第23回労働政策審議会人材開発分科会 議事録

人材開発総務担当参事官室

日時

令和2年12月18日(金)10:00~12:00

場所

WEB会議

議題

1 第11次職業能力開発基本計画について
2 新たな青少年雇用対策基本方針及び事業主等指針について
3 その他

議事

議事内容
○小杉分科会長 定刻となりましたので、ただいまから第23回労働政策審議会人材開発分科会を開催いたします。本日は、使用者代表の美野川委員、渡邉委員が御欠席です。また、河本委員は通信上の関係で、遅れての御出席と伺っております。
本分科会は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、労働政策審議会運営規程第3条第1項に基づき、オンライン会議の開催といたします。これに伴い、以後の各議事における質疑や御意見については、テレビ会議マニュアルに従い進行する旨、あらかじめ御了承ください。
議事に先立ちまして、配布しております委員名簿のとおり、本開催より労働者側代表として田村委員が新たに就任されました。御挨拶をお願いいたします。
 
○田村委員 この度、委員として国交連合より参りました田村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○小杉分科会長 ありがとうございます。今後、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは議事に入ります。議題1「第11次職業能力開発基本計画について」です。内容について、人材開発政策担当参事官より資料の説明をお願いいたします。
 
○篠崎人材開発政策担当参事官 人材開発政策担当参事官の篠崎です。資料1-1、資料1-2の関係でして、資料1-1の「第11次職業能力開発基本計画のたたき台(概要)」を中心に説明させていただきます。その他の資料は適宜、質疑の際に使いたいと思っております。
資料1-1の一番上の枠囲みの中にありますように、今年度で計画期間が切れる計画、これの次期計画のたたき台となります。直近では、新型コロナウイルス感染症の影響もありますが、もともとデジタル化の進展というものがありまして、そういった中で、労働市場の不確実性が高まっております。また、人生100年時代の到来において、労働者の職業人生自体も長期化しているという環境変化の中で、どういう能力開発の計画を立てていくかということでして、直近の狙いとしては、労働者が主体的に能力の向上やキャリア形成に取り組み、それを企業や国・都道府県等が支援する人材育成戦略という形で狙いを書かせていただいております。
第10次計画である現行の5か年計画においては、生産性向上ということを強調しておりました。当然、生産性向上も引き続き重要ですので、これに加えてコロナウイルスをきっかけとするデジタル化の加速化と人生100年時代に対応していくということを狙いとしたいと考えております。
左側に今後の方向性として、大きく4つの柱を記載しております。順番に御紹介しますと、1つ目が産業構造・社会環境の変化を踏まえた職業能力開発の推進です。第四次産業革命などのデジタル技術の進展を踏まえ、IT人材など時代のニーズに即した人材育成を強化するとともに、能力開発において新たな技術の活用を図るものです。2つ目が、労働者の自律的・主体的なキャリア形成の推進です。先ほど申し上げた労働市場の不確実性の高まりや、職業人生の長期化を踏まえていくものです。3つ目が、労働市場インフラの強化です。4つ目が、全員参加型社会の実現に向けた職業能力開発の推進です。
右側の関連施策を御紹介いたします。詳しくは資料1-2におきまして充実した記載をしていますが、ポイントとなるようなものを右側の薄い緑の枠の中に記載しましたので、こちらを中心に紹介させていただきます。
1つ目の柱、産業構造の変化を踏まえた関連施策についてです。1つ目のマルが、教育訓練給付におけるIT分野の講座充実に向けた関係府省の連携、公的職業訓練におけるIT活用スキル・ITリテラシー等の訓練を組み込んだ訓練コースの設定の推進です。IT化というのは、これまでも推進してきましたが、新しい技術、新しい利活用スキルというものがどんどん生まれておりますので、そういったものを公的職業訓練にも組み込んでいく努力が必要であろうということです。
2つ目のマル、オンラインによる公的職業訓練の普及、ものづくり分野の職業訓練におけるAR・VR技術等の新たな技術の導入に向けた検討です。オンラインによる訓練については、今年度、公的職業訓練においても同時双方向型の訓練を可能とするような省令改正もさせていただき、これから取り組んでいくところです。ただ、単にオンラインにするということではなくて、訓練の質が向上できるような取組も必要です。また、実技が多く、集合して訓練することのメリットもありますので、単にオンラインにするということではなく、集まっての訓練、オンラインの訓練という、それぞれのメリットをいかした形で質の向上に取り組む必要があります。そういったことは、まだこれからの取組ですが、そこを取り組んでいこうということです。AR・VR技術等の新たな技術の導入に向けた検討も、一部試行的に始めているものがあります。例えば、溶接技術においては、事前に映像を見ることによってイメージを持って訓練に入っていただくことにより、訓練の時間の短縮や質の向上が期待できます。そういったことを組み入れていくということに取り組んでいきたいと考えております。
3つ目のマル、企業・業界における人材育成の支援、中小企業等の生産性向上に向けたオーダーメイド型支援の実施です。職業訓練において、労働者が成長する場というのは、やはりOJTの部分が大きいと思いますし、これまでも企業・業界における人材育成に取り組まれておりますが、それは引き続き重要であろうということです。それから、中小企業の生産性向上に向けたというところですが、前回の5か年計画にあった生産性向上という流れの中で、平成29年からは独法の高障求機構(JEED)において、生産性向上に向けたオーダーメイド型の訓練を実施しております。ここでは、JEED自身でやるものだけではなく、場合によっては民間を活用し、中小企業の相談に乗りながら、ものづくり分野以外の生産管理といった管理職としての在り方なども含め、生産性向上につながる訓練をやっておりまして、これは引き続き取り組んでいく必要があると考えております。
2番目の大きな柱である労働者の自律的・主体的なキャリア形成の推進についてです。右側にマルが3つあります。1つ目のマルが、企業へのセルフ・キャリアドックの導入支援、夜間・休日、オンラインを含めた労働者個人がキャリアコンサルティングを利用しやすい環境整備という記載です。キャリアコンサルティングについては、これまでも推進してきたところですが、一方でキャリアコンサルティングにおいては、従来は対面が原則ということがあったと思います。もちろん、オンラインでやっているキャリコンの方もおられましたが、とちらかというと、やはり対面が重要であるという認識が強かったと考えております。コロナ禍において、オンラインでのキャリコンに取り組み始めている中で、オンラインでもできること、オンラインでしかできないことも分かり始めております。例えば、隙間時間しかない労働者であっても、オンラインであれば相談ができるというメリットもありますので、そういったメリットも取り入れながら、キャリアコンサルティングが推進されるようにしていきたいと考えております。
1つ目のマルの後段の部分、専門性の向上や専門家とのネットワークづくりの促進についてです。キャリアコンサルティングについては、職業紹介や転職といった需給調整の場面で使われることが多かったかもしれませんが、それと同時に、企業内でキャリアコンサルティングをしていくということ、セルフ・キャリアドックは正にそうですが、そういった企業内でのキャリコンをしていくに当たっては、それぞれの分野について専門性を持ったキャリコンも必要であろうと。また、全てを自分ですることはできませんので、様々な専門家とのネットワークを持っていることも大事であるということで、こういった記載をさせていただいております。
2つ目のマル、IT利活用等の企業横断的に求められる基礎的内容を中心とする動画の作成・公開、教育訓練給付制度の対象講座に関する情報へのアクセスの改善です。これからの社会においては、あらゆる労働者がIT利活用が必要だということがあります。そういう意味で、雇用者についてどういう素養を身に付けていくかといいうことですが、今、働いている方ですので、訓練の時間を確保するのもなかなか難しい部分があると思います。そういった中で、1つの手法として、誰でもアクセスできる無料の動画を作成・公開することによって、学びへのハードルを低くするということ、それから、誰もが持つべき基礎的素養は、それを学べばある程度分かるということも必要ではないかということです。我々もまだ取り組んでいるわけではありませんが、5か年の中でそういったことを実行していければと考えております。
無料の動画については、海外でもムークスという大学の無料講座があります。その日本版のようなものもありますので、様々な取組が始まっておりまして、それを職業教育、職業スキルの分野でも展開していくことが重要ではないかと思っております。それにより、繰り返しになりますが、学びへのハードルを低くするということです。それから、なかなか時間が取れないといった課題もありますが、そういった中で動画を活用することによって、隙間時間などもいかした学びができるのではないかということで、これまでの学びに加え、それを推進するための方策として掲げさせていただいております。
それから、情報へのアクセスの改善ということです。情報の周知といったアクセスは、これまでも取り組んできたつもりではありますが、周知の仕方にはまだまだ改善の余地があります。例えば文科行政との関係で、連携した周知ができているかということについては改善の余地があると考えています。例えば厚労省のサイトを見なくても厚労省側にアクセスできる、あるいは厚労省側に来たときに文科行政のほうへもアクセスできるといったことも、充実していく必要があると考えております。
3つ目のマル、教育訓練休暇や教育訓練短時間勤務制度の普及促進、社内公募制など、労働者の自発性等を重視した配置制度の普及促進です。労働者が学ぶためには、時間がないといった課題もあります。また、人事配置で異動している場合に、自らのキャリアを考えにくいということがありますので、例えば社内公募制あるいは労働者の自発性といったものを取り入れた形で意欲を喚起する、学びを喚起するような人事制度も必要ではないか、そういった工夫が必要ではないかということで書かせていただいております。
3つ目の柱、労働市場のインフラ強化についてはこれまでも取り組んできましたが、地域の訓練協議会などを通じてニーズをしっかり把握する、様々なツールを用いて情報発信をしていくことが必要であろうと考えております。
4つ目の柱、全員参加型社会の実現に向けた職業能力開発の推進では、マルを6つ書かせていただいております。企業での非正規雇用労働者の話、育児との両立の話、若者の話、高齢期の話、障害者の話、就職氷河期や外国人労働者の話を記載しております。どれも、それぞれの事情に応じた支援が必要であると思いますが、全ての労働者が少しずつでもキャリアアップできるようなことが必要ですので、特に支援の必要な方に対しては、この支援の必要性に応じた対策をしていく必要があると考えています。例えば、障害者の方についても、就職した後の在職者について、どういうスキルアップの支援をしていけばいいかということが課題だと考えております。そういったことについては、これから調査研究などをして、ニーズをつかみながらやっていきたいと考えております。就職をしていただく支援・定着までは当然重要ですが、それに加えて、在職中にどういう支援をしていくかということも必要です。特に、配慮を必要とする方への支援も意識しながらやっていきたいと考えています。
また、欄外の後段にありますが、御紹介した以外にも、新型コロナウイルス感染症の影響等により新たな施策が必要な場合には、本計画の趣旨等を踏まえて機動的に対応するようにしております。5か年計画ですので大きな方向性ということです。もちろん、その中で大きな方向性についても、何か変更する必要があれば機動的に対応するということが必要かと思い、そのような記載にしております。こちらはたたき台ですので、こういう視点が抜けているとか、こういう中でもこの辺が大事だろうといった御意見を頂ければ有り難いと考えております。事務局からの説明は以上です。
 
○小杉分科会長 ありがとうございました。こちらは画像が出ないようなので、そこは御了承ください。御説明の間に河本委員が御参加されたようです。河本委員、一度マイクをオンにして御発言いただけますか。
 
○河本委員 河本です。途中からなので、また意見があれば後で述べさせていただきます。
 
○小杉分科会長 分かりました。それでは、ただいまの人材開発政策担当参事官からの説明について、御質問、御意見がありましたら、ショートメッセージにより氏名と発言を希望する旨の御入力をお願いいたします。海老原委員から発言希望の旨のメッセージがありました。ほかにありますか。では、海老原委員からお願いしたいと思います。
 
○海老原委員 全体的に見て、やはり余り変わり映えもしないし、機能しないのではないかという気が、私はどうしてもしてしまうのです。まず、皆さんに聞きたいのですけれども、この中でそんなにIT技術を持っている人というのはいますか。WordでもExcelでもいいですから、こういう機能だから使っているという人はいますか。5年前と比べて、IT技術をすごく使うようになった人はいますか。官僚若しくは大学教授という相当レベルの高い人たちでも、5年前とそんなに変わらないIT技術しか持ってないと思うのです。
そういう、いわゆる技能系の話ばかりがいつも出てきます。技能系プラス箱物ですね。何かしらというと技能系プラス箱物の話が出てきますけれども、そもそもそこから脱却するという方向に向かったほうがいいのではないかと思います。
大きな柱で言いますけれども、もっとホワイトカラー系の職業訓練を充実させるということ、それから箱物を脱して民間活力、民間の力を使うという、この2つを大きな柱に是非挙げてほしいのです。なぜならば、フランスやドイツだと、ホワイトカラーなどはもう職業訓練では無理だから、企業実習が中心になっているわけなのです。企業実習でやれば簡単なのです。事務だの、営業だの、採用だのというホワイトカラーの仕事は、そんなに技能などなくても、慣れれば何とかできるようになるのです。なぜそこに壁があるかというと、金が掛かるからですよね。だから、もし本当に安いお金で、しかも雇用責任がなくて、その上、試行雇用のように難しいレポートも書かないで手軽に済むものだったら、民間は幾らでも雇うと思うのです。
フランスにはCFAという仕組みがあります。CFAだと最低賃金の53%で雇えるのです。最低賃金の53%で2年間雇えて、その後の雇用責任もないといったら、みんな使いませんか。使っているうちに仕事は覚えますよね。こういうかなり現代的な、非常にリーズナブルな仕組みがあるわけです。そのCFAが終わった人たちにアンケートを取ると、64.2%が「何の職業訓練も受けてない。単に使われただけだ」と言っているのです。しかしその後、雇用まで結び付いているのですよ。もうそろそろこのような仕組み、要するに民間活力を使って公的なものは一切使わないで、安く雇用責任なしに使わせるという仕組みに、職業訓練を変えるほうがいいと思うのですけれども、いかがですか。
 
○小杉分科会長 では、これについて事務局の篠崎参事官からお願いします。
 
○篠崎人材開発政策担当参事官 事務局の人材開発担当参事官の篠崎です。海老原委員からは海外の事例を紹介していただき、ありがとうございます。ホワイトカラー系で民間活用をするというのは、ごもっともだと思っております。ホワイトカラー系の訓練は、今も公共職業訓練でやっておりますが、これは委託訓練で、民間訓練機関を活用して推進しております。恐らく、海老原委員の御意見としては、施設内、民間教育訓練機関ではなくて、企業でやるべしということを御紹介いただいたと思っております。企業を活用したものというのは、企業実習型という企業実習を取り入れた日本版デュアルというものもありますが、数的に余り行われていません。それから、海老原委員の言われるように、完全に企業の研修だけというものも余りないかなと思っております。
一方で、我が国においては技能がない労働者でも、未経験者でも採用可ということがありますし、トライアル雇用というものもあります。一定の有期雇用の間に助成金を受けながら雇っていただいて、良ければ採用していただくというような仕組みもあります。そういった仕組みに加えて、更に雇用ではない形も必要ではないかという御提案かと受け止めました。ただ、どういうメニューにしていくかというのは、今後の議論かと感じたところです。事務局からは以上です。
 
○小杉分科会長 私も若干感想を述べさせていただきます。日本の新卒採用のような感じですね。新卒採用のない国で起こることの1つではないかという印象を持ちました。海老原委員、この件に関して更にコメントはありますか。
 
○海老原委員 試行雇用はすごくいいと思うのですけれども、これをもっと手軽にできるように。しかも、もっと長期間、更にもっと安くしてくれたらうまくいくと思うのです。実際に今、ジョブがないというので、どんどん別の所に送っている企業があるじゃないですか。給与の一部を持っている限り、受入先は結構あるわけですよ。
そういう方向でどんどんやってほしいと思っています。
 
○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは次の御質問ということで、上野委員、お願いいたします。
 
○上野委員 基幹労連の上野です。今後の方向性については、1つ目の四角囲いにあるとおり、第四次産業革命やSociety5.0などを踏まえますと、デジタル化への対応は当然求められるものと考えております。
そうした上で、具体的にどのような能力が求められているかを示していただくことで、必要な訓練も見えてくると思っております。また、この基本計画が足元の5か年を射程としていることは理解しておりますが、デジタル化へ対応できる能力を備えた人材が、いつまでにどれくらい必要なのか、そしてその人材を確保するために、どのような訓練を進めていくのかといった大きなロードマップも示していただきたいと思っております。今後の国における展開が見えることで、企業内での能力開発の方向性も検討できるので、是非お願いをいたします。以上です。
 
○小杉分科会長 篠崎参事官、お願いします。
 
○篠崎人材開発政策担当参事官 人材開発政策担当参事官の篠崎です。今の御指摘のように、どういう技能がどれくらい必要かということを見据えながらやっていくというのは、非常に大事だと思っております。一方で、なかなか見えてこない部分があるのも実態です。現在のところ「IT白書」というようなものを、経済産業省の独法で作成しておりまして、そういったものの中で、どういうスキルを持った人材が足りないかといったことをある程度は示しておりますが、今後も御指摘のような人材像、必要不足数を勘案しながら職業訓練をしていくことは重要だと受け止めております。以上です。
 
○小杉分科会長 よろしいでしょうか。
 
○上野委員 はい。ありがとうございます。
 
○小杉分科会長 それでは次に、早川委員、お願いいたします。
 
○早川委員 早川です。私からはいささか細かい話になってしまうので恐縮ですが、計画のたたき台の8ページにある、技能検定職業能力評価や日本版O-NETの推進について発言させていただきます。アメリカ合衆国には、O-NETのOとNの間の「-」を「*」でつなぐ表記で、O*NETというサイトがあって、これとの比較で申し上げます。ちょっと厳しい言い方になりますが、日本版O-NETをもっと充実させていただきたいという観点から発言させていただきます。
アメリカのO*NETで、例えば「配管工」と検索しますと、どういう配管なのかということも併せて、ものすごくたくさんのデータが出てきます。しかも、そこに処遇が載っていて、グラフで分かるようになっています。どれくらいの経歴であればどれくらいのお金がもらえるかといったことが、例えば州とかその地方の郵便番号で検索すると、そこでの相場、平均的な賃金まで分かるのです。それに対して、自分が求職したければ、そこから別のキャリアワンストップというサイトに入って、求人情報を見て自分が求職することができるまでになっています。
これは、アメリカが外部市場が割に確立していて、ジョブディスクリプションもしっかりしている国であるというのが、一方の背景にあるとは思うのですけれども、こういったものと比べると、日本版O-NETは実務的に使えるレベルには、残念ながらまだ達してないのではないでしょうか。
いい点を言うと、動画などが載っていて、子供たちやこれから社会に出ていく人たちが勉強するには向いています。しかし、給料などについても、載っているものと載ってないものがあるし、私が見たときには普通よりちょっと高く載っているのではないかと思うものもありました。そうした賃金額の数字が一つの職業に1個しか載っていなくて、グラフなどになってないのです。年齢層についても、どの年齢層の人の処遇なのかも分からないのです。もっと実務的に使えるように、更にそこから厚生労働省の他のシステムにつないで、求職したい人と求人する人のマッチングができるようなものに仕上げていっていただきたいということです。これからは外部市場で、特にコロナの中で失業を余儀なくされた人が、転職できるような形にしていかなくてはいけないと思うのですが、そういったものに日本版O-NETが役立つように、これから充実していっていただきたいと思います。
また、収録されている職業もすごく足りないと思います。これは言っていいのかあれですが、「労働基準監督官」で検索しても出てきません。もっとたくさんの職業が、日本版O-NETの中にデータとして入ってくるように期待しています。
もう1つは、このたたき台のポンチ絵の中に「外国人労働者などの特別な支援を要する方への支援」と書いてあるのですが、計画のたたき台の本文の中には出てきていないのです。具体化するとどのようなものが挙げられるか、もしイメージがありましたら教えてください。以上です。
 
○小杉分科会長 2点ですね。篠崎参事官、お願いいたします。
 
○篠崎人材開発政策担当参事官 政策担当参事官の篠崎です。1つ目として、O-NETの充実についての御意見がありました。日本版O-NETについては、本年度から運用を開始したところなので、500職種からスタートしたと考えております。御指摘のとおり、どの程度まで詳しく書いてあるかとか、他との連携というものが課題だと思っておりますので、今後徐々に充実させていくべきものだと考えております。
2つ目、計画の中での外国人労働者の在り方です。具体的施策が、まだ書き込めてなかったと思います。課題だけで具体的施策がないという御指摘だと思いますので、今後工夫をさせていただきたいと思っております。今、考えているのは、例えば外国人留学生が就職するときに、正に日本的雇用慣行の狭間で就活から悩んでしまうとか、入った後のキャリア形成についても、予想しているものと違うので、日本人なら暗黙知で説明しなくてもいいものを、説明しないと余りにも違って離職につながってしまうという課題がありますから、例えば外国人留学生に対しては、日本ではどういうキャリア形成が行われているかといったすり合わせをするような取組が考えられるのではないかと思っております。以上です。
 
○小杉分科会長 ありがとうございました。早川委員、よろしいでしょうか。
 
○早川委員 はい。私としては、加えて特定技能ですね。技能検定3級レベルということですけれども、業界ごとに試験をしていることがありますので、そういった形で仕事を始めた人が、今後どのようにキャリア形成されていくのかも、特別な支援として加えておいていただきたいと思います。
 
○小杉分科会長 そのことは、参事官、お受け止めください。それでは、次の発言希望の小松委員、お願いいたします。
 
○小松委員 ありがとうございます。小松です。まず、たたき台につきましては、デジタル技術の進展を踏まえたIT活用スキルの向上や、中小企業の生産性向上に向けたオーダーメイド型支援の実施など、時宜を得た内容であると思います。ただ、ITにつきましては、インフラを構築する技術とかサービスを提供する側のスキルと、実際に活用するスキルというのは全く違うものになると思いますので、そこは分けて教育訓練も計画していったほうがいいと思います。
離職者訓練に加えて、雇用の7割を占める中小企業の人材育成に向けた在職訓練の強化のほうもお願いしたいと思います。その際、会社から勤務時間外での教育訓練を実行させる場合、それは労働時間になってしまうため、できればオーダーメイドで勤務時間内に教育するとか、オンラインやビデオを活用しながら、労働時間内でのプログラムの推進をお願いしたいと思います。
それから、コロナの影響によって雇用調整は予断を許さない状況になっているため、失業なき労働移動を円滑に進めていく必要があるので、そのための職業能力開発に関する政策も強化していただきたいと思います。
最後、当社はものづくり企業ですけれども、ものづくりもどんどんデジタル化しています。技術を承継するためには熟練した技術も同時に承継していくことが大事ですので、14ページにも技能承継の促進が盛り込まれていますが、そこも具体的、積極的に実施していただきたいと思っています。以上です。
 
○小杉分科会長 ありがとうございました。4件のコメントがございました。篠崎参事官、いかがでしょうか。
 
○篠崎人材開発政策担当参事官 政策担当参事官の篠崎です。幾つか御意見を頂きましたが、1つ目のインフラを作る技術と利活用する技術は違うのではないかという御指摘は、もっともだと思います。日本におきましては、一定の技術を持っても、その企業内でカスタマイズする部分がございますし、開発するというところまでいかなくても、使う側が中小企業を中心に大事だということかと思いますので、その上で、国が支援できるのはどこかということを考えながらやりたいと思います。例えばですが、在職者訓練の全てに対応した訓練を国が直接やるというのはなかなか難しいので、企業が行う取組を助成金等で支援する。一方で、利活用スキルとか、ある程度汎用性のあるものは、国の離職者訓練であるとか在職者訓練の中でもメニューを用意することができるかもしれないと考えています。
それから、オーダーメイド型訓練で勤務時間内にという御指摘でしたが、今でも独法のJEEDが対応させていただくときには、事業主の皆様の御都合をお聞きしながら訓練の設定をしています。その中で、業務命令でということであれば、当然時間内でということが結構多いと聞いています。ただ、場合によっては、現場が稼働しているので定時以外に設定し、業務として夜間やるケースがあると聞いていますが、日中でも事業主様と御相談しながら設定することは進めていますので、引き続きそういう取組をしていきたいと考えています。以上です。
 
○小杉分科会長 ありがとうございました。小松委員、よろしいでしょうか。
 
○小松委員 ありがとうございます。
 
○小杉分科会長 次に、熊野委員、お願いいたします。
 
○熊野委員 発言をお許しいただきありがとうございます。私からは、今後の方向性の2つ目、労働者の自律的・主体的なキャリア形成の推進について意見を言わせていただきたいと思います。
労働者が自ら能力開発、キャリア形成をしたいと思ったときに、支援があるということは必要だと思っています。ただ、クラウドワーカーなど様々な働き方がある中、労働者の能力開発に関する事業主の責任というものが、うやむやになってしまわないかということを懸念しています。もちろん、失業したときの訓練も重要ですが、失業する前の在職者訓練がやはり重要であると考えています。資料には、労働者の自律的・主体的なと記載されていますが、労働者が勝手に努力すればいいというふうにならないようにしていただきたいと思っています。発言は以上です。
 
○小杉分科会長 ありがとうございます。篠崎参事官、お願いします。
 
○篠崎人材開発政策担当参事官 政策担当参事官の篠崎です。御指摘のとおり、たたき台の本体の中には、例えば4ページですが、企業・業界における人材育成の強化という記載の中で、「人材育成においては引き続き企業の役割が大きく」と記載しています。また、御指摘の労働者の自律的・主体的なキャリア形成ということは、今回大きな柱としては書いていますが、労働者それぞれがキャリアアップしていくことは企業にとっても必要ですので、労働者がキャリアアップする際には、企業の働き掛けによる労働者個々人のキャリアアップ、その際に、プラスアルファして労働者が自分で考える部分もあるだろうと考えています。そういう意味では、お互いに企業任せにしない、労働者任せにしない、双方が取り組んでいく必要があり、双方の意識、方向性が一致したときに、より学びが身に付き、実のあるものになるのではないかと考えています。御指摘には十分注意しながら取りまとめをしたいと考えています。以上です。
 
○小杉分科会長 ありがとうございました。熊野委員、いかがですか。
 
○熊野委員 ありがとうございます。
 
○小杉分科会長 ここに関連して、私からも少しだけ発言させてください。私も、「自律的・主体的」というので、今の書きぶりですと、労働者のほうを全面に出し過ぎているという感じがいたしました。特に、4ページの記述の中で、「時代のニーズに即したリスクリング」という所の、「時代のニーズ」という言葉に若干引っ掛かっています。むしろ、ここのニーズというのは、産業界あるいは企業、更に言えば職能団体等のほうが、そのニーズというのをより早くつかむわけで、そうしたものを踏まえながらということで、労働者が個人として時代のニーズそのものをつかむということは、なかなか厳しいものがございますから、この辺の書きぶりは、どうやって必要な……を探すのかということで、もうちょっと現実的なところを書いていただくといいと思いました。すみません、勝手に発言いたしました。それでは、次に松浦委員、お願いします。
 
○松浦委員 UAゼンセンの松浦です。御指名ありがとうございます。1点だけ、中高年の方の職業能力開発についてです。資料1のたたき台の13ページに記載していただいていますとおり、70歳までの就業機会の確保も制度化されて、職業人生が延びていく中で、今後、中高年の方の職業能力開発が更に重要になってくると考えています。たたき台の関連施策としては、キャリアコンサルティング機会の提供とか事業主への助成金などの記載がございます。これに加えまして、そもそも中高年の方の能力開発への意欲を考えますと、内閣府が実施している生涯学習に関する世論調査を見ますと、若い方に比べて年齢が上がるごとに、今後も学習したいとは思わないという方の割合が増えています。ですから、たたき台に記載されている施策と併せまして、中高年の方の能力開発の意欲を更にかき立てるような支援や広報なども必要ではないかと思いますので、よろしくお願い申し上げます。以上です。
 
○小杉分科会長 ありがとうございました。篠崎参事官、お願いします。
 
○篠崎人材開発政策担当参事官 政策担当参事官の篠崎です。御指摘のとおり、年齢が上がるに従って学ぶ意欲が下がるという調査があるのも承知しております。そういった中で、当然キャリアコンサルティングとか離職したときの訓練を考えることは重要ですし、御指摘のような大人の学びを推進していく気運を作っていくことも大事だと思っています。今、具体的な施策についてお答えできませんが、受け止めさせていただきたいと思います。以上です。
 
○小杉分科会長 ありがとうございます。残り時間が少なくなってまいりましたので、御発言に対する御回答はまとめてさせていただきたいと思います。続きまして、田村委員、お願いいたします。
 
○田村委員 国公連合の田村です。発言の機会を頂きましてありがとうございます。私のほうからは、資料1-1の下段にあります就職氷河期世代や外国人労働者の支援についてです。就職氷河期世代については格差が生じているということで、現在3年間の集中取組期間として支援プログラムが実施されていることは承知しているところです。たたき台にも施策のほうは記載されていますけれども、新型コロナウイルスによる影響なども考えられるのかなということで、より実効性を持った支援を行っていただきたいと思っているところです。
もう1点、外国人労働者の支援については、令和元年度の賃金構造基本統計調査を見ると、外国人労働者の賃金は約22万円で、一般労働者の約30万円に比べて低水準になっているといったところです。就職するに当たっても、また就職してからも、言語などに配慮した能力開発の支援が必要ではないかと考えられます。資料1-2のたたき台の14ページに記載されている「その特性に応じた支援」ということで、具体案がありましたら教えていただきたいと思います。以上です。
 
○小杉分科会長 ありがとうございました。続きまして、小倉委員、お願いいたします。
 
○小倉委員 全建総連の小倉でございます。ただいま御説明いただきました第11次能開計画のたたき台につきまして、基本的な方向性についてはおおむね妥当ではないかと考えております。今後、素案等が提示されるということになろうかと思いますが、そこに向けての観点で資料1-2について5点、意見を申し述べさせていただきたいと思います。
まず、全体を通じて、JEED、高障求機構に対する記載は非常に多いわけですが、例えばJAVADA、中央能開協会については一切記載されていません。JEEDは独法ということもあろうかと思いますが、少なくともJAVADAにつきましてはキャリア形成、技能の振興、企業における人材育成の支援など、厚生労働行政とも密接な関係がある重要な団体であると理解しています。入札等によって業務委託をしている実態であることは承知していますけれども、次期計画において、これまでの施策に対する実績等も踏まえ、一定の記載をしてもいいのではないかということです。
もう1つ、職業訓練についてです。これも全体を通じて、公共職業訓練についてかなり多くの記載がされていますが、職業訓練は公共職業訓練だけではなく、認定職業訓練もありまして、認定も重要な柱になっていると認識しています。認定職業訓練の修了者につきましては、技能検定を受検する場合又は職業訓練指導員が免許を取得する際に、有利に取り扱われるといったこともございますので、認定訓練に対する位置付けや役割、支援の必要性等について丁寧に記載するべきではないかと思っています。
続いて、個別課題です。8ページの(3)技能検定ですが、一部の都県において受検者を制限する制限職種というのが生じています。これは試験会場や技能検定委員の確保などを理由として行われているものですが、受検したくても受検できないということは、キャリア形成、受検機会の公平性の観点から問題であると認識しています。自治事務ということではありますが、その課題解消に向けた方策等について一定の言及ができないかということです。
14ページの下段、5の技能継承の促進の項になります。技能五輪全国大会や国際大会については記載されていますが、10次計画同様、技能グランプリに対しては触れられていないようです。各種技能競技大会の周知が課題となっていると承知していますが、技能五輪同様、技能尊重気運の醸成に資することを目的に開催されているわけですから、技能グランプリについても記載をしていってもいいのではないかということです。
最後になりますが、先ほど他の委員からも発言がありましたけれども、2019年度から開始された新たな在留資格、特定技能外国人についてです。特定技能1号、2号においてはそれぞれ適切な技能水準が求められることになっていて、一部の業種、職種については技能検定の実技課題が技能評価試験として活用されていることは承知しています。能力開発分野とも連動する部分があると思いますので、そういった視点での記載があってもいいのではないかと思っています。以上、5点について発言させていただきました。
 
○小杉分科会長 ありがとうございました。数が多かったので、篠崎参事官、お願いいたします。
 
○篠崎人材開発政策担当参事官 政策担当参事官の篠崎です。全体として御指摘を踏まえて次の御提示ができるようにしたいと思っていますが、幾つかコメントさせていただきます。就職氷河期世代支援につきましては、おっしゃるとおりコロナ禍を踏まえた課題等も出てくると思いますが、また別途、政府全体で取組をしていまして、そちらのほうでも政府としての行動計画というものがございますので、記載ぶりと量としてはこちらでは限られたものになりますが、そういった取組はしっかりしていきたいと考えています。
外国人の関係です。先ほど、留学生の雇用管理の話を御紹介しましたが、そのほかに現在でも日本語教育の配慮が必要な方向けには、都道府県が実施する委託訓練の中で、日本語が苦手な方について配慮した外国人向けのコースも設定できるようになっていますから、引き続きそういった特別な配慮を必要とするコースも使いながら、職業訓練、スキルアップをしていただきたいと考えています。
それから、例えばJAVADAについて記載できないかとか、認定職業訓練の話がございました。訓練におきましては個別事業主だけでなく、おっしゃるとおり業界団体、職能団体の取組も大変重要だと考えています。この計画はいろいろなものを書いていますので、どの程度の分量にするか等はございますが、御指摘、御提案も踏まえてどのような書きぶりができるか検討したいと考えています。以上です。
 
○小杉分科会長 ありがとうございました。お待たせしました。橋本委員、お願いいたします。
 
○橋本委員 橋本です。よろしくお願いいたします。デジタル化が進む中で、長く職業生活を送るために継続職業訓練の重要性が高まっていることについて広く認識は一致していると思います。私が研究しているドイツでも、従来は失業者や職業資格のない者に限定されていたようなのですが、2019年に継続職業訓練の支援措置が雇用保険の受給者一般に対して広げられ、更に2020年度に拡充されました。その支援措置の内容は、事業所外の120時間以上の継続職業訓練措置に参加した場合に、事業所規模に応じて訓練費用と賃金助成を行うというものです。
この法改正の結果がどうなっているかといいますと、継続職業訓練への参加者は増えたものの、参加者の属性は従来と余り変わっておらず、職業資格のない者が多いと言われています。働いている労働者に対して、使用者が継続職業訓練に参加を促すことがなかなかできていないことが言われているようです。そのために、今以上に賃金の支援策を強化すべきではないかということが提案されています。
日本の場合、被保険者一般に対する教育訓練の助成としては、教育訓練給付というものが既に長年行われており、ドイツよりも成功しているのではないかと思います。ただ、教育訓練給付は教育訓練支援給付金という制度もございますが、基本的には訓練費用の助成だと理解しています。働きながら労働者が資格を向上できるように賃金助成など、何らかの働きながら資格を向上させるという支援措置というのも、今後強化していただければと思います。以上です。
 
○小杉分科会長 ありがとうございました。武石委員、お願いいたします。
 
○武石委員 ありがとうございます。簡単に3点だけ申し上げたいと思います。1つは、今回、労働者の自律的・主体的なキャリアというのを非常に大きく取り上げたというのは、今後の方向性を踏まえると、私は非常に適切な対応ではないかと思います。ただし、先ほども御意見が出ていましたように、これまで自律ということとはかなり距離感があるところでキャリア形成をしてきた人たちに、いきなり自律とか主体性というのは厳しいものがあるので、周囲のいろいろなサポートが必要ということは丁寧に書いていただきながら、将来の方向性としての自律的・主体的なキャリア形成というのを打ち出していくのが、一般に受け入れられるのではないかと思います。その辺の丁寧な書きぶりをお願いしたいというのが1点です。
それから、自律性ということでいうと、労働者個人が取り組むということでオンラインで無料で学べる環境の整備という施策がありますが、こういう施策は個々人あるいは企業に届いていかないという問題があります。10ページに情報発信の強化という所がありますが、すごく重要なことだと思いますので、これまでの延長ではなく、より一層、何か新しい機軸を出していく必要があるのではないかというのが2点目です。
3点目、これは先ほど少し御意見も出ましたが、今回のこの5か年というのは新型コロナの影響が非常に強く残っていく5年になる、少なくとも前半はそういう形になっていくと思います。ということで言うと、最後の「全員参加型の社会に向けた」ということで、新型コロナという言葉が出ていないと思いますが、取り分け若年とか特別な支援を要するという辺りにコロナの影響が相当に出てくると思います。今年は新卒の就職も非常に厳しくなっていて、その影響が来年以降残っていくと思いますので、ここは新型コロナ感染の影響を意識した対策をきちんと書くべきではないかと思いました。以上です。
 
○小杉分科会長 ありがとうございました。参事官、よろしくお願いします。
 
○篠崎人材開発政策担当参事官 政策担当参事官の篠崎です。御指摘の中で、働きながら学ぶことへの支援が大事だという御意見を頂きました。海外の事例の紹介もありがとうございます。
その上で、現状だけ御説明いたしますと、自発的な学びに対する支援の教育訓練給付もございますが、企業が業務命令で従業員を学ばせるときには、人材開発支援助成金というものがございます。これは勤務時間中に学ぶということです。その中で費用の補助、それから全てではございませんが、賃金補助というものもございますので、企業が送り出しにくい部分を緩和する措置は助成金で仕組んでいますが、まだまだ知られていない部分もございますので、周知も含めて取り組んでいきたいと思っています。
周知の話は武石委員からございましたが、全員参加型のところでコロナの影響への配慮も分かるように書くべきという御意見でしたので、指摘を踏まえて検討したいと思っています。
1点、情報発信について申し上げますと、役所の情報発信についてまだまだ課題があると思っていますし、費用を掛けずに周知する方法等も最近はいろいろございます。我々としてもハロトレという愛称を付けたり、いろいろな形で若者が触れやすいようにしていましたが、情報機器が発達した中、そういった情報機器で接点が得られやすいものということを考えています。遅れがあるという認識はございますし、抜本的にという御指摘もございましたので、今後の課題にさせていただきたいと思っています。以上です。
 
○小杉分科会長 ありがとうございました。お待たせいたしました。池田委員、お願いいたします。
 
○池田委員 経団連の池田でございます。ありがとうございます。聞こえていますでしょうか。
 
○小杉分科会長 はい、大丈夫です。
 
○池田委員 基本計画のたたき台に記載されているとおり、今日的な課題として今回盛り込まれた労働者の自律的・主体的キャリア形成をはじめ、これまで以上に労働者の職業能力開発や人材育成の重要性が高まっていると考えています。その背景としては、人生100年時代にあって、働き手のキャリアがますます多様で複線的なものになっていること、長期にわたる就労を考慮すれば、働き手の学び直しは不可欠だと思っています。また、成長産業への円滑な労働移動といったことも視野に入れた場合には、リカレント教育や職業訓練を一層充実させていくことが欠かせないと考えています。今回、お示しいただいた、たたき台の大きな方向性としては賛同いたしますが、その上で質問と幾つか意見を申し上げたいと思います。
1点目、質問です。たたき台では、支援を強化すべき施策のメニューがたくさん列記されています。一方で、コロナ禍の下で雇調金が大変活用され、雇用安定資金の財源が実質的に枯渇化している状況です。この第11次職業能力開発基本計画は、残念ながらというか不幸なことに、既存の二事業財源が極めて乏しい中で展開していかなければいけないと認識しています。この点について、厚労省として財源問題をどのように考えておられるのかを、まず御質問させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
○小杉分科会長 お願いします。
 
○篠崎人材開発政策担当参事官 政策担当参事官の篠崎です。御指摘のとおり、雇用保険二事業につきましては厳しい財政状況にありますし、今後5か年につきましては、そういった環境の中で施策展開するという制約があるものと考えています。現在でも、例えばコロナ禍でありましたら短期の離職者訓練にシフトするということで、1年、2年の長期訓練も選択肢として大事ですが、そういった中で短期の離職者訓練の財源の確保を優先的にするといった形でやっています。
今後は優先度を考えながらということですので、就職率を中心に訓練の効果を見ていますが、そういった効果を見ながら配分を考えたいと思っています。それから、新しい施策で御提示した動画の話、無料動画ということもありますが、あらゆるものを総花的にやっていくことが難しいことは承知していますので、重点的に取組を考えるようにしたいと思っています。以上です。
 
○小杉分科会長 ありがとうございました。池田委員、続けてお願いいたします。
 
○池田委員 ありがとうございます。人材育成の重要性が高まっている中で財源がないというのは大変厳しい状況ですが、優先化、重点化を是非お願いしたいと思います。その一環としまして、人材育成、リカレント教育の重要性が高まっていることで、文科省や経産省など他省庁もいろいろ手掛けているかと思います。関係省庁との連携も意識して縦割りを是正し、政府として無駄のない効率的な取組をお願いしたいと考えます。
細かな点ですが、最近、学び直しの必要性の中でリカレント教育という言葉が使われていますけれども、このたたき台においては、「リカレント教育」という言葉が全く使われていません。キャリアアップ、キャリアチェンジに資する教育と捉えればいいのではないかと考えています。
もう1つ、細かな点で恐縮ですが、2ページの一番下から3ページの上にかけて、「人材開発支援助成金において訓練経費をより高率で助成する」とあります。基本計画に高率でとまで書くのか、重点化するといった表現でよいのではないかと思いました。
2点目で、今の二事業財源枯渇化にも関連しますけれども、複線型の雇用社会を見据えていけば、当然これまでの企業内の人材育成の取組も重要ですが、加えて、働き手の自律的なキャリア形成を促していく観点からは、例えば政府として一般財源等を投入して個々人への支援を強化するといったような新たな支援、財源の在り方も検討していく必要があるのではないかと考えます。
3点目です。10ページ等にジョブ・カードの活用の促進と書かれていますが、確か今年度を目標年限としたジョブ・カードの普及・活用目標を達成できていないのではと認識しています。このため、ジョブ・カードの活用に関する検証を行うといったような文言があってもいいのではないかと考えます。
最後は細かい点で恐縮ですが、1ページ目や2ページ目に「第四次産業革命」という言葉がありますけれども、私の認識では、最近は政府の文書では余り「第四次産業革命」という言葉は使われておらず、「Society5.0」という言葉が使われているかと思います。例えば、「Society5.0の実現に向けてIoT等の技術革新が進展している」といった表現に修正してはどうかと考えます。私からは以上です。よろしくお願いいたします。
 
○小杉分科会長 ありがとうございました。それでは、篠崎参事官、お願いいたします。
 
○篠崎人材開発政策担当参事官 政策担当参事官の篠崎です。御指摘全体を踏まえて次の案の検討に資させていただきたいと思いますが、ちょっとコメントさせていただきますと、人材開発助成金の中で「高率」というのは、来年度、IT分野の専門性の高い部分については、幾つか助成率がありますけれども、高いほうにするということを予定していますのでそういう書き方をしています。ただ、5か年計画の中でどう書くかということは、先ほどいろいろ御指摘いただいた用語の使い方も含めて、全体を整理する中で検討したいと思っています。ジョブ・カードの書きぶりも含めて、記載ぶりは検討させていただきたいと思っています。
それから、財源論のお話がございました。施策の展開と別に、政府としてどういう財源を確保していくかということは、政府側の検討するべきことでもございます。一方で、雇用関係につきましては、厚生労働省で措置する部分が多いという経過もございますので、その歴史的な経過の中で、どういう財源を確保していくかというのは検討したいと思います。
一方、我々だけでなく、御指摘のあったように経済産業省、文科省とも連携した形でいろいろな訓練コースの開発もやっていますし、経済産業省とか他省庁でも、人材育成、デジタル人材の育成に関わっている部分もございますので、我々だけでなく、正に政府一丸となってやる中で、それぞれの省庁でも施策を出していただきながら、人材育成について推進していきたいと考えています。以上です。
 
○小杉分科会長 ありがとうございました。ほかはございませんか。
 
○池田委員 ありがとうございました。
 
○小杉分科会長 ありがとうございました。最後に1点だけですが、他省庁との連携という意味は、情報発信の意味でも非常に使えると思います。かなり安価に情報発信ができるので、是非連携は進めていただきたいところです。以上で、この議題は終わらせていただきますが、よろしいでしょうか。特に発言のコメントはないようですので、ここまでとさせていただきます。
続きまして、議題2「新たな青少年雇用対策基本方針及び事業主等指針について」です。内容について、若年者キャリア形成支援担当参事官室より資料の説明をお願いいたします。
 
○河嶋若年者・キャリア形成支援担当参事官 若年者・キャリア形成支援担当参事官の河嶋から、議題2について御説明いたします。資料は2-1から2-4までですが、まず、新たな青少年雇用対策基本方針について、資料2-1のたたき台概要を基に御説明いたします。
この青少年雇用対策基本方針ですが、これは平成27年に改正されてできている青少年の雇用の促進等に関する法律に基づいて、青少年の適職の選択、職業能力の開発と向上に関する施策の基本となるものを方針という形で定めたものになります。この基本方針は運営期間が定められていて、平成28年度から5年間が運営期間となっていまして、今年度末をもって運営期間が終了するので、新たな運営期間に向けて新たな基本方針を策定する必要があるということで、今回、人材開発分科会にお諮りするものです。
改正理由ですが、昨年9月から今年の10月にかけて、有識者7人からなる「今後の若年者雇用に関する研究会」が開催されていまして、取りまとめられた報告書については、前回の分科会で私から概要は説明しているのですが、その中で「キャリア自律に向けた支援」というものを今後の若年者雇用施策の柱の1つとして位置付けて、下にあるように、特に入職後早期を念頭に、キャリアコンサルティング等を通じて、若者がキャリア自律によって、長期的・安定的に職業人生をより豊かにし、その持てる能力を社会において有効に発揮できるように支援していくべきということと、一方で、新卒者は社会経験が不足していて、自分だけでキャリア自律を行うことが困難であることが多いということで、キャリアコンサルティングを身近に受けられる社会インフラを整備するといった、自律したキャリアを歩めるようにサポートしていくことも必要ということが盛り込まれたことを受けて、今般、青少年雇用対策基本方針を見渡してみて、資料2-2にたたき台を付けていますが、この5年間を受けて事業内容の見直しとか、そういうリニューアルはやっているのですが、それに加えて特にということでいうと、下の主な改正箇所にある大きく2点について、今回記載を盛り込み、改正することにしたいと考えています。
主な改正箇所の左側の枠にある1点目ですが、就職後の職場適応・職場定着のための支援です。職場定着をしていくということもありますが、そちらよりも早期に離職するほうが、かえって若者自身のキャリア自律につながるという方もいらっしゃるので、上の赤文字ですが、職場定着の場合だけではなくて、早期に離転職する場合のいずれであっても、長期的・安定的に職業人生を歩めることが大切であるということから、1つ目として職場情報・職業情報の見える化の促進、2つ目として入職後早期におけるキャリアコンサルティングの実施、そして3つ目は早期に離転職される方を念頭に置いていますが、新卒応援ハローワーク、新卒者だけではなくて早期に離職された既卒者も含めて支援しているのですが、ここで職業相談を実施していくといったような、この3点で青少年のキャリア自律に向けた支援を行うという記述を盛り込みたいと考えています。
大きく2点目ですが、職業人生を通じたキャリア形成支援という枠です。こちらは青少年のほうでも主体的なキャリア形成を促進していく必要があるということから、今年度から全国各地、合計37か所に支援拠点を整備したキャリア形成サポートセンター、あるいはオンラインの活用といったことで、キャリアコンサルティングをより身近に受けられるような環境を整備していくことと、企業の中で定期的にキャリアコンサルティングを受けられるような仕組み、セルフ・キャリアドックですが、こちらを導入していくことによって、キャリア形成の支援の機会の拡充に努めていくという内容を盛り込みたいと思っています。具体的な規定ぶりについては、資料2-2に付けているとおりです。
あと、もう1つ、事業主指針と掲げていますが、資料2-3の概要と資料2-4にたたき台の本文も付けています。資料2-3を使って説明させていただければと思います。
この正式な名前は、ここにあるような長いものなのですが、これも青少年の雇用の促進等に関する法律に基づいて定められたものです。この事業主指針については、基本方針とか基本計画のような計画期間とか運営期間は設けられていないのですが、必要に応じて随時改正を行っているものです。ですので、いつ改正するというのは特にないのですが、この青少年の法律ができてからの5年間を受けて、青少年の雇用機会の確保あるいは職場への定着ということに関しての指針ですが、その関連で問題となった事案がありましたので、留意事項について下に4点の記載がありますが、これを新たに盛り込む改正をしたいと考えています。
主な改正箇所として4つの箱があります。1つ目は、リクナビ問題を受けてということで、募集情報等提供事業者、リクナビとかマイナビとか、そういうサイトを運営する主体ですが、そこの個人情報管理ということで書かせていただいています。募集者等は、その業務の目的の範囲内で青少年の個人情報を収集するという話と、その個人情報を収集する際には本人から直接収集する、あるいは本人の同意の下で本人以外の者から収集するといった形で、適法かつ公正な手段によらなければいけないということを書いています。
2点目は、公平・公正な就職機会の提供です。これは、ちょっと前にあったオワハラとか言われていましたが、企業が若者に対して内々定を出す代わりに、ほかの会社に就職活動をするのをやめるように強要したりすることが、若者にとって職業選択の自由を妨げる行為になると、あるいは青少年の意思に反して就職活動の終了を強要するというのはハラスメント的な行為、オワハラという話ですが、それに当たるということで、そういう行為は青少年に対する公平・公正な就職機会の提供の観点から行わないようにという内容になっています。
3点目は、ハラスメント問題への対応ということです。これは、事業主は職場におけるパワーハラスメント等の防止のための雇用管理上の措置を講ずることということで、ここの「パワーハラスメント等」というのは、資料2-4にも書いているのですが、法律に基づいて、それぞれのハラスメントに関する指針があるのですが、4つありまして、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタハラ、育児休業等の際のハラスメント、この4つについて法律で指針が別途定められているので、それを青少年向けの事業者用の指針にも入れようということで、念頭に置いているのは4つのハラスメントになります。「その際には」ということで、職場におけるこうした4つのハラスメントに起因する問題に対するその雇用する青少年の関心と理解を深めるとともに、その青少年が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うように、研修の実施など必要な配慮等に努めることといった内容を書いています。
4つ目、入社辞退等勧奨の防止対策です。これはちょっと前に、東京新聞の一面にも載っていたのですが、東京新聞の記事上は「サイレント内定取消」と書いていましたが、採用内定によって労働契約が成立したと認められる新卒予定者に、入社辞退を勧奨する、事実上強要するというような場合、勧奨を受けた者の自由な意思決定を妨げることになり、それは違法な権利侵害に当たるとされる場合があるので、違法な権利侵害に当たると無効になりますよと、そういうことは駄目ですよということで、そういうことに留意してくださいという形で書いています。具体的なことは資料2-4に付けているとおりです。
以上の2点について、記述内容とか、このようなことを加えたらどうかということを、皆さんから御意見を頂ければと思います。よろしくお願いします。
 
○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの説明に対する御質問、御意見がございましたら、ショートメッセージに氏名と発言を希望する旨の記入をよろしくお願いいたします。海老原委員から発言の希望がございました。続けて、仁平委員、小松委員です。まず、海老原委員からお願いいたします。
 
○海老原委員 これは職業安定部会と絡むことだと思うのですが、リクナビ事件は私も本当に近場で見ていて、腹が立つぐらいひどいことだと思っています。職業安定法は3年前に改正されましたし、マイナビとかリクナビとか、こういうような就職ナビというものを許認可制とか免許制にまで持っていけないかという話なのです。こういうのは間違ったことをやったことには、例えば返した内容が間違っていただとか、若しくは悪いことをしたとか、こういうときには免許取消しと、ここまでやったらどうかと思います。
更にこの件を発展させると何がいいかというと、就職協定が過去70年間守られなかった理由は、罰則がないし取締法がなかったからなのです。今の大学生というのは、ほとんど就職ナビを使っているわけです。つまり、就職ナビを締めてしまえば、足並みはそろえられるのです。今、そろえられていない理由というのは、3月1日に就職広報が解禁になるのですが、これの足並みがそろわないのは、2月とか1月にインターンシップの名を借りてのインターンシップ募集が抜け穴になっているのです。こういうことなどもしっかり取り締まったほうがいいと思うのです。
リクナビ、マイナビ、若しくはこういうような就職ナビというものをしっかり管理下に置いてしまえば、日本の就活というのはもう少し、例えば学業阻害がなくなるとか、もう少しきれいな形になると思うのです。遠い将来でも構わないのですが、いわゆるナビというものに関しての許認可というものを、是非とも検討してほしいと思っています。
 
○河嶋若年者・キャリア形成支援担当参事官 お答えさせていただきます。海老原委員から、リクナビ、マイナビのような事業者に対する免許制、許認可制に持っていけないのかということでお話がありました。おっしゃるとおり、安定局、安定分科会との関係もあるので、それについては、許認可、免許となると、事業そのものに対する規制度がかなり強固なので、どこまでできるのかということを含め、関係部局とともに、しっかりと議論、検討してまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。
 
○小杉分科会長 続きまして、仁平委員、お願いします。
 
○仁平委員 連合の仁平です。基本方針や事業主指針を打ち出すタイミングが来年の春ということですので、新型コロナウイルスによる影響を踏まえて考えていく必要があると思っております。方針や指針にどこまで書くかということはございますが、足元の課題として、来年の新卒の就職状況は今年以上に厳しくなる可能性があると思っております。具体的な雇用対策でやればいいのだという部分もあると思うのですが、ここについて一言意見を申し上げたいと思っております。
実は、昨日連合で、雇用に関するアンケート調査の結果を発表したのですが、来年の春に新卒採用をするかどうかを尋ねたところ、「現時点では未定で分からない」ということが半数ほどあるわけですが、「採用する」という企業は約2割でありました。それは産業別に見ても、人手不足と言われているような医療や福祉分野でも3割でありまして、現在、就職氷河期対策を重点的にやっておりますが、十分な対応をしないと、第2の就職氷河期問題を生むのではないかと懸念していることが1つです。
それと、就職活動をする学生が気になっているだろうと思うことを発言させていただきます。旅行、観光、航空など特定の業界が御存じのとおり大きなダメージを受けて、採用にも影響が出てくるのだろうと思っております。これらの業界を目指していた学生たち、これまで勉強してきたことをどういかしていくのかということも含めて、就職活動は難しいのだろうと思っております。こういったことも含めて、支援の手立てというのは様々な方向から考えていく必要があるとは思うのですが、課題として、最初の検討ということもありますので、提起しておきたいと思います。
 
○小杉分科会長 ありがとうございます。では、参事官、お願いします。
 
○河嶋若年者・キャリア形成支援担当参事官 お答えします。コロナの影響を踏まえて、どこまで書けるかということはおっしゃるとおりなのですが、おっしゃったような、特に新卒者の就職が難しくなっているというのは、我々もハローワーク、労働局、大学にも足を運んで聞きに行っても、そういう声は聞いていまして、来年の春よりも再来年以降のほうが厳しいのではないかという声は一様に聞くところです。
そうした中でどういう対策を取っていくのかということで、おっしゃるように第2の就職氷河期世代を生み出してはならないというのは、我々厚生労働省だけではなくて、文部科学省、経済産業省、政府一丸となってやっていかなければいけないということは思っていまして、関係省庁の3大臣と経済産業副大臣の4人が、10月末に経済4団体に対して、就活について、コロナの影響というので短期的に見るのではなくて、中長期的な視点で採用を考えてほしいという要請をしています。
我々厚生労働省としても、文科省、経産省と連携しながら、今後、特に足元の来春の卒業予定者に対しては、何とか1人でも多く、年度末までに内定を受けられるように、新卒応援ハローワークと大学のキャリアセンターとで連携していって、求人もちゃんと企業から出してもらうように足を運ぶという努力もしていますし、再来年の春以降の就職予定者に対しても、早いうちから就職に向けた意識を高めてもらうようなセミナーなどもやっていきますし、そうした形で、地道ではありますが、今まで以上の取組、今までと違うような取組をやっていきたいと思っています。
そうした中で、5年間の基本方針で、こういう対応をするということを確定的に書けないところもあるので、課題だけ書くというのもあれなので、基本的には、そうした内容はきっちりとやっていくということは間違いないので、書けるかというのはあるのですが、対策としてはしっかりとやっていきたいと思いますので、それで御容赦いただければと思います。
 
○小杉分科会長 是非、書きぶりでも工夫していただきたいと思います。
 
○河嶋若年者・キャリア形成支援担当参事官 分かりました。
 
○仁平委員 了解しました。よろしくお願いいたします。
 
○小杉分科会長 では、小松委員、お願いいたします。
 
○小松委員 求人の状況についてなのですが、今の例えと多少違うかもしれないのですが、日本商工会議所で今年の夏に実施した調査ですと、今後3年にわたって採用の見通しを聞いたところ、「若年者が必要」と回答した企業が6割はあるということなので、引き続き中小企業においては若年人材の採用意欲は非常に高い状況だと感じております。一方、資料2-3に、「職場定着よりも早期離職をすることが自身のキャリア自律につながる青少年も存在」といった趣旨も記載されていますが、実際、企業としては最も重要な経営資源ですので、職場に定着して、安定してやりがいを持って仕事に取り組んでいただきたいとは思っております。
したがって、ミスマッチ防止の観点から、企業が求める人材像というのは、より具体的に情報発信していかなければいけないですし、同時に職場見学とかインターンシップも積極的に実施していっていいとは思うのですが、インターンシップはお互いどう認識するかということがあって、結構学生はインターンシップを就職活動のプラスのポイントのためだけにというように、ただそのためだけに参加しているという傾向も見られると思うので、企業を含め、本来の目的で推進されるように活動を促していっていただければと思います。
 
○小杉分科会長 ありがとうございます。河本委員、お願いいたします。
 
○河本委員 意見です。今回の若者に対する「 自律的なキャリアを形成していくために」 ということで、「自律」がキーワードになっています。 この自律をサポートして いくという意味では、キャリアコンサルティングの役割がより重要だということが、先ほどの議論と比較して強調されているところではないかと思っております。そういった意味で、キャリアカウンセリングを受ける者だけではなく、実施するキャリアコンサルタント側 の質をしっかりと向上させて、面談を 行う人たちのモチベーションをアップしていく施策も必要になってくるかと思います。
小松委員がおっしゃった、特に入職後早期の キャリアコンサルティング においては、職場定着と早期離転職という選択を アドバイスしていくという役割も担いますので、  そういった人たちの質の向上に対する施策もしっかりお願いしたいと思っています。
今までキャリアを築いてこられた 人たちは、どちらかというと単線型で、1つの会社の中でキャリアアップの 道を歩んでいる人が多いと思います。 キャリアカウンセリングを行う人たちに対する マインドセットも含めた フォロー 体制を整えていただきたくお願いいたします。
 
○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、河嶋参事官からお願いいたします。
 
○河嶋若年者・キャリア形成支援担当参事官 河嶋からお答えいたします。まず、小松委員が言われていたとおり、中小企業では引き続き採用意欲が高いというのは、私も島根に説明会に行ったときにも、それらは聞いていて、むしろ中小企業からすると、大企業から溢れた人材を何とか採りたいというところはあるのだけれども、知名度が不足しているので、地元の中小企業をアピールできるような支援をしてほしいという声も聞きました。その辺は新卒応援ハローワーク等で、地元の求人をちゃんと企業につなげていけるようなことも含めて、一番重要なのは就活を行っている学生がちゃんと入って、思っていたとおりの企業だというので、きちんと定着してもらえるような、ミスマッチにならないところが重要なので、いろいろな企業の求人を、どう満足いただいて、ミスマッチなく内定まで持っていけるかを、しっかりとハローワークなどで支援していきたいと思っています。
あと、職場見学とかインターンシップが重要だという話です。ただ、特にインターンシップについては、学生側が就活のプラスのためということで見ているのではないかというのは、確かにおっしゃるとおりで、インターンシップというのは何のためにあるのかということは、今一度行政のほうでも、きちんと学生、企業に対して周知、働き掛けをしていきたいと思っています。
 
○山本キャリア形成支援室長 キャリコンの部分については、キャリア形成支援室の山本からコメントを補足したいと思います。河本委員から、キャリア支援者の側の養成であるとか、その辺りに施策をという御趣旨の御意見を頂きました。
キャリアコンサルタントの量、それに加えて資質の向上ということで、実践力を高めるようなことに努めております。いろいろと今後、キャリアについて不安を覚える方が、若い方を含めていらっしゃると思いますので、その辺りの自己理解であるとか、モチベーションが高められるような支援をしていければと思っておりまして、労使の双方から寄せられる期待というところにキャリアコンサルタントが応えられるというような施策に努めたいと思います。
 
○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは次に、武石委員、お願いいたします。
 
○武石委員 基本方針と事業主指針について、それぞれ意見がありますので申し上げます。
まず、5か年の基本方針のほうですが、今回、若者の自律的にという先ほどの能開のほうの計画と同じような流れで「自律」ということが出てきているのですが、言わば見出しと中身が合っていないのではないかという意見なのです。基本方針の第2の2の(2)の中の⑤というのがありまして、まず(2)なのですが、「適職の選択及び職場定着のための支援」というようになっています。(2)の⑤を見ると、「就職後の職場適応・職場定着のための支援」となっていて、これまで早期離職というのはネガティブに捉えられていたので、定着が重要だという流れできていたと思うのですが、今回、赤字で記載されていますが、早期に離職することも1つのキャリアの選択肢だということで位置付けています。私はそれでいいと思うのですが、そうなると、この見出しが「職場定着のための支援」となっているので、中身の離転職していくことも1つの選択というニュアンスを入れる見出しにしたほうがいいのではないかということです。
「一方で」と赤字で追加されている所も、ここも「職場定着よりも早期に離職・転職することが自身のキャリア自律につながる」というような言い方になっているのですが、そこまで早期に離転職することをポジティブに言うかなという、この辺りの文章として、「早期」とか言わないで、「職場定着よりも早期に離職・転職することが」というのを削って、「自身のキャリアを見据えて転職することを選択する青少年もいることから」といったぐらいの表現ぶりでいいのではないかなというのが、5年間の方針についての意見です。
もう1つが、事業主指針についてなのですが、先ほどハラスメントのところで御説明があったのですが、パワーハラスメント等の中にセクハラとかマタハラが入ってくるということなのですが、そういうものが入るということは、どこかに明示されてもいいのかなと思うのです。これまで、セクシュアル・ハラスメントなどは非常に大きな社会的な問題でもあったので、パワーハラスメント等ということでまとめていいのかなというのが1つです。
それから、パワーハラスメント等について書かれている文章なのですが、「青少年の関心と理解を深めるとともに」とあって、その後半の「他の労働者に対する言動に必要な注意」と、パワハラをする側にならないようにということだと思うのですが、その前段の関心と理解を深めるというところの趣旨が、そういうことが起こったらきちんと誰かに相談するとか、そういう適切な行動をしてほしいということだろうと思います。なので、パワハラをする側になるなというメッセージだけはちょっと強いような気がして、前段で関心と理解を深めて、そうした問題に適切な対応ができるようにするというような言葉も入ったほうがいいのではないかと思いました。
 
○小杉分科会長 では、具体的な御提案を頂きましたので、河嶋参事官からお願いいたします。
 
○河嶋若年者・キャリア形成支援担当参事官 まず、基本方針について、見出しと中身が合っていないのではないかとか、中身についても、早期に離転職するのがいいことという印象が強い、ポジティブに書きすぎではないかということについては、おっしゃるとおりのところがあるので、見出しと書きぶりについては、そうしたイメージを持たれないように、中身とも合うように、見出しと本文の双方を検討したいと思います。
あと、事業主指針について、「パワーハラスメント等」というように言っているのですが、セクハラとかマタハラまで入るのかということが、「パワハラ等」だけでは分かりにくいのではないかということも、書きぶりを工夫したいと思います。あと、パワハラをする側にならないようにということが強すぎるのではないかということも、表現ぶりは工夫したいと思いますので、よろしくお願いします。
 
○小杉分科会長 ありがとうございます。続きまして、早川委員、お願いします。
 
○早川委員 資料2-4の事業主の指針に関してです。3点あります。1つは、第2の事業主等の辺りのどこかに、就職活動の段階でのハラスメント防止措置のことが書かれていてもいいのかなと思いました。なぜならば、就活のときに大手企業の従業員からセクシュアル・ハラスメントを受けたという報道などもありましたので、まだ労働関係に入る前の求人者側のほうにおいて、労働関係と同じようなハラスメント防止措置を取るようにしていただく規定を置いてはどうかというのが1点です。
2点目は、ページ数が振られていないのですが、5ページのレの所です。この赤字の所は、個人情報保護法に基づいた遵守ということで、具体的内容の中に、例えば目的外使用の禁止や、あるいは目的が終わった後のデータの消去などが含まれているわけですが、実際に若者雇用に関して、募集者等や、募集情報等提供事業が、確実に目的外使用をしていないか、データの消去はされているかということは、個人情報保護法とは別に、行政のほうで確認することが必要と思います。これは文言で書く必要はありませんが、確実に遵守しているかを行政のほうで具体的に管理・監督する仕組みが欲しいと思います。もしかしてこの分科会ではなくて、職業安定分科会かもしれません。
3つ目は、資料2-4の10ページです。ここは赤字ではないのですが、ジョブ・カードとの連携のところです。(5)にジョブ・カードの活用ということが書かれているのですが、例えば私どもの大学では、大学時代の学びの気付きなどを毎学期、ラーニングポートフォリオといった形で書かせています。こういったものとの連携などが可能性としてはあるのかなと思います。もちろん、個人情報に十分に留意した上でということが前提です。ジョブ・カードとの連携が将来の施策としてありうるのではないかと思います。
最後に、地方大学にいる者の立場としては、コロナの影響が来年度の採用に出てくることを非常におそれています。就職活動に関して募集事業者あるいはの情報提供者が情報を提供する以外に、ハローワークにおいて様々な企業からの求人情報を集め、情報提供していただいて、地方大学の学生も十分にそれを見られるようにしていただきたいと思います。これは職業安定分科会のほうかもしれませんが、当分科会とともに働き掛けをよろしくお願いします。
 
○小杉分科会長 分かりました。時間の問題がありまして、続いて池田委員に発言をお願いいたします。
 
○池田委員 1点だけ、キャリアコンサルティングについて発言をさせていただきます。企業におけるキャリアコンサルティングは、従来、中高年齢者を対象としたセカンドキャリアの形成支援が中心でしたが、現在、キャリアの複線化が進んでいることから、若年期から会社と社員の間で、キャリアに関する支援を行うことが、双方にとってメリットが大きいと考えられます。早期からキャリアに対する意識を持ってもらうための啓発が重要になっていると認識しています。
そうした意味で、今回の指針で新たに示された、入職後早期におけるキャリアコンサルティングの実施は重要であると考えます。企業においても、今後取組を強化していく必要があると認識しておりますし、河本委員から御指摘がありましたように、キャリアコンサルタントの育成に向けた施策も求められているかと思います。
 
○小杉分科会長 それでは、河嶋参事官からお願いいたします。
 
○河嶋若年者・キャリア形成支援担当参事官 早川委員からの御意見に対して、河嶋からお答えさせていただきます。まず、事業主指針の第2の辺りで、就職活動段階のハラスメントについて書いてほしいということで、おっしゃることは分かりました。資料で説明いたしますと、9ページ目の第3の「事業主が青少年の職場への定着促進のために講ずべき措置」の1の「雇用管理の改善に係る措置」の中で、今回新しく盛り込もうとしているハラスメント関係で、対象者は就職活動段階の方も含んではいるのですが、分かりにくいということも含めて、その前の段階で何か書けないのかというのは検討したいと思います。
あと、個人情報の管理で、目的外使用とか、目的が終わった後のデータ消去の話とか、そうしたものの遵守状況を確認する必要があるのではないかということについては、おっしゃったとおり、安定局との話にもなるので、よく連携しながら考えていきたいと思います。
それから、地方大学はコロナの影響をすごく心配されているということで、ハローワークできちんと各企業の求人情報を積極的に、今まで以上に幅広い求人情報を取りにいっていますし、開拓していますので、それをきちんと地方大学の学生につなぐことについては、我々も新卒応援ハローワークを中心に、ハローワークと大学のキャリアセンターの連携を密にして、学生にきちんと情報が届くように、それでマッチングもしていけるように、今まで以上に頑張っていきたいと思います。
ジョブ・カードについては、別の者からお答えします。
 
○山本キャリア形成支援室長 キャリア形成支援室長の山本でございます。ジョブ・カードについてはデジタル化に向けた検討を進めておりますので、ほかとの連携の在り方も含めまして考えていきたい、そういう課題だと思っております。
それから、池田委員からございました早期からのキャリア形成支援をサポートするようにという話がありました。この辺りも職業人生の起点における部分からということで、問題意識を持っておりますので、この辺りは労使双方からの期待に応えられるような在り方を考えていきたいと思っております。
 
○小杉分科会長 ほかに御意見、御質問はございますか。よろしいようでしたら、この議題はここまでとさせていただきます。
その他について、人材開発担当総務担当参事官より、配布資料について説明をお願いいたします。
 
○河野人材開発総務担当参事官 総務担当参事官の河野でございます。私からは、参考資料3、参考資料4について御紹介いたします。参考4に付けていますとおり、12月8日に「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」が閣議決定されました。また、12月15日に、参考3でお配りしておりますが、今年度厚生労働省第3次補正予算案が閣議決定されたところでございます。本日、詳細な御説明は省略いたしますが、来年度概算要求に計上したものについて、一部前出しをする等をして盛り込んでいるところです。私からは以上でございます。
 
○小杉分科会長 ありがとうございました。議事については以上となりますが、全体を通して、皆様から何か御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
特にないようでしたら、本日の議論は以上とさせていただきます。また、次回の第24回分科会の日程につきましては、令和3年1月25日(月)の10時から、オンライン会議により実施させていただきます。本日の議事録署名委員は、労働者代表の松浦委員、使用者代表の滝澤委員にお願いいたします。
それでは、以上をもちまして第23回労働政策審議会人材開発分科会を終了いたします。皆様、御参加ありがとうございました。お疲れさまでした。