令和3年2月15日 第51回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和2年度第11回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)議事録

日時

令和3年2月15日(月) 18:00~19:30

場所

WEB会議(厚生労働省 省議室(9階))

議事

○事務局 お待たせいたしました。ただいまより、第51回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会及び令和2年度第11回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中、ご出席いただき、ありがとうございます。
まず、ウェブ会議を開催するに当たり、既にお送りさせていただいておりますが、会議の進め方についてご連絡させていただきます。
ご発言される場合は、まず名前をおっしゃっていただき、座長から指名されてからご発言をお願いいたします。なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じますが、ご了承願います。
会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、インスタントメッセージまたはあらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
開催に当たりまして、安全対策調査会の委員に改選がありましたのでご報告いたします。
五十嵐委員、望月委員が本年1月をもって退任され、岡委員、石井委員が新たに就任されましたので、ご紹介いたします。
埼玉県立小児医療センター病院長の岡明先生です。
千葉大学医学部附属病院薬剤部長の石井伊都子先生です。
安全対策調査会長であった五十嵐委員の退任に伴い、調査会長を決めさせていただきたいと思います。薬事・食品衛生審議会の規程により、安全対策調査会委員の互選にて選任をお願いしたいと思いますが、委員の方々のご意見をお願いいたします。
○柿崎委員 柿崎ですけれども、発言をよろしいでしょうか。
○事務局 お願いします。
○柿崎委員 小児科医としての臨床のご経験や造詣が深い岡委員にお願いするのがよいのではないかとご推薦いたします。
○事務局 それでは、岡先生、よろしくお願いいたします。
○岡委員 力不足かもしれませんけれども、委員の皆さんに助けていただいて、務めさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○事務局 また、安全対策調査会長代理ですが、規程により安全対策調査会長からご指名いただくこととなっております。岡安全対策調査会長、ご指名をよろしくお願いいたします。
○岡委員 それでは、石井伊都子委員にお願いさせていただければと思います。よろしくお願いします。
○事務局 それでは、石井委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
続きまして、本日の委員の出欠状況についてご報告します
現在、副反応検討部会委員9名のうち9名、安全対策調査会委員6名のうち6名の委員にご出席いただいておりますので、厚生科学審議会及び薬事・食品衛生審議会の規程により、本日の会議は成立したことをご報告します。
なお、全ての委員において、関係企業の役員、職員等でない旨を申告いただいております。
申し訳ありませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、ご協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○事務局 本日の審議の前に、傍聴に関しまして、留意事項を申し上げます。開催案内の「傍聴への留意事項」を必ず守っていただきますようお願いいたします。留意事項に反した場合は、退場していただきます。また、今回、座長及び事務局職員の指示に従わなかった方や会議中に退場となった方については、次回以降の当会議の傍聴は認められませんので、ご留意願います。
本日の座長につきましては、森尾副反応検討部会長にお願いしたいと思います。
それでは、ここからの進行をよろしくお願いいたします。
○森尾委員 森尾です。
それでは、開始させていただきます。
事務局から、審議参加に関する遵守事項につきまして、報告をお願いいたします。
○事務局 審議参加についてご報告いたします。
本日ご出席をされた委員、参考人の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金などの受取り状況について、これまでと同様に申告いただきました。
本日の議題において審議される品目は、新型コロナウイルスワクチンであり、その製造販売業者は、ファイザー株式会社であり、事前に各委員に申告をいただいております。各委員からの申告内容については、事前に配付しておりますので、ご確認いただければと思います。
本日の出席委員の寄附金等の受取り状況から、全ての委員においてファイザー株式会社より50万円を超える受取りはございませんでした。
なお、本日の審議対象ワクチンの製造販売業者ではございませんが、現在開発中の新型コロナウイルスワクチンも含め、関連する製造販売業者からの寄附金・契約金などの受取り状況について各委員より申告いただいておりますので、この場でご報告いたします。
石井委員は第一三共株式会社から50万円を超えて500万円以下の受取り、柿崎委員はMSD株式会社から50万円を超えて500万円以下の受取り、宮川委員は第一三共株式会社及び武田薬品工業株式会社から50万円を超えて500万円以下の受取りがございました。
引き続き、各委員におかれましては、講演料等の受取りについて、通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますようお願いいたします。
以上でございます。
○森尾委員 ありがとうございました。
それでは、次に、事務局のほうから、本日の配付資料の確認をお願いいたします。
○事務局 本日の資料としましては、議事次第、委員名簿、座席表、資料一覧、資料1から4、参考資料1から4になります。
不備等がございましたら、事務局にお申し出ください。
○森尾委員 それでは、まず、資料1「新型コロナワクチンの副反応に係る体制の概要について」、そして続けて資料2「新型コロナワクチンの副反応疑い報告基準の設定について」、事務局のほうから説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。
資料1「新型コロナワクチンの副反応に係る体制の概要について」をお開きください。
2ページ目に、この資料でご説明させていただく議題が載っております。新型コロナワクチンの副反応に対する収集・評価体制について。新型コロナワクチン接種後の副反応を疑う症状に対する対応についてということで、アナフィラキシー等への対応、副反応を疑う症状に対する医療体制についてご説明いたします。
3ページ目をご覧ください。新型コロナワクチンの副反応に対する収集・評価体制ということで、新型コロナワクチンは、予防接種法上の接種(臨時接種)として実施されることとなりました。このため、通常の定期接種と同様の副反応集計評価が行われますが、左側に通常の定期接種ワクチンに対する体制としまして、収集体制として、副反応疑い報告制度、予防接種後健康状況調査、また、評価体制としまして、本合同部会での審議、厚労省、感染研、PMDAでのリアルタイムのモニタリングが記載されております。
今回、新型コロナワクチンの接種実施に当たって、これらの体制強化を行い、収集体制については電子化やSNS等を利用、また、追加で先行接種者の健康状況の調査を行います。
また、評価体制としましては、本合同部会を高頻度に実施するとともに、緊急時に開催することも想定しております。
4ページ目をご覧ください。副反応疑い報告制度における報告と評価の流れになります。
予防接種法において、副反応疑い報告の仕組みが設けられており、国は、接種後に生じる副反応を疑う症状を収集するとともに、これらを厚生科学審議会に報告し、その意見を聴いて、予防接種の安全性に関する情報を提供するなど、接種の適正な実施のために必要な措置を講ずることとなっております。
下に模式図が載っておりまして、今回、新型コロナワクチンについては、通常の定期接種と同じ流れですが、高頻度で合同部会を実施するとともに、必要時には、緊急開催も行います。
5ページ目をご覧ください。副反応疑い報告に加え3つの調査を実施する予定となっておりまして、赤色の先行接種者健康調査、こちらは先行的に接種を受ける被接種者約1万人から2万人程度の医療従事者を想定しておりまして、こちらを迅速に集計し、公表することで、その後の接種対象者に情報提供することとしております。
真ん中の製造販売後調査は、この先行接種者健康調査の参加者のうち、一部を対象としまして、接種後一定期間から本剤接種後12か月までの重篤な有害事象及び新型コロナウイルス感染症の感染に関する調査を行います。こちらは企業がPMDAに調査結果を報告することになっています。
また、もう一つ、接種後健康状況調査を、ワクチン1回接種当たり50万人程度を想定して実施する予定としております。
先行接種者健康調査と接種後健康状況調査について詳細をご説明いたします。
○事務局 それでは、資料の6ページ目、先行接種者健康調査の概要についてご説明を申し上げます。
この調査ですけれども、厚生労働科学研究として実施するものでございまして、臨時接種の対象となるワクチンについて先行的に接種する希望者を対象に調査を行うものでございます。その後に続く医療従事者等や高齢者、一般の方など広く接種を実施する前に、短期的な副反応情報等を収集し、公表することによって、各個人が接種を受けるかどうかの判断を行うための参考情報となると考えております。
調査対象といたしましては、各ワクチンについて1から2万人程度の協力を得ることを目標といたします。
最初に導入される予定のワクチンでは、対象施設は国立病院機構、地域医療機能推進機構、労働者健康安全機構に属する計100の病院といたしまして、その各病院の医療従事者等のうち調査に同意いただいた方を調査の対象といたします。
該当となる方については順次接種を進めまして、参加者が全体として目標程度に達した時点で、新規の登録が停止されます。
調査の流れ図は、下の図に示したようなイメージでございますけれども、この流れの中で成果物として予診票、日誌というものが得られることになります。これらのデータは研究班の事務局に集約された上で解析をされまして、集計結果につきましては定期的に、これは通常よりも高頻度で開催される本部会において報告をされまして、公表されるという想定になっております。
また、定期的な集計データとは別に、予防接種法に基づく副反応疑いへの報告は別途実施をされますので、重大な案件につきましては、速やかに把握できる仕組みとなってございます。
7ページ目に進みたいと思います。接種後健康状況調査の概要についてでございます。
重篤な副反応に関する情報につきましては、副反応疑い報告等既存の仕組みで収集をされるところでございますが、別途頻度の高い一般的な副反応の発生状況を大規模に把握するために、接種後健康状況調査の実施を予定してございます。
本調査では、3種類のワクチンにつきまして、各回接種当たり50万、計約300万の接種分を対象といたしまして、接種後一定期間の症状・疾病に関するアンケートを実施することを想定してございます。各ワクチンを比較的早期に接種した方から健康状況を直接収集することによって、ワクチンの接種に関する国民の安心、安全に資することが期待されます。
調査は、高齢者への接種が開始された時点から始まることを想定しております。
流れは、調査の概要のところに簡便に記載したような流れでございますけれども、あらかじめ調査を実施する接種会場、これは恐らく各都道府県に1から数か所程度を選定いたしまして、その会場に来場された接種者の中から、希望される方が自主的に調査に参加いただくということを考えております。
参加者は、接種日の当日と1週間後、2週間後の計3回の回答をいただくということになります。質問項目のイメージとしては、資料右側に記載しておりますけれども、平易な内容とする予定でございます。データの集計は2週間に1度程度が想定をされまして、直近のデータが本部会に報告されるという想定でございます。
続いて8ページ目でございますが、副反応に関する調査と当面の接種スケジュールとの関連性を図示したものでございます。
まず始まるのは先行接種でございまして、この先行接種を行う方の全員が先行接種者健康調査の対象となります。この対象者の一部につきましては、企業が実施する製造販売後調査としても、引き続き調査が実施されるものと想定しております。先行接種に続きまして、医療従事者の優先接種が行われまして、その先、高齢者向けの優先接種が始まる予定でございます。接種後健康状況調査は、先ほど申し上げましたが、このタイミングから始めることを想定しております。
今申し上げました調査とは別に、医療機関からの副反応疑い報告や企業からの副作用報告につきましては、下の赤いところでございますが、随時、PMDAのほうに寄せられるということでございます。
本合同部会は、通常よりも高頻度での開催が想定されておりまして、さらに、必要があれば緊急的な開催も想定されております。副反応疑い報告や各種調査の中間解析結果等は、本部会に報告されて評価等がなされるということでございます。
次に9ページでございますが、アナフィラキシーの関係でございます。
アナフィラキシーは、薬や食物等が体に入ってから短時間で起きることのあるアレルギー反応でございますけれども、ファイザー社のワクチンについて申し上げますと、接種後に、VAERSというのはアメリカのワクチンの副反応報告システムでございますが、こちらで報告されたアナフィラキシーは今年1月18日の時点で50例でございました。これは100万回あたり5例ということでございます。74%が接種後15分以内、90%が接種後30分以内に発生をしてございまして、80%はアレルギー既往のある方ということでございます。
10ページでございますが、ファイザー社の製品につきまして、アメリカ、イギリス、EUの発表情報をまとめたものでございます。米国につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、当局の評価といたしましては、確認された急性アレルギー反応はまれで、接種のメリットが上回るとされております。原因物質に関しましては、Q&Aのページにおいて、ポリエチレングリコールやポリソルベートに対して重いアレルギー反応を起こしたことがある方への接種は推奨していない、との内容が掲載されております。
英国の発生状況でございますが、2月11日の情報といたしまして、10万回接種当たり1から2件という情報が示されております。当局の評価といたしましては、期待されるベネフィットは既知の副反応をはるかに上回っているとされております。
EUにつきましては、具体的なデータは発表されておりませんが、同様に評価といたしまして、COVID-19予防のベネフィットは全リスクを引き続き上回るという評価がなされております。
続きまして、11ページ目でございますが、ファイザー社のワクチンの構成成分は、表にお示ししているとおりでございます。本製剤では、アジュバントは使用されていないということでございます。
12ページ目でございますが、アナフィラキシーに対する各種の対応につきまして、段階別にまとめたものでございます。まず接種前の段階では、接種前の説明や問診等における注意点を取りまとめて周知することとしております。また、予診の際には適切な説明を行うとともに、文書同意を得た場合に限り接種を実施することとしております。
次に、接種後の観察のフェーズでございますが、適切な見守り体制の設定、接種後の注意点等を取りまとめて周知をすることとしております。
アナフィラキシーの発症に備えた対応といたしまして、アドレナリン製剤等、救急処置に必要な物品を各会場に常備するとともに、発症者の速やかな治療や搬送に資するように、医療機関との適切な連携体制を確保するとしております。
報告でございますが、これらの副反応の発症を確認した医療機関は、予防接種法等に基づいて副反応疑い報告を速やかに実施するということで、行政としても把握が可能となります。
万が一、健康被害が発生した場合には、予防接種健康被害救済制度が適用されますので、定期接種と同等の被害救済が実施されることとなります。
○事務局 13ページ目をご覧ください。
こちらはアナフィラキシーの対応としての論点である、接種後の待機時間について記載しています。こちらは先ほどのワクチン分科会で審議され、了承が得られたものになりますが、米国、英国、EU、WHOは、基本を15分以上、そして米国は、重度のアレルギー既往や、ワクチンや注射での何らかの即時反応を起こしたことのある方は少なくとも30分間経過観察ということになっております。
こうした点を踏まえまして、同じく先ほどワクチン分科会で了承されたものですが、過去にアナフィラキシーを含む重いアレルギー症状を引き起こしたことがある者については、接種後の経過観察を30分間行うこととしまして、その他の者については、少なくとも15分間行うこととします。
14ページ目をご覧ください。続きまして、血管迷走神経反射についての対応です。
こちらも先ほどのワクチン分科会で審議され、了承されたものになります。血管迷走神経反射は、ワクチンを受けることや血液検査などに対する緊張や強い痛みをきっかけに生じる体の反応で、新型コロナワクチン接種後の事例で報道されておりますが、特定のワクチンだけに起きるものではございません。ほかのワクチンの接種時や血液検査などのワクチン接種以外のときにも起こることがございます。こういった方について、小児科学会等では、ワクチン接種後の30分ほど、背もたれのある椅子に座って休む等をお示ししております。
海外の状況といたしましては、米国では、血管迷走神経反射はほとんど15分以内に発生していると。仮に1回目起こったとしても、2回目接種を受けるようなことができるとされております。
そうした状況を踏まえまして、先ほどの審議で、過去に採血等で気分が悪くなったり、失神を起こしたことがある者については、接種後の経過観察を30分行うことについて了承されました。
続きまして、15ページ目をご覧ください。こちらは2月1日に事務連絡で都道府県等にお示ししたものになりますが、ワクチン接種後の副反応等に対する医療体制の確保としまして、新型コロナワクチン接種後の副反応を疑う症状について、被接種者が受診を希望する際は、まず身近な医療機関である接種した医療機関やかかりつけの医療機関等を受診していただきたいと考えています。そして、受診した医療機関は専門的な対応が必要であると判断した場合、専門的な医療機関を紹介していただくこととします。必要に応じて専門的な医療機関に円滑に受診できる体制を確保するために、都道府県については、様々な症状に総合的な対応ができるような専門的な医療機関に協力依頼を行っていただくこととさせていただきました。
16ページ目に、具体的に都道府県にお願いしたい内容を記載しておりまして、そうした協力医療機関として具体的なものとしましては、総合診療科や複数の内科診療科等を有し総合的な診療ができる、円滑な紹介受診のため、地域連携室にワクチン接種後患者の対応用窓口を設ける、地域の医療機関から相談があった際に対応するといったことを想定しております。
また、同時に都道府県に相談窓口等を設けていただきまして、住民からの接種後の副反応に関する相談に対応できる体制を確保していただき、国等から提供される副反応に関する情報や地域における医療体制の状況などについて、相談に対応していただきたいと考えております。
資料1は以上となりまして、続きまして、資料2に移らせていただきます。
資料2は「新型コロナワクチンの副反応疑い報告基準の設定について」となっております。
2ページ目は、先ほどもお示ししました副反応疑い報告制度の報告と評価の流れを記載しております。
3ページ目に、副反応疑い報告基準の設定ということで、予防接種法における副反応疑い報告制度について、制度の趣旨をお示ししています。予防接種後に生じる種々の身体的反応や副反応等について情報収集し、ワクチンの安全性について管理・検討を行うとともに、広く国民に情報提供すること、及び今後の予防接種行政の推進に資することを目的としております。
予防接種法第12条1項での報告の義務、また、報告の要件を載せております。
新型コロナワクチンを臨時接種に位置づけるに当たり、副反応疑い報告基準を定める必要がございます。具体的には、副反応疑い報告の収集に当たり、どのような症状を類型化し、定めるかについて整理し、そして、副反応疑い報告基準に定める接種後の症状が発生するまでの期間の設定を行う必要がございます。
4ページ目が副反応疑い報告基準の設定の考え方についてということで、基本的な考え方が想定される副反応をできるだけ統一的に類型化し、接種後症状が発生するまでの期間と併せて例示した上で、これに該当するものについて、必ず報告を求めるとしています。例示したもの以外のものであっても、予防接種による副反応と疑われるものについて幅広く報告を求めます。副反応報告の状況を踏まえ、報告基準については適切かつ継続的な見直しを行うこととします。
次に、重篤な症状についてですが、薬機法に基づく添付文書において重大な副反応として記載されている症状については、重篤であり、かつワクチンと一定程度の科学的関連性が疑われるものと考えられることから、副反応の報告基準に類型化して定める必要があるとされています。
一方、重篤とは言えない症状については、重大な副反応に記載されていない症状であっても、重篤になる可能性のある症状については報告基準に類型化して定める必要がございます。一方で、重篤とは言えない発熱、発疹、局所の異常腫脹等の症状については、重篤な副反応の報告を効率的に収集し、迅速かつ適切な措置につなげるため、報告基準については具体的に類型化して定める必要性はないとしています。
続きまして、副反応の報告基準に定めない症状(その他)の症状についての考え方ですが、副反応の報告基準に類型化して定めたもの以外の症状についても、入院を要する場合や、死亡または永続的な機能不全に陥るまたは陥るおそれがある場合であって、予防接種を受けたことによるものと疑われる症状として医師が判断したものについては、その他の反応として報告を求める必要があります。
次に、副反応の報告基準に定めたものの期間の設定についてですが、副反応の報告を効率的に収集し、迅速かつ適切な措置につなげるため、好発時期に合わせて設定するという考え方を基本としまして、若干の余裕を持たせて定めるべきであると。
また、十分なエビデンスの集積がない症状については、医学的に想定される発生機序から好発時期を推測し、上記と同様の考え方の下、定めるべきとされています。
参考資料1には添付文書が載っておりますが、今回の新型コロナワクチンの副反応疑い報告基準の設定に当たりまして、添付文書の重大な副反応として記載されているものは、現在、アナフィラキシーのみとなっております。
海外での発生状況を見てみますと、米国のVAERSですと約1000万回中に50例が報告されており、74%が接種後15分以内、90%が接種後30分以内に発生している。また、80%はアレルギーの既往がある者だったとなっております。
次に、ほかのワクチンにおけるアナフィラキシーの位置づけですが、アナフィラキシーについては、定期接種に位置づけられている全てのワクチンの報告基準で既に設定されておりまして、報告時間については、若干の幅を持たせるという観点から4時間とされております。
ここで論点としてご議論いただきたい点ですが、アナフィラキシーについては、添付文書上、重大な副反応に記載されており、一定程度の科学的関連性が疑われるものと考えられることから、報告基準に入れてはどうか。また、報告対象とする発生までの時間は4時間としてはどうかということです。
続きまして、6ページ目は、アナフィラキシー以外の症状について記載しております。現時点では、添付文書上、重大な副反応の項目にアナフィラキシー以外の症状は記載されておりません。一方で、米国CDCやWHO等はワクチンとの因果関係について評価が定まっていないものの、今後評価を進める症状を挙げております。
米国CDCにおいては、こちらに記載されているような症状について、因果関係等の評価が進められております。一方、こうした症状について評価が進められているものの、現時点では異常なシグナルは探知されておりません。
また、WHOは、ブライトンコラボレーションと協同の下、こちらに記載されているような症状を挙げております。
7ページ目は、通常の定期接種のワクチンにおける副反応疑い報告の基準を載せており、それぞれの副反応基準以外にその他の反応というものがございまして、それは、その他医師が予防接種との関連性が高いと認める症状であって、入院治療を必要とするもの、死亡、身体の機能の障害に至るものまたは死亡もしくは身体の機能の障害に至るおそれのあるものが報告できるようになっております。
8ページ目をご覧ください。新型コロナワクチンに対する副反応疑い報告基準については、以下のとおりとしたらどうかということで、アナフィラキシーを4時間と設定し、また、その他としまして、予防接種との関連性が高いと医師が認める期間としてはどうかと考えております。
アナフィラキシー以外の症状については、十分なエビデンスの集積がない状態であることを踏まえまして、その他の反応としますが、一方、このうち、ワクチンとの因果関係について評価が定まっていないものの、今後評価を行うことが考えられるような症状については、積極的に報告していただくよう、別途通知等により示してはどうかと考えております。具体的には、一般的にワクチンに関連し得ると考えられる症状としまして、けいれん、ギランバレー症候群、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、血小板減少性紫斑病、血管炎、今回の新型コロナワクチンのプラットフォームに関連し得ると考えられる症状としまして、無菌性髄膜炎、脳炎・脳症、脊髄炎、関節炎、心筋炎、その他の症状としまして、顔面神経麻痺、血管迷走神経反射(失神を伴うもの)と考えております。
こうした点について、資料4をご覧ください。
今回副反応疑い報告基準を定めるに当たりまして、予防接種法施行規則の一部改正を行う必要がございまして、5ページをご覧ください。こちらの三、新型コロナウイルス感染症に係る予防接種を受けたことによるものと疑われる症状は、(一)及び(二)に掲げる症状とし、対象となる期間は、症状ごとに当該(一)及び(二)に掲げる期間とすることということで、アナフィラキシー4時間とその他医師が予防接種との関連性が高いと認める期間としております。
以上、説明となりますので、ご議論よろしくお願いいたします。
○森尾委員 ありがとうございました。
資料1、2、4に従ってご説明いただきましたけれども、委員の皆様から質問、ご意見いかがでしょうか。
多屋委員、お願いいたします。
○多屋委員 ありがとうございます。多屋です。
幾つか質問があるのですけれども、まず、資料1の7ページ目、8ページ目ですが、最初に特定の医療機関の方1万人、2万人の接種が始まると思います。その場合はワクチンAになると思うのですが、ワクチンB、ワクチンCについては、そういう検討が行われることはないのでしょうかというのが1つ目。
2つ目が、資料1の9ページなのですけれども、アナフィラキシーを起こした方のうち94%が女性となっています。接種を受けた人の男女比はどれぐらいだったのでしょうかということと、1回目と2回目の区別は頻度的に分かりますでしょうかというのが2点目です。
最後に3点目なのですけれども、現在、添付文書に報告基準としてはアナフィラキシーだけということです。しかしながら、WHOやCDCなどがしっかりサーベランスしていく必要があると掲げられている病名について、このように通知で積極的に報告を求めていただくことになったことについては、非常によかったなと思っています。報告すべきはアナフィラキシーだけという誤解が医療機関に広がらないように、こういうことがあった場合はぜひ報告をしてもらう疾患なのだということを周知していただきたいと思いました。
ただし、これらの症状が例えば接種から半年後とか1年後に起こったときに報告されるものではありませんので、ほかのワクチンであるような期間ですね。大体28日以内に起こった場合には積極的に報告していただくというようなことが情報として周知される必要があるのではないかなと思いました。
以上3点です。よろしくお願いいたします。
○森尾委員 ありがとうございます。
事務局、いかがでしょうか。
○事務局 1つ目のご質問は、調査における第2、第3のワクチンの取扱いということだったかと思いますが、これは6ページ目と7ページ目両方の調査ということでよろしかったでしょうか。6ページ目のほうは、上の調査対象というところに少し書いてございますが、遅れて上市されるワクチンは都度調査の必要性を検討となっておりますが、基本的には実施する方向で検討しているところでございます。
それから、接種後健康状況調査のほうにつきましても、ワクチンB、ワクチンCという図示をさせていただいておりますが、2つ目、3つ目のワクチンが上市された場合には、この調査の対象とすることを考えております。
○事務局 続きまして、2つ目の問いですけれども、米国の同じ時期の数字ではないのですが、MMWRで接種者数の男女比が出ておりまして、女性のほうが1.7倍程度多いという報告がございます。また、米国でも医療従事者が先行して接種が行われておりまして、やはり女性のほうが接種者数としても多いという情報が得られております。
3点目の件ですけれども、副反応疑い報告基準にないような症状でも積極的に報告していただきたいということで、症状は局長通知でお示しさせて頂こうと考えております。先生のおっしゃるような点については、今回、副反応疑い報告をふだん慣れていない先生が記載するようなこともございますので、その他手引き等でお示しできるような形にしたいと考えております。
以上となります。
○森尾委員 1回目と2回目でどちらが多かったかという質問があったように記憶していますが。
○事務局 こちらの点では、1回目、2回目については記載がございませんで、恐らく1回目に何かあったら2回目は打っていないでしょうし、2回目の例は少ないかと考えられるのですけれども、そちらの情報は持ち合わせておりません。
○長谷川委員 9ページに書いてありませんか。
○事務局 申し訳ございません。9ページ目に書いてあるそうで、見落としておりました。1回目がほとんどで42人、2回目が3人、不明が5人となっておりました。申し訳ございませんでした。
○森尾委員 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょう。
佐藤先生から手が挙がっています。佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 7ページ目の資料に調査インフラとしてSNSと書いてあるのですけれども、このプラットフォームのアイデアというのはもう決まっているのでしょうか。あまりに漠然としていて、どのぐらいまで精度のある情報を集められるのかというのが伝わらなかったので、どこまで何が決まっているのか教えていただけないでしょうか。
○事務局 お答えいたしますが、今のところは、まだいろいろ検討中のところがございますし、手続の面もございますので、なかなか詳細を申し上げるのは難しい面もあるのですけれども、既存のプラットフォームを使ってどういうふうに調査ができるかというところのフィージビリティーを今詰めているところでございます。
○佐藤委員 これは今の感染のアプリとは全く別の部署というか、全く別の企画として捉えていればいいのですよね。副反応としての情報収集ということで。
○事務局 こちらは通常、約1万人にはがきを渡して行っております予防接種後健康状況調査について、SNS等を使ってより幅広く、また迅速に情報を公開できるような形で行う予定としております。
○佐藤委員 厚労省でやるということですね。
○事務局 はい。健康課予防接種室が主となってやっている事業でございます。
○佐藤委員 分かりました。ありがとうございます。
○森尾委員 ほかにいかがでしょうか。
濱田委員から手が挙がっています。先にお願いします。
○濱田委員 資料1の15ページにワクチン接種後の副反応に対応する医療体制の確保というのがあるのですけれども、まずは接種医、かかりつけ医ということなのですか、これは保険診療で診るということでよろしいのでしょうか。それから、その後の専門的な医療機関も保険診療で診るのかということですね。
それともう1点、この件に関して、専門的な医療機関はかなり負担がかかると思うのですが、今のコロナ患者の診察の補助というか、何か政府としては考えていらっしゃらないのでしょうか。その2点について教えてください。
○事務局 こちらは通常の定期接種も同じように、何か症状が出たら保険診療で診ることとなっております。
2点目でございますが、おっしゃるとおり、専門的な医療機関には負荷がかかってしまうかもしれませんので、円滑に受診できるような体制を補助はしたいと考えております。
○事務局 1点だけ補足させていただきますけれども、ワクチン接種後の副反応を診療した場合については、後ほど被害救済制度で、疾病や障害の状態になって、それが認定された場合には、その医療費について被害救済制度の中で給付をされるということになります。
○濱田委員 今までの治験のデータからすると、かなりこれは来院される方が多くなる可能性もあるとは思うのです。それは、まずは相談窓口に連絡していただいて、それでも難しい場合は、接種医、かかりつけ医という順番でよろしいでしょうか。
○事務局 はい。これは受診をされる方がどこに行かれるかということだと思いますので、こうでなくてはならないということを申し上げるものではなくて、相談されたい場合には相談ができますし、また、受診をされたい場合には受診ができるということかと思います。
予防接種の後にどういった症状がどれぐらいの頻度で出るかというようなことは、国のほうでも情報提供させていただいて、そういった場合の参考にしていただくようにしたいと思います。
○濱田委員 分かりました。どうもありがとうございます。
○森尾委員 倉根委員、お願いいたします。
○倉根委員 2つ伺います。
まず、資料2の8ページですが、先ほど多屋委員が質問したのと少し似ているのですけれども、副反応疑い報告としてアナフィラキシー以外のものを報告するときに、3つ目の○のように、ある症状とか病名がついているときはいいのですけれども、そうでない報告をすると、同じ症状なり同じような副反応でも報告する人によってかなりばらばらといいますか、いろいろな表現の仕方をして副反応を出してくることがあるように思うのです。以前、通常の定期接種のワクチンでもそうだったので、かなりそこをスリムにしたというか、同じ言葉に直していたと思うのですが、今回は被接種者の数がかなり多いということを考えると、いろいろな言葉で同じような症状を報告してきた場合に、また力わざといいますか、誰かがそれを、これは同じ、これは違うというような判断をすることになるのでしょう。それだけの人力が大丈夫かということであります。
○事務局 お答えいたします。
まず1点目の、副反応疑い報告基準ではないけれども、今回積極的に報告していただくような症状については、一部ないものはございますが、ほとんどのものが、その他の反応として記号で選べるようにはなっております。
もう一点目の体制についてですが、しっかりと収集して評価できるように、こちらも含め、厚労省、PMDA、感染研を含め、体制の強化は実施をしているところでございます。
○倉根委員 今、ちょっと誤解を生んだかもしれませんが、ここに名前が出ているものはいいのですが、それ以外の副反応を報告してくるときに、同じ症状でも違う呼び名、あるいは違う表現の仕方として、医学用語として出してくるのではないかなというおそれがあるのではないだろうか。それがどのぐらいの数になるかちょっと分かりませんけれども、そういうことです。ですから、ここに出ているように、けいれんとか、ギランバレーとか、ADEMとか書いてあれば、それはそれで出してくるのでしょうけれども、それ以外のいろいろなその他が出てくるのではないかなということを懸念したものですから、聞いたような次第です。
○事務局 おっしゃるとおりではございますが、その他について、どういった形で表現して副反応疑い報告を出していただくのがいいのかについては、ほかに何かでお示しできるような形にしたいと思います。
○倉根委員 少しやってみないとわからないのだとは思います。
もう1つは、副反応疑い報告として上がってくるものと、それから、通常の定期接種ワクチンだと製造販売業者からも上がってくるものがあって、同じ症例の場合は突き合わせて作業をしていたように思うのですが、今回もその作業を行うことになるのでしょうか。
○森尾委員 いかがでしょうか。こちらは部局が違いますかね。
○医薬品安全対策第二部長 重複につきましては、今回、突き合わせ作業はしないのですけれども、重複症例であると判明した報告については重複が分かるようにお示しする予定でございます。
○倉根委員 分かりました。そうしますと、できる限り重複がないような形でするという形になるということですね。ありがとうございます。
○医薬品安全対策第二部長 医療機関報告と企業報告ではそれぞれ報告の基準が異なりますので、それぞれによって見方が異なると思いますので、そのような見方になるように説明申し上げる予定でございます。
○倉根委員 分かりました。ありがとうございます。
○森尾委員 いろいろな言葉が出てくるというのは、恐らく処理される方は大変だと思うのですけれども、1つは1万人、2万人のところで出てくる言葉をうまく類型化することができれば、提示できるかもしれないですかね。ここら辺、ぜひ厚労省の方にご尽力いただけたらと思います。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
伊藤委員から先で、その後、多屋委員にさせていただきます。
○伊藤(澄)委員 8ページで、幾つかの疾患について最終的に局長通知でお示しされるということなのですけれど、その局長通知をされる段階で、例えばけいれんなら7日間とか、ギランバレーなら28日とか、そういうのも出てくるのでしょうか。あと、いつ頃この局長通知が出てくるのか教えていただけますでしょうか。
○事務局 報告基準以外の症状で、積極的に報告していただきたい症状の報告期間についてですが、現在、因果関係も定まっておりませんし、積極的に報告をしていただきたいという観点から、期限は設けておりません。
また、この通知の発出については、その他省令等の改正等もございますので、接種開始までには発出して周知したいと思います。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございました。
○森尾委員 それでは、多屋委員、お願いします。
○多屋委員 先ほど倉根先生からご質問があった件ですけれども、これまでの副反応検討部会では、医療機関報告と企業報告が両方あった場合は、医療機関報告に合体させていました。ただし、今回お伺いしているのは、医療機関報告と企業報告が両方あった場合でも、それぞれで集計・グラフ化するようにと言われていますので、同じ方が両方に入ってくるような集計表になると理解しています。それでよろしかったでしょうか。
○医薬品安全対策第二部長 ご理解のとおりです。
○多屋委員 なので、多分、重複例は何らかの形で印をつけられるのかどうか分かりませんが、両方に入ってくるというふうに聞いておりました。ありがとうございます。
○森尾委員 ほかにいかがでしょうか。
岡委員、お願いいたします。
○岡委員 岡ですけれども、今回、接種後健康状況調査をする段階では、それまでに既に先行接種の方の副反応についての情報があるわけですけれども、今度は接種後、健康状況調査の対象になっているのは高齢者の方とか基礎疾患のある方が対象になるということで、それまでの接種を受けていた方と随分違う方になってきて、先ほどのほかの委員からのご指摘のように、いろいろな形の有害事象かもしれないものが報告されてくるという懸念があると思うのです。そういう意味では、例えば高齢者の方ですと、何らかのほかの疾患、けいれんとかそういったようなものも一定の頻度で発症してくるわけですので、それは因果関係があるのかという判断が今回の場合は非常に難しいことが多々あるかなと予想されると思います。
そういう意味で、例えば母集団としてどれだけの方がその時点で接種を受けていて、その疾患のもともとの疫学的な頻度がどのくらいかといったようなものが分からないと因果関係というのは本当に検討するのがすごく難しいかなと思っています。そういう意味で、接種の母集団の中での疾患の発生頻度と比較するとか、そういったようなことは、どこかでされるのか、それともまさにここでやっていくことなのかも、その辺りはどういったような方針になっていくのでしょうか。
○事務局 先生のご指摘のような問題点はこちらも持ち合わせておりまして、特に死亡例等は、年齢においてどれほどの死亡例があるかといったことについては、こちらで準備をしようとは考えております。
そのほかについても、特に顔面神経麻痺等については、海外でも自然発生率との比較等でされておりますので、こうしたことも本部会で審議することになりますので、こちらで準備していくようにしたいと思います。
○森尾委員 ほかにいかがでしょうか。
関連して細かいところなのですけれども、資料1の7ページ目で、接種後健康状況調査ということで、高齢者も恐らくこれは調査されるのですね。その集め方は、参加者自体がご回答になると若干難しいところもあるかなと思ったりするのですけれども、これについてはいかがですか。代理人が書かれる形にするとか、ちょっと細かいところで申し訳ないのですが、重要なデータだと思いますので、お伺いします。
○事務局 お答えいたします。
確かに、特に最初のワクチンAに関しては、タイミングがどうしても高齢者向けの優先接種から始まるということなので、高齢者の方に分布が偏ることは想定されます。一方で、調査には、希望される方が、そのご本人が参加いただくということで、今のところ代理の方が、とはあまり考えられていないところです。
○森尾委員 ありがとうございます。
あくまで本人がということですね。
ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、本日の部会では、新型コロナワクチンの副反応疑い報告基準を審議する必要がございますので、副反応疑い報告基準について、これまで議論された内容をまとめさせていただきたいと思います。
まず、新型コロナワクチンに対する副反応疑い報告は、アナフィラキシーということにさせていただいて、4時間とし、アナフィラキシー以外の症状については、その他として報告対象といたします。
そして、アナフィラキシー以外の症状については、今、十分なエビデンスの集積がない状態であるということを踏まえまして、その他医師が予防接種との関連性が高いと認める症状であって、入院治療を必要とするもの、死亡、身体の機能の障害に至るもの、または死亡もしくは身体の機能の障害に至るおそれのあるものとして報告できることとする。
このうち、ワクチンとの因果関係について評価が定まっていないものの、今後評価を行うことが考えられる症状については、積極的に報告していただく等、別途通知等により示すということでございます。
この特に積極的に報告していただくように別途通知で示す、については委員の方々からも大分ご意見を頂戴しましたので、ぜひ工夫を凝らしていただきたいと思っております。
副反応疑い報告基準につきましては、資料4にあるとおり、本部会への諮問が行われております。なお、それ以外の諮問事項については、予防接種・ワクチン分科会へと付議されております。
資料2で説明のあった副反応疑い報告基準の内容につきましては、資料4をもう一度見ていただきますと、こちらは省令要綱でございますが、第一の三に記載がされております。
諮問された原案のとおりでお認めいただいてよろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、新型コロナウイルスの副反応疑い報告基準については、事務局が提案したとおりで了承したいと思います。事務局におかれましては、事務手続を進めていただきますように、よろしくお願いいたします。
続きまして、資料3、ワクチンの副反応に対する考え方及び評価について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 では、資料3をご覧ください。「ワクチンの副反応に対する考え方及び評価について」ということで、2ページ目に新型コロナワクチンのリスク・ベネフィット、ワクチン接種後の副反応に対する評価について、またもう一つ、高齢者や基礎疾患を有する者への接種についてご説明いたします。
3ページ目をご覧ください。こちらは今回の新型コロナワクチンの概要が掲載されておりまして、IIのその他の事項の一番右に日本が載っております。昨日、2月14日に特例承認されまして、接種対象者は16歳以上、筋肉内接種を2回行いまして、3週間間隔を置く。また、本剤の成分に対し重度の過敏症の既往がある者等については接種不適当者となっております。
続きまして、新型コロナワクチンの有効性についてですが、海外第I/II/III相のパートにおきまして、ワクチン有効率は約95%となっております。また、COVID-19の発症予防効果が期待できると考えられています。
また、海外試験と国内試験の免疫原性についてですが、国内試験において、海外試験の結果と同程度以上の結果が得られておりまして、日本人においても本剤の有効性は期待できると考えられたと審査報告書に記載されております。
続きまして、5ページ目、本ワクチンの安全性についてですが、海外試験、国内試験の概要ですが、現時点において被験者の多くに反応原性事象として収集された局所反応及び全身事象が認められていたものの、ほとんどが軽度または中等度であり、回復性が認められたと評価されております。
頻度の高いAE(Adverse Event)としまして、接種部位の痛み、疲労、頭痛、筋肉痛、悪寒、関節痛、下痢、発熱、接種部位の腫脹等が出ております。発熱については、海外試験では38度以上、国内治験では37.5度以上で報告されておりまして、それぞれ13.6%、32.8%となっております。
また、Serious Adverse Eventにつきましては、本剤群で0.6%、プラセボ群で0.5%。治療薬との関連が否定されなかった事象の転帰については、リンパ節症は未回復、心室性不整脈は回復、その後、ほかの事象は軽快であったとされています。死亡例については、本剤群2例、プラセボ群でも4例認められ、いずれも治験薬との因果関係は否定されております。なお、国内治験では、死亡及び重篤な有害事象は認められませんでした。
6ページ目に新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの安全性についてということで、それぞれの概要について表としてお示ししております。
7ページ目をご覧ください。現時点で分かっている諸外国における副反応疑い報告の状況ですが、米国で1000万回中7307件、英国では、1回目約660万回、2回目50万回接種中2万319件、EUについては言及がされておりません。
米国については、アナフィラキシーが約100万回接種中5件、英国については10万回接種中1~2件。米国では、死亡例が113件報告されているといった報告もございます。英国では、ベル麻痺が99件報告されていますが、自然発症率と同様といったこと。また、死亡例について143件報告されているが、ワクチンが死亡に関連したことは示唆されていないとされております。
そういったことを踏まえまして、米国では、アナフィラキシーが見られたが、まれである。全体的に安全性に懸念はなく、承認前の治験データと同様である。英国につきましても、COVID-19予防とその重篤な合併症予防において、ワクチンに期待されるベネフィットは、既知の副反応をはるかに上回っているといったことを報告しております。
続きまして、8ページ以降、一般的なワクチンの効果について、有効性、安全性、リスク・ベネフィットについてご説明いたします。
8ページ目のワクチンの効果についてですが、感染予防、発症予防、重症化予防がございますが、感染予防については、実証が短期間では大変難しいです。一方、今回の治験で分かったことは発症予防となります。重症化予防については、治験ではまだ明らかにはなっていない状況です。集団免疫効果については、接種した人が増えると接種していない人でも発症者が減少するといったことで実証されますが、短期間での証明は難しいような状況です。また、インフルエンザワクチンについては、一定の発症予防効果や重症化予防効果が示されていますが、集団免疫効果については実証されていません。
続きまして、9ページ目に予防接種による不可避な副反応としまして、軽度だが頻度の高い副反応として接種部位の腫脹、全身性の反応として発熱、頭痛などがあります。また、重度だが頻度の低い副反応の例としまして、アナフィラキシーやギランバレーが載っております。こうした副反応が生じ得ますが、接種によるベネフィットは上回ると考えられることから、予防接種が実施されております。
予防接種は、体内に異物を投与し、免疫反応を誘導するために何らかの事象が生じる可能性がございまして、100%の安全性を求めることはできません。有効性が副反応のリスクを上回る場合、接種が許容されますが、丁寧な情報発信・説明の上で、被接種者の同意を得て接種することが重要となります。また、有効性は多くの人が享受する一方で、重度で頻度が低い副反応が一部の人に生じるものでございますので、このようなリスクを分かち合う意味からも、健康被害救済の整備が重要でございます。
こうしたワクチンと有効性、不可避な副反応についてご説明いたしましたが、そこで、10ページ目に有効性・安全性とリスク・ベネフィットの考え方をお示しております。
ワクチンの接種後に副反応を生じることがあり、副反応をなくすことは困難です。ワクチンの接種によって得られる利益、有効性と副反応のリスク、安全性の比較衡量、リスク・ベネフィットにより接種の是非を判断する必要がございます。
また、対象者の特性により有効性の大きさが異なる場合、同じワクチンであっても接種の判断が異なることもあります。左側は、ワクチンによるリスク、副反応に関してワクチンの有効性、重症化予防の効果が大きい場合、高齢者は重症化リスクが高いと考えられる場合はこのような形になり、一方で、感染症による重症化死亡のリスクが低い場合は、右側に示したように、ある年齢層の重症化リスクが極めて低い場合にはこのようなものとなります。
ワクチンの接種に当たっては、ワクチンの特性に加え、接種対象となる者の年齢や医学的な背景等を踏まえた上で、新型コロナウイルス感染によるリスクを勘案し、総合的に接種の判断することが必要と考えられます。
以上がワクチンの有効性・安全性、リスク・ベネフィットの考え方ですが、続いて、副反応疑い報告の収集と評価についての論点をお示しいたします。
医療機関等は、予防接種による副反応疑いを知ったとき、予防接種後副反応疑い報告制度にのっとって、PMDAに報告されます。一方で、医療機関からの報告内容のみでは、因果関係に関する評価を実施することは困難な場合もあるため、詳細な調査が行われるものの、因果関係の評価のためには、一定の期間が必要であります。
12ページ目には、実際どのような様式で報告されるかが記載されております。
そうした副反応疑い報告について、13ページ目、副反応疑い報告の対象とワクチン接種後に生じる様々な事象についての関連が載っております。ワクチン接種の後、接種による効果としまして、感染症に対する免疫を付与ということで、感染予防効果、発症予防効果、重症化予防効果等がございます。
一方で、ワクチン接種による副反応としまして、アナフィラキシーを起こしたり、接種部位が赤く腫れ上がったりします。こういったものの他に、接種と因果関係のない偶発的な事象として、接種翌日に歩行中、自転車と接触してけがをしたとか、接種翌日に料理中に包丁で指を切ったということがございます。
一方で、接種による副反応か接種と因果関係のない偶発的な事象かが分からない事象、またそういった評価が直ちにできない事例というものがたくさんございまして、接種翌日に発熱した、ワクチン接種翌日に急病になった、ワクチン接種日の夜に持病が悪化して亡くなった。こういったことについては、すぐに評価できず、直ちに判断できません。副反応疑い報告については、こうした接種による副反応のほかに、接種と因果関係がない偶発的な事象も含めて報告対象としておりますので、幅広く事象を収集しているような状況です。
続きまして、14ページ目に、そうした様々な事象の発生頻度が載っております。高齢者の救急車搬送は1日当たり約3,850人に1人、高齢者の死亡は約1万人に1人、また、交通事故での負傷は8万7,800人に1人といった形で、様々な事象が発生しております。
一方で、例えば海外でワクチン接種後に報告された事象の頻度としましては、新型コロナワクチン接種後にアナフィラキシーは10万から30万人に1人。また、昨年韓国でのインフルエンザワクチン接種後の死亡例としまして12万人に1人が報告されています。
偶然またはその他原因により様々な疾病や死亡といった事象が生じております。ただ、ワクチン接種後に被接種者に様々な事象が生じた場合、偶発的に、またはその他原因で発生したものか、ワクチンによるものかの評価が課題となります。
15ページ目に、海外でのワクチン接種後の死亡事例とその後の対応について載っておりますが、こうした様々な事象が生じるために難しいことが起こっています。
こちら、上のほうは、先ほどお示しました韓国におけるインフルエンザワクチン接種後の事例ですが、2020年10月に、同月16日から23日までに全国で30人の死亡が確認されたと発表がありました。その後の調査等で、保健当局は予防接種と死亡との関連性は確認されなかったとして接種を継続する方針となっています。
また、記憶に新しいかもしれませんが、ノルウェーにおいて新型コロナワクチン接種後の事例としまして、2021年1月、コロナワクチンの接種後に1月26日時点で33例の死亡例が報告されました。その後、ノルウェー政府は、これまでに報告された死亡例の多くは、高齢で体力が衰え、重篤な疾患があったとされており、ワクチン接種と死因との関連性は確認されなかったと判断しております。また、末期患者への接種は個々の患者のリスク・ベネフィットを検討すべきですが、ワクチンの接種方針自体には変更はないと公表しております。
続きまして、16ページには、米国CDCでワクチン接種後の死亡例についてどのように報告がされ、評価されたかが記載されております。こちらについては、1月18日時点の報告です。一方で、つい先日、米国CDCが1,170件の死亡例があったと、また、それが接種の割合で0.003%と報道されましたが、こちらのものは、1月27日の米国ACIPの諮問委員会で報告された内容となります。
こちらで、VAERSで報告された死亡例について196例、長期療養施設の居住者は129例ありました。その129例についても、基礎疾患等がある方が多かったと。また、右端の米国療養施設居住者のワクチン安全性モニタリングとしまして、米国最大の療養施設会社約284施設、2万5,000人の居住者を対象とした調査が行われました。結果としまして、死亡率は同じ施設内のワクチン接種群のほうが非接種群よりも低く、未接種施設の住民と比較しても低かったとされております。結論としまして、短期死亡率はワクチン接種と無関係であることが示唆されたとしております。
こうしたことを踏まえまして、CDCの見解としましては、長期療養施設の居住者の死亡率は、集団の根底にある健康状態のために高くなっているのではないかと。また、米国最大の療養施設の証拠は、長期療養施設に居住する高齢者の死亡に関する安全性の問題を示唆していない。また、新型コロナワクチン接種後に長期療養施設の方が死亡した報告には、認知障害や複数の併存症、健康状態悪化、ホスピス・DNR・DNIの方が含まれていると。
こうしたこと全体を踏まえまして、新型コロナワクチン接種後の長期療養施設の居住者の死亡は、この集団において予想される全死亡率と一致しているといったことを表明しております。
17ページ目には、接種後に起きた病気と病状、接種との因果関係についてということで、接種との因果関係が否定的な場合としましては、診察等によりその他の原因が判明する場合、また、医学的に因果関係が考えがたい場合、こうした場合は因果関係の否定が容易ですが、接種との因果関係が分からない場合としまして、一般的に発生している疾患で、予防接種の直後に時間的な集積性が見られる場合といったことが挙げられます。接種と病気や症状の間に前後関係があることと、因果関係があることは異なっていますが、前後関係があっても因果関係がないことは多いということでお示ししております。
そういうことを踏まえまして、ワクチン接種後の副反応と評価についてということで、予防接種は、体内に異物を投与し免疫反応を誘導するために、何らかの事象が生じる可能性があり、100%の安全性を求めることはできません。予防接種の接種後に副反応を疑う症状を知ったときは、医療機関は、国・PMDAに報告することになっておりまして、当合同部会で評価を行うこととしています。なお、医師が因果関係を疑った場合に広く報告を求めることとしておりまして、報告には偶発的な事象や、その他原因によるものなど、接種との因果関係がないものも含まれます。
接種を行わない場合にも、疾病・死亡などの好ましくない事象が発生しておりまして、予防接種後に時間的な前後関係を持って発生する場合もあります。
特に高齢者では、接種を行わない状況での死亡リスクが、まれな副反応のリスクと比較して高いことが考えられ、諸外国においても、国民への情報提供に当たって様々な配慮がなされているような状況です。
論点としまして、ワクチンの副反応疑い事例を評価する前の段階で公表する場合には、以下のような点を留意して公表していくべきではないかと。副反応疑い報告には、偶発的事例やその他原因によるものが含まれていることから、発表の時点で、前後関係を因果関係と誤認されないように注意して情報発信をする必要がある。
また、偶発的事例やその他原因による事例か、接種との因果関係のある事例かについては、症例に関する情報収集、諸外国も含めた症例の集積、その他の科学的知見等を基に当審議会で評価を行い、可能な限りの情報発信を行っていく必要があるのではないかと考えております。
次に19ページ目をご覧ください。以降が基礎疾患のある方へのワクチン接種の考え方でございまして、先ほども紹介させていただきましたノルウェーの事例を挙げております。それを踏まえまして、EUでは、ノルウェーの死亡例に端を発し、現時点の報告を評価したところ、65歳以上での接種後の死亡例は、既存疾患の進行が最も考えられる。免疫機能が低下している人々に関連するデータは限られていますが、安全性については特に問題がないとされております。結論としまして、虚弱な高齢者を含め、ワクチンの使用に関する製品情報を修正する必要はないと見解を出しております。
また、WHOについても、虚弱な高齢者における予期しない死亡の増加や有害事象の異常な特徴は示唆されていない。ベネフィットとリスクのバランスが高齢者にとって引き続き良好であると考えているといったことを踏まえまして、高齢者や基礎疾患を有する患者さんにもワクチン接種が推奨されるとしております。
一方で、20ページ目以降が、平成21年の新型インフルエンザワクチンを接種実施したときの高齢者や基礎疾患を有する者への接種に対する対応ですが、こちらは2009年のH1N1新型インフルエンザワクチンの接種事業をしたときに、接種開始前に、あらかじめ実施要領におきまして、ウの(ア)のところですが、被接種者の健康状態及び体質を勘案し、慎重に新型インフルエンザの予防接種の適否を判断するとともに、接種を行うに際しては、接種を希望する意思を確認した上で、説明に基づく同意を確実に得るとしておりました。
また、(イ)についても、必要に応じて接種の適否について意見を求め、接種の適否を慎重に判断するといったことで注意喚起を行っておりました。
21ページ目に接種開始後のことが載っておりますが、基礎疾患を有する高齢者等の死亡事例が報告されたことを踏まえ、平成21年11月21日の審議会におきまして評価が行われ、改めて基礎疾患を有する者のかかりつけ医療機関に確認する等、接種の適否を慎重に判断することが周知されました。
このときの評価の内容としましては、限られた情報の中で因果関係は評価できない一方で、大部分は基礎疾患の悪化や再発による死亡の可能性が高いと考えられ、死亡とワクチン接種との直接の明確な関連が認められた症例は現時点ではない。
重度の基礎疾患を有する患者において、ワクチンの副反応が重篤な転帰につながる可能性も完全には否定できないことから、接種時及び接種後の処置等において留意する必要がある。また、感染リスクは低いものの、高齢者で基礎疾患を有する者はインフルエンザに罹患した場合に重篤な転帰をたどる可能性が高く、新型インフルエンザワクチンにおいて見られているリスクと比較して相対的に接種のメリットは大きいと考えられるとされました。
そうしたことを踏まえまして、改めて周知されたのが下の内容でございまして、接種を希望する者に対して、ワクチン接種は個々人の判断により行うべきであることを周知し、
ワクチン接種の効果や限界、安全性等について十分説明の上、説明に基づく同意を確実に得るようにすることとされました。
また、基礎疾患を有するものかかりつけ医療機関以外の受託医療機関については、優先接種対象者証明書等により基礎疾患である疾病を有することを確認した上で十分な予診を行うとともに、必要に応じて、かかりつけ医療機関に確認する等、接種の適否を慎重に判断することといった点が改めて周知されました。
22ページ目に、新型コロナワクチン接種の接種要注意者についてということで、今回のワクチンの添付文書や定期接種での取扱いを踏まえて、接種要注意者を設定する予定で、この右側の定期接種での取扱いのようになりますが、こちらに基礎疾患を有する者のうちで基礎疾患の状態が悪化している場合や、全身状態が悪い者等については、注意喚起の項目として記載してはどうかと考えております。
23ページ目に高齢者や基礎疾患を有する者への接種についての考え方ということで、ご説明させていただきましたように、世界各国ではワクチン接種が進められており、接種後の死亡事例も多数報告されておりますが、やはり高齢者においてもワクチン接種の有益性が潜在的リスクを上回ることが示唆されていること。また、ワクチン接種後の死亡事例につきましては、自然発生の死亡率と優位な差はないことから接種が継続されています。
2009年のときも国内において同様の対応、また、接種時及び接種後の処置について留意するよう周知を行いました。
医療従事者の接種の次は高齢者を対象とした接種が開始されるため、基礎疾患を有する高齢者等の接種後に、偶発的要因や基礎疾患の増悪による場合も含め、死亡事例が多数報告される可能性がございます。
論点としまして、基礎疾患を有する者は、新型コロナウイルス感染症に罹患した場合、重症化のリスクが高いことから接種の利益が大きいと考えられますが、基礎疾患が偶発的な要因による場合も含め、悪化する事例が報告される可能性があります。
しかし、高齢者や基礎疾患を有する者については、諸外国でもワクチン接種の有益性が潜在的リスクを上回ることを示唆すると報告されておりまして、こうした方々についても、接種を提供するべきではないかと。
また、接種の判断は、個人のリスク・ベネフィットを勘案し、本人同意に基づいて行うことが基本でありますが、基礎疾患を有する者のうち、基礎疾患の状態が悪化している場合や、全身状態が悪い者等については、特に慎重に予防接種の適否を判断する必要があることについて注意喚起することとしてはどうかということについて、ご審議をお願いいたします。
○森尾委員 どうもありがとうございました。
大きな論点として2つお示ししていただきました。1つ目が18ページにまとめられていますけれども、ワクチン接種後の副反応の評価と公表の在り方ということでございます。
2点目が最後のスライド、23ページ目で、高齢者や基礎疾患を有する者への接種についての考え方ということであります。
2点論点がございますので1つずつ議論していただきたいと思いますが、まず18ページ目、そして、その前に資料がございますワクチン接種後の副反応の評価と公表の在り方ということで、委員の皆様からご意見、ご質問がありましたら、承りたいと思います。いかがでしょうか。
山縣委員、お願いいたします。
○山縣委員 山縣です。
18ページの論点に関しまして、非常に重要な点だと思います。ここに注意して発信をする必要があると書いてあるのですが、具体的にどうするかということが非常に重要で、そういう意味では、1つは先ほどお示しいただいたようなワクチンのリスクとベネフィットのコミュニケーションをどういうするかという点と、あと、岡委員からもご指摘ありましたが、接種対象者の健康特性というものをきちんと理解することをベースに、この発表の仕方を考えるということが必要ではないかと思います。
よって、きちんと接種の後の情報については公表していくのですが、それと同時に、先ほど14ページに示されていたような様々な事象の発生頻度といったようなものの理解を常に同時にというか、分かるような形で発信していくということが必要だと思います。
以上です。
○森尾委員 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 山縣委員のコメントに対してですけれども、副反応の事例については、やはり公表の迅速性、透明性をする一方、紛れ込み例が多く、評価が大変難しいものと考えております。そうしたときに、どのような形で情報提供するのがいいのか、我々も難しい面はございますが、委員ご指摘のとおり様々な事象の紛れ込みがある可能性があることや、評価の上で、もし安全性に問題があったら直ちに対応できるような形で情報を出していこうと考えております。
○森尾委員 よろしいでしょうか。本当にリスクコミュニケーションが非常に重要であるというご指摘だと思います。ありがとうございます。
○山縣委員 ありがとうございます。
とにかくミスリードされないように、本当に非常に重要なワクチンですので、その辺りのところを十分に考えておく必要があると思いました。ありがとうございます。
○森尾委員 ありがとうございます。
倉根委員、お願いいたします。
○倉根委員 18ページの論点の最後のところですね。症例に関する情報収集、諸外国も含めた云々。そして、当審議会で評価を行うと。そうなのですが、定期接種の場合には、それぞれある事象の専門家の御意見も聴く、あるいは聴けるような枠組もあったように思うのです。専門家A、B、Cというような形でですね。
ですから、何か非常に難しい事案のときに、あるいは我々が当審議会で評価を行う前に、他の専門家、あるいはある事象の専門家の意見も既に伺った形で、我々のこの審議会に出てくるという理解でよろしいでしょうか。つまり、今の定期接種のワクチンの死亡例だとか、そういうものの評価と同じようなやり方になるという理解でよろしいですか。
○森尾委員 どうもありがとうございました。
それでは、倉根委員に対するご回答をPMDAのほうからお願いいたします。
○医薬品安全対策第二部長 PMDAから説明させていただきます。
死亡例を含む重篤症例につきましては、全例につきまして外部の専門家の評価をしていただきまして、個別症例の因果関係評価につきましては、その評価を踏まえた結果を会議のほうに提出させていただく予定としております。
○倉根委員 分かりました。今聞こえまして、理解いたしました。
○森尾委員 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 宮川でございます。
先ほどの山縣委員に対する答えは、何か答えになっていないような気もしないでもないので、本当にきつい話なのですが、本当にどのようにすべきなのか。これはこの中でも答えが出ないような気もするのですけれども、何か私たちからメッセージとして出していかないと、とてつもないことが私たちにまたブーメランのように戻ってくるので、山縣委員に対するお答えというのは、もう少し具体的な言葉があるといいのかなと、つい思ってしまいました。
以上でございます。
○森尾委員 具体的なアクションプランを宿題としておきますかね。どうでしょうか。
○事務局 宿題としつつ、我々が前のめりでいくと。
○宮川委員 大丈夫です。言葉尻をとらえるつもりは全くありませんので、どういうふうにするか、また考えていけばいいと思うのですけれども、とにかく具体的な方策というか、少しでも出していかないと、従来のようなやり方では非常に難しいのかなというふうに思う次第です。
以上です。
○事務局 ありがとうございます。基本的には個別症例の評価をやっていくということと、疫学的なベースラインも含めた調査をしていくということの2つをやりながら、先生方を含め専門家の方々にご評価いただくということに尽きるのだと思います。
その中で、誤解なくメッセージを発していくというのは、この部会、私ども、あるいは先生方と一緒にやっていくことだと思いますので、試行錯誤的なところはありますけれども、いろいろご指導いただきながらやっていきたいと思います。
○森尾委員 ありがとうございます。情報発信の仕方ですよね。
山縣先生、どうぞ。
○山縣委員 本当に今、厚労省の方がおっしゃったとおりで、要するに個別の病態メカニズムをしっかりと、それが本当にどういう関係があるのかということを科学的に評価することと同時に、疫学的にそれがどのような確率上の問題なのかということを考えていくという意味では、コントロールというか、先ほども何度も出ていましたが、自然経過の中でどれぐらいそういうものが起きるのかということを同時にきちんと理解するということがなければ難しいのだと思いますので、ぜひそのあたりの疫学的な評価といったようなものを皆さんにご理解いただけるような表現の仕方をぜひ考えていただきたいと思います。
以上です。
○森尾委員 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
岡委員、どうぞ。
○岡委員 今のことに関連してなのですけれども、それこそ山縣委員がご専門ですけれども、そういう疫学的な検討でやるには本来は非常に時間のかかる作業で、なかなか発信していくのが難しいということだと思います。本当に一つのことを証明するのに非常に時間をかけてやらざるを得ないと。
今回の場合には、本当にリアルタイムにモニタリングをしながら接種の事業を進めていくというのは非常に難しいところですので、そういう意味で、私ももちろん結論があるわけではないのですけれども、かといって、その事象をあまり出さないようにしているというふうに誤解をされては本当にいけませんので、ある程度一定の時期、少し遅れながら結論を出していくということをちゃんと説明していくことがすごく大事かなと思います。
医学では本当に一つのことで因果関係を証明するのにものすごく努力と年月をかけて証明することが通常ですけれども、今回の場合にはそれを短い時間の中でやっていかないといけないということになりますので、そこのところも、やはり国民の方に理解していただく必要があるのではないかとすごく思います。
○森尾委員 貴重なコメントをありがとうございます。よろしいですかね。
ほかに委員の皆様、いかがでしょうか。
多屋委員、お願いいたします。
○多屋委員 私も、山縣先生、岡先生をはじめほかの先生方と全く同じ意見なのですが、この副反応疑い報告、そもそも予防接種後副反応報告であったのが、途中に予防接種後副反応疑い報告というふうに名前を変えた理由をもう一度思い出してみますと、この報告はあくまでもシグナルを探知するものであって、ワクチンとの因果関係が証明されたものではない。そこはしっかりと国民の皆様に説明をしていかなければいけないと思います。因果関係を証明して報告されているものではない。そこはきっちりしたほうがいいかなと思いました。
以上です。
○森尾委員 お願いいたします。
○事務局 多屋先生のおっしゃるとおりでございまして、今回も引用しておりますが、平成25年1月23日のところにも、基準に基づき報告された事象・症状については、必ずしも予防接種との因果関係が認められたものではなく、また、健康被害救済と直接結びつくものではないことに十分留意し、その点について広く国民に理解されるよう周知等に努める必要があるとされておりまして、この文言を受け止めているところでございます。
○森尾委員 ありがとうございます。
多屋委員、よろしいでしょうか。
○多屋委員 ありがとうございます。
○森尾委員 ほかにご意見はいかがでしょうか。
舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 簡単な質問になるのですけれども、今までの先生方のお話で、私もそういった方向で賛同いたします。副反応疑いの評価の前に公表するものについては、今までのご説明を聞いていると、死亡事例等について公表するという話になってくるのでしょうか。ほかの重篤な副反応疑いについても、誰が判断をして評価前に公表するというのを行うのか、判断が分かりにくかったので教えていただきたいと思います。
○森尾委員 これは死亡とアナフィラキシーとか、事務局のほうからお願いいたします。
○事務局 ご指摘の評価前に発表する事案についてですけれども、現時点では死亡事例やアナフィラキシーの症例を想定しております。
○森尾委員 舟越委員、よろしいでしょうか。
○舟越委員 分かりました。
○森尾委員 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
伊藤委員、手を挙げていただいていますでしょうか。お願いします。
○伊藤(清)委員 ちょっと細かいことで恐縮なのですが、資料3の6ページに海外の臨床試験の結果の副反応のことが書いてあるのですけれども、これをグラフにしたのは参考資料3の19ページから21ページまでが対応しているのかと思うのですけれども、例えば20ページの倦怠感というのがこの表で言えば疲労とか、ちょっと言葉が違うようではあるのですが、恐らくこれが対応しているのかなと思うのです。このプラセボ群というのが、参考資料の18ページを見ますと生理食塩水を投与されているということなのです。つまり、ポリエチレングリコールとかも入っていないただの生理食塩水が投与されていても、倦怠感ですとか頭痛がかなり同じぐらいの頻度で起きているということは、こういった副作用、副反応については、注射すること自体による反応と解釈されるということなのでしょうか。
併せて、その同じグラフ、例えば参考資料3の20ページのグラフを見ますと、一番右に解熱鎮痛剤の使用というのがあるのですが、これは予防的ではなくて、例えば痛みに耐えかねて解熱鎮痛剤を使用した例と解釈されるのでしょうか。1回目と2回目で結構、上の1回目に比べてプラセボ投与群のほうは2回目で減っているのですけれども、本剤を投与したほうは増えていたりもしますので、その辺りの解釈がもし分かればと思ったのですが。
○森尾委員 お願いいたします。
○事務局 倦怠感が注射によるものかどうかはよく分かりませんけれども、いわゆるこれもプラセボ効果というものを含めて、結果的にこうなったということだと理解しております。
それから、解熱鎮痛剤の使用については、特に予防的だというふうには聞いておりませんので、何らかの事象があったときに投与したというふうに理解しております。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
解熱鎮痛剤を飲めばというか、例えばですけれども市販のものを飲むとか、あるいは処方されたものを飲めば収まる程度の症状なのかとかいう情報がもしあれば安心できるかなとも思ったのですけれども、その辺りは何か情報がありますでしょうか。
○事務局 審査報告書によりますと、大抵のものが接種後2~3日に生じて、ほとんどは1日程度で治まったと記載されておりましたので、そこまで強いものではないと考えております。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
○森尾委員 それでは、先に長谷川委員からお願いします。その後、宮川委員に伺います。
○長谷川委員 今のところと関連しまして、例えば鎮痛剤の種類とかそういったもので注意すべきことというのは何か報告ございますでしょうか。例えばアスピリンでもいいのかとか、そこら辺の副反応、もしくはワクチンの効果に対する影響とか、鎮痛剤の種類によるものがもしございましたら、教えていただきたいのです。
○事務局 治験上は特にそれを規定しておりませんので、それについては一般的な解熱鎮痛剤ということになるのだと理解しております。
○森尾委員 それでは、宮川委員、お願いします。
○宮川委員 今の鎮痛剤のことなのですが、私は承認のほうに関わっていたものですから、そちらでお答えしたのですけれども、種類は全く関係ありませんでした。それから、どのような鎮痛剤でも、市販のようなものでも、海外のものでしたら関係ないということです。それから、タイミング的には接種した後に服用したということで了解していただければありがたいなと思います。服用してすぐ治まったというふうに考えていただければいいと思います。
○森尾委員 宮川委員、補足をありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、2番目の論点といたしまして、23ページ目に挙げられております高齢者や基礎疾患を有する者への接種についての考え方という点につきまして、ご意見、ご質問を承りたいと思います。いかがでしょうか。
濱田委員、お願いいたします。
○濱田委員 これは結構重要なところだと思うのですけれども、高齢者で基礎疾患を有する者への対応ということで、この論点の2番目のところに、諸外国でもワクチン接種の有益性が潜在的リスクを上回ることを示唆すると報告されているとなっていますけれども、この諸外国というのは、アメリカとかヨーロッパであって、日本の流行状況を考えた場合、感染者数が2桁ぐらい違うのですね。それをそのままこうした方々についても接種を提供すべきではないかと。もちろん私もそれを勧めはしますが、流行状況が違うという点をやはり何か一言触れておかないと、この書き方では、リスク・ベネフィットの考えというのがちょっとおかしくなるのではないかなと思ったのです。
ですから、高齢者が打つことは、私はもちろんある程度進めていいと思うのですけれども、欧米のデータはあくまでも参考である。日本の少なくとも10倍から下手したら100倍ぐらいの感染者が出ている国ではこうであるという考えをちゃんと持った上で、打つかどうか決めたほうがいいと思いますが、いかがなのでしょうか。この書き方は、ちょっとあまり、いいのかなと思った次第です。
○森尾委員 ありがとうございます。
諸外国の状況との違いという点につきましても、何らかの言及が必要ではないかというご意見と承りました。こちらはいかがでしょうか。
○事務局 先生ご指摘のとおりでございまして、ミスリーディングするような形で記載しておりまして、申し訳ございません。あくまでも我々は提供するという点で記載しておりまして、何かより強く打ってほしいといったメッセージではなくて、まず事実として提供するといったことが重要と考えております。
また一方で、先生ご指摘のとおり、ヨーロッパの感染状況と日本の感染状況は違う。そういった中でどのような判断をしていくかということについても検討していく必要があると考えております。
○森尾委員 では、そこら辺を修飾した形に宿題ということでよろしいですかね。どうでしょうか。若干の言葉を加えられるようなことができるかどうか。感染状況は異なるが等の言葉かと思いますが。
○事務局 高齢者、基礎疾患を有する者に対する接種についてということで、やはり予防接種の接種要注意者というところで、3ポツ目のところにありますように基礎疾患の状態が悪化している場合や、全身状態が悪い者等については、特に慎重に予防接種の適否を判断する必要があるといった形で注意喚起をすることと考えておりますが、そういった文言以上に何かすべきということのご意見等ございますでしょうか。
○石井委員 石井ですけれども、よろしいでしょうか。
○森尾委員 どうぞ。
○石井委員 今のところに関連いたしまして、いただいた資料に合併症とか全身状態とか雑ぱくな表現になっていると思うのです。そこの辺りは、多少なりともこれまでヨーロッパでもアメリカでも報告されているような何かケースをもって具体的に少し示してあげないと、やりにくいのではないでしょうか。そこまでは難しいでしょうか。
以上です。
○森尾委員 事務局、どうぞ。
○事務局 恐らく現時点で得られている情報として、特定の具体的な疾患がより危険だとかは示されていないと理解しております。一方で、そうした情報が入ってきましたら、迅速に皆さんに情報提供できるような形にしたいと考えております。
○石井委員 よろしくお願いします。
○森尾委員 ありがとうございます。
もう一度戻って、濱田委員からのご指摘、論点の2つ目のところですけれども、高齢者や基礎疾患を有する者について、諸外国でもワクチン接種の有益性が潜在的リスクを上回ることが示唆されると報告されており、諸外国の状況が違うのではないかというご指摘ですけれども、ここについて何か、どうでしょうか。どこか言葉を勘案するのか、これで読み込めるのかという濱田委員のご質問ということでよろしかったですよね。
では、山縣委員、まずどうぞ。
○山縣委員 今のご指摘は非常に重要な点で、文言をどうするかというのはにわかには出てこないのですが、ただ、一方で、やはり感染状況とリスクと、リスクの場合はどういう対策を取っているかによってリスクが全然変わってくると思うのですが、そのようなもので、やはりシミュレーションをやるなりしてそれなりの科学的根拠もどこかで並行して示しながらこういう問題を考えていくべきだと思うのですが、その辺りの準備は今、研究班等々でされているのでしょうか。
○森尾委員 いかがでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。
ご指摘にまとめてお答えする形になると思うのですけれども、感染症の感染拡大の度合いというのは、例えば再生産数とかそういったもので規定されるのだと思いますけれども、国内の様々な感染防止の御努力の結果として感染が相当程度抑えられているような面もあると思います。したがって、山縣先生がおっしゃるように、その疾患の性質という側面と国内の感染対策の行き届き考え方という側面と両方で今の流行状況を規定されているのだと思います。
いろいろなシミュレーションもなされていますけれども、シミュレーションはシミュレーションなので、何が正しいとか何が間違っているということではないと思います。もともとの濱田先生のご指摘については、確かにそのとおりだと思いますので、流行状況についてもしっかり勘案すべきだと思いますし、とはいっても感染対策を相当取らない限りは流行が非常に広まってしまうというようなこともほぼ共通認識になっていると思いますので、そういう観点から、ここでしっかり議論したということを記録にとどめていただいた上で、こうした方々に接種を提供すること自体にご異論がなければ、方針自体はお認めいただけるかどうかというようなところでご検討いただけないかと思います。
○森尾委員 ありがとうございます。
何らかの形でそこに言及するような方策を考えたいということでございます。方向性としてよろしいですかね。
多屋委員、お願いします。
○多屋委員 今のところなのですけれども、流行状況のこととは違って3つ目の○のほうなのですが、基礎疾患の状態が悪化している場合や全身状態が悪い者等については、特に慎重に判断するとなっています。ここは非常に難しい気がします。小児の定期接種でも基礎疾患の状態が悪化している場合は、その後どういうふうになるかが分からないので、接種は控えるというふうになっていたと思います。なので、まさしく今、基礎疾患の状態が悪化している、そして全身状態が悪いという場合はそれが改善するまで接種については見合わせたほうがよろしいのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○森尾委員 これはどこかに改善してから接種するようなことで記載があったような記憶がありますけれども、事務局、いかがでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。
趣旨としてはおっしゃるようなことだと思うのですけれども、結局、基礎疾患をどのように判断するかということだと思います。記載としては添付文書の上でも接種要注意者ということで、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種の適否の判断を慎重に行いといったことでございますので、機械的にこういう人だから接種を見合わせるべきという記載をすることがなかなか難しい領域ではありますけれども、注意を促した上で、先生がおっしゃるようなときには現場で医師の判断で見合わせていただくということになっているのだと理解しております。
○森尾委員 多屋委員がおっしゃる、改善してから接種するようなところ、ちょっと文言を見つけさせていただいて、そこら辺については周知をさせていただくという形でよろしいですかね。無理をしないでほしいというメッセージだと思います。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
倉根委員、よろしくお願いします。
○倉根委員 論点の3つ目の○なのですけれども、今ちょっと高齢者のことを考えてみると、高齢者の方は、恐らくインフルエンザワクチンを予想しての接種に、予想といいますかイメージとして接種される側からすればと思うのですが、恐らくインフルエンザのワクチンよりも発熱であったり、痛みであったりというのは少し多いのかなという気がしないでもありません。そのときに、やはりこのワクチンの開発の中で被接種者が考えるワクチンの副反応というのを、少し具体的に何かインフルエンザと、特に高齢者については比較するような形で示すことができないのかなというふうに思います。
もう一つは、海外での、国によって恐らく発熱であったり、痛みであったり、腫れであったり、そういうものに対する被接種者側の考え方は国によってかなり違うようにも思うのです。ですから、そこのところも、海外はこうであるというのをそのままやってしまうと、やはり誤解であったり、あるいは予想よりもというような形になりかねないのではないかと思うので、被接種者がイメージするものとの比較で、こういうものですよということをきちんと示した上で理解を求めることができるといいのではないかなと、個人的にはそのように思います。
以上です。
○森尾委員 ご指摘のとおりですね。
事務局から何かコメントはありますでしょうか。適切な情報提供ということで、しっかりと事実を認識していただくということだと思いますが。
○事務局 事務局で用意しようと思っている資料の中に、接種を受けた方々に対して副反応、想定される有害事象の頻度といったものを分かりやすくお示しするようなものを考えております。なかなか何かのワクチンと一概に比較するということは難しい面もあるのですけれども、分かりやすい表現を工夫していくということについては、やっていきたいと思います。
○倉根委員 よろしくお願いします。
○森尾委員 宮川委員、お願いします。
○宮川委員 宮川です。
今までの委員、濱田委員、多屋委員を含めておっしゃっていたのは、無理してすることではないというふうにさせないと、掘り起こしてしまうこともあるのだろうなと。ですから、本当はやれる人をどんどん増やしたいのですよ。やれない人は、ちょっと時期をずらしてでもやっていこうというふうに、そのほうが理性的なのですね。ですから、やれる人をたくさんさせるためには、どのような方策を立てていくのか、どのような文言でお示ししていったほうがいいのかということを考えないと、かえってブレーキが途中でかかってしまうということが非常にもったいないのだろうと思うのです。ですから、今までの委員が言ってくださっていたことは多分そのようなことを懸念されていたのだろうと思いますので、ぜひ適切な文言を選んでいただければ幸いかなと思います。
以上でございます。
○森尾委員 どうもありがとうございます。こちらはメッセージで何らかの形で残したいと思います。
今、佐藤委員、手を挙げていただいていますでしょうか。
○佐藤委員 先ほど、一番最後のページの判断するという言葉が非常に難しいというお話が出ていましたけれども、結局、最終的に決めるのはご本人で、医師がそのときに適切なご注意をできるかどうか。判断するというところは、ご本人に判断してもらうためにいかに情報を提供するかということになるかと思うのですけれども、それでいいのですよね。私の理解でいいですか。
○事務局 はい。医師の判断、ご本人の判断、両方あると思いますけれども、両方の判断が一致をして、接種をするということになろうかと思います。
○佐藤委員 その両方がということですよね。ただ、例えばすごく、ご本人がどうしても受けると言ったときに、やめたほうがいいというのはできるのですよね。
○事務局 おっしゃるとおりです。
○佐藤委員 それはそれとして、ちょっと気になったのは、資料3の22ページの添付文書の内容が定期接種に比べて要注意者という文章がかなり具体的なのですね。実際、こういう薬を飲んでいる方というのがすごく書いてあって、多分ここまで書いてくださると、一般の方も自分のことかもしれないというのがすごく分かりやすいかなと思ったのです。でも、なかなか自分でワクチンの添付文書をわざわざ読むということはないかもしれない。こういったものを一般の方に周知するような工夫は、何かアイデアみたいなものは今後あるのでしょうか。要注意者というところは非常に重要かなと思って資料を拝見していました。いかがでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。
予防接種を受けるまでの仕組みを概略ご説明させていただきますけれども、予診票というものに、こういった要注意者に該当するかどうかという予診の助けになるような質問項目を設けておりまして、それに書いていただくのですけれども、その前提として、予防接種に関する説明の簡単な紙をお渡しさせていただくことを考えています。そこには要注意者、不適当者といった方々の内容も書いてございますので、それをご覧いただくことが一つの手がかりになると思います。
例えば抗凝固薬といった薬の例示がなされておりますけれども、これについては要注意者となっていますが、接種ができないということではなくて、接種後に筋肉の中で血が止まりにくくなることから注意をしてくださいということでございますので、そういったことにつても、そういった説明の中で記載をしていきたい、あるいは分かるようにしていきたいと考えています。
○佐藤委員 その予診票は、受けに行ったその日に見るのですよね。
○事務局 自治体の実務によって、どちらの例もあるというふうに承知をしております。今日この後、予診票が決まる形になりますので、そこから間に合う場合には、事前に送付される場合もあるというふうに聞いております。
○佐藤委員 なるべく早いほうがいいかなと思ったので、お願いしたいと思います。
○森尾委員 佐藤委員、ありがとうございました。
伊藤委員、手を挙げていただいていますでしょうか。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
そういった判断するために、やはり日本人の高齢者ですとか基礎疾患のある方での情報が今後重要になってくると思うのですけれども、医療従事者の優先接種という370万人程度の中に、ものすごく高齢者とかものすごく重篤な基礎疾患のある方はいらっしゃらないにしても、ある程度の年齢の方ですとか、基礎疾患のある方もいらっしゃるのかなと思うのですが、そういった情報を少し集めて、一般の方が打つまでに情報を集積していくということはできないのでしょうか。
○事務局 医療従事者が接種される時期にも様々な副反応疑い報告が出てくると思います。また、先行接種者に関しての健康調査も行ってまいります。そういった報告の中で基礎疾患のある方が接種をされた場合には、そういうことも含めて情報が出てくると思いますし、そういったことも含めて評価をしていただくことになるのではないかと思います。
○伊藤(清)委員 たしかこの間の話で、システム上、4月まででしたか、分母が分からないとかいうお話があったかと思うのですが、年齢ですとか基礎疾患の情報に絡めたそれまでの副反応の情報というのは集る予定なのでしょうか。
○森尾委員 事務局お願いします。
○事務局 ご指摘の点については、もちろん今回の先行接種を受けられた方については副反応が出ればこちらに上がってきますので、その結果というのは何らかの形で公表して、それを踏まえて必要な情報提供はするということになると思います。
もちろん治験とは違いますので、治験並みのクオリティーがどうかと言われると若干そこは違うのだろうと思います。ただ、いずれにせよ、そういうことを踏まえて何らかの情報提供をするということは、続けてやっていくことになるのだと理解しております。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
○森尾委員 医療従事者でもそれなりに高齢の方はいらっしゃるのではないかと個人的には思います。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
様々なご意見を頂戴いたしましたので、議論された内容をまとめさせていただきたいと思います。文章でお示しできないので、よく聞いていただいて、私が逃している点があれば、ぜひご指摘ください。
まず、副反応疑い事例は、本部会で評価され公表されるのが通常ですが、評価する前の段階で公表する場合には、副反応疑い報告が偶発的事例やその他の原因のものも含まれているものであることに十分留意し、発表の時点で、前後関係を因果関係と誤認されないように注意して情報を発信する必要がある。1点目でございます。
そして、偶発的事例や他原因による事例か、接種との因果関係のある事例かについては、症例に関する情報収集、諸外国も含めた症例の集積、そのほかの科学的知見などを基に、当審議会で評価を行い、可能な限りの情報発信を行っていくことが適当である。
続きまして、高齢者や基礎疾患を有する者については、諸外国でもワクチン接種の有益性が潜在的リスクを上回ることを示唆すると報告されており、こうした方々についても接種を提供するべきである。ただし、こちらについての諸外国の感染状況、流行状況に関するような点について、言及をしておくべきだというご意見がありましたので、この点について承っておきたいと思います。
続いて重要な点でございますけれども、接種の判断は個人のリスク・ベネフィットを勘案し、本人の同意に基づいて行うことが基本であるが、基礎疾患を有する者のうちでも、基礎疾患の状態が悪化している場合や全身状態が悪い者等については、特に慎重に予防接種の適否を判断する必要があることについて、注意喚起をすることが妥当である。ここでご意見をいただきましたのは、特に基礎疾患の状態が悪化している、全身状態が悪い方については、無理をされず、その後改善をするなどの状況を見て、それから時期をずらして接種するという点についてのメッセージが必要ではないかということを承りました。
そして、リスクコミュニケーションについてもいろいろと状況、ご意見を賜りましたので、副反応に対する適切な情報提供、分かりやすく提示するということについて、留意させていただくという点を意見として承りました。
このようなことでよろしいでしょうか。何か追加事項等ございましたら、承りたいと思いますがよろしいですか。どうもありがとうございました。
そのほか、資料3についてご質問、ご意見ございますでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、資料3につきましては終了させていただきますが、そのほか全体を通じて何かご意見、ご質問があれば承りたいと思います。いかがでしょうか。
○濱田委員 非常に基本的なことを伺って申し訳ないのですけれども、多分この前のワクチン部会で話があったのかと思うのですが、このワクチン、今回のコミナティは、扱いとして不活化ワクチンと同じような扱いになるのですか。今までに全くないワクチンなわけなので、例えば同時接種に関することとか、ここで話す話ではないけれども。
○事務局 そちらの点は、先ほどの分科会でも話題になりまして、不活化ワクチン、生ワクチンといった観点を別にして、他のワクチンとの接種間隔については、13日以上の間隔を置いて接種することを原則としたいということで了承が得られました。これは米国では2週間以上空けましょう、そして同時接種は避けましょう。イギリスにおいても1週間以上空けましょうといったことを踏まえ、また、今回まだ情報が集積していない状況ですので、そういった間隔を空けて接種することを原則とするということで決まりました。こちらでお答えになっているでしょうか。
○濱田委員 ありがとうございます。
○森尾委員 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
長谷川委員、お願いします。
○長谷川委員 昨日、添付文書のほうが公開されましたが、それに日本人での治験のものが出ていたと思います。それで、やはり疼痛や疲労などでグレード3以上のものが1%以上出ているということなのですけれども、海外の基準でグレード3というと麻薬系の鎮痛剤を使わないと抑えられないような痛みということですが、国内のほうでもやはり麻薬系のものでないと抑えられないほどの痛みという理解でよろしいのでしょうか。
○森尾委員 情報はありますでしょうか。
○長谷川委員 1%以上でそのような痛みだと、やはり軽度とは言えないかなと感じましたので。
○事務局 麻薬を含めたどのような鎮痛剤をどこまで投与したかということに関して、プロトコールにおいては解熱鎮痛剤を投与することが可能とされているだけであります。特段そこにおいて麻薬を投与するというルールにはなっておりません。
○長谷川委員 海外だと基準がそのようになっていますよね。
○事務局 海外の治験ででしょうか。
○長谷川委員 米国の治験で。
○事務局 申し訳ございません。今すぐ治験に関する詳細な情報を持ち合わせておりません。治験において発生した副反応は治験とは別に治療が行われることになりますが、現時点で詳細を把握できておりあせん。調べさせていただいて、また別途先生にご説明申し上げる形でよろしいでしょうか。
○長谷川委員 お願いします。でも、1%以上となると、100人で1人だとちょっと多いのかなと思ったもので。
○森尾委員 ありがとうございます。
会の終わりまでに何かがあればお伝えしたいと思います。
ほかにいかがでしょうか。
舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 先ほど質問し忘れたのですが、審議に関わることではないのですが、先行接種のほうが厚生科学研究で行われるということで、プロトコルみたいな、今回概要だけは見させていただきましたけれども、詳細なものは使用後の評価ではなくて、評価の前に、始まる前に公表はされるのでしょうか。ちょっと見させていただきたいなと思ったので、コメントまでです。
○森尾委員 いかがでしょうか。先行研究の公表の時期でございます。
○事務局 すみません。今、持ち合わせていないので、確認した上で先生にご連絡させていただきます。
○舟越委員 ありがとうございます。現場的には、先ほど宮川先生がおっしゃっていたように、解熱鎮痛剤もどれでもいいとか、その辺に関しても、アセトアミノフェンを使うべきなのか、どういったものなのかということも現場のドクターたちは非常に気にしておりますので、治験のデータもそうですが、厚生科学研究のほうでプロトコルをつくられているのであれば、そちらも参考にさせていただきたいなと思いました。先行接種に関しての途中で370万人への医療従事者の投与が始まるので、できるだけそういった情報を現場に伝えていくべきだと思いましたので、コメントまでです。
以上です。
○事務局 ありがとうございます。
ご指摘の点に関して申し上げると、介入研究ということではなくて、生じた健康状況について調査をするものですので、何か使う解熱剤が決まっているとか、そういう性質の調査ではないということだけ、ここでお答えさせていただきます。
○舟越委員 ありがとうございます。
○森尾委員 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、ちょっと長時間になりましたが、本日の議事は以上で終了となります。
事務局から何かございますでしょうか。
○事務局 本日は長時間にわたり活発にご議論いただきまして、ありがとうございました。
次回の開催につきましては、日程調整の上、日時についてご連絡さしあげます。
○森尾委員 ありがとうございました。
それでは、本日の会議を終了させていただきます。活発なご討議をありがとうございました。これからが本番だと思いますが、どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。