方に対する接種、授乳中の方に対する接種です。授乳中については希望者に対する接種は可能であろうと思うのですけれども、妊娠中の方の接種については、これまではきちんと治験の結果を踏まえた接種を行ってきたと認識しています。
今回は、妊娠中の方に対する治験は行われていないけれども、妊娠中の方も含めて海外の接種経験が蓄積されて、安全に接種できるという情報も踏まえての判断だろうと思います。一方で、学会からの指摘によると、妊娠12週までは接種を避け、あるいは十分母児管理ができるところで、なるべく接種前後で胎児心拍の確認が望ましいということもあります。妊娠中の接種については、その辺りの留意事項というか注意点があるということを、もう一度この会でも指摘をしておきたいと思います。
発言させていただきました。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
そのほか、いかがですか。
それでは、取りあえず先に進みましょう。33ページ、マル6-1から5までございます。接種方法に関するその他の事項ということで、接種間隔、既感染者への接種、アナフィラキシー、血管迷走神経反射もありました。高齢者・基礎疾患を有する者への接種、あとはマル7の副反応疑い報告。マル6とマル7について御意見をさらに伺っていきたいと思いますが、いかがでしょうか。
坂元委員、どうぞ。
○坂元委員 接種間隔につきましては、この添付文書を見ますと3週間後に速やかにという記載があります。現場としては、この速やかにということはかなり困るのではないか。何をもって速やかにということが1つで、例えばこれぐらいまでのデータがありますよというならば、市町村としましては、これぐらいまでのデータはありますけれども、それ以上はありませんという形のほうが説明もできるということで、その辺をはっきりさせていただきたいということ。
あと、文字としては20日空けるとか18日とか、そういう言葉。添付文書は3週間となっていますので、その辺の記述の仕方は、混乱が起きないように、週にするのか日にするのかを工夫していただければと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
さらに御意見があれば先に伺いたいと思いますが、どうでしょうか。
伊藤委員、どうぞ。
○伊藤(澄)委員 細かいところなのですけれども、予診票の中で、現在、何かの病気の中に血をさらさらにする薬という表現があるのですが、臨床の現場では抗血小板薬と抗凝固薬が両方入っている概念なので、もちろんここでは抗凝固薬を対象にしていると思ってはいますが、抗血小板薬は関係がないということの注意書きを入れておいていただかないと、例えばアスピリンとかクロピドグレル等を飲まれている方は、自分が該当すると誤解されるのではないかという懸念があるので、お伝えさせていただきたいと思います。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
よければ、事務局のほうから今の2名の先生の御指摘はいかがでしょうか。
○林予防接種室長 まず1つ目に接種間隔なのですけれども、上限を何か切ってしまって、それ以降は接種できないというようにすることはいろいろデメリットがあるし、かえって迷惑をかけるように思っておりますので、そういう意味からも、上限を数字で定めるということよりも、3週間超えて接種できていないということに気づいたら、できるだけ速やかに接種をしていただくということが一番運用しやすいのではないかと考えております。
何週間空けて接種しても抗体がつくかとか、そういったことがこれから恐らくいろいろなデータが出てくると思いますし、そういったことをまた情報提供できればと思っておりますけれども、現時点において、これ以上たったら接種してはいけないというようなことが言われているわけではないと考えておりますので、このような形で提案させていただいております。
それから、日か週かということなのですけれども、予防接種法の法令通知上、これまで間の日数を書くということで、3週間後に接種するということについては、20日の間隔を置いてと書くという慣習がございますので、業界でといいますか、予防接種行政に携わる方の中では20日の間隔を置いてという形が一般的な書き方になりますけれども、恐らく一般の方にあまり普及している表現ではないと思いますので、3週間後に接種をするというような形で周知をしていく必要があると考えておりまして、例えば予診票の次に置かせていただいているお配りするための説明書などでは、20日の間隔を置いてというところにこだわらずに3週間の間隔でとか、あるいは3週間後にと書いたほうがよければそうしますけれども、そういった形で周知をしていくのが一般的かなと思っております。
○脇田分科会長 血小板のほうもいいですか。
○林予防接種室長 血小板について、よりよい表現があればと思うのですけれども、誤解がないように、周知をするような工夫を考えていこうと思います。
○脇田分科会長 まず、リモートの川俣先生、お願いします。
○川俣委員 お願いします。
現場に携わる市町村からすると、予診票とか、ある程度のものをつくっていただけると、問診のとかの時間が削減できるかなと思うのです。そういうものをお示ししていただけたりすると、基礎疾患の書き方、血圧が高めですとかいう書き方がいいのか、具体的に幾つですと書き入れたほうがいいのか、細かいのですが、そういうことを統一していただけると、現場ではやりやすいのかなと思うことがあります。
また、そこで病名が分からない方々もいらっしゃるので、どんな症状かというのも書いていただけるといいのかなと思うので、その辺について皆さんからの御意見を聞きたいなと思っています。
また、副反応のことですが、医療従事者が先に受けますよね。そういうときの例みたいなもの、微熱が出ましたというようなことが、症状が軽いことでも何例と出てしまうと一般の方々が動揺してしまうので、その辺の具体的な報告の仕方というか広報の仕方を丁寧にしていただけるとありがたいなと思うので、その辺はどうでしょうか。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
川俣先生、予診票ではなくて問診票ということですか。
そういうことですけれども、委員の先生方に御意見を聞きたいというお話がありましたが、いかがですか。何かございますか。
事務局からあれば。
○林予防接種室長 まず、御質問にお答えさせていただきます。予診票については、会場では机上配付させていただいておりますけれども、現在、案を作成しておりまして、薬事承認がなされて、この分科会でもし予防接種法上の接種がなされるということに決まれば、速やかにお示しをする方向で準備をさせていただいております。もうしばらくお待ちください。
その中には、病名について記載するような欄は設けております。そこに自由記載欄ということで枠を取っておりますので、迷えばそこに何か別のことを書いていただくことはできる形だと思いますけれども、また御専門の先生や現場の先生の御意見も踏まえてと思っております。
副反応については、今やろうとしていることは承認が終われば2月の中旬から先行接種健康状況調査ということで、医療従事者の方々の接種をしながら調査をしていく予定にしておりまして、その中で熱が出た方が何%いるといったような情報を出していくことになります。
正確な情報を隠さず出すということと、それを安心して接種していただくということのバランスを取ることが大変難しい仕事だと思いますけれども、できるだけ丁寧に情報提供していきたいと思っております。
○脇田分科会長 川俣先生、こちらには机上配付で予診票の案が配られていますけれども、そちらでは見られないかなというところです。
○川俣委員 恐らく入っていないのですね。
○脇田分科会長 そうですね。
そうしましたら、池田先生、どうぞ。
○池田委員 予診票に関しまして、細かいことで恐縮です。
接種順位の上位の対象グループは、現状、60~64歳の者は上位に位置づける者ではないという理解でいいですか。それであればこのチェック項目はなくてもいいのですけれども、それがどうなのかなと思いました。
また、もしかしたら私も接種をするほうの立場に回るかもしれないのですが、最終的に医師が接種をする、しないの判断をするときに、医療従事者等の等とは一体何が入っているのかということです。この方は駄目というのをどのように判断するのかというのが、今日配付していただいた机上資料の一番最後のものにも、どういう方が含まれるかの例示はありますが、それ以外の方でも打ったほうがいいのか。例えば臨床実習をしている医学生であるとか、様々に白黒迷うところが非常にございますので、そこは最終的な判断をする医師がきちんと分かるような、あるいはこれにチェックをつける方が分かるような具体的な基準。例えばこちらの市町村では打てたけれどもこちらでは打てないとか、そういうことがないように、ぜひそこははっきり示していただくことをお願いしたいと思います。
質問については、60~64歳の者というのは、今のところ上位グループにはないという理解でよろしいですか。
○脇田分科会長 お願いします。
○林予防接種室長 まず、医療従事者等のほうですけれども、医療従事者等に該当するかどうかを現場で判断していただく機会はあまりなくて、医療従事者等の接種については、職場で名簿を作っていただいて、クーポンのついた特別な予診票を配っていただくという形になりますので、そのときにチェックをつけていただくような形になります。
医療従事者等の対象の範囲はホームページ等でも周知をさせていただきますし、その中では、職場を通じて御案内するということを明記させていただいております。
60~64歳のところについては、今の検討ではワクチンの供給量等によっては優先する可能性があるということになっていますので、確かに枠を作っておかないと、後から作りにくいということもありますので、御指摘を踏まえて検討させていただきたいと思います。
○脇田分科会長 では、佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 ありがとうございます。
説明書のところに、一般的な間隔に照らして3週間とお書きになるということなのですけれども、受け止め方からすると、3週間と表記した場合、2週と4週が誤差の範囲という感じがします。特に60代だと、まだ現役で働いているなどで、曜日で動いていらっしゃるケースも多い。4週間後は誤差の範囲なのかどうなのか、という感じがします。その点について、科学的な根拠があるのか、ないのかみたいな話になるのかもしれませんが、お考えをお聞かせください。
○脇田分科会長 そのほか、御意見はいかがですか。
では、福島先生と中山先生。
○福島委員 ありがとうございます。
予診票に話が移ったこともあり、細かいことで恐縮なのですけれども、医師記入欄というのが下から3分の1ぐらいにありますが、その下段、被接種者は6歳未満になっていますけれども、16歳の間違いですか。この点が1点。
上の治療内容の血をさらさらにする薬というのは、さっきどなたかの先生も言われましたけれども、例えば胃内視鏡の問診等とかでこのような聞き方をしていまして、バイアスピリンとかは漏れなく引っかかってきますので、それは該当しないということが御本人は分かりにくいと思います。お薬名を書いていただいて、医師がちゃんと判断して、この人は血をさらさらにするお薬を飲んでいるけれども大丈夫ですよというふうに御本人に言えるようにする工夫が必要だと思います。そうでないと現場で、この患者さんは抗血小板薬を飲んでいるから3日前から止めないといけないとか、そういうことにもつながりかねないと思いました。
以上、2点です。
○脇田分科会長 まず、中山先生、お願いします。
○中山委員 副反応のことでもいいですか。
○脇田分科会長 どうぞ。
○中山委員 この場合の副反応で、被害救済のことについて伺いたいのですけれども、現在、普通の定期接種は疾病・障害認定審査会のほうで審議をして決めていると思うのですが、通常の定期接種と同じように、その疾病・障害認定審査会で使って判断することになるのかということ。
そうだとすると、副反応疑い報告である程度事例が集積されて、これが本当にワクチンの接種と因果関係が考えられるのかどうかというようにある程度事例が集積されないと審査会のほうもなかなか判断が難しいのかなと思うのですが、そうすると、そこはある程度救済までに時間がかかってしまうということは考えておいたほうがよろしいのでしょうか。その辺のイメージを伺いたいと思いました。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
坂元委員、お願いします。
○坂元委員 先ほど3週間以上で、上限の数値は設けないというのは市町村としては非常にありがたい、非常に運用しやすいと思うのですが、先ほど釜萢先生と話したのですが、予約の際に、最初から3週間後に来られないという人は予約上は3週間以上は駄目だとして、万が一都合が悪くなってしまって4週間目に来たとか、その辺は弾力的に運用するのかということです。細かいことなのですけれども、現実に、予約を1回目取って、2回目取るという段階になると、そこら辺が結構厄介な話になるかもしれないと思います。これは国のほうとしても明確にこうだとはお答えできない、そこら辺は市町村の判断で行っても構わないという理解でよろしいでしょうか。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
今、佐藤委員、坂元委員からあった3週間問題、それから問診票のお話と、副反応の認定のところです。
事務局からお願いします。
○林予防接種室長 まとめてお答えしようと思います。
3週間がどこまで大丈夫なのかということについて、もちろん何らか細かいエビデンスがあるというわけではない状態なわけですけれども、とはいえ、21日だったらいいけれども、28日だったら駄目というような、そこまで厳格にやるべきだというような生物学的な根拠があるということだとも思いませんので、まさに現場の運用の中で、そこまで厳格にならないようなことでよいと思います。
もちろん巡回接種で3週間後に接種日を設けられる市町村もおありでしょうし、比較的おおらかに予約を取ってやられる市町村もおありでしょうし、そういう中で、できるだけ速やかに接種をしていただくということで運用されるものかなと思っております。
それから、6歳未満という記述なのですけれども、これは何のために載っているかというと、将来仮に接種の対象者が広がっていったときに、診療報酬に準拠した形で接種の委託費用をこれで支払う形にしておりますので、6歳未満の方だけ加算で報酬費額が違っているというのが原因です。今の時点で使う必要のないチェック欄なのですけれども、将来、できるだけ予診票の様式は変えないでほしいという御要請もありますので、そういうときに備えてこういう枠を作っているということでございます。
抗凝固薬と抗血小板薬については、確かにここの中にその解説を書くのは難しいのですけれども、趣旨をちゃんと医師向けに示すといった御示唆でございましたので、検討させていただきたいと思います。
被害救済については、この審議会とは異なる疾病・障害認定審査会で審査をしていただくことになります。そちらの審議会でもお世話になっている先生方には御礼を申し上げます。
ある程度事例が集積することによって、因果関係が分かってくるというようなタイプの疾病もあると思いますので、もともと審査で実際に結論が出るまでには数か月から1年ぐらいお時間をいただいているものが多いですけれども、そういった時間の中で、可能な限りの科学的知見を集めた上で審査に着手していただくことになっていくと思います。
以上です。
○脇田分科会長 釜萢委員、どうぞ。
○釜萢委員 まず、予診票につきまして、先ほどもお話が出ましたけれども、予診の段階で内服薬を確認して、それの適否を判定するというのはとても無理です。そのために、この予診票に書いてある病気にかかっている場合には、その病気を診てもらっている医師に、今日の予防接種を受けてよいとい言われたかどうかが非常に大事でありまして、ここがよいとなっていれば、予診の段階はもうフリーパスにせざるを得ないと思います。それが1点です。
それから、副反応の件ですけれども、現状では、予防接種後の副反応は、いずれにしろきちんと一元的にPMDAに一括して報告をするということになっていて、そのことのポンチ絵も出ていますけれど、実際には、医療現場で副反応、健康被害に関わる問題が生じたかもしれないという場合には、まずその対応に追われます。そして、もし入院が必要であるとすれば、すぐに搬送等の手配をすることで医療現場はもう手いっぱいになります。
その場合に、その後の処理で、なるべく早く副反応報告を上げなければならないのですが、ここは実施主体である市町村の支援がぜひ必要で、これは今までもそのようにやっていただいていますけれども、市町村にきちんと情報を伝えて、市町村と連携してやるということが極めて大事で、市町村が全然情報を持っておられないで突然報告なんていうことはあり得ないものですから、そこのところは、現場ではある程度分かっておりますけれども、市町村との連携というところを改めてここで指摘したいと思います。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
白井先生、何かあればお願いします。
○白井委員 白井です。お時間をいただいてすみません。
接種間隔の間に体調不良があったようなときに1週間様子を見ましょうなどと言ってしまうとかなり延びてしまいますので、坂元先生のご質問の接種間隔というか2回目の接種を速やかにというところにも関わってくるのではないかと思ったので、その辺をどのように考えるか。
また、副反応と紛れ込みのほかの疾患をどのように考えて対応するかということも、現場では接種をするときに、ちょっとやめておいてという話になってしまうのか、その辺を丁寧に想定してQAなんかを作っていただきたいなと思いましたので、発言させていただきます。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
信澤委員。
○信澤委員 年齢のことなのですけれども、先ほどの16歳以上という区切りがありますが、基礎疾患のある人で16歳未満の場合には優先的に受けられるのかということと、先走ったことかもしれませんが、今、変異株が国内でも流行し始めていて、海外の情報では年少者が結構変異株に感染しやすくなっている状況だという情報もありますので、国内でもしかすると年少者がむしろワクチンを接種する対象として優先するべきではないかという状況が起きる可能性もあると思うのです。
ですので、今の時点ではいいですけれども、そうなってから考えるのでは遅いので、その点も考慮して、今後変更する必要があるかも検討しておいていただければと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
今、釜萢先生からのところで、もし事務局から何かあれば。
○林予防接種室長 釜萢先生の御指摘は現場の実態ということですので、受け止めさせていただきたいと思います。
基礎疾患のある方は先に接種できるのかという御質問に関しては、後ろのほうの参考資料で接種順位を示しているとおりでございます。
それから、今後の科学的知見によって優先順位が変わる可能性については、今のコロナ分科会のほうの取りまとめの中でも、そういったものが変われば、またそのときの状況に応じてやるということになっていますので、もしそういうことがあれば、またそれに応じて検討していくことになると思います。
○脇田分科会長 あと、白井先生から御指摘があった接種間隔について、体調不良等々で間が空いてしまったような場合の対応について。
○林予防接種室長 できるだけ現場で柔軟にやっていただくようにということで、あまり強い規制は設けないことがいいのかなとは思っておりますけれども、QA等で疑問に答えてほしいという御指摘だと思いますので、そういったことについては努力をしていきたいと思います。
○脇田分科会長 磯部委員、どうぞ。
○磯部委員 磯部です。
予診票や説明書、新型コロナワクチン予防接種と言うのか、新型コロナワクチン接種と言うのか、用語がいろいろばらばらなのが気になるというところは、これからきちんと精査されるのだろうと思いますが、今さらですが、クーポンと一緒に国民の皆さんに届くのは何なのでしょうかということです。
リーフレットの案というのは、コミナティを接種した方へということなので、接種したその場で配るものなのかなと思うのですけれども、例えばそこにコロナワクチンの詳しい情報についてはというQRコードがあったりして、むしろ接種をする前に心配なことや相談先がどういうところなのかという情報があったほうがいいと思ったのですけれども、それは送り状とかと一緒に各自治体が何かやってくださいということなのか、その点の確認です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
事務局、お願いします。
○林予防接種室長 先ほどのことで意味を取り違えておりました。
小児の基礎疾患の方が優先接種上の順位に入って先に接種できるのかということに関して言うと、接種対象が16歳以上と規定されますので、それより下の方は、基礎疾患があっても現時点で接種対象ではないということになります。
それから、今のクーポンと一緒に届くものは何かということでございますけれども、どうやって接種会場を探すかとか、この優先順位の対象グループに属するのはどういう人かとか、そういう事務的なというか接種における手続についての御案内、市町村の問合せに関する連絡先が中心になると思っておりまして、市町村でつくっていただくためのひな形を既に市町村のほうにお示しさせていただいております。それを参考にしながら、市町村でつくっていただくということになります。
こちらの予診票や説明書については、間に合う市町村では先に送りたいというお声が多いので、できるだけ早くお示しすることで、間に合う場合には送っていただくことも可能ですし、当日、接種会場で配ることもできるということで、そこは地域の実態によるのかなと思っております。
そのほかの資材については、それぞれの対象者に対していろいろなシーンで使っていくという、御指摘のとおりでございます。
○脇田分科会長 大分時間が来ましたけれども、全体を通してでも結構ですので、さらに御意見、御質問等があれば。大体よろしいですか。
これは承認が終わった後にまたありますので、もしあれば、そのときまでに検討しておいていただければと思うのですけれども、今日は委員のほうからも様々な意見が出ましたから、その点は事務局のほうで、いただいた御意見等を踏まえまして、また進めていただければと思います。よろしいですか。
それでは、議事は以上なのですけれども、報告事項は特にはないですか。
今日は長時間にわたりまして、活発な御議論をありがとうございました。
次の日程については、事務局からお願いしたいと思います。
○元村室長補佐 次回の分科会ですが、ワクチンの承認がされた場合、その直後に開催する予定でございます。現在、皆様方に日程調整でお伺いしている日程のいずれかで開催する予定でございますので、よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 微妙なあれですけれども、近々ということでよろしくお願いします。
それでは、第18回予防接種・ワクチン分科会を終了させていただきます。
今日も活発な御議論をどうもありがとうございました。またよろしくお願いいたします。
○林予防接種室長 どうもありがとうございました。
議事の外ですけれども、実際に承認後に開いたときに、出させていただいている原案から大きく変えるということは時間的ないとまが非常にないということになると思いますので、今日、もし言い切れなかった意見とかがおありであれば、先に行っていただいて、もう今すぐ言っていただいて、調整させていただきたいと思っております。
一番最後のアナフィラキシーなどに備えた経過観察の時間といったところまで、今日は御意見が出なかったようですけれども、もし特に御意見がなければ、この形でもう一度提案させていただくことになりますので、よろしくお願いいたします。
○坂元委員 次の予防接種・ワクチン分科会は15日で変更はないのですね。全部ウェブという理解でよろしいのですか。
○林予防接種室長 これは、承認がなされればその後速やかに開催をしたいと思っておりますので、早ければ15日ということになるかも分かりません。
私が入ってくるときに記者さんが張っていたので、どうぞお気をつけください。