令和2年度第1回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医療機器・再生医療等製品安全対策部会安全対策調査会議事録

日時

令和3年1月22日(金) 18:00~

場所

田中田村町ビル5A会議室(オンライン会議場)

議事

○安全対策課長 それでは、定刻を若干過ぎてございますけれども、「令和2年度第1回医療機器・再生医療等製品安全対策部会安全対策調査会」を開催いたします。
本日は、御出席の先生方、お忙しい中どうもありがとうございます。
本日の調査会は、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、一般傍聴は制限させていただき、報道関係者の皆様に限り傍聴を可としておりますが、カメラ撮りは冒頭から禁止とさせていただいております。御理解・御協力のほど、よろしくお願いします。
なお、議事録につきましては、後日、厚生労働省ホームページに掲載いたします。
また、対面でなくウェブ開催としており、委員及び参考人の先生方は外部より御参加いただくこととなります。そのため対面での進行と一部異なる部分がありますので、これまでのウェブ開催と同様ではありますが、先立ちまして本調査会の進行方法について事務局より説明させていただきます。
○安全使用推進室長 事務局より御説明いたします。
まず、ハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようにお願いいたします。御意見・御質問をいただくときはミュートを解除し、初めに御自身のお名前をお知らせいただいた上で御発言をお願いいたします。
発言のタイミングが重なったり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した際は、一度御発言を控えていただき、調査会長から順に御発言者を御指名いただきます。
その他、システムの動作不良などございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしている事務局の電話番号まで御連絡をお願いいたします。
また、もし事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合は、事務局から一斉にメールで御連絡いたしますので、御確認いただけますと幸いです。
御不便等をおかけするかもしれませんが、何とぞ御理解・御協力のほどお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
それでは、ここからの議事進行につきましては、調査会長の荒井委員にお願いいたします。
○荒井調査会長 調査会長の荒井と申します。座長を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
今のお話にありましたように、ウェブの開催ですし、いろいろと不便なところがあるかもしれませんが、円滑な議事進行に御協力をお願いいたします。
事務局から説明がありましたが、ただいまのところまでで何か御質問や御意見ございますか。よろしいでしょうか。
それでは、議事に入ります前に、委員の出欠状況等につきまして、事務局から説明させていただきます。お願いします。
○安全使用推進室長 本日の委員の出欠状況ですが、木下委員、蓜島委員より御欠席の連絡をいただいており、5名中3名の委員に御出席いただいております。薬事・食品衛生審議会の規程により、本日の調査会は成立することを御報告申し上げます。
続きまして、参考人の先生を紹介いたします。
議題1「経腸栄養分野の小口径コネクタ製品の切替えについて」の関係で、一般社団法人日本臨床栄養代謝学会より理事の飯島正平先生、同じく理事の丸山道生先生。
日本重症心身障害学会より、新規コネクタ問題特別プロジェクトチーム委員、びわこ学園医療福祉センター草津小児科医長の永江彰子先生。
名古屋大学医学部附属病院副病院長、患者安全推進部教授、長尾能雅先生に御出席をいただいております。
○荒井調査会長 ありがとうございます。
それでは、続きまして、調査会参加に関する遵守事項につきまして、説明をお願いいたします。
○安全使用推進室長 本日、御出席の委員及び参考人の方々につきまして、議題1の影響企業とされた製造販売業者からの過去3年度における寄附金・契約金などの受け取り状況を報告いたします。
影響企業につきましては、事前にリストを各委員、参考人にお送りして確認をいただいておりますが、荒井委員より住友ベークライト株式会社より500万円超のお受け取り、丸山参考人より日本コヴィディエン株式会社より50万円以下のお受け取りと御申告をいただいたほかは受け取りの申告はございませんでした。
本議題につきましては、薬事分科会審議規程第18条において、申告対象期間中の受取額を自己申告し、申告書を厚生労働省ホームページにて公表することで、全ての委員・参考人は意見陳述等に加わることができるとされておりますので、追ってホームページで公表させていただきます。
続きまして、事務局より、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告させていただきます。
薬事分科会規程第11条においては「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定しております。今回全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。
報告は以上でございます。
○荒井調査会長 ありがとうございます。
ただいま事務局から説明のありました調査会参加に関する遵守事項につきましては、よろしいでしょうか。
特に御意見がないようですので、影響企業の妥当性を含め御了解いただいたこととさせていただきます。
それでは、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。
○安全使用推進室長 本日のウェブ会議に係る資料の確認をさせていただきます。
あらかじめ先生方に資料をお送りさせていただいておりますが、議題1に関して資料1-1から1-4をお手元に御用意いただけておりますでしょうか。
このほか、議事次第、資料一覧、委員・参考人一覧及び影響企業リストをあらかじめお送りしております。
○荒井調査会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
それでは、議題1「経腸栄養分野の小口径コネクタ製品の切替えについて」を始めさせていただきます。まず、事務局から概要について御説明ください。お願いいたします。
○事務局 事務局より概要を説明させていただきます。
資料1-1「経腸栄養分野の小口径コネクタ製品の切替えについて」を御覧ください。
まず、背景ですが、近年、経腸栄養分野を含む複数の製品分野のコネクタの誤接続による医療事故を防止するため、コネクタに係る国際的な規格の制定が進められているところでございます。
日本におきましても、医療事故の防止と安定供給確保のため、新規格への切替えを進めておりまして、経腸栄養分野につきましては平成30年3月に製造販売業者による旧規格製品の出荷は2021年11月末までとすることを通知しているところでございます。
一方、日本重症心身障害学会等より、重症心身障害児・者の医療的ケアにおきまして、新規格製品の課題が示されております。主な課題といたしましては、新規格製品ではネジ型の形状をしているため、ねじりが必要になってきます。そのため、手首への負担の増加が懸念される点が1点。
また、新規格品のコネクタ部分に栄養剤等が残ることによる汚染の懸念がございます。
また、新規格製品ではシリンジの先が短いことにより、薬剤や栄養剤の吸入に専用のデバイスが必要となる点も課題として挙げられております。そのため、旧規格製品の存続を希望する旨の要望をいただいているところでございます。
対応方針でございます。経腸栄養分野の小口径コネクタ製品の切替えにつきましては、医療事故防止と安定供給確保のため、新規格製品への切替えを進める必要があると考えております。しかしながら、いただいた要望も踏まえまして事務局といたしましては、次のとおり対策を講じてはいかがかと考えております。
重症心身障害児・者の介護者等の負担増加等、日本重症心身障害学会等から示された新規格製品の課題等について、関係者等との十分な検討を行う必要がございます。そのため、旧規格製品の出荷終了期限を1年間延長し、2021年度内に課題の整理及び対応策の検討を行ってはいかがかと考えているところでございます。
事務局からの説明は以上になります。             
よろしくお願いいたします。
○荒井調査会長 ありがとうございました。
それでは、次に本議題に関しまして、先ほど御紹介いただきました永江参考人、飯島参考人、丸山参考人、長尾参考人にご参加いただいております。
まず初めに、重症心身障害児・者の医療的ケアの観点から、永江参考人に御意見をいただきたいと思います。よろしいでしょうか。
○永江参考人 びわこ学園医療福祉センター草津の永江彰子と申します。
私たちは、重症心身障害学会で新規コネクタの移行に伴って、いろいろな懸念事項がありましたので、新規コネクタプロジェクトチームを設置し、検証を行いました。検証結果を説明します。
まず、資料1-4の資料1を御覧ください。この検証は、現行コネクタと新規コネクタによる注入の負担、注入時間差などの違いを明らかにしました。
検証施設は5施設です。期間は2020年9月。看護師40名による模擬注入検証を行いました。
方法ですが、半固形1包(300キロカロリー)をシリンジで模擬注入しました。新規コネクタと現行コネクタと双方で行い、時間を測定しました。現行コネクタで行った場合は、時間は282秒、4.7分。新規コネクタの場合は6.1分ということで、平均1.3倍延長することが分かりました。
また、負担感についてVAS法という方法で評価しましたところ、新規コネクタと現行で全て0.01の有意差を認め、全ての操作が新規コネクタで負担が高いという結果が分かりました。
使用感についても、新規コネクタは使いづらいという結果となりました。
こういった新規コネクタを用いた模擬検証の間に、それぞれ具体的な意見も聞きまして、例えば、新規コネクタを使用するときのプロテクター、アダプターや採液ノズルや細々とした附属品が生活場面での管理で、例えば誤食の危険性があるのではないか、コストの問題、洗浄の問題など、実際に使用している看護師から複数の懸念が挙げられました。
資料2に移ります。こちらは重症心身障害児・者施設3施設にて、注入に関してのコネクタの着脱回数をカウントしました。
3施設、看護師は140名、対象の経管栄養者としては156名の協力を得ました。平日5日間の日勤帯8時間のみで接続部分のコネクタを何度着脱したかを数えたところ、患者さん1人当たりは日勤8時間の間で中央値11回、最大65回でした。看護師側としては、平均2.73人の患者さんの担当となるために、8時間で中央値32回の着脱が必要ということが分かりました。この回数に関しては、最大187回という回数を実施している看護師がおりました。
その着脱回数を増加させる要因としては、今ミキサー食を採用している患者が多いために、それを実施している場合や減圧や胃の排液処置を多く必要とする場合、あと、詰まりやすい薬の場合に複数回白湯で押すということで、その着脱の回数はそういう処置が必要な患者の場合に多くなることが分かりました。
資料3に移ります。以上の着脱の回数は3施設限定で行っておりますが、それが日本の重症心身障害児・者施設で一般的に言えるものかを検討するために、アンケート調査を行いました。
西日本32施設にアンケートを実施し、施設の看護師に対しては手首痛やその理由などを聞いております。
さらに、重症心身障害児・者施設32施設の管理者に対して、ミキサー食の実施や排液、減圧の必要な患者、詰まりやすい薬剤の投与者について数を聞いております。私たちの3施設とほぼ同様か、またはミキサー食については有意に多いという結果が得られました。
また、それぞれの看護師に聞いたアンケートによると、既に手首痛がある方が1,082名中53%、その約10%、100人で手首痛による受診歴があることが分かっております。
以上になります。
○荒井調査会長 ありがとうございます。
今の永江参考人の御説明につきまして、お聞きになりたい点があるかとは思いますが、それぞれの立場からまずお話をお伺いして、その後で議論に入りたいと思いますので、次に、丸山参考人に御意見をいただきたいと思います。丸山参考人、よろしくお願いいたします。
○丸山参考人 ありがとうございます。私は、現在の日本臨床栄養代謝学会において、その前は日本静脈経腸栄養学会と言ったわけですけれども、そこで厚生労働省の方々と一緒に実験も5年前ぐらいから行ってきているわけです。この規格自体は、もともとは世界規格であって、世界の各国で使われるということで導入されてきたものになっています。
現在、日本でこのように使われておりますけれども、その前の導入に当たって、先ほどの先生のお話のとおり、ミキサー食や半固形が注入の口も細くなるだろうと。また、いろいろな附属品をつけないと吸ったり、注入することが難しいだろうということで、導入に当たって実験をやってまいりました。
まず、半固形化の栄養剤に関しては、我々のやった実験だと注入の圧力に関しては、今まで使っていたものとあまり変化がありませんでしたが、ミキサー食に関しても、注入の困難さに関しては以前のコネクタとあまり変化は認められませんでした。これは基礎的な実験プラスミキサー食を使っている小児病院で、看護師さんや家族の方にも注入していただいて検討を加えたものです。
我々の学会としても、注入の圧力に関してはあまり変わりないだろうという結論になりましたけれども、先ほどお話があったとおり、いわゆるシリンジなどのノズルもオスメス逆転で短くなっていて、いわゆるストローをつけないと吸引はかなり難しいです。
また、ミキサー食や半固形化は結構ねちょねちょして、ぐちゃぐちゃしておりますから、このような溝ができているコネクタですと、溝にコネクションするときに栄養剤が入り込んで汚染が激しくなり、かつ、ぐちゃぐちゃになって洗浄もかなり難しくなる。ですから、今までのものに比べて、注入圧に関してはそれほど変化ないかもしれませんけれども、一手間、二手間、三手間かかることは間違いないだろうということで結論を出しております。
そういう状況で、今お話があったような不都合というのは、臨床的に見ると初めからある程度予想がついていたと考えられると思っております。特に、ミキサー食に関しては、我々のやった実験では圧力の差はほとんどなかったですけれども、ただ、これはかなりしっかりやっている小児病院3病院を選んで注入検査をしたわけですが、その施設のミキサー食の質を見てみますと、粒子径も測っておりますけれども、非常にファインな粒子のミキサー食なんですね。ですから、例えば在宅などで粒子が粗かったりすると、その分入りにくかったりするということは十分考えられるのではないかと考えております。
そういうことで、先ほどお話があったように、1年間延長して何かいい方向性を見つけていくのが妥当な方法ではないかと考えております。
以上でございます。
○荒井調査会長 丸山参考人、どうもありがとうございます。
それでは、もうお一人、医療安全の観点から長尾参考人に御意見をお伺いしたいと思います。長尾参考人、よろしくお願いいたします。
○長尾参考人 長尾です。名古屋大学で患者安全を担当しておりますのと、医療の質・安全学会の理事長をしております。
患者安全上の観点から言いますと、いわゆるチューブ・ラインの誤接続問題は、患者安全の歴史的な経緯を振り返ったときに非常に大きなリスクエリアとなっていて、このことの標準化は、ある意味悲願でもあったかなと理解しています。
今回、国際基準にのっとった標準化に着手したということ自体は高く評価できると患者安全的にはとらえておりました。ただ、その過程において、使い勝手、特にミキサー食に対して、今回のような問題が発生することがどこまで想定されていたかについては、私自身は把握しておりません。ただ、口径が標準化されることの意味は、胃ろうチューブにおける誤接続を防ぐというだけではなくて、チューブ・ラインを取り扱う多くの職員が、この標準化された製品を取り扱うときに、フェイルセーフやフールプルーフといったことを意識できるという、シンボリックな意味でも非常に重要な役割を果たすことになるだろうと思っております。
私も、今回のことがどのくらいの影響を現場に及ぼしているのかということで、重心を診ている施設の方に、私なりにヒアリングをしてみたのですけれども、確かに先端から吸引することについては、陰圧をかけるときに従来よりは圧がかかるだろうということで、専用の採液ノズルをつけてやっているとか、シリンジの押し子を外してお尻のほうからミキサー食を注いで注入しているといった幾つかの工夫をされているようでした。少なくとも私が伺った限りでは、それらの対応で標準化に適応できそうだという意見でしたので、もう一度よい方法も含めて検討したほうがいいのではないかという点に関しては賛同いたします。
大局的な標準化のメリットと、今回発生している問題に対してのデメリットをよくよく勘案した上で、大局をにらみながら事を進めることが重要かなとは考えております。
私からは以上です。
○荒井調査会長 長尾参考人、どうもありがとうございます。
それでは、よろしければ今のそれぞれの御意見の内容についての御質問も含めまして、御意見・御質問等をいただきたいと思います。調査会の委員の方も含めて、いかがでしょうか。
○丸山参考人 丸山ですけれども、もう一度よろしいでしょうか。
今回の問題点は、液体の栄養剤ではなくて、ミキサー食、半固形化の栄養剤に限られていると考えてもいいとは思います。ただ、コネクタの汚染に関しては、液体の栄養剤でも同じように、今までのコネクタに比較すると今回のほうが洗浄なども非常に難しくなると思いますけれども、差し当たっての問題として、ミキサー食、半固形ということになると思います。
米国でこのコネクタが提案されていますけれども、米国ではほとんど普及していません。なぜかというと、在宅でミキサー食を使っている高齢者が多いわけです。そういうことで、ミキサー食がネックになって米国では今、全体の5%以下の病院でしか変換が進んでいない状況になっています。
ということになりますと、今の重症心身障害児・者の問題というのは、ただ、心身障害児・者の方だけではなくて、現在、半固形やミキサー食を使っている方々にも、同じようなねじりが必要、ノズルが必要ということが起こっているということは言えるので、そちらも考えていく必要もあるのではないかと考えられます。
○荒井調査会長 ありがとうございます。
実は、私も質問させていただこうかと思っていたのですが、海外でどうしてこれが問題にならないのかという点です。今の丸山参考人からのお話で米国ではほとんど普及していないということです。国際標準化という点では誤接続防止という観点からほかの領域ではほぼ横並びで進められているわけですが、長尾参考人が一番お詳しいかと思うのですが、逆に国際標準化の規格自体が今後ミキサー食の場合に変わってくるということは起こるのでしょうか。いかがでしょうか。
○長尾参考人 私も、そのあたりはあまり詳しくはないのですけれども、私の認識では、ミキサー食自体が日本で多く普及している方法論だということは聞かされました。ですので、米国においてこの標準化が遅れているという話は今初めて伺いました。ミキサー食に特有の文化的な要素があるということを聞いたものですから、日本で発生する問題なのかなと今まで認識しておりましたが、そのあたりは私もよく分かっておりません。
○荒井調査会長 ありがとうございます。むちゃ振りしてしまいましたが、この辺に関しては情報が、今日のディスカッションの中で詳しく海外の状況も含めてよく御存じの方がおられないというか、その辺の情報がまだ不足しているという印象を持ちましたが、そのほか御意見ございますか。
○飯島参考人 飯島でございます。日本臨床栄養代謝学会の理事をしておりまして、丸山先生と一緒にこの研究もしておりましたし、私はどちらかというと全国への普及の担当もしておりました。
他の領域に関しましては、神経麻酔とこの領域だけが先行し、呼吸器等に関してはまだいわゆるコネクタ形状もフィックスしていない状況だと聞いておりまして、いわゆる経腸分野がミキサー食に対応していくという流れよりも、まだ残されている分野の対応のほうに現在傾いていると聞いております。ですので、その規格もまだ定まっていない中で、経腸分野がどの方向に変わっていくかを考えますと、またそこで誤接続が発生してしまう可能性もありますので、形状に関して国際規格が短期間で変更になるということは期待しにくいのかなと思っております。
もう一つ、神経麻酔領域と根本的な違いは、非常に長く留置されるカテーテルを対象としているのが経腸分野であり、なおかつ在宅を含めた医療環境が非常に多彩であるというのも一つ特徴です。神経麻酔領域は短期の勝負でありまして、在宅を含めた、施設を含めたというところはあまりございませんので、経腸分野ならではのそれぞれの対象者による管理が全国で幅広く行われておりますので、その中で全国に普及していくに当たりましては、様々な問題が発生するだろうということは予想しておりました。どうしてもワンステップ増えるということは避けられない形状に現在なっておりますので、そこを今後、実際の現場で介護に当たられている従事者あるいは御家族の方の負担を考慮した形で、ある意味政策ですので、これをどう落としていくかというのが課題であると考えております。
以上でございます。                 
○荒井調査会長 飯島参考人ありがとうございます。
そのほか、せっかくですので、この調査会の委員であられる杉山委員、中川委員からもよろしければ御意見を伺いたいと思います。杉山委員、いかがでしょうか。
○杉山委員 安全上病院の管理をしている者としては、様々な誤接続というのは起きてくるので、こういう流れが当たり前かと思っておりましたけれども、今のいろいろなお話をお聞きしますと、特に在宅においては問題が大きいということがそれなりに明確になったのではないかという感じを受けました。そういった意味では、今回出されているようなことは妥当なのではないかと考えております。
以上です。
○荒井調査会長 ありがとうございます。
中川委員、御意見いただけますか。
○中川委員 ただいまのお話をお伺いさせていただきまして、医療安全管理を担当している者からの意見としてお話しさせていただきます。
我々、急性期医療を担当している病院では、実は来月、こちらの経腸栄養チューブを全て新しいものに交換するという日程が決まっております。ただし、我々、安全管理担当者が危惧しているのは、新しい規格のチューブを挿入した患者様を施設に移送したり、また逆に施設から我々、急性期病院のほうに従来の旧型規格のチューブを使用して搬送されてくる患者様もいらっしゃいます。そのときに移行期間や施設がばらばらになってしまいますと、接続が合わないということが起きてくることを危惧しておりまして、現状、当院内では誤接続を防止する安全対策を最優先に考えまして、いろいろ実験も行って治験も行いまして、院内では急性期病院としては問題がないということで来月導入をいたします。ただし、他の施設から来たものに関しては、変換アダプターが移行期間中は発売されることになっておりまして、そちらを用意して利用するという形にして、万が一当院で新しい経腸栄養チューブを入れた場合には、変換アダプターをお渡しするか、チューブを入れ直すことも考えていかなければいけないという対応方法でこれまでやってきました。
ですので、当面の間は変換アダプターが発売されています。これは期限がありますので、この期限についても考えていただきまして、導入する病院と導入していない施設・病院が混在するというのが、今後いろいろやりとりをするのに一番問題になるかと危惧しておりますので、その辺についても御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○荒井調査会長 ありがとうございます。
今、中川委員から御指摘いただきましたように、こういう規格の変更の場合は、どんな機械でも必ずある一定期間混在する期間が生じます。それがまた別の事故の原因になってしまうこともありますので、これは非常に重要な御指摘かと思います。先ほど海外の状況もそんなに簡単には変えられないという御意見もいただきました。多分、大元には急性期の場合と慢性期、特に在宅で御家族等一般の方が対応する場合もあるというように、広い領域で使われて、使う方も様々な状況にある。そこで、なおかつ事故が生じないように、対応しようという訳ですから、うまい結構な難題であることは事実と思われます。先ほど事務局からは1年間の期間を設けて、その間にもう一回検討してみてはどうかという意見をいただきました。それまでは現在の終了期限を延長するという案です。この辺も含めまして、あるいは最初に御説明いただきました内容についての質問も含めまして、何でも結構ですので御意見がありましたらいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○丸山参考人 丸山ですけれども、またお願いしてよろしいでしょうか。
先ほど米国のことに関してお話をいたしましたけれども、実際ヨーロッパなどは先行しておりまして、言い出しっぺはアメリカなのですけれども、ヨーロッパではイギリス、フランス、ドイツ、オランダなどを含めてほぼ100%今変換されています。ですから、これが世界レベルで後戻りすることはないのではないかと思っております。ですから、決して海外で使われていないというわけではなくて、ヨーロッパではほとんど変わっております。
アジアでは日本が初めて変換に取り組んでいるということで、ほかの国はまだ全く手がつけられていないという状況になっていますので、その辺の御理解をしていただきたいと思っております。
○荒井調査会長 ありがとうございます。
先生だけに情報を頼ってしまってはいけないのかもしれませんが、海外でも欧州と米国で状況がそんなに違うということを伺うと、日本の場合はどうすべきかはますます悩ましいですね。そのほか御意見いかがでしょうか。よろしいですか。
○永江参考人 永江ですけれども、小児科医なので海外の状況も調べております。
まず、米国ですが、ミキサー食については日本よりも米国のほうが進んでいます。それは保険的な観点で、日本の注入剤の薬剤のようなものは薬品としてはありませんので、ミキサー食はアメリカのほうが進んでおります。
あと、ヨーロッパは今100%ということでしたが、確かにホームページで見ると100%なのですが、どこまで正しい情報か分かりませんけれども、ヨーロッパも在宅は現行のコネクタを使っているところもあるという情報もありますので、ぜひしっかり調べる必要があるのではないかと思います。
○荒井調査会長 ありがとうございます。
確かに情報が錯綜しているというか、幾つかご意見をいただきましたが、本格的に調べた情報ではありません。よって、ともかく正確な情報に基づいて判断をしなくてはいけないという点については、今日参加していらっしゃる皆さんが共通に認識していらっしゃるように思われますが、そのほか御意見ありますか。いかがですか。
○長尾参考人 長尾ですけれども、参考人の立場で恐縮なのですが、胃ろう側のコネクタの口径が今後標準化されていくと考えてよろしいのでしょうか。つまり接続の相手側ですね。
○丸山参考人 これに関しては、もう標準化されていると考えていただいていいと思います。ISOの口径も決まっておりますので。
○長尾参考人 そうすると、このねじり式のものでないと接続できないということですか。そういうわけではないのですか。
○丸山参考人 ねじり式のものをISOで採用しているので、ISO80369-3は全てねじり式というかスクリュータイプになります。
○長尾参考人 分かりました。すみません、そこをちょっと確認しておきたかったです。
○荒井調査会長 ありがとうございます。
そのほか御意見いかがでしょうか。
○中川委員 中川ですけれども、よろしいでしょうか。
これまで我々、施設のほうで実証実験をやってきましたが、いろいろな意見、施設によって考え方や国によって考え方の違いも、また、取り扱うものに対して、患者様の対応に対しても、それぞれで違ってくることになると考えております。
一つここで提案というか、薬剤や医療機器というのは、必ず治験を行って有効性や安全性を確認して、本チューブに関してもある程度行われていると思いますが、今回これだけの大規模なものでいろいろな弊害等も危惧される中で行われるということであれば、もし延長するのであれば、その間にしっかりと治験を行って、どのような問題点で、どういう落としどころがあるのかを検証するのも一つの考えではないかと意見として述べさせていただきます。
以上です。
○荒井調査会長 ありがとうございます。そのほか御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
先ほどちょっと申しましたけれども、今日の議論をもって性急に、この出荷終了期限で終わりにしてしまうのは好ましくないだろうという点につきましては、多分御異議ないかと思われます。いろいろな情報を収集して、あるいは今、御意見をいただいたように、一定のきちんとした科学的な評価もして対応を考えることとしてはどうかと。その場合には、国際的な規格を考慮しつつも、大病院、自宅、在宅などそれぞれ条件が異なるといった点を踏まえて、ともかくもう少し検討してから改めて次の対応を考えるべきでは、ということです。この方向につきましてはよろしいでしょうか。ありがとうございます。
そうしますと、基本的には先ほど事務局から説明をもらいました方向性に関しては、特に大きな御異議がないというまとめ方をさせていただきたいと思いますが、よろしいですか。
そうしましたら、この調査会としましては、今いただいた御意見を踏まえて、今後延長して調査を行っていくという方向でまとめたいと思いますので、今後の予定につきまして、事務局からもう一回まとめてお話をお願いします。
○事務局 御議論いただきまして、ありがとうございました。
ただいまの御議論を踏まえまして、経腸栄養分野の小口径コネクタ製品につきましては、旧規格製品の出荷期限を1年延長すると。その中で、治験という形はちょっと難しいかもしれませんが、いろいろな調査等をいたしまして、重症心身障害児・者の医療的ケアに係る新規格製品の課題の整理等をさせていただきまして、対応策の検討を行うこととさせていただければと思います。
御議論いただきまして、ありがとうございます。
○荒井調査会長 ありがとうございます。
ただいま事務局よりまとめていただきました対応案につきまして、御質問・御意見等ございませんでしょうか。
よろしければ、いろいろ意見もいただきましたので、本議題につきましては、ただいまの事務局からの対応案で進めてさせていただくこととしたいと思います。ありがとうございました。
以上で、本日予定しておりました議題は終了となりますが、その他何かございますか。
それでは、事務局から連絡をお願いします。
○安全使用推進室長 本日は、お忙しい中、御意見を頂戴いたしましてありがとうございました。
薬事・食品衛生審議会の任期でございますが、2年となってございますので、先生方は今月末で改選となる都合上、このメンバーでの調査会は本日が最後となります。ありがとうございました。
次回の調査会の日程につきましては、また個別の審議等が必要な議題が生じた場合に開催させていただきますので、改めて先生方の御都合を伺ってまいりたいと思います。
以上でございます。
○荒井調査会長 ありがとうございます。
それでは、これをもちまして令和2年度第1回の医療機器・再生医療等製品安全対策部会安全対策調査会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。