第21回労働政策審議会人材開発分科会 議事録

人材開発総務担当参事官室

日時

令和2年10月26日(月)14:00~16:00

場所

WEB会議

議題

1 令和3年度予算概算要求の概要
2 2019年度の実績評価及び2020年度の年度目標
3 今後の人材開発施策の在り方に関する研究会報告書について
4 今後の若年者雇用に関する研究会報告書について
5 その他

議事

議事内容
○小杉分科会長 それでは定刻を過ぎましたので、ただいまから第21回労働政策審議会人材開発分科会を開催いたします。本日は公益代表の橋本委員、労働者代表の小倉委員、使用者代表の美濃川委員が御欠席です。また、使用者代表の渡邉委員におかれましては、本日途中退席されます。本分科会は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、労働政策審議会運営規定第3条第1項に基づき、オンライン開催といたします。
議事に先立ちまして、配布しております委員名簿のとおり、本開催より公益代表委員として海老原委員、労働者代表委員として松浦委員、使用者代表委員として滝澤委員が新たに就任されました。それぞれ御挨拶をお願いいたします。最初に海老原委員、マイクをオンにしてお願いいたします。

○海老原委員 画像もつけたほうがいいですか。

○小杉分科会長 画像はなくても大丈夫です。

○海老原委員 はい、よろしくお願いします。民間のこととか、ジャーナリストとしていろいろ見てきたので、その話しをさせていただこうと思ってます。何か10年ぐらい前のことですが、ちょっと私、玄田さんのこと腐しちゃったことがあるので、玄田さんすみません、よろしくお願いします。以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは松浦委員お願いいたします。

○松浦委員 初めまして、労働者側委員として初めて参加させていただきますUAゼンセンの松浦と申します。ちょっと、スカイプの関係が使えなく、厚労省さんの会議室で参加させていただいております。よろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、続きまして滝澤委員お願いいたします。

○滝澤委員 使用者代表として初めて参加をさせていただきます。私、滝澤と申します。全国中小企業団体中央会の理事、そして、私自身が全日本印刷工業組合連合会の会長をしております。どうぞよろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 はい、ありがとうございます。ただいまショートメッセージのほうで渡邉委員が本日最後まで御出席になられるということです。ありがとうございます。
それでは、事務局においても人事異動がございました。小林人材開発統括官が就任されております。御挨拶をお願いいたします。

○小林人材開発統括官 人材開発統括官の小林でございます。8月の異動でほかにもメンバー入れ替わっておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
人材開発の関係は2つ中期計画ございます。1つは、職業能力開発基本計画、それからもう1つは、若者法に基づきます青少年の雇用対策基本方針という5年のものがございまして、いずれも今年度が終期となっておるところでございます。新たな長期計画が求められているという関係で、これまで2つの研究会で御議論いただいてまいりました。その過程で、今般のコロナの問題が生じたということでございます。これまでも課題とされていた、これが顕在化、加速化したということでございますが、一方でコロナの状況を更に見極めないといけないものもあるというように思っております。先を見通しながら同時に、当面する課題にも対応していくということで、非常に重要で難しい時期にございますので、是非とも委員の皆様の一層の御指導、御鞭撻をよろしくおねがい申し上げます。以上でございます。

○小杉分科会長 どうもありがとうございました。それでは議事に入ります。議題1、令和3年度概算要求の概要についてです。内容について事務局から資料の説明をお願いいたします。

○河野人材開発総務担当参事官 総務担当参事官の河野でございます。令和3年度概算要求について御説明申し上げます。まず、資料5ページの総括表を御覧ください。全体について御説明をいたします。
一般会計ですが、左から2列目の令和3年度概算要求額の部分を御覧ください。130億8,000万余の要求をしております。3つ下の所に事項要求というものがあります。新型コロナウイルス感染症関係予算につきまして、事項要求とさせていただいております。事項要求と申しますのは、具体的な金額は、年末までに財務省と折衝をして決定をすることとしておりまして、概算要求時は項目のみを要求するというものです。
次に、特別会計に関しまして、1,891億余を要求しております。雇用勘定につきましても事項要求があります。労災と雇用、一般会計も合わせまして合計2,022億余プラス事項要求となっています。対前年度マイナス899億余の減の内容となっております。この削減の主な要素ですが、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、今年度、雇用調整助成金の支給が大幅に増加をいたしております。来年度も一定の支給が見込まれる中、雇用保険二事業の財政が非常に厳しくなっているところです。この状況を踏まえまして、精査をし重点化して要求をしております。
削減をしております主な要因を2つ御説明いたします。1つは、都道府県の離職者訓練のうちの委託訓練につきまして、訓練受講者数は全体として増やしつつ、予算は削減をするという形をとっております。具体的には、公的資格等を取得する2年等の長期のコースを減らしまして、6か月未満の短期のコースを増やしております。2点目といたしまして、事業主による職業能力開発を支援いたします人材開発支援助成金につきまして、実績等を踏まえまして削減をして要求しております。以上が全体像です。
2ページに戻って、個別の内容につきましてポイントを御説明いたします。まず、第1の1、業種・職種・地域を超えた再就職等の促進ということです。国、都道府県等による離職者訓練等の内容です。916億円プラス事項要求をしています。
2、非正規雇用労働者の再就職支援ということで、(1)求職者支援訓練につきまして、91億円プラス事項要求としております。(2)新規学卒者等への就職支援です。こちら95億円プラス事項要求としております。第2の就職氷河期世代を作らないため、新卒応援ハローワーク等に配置をされた、就職支援ナビゲーターの担当者制による、きめ細かな個別支援を行うとともに、就職活動開始前の学生等に対する早期の支援を実施することにしております。また、大学等との連携強化によりまして、支援対象者の確実な把握を行い、特別支援チームを活用した就職実現までの一貫した支援の強化を図ることとしております。(3)フリーターへの就職支援ということで、35歳未満で正社員就職を希望する求職者の方に対する就職支援としまして、30億円を要求しております。
7ページのポンチ絵を御覧ください雇用と福祉の連携による離職者への介護分野への就職支援パッケージとして、新規に要求をしております。こちらは新型コロナウイルスの影響による離職者の再就職支援、介護分野における人材確保を支援するという目的のために、ハローワーク、訓練機関、福祉人材センターが連携をし、資格取得から就職までを一体的に支援をするというものでして、都道府県の福祉人材センターによる貸付金も新たに設けています。
3ページに戻って、4、就職氷河期世代の支援です。今年度から3年間、政府全体を通して集中的に取り組むこととしている就職氷河期世代支援ですが、前年と同額の101億円を要求しております。
5、障害者の能力開発についてです。こちらは、職業訓練上、特別な支援を要する障害者に重点をおいた職業訓練を実施するとともに、職業能力開発校におきまして、精神保険福祉士等を配置する等によりまして、精神障害者等の受入れ体制を整備することとしております。
6、キャリア設計支援です。こちらは前年同額21億円を要求しております。今年度創設いたしましたキャリア形成サポートセンターを通じまして、引き続き企業へのセルフ・キャリアドックの導入支援、労働者へのジョブ・カードを活用したキャリアプランの再設計の支援を推進することとしております。
7、技能五輪国際大会等に向けました選手強化等のための経費の要求をしております。
最後に第2のところ、外国人技能実習関連です。外国人技能実習機構におきまして、実習実施者及び監理団体による雇用管理改善を促進するほか、監理団体・実習実施者に対する実地検査等により、制度の適正な運用を図ることとしております。また、新型コロナウイルス感染症の影響等により、実習継続が困難となった技能実習生等への相談体制等を充実するための予算を要求いたしております。私からの説明は以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございました。ただいまの説明に対する御質問、御意見がございましたら、テレビ会議マニュアルのショートメッセージについてにより、氏名と発言を希望する旨の入力をお願いいたします。今、海老原委員、荘司委員、池田委員、小松委員から御希望がありました。では順番に一番最初は海老原委員、よろしくお願いいたします。

○海老原委員 よろしくお願いします。この後、細目について、もう1回説明はあるのですか。氷河期世代、フリーターはどうのこうのという。

○小杉分科会長 事務局。

○海老原委員 聞こえますか。

○小杉分科会長 はい、聞こえています。

○海老原委員 詳細説明はあるのですか。

○河野人材開発総務担当参事官 いえ、資料1に関する説明は以上でございます。

○海老原委員 私がちょっと言いたいのは、氷河期世代になぜこんなにお金を使うのかです。お話もう少ししてもいいですか。

○小杉分科会長 はい、どうぞ。

○海老原委員 氷河期世代ど真ん中の40から44歳。2018年のデータですが、そこにいる非正規って、一番働き盛りなのですが、非正規は210万人もいます。その調査だと雇用者が700万人なので3割も非正規。男性で見ると40代の前半に3割も非正規がいるというのは、非常に大変なことだと思いますが、この内訳です。210万人のうち男性が30万人、女性が180万人。男性の労働者の非正規率で見ると8%強しかないのですよ。非常に低い。これ過去の年代と比べても全然高くないし、それから、他の年代の方と比べても高くなっていないのですよ。一方、女性はどうかというと180万人。180万人のうちの140万人は主婦です。つまり年代差なんかよりも、性差のほうが圧倒的に大きいという現実はあるじゃないですか。年代差という部分で、氷河期世代に110億円払うならば、女性活躍にもっとお金を払う。若しくは他の年代も変わらずに皆さんに配ったほうが私は良いと思うのですが、いかがですか、それは。

○小杉分科会長 事務局、よろしいですか。

○河野人材開発総務担当参事官 事務局でございます。この就職氷河期世代に関しましては、今、委員がおっしゃられた非正規雇用の労働者の数ということにとどまらず、この非正規雇用の労働者の中でも、不本意非正規と言っておりますが、本当は正社員になりたいのだけれどもなれないような方の占める割合ですとか、無業者という方の存在ですとか、そのような統計データ等を総合的に勘案いたし、また、一番年長の方が40代後半に差し掛かっているということを踏まえ、今年度からの3年間の集中プログラムとして政府全体で取り組んでいるところです。ほかの世代とのバランス等という御意見を頂戴いたしましたが、ほかの世代に対して何もやっていないということはなく、非正規雇用労働対策ですとか、いろいろな形で施策をやっておりますが、プラスアルファーの取組として施策を講じているということで、御理解を頂戴できれば大変有り難いと思っております。以上でございます。

○小杉分科会長 ありがとうございます。よろしいですか。では次の発言希望の方がいらっしゃいますので、では荘司委員お願いいたします。

○荘司委員 荘司です。ありがとうございます。私のほうも、就職氷河期世代についての活躍支援プランの実施についての、今年度の予算の執行状況についてお尋ねをしたいと思います。今ほども御回答ありましたように、この世代への対応が必要だということですが、今年度におきましては新型コロナの影響で、地方のプラットフォームの検討が十分行われなかったというようなことで、昨年策定されたプログラムがどの程度実施されたのか、あるいは予定どおりに進んでいないのではないのかということも考えられるかと思います。来年度予算に向けて、いろいろやりくりはされているのだと思いますが、大枠ほぼ全額どおりだと聞きまして、これからコロナの影響がどうなっていくか分かりませんが、いろいろなことを想定しながらの予算組みということなども、きめ細やかに行っていただいて、マッチングがうまくいくように、そういった施策をお願いしたいと思います。以上です。

○小杉分科会長 事務局お願いします。

○河嶋若年者・キャリア形成支援担当参事官 事務局です。お答えさせていただきます。先ほど荘司先生からお話がありましたが、都道府県プラットフォーム、確かにちょっと取組は遅れていたところですが、今月47都道府県全てでプラットフォームを設置しましたので、これから大急ぎで支援策の周知広報など含めて、各プラットフォームで取組を進めてまいりたいと思います。
それから、就職氷河期世代支援の施策ですが、今年度から3年間、政府全体のプログラムに則してやってまいりますので、執行というとまだ2年度の分は執行途中ではあるのですが、大急ぎで2年度についても、予算をしっかりと執行してまいりたいと思いますし、3年度以降もこの予算要求なども頑張って、3年間のプログラムを推進してまいりたいと思います。以上です。

○小杉分科会長 執行状況ということでは、今、途中だからはっきりしないということですね。

○河嶋若年者・キャリア形成支援担当参事官 そうですね。途中なので、2年度においてはですね。

○小杉分科会長 ということです。荘司委員よろしいですか。

○荘司委員 ありがとうございます。

○小杉分科会長 では、次に池田委員お願いいたします。

○池田委員 経団連の池田でございます。ありがとうございます。御承知のとおり、人材開発施策のほとんどが雇用保険二事業として行われておりまして、事業主のみの負担で賄われているところでございます。雇用保険二事業につきましては、現在、新型コロナウイルス感染症の影響により、雇用調整助成金に係る支出が大幅に増加しており、今後もニーズが見込まれているところです。雇用安定資金残高は、既に失業等給付の積立金からの借り入れを行うなど、実質的に枯渇化しつつあり、強い危機感を持っております。このため、人材開発施策におきましても、真に必要なものに重点的に支援するなど、大胆な整理見直しを行い支出にメリハリを付け、限られた財源を効率的、効果的に活用していただけるよう、よろしくお願い申し上げます。以上でございます。

○小杉分科会長 ありがとうございます。事務局、何かありますか。

○河野人材開発総務担当参事官 先ほども御説明しましたように、来年度の予算につきましては、例年よりも相当メリハリを付けた重点的な要求をさせていただいているところですし、御要望にございました、効率的、効果的な事業の実施ということは、真に肝に銘じながらしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございます。次に小松委員、よろしくお願いいたします。

○小松委員 よろしくお願いします。小松です。この予算の金額については特に問題ないと思っています。その中でも特に重要だと思う点だけ発言させていただきます。コロナショックはあらゆる業種、業態の企業に甚大な影響を及ぼしております。中小企業景況調査の結果等を見ますと、特に小売業やサービス業での影響が深刻になっています。さらに失業率は上昇傾向にあり、民間の調査機関によりますと、今後更に高まっていくと予想されております。そうした中、雇用調整助成金などの施策により、雇用を維持していくことは重要でありますが、それと同時に雇用吸収力がある業種や成長分野の産業への失業なき労働移動を円滑に進めていくことが求められていると思います。失業なき労働移動を円滑に進めていくためには、この資料の2ページにあります、業種・職種・地域を超えた再就職等の促進や、非正規労働者に対する求職者支援訓練による再就職支援など、職業訓練の推進が果たす役割は極めて重要だと思います。また、新規学卒者等への求職支援につきましても、大学等と連携を強化して活動する就職支援ナビゲーターの担当者性による、きめ細やかな個別支援は非常に有効と思います。これらの事業に関しては、予算額がいずれも事項要求となっているので、予算の確保や執行については、今後の雇用動向を注視して的確に対応していただきたいと思います。以上です。

○小杉分科会長 では次に滝澤委員お願いいたします。

○滝澤委員 はい、滝澤です。私からはキャリア設計支援についてのお願いです。今年に続きまして、来春入社してくる新規学卒者につきましても、勤務当初からテレワークやWeb研修等になる可能性もあり、キャリア支援や先輩社員からの指導が手薄になる可能性もあり得るかと考えております。キャリア形成サポートセンターやOFF-JTなどにより、企業が若手社員を育成していくためにも、キャリア形成サポートセンター等の周知徹底を図っていただくとともに、都道府県の公共職業訓練等の取扱い業種について、より様々な領域を網羅的にサポートしていただくよう、拡充を図っていただきたいと思います。以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございました。ただいまのは御意見ということで、事務局のほうで受け止めていただければと思います。ほかにございますでしょうか。

○松浦委員 ありがとうございます。松浦と申します。意見として1点ございます。3ページの4の(3)、就職氷河期世代への支援ということですが、その後半に、SNS広告や動画広告等を活用し広報を実施するとあります。先ほど荘司委員の御発言にもありましたとおり、就職氷河期世代への支援は、雇用だけでなく家庭に引きこもってしまった方々が、社会といかにつながりを作っていただくかという視点も必要になるかと思っております。これはこの場の労政審の担当とは違うかもしれませんが、特に社会とのつながりを作るためには、それぞれ事情があると思いますので、そういった事情に寄り添った継続的な支援が求められると思っております。ですので本人だけではなく、特に高齢者となってしまった親などの御家族にも支援があることをお知らせするためには、御提案されているSNSだけの広告だけではなく、もっとお宅に訪問するなど、アナログ的なアプローチも必要になるのではないかと思っております。その場合、人手も必要になると思いますので、この予算額で十分かどうか分かりませんが、そのような人とのつながりに結びつくような広報も、地道に行っていただきたいと思っております。以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございます。事務局、この件について何かコメントはございますか。

○河嶋若年者・キャリア形成支援担当参事官 事務局です。事業としてはここに書いてあるとおりであり、各種広報をやってまいりますという話は書いてあるとおり予算要求をしていますが、それ以外に引きこもり対策については、ちょっと人材開発統括官ではない、社会・援護局の施策とかもあるのですが、それも含めて予算要求もしていますし、あと、この御家族に対して、その広報だけではなくやっていくという話については、しっかりと自治体とも連携して、先ほど都道府県プラットフォームと申しましたが、市町村ごとのプラットフォームもその下に作ることとしており、そこでしっかりと自治体と協力してやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○小杉分科会長 福祉との連携は非常に重要な分野かと思います。この氷河期世代は8050問題の一歩手前の方ですので、そういう意味では福祉との連携の中で考えることが非常に大きいのだと思います。早川委員お願いいたします。

○早川委員 ありがとうございます。早川です。私からは、第2の1の外国人材受入れの環境整備について発言させてください。予算額が平年並、あるいは若干減の63億円ということですが、この点につきましては、技能実習生の入国制限の影響もあり、半年余りのうちに、8,000人近くも技能実習生の人数が減っているということでの予算減なのかと思いますが、他方で現在コロナの中で、技能実習生が様々な問題に直面しているということが報じられたり耳にしたりしております。そうした中で、技能実習生の支援、たとえば母国語相談を通じた支援などを手厚くしていく必要があろうかと思います。その点の施策の減がないようにお願いしたいと思います。
また、厚生労働省の予算として支出する以上、厚生労働省の支援を見える化していただきたいと思っております。例えば、外国人技能実習機構は年に1回業務統計を公表しておりますが、今回のような緊急事態の状況の中では、業務統計を速報的なものでも施策を見える化して発表する必要があるのではないか。現時点において、厚生労働省あるいは出入国在留管理庁等で、技能実習生の現状について、あるいは支援の状況について、公式な統計が発表されていないのが気がかりです。予算だけの話ではなくて、今年度の話でもありますが、支援の充実をお願いしたいとともに、母国語相談が現在電話あるいはメールでの相談になっておりますが、たとえばベトナム人技能実習生はFacebookに親しんでいると聞いています。そうしたSNSなどの利用も検討されてはいかがかと思います。若干広いことを言って申し訳ありません。
そして付け加えますが、若者支援について、引き続きどうぞよろしくお願いします。その中でも新卒サポートは大変重要な位置付けかと思われます。と同時に、今年の春に就職して、就職はできたけれども新入社員になったばかりで、すぐリモートワークになってしまったという若者もいますので、就職しているかしていないかを問わず、若者の早期の入職時点あるいは就職前の職業能力の支援について、充実をお願いしたいと思います。私からは以上です。

〇小杉分科会長 ありがとうございます。では、事務局お願いします。

○佐々木海外人材育成担当参事官 技能実習を担当しております佐々木と申します。よろしくお願いします。早川先生から頂いた御質問、御意見についてですが、予算はやや減ってはおりますが、人数に応じたというよりは、基本的にはこれまで実施してきております指導とか母国語相談などの体制について減になるということではなく、これをしっかり維持したまま対応させていただきたいと思っております。
また、今年度途中から少し対応させていただいております、実習継続が困難となった場合の相談体制の強化ということで、地方事務所にコーディネーターを配置し始めておりますが、こちらについても引き続き来年度、配置する方向で概算要求させていただいたところです。
それから、制度の実施状況の見える化については、業務統計を先日発表させていただいたところですが、1年に1回に限らず、どういうことができるのかということを少し検討させていただきたいと思っております。

○河嶋若年者・キャリア形成支援担当参事官 事務局です。引き続き新卒関係ですけれども、早川先生がおっしゃったとおり、新卒に対する就職支援は重要だと思っておりますので、この2ページの2の(2)の最初のパラグラフの後ろのほうですが、学生に対しても今まで以上に、就職活動開始前の学生等に対する早期の支援を実施することとしております。就職活動が今年のコロナの影響で、学校の休校などによって出遅れた学生さんが結構苦しんでいるということもありますので、逆に早いうちから就職活動に向けて意識を持ってもらうように、就職支援ナビゲーターを中心に、いろいろ大学に出向いて講話やセミナーなどをしたりして、2年生などについても就職に対する意識を持ってもらうような支援もしてまいりますし、引き続き就職活動をされている4年生などにも、今、足下で内定がまだ出ていない学生さんに対しても、新卒応援ハローワークできちんと来年の年度末の最後の最後まで内定を取ってもらうように支援をしていきますし、就職した後もきちんと、すぐに早期離職するとかいうのではなくて、定着していくように引き続き応援していくという形で、就職支援に万全を期してまいりたいと思いますので、予算のほうも財務省に対して、頑張って要求してまいりたいと思います。以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見がある方いらっしゃいますでしょうか。では、以上で議題1の令和3年度概算要求の概要についてはここまでといたします。次に議題2、2019年度の実績評価及び2020年度の年度目標です。内容について事務局から資料の説明をお願いいたします。

○河野人材開発総務担当参事官 総務担当参事官の河野です。資料2-1、資料2-2で御説明申し上げます。政策評価に関しては、平成22年度よりPDCAサイクル機能の充実を図るために、年度ごとの実績評価、目標設定の実施をしております。本日は昨年度の実績、今年度の目標をお示しして御議論いただくものです。全部で7つの項目を立てております。順に御説明申し上げます。
9ページを御覧ください。1番目の項目です。地域若者サポートステーションの就職等率です。2019年度の実績ですが、地域若者サポートステーション、いわゆる「サポステ」の支援による就職等率は、目標60%に対して実績が67.0%となり、目標を達成しました。2020年度の目標ですが、2019年度の目標は達成しているところですけれども、本年度から就職氷河期世代支援として、40歳代も支援対象としていること、また、新型コロナウイルス感染症の影響が見込まれること等を踏まえつつ、これらを総合的に勘案し、昨年度と同じ60%に設定しております。
2番目の項目です。ハローワークの職業紹介により、正社員就職に結び付いたフリーター等の数です。2019年度の実績ですが、目標25.5万人に対し、実績が約20万4,000人となっており、目標未達成です。支援対象となる新規求職者数が大幅に減少したこと等によるものと考えているところです。2020年度の目標です。昨年度までは35歳以上の不安定就労者も対象にしていたところですが、本年度より支援対象をおおむね35歳未満のフリーターに限定しております。本年度は「わかものハローワーク」等を利用して就職したフリーターのうち、正社員として就職した者の割合を目標とすることとして、過去3年間の実績を踏まえ、66%以上として目標を設定しております。
次の10ページを御覧ください。3番目の項目です。就職支援ナビゲーター、昨年度までは「学卒ジョブサポーター」と呼んでおりますが、この支援による正社員就職者数です。2019年度の実績ですが、学卒ジョブサポーターの支援による正社員就職者数は、目標18.2万人に対し実績が18.3万人となっており、目標を達成しております。2020年度の目標です。新卒応援ハローワークにおいて、就職支援ナビゲーターによる新規学卒者等への就職支援を行っているところですが、その正社員就職者数を目標として設定しております。2020年度は、ハローワークへ業務指示をした時点での昨年度の実績見込を踏まえ、学生・生徒数、未就職卒業者の減少等を加味して目標を設定しております。
4番目の項目です。ジョブ・カード作成者数です。2019年度の実績は、目標25.0万人に対し31.6万人と、前年度比で約7.3万人増加し、目標を達成しました。2020年度ですが、過去3年の実績を基にして、新型コロナウイルス感染症の影響による訓練関係機関、キャリア形成サポートセンター等におけるジョブ・カード作成者数の減少等を加味して設定しております。
5番目の目標です。公共職業訓練(離職者訓練)の就職率です。2019年度の実績については目標が施設内訓練80%、委託訓練75%に対し、実績は施設内訓練が85.5%、委託訓練が73.0%となっており、施設内訓練は目標を達成し、委託訓練は未達成でした。次のページですが、本年度の目標に関し、施設内訓練については新型コロナウイルス感染症の影響も考えられるところですが、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の中期目標において80%以上と定めていることから、引き続き同じ値を設定しております。委託訓練について昨年度は目標を下回ったわけですが、2017年度と2018年度は目標を達成しておりますので、昨年度と同じ値を設定しております。
6番目の項目です。求職者支援制度による職業訓練の就職率です。昨年度の実績ですが、目標が基礎コース55%、実践コース60%に対し、実績は速報で基礎コース57.5%、実践コース63.2%と、それぞれ達成しております。2020年度の目標ですが、過去5年間の就職率の実績を踏まえ、基礎コース58%、実践コース63%と設定しております。
最後に7番目の項目です。技能検定受検合格者数です。昨年度の実績は目標33万人に対し、36万3,734人となっており、目標を達成しております。2020年度の目標ですが、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため前期試験を中止したこと。また、入国制限による技能実習生の受検数の減少を加味し、過去3か年平均をベースとして設定しているところです。私からの説明は以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございました。それでは、皆様からの御質問、御意見を伺いたいと思います。また、ショートメッセージのほうで発言希望についてお寄せくださいませ。ただいま滝澤委員から発言希望がございました。ほか、よろしいですか。池田委員もですね。では、最初に滝澤委員からお願いいたします。

○滝澤委員 滝澤です。私からは、④ジョブ・カード作成者数の目標について申し述べます。コロナウイルスの影響も鑑み、各目標が2019年度と比較して下がるのは致し方ないと思いますが、ジョブ・カード作成者数については、こういう時代になったからこそ各自がキャリアについて見直す良い機会でもあると思います。加えて、先ほどの予算の資料でも、キャリアコンサルティングによる支援はオンラインでも可能となっておりました。相談が少なくなるということを前提としての目標設定はしないでもいいように考えます。以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございます。事務局からございますか。お願いします。

○山本キャリア形成支援室長 事務局でございます。今、滝澤委員から頂きました御指摘、そのとおりだと思います。キャリアを見直す、振り返ったり、あるいは棚卸しをするという、そういった機会も増えると思いますので、キャリアコンサルティング、そして過程においてジョブ・カードをどんどんと活用を進めていきたいと思っております。以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございました。では、よろしいですか。続きまして池田委員、お願いいたします。

○池田委員 ありがとうございます。経団連の池田でございます。まず、2点質問をさせていただきたいと思います。1点目は、④ジョブ・カード作成者数についてですが、前年度より目標を引き下げております。この目標では成長戦略で掲げている2020年度目標が達成できないと思いますが、この成長戦略目標との関係について、どのように厚労省として考えるか、考え方を教えていただければと思います。
2点目はちょっと細かくなりますけれども、⑥求職者支援制度による職業訓練の雇用保険適用就職率につきまして、ここ2年ぐらいは、直近3年の実績を踏まえて設定しているようですが、今回は過去5年間の実績を踏まえて設定しているようです。その理由をお聞かせいただければと思います。まず質問2点、よろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 ありがとうございます。では、事務局から。

○山本キャリア形成支援室長 事務局です。まず1点目、ジョブ・カードについて。300万人という中長期の目標がある、それとの関係はという御質問、御指摘でございました。この数自体につきましては、昨年度末で大体250万強というところまでは来ているのですけれども、毎年度のペースでいくと、この300万、今年度中というのは少し難しいなと。1年、あるいは1年少し遅れて達成するペースなのかなと考えております。
ただ、全体としては300万に対しては8割を超えるという水準に来ていますので、この辺りは引き続きキャリアプランの有効なツールとして使いたいと思っております。ちょうどジョブ・カードも訓練場面だけではなくて、学校の場面や企業の実務の場面での活用が進んでいるところですので、その辺り、キャリア形成サポートセンターなどでの活用を進めながら、前向きに進めたいと思っております。以上です。

○小杉分科会長 すみません、目標値が引き下がった理由というのもお願いいたします。

○山本キャリア形成支援室長 今年度の目標については下がっておりますけれども、この辺りは過去3年間の数字の平均値を用いまして、プラス、ジョブ・カードの作成契機である訓練校の休校、あるいはキャリア形成サポートセンターでの窓口支援、これが緊急事態宣言中2か月ほどですが、なかなか難しかったですので、そこはほかの事業と同様、少し下げた目標値とさせていただいております。ただ、取組自体が後退するということはございませんので、委員がおっしゃるメリハリという部分は、業務についても同じようなことが言えようかと。そのように取り組んでまいります。以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございました。では、ちょっとお待ちください。今、事務局が移動してまいりますので、

○平川訓練企画室長 事務局でございます。求職者支援訓練の目標値の関係ですけれども、こちらの目標値を今回引き上げましたのは、制度創設以来、これは毎年引き上げているわけではございません。今年は引上げの判断をさせていただいたのですが、こちらは平成23年からこの制度を始めておりますが、長期的に数字が出てきておりますので、今回引き上げるに当たりまして、5年間で判断させていただいたというところでございます。

○小杉分科会長 引上げありきだったのですか、つまり。

○平川訓練企画室長 と言いますか、今回5年間で見ますと、引き上げるべきだというような実績が出ていると判断させていただいたところでございます。

○小杉分科会長 池田委員。よろしいですか。

○平川訓練企画室長 ちょっと御説明になかなかなっていないかもしれませんが、毎年見直しているわけではないということです。

○池田委員 ありがとうございます。今までずっと3年間の実績を踏まえて設定していたのが、なぜこの年度で急に変わったのか、どういう根拠があるのかというのが、疑問に思ったところでございます。
その上で、目標設定に関して問題提起なのですが、今回目標設定に当たって、コロナの影響を見込んで目標値を設定している項目が多くございますけれども、果たしてコロナの影響を見込んで初めから目標値を設定するのが適当なのか、それともコロナの影響をどの程度見込むのかについて合理的な根拠はなかなか置きづらいことも考えられますので、目標値を初めから下げることをせず、昨年度までと同様の考え方で目標値を設定した上で、検証の際にコロナの影響を見込んで判断することも考えられるのではないかと思います。どちらにするのかという考え方を議論、整理する必要があるのではないかと感じました。
私の意見としては、目標値をこれまでと同様の考え方で設定し、何とか頑張った上で、目標を達成できなかった場合でも、それを検証するときに、コロナの影響ならその要因をしっかり分析して、今後にいかしていくという方向のほうがいいのではないかと感じた次第でございます。
特にジョブ・カードの作成者数は、今、お話がございましたように、成長戦略で2020年度目標300万人と掲げていることを踏まえると、まだ安易に目標値を引き下げるべきではないのではないかと考えましたが、いかがでしょうか。以上でございます。

○小杉分科会長 目標値設定の考え方ですね。事務局、お願いします。

○山本キャリア形成支援室長 事務局でございます。ジョブ・カードのところでございますが、おっしゃるところ、コロナの影響等々いろいろと勘案しながら目標設定していくと思っております。安易に下げたということでは必ずしもございません。単年度で言えば少し下がっているわけでございますが、現在取り組んでいる取得者数の増加に向けた取組、これを引き続き今年度も、それから来年度以降もやるということで300万という目標に近付けていく、そういう取組の趣旨でございます。
頂いた御指摘、それを推進力に変えて引き続きやっていこうと思っておりますが、加えて1つ申し上げれば、今年度始まっておりますキャリア形成サポートセンター、それからデジタル化のマイナポータルとの連携など、いろいろと利便性向上の取組もやってまいりますので、その辺を含めて前向きに努めていきたいと思っております。以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございます。既にコロナの影響ではっきり分かる部分については、最初から考えに入れているということでございますね。池田委員、よろしいでしょうか。

○池田委員 はい。

○小杉分科会長 それでは、ほかの御希望が、まだ3人いらっしゃいますね。まず早川委員、お願いいたします。

○早川委員 早川です。私からはジョブ・カードについて質問です。ジョブ・カードに関連しているシステムとして、国土交通省の所管の建設キャリアアップシステムがあろうかと思います。建設キャリアアップシステムは2019年度からスタートしていて、もともとはこのジョブ・カードの思想というか哲学を、建設業の方で取り入れて運用されているシステムだと認識しております。
その国土交通省の建設キャリアアップシステムは、建設業界として技能に応じた適切な処遇を構築するため、そのシステムを利用するのが目的だと思うのです。そうすると、確かに所管省庁が異なるため、厚生労働省所管のジョブ・カードの利用者数から、建設キャリアアップシステムの数が抜け落ちてしまうのは仕方がないのですが、参考数字としては挙げてもいいのではないかと考えます。と言うのは、国所管の技能の育成という観点からは、厚生労働省として、もし国土交通省と何らかの連携が取れて、情報共有あるいは相互に乗り入れるようなシステムを構築できるのであれば、その建設キャリアアップシステムでもって建設業の人たちが離れてしまうのは非常に残念なので、このジョブ・カードの外側の数字ではございますけれども、こういった数字も国全体としては拾ったほうがいいので、参考の数字としてもらっておいたらいかがかと思うのです。

○小杉分科会長 事務局、お願いします。

○山本キャリア形成支援室長 事務局でございます。積極的な御提言、御意見ありがとうございます。私どもも建設キャリアアップのシステム、これは国交省の所管のものとして、例えば技能者の資格や社会保険加入状況、現場の就業環境など、そういうものを建設業において業界横断的に登録する、あるいは蓄積するシステムと認識しておりまして、一部果たす役割というものがジョブ・カードと共通する部分もあるのかと認識しております。
その一方で、ジョブ・カードについて先ほども少し触れましたが、労働者の自分自身のキャリアプランを描くなど、キャリアコンサルタントとともにキャリアコンサルティングの過程において洗い出しをする、自己理解を進めるというところで、また制度として少し狙い・目的も異なるというところもございます。直接、例えば早川委員がおっしゃったようなシステム間の連携など、なかなかにわかには難しいところもあろうかと思いますが、いろいろと国全体でという御趣旨でもあったかとお聞きしましたので、その辺りは可能なこと、もし照らし合える部分があるのであればということで、御意見として受け止めさせていただいたところです。以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございました。では次に、武石委員お願いいたします。

○武石委員 ありがとうございます、武石です。私は②のところで、質問があります。9ページの②の2019年度の実績のところなのですけれども、目標は未達成になったというところの、この要因なのですが、新規求職者が大幅に減少して100万9,000人が87万4,000人になったということなのですが、この新規求職者の減少幅に比べて、やはり目標未達の割合がちょっと大きいかなという気がするのです。新規求職者が13%ぐらい減だとすると、目標に対して実績は8割ぐらいだと思いますので、この実績の要因として、これだけでは不十分ではないかなというのが意見です。例えば支援対象の人数が減ったのと同時に、支援対象者より手厚い支援が必要な人たちが増えてきたとか、何か質的な側面もあるのだとすると、それも書き加えるべきではないかというのが1つです。
それから、②の目標に関してなのですけれども、これがなぜパーセントの目標になっているかというのがちょっと分からなかったのが1点と、それから、この66%という数字が、過去3年の実績を踏まえて設定ということなので、この過去3年の数字を教えていただきたいと思います。後半は質問です。よろしくお願いします。

○小杉分科会長 ありがとうございます。では事務局、お願いいたします。

○河嶋若年者・キャリア形成支援担当参事官 事務局です。お答えさせていただきます。まず、2019年度の実績のほうの数字の細かい要因は、おっしゃるように新規求職者数の減少幅に比べて、実績の落ち方が大きいのではないかということで、この「等」と書いている部分の具体的な内容についてですけれども、すみません、手元にデータを持っていなくて、確認して後ほど回答させていただければと思います。
あとは2020年度目標のほうですが、簡単なほうから、過去3年間の実績は、2017年度が67.2%、2018年度が65.7%、2019年度は64.6%、これの平均ということですけれども、では、なぜ目標がパーセントなのかということにつきましては、これは事業効果を測るのに人数がいいのか、それとも就職した者の割合がいいのかということで、人数だけだと先ほども申し上げたとおり、新規求職者数などが減少していくことによって、ずっと落ち続けている中で、人数の目標よりはパーセントのほうが、より効果を測定しやすいのかなというので、実は人材開発分科会の前に、7月に雇用保険二事業懇談会で同じように政策評価の目標を立てるときに、そこで、これまではフリーター等の数だったのを割合のほうにしたのです。それで今回、人材開発分科会のほうでも目標の考え方を変えて、割合とさせていただいたところです。以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございました。武石委員、よろしいですか。

○武石委員 ありがとうございます。実績に関しては、やはり前年の評価のところなので、「等」ではなく、きちんと書いたほうがいいかなと思いました。それからパーセントにするか人数にするかというのは、一長一短だと思うのですが、パーセントだと、その分母・分子の数というのが分からなくなってきますので、パーセントが悪いということではないのですけれども、人数の目標の実績の検討をするときに、人数も併せて御紹介いただけると有り難いと思います。以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、それは受け止めていただくということで。では、お待たせいたしました。玄田委員、お願いいたします。

○玄田委員 私は分科会長と事務局に、質疑の進め方について強い要望があります。御質問に関して事務局が「事務局です」というふうにお答えになりますと、どの目標に対してどの課室が御回答になったのかが分かりません。だから、この目標設定に関してどの課が責任部局になっているのかということと、その上での御発言であることが大事だと思いますので、是非事務局お答えの際には、担当課室名を必ず明確にしていただくか、資料のうちの2-1の8ページ目の所にある項目ごとに、やはり6ページと同様に担当課室を必ず明記していただけるようにしたほうが、今後の議論と責任の所在の明確化にとっては大事だと思いますので、是非その点は御検討いただきたいと思います。私からは以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。対面でみんなの顔が見えている状態ではないので、その辺は徹底したいと思います。ありがとうございました。発言希望、今、渡邉委員からございました。渡邉委員、お願いいたします。

○渡邉委員 ちょっと議題の内容と違う発言になるかもしれませんけれども、今の討議を聞いていまして、この時期に2020年度の目標設定というのは、やはりさすがに違和感を覚えます。2019年度の実績評価が、各種資料を集めるために今の時期になるならやむなしかと思うのですが、なにしろ1号議案で予算の概算要求がありまして、予算の概算要求でしたらば、自ずとその仮目標が、それぞれKPIに対して存在していると思います。ですから、その存在しているKPIに対する仮目標、これが現時点で、この春に設定したものが目標見込としてはこうなりますというような話とか、さらに修正させていただきますという話なら分かるのですが、やはりこのサイクルを変えていかないと、概算要求というのは何に基づいてしているのかなという議論になっていくと思いますので、是非このサイクルについて御検討いただきたいと思います。以上です。

○小杉分科会長 では、御自分で事務局名を。

○河野人材開発総務担当参事官 総務担当参事官の河野でございます。今、御指摘のございました昨年度の実績、今年度の目標をこの10月末という時期に御議論いただいていることの問題点については、非常におっしゃるとおりだと思うところがございます。概算要求が今年はコロナの影響で例年よりも1か月遅れましたけれども、それにしても10月末に、この御議論を頂くことになったことについてはおわびを申し上げたいと思います。来年度以降きちんと適時のタイミングで御議論いただけるように調整してまいりたいと思います。大変申し訳ございませんでした。

○小杉分科会長 ほかに。

○渡邉委員 ちょっとですね、1点、趣旨としてはよろしいでしょうか。

○小杉分科会長 どうぞ。

○渡邉委員 概算要求の中に、せっかくKPIを設定しているのだったらば、このKPIについて概算要求の中に、仮目標値で結構ですので、KPI項目を入れるべきではないかなと。これは事務局版だけでもよろしいです。ただ、どこかでこれを公表してしまうと非常に修正しづらいということでしたら、この事務局会議というか、この検討会議の概算要求をするときには、こういうKPIだったと、こういう設定をしたからこういう概算要求になっていますというような議論のほうが、より納得感が高くなるかと思いますので、是非よろしくお願いします。

○小杉分科会長 事務局ありますか。例年とはちょっと違って、例年は目標設定の議論というのはもっと早い時期にやっていたのですけれども、少しお待ちください。

○河野人材開発総務担当参事官 総務担当参事官の河野でございます。来年度の取扱いにつきましては、ただいま頂戴しました御意見も踏まえまして検討してまいりたいと存じます。よろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 よろしゅうございますか。

○渡邉委員 了解しました。

○小杉分科会長 議論はよく分かっていると思います。それでは、この件につきまして、ほかに発言希望の方はいらっしゃいますでしょうか。よろしければ、議題2、2019年度の実績評価及び2020年度の年度目標の案については、このとおりと了承したいと思います。
次に議題3、今後の人材開発施策の在り方に関する研究会報告書についてです。内容について事務局から資料の説明をお願いいたします。所属をおっしゃってください。

○篠崎人材開発政策担当参事官 人材開発政策担当参事官の篠崎です。我が国は、Society5.0から第4次産業革命に伴う技術革新の進展を迎えております。また、人生100年時代の到来で、職業人生も長期化する中にあります。そういった中において、現行の第10次職業能力開発基本計画は5か年計画で、この対象期間が令和2年度、つまり本年度末で終了することから、次期基本計画の策定に向け、令和元年10月からこちらの研究会を開催してきました。そして本年10月6日に報告書を取りまとめましたので、今回御報告するものです。今後についてはこの報告書を参考に、議論の素材として次期基本計画の策定に向け、今後の人材開発分科会において御議論いただきたいと思っております。
それでは報告書の概要です。資料3の通し番号12ページです。これは概要の一枚紙です。まず構成だけ御紹介して、本体を幾つか御紹介したいと思います。まず1枚目を見ていただきますと、緑色を付けている5つの箱があります。こちらが有識者に御議論いただいた今後の人材開発の方向性です。1つ目がSociety5.0の実現に向けた人材の育成や、「新たな日常」の下での職業訓練です。当然、産業構造の転換というのはこれまでにもありましたが、今回のコロナ禍でそれが加速するのではないかということも言われておりますので、そういったことを従来のデジタル技術の活用等々のほかに、「新たな日常」の下でということも視野に入れていく必要があるのではないかということです。
それから、3つのマルの真ん中です。これも新しい課題ではありませんが、あらゆる産業でITリテラシーの付与の推進が必要ではないかと。また、これまでも指摘された部分ではございますが、マルの3つ目、新型コロナウイルス感染症を前提とした「新たな日常」に対応したオンライン化、VRやARといったバーチャルリアリティーや拡張現実を活用した職業訓練という新しい技術を活用していくことも必要で、単にオンラインにするということではなく、質の向上につなげていく必要があるのではないかという御示唆を頂いています。
それから、箱の左の下です。2つ目は労働者の自律的・主体的なキャリア形成支援です。まず箱だけ紹介しますと、3つ目は労働市場のインフラの強化、4つ目は特別な配慮が必要な方への支援というのがあります。中高年、障害者、外国人等とありますが、これまでも高齢者や女性、障害者等々がありました。そういった特別な配慮が必要な方への支援を御示唆いただいております。それから5つ目は技能継承の促進ということです。一番下に※で書いておりますように、これも本文で後ほど紹介させていただきますが、新型コロナウイルス感染症による産業・就業構造や働き方の変化が、特に人材開発分野に及ぼす影響を見極めていくべきであると。まだ分からないこと等々がありますので、今後見極める部分があるのではないかという御指摘を頂いております。
それでは、本文のほうで幾つか御紹介させていただきたいと思います。まず本体の1ページ、通し番号13ページ、1の現状の認識を書いている所です。読んでいただければと思いますが、下の2つ目のマルの中で、「一人ひとりの労働生産性を高めていくことが必要不可欠であり、そのためには、資本への投資に加えて、デジタル化や人材開発への投資を推進していくことが重要である」と。これも従来から言われている部分ですが、確認をされております。その下が、そういった変化の中で対応できる人材、デジタル技術を活用できる人材が不足しているということです。
それから、次のページにかけてです。我が国の課題としてそういう人材は必要ですが、企業・個人が職業訓練にかける費用や時間、企業を通じて職業訓練を受けた労働者の割合が低下傾向にあるので、各主体がそれぞれ人材不足に向けて、力を入れていく必要があるのではないかという示唆を頂いております。その下、14ページのマルの1つ目の「加えて」に書いてあるように、デジタルトランスフォーメーションの加速化が促進されるものと見られます。これがコロナにより、いろいろな動きが加速されるのではないかということが書いてあります。その下で、これも人生100年時代に向けてというのがもともとの課題ですが、中段以降の「また」に書いてありますように、「新型コロナウイルス感染症の影響により雇用の見通しが不透明さを増す中で、キャリアプランの見直しを要する労働者の一層の増加に加え」ということで記載しております。自分の職業人生を考えることを迫られている労働者もおりますし、考える機会になったということもありますので、より一層職業人生が延びる中で、キャリア形成というものを考える必要があるのではないかという動きが、更に加速化されたのではないかと考えております。
2、今後の基本的な方向性です。これは、この後の3の具体的な取組とパラレルな部分がありますので、2の今後の基本的な方向性のほうは、今回は省略させていただきます。
続いて15ページを御覧ください。3、具体的な取組です。1つ目は大きな箱の「Society5.0の実現に向けた」という所です。先ほど申し上げたように、いろいろな産業構造の転換が加速するのではないかということで、ここでは様々なことを記載していただいております。
1つ紹介させていただきたいのが、16ページのマルの3つ目です。有識者の御議論の中で出てきたものの御紹介です。教育分野におけるEdTech、技術を活用したプログラムですが、そういったものも、今、進展しております。例えばオンラインで訓練をするということにとどまらず、そういった技術を活用していくと、職業訓練の質の向上につながる可能性もあるのではないかということです。これも今、具体的に対応策があるわけでもありませんが、そういう御示唆を頂いているところです。
それから報告書で言うと5ページ、通し番号17ページの、(2)労働者の自律的・主体的なキャリア形成支援を御覧ください。これも全く新しいことではないかもしれませんが、マルの1つ目に書いてありますように、人生100年時代を迎える中で、マルの1つ目の最後の「また」にも書いてありますように、副業・兼業をスキルアップの手段として希望するなど、働き方が多様化しているということで、職業人生が伸びるだけでなく、場合によっては雇用に限らず、いろいろな働き方があるのではないかということです。
それからマルの2つ目です。これも御議論の中で強調されていたところで、在職中の労働者に対する職業能力開発には、引き続き企業が役割を果たしていくことが重要であるということです。この項目では労働者の自律的・主体的なキャリア形成としておりますが、御議論の中では労働者が力を身に付けていく、キャリアアップをしていく中では、働く場が重要なので、働く場である企業の役割がこれまでも当然重要でしたが、引き続き今後も重要であろうという御指摘を記載させていただいております。
17ページの一番下が、キャリアコンサルティングの普及に関するところです。これについては次のページに、「オンラインを含む」と書いております。キャリアコンサルティングをオンラインでというのは、これまで十分に認識がなかった部分でありますが、実際にやっていた事業者もありますし、コロナをきっかけにオンラインでもできることが分かってきましたので、こういったことも活用しながら推進していくことが必要ではないかということを指摘いただいております。
18ページのマルの4つ目も、同じくキャリアコンサルタントに関することです。「キャリアコンサルティングに寄せられる相談内容の複雑化・高度化に対応するためには、必要な知識・技能を身に付ける機会を確保するとともに」と書いてあります。やはりキャリアコンサルタントに活躍していただくに当たり、専門性を身に付けたり、関係者とのネットワーク作りをしたりといったことが必要であろうということで、いわばキャリアコンサルタントの質の向上についても指摘をされているところです。
大項目の、労働市場のインフラの強化と、特別な配慮が必要な方への支援については、20ページの特別な配慮が必要な方への支援の中で、1つだけ御紹介させていただきます。一番下の在職障害者の職業能力開発の推進です。障害者について、これまで雇入れと職場定着支援に重点が置かれてきました。一方で働く障害を持つ方もいろいろなので、当然雇い入れた後のキャリア形成支援を進めていくという観点も必要であると指摘されております。在職者に対してどういう支援をするかということは、今、具体的な対応策が十分にあるわけではありませんが、そういったニーズ等々に関して、調査研究もすべきであるという御指摘を頂いております。数としては就職した後の職業人生が長いので、そこへの支援です。これは障害者に限らずかもしれませんが、在職者への支援というのが1つの課題であるという示唆かと思っております。
21ページ、4、最後にです。具体的には22ページを御覧ください。コロナ禍でどういう課題があるかというのは、まだ十分に分からないところもありますが、22ページの上のほうから「本研究会としては」と書いてあります。例えば「現時点で考えられる課題や留意点として」ということで整理をしていただきました。現時点で考えられるものなので、これ以外にもあるかもしれませんが、例示としてこういったことも踏まえながら、更に厚生労働省において検討を深めていくことを期待するというように御指摘いただいております。
ここに書いてあるマルを、簡単に紹介させていただきます。1つ目がデジタル化のスピードが更に加速化すると、従来よりもスピーディーにリスキリングすることが求められることが予想される。
2つ目として、デジタル化のスピードも含めて変化が激しくなると、対応できる企業・個人と、対応が困難な企業・個人の二極化が懸念されるということです。
3つ目は新卒者や転職者など、新たに入社した方へのOJTなどの課題にも目を向けるべきであるということで、オンラインで全て何でもできるかというと、課題はあるのではないかと。例示として、新規学卒者や転職者などのことを記載しております。
4つ目が、「テレワークを活用した在宅勤務の普及が予想されるが」ということで、こういった働き方に対応できる人と、できない人の差が明確になってくる可能性があり、そういった者への対応が必要ではないかということです。
5つ目が、IT分野などでは非対面業務でできるものもありますから、そういったものの好事例や先進事例を参考にしつつ、職業訓練や企業内研修を進めていく必要があるという御指摘です。
6つ目が、新型コロナの影響が、特に非正規雇用労働者の雇用の減少につながることを想定した対応が必要であるということです。
7つ目が、エッセンシャルワーカーへの人材の確保の御指摘です。
そして8つ目、新型コロナ感染症の影響で離職した方に、再び働く意欲を持ってもらうためにも、教育訓練は重要であるということです。これは例えばということで、こういったいろいろな動きを見極めながら、政策展開をしていくべきであろうという御指摘かと思っております。以上です。

○小杉分科会長 ただいまの事務局の説明に対して御質問、御意見がありましたら、ショートメッセージで発言希望とお名前を入れてください。では海老原委員、お願いいたします。

○海老原委員 そもそものところを聞きたいのです。Society5.0とか、キャリアコンサルの話などが出てきますよね。そういうものではなく、メニューの話をもう少し聞きたいのです。職業訓練のメニューを見ると、旧来型の技能職若しくは事務員、ITやパソコンなどの話しか出てこないのです。私がドイツで見てきてすごいなと思ったのは、向こうではホワイトカラーの職業訓練をたくさんやるのです。例えばメーカーに入ったらどんな仕事をするか、金融系に入ったらどんな仕事をするか、商社に入ったらどんな仕事をするか、つまり貿易実務業務とかいわゆる普通のサラリーマン、今働いているのは圧倒的に普通のサラリーマンが多いけれども、そういう職業訓練のメニューがしっかりできている。
さらに職業対策から言えば大学の時点から、経理というのは何をやるのか、人事というのは何をやるのか、営業というのは何をやるのか、総務というのは何をやるのかを徹底して教えてくれる。フランスでも普通大学の職業課程でホワイトカラー業務に関して、かなりの職業訓練をやっているのです。日本だけ遅れた、手に職系とか技能系とか事務の話ばかりやっていて、そこから一足飛びに今度はSociety5.0のような話になってしまうのが、私は少し疑問があるのです。ホワイトカラー系の職業訓練を充実させていくような方向性はあるのですか。

○篠崎人材開発政策担当参事官 政策担当参事官の篠崎です。御指摘のとおり、当然ものづくり系だけではなく、いろいろな産業があります。そういった中で公共職業訓練はおっしゃるとおり、施設内ではものづくり系を中心にやっております。一方で民間や委託でできるものは施設内ではなく、民間に任せようということがあります。例えば離職者に対する委託訓練では、もちろん事務系や販売なども含めて委託訓練でやっています。
それから、Society5.0やITに一足飛びに行くのかという御指摘も、正しい部分があります。離職者だと転職して、いわば入門からいきますので、一気に高度人材まで育成するというのは、なかなか難しいところがあります。したがって、IT関係も技術者は一部ありますが、IT利活用人材ということで、どの産業でも、まず入口から利活用ということでできるような人材を中心に離職者はやっています。
それから、御指摘の学校教育からというのは、学校教育と職業教育の在り方が全体として違いますので、そこは一概に比較できませんが、今申し上げたように、離職者訓練としてはある程度汎用性の高い、入口から訓練するというのが現実ではあります。しかし、おっしゃるとおり多彩なメニューを用意し、常にやっていくというのはそのとおりだと思っております。

○小杉分科会長 海老原委員、よろしいですか。

○海老原委員 いいですよ。

○小杉分科会長 では熊野委員、お願いいたします。

○熊野委員 質問を2点お願いいたします。まず1点目です。報告書全体ですけれども、読んだ印象から、正規労働者を中心として書かれております。正規労働者に比べ、職業能力開発の機会や支援が届きにくい、有期・派遣などで就労されている労働者への対応について読み取りにくいと感じました。今後、この報告書のエッセンスを基に労政審で検討する際に、どのように対応していくのか、見通しがあれば教えていただきたいのです。
報告書にもあるのですが、新型コロナウイルス感染症の影響により、先行きが見通せない中で、有期・派遣などで就労する労働者の安定的な雇用の確保が重要性を増しています。雇用の安定に向けた道筋の1つとなり得ると思いますので、厚生労働省として対応を示していただくことが大切ではないかと考えております。
もう1点目です。報告書の10ページ、通し番号22ページの4つ目のマルに、テレワークの更なる普及についての記載があります。テレワークについては管理者を含めて対応できないというか、うまくできない内容も様々だと思いますし、訓練はやはり必要だと思われます。今後、どういった内容で実施されるのか、また、もう既にあるようでしたら、そういったものについて教えていただきたいと思います。

○小杉分科会長 では、事務局からお願いいたします。

○篠崎人材開発政策担当参事官 政策担当参事官の篠崎です。まず1点目、非正規雇用労働者に関する御指摘がありました。今回の研究会の報告書の中でも、コロナ禍で影響を受けやすいという御指摘を頂いており、御質問は今後どう扱っていくのかということですが、今回は特に不足している部分を御議論いただいたと思っております。一方で次の能力開発の基本計画の中では、網羅的に対応しなければいけないということで、それぞれの分野をしっかり書いていく必要があります。今でも求職者支援制度というのは、主として正規雇用の労働者を念頭に作ったというのがありますので、そういったものはきちんと対応策を書いていくべきだと思っております。
それから、テレワークに関する御指摘がありました。テレワークについて、1つはテレワークを導入するための助成金などの措置もありますし、厚労省の別の場でもテレワークに関する研究会を開催しております。そういったところの課題も踏まえ、人材育成だけではなく、幅広く議論をしております。そういったものの中から、どういう課題が出てくるかを見極めていく必要があるのだろうと思います。
技能の問題は、デジタルとは言っても先ほども言ったように、高度なデジタル化もありますが、正に利活用の部分もありますので、利活用についてはできる人材の中で、パソコンが使えるとか、Excelで分析できるというのも利活用ですが、そういった通信的な部分やオンライン対応も含め、利活用に関するいろいろな概念が広がってきているのではないかと感じております。したがって、どのように対応していくかというのは、今後の課題だと思っております。

○小杉分科会長 続いて仁平委員からお願いたします。

○仁平委員 12ページのポンチ絵の下の箱に、「労働市場インフラの強化」とあり、ジョブ・カードの記載があります。先ほどの議題のやり取りとも関係するのですが、今後の人材開発政策の在り方として、ジョブ・カードに対してどのような課題があると捉えているのか、改めてお教えいただけないでしょうか。それに関連して、細かいのですけれども、ジョブ・カードの電子化も基本計画にあったと思います。今の時点でどこまで進んでいるのかというのも、併せて教えていただきたいというのが1つです。
もう1つは箱の一番右の所に、「技能継承の促進」という記載があります。これは事務局からの説明のとおり、コロナやデジタルトランスフォーメーションなどを含めて、産業ごとに既に様々な職場で影響が出ておりますし、これからも影響があるのだろうと思っております。ただ技能継承の促進の内容を見ますと、デジタル技術を活用した技能継承や技能五輪、学校教育でのという記載など、若者を対象とした施策が多いのではないかという印象を受けました。今後の人材開発政策の在り方を考えたときに、職場が考える技能継承とは、少しずれがあるのではないかと思いましたので、これについては意見として申し上げたいと思います。

○小杉分科会長 では、最初にジョブ・カードについてよろしいですか。

○篠崎人材開発政策担当参事官 政策担当参事官の篠崎です。まず概括的にお答えしたいと思います。ジョブ・カードについては当然あらゆる場で推進するということで、理解されている方には理解されているのですが、需給調整の場面で使われているのがジョブ・カードという感じがされていて、在職中のキャリアアップなどに使うという認識を社会的に持たれていない部分もあるかと思っております。これは厚生労働省の周知の問題もあるかもしれません。あらゆる場で使う中で、在職中の活用を今も推進しておりますが、そこをどう活用していただくかということが課題かと思っております。
デジタル化に関しては別途、担当のほうから御説明したいと思っております。技能継承の話についても御指摘ということでしたので、そちらのほうは受け止めさせていただきたいと思っております。

○山本キャリア形成支援室長 ジョブ・カードの担当をしております、キャリア形成支援室長の山本です。今進めているのがジョブ・カードのデジタル化で、マイナポータルとの連携ということで、令和4年度の連携を目指して進めております。具体的にはジョブ・カードをオンライン上で登録できる新規サイトを構築するという中身になっております。そのサイトで設けられるマイページとマイナポータルを連携することで、個人の方がスマホあるいはタブレットからインターネットを経由し、作成支援サイトにアクセスしてオンラインでジョブ・カードを作成するということを考えております。
それから、ジョブ・カードの目指す部分というか活用の部分ですが、今は企業の場面や需給調整の場面、学校の場面で活用を進めていきたいと思っております。それぞれのライフステージに応じたキャリア選択ができるような支援の環境を推進したいと思っており、そういう利便性を高めるデジタル化の話など、その辺りを含めて前へ前へと進めていきたいと思っております。

○小杉分科会長 では池田委員、お願いいたします。

○池田委員 経団連の池田です。報告書の取りまとめをありがとうございます。この報告書にも記載されているとおり、人生100年時代の到来とか、ジョブ型雇用の動きなどが広がる中で、労働者の自律的・主体的なキャリア形成支援など、人材開発の重要性がますます高まっているということには賛同したいと思います。その上で、二事業という基本的に事業主負担だけで賄われている財源の在り方などについても、今後検討をしていく必要があるのではないかという問題意識を持っております。御検討いただければ幸いです。

○篠崎人材開発政策担当参事官 政策担当参事官の篠崎です。今、財源の御指摘がありました。財源については雇用保険二事業の性格上、事業主の拠出からのみ事業を行うということで、これまでも二事業懇談会やこういった審議会などで御指摘を受け、それらを踏まえながら対応してきたところです。その中で当然、事業主にメリットがあるものもあります。分かりやすく言うと、助成金などは事業主に支給するものですが、その他のものについてはどういう必要性があるのかということを御判断いただきながら、御説明しながらやってきました。財源論というのは、今後も議論されていくのではないかと思います。
ただ、一方で雇用者に関するキャリアアップ等々については、事業主にも当然メリットがあることなので、現状としてはそういった中で御理解を頂きながら、キャリアアップについても対応しています。1つ御紹介しますが、教育訓練給付制度については、労働者が自ら自発的な学びをするということで、雇用保険本体の中で教育訓練給付というものを創設して対応しており、現状では役割分担をしながらやっているところです。御指摘として受け止めさせていただきたいと思います。

○小杉分科会長 次に小松委員、お願いいたします。

○小松委員 2点ほど申し上げます。12ページの下の4項目の一番右の「技能継承の促進」です。当社も中小企業の製造業ですけれども、企業としてもデジタル技術の活用や機械のIOT化をしていくことは、熟練した技術を承継しつつ付加価値を高め、国際競争を強化するためにも必須条件となっております。人材開発のほうでも、このような状況に対応できる教育訓練が重要になってくると思っております。ですから、こちらに書いてある技能五輪なども重要な取組であると認識しております。
もう1つは、その隣に「特別な配慮が必要な方への支援」と書いてあるのですけれども、「特別な配慮」の「特別」というのが、何をもって特別かというのは、その時々や条件によっていろいろ変わってくると思うのです。そこがどう決められているのか、今後内容を見直していきながら決めていくのかというのも、考えて決めていただけたらいいと思っております。

○小杉分科会長 今の発言は事務局で受け止めていただくということで、よろしければ、これ以上御質問や御発言がなければ、次の議題に移りたいと思います。次に議題4、今後の若年者雇用に関する研究会報告書についてです。内容について、事務局から説明をお願いいたします。

○河嶋若年者・キャリア形成支援担当参事官 若年者・キャリア形成支援担当参事官をしております河嶋です。私からは、今後の若年者雇用に関する研究会報告書の概要ということで、資料4、26ページが概要で、27ページ以降が本体という形になっております。これは5年前ですが、平成27年に若者雇用促進法を改正しているのですけれども、その改正法の附則の中で、平成27年の施行から5年後の見直しをすると。その見直しに当たって検討することとされており、同じく平成27年に、若者雇用促進法に基づいて策定された青少年雇用対策基本方針というのがあるのですが、これの対象期間がちょうど令和2年度、今年度までということになっており、対象期間の満了に伴う新たな基本方針の策定に向けた検討を行う必要があり、この2つの検討を行っていくに当たって労働政策審議会人材開発分科会においての議論に先立ち、昨年9月から有識者7人からなる研究会を立ち上げて、若年者雇用施策のフォローを行っていただいたところです。先週になりますが、10月19日の第7回研究会で報告書案を議論いただいて、10月23日金曜日に一部修正の上、報告書を取りまとめて公表したところです。それを受けて、本日、人材開発分科会で御報告させていただければと思います。
詳細の説明については、資料の26ページを御覧いただければと思うのですが、概要をかいつまんで説明いたします。上のほうに現状と課題となっていますが、日本型雇用管理の変容の動き、ジョブ型が一部導入されてきたり、こういう変容の動き、あるいはコロナ禍を受けて、テレワークが今まで以上に更なる普及などもしてきて、柔軟な働き方による子育て等との両立の進展などといったことで、社会産業構造等の変化が今までも進んできていたのですけれども、コロナ禍を受けてより加速化してきているのかなということを踏まえて、労働者のほうで主体的な選択をしやすくするために、外部労働市場の整備と継続的なキャリア形成支援を行うとともに、今後の日本型雇用管理の変容も視野に入れた個人のキャリア形成支援と、企業の新たな雇用管理の構築支援を行っていくことが課題となっています。
そういう課題認識の下に、下のほうの今後の若年者雇用施策の在り方ですが、1つ目に若者雇用促進法に基づく仕組みである、上のほうの青少年雇用情報の提供、あるいは下のほうにあるユースエール認定制度、こういったものの効果的な改善を図っていくことによって、若者の適職選択の支援を進めていくべきであるといったこと。あるいは今後の若年者雇用施策の在り方についてですが、個々の若者の状況に応じた新規学卒者の定着支援、ここで言うと一番下のマルですけれども、新規学卒者の定着支援あるいはキャリア自律に向けた支援、更には若年者雇用の安定化に向けた支援というものを3つの支援の柱として位置付けて、各般の施策を実施していくべきであるといった施策の方向性をまとめていただいたところです。これを受けて、先ほどの職業能力開発基本計画と同じように、青少年雇用対策基本方針についても新たな基本方針を、今後、人材開発分科会で御議論いただければと思っております。
中身についての網羅的な説明は、時間の関係で省略させていただきますが、主なものというか目に付くものになってしまいますけれども、一部紹介させていただければと思います。35ページから、新卒一括採用慣行についてということで、この研究会で御議論いただいています。新卒一括採用慣行については、メリットもあればデメリットもあるということで、デメリットのほうを捉えて見直しを図るべきだという議論もなされているところですが、まずその前に、きちんと概念の整理をすべきであるという意見が研究会で出されて、次の36ページにあるような形で新規学卒者の採用・選考を類型化して、概念整理をしていただいたということです。ここでは、新規学卒者に対する採用・選考活動を、採用・選考時期として在学中なのか、それとも卒業後なのかという話。あと選考基準、ポテンシャル型と明確なスキル・知識型と書いていますが、明確な知識・経験・スキルを求めるものを明確なスキル・知識型、それ以外の人柄や学生時代の経験等を広く総合的に評価するものをポテンシャル型という形で整理いただいて、マトリックスにしているということです。
更には職務範囲ということで、職務無限定なのか職務限定のいわゆるジョブ型なのかと、こういう3つの軸で概念を整理するという形で御議論いただいて、この表のようにまとめていただいています。典型的な新卒一括採用というのは、採用選考時期であれば在学中、選考基準であればここで言うところのポテンシャル型で、タイプAという緑の所になっていますし、典型的な欧米型の採用システムということであれば、採用選考時期は卒業後で、明確なスキル・知識型ということでタイプdという形で整理していただいています。その上で、この新卒一括採用慣行は、あくまでも法制度ではなくて、企業や学生に定着してきた慣行であるということで、見直しの議論にな当たっては、その意味するところとか対立概念等についてここで整理されたこと、あとはメリットとデメリットもありますから、それを踏まえた上で当事者の主体性を尊重した議論、それに基づく環境整備が図られることが望ましいという形でまとめていただいています。
あと、ほかもつまみ食いのようになりますが、最後にという所で書いてありますけれども、実は結構この研究会の中ではコロナ前の時点を前提に議論していただいたのですが、コロナを受けたところで今後どうなるのかという話について、最後にのマルの3パラ目の真ん中辺です。今後、中長期的に新型コロナが若年者雇用にどのような影響を及ぼすかについては、現時点で具体的に見通すことは困難ですが、現状ではということでここに書いてあります。既に来年3月卒業予定の学生さんの活動についても、就職活動が繰り下げられているとか、一定の影響が出始めているという中で、Web中心の就職活動にならざるを得ないというので、学生さんは順応されている方が多いのですが、一部に不安を抱えられている方もいらっしゃるということで、新型コロナの影響が今後、若者の働き方、キャリア形成にどのような影響を与えるかを引き続き注視していく必要があるという話です。
あるいは新規学卒者の人材育成ですが、入社早々にオンライン研修となって、同期とも会話できない等の厳しい状況に置かれているという中で、企業は様々に試行錯誤しながら取組をしているというのも若干、例示的に紹介しています。厚生労働省で引き続き中長期的な影響を十分に見極めた上で、更なる検討を深めていくことを期待するという形で、今後、人材開発分科会で御議論いただきたいと考えております。私からは以上です。

○小杉分科会長 それでは、皆様から御質問、御意見を伺いたいと思います。また、ショートメッセージで発言希望の旨をお伝えください。よろしいですか。皆様、終わりの時間を配慮していただいているように思いますが。

○上野委員 すみません。

○小杉分科会長 どなたでしょうか。

○上野委員 日本基幹産業労連の上野ですが、ちょっと今打てなかったので、1点だけよろしいですか。

○小杉分科会長 上野委員、どうぞ。

○上野委員 26ページの、聞こえますか。

○小杉分科会長 はい、聞こえています。

○河嶋若年者キャリア形成支援担当参事官 聞こえています。

○上野委員 26ページの囲みの上側のマルの3つ目ですけれども、ここの所には首都圏から地方圏へ人や会社が移動していることを前提に書かれていますが、今回のテレワークの普及によって、首都圏から地方だけではなしに、地方に転勤や地方支社がない場合には、むしろ首都圏に集中する可能性もあります。ここに書かれていますようにその可能性というのは、どちらもあるということを含めたことなのかというのが1点です。
あと意見ですけれども、この資料では、現状と課題を受け、推進すべき課題が記載されていますが、新型コロナウイルスによる影響のある中で、地方圏における労働市場が拡大するのか縮小するのか分からない現状であるとすれば、下の欄外に注釈があるように、どのように変化するかを注視しつつとありますので、一方方向だけではなしに多方向で考えていただければというのがあります。また、この分科会の所掌範囲ではないかもしれませんが、テレワークのみならず、こうした労働の移動とか企業移転が生じる場合の労働協約等について、労政審の中に検討会などを設置して議論を行うのかをお聞きしたいと思います。以上です。

○河嶋若年者・キャリア形成支援担当参事官 若年者・キャリア形成支援担当参事官をしております河嶋です。回答を引き続きさせていただきます。前半の首都圏から地方圏への労働者の異動うんぬんの可能性というのが一方方向ではないかという話は、おっしゃるとおりです。ですので、逆もあるのでそれだけではないということで、可能性という表現にとどめているところです。いずれにしても、おっしゃるように逆もあるので、双方向で捉えて考えていくというのは、我々厚生労働省としても考えていかなければいけないと思いますし、今後なされる人材開発分科会でもそういう形で、双方向で影響を見て考えていきながら議論いただければと思っております。

○上野委員 了解いたしました。

○河野人材開発総務担当参事官 総務担当参事官の河野です。テレワークに関する御意見を頂戴いたしました。当分科会の所掌に係る部分ではありませんが、今テレワークについて他部局で検討会が行われている等ございますので、御意見については共有させていただきたいと存じます。以上です。

○上野委員 よろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 ほかに御意見はございますか。よろしければ、この議題はここまでとさせていただきます。議題については以上となりますが、全体を通して委員の皆様から何か御意見はございますか。よろしいでしょうか。特にないようでしたら、本日の議論は以上といたします。また次回、第22回分科会の日程については、おって事務局より御連絡させていただきます。
本日の議事録の署名委員ですが、労働者側代表の熊野委員と使用者代表の河本委員にお願いいたします。それでは、以上をもちまして、第21回労働政策審議会人材開発分科会を終了いたします。どうも皆様、お疲れさまでした。