2021年2月12日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和3年2月12日(金)18:00~
 

出席者

出席委員(20名)五十音順

欠席委員(1名)

(注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人2名

行政機関出席者
 

  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  中井清人(医薬安全対策課長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
  •  山田雅信(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
  •  林直治(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員(再生医療製品・ワクチン等審査部門担当)) 他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」のウェブ会議を開催させていただきます。
本日は、お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。
このたびの部会につきましても、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、ウェブでの審議とさせていただいております。
本日のウェブ会議におけます委員の出席につきましては、山口委員より御欠席との御連絡をいただいております。
したがいまして、本日でございますが、現在のところ、当部会委員数21名のうち、20名の委員がこのウェブ会議に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
なお、本日でございますが、審議事項議題1・2に関しまして、川崎市健康安全研究所所長であります岡部信彦先生、東京医科大学病院渡航者医療センター教授であります濱田篤郎先生に参考人として御参加いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、部会を開始する前に、恒例によりまして、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告させていただきます。
薬事分科会規程第11条におきましては、委員、臨時委員または専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員、または当該企業から定期的に報酬を得る顧問などに就任した場合には辞任しなければならないと規定されております。今回、全ての委員の皆様から薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告をさせていただきます。
委員の皆様には、会議開催の都度、署名を御提出いただいておりまして、御負担をおかけしておりますけれども、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
また、本日のウェブ会議に際しましても、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者におきましては、マスクを着用したまま説明をさせていただいております。どうぞ御了承いただければと思います。
それでは、清田部会長、以後の進行をお願いいたします。
○清田部会長 それでは、事務局から審議の進行方法の御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。
本日はウェブでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がございますので、審議の進行方法について御説明をさせていただきます。
審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願いいたします。その後、部会長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言をお願いします。
なお、発言者が多い際には、発言されたい委員がメッセージに御記入いただくことで、部会長より発言者を順番に御指名いただけます。適宜メッセージ機能も御利用いただければと思います。
○清田部会長 これまでの御説明に御質問、御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本日の審議に入ります。
まず、事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、本日のウェブ会議に係る資料の確認をさせていただきます。
本日は、あらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料No.1-1から資料No.2、参考資料1と製剤写真を用いますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。
このほか、資料No.3として審議品目の薬事分科会における取扱い等の案を、資料No.4としまして専門委員リストを、資料No.5としまして競合品目・競合企業リストを事前にお送りさせていただいております。
なお、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申しつけください。
続きまして、本日のウェブ会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。
資料No.5を御覧ください。
本日の審議品目「コミナティ筋注」でございますが、本品目はSARS-CoV-2による感染症の予防を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
今の事務局からの御説明に特段の御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本ウェブ会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の御了解をいただいたものといたします。
それでは、委員からの申出状況について御報告をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。
薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申出状況及び第5条に基づく取扱いについては、次のとおりでございます。
議題1「コミナティ」でございますが、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、亀田委員、川上委員、松下委員、南委員、宮川委員、山本委員でございます。
また、議題2についても、各委員より寄付金・契約金等の受取りの申告をいただいておりますが、本議題は薬事分科会審議参加規程18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で申告書を公開することをもって、審議及び議決に加わることができるものとなっております。
以上です。
○清田部会長 今の事務局からの御説明に特段の御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
よろしければ、皆様の御了解をいただいたものといたします。
本日は審議事項2議題となっております。
それでは、審議事項の議題に移ります。
議題1及び議題2につきまして、機構及び事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○説明者 議題1、コミナティ筋注の製造販売承認の可否等について機構より御説明いたします。
資料No.1のフォルダを開き、資料No.1-1「特例承認に係る報告書」のファイルをお開きください。
本説明中にお示しするページ数は、各ページの下段に青色で記載の71分の○の数字を使用します。
本品目は、医薬品医療機器等法第14条の3に規定された特例承認に該当する品目として取り扱いました。
本剤は、改変したSARS-CoV-2のSタンパク質をコードするmRNAであるトジナメランを有効成分とし、トジナメランの生体内での分解を抑制し、細胞内への導入を可能とするために脂質ナノ粒子に封入したワクチンです。細胞内に導入されたトジナメランからSタンパク質が産生され、液性免疫及び細胞性免疫を誘導することで、SARS-CoV-2による感染症の予防効果を発揮すると考えられています。
本剤は、2021年1月31日時点で34か国で条件付き販売承認、25か国で緊急供給の仮承認が取得されています。
本品目の専門委員として、資料No.4に記載の10名の委員を指名しました。
主な審査内容について御説明いたします。
本剤の有効性は、COVID-19の発症予防効果を評価した海外臨床試験C4591001試験(以下、海外試験といいます)に加え、免疫原性を評価した国内臨床試験C4591005試験(以下、国内試験といいます)に基づき審査いたしました。
報告書31ページを御覧ください。海外試験では、COVID-19の発症予防効果を検討することを目的として、4行目と5行目のポツで示した2つの集団でのCOVID-19発症例に基づくVaccine Efficacy(以下、VEといいます)を主要評価に設定して有効性が評価されました。1つ目、VE1は治験薬接種前から2回目接種後7日以前にSARS-CoV-2感染歴がない被験者でのVE、2つ目、VE2は2回目接種後7日以前のSARS-CoV-2の感染歴を問わない被験者でのVEです。
同じ31ページの下のほう、表13、右から2つ目の列にVE1とVE2の結果を示しています。上段、感染歴がある集団のVEであるVE1は95.0%、下段、感染歴を問わない集団のVEであるVE2は94.6%であり、事前に規定されたVE30%を上回る事後確率はいずれも99.99%を超え、有効性の基準として設定された98.5%を上回りました。
続いて、免疫原性の結果について40ページを御覧ください。ページの下段、表20に海外試験、表21に国内試験の結果を示しております。治験薬2回目接種後1か月のSARS-CoV-2血清中和抗体価の幾何平均抗体価GMT及び幾何平均上昇倍率GMFRを示しています。なお、表21、国内試験の結果について、専門協議時には国内試験の主要解析の対象集団である評価可能免疫原性集団の試験成績は解析中であったため、先に提出された全評価免疫原性集団の結果で検討を行いました。その結果、国内試験における本剤接種後のGMT及びGMFRは、海外試験の結果と比較して、いずれの年齢層でも同程度以上の値を示しました。
また、その後、国内試験の主要解析対象集団の結果が提出されました。詳細な説明は割愛しますが、先ほど述べた結果と同様であったことを確認しています。結果は報告書の63ページ表29に示しています。
以上より、機構は、海外試験成績から本剤のCOVID-19の発症予防効果は示され、免疫原性について国内試験で海外試験よりも同程度以上であったことから、日本人においても海外試験と同様の有効性が期待できると判断いたしました。ただし、長期の有効性データは得られていないことから、臨床試験などから引き続き情報収集する必要があると判断いたしました。
続いて、変異株に対する本剤の有効性について御説明いたします。
19ページを御覧ください。3.R.2項に非臨床の検討について記載しています。20ページの図1に示すSARS-CoV-2のSタンパク質のアミノ酸変異(例えば最も高頻度で確認されているD614G変異を含む)に対する本剤の中和作用が確認されました。これに加え、図1の下の文章に記載していますが、イギリスや南アフリカで報告された変異株に含まれるアミノ酸変異N501Y、K417N、E484Kなどについても同様の方法で本剤の中和作用が確認されています。これらの2021年1月27日時点の情報において、流行している種々の変異株に対して本剤の一定の有効性は期待できると判断いたしました。ただし、今後新たな変異株が出現することなども想定されるため、変異株に対する有効性や変異株の流行状況については製造販売後も引き続き情報収集し、新たな知見が得られた場合には適切に情報提供するなど対応する必要があると考えます。
続いて、本剤の安全性について御説明いたします。43ページから「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。
まず、臨床試験で認められた主な有害事象について御説明いたします。臨床試験では、治験薬接種後7日間、ワクチン接種による特徴的な局所反応及び全身性の事象が被験者日誌により収集されました。
44ページの表22に海外試験の結果を、45ページの表23に国内試験の結果を示しています。日誌により収集された症状は、表の左から2列目に示している各事象です。海外試験、国内試験のいずれでも、本剤接種後、多くの被験者で注射部位疼痛、疲労、頭痛などの局所反応、全身性の事象が認められました。ほとんどの事象が軽度または中等度であるものの、一部グレード3以上の事象も認められました。
事象の発現時期については、45ページの表23の下の段落に記載しています。国内試験で、局所反応は多くが接種当日から3日目に認められ、ほとんどが発現から1~3.5日後までに消失しました。全身反応は多くが接種2~4日目に認められ、ほとんどが発現から1日後までに消失しました。なお、臨床試験では、これらの事象が認められた場合、解熱鎮痛剤の使用は可能とされていました。
また、局所反応及び全身反応の接種回別及び年齢別の発現状況について、46ページの表24と47ページの表25に海外試験と国内試験の結果をそれぞれ示しています。1回目接種後よりも2回目接種後に高年齢層よりも非高年齢層の被験者で発現割合が高いことが確認されました。
有害事象については、治験薬接種後7日間の被験者日誌による収集以外に報告されたもののほか、治験薬接種後1か月までの有害事象についても確認されていますが、治験薬接種後7日間に認められた事象とおおむね同様でした。
以上、臨床試験で認められた事象は忍容可能であるものの、グレード3以上の全身性の事象や37.5℃以上の発熱が一定の割合で認められており、これらは日常生活に影響を及ぼす可能性があり、被接種者にとって重要な情報であることから、医療従事者や被接種者に情報提供する必要があると判断しました。また、副反応の発現時期や持続時間、症状発現時の対応、医療機関の受診や解熱鎮痛剤の使用に関する説明についても資材で情報提供される予定です。
次に、53ページを御覧ください。7.R.3.7項に海外における使用許可後または製造販売後の安全性情報について記載しています。
このうち、本剤接種時に特に注意が必要と考えるアナフィラキシーを含むアレルギー反応について御説明いたします。55ページの5段落目、ページの中頃ですが、「米国では」で始まる段落を御覧ください。米国での使用許可後のアレルギー反応に関する報告について記載しており、1回目の接種を終えた約190万例の接種に対し、21例のアナフィラキシーが報告されたことなどを記載しています。そのほか、報告書の中で申請者が把握した使用許可後のアナフィラキシーや重篤なアレルギー反応に関する報告については、同じ55ページの2段落目、「また」で始まる段落などに記載しています。
また、臨床試験での発現状況は49ページの7.R.3.2項に記載しています。
使用許可後に報告されたアナフィラキシーを含むアレルギー反応については重篤例も報告されており、これらの発現については添付文書で注意喚起するとともに、接種前には過敏症の既往歴などを確認し、本剤の成分により重度の過敏症の既往歴がある人に対しては本剤の接種は避けること、また、接種後一定時間は被接種者の状態を観察することが望ましい旨を情報提供する必要があると判断しました。加えて、資材では、アナフィラキシーの発現時期や症状(例えば、具体的な皮膚症状、消化器症状、呼吸器症状)、発現時の対応などについても、医療従事者、被接種者などに情報提供する必要があると判断しました。
次に、基礎疾患を有するフレイル患者での報告について、54ページの下から2ポツ目に記載しています。主な事象は頭痛、疲労などの臨床試験で主に報告されている事象と同様でしたが、複数の死亡例が報告されています。死亡については基礎疾患などの影響も想定され、本剤接種との因果関係は不明であることから、今後集積される情報に基づき引き続き検討が必要と考えます。一方で、基礎疾患を有する人はCOVID-19の重症化リスクが高い人が含まれ、COVID-19の予防の必要性が高いと想定されることから、これらの患者に対しては医師が接種前の診察等に基づき、本剤接種のベネフィットリスクを考慮した上で接種可否の判断を行うとともに、被接種者の同意の上で慎重に接種する必要があると判断しました。
次に、疾患増強リスクについて、52ページ、7.R.3.6項を御覧ください。本剤接種後の免疫応答により、SARS-CoV-2感染時の症状がワクチン非接種時よりも増強するリスク(以下、疾患増強リスクといいます)について、ヒト及び動物での本剤接種後の血中サイトカインの発現から、本剤接種による疾患増強リスクは低いと想定されるものの、臨床試験ではCOVID-19発症例や重症例が少なく、長期のデータも得られていないことから、現時点では疾患増強リスクについて十分に評価されている状況ではなく、製造販売後も海外試験のフォローアップや公表文献を含め、引き続き検討が必要と考えます。
以上より、本剤の安全性に関して、臨床試験及び海外の使用許可後または製造販売後の情報から、本剤接種に際して注意が必要な事項はあるものの、適切な注意喚起・情報提供の下で使用されることを前提として、本剤の安全性は忍容可能と判断いたしました。しかしながら、本剤接種後、長期の安全性データは今後得られること、また、本剤は国内外で多数の人に接種され、多くの情報が蓄積されることから、今後も継続的な安全性評価が必要と考えています。
最後に、本剤の品質に関して、一部の情報が限られているものの、本剤の緊急性に鑑みて、承認条件を付して対応することが適切と判断した点について御説明いたします。
まず、原薬及び製剤の有効期間について、いずれも海外で設定されている有効期間と同じ6か月と設定して申請されました。機構は、通常、有効期間6か月を設定する場合には、ICHガイドラインに例示されている3ロット、6か月のデータに基づき判断する必要があると考えています。
12ページを御覧ください。表2に原薬の安定性試験を示しています。実際の保存温度マイナス20℃における安定性データについて、現時点で6か月のデータが得られているのは、規格試験のうち一部の項目のみが実施されたもの、かつ1ロットのみであり、必要な規格試験が実施されているロットは3か月までのデータです。
次に13ページを御覧ください。表3に製剤の安定性試験を示しています。こちらも現時点で6か月の安定性データが得られているのは2ロットであり、ほかは3か月までのデータです。
15ページの2段落目、「機構は」で始まる段落を御覧ください。ただいま御説明したとおり、機構は原薬及び製剤について6か月までの安定性を確認するのに十分なデータは得られておらず、さらに追加の情報が必要と考えています。しかしながら、本剤は各国共通の原薬から製剤が製造され供給されております。原薬及び製剤の有効期間を海外と異なる設定にすることは、製造管理及び流通管理の上で支障となり、日本に供給されるロットや数量に影響する可能性があることから、現在のCOVID-19流行状況及び本剤の社会的必要性に鑑み、現時点で提出された安定性試験データにおいて原薬及び製剤の安定性に問題がないことを確認の上で、原薬及び製剤の有効期間を海外の有効期間と同じ6か月と設定することはやむを得ないと判断しました。
次に、製剤のプロセスバリデーションについて、66ページ、1.5.1項を御覧ください。製剤のプロセスバリデーションの成績については審査中には提出されず、2021年○月に得られる予定です。本来であればプロセスバリデーションの成績をもって本剤が恒常的に製造できることを確認する必要がありますが、現在のCOVID-19流行状況及び本剤の社会的必要性から、恒常的に製造できることの確認が事後的になることはやむを得ないと判断いたしました。
現在実施中である原薬及び製剤の長期保存試験の試験成績及び製剤のプロセスバリデーションの成績について、取得後、速やかに機構に提出することについて、申請者は適切に対応すると回答しています。
総合評価について、68ページに記載しています。
以上の結果、機構は、総合評価に記載した承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原体及び製剤は劇薬に該当し、また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会は報告を予定しております。
なお、報告書に誤記がございました。修正内容は1ページ目に提示しているとおりです。本修正による審査への影響はないことを確認しています。
審査内容の御説明は以上ですが、本剤の保存及び輸送に関する参考情報について御説明いたします。
本剤はマイナス90℃~マイナス60℃の超低温での保存が規定されており、輸送の際も既定の温度を保持して接種施設に輸送する旨、申請者は説明しています。一方で、本剤は全国で広く接種されることから、保存や輸送についての運用が国や自治体で検討されている状況と理解しています。審査で評価したデータとは別の参考情報となりますが、御紹介いたします。
まず保存について、静置下で、○○○○○℃~○○○○○℃の条件で○か月、及び○○○○○℃前後の条件で○か月の安定性試験成績が示されており、結果が得られている範囲では大きな変化はありませんでした。また、食品用などで使用されるマイナス60℃の冷凍庫が本剤の保存に使用可能かと事前に御意見をいただいていますが、こちらについて、冷凍庫内の温度管理が適切に行われていることを事前に確認した上であれば、マイナス60℃設定の冷凍庫における短期間の保存は可能と考えます。
次に、輸送について、○℃~○℃の条件で○○○○輸送を想定した振動下で○時間輸送した場合、結果が得られている範囲では規格を満たしていたというデータがあります。また、イギリスなどでは2℃~8℃での輸送を政府がオペレーションに組み込んでいるという情報も申請者から得ています。
なお、ただいま御紹介した参考情報については、ロット数や試験項目が少なく、限定的な情報であり、機構は本剤の保存条件はマイナス90℃~マイナス60℃とすることが適切と判断していることに御留意ください。
議題1の御説明は以上です。
○事務局 続きまして、議題2、生物学的製剤基準の一部を改正することの可否について、事務局より御説明いたします。
資料2の1ページ目の「1.改正の趣旨」を御覧ください。
医薬品医療機器等法第42条第1項に基づき、保健衛生上特別の注意を要する医薬品等について、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、必要な基準を設けることができるとされており、生物学的製剤基準において、ワクチン、血液製剤等に係る基準を定めています。
今回は、コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)を追加する改正を行います。
本基準については、エンドトキシン試験等はほかの基準と同様のものですが、RNA含量試験や脂質含量試験などが特有のものとなっています。
なお、参考資料1として「検定基準の一部改正について」をつけております。本剤を国家検定の対象医薬品として指定することについて、こちらの資料に記載しております。内容については、製品特性も踏まえつつ、国立感染症研究所の専門家にも意見を伺い、SLP(製造・試験記録等要約書)、つまり、書類審査による品質確認の方法としております。
なお、これらの告示についてですが、現下の新型コロナウイルス感染症の発生の状況に対処するため、緊急に定める必要があるところ、行政手続法上の法益上緊急に命令等を定める必要がある場合に該当することから、ひとまず意見公募手続を行わずに告示を発出することを考えております。
また、本部会の後、薬事分科会に報告を予定しております。
以上、御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○事務局 事務局より追加で御紹介をさせていただきます。
冒頭にも御紹介いたしましたが、本議題については岡部参考人、濱田参考人のお二人にお越しいただいております。
○清田部会長 では、参考人の先生から本議題につきまして御発言をお願いいたします。
まずは岡部先生から御発言をお願いいたします。
○岡部参考人 ありがとうございます。参考人の川崎市健康安全研究所の岡部です。
専門家協議のほうでも議論を行ったわけですけれども、現在の成績と国内の成績と海外データも参考にし、加えて、現状の新型コロナの流行状況から考えて、このワクチンを承認するということには異議がありませんでした。
ただ、幾つかの問題点、例えば疾患増強(ADE)の問題であるとか、あるいは長期間の効果、安全性については当然フォローをしていかなくてはいけないのですけれども、特に副反応のほうではアナフィラキシーが生じること、また、さらに緊急的な対応を要するものですので、接種後一定時間様子を見るといったこと、これはさっきのアナフィラキシーの出現にもよりますが、15分から30分は様子を見ていただきたいとか、あるいは、ワクチン接種のときは必ずボスミンであるとかエピペンといったものを、通常、小児の定期接種では置いてあるわけですけれども、そういったものの設備も必要ではないかと思います。これは承認事項というよりは、実際の治療の現場においてのことだと思います。
それから、保存条件による安定性のプレリミナリーなデータということで御紹介があったのですけれども、今後実際の使用に当たってどういうようなやり方がいいかということの参考になりますので、これはぜひフォローをお願いしたいなと思います。
1点、協議会のときにきちんと発言していなかったのですけれども、対象者として新型コロナウイルス感染症の既往者はどうするかという議論はどこかで要るのではないかなと思いました。
それから、副反応で、製剤そのものによる副反応のほかに、WHOの会議などで議論が行われた、接種をすることによる緊張感、不安感に伴う反応、Immunization stress-related response、ISRRというようなこと、マニュアルも最近出しているのですけれども、そういったことに対する注意も啓発としては必要だろうと思います。
最後に2点なのですけれども、これも承認に関わることではありませんが、変異株が出てきたときに、それを遺伝子的に従来のものと入れ替えることは技術的には難しくないだろうと思うのですが、それについての承認を我が国としてはどうするのか、あるいは海外ではどうするのかといった議論を始めておいたほうがいいだろうと思います。
最後に教えていただきたいのですが、今日、これで薬事審議会でもし承認ということになった場合に、いただいた情報の中で私たちはどの程度の情報を公表データとして使えるのかどうか。それでないと、何も知りませんというわけにもいかないし、全て今はこうですと言うわけにもいかないと思いますので、その辺を教えていただければと思います。
以上です。ちょっと長くなって失礼しました。
○清田部会長 皆さん、ごめんなさい。亀田先生から50分に退室されたいという御希望がありまして、何か御質問があるようなので、先に亀田先生から御質問を承りたいと思います。それでよろしいですか。
どうぞ。
○亀田委員 清田先生、ありがとうございます。
臨床免疫学の立場から有効性と安全性1つずつということなのですけれども、まず有効性に関して、36/71ページの表16で中和抗体価のデータを見ると、1回の接種ではほとんど抗体は産生されない。でも、その次のページの図2を見ると、臨床的な効果は1回目の接種から10~14日ぐらいで認められている。この間のギャップということに関してどのようにお考えか。例えば細胞性免疫とか、あと、それは短期的なものと考えられるのか。これが1点です。
2点目は安全性なのですけれども、疾患増強リスクというものがTh2に関連するとなると、これからまさに花粉症のシーズンになって、その場合に特にそういったことが起こりやすくなるという懸念がないかどうか、この2点です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 どうぞ。
○説明者 御質問ありがとうございます。機構よりお返事申し上げます。
先生御指摘の36ページ目の表16、海外第Ⅰ相試験の結果から、中和抗体価は2回目接種後7日時点で顕著な上昇が認められています。一方、37ページ、図2のカプランマイヤー曲線では、1回目接種後、14日目頃から本剤群とプラセボ群の結果に乖離が生じ始めております。ただ、現時点でこれを説明できる材料は持ち合わせておりません。細胞性免疫の測定は1回目接種前と1回目接種後28日目であり、その間の経時的な推移の検討は行われておりません。
これ以上の御説明は、今、データがないという状況でございます。
以上でございます。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○亀田委員 ありがとうございます。
○説明者 続けて、2点目についてお返事申し上げます。
ADEの話ですけれども、こちらも現時点で本剤投与による疾患増強リスクの有無は不明ですが、疾患増強はSARS-CoV-2に対する免疫原性によって引き起こされるものと考えられています。ただし、御指摘いただいた外的要因によるTh2活性状態での本剤の疾患増強リスクについては、直接的な評価は行われておりません。
こちらも御説明は以上でございます。
○清田部会長 亀田先生、よろしいでしょうか。
○亀田委員 ありがとうございました。御高配すみません。失礼いたします。
○清田部会長 それでは、岡部先生から御質問をいただいてしまっているのです。
岡部先生、音声が小さくて聞き取れない部分がありまして、もう一回御質問を繰り返していただけますか。大きな声でお願いしたいです。
○岡部参考人 失礼しました。
質問として最後に言いましたのは、今回の審議会が終わると、これで承認するかしないかということになるのですけれども、承認するということになった場合、質問が来る可能性があるのですけれども、資料としていただいているものについてどの程度まで私たちは公開資料として持てるのかどうかということをお尋ねしたかったのです。あとはコメントでした。
以上です。
○医薬品審査管理課長 審査管理課の吉田でございます。
審査資料につきましては、承認後、できるだけ速やかに公表をさせていただきたいと思っております。したがいまして、時間的には、承認のタイミングでございますのでそれ以降という形になりますけれども、審査報告書あるいは申請資料の中で企業秘密に該当する部分はマスキングされた形でオープンになります。それらはPMDAのホームページでできるだけ速やかにオープンにしますので、その内容を御確認いただいて、企業秘密に該当しない範囲内のところでお答え等いただければよろしいかなと思っております。
○岡部参考人 分かりました。できましたら、情報を公開したというようなことをメールでいただけると大変ありがたいと思います。
以上です。
○医薬品審査管理課長 公開しましたら、先生方にその旨お伝えいたしますので、それ以降、その内容に沿って御説明等していただければありがたいかと思います。よろしくお願いします。
○岡部参考人 ありがとうございます。そのほうが安全だと思いますので、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 岡部先生、すみません。
では、濱田先生から御意見を伺います。濱田先生、よろしくお願いいたします。
○濱田参考人 岡部先生がお話しになったところが大体メインだと思うのですけれども、私も審査に関わった者として効果と安全性についてまとめてお話しさせていただきます。
効果につきましては、お聞きになったように90%以上の発症予防効果があると。ただし、これは2~3か月の間の観察期間ということであり、この辺を国民には正確に知らせて、接種を始める必要があると思っております。
あと、感染予防効果については今回のプロトコル上も調べていないということです。分からないということをはっきり言っておかないと、ワクチンを打ってしまえばもうほかの人に感染しないのではないかと思われる方が結構いると思いますので、この辺を添付文書だけではなく、広く知らせたほうがいいと思っております。
効果の面は以上なのですが、安全性で懸念するようなことも少しございましたので付け加えさせていただきます。
アナフィラキシーにつきましては100万人に5人ということで、インフルエンザワクチン等に比べて約5倍ぐらいです。そんなに非常に高いわけではない。何がアナフィラキシーを起こしているかということに関しては、例えば今回のワクチンの場合、ポリエチレングリコールが原因物質として想定されています。事前の問診に当たってポリエチレングリコールにアレルゲンがありますかと聞いても答えられる人はいないと思いますので、例えば下剤の成分にも使われているし、化粧品の成分にも使われているといった細かい情報を提供していく必要があると思います。
それから、重篤ではないのですけれども、軽度の有害事象が多いと私は思います。全身反応、局所反応8割で、鎮痛剤等の薬剤を服用した方が海外の試験で4割、国内でも3割から4割ということです。接種を受ける方に、そういった症状が出た場合、鎮痛剤を服用して構わないというようなことを、接種する前にある程度伝える必要があるのではないかと思っております。
それともう一つ、この局所反応、全身反応に関係することかもしれませんが、先ほどの説明にもあったのですけれども、フレイル患者の問題です。高齢者で基礎疾患を持っている方はコロナにかかって重症化するリスクが高いわけなのですけれども、こういった方が局所反応、全身反応によって重篤になるケースがあるようです。ノルウェーで接種開始後20~30名の高齢者のフレイル患者が亡くなったという例もございます。フレイル患者への対応について、リスクとベネフィットを考えて接種するということを、少し強調して伝えたほうがいいのではないかと思います。それから、承認後になると思いますが、そういったフレイル患者の状況を十分に把握していく必要があると考えております。
以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。ただいまのコメントが反映できるように、こちらで準備するということでよろしいでしょうか。
○説明者 はい。
○濱田参考人 それから、言い忘れました。67/71ページに1バイアルで6人分の採取が可能であったということが書かれてございますが、訂正したほうがいいのではないかと思っております。今、いろいろ報道でも出ていますけれども、5人しか採れないということなので、この辺ははっきりさせておいたほうがいいと思います。何が正しいのかよく分からなくなりますので、これはお願いということになります。
○医薬品審査管理課長 まずバイアルからの接種回数のお話でございますけれども、ここに書いてある内容は事実を書いてあるということでございます。一方で、この問題はシリンジとか注射筒で、どういうものが用意できるかということによって実際の現場のオペレーションが変わってくるということで、今、健康局サイドの手引きで示しておりますのは、標準のものだと5回になるからということで5回ということで手引きを出しておりますけれども、その辺りは薬事承認というよりも全体のオペレーションの話になるかと思いますので、ここの表記はこれでよろしいかと考えております。添付文書の内容は客観的事実を書くという形にして、その後は健康局における手引きなどの関係をうまく調整しながら今後対応するという形にさせていただければと思っております。
以上です。
○清田部会長 濱田先生、それでよろしいでしょうか。
○濱田参考人 はい。どうもありがとうございます。
○清田部会長 ありがとうございました。
先ほどの岡部先生の御質問で、変異株が出てきた場合のワクチンの組成を変えてどうするんだというお話にお答えしたいと思います。
○ワクチン等審査部長 ワクチン等審査部長、荒木でございます。
現在、そういった変異株に対応したワクチンにつきましては、国際的な規制当局間でどのようにデータを収集して審査をするか積極的に議論しているところでございますので、我が国におきましても議論に参加して、国際的に調和が取れた形で対応してまいりたいと考えております。
以上です。
○岡部参考人 ありがとうございました。よく分かりました。
○清田部会長 それから、岡部先生、もう一つ御質問があるのですか。
○岡部参考人 さっき確認をし忘れたのですけれども、既往者を対象にするかどうかというのはこの中に入れておいたほうがいいのでしょうか。それとも、現場に任せるのでしょうか。CDCでもEUでも抗体チェックをする必要はないけれども、接種ができると。しかし、接種しろとは書いていないので、この辺はどういうふうに考えたらいいのか教えていただければと思います。
○説明者 岡部先生、御質問ありがとうございます。
既感染者、既往者については接種の対象になると考えております。資材でも対象になると記載されております。
○岡部参考人 質問の追加で申し訳ないのですけれども、それは積極的に接種をしたほうがいいと推奨するのか、やってもいいというところなのでしょうか。
○医薬品審査管理課長 審査課の吉田です。
推奨するかどうかという話になると、先生御案内のとおり、それは厚生科学審議会の予防接種部会等での御議論になるのだろうと思いますので、最終的にはそちらの御判断だろうと思っております。今、薬事のほうについてはどちらも接種して構わないというのが薬事の判断だと理解しておりますが、それでよろしいでしょうか。
○岡部参考人 分かりました。ありがとうございます。
○清田部会長 それでは、次に進んでいいですか。
○事務局 事務局でございます。
今、松下先生からもメッセージをいただいているところですが、事前に書面またはメールで事務局に御質問、コメントをいただいていた先生がございますので、先にそれについて回答させていただければと思います。
○説明者 機構より御説明いたします。
まず、石井委員より事前にコメントをいただいております。安全性についてモデル遺伝子を用いた非臨床試験において、肝臓に導入遺伝子が発現することが報告されています。また、本剤はSタンパク質全長をコードし、in vitroでは細胞表面にSタンパク質が発現することが確認されています。本剤を投与されたヒトにおいて、肝細胞表面にSタンパク質が発現し、2回目の投与時に既に誘導されていた免疫系により肝臓の細胞に影響が生じ、反応原性事象などにつながっている可能性がないか。また、肝疾患を持つ人で特に有害事象が懸念されることがないか御説明をお願いいたしますと御質問をいただいております。
こちら、審査報告書22ページ、4.2.2項に示しておりますが、ラットでは、本剤を筋肉内に接種すると、投与部位以外にも肝臓、脾臓、副腎及び卵巣などに分布し、細胞表面にSタンパク質が発現すると考えられます。その安全性評価としては、本剤では報告書24ページの5.2項に記載のとおり、ラットを用いた反復投与毒性試験が実施され、Sタンパク質に対する免疫反応(抗体産生等)の影響が評価されていますが、肝臓を含めた全身の組織において安全性に懸念は認められていません。
なお、海外試験では軽度の肝疾患を持つ人が約200例組み入れられていますが、肝疾患を持つ人に特化した安全性評価は実施されておりません。肝疾患を含む基礎疾患のある人での安全性情報は製造販売後に情報収集される予定です。
御説明は以上となります。
○清田部会長 石井先生、よろしいでしょうか。
○石井委員 御説明ありがとうございました。理解いたしました。
○清田部会長 ありがとうございました。
それから、次は。
○説明者 続きまして、大曲委員より、審査報告書39ページの表19の下の文章かと思うのですけれども、「人種別の「その他」及び国別の「ブラジル」でほかの集団よりもVEが低かった」との記載があります。ブラジルで変異株の検出が報告され、日本でも輸入例4例が報告されています。この株については、本ワクチン等への免疫回避の可能性も指摘されています。ブラジルでほかの国よりもVEが低かったことについては、このような変異株の影響の可能性があると推測しますが、この件についてファイザーより情報提供はあったのでしょうかと御質問いただいております。
こちらについて、申請者は、ブラジルでVEが低かった理由については、全体の発症例数が少ないためと説明しており、信頼区間も広く、この結果からブラジルでの有効性が低いと結論づけることはできないと機構は考えています。現時点でブラジルの変異株自体での本剤の中和試験の報告はありませんが、ブラジルの変異株はイギリスや南アフリカの変異株と共通のN501Y変異及び南アフリカ変異株と共通のE484K変異、こちらは回復者血漿等で反応性が低い変異として報告されているものですが、これらを有するとされ、これらの変異についてはシュードウイルスを用いた検討により、本剤の中和作用が確認されています。
変異株に対する有効性については今後も検討が必要と考えており、申請者もその旨了承しています。
以上になります。
○清田部会長 大曲先生、よろしいでしょうか。
○大曲委員 現状ということで承知いたしました。ありがとうございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
あとお一人、渡辺先生からあらかじめ御質問をいただいています。それについてお答えいたします。
○説明者 渡辺先生より、有効性に関しての問題点として、中和抗体の消失期間が短いことについて挙げられていますが、本ワクチンは液性免疫のみならず細胞性免疫も惹起することから、中和抗体の消失期間だけを問題にすることは妥当なのでしょうかと御質問をいただいています。
こちら、報告書19ページ、「3.R.1 本剤の作用機序について」を御覧ください。本剤は、液性免疫、細胞性免疫を両方惹起することでSARS-CoV-2感染症に対する予防効果を発揮すると考えられます。本審査でも中和抗体を一つの指標として利用していますが、御指摘のとおり、中和抗体の消失期間のみを問題にするものではないと考えています。
機構からのお返事は以上です。
○清田部会長 渡辺先生、よろしいでしょうか。
○渡辺委員 ありがとうございました。了解しました。
○清田部会長 では、島田先生、どうぞ。
○島田委員 島田です。
先ほどの大曲先生が御指摘になった点なのですけれども、私もちょっと気になりまして、例えば41ページの「機構は、7.R.1に記載のとおり」というところなのですが、2つ目のポツのC4591001試験で組み入れられたというところですけれども、お分かりになりますか。
○清田部会長 41ページですか。
○島田委員 はい。下のほうにポツが3つあるのですけれども、その2つ目、C4591001試験の結果なのですが、「組み入れられた被験者の人種及び国に偏り云々が認められるものの、試験で検討されている範囲では人種別及び国別のCOVID-19発症予防効果に顕著な差は認められていないこと」と書いてあるのですけれども、例えばさっき御指摘になりました38ページの一番右のカラムのVE1、39ページの表19の一番右のカラムVE2を見ていただくと、さっきはブラジルのところだけ指摘されたのですが、VE1のところをずっと見ていただくと、ほとんどが90以上ですけれども、表18だとアジア人のところだけ74.6になっているのです。表19でも、ずっとそういう目で見ていただくと、アジア人のところは74.4です。それから、その他の人種のところが78.2になっていますし、ブラジルは御指摘になったように75.4と低いのですけれども、確かに被験者数が非常に少ないので、統計学的にどうのこうのというとおっしゃるとおりかもしれませんが、VEは95%というのがずっと言われ続けているのですけれども、アジア人については必ずしもそれがそのまま当てはまるのではなくて、VEとしては少し弱いように思います。
だから、「顕著な差が認められない」ということでばっと切り捨てられると、要するに、先ほど岡部先生などもおっしゃったようにこれは表に出ますよね。そうすると、この表を見る人は必ずいて、私みたいに気づく人がいて、これに対する説明が先ほど私が読み上げた41ページのものになるとちょっと語弊が生じて、ここはやはりもう少し丁寧な説明が要るのではないかと私は考えました。せっかく大曲先生も似たようなところを御指摘されたので、やはり同じようにちょっと気になる。
変異株の方面からだけ言われていますけれども、変異株だけではなくて、これはアジア人と書いてあるので、その詳しい解析も何もないし、よく分からないのですけれども、変異株だけで説明するのもちょっとおかしいかなと思います。
○清田部会長 ありがとうございます。今、機構のほうからお答えいたします。
○説明者 島田先生、御意見ありがとうございました。
御指摘のとおり、アジア人では少し低い値となっておりまして、御説明としては先ほどと同様、例数が少ないという御理解のとおりでございます。
なお、変異株の点からはこちらは御説明できないのですけれども、中和抗体価の話からしますと、日本人では海外試験で得られた値と比べて同程度以上であるということは確認しております。よって、日本人においては本剤の有効性は期待できるということで結論づけております。報告書の記載については今後留意させていただきます。
御意見ありがとうございました。
○島田委員 中和抗体だけで本当にプロテクティブなエフェクトがどうかというのはなかなか難しい点もあると思います。だから、VEで表しているのがある程度信用性があると思うので、あまりきつく押し切ってしまわないほうが、これは多少オープンにしておいて、少し表現をやわらげたほうがいいと思ったから私は御指摘しているのです。報告書の記載についてもお考えいただけるみたいなので、期待しております。
以上です。
○清田部会長 了解しました。ありがとうございます。
それでは、松下先生から御質問があるようでございます。どうぞ。
○松下委員 名古屋大学の松下です。ありがとうございます。
15/71ページにある新添加剤について質問があるのですが、機構が今回これを認めた経緯と、これ以外に添加剤として有効成分以外に入っているものについて改めて確認させてもらってよろしいでしょうか。
○清田部会長 先生、すみません。もう一度お願いいたします。
○松下委員 15/71ページ、「2.R.4 新添加剤について」という部分でございます。この新添加剤については、使用前例がないということが幾つか記載されておりますが、次のページに若干の説明はあるものの、機構はこの新添加剤の使用について問題がないということを判断した経緯をもう少し御説明いただきたいということと、これが何らかの免疫原性もしくはアレルギー反応性に関与しているかどうかということをファイザーは考えているかどうか。あるいは、さっきちょっとお話がありましたが、これ以外の一般的なポリエチレングリコールのような添加材の免疫原性、アレルギー反応性について現状のお考えをお聞かせいただければと思います。
○清田部会長 ちょっとお待ちください。
松下先生、御質問の確認なのですが、安全性について安全だと言った根拠を示すようにということですよね。
○松下委員 そうです。この添加剤は使用前例がないものに含まれているようですので、今回機構が使用して差し支えないとお考えになった理由が16ページに示されているようなのですが、ちょっと分かりにくかったので補足いただきたいということです。
○説明者 先生、御質問ありがとうございます。
新添加剤の安全性については2.R.4.2項に記載しております。本剤にはALC-0159、0315、DSPCの3つの新添加剤が含まれ、これらを含有する本剤の毒性試験の結果から、安全性上、使用可能と確認しております。
○清田部会長 松下先生、いかがでしょうか。
○松下委員 アレルギーに関しては、新添加剤との関連は薄いと考えてよろしいのでしょうか。
○説明者 アレルゲンについて、本剤はmRNAである核酸と脂質と糖と幾つかの無機塩類から構成されています。事前に本剤にポリソルベートが含まれているのかといった点も御質問いただいていましたが、ポリソルベートは含まれておりません。アナフィラキシーの原因物質については、脂質ナノ粒子の成分として含まれるポリエチレングリコールがアナフィラキシーの原因である可能性を指摘する意見が科学誌等でも紹介されていますが、現時点では特定されるまでには至っておりません。
機構からは以上でございます。
○清田部会長 松下先生、よろしいでしょうか。
○松下委員 了解いたしました。結構でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。
大隈先生、どうぞ。
○大隈委員 感染研の大隈です。ありがとうございます。
3つほど質問させていただきたいのですけれども、添付文書についてですが、11番の副反応のところです。「異常が認められた場合には適切な処置を行うこと」とありますが、これは具体的にはどういうことを想定されているのでしょうか。先ほどちょっとお話がありましたように、急性の反応であれば接種施設である程度対応できるかと思いますけれども、少し時間がたってから異常が出た場合にどういうふうに対応したらいいのかという想定がされているかということが1つです。
それから、次がその下の11.1の重大な副反応のショック、アナフィラキシーについてですが、ここに頻度が不明と書いてあります。ただ、先ほどからお話を聞いていましたが、頻度がある程度具体的な数字として出てきているようですが、ここはあえてこういった表記になっているのでしょうか。
それともう一つですが、これは添付文書ではなくて、ちょっと細かい話ですけれども、今回の製剤のバイアルのラベルの表記についてです。こういう緊急の状況なので、今、英語表記されておりますけれども、これは致し方ないとは思いますが、今後、長期的に使う、あるいはほかの製剤が承認されるとかといった可能性もあるかなとは思うのですが、この英語表記のまま使用を続けるのか、あるいは、いずれ日本語表記のラベルに変更される予定なのか、この点、教えていただければ幸いです。
以上です。
○説明者 御質問ありがとうございます。
まず1点目、適切な処置についてですけれども、資材においては、数日後も症状が残る場合は速やかに医師に連絡して受診等するようにということは情報提供をしております。また、ショック、アナフィラキシーについては、より具体的な対応を記載しております。
2点目、ショック、アナフィラキシーの頻度についてでございますけれども、海外においては、今の報告から頻度は出ているのですが、国内の状況はまだ情報が蓄積されていない状況ですので、今後データが出てきたら明らかになってくるものと考えております。添付文章に反映していきます。
○事務局 それと、3つ目のバイアルの英語表記についてですが、特例承認を行う場合、一部表示に関して国内の規定が外れるということがありますけれども、当然日本語表記で医療従事者の方々等に分かりやすいほうが望ましいことは明らかだと思いますので、これがもし使われ続けるのであれば、当然日本語表記というのは求めたいと思うところでありますが、海外の製造所でそれにいつ対応できるのかといったこととか、切り替え時の混乱をできるだけ起こさないようにするといった観点も含めて検討してまいりたいと思います。
○清田部会長 大隈先生、よろしいでしょうか。
○大隈委員 分かりました。そういったところは今後、御検討をよろしくお願いします。
以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。
それでは、石井先生からまた御質問があるようです。どうぞ。
○石井委員 品質について2つお伺いしたいのですけれども、まず、本製品は各国共通の原薬から製剤が製造されているという御説明をいただきましたが、今回申請されている規格及び試験方法の試験項目や規格値は、欧米で許可されているものと同一でしょうか。特に、出荷規格と有効期間内規格の観点も含めて御説明をお願いできますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。
基本的には工程内管理や規格というのはしっかりそろっていると認識しております。
以上です。
○石井委員 有効期間内規格も同じでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 有効期間内規格も同じになっております。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○石井委員 ありがとうございます。
あと、先ほど、評価対象のデータ以外からということで、製剤の安定性について参考情報を御提供いただいたのですけれども、添付文書のほうには2~8℃で解凍する場合に解凍、希釈を5日以内にという表記がございます。こちらは審査対象のデータに基づいているのか、先ほどの御説明の参考情報に基づくのか、どちらでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。
このデータにつきましては審査資料に基づいて確認をしております。
以上です。
○石井委員 ありがとうございます。
○清田部会長 宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 まず、53/71ページの下方です。免疫介在性/自己免疫障害の2行目で2件以上報告された事象の中で無臭覚31件と書いてあるのですが、これは接種によって無嗅覚が出てくるのでしょうか。無臭覚はCOVID-19感染症の一症状ですが、どのように考えているのでしょうか。
何で疑ったのかというと、接種をした後ではありますが、感染者がこの中に紛れ込んでいたというようなことはないのかどうか、諸検査されて確認していたのでしょうか。この無嗅覚という症状の報告は、ワクチンの有効性のVEにも影響が出てしまうかを懸念して質問いたしました。
○説明者 御質問ありがとうございます。機構よりお返事申し上げます。
こちらは海外の市販後の報告でして、詳細は不明となっております。この人でCOVID-19が発症しているかということも不明でございますので、現時点で先生にお答えできる情報は持ち合わせておりません。
○宮川委員 分かりました。ありがとうございます。
先ほどの37ページの表17です。接種して、1回目の接種後、10日目ぐらいから曲線が離れていきます。そうすると接種後それまでの間、免疫獲得までは易感染の状態が想定されます。その間は、十分な感染対策を取るよう注意喚起をするということが重要なことだと思います。何らかの文言の存在が望ましいと考えます。接種すれば、直後から軽々な行動をする場合もあります。そのような観点から、注意喚起も必要だと考えます。
○説明者 コメントありがとうございます。機構よりお返事申し上げます。
感染予防効果は評価されていませんので、資材では、本剤を打った後も、接種後の経過期間に関わらず感染予防は重要だということは示しております。
以上でございます。
○宮川委員 ありがとうございます。
それから、添付文書の9.1.7です。「上記に掲げる者のほか、一般状態の悪い者」と記載があります。今までこういうような記載を見たことがあまりなかったものですから、ご質問いたします。そもそも医療者としては接種前にチェックをするはずなので、このようなことはあるはずがありません。一般状態という言葉が、何をどの程度まで言及するのかが不明です。フレイルのことと重なって判断されると混乱します。今後、介護施設や高齢者施設など、様々なところでの接種に対する妨げになることが一つと、実際には一般状態の悪い者に当たり前ですが接種するはずがないので、このような記載は現場を非常に混乱させることになるのではないかなと思い、お聞きしました。
○ワクチン等審査部長 PMDAワクチン等審査部長でございます。
まさに先ほど御指摘のございましたとおり、フレイルの方々のことを想定して記載しているものでございます。国際的にはノルウェー等でフレイル患者さんに対する投与の結果などが広くメディア等で取り上げられた背景もございますので、一般状態の悪い方々については、まさに先生がおっしゃいましたとおり、個別に接種するお医者様のほうでよく注意して接種していただきたいという趣旨でこのように書かせていただいたものでございます。
○宮川委員 分かりますけれども、これは書き過ぎになってしまうのではないかなと思いますが、いかがなものでしょうか。
○清田部会長 これを載せるかどうか。
○宮川委員 載せるかどうかです。意味はわかります。しかしながら、リスクベネフィットの感覚からいうと、これを記載してしまうということがかえって足かせになっていくのではないかなと懸念します。つまり、一般状態が悪いといったら、どのような状態で線引きをするのかということを明確に言及してもらわなければなりません。その辺のところもちょっと教えていただければ幸いです。
○ワクチン等審査部長 PMDAワクチン等審査部長でございます。
ただいまいただきました9.1に書かれている事項は、接種しない人ではなくて、基本的にはよく注意して接種をする方々という趣旨ではございますけれども、分かりづらいという御指摘も踏まえまして、これに対する注意書きの記載であるとか、あるいは。
○医薬品審査管理課長 予防接種における対応とか手引きのほうで、ここの意味はそういうことだと。要は、とにかく打たないように気をつけろということではなくて、打つときにあってこういう人に気をつけなさいということで、添付文章の読み方を予防接種のほうの手引き等で補足するということも含めて検討させていただくという感じでどうでしょうか。
○宮川委員 ただし、ここに書かれていると、副反応の検討の中にさまざまな不確実な言葉から導かれる事象が入ってきてしまいます。それを危惧しています。こういう一般という言葉は具体性に欠けるかと考えます。
○ワクチン等審査部長 PMDAワクチン等審査部長でございます。
記載の有無を含めまして、御趣旨を踏まえて検討させていただきます。ありがとうございました。
○宮川委員 よろしくお願いします。
○清田部会長 御指摘ありがとうございます。
それでは、浦野先生、どうぞ。
○浦野委員 浦野でございます。
今回のワクチンの有効性に関しては何の問題もないと思うので、絶対に通すべきと私は思うのですけれども、1つ大きな問題点として、有効性を僕らがいくら言ったとしても打ってくれなかったら意味がないという部分が圧倒的にあると思います。そうなったときに、1つだけまず聞きたいことというのが、審査報告書の44ページや45ページにある表22とか表23を見ると、注射部位疼痛が圧倒的に本剤群で高くてプラセボ群で低いのは、このデータが出てしまうと何か悪いものが入っているのではないかという印象を与えてしまう気がするのですが、この理由は何なのでしょうか。
○説明者 機構よりお返事いたします。
本剤は従来のワクチンと異なるmRNAを含む新しいモダリティーのワクチンでございます。mRNAにはTLR(Toll-like receptor)を介して免疫細胞を活性化する作用がございます。このように、本剤には炎症と関連性のある物質が含まれており、非臨床でも本剤の局所刺激性試験では投与部位に一過性の炎症反応が認められております。また、本剤投与部位の疼痛については、臨床では接種当日に出ているものが多いことも併せて考えると、投与部位における疼痛については一過性の炎症反応が原因の一つであることが推測されます。なお、本剤のpHや浸透圧は既に承認されているワクチンの範囲内であることを確認しています。
こちらについては、接種後の疼痛について、多くが接種当日に現れることですとか持続期間2日程度であるということ、また、接種後の鎮痛剤の使用については資材で情報提供する予定でございます。
御説明は以上です。
○清田部会長 浦野先生、よろしいですか。
○浦野委員 了解しました。
今の件は打たれる人に対してしっかりとオープンにしていかないと、やはり一番気にしているのは、今の世の中、SNSが圧倒的に広まっていますから、例えば発熱が30%ぐらいあるとなったら、どんどんそういう情報は上がってしまうと思うのです。そうすると、それを見て打ちたくない人がどんどん増えてしまって、結局広まらないという可能性がかなりあるのではないかなと個人的には思うので、今回のこの第二部会とはちょっと議論が違うのですけれども、リスクとベネフィットをどうやって皆さんに知ってもらって、ベネフィットが大きいですよということを発信していくのかということが重要かと思います。少なくともこの審査報告書にはあまり書いていないと思うのですが、手引きですとかそういったところで何かしら発信していかないと、またHPVワクチンと同じようなことが起きてしまう気がしてしまって本当に怖いと思うのですけれども、そこに関しては一体どのようにお考えなのでしょうか。
○医薬品審査管理課長 審査管理課の吉田でございます。
先生の御指摘のとおりでございまして、リスク、ベネフィットについては政府としてしっかりと情報発信をする必要があるということは多くの方々から既に御指摘いただいておりますので、政府を挙げてそれについては取り組んでおりますので、そういった形で御理解をいただければと思います。
○浦野委員 そこは信じていいということですね。
○清田部会長 そう思います。
○浦野委員 では、信じることにして、本当に絶対に広めてほしいので、ぜひ頑張ってください。
以上です。
○医薬品審査管理課長 もちろん信じていただいて大丈夫です。
○浦野委員 了解しました。
○清田部会長 宗林先生。
○宗林委員 宗林です。
3点伺いたいことがございます。
まず1点目でございます。36/71ページの表16の中和抗体価の表を見て、本剤30μgを打ったときに2回接種後1か月の数字まで載っているわけですが、これを発症予防効果というようなことで説明を受けておりますけれども、中和抗体価はピークアウトしていって下がっているようなぐらいの感じで見受けられます。この先まだデータがないのでしょうが、追跡をして、例えば発症予防効果がどのぐらいになったときにもう一回打たなくてはいけないとか、そういう話があり得るのかどうかということを伺いたいと思います。それが1点目でございます。
それから、2点目は44ページ、有害事象として全身反応で割と発熱をされる方が多いと感じていますが、解熱剤を使うにあたって、この場合の解熱剤は、例えば成分を選ぶのでしょうか。アセトアミノフェンでなければ駄目だとか、ロキソニンはちょっと危ないとか、そういうことがあるのかどうか、イブプロフェンでも何でもいいのかということを2点目として伺いたいと思います。
3点目、添付文章等のアレルギーのところの表記ですけれども、本剤の成分に対し重度の過敏症の既往症のある者と最初の接種不適当者に書いてありますが、こういう人は1回目に打ってそういう症状が出たという人以外には分からないわけで、こういう方は該当がないのが普通だと思いますが、例えばイギリスのように、食物はともかくとして、薬剤アレルギーのある人には注意が必要とか、もう少し幅広に慎重接種対象として書いてあったと思いますが、今の見ている添付文書は、いわゆる本剤で1回目にアナフィラキシーが出たりしなければいいよということで除外、注意するところがどこもないのですが、それについてはいかがでしょうか。
以上3点です。
○説明者 宗林先生、御質問ありがとうございます。
まず1点目についてでございます。36ページ目の表16に関してですけれども、中和抗体価の閾値、どれぐらい高くなったら発症予防効果が確認できるのかということについては現時点では明らかとなっておりません。現時点で得られているのは2回目接種後1か月までのデータですけれども、これ以降のデータについては、今後海外試験、国内試験でも取られる計画となっております。ですので、有効性の持続期間に関連する情報は今後収集される予定でございます。その情報に応じて適切な対応が必要である旨は申請者とも合意しております。
1点目は以上でございます。
○宗林委員 分かりました。ありがとうございます。
○説明者 続きまして、2点目でございます。解熱鎮痛剤の指定があるのかという御質問だったかと思いますけれども、こちらについては、臨床試験では使用される規定でしたけれども、使用する解熱鎮痛剤に特段指定はございませんでした。製販後も同様と理解しております。
2点目は以上でございます。
○宗林委員 最後がちょっと聞こえなかったのですけれども、解熱鎮痛剤は何でもいいということですか。例えばOTCで売られているものでも。
○説明者 はい。何でもいいです。
3点目、過敏症に関する注意喚起について、先生御指摘の添付文書の記載は接種不適当者のところかと思います。添付文書の2ページ目の9.1の項、接種要注意者のところで、例えば9.1.4では過去に予防接種でアレルギーを疑う症状を呈したことがある者ですとか、9.1.6項で本剤の成分についてアレルギーを呈するおそれのある者が接種要注意者、つまり慎重投与ですね。慎重に接種するように記載されております。
○宗林委員 その3番目のところですけれども、9.1.4とか9.1.6は見ているのですが、9.1.6は前のページと同じ記述だと思います。でも、その後、そのほかに薬剤アレルギーを持っていらっしゃる方も結構いらっしゃると思いますが、その辺はこの記述だけで大丈夫なのでしょうか。諸外国の添付文書はもう少し幅広に書いてあるので、心配になりました。
○説明者 添付文書ではこのような記載ですが、資材では、例えばどういう成分が含まれているとか、どういう人には注意したほうがいいという情報が盛り込まれておりますので、市販後にはそれプラス様々な体の状況とか既往歴に応じて接種が判断されるものと考えております。
○宗林委員 一律には書かれていないのですね。例えば抗生物質とか解熱鎮痛剤とかいろいろなものに対して薬剤のアレルギーのある方は避けるとか、そういう書き方にはなっていないということですね。
○説明者 避けるとはなっておりません。資材のQ&Aには、本剤以外にアレルギーがある場合は接種しても問題ないかという問いに対して、その場合でも接種することができますという記載がございます。
○清田部会長 具体的なテキストを配っていないのです。ですから、今後配られる予定の具体的な資料としては、先生が御心配のところは全部記載してあるようでございますので、それは安心してよろしいかと思います。
○宗林委員 承知しました。ありがとうございました。
○清田部会長 南先生、いらっしゃいますか。
○南委員 ありがとうございます。
審査報告書を読ませていただいた中で、SAEとして末梢神経障害と思われる事象が複数ありました。神経根の錯感覚を伴う両下肢の疼痛や末梢神経障害、当初は神経炎として報告されていたようですが、こういった神経の障害に関して、因果関係あるいは経過、その後の可逆性、回復したかどうかということなどがもし分かればお教えいただきたいです。
○清田部会長 先生、何ページか教えてください。
○南委員 32ページ、28ページあたりだったと思います。
○説明者 神経系障害が書かれている部分でしょうか。
○南委員 はい。神経障害です。
○説明者 44/71ページに臨床試験で認められた事象の記載はございます。
○清田部会長 そこでよろしいでしょうか。
○南委員 それで、回復していたのでしょうか。
○説明者 機構よりお返事申し上げます。
今、44ページの記載は確認中ですけれども、54ページを御覧ください。そちらに海外の使用許可後、製販後の情報で神経系障害の記載はございます。
○南委員 あと、それとは別に、臨床試験に関しては29/71ページの一番下のところに重篤な有害事象が書いてあって、末梢神経損傷(当初は神経炎として報告)とあるのです。これは臨床試験なので、恐らくもう少し情報があるように思うのですが、いかがでしょうか。
○説明者 こちらの末梢神経損傷ですけれども、今、報告書には2020年12月16日時点で未回復であったと記載しております。この後の情報は得ておりません。
○南委員 それから、33/71ページの表15の下5行目ぐらいにも神経根の錯感覚を伴う両下肢の疼痛と何だかいやらしく感じるものですから、その後どうだったのかなということがちょっと気になりました。
○説明者 神経根の錯感覚を伴う両下肢の疼痛については軽快しております。
○南委員 分かりました。後遺症が残らなければいいと思って質問させていただきました。ありがとうございます。
○清田部会長 それでは、中野先生、お願いします。
○中野委員 中野でございます。
現在分かっている高い有効性、あるいは、一方で限界がいろいろまだ分からないこともある。あと、安全性に関しても重篤な有害事象その他の頻度はもっと多数例と、それは各先生が御指摘いただいたこととほぼ私も共通しておりますので、そこは省きます。
私は質問というよりコメントなのですが、重篤ではない有害事象、接種した後の局所の痛みとか発熱、例えば今、定期接種で小児に使われているワクチンでも、今回のファイザーのワクチンが10%台の後半ぐらいですかね。これは基準を7度5分に取るか8度に取るかによっても異なってくると思うのですが、小児の0歳児のワクチンでも7度5分とかで取ればもっと発熱の頻度が高いワクチンも実際にあると思うのです。ただ、局所反応と全身反応を区別して考えると、局所反応は確かに薬を飲まなければならないとかそういうことが3日4日続くって大変なことだと思うのですが、発熱は3日続いたら結構大変だと思うのです。個人にとっても、受診をどうするかとか薬剤をどうするかにとっても。
おっしゃっていただいた審査報告書の御説明も、大体接種した翌日に気づかれて1日程度ということは、悪寒とかもあるので、推測するに恐らくは接種した日ぐらいからきっと何らかの反応が起こり始めて寒気もあって、熱に続いて計測で上がってくるのが翌日ぐらいで、もう一日ぐらい熱がある方もいらっしゃるということで、小児の発熱頻度の高いワクチンよりは少し発熱が長く続くワクチンかなという気はするのです。重篤な後遺症を残さずに回復しているからいいと思うのですが、今後の市販後の調査とかいろいろな接種されてからの情報を国民の皆様にフィードバックしていく際に、その情報が客観的に正しいデータとして伝わるようにやっていただくと、ワクチンに対する不信感とか、熱が出るから怖いワクチンだとか思われないように、客観的な情報が伝わるようにぜひお願い申し上げたいと思います。
以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。ぜひ反映させていただきたいと思います。
○説明者 ありがとうございます。反映させていただきます。
○清田部会長 ほかに御質問、御意見はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
貴重な御意見を本当に多くいただきまして、皆様の御指摘に沿った形で進めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議決に入りたいと思います。亀田委員、川上委員、松下委員、南委員、宮川委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
まず議題1につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○清田部会長 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
続けて、議題2につきまして、改正を可としてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○清田部会長 ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
岡部参考人、濱田参考人、どうもありがとうございました。
本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はございますでしょうか。
○事務局 事務局でございます。
本日は長時間にわたりましてありがとうございました。
次回の部会ですけれども、2月22日月曜日、午後2時から開催させていただく予定としております。部会の開催方法については追って御連絡させていただきます。よろしくお願いします。
○清田部会長 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。本当にありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 柳沼(内線2746)