第11回 職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

令和2年12月23日(水) 14:00~16:00

場所

労働委員会会館7階講堂
(東京都港区芝公園1-5-32)

議題

  1. (1)職場における化学物質等の管理のあり方について
  2. (2)その他

議事

○化学物質対策課長補佐 定刻となりましたので、第11回職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会を始めたいと思います。三柴委員の到着が遅れているようですが、遅刻をして来られるということでしたので、始めさせていただきたいと思います。本日は、大変お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございます。前回は事務局の都合により、急遽中止とさせていただきましたことをお詫び申し上げます。
本日ですが、名古屋委員と髙橋委員が御欠席となっておりますが、髙橋委員の代理として佐藤様にお越しいただいております。よろしくお願いします。
本日も前回から引き続き感染症予防ということで、傍聴の方も含めてマスク着用での開催とさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
以降の議事進行は城内先生、よろしくお願いいたします。
○城内座長 皆さんこんにちは。お忙しい中、またコロナ禍の中、御出席賜りましてありがとうございます。では、まず事務局から資料の確認をお願いいたします。
○化学物質対策課長補佐 お手元のタブレットに資料を格納しておりまして、00と書いてある議事次第・資料一覧、そして本日は01から06まで6種類の資料を用意させていただいております。御確認いただければと思います。
○城内座長 では、議事に従って進めたいと思います。まず、これまでの議論のまとめについて、資料の説明をお願いいたします。
○化学物質対策課長補佐 資料1を御覧ください。資料1は前回、一応議論のまとめということでお出ししたものについて、幾つか修正したほうがいいのではないかという御意見を頂いたところを修正したものです。修正箇所が分かるように、見え消しの状態で資料を準備させていただいております。2ページ目を御覧いただくと、2の(1)アの3つ目の○の所に修正を入れております。こちらは前回「一般消費者の生活の用に供するためのもの」という所で、家庭用品品質表示法に基づくものを除くといったことを書いていましたが、現在も既に除外をしている医薬品・農薬・食品といったものも、引き続き除外されることを明確に示したほうがいいのではないかという御議論を頂きましたので、それを踏まえて修正をしたものです。追加したマル1からマル5のものは現在も除外されているもので、これに加えて家庭用品品質表示法に基づく表示がされているものを除く。
もう一点、前回も御議論がありましたように、家庭用品品質表示法で、一般家庭で使われるもの全てが網羅されているわけではないので、そういったものについても対応できるような書き方にするべきだという御意見も頂きましたので、5行目の所に加えておりますが、明らかに一般家庭以外で用いられる可能性がないものについても除外するということを追記しております。
2点目が4ページ目になります。4ページ目の(2)アですが、こちらは本日御議論頂きますが、作業環境管理が困難な場合における措置という所で、もともとの書き方が「発散源の密閉化等の発散抑制対策と有害物取り扱い等作業との両立が困難」となっており、少し分かりにくい書き方なのではないかという御指摘を頂きましたので、今回御議論を頂いている第3管理区分を改善することが技術的に難しい場合のことだということを、明確に書くように修正をしております。
3点目が5ページ目になります。5ページ目の一番上のマル2の所です。こちらは、もともと「労働者のばく露濃度」という書き方をしていたのですが、ばく露濃度という言葉の定義がマスクの外側の濃度のことを指すのではないかという御指摘を頂きまして、今回ばく露限界値ということの考え方としては、最終的に労働者の方が吸入する濃度のことを指して、それをばく露限界値以下にするという議論ですので、それがはっきり分かるように「労働者が吸入する濃度」と修正しております。資料1は以上になります。
○城内座長 ありがとうございました。前回の御議論を踏まえて、事務局で修正していただきましたが、何か御意見ございますか。よろしいでしょうか。
○永松委員 ちょっと幾つか会員のほうからもコメント等がございまして。まず1つ目が2ページの、先ほど御説明のありました「明らかに一般家庭以外で用いられる可能性がないものを除き」というところは非常に分かりづらいという話がございました。明らかに一般家庭で用いられている製品で、危険性や有害性の表示がなされているものを除きというような、もう少し分かりやすい表現にしてもらったらどうかという意見が出ております。
○城内座長 もう一度お願いします。
○永松委員 あの、ここの「明らかに一般家庭以外で用いられる可能性がないものを除き」という内容は理解できるのですが、表現としてちょっと分かりづらいということがあります。例えば、明らかに一般家庭で用いられる製品であって、危険性・有害性に関わる表示がされているものを除きとか、そのような、もう少し分かりやすい表現にしてもらえないかというようなコメントが出ております。
もう少しあります。これはちょっと今後の議論のこととは思いますが、2の(1)イの2つ目の○の所に、SDSの記載内容について再交付をしなければならないという記載があります。これは確かにそのとおりなのですが、今後、実際に事業者にとって、在庫や流通途中のものがあるということで、この再交付のタイミングなどの点をよく考慮して検討していただきたいというコメントがございました。
次に作業環境管理が困難な場合における措置のアの所ですが、今後の議論の中で複数の化学物質を使用する作業場というのがございまして、全ての物質について濃度測定をするのは技術的にもなかなか難しいので、この辺は最もリスクの高い物質や揮発性などを勘案して選定することを是非考えていただきたい。
その下のイの健康診断の実施頻度等の見直しにつきまして、個人測定でない場合は気中濃度が低くても、その場でいろいろな作業が行われている場合には、個人の作業姿勢でばく露している危険性が懸念されるということで、その場合には特殊健診については従来どおり必要な場合があるというようなコメントがございました。
そして、これまでも申し上げておりましたが、自律的なばく露防止の所で、情報の伝達に基づいたリスクアセスメントを行うということが第一かと思いますが、やはり基本的な保護眼鏡、保護手袋、マスク、そういうものをまず身に付けることを政策的にもしっかりやっていただきたいというようなコメントもございました。すみません。ちょっと複数になりましたが以上です。
○城内座長 ありがとうございます。具体的な修正に関しては、2ページ目の所の提案ということでよろしいでしょうか。事務局からは何かありますか。
○化学物質対策課長補佐 1点確認なのですが、今御意見頂いた2ページ目の所で、一応、安衛法がどこをカバーするかという考え方の整理をしているところで、御意見頂いた一般家庭以外で用いられる可能性がないものであって、危険性・有害性の表示がされているものというのは、他法令でという意味で捉えてよろしいでしょうか。
○永松委員 他法令ということではなくて、この表現でも分からないことはないのですが、いわゆる、明らかに一般家庭以外で用いられる可能性がないもの、そういう場合に、何と言いますか、内容は分かるのですが、二重否定しているような表現になっておりますので、素直に読むと、明らかに一般家庭で用いられるものを除きということでも同じようなことになるのではないかと思うのです。ここが少し分かりづらいという意見がございました。
○化学物質対策課長補佐 そうですね、分かりました。そこは表現を少し工夫させていただきます。
○城内座長 そのほか、ございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、議事の2つ目に移りたいと思います。「管理濃度の遵守が困難な場合の対策について」、資料の説明をお願いいたします。
○化学物質対策課長補佐 資料2を御覧ください。資料2の1ページ目です。前回の御議論の中でも、若干、混乱があったところもあり、今回そもそも何を議論しようとしているのかということを、もう一度整理させていただいたのが1ページ目になります。この1ページ目の絵にありますように、現行の規制というのは基本的に特化則や有機則の話ですので、法令で作業環境測定の実施が義務付けられているものについての議論ですけれども、測定の結果を管理区分ごとに区分し評価をするということになっていて、その結果、最も濃度として高い第3管理区分に評価されたものについては、法令上、第1若しくは第2に改善しなければならない義務が掛かっているということでございます。
課題の所に書いてありますように、技術的に第3管理区分を第2区分の濃度まで下げることができないという場合、これが実際に生じているわけですが、この場合に法令違反という状況がずっと続くということが、今の仕組み上は避けられないことになってしまっているということ。2つ目として、この第2又は第1に改善するというのが義務になっていますが、罰則の対象にはなっていないということで、結局、この状態を放置したままという状況も生じてしまうのではないかということ。3つ目として、この第3管理区分に評価された場所では、有効な呼吸用保護具を使用することが義務となっているわけですが、どういう保護具を選択するか、どうやって使用して厳格に管理していくかといったことの担保が十分にされていないのではないか。こういった課題があるということから、この議論を開始したということです。
その対策として議論いただいているところですが、技術的に改善できないときの別の手立てを考える必要があるのではないかということ。それから、この第3の状態で放置されることのないよう、改善の努力を促す仕組みが必要なのではないか。そして最後に申し上げましたように、しっかりと適切な呼吸用保護具を選ばせて管理させることを担保する仕組みが必要なのではないか。こういった議論をしていることを再確認として書かせていただいています。
その上で、2ページ目に進みます。環境の改善が困難な場合というのをどう定義付けるのか。これは何度か御議論いただいていますが、やり方として2つほどあるのではないかということです。
1つ目は個別具体的に、この物質でこういう作業をする場合というように特定をしていく、ポジティブリストのような形で決めていくというやり方です。これは参考に書いてありますけれども、これまでお示しした資料にもありましたように、今回の検討会を受けて実施したアンケートの結果によれば、特定の作業・物質に、この第3管理区分が改善できない場面が集中していることが、ある程度分かってきていまして、ジクロロメタン、トリクロロエチレンといったものを多量に使って洗浄作業するような事業場で、第3管理区分が続いているというアンケート結果が得られていることなども踏まえ、個別に決めていくような方式が1つあるのではないか。
2つ目として、個別に決めていくのではなく、例えば環境の改善が難しいと思われるであろう管理濃度が極めて低い物質、若しくは蒸気圧が特に高くて蒸発しやすいもの、こういったものについて対象にするというやり方もあるのではないか。この2つの選択肢を提示させていただいていて、これを参考にしながら御議論をお願いできればと考えています。
3ページ目は、御参考に付けているものですが、最近、法令改正で導入した個人サンプリング法が使用できる作業ということで、管理濃度が低いものなどを決めていることも参考にしながら御議論いただければということで、資料として付けさせていただいています。
4ページ目ですが、こういう形で対象が定義付けできた場合に、具体的にどういう対応を求めていくべきなのかということで、論点を2点示しています。1つは、どこまで改善努力を求めるのかということです。もともと前提が第1、第2にまでは持っていけないという前提に立っていますので、それよりも高い濃度が継続することが前提になってしまうのですが、その高い濃度をずっと高いままで何の改善もさせなくていいのか。若しくは何らかの一定の数値基準を設けて改善努力を求めていくのか。こういったことも整理をしていただく必要があるのかなということで論点として入れています。
もう1つ、これが具体的な手段ということになりますが、代替手段として何を求めるかということで、これが下の2つの○に書いてあります。労働者が吸入する濃度がばく露限界値、括弧内に数値としては管理濃度と同じと書いていますけれども、それ以下になるような管理を求めることではないかということで、その作業環境測定結果に基づき、8時間作業を行うことを前提とした防護係数の呼吸用保護具を使用すること。もう1つは、個人ばく露測定を行って、その結果に基づいて必要な防護係数の呼吸用保護具を使用すること。どちらの方法もあり得るのではないかということです。
この個人ばく露測定、個人ばく露管理をやる方法を選ぶ場合については、もう1つの論点として※に書いていますけれども、例えば非常に高い防護係数のマスクが必要だとなった場合、仮に作業時間を制限して短時間しか作業しませんという場合は防護係数をもう少し低いものにして、全体のばく露量さえ抑えられればいいという対応も認めるべきかどうかといったことの整理も必要かと考えています。
もう1つの○に書いてありますが、呼吸用保護具の使用を求めるとして、それがきちんと労働者によって使われているかどうか。きちんと防護できているかどうかも確保するという観点で、定期的なフィットテスト実施の義務付けもやってはどうかということで論点として示しています。
次の5ページは御参考で付けているものですが、現在、新たに法令改正で特化則に導入された溶接ヒュームについては、フィットテストを定期的に1年に1回行うことの仕組みが導入されていますので、こちらも参考になるということで付けています。
最後、6ページ目になります。この新しい代替手段を導入するとした場合の管理をどうしていくかということですが、例えば呼吸用保護具の選択、使用についてはどういう体制でやるべきか。例えば、今いる作業主任者にその役目を担わせることでよいか。それとも別の保護具についての専門性を持った方の関与を求めるべきなのか。こういったことの御議論、整理も頂ければと思っています。
もう1つ、先ほど出てきたフィットテストについても、どういった方にこのフィットテストへの関与を求めていくべきかといったこと。それと、下のほうに4つほど並べていますが、個人ばく露測定という方法を行う場合は、どういった体制でやるのか。作業時間の管理はどういう体制でやるのか。労使の間でどういう情報を共有していけばいいのか。最終的に労働者の方にきちんと保護具を使っていただくことが非常に大事だと思いますので、その教育はどうしていくべきか。こういったことについて整理をしていく必要があるということで整理しています。
一番下ですが、この議論の大前提が第3管理区分を技術的に改善できないことに限定して議論していただいているわけですけれども、仮にこの保護具の適切な使用管理が厳格に行われるということであれば、例えば作業環境測定をやり、局所排気装置を用いるという現行の法令で義務付けられた方法の代替手段として、仮に技術的に難しくない場合においても、今、議論している代替手段を使ってもよいというようなことを、選択可能な方法として位置付けていくべきかどうかといったことも、御議論いただければということで論点に入れさせていただきました。御説明は以上になります。
○城内座長 ありがとうございました。今の御説明に対して御意見等がありましたらお伺いします。何個か議論しなければいけないのですが、二者択一みたいなものもありますので順次進めたいと思います。2ページですが、ここはいかがでしょうか。○が2つありますけれども、ポジティブリスト化をするか、それとも一般的な毒性等で考えて対象を決めるかということです。これについて御意見はいかがでしょうか。
○永松委員 実行に当たって一長一短はあろうかと思いますが、1つ目の○が実際の作業のリスクもはっきり分かりますし、また、特にこういうものについては管理が難しいということも事業者にとって分かりやすいですし、上の○のほうが、より効果はあるのかなと思います。
2つ目の○につきましては、実行上、広く捉えることはできても、物質によってはどういう作業をやっているかによって全くリスクの程度が変わってくると思いますし、また、懸念としては安易に改善できないという判断をされる場合もあろうかと思います。以上です。
○城内座長 そのほか、御意見はいかがでしょうか。私から質問ですが、第1管理区分、第2管理区分に改善できない場合というのは、今、例で挙がっているように、例えばジクロロメタンだと全国的にそういう傾向がありそうだというのもありますが、もう1つ、事業場ごとにありますね。それはあまり考えなくて良いということでしょうか。
○化学物質対策課長補佐 今、ここの参考で例に挙げているものも、今回の検討会を機に協力いただける企業の方に頂いたものの中から主に多かったものということなので、網羅的に把握できているわけではないのです。本当に制度化していくということになれば、もう少しきちんと対象を把握するための調査をしていく必要があると思います。
○城内座長 ですから、場合によっては、頑張っているけれども、できない事業場があったらそこも対象になるという考え方ですね。
○化学物質対策課長補佐 そうです。
○城内座長 分かりました。そのほか、御意見はございますか。よろしいでしょうか。では、ここは引き続き検討していただくということで、次にいきたいと思います。4ページです。どこまでの改善努力を求めるべきか。また、代替手段としてはどういうものがあるかということですけれども、ここについての御意見はいかがでしょうか。永松委員、お願いします。
○永松委員 これは内容よりも質問になるのですが、努力目標を設定するという考え方自身はそのとおりかなと思いますけれども、具体的にどのような数値目標ができるのかということが1つ重要かなと思っています。今、何か想定されていることがありましたらお願いいたします。
○化学物質対策課長補佐 前回、前々回にもお示ししたかもしれないのですが、基本的に管理濃度がある物質になりますので、管理濃度を達成できないにしても、例えば管理濃度の何倍ぐらいまでは目標にしましょうというものを作るイメージで考えてはいますが、まだ具体的に幾つの数字に設定するべきかというのは、もう少し研究が必要かなと思っています。
○永松委員 先ほどの2ページの所にも関連するのですが、改善できない場合を定義した上で努力目標を設定する。そこの考え方をどのように整理するかというのが1つあります。
○化学物質対策課長補佐 例えば、第3管理区分という事業場にもいろいろなレベルがあると思います。非常に高い濃度になってしまっている所もあれば、ぎりぎり第3管理区分になりましたという所もあると思います。現状を認めますということにしてしまうと非常に高い濃度が維持されている所でも、そこはそのまま放置していいですよというメッセージにもなりかねないので、そこを何かしらの目標を作る必要があるのではないかという問題意識です。
○永松委員 そうしますと、先ほど先生からも御質問がありましたけれども、どんな作業か、どういう事業場でやっているか、それぞれによって努力目標値の立て方を考えることになると思います。例えば管理濃度が非常に低い場合に何かいろいろ工夫しても事業場の濃度は高いままで、更に努力目標を立てると言っても、それは技術的に困難であるというのがあるときに、どのような目標の作り方をするかというのは具体的に何か考えていく必要があると思います。
○城内座長 そのほか、ございませんか。1ページ目の所に第1又は第2に改善する義務があるという文言と、今、どういう方法で改善するかとか、どういうふうに代替手段を求めるかということで、義務が掛かっているものと、いわゆる自律管理のところの罰則というか義務の兼ね合いが結構出てくるものですが、その辺はどんなふうに考えているのでしょうか。というのは、義務になっているところは消えていくかもしれないとか、それは残るとか、結構、事業所については大きいと思います。
○化学物質対策課長補佐 一応、想定しているのは、仮にポジティブリストでやるのであれば、そのポジティブリストで指定した物質・作業については、この改善義務は外します。外す代わりに代替手段をやっていただきますというイメージで考えていまして、努力目標をどうするかというのは別に議論があると思いますが、イメージとしてはそういうイメージです。
○城内座長 そのほか、御意見はよろしいでしょうか。漆原委員、お願いします。
○漆原委員 お聞きしたいのですが、仮に2ページの物質と作業の掛け合わせのポジティブリストの場合、アンケート結果とも関係するかもしれませんが、企業として努力して管理区分2に下げることができた事例はそれなりに数があるものなのでしょうか。努力を重ねて達成できている企業がある一方で、例えば4ページのように改善努力を全くせずにそのままという企業があるとすれば、はたして公平感が得られるのかについて疑問もあります。そこで、達成できたという実例があるのかどうか、もし、そういうデータがあれば報告いただければと思います。
○化学物質対策課長補佐 現時点では、そこまで調べたデータは持っておりません。あと、考え方の整理として、仮に1社でもあればここには入れないのだということにするのか。最後は決めの問題で、ある程度皆さんが納得いくところで決めていくのか。どちらもありかなと思います。
○城内座長 そのほか、ございませんか。
○永松委員 今の件で、これは参考の情報ですが、会員さんの中で事業場には消防法とかいろいろな法律があり、建屋にもいろいろ制約があるわけです。したがって、2つの法律の中で何かをやろうとすると、何かについてまた新たな改善をしないといけないとか、そういうこともあるという情報も頂いております。これは御参考までです。
○城内座長 宮腰委員、お願いします。
○宮腰委員 4ページの所の代替手段を求めるべきかという所のマル1に、作業環境測定結果に基づき、8時間作業を行うことを前提とした必要な防護係数と書いてあります。確認したいのですが、防護係数そのものは8時間作業を前提として作られた呼吸用保護具の係数という考え方でよろしいのですか。それとも、1日8時間というのを限定として考えた上での防護係数として、それを求めるという考え方ですか。
○環境改善室長 防護係数自身は、mg/立米みたいな濃度でやるわけですけれども、ここで8時間と出しているのは、ばく露限界値のものが8時間のTWAでやっているからということだと思います。以上です。
○宮腰委員 分かりました。
○城内座長 そのほか、ございますでしょうか。永松委員、どうぞ。
○永松委員 ※の所ですが、一般的に作業場では保護具を付けて長時間作業することに作業者の苦労がありますので、逆に短い時間の中で付けられないということは、私は実際の作業場はケースとしてまれではないかと思います。したがって、短い作業であっても付けることは十分可能であろうと思います。
○化学物質対策課長補佐 事務局からですが、ここでもう1つある議論としては、時間を短縮すれば単位時間、要は濃度を高く設定できるということになり得てくるわけです。例えば1日で見たときに、この人がばく露できるばく露量はこれぐらいですという設定をした場合、作業時間を短くすればするほど、単位時間内にばく露できる濃度は高くてもいいということになってきてしまいます。そういうことを認めますかという議論もあるかと思いますので、個人のばく露量を管理することになってくると、放射線に近いような議論かもしれませんけれども、そういった考え方を入れていくかどうかも少し検討は必要かなと思っています。
○永松委員 ただ、今、自律管理の中でばく露限界値を暫定も含めて決めようとされていますが、例えばそれを前提にしますと、そこのところにばく露時間も入れた考え方も検討するということになるわけでしょうか。
○化学物質対策課長補佐 考え方としては、そもそも入っているということになると思います。
○永松委員 ありがとうございました。
○漆原委員 労働者側の立場からすれば、ばく露を防止できる手段があるということが分かっているのであれば、短時間であっても、できるだけばく露を低減する方向でお願いしたいと思います。
○城内座長 大前委員、どうぞ。
○大前委員 この資料は残ると思うので確認してほしいのですが、2ページにある物質の表で、インジウムの管理濃度はまだなかったと思いますが、違いましたか。ちょっと確認していただきたいと思います。
○化学物質対策課長補佐 はい。
○大前委員 もう1点は、この表で例えばベリリウムが0.001、その横のコバルトが0.02と書いてあります。これを見ると単純にベリリウムとコバルトはほとんど同じなのです。ベリリウムは原子量が小さいので、原子の数から言ったら0.001も0.02もほとんど変わらないのです。単純に桁数が多いから厳しいと言いますか、そういうような捉え方をすると、多分まずいと思います。一桁違ってもベリリウムの場合は他の金属と同じくらいの規制にしかなっていないということだと思います。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。では、次に進みたいと思います。6ページ、作業環境の改善が困難な場合の対応、体制についてということですが、いかがでしょうか。御意見をお願いいたします。永松委員、どうぞ。
○永松委員 1つ目の○の所ですが、今の作業主任者という捉え方もありますので、その作業主任者が中心になるということが重要かなと思っています。一方で、その作業主任者につきましては、他の法令等でもありますけれども、国による定期的な講習とか、新たな情報を勉強する場とか、是非そういうのを設置してもらって、作業主任者の業務が自律管理に向けてよりしっかりできるようなことを考えていただきたいという意見です。
○城内座長 ここは専門家の養成にも関わることなので、今後、まだ議論が続くと思いますが、何かございませんでしょうか。下の、「技術的に改善が困難でなくとも、代替手段によるばく露防止措置を講じることを認めるか」については、いかがでしょうか。これはなかなか微妙です。いかがでしょうか。
○永松委員 今の改善義務があるというところでこのような考え方を出すと、事業者にとっては2つスタンダードがあるようなイメージになってしまうのです。より安全にとか、よりリスクを減らすということが技術的に可能であれば、当然、事業者にとっては経済上の問題も大きいのですが、そこは優先するようなことをきちんと考えていくべきだと思います。
○城内座長 今、義務が掛かっていて、しなければならないことと、これから目指すと言いますか、自律管理のところの整合性というか、そこがまだはっきりしていないので議論しにくいと思います。また今後、検討していただき、資料を提出いただいて更に議論していければいいかなと思っています。よろしいでしょうか。資料2については以上といたします。
○化学物質対策課長補佐 一応、確認をさせていただければと思いますが、対象の決め方で2つのどちらにするのかは、もう少しよく詰めていく必要があると思いますけれども、基本的にこういった形の仕組みを入れていくことについては、一応、御賛同いただける形でしょうか。
○城内座長 それは、よろしいでしょうか。入れざるを得ないかなという気もしますけれども、反対の御意見はありますか。
○永松委員 会員さんからのコメントの中には、技術的な解決というのはお金も必要ですし時間も必要であって、そうすると、まず迅速にやることは何ですかと言ったら正にこのとおりですけれども、今の認識としては、先ほど申し上げたような2つのスタンダードがあるようなイメージになっています。
○化学物質対策課長補佐 そうですね。一番最後の論点は、一応、入れさせてはいただいていますが、今の時点でやるべきでないということであれば、そこは無理に進める必要はないかなと、こちらとしても思っています。
○城内座長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは議題の3つ目、「化学物質規制の仕組みの見直しについて」、御説明をお願いします。
○化学物質対策課長補佐 資料3を御覧ください。1ページ目は、これまでもお示ししている図ですので、2ページから御覧ください。一番初めに整理させていただいているのは、自律管理の中で共通的な考え方として、定義にも近いのですが、自律管理そのものを整理させていただきたいということでまとめております。
1つ目の○ですが、これはリスクアセスメントそのものの考え方、これは世界共通的な考え方だと思いますが、優先順位としてマル1からマル4までありますように、ハザードを削減していくことが最優先になってきて、次に工学的対策でリスクを減らす。3番目に、管理的な対策でリスクを減らす。最後に、保護具によって減らす。保護具というのは、最後はばく露するのを最終的に労働者の所で止めることになると思います。こういう優先順位でよいでしょうかということです。
2つ目として、これらの手段により何を達成するのかです。労働者のばく露を防ぐことがこの対策の目的ですので、まずは労働者が吸入する有害物の濃度をばく露限界値以下に保つのが大前提になるだろうと。ばく露限界値がない物質もあると思いますので、そういったものについては、なるべく吸入する濃度を減らすことが必要になるかと。それに当たって、今ワーキンググループでも議論を頂いておりますが、暫定ばく露限界値を目安として管理をしていくことが考えられるだろうと。3つ目として、今の2つは吸入ばく露を前提としておりますが、目や皮膚の刺激性があるもの、皮膚から吸収されて体内に取り込む可能性のあるものについては、どれぐらいばく露したかは、把握したり管理することは極めて難しいことにもなりますので、ばく露を防ぐという意味では保護手袋や保護衣といったものの使用によって、その接触の可能性そのものを減らすことが前提になるのではないかということで整理させていただいております。これが共通する考え方です。
3ページ目ですが、今の考え方に出てくるばく露限界値、暫定ばく露限界値をどうするかについては、正に今、ワーキンググループで御議論いただいており、こちらに示した論点や出された主な意見なども、御参考にお示ししておりますが、そちらのワーキングの議論がある程度進んで、方向性がまとまってきた段階で、また、こちらの検討会では御議論いただければということで考えておりますので、現時点は御参考として見ていただければと思います。
前回も御議論いただきましたが、中小企業に対する支援として、自律管理といっても、何らかのガイドラインを示していく必要があるのではないかという御議論がありましたので、特に管理が困難と考えられる物質については、中小企業などでも参考にできるようなガイドラインを、国が示していくことでどうでしょうかということを、論点に追加させていただいております。
4ページですが、こちらはラベル・SDSの議論の中でも出てきました労働者教育をどうするかです。自律管理の中では労働者がきちんと危険性・有害性を、自ら分かった上で作業することが非常に重要になってくると思いますので、その作業に就く場合の教育内容として、ラベルの内容や作業上の注意点、保護具の使用方法だけでなくて、保護具をなぜ使用しなくてはいけないのかも含めた教育を、きちんとやっていくことが重要なのではないかということで、論点として入れさせていただいております。
その下は健康影響に関するモニタリングです。自律管理になりますと、今の特化則のような健診の義務付けはなくなっていくわけですので、この物質を使うことによる健康への影響を、どうやってモニタリングしていくのかについての議論も必要かと思っております。
ここでお示ししていますのは、基本的には健診をやるやらないについても、自律管理ですので、労使の判断で、産業医がある場合は、その判断に委ねることが考えられるのではないか。実際に健診をやりますとなった場合の健診項目は、SDSなどで有害性の情報はあると思いますので、医師又は産業医がどの健診項目で健診をするかは、そういった情報も踏まえながら判断をすることでよいかということ。3つ目として、実際にばく露限界値を超えたばく露があった場合は、臨時の健診の実施を求めるといったことが必要なのではないか。4つ目として、特殊健診がないとしても、年に1度は一般的健康診断を実施することになっておりますので、化学物質を取り扱っている方については、一般的健康診断の中で健康への影響がないかどうかを、特に留意して確認することも可能なのではないかということで、論点として入れさせていただいております。
5ページに行きますが、自律管理を行っていく上で重要となってくる有害性情報を、企業にどう提供していただくかについては、こちらも今ワーキンググループの中で検討・整理をしていただいているところですので、こちらの検討会としてはその議論を待ちたいと思っておりますので、現時点としては参考として御覧いただければと思います。
5ページの下、自律管理をきちんとされているかどうかのモニタリングという観点で何が必要かですが、こちらもこれまで御議論いただいておりますが、衛生委員会で自律管理の実施状況を労使で共有して、調査審議を行うことが必要なのではないか。衛生委員会が設置されていない50人未満の事業場においては、化学物質の取扱いを行っている全ての労働者に対して、自律管理の状況を共有する。そして、労働者から意見を聞く機会を設けることが必要なのではないか。それから、自律管理の実施状況についての記録・保存も必要なのではないか。それから、これは後の議論にもつながりますが、自律管理とはいえ、化学物質の取扱いの規模が一定以上という企業については、定期的に自律管理の実施状況について、インダストリアル・ハイジニストなどの専門家の確認・指導を受けることが必要なのではないかということで、論点として追加をさせていただいております。
6ページです。今後は自律管理が基本となるということで、特化則などへの物質の追加はしないことを基本方針としておりますが、今後、新しい仕組みについて、例えば自律管理物質から多くの労働災害が起きた場合のことも想定しなければいけないことだと思います。2つ目の○に書いておりますが、例えば過去にも石綿などは管理使用が可能だと言いながら、結果として多くの被害を出してしまったという事例もありますので、労働災害が多発するなど、自律管理が困難と認められる物質・作業が出てきた場合については、こちらにありますマル1からマル3の選択肢を検討する必要があるのではないかということです。
マル1は最も厳しい措置になりますが、その物質の製造・使用を禁止すること。マル2は製造・使用許可制とすること。マル3は、例えば物質全てではなく、特定の作業に労働災害が集中しているなど、特定の作業が危なくリスクが高いという場合は、その作業のみ禁止にする、若しくは許可制にする、若しくは特定の作業だけ、指定したばく露防止手段を義務とするという選択肢が考えられるのではないかということでまとめさせていただいております。
その下については、これまでも御議論いただいているところですが、個別管理物質、特化則、有機則の対象の物質であっても、一定の要件が満たされている事業者については、監督署などが認定した上で自律管理を認めて、特化則などの適用を除外することも考えていいのではないかということで、その条件として4つほど例示をさせていただいております。以上です。
○城内座長 ありがとうございました。前回の意見も踏まえて、改めて論点を整理していただきました。御意見等をよろしくお願いします。なお、時間が押していますので、ワーキンググループで検討中の所は、また再度検討課題となりますので、できましたらワーキンググループで検討中ではない所の御意見を頂けると有り難いです。よろしくお願いします。
○中澤委員 6ページの仕組みの見直し(案)の個別管理物質の今後の位置付けについてですが、2つ目の○で「労働災害が多発するなど」と記載されていますが、どの程度が多発の定義なのかお教えいただきたい。それから災害は恐らく作業との関連で起こってくるものではないかと考えると、マル3の特定作業について、いわゆる労働災害が集中して発生してくるのが一般的な考え方ではないかと思います。以上です。
○化学物質対策課長補佐 現時点で、例えば労働災害の多発をどう定義するかという決まった考え方を持っているわけではありませんので、また御議論を踏まえてそこら辺は整理をしていきたいと思っております。
○城内座長 そのほか。
○宮腰委員 5ページにあります自律管理の実施状況についてのモニタリングの部分に関してです。1点目は、2ポツ目にあります労働者数50人未満の事業場の部分に関してですが、ここは衛生委員会が開催されない場合がありますので、その中で労働者から意見を聞く機会を設けることといっても、これは言葉だけであって、実際にやられるかどうかは、信用性がないような気がします。
その下のほうにあります自律管理の実施状況の、その部分について記録を残し、とありますが、例えば50人未満の所についても、労働者からの意見を聞いたとしたら、意見を聞いたことを書類としてきちんと残すとか、そういったことをきちんとやることが大事であるのと思います。その下に「一定期間保存」というのがあるのですが、この一定期間というのはどれぐらいの期間を想定されているのかをお教え願いたいと思います。
○化学物質対策課長補佐 基本的には、労働安全衛生法で保存を義務付けているものは、3年であったり、5年であったりということだと思いますので、そのぐらいの期間を想定はしているのですが、リスクアセスメントの実施結果については非常に重要な情報になると思いますので、次にリスクアセスメントをやり直すまで保存させるという考え方もあるのではないかと思っております。
○城内座長 よろしいでしょうか。
○永松委員 労働者への意識啓発の1つ目の○のアですが、詳細な部分になるかもしれませんが、GHS分類の分類が変わっても、ラベル自身は変わらないケースもあるということなので、そこまでひとつ踏み込んで教育を行うことが重要であると思います。
○城内座長 そのほかにありますか。
○明石委員 4ページの健康影響に関するモニタリングの件ですが、産業医等がいる場合はその判断に委ねるとなっていますが、現行の枠組みの中で結局実施するのは使用者であって、最終的には使用者に責務が掛かってくるので、判断は踏まえて行うことになると思いますが、委ねてしまうことには若干問題があるのではないかと思います。
4つ目の○の問診ですが、年に1回の定期健診の問診はかなり忙しい話ですし、外から来る医療機関の医師がほとんどなので、なかなかこういう専門の方であるかどうかも分かりません。この数分の問診の間でこういう御相談はなかなか難しいのではないかと思います。
6ページで、先ほど中澤委員のおっしゃられた所にも関係しますが、3つ目の○で、一定の要件が満たされた事業者についてということで、行政の方を前に申し訳ないのですが、事業者にとって監督署はなかなか心的ハードルが高いものですから、これはどうやって出して認定をもらうのか、紙を出すのか、入ってきてもらうのか、そこら辺の問題もありますが、労働局ぐらいがいいのではないかと思っています。以上です。
○大前委員 今の健康影響に関するモニタリングですが、健診という意味だと思いますが、健診は当然、事業者が費用を負担してやることだと思います。そうしますと、例えば2つ目の○に「健診を実施する医師」とありますが、これは外部の医師を想定していると思うのですが、こういう方々にお願いしてしまっていいのか。これは、もしお願いするとしたら、その現場をちゃんと分かっていらっしゃる産業医に限定したほうがいいのではないかと思います。現場を分かっていない産業医もいらっしゃると思いますが、基本的には、現場をちゃんと見ていらっしゃる産業医を入れて決めることではないかと思います。それは臨時の健康診断も同じで、これが必要かどうかは、現場を産業医が分かっていて、それで、これをやったほうがいいという判断をされて、はじめて臨時になると思いますので、ここは産業医に限定と考えたほうがいいのではないかと思います。
○漆原委員 今の健康影響に関するモニタリングについてです。例えばここの○が幾つかある中で、限界値を超えたので臨時の健康診断の実施をした。あるいはその上もそうですが、医師又は産業医が健診項目を考えるという場合について、仮に、それが発がん性のあるような物質の場合は、そういった業務の従事歴などのデータの保存期間についても長期にするよう検討していただければと思います。特に、限界値を超えてばく露したことが何回もあったという事業場においては、特定健診と同等とまではいかないとしても、データを本当に5年で全部破棄してしまっていいのかどうかと言われると、やはり気になるところです。
それと関連しますが、6ページの2つ目の○です。「多発」という文言は曖昧さが残ると思います。これは急性毒性を想定しているのだと思いますが、仮に、それが発がん性のある物質だった場合に、ここのマル3の「作業のみ禁止」としたとすれば、そういった作業に従事をしていたかどうかの記録とか、その作業の従事歴やばく露の状況について、できるだけ長い保存期間で残しておくべきではないかと考えているところです。以上です。
○永松委員 個別管理物質の今後の位置付けの最後の所ですが、一定期間良好であることは、確かにそのとおりだと思います。その上のポツですが、例えば今はOHSASやISO45001に基づいて、労働安全衛生に取り組んでいる所もありますし、これまでの議論でありましたように、ある規模によりますと、組織的な対応を取っている所はあります。ですので、この点については、例えば5ページの最後のポツの「規模が一定以上の企業は」というところにも関連するのですが、具体的に今、効果を出している事業者の管理状態を踏まえた上で、どういう要件がいいのかを是非考えていただきたいと思います。
これは先ほどの繰り返しになりますが、2ページのマル4ですが、会員さんからの意見が大変強くあり、まず化学物質を取り扱うことを前提に置けば、保護眼鏡や保護手袋や保護衣とかを基本的に身に付けると。有害性があるかないかというリスクの強弱がありますが、そういう基本のところをしっかりやっていくことが、未然に防ぐことで重要かと思っています。以上です。
○城内座長 ありがとうございました。そのほかありますか。私から、先ほど大前委員から発言がありましたが、産業医がちゃんと診るべきだというのは、私もそう思うのです。これは50人未満の事業場で健診をしているというか、健診を生業にしている先生方は、そういう場合どういう扱いになるのでしょうか。つまり、産業医とは言わないかと思うのですが、そこの辺りの定義は、今、分かりますか。
○化学物質対策課長補佐 それは安衛法上の定義ということですか。
○城内座長 つまり、実質的にはちゃんと職場を知っている人が判断すべきだという意見で、私もそう思うのですが、現実にはそうはなっていないかもしれない。そういったときに、それは何か変える必要があるのかどうかと。簡単ではないかもしれませんが、今分からなければ結構ですが。
○三柴委員 先生のお尋ねの趣旨にかなうか分かりませんが、法令上は、ただ「医師」と書いてあるわけですね。ただ本来、化学物質のばく露管理を含めて作業環境管理と関わる仕事が必要だということになってくると、担当者は職場のことを知ってないといけない。でも、実際はそうなっておらず、無理がある状況なので、その穴を埋めるためには、例えば化学物質の専門家との協力とか、そういう枠組みも必要になってくるのかとは思います。実際は小さい所だと、医者がただ健診だけして、事後措置までは何とかしている状況になっているのは、おっしゃるとおりなのです。
○城内座長 分かりました。
○大前委員 特化則等々ができた時期に健診をするのが「医師」というふうになってしまった経過が私は全然分からないのですが、推測としては、当時、産業医などはいなくて産業医制度がなかったので、仕方ないから「医師」と入れたのではないかと私は勝手に思っています。できれば、そこを「医師」ではなくて「産業医」と変えていただきたい。大きな話になりますけれども。
○城内座長 ここでは解決できないようなので、次に持ち越しますが、そのほか御意見はありますか。よろしいですか。事務局から何か今までの資料3に関して議論を詰めたほうがいいという所はありませんか。よろしいですか。
○化学物質対策課長補佐 はい。
○城内座長 では、次に参ります。議題の4つ目の「化学物質規制を担う専門家について」、資料の説明をお願いします。
○化学物質対策課長補佐 ちょっと駆け足になってしまって申し訳ありません。資料4を御覧いただければと思います。こちらは今回から議論を始めるということなので、基本的にお示している資料は、今現状の事実関係、それから今後こういうことが論点になるのではないかということで、本日いろいろ自由に御議論いただければと思っております。1ページ目に整理しておりますのは、今の労働安全衛生法の中で、化学物質管理に関わり得る人材として置くことが義務付けられているのは、どういう方々がいるかということです。お話に出ている産業医、衛生管理者、50人未満の所は安全衛生推進者、個別の自律管理物質には係りませんけれども、特定化学物質や有機溶剤などを作業するときの作業主任者、こういう方々がいらっしゃるということです。自律管理物質となると上の3方という感じになると思います。
次の2ページは外部の専門家についての整理で、法令で定められているものとしては労働衛生コンサルタント、これは外部からアドバイスをする方という位置付けになっています。それから作業環境測定の実施に特化した資格として作業環境測定士という方がいらっしゃいます。ここの議論の中にありますように、自律管理も含めて化学物質管理全体を統括して、専門的な見地からサポートできる人がいるかとなると、現状のこの方々はどなたもそういう位置付けにはなっていないのではないかということです。その関係で、参考としてその他の外部専門家として書いていますのが、オキュペイショナル・ハイジニストという資格です。これは世界的にも化学物質管理の専門家として国際的な資格になっているものですけれども、主な役割に書いていますように、化学物質の総合的な管理を専門的にやる方の資格です。右側の要件にもありますけれども、まずはその前提条件として、例えばコンサルタントの資格を持っていることとなっていまして、更に5年の実務経験と93時間の講習。日本作業環境測定協会がこの講習をやっていますけれども、それが必要となる資格であり、かつ5年ごとの更新制ということで、5年ごとにもきちんと実務をやっていることが求められるという資格があるという紹介です。
3ページは今までもお示ししています、リスクアセスメントがなぜ実施されていないのかについての統計調査の結果です。十分な知識を持った人材がいない、実施方法が分からないということが原因としては多いという状況になっております。ちょっと気を付けていただきたいのは、事業場規模別の結果として出していますけれども、事業場の規模が大きい所は非常にサンプル数が少ないので、例えば1,000人以上100%となっていますけれども、統計データとしてこのまま使えるというものではありませんので、そこは留意して御覧いただければと思います。
こういったことも踏まえて、最後の4ページにどういうことを議論していくべきかを整理させていただいています。今、御議論いただいてきています自律管理を中心とする仕組みで、専門人材の役割とはどういうものになっていくのかを整理させていただいております。この議論の中で考えられるものとして6つほど書いています。1つは、ラベル・SDSを作成したり更新したりする場面で専門性が必要になるのではないか。もう1つは、自律管理ということになりますので、労働者が吸入する有害物の濃度をばく露限界値以下に保つ手段は限定しないとなっていますので、どういう方法を選択してやっていけばよいのかといったこと。それから、更に難しいかと思いますけれども、ばく露限界値がない場合にはどういう対策を取ればよいのかということ。それから具体的にどの保護具を使って、どのように管理していけばよいのか。それから、先ほども一定規模以上としてありましたけれども、自律管理がきちんとされているかどうかの確認を行う役割。それから最後の所にありましたけれども、個別管理物質も自律管理による方法を認めるときの、その専門家としての位置付け、こうしたことが考えられるのではないかということ。
それらも踏まえて論点としては、その自律管理を支えていくような専門人材とはどういう人材であるべきなのか。既存の資格保有者で対応できるものなのか。それとも何か追加的な教育とか、経験が必要なのか。若しくは新たな資格制度のようなものを作るべきなのかといった論点です。
2つ目として、そうした専門家というのはどのように位置付けるべきなのか。それから今後必要になってくるこういう人材をどのように育成・確保していくのか。そして先ほどもありましたように、中小への支援としてどのように位置付けていくべきなのかということを、今後御議論お願いできればと考えております。以上です。
○城内座長 コメント、御意見等お願いいたします。
○髙橋委員代理佐藤様 お疲れさまです。安全衛生管理における産業医とか、衛生管理者を含めて、それぞれの位置付けであったり、関係、役割、あと責任の範囲が定まらないと、求める人材やその育成・確保の議論はできないのではないかと考えています。例えば2ページのオキュペイショナル・ハイジニストの要件を見ますと、産業医であったり衛生管理者の資格に加えて、5年の実務経験が求められていますので、これらの各専門家の上位に位置付けられていて、業務もオーバーラップしているのではないかと感じました。この辺についてどのように考えられているのかお聞かせいただければと思います。
○化学物質対策課長補佐 そもそも今の現行資格として法的に位置付けられているわけではないので、作業環境測定協会がやっている資格としては、化学物質だけではないのですが、そういったものを恐らく実務的・総合的に管理できる、非常に専門性の高い資格ということで位置付けて、養成をされていると聞いております。先ほど世界的に共通的な資格と申し上げたのですが、世界的にも一応、化学物質を含めた作業上の有害環境を管理する専門家の資格として位置付けられているものです。
○髙橋委員代理佐藤様 ありがとうございます。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。
○漆原委員 4ページに○で幾つか列挙されていますが、多分現場では、衛生管理者とか作業主任者がその業務を担っている部分も多々あると思います。そのため、○で列挙するのでなく、階層的に図的に示していただいたほうが分かりやすいと思います。例えば、ラベル・SDSに関するものと、日常的な作業は別になってくるので、そこを分かりやすい図で示していただければ、どこまでは自社の社員で対応可能で、どこからが外部の専門家が必要なのかが分かりやすいのではないでしょうか。更に、中小企業での対応と、大企業での対応も異なりますし、化学物質を作っている企業なのか、化学物質を使って製品を製造・加工する製造業なのかによっても対応は変わってくると思いますので、もうちょっと立体的に示していただいたほうが、そのイメージが付きやすいかと思ったところです。
○城内座長 そのほか御意見はいかがでしょうか。
○永松委員 今の意見と同様なところもございます。例えば1ページの表で、作業主任者の今の配置基準を見ますと、今後自律管理を進めていく上で作業主任者の要件、あるいは配置基準みたいなものはどのようにするかということが1つあろうかと思います。
それから、これまで労災の発生してきた事業所を見ますと、化学産業以外の所のほうが過半数を占めている状況の中で、この化学物質管理を担う専門家というのを、例えば化学産業以外の業種にどのようなアプローチでやるのかとか、その辺は整理していかないといけないかと思います。産業医の先生を除いて、衛生管理者とか衛生推進者という方たちは、きっとその事業上、会社における労働安全衛生のマネジメントというか、仕組みを進める方たちですが、実際にリスクアセスメントをしっかりやるとか、SDSの内容をしっかり理解してやるということになると、正にここに書かれた作業主任者という方を育てることがまた重要かと思います。現状の管理体制にこだわることはないとは思いますけれども、今求められていることに対して、先ほどのSDSやラベルの発行も含めて、どのようなことでそれぞれの専門家が担っていくのかを整理していただければと思います。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。
○化学物質対策課長補佐 今頂いたご意見で2点ほどあります。1つは業種によって違うのではないかというのはおっしゃるとおりだと思っています。化学物質はどういう使い方、どういう量を使っているかによって、化学物質を管理するための仕事量も全然違うと思いますし、求められる専門性も全然違うと思いますので、そこはよく整理が必要かと思っています。
もう1つは作業主任者のことで、今後の自律管理の中で作業主任者というのがどうなるのかというお話です。基本的には、今の個別の規則で義務付けている資格ですので、現時点では自律管理の中でこういう者の必置を求めることは考えてはいないです。ですので、先ほど自律管理の中で上3種類の人になりますと言ったのは、そういう意味です。
○城内座長 そのほかございますでしょうか。
○中澤委員 1ページの人材に関する現状と課題のところですが、外部の専門家の活用も確かに必要ですけれども、そもそも小規模の事業所単位になりますと、なかなか資金的な問題などで対応はなかなか難しい。まして、ここにありますような有識者もそんなにたくさんいないという状況では1ページの一番最後の作業主任者の担うべき役割というのをもう一度見直していただいて、そういう方々に少しでも化学物質の危険性を認知していただくことが大切ではないかと思います。
○城内座長 そのほかございますでしょうか。私から大胆な提案というか、意見を述べさせていただきます。産業衛生管理者、衛生推進者、作業主任者等々、コンサルタント、環境測定士等とありますけれども、今活躍しているこれらの専門家で、やってほしいことができる人がどの分野にもいると思っています。だけど現状それは担っていない。だから企業の中でそういう人を、この人材育成で議論をしているようなカリキュラムを作って、そこで教育を受けてもらい、その企業の中で活躍できるような方法がいいのではないかと思っています。というのは、これは批判しているわけではないのですが、例えばオキュペイショナル・ハイジニストのカリキュラムを終了した人たちが、GHSの分類できますかと言ったら、たぶんできないです。そういうことを考えると、それは化学物質管理もそうですけれども、いろいろな問題がある、資格はある、だけどその人たちが即戦力かというと、それはちょっと私は別かと思っています。むしろ会社の事情を知っている人が教育を受けて、そこでさらにグレードアップした仕事ができたほうが、かなり実現性が高いと思っています。ただし、そこで法律でサポートしてあげないと、給料は上がらないけれども仕事が増えることになります。そういう資格があるのだから、そういう人を会社の中に置かなければならない、そこで資格を取ったので昇格させましょうとか、仕事してもらいましょうというシステムができれば一番いいかなと思っています。
あともう1点、GHSに基づいた分類をしてラベル・SDS作成するというのは、多分そんなに簡単ではないと思います。例えばGHS検定みたいなものを作って専門家を輩出するという方向も一つあるかなと思っています。そのほか御意見等はございますでしょうか。
○大前委員 1ページの産業医の要件の所で、日本医師会が行うとありまして、5年ごとの更新制と書いてありますけれども、更新しなくても産業医として名乗っていいことになっているのではないかと思うのです。ちょっと確認をしていただきたいと思います。
○環境改善室長 はい、そのとおりです。
○大前委員 だからこの5年ごとの更新は義務ではないということ。
○環境改善室長 日本医師会の認定産業医と名乗るためには、この5年ごとの更新は必要ですけれども、産業医であれば最初の講習だけ受ければそれは産業医と。おっしゃるとおりです。
○大前委員 そうですね。
○城内座長 三柴委員どうぞ。
○三柴委員 まず、しなければいけない問題提起は、「現状でいいのですか」、ということだと思うのです。この検討会の冒頭で示されたように、要は中小企業で特別規則の規定外の物質による被害が多々起きていると。ここにどう手当するかがメインテーマで議論が始まっていると思います。いろいろ細かい議論はできるけれども、基本的な認識というか、思想としては、危ないかもしれないものを職場で使っているということだと思うのです。だからなるべく安全思想で対応していかなければいけない。しかし現在、化学物質については聞くところでは、衛生コンサルタントでもこの問題に強い人は全国で数十人しかいないとか、衛コンについてはそもそも化学の専門性がなくてもなれるとか、産業医も化学に詳しくなくても、一応仕事はできることになっているという状況です。
一方で、諸外国の資格制度を見ても、例えばイギリスだと民間資格ですけれども、化学物質に詳しいことは衛生管理の専門家としてグレードが高いわけです。労働衛生マネジメントとか化学物質の専門性というのはかなりレベルが高いものだと認識されています。
日本では、そういう専門家がそもそも殆どいないし、生まれにくいという現状があって、いざ被害や被災が起きて民事訴訟になると、裁判所はリスク管理をシステマチックにやっていないと過失だと言うわけです。つまり、いざ事が起きてしまうと、事業者らは責任を取らされる。だけど、事業者は、普段はその専門家を大事にしてない。大企業の場合は、部門単位で何となくチームで管理ができていたり、属人的に詳しい人がいたりというような状況。だからもう、何とかドラスチックに変えていかなければいけない。そうなったときに、先ずは制度自体を専門家を生み出すように再編しないといけない。ちょっと厳しめに規制を置いて、リスクアセスメントの基本は原則として定めておいて、うちの職場はいい、逸脱できると言うのだったら専門家のお墨付きを得てくださいという発想を取らないといけない。危ないと分かっているところだけ専門家を当てるのではなくて、求められるのは逆の発送です。危なくない、安全だということを証明させるために専門家を使うというような発想が必要だと申し上げて来て、中間とりまとめに入れていただいたと理解しています。もう、ある程度これまでとは違う発想で考えていかないといけないなと。作業主任者の活用などの積み上げの発想も重要だと思うのですが、一方では、もう大きく制度を変えていくぐらいの発想も必要かと思います。
○城内座長 ありがとうございました。そのほか御意見ございますでしょうか。それでは次に行きたいと思います。議題の5つ目の「特殊健康診断・配置転換後の健康診断の合理化について」、資料の説明をお願いします。
○産業保健支援室長 労働衛生課産業保健支援室長の和田でございます。特定化学物質障害予防規則等で規定されている特殊健康診断・配置転換後の健康診断の合理化については、ばく露リスクに応じた健康診断の実施頻度の見直しについて、専門家の御意見を踏まえつつ、引き続き検討することにされております。資料5に基づいて、化学物質の健康診断に関する専門委員会における検討状況について御報告いたします。資料5の2ページを御覧ください。専門委員会のメンバーと開催状況となっております。本年度は、これまで3回開催しております。3ページと4ページについては、専門委員会での主な御意見となっております。
まず3ページです。第1回目の意見です。ルールを設けた上で、ルールに基づき産業医等が健診の実施頻度を判断するのがいいのではないか。作業環境測定の評価区分など定量的な基準を用いたルールを作るべきではないか。あと、経皮吸収物質については、別途対応すればいいのではないかといった意見が第1回目の検討会では出ております。
4ページです。ここでは、第2回・第3回目で出た意見を掲載しております。第2回目では、リスクベースで健診実施頻度を緩和するということであれば、労働者本人の同意は検討せずに、ルールを設けて医師が判断するのでいいのではないか。配置転換後の実施頻度の緩和を判断するためには、配置転換時に、これまでどれだけ当該化学物質にばく露してきたかという、累積ばく露評価をする必要があるのではないかといった意見を頂いております。第3回目では、「ばく露がない又は低い」、「ばく露の可能性を否定できない」、「過剰なばく露の可能性がある」といった3つの管理レベルに分けてやったらどうかという意見が出ております。
そういった中で、発がん性がない物質は作業環境測定の管理区分により、ばく露の程度を評価していいのではないか。あと一方、発がん性がある物質は、業務従事者健診、これは労働者が当該化学物質の取扱業務に従事している間にやる特殊健診のことですが、そういった業務従事者健診、配置転換後の健診も累積ばく露で評価したほうがいいのではないかという意見を頂いております。また、累積ばく露評価については、過去に遡ったCREATE‐SIMPLEによるリスクアセスメントの結果や、作業環境測定における第1評価値と過剰発がんリスクレベルに作業年数を考慮した値などで判断する方法があるのではないかといった意見がありました。
5ページです。今、御説明した専門家から頂いたこれまでの意見を踏まえまして、専門委員会で検討している業務従事者健診と配置転換後の健診の運用イメージのたたき台をお示ししております。これは、結論に至ったものではなくたたき台ですので、今後の議論により、変更・修正等があり得るものです。左側が業務従事者健診で、ばく露の程度を踏まえて、医師の判断により6か月、1年、2年ごとに1回の実施頻度で実施。右側が配置転換後の健診になっています。配置転換後の累積ばく露評価値、評価の結果により、実施をしない、1年ごとに1回、2年ごとに1回、そういった実施頻度で実施したらどうかというたたき台になっております。これらをもう少し詳細にしたものが6ページと7ページになっております。
6ページは、ばく露評価に基づく業務従事者健診の実施頻度についてのたたき台です。上段が発がん性のない物質についてです。現行は発がん性がある物質、特化則では6か月以内に1回特殊健診を実施することになっておりますが、これを管理レベル、l.ばく露がない又は低い、ll.ばく露の可能性を否定できない、lll.過剰なばく露の可能性があるといった3つに分けまして、その分け方の評価には、作業環境測定の結果の管理区分を使うというものです。レベルに応じて、実施頻度を2年ごとに1回、1年以内、6か月ごとに1回とするものです。下段が発がん性のある物質です。これについても、現行の特化則では1年ごとに1回となっております。これを同じく管理レベルを3つに分けまして、レベルに応じて、2年ごとに1回、1年ごとに1回、6か月ごとに1回と実施頻度を見直すものです。レベル分けをどうするか、その評価方法については現在検討中です。
7ページは、累積ばく露の評価に基づく配置転換後の実施頻度についてのたたき台となっております。発がん性がある物質については、配置転換後に健診を実施することになっていますが、現行では、定期に行う特殊健診と一緒で、6か月以内に1回となっております。これを管理レベルに応じて、これも同じく3つに分けまして、不要、1年ごとに実施、6か月ごとに実施というように見直しをしまして、その評価方法については検討中となっております。今、たたき台ということで御説明をしましたが、本日の議論ですとか、また運用面での課題ですとか、特に実施可能性なども踏まえまして、再度専門委員会で御検討を頂きまして、また、このあり方検に報告をしていただいて御議論をしていただきたいと考えております。説明は以上です。
○城内座長 ありがとうございました。大前委員から、何か御追加や発言がありませんか。
○大前委員 まだ、たたき台の段階で、先ほどのばく露の程度の評価方法とかそこら辺については、まだ議論になっていないですが、特に発がん性がある物質に関してはどうしようかということで、同じ発がん性の中でも、直接遺伝子に障害性を持つものとそうでないものと、大きく分けて2種類あります。それをどのように考えるか。遺伝子障害性があるものはこのような感じでしたが、遺伝子障害性がないものについては、発がん性がないというほうに同じように入れて考えるのか。あるいは、そうは言っても、ある時点で高濃度ばく露して、そこで何らかの要因が加わって細胞が変異している。それが残っていて、将来発がんというのもあり得るので、これはそういうものも、やはり発がん性があるというものの中にまとめるのか、そこら辺の議論もこれからになります。したがって、まだあくまでも、この部分はたたき台ですが、共通してばく露が低い所、あるいはほとんどない所は、これはもう健診はいいだろうと。そこら辺に関しては、委員の皆さんの見解は一致しております。それは配転後も、それから現在の従事者についても同じです。
○城内座長 ありがとうございます。これについて御意見。漆原委員、お願いします。
○漆原委員 1点確認したいのです。資料6とか資料7の所も関係するのですが、これはあくまでも健診の頻度の話であって、例えば資料5の6ページの、ばく露がない又は低いからといって、従事者の手帳の基準に満たないとかそういったことはなくて、従事者である手帳はあり続けて、例えば、そこで今後出てくる健診のデータはそれなりに長期間保存されるという理解でよろしいでしょうか。つまり、手帳の発行がないからといって業務に従事していないという扱いではなくて、従事者として、手帳の発行の対象にするという扱いを続けることでよろしいかというのを確認したいと思います。
○産業保健支援室長 これは、健診の実施頻度の話ですので、健診を実施しないからといってその業務に従事しなかったということには、基本的にはならないという考えです。業務に従事しているのだけれどもばく露がないとか、ばく露が低い場合には、頻度を緩和したりとか、場合によっては、配転後であれば健診は不要にしてもいいのではないかといった議論です。
○大前委員 ちょっといいですか。
○城内座長 大前委員、お願いします。
○大前委員 手帳の話というのは限定した物質の話なので、これは、今回のこの話よりもっと特殊な話になると思います。
○城内座長 そのほかございませんでしょうか。たたき台ということなので、今意見は不要かもしれませんが、私の印象としては、発がん性のある物質の見直し(案)は、やはり結構難しいだろうと思っています。ばく露のモニタリングも含めて、あとは先ほどの産業医が何たるかも含めてかなり難しい問題だと思いますので、今後の議論に期待したいと思います。そのほか御議論ありますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
では次に進みたいと思います。最後に、「中間とりまとめについて」、資料の説明をお願いします。
○化学物質対策課長補佐 資料6になります。中間取りまとめは、これまで御議論いただいてきているものの中で、まだいろいろ議論の必要が残っているものはあるかと思いますが、それ以外で、これまで大体方向性として取りまとまったものについてまとめたいという趣旨で作ったものです。内容としては、前回までお示しして同意いただいたもの、それから本日お示しした資料を、大体引き写した内容になっておりますので、改めての御説明は省かせていただこうかと思います。
項目としましては、1つは、今の職場における化学物質管理をめぐる現状がどうなっているかを5ページに書いております。5ページから8ページまでに、何度も御議論させていただきましたが、化学物質管理、化学物質規制の体系を自律管理を中心とする規制に見直していくという内容について書いております。8ページ目から12ページ目までは大分御議論いただいてまとまっている内容で、本日の資料1にも盛り込んでおりますが、情報伝達をどう変えていくのか、それから労働者の意識啓発、中小企業支援をどうしていくのかといった内容を、これまで御議論いただいたとおりに書いているものです。本日の御議論で、何点か表現の仕方を修正したほうがいいのではないか、若しくは言葉の使い方を修正したほうがいいのではないかといった御指摘を頂いた部分がありますので、そういった部分について、お示ししている中間取りまとめの中の表現の修正も検討したいと思っております。
最後のページに、今後の検討事項、それから今後のスケジュールを書いております。今後、更に検討が必要な事項として、先ほど御議論いただいた専門人材をどのように確保・育成していくのかといったことは、少し時間を掛けてじっくり御議論を頂きたいと思っております。それからマル2は、これは本日も御議論いただいておりますが、健診の実施頻度をどうするのか。それから管理濃度以下の維持が困難な場合どうするのかといったことについても、更に掘り下げたいと思っております。それから、マル3はこれまで全く議論できていない論点です。がんなどの遅発性疾病の発生を、どのようにもう少し体系的に把握できるのかといったことも議論して整理をしていきたいと思っております。それから(2)が、ワーキングのほうで整理をいただいている検討事項です。このワーキングの検討がある程度進んできた段階で、こちらの検討会にもお戻しして御議論いただきたいと思っております。
今後のスケジュールの所に書いておりますが、本日、中間取りまとめを頂ければ、取りまとめていただいた内容について、法令改正の対応を進めるのに必要な結論が得られたものについては、我々のほうで法令改正の手続を進めていきたいと思っております。他の引き続き検討する事項については、来年夏頃を目途に更に検討を進めていき、最終的な取りまとめをしたいと考えております。以上です。
○城内座長 ありがとうございました。これまでの議論及び本日の議論も踏まえて中間取りまとめとしたいということですが、皆様からの御意見をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。永松委員、お願いします。
○永松委員 3点ほどあります。1つ目は、7ページの※の所なのです。これまでの議論で申し上げましたが、現在、保護具の選定に当たって必要な情報がないものも多い状況です。したがいまして、この表現ですと、情報があってそれをまとめるという印象を受けましたので、是非とも、やはりこれから国が中心となって検討していただいて、より適切な保護具が得られることへの取組という形で記載していただきたいというのが1点です。
2つ目は、最後の法令改正等対応を進めるのに必要な結論が得られたもの、これを是非、具体的に記載していただきたいのです。これとこれとこういうものについて今後進めるということを、是非記載していただければと思います。やはり、これだけではなかなか事業者の皆さんも具体的にどのようになってくるのか、捉えにくいところがあると思いますので、それをお願いしたいという点です。
それから3つ目は、会員から希望がありまして、本件は非常に幅広い業界さんにも関係するものであるので、意見公募を検討していただいたらどうかという意見がありましたので、御検討いただければと思います。以上です。
○城内座長 事務局からお願いします。
○化学物質対策課長補佐 今、御指摘いただいた7ページの書き方については、ちょっと検討したいと思います。最後に書いております「法令改正等の対応を進めるのに結論が得られたもの」というのは、基本的にはこちらの中間取りまとめの、「しなければならないことにする」とか「義務付ける」というように書いてあるものですが、そこはきちんと表現の中に入れたいと思います。もう1つ、パブコメの御意見を頂きましたが、法令改正する場合は必ずパブコメには掛けることになるのかとは思っております。
○城内座長 そのほか、御意見ございますでしょうか。中澤委員、お願いします。
○中澤委員 最後の今後のスケジュール等の中で、「法令改正等を進めることが適当」という文言に関連してですが、今現在、いつ頃の法改正を考えているかお聞かせいただけますでしょうか。
○化学物質対策課長補佐 少なくとも、今回おまとめいただいたもので、法改正をしなければいけないものはないと認識しています。
○中澤委員 ないのですか。
○化学物質対策課長補佐 政令とか省令とかの改正は必要になってくるかと思いますが。今、想定しておりますのは、本日おまとめいただければ、それを次の安全衛生分科会に報告として報告をさせていただいて、そこから法令改正の手続に入りまして、ちょっと時期はまだどうなるか分からないのですが、来年度に法令改正をしたいと考えております。
○城内座長 そのほかございますでしょうか。大前委員、お願いします。
○大前委員 午前中のワーキンググループでも申し上げたのですが、ばく露限界値という言葉は、やはり非常に一般的な言葉なので、ちょっと表現を考えたほうがいいのではないかと思っています。これは多分、英語にするとエクスポージャーリミットという言葉になってしまうと思うので、何でもありみたいな感じになります。取りあえず、例えば6ページを見ますと、ばく露限界値の設定をできる物質、それから暫定ばく露限界値(仮称)と書いてあるので、ばく露限界値(仮称)ぐらいにしておいて、どういう名前がいいかはどこかで検討していただければと思います。
○城内座長 そのほかございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、頂いた御意見も踏まえて、少し修正いただいた上で中間取りまとめとさせていただきたいと思います。では、そろそろ時間となりますので、本日の議論はこれで終了したいと思います。事務局から連絡事項がありましたらお願いします。
○化学物質対策課長補佐 本日は、非常に議論すべき論点が多くて駆け足になってしまって申し訳ありませんでした。いろいろ細かい修正の御意見などを頂いておりますので、そちらは座長の城内先生とも御相談をさせていただいて修正したいと思います。中間取りまとめを頂いてありがとうございました。この内容は、先ほど御説明したように、労働政策審議会安全衛生分科会に報告させていただきたいと考えております。次回ですが、来年の2月1日の14時から予定しておりますので、また改めて正式に御案内させていただきたいと思います。
○城内座長 それでは、第11回職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会を終了したいと思います。どうもありがとうございました。