第312回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

日時

2020年(令和2年)12月11日(金) 10時30分~

場所

オンライン会議会場
東京都千代田区平河町2-4-2 全国都市会館 第2会議室(3階)

出席者

(公益代表委員)
  • 小野 晶子
  • 鎌田 耕一(部会長)
  • 松浦 民恵
(労働者代表委員)
  • 永井 幸子
  • 奈良 統一
  • 仁平 章
(使用者代表委員)
  • 佐久間 一浩
  • 中西 志保美
  • 平田 充
  • 森川 誠

議題

(1)社会福祉施設等への看護師の派遣に関するヒアリング(公開)

議事

議事内容

○鎌田部会長 ただいまから、「第312回労働力需給制度部会」を開催いたします。本日は、公益代表の藤本委員、労働者代表の木住野委員が所用により御欠席されております。本日は、前回に引き続き、社会福祉施設等への看護師の派遣について、関係2団体からのヒアリングを公開にて行います。

それでは議事に入りますので、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。

本日は、一般社団法人全国介護事業者協議会の座小田理事長、渡邊副理事長、内田理事に御出席をいただいております。大変御多忙のところ、本部会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。部会委員を代表しまして私から御礼を申し上げます。ありがとうございます。

さて、本日は貴協議会の立場から、社会福祉施設等への看護師の日雇派遣について御意見を述べていただければと思います。まずは、5分程度御説明ただき、その後、質疑応答としたいと思います。それでは理事長、よろしくお願いいたします。

 

○全国介護事業者協議会座小田理事長 よろしくお願いいたします。民間事業者の質を高める一般社団法人全国介護事業者協議会、通称は民介協と申しますが、理事長を務めております座小田と申します。副理事長の渡邊と理事の内田が対応させていただきます。

資料の1ページ目、団体の概要です。介護保険が始まった2年後の2002年に発足しました。今現在、今年の3月末で623の事業者が加入しておりまして、全国8ブロックにて活動しております。主に在宅系のホームヘルパー、デイサービス、その他在宅での事業のサービスを提供する会員が中心です。事業内容はいろいろあるのですが、一応3つ挙げております。1つ目、各種研修会の実施です。これは全国でやることもありますが、各ブロックでやるほうがどちらかというと多いと思います。2つ目、情報の集約と発信です。これは厚労省関係や様々な公的な情報を会員に発信することです。3つ目、各種補助金事業の実施です。今年もやっていますが、今年は実は介護職の派遣についての調査をやっておりまして、厚生労働省からも補助金を受けて、調査・研究事業をやっております。

2ページ目です。社会福祉施設への看護師の日雇派遣の考え方です。あとで5ページは参照していただくのですが、人員が欠如した場合、介護サービスには減算というペナルティが与えられます。100分の7070%まで算定を下げられるわけですが、訪問入浴については看護師がいないと100分の95に下げられます。若しくは、それが長く続きますと取消しの対象になります。

この部会なのでしょうか、ニーズ調査によれば、「看護職員の派遣労働者を就業させる理由」の1位は人員基準を満たすためです。2番目は欠員の補充でして、これは産休・育休・介護休暇を除いておりますが、52.6%もあります。また、介護サービス事業者の看護職員の過不足状況についてですが、「不足」と答えている事業者が44.8%、「大いに不足」が5.3%、「不足」が14.4%、「やや不足」が25.1%と、「不足」と回答している事業者が非常に多く、その不足と回答した事業者の中で、42.5%が臨時的・突発的な人手不足であると回答しております。

このような状況で、看護師の日雇派遣については、短期的かつ突発的な人員不足の解消のため有効な手段の1つと考えております。マッチングが一番大事ですが、合えば相互にとってメリットがあるのではないかと思われます。

看護師を募集しても雇用できない環境の中で、利用者の方も、安心感やなじみの顔というような信頼関係の構築を図ること、それから身体状態の観察や把握、生命維持に関する必要な処置などを行うこと、この2つの業務が看護師にはあると思うのですが、現在、不足している状況で、直接雇用がなかなかできないので、信頼関係の構築のほうが非常に難しいわけです。しかし、ここは他の介護職が行うことでカバーできるのではないかという考えがあります。ただ、看護師の仕事というのは、やはり看護師の知識、技術で行われるものであって、介護職にはカバーできないということです。

3ページです。これは看護師の日常の業務内容です。特に多いのはバイタルチェックだと思います。3段目の各種処置というのも看護師にしかできません。いろいろ書いてありますが、この他にも場合によっては、人工呼吸器や人工肛門、そういったものの処置もあります。

先に5ページ目をお話させていただきます。通所介護、訪問入浴、特定施設入居者生活介護というのは介護付き有料老人ホームのことですが、このように様々な形で看護師を配置しなければいけないということが法的に決められておりまして、こういったことを満たさないと、先ほど申した算定が100%できないということが出てくるということです。

 看護師の派遣に関する課題については、内田、渡邊のほうから報告させていただきます。

 

○全国介護事業者協議会内田理事 理事を務めております内田と申します。よろしくお願いいたします。私どもの会社で派遣を利用しておりまして、派遣利用については10年以上になるのですが、実際にあった課題について簡単に御説明いたします。

おおむね派遣看護師さんの募集は、派遣会社のほうはホームページ、SNSで募集し、ほぼ面接されることはありません。履歴書をお送りいただいて、そのまま派遣する事業所に送るということがほとんどですので、実際にはその看護師さんがどの程度の技量かを把握されているかということについては疑問を持っております。その中で、実際に処置ができない方、若しくは実務経験がない方も来られるという、水銀血圧計の測定もできないという方も実際におられましたが、そういったときには自動血圧計で対処するといったこともしております。

2つ目ですが、ある派遣会社が時間外に連絡が取れないということがありまして、そのときに急にお休みされる派遣看護師さんがおられると、朝になっても出勤しないということが多々ありました。こういうことについては、緊急連絡先を設けるように伝えましたが、実際に設けられたのが1年後ぐらいです。今はどのようになっているかというと、緊急連絡先に連絡したとしても、連絡は来ないということがほとんどです。そのことに対して、急に休む方については来てもらわないということと、直接こちらのほうで対応するように携帯電話の番号を教えておくという対応をしております。

3つ目ですが、要介護者や家族との信頼関係が形成されない状況での尊厳の尊重ということです。募集しても来ない中で実務を行っていこうとすると、どれを最優先に考えるかということになってきますので、先ほどの看護師しかできない処置、若しくはバイタルチェック等を優先せざるを得ないのです。実際にも、家族の方からは慣れた人が来てほしいとか、派遣で来られる看護師さんは来させないでほしいという意見もあります。そのことについては、ただただ理解してもらう努力、若しくは職員がカバーすることしか対応できておりません。

最後、派遣会社の派遣料の値上げですが、これは実際に働き方改革のときも言われてきましたし、毎年この話は出てきます。ただ、私どもは介護報酬の中でやっておりますので、介護報酬が上がらない中での賃上げについては拒否をしております。

あとは、派遣会社の利用を必要最小限とし、いかに直接雇用を確保していくことが課題ということになっておりますが、派遣看護師さんを雇用する人数にもよりますし、サービス種類、どのサービスをしているのか、若しくは運営者の派遣を受け入れる方針にもよりますので、人数が少ないと全く直雇用ができないかというと、そうでもありません。以上でございます。

 

○全国介護事業者協議会渡邊副理事長 追加で補足させていただきます。今、内田理事のほうから訪問利用中心に報告しましたが、もう少し広い意味での社会福祉施設の中での看護師の派遣の在り方としては、まず多様な働き方を推進するという意味では、日雇派遣については、ある程度取り扱っていいのではないかという姿勢で考えております。その上で、先ほどあったとおり、送り出し機関側の質、例えば看護師へのサポートや、送り出した看護師そのもののスキルをきちんと受け入れ側に提示できるような、そういった工夫が必要なのではないかということです。

併せて、受け入れ側の介護施設側も、派遣された看護師にどこまで何の仕事をしていただくのか。我々が求めているのはこういうスキルなのだということをきちんと見えるようにして、そこをきちんとマッチングさせていくことが、今後日雇派遣等含めて活用していくところでの重要な検討課題になるのではないかと思います。私からは以上です。

 

○全国介護事業者協議会座小田理事長 以上です。すみません、少し長くなりました。

 

○鎌田部会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの御説明に対して、質問、感想があれば何でも結構ですので、御発言よろしくお願いいたします。仁平委員、どうぞ。

 

○仁平委員 座小田さん、内田さん、渡邊さん、御説明ありがとうございました。労働組合連合の仁平と申します。確認も含めて、幾つか質問させていただきたいと思っています。

資料のほうの2ページです。下線が引いてありまして、「看護師の日雇派遣は、短期的かつ突発的な人員不足解消のための有効な手段の一つと考えられ」と書かれていますが、看護師の質の確保が大前提という理解でいいのかということです。質を確保することが前提だとすれば、派遣会社が応募者の能力をしっかり把握して、適切な能力を有する看護師の方を派遣することが不可欠になるのだと思うのですが、今の派遣会社にそれが現実的に可能かといったことについて、お考えを聞かせていただきたい思います。それと、仮に派遣会社に限界があるということであれば、受け入れる側として、質を確保するためにできることにはどんなことがあるのかを聞かせていただきたいということが1つです。

次に、資料の4ページです。これも課題として書かれていますが、SNSで募集して面接もせず紹介というケースや、中には記載のような処置のできない方を派遣された経験もあると、率直な実態を書いていただいていると思っています。利用者の安全確保を考えたときに、日雇派遣の看護師の方と常勤の看護師の方では、担える業務の範囲が自ずと違いが出てくるという印象を持っています。それも踏まえると、日雇いの方が全ての訪問介護に対応できるとは考えにくいと私は思うのですが、常勤の方と比べて日雇看護師の業務の範囲について、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

最後にもう1つですが、行政への要望についてお伺いしたいと思います。派遣先での詳細な業務内容を把握するためには、事前の研修やオリエンテーションを、派遣元で確実に実施することが必要だと思いますが、様々な調査を見ますと、日雇派遣については雇用管理が不十分であるという結果もございます。確実な雇用管理の実施のために、行政に対して何か求めることがあれば聞かせてください。以上です。

 

○鎌田部会長 ありがとうございます。それでは、御回答をお願いしたいと思います。

 

○全国介護事業者協議会座小田理事長 最初の質問、これは御質問の2番ともかなり関係が深いと思いますが、先ほどあったように日雇派遣の看護師がどういう経歴で、どういった業務を今までやってきたかというのを、きっちりと派遣元のほうが把握されていると、かなりできる範囲は広がるのではないかと思います。絶対ここまでしかできないということではなくて、それこそ経験や技術を取得した情報をどれくらい把握していたかというのが、私たちには非常に大事になるのではないかと思っています。内田理事が、それこそ看護師なので回答させていただけたらと思います。

 

○全国介護事業者協議会内田理事 2ページの受け入れのための質の確保はどうかという御質問があったかと思いますが、私ども、派遣看護師を受け入れているのは訪問による介護というサービスで、3人で回る中の1名が派遣看護師になります。移動の間に派遣看護師さんとできるだけの情報交換をしていきますので、そのサービスを提供するときの質という意味において担保は可能と思っています。そこは、あと2名のコミュニケーションであったり、看護師さんの処置の経験等々で担保可能だと思います。ただ、1回しか来られないという方も現実にはおられますので、仕事に責任を余り感じておられない看護師さんがおられたりすると、何とか周囲でそのフォローをしなければならないという、その力が強くなっていくと感じています。

それと、2つ目の常勤看護師さんと派遣看護師さんの質の担保というか違いというか、その辺のお尋ねがあったと思います。情報量という意味では、常勤の看護師さんは何回も訪問して行きますので情報量は全く違います。ただ、派遣看護師さんの、先ほど言いましたが、コミュニケーション能力であったり、処置の経験能力であったりというところが大きく左右しまして、そこが結構、経験を積んでおられる看護師さんになると、ほぼ常勤の看護師さんとやることが変わらないぐらいのサービスを提供することができます。

それと最後、もう1つ行政への要望ということですが、派遣看護師さんは民民との関係になりますので、受け入れる側、派遣される側のパワーバランスというのか、その辺の弱さを感じていますから、派遣会社はこうだろうという話になってくると駄目と言えないところもあります。ですので、その辺の具体的に派遣会社の研修を義務付けるところ、マッチングに対するそこそこの縛りであったり、研修の縛りというのは必要かなと感じています。以上です。

 

○全国介護事業者協議会座小田理事長 よろしいでしょうか。派遣元の雇用管理につきまして、私たちのほうも派遣会社のほうに近付いて、お互いに良い仕事ができるようにやらないといけないというのもあるのかなと感じています。以上です。

 

○仁平委員 ありがとうございました。

 

○鎌田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問はありますか。佐久間委員、どうぞ。

 

○佐久間委員 佐久間と申します。本日はありがとうございます。私からも幾つか質問させていただきたいと思います。

資料の4ページに、看護師の派遣に関する課題がまとめられています。非常によくまとめられた課題の要点が出ているのではないかと思います。例えば、業務内容の把握、雇用管理面、尊厳の尊重、そして派遣看護師の派遣料値上げという大きな課題が掲げられていると思います。御説明を賜りました内容に含まれているのかもしれませんが、急遽、例えば看護師さんが必要になったという場合には、日雇「紹介」をお願いしたり、どのような対応を通常されるのか、方策を教えていただきたいのです。もし、今回審議をいたしております介護施設への看護師の日雇派遣が認められた場合に、これからの交渉毎になるのでしょうけれども、派遣の看護師の方々の料金の関係で、日雇紹介を使っていれば、紹介料が高くなることが想定されているので、過大な値上げがなされる可能性についても教えていただきたいと思います。

もう1点については、教育訓練とか雇用管理面の課題というのは非常に重要だと思いますが、会員となっている事業者の皆さんは、それなりに活動されている施設なので特段問題ないと思いますけれども、教育訓練の実施や雇用管理面の配慮というのは十分対応でき、確実に実施することができると言えるかどうか。その辺を教えていただければと思います。

 

○鎌田部会長 よろしくお願いいたします。

 

○全国介護事業者協議会座小田理事長 事業者とのいろいろな交渉事とか、今現在も個別でやっているのが現状だと思います。ここに、例えば公定価格ではないですが、そういったものを導入するのかどうか分かりませんけれども、介護事業者というのは介護報酬で成り立っていて、決められたお金なので勝手にこちらが値上げとかできないのです。だから、もしこういった派遣看護師を使うことが多くなると、経営を圧迫することはかなり可能性として高くなると思います。

2番目の教育につきましては、日雇派遣の方の教育というのは事業者ではなかなかできないのではないかと思われます。常勤看護師、週40時間が普通だと思いますが、そういった形で勤務されている方は、社内で行う研修、それから社外で行われる研修といったものにも参加しやすいと思いますし、社外については参加させやすいと思いますが、この時間だけ働いてほしいという方に、事業者側が研修を課すのは非常に難しいのではないかと思っています。そういった意味で、マッチングが非常に大事になってくるのかなと思います。そんなところでよろしいでしょうか。それと、渡邊のほうから。

 

○全国介護事業者協議会渡邊副理事長 私のほうから、今現在の急な欠員に対する補充の日雇紹介というのは現実にはないと思っています。社内の別な部署の看護師を緊急的に補充をして対応するとか、かなり人を移しながら法人内でやりくりしているのが現状かと思います。

教育関係の件に関しては、これこそ今から正に検討していかなければいけないのですが、マッチングの前提条件として、派遣されるサービス事業所の業務内容をきちんと明確に打ち出しておいて、派遣元がeラーニングという形で、例えば訪問入浴事業であればこういうことを看護師は求められますとか、デイサービスやその他介護施設ではこういう業務を求められますので、この業務に対して、できるかできないか事前のスキルチェックみたいなものをやって、それを派遣元のほうできちっとスクリーニングした状態で紹介していただくという、そんな流れが今後の話合いの中で必要になってくるのではないかと思っています。

 

○鎌田部会長 佐久間委員、よろしいですか。

 

○佐久間委員 はい、ありがとうございました。

 

○鎌田部会長 では、ほかの方でございませんか。中西委員、どうぞ。

 

○中西委員 中西と申します。本日は、様々に現場の実態につきまして御説明をいただき、誠にありがとうございます。私からは1点質問させていただきたいと思います。

仮に日雇派遣が可能になった場合、看護師さんに従事してほしい業務は資料3ページに記載されていますが、主に従事してほしい業務などがありましたら御教示いただけませんでしょうか。私事ではございますが、訪問看護師さんのサービスを受けた経験を持っています。大変ベテランの看護師さんが訪問してくださいまして、サービスの内容が大変優れたものであったと記憶しております。ですから、日雇派遣をされる方々の中にも非常に経験豊富な方々もおられると私は思っていますので、マッチングの重要性について、もう少し議論を深めることも大事かなと思っています。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

○全国介護事業者協議会座小田理事長 資料の3ページに書いてありますが、特に一番下辺りが看護師の業務として大事になってきます。そして、これプラス何か起こったときに、どういうふうな対応ができるかというのが非常に大事になってくると思っております。それは、例えば高齢者でしたら、急に心筋梗塞を起こしたり、意識がなくなったりということがございます。そういったことが何に起因している状況なのかといった判断であるとか、それから適切な情報伝達ですね。主治医の先生、救急隊とか搬送先の病院といった所に適切に行う能力があるのかどうか。それが非常にプラスして大切になってくると思っております。

中西委員が言われた訪問看護師については、基本的に1人で訪問して業務を行うため、いろいろな判断を1人でやらないといけないので、非常に能力の高さが要求される仕事だと思っています。訪問看護師については、特にそういった様々な対応能力が必要になってくるのではないかと思っています。あと、内田さん何かありますか。

 

○全国介護事業者協議会内田理事 今、座小田理事長が言われたことが全てだと感じていますので、それについてはありません。

 

○全国介護事業者協議会座小田理事長 以上です。

 

○鎌田部会長 ありがとうございました。中西委員、よろしいですか。

 

○中西委員 ありがとうございました。

 

○鎌田部会長 ほかにございますか。平田委員、どうぞ。

 

○平田委員 御説明ありがとうございました。確認として、2つ質問いたします。1点目は、人手が不足する中で、健康管理業務を中心にニーズがあると理解しましたが、そのような認識で齟齬はないでしょうか。2点目は、幾つか課題や懸念があるとの御指摘がありましたが、御説明を聞いている限り、派遣元と皆様のような派遣先が、相互に協力・情報共有しながら、改善に向けた取組を進めていけば、ご指摘の課題や懸念は解決可能なのだろうと理解しました。このような認識でよいか、教えていただければと思います。

 

○全国介護事業者協議会座小田理事長 御質問ありがとうございます。看護師につきましては、実際の業務は健康管理業務が中心になると思われ、突発的にいろいろな業務がプラスしてくるということではないかと思っています。2点目は、先ほど言いましたように、派遣元もそうですし、我々も派遣元と近付いて情報交換し、様々なハードルを乗り越えて日雇派遣を私たちが受け入れていくことは、マッチングさえ本当にうまくいけば良いサービスが提供できるのではないかと思っています。以上です。

 

○全国介護事業者協議会内田理事 1番目の健康管理業務はそうだと思っています。2番目のマッチングについてのことですが、派遣先と派遣元の情報交換がどこまでできるのかというのは、実際に私は少し疑問を抱いています。というのは、私どもで一番多く使っている派遣元事業所があります。34社派遣会社を使っていますが、一番多く使っている所が、この課題に挙げました緊急連絡先を取ってくれない、対応もしてくれないということなのです。そこについては、私も直接担当者と話をして、とても利用者に迷惑を掛けるし、訪問するスタッフが不安になるということをお伝えするのですが、全然改善していただけない。緊急連絡先は設けたものの、そこに対応されない。先ほどお伝えしましたが、1日、2日たっても連絡が来ないという現状があります。

その派遣元になぜ看護師が多いのかというと、そこの派遣料が一番高いからです。高いということは看護師さんに支払う賃金も高く、だから看護師さんが集まるという現状があり、そこにどれだけ対応してもらい、こちらの要望をお聞きしてもらえるかというところについては、言っても無駄だというところもあるということです。以上です。

 

○鎌田部会長 ありがとうございます。松浦委員、どうぞ。

 

○松浦委員 本日はお忙しい中、丁寧に現場の実態を御説明いただきまして誠にありがとうございます。私のほうからは、資料の内容について、事実関係だけ確認させていただきたいと思います。先ほどから話題になっているスライド4ですが、この派遣については、先ほどのやり取りの中で訪問入浴サービスに関するお話だと伺いましたけれども、それでいいですかということが1点目です。

2点目が、現状、社会福祉施設への看護師の一般的な派遣は認められていて、日雇派遣については例外要件に合致する場合のみ認められていると思いますが、ここの課題についてのお話というのは、一般的な派遣のお話なのか、若しくは日雇いの例外要件に合致して日雇派遣されてきている方のお話なのかということを確認したいというのが2つ目の質問です。

また、今までのお話に関連して、常勤の方と遜色のないサービスを提供していただける経験豊富な方がいらっしゃる一方で、責任感が乏しい方もいらっしゃるという、多分両方いらっしゃるのだと思いますが、訪問入浴に限らず、事業所で受け入れられている派遣労働者の方をトータルで見たときに、常勤と遜色ない熟練の方と、責任感のない方と、どちらともいえない方と、10人いたらどんな構成になっているイメージなのでしょうか。個別のお話に加えて、全体のイメージを教えていただきたいと思います。以上です。

 

○全国介護事業者協議会内田理事 これは私からお答えさせていただきます。ここの課題に挙げているのは訪問入浴介護のみのサービスでの課題です。ただ、介護職で派遣社員を使って来てもらっている方もおられます。ただ、その介護職の事業所も、突然、派遣介護職の方が来なくなっても対応してくれない。こちらから電話をしても、先方と連絡を取ってくれない。なぜ来ないのかという質問をしても、23日連絡がない。こちらから連絡しないとその答えが返ってこないという派遣先もございます。

それと、先ほどの例外かどうかという話ですが、派遣が認められていない所のお話ではありません。全部、訪問入浴介護若しくは通所介護等のお話ですので例外ではありません。

それから、責任感を持っておられる方、持っておられない方の割合ですが、当初、派遣でお願いし始めたときは責任感のある方は少なかったのですが、少しずつ責任感の持っておられない方については、こちらがお断りするということをしていきますので、今ほとんど派遣でも決まった方が来られている状況になりますから、ほぼ経験のある方、若しくはそこそこという表現はおかしいですが、遜色なくお仕事をされる方のみが決まって来ていただいている状態です。以上です。

 

○松浦委員 ちょっと私の質問の仕方が分かりにくかったかもしれないのですが、例外というのは、スライド4が一般の派遣なのか日雇い派遣なのかということをお伺いしたかったのです。

 

○全国介護事業者協議会座小田理事長 一般の派遣だと思います。

 

○松浦委員 年齢などの例外要件に合致すると日雇い派遣が一部認められることがあると思いますが、この件については一般の派遣に関するお話だというで承知しました。ありがとうございます。

なお、これは御質問というよりも補足ですが、介護報酬がなかなか上がらない中で大変な御苦労をされているということはよくよく承って、改めて実態を認識させて頂いたのですが、派遣会社から派遣料金の値上げを要求される背景には、派遣会社が同一労働同一賃金の規制対応として派遣労働者の賃金を上げようとされている可能性があることを、コメントとして補足させていただきたいと思います。私からは以上です。

 

○鎌田部会長 ありがとうございます。次のヒアリングもございますので御質問はここまでとしたいと思います。座小田理事長、渡邊副理事長、内田理事におかれましては、本日はお忙しいところ、貴重な御意見をお聞かせいただき誠にありがとうございました。

それでは、続いてのヒアリングに移りたいと思いますので、事務局には準備のほどよろしくお願いいたします。
 

(一般社団法人全国介護事業者協議会 ログオフ)
(一般社団法人全国介護事業者連盟 ログイン)

 

○鎌田部会長 それでは準備が整ったようですので、続いてのヒアリングに移りたいと思います。一般社団法人全国介護事業者連盟より、斉藤理事長に御出席いただいております。本日は、大変御多忙のところ、本部会に御出席いただき誠にありがとうございます。部会委員を代表いたしまして、私から御礼申し上げます。

さて、本日は、貴連盟の立場から、社会福祉施設等への看護師の日雇派遣について御意見を述べていただければと思います。まずは、5分程度御説明いただき、その後、質疑応答としたいと思います。それでは理事長、よろしくお願いいたします。

 

○全国介護事業者連盟斉藤理事長 よろしくお願いいたします。全国介護事業者連盟の理事長をしております斉藤と申します。本日は遠隔での御参加となりましたことを御容赦いただければと思います。また、貴重な時間にお招きいただきましてありがとうございます。私ども介護事業者の団体の立場から、今般の日雇派遣による看護師派遣についてということで、意見を述べさせていただきたいと思います。お手元の資料1-2について御説明をさせていただきたいと思います。

まず、当団体につきまして簡単に御説明をさせていただきたいと思います。私どもは、介護事業者の横断的な組織ということで、介護事業は法人種別があれば事業運営が可能ということで、従来からの社会福祉法人や医療法人、また2000年の介護保険制度スタート以降は、株式会社等々含めた様々な形態での運営法人がございます。また、介護事業というふうにひとくくりに申しましても、特別養護老人ホームや介護付きの有料老人ホームといった入居系の施設から、デイサービスや訪問介護といったような在宅系のサービスまで、様々なサービス形態がありまして、現状、介護事業者は、そういった法人種別やサービス種別ごとに多数の団体が存在しています。当団体は、その横串を刺す横断的な組織ということで、法人の垣根やサービス種別の垣根を越えた全国的な組織ということで設立し活動をさせていただいております。現在、全国で922社、8,214事業所が加盟している団体となっております。次のページでは、当団体の組織体制や支部の体制ということを記載していただいておりますので、こちらは参照いただければと思います。

では、具体的な今般の意見について述べさせてもらいたいと思います。4ページです。今回の日雇派遣看護師ということにつきましての総論的な考え方を述べたいと思います。当団体としましては、今回の看護師による日雇派遣につきまして、是非積極的に推進いただきたいというふうに考えております。介護事業所における看護師のみならず、介護職を含めた人材不足ということは、有効求人倍率が示しているとおりでございまして、介護職もそうですが、非常にこの看護職の採用ということには、更に大変厳しい状況を迎えているということでございます。

現状、人材が足りない部分に関して、紹介会社等々を使って採用費がどんどんと高騰しているということも、業界の大きな課題というように指摘されております。それでも、職員が採用できないということになれば、現在は一般的な派遣という形で看護師を活用するということが行われている状況にございますが、その看護師の一般派遣ということも常態化しているような状況にありまして、一般派遣でも対応ができないというようなケースも実際に存在していますから、そういった状況において、今般のこの日雇派遣ということが可能になれば、現場の雇用上の苦労ということが軽減されるだろうと考えます。

実際に、活用面におきましても、短期的な日雇いということではありますが、通常の看護師が突発的に休むというようなケースですとか、休職をするというようなケースも存在しますので、そういうときに短期的な看護師を活用させていただくというニーズも十分にあろうかと思います。現状は、こういった日雇看護師が使えなければ、看護師不在の状態で運営をせざるを得ないというような環境化も存在しておりますので、こういった日雇看護師が活用できれば、医療面での体制整備ということの確保にもつながるということでございます。

ただし、一方で十二分な情報が事前に理解できない状況で看護師が看護業務に就くということでもございますので、医療体制の確保という部分に課題があることも確かでして、その辺りの運用面において、事業所がどのようにしっかりマネジメントしていくのかということに尽きるかなと思いますが、課題があることも確かではあるというふうに思ってます。

5ページに、具体的な社会福祉施設での看護師の業務について、簡単にまとめさせていただいております。とりわけ、(1)と(2)が主たる、89割方の日雇看護師の業務ということで想定されるのではないかと思います。(1)高齢者の日常の経過観察ということで、バイタルチェックをしたり血圧を測ったりということ、これは看護師が行うということになりますので、こういった経過観察業務です。それから、(2)高齢者の日常生活の支援ということで、いわゆる介護業務の補助的な役割を看護師の立場から行っていただくという(1)と(2)がほとんどの業務になるのかなと思います。一部、事業所やサービスの中身によって、医師の指導に基づいた簡易な医療行為というようなことを対応いただくようなケースもあるかもしれないです。あとは、本当に1日入っただけではなかなか難しいでしょうが、もう少しだけ日数が多くなってくれば、機能訓練ですとか、今のコロナを含めたような感染対策を含めた安全管理ということについて関わっていただくようなケースも、まれにはあるのかもしれません。

それから、これは突発的なということにはなろうかと思いますが、万が一高齢者の状態が急変したりですとか、事故が起きたとき場合などの初期対応という部分につきまして、看護師の知識を是非お借りをしたいというタイミングも、急変のときや事故が起きた場合ということに生じるのかなというふうに思います。

6ページです。それらを踏まえた課題ということで、2点挙げさせていただいております。1つは、この日雇派遣ということの雇用管理の体制ということです。この点については、一般派遣において既に福祉施設で対応させていただいておりますので、指揮命令系統が事業所にあるということを事前に看護師に理解してもらえれば、大きな問題はないであろうと考えておりますが、雇用管理の指揮命令系統についてきちんと事前に御理解いただくということが重要であろうかと思います。

もう1つは、先ほどの看護業務の中で、日常的な経過観察や生活支援の業務を行っていただくようなことが主になると思いますので、この点におきましては、介護職ときちんと連携を図っていければ大きな問題はないであろうと思いますが、高齢者の方々の事前の情報ですとか、各種のケアの計画みたいなことは、事前に把握をしておいていただきたいと思います。

また、万が一の突発的な急変や事故ということが生じた場合には、これも当然介護職がきちんと対応をしていくわけではありますが、やはり医療的な知識を持っている看護師に適切な対応であるかどうかということについての指示や指導を仰ぐというようなケースは想定されます。ですので、そのときに初めて入った日雇いの看護師さんということであれば、高齢者さん自身の十分な情報がないという中での対応という部分について、これは若干の課題が出るというような可能性はあろうかと思います。しかしながら、看護師本来の医療的な知識をもって対応いただくということが前提になろうかと思いますし、緊急時ですから、これは介護職も含めて通常時とは違う状況が想定されると思います。少なくとも我々現場の視点から言いますと、雇用管理の体制とも重複するかもしれませんが、日雇いの看護師という立場で入られると、どうしてもこういった万が一の際には、指導や指示を仰ぐケースが業務として想定されるのだということを、事前にしっかりと理解いただいておくことが何よりも重要ではないかなと思います。

万が一そういった事態が起きたときに、私は日雇いの看護師なのでどう対応していいか分かりませんと言われては現場が混乱することになりますので、その辺りの指揮命令系統と業務範囲を事前に御理解いただくということが、この日雇看護師の派遣を推進していく上での一番の課題ではないかなと思います。まずは、私ども団体からの考え方を説明させていただきました。

 

○鎌田部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対する質問、感想があれば何でも結構ですので、御発言よろしくお願いいたします。中西委員、どうぞ。

 

○中西委員 中西と申します。斉藤理事長、本日は大変詳細な現場の御説明をいただきまして、誠にありがとうございました。私からは2点ほど質問させていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

1点目ですが、貴連盟の資料4ページに、看護師不足が深刻な状況と記載されておりますが、募集しても応募が全くない等、深刻な状況を具体的に御教示いただけると有り難いです。

2点目ですが、仮に看護師の日雇派遣が可能になった場合についてお聞きしたいと思います。介護サービスの提供方法には、利用者に施設へ入所いただく形態、利用者に施設へ通所いただく形態、利用者の御自宅等へ訪問する形態等がある中で、特にどのような介護サービスを提供する介護事業者に日雇派遣の利用ニーズがあるとお考えかを伺わせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○鎌田部会長 では、御回答のほどよろしくお願いいたします。

 

○全国介護事業者連盟斉藤理事長 まずは、現場の看護師の採用状況の、より具体的な現状についてです。こちらは、恐らくこの部会等でも、介護職、介護現場の有効求人倍率や看護師の人材不足の状況についての様々なアンケート結果等々は既に示されて議論もされていると想定しております。介護福祉業界における直近の有効求人倍率につきましても3.8から4に近い水準ということで、このコロナ禍の中で相対的な求人件数が少なくなっている中でも、介護業務は引き続き、サービスとしては社会インフラの1つですから、需要が変わらずという状況下にあり、若干ですが、他産業の方から少し介護業界に人が流れている現状もあり、この23か月ほどで有効求人倍率が0.数%下がった数値が示されておりますが、それでも全産業平均の有効求人倍率が1.21.3という水準ですので、介護業界における人材不足の状況は、一般産業と比べると3倍以上の、人材が確保しにくい環境下にあるということです。

これは地域差もありまして、東京や都心部などでは、この人材不足の環境はより深刻な状況にありますので、10に近い有効求人倍率を示しているような状況があり、1人の職員を採用するのにも10件近い求人が10倍の求人が出ている状況にあります。そういった極めて高い有効求人倍率の介護現場におきましては、何をやっても人が集まらないと、こんなにお金を掛けて広告をしても人が集まらないというような感覚を持っている方々も多くて、結果的に紹介会社という形で、1人採用するのに何十万円、場合によっては100万円を超える紹介手数料を払っていかないと、人が採用できないという状況下にもあります。

それでも、紹介会社にお願いをしても対応ができないということで、ある意味仕方なくということでは、一般の派遣というような形で、派遣会社の方々を活用してということで、派遣を活用している割合も事業所によって随分差はあるのですが、今、正確なデータを持っていないのですが、全体の経費の割合の10%近くが派遣費用になっているという事業者も日常茶飯事だというようなことは聞いています。

看護師について申し上げると、介護職以上に看護師確保は、これは医療業界を含めても看護師確保は大変苦労しているという、このコロナ禍でより一層状況が拍車を掛けているという状況にもあります。とりわけ、福祉施設において看護師を採用するのは、やはり至難なところがあります。看護師の資格を持っている方は、まずは一般的には医療機関の看護業務で働いていくというのがスタンダードでありますので、看護師資格を持っている方々の半数以上と言ってもいいと思いますが、大半の方は、まず医療機関で働くということであります。ですので、社会福祉施設で働く方はかなり限定されるわけでして、限定された看護師の方をどうやって採用するかということを皆で取り合っているような状況なのです。看護師不足、人材不足は本当に深刻な状況にあり、このコロナ禍で、より一層この状況に拍車が掛かっていること、まず切迫している状況についてはお答えさせていただきます。

2点目の質問の回答に移ります。今、中西委員から御指摘いただきましたし、私も申し上げましたとおり、介護サービスは様々なサービス、介護保険の指定サービスということでも、数十のサービスに分かれているということになります。その中で、今回のこの日雇看護師がどのようなサービスにニーズにあるのかということにつきましては、11つ事細かに説明する時間には制約がありますので、端的な形で申し上げます。

介護サービスは、11つ公的な介護保険制度に基づく人員基準が示されておりまして、介護職を利用者何人に対して何人配置しなければいけないとか、ケアマネージャーを配置しなければいけない、生活相談員を配置しないといけないというような規定があります。

その中で、看護師を配置しなければいけないことが定められている特別養護老人ホームや特定施設、在宅であればデイサービスに看護師配置が必須だと示されているサービス、若しくは必須サービスではありませんが、通常プラス介護体制を取って加算を取るような形で、例えば認知症専門のグループホームのような施設につきましては、通常の人員配置で看護師が求められているわけではないですが、医療連携体制を拡充していくために看護師を配置するということで、プラスの加算が取れるサービスもあるわけです。

基本的には、そういった基準上看護師の配置はしないといけないサービス、配置しなければ事業が継続できない、若しくはプラスの報酬を算定することができないということになりますので、そういったサービスで通常の募集をして看護師が採用できなければ、一般の派遣でお願いをするということになり、その一般の派遣で対応ができなければ、今回のような日雇いの看護師派遣を活用したいということに当然なると思いますので、今申し上げたような施設系のサービスや通所系のサービスでのニーズは高いと思います。

あとは、日雇いの看護師さんがどこで働きたいかということのニーズは、少し進めていかないと見えてこない部分もありますが、訪問系のサービスということにつきましては、例えば訪問入浴というケアについては看護師配置が必須であり、基本的には看護師と介護職員と共に自宅に行って入浴サービスを提供してくるのですが、これも3名体制で基本的にはチームを組んで対応していきます。突発的な初めて来た日雇いの看護師が専門的な対応をしていくことはなかなか難しいわけですが、今申し上げたような施設やデイサービスとか、こうした訪問入浴などの場合は、複数のチームでケアをしていきますから、主たる介護職がきちんとサポートしていけば、問題なく運営していくことは可能であろうと考えますので、今申し上げたようなサービスなどで、こういった日雇看護師のニーズがあるのではないかと想定はしています。以上でよろしいでしょうか。

 

○鎌田部会長 ありがとうございます。中西委員、よろしいですか。

 

○中西委員 ありがとうございます。日雇派遣の利用ニーズについて、理解が深まったように思います。ありがとうございます。

 

○鎌田部会長 永井委員、先ほど手を挙げておられましたので、どうぞ。

 

○永井委員 永井と申します。今日は本当にありがとうございました。私からは、4枚目のスライドと、6枚目のスライドで1つずつお伺いしたいと思います。

まず、4枚目の日雇派遣への考え方ですが、非常に詳細な御説明をいただきましたので、理解を深めることができました。今、本当に介護事業所の人手が不足していることもお伺いしましたが、それで今回は推進のお立場で御発言されていると思っております。

伺いたいのは、この日雇派遣で看護師の方を受け入れるときに、どのような看護師が現場で求められるのかということです。サービス種別も様々で、一概なお答えは頂けないかもしれませんが、看護師の中には相当現場を離れた期間が長い潜在看護師といった方々もおられ、一方で質を確保していくことも非常に重要であるという中においては、実際に現場ではどのような看護師が求められているのかということをお伺いしたいと思っております。恐らく、現場で一緒に働かれている職員の方々からすると、日雇いで来られる方々と一緒に働くことについて、いろいろな心配や懸念もあると認識をしておりますので、そういった中でどういうことを求めていくかについてお伺いしたいと思いますし、また看護師を派遣する派遣元に対して求めることもあればお伺いしたいと思います。

2点目は、6枚目のスライドの課題についてです。(1)の雇用管理の体制と、(2)の適切なサービス提供の観点から懸念されることということでお示しいただいております。お伺いしたいことは、このような課題について、行政や政策制度に対して求められることとして何があるのかということです。(2)で示していただいていますように、日雇派遣の方でも、急変や事故が発生した場合には初期対応を求められる可能性が高いといったこと、その場合には適切な対応を取る必要があることという2点について、あらかじめ理解し勤務に当たる必要があると記載されておりますが、こういったことは、この(1)にあります適正な雇用管理体制が派遣元において確立されていないと、できないことだと認識しております。一方で、派遣法の改正5年後の見直しの中で行われた施行状況調査では、日雇派遣は雇用管理が不十分であるという調査結果も示されているところですので、(2)に書かれているような御懸念を解消するために、行政に求めることがあればお伺いしたいと思います。以上2点をよろしくお願いいたします。

 

○鎌田部会長 どうぞ、お願いします。

 

○全国介護事業者連盟斉藤理事長 まず1点目、どのような看護師を現場で求めているのかということについてです。まずこれは、理想論のところと、いわゆる一般論の部分のお話をさせていただきたいということ、これは日雇派遣の看護師さんに限らず、看護師として我々現場が求めている人材と、実際に現場で採用ができる人材に、大きな隔たりというかギャップが現時点でも生じていることは間違いありません。少し理想論から述べさせていただきますが、その上で現場の実情も踏まえた現実的なお話をさせていただきたいと思います。

まず、一般論としては、もう当たり前ですが、看護師として医療的な対応をきちんと行っていただくことが、我々介護現場としては、最も求めていることであり安心できることであります。なので、医療機関等々でしっかりと看護業務について専門的な知識を身に付けた方に来ていただければ、何よりもまず安心であります。

一方で、これはその後の現実路線のお話にも関連するところでもありますが、福祉施設における看護師さんの業務は、医療機関においての専門的な医療行為の業務がそんなに頻繁に生じるわけではなく、日常経過観察や通常の高齢者の支援業務が中心的な業務となります。ですので、万が一のときの備えとしての専門的な知識、経験はしっかりと持っておいていただきたいのですが、日常的な支援業務に就いていただく場合には、むしろ看護業務ではなく、コミュニケーションスキルをきちんと持って、高齢者に寄り添って、高齢者のニーズに応じた生活支援をしっかりしていただくということ、それをまた、チームワークよく介護職と対応いただくことが重要になってきます。

そういう意味では、コミュニケーションスキルや協調性のようなもの、余り生々しいお話をするのも恐縮ですが、医療や福祉には結構、階層的なヒエラルキーみたいなものもあり、なかなか看護師と介護職との連携が図り難かったりしますので、そういったところの壁を取っ払って柔軟な姿勢で連携していただけるような看護師さんで、かつ、専門的な知識と経験がある方というのを、当然ながらまず現場の理想論としては、そういった人材を求めております。

ただし、当然人材不足の環境下の中で、そのような理想的な看護師さんが、正社員でもなかなか採用できない状況でありますし、派遣という形態や日雇派遣というかなり例外的な形で来ていただくケースでは、恐らく自由な時間の中で僅かに少し資格をいかして働いてみようかなという方だったり、場合によってはダブルワークを認められる職場であれば、休日の中の1日、2日働いてみようかなというような、恐らくどちらかの形が想定されるのではないかと思いますので、ダブルワークのような形態であれば、我々の理想として求めているような人材に来ていただけるケースもあり得るのかなと期待している側面もあります。

しかし現実的には、そんな優秀な専門知識と経験もあり、柔軟性とコミュニケーション力の兼ね備えた人材が来るということは、正直言うと我々も余り期待はしておりません。そうであれば、最低限どんな人材を望むかと言われると、今2点申し上げた部分でしたら、後者の柔軟性やコミュニケーションスキルということのほうを我々としては優先したいと思っております。

それは、先ほども申し上げましたとおり、あくまでも日常的な業務の補助的な仕事が中心でもありますし、突発的な医療的対応を大いに期待はしたいところではありますが、現実的な施設の運用面を考えますと、特養や入居系の特定施設等で看護師の配置が、人員配置上義務付けられておりますが、24時間常に配置をしなさいという義務を課されているわけではありませんので、現実的には夜間の対応で、看護師不在の中で急変が起きるとか、事故が起きるといったケースが、全国的には残念ながら存在しておりますので、こういうときには介護職のみで対応をきちんと行って、今も現場は行っているわけですから、そういう意味では極論を言えば、看護師がいなくても臨機応変な対応を現場では常にしているところでございます。

当然こういったことも含めて、専門的な知識を持った看護師がいれば本音は有り難いですが、最低限の対応は介護職員でも常に行っていることを考えると、どちらかというと後者のスキルを求めております。きちんとチームケア、チームワーク、協調性を持って対応してくれればということと、何より万が一のときは、しばらく看護業務に当たっていない方であっても、最低限度国で定められた法定に基づいた勉強をして知識を習得いただいている看護師さんであり、一般の無資格の介護職員や研修のみの介護職員と比べれば、最低限度の知識は持っていただいているのであろうと思いますので、そういう意味では本当の極論を言えば、きちんと資格を持っていてコミュニケーションスキルを持っていただいている方であれば、それが現実路線の我々の希望かなと思っているところです。以上でございます。

 

○鎌田部会長 ありがとうございます。永井委員、よろしいですか。

 

○永井委員 はい。

 

○鎌田部会長 ほかにございますか。平田委員、どうぞ。

 

○平田委員 御説明ありがとうございました。確認的に2つほど質問いたします。

まず1点目は、スライド4、スライド5についてです。看護師不足が非常に深刻な状況にある中で、業務内容で(1)や(2)にニーズがあると理解してよろしいでしょうか。

2点目は、スライド6です。ニーズはあるが、雇用管理や適切なサービス提供の観点から懸念もあるとのことでした。雇用関係と指揮命令関係が違うことに起因する側面があるかもしれませんが、派遣制度特有の課題というより、働く本人と派遣会社、派遣先としての施設、この3者が協力すれば課題を解決していけると思いましたが、その点について御意見をお聞かせください。施設のマネジメントの問題とも思われますので、もし何かコメントがあればよろしくお願いいたします。

 

○全国介護事業者連盟斉藤理事長 分かりました。回答させていただきます。すみません、先ほど永井委員からの御質問の2つ目の課題点に関して、行政に望むことという御質問に回答しておりませんでした。今、御質問いただいた2つ目の質問が少し重複するところもありますので、併せた形で回答させていただければと思います。

まず、御質問いただいた2つ目の課題に対しての解決策という部分につきましては、正に今御指摘いただいたとおりです。我々、現場の感覚としましては、基本的には現場のマネジメントの在り方によって、ほとんどの問題は解消できるのではないかなと。逆に言うと、マネジメント力がしっかりしなければ課題が生じてしまうのではないかとの裏返しでもあります。当然、突発的に来ていただくわけですが、緊急時等々につきましては、事業所では最低限度の緊急対応マニュアルのようなことは整備もさせていただいております。そういった意味では、看護師の方には、来る前にそういった事業所の最低限の業務の役割を理解いただくとともに、急変時に対応すべきマニュアルがこうなっているといったところを事前に確認しておいていただき、入っていただければ、その辺りを介護職員と連携を図って対応していくことが行えれば、この課題については解消されるのではないかなと感じております。そういう意味で、事業所のマネジメントの在り方、体制や仕組みの整え方と、そして派遣元等の連携体制ということ、派遣元もこの辺りはしっかりと御説明はしておいていただきたいと思います。派遣元と事業者と、そして派遣される看護師の3者がきちんと連携を図っていれば、雇用管理と適切なサービス提供の問題は解決されるという認識でございます。

ただ、その中で、永井委員から御指摘いただいた、もし何らかの課題解決に向けた行政に求めることがあるのだとすれば、介護事業者に対しては緊急時のマニュアル等々の整理については、これは運営基準上設けるようにと定められておりますので、場合によっては今般の改正に伴って、より一層マニュアル等との整備について、強い形で示していただくようなことを考えることは1つの対策にもなるのかなという部分があります。

あとは、派遣元に対して、きちんと十分な説明責任を果たした上で派遣いただくところ、これも既に現状のルール下で存在しているというふうにも認識はしておりますが、伝達方法や、もしそこが守られなかった場合の罰則などを強化していくことで、現状を更により拡充していくような対応策は取れているのかなと思いますので、その辺りには様々なことを踏まえた総合的な御判断を頂ければなと思っているところです。以上、2つ目の御質問と、先ほどの永井委員からの御質問と併せて回答させていただきました。

もう1つ頂戴していたニーズの部分についてです。こちらが、5ページに記載の業務内容ということが、そのまま現場で想定される部分、業務や人数かということの御質問であったかと思います。それについては、このとおりと回答を述べさせていただくだけにとどめさせていただきたいと思います。ここにお示ししたことが、我々としての基本的な考え方であり、日雇看護師に想定され得る業務内容も書かせていただいている割合も、先ほど御説明したような看護師の業務の範疇でございます。課題と対応策のこともまとめているとおりです。御回答は以上でよろしいでしょうか。

 

○鎌田部会長 ありがとうございました。平田委員、よろしいですか。

 

○平田委員 はい。

 

○鎌田部会長 ほかにございますか。御質問がないようですので、それではここまでといたします。斉藤理事長におかれましては、御多忙なところ、貴重な御意見をお聞かせいただき誠にありがとうございました。

 

○全国介護事業者連盟斉藤理事長 ありがとうございます。よろしくお願いします。
 

 (全国介護事業者連盟 ログオフ)
 

○鎌田部会長 それでは、よろしいですか。前回のヒアリングと併せ、社会福祉施設等への看護師の日雇派遣について、5つの団体から様々な御意見をお聞かせいただきました。また、委員の皆様には、いろいろと御質問をしていただきありがとうございます。

次回については、これまでの委員や団体の御意見を踏まえて、事務局で論点を整理、用意していただき、引き続き検討することにしたいと思います。それでよろしいでしょうか。

それでは、本日の議題はここまでとさせていただきます。議事録の署名は森川委員、奈良委員にお願いいたします。事務局から、何か連絡事項はございますか。

 

○清水補佐 次回の部会の日程につきましては、追って事務局から御連絡差し上げます。

また、昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大状況を踏まえ、今後の労働力需給制度部会の開催方法については、オンライン開催とするか等、部会長と相談して考えていきたいと思いますので、その点も含めまして御連絡いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○鎌田部会長 それでは、以上をもちまして「第312回労働力需給制度部会」を終了いたします。本日は皆様、どうもお疲れさまでした。