2020年12月2日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録
日時
令和2年12月2日(水)16:00~
出席者
- 出席委員(20名)五十音順
-
- 赤羽悟美
- 飯島一誠
- 石川欽也
- 大賀正一
- 大谷壽一
- 大森哲郎
- 岡淳一郎
- 金子明寛
- 川上純一
- ○合田幸広
- 佐藤雄一郎
- ◎杉薫
- 代田浩之
- 武田正之
- 平石秀幸
- 堀恵
- 増井徹
- 宮川政昭
- 森保道
- 山田清文
(注)◎部会長 ○部会長代理
- 欠席委員(1名)
- 柴田大朗
- 行政機関出席者
-
- 山本史(大臣官房審議官)
- 中井清人(医薬安全対策課長)
- 新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
- 山田雅信(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
- 田宮憲一(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員)
- 林直治(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員) 他
議事
○事務局 時間になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会のWeb会議を開催させていただきます。本日はお忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
この度、医薬品部会につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。本日のWeb会議における委員の出席についてですが、柴田委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、石川委員は少し遅れている状況で、現在のところ、部会委員数21名のうち、19名の委員が、このWeb会議に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告させていただきます。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定しております。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
また、本日のWeb会議に際しまして、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてマスクを着用したまま説明させていただく場合がございますので、御了承いただければと思います。
それでは、杉部会長、以後の進行をお願いいたします。
○杉部会長 それでは、事務局から審議の進行方法の説明をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○事務局 本日ですが、Webでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明させていただきます。
審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますよう、お願いいたします。その後、部会長のほうから順に発言者を御指名させていただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言ください。なお、発言者が多いときには、発言されたい委員がメッセージに御記入いただくことで、部会長より発言者を順番に御指名させていただきます。適宜メッセージ機能のほうも御利用ください。
○杉部会長 今の事務局からの御説明に何か御質問、御意見等はございますか。特にございませんか。
それでは、本日の審議に入りたいと思います。まず、事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、本日のWeb会議に係る資料の確認をさせていただきます。本日、あらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料1~資料12-2と製剤写真を用いますので、お手元に御用意いただければと思います。
このほか、資料13として、審議品目の薬事分科会における取扱い等の案、資料14として専門委員リスト、資料15として競合品目・競合企業リストを事前に電子メールにてお送りさせていただいています。なお、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
続きまして、本日のWeb会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、御報告させていただきます。資料15を御覧ください。1ページ目ですが、サルプレップ配合内用液で、本品目は大腸内視鏡検査時の前処置における腸管内容物の排除を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらの3品目を選定させていただいております。
続いて2ページ目のマスーレッド錠5mg他4規格です。本品目は腎性貧血を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
続いて3ページ目のソグルーヤ皮下注5mg他1規格です。本品目は成人成長ホルモン分泌不全症を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらの3品目を競合品目として選定しております。
続いて4ページ目はソマチュリン皮下注60mg他2規格です。本品目は甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとさせていただいております。
続いて5ページ目はヒュンタラーゼ脳室内注射液15mgです。本品目はムコ多糖症II型を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の1品目を競合品目として選定しております。
続いて6ページ目はエムガルティ皮下注120mgオートインジェクター他1規格です。本品目は片頭痛発作の発症抑制を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
続いて7ページ目はイグザレルトドライシロップ小児用51.7mg他7規格ですが、本品目は静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
続いて8ページ目はジムソ膀胱内注入液50%です。本品目は間質性膀胱炎の諸症状の改善を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとさせていただいております。
9ページ目はビムパット錠50mg他4規格ですが、本品目は他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。以上です。
○杉部会長 今の事務局からの説明に、特段の御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本Web会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、先生方の了解を得たものといたします。
それでは、委員からの申出状況について、報告をお願いいたします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく、各委員からの申出状況について、御報告させていただきます。
まず、議題1のサルプレップですが、退室委員、議決に参加しない委員ともにいらっしゃいません。
議題2のマスーレッドについては、退室委員なし、議決に参加しない委員として大森委員、代田委員、武田委員。
議題3のソグルーヤについては、退室委員なし、議決に参加しない委員として、大森委員、川上委員、武田委員。
議題4のソマチュリンについては、退室委員なし、議決に参加しない委員として、川上委員、代田委員。
議題5のヒュンタラーゼについては、退室委員、議決に参加しない委員ともにいらっしゃいません。
議題6のエムガルティについては、退室委員なし、議決に参加しない委員として大森委員、川上委員、代田委員、武田委員、山田委員。
議題7のイグザレルトについては、退室委員なし、議決に参加しない委員として大賀委員、代田委員、武田委員。
議題8のジムソについては退室委員なし、議決に参加しない委員として武田委員。
議題9のビムパットについては、退室委員として杉委員、議決に参加しない委員として大賀委員、代田委員。以上です。
○杉部会長 今の事務局からの説明に、何か特段の御意見はございますでしょうか。よろしければ、先生方に御確認いただいたものとします。
本日は、今お聞きのように、審議事項9議題、報告事項が2議題、そのほかの事項が1議題となっております。それでは、審議事項の議題に移りたいと思います。まず、議題1について、機構から概要の説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題1、資料1、医薬品サルプレップ配合内用液の製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。お手元の審査報告書を御覧ください。大腸内視鏡は実施前に腸管内容物を除去することが不可欠であり、検査予定者の状態等に応じて、種々の腸管洗浄剤が使用されています。本剤は、瀉下作用を有する3種類の硫酸塩(硫酸ナトリウム、硫酸カリウム及び硫酸マグネシウム)を有効成分として含有する腸管洗浄剤であり、米国で販売されているSUPREPを日本向けに改良した製剤です。硫酸ナトリウム、硫酸カリウム又は硫酸マグネシウムそれぞれの単剤投与で生じる電解質変動を抑えることが期待されるとして開発に至りました。今般、国内臨床試験により、本剤の有効性及び安全性が確認され、医薬品製造販売承認申請がなされました。なお、海外において、本剤と同量の有効成分を含有する腸管洗浄剤はSUPREPのほかに、IZINOVA、EZICLENと計3品目あり、2020年9月現在、SUPREPは米国で、IZINOVA、EZICLENは欧州を含む海外22か国で、それぞれ承認されています。本品目の専門協議では、本日の配布資料14に示す専門委員を指名しております。以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
有効性に関しては、審査報告書の通し番号の12ページの表13を御覧ください。国内第III相試験の主要評価項目である画像評価委員会による全般的腸管洗浄効果の有効率について、本剤群、すなわち2日分割投与群及び当日1日投与群は、いずれも対照群であるモビプレップ群に対する非劣性が検証されました。以上より、機構は本剤の有効性は示されたと判断しました。
安全性に関しては、審査報告書の通し番号12ページの表14を御覧ください。国内第III相試験において、いずれかの群で1%以上に認められた有害事象及び副作用を示しておりますが、重篤な有害事象は認められず、モビプレップ群と比較して、本剤各群で有害事象の発現状況に問題となる違いは認められませんでした。続きまして、審査報告書の通し番号14ページ、7.R.2.1の項を御覧ください。既存の腸管洗浄剤で注意が必要とされている事象について、本剤の臨床試験では問題が認められませんでした。機構はこれらの事象については、本剤の添付文書において適切に注意喚起することにより、本剤の安全性は許容可能と考えました。
以上、機構での審査の結果、大腸内視鏡実施時の前処置における腸管内容物の排除に対する本剤の有効性は示され、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないと判断し、本部会で審議されることが適当と判断しました。なお、本品目は新医療用配合剤であることから、再審査期間は6年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しました。薬事分科会では報告を予定しております。機構からの説明は以上になります。御審議、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○杉部会長 委員の先生方から何か御質問、御意見はございますでしょうか。
○平石委員 質問させていただきます。このお薬は腸管洗浄薬であり、先行するお薬として、モビプレップやニフレックが存在します。本薬の用法・用量を見ますと、マックスで使用した場合、つまり排液が透明になるまで使ったと仮定すると、総量で3,000cc弱、3L前後の水分を3時間で服用することになります。排便の状態を見ながら服用するわけですが、大量の水分を摂取しますので、狭窄、閉塞があれば、重篤な合併症として腸閉塞が起こってまいります。さらに、腸管運動も亢進しますので、特に憩室が存在する場合には、憩室の穿孔を引き起こす、あるいは虚血性腸炎類似の病態を引き起こす可能性があります。この病態は、腸管に対する重篤な合併症ということになります。モビプレップとニフレックも同様の報告がございますので、臨床試験において、本薬の腸管合併症がなかったかについて、確認させていただきます。つぎに、添付文書における注意喚起の内容について、もう一度確認させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○杉部会長 機構からお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 まず、国内臨床試験において、そのような有害事象は認められておりません。御説明いただいたとおり、類薬で腸管穿孔等の事象については言及されているところで、それを踏まえて本剤の添付文書にも対応をしているところです。例えば、警告の所に、腸管内圧上昇による腸管穿孔を起こすことがあることを記載しておりますし、禁忌等の所でもそのような事象について対応しているところになります。
○杉部会長 平石先生、いかがでしょうか。
○平石委員 大腸内視鏡の前処置のための腸管洗浄液でありますので、やはり注意すべきは腸管合併症であると認識しておりますので、改めて確認させていただきました。どうもありがとうございました。
○杉部会長 そのほかの先生はいかがでしょうか。何か御質問はございますでしょうか。
特にないようですので、この議題の議決に入りたいと思います。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。特に御異議がないようですので、承認を可としまして、薬事分科会に報告させていただきます。
続きまして、議題2に移ります。機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2、医薬品マスーレッド錠5mg他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。腎性貧血に対する薬物治療は、現在、赤血球造血刺激因子製剤(以降、ESA)が主に使用されていますが、ESAはいずれも注射剤であり、また、抗エポエチン抗体陽性赤芽球癆がまれに発現することが報告されています。また、昨今、ESAとは異なる作用機序の治療薬として、経口投与が可能な低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素阻害薬が複数承認されています。本薬は、低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素阻害薬であるモリデュスタットナトリウムを有効成分とする経口剤です。今般、腎性貧血患者を対象とした国内臨床試験により、本薬の有効性及び安全性が確認され、製造販売承認申請がなされました。なお、海外において本薬が承認されている国又は地域はございません。本品目の専門協議では、本日の配布資料14に示す専門委員を指名しています。以下、本薬の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明いたします。
有効性について、まず、保存期慢性腎臓病患者における有効性を説明いたします。審査報告書、青字で記載している通し番号の43ページの表39を御覧ください。ESA前治療なしの保存期慢性腎臓病患者を対象とした試験において、主要評価項目である「投与30~36週の平均Hb値のベースラインからの変化量」について、ESAであるダルベポエチン アルファ群に対する本薬群の非劣性が検証されました。また、審査報告書 通し番号の46ページの表44を御覧ください。ESA前治療ありの保存期慢性腎臓病患者を対象とした試験においても、先ほどと同じ主要評価項目について、本薬群のダルベポエチン アルファ群に対する非劣性が検証されました。
次に、血液透析患者における有効性について説明いたします。審査報告書 通し番号の51ページの表52を御覧ください。ESA前治療ありの血液透析患者を対象とした試験においても、主要評価項目である「投与33~36週の平均Hb値のベースラインからの変化量」について、本薬群のダルベポエチン アルファ群に対する非劣性が検証されました。
最後に、腹膜透析患者における有効性について説明いたします。審査報告書 通し番号の65ページの図5を御覧ください。平均Hb値は、投与12週以降、目標範囲内に維持されました。以上より、腎性貧血に対する本薬の一定の有効性は示されたと判断いたしました。
安全性について、審査報告書の通し番号68~72ページを御覧ください。本薬の作用機序や臨床試験成績等に基づき、注意すべき有害事象として、心血管系事象、血栓塞栓症、高血圧、悪性腫瘍、網膜出血及び間質性肺疾患の発現状況について検討を行いました。これらの事象について、添付文書等で注意喚起を行うことで、本薬の安全性は許容可能と判断しました。
以上の審査の結果、腎性貧血に対する本薬の有効性は示され、安全性は許容可能と考えられたことから、機構は、本品目を承認して差し支えないと判断し、本部会で審議されることが適当と判断しました。本品目は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会では報告を予定しています。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○杉部会長 それでは、先生方から何か御質問、御意見はございますでしょうか。
○代田委員 先ほど御説明いただいた表52のデータを見ますと、ベースラインからの増加量についてはマイナスで、対照もそうなのでしょうけれども、ベースラインからの有効性についてのデータは、どういうものがあるかについてお教えいただきたいと思います。
それと、表74の安全性の所で、対照群に比べて本薬のほうが、数値的にはやや有害事象が多いように思いますが、この点の統計学的な解析データをお教えいただければと思います。
○杉部会長 機構からお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘の表52は、ESAからの切替え試験のデータです。ベースラインのHb値を維持することが目的の試験ですので、こちらの数値の変動について、大きな問題はないと考えております。
○代田委員 了解しました。表74についてはいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 表74は心血管系事象(MACE)の発現状況を示していますが、御指摘のとおり、対照群に比べて本薬群で数値的には高くなっております。この数値の群間差について、統計学的な検討等は行っておりません。
本薬群で数値が高くなった原因について、表74の下に申請者の説明を記載しております。ベースラインの患者背景の偏りが原因で、本薬群で数値が高くなった可能性があるという考察がされており、機構としてもそのような可能性が考えられると判断しております。
○代田委員 専門委員の先生方から、何かコメントは入っていないのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 こちらについて、専門委員の先生からは特段の御意見は頂いておりません。心血管系事象の中には血栓塞栓症も含まれており、血栓塞栓症については警告等でも注意喚起をしております。類薬と同様の安全性対策をするということで、専門委員の先生方からは御了承を頂いております。
○代田委員 今後、経過を見ていただいて、この差が実際に数を増やしていったときにあるのかどうかという点については、注目する必要があるのではないかと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおりだと思いますので、製造販売後調査の中で、心血管系事象の発現状況について確認し、必要に応じて、注意喚起の追加等の必要性について検討したいと考えております。
○代田委員 ありがとうございます。
○杉部会長 そのほかの先生から何か御質問はございますでしょうか。特にございませんでしょうか。
それでは、この議題についての議決に入りたいと思います。大森先生、代田先生、武田先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。特に御異議がないようですので、承認を可としまして、薬事分科会に報告させていただきます。
続きまして、議題3に移りたいと思います。これも機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題3、資料3、医薬品ソグルーヤ皮下注5mg他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明します。資料3の審査報告書を御覧ください。
本剤は、内因性アルブミンと長鎖脂肪酸を含む側鎖との非共有結合による、長時間作用型のヒト成長ホルモン誘導体であるソマプシタン(遺伝子組換え)を有効成分とする、週1回投与の成長ホルモン製剤です。
成人成長ホルモン分泌不全症患者に対する成長ホルモン補充療法について、これまでは主に1日1回の皮下投与として実施されており、数年から生涯にわたって投与が必要となることも多く、毎日の注射は患者の負担となっていることから、週1回投与の成長ホルモン製剤は、注射回数を減らすことでアドヒアランスの向上が期待されます。本剤は米国では2020年8月に承認され、2020年12月現在、欧州では審査中です。本品目の専門協議では資料14に示す先生方を専門委員として指名しています。
以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。有効性については審査報告書35ページの表27を御覧ください。成長ホルモン製剤で未治療の重症成人成長ホルモン分泌不全症患者を対象に、国際共同第III相試験が実施され、主要評価項目であるベースラインから投与34週時までの躯幹部体脂肪率の変化量について、プラセボ群に対する本剤群の優越性が示されました。
また、審査報告書40ページの表35を御覧ください。既存の成長ホルモン製剤で治療中の成人成長ホルモン分泌不全症患者を対象に、国内第III相試験が実施され、ベースラインから投与52週時までの各腹部脂肪組織パラメータについて、本剤群及びノルディトロピン群のいずれも、ベースライン時の成長ホルモン製剤による治療の効果が維持されていました。以上の結果等から、本剤の有効性は示されていると判断しました。
安全性については、審査報告書37ページの表30を御覧ください。ここでは、未治療の重症成人成長ホルモン分泌不全症患者を対象とした、国際共同第III相試験における有害事象の発現状況を示しております。本剤の安全性について、実施された各第III相試験における発現状況を中心に確認した結果、発現している主な事象は既存の成長ホルモン製剤で既知の事象であり、国際共同第III相試験の結果から本剤群の有害事象の発現状況はプラセボ群と比較して大きな差は認められませんでした。また、各第III相試験の結果から、ノルディトロピン群との比較においても本剤群で新たに懸念すべき事象は認められていないことを確認しました。糖代謝障害や新生物等の個別の事象について検討した結果、適切な注意喚起がなされることを前提とすれば、本剤の安全性は許容可能と判断しました。
以上のとおり、機構での審査の結果、既存の成長ホルモン製剤と同様に、成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)を効能・効果として、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断しました。本剤は新有効成分含有医薬品であるため、再審査期間は8年、原体及び製剤はいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○杉部会長 ありがとうございました。今の説明に関して、先生方から何か御意見、御質問はありますか。特にありませんか。この成長ホルモン分泌不全症に対する薬のソグルーヤについて議決に入りたいと思います。大森先生、川上先生、武田先生におかれては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
それでは、本議題について可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようなので、承認を可として、薬事分科会に報告いたします。続いて、議題4に移りたいと思います。議題4について、機構から概要説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料4、医薬品ソマチュリン皮下注60mg他の製造販売承認事項一部変更承認申請の可否等について、機構より御説明します。資料4の審査報告書をお開きください。
本剤はソマトスタチンアナログであるランレオチド酢酸塩を有効成分とする注射剤であり、効果は甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍(以下、TSH産生下垂体腫瘍)に対する治療薬として開発されました。TSH産生下垂体腫瘍は、下垂体腫瘍からの甲状腺刺激ホルモン(以下、TSH)の過剰分泌による甲状腺刺激に起因し、血中の甲状腺ホルモンが高値であるにもかかわらず、TSH分泌が抑制されずに慢性的に血中のTSH濃度が高値を示す疾患であり、甲状腺ホルモンの過剰分泌による甲状腺中毒症状や、TSHによる慢性的な甲状腺刺激に伴うびまん性甲状腺腫大、また下垂体腫瘍の増大による圧迫症状が認められる疾患です。
TSH産生下垂体腫瘍の治療の第一選択は外科的切除術ですが、摘出困難な腫瘍や残存又は再発した腫瘍に対しては、薬物療法による長期管理が選択されます。また、腫瘍摘出施行時においても手術による侵襲が誘因となり、甲状腺クリーゼを発症するリスクを避けるため、術前にも甲状腺中毒症状を抑えるために薬物療法が必要とされます。本剤はソマトスタチン受容体への結合を介して、内因性ソマトスタチンと同様にTSHの分泌を抑制することで甲状腺中毒症状を改善し、また、ホルモン分泌抑制や細胞増殖抑制等により腫瘍縮小効果を示すと考えられます。
海外においては、TSH産生下垂体腫瘍に対し2003年にフランス及び英国で、本剤の筋肉内投与徐放性製剤が承認され、本剤については2005年にオランダにて承認されています。本邦において、本剤は先端巨大症・下垂体性巨人症及び膵・消化管神経内分泌腫瘍に対して承認されています。また、本邦におけるTSH産生下垂体腫瘍の患者数については、2018年度末時点で135例、新規患者は年間25例と推定されており、本薬は希少疾病用医薬品に指定されています。さらに、本剤は第29回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、医療上の必要性が高いと判断されています。本品目の専門協議では資料14に示す先生方を専門医として指名しています。
本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に御説明します。有効性については審査報告書の11ページの表7を御覧ください。TSH産生下垂体腫瘍患者を対象とした非盲検非対照試験が実施された結果、長期投与患者及び術前投与患者のいずれにおいても、主要評価項目とされた血中TSH濃度並びに甲状腺ホルモンである血中FT3濃度及び血中FT4濃度の低下が認められました。また、審査報告書の12ページの表9を御覧ください。副次評価項目とされた腫瘍サイズの縮小及び臨床症状に関するスコアの改善傾向が認められています。
安全性については、本試験における有害事象の発現状況は審査報告書12ページの表10のとおりでした。少数例での検討であり、検討には一定の限界はあるものの、認められた安全性の結果を確認する限り、TSH産生下垂体腫瘍患者において認められた事象は、おおむね胃腸障害等の既承認効能・効果に対する臨床試験で認められた事象であり、既承認効能・効果での安全性プロファイルと大きく異なることを示唆する結果ではありませんでした。
以上のとおり機構での審査の結果、甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍を効能・効果として、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断しました。本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適切と判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願いします。
○杉部会長 ありがとうございました。それでは今の説明に何か先生方から御意見、御質問ありますか。
○赤羽委員 赤羽ですけれどもよろしいですか。
○杉部会長 赤羽先生お願いします。
○赤羽委員 主要な効能に関して特段異論はないのですけれども、安全性に関して少しだけ懸念事項があります。血糖コントロールに関する有害事象に関してです。薬理作用を考えましたら、消化管それから膵臓からのホルモンの分泌抑制作用が副作用になるということは十分想定されるのですけれども、先ほど御説明のありました12ページの表10の、グリコヘモグロビンの増加に関して、例数は少ないですけれども30%近い発現割合がありました。それから14ページの表12でも血糖コントロールへの影響に関連して、特に52週間投与する試験のほうでは40%を超える発現割合が示されています。
15ページの表13に関しても、やはり32例を用いた試験で、血糖コントロールへの影響が50%ぐらい発現割合として示されています。それで添付文書を拝見しますと、添付文書の3ページ目のその他の副作用の所で、血糖値に関する副作用は5%未満の頻度の副作用として一応書かれてはいるのですが、添付文書にあるよりはもう少し今回の試験の結果は発現頻度が高いように見受けられます。
それでこの点についてお尋ねしたいのですが、もしかすると対象疾患によって副作用の発現頻度というのは異なってくるのではないかと思いまして、これまで承認されている疾患に対するものと、今回の対象疾患とでその辺の発現頻度が違うということはありますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきありがとうございます。添付文書と審査報告書における臨床試験の有害事象の発現状況について、添付文書では副作用、つまり有害事象のうち因果関係が否定されない事象の頻度を記載しています。一方で、審査報告書においては、因果関係が否定されている事象及び否定されていない事象全てを含んだ有害事象の頻度も記載していますので、数字に開きがあるという状況になっています。
今回実施された臨床試験は1試験であり、長期投与する患者については52週まで投与が継続され、術前に投与される患者については手術が可能になった時点で投与が終了するという試験デザインで実施されました。本試験での症例数は、合計で13例となっていますので、発現割合に対する1例の影響が大きくなっているという状況です。
今回の臨床試験において、血糖コントロールに関する事象の発現が認められていますが、既承認効能・効果に関する臨床試験に比べて著しく高いという結果までは得られていないと判断しています。
○赤羽委員 それでは関連ありとして判断した場合には、添付文書にあるぐらいの発現割合であるという御判断だったということでしょうか。引き続き今後もモニターしていく中で症例数が増えていく中で、見直し等も御検討いただけるかと思いますが、一応御説明いただいて納得いたしました。ありがとうございました。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。製造販売後においても、本剤が投与されるほぼ全例について情報収集できるような症例数で調査を実施しますので、当該調査結果も確認し、必要に応じて添付文書の記載の見直しをしたいと思います。
○赤羽委員 ありがとうございました。
○杉部会長 そのほかについて、先生方はいかがでしょうか。特にありませんでしょうか。よろしいですか。それではこの議題に関して議決に入りたいと思います。川上先生、代田先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。特に御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。
○杉部会長 それでは続きまして議題5に先に進みたいと思います。議題5についても、機構からの説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題5、資料5、医薬品ヒュンタラーゼ脳室内注射液15mg他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明します。資料5の審査報告書をお開きください。本剤は遺伝子組換えヒトイズロン酸-2-スルファターゼであるイデュルスルファーゼ ベータ(遺伝子組換え)を有効成分とする、ムコ多糖症II型に対する脳室内投与の注射剤です。ムコ多糖症II型はムコ多糖の一種であるグルコサミノグリカン(以下、GAG)の代謝経路を担うリソソーム酵素であるイズロン酸-2-スルファターゼの欠損に起因し、GAGであるヘパラン硫酸(以下、HS)が細胞内に蓄積することで、心不全、閉塞性呼吸障害、関節可動域の制限、肝脾腫等の発現や、重症型の患者では精神運動発達の遅滞・神経退行症状等の中枢神経症状が発現し、徐々に進行します。
現在、本邦においてはムコ多糖症II型に対する治療薬として、静脈内投与による酵素補充療法に用いられるイデュルスルファーゼ(遺伝子組換え)製剤が、販売名エラプレース点滴静注液6mgとして承認されており、本剤及びエラプレース点滴静注液の有効成分はともにヒトイズロン酸-2-スルファターゼと同じアミノ酸配列を有します。しかしながら、静脈内投与ではイデュルスルファーゼは血液脳関門を通過できず、エラプレース点滴静注液では中枢神経症状に対する有効性は期待できません。本剤は脳室内に直接投与することにより、脳内におけるHS濃度を低下させ、ムコ多糖症II型患者における中枢神経症状を改善させることが期待される酵素補充療法の製剤です。海外においては、2020年9月現在、脳室内投与製剤である本剤は、いずれの国及び地域においても開発・承認されていませんが、イデュルスルファーゼ ベータ(遺伝子組換え)を有効成分とする静脈内投与製剤については、韓国等の各国で承認されています。
本邦におけるムコ多糖症II型の患者数は、2016年に実施された全国疫学調査によると168例報告されており、本薬は希少疾病用医薬品に指定されています。本品目は専門協議では資料14に示す先生方を専門医として指名しています。
本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明します。まず有効性について、審査報告書の17ページの表16を御覧ください。中枢神経症状に対する治療を必要とする重症型ムコ多糖症II型患者を対象とし、イデュルスルファーゼが試験開始前から静脈内投与されている患者に本剤を脳室内投与する、非盲検非対照試験が実施されました。主要評価項目については、HSを含めたGAGの蓄積がムコ多糖症II型患者の中枢神経症状の主たる原因であるという報告が既にあることを踏まえ、脳脊髄液(以下、CSF)中のHS濃度とされました。その結果、各被験者でCSF中のHS濃度の減少が認められています。
続いて中枢神経症状に対する有効性の結果については、審査報告書の21ページの表19及び図1にお示ししています。本試験では新版K式発達検査により発達の評価がなされましたが、本剤を8週間投与した結果として中枢神経症状に関する明確な結果は得られませんでした。しかしながら疾患の希少性や発達に対する影響の評価にはより長期にわたり検討が必要と考えられることを踏まえ、現時点で得られている本試験のCSF中のHS濃度の減少等の結果から、中枢神経症状を有するムコ多糖症II型患者に対する本剤投与時の一定の有効性は期待できると解釈して差し支えないと判断しました。
ただし、本試験における中枢神経症状に対する評価の限界を踏まえ、製造販売後の本剤が投与された全症例を対象に、引き続き発達評価等の有効性に関する情報収集を行い、中枢神経症状に対する評価を継続する予定です。
安全性については、本試験における有害事象の発現状況を審査報告書18ページ上段の、「安全性について」から始まる段落に記載しています。本試験で認められた有害事象の発現状況を確認する限り、本剤投与による安全性上の特段の懸念は認められていませんが、本剤は植込型CSFリザーバを介して投与することから、脳室炎・髄膜炎等の頭蓋内感染が生じる可能性や、頭蓋内圧の変動に伴う嘔吐等が生じる可能性があることから、これらの点については添付文書等において注意喚起を行う予定です。
なお、本剤を投与した経験は極めて限られることから、製造販売後は全投与症例を対象に製造販売後調査を実施し、安全性及び有効性に関するデータを早期に収集することに加え、特に有効性に関する発達評価のデータ等を中心に、実施した使用成績調査等の解析結果を定期的に提出すること、及び本剤の有効性等に関する追加的に実施された評価に基づき、本剤の適正使用に必要な措置を講じる旨を承認条件として付すことが適当と判断しています。
以上のとおり機構での審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断しました。本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品に該当すると判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願いします。
○杉部会長 ありがとうございます。今の説明に関しまして、先生方から何か御質問、御意見はございますでしょうか。日本では初めての脳室内注射ということで、リザーバを使っての治療ということになりますが、先生方何か御質問はありますか。特にないようでしたら、ある程度安全性も確立されているようですから、それでは議決に入りたいと思いますが、よろしいですか。
○宮川委員 日本医師会の宮川ですが。
○杉部会長 宮川先生どうぞ。
○宮川委員 今は議題6でいいのですね。
○杉部会長 宮川先生、今、脳室内の注射について、ヒュンタラーゼのことですが、これは先生、何か御意見ございますか。
○宮川委員 中枢神経症状の改善ということなのです。これらを評価する長期にわたる検討が必要ということになっておりますが、どれぐらいの期間が必要なのかということを教えていただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。中枢神経症状に関する知見は限られており、評価に必要な具体的な期間に関する情報も限られますが、5年程度で中枢神経症状が現れるというような報告もあります。今回、再審査期間は10年の予定であり、製造販売調査における観察期間は最大9年
を予定しております。
○宮川委員 その中で見られると、しっかりと検討できるということですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○宮川委員 それから、投与対象である中枢神経症状の改善が必要である患者さんの診断基準に関して、そういうものが困難であるということなのですが、実際に実臨床で使った場合のどのような判断基準あるいは投与基準など、どのように投与判断をしたらいいのかということについて、何か考え方はあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 明確な投与対象を事前に規定するというのは困難ですけれども、例えば、全く酵素が欠損してしまう等の、遺伝子型による検討が1つの目安になるかと考えています。
○宮川委員 どうもありがとうございます。もう1つよろしいでしょうか。添付文書の中に脳室内の注入の既承認の品目があります。脳室内注射液というところです。その所で記載がありますが、これらの注意に適切に対応することと書いてあります。使われるのは専門家の先生だろうと思いますが、何か適切な表現が他にあるのかどうかお教えください。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。本剤の投与に用いる機器に関して、臨床試験等で適合性が確認されている機器は資材を用いて情報提供する予定です。本剤の添付文書においては、当該医療機器の添付文書若しくは取扱説明書について参照されるよう記載をしています。
○宮川委員 ありがとうございました。失礼いたします。
○杉部会長 ありがとうございました。宮川先生、そのままでもうちょっとお待ちください。
○宮川委員 はい、ありがとうございます。
○杉部会長 そのほかの先生はどうでしょうか。特に御質問はありませんか。それでは本議題について議決を行いたいと思いますが、本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。特に御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。それでは議題3のソグルーヤに関しまして、宮川先生から何か御質問があるということです。宮川先生どうぞお願いします。
○宮川委員 議論の後に大変申し訳ありません。議題3ですけれども、4054試験では外国人では血糖のコントロールが良好に管理されている糖尿病患者さんが組み入れられておりますが、国内の第III相試験の4244試験では、糖尿病患者さんが組み入れられているのかどうか、確認のためにお聞きしたいと思いました。まずそれが第1点です。
○医薬品医療機器総合機構 ご質問いただきありがとうございます、機構でございます。現時点では、本邦ではソマトロピン製剤の禁忌に糖尿病患者さんが設定されているため、国内の試験では糖尿病を合併する患者さんは除外して実施されています。一方で、今回の臨床試験成績に基づきまして、血糖コントロールの状況、外国人ではありますが糖尿病を合併する患者さんでの安全性の情報等を鑑みますと、事前に血糖コントロールが良好な患者さんで、その後きちんと血糖コントロールをモニターしていただけるようであれば、本剤を投与しても問題ないと判断し、本剤では糖尿病患者さんを禁忌に設定することはしませんでした。既存のソマトロピン製剤についても、今後、今回の検討や海外の状況等を踏まえまして、禁忌の設定の解除をするかどうかについて、担当の部署で御検討いただけると伺っています。
○宮川委員 ありがとうございます。添付文書の9.1.1の所で、糖尿病又は耐糖能異常のある患者の所で、日本人に対する投与例がないという旨で注意喚起することが必要なのかどうかという疑念で、今質問したということです。それで了解してよろしいわけですね。特に添付文書にそういう記載がなくても大丈夫と機構が判断されたということでしょうか。
○杉部会長 機構としていかがですか。今の宮川先生の質問。
○医薬品医療機器総合機構 現時点では臨床試験において日本人の糖尿病を合併する患者さんの検討はなされていませんが、現時点では外国人と日本人の患者さんで何か区別をして添付文書において注意喚起したほうがいいというような懸念まではないと考えており、市販後の調査において日本人の糖尿病を合併する患者さんでの安全性、血糖コントロールの状況も含めて情報収集し、その結果を踏まえて添付文書において注意喚起する必要があるかどうかを検討したいと思っています。
○宮川委員 ありがとうございます。続いて4054試験において、これはノルディトロピンの群と比較して体脂肪率のベースラインからの変化量が非常に小さいのですけれども、この両群の差というのは臨床的な意味というのはどのぐらいなのか、そういうことは余り考えなくてよろしいのかということで、お聞きしました。若しくは専門家の方に御意見をいただければと思ったものですから。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。機構としましてはプラセボとの差については臨床的に意義があると考えています。
○宮川委員 ありがとうございます。それから本剤の最高用量についてです。国際共同の第III相試験では設定が8mgということなのですが、日本人の投与例のあるのは6mgが最高用量であると記載されていますが、この差についてお聞きしたいと思いました。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 ご質問いただきありがとうございます。御指摘のとおり、臨床試験では日本人患者さんでは6mgが最高用量でしたが、成長ホルモン分泌不全症の患者さんでは必要なGHの補充量にだいぶ個人差があります。本剤は基本的には、臨床症状やIGF-1等、副作用も含めて、個々の患者さんの状態を見ながら低用量から徐々に至適な維持用量まで上げていくことも踏まえ、実臨床では日本人の患者さんにおいても必要とされる患者さんもおられるかもしれませんので、臨床試験での8mgまでの投与実績に基づき、用法・用量を設定したところです。
○宮川委員 ありがとうございました、御手間を掛けました。すみません、ありがとうございました、以上です。
○杉部会長 ありがとうございました。それでは議題3については、宮川先生これでよろしいですね。
○宮川委員 ありがとうございます。御迷惑を掛けしました。
○杉部会長 いいえ、ありがとうございました。それでは続きまして議題6に移りたいと思います。議題6について、機構から概要の説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料6、医薬品エムガルティ皮下注120mgオートインジェクター他1品目について、医薬品医療機器総合機構より説明いたします。資料は資料6の審査報告書を御覧ください。審査報告書の一番下、全78ページの通し番号で6ページ、1.起源又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等の項を御覧ください。本剤は、ガルカネズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする片頭痛の治療薬です。本剤は、片頭痛発作時に三叉神経節ニューロン及び硬膜を含む三叉神経の末梢で、高度に発現する神経ペプチドであるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に特異的に結合し、その生理活性を阻害することにより片頭痛発作の発生を抑制する抗体製剤です。今般、国内外の臨床試験成績を基に製造販売承認申請されました。なお、本剤は、2020年7月現在、欧米を含む40以上の国又は地域で承認されています。本品目の調査の概略について、臨床試験成績を中心に説明します。
審査報告書の通し番号38ページの表35を御覧ください。2~4種類の片頭痛予防薬で、効果不十分な片頭痛患者を対象とした国際共同第III相試験が実施され、本剤群では、初回のみ本剤240mgが投与され、以降、月1回120mgが投与されました。主要評価項目は、二重盲検投与期3か月における1か月間当たりの片頭痛日数のベースラインからの変化量とされ、本剤群でプラセボ群と比較して片頭痛日数の有意な減少が認められました。また、審査報告書の通し番号39ページの表37に示しますように、主要評価項目について、全体集団と日本人集団で一貫した結果が示されました。既存予防薬で効果不十分な片頭痛患者以外では、日本人を対象とした検証的試験は実施されていませんが、審査報告書の通し番号32ページの表28、また34ページの表30及び36ページの表32に示しますように、既存予防薬で効果不十分な患者に限定されない片頭痛患者における有効性について、外国人対象の海外第III相試験で示されていること、審査報告書の通し番号31ページの表26に示しますように、既存予防薬で効果不十分な患者に限定されない日本人反復性片頭痛患者における有効性が、国内第II相試験で示唆されていること、また、有効性について、臨床上問題となる地域間差も認められていないことなどを踏まえると、日本人でも、既存予防薬で効果不十分か否かによらず本剤の有効性は期待できると判断しました。
続いて、安全性について御説明します。審査報告書の通し番号57ページから記載している、7.R.4安全性についての項を御覧ください。国内外の臨床試験での有害事象の発現状況及び本剤の海外製造販売後に得られた安全性情報により、本剤の臨床使用における有用性を損なうほどの問題点は認められていないと判断しました。なお、重篤な過敏症や注射部位関連の有害事象については、添付文書に加え、医療従事者向け資材及び患者向け資材を用いて情報提供を行うことで対応可能と判断しました。また、本剤は新規作用機序の皮下注射製剤であることなどを踏まえ、投与の可否は慎重に判断する必要があると判断し、添付文書の効能・効果に関連する注意において、最新のガイドライン等を参考に、非薬物療法、片頭痛発作の急性期治療等を適切に行っても、日常生活に支障を来している患者にのみ投与する旨の注意喚起を行うことにしました。
以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断しました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いします。
○杉部会長 ありがとうございました。今の皮下注について、最適使用推進ガイドラインというのがありますが、ガイドラインについては後ほど説明があると思います。今の機構からの説明で、このエムガルティの皮下注について、何か先生方から御質問、御意見ありますでしょうか。よろしいでしょうか。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。
○杉部会長 どうぞお願いします。
○宮川委員 66/78なのですが、そこの上段に、国内外の臨床試験で除外された脳心血管関連リスクを有する患者及び片麻痺性の片頭痛等のまれな亜型を、投与対象に含めるかどうかについてです。本薬の臨床試験及び海外の販売後の安全性情報では、明らかな脳心血管関連のリスクが示されていないことを理由にしているのですが、実際には当該患者さんに投与して安全性が確認されたわけではありません。やはりこれは、投与対象から除外したほうがいいのかなと思うのですが、いかがでしょうか。言及していないものに対して許可するのはいかがなものでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。この点について、各専門委員、専門協議でも先生方に御意見をお伺いしたところです。そのときの議論については、審査報告書73/78ページの一番上の段落の辺りに書いております。このときの先生方から頂いたコメントですと、今回、こういった患者さんが臨床試験の中に含まれていなかったことを情報提供した上であれば、投与対象に含めることは可能ではないかという御意見を頂いております。機構としては、ここに挙げておりますような脳心血管リスクを有する患者ですとか、片麻痺性片頭痛などの患者が入っていなかったということは情報提供しますが、投与対象から積極的に除く必要まではないと考えております。
○宮川委員 最適使用推進ガイドラインに関わることになってしまうのですが、御説明があった73/78の2行目ですが、生活指導とかそういうものに対して、的確に頭痛という診療に精通した医師の下で使用することが適切であるという表現が、2~3行目に書いてあります。ではその医師は、どのような資格を持った医師、あるいはそのような判断をする適切な医師であるかということに対して、しっかり明記されていないと問題が起こるのではないかと思っています。機構のお考えをお聞きしたわけです。
○杉部会長 ありがとうございました、宮川先生。私がちょっと先ほど言い始めたガイドラインについてですが、今ここで説明をさせていただきます。よろしくお願いします。
○宮川委員 よろしくお願いします。
○事務局 それでは事務局より、最適使用推進ガイドラインの御説明をいたします。資料12-1、その他事項に含まれている資料ですが、御確認いただければと思います。本剤につきまして、最適使用推進ガイドラインを作成すること自体は、先般の部会で御報告したところですが、今回、この承認の可否の審議に合わせて作成しております。資料の2ページの「はじめに」の所を御覧ください。先ほど機構からの説明があったとおり、対象効能・効果が片頭痛発作の発症抑制ということで、今回は日本神経学会、それから日本頭痛学会から御推薦を頂いた専門家の御意見を踏まえて、このガイドライン(案)の作成を行っております。この下の所に本剤の特徴、作用機序、それから3ページ以降に臨床成績が書かれておりますが、これは、先ほどの機構からの説明と重複しますので割愛いたします。
9ページは施設についての要件を定めた部分です。本剤は、適応となる患者の選択、それから投与継続の判断が適切に行われることが必要ということで、まず鑑別することができるかどうか、それから、重篤な副作用が発現した際に適切な対応が取れるかどうかといった観点で記載をしております。1つ目、施設についてのマル1です。その中で、先ほど宮川先生より御指摘を頂きました医師要件を定めております。医師要件としては、医師免許取得後、2年の初期研修がありまして、さらに、頭痛を呈する疾患の診療に4年以上の臨床経験ということで、2プラス4の6年の経験ということで書いております。また、本剤の効果判定を適切に行えるということで、投与継続の是非についての判断を適切に行うことができる者ということで、医師要件を定めております。また、同じく施設の所で、鑑別のためにMRI等による検査が必要という場合もありますので、MRI等を有している施設であるとか、あるいは、そこと連携できる所ということで定めております。また、マル2院内の医薬品情報管理の体制、あるいはマル3副作用への対応といったところも、重篤な副作用が発現した際の対応として記載しております。
10ページ、投与対象となる患者です。まず患者選択についての部分です。4つの要件を全て満たした患者ということで定めております。1つ目が、国際頭痛分類にもある今回の投与対象となるべき片頭痛を持っている方ということが適切に確認をされていること。さらに2番目に、投与開始前3か月間以上で、1月当たり平均4日以上の頭痛の回数があるという方。それから3番目として、非薬物療法も含め、急性期治療を既に実施している患者さんで、それらの治療が行われたとしても、日常生活に支障が生じているという患者さん。最後が、今回は抗体医薬ですが、それ以外の片頭痛発作の発症抑制薬というのは既に承認されているものがありますので、少なくとも、それらの中から1つ以上は効果が十分得られない、あるいは、忍容性が低いといったような理由で使用又は継続ができないということを確認した上で、この剤に移っていただくことを考えております。下の投与の継続・中止ですが、本剤は投与が月に1回ですので、効果の判断をするのに3回ぐらいの投与は必要だということで専門家の先生から御意見を頂いておりまして、3か月を目安に治療上の有益性を判断して、効果がない場合に投与中止を考慮するということで記載をしております。
11ページ、6の投与に際して留意すべき事項です。これは添付文書にも記載している内容です。禁忌であったりとか、重要な基本的注意などに記載している注意事項を、改めてこのガイドライン上にも記載をしているものとなります。このガイドラインについては、今日、皆さんから御意見を頂いて、それも踏まえつつ、引き続き検討させていただきまして、最終的には中医協にもお諮りした上で、本剤の薬価収載の日に通知として発出する予定としております。以上になりますが、御議論のほどよろしくお願いします。
○杉部会長 ありがとうございました。宮川先生のおっしゃった医師の資格についても、御意見がありましたら、また伺いたいと思いますが、宮川先生、いかがですか。
○宮川委員 お話させていただきます。ここには、日本神経学会と日本頭痛学会と記載されていますが、日本医師会の立場からすれば、日本医学会の分科会の関連学会に是非、お尋ねになったほうがよろしいかと思います。日本医学会に配慮されて、例えば日本脳神経血管内治療学会などにも、是非、意見を求めて定めていただければ幸いなのかなと思って御意見をさせていただきました。
それから、医師の要件もそのようなところに関連してきます。医師要件の中で、医師免許後2年間の初期研修はまず前提条件として、頭痛を呈する疾患の診療に4年以上という形ですと、どの施設でも頭痛は診ることができてしまうので、何らかのしっかりとした要件が望ましいと考えます。医療施設の指定の要件とか、それに準ずるとかいう言葉が1つ入ったほうがよろしいのかなと思いました。
それから、10ページの4ポツの所です。本邦で既承認の片頭痛薬の3つの薬があるのですが、これは「いずれか」でよろしいのかなと思います。つまり、どれも効かないので、それで使用したのか、どれか1個だけ使用したのだか効かなかったから本剤を使用したいと考えたのかということです。本来であれば、この3つの薬を使ったけれども駄目で、この薬を使用するという、マル1、マル2、マル3という要件があって、それだから本剤を使用することになったのだというほうが適切な表現なのか、お聞きしたいと思います。そして、マル1、マル2、マル3であれば、忍容性が低いという表現のみでは、マル3に合致してしまいます。マル1、マル2だけでも結構なのか、表現の仕方について御意見いただければ幸いかなと思います。以上です。
○杉部会長 どうもありがとうございました。事務局からお話があります。
○事務局 事務局より回答いたします。まず、1つ目に御指摘いただいた、確認すべき学会を追加すべきなのではないかという点については、この議論の後、中医協までの間に、改めて学会の方に先生方を推薦いただいて、その先生方の御意見を伺いたいと考えております。それから、医師要件の所でコメントいただいた点については、これはちょっと御質問になるのですが、今は頭痛専門医が日本頭痛学会とかの中で定められておりますが、その頭痛専門医に準ずるような方という書きぶりでよろしいのかどうかを確認させていただければと思います。
○宮川委員 はい、そのような表現であればよろしいのではないかなと思います。
○事務局 分かりました。ありがとうございます。それから、最後の10ページの投与対象の患者の既存の発症抑制薬の所ですが、ここは、今、頂いたコメントについて、同じような議論が既に神経学会、あるいは頭痛学会と議論をする中でありまして、そのときの議論としては、ここにある薬剤を全部試してからでないと本剤を投与できないという書きぶりにすると、逆に、2種とか3種とかを一気に併用して不適正使用が生じる温床になるのではないかという御意見もあったので、現状、「いずれかが」という記載にさせていただいているところです。それも踏まえて御議論いただければと思います。
○宮川委員 ありがとうございます。そのような議論がされているのであれば結構だろうと思います。ただ、マル1、マル2、マル3の所で、忍容性が低いというのはマル3に入るのかなと思いましたので、言葉を整理する意味でお聞きしたわけですが、「いずれか」というのは、そういう意味合いで取ることができれば結構だろうと思います。ありがとうございます。
○事務局 分かりました。マル2とマル3は、ちょっと書きぶりは整理をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○杉部会長 宮川先生、それでよろしいですね。
○宮川委員 結構です。いろいろありがとうございました。
○医薬品医療機器総合機構 失礼します。機構から少し、マル2とマル3の記載について補足をよろしいでしょうか。
○杉部会長 機構からお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。こちらのマル2とマル3を書き分けた経緯としては、マル2の場合は、基本的には投与を一度していただいて、何らか有害事象等が発現して忍容性が低いと判断された場合を想定して記載をしております。一方、マル3のように禁忌に該当する場合、そもそも投与をされる前に、既に投与できないと判断されるようなこともあり得るということで、なるべく解釈に齟齬が生じないよう、あえて明確に書き分けるという意味で、マル2とマル3を使い分けておりました。
○宮川委員 明確な御説明ありがとうございました。
○杉部会長 それでは、石川先生から御質問があるようですから、石川先生、どうぞお願いします。
○石川委員 コメントさせていただきたいと思っているのですが。
○杉部会長 お願いします。
○石川委員 宮川先生の御意見はごもっともで、専門医の資格に関して議論を頂くという結論であれば、私もそのとおりお願いしたいと思います。ただ、もし頭痛学会に限定するとなると、私ども、例えば脳神経内科医は、私などは例えば、頭痛の患者さんを拝見しますが、片頭痛の方も。日本頭痛学会には入っていないということもあって、実際にもし頭痛学会だけに限定してしまいますと、患者さんへの普及の問題も出てくると思いますので、日本神経学会の、あるいは、脳神経外科の専門の先生方が入っていらっしゃる学会で御議論いただければと、機構の先生方と御議論いただければと思います。以上です。
○杉部会長 ありがとうございました。今のことも、関連の学会ということで操作していただいて、いろいろ検討させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○宮川委員 宮川ですが、よろしいでしょうか。
○杉部会長 はい。
○宮川委員 今の石川先生の御意見、大変ありがとうございました。私も、先生の立場を配慮することができなくて、申し訳ごさいませんでした。広く、そういうところで検討していただければ幸いかなと思います。以上です。
○杉部会長 ありがとうございました。石川先生もありがとうございました。それでは、そのほかに何か御意見ございますでしょうか。特になければ、この薬剤について議決に入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。大森先生、川上先生、代田先生、武田先生、山田先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。それでは、本議題につきまして、現時点で、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。特に異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。それから、今のガイドラインにつきましても、一応、先生方の御確認を頂いたということにしたいと思います。そして、今、事務局から説明がありましたように、各学会への相談をさせていただくことにしたいと思います。よろしいですね。ありがとうございました。
続いて、議題7に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 議題7、資料7、医薬品イグザレルトドライシロップ小児用51.7mg他7品目について医薬品医療機器総合機構より説明いたします。資料7の審査報告書を御覧ください。医薬品医療機器総合機構からの説明では、審査報告書の下部に青字で記載されている通し番号で説明いたします。審査報告書の5ページです。1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等の項を御覧ください。
本薬は活性型血液凝固第Ⅹ因子阻害薬であるリバーロキサバンを有効成分とする薬剤であり、本邦では本薬の錠剤が2012年1月に非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、2015年9月に深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制の効能・効果で承認されております。
今般、静脈血栓塞栓症の小児患者を対象とした国際共同第III相試験成績を主要な根拠として、静脈血栓塞栓症の小児用法・用量の追加に係る医薬品製造販売事項一部変更承認申請及び、小児用製剤である本薬のドライシロップの剤形を追加する医薬品製造販売承認申請がなされました。なお、静脈血栓塞栓症は、成人の承認効能・効果である深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症の総称とされているのに対し、小児では血栓の発現部位がより多様であることが知られていますが、以降の説明では、静脈血栓塞栓症へ統一させていただきます。
本薬は、2020年9月時点で、欧米を含む130以上の国又は地域で承認されていますが、静脈血栓塞栓症の小児における用法・用量について承認されている国はなく、現在、欧州等で承認審査中です。静脈血栓塞栓症の小児を対象とした本薬の開発では、静脈血栓塞栓症の成人を対象とした本薬の臨床試験で有効性が検証されていること、静脈血栓塞栓症の病態生理は小児と成人で同様と考えられる一方で、小児では静脈血栓塞栓症の発症頻度が低く患者数が限られること等から、成人で有効性が示された曝露量を目標に小児での用法・用量を設定し、実施可能な規模で小児における本薬の有効性及び安全性を確認するとともに、成人を対象とした臨床試験成績と比較することにより、小児での有効性及び安全性を説明する開発方針がとられました。
本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明いたします。臨床試験成績については、審査報告書の25ページから記載しております。7.2.1国際共同第III相試験の項を御覧ください。生後0か月から18歳未満の静脈血栓塞栓症患者を対象に、本薬とワルファリン等の他の抗凝固療法を用いた標準治療の有効性及び安全性を比較検討することを目的とした国際共同第III相試験が実施され、当該試験において審査報告書の26ページの表12にお示しした用法・用量が設定されました。
有効性について、審査報告書の28ページの表19及び図3を御覧ください。主要評価項目とされた主要投与期間(1又は3か月間)における再発性症候性VTEの発現割合は、本薬群で標準治療群と比較して低く、標準治療に劣らない本薬の有効性が示唆されました。また、その成績から静脈血栓塞栓症の成人を対象とした臨床試験と類似した有効性が示されていると判断いたしました。日本人集団での有効性は、審査報告書の39ページの表27に示しているように、症例数が極めて限られていることから比較に限界があるため、無症候性の血栓像の変化に関する評価結果等を踏まえて総合的に検討し、全体集団と同様に本薬の有効性は期待できると判断いたしました。
続いて、安全性について説明いたします。審査報告書の40ページから記載している7.R.4安全性についての項を御覧ください。国際共同第III相試験での有害事象の発現状況を踏まえると、静脈血栓塞栓症の小児において追加の注意喚起を要する新たな安全性の懸念事項は認められませんでした。本薬の薬理作用に関連するリスクである出血の発現状況については、添付文書及び医療従事者向け資材を用いて情報提供を行うとともに、添付文書において小児の抗凝固療法に精通した医師又はその指導の下で治療を行う旨、静脈血栓塞栓症の再発リスクと出血リスクを考慮して、継続投与の可否等を判断する旨の注意喚起がなされることから、本薬の期待される有効性を踏まえると安全性は臨床的に許容可能であると判断いたしました。
以上の検討を行った結果、本薬を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本申請は新効能・新用量医薬品及び剤形追加に係る申請であることから、本申請に係る効能・効果及びその用法・用量の再審査期間は4年、イグザレルトドライシロップ小児用51.7mg、同ドライシロップ小児用103.4mgについて、製剤は生物由来製品及び特定生物由来製品並びに毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○杉部会長 ありがとうございました。今の説明に関して、先生方から、御質問、御意見はございますか。
○堀委員 恐れ入ります。堀ですが、質問させていただいてよろしいでしょうか。
○杉部会長 堀委員、お願いいたします。
○堀委員 ありがとうございます。まず、ドライシロップの新生児又は乳児に対する服用の仕方について質問いたします。恐れ入りますが、質問に当たりドライシロップの添付文書の2ページを御覧ください。9.7小児などという項目があります。そこに生後6か月未満の下記に該当する乳児には、本剤投与に治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ、患者の状態を十分に観察しながら投与することと書いてあります。そこの3つのポチの一番最後の経口栄養という所です。お尋ねしたいのは、母乳又は粉ミルクを哺乳瓶から投与している乳児又は新生児に関しては、経口栄養に該当するのか教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。医薬品医療機器総合機構よりお答えいたします。今お話しいただいたような状況が、該当する記載と考えております。
○堀委員 そうすると、母乳であっても経口栄養と理解してよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そのように理解しております。
○堀委員 そうするととても画期的な薬なのですが、添付文書の1ページの6の用法・用量を拝見すると、2.6kg以上3kg未満から投与が始まります。そのときに1日3回で0.8mg投与ということなのですが、例えば、生後6か月では大体6kgの子供が該当すると思いますけれども、それ以下の哺乳瓶又は母乳から栄養を取っている新生児、乳児に関しては、この薬をどのように投与したらいいのか教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。お手元に製剤見本の図はございますか。
○堀委員 申し訳ありません。私の手元にはございません。
○医薬品医療機器総合機構 では、ドライシロップ製剤の概要を少し説明いたします。それぞれの製剤は箱で提供されます。箱の中にはドライシロップが充填されたボトル、ドライシロップを懸濁するための水を計量するためのシリンジのようなもの、懸濁したシロップ剤を投与するためのピペット等が同梱されております。
まず、やっていただくこととしては、ドライシロップを一定量の水で懸濁し、例えば、今、御指摘いただいた0.8mgを投与する必要がある患者であれば、0.8mLの懸濁液を投与していただくことになりますので、投与液量を固定できるピペットを用いて、瓶の中から1回の投与液量を吸っていただいて、患者の口腔内に注入していただく投与方法となっております。もし御懸念の点と合っていないようであれば御指摘いただきたいのですが、ドライシロップの投与方法はこのようになっております。
○堀委員 ありがとうございます。私は子供を育てていたときに、離乳食を与える前の段階で水を口の中に入れても飲み込むことがかなり難しかった記憶があるのです。やはり、母乳又は哺乳瓶で飲むことに慣れ、吸うということを新生児又は乳児、特に離乳食前の乳児は飲み込むことが非常に難しかったような記憶があったので、果たして、口の中にスポイトのようなもので薬剤を入れたとしても、きちんと口の中から体内に吸収できるのかどうか心配でしたので質問をさせていただきました。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。御指摘いただいたように乳幼児、特に低年齢の患者は、口腔内に入れても吐き出してしまったり、1回飲み込んだように見えても嘔吐してしまうという状況が想定されるかと思います。臨床試験における設定なのですが、吐き出してしまった場合や嘔吐してしまった場合には、投与した30分以内であれば再投与するという規定、30分以降経過した場合は新たな投与を行わず、次回の予定時刻に投与を再開するということをガイダンスで規定しておりました。
実際に嘔吐又は吐き出してしまったときの情報が収集されていたわけではないのですが、患者向け資材等においては、臨床試験で実施されていたものと同様の内容を推奨事項として情報提供する予定です。
○堀委員 是非、お願いいたします。特に1人目を産んだ母親又は保護者に関しては、どのように子供に飲ませたらいいかというのは大変心配な点だと思いますので、そこの部分が解決できるような丁寧な資材を作っていただければ幸いです。お願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。
○堀委員 私からは以上です。ありがとうございました。
○宮川委員 日本医師会の宮川ですが、よろしいでしょうか。
○杉部会長 宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 私は内科ですが小児科も一緒にやっていますし、小児の勉強をしたこともありますので見解を申し述べたいと思います。小児に関わる医師、看護師、病棟薬剤師は投与することには非常に慣れております。普通に口の中に滴下するのではなくて、頬の内側に薬液を落とします。そうすると、頬の内側に傾けた形で入れればそのまま自然に飲み込むことができるので、真ん中からは投与しません。今、堀委員が言ったことは非常に重要なことで、多分、そういうことに慣れている医師、看護師、病棟薬剤師はそのような投与の仕方をされると思うのですが、一応、注意喚起はしっかりされたほうがよろしいかと思います。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりコメントいたします。宮川先生、補足いただき誠にありがとうございます。今、御指摘いただいた内容は、製剤に同梱されている取扱説明書で、服用時の注意として、ピペットの先端を頬の内側に向けて注入するという旨も記載しておりますので補足いたします。
○宮川委員 宮川です。皆さんが、そのとおりに読んでいただければ問題ないと思います。以上です。
○堀委員 堀です。宮川先生、貴重な御助言どうもありがとうございました。それが反映できますよう、是非、お願いいたします。ありがとうございます。
○宮川委員 堀先生、いつもありがとうございます。
○堀委員 以上です。ありがとうございました。
○杉部会長 ありがとうございました。それでは、合田先生から、御質問、御意見をお願いいたします。
○合田部会長代理 国立医薬品食品衛生研究所の合田です。この錠は剤形追加が1つ入っております。ドライシロップ小児用の部分で、ドライシロップは割と剤形自身が品質に影響を与えることが非常に多いのですが、専門協議の委員メンバーを見たときに、品質の専門家がいらっしゃるのかということが気になったのですが大丈夫でしょうか。私自身が見た限りでは品質はちゃんと担保されていると思ったのですが、専門協議に製剤の専門家を入れるべきなのではないかと思いますけれども、これはルール上、大丈夫でしょうか。
○杉部会長 機構から何かございますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。剤形追加の際には、製剤の品質の特性などを踏まえて専門協議の実施の要否を検討させていただいております。本品については、品質の専門協議は特に実施しておりません。
○合田部会長代理 ドライシロップは割と問題が起こりやすいので、気になりました。今、私が見てこれは大丈夫だと思いましたが、参考にしてください。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。御意見いただいたように機構の中で内容を確認させていただき、ドライシロップの品質に関しては担保されていると判断しているところではございますが、専門協議の対象とする品目については頂いた御意見を参考に検討させていただきます。
○杉部会長 合田先生、御指摘ありがとうございました。そのほかに何かございますか。
○大賀委員 大賀です。よろしいでしょうか。
○杉部会長 大賀先生、よろしくお願いいたします。
○大賀委員 機構から御説明していただき、ありがとうございました。新生児も含めた若い患者の場合に遺伝性血栓性素因も含めた基礎疾患のことも気になります。使用に関して、その辺りの遺伝子診断などについては、機構ではどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。今回、実施された国際共同第III相試験においても、遺伝性の素因を有していてVTEを発症した患者も対象に含まれておりました。全体の数は多くありませんでしたが、素因を有している方と有していない方で、有効性の傾向に特段の違いはないということを確認しているところです。
○大賀委員 成人の場合は、ヘテロ変異で発症するプロテインCやS、AT欠乏症患者の場合には一定の観察ができるわけですが、特に新生児の場合には、プロテインC活性値のバリエーションがかなりあることと、ビタミンK欠乏などの状況によって個人差が大きくなってくると思いますので、特に3か月未満の患者の副反応に関しては注意深く見ていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。忌憚のない御意見を頂きありがとうございます。必要に応じて資材や今後実施する調査等において、そういう観点からの情報収集や注意の要否も検討させていただきます。ありがとうございます。
○杉部会長 ありがとうございました。そのほかに何かございますか。特になければこの議案の議決に入りますが、よろしいでしょうか。それでは、今、大賀先生、代田先生、武田先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。続いて、議題8に移ります。機構から御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構です。議題8、ジムソ膀胱内注入液について説明いたします。資料は8-1及び8-2です。資料8-1の審査報告書をお開きください。タブレットの資料を御覧になられる場合には、資料8-1、8-2のフォルダを開き、星印の付いている審査報告書のファイルをお開きください。
審査報告書の通し番号の4ページ、1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況の項を御覧ください。本剤はジメチルスルホキシド(以下、DMSO)を有効成分とする膀胱内注入療法用剤です。米国等では本薬が間質性膀胱炎の症状緩和を目的に40年以上使用されております。本邦では、DMSOは2019年に公表された間質性膀胱炎・膀胱痛症候群診療ガイドライン(以下、2019年版IC/BPSガイドライン)において、膀胱内注入療法の1つとして記載されております。
本剤の開発については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において「医療上の必要性が高い」と評価され、厚生労働省より開発企業の募集がなされ、今般、募集に応じた杏林製薬株式会社より、国内臨床試験成績等に基づき医薬品製造販売承認申請がなされました。なお、本剤は間質性膀胱炎を予定効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されております。本剤の審査に関する専門委員として、資料14に記載されている委員を指名いたしました。
本剤の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明いたします。有効性について説明いたします。審査報告書の通し番号は26ページ、7.2第III相試験の項を御覧ください。間質性膀胱炎患者を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験(以下、L301試験)が実施されました。主要評価項目は、本邦の医療現場で間質性膀胱炎の症状の評価に汎用されているO'Leary & Santによる症状スコア日本語版(以下、ICSI)のベースラインからの変化量とされました。その結果は、審査報告書の通し番号の27ページの表18のとおり、本剤群とプラセボ群の間に有意差が認められ、ICSIの構成等を踏まえ、その群間差には臨床的意義があるものと判断いたしました。また、審査報告書の通し番号の28ページの表19のとおり、間質性膀胱炎の症状に関連する副次評価項目の結果は、主要評価項目で示された有効性の意義を支持するものでした。
L301試験の成績は以上のとおりですが、試験開始後に公表された2019年版IC/BPSガイドラインでは、試験実施当時に間質性膀胱炎とされていた患者のうち、ハンナ病変を有する患者集団(ハンナ型集団)と、ハンナ病変は有さないが点状出血又は拡張後粘膜出血がある患者集団(非ハンナ型集団)では病態が異なり、治療による効果も異なる可能性が高いとされていたことから、次に述べるような検討を行いました。
審査報告書の通し番号の31ページの表21及び32ページの表22を御覧ください。L301試験の結果について、ハンナ型と非ハンナ型の病型別の有効性を説明いたします。表21及び表22に示したとおり、L301試験の主要評価項目及び副次評価項目について、ハンナ型集団では全体集団と同様に本剤群でプラセボ群を上回る結果であった一方、非ハンナ型集団では本剤群でプラセボ群を上回る有効性は認められませんでした。機構は、直近のガイドラインや個別症例の結果を踏まえ、本剤の有効性はハンナ型集団で示されるものと判断いたしました。
本来、このような状況においてハンナ型集団における本剤の有効性を頑健に説明するためには、ハンナ型集団のみを対象とした新たな検証的試験を計画し実施することが最適ですが、間質性膀胱炎は希少な疾患であり、追加試験の実施は困難であることや、L301試験の全体集団で検証された改善効果は、ハンナ型集団における本剤の改善効果を強く反映していると解釈できると考えたことから、新たな検証的試験を実施せずともハンナ型集団における諸症状の改善効果を示す薬剤として、本剤を医療現場に提供することが可能と判断いたしました。
続いて、安全性について説明いたします。審査報告書の通し番号の37ページの7.R.2.1呼気・皮膚の異常臭及び投与時反応に関する有害事象についての項を御覧ください。臨床試験でプラセボ群と比較して本薬群で多く認められた有害事象は、呼気・皮膚の異常臭及び膀胱痛や尿道痛等の投与時反応でしたが、いずれも重症度は軽度又は中等度であり速やかに回復したこと、これらの事象による中止例は認められなかったことから、当該事象に関する情報提供は重要であるものの、本剤の臨床使用において大きな問題とはならないと判断いたしました。
続いて、審査報告書の通し番号の40ページの7.R.4効能・効果についての項を御覧ください。申請時の効能・効果は、「間質性膀胱炎」とされておりましたが、L301試験の試験デザイン及び結果を踏まえ、本剤がハンナ型集団を投与対象とし、症状を改善する薬剤であることを明確にすることが適切と考え、機構は本剤の効能・効果を「間質性膀胱炎(ハンナ型)の諸症状(膀胱に関連する慢性の骨盤部の疼痛、圧迫感及び不快感、尿意亢進又は頻尿等の下部尿路症状)の改善」とすることが妥当と判断いたしました。
続いて、審査報告書の通し番号の41ページの7.R.5用法・用量についての項を御覧ください。申請時の用法・用量は、「通常、成人には50%(w/w)ジメチルスルホキシド溶液50mL(ジメチルスルホキシドとして27g)を2週間に1回膀胱内に注入する。なお、膀胱内注入後、可能な限り15分以上膀胱内に保持してから排出させる」とされておりましたが、L301試験では、2週間間隔で6回投与したときの有効性及び安全性が確認されたことを踏まえ、「2週間間隔で6回膀胱内に注入する」ことを明記する用法・用量に変更され、機構は変更後の用法・用量は妥当と判断いたしました。
以上の審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品としての申請であることから、再審査期間は10年とすることが適切と判断しております。また、本剤は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。以上です。
○杉部会長 ありがとうございました。今の説明に関して、先生方から御質問、御意見はございますか。
○武田委員 武田ですが、よろしいでしょうか。
○杉部会長 武田先生、どうぞ。
○武田委員 まず、症例数が少ないのですが、ハンナ型病変は、膀胱の内視鏡をやれば潰瘍があるかどうかで診断できます。非ハンナ型は、膀胱水圧拡張後の点状出血を認めるということになると、膀胱水圧拡張術は治療なので、もし非ハンナ型を診断してすぐにこの治験に入ったとすると、水圧拡張による治療効果が出た状態での治験となってしまうので効果の判断が難しいかもしれないのですが、その辺りはいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構です。組入基準を確認いたしますので、少々お時間を頂戴いたします。
○武田委員 もう1つ質問があります。添付文書案の最初のページを見ていただくと、左側の7番の用法及び用量に関する注意で、本剤による再治療は、本剤の治療により症状が改善した後一定期間経過して、治療を要する程度にまで症状が悪化した場合にのみ行うこととされております。これは正しいと思いますが、この一定期間をどのぐらいに判断したらいいのか非常に難しいと思います。この辺りの機構の御判断を教えていただければ有り難いと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。まず、2点目の御質問の用法・用量に関連する注意についてです。文献報告で投与終了後1年程度は症状の改善が維持されるという報告がある旨、申請者が説明しております。また、文献で示された期間については情報提供する予定となっております。以上です。
○武田委員 ありがとうございました。
○医薬品医療機器総合機構 1点目の御質問についてです。今回の試験の除外基準に「6カ月以内に膀胱水圧拡張術を受けた患者」が設定されていたことから、過去に実施された膀胱水圧拡張術の治験の結果への影響はなかったものと考えております。
○武田委員 ありがとうございました。
○杉部会長 武田先生、ありがとうございました。そのほかに何かございますか。それでは、合田先生、よろしくお願いいたします。
○合田部会長代理 非常にマイナーなところですが、1ページの化学名がメチルスルフィニルメタンとなっております。これは適切な名前ではなく、ジメチルスルホキシドが正しい化学名です。多分、一般名と合わせたくなくてそうされたのかと思いますが、普通のルールではない形で化学名を付けられておりますけれども、何か理由があるのでしょうか。これは変えられたほうがいいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。頂いた御指摘については、確認して適切に対応させていただきたく存じます。
○合田部会長代理 了解いたしました。
○杉部会長 合田先生、御指摘ありがとうございました。そのほかに何かございますか。特に御質問はございませんか。それでは、この議題に関して議決に入りたいと思います。武田先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。それでは、本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。特に御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。続いて、議題9に移ります。私は薬事分科会審議参加規程第5条に基づき、議題9の審議の間は会場から退室して待機することとなっておりますので、そのようにいたします。以降の進行については、合田部会長代理にお願いしたいと思っております。合田部会長代理、どうぞよろしくお願い申し上げます。
(杉部会長退室)
○合田部会長代理 それでは、議題9について合田が座長を務めさせていただきます。まず、本件について医薬品医療機器総合機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題9、資料9、医薬品ビムパット錠50mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。資料9の審査報告書を御覧ください。審査報告書の一番下、全48ページの通し番号で7ページの「1.起源又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。本薬はラコサミドを有効成分とした抗てんかん薬であり、本邦において、本薬の錠剤は2016年7月に部分発作(二次性全般化発作を含む)の併用療法、2017年8月には部分発作(二次性全般化発作を含む)の単剤療法に係る効能・効果で承認されております。また、2019年1月に小児に対する用法・用量及び本薬のドライシロップ剤が承認されるとともに、一時的に経口投与ができない患者における本薬経口製剤の代替療法として、本薬静注製剤が承認されております。今般、本薬について、強直間代発作に対する併用療法に係る有効性及び安全性が確認されたとして、承認申請が行われました。
本薬は2020年9月現在、欧米等60以上の国又は地域で承認されており、このうち、強直間代発作に対する併用療法に係る効能・効果では、2020年1月に米国及び欧州において承認申請が行われ、2020年11月に米国で承認されております。
本申請の専門委員として、資料14に記載されている4名の委員を指名しております。
以降、臨床試験成績を中心に審査の内容を説明させていただきます。
まず、有効性につきまして、審査報告書の通し番号で12ページの表3を御覧ください。既存の抗てんかん薬で、効果不十分な強直間代発作を有する4歳以上のてんかん患者を対象とした国際共同第III相試験であるSP0982試験において、主要評価項目である治療期間における2回目の強直間代発作が発現するまでの時間について、本薬群ではプラセボ群と比較して統計学的に有意な延長が認められました。また、強直間代発作を有する成人及び小児てんかん患者における本薬の有効性評価につきまして、審査報告書の通し番号で20ページの表12を御覧ください。小児てんかん患者の検討例数は限られているものの、SP0982試験の成人及び小児別での主要評価項目の結果は表12のとおりであり、全体集団の成人及び小児てんかん患者のいずれにおいても、プラセボ群と比較して本薬群で発作の発現が抑制されており、日本人集団においても同様の傾向が認められました。以上の成績等より、本薬の強直間代発作に対する有効性は示されていると判断いたしました。
次に、安全性ですが、審査報告書の通し番号23ページの表14及び24ページの表15に示しましたように、SP0982試験及びSP0982試験に引き続いて実施された国際共同長期継続投与試験であるEP0012試験における有害事象の発現状況に加え、既承認効能・効果である部分発作を有する成人及び小児てんかん患者における本薬の安全性プロファイルとの比較等を踏まえると、強直間代発作を有する成人及び小児てんかん患者に対する本薬投与において、新たな安全性上のリスクは示唆されておらず、既承認効能・効果と同様の注意喚起の下で適正使用されることを前提とすれば、強直間代発作を有する成人及び小児てんかん患者に対する本薬の安全性は許容可能と考えております。
続きまして、用法・用量について、審査報告書の通し番号42ページの「1.4用法・用量について」の項の「機構は」から始まる段落を御覧ください。開始用量及び増量方法につきまして、SP0982試験及びEP0012試験では、部分発作を有する成人及び小児てんかん患者に対する既承認用法・用量と同様の開始用量及び増量方法が設定され、安全性に大きな問題は認められませんでした。次に、維持用量について、SP0982試験では、部分発作に対する既承認用法・用量より高い維持用量にて本薬の有効性及び安全性が示されたものの、当該試験デザインやその立案の背景等を考慮し、強直間代発作に対する維持用量につきましては、被験者の発作コントロールが最適となるように、用量調整を可能としたEP0012試験成績も踏まえて検討を行うことといたしました。その結果、EP0012試験では、多くの患者が部分発作における維持用量以上の用量にて本薬が投与され、かつ当該用量の投与にて発作回数が減少する傾向が認められました。また、最高用量について、SP0982試験では、部分発作に対する既承認用法・用量と同様の最高用量が設定され、本薬の有効性及び安全性が確認されました。以上の点に加え、本薬は最高用量を超えない範囲で患者の状態に応じて、適宜増減する用法・用量であること等を踏まえますと、本薬経口製剤及び本薬静注製剤の強直間代発作を有する成人及び小児てんかん患者に対する用法・用量について、部分発作に対する既承認用法・用量と同一とすることに大きな問題はないと判断いたしました。
以上の審査を踏まえ、本薬を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。
本薬は新効能医薬品としての申請であることから、本薬経口製剤の再審査期間は4年、本薬静注製剤は、既に付与されている再審査期間の残余期間が4年以上であることから、再審査期間は残余期間である令和7年1月7日までと設定することが適当と判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。説明は以上となります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○合田部会長代理 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質問等がありましたらお願いいたします。皆様、よろしいですか。はい。それでは、議決に入りたいと思います。なお、大賀先生、代田先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。皆様、よろしいですね。では、御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告させていただきます。
続きまして、報告事項に移ります。御待機されている杉部会長をお呼びください。
○杉部会長 大変失礼いたしました。杉でございます。それでは、報告事項につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。それでは、報告事項、議題1と議題2につきまして、事務局から御説明させていただきます。まず、報告事項、議題1ですが、医薬品ノベルジン顆粒5%の製造販売承認についてです。本剤ですが、酢酸亜鉛水和物を有効成分とする亜鉛製剤であり、現在、ウィルソン病及び低亜鉛血症に係る効能・効果で承認がされております。今般、低亜鉛血症患者に、体重に応じた用量で本剤を投与する医師主導治験が実施され、ノーベルファーマ株式会社より、新用量・剤形追加に係る顆粒剤の製造販売承認申請及び新用量に係る錠剤の製造販売承認事項一部変更承認申請がなされております。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断されております。
続きまして、議題2、医療用医薬品の再審査結果についてです。資料11-1から11-12になります。まず、資料11-1、有効成分名エベロリムス、販売名がサーティカン錠0.25mg、同錠0.5mg及び同錠0.75mgです。資料11-2、有効成分名ビルダグリプチン・メトホルミン塩酸塩、販売名がエクメット配合錠HD及び同配合錠LD。資料11-3、有効成分名ラニビズマブ(遺伝子組換え)、販売名がルセンティス硝子体内注射液10mg/mL及び同硝子体内注射用キットを10mg/mLです。資料11-4、有効成分名ブリンゾラミド・チモロールマレイン酸塩、販売名がアゾルガ配合懸濁性点眼液です。資料11-5、有効成分名A型ボツリヌス毒素、販売名がボトックス注用50単位及び100単位。資料11-6、有効成分名プリモニジン酒石酸塩、販売名がアイファガン点眼液0.1%。資料11-7、有効成分名インスリン グラルギン(遺伝子組換え)、販売名がランタスXR注ソロスター。資料11-8、有効成分名デュタステリド、販売名がザガーロカプセル0.1mg、同カプセル0.5mg。資料11-9、有効成分名ホスアプレピタントメグルミン、販売名がプロイメンド点滴静注用150mg。資料11-10、有効成分名オキシブチニン塩酸塩、販売名がネオキシテープ73.5mg。資料11-11、有効成分名リバスチグミン、販売名がイクセロンパッチ4.5mg、同パッチ9mg、13.5mg、18mg、又はリバスタッチパッチ4.5mg、同パッチ9mg、13.5mg、18mg。最後、資料11-12、有効成分名ピタバスタチンカルシウム水和物、販売名がリバロ錠1mg、同錠2mg、同OD錠1mg及び同OD錠2mgです。
今、御紹介したこれらの品目につきましては、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査及び製造販売後臨床試験に基づいて再審査申請が行われまして、審査の結果、医薬品・医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要はないカテゴリー1と判定させていただいております。報告事項については以上でございます。
○杉部会長 ありがとうございました。今の事務局からの報告ですが、この中で、先生方から何か御質問はありますか。特にはありませんか。それでは、報告事項については御確認いただいたことにしたいと思います。続きまして、そのほかの事項に移りたいと思います。それでは、そのほかの事項につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。資料12-2、その他事項の中に入っている資料を御覧ください。アイモビーグの最適ガイドラインの対象医薬品の選定についてです。先ほどは最適使用推進ガイドラインの中身を御確認いただきましたが、こちらについては、最適使用推進ガイドラインの対象となる医薬品を選定するということで、御報告させていただくものになります。剤としましては、アムジェン株式会社から申請がなされている、アイモビーグ皮下注70mgペン、一般名としてはエレヌマブ(遺伝子組換え)です。申請時の効能・効果になりますが、片頭痛患者における片頭痛の予防ということで申請がなされておりますので、これも先ほどの最適ガイドラインの対象と同じ片頭痛を対象とする治療薬になりますので、同様の剤ということで、今回も最適使用推進ガイドラインの作成対象として選定させていただきました。今後、先ほど御議論いただいたものも踏まえて、関係学会等に御協力いただきながら、ガイドライン案の検討を進めて、この剤の承認の可否を御審議いただく際に、改めてガイドライン案の中身を御確認いただく予定としております。以上です。よろしくお願いします。
○杉部会長 どうもありがとうございました。今のガイドラインにつきましては、先ほど、いろいろ御意見あった点を踏まえて、また報告をお願いいたします。先生方から何か御質問ありませんか。よろしいでしょうか。それでは、そのほかの事項については御確認いただいたものとしたいと思います。本日の議題は以上でございますが、事務局から何か報告はありますか。
○事務局 ありがとうございます。事務局でございます。次回の部会、来週で恐縮ですが、来週12月11日(金)午後3時から開催する予定です。また、開催案内、資料等も順次お送りしますので、またよろしくお願いいたします。
○杉部会長 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。長い時間御参加いただきまして、ありがとうございました。また来週、よろしくお願いいたします。
( 了 )
この度、医薬品部会につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。本日のWeb会議における委員の出席についてですが、柴田委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、石川委員は少し遅れている状況で、現在のところ、部会委員数21名のうち、19名の委員が、このWeb会議に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告させていただきます。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定しております。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
また、本日のWeb会議に際しまして、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてマスクを着用したまま説明させていただく場合がございますので、御了承いただければと思います。
それでは、杉部会長、以後の進行をお願いいたします。
○杉部会長 それでは、事務局から審議の進行方法の説明をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○事務局 本日ですが、Webでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明させていただきます。
審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますよう、お願いいたします。その後、部会長のほうから順に発言者を御指名させていただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言ください。なお、発言者が多いときには、発言されたい委員がメッセージに御記入いただくことで、部会長より発言者を順番に御指名させていただきます。適宜メッセージ機能のほうも御利用ください。
○杉部会長 今の事務局からの御説明に何か御質問、御意見等はございますか。特にございませんか。
それでは、本日の審議に入りたいと思います。まず、事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、本日のWeb会議に係る資料の確認をさせていただきます。本日、あらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料1~資料12-2と製剤写真を用いますので、お手元に御用意いただければと思います。
このほか、資料13として、審議品目の薬事分科会における取扱い等の案、資料14として専門委員リスト、資料15として競合品目・競合企業リストを事前に電子メールにてお送りさせていただいています。なお、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
続きまして、本日のWeb会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、御報告させていただきます。資料15を御覧ください。1ページ目ですが、サルプレップ配合内用液で、本品目は大腸内視鏡検査時の前処置における腸管内容物の排除を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらの3品目を選定させていただいております。
続いて2ページ目のマスーレッド錠5mg他4規格です。本品目は腎性貧血を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
続いて3ページ目のソグルーヤ皮下注5mg他1規格です。本品目は成人成長ホルモン分泌不全症を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらの3品目を競合品目として選定しております。
続いて4ページ目はソマチュリン皮下注60mg他2規格です。本品目は甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとさせていただいております。
続いて5ページ目はヒュンタラーゼ脳室内注射液15mgです。本品目はムコ多糖症II型を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の1品目を競合品目として選定しております。
続いて6ページ目はエムガルティ皮下注120mgオートインジェクター他1規格です。本品目は片頭痛発作の発症抑制を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
続いて7ページ目はイグザレルトドライシロップ小児用51.7mg他7規格ですが、本品目は静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
続いて8ページ目はジムソ膀胱内注入液50%です。本品目は間質性膀胱炎の諸症状の改善を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとさせていただいております。
9ページ目はビムパット錠50mg他4規格ですが、本品目は他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。以上です。
○杉部会長 今の事務局からの説明に、特段の御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本Web会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、先生方の了解を得たものといたします。
それでは、委員からの申出状況について、報告をお願いいたします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく、各委員からの申出状況について、御報告させていただきます。
まず、議題1のサルプレップですが、退室委員、議決に参加しない委員ともにいらっしゃいません。
議題2のマスーレッドについては、退室委員なし、議決に参加しない委員として大森委員、代田委員、武田委員。
議題3のソグルーヤについては、退室委員なし、議決に参加しない委員として、大森委員、川上委員、武田委員。
議題4のソマチュリンについては、退室委員なし、議決に参加しない委員として、川上委員、代田委員。
議題5のヒュンタラーゼについては、退室委員、議決に参加しない委員ともにいらっしゃいません。
議題6のエムガルティについては、退室委員なし、議決に参加しない委員として大森委員、川上委員、代田委員、武田委員、山田委員。
議題7のイグザレルトについては、退室委員なし、議決に参加しない委員として大賀委員、代田委員、武田委員。
議題8のジムソについては退室委員なし、議決に参加しない委員として武田委員。
議題9のビムパットについては、退室委員として杉委員、議決に参加しない委員として大賀委員、代田委員。以上です。
○杉部会長 今の事務局からの説明に、何か特段の御意見はございますでしょうか。よろしければ、先生方に御確認いただいたものとします。
本日は、今お聞きのように、審議事項9議題、報告事項が2議題、そのほかの事項が1議題となっております。それでは、審議事項の議題に移りたいと思います。まず、議題1について、機構から概要の説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題1、資料1、医薬品サルプレップ配合内用液の製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。お手元の審査報告書を御覧ください。大腸内視鏡は実施前に腸管内容物を除去することが不可欠であり、検査予定者の状態等に応じて、種々の腸管洗浄剤が使用されています。本剤は、瀉下作用を有する3種類の硫酸塩(硫酸ナトリウム、硫酸カリウム及び硫酸マグネシウム)を有効成分として含有する腸管洗浄剤であり、米国で販売されているSUPREPを日本向けに改良した製剤です。硫酸ナトリウム、硫酸カリウム又は硫酸マグネシウムそれぞれの単剤投与で生じる電解質変動を抑えることが期待されるとして開発に至りました。今般、国内臨床試験により、本剤の有効性及び安全性が確認され、医薬品製造販売承認申請がなされました。なお、海外において、本剤と同量の有効成分を含有する腸管洗浄剤はSUPREPのほかに、IZINOVA、EZICLENと計3品目あり、2020年9月現在、SUPREPは米国で、IZINOVA、EZICLENは欧州を含む海外22か国で、それぞれ承認されています。本品目の専門協議では、本日の配布資料14に示す専門委員を指名しております。以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
有効性に関しては、審査報告書の通し番号の12ページの表13を御覧ください。国内第III相試験の主要評価項目である画像評価委員会による全般的腸管洗浄効果の有効率について、本剤群、すなわち2日分割投与群及び当日1日投与群は、いずれも対照群であるモビプレップ群に対する非劣性が検証されました。以上より、機構は本剤の有効性は示されたと判断しました。
安全性に関しては、審査報告書の通し番号12ページの表14を御覧ください。国内第III相試験において、いずれかの群で1%以上に認められた有害事象及び副作用を示しておりますが、重篤な有害事象は認められず、モビプレップ群と比較して、本剤各群で有害事象の発現状況に問題となる違いは認められませんでした。続きまして、審査報告書の通し番号14ページ、7.R.2.1の項を御覧ください。既存の腸管洗浄剤で注意が必要とされている事象について、本剤の臨床試験では問題が認められませんでした。機構はこれらの事象については、本剤の添付文書において適切に注意喚起することにより、本剤の安全性は許容可能と考えました。
以上、機構での審査の結果、大腸内視鏡実施時の前処置における腸管内容物の排除に対する本剤の有効性は示され、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないと判断し、本部会で審議されることが適当と判断しました。なお、本品目は新医療用配合剤であることから、再審査期間は6年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しました。薬事分科会では報告を予定しております。機構からの説明は以上になります。御審議、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○杉部会長 委員の先生方から何か御質問、御意見はございますでしょうか。
○平石委員 質問させていただきます。このお薬は腸管洗浄薬であり、先行するお薬として、モビプレップやニフレックが存在します。本薬の用法・用量を見ますと、マックスで使用した場合、つまり排液が透明になるまで使ったと仮定すると、総量で3,000cc弱、3L前後の水分を3時間で服用することになります。排便の状態を見ながら服用するわけですが、大量の水分を摂取しますので、狭窄、閉塞があれば、重篤な合併症として腸閉塞が起こってまいります。さらに、腸管運動も亢進しますので、特に憩室が存在する場合には、憩室の穿孔を引き起こす、あるいは虚血性腸炎類似の病態を引き起こす可能性があります。この病態は、腸管に対する重篤な合併症ということになります。モビプレップとニフレックも同様の報告がございますので、臨床試験において、本薬の腸管合併症がなかったかについて、確認させていただきます。つぎに、添付文書における注意喚起の内容について、もう一度確認させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○杉部会長 機構からお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 まず、国内臨床試験において、そのような有害事象は認められておりません。御説明いただいたとおり、類薬で腸管穿孔等の事象については言及されているところで、それを踏まえて本剤の添付文書にも対応をしているところです。例えば、警告の所に、腸管内圧上昇による腸管穿孔を起こすことがあることを記載しておりますし、禁忌等の所でもそのような事象について対応しているところになります。
○杉部会長 平石先生、いかがでしょうか。
○平石委員 大腸内視鏡の前処置のための腸管洗浄液でありますので、やはり注意すべきは腸管合併症であると認識しておりますので、改めて確認させていただきました。どうもありがとうございました。
○杉部会長 そのほかの先生はいかがでしょうか。何か御質問はございますでしょうか。
特にないようですので、この議題の議決に入りたいと思います。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。特に御異議がないようですので、承認を可としまして、薬事分科会に報告させていただきます。
続きまして、議題2に移ります。機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2、医薬品マスーレッド錠5mg他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。腎性貧血に対する薬物治療は、現在、赤血球造血刺激因子製剤(以降、ESA)が主に使用されていますが、ESAはいずれも注射剤であり、また、抗エポエチン抗体陽性赤芽球癆がまれに発現することが報告されています。また、昨今、ESAとは異なる作用機序の治療薬として、経口投与が可能な低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素阻害薬が複数承認されています。本薬は、低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素阻害薬であるモリデュスタットナトリウムを有効成分とする経口剤です。今般、腎性貧血患者を対象とした国内臨床試験により、本薬の有効性及び安全性が確認され、製造販売承認申請がなされました。なお、海外において本薬が承認されている国又は地域はございません。本品目の専門協議では、本日の配布資料14に示す専門委員を指名しています。以下、本薬の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明いたします。
有効性について、まず、保存期慢性腎臓病患者における有効性を説明いたします。審査報告書、青字で記載している通し番号の43ページの表39を御覧ください。ESA前治療なしの保存期慢性腎臓病患者を対象とした試験において、主要評価項目である「投与30~36週の平均Hb値のベースラインからの変化量」について、ESAであるダルベポエチン アルファ群に対する本薬群の非劣性が検証されました。また、審査報告書 通し番号の46ページの表44を御覧ください。ESA前治療ありの保存期慢性腎臓病患者を対象とした試験においても、先ほどと同じ主要評価項目について、本薬群のダルベポエチン アルファ群に対する非劣性が検証されました。
次に、血液透析患者における有効性について説明いたします。審査報告書 通し番号の51ページの表52を御覧ください。ESA前治療ありの血液透析患者を対象とした試験においても、主要評価項目である「投与33~36週の平均Hb値のベースラインからの変化量」について、本薬群のダルベポエチン アルファ群に対する非劣性が検証されました。
最後に、腹膜透析患者における有効性について説明いたします。審査報告書 通し番号の65ページの図5を御覧ください。平均Hb値は、投与12週以降、目標範囲内に維持されました。以上より、腎性貧血に対する本薬の一定の有効性は示されたと判断いたしました。
安全性について、審査報告書の通し番号68~72ページを御覧ください。本薬の作用機序や臨床試験成績等に基づき、注意すべき有害事象として、心血管系事象、血栓塞栓症、高血圧、悪性腫瘍、網膜出血及び間質性肺疾患の発現状況について検討を行いました。これらの事象について、添付文書等で注意喚起を行うことで、本薬の安全性は許容可能と判断しました。
以上の審査の結果、腎性貧血に対する本薬の有効性は示され、安全性は許容可能と考えられたことから、機構は、本品目を承認して差し支えないと判断し、本部会で審議されることが適当と判断しました。本品目は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会では報告を予定しています。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○杉部会長 それでは、先生方から何か御質問、御意見はございますでしょうか。
○代田委員 先ほど御説明いただいた表52のデータを見ますと、ベースラインからの増加量についてはマイナスで、対照もそうなのでしょうけれども、ベースラインからの有効性についてのデータは、どういうものがあるかについてお教えいただきたいと思います。
それと、表74の安全性の所で、対照群に比べて本薬のほうが、数値的にはやや有害事象が多いように思いますが、この点の統計学的な解析データをお教えいただければと思います。
○杉部会長 機構からお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘の表52は、ESAからの切替え試験のデータです。ベースラインのHb値を維持することが目的の試験ですので、こちらの数値の変動について、大きな問題はないと考えております。
○代田委員 了解しました。表74についてはいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 表74は心血管系事象(MACE)の発現状況を示していますが、御指摘のとおり、対照群に比べて本薬群で数値的には高くなっております。この数値の群間差について、統計学的な検討等は行っておりません。
本薬群で数値が高くなった原因について、表74の下に申請者の説明を記載しております。ベースラインの患者背景の偏りが原因で、本薬群で数値が高くなった可能性があるという考察がされており、機構としてもそのような可能性が考えられると判断しております。
○代田委員 専門委員の先生方から、何かコメントは入っていないのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 こちらについて、専門委員の先生からは特段の御意見は頂いておりません。心血管系事象の中には血栓塞栓症も含まれており、血栓塞栓症については警告等でも注意喚起をしております。類薬と同様の安全性対策をするということで、専門委員の先生方からは御了承を頂いております。
○代田委員 今後、経過を見ていただいて、この差が実際に数を増やしていったときにあるのかどうかという点については、注目する必要があるのではないかと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおりだと思いますので、製造販売後調査の中で、心血管系事象の発現状況について確認し、必要に応じて、注意喚起の追加等の必要性について検討したいと考えております。
○代田委員 ありがとうございます。
○杉部会長 そのほかの先生から何か御質問はございますでしょうか。特にございませんでしょうか。
それでは、この議題についての議決に入りたいと思います。大森先生、代田先生、武田先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。特に御異議がないようですので、承認を可としまして、薬事分科会に報告させていただきます。
続きまして、議題3に移りたいと思います。これも機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題3、資料3、医薬品ソグルーヤ皮下注5mg他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明します。資料3の審査報告書を御覧ください。
本剤は、内因性アルブミンと長鎖脂肪酸を含む側鎖との非共有結合による、長時間作用型のヒト成長ホルモン誘導体であるソマプシタン(遺伝子組換え)を有効成分とする、週1回投与の成長ホルモン製剤です。
成人成長ホルモン分泌不全症患者に対する成長ホルモン補充療法について、これまでは主に1日1回の皮下投与として実施されており、数年から生涯にわたって投与が必要となることも多く、毎日の注射は患者の負担となっていることから、週1回投与の成長ホルモン製剤は、注射回数を減らすことでアドヒアランスの向上が期待されます。本剤は米国では2020年8月に承認され、2020年12月現在、欧州では審査中です。本品目の専門協議では資料14に示す先生方を専門委員として指名しています。
以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。有効性については審査報告書35ページの表27を御覧ください。成長ホルモン製剤で未治療の重症成人成長ホルモン分泌不全症患者を対象に、国際共同第III相試験が実施され、主要評価項目であるベースラインから投与34週時までの躯幹部体脂肪率の変化量について、プラセボ群に対する本剤群の優越性が示されました。
また、審査報告書40ページの表35を御覧ください。既存の成長ホルモン製剤で治療中の成人成長ホルモン分泌不全症患者を対象に、国内第III相試験が実施され、ベースラインから投与52週時までの各腹部脂肪組織パラメータについて、本剤群及びノルディトロピン群のいずれも、ベースライン時の成長ホルモン製剤による治療の効果が維持されていました。以上の結果等から、本剤の有効性は示されていると判断しました。
安全性については、審査報告書37ページの表30を御覧ください。ここでは、未治療の重症成人成長ホルモン分泌不全症患者を対象とした、国際共同第III相試験における有害事象の発現状況を示しております。本剤の安全性について、実施された各第III相試験における発現状況を中心に確認した結果、発現している主な事象は既存の成長ホルモン製剤で既知の事象であり、国際共同第III相試験の結果から本剤群の有害事象の発現状況はプラセボ群と比較して大きな差は認められませんでした。また、各第III相試験の結果から、ノルディトロピン群との比較においても本剤群で新たに懸念すべき事象は認められていないことを確認しました。糖代謝障害や新生物等の個別の事象について検討した結果、適切な注意喚起がなされることを前提とすれば、本剤の安全性は許容可能と判断しました。
以上のとおり、機構での審査の結果、既存の成長ホルモン製剤と同様に、成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)を効能・効果として、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断しました。本剤は新有効成分含有医薬品であるため、再審査期間は8年、原体及び製剤はいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○杉部会長 ありがとうございました。今の説明に関して、先生方から何か御意見、御質問はありますか。特にありませんか。この成長ホルモン分泌不全症に対する薬のソグルーヤについて議決に入りたいと思います。大森先生、川上先生、武田先生におかれては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
それでは、本議題について可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようなので、承認を可として、薬事分科会に報告いたします。続いて、議題4に移りたいと思います。議題4について、機構から概要説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料4、医薬品ソマチュリン皮下注60mg他の製造販売承認事項一部変更承認申請の可否等について、機構より御説明します。資料4の審査報告書をお開きください。
本剤はソマトスタチンアナログであるランレオチド酢酸塩を有効成分とする注射剤であり、効果は甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍(以下、TSH産生下垂体腫瘍)に対する治療薬として開発されました。TSH産生下垂体腫瘍は、下垂体腫瘍からの甲状腺刺激ホルモン(以下、TSH)の過剰分泌による甲状腺刺激に起因し、血中の甲状腺ホルモンが高値であるにもかかわらず、TSH分泌が抑制されずに慢性的に血中のTSH濃度が高値を示す疾患であり、甲状腺ホルモンの過剰分泌による甲状腺中毒症状や、TSHによる慢性的な甲状腺刺激に伴うびまん性甲状腺腫大、また下垂体腫瘍の増大による圧迫症状が認められる疾患です。
TSH産生下垂体腫瘍の治療の第一選択は外科的切除術ですが、摘出困難な腫瘍や残存又は再発した腫瘍に対しては、薬物療法による長期管理が選択されます。また、腫瘍摘出施行時においても手術による侵襲が誘因となり、甲状腺クリーゼを発症するリスクを避けるため、術前にも甲状腺中毒症状を抑えるために薬物療法が必要とされます。本剤はソマトスタチン受容体への結合を介して、内因性ソマトスタチンと同様にTSHの分泌を抑制することで甲状腺中毒症状を改善し、また、ホルモン分泌抑制や細胞増殖抑制等により腫瘍縮小効果を示すと考えられます。
海外においては、TSH産生下垂体腫瘍に対し2003年にフランス及び英国で、本剤の筋肉内投与徐放性製剤が承認され、本剤については2005年にオランダにて承認されています。本邦において、本剤は先端巨大症・下垂体性巨人症及び膵・消化管神経内分泌腫瘍に対して承認されています。また、本邦におけるTSH産生下垂体腫瘍の患者数については、2018年度末時点で135例、新規患者は年間25例と推定されており、本薬は希少疾病用医薬品に指定されています。さらに、本剤は第29回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、医療上の必要性が高いと判断されています。本品目の専門協議では資料14に示す先生方を専門医として指名しています。
本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に御説明します。有効性については審査報告書の11ページの表7を御覧ください。TSH産生下垂体腫瘍患者を対象とした非盲検非対照試験が実施された結果、長期投与患者及び術前投与患者のいずれにおいても、主要評価項目とされた血中TSH濃度並びに甲状腺ホルモンである血中FT3濃度及び血中FT4濃度の低下が認められました。また、審査報告書の12ページの表9を御覧ください。副次評価項目とされた腫瘍サイズの縮小及び臨床症状に関するスコアの改善傾向が認められています。
安全性については、本試験における有害事象の発現状況は審査報告書12ページの表10のとおりでした。少数例での検討であり、検討には一定の限界はあるものの、認められた安全性の結果を確認する限り、TSH産生下垂体腫瘍患者において認められた事象は、おおむね胃腸障害等の既承認効能・効果に対する臨床試験で認められた事象であり、既承認効能・効果での安全性プロファイルと大きく異なることを示唆する結果ではありませんでした。
以上のとおり機構での審査の結果、甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍を効能・効果として、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断しました。本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適切と判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願いします。
○杉部会長 ありがとうございました。それでは今の説明に何か先生方から御意見、御質問ありますか。
○赤羽委員 赤羽ですけれどもよろしいですか。
○杉部会長 赤羽先生お願いします。
○赤羽委員 主要な効能に関して特段異論はないのですけれども、安全性に関して少しだけ懸念事項があります。血糖コントロールに関する有害事象に関してです。薬理作用を考えましたら、消化管それから膵臓からのホルモンの分泌抑制作用が副作用になるということは十分想定されるのですけれども、先ほど御説明のありました12ページの表10の、グリコヘモグロビンの増加に関して、例数は少ないですけれども30%近い発現割合がありました。それから14ページの表12でも血糖コントロールへの影響に関連して、特に52週間投与する試験のほうでは40%を超える発現割合が示されています。
15ページの表13に関しても、やはり32例を用いた試験で、血糖コントロールへの影響が50%ぐらい発現割合として示されています。それで添付文書を拝見しますと、添付文書の3ページ目のその他の副作用の所で、血糖値に関する副作用は5%未満の頻度の副作用として一応書かれてはいるのですが、添付文書にあるよりはもう少し今回の試験の結果は発現頻度が高いように見受けられます。
それでこの点についてお尋ねしたいのですが、もしかすると対象疾患によって副作用の発現頻度というのは異なってくるのではないかと思いまして、これまで承認されている疾患に対するものと、今回の対象疾患とでその辺の発現頻度が違うということはありますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきありがとうございます。添付文書と審査報告書における臨床試験の有害事象の発現状況について、添付文書では副作用、つまり有害事象のうち因果関係が否定されない事象の頻度を記載しています。一方で、審査報告書においては、因果関係が否定されている事象及び否定されていない事象全てを含んだ有害事象の頻度も記載していますので、数字に開きがあるという状況になっています。
今回実施された臨床試験は1試験であり、長期投与する患者については52週まで投与が継続され、術前に投与される患者については手術が可能になった時点で投与が終了するという試験デザインで実施されました。本試験での症例数は、合計で13例となっていますので、発現割合に対する1例の影響が大きくなっているという状況です。
今回の臨床試験において、血糖コントロールに関する事象の発現が認められていますが、既承認効能・効果に関する臨床試験に比べて著しく高いという結果までは得られていないと判断しています。
○赤羽委員 それでは関連ありとして判断した場合には、添付文書にあるぐらいの発現割合であるという御判断だったということでしょうか。引き続き今後もモニターしていく中で症例数が増えていく中で、見直し等も御検討いただけるかと思いますが、一応御説明いただいて納得いたしました。ありがとうございました。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。製造販売後においても、本剤が投与されるほぼ全例について情報収集できるような症例数で調査を実施しますので、当該調査結果も確認し、必要に応じて添付文書の記載の見直しをしたいと思います。
○赤羽委員 ありがとうございました。
○杉部会長 そのほかについて、先生方はいかがでしょうか。特にありませんでしょうか。よろしいですか。それではこの議題に関して議決に入りたいと思います。川上先生、代田先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。特に御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。
○杉部会長 それでは続きまして議題5に先に進みたいと思います。議題5についても、機構からの説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題5、資料5、医薬品ヒュンタラーゼ脳室内注射液15mg他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明します。資料5の審査報告書をお開きください。本剤は遺伝子組換えヒトイズロン酸-2-スルファターゼであるイデュルスルファーゼ ベータ(遺伝子組換え)を有効成分とする、ムコ多糖症II型に対する脳室内投与の注射剤です。ムコ多糖症II型はムコ多糖の一種であるグルコサミノグリカン(以下、GAG)の代謝経路を担うリソソーム酵素であるイズロン酸-2-スルファターゼの欠損に起因し、GAGであるヘパラン硫酸(以下、HS)が細胞内に蓄積することで、心不全、閉塞性呼吸障害、関節可動域の制限、肝脾腫等の発現や、重症型の患者では精神運動発達の遅滞・神経退行症状等の中枢神経症状が発現し、徐々に進行します。
現在、本邦においてはムコ多糖症II型に対する治療薬として、静脈内投与による酵素補充療法に用いられるイデュルスルファーゼ(遺伝子組換え)製剤が、販売名エラプレース点滴静注液6mgとして承認されており、本剤及びエラプレース点滴静注液の有効成分はともにヒトイズロン酸-2-スルファターゼと同じアミノ酸配列を有します。しかしながら、静脈内投与ではイデュルスルファーゼは血液脳関門を通過できず、エラプレース点滴静注液では中枢神経症状に対する有効性は期待できません。本剤は脳室内に直接投与することにより、脳内におけるHS濃度を低下させ、ムコ多糖症II型患者における中枢神経症状を改善させることが期待される酵素補充療法の製剤です。海外においては、2020年9月現在、脳室内投与製剤である本剤は、いずれの国及び地域においても開発・承認されていませんが、イデュルスルファーゼ ベータ(遺伝子組換え)を有効成分とする静脈内投与製剤については、韓国等の各国で承認されています。
本邦におけるムコ多糖症II型の患者数は、2016年に実施された全国疫学調査によると168例報告されており、本薬は希少疾病用医薬品に指定されています。本品目は専門協議では資料14に示す先生方を専門医として指名しています。
本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明します。まず有効性について、審査報告書の17ページの表16を御覧ください。中枢神経症状に対する治療を必要とする重症型ムコ多糖症II型患者を対象とし、イデュルスルファーゼが試験開始前から静脈内投与されている患者に本剤を脳室内投与する、非盲検非対照試験が実施されました。主要評価項目については、HSを含めたGAGの蓄積がムコ多糖症II型患者の中枢神経症状の主たる原因であるという報告が既にあることを踏まえ、脳脊髄液(以下、CSF)中のHS濃度とされました。その結果、各被験者でCSF中のHS濃度の減少が認められています。
続いて中枢神経症状に対する有効性の結果については、審査報告書の21ページの表19及び図1にお示ししています。本試験では新版K式発達検査により発達の評価がなされましたが、本剤を8週間投与した結果として中枢神経症状に関する明確な結果は得られませんでした。しかしながら疾患の希少性や発達に対する影響の評価にはより長期にわたり検討が必要と考えられることを踏まえ、現時点で得られている本試験のCSF中のHS濃度の減少等の結果から、中枢神経症状を有するムコ多糖症II型患者に対する本剤投与時の一定の有効性は期待できると解釈して差し支えないと判断しました。
ただし、本試験における中枢神経症状に対する評価の限界を踏まえ、製造販売後の本剤が投与された全症例を対象に、引き続き発達評価等の有効性に関する情報収集を行い、中枢神経症状に対する評価を継続する予定です。
安全性については、本試験における有害事象の発現状況を審査報告書18ページ上段の、「安全性について」から始まる段落に記載しています。本試験で認められた有害事象の発現状況を確認する限り、本剤投与による安全性上の特段の懸念は認められていませんが、本剤は植込型CSFリザーバを介して投与することから、脳室炎・髄膜炎等の頭蓋内感染が生じる可能性や、頭蓋内圧の変動に伴う嘔吐等が生じる可能性があることから、これらの点については添付文書等において注意喚起を行う予定です。
なお、本剤を投与した経験は極めて限られることから、製造販売後は全投与症例を対象に製造販売後調査を実施し、安全性及び有効性に関するデータを早期に収集することに加え、特に有効性に関する発達評価のデータ等を中心に、実施した使用成績調査等の解析結果を定期的に提出すること、及び本剤の有効性等に関する追加的に実施された評価に基づき、本剤の適正使用に必要な措置を講じる旨を承認条件として付すことが適当と判断しています。
以上のとおり機構での審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断しました。本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品に該当すると判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願いします。
○杉部会長 ありがとうございます。今の説明に関しまして、先生方から何か御質問、御意見はございますでしょうか。日本では初めての脳室内注射ということで、リザーバを使っての治療ということになりますが、先生方何か御質問はありますか。特にないようでしたら、ある程度安全性も確立されているようですから、それでは議決に入りたいと思いますが、よろしいですか。
○宮川委員 日本医師会の宮川ですが。
○杉部会長 宮川先生どうぞ。
○宮川委員 今は議題6でいいのですね。
○杉部会長 宮川先生、今、脳室内の注射について、ヒュンタラーゼのことですが、これは先生、何か御意見ございますか。
○宮川委員 中枢神経症状の改善ということなのです。これらを評価する長期にわたる検討が必要ということになっておりますが、どれぐらいの期間が必要なのかということを教えていただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。中枢神経症状に関する知見は限られており、評価に必要な具体的な期間に関する情報も限られますが、5年程度で中枢神経症状が現れるというような報告もあります。今回、再審査期間は10年の予定であり、製造販売調査における観察期間は最大9年
を予定しております。
○宮川委員 その中で見られると、しっかりと検討できるということですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○宮川委員 それから、投与対象である中枢神経症状の改善が必要である患者さんの診断基準に関して、そういうものが困難であるということなのですが、実際に実臨床で使った場合のどのような判断基準あるいは投与基準など、どのように投与判断をしたらいいのかということについて、何か考え方はあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 明確な投与対象を事前に規定するというのは困難ですけれども、例えば、全く酵素が欠損してしまう等の、遺伝子型による検討が1つの目安になるかと考えています。
○宮川委員 どうもありがとうございます。もう1つよろしいでしょうか。添付文書の中に脳室内の注入の既承認の品目があります。脳室内注射液というところです。その所で記載がありますが、これらの注意に適切に対応することと書いてあります。使われるのは専門家の先生だろうと思いますが、何か適切な表現が他にあるのかどうかお教えください。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。本剤の投与に用いる機器に関して、臨床試験等で適合性が確認されている機器は資材を用いて情報提供する予定です。本剤の添付文書においては、当該医療機器の添付文書若しくは取扱説明書について参照されるよう記載をしています。
○宮川委員 ありがとうございました。失礼いたします。
○杉部会長 ありがとうございました。宮川先生、そのままでもうちょっとお待ちください。
○宮川委員 はい、ありがとうございます。
○杉部会長 そのほかの先生はどうでしょうか。特に御質問はありませんか。それでは本議題について議決を行いたいと思いますが、本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。特に御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。それでは議題3のソグルーヤに関しまして、宮川先生から何か御質問があるということです。宮川先生どうぞお願いします。
○宮川委員 議論の後に大変申し訳ありません。議題3ですけれども、4054試験では外国人では血糖のコントロールが良好に管理されている糖尿病患者さんが組み入れられておりますが、国内の第III相試験の4244試験では、糖尿病患者さんが組み入れられているのかどうか、確認のためにお聞きしたいと思いました。まずそれが第1点です。
○医薬品医療機器総合機構 ご質問いただきありがとうございます、機構でございます。現時点では、本邦ではソマトロピン製剤の禁忌に糖尿病患者さんが設定されているため、国内の試験では糖尿病を合併する患者さんは除外して実施されています。一方で、今回の臨床試験成績に基づきまして、血糖コントロールの状況、外国人ではありますが糖尿病を合併する患者さんでの安全性の情報等を鑑みますと、事前に血糖コントロールが良好な患者さんで、その後きちんと血糖コントロールをモニターしていただけるようであれば、本剤を投与しても問題ないと判断し、本剤では糖尿病患者さんを禁忌に設定することはしませんでした。既存のソマトロピン製剤についても、今後、今回の検討や海外の状況等を踏まえまして、禁忌の設定の解除をするかどうかについて、担当の部署で御検討いただけると伺っています。
○宮川委員 ありがとうございます。添付文書の9.1.1の所で、糖尿病又は耐糖能異常のある患者の所で、日本人に対する投与例がないという旨で注意喚起することが必要なのかどうかという疑念で、今質問したということです。それで了解してよろしいわけですね。特に添付文書にそういう記載がなくても大丈夫と機構が判断されたということでしょうか。
○杉部会長 機構としていかがですか。今の宮川先生の質問。
○医薬品医療機器総合機構 現時点では臨床試験において日本人の糖尿病を合併する患者さんの検討はなされていませんが、現時点では外国人と日本人の患者さんで何か区別をして添付文書において注意喚起したほうがいいというような懸念まではないと考えており、市販後の調査において日本人の糖尿病を合併する患者さんでの安全性、血糖コントロールの状況も含めて情報収集し、その結果を踏まえて添付文書において注意喚起する必要があるかどうかを検討したいと思っています。
○宮川委員 ありがとうございます。続いて4054試験において、これはノルディトロピンの群と比較して体脂肪率のベースラインからの変化量が非常に小さいのですけれども、この両群の差というのは臨床的な意味というのはどのぐらいなのか、そういうことは余り考えなくてよろしいのかということで、お聞きしました。若しくは専門家の方に御意見をいただければと思ったものですから。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。機構としましてはプラセボとの差については臨床的に意義があると考えています。
○宮川委員 ありがとうございます。それから本剤の最高用量についてです。国際共同の第III相試験では設定が8mgということなのですが、日本人の投与例のあるのは6mgが最高用量であると記載されていますが、この差についてお聞きしたいと思いました。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 ご質問いただきありがとうございます。御指摘のとおり、臨床試験では日本人患者さんでは6mgが最高用量でしたが、成長ホルモン分泌不全症の患者さんでは必要なGHの補充量にだいぶ個人差があります。本剤は基本的には、臨床症状やIGF-1等、副作用も含めて、個々の患者さんの状態を見ながら低用量から徐々に至適な維持用量まで上げていくことも踏まえ、実臨床では日本人の患者さんにおいても必要とされる患者さんもおられるかもしれませんので、臨床試験での8mgまでの投与実績に基づき、用法・用量を設定したところです。
○宮川委員 ありがとうございました、御手間を掛けました。すみません、ありがとうございました、以上です。
○杉部会長 ありがとうございました。それでは議題3については、宮川先生これでよろしいですね。
○宮川委員 ありがとうございます。御迷惑を掛けしました。
○杉部会長 いいえ、ありがとうございました。それでは続きまして議題6に移りたいと思います。議題6について、機構から概要の説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料6、医薬品エムガルティ皮下注120mgオートインジェクター他1品目について、医薬品医療機器総合機構より説明いたします。資料は資料6の審査報告書を御覧ください。審査報告書の一番下、全78ページの通し番号で6ページ、1.起源又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等の項を御覧ください。本剤は、ガルカネズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする片頭痛の治療薬です。本剤は、片頭痛発作時に三叉神経節ニューロン及び硬膜を含む三叉神経の末梢で、高度に発現する神経ペプチドであるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に特異的に結合し、その生理活性を阻害することにより片頭痛発作の発生を抑制する抗体製剤です。今般、国内外の臨床試験成績を基に製造販売承認申請されました。なお、本剤は、2020年7月現在、欧米を含む40以上の国又は地域で承認されています。本品目の調査の概略について、臨床試験成績を中心に説明します。
審査報告書の通し番号38ページの表35を御覧ください。2~4種類の片頭痛予防薬で、効果不十分な片頭痛患者を対象とした国際共同第III相試験が実施され、本剤群では、初回のみ本剤240mgが投与され、以降、月1回120mgが投与されました。主要評価項目は、二重盲検投与期3か月における1か月間当たりの片頭痛日数のベースラインからの変化量とされ、本剤群でプラセボ群と比較して片頭痛日数の有意な減少が認められました。また、審査報告書の通し番号39ページの表37に示しますように、主要評価項目について、全体集団と日本人集団で一貫した結果が示されました。既存予防薬で効果不十分な片頭痛患者以外では、日本人を対象とした検証的試験は実施されていませんが、審査報告書の通し番号32ページの表28、また34ページの表30及び36ページの表32に示しますように、既存予防薬で効果不十分な患者に限定されない片頭痛患者における有効性について、外国人対象の海外第III相試験で示されていること、審査報告書の通し番号31ページの表26に示しますように、既存予防薬で効果不十分な患者に限定されない日本人反復性片頭痛患者における有効性が、国内第II相試験で示唆されていること、また、有効性について、臨床上問題となる地域間差も認められていないことなどを踏まえると、日本人でも、既存予防薬で効果不十分か否かによらず本剤の有効性は期待できると判断しました。
続いて、安全性について御説明します。審査報告書の通し番号57ページから記載している、7.R.4安全性についての項を御覧ください。国内外の臨床試験での有害事象の発現状況及び本剤の海外製造販売後に得られた安全性情報により、本剤の臨床使用における有用性を損なうほどの問題点は認められていないと判断しました。なお、重篤な過敏症や注射部位関連の有害事象については、添付文書に加え、医療従事者向け資材及び患者向け資材を用いて情報提供を行うことで対応可能と判断しました。また、本剤は新規作用機序の皮下注射製剤であることなどを踏まえ、投与の可否は慎重に判断する必要があると判断し、添付文書の効能・効果に関連する注意において、最新のガイドライン等を参考に、非薬物療法、片頭痛発作の急性期治療等を適切に行っても、日常生活に支障を来している患者にのみ投与する旨の注意喚起を行うことにしました。
以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断しました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いします。
○杉部会長 ありがとうございました。今の皮下注について、最適使用推進ガイドラインというのがありますが、ガイドラインについては後ほど説明があると思います。今の機構からの説明で、このエムガルティの皮下注について、何か先生方から御質問、御意見ありますでしょうか。よろしいでしょうか。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。
○杉部会長 どうぞお願いします。
○宮川委員 66/78なのですが、そこの上段に、国内外の臨床試験で除外された脳心血管関連リスクを有する患者及び片麻痺性の片頭痛等のまれな亜型を、投与対象に含めるかどうかについてです。本薬の臨床試験及び海外の販売後の安全性情報では、明らかな脳心血管関連のリスクが示されていないことを理由にしているのですが、実際には当該患者さんに投与して安全性が確認されたわけではありません。やはりこれは、投与対象から除外したほうがいいのかなと思うのですが、いかがでしょうか。言及していないものに対して許可するのはいかがなものでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。この点について、各専門委員、専門協議でも先生方に御意見をお伺いしたところです。そのときの議論については、審査報告書73/78ページの一番上の段落の辺りに書いております。このときの先生方から頂いたコメントですと、今回、こういった患者さんが臨床試験の中に含まれていなかったことを情報提供した上であれば、投与対象に含めることは可能ではないかという御意見を頂いております。機構としては、ここに挙げておりますような脳心血管リスクを有する患者ですとか、片麻痺性片頭痛などの患者が入っていなかったということは情報提供しますが、投与対象から積極的に除く必要まではないと考えております。
○宮川委員 最適使用推進ガイドラインに関わることになってしまうのですが、御説明があった73/78の2行目ですが、生活指導とかそういうものに対して、的確に頭痛という診療に精通した医師の下で使用することが適切であるという表現が、2~3行目に書いてあります。ではその医師は、どのような資格を持った医師、あるいはそのような判断をする適切な医師であるかということに対して、しっかり明記されていないと問題が起こるのではないかと思っています。機構のお考えをお聞きしたわけです。
○杉部会長 ありがとうございました、宮川先生。私がちょっと先ほど言い始めたガイドラインについてですが、今ここで説明をさせていただきます。よろしくお願いします。
○宮川委員 よろしくお願いします。
○事務局 それでは事務局より、最適使用推進ガイドラインの御説明をいたします。資料12-1、その他事項に含まれている資料ですが、御確認いただければと思います。本剤につきまして、最適使用推進ガイドラインを作成すること自体は、先般の部会で御報告したところですが、今回、この承認の可否の審議に合わせて作成しております。資料の2ページの「はじめに」の所を御覧ください。先ほど機構からの説明があったとおり、対象効能・効果が片頭痛発作の発症抑制ということで、今回は日本神経学会、それから日本頭痛学会から御推薦を頂いた専門家の御意見を踏まえて、このガイドライン(案)の作成を行っております。この下の所に本剤の特徴、作用機序、それから3ページ以降に臨床成績が書かれておりますが、これは、先ほどの機構からの説明と重複しますので割愛いたします。
9ページは施設についての要件を定めた部分です。本剤は、適応となる患者の選択、それから投与継続の判断が適切に行われることが必要ということで、まず鑑別することができるかどうか、それから、重篤な副作用が発現した際に適切な対応が取れるかどうかといった観点で記載をしております。1つ目、施設についてのマル1です。その中で、先ほど宮川先生より御指摘を頂きました医師要件を定めております。医師要件としては、医師免許取得後、2年の初期研修がありまして、さらに、頭痛を呈する疾患の診療に4年以上の臨床経験ということで、2プラス4の6年の経験ということで書いております。また、本剤の効果判定を適切に行えるということで、投与継続の是非についての判断を適切に行うことができる者ということで、医師要件を定めております。また、同じく施設の所で、鑑別のためにMRI等による検査が必要という場合もありますので、MRI等を有している施設であるとか、あるいは、そこと連携できる所ということで定めております。また、マル2院内の医薬品情報管理の体制、あるいはマル3副作用への対応といったところも、重篤な副作用が発現した際の対応として記載しております。
10ページ、投与対象となる患者です。まず患者選択についての部分です。4つの要件を全て満たした患者ということで定めております。1つ目が、国際頭痛分類にもある今回の投与対象となるべき片頭痛を持っている方ということが適切に確認をされていること。さらに2番目に、投与開始前3か月間以上で、1月当たり平均4日以上の頭痛の回数があるという方。それから3番目として、非薬物療法も含め、急性期治療を既に実施している患者さんで、それらの治療が行われたとしても、日常生活に支障が生じているという患者さん。最後が、今回は抗体医薬ですが、それ以外の片頭痛発作の発症抑制薬というのは既に承認されているものがありますので、少なくとも、それらの中から1つ以上は効果が十分得られない、あるいは、忍容性が低いといったような理由で使用又は継続ができないということを確認した上で、この剤に移っていただくことを考えております。下の投与の継続・中止ですが、本剤は投与が月に1回ですので、効果の判断をするのに3回ぐらいの投与は必要だということで専門家の先生から御意見を頂いておりまして、3か月を目安に治療上の有益性を判断して、効果がない場合に投与中止を考慮するということで記載をしております。
11ページ、6の投与に際して留意すべき事項です。これは添付文書にも記載している内容です。禁忌であったりとか、重要な基本的注意などに記載している注意事項を、改めてこのガイドライン上にも記載をしているものとなります。このガイドラインについては、今日、皆さんから御意見を頂いて、それも踏まえつつ、引き続き検討させていただきまして、最終的には中医協にもお諮りした上で、本剤の薬価収載の日に通知として発出する予定としております。以上になりますが、御議論のほどよろしくお願いします。
○杉部会長 ありがとうございました。宮川先生のおっしゃった医師の資格についても、御意見がありましたら、また伺いたいと思いますが、宮川先生、いかがですか。
○宮川委員 お話させていただきます。ここには、日本神経学会と日本頭痛学会と記載されていますが、日本医師会の立場からすれば、日本医学会の分科会の関連学会に是非、お尋ねになったほうがよろしいかと思います。日本医学会に配慮されて、例えば日本脳神経血管内治療学会などにも、是非、意見を求めて定めていただければ幸いなのかなと思って御意見をさせていただきました。
それから、医師の要件もそのようなところに関連してきます。医師要件の中で、医師免許後2年間の初期研修はまず前提条件として、頭痛を呈する疾患の診療に4年以上という形ですと、どの施設でも頭痛は診ることができてしまうので、何らかのしっかりとした要件が望ましいと考えます。医療施設の指定の要件とか、それに準ずるとかいう言葉が1つ入ったほうがよろしいのかなと思いました。
それから、10ページの4ポツの所です。本邦で既承認の片頭痛薬の3つの薬があるのですが、これは「いずれか」でよろしいのかなと思います。つまり、どれも効かないので、それで使用したのか、どれか1個だけ使用したのだか効かなかったから本剤を使用したいと考えたのかということです。本来であれば、この3つの薬を使ったけれども駄目で、この薬を使用するという、マル1、マル2、マル3という要件があって、それだから本剤を使用することになったのだというほうが適切な表現なのか、お聞きしたいと思います。そして、マル1、マル2、マル3であれば、忍容性が低いという表現のみでは、マル3に合致してしまいます。マル1、マル2だけでも結構なのか、表現の仕方について御意見いただければ幸いかなと思います。以上です。
○杉部会長 どうもありがとうございました。事務局からお話があります。
○事務局 事務局より回答いたします。まず、1つ目に御指摘いただいた、確認すべき学会を追加すべきなのではないかという点については、この議論の後、中医協までの間に、改めて学会の方に先生方を推薦いただいて、その先生方の御意見を伺いたいと考えております。それから、医師要件の所でコメントいただいた点については、これはちょっと御質問になるのですが、今は頭痛専門医が日本頭痛学会とかの中で定められておりますが、その頭痛専門医に準ずるような方という書きぶりでよろしいのかどうかを確認させていただければと思います。
○宮川委員 はい、そのような表現であればよろしいのではないかなと思います。
○事務局 分かりました。ありがとうございます。それから、最後の10ページの投与対象の患者の既存の発症抑制薬の所ですが、ここは、今、頂いたコメントについて、同じような議論が既に神経学会、あるいは頭痛学会と議論をする中でありまして、そのときの議論としては、ここにある薬剤を全部試してからでないと本剤を投与できないという書きぶりにすると、逆に、2種とか3種とかを一気に併用して不適正使用が生じる温床になるのではないかという御意見もあったので、現状、「いずれかが」という記載にさせていただいているところです。それも踏まえて御議論いただければと思います。
○宮川委員 ありがとうございます。そのような議論がされているのであれば結構だろうと思います。ただ、マル1、マル2、マル3の所で、忍容性が低いというのはマル3に入るのかなと思いましたので、言葉を整理する意味でお聞きしたわけですが、「いずれか」というのは、そういう意味合いで取ることができれば結構だろうと思います。ありがとうございます。
○事務局 分かりました。マル2とマル3は、ちょっと書きぶりは整理をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○杉部会長 宮川先生、それでよろしいですね。
○宮川委員 結構です。いろいろありがとうございました。
○医薬品医療機器総合機構 失礼します。機構から少し、マル2とマル3の記載について補足をよろしいでしょうか。
○杉部会長 機構からお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。こちらのマル2とマル3を書き分けた経緯としては、マル2の場合は、基本的には投与を一度していただいて、何らか有害事象等が発現して忍容性が低いと判断された場合を想定して記載をしております。一方、マル3のように禁忌に該当する場合、そもそも投与をされる前に、既に投与できないと判断されるようなこともあり得るということで、なるべく解釈に齟齬が生じないよう、あえて明確に書き分けるという意味で、マル2とマル3を使い分けておりました。
○宮川委員 明確な御説明ありがとうございました。
○杉部会長 それでは、石川先生から御質問があるようですから、石川先生、どうぞお願いします。
○石川委員 コメントさせていただきたいと思っているのですが。
○杉部会長 お願いします。
○石川委員 宮川先生の御意見はごもっともで、専門医の資格に関して議論を頂くという結論であれば、私もそのとおりお願いしたいと思います。ただ、もし頭痛学会に限定するとなると、私ども、例えば脳神経内科医は、私などは例えば、頭痛の患者さんを拝見しますが、片頭痛の方も。日本頭痛学会には入っていないということもあって、実際にもし頭痛学会だけに限定してしまいますと、患者さんへの普及の問題も出てくると思いますので、日本神経学会の、あるいは、脳神経外科の専門の先生方が入っていらっしゃる学会で御議論いただければと、機構の先生方と御議論いただければと思います。以上です。
○杉部会長 ありがとうございました。今のことも、関連の学会ということで操作していただいて、いろいろ検討させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○宮川委員 宮川ですが、よろしいでしょうか。
○杉部会長 はい。
○宮川委員 今の石川先生の御意見、大変ありがとうございました。私も、先生の立場を配慮することができなくて、申し訳ごさいませんでした。広く、そういうところで検討していただければ幸いかなと思います。以上です。
○杉部会長 ありがとうございました。石川先生もありがとうございました。それでは、そのほかに何か御意見ございますでしょうか。特になければ、この薬剤について議決に入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。大森先生、川上先生、代田先生、武田先生、山田先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。それでは、本議題につきまして、現時点で、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。特に異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。それから、今のガイドラインにつきましても、一応、先生方の御確認を頂いたということにしたいと思います。そして、今、事務局から説明がありましたように、各学会への相談をさせていただくことにしたいと思います。よろしいですね。ありがとうございました。
続いて、議題7に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 議題7、資料7、医薬品イグザレルトドライシロップ小児用51.7mg他7品目について医薬品医療機器総合機構より説明いたします。資料7の審査報告書を御覧ください。医薬品医療機器総合機構からの説明では、審査報告書の下部に青字で記載されている通し番号で説明いたします。審査報告書の5ページです。1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等の項を御覧ください。
本薬は活性型血液凝固第Ⅹ因子阻害薬であるリバーロキサバンを有効成分とする薬剤であり、本邦では本薬の錠剤が2012年1月に非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、2015年9月に深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制の効能・効果で承認されております。
今般、静脈血栓塞栓症の小児患者を対象とした国際共同第III相試験成績を主要な根拠として、静脈血栓塞栓症の小児用法・用量の追加に係る医薬品製造販売事項一部変更承認申請及び、小児用製剤である本薬のドライシロップの剤形を追加する医薬品製造販売承認申請がなされました。なお、静脈血栓塞栓症は、成人の承認効能・効果である深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症の総称とされているのに対し、小児では血栓の発現部位がより多様であることが知られていますが、以降の説明では、静脈血栓塞栓症へ統一させていただきます。
本薬は、2020年9月時点で、欧米を含む130以上の国又は地域で承認されていますが、静脈血栓塞栓症の小児における用法・用量について承認されている国はなく、現在、欧州等で承認審査中です。静脈血栓塞栓症の小児を対象とした本薬の開発では、静脈血栓塞栓症の成人を対象とした本薬の臨床試験で有効性が検証されていること、静脈血栓塞栓症の病態生理は小児と成人で同様と考えられる一方で、小児では静脈血栓塞栓症の発症頻度が低く患者数が限られること等から、成人で有効性が示された曝露量を目標に小児での用法・用量を設定し、実施可能な規模で小児における本薬の有効性及び安全性を確認するとともに、成人を対象とした臨床試験成績と比較することにより、小児での有効性及び安全性を説明する開発方針がとられました。
本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明いたします。臨床試験成績については、審査報告書の25ページから記載しております。7.2.1国際共同第III相試験の項を御覧ください。生後0か月から18歳未満の静脈血栓塞栓症患者を対象に、本薬とワルファリン等の他の抗凝固療法を用いた標準治療の有効性及び安全性を比較検討することを目的とした国際共同第III相試験が実施され、当該試験において審査報告書の26ページの表12にお示しした用法・用量が設定されました。
有効性について、審査報告書の28ページの表19及び図3を御覧ください。主要評価項目とされた主要投与期間(1又は3か月間)における再発性症候性VTEの発現割合は、本薬群で標準治療群と比較して低く、標準治療に劣らない本薬の有効性が示唆されました。また、その成績から静脈血栓塞栓症の成人を対象とした臨床試験と類似した有効性が示されていると判断いたしました。日本人集団での有効性は、審査報告書の39ページの表27に示しているように、症例数が極めて限られていることから比較に限界があるため、無症候性の血栓像の変化に関する評価結果等を踏まえて総合的に検討し、全体集団と同様に本薬の有効性は期待できると判断いたしました。
続いて、安全性について説明いたします。審査報告書の40ページから記載している7.R.4安全性についての項を御覧ください。国際共同第III相試験での有害事象の発現状況を踏まえると、静脈血栓塞栓症の小児において追加の注意喚起を要する新たな安全性の懸念事項は認められませんでした。本薬の薬理作用に関連するリスクである出血の発現状況については、添付文書及び医療従事者向け資材を用いて情報提供を行うとともに、添付文書において小児の抗凝固療法に精通した医師又はその指導の下で治療を行う旨、静脈血栓塞栓症の再発リスクと出血リスクを考慮して、継続投与の可否等を判断する旨の注意喚起がなされることから、本薬の期待される有効性を踏まえると安全性は臨床的に許容可能であると判断いたしました。
以上の検討を行った結果、本薬を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本申請は新効能・新用量医薬品及び剤形追加に係る申請であることから、本申請に係る効能・効果及びその用法・用量の再審査期間は4年、イグザレルトドライシロップ小児用51.7mg、同ドライシロップ小児用103.4mgについて、製剤は生物由来製品及び特定生物由来製品並びに毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○杉部会長 ありがとうございました。今の説明に関して、先生方から、御質問、御意見はございますか。
○堀委員 恐れ入ります。堀ですが、質問させていただいてよろしいでしょうか。
○杉部会長 堀委員、お願いいたします。
○堀委員 ありがとうございます。まず、ドライシロップの新生児又は乳児に対する服用の仕方について質問いたします。恐れ入りますが、質問に当たりドライシロップの添付文書の2ページを御覧ください。9.7小児などという項目があります。そこに生後6か月未満の下記に該当する乳児には、本剤投与に治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ、患者の状態を十分に観察しながら投与することと書いてあります。そこの3つのポチの一番最後の経口栄養という所です。お尋ねしたいのは、母乳又は粉ミルクを哺乳瓶から投与している乳児又は新生児に関しては、経口栄養に該当するのか教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。医薬品医療機器総合機構よりお答えいたします。今お話しいただいたような状況が、該当する記載と考えております。
○堀委員 そうすると、母乳であっても経口栄養と理解してよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そのように理解しております。
○堀委員 そうするととても画期的な薬なのですが、添付文書の1ページの6の用法・用量を拝見すると、2.6kg以上3kg未満から投与が始まります。そのときに1日3回で0.8mg投与ということなのですが、例えば、生後6か月では大体6kgの子供が該当すると思いますけれども、それ以下の哺乳瓶又は母乳から栄養を取っている新生児、乳児に関しては、この薬をどのように投与したらいいのか教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。お手元に製剤見本の図はございますか。
○堀委員 申し訳ありません。私の手元にはございません。
○医薬品医療機器総合機構 では、ドライシロップ製剤の概要を少し説明いたします。それぞれの製剤は箱で提供されます。箱の中にはドライシロップが充填されたボトル、ドライシロップを懸濁するための水を計量するためのシリンジのようなもの、懸濁したシロップ剤を投与するためのピペット等が同梱されております。
まず、やっていただくこととしては、ドライシロップを一定量の水で懸濁し、例えば、今、御指摘いただいた0.8mgを投与する必要がある患者であれば、0.8mLの懸濁液を投与していただくことになりますので、投与液量を固定できるピペットを用いて、瓶の中から1回の投与液量を吸っていただいて、患者の口腔内に注入していただく投与方法となっております。もし御懸念の点と合っていないようであれば御指摘いただきたいのですが、ドライシロップの投与方法はこのようになっております。
○堀委員 ありがとうございます。私は子供を育てていたときに、離乳食を与える前の段階で水を口の中に入れても飲み込むことがかなり難しかった記憶があるのです。やはり、母乳又は哺乳瓶で飲むことに慣れ、吸うということを新生児又は乳児、特に離乳食前の乳児は飲み込むことが非常に難しかったような記憶があったので、果たして、口の中にスポイトのようなもので薬剤を入れたとしても、きちんと口の中から体内に吸収できるのかどうか心配でしたので質問をさせていただきました。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。御指摘いただいたように乳幼児、特に低年齢の患者は、口腔内に入れても吐き出してしまったり、1回飲み込んだように見えても嘔吐してしまうという状況が想定されるかと思います。臨床試験における設定なのですが、吐き出してしまった場合や嘔吐してしまった場合には、投与した30分以内であれば再投与するという規定、30分以降経過した場合は新たな投与を行わず、次回の予定時刻に投与を再開するということをガイダンスで規定しておりました。
実際に嘔吐又は吐き出してしまったときの情報が収集されていたわけではないのですが、患者向け資材等においては、臨床試験で実施されていたものと同様の内容を推奨事項として情報提供する予定です。
○堀委員 是非、お願いいたします。特に1人目を産んだ母親又は保護者に関しては、どのように子供に飲ませたらいいかというのは大変心配な点だと思いますので、そこの部分が解決できるような丁寧な資材を作っていただければ幸いです。お願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。
○堀委員 私からは以上です。ありがとうございました。
○宮川委員 日本医師会の宮川ですが、よろしいでしょうか。
○杉部会長 宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 私は内科ですが小児科も一緒にやっていますし、小児の勉強をしたこともありますので見解を申し述べたいと思います。小児に関わる医師、看護師、病棟薬剤師は投与することには非常に慣れております。普通に口の中に滴下するのではなくて、頬の内側に薬液を落とします。そうすると、頬の内側に傾けた形で入れればそのまま自然に飲み込むことができるので、真ん中からは投与しません。今、堀委員が言ったことは非常に重要なことで、多分、そういうことに慣れている医師、看護師、病棟薬剤師はそのような投与の仕方をされると思うのですが、一応、注意喚起はしっかりされたほうがよろしいかと思います。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりコメントいたします。宮川先生、補足いただき誠にありがとうございます。今、御指摘いただいた内容は、製剤に同梱されている取扱説明書で、服用時の注意として、ピペットの先端を頬の内側に向けて注入するという旨も記載しておりますので補足いたします。
○宮川委員 宮川です。皆さんが、そのとおりに読んでいただければ問題ないと思います。以上です。
○堀委員 堀です。宮川先生、貴重な御助言どうもありがとうございました。それが反映できますよう、是非、お願いいたします。ありがとうございます。
○宮川委員 堀先生、いつもありがとうございます。
○堀委員 以上です。ありがとうございました。
○杉部会長 ありがとうございました。それでは、合田先生から、御質問、御意見をお願いいたします。
○合田部会長代理 国立医薬品食品衛生研究所の合田です。この錠は剤形追加が1つ入っております。ドライシロップ小児用の部分で、ドライシロップは割と剤形自身が品質に影響を与えることが非常に多いのですが、専門協議の委員メンバーを見たときに、品質の専門家がいらっしゃるのかということが気になったのですが大丈夫でしょうか。私自身が見た限りでは品質はちゃんと担保されていると思ったのですが、専門協議に製剤の専門家を入れるべきなのではないかと思いますけれども、これはルール上、大丈夫でしょうか。
○杉部会長 機構から何かございますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。剤形追加の際には、製剤の品質の特性などを踏まえて専門協議の実施の要否を検討させていただいております。本品については、品質の専門協議は特に実施しておりません。
○合田部会長代理 ドライシロップは割と問題が起こりやすいので、気になりました。今、私が見てこれは大丈夫だと思いましたが、参考にしてください。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。御意見いただいたように機構の中で内容を確認させていただき、ドライシロップの品質に関しては担保されていると判断しているところではございますが、専門協議の対象とする品目については頂いた御意見を参考に検討させていただきます。
○杉部会長 合田先生、御指摘ありがとうございました。そのほかに何かございますか。
○大賀委員 大賀です。よろしいでしょうか。
○杉部会長 大賀先生、よろしくお願いいたします。
○大賀委員 機構から御説明していただき、ありがとうございました。新生児も含めた若い患者の場合に遺伝性血栓性素因も含めた基礎疾患のことも気になります。使用に関して、その辺りの遺伝子診断などについては、機構ではどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。今回、実施された国際共同第III相試験においても、遺伝性の素因を有していてVTEを発症した患者も対象に含まれておりました。全体の数は多くありませんでしたが、素因を有している方と有していない方で、有効性の傾向に特段の違いはないということを確認しているところです。
○大賀委員 成人の場合は、ヘテロ変異で発症するプロテインCやS、AT欠乏症患者の場合には一定の観察ができるわけですが、特に新生児の場合には、プロテインC活性値のバリエーションがかなりあることと、ビタミンK欠乏などの状況によって個人差が大きくなってくると思いますので、特に3か月未満の患者の副反応に関しては注意深く見ていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。忌憚のない御意見を頂きありがとうございます。必要に応じて資材や今後実施する調査等において、そういう観点からの情報収集や注意の要否も検討させていただきます。ありがとうございます。
○杉部会長 ありがとうございました。そのほかに何かございますか。特になければこの議案の議決に入りますが、よろしいでしょうか。それでは、今、大賀先生、代田先生、武田先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。続いて、議題8に移ります。機構から御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構です。議題8、ジムソ膀胱内注入液について説明いたします。資料は8-1及び8-2です。資料8-1の審査報告書をお開きください。タブレットの資料を御覧になられる場合には、資料8-1、8-2のフォルダを開き、星印の付いている審査報告書のファイルをお開きください。
審査報告書の通し番号の4ページ、1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況の項を御覧ください。本剤はジメチルスルホキシド(以下、DMSO)を有効成分とする膀胱内注入療法用剤です。米国等では本薬が間質性膀胱炎の症状緩和を目的に40年以上使用されております。本邦では、DMSOは2019年に公表された間質性膀胱炎・膀胱痛症候群診療ガイドライン(以下、2019年版IC/BPSガイドライン)において、膀胱内注入療法の1つとして記載されております。
本剤の開発については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において「医療上の必要性が高い」と評価され、厚生労働省より開発企業の募集がなされ、今般、募集に応じた杏林製薬株式会社より、国内臨床試験成績等に基づき医薬品製造販売承認申請がなされました。なお、本剤は間質性膀胱炎を予定効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されております。本剤の審査に関する専門委員として、資料14に記載されている委員を指名いたしました。
本剤の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明いたします。有効性について説明いたします。審査報告書の通し番号は26ページ、7.2第III相試験の項を御覧ください。間質性膀胱炎患者を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験(以下、L301試験)が実施されました。主要評価項目は、本邦の医療現場で間質性膀胱炎の症状の評価に汎用されているO'Leary & Santによる症状スコア日本語版(以下、ICSI)のベースラインからの変化量とされました。その結果は、審査報告書の通し番号の27ページの表18のとおり、本剤群とプラセボ群の間に有意差が認められ、ICSIの構成等を踏まえ、その群間差には臨床的意義があるものと判断いたしました。また、審査報告書の通し番号の28ページの表19のとおり、間質性膀胱炎の症状に関連する副次評価項目の結果は、主要評価項目で示された有効性の意義を支持するものでした。
L301試験の成績は以上のとおりですが、試験開始後に公表された2019年版IC/BPSガイドラインでは、試験実施当時に間質性膀胱炎とされていた患者のうち、ハンナ病変を有する患者集団(ハンナ型集団)と、ハンナ病変は有さないが点状出血又は拡張後粘膜出血がある患者集団(非ハンナ型集団)では病態が異なり、治療による効果も異なる可能性が高いとされていたことから、次に述べるような検討を行いました。
審査報告書の通し番号の31ページの表21及び32ページの表22を御覧ください。L301試験の結果について、ハンナ型と非ハンナ型の病型別の有効性を説明いたします。表21及び表22に示したとおり、L301試験の主要評価項目及び副次評価項目について、ハンナ型集団では全体集団と同様に本剤群でプラセボ群を上回る結果であった一方、非ハンナ型集団では本剤群でプラセボ群を上回る有効性は認められませんでした。機構は、直近のガイドラインや個別症例の結果を踏まえ、本剤の有効性はハンナ型集団で示されるものと判断いたしました。
本来、このような状況においてハンナ型集団における本剤の有効性を頑健に説明するためには、ハンナ型集団のみを対象とした新たな検証的試験を計画し実施することが最適ですが、間質性膀胱炎は希少な疾患であり、追加試験の実施は困難であることや、L301試験の全体集団で検証された改善効果は、ハンナ型集団における本剤の改善効果を強く反映していると解釈できると考えたことから、新たな検証的試験を実施せずともハンナ型集団における諸症状の改善効果を示す薬剤として、本剤を医療現場に提供することが可能と判断いたしました。
続いて、安全性について説明いたします。審査報告書の通し番号の37ページの7.R.2.1呼気・皮膚の異常臭及び投与時反応に関する有害事象についての項を御覧ください。臨床試験でプラセボ群と比較して本薬群で多く認められた有害事象は、呼気・皮膚の異常臭及び膀胱痛や尿道痛等の投与時反応でしたが、いずれも重症度は軽度又は中等度であり速やかに回復したこと、これらの事象による中止例は認められなかったことから、当該事象に関する情報提供は重要であるものの、本剤の臨床使用において大きな問題とはならないと判断いたしました。
続いて、審査報告書の通し番号の40ページの7.R.4効能・効果についての項を御覧ください。申請時の効能・効果は、「間質性膀胱炎」とされておりましたが、L301試験の試験デザイン及び結果を踏まえ、本剤がハンナ型集団を投与対象とし、症状を改善する薬剤であることを明確にすることが適切と考え、機構は本剤の効能・効果を「間質性膀胱炎(ハンナ型)の諸症状(膀胱に関連する慢性の骨盤部の疼痛、圧迫感及び不快感、尿意亢進又は頻尿等の下部尿路症状)の改善」とすることが妥当と判断いたしました。
続いて、審査報告書の通し番号の41ページの7.R.5用法・用量についての項を御覧ください。申請時の用法・用量は、「通常、成人には50%(w/w)ジメチルスルホキシド溶液50mL(ジメチルスルホキシドとして27g)を2週間に1回膀胱内に注入する。なお、膀胱内注入後、可能な限り15分以上膀胱内に保持してから排出させる」とされておりましたが、L301試験では、2週間間隔で6回投与したときの有効性及び安全性が確認されたことを踏まえ、「2週間間隔で6回膀胱内に注入する」ことを明記する用法・用量に変更され、機構は変更後の用法・用量は妥当と判断いたしました。
以上の審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品としての申請であることから、再審査期間は10年とすることが適切と判断しております。また、本剤は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。以上です。
○杉部会長 ありがとうございました。今の説明に関して、先生方から御質問、御意見はございますか。
○武田委員 武田ですが、よろしいでしょうか。
○杉部会長 武田先生、どうぞ。
○武田委員 まず、症例数が少ないのですが、ハンナ型病変は、膀胱の内視鏡をやれば潰瘍があるかどうかで診断できます。非ハンナ型は、膀胱水圧拡張後の点状出血を認めるということになると、膀胱水圧拡張術は治療なので、もし非ハンナ型を診断してすぐにこの治験に入ったとすると、水圧拡張による治療効果が出た状態での治験となってしまうので効果の判断が難しいかもしれないのですが、その辺りはいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構です。組入基準を確認いたしますので、少々お時間を頂戴いたします。
○武田委員 もう1つ質問があります。添付文書案の最初のページを見ていただくと、左側の7番の用法及び用量に関する注意で、本剤による再治療は、本剤の治療により症状が改善した後一定期間経過して、治療を要する程度にまで症状が悪化した場合にのみ行うこととされております。これは正しいと思いますが、この一定期間をどのぐらいに判断したらいいのか非常に難しいと思います。この辺りの機構の御判断を教えていただければ有り難いと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。まず、2点目の御質問の用法・用量に関連する注意についてです。文献報告で投与終了後1年程度は症状の改善が維持されるという報告がある旨、申請者が説明しております。また、文献で示された期間については情報提供する予定となっております。以上です。
○武田委員 ありがとうございました。
○医薬品医療機器総合機構 1点目の御質問についてです。今回の試験の除外基準に「6カ月以内に膀胱水圧拡張術を受けた患者」が設定されていたことから、過去に実施された膀胱水圧拡張術の治験の結果への影響はなかったものと考えております。
○武田委員 ありがとうございました。
○杉部会長 武田先生、ありがとうございました。そのほかに何かございますか。それでは、合田先生、よろしくお願いいたします。
○合田部会長代理 非常にマイナーなところですが、1ページの化学名がメチルスルフィニルメタンとなっております。これは適切な名前ではなく、ジメチルスルホキシドが正しい化学名です。多分、一般名と合わせたくなくてそうされたのかと思いますが、普通のルールではない形で化学名を付けられておりますけれども、何か理由があるのでしょうか。これは変えられたほうがいいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。頂いた御指摘については、確認して適切に対応させていただきたく存じます。
○合田部会長代理 了解いたしました。
○杉部会長 合田先生、御指摘ありがとうございました。そのほかに何かございますか。特に御質問はございませんか。それでは、この議題に関して議決に入りたいと思います。武田先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。それでは、本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。特に御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。続いて、議題9に移ります。私は薬事分科会審議参加規程第5条に基づき、議題9の審議の間は会場から退室して待機することとなっておりますので、そのようにいたします。以降の進行については、合田部会長代理にお願いしたいと思っております。合田部会長代理、どうぞよろしくお願い申し上げます。
(杉部会長退室)
○合田部会長代理 それでは、議題9について合田が座長を務めさせていただきます。まず、本件について医薬品医療機器総合機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題9、資料9、医薬品ビムパット錠50mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。資料9の審査報告書を御覧ください。審査報告書の一番下、全48ページの通し番号で7ページの「1.起源又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。本薬はラコサミドを有効成分とした抗てんかん薬であり、本邦において、本薬の錠剤は2016年7月に部分発作(二次性全般化発作を含む)の併用療法、2017年8月には部分発作(二次性全般化発作を含む)の単剤療法に係る効能・効果で承認されております。また、2019年1月に小児に対する用法・用量及び本薬のドライシロップ剤が承認されるとともに、一時的に経口投与ができない患者における本薬経口製剤の代替療法として、本薬静注製剤が承認されております。今般、本薬について、強直間代発作に対する併用療法に係る有効性及び安全性が確認されたとして、承認申請が行われました。
本薬は2020年9月現在、欧米等60以上の国又は地域で承認されており、このうち、強直間代発作に対する併用療法に係る効能・効果では、2020年1月に米国及び欧州において承認申請が行われ、2020年11月に米国で承認されております。
本申請の専門委員として、資料14に記載されている4名の委員を指名しております。
以降、臨床試験成績を中心に審査の内容を説明させていただきます。
まず、有効性につきまして、審査報告書の通し番号で12ページの表3を御覧ください。既存の抗てんかん薬で、効果不十分な強直間代発作を有する4歳以上のてんかん患者を対象とした国際共同第III相試験であるSP0982試験において、主要評価項目である治療期間における2回目の強直間代発作が発現するまでの時間について、本薬群ではプラセボ群と比較して統計学的に有意な延長が認められました。また、強直間代発作を有する成人及び小児てんかん患者における本薬の有効性評価につきまして、審査報告書の通し番号で20ページの表12を御覧ください。小児てんかん患者の検討例数は限られているものの、SP0982試験の成人及び小児別での主要評価項目の結果は表12のとおりであり、全体集団の成人及び小児てんかん患者のいずれにおいても、プラセボ群と比較して本薬群で発作の発現が抑制されており、日本人集団においても同様の傾向が認められました。以上の成績等より、本薬の強直間代発作に対する有効性は示されていると判断いたしました。
次に、安全性ですが、審査報告書の通し番号23ページの表14及び24ページの表15に示しましたように、SP0982試験及びSP0982試験に引き続いて実施された国際共同長期継続投与試験であるEP0012試験における有害事象の発現状況に加え、既承認効能・効果である部分発作を有する成人及び小児てんかん患者における本薬の安全性プロファイルとの比較等を踏まえると、強直間代発作を有する成人及び小児てんかん患者に対する本薬投与において、新たな安全性上のリスクは示唆されておらず、既承認効能・効果と同様の注意喚起の下で適正使用されることを前提とすれば、強直間代発作を有する成人及び小児てんかん患者に対する本薬の安全性は許容可能と考えております。
続きまして、用法・用量について、審査報告書の通し番号42ページの「1.4用法・用量について」の項の「機構は」から始まる段落を御覧ください。開始用量及び増量方法につきまして、SP0982試験及びEP0012試験では、部分発作を有する成人及び小児てんかん患者に対する既承認用法・用量と同様の開始用量及び増量方法が設定され、安全性に大きな問題は認められませんでした。次に、維持用量について、SP0982試験では、部分発作に対する既承認用法・用量より高い維持用量にて本薬の有効性及び安全性が示されたものの、当該試験デザインやその立案の背景等を考慮し、強直間代発作に対する維持用量につきましては、被験者の発作コントロールが最適となるように、用量調整を可能としたEP0012試験成績も踏まえて検討を行うことといたしました。その結果、EP0012試験では、多くの患者が部分発作における維持用量以上の用量にて本薬が投与され、かつ当該用量の投与にて発作回数が減少する傾向が認められました。また、最高用量について、SP0982試験では、部分発作に対する既承認用法・用量と同様の最高用量が設定され、本薬の有効性及び安全性が確認されました。以上の点に加え、本薬は最高用量を超えない範囲で患者の状態に応じて、適宜増減する用法・用量であること等を踏まえますと、本薬経口製剤及び本薬静注製剤の強直間代発作を有する成人及び小児てんかん患者に対する用法・用量について、部分発作に対する既承認用法・用量と同一とすることに大きな問題はないと判断いたしました。
以上の審査を踏まえ、本薬を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。
本薬は新効能医薬品としての申請であることから、本薬経口製剤の再審査期間は4年、本薬静注製剤は、既に付与されている再審査期間の残余期間が4年以上であることから、再審査期間は残余期間である令和7年1月7日までと設定することが適当と判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。説明は以上となります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○合田部会長代理 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質問等がありましたらお願いいたします。皆様、よろしいですか。はい。それでは、議決に入りたいと思います。なお、大賀先生、代田先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。皆様、よろしいですね。では、御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告させていただきます。
続きまして、報告事項に移ります。御待機されている杉部会長をお呼びください。
○杉部会長 大変失礼いたしました。杉でございます。それでは、報告事項につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。それでは、報告事項、議題1と議題2につきまして、事務局から御説明させていただきます。まず、報告事項、議題1ですが、医薬品ノベルジン顆粒5%の製造販売承認についてです。本剤ですが、酢酸亜鉛水和物を有効成分とする亜鉛製剤であり、現在、ウィルソン病及び低亜鉛血症に係る効能・効果で承認がされております。今般、低亜鉛血症患者に、体重に応じた用量で本剤を投与する医師主導治験が実施され、ノーベルファーマ株式会社より、新用量・剤形追加に係る顆粒剤の製造販売承認申請及び新用量に係る錠剤の製造販売承認事項一部変更承認申請がなされております。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断されております。
続きまして、議題2、医療用医薬品の再審査結果についてです。資料11-1から11-12になります。まず、資料11-1、有効成分名エベロリムス、販売名がサーティカン錠0.25mg、同錠0.5mg及び同錠0.75mgです。資料11-2、有効成分名ビルダグリプチン・メトホルミン塩酸塩、販売名がエクメット配合錠HD及び同配合錠LD。資料11-3、有効成分名ラニビズマブ(遺伝子組換え)、販売名がルセンティス硝子体内注射液10mg/mL及び同硝子体内注射用キットを10mg/mLです。資料11-4、有効成分名ブリンゾラミド・チモロールマレイン酸塩、販売名がアゾルガ配合懸濁性点眼液です。資料11-5、有効成分名A型ボツリヌス毒素、販売名がボトックス注用50単位及び100単位。資料11-6、有効成分名プリモニジン酒石酸塩、販売名がアイファガン点眼液0.1%。資料11-7、有効成分名インスリン グラルギン(遺伝子組換え)、販売名がランタスXR注ソロスター。資料11-8、有効成分名デュタステリド、販売名がザガーロカプセル0.1mg、同カプセル0.5mg。資料11-9、有効成分名ホスアプレピタントメグルミン、販売名がプロイメンド点滴静注用150mg。資料11-10、有効成分名オキシブチニン塩酸塩、販売名がネオキシテープ73.5mg。資料11-11、有効成分名リバスチグミン、販売名がイクセロンパッチ4.5mg、同パッチ9mg、13.5mg、18mg、又はリバスタッチパッチ4.5mg、同パッチ9mg、13.5mg、18mg。最後、資料11-12、有効成分名ピタバスタチンカルシウム水和物、販売名がリバロ錠1mg、同錠2mg、同OD錠1mg及び同OD錠2mgです。
今、御紹介したこれらの品目につきましては、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査及び製造販売後臨床試験に基づいて再審査申請が行われまして、審査の結果、医薬品・医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要はないカテゴリー1と判定させていただいております。報告事項については以上でございます。
○杉部会長 ありがとうございました。今の事務局からの報告ですが、この中で、先生方から何か御質問はありますか。特にはありませんか。それでは、報告事項については御確認いただいたことにしたいと思います。続きまして、そのほかの事項に移りたいと思います。それでは、そのほかの事項につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。資料12-2、その他事項の中に入っている資料を御覧ください。アイモビーグの最適ガイドラインの対象医薬品の選定についてです。先ほどは最適使用推進ガイドラインの中身を御確認いただきましたが、こちらについては、最適使用推進ガイドラインの対象となる医薬品を選定するということで、御報告させていただくものになります。剤としましては、アムジェン株式会社から申請がなされている、アイモビーグ皮下注70mgペン、一般名としてはエレヌマブ(遺伝子組換え)です。申請時の効能・効果になりますが、片頭痛患者における片頭痛の予防ということで申請がなされておりますので、これも先ほどの最適ガイドラインの対象と同じ片頭痛を対象とする治療薬になりますので、同様の剤ということで、今回も最適使用推進ガイドラインの作成対象として選定させていただきました。今後、先ほど御議論いただいたものも踏まえて、関係学会等に御協力いただきながら、ガイドライン案の検討を進めて、この剤の承認の可否を御審議いただく際に、改めてガイドライン案の中身を御確認いただく予定としております。以上です。よろしくお願いします。
○杉部会長 どうもありがとうございました。今のガイドラインにつきましては、先ほど、いろいろ御意見あった点を踏まえて、また報告をお願いいたします。先生方から何か御質問ありませんか。よろしいでしょうか。それでは、そのほかの事項については御確認いただいたものとしたいと思います。本日の議題は以上でございますが、事務局から何か報告はありますか。
○事務局 ありがとうございます。事務局でございます。次回の部会、来週で恐縮ですが、来週12月11日(金)午後3時から開催する予定です。また、開催案内、資料等も順次お送りしますので、またよろしくお願いいたします。
○杉部会長 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。長い時間御参加いただきまして、ありがとうございました。また来週、よろしくお願いいたします。
( 了 )
- 備考
- 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。
照会先
医薬・生活衛生局
医薬品審査管理課 課長補佐 柳沼(内線2746)