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- 第25回肝炎対策推進協議会 議事録
第25回肝炎対策推進協議会 議事録
健康局がん・疾病対策課肝炎対策推進室
日時
令和3年1月15日(金)9:50~12:00
場所
オンライン開催
出席者
- 委員
-
- 泉 並木(武蔵野赤十字病院院長)
- 出田 妙子(薬害肝炎原告団)
- 及川 綾子(薬害肝炎原告団)
- 大久保 暁子(日本労働組合総連合会労働条件局長)
- 河本 滋史(健康保険組合連合会常務理事)
- 考藤 達哉(国立研究開発法人国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センター研究センター長、肝炎情報センター長)
- 小池 和彦(東京大学大学院医学系研究科消化器内科学教授)
- 郡山 千早(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科疫学・予防医学教授)
- 後藤 千代美(日本肝臓病患者団体協議会)
- 坂上 博(読売新聞調査研究本部主任研究員)
- 鹿野 さゆり(全国B型肝炎訴訟東京原告団)
- 清古 愛弓(葛飾区健康部長兼葛飾区保健所長)
- 辰巳 創史(全国B型肝炎訴訟大阪原告団)
- 中澤 善美(全国中小企業団体中央会常務理事)
- 日浅 陽一(愛媛大学大学院医学系研究科教授)
- 山﨑 喜彦(日本肝臓病患者団体協議会)
- 米澤 敦子(日本肝臓病患者団体協議会代表幹事)
- 渡辺 真俊(千葉県健康福祉部保健医療担当部長)
- 参考人
-
- 是永 匡紹(国立研究開発法人国立国際医療研究センター 肝炎情報センター肝疾患研修室長)
- 羽鳥 裕(日本医師会常任理事)
- 四柳 宏(東京大学医科学研究所先端医療研究センター感染症分野教授)
議題
- 1.会長選任及び会長代理の指名
- 2.国及び自治体の肝炎対策の取組状況
- 3.肝炎対策推進協議会の今後の開催スケジュール(案)
- 4.研究報告
- (1)職域検診について(是永参考人)
- (2)肝炎の正しい知識の普及について(四柳参考人)
- 5.その他
- (1)肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業について
- (2)特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法について
- (3)肝炎ウイルス検診結果のマイナポータルでの閲覧等について
議事
- 議事内容
- ○丸山肝炎対策推進室長 定刻となりましたので、ただいまより第25回「肝炎対策推進協議会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
私は、事務局の厚生労働省健康局がん・疾病対策課肝炎対策推進室長の丸山と申します。冒頭の議事進行を担当させていただきます。
本日の協議会は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、委員の皆様方におかれましては、オンラインで御出席いただくとともに、傍聴される方やメディアの方につきましては、You Tube配信という形式の開催方法で実施させていただいております。本日は、御出席のお返事をいただいた全ての委員の皆様にウェブ上で御参加いただいております。接続状況によりまして、画像ですとか音声が乱れる場合がございますけれども、あらかじめ御承知おきいただきますようお願い申し上げます。
それでは、開会に当たりまして、健康局長の正林から御挨拶をさせていただきます。
○正林健康局長 皆さん、おはようございます。健康局長の正林でございます。
委員の皆様におかれましては、大変御多忙のところ、この協議会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。また、日頃より肝炎対策の推進に御支援と御協力を賜っておりますことについて、厚く御礼申し上げたいと思います。私も、十数年前に初代の肝炎対策推進室長をしておりましたので、委員のお名前を見て、懐かしいお名前が幾つかあって、先生方、本当に御無沙汰しております。
さて、我が国におきましては、平成22年に肝炎対策基本法が施行されて、本協議会の御議論を踏まえて、平成23年に肝炎対策基本指針を策定し、その後、平成28年に改正を行いました。肝炎対策基本法において、肝炎対策基本指針は、少なくとも5年ごとに検討を加え、必要があると認めるときには変更することとされております。平成28年の改正から4年が経過したことから、指針について検討を行っていくという重要な時期であることを勘案し、新型コロナウイルス感染拡大防止策を考慮した上で、本会議をウェブで開催させていただくことといたしました。
本日の協議会は、昨年10月の委員改選後、最初の開催となります。このたび委員に御就任いただいた皆様には、心より感謝を申し上げます。本日は、国及び自治体における肝炎対策の取組状況について、事務局から報告をさせていただくとともに、参考人として、是永先生、四柳先生から研究成果の御報告をいただくこととしております。
委員の皆様におかれましては、忌憚のない御意見を頂戴できれば幸いでございます。
本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
○丸山肝炎対策推進室長 ありがとうございました。
正林局長は、この後、別の公務のため途中退席させていただきますので、よろしくお願いいたします。
御参加の委員の皆様にお願いがございます。会議中は、基本的にビデオをオフに、マイクはミュートにしてくださいますようお願いいたします。また、御発言を希望されるときは、ビデオをオンにしていただきますようお願いいたします。その後、会長より指名がございましたら、ミュートを解除して御発言をお願いいたします。御発言の際には、お名前を名乗っていただき、可能な限りゆっくりお話しいただければ幸いでございます。また、より多くの委員の御発言の機会を確保するため、できる限り簡潔に御発言をいただければと思います。また、御発言を終了する際には、その旨をお知らせいただき、ビデオをオフにし、マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
操作などについて御質問がある場合は、事務局までお問い合わせください。円滑な会議運営に御協力、お願い申し上げます。
続きまして、本日は、協議会委員の改選後、初めての開催となりますので、委員の皆様の御紹介をさせていただきたく存じます。お手元の委員名簿に沿って、お名前を読み上げさせていただきます。
泉並木委員、出田妙子委員、及川綾子委員、大久保暁子委員、鹿野さゆり委員、釜萢敏委員、河本滋史委員、考藤達哉委員、小池和彦委員、郡山千早委員、後藤千代美委員、坂上博委員、清古愛弓委員、辰巳創史委員、中澤善美委員、日浅陽一委員、村松正道委員、山﨑喜彦委員、米澤敦子委員、渡辺真俊委員。以上となります。
また、本日は、先ほど局長からもございましたが、参考人といたしまして、国立国際医療研究センター 肝炎情報センター 肝疾患研修室長の是永匡紹先生、東京大学医科学研究所 先端医療研究センター 感染症分野教授の四柳宏先生にも御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
続きまして、委員の出席状況について申し上げます。本日は、村松委員から御都合により欠席との御連絡をいただいております。また、釜萢委員の代理として、日本医師会常任理事の羽鳥裕先生に参考人として御出席いただいております。委員20名のうち18名の御出席をいただいております。したがいまして、定足数に達しておりますので、本日の会議は成立いたしますことを御報告いたします。
また、本日の資料は、議事次第、委員名簿、座席表、資料1から資料6まで、参考資料1から参考資料7までとなりますが、資料の不備等ございましたらお申しつけください。
この後、議事に入らせていただきますが、ここまでのところ、接続状況の不具合や、操作方法等で御質問がございましたら、併せてお申しつけください。よろしいでしょうか。
それでは、議事に入らせていただきます。
まず、議題1「会長選任及び会長代理の指名」です。本日の協議会は、委員改選後、初めての開催となりますので、本協議会の会長を選出していただきたいと思います。
参考資料3を御覧ください。「肝炎対策推進協議会令」でございますが、その第2条におきまして、協議会に、会長を置き、委員の互選により選任すると規定されてございます。本規定に基づきまして、委員の互選により会長を選任いただきたいと思いますが、どなたか御推薦はございますでしょうか。発言される方は、ビデオをオンにしていただきますようお願いいたします。
それでは、考藤委員、お願いいたします。
○考藤委員 考藤です。
これまで会長を務めてこられた経緯を踏まえまして、小池委員を推薦したいと思います。
以上です。
○丸山肝炎対策推進室長 ただいま考藤委員から、会長に小池委員を御推薦いただきましたが、御異議ございませんでしょうか。
それでは、御承認いただきましたので、小池委員に本協議会の会長をお願いしたいと存じます。
それでは、小池委員、この後の議事進行をお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
○小池会長 前期に引き続きまして、会長を務めさせていただくことになりました小池でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、まず初めに、会長代理の指名について申し上げたいと思います。
先ほども御覧いただきましたが、参考資料3の「肝炎対策推進協議会令」を御覧ください。そこの第2条第3項において、会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理すると規定されております。本規定に基づきまして、泉委員を会長代理に指名したいと思います。泉委員、よろしくお願いいたします。
○泉会長代理 泉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○小池会長 よろしくお願いいたします。
続きまして、議題2「国及び自治体の肝炎対策の取組状況」に入ります。
初めに、事務局から説明をお願いいたします。
○丸山肝炎対策推進室長 それでは「国及び自治体の肝炎対策の取組状況」につきまして、お手元の資料1に沿って御説明させていただきます。
1枚おめくりいただきまして、1ページ、目次でございます。1つ目の「令和3年度肝炎対策予算案の概要」について御説明申し上げます。
3ページを御覧ください。そこに肝炎対策の予算案の概要ということで、1から5まで柱が立ってございますが、この1から5の柱につきまして、御覧いただけますとおり、総額173億円ということになってございまして、令和2年度と前年同額でございます。それぞれの項目も、おおむね前年同額となってございまして、5番の研究の推進というところが、1億円単位で表記いたしますと、前年より1億円増加となってございますが、四捨五入の関係で、研究の推進が若干増加いたしましたので37億円となってございますが、全体では四捨五入で億円単位では173億円となってございます。
続きまして、資料の4ページ以降でございますが、「肝炎総合対策」につきまして、順次御説明いたします。
資料5ページを御覧いただけますでしょうか。先ほど冒頭、局長の御挨拶にもございましたけれども、平成21年に制定されました肝炎対策基本法に基づきまして、肝炎対策の推進に関する指針を策定するということが法律上、定められておりまして、肝炎対策基本指針は、少なくとも5年ごとに検討を加え、必要に応じて変更するということにされてございます。
資料の6ページを御覧いただけますでしょうか。肝炎対策基本指針の概要でございます。第1から第9まで、これは肝炎対策基本指針で定める内容の項目が法定されてございますけれども、それに基づきまして、右側にございますとおり、主な内容が定められておるということでございます。
資料の7ページを御覧いただけますでしょうか。この資料は、肝がんの年齢調整死亡率を都道府県ごとに見たものでございますけれども、調査年、平成25年から令和元年まで年齢調整死亡率がだんだん下がってきておりまして、平成25年に人口10万対6でございますけれども、これが徐々に減っておりまして、令和元年は4となってございます。こちらの指標といたしまして、75歳未満年齢調整死亡率というのが、がん対策推進基本計画の第1期、第2期において評価指標であったことから、肝がんの肝炎対策基本指針も、肝がんとか重度肝硬変といった上位病態への進展をできるだけ少なくするということが目標でございますので、参考につけさせていただいております。
8ページを御覧いただけますでしょうか。「都道府県の肝炎対策に係る計画等」につきまして、以下御説明を申し上げます。
9ページを御覧いただけますでしょうか。こちらは、都道府県の肝炎対策に係る計画とか目標の策定状況について、都道府県にアンケートを取って調査したものでございますけれども、全ての都道府県において肝炎対策に係る計画とか目標を策定していただいておりまして、目標の達成状況を把握していただいているということでございます。
10ページを御覧いただけますでしょうか。肝炎対策推進協議会の開催状況を調べたものでございます。この表の一番右の数字が並んでいるところですけれども、左側が令和元年度の数値でございまして、右側が平成30年度の数値でございます。御覧いただけましたらお分かりいただけますとおり、令和元年度は、新型コロナウイルス感染症の影響等により、肝炎対策推進協議会を開催した都道府県が減少しておるという状況でございます。
資料11ページを御覧いただけますでしょうか。こちらは、都道府県の肝炎対策推進協議会の構成メンバーでございます。このような形で、それぞれ都道府県数を書かせていただいております。
資料の12ページは、肝炎対策推進協議会でどういった議題を取り上げているかということでございますけれども、御覧のとおりとなってございますが、令和元年度は新型コロナウイルス感染症の影響等により、協議会を開催した都道府県数が減少いたしておりますことから、このような数値となっておるものでございます。
13ページ以下、御覧いただけますでしょうか。「肝炎ウイルス検査と重症化予防の推進」ということでございまして、まず、14ページには、肝炎患者等の重症化予防推進事業の流れについて書かせていただいております。まず、肝炎ウイルスの陽性者を早期に発見するということから、自治体等が検査を行っていただきまして、陽性者の方についてはフォローアップをしていくということでございます。
15ページでございます。都道府県、それから保健所設置市における肝炎ウイルス検査の実施状況でございますけれども、特定感染症検査等事業の状況でございます。令和元年度には、特定感染症検査等事業の肝炎ウイルス検査は、全て無料で実施していただいているということでございまして、フォローアップを実施する自治体も増加してございます。
47都道府県というところの一番右側の欄ですけれども、陽性者フォローアップの実施、46県となってございますが、この1県につきましては、今年の新型コロナウイルス感染症対応ということで、あらかじめ都道府県において定められていた事業継続計画において、フォローアップについては、今年は中止されているとお聞きしております。
資料16ページを御覧いただけますでしょうか。こちらは、市町村の健康増進事業における肝炎ウイルス検診の実施状況でございます。そこにございますとおり、1656の市区町村で肝炎ウイルス検査を実施していただいておりまして、このうち、一番右下でございますが、1543の市区町村で、40歳以上の一定の対象者の方に無料で実施いただいておりまして、このパーセンテージが平成28年と比べまして増加してきているという状況でございます。
資料17ページを御覧いただけますでしょうか、地方自治体の肝炎ウイルス検査の受検者数・陽性率の推移ということで、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスの受検者数と陽性率の推移を記載してございますが、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ともに自治体検査の結果におきましては、陽性率は毎年少しずつ少なくなってきているということでございます。
資料18ページから21ページにつきましては、特定感染症検査等事業のウイルスの検査の周知方法ですとか、利便性を高める取組といったものについて、毎年アンケートを取ってございますので、その結果を記載してございますので、後ほど御覧いただければと存じます。
1点だけ触れさせていただきますと、20ページでございますけれども、肝炎ウイルス検査の利便性を高める取組といたしまして、特徴的なものは、これは以前から傾向は変わりませんけれども、他の検査と同時検査をしていただいているところですとか、時間外に実施していただいているという自治体さんが多くなってございます。
続きまして、22ページを御覧いただけますでしょうか。こちらは、職域検査促進事業の概要でございますけれども、平成29年度から実施しておるものでございます。そこにございますとおり、職域検診における肝炎ウイルス検査の実施を促すために、職域への啓発活動を実施していただくという事業でございます。
23ページを御覧いただけますでしょうか。職域検査促進事業につきましては、令和元年度実施の都道府県は21、保健所設置市は8となってございまして、平成30年度に比べまして徐々に増加してきているというところでございます。
職域検診の現状につきまして、研究の状況につきまして、後ほど是永先生から御発表があると存じております。
24ページを御覧いただけますでしょうか。こちらは、重症化予防推進事業の実施状況を調査したものでございます。初回精密検査の未実施県というのは、平成30年度のデータでございますけれども、1県となってございます。定期検査の未実施県は2つとなってございますけれども、定期検査費用の助成を、その2県のうち1県は今後開始するという方向で検討されておるということでございます。また、もう1県は、令和元年度から事業を開始されていると伺っていますので、定期検査につきましては、47都道府県で実施されるということで承知してございます。
また、初回精密検査につきましても、平成30年度は1県、未実施でございましたけれども、未実施の県も、令和元年度からは実施されていると伺ってございます。
次、25ページを御覧いただけますでしょうか。これは、初回精密検査費用助成の受給者数を表したものでございまして、平成30年度のグラフ、県ごとの状況というのはこのようになってございます。
26ページは、定期検査費用助成の受給者数の推移でございます。
27ページを御覧いただけますでしょうか。検査費用助成の拡充の経緯を示してございます。初回精密検査費用の助成対象につきましては、自治体検査で陽性となった方を対象として事業が開始されておりますけれども、令和元年度より、職域検診で陽性となった方につきましても対象とするということ。それから、令和2年度からは、妊婦健診・手術前検査の肝炎ウイルス検査で陽性となった方につきましても、初回精密検査の助成対象とするということにしてございます。
また、この27ページの真ん中より下にございますように、定期検査費用の助成につきましても、助成回数を平成27年度に増やしたり、それから、28年度につきましては、対象となる所得階層につきまして、若干幅を増やしているところでございます。
資料28ページ、29ページは、初回精密検査について、受けていただくためにどのように勧奨しているかということでございますけれども、お時間があるときに御覧いただければと存じます。
資料の30ページでございますけれども、肝炎医療ナビゲーションシステムにつきまして、こちらは平成30年7月から開始されており、肝炎情報センターのホームページから入っていけるものでございますけれども、肝炎ウイルス検査ができる病院などをウェブで検索できるシステムが整備されてございますという御紹介でございます。
31ページ以降が、肝疾患治療のための環境整備等々でございますが、32ページが、肝炎治療特別促進事業の概要でございまして、33ページを御覧いただけますでしょうか。医療費助成の受給者証交付件数につきまして、各年度末における受給者証を交付した数を記載しておるものでございますけれども、御覧いただけましたらお分かりいただけますとおり、平成26年度にインターフェロンフリー治療が対象になった。薬が登場して、この肝炎治療の医療費助成の対象になったということで、1万9000件でございましたけれども、翌年、27年度には8万9000件ということで、急増してございます。
その後、インターフェロンフリー治療につきましては、徐々に数が減ってきている。これは、インターフェロンフリー治療を受けられる方は、期間が例えば3か月とか、決まっておりまして、薬を飲み切って、ウイルス排除がかなり高い確率で期待できるということでございますので、26年度に開始されて、27年度に非常に数が増えましたが、その後、少しずつ数が減ってきているという状況でございます。
この真ん中の赤い棒の核酸アナログ製剤につきましては、一度飲み始めると、ずっと飲み続けていただくというお薬でございますので、受給者証の交付件数の対象になる方も累積していきますので、徐々に増えてきているという経過をたどってございます。
次、6番の「肝疾患診療体制の整備」、34ページ以降でございますけれども、35ページは、肝炎対策における肝疾患診療連携拠点病院の位置付けということでございまして、肝疾患診療連携拠点病院、原則、都道府県に1か所ということで、拠点病院の連携支援、技術指導の下、肝疾患専門医療機関が2次医療圏に1か所以上ということになってございまして、国民の皆様に様々、診療所、病院等々、この図にあるような形で肝疾患の連携体制を組んでいるところでございます。
36ページは、拠点病院等連絡協議会の開催状況をお示ししております。そこにございますとおり、令和元年度は、新型コロナウイルスの影響等により、開催した都道府県が減少してございます。
資料37ページを御覧いただけますでしょうか。連携拠点病院、専門医療機関の選定状況でございます。拠点病院のほうは、全国71か所、全ての都道府県で選定されてございます。専門医療機関につきましては、全国で3112か所が選定されてございます。
資料の38ページを御覧ください。肝疾患診療連携拠点病院と専門医療機関の状況でございますけれども、47都道府県におきまして専門医療機関を指定していただいているということでございますが、その指定要件を全て定めて指定いただいておりますけれども、厚労省の通知に準拠していると御回答いただいた都道府県さんが45でございまして、下の独自の基準で選定いただいているのが2県になっているということでございます。
資料の39ページを御覧いただけますでしょうか。こちらは、肝疾患患者相談支援システムについての概要でございますけれども、平成26年度から28年度までに、厚生労働科学研究費補助金で研究していただいて、こういった相談支援システムを構築していただいて試験的に運用してきたところ、システムの有用性が認められたことから、全国の拠点病院に導入して肝炎患者の相談支援に活用するとされているものでございます。
その肝疾患相談・支援センターの活動状況でございますが、資料40ページでございます。肝疾患相談・支援センターは、全ての拠点病院、先ほど全国の拠点病院は71か所と申し上げましたけれども、71の全ての拠点病院にセンターが設置されてございまして、相談件数につきましては、赤点線で囲ってございますが、平成27年度に非常にたくさん件数が増えてございます。
これは、相談の内容を右側に書かせていただいておりますけれども、先ほどの医療費助成のインターフェロンフリー治療が27年度に急増しているという資料を御説明いたしましたが、それの関係で相談件数が27年度、医療費助成について大変多くなりましたけれども、その後、少しずつ落ち着いてきているという状況が反映されているのかなと考えてございます。
資料41ページでございますが、こちらは肝炎医療コーディネーターについての資料でございます。
資料42ページで、養成数でございますけれども、令和元年度に47都道府県全てで肝炎医療コーディネーターの養成が行われてございまして、2万49名の養成がなされてございます。県別の数字は、このグラフのとおりでございます。
資料43ページ以下が「普及啓発」の関係でございますが、資料44ページに、肝炎総合対策推進国民運動事業の概要を示してございます。こちらは「知って、肝炎プロジェクト」という通称で呼ばれておる事業でございますけれども、その内容につきまして、活動状況、45ページでございます。
俳優かつ歌手でいらっしゃいます杉良太郎さんを特別参与といたしまして、また、そこに書かせていただいているような有名人・芸能人の方々に特別大使、広報大使、スペシャルサポーターといった形で御協力いただいておりまして、主な活動といたしましては、日本肝炎デーに合わせて、毎年7月頃にイベントを開催したり、集中広報県という県を決めて、そこに杉特別参与に出向いていただいて知事に要請いただいたり、そこの県の地元のテレビ局とかラジオ放送の中で訴えていただくということを様々やってございます。
そこにございますとおり、動画、ポスター、リーフレットを作成したり、オフィシャルホームページをつくったりという活動をやってございます。
46ページは、「知って、肝炎プロジェクト」におきまして、地方自治体とか首長さん、それから関係団体の方々に表敬訪問した実績を書かせていただいてございます。赤の太字の部分が過去3年のところを強調しておりますが、このような形で全国的に「知って、肝炎プロジェクト」に御参画いただいている芸能人の方々に御活動いただいている状況でございます。
資料の47ページでございますが、こちらは各都道府県における普及啓発の実施状況を書かせていただいております。ポスターの作成、リーフレットの作成に加えまして、都道府県におかれましても、ラジオとかテレビなども活用しながら普及啓発を実施していただいているという状況でございます。
資料48ページを御覧いただけますでしょうか。肝炎に関する情報発信(教育、啓発)の取組について、厚生労働省としてどういった取組をしているかということを書かせていただいておりますけれども、そこにございますとおり、医療関係職種の養成所・養成施設におけるB型肝炎教育の推進ですとか、日本肝臓学会、学会会員と連携した周知、啓発ですとか、青少年のための教育プログラムをやりますとともに、特にB型肝炎教育資材の開発の2つ目のポツでございますけれども、中学校3年生向けのB型肝炎教育に関する副読本「B型肝炎 いのちの教育」というものを、令和2年度に全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団の皆様の御協力の下、作成いたしまして、今年度中に配布することを予定してございます。
一番下、肝炎ウイルス感染者の偏見や差別による被害防止の研究ということもやらせていただいております。
49ページを御覧いただけますでしょうか。これが、先ほど私が御説明いたしましたB型肝炎の副読本のページでございますけれども、こういったものを作成することができましたという御紹介でございます。
資料の50ページは、教育資材につきましての関係でございますけれども、肝炎情報センターのホームページから入っていけるところでございますけれども、医学生向け、看護師向け、検査技師向け、いろいろな職種の方向けのB型肝炎ガイドというものを作成して掲載したりしてございます。
それから、51ページでございますけれども、「集団生活の場における肝炎ウイルス感染予防」のための手引・ガイドラインというものを作成いただきまして、一般の方向け、それから保育の現場における保育の関係者の方々に対するガイドラインですとか、高齢者施設におけるガイドラインというものを作成し、厚生労働省のホームページにも掲載しておるところでございます。こちらについては、後ほど四柳先生から研究の状況について御報告いただけることとなってございます。
資料の52ページ以下が「研究開発」の関係でございます。
資料53ページでございますけれども、こちらは肝炎研究10カ年戦略というものの概要を示してございます。肝炎治療戦略会議で取りまとめられた肝炎研究10カ年戦略に基づきまして研究を推進しておるところでございますけれども、具体的には54ページでございます。こちらは、AMEDで行っております肝炎等克服実用化研究事業というもの、それからB型肝炎創薬実用化等研究事業につきまして書かせていただいております。54ページがAMEDの研究でございます。
55ページでございますけれども、こちらは厚生労働科学研究費の政策研究における政策課題の一覧でございます。
資料の56ページを御覧いただけますでしょうか。「肝炎総合対策における主な変更点等」ということでございまして、前回の指針の改正後に、これは平成28年6月に改正されましたけれども、その後の肝炎総合対策における主な制度等の変更点についてまとめたものでございます。一覧にしておりますので、御参照いただければと思います。
それから、資料の58ページでございますけれども、内閣官房の行政改革推進本部事務局というところで各省庁の様々な予算事業を毎年取り上げて、事業について様々な評価をしていただくという行政事業レビューという取組がございまして、昨年度、令和元年度に下記の肝炎対策関係で4事業が評価対象となりまして、そこにございますような指摘事項をいただいておりますので、今後、指針などの検討におきましても、こういった指摘事項を踏まえて御検討いただければと思います。
以上が資料1の御説明でございますけれども、引き続きまして、お手元に資料2という資料も御用意させていただいておりますけれども、こちらにつきましては、肝炎対策基本指針の概要と、今までどういったことをやってきたかという主な取組状況について整理した資料でございまして、今後の推進協議会での御議論の参考にするために、先ほど大部の資料1で御説明した事項のエッセンスをまとめたようなものになってございますので、また御確認いただければと存じます。
冒頭の資料1と資料2の説明は以上でございます。
○小池会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御報告に関しまして、御質問、御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。御発言される方は、ビデオをオンにしていただくようにお願いいたします。
それでは、及川さん、よろしくお願いします。
○及川委員 薬害肝炎原告団の及川と申します。よろしくお願いいたします。
患者からお願いですけれども、肝炎対策協議会及び拠点病院の連絡協議会等が、コロナ禍においてなかなか開かれなかったという御報告がございました。コロナ禍で大変だとは思うのですけれども、肝炎対策が置いてきぼりになっているのではないかと、患者としては大変心配いたします。今後もコロナ問題は続くようですので、オンライン等でぜひ連携を取っていただきたいと、患者からはお願いしたいと思います。厚労省のほうからも、自治体のほうに御確認いただければと思います。
よろしくお願いいたします。以上です。
○小池会長 どうもありがとうございました。
事務局のほうから、いかがでしょうか。
○丸山肝炎対策推進室長 承知いたしました。
新型コロナウイルス感染症の関係で、こういった状況ではございますけれども、肝炎対策について後れを取るようなことがないように、私どもといたしましても、まず、肝炎対策推進協議会をこのような形で開催させていただいておりますことを含めまして、また、機会を見つけて自治体の方々にもお話しをしていきたいと、このように考えております。
○小池会長 考藤委員から、何かこの件に関して。よろしくお願いします。
○考藤委員 考藤です。及川さん、どうもありがとうございます。
肝炎情報センターとして、このコロナ禍、非常に懸念しておりまして、私どもも全国の診療拠点病院と連携して、いわゆる協議会等を開催しているわけですけれども、コロナ禍で対面が難しくなった状況の中で、各拠点病院が相当苦労しています。それでも、コロナ禍での取組といった形で、情報センターで各拠点病院の取組状況の調査をしておりますけれども、ウェブを使った研修会とか情報発信等で、かなり頑張ってやっていただいておりますので、こちらは情報センターもより一層の連携の努力をしながら進めていきたいと思います。
以上です。
○小池会長 ありがとうございました。
それでは、ほかにいかがでしょうか。
中澤委員、お願いいたします。
○中澤委員 中澤でございます。
膨大な肝炎対策の取組状況について御説明いただきまして、ありがとうございます。
1つだけ御意見というか、申し上げたいと思います。肝炎対策基本法の中に、肝炎医療の均てん化の促進というのが大きな項目として掲げられているわけでございます。一方で、先ほど御説明いただきました取組状況の中で、例えば9ページにいわゆる都道府県の取組状況が書かれておるわけですが、全国的な傾向というのは、足並みがそろっていないところもあるように見受けられます。そういう意味で、47都道府県の取組の足並みをそろえる必要があるのではないか。あるいは、厚生労働省として、各都道府県の取組の評価というものをやっていくべきではないかと思っている次第でございます。
先ほど、最後のほうで行政レビューの関係もございましたけれども、そういったような形で、どこの都道府県においても同じような対策が取られているということを進めていただく必要があるのではないかと思っております。
以上でございます。
○小池会長 ありがとうございます。
この件については、事務局のほうからお願いします。
○丸山肝炎対策推進室長 御意見ありがとうございました。
今日御説明させていただいた資料にも、都道府県の取組、県ごとに状況を回答いただいた内容を整理いたしまして、都道府県が分かるような形であったりするものが多いですけれども、こういった形で資料を公表することも通じまして、それぞれの都道府県の御担当者の方々にも、自分の県とほかの県の状況をよく見比べていただくということも、そういう機会にすることも考えてございますけれども、都道府県において、それぞれ地域の状況がございますけれども、取組につきまして、それぞれの地域の実情に応じて、しっかりと対策を講じていただけるように、これからも情報の提供ですとか、様々な助言とか支援といったことを我々もさせていただきたいと、このように思っております。
○小池会長 ありがとうございました。
それでは、ほかにはいかがでしょうか。
坂上委員、お願いいたします。
○坂上委員 読売新聞の坂上です。
初回精密検査費用の助成についての意見です。令和2年度、つまり今年度は、まだオンゴーイングなのですけれども、妊婦健診と手術前検査での陽性者への受診勧奨が新たに追加されましたが、これはうまく進んでいるのでしょうか。これについては、B型肝炎の原告団・弁護団の方々が熱心に取り組んでこられました。コロナ禍にあって、なかなか難しいかもしれないですけれども、せっかくできた制度なので、医療機関などは大変だと思うのですけれども、ぜひとも、しっかりと新制度の広報と助成を行ってほしいと思います。
以上です。
○小池会長 ありがとうございます。
事務局のほう、いかがでしょうか。
○丸山肝炎対策推進室長 御質問と御意見、どうもありがとうございました。
令和2年度の初回精密検査の追加になった部分の状況でございますけれども、委員も御指摘いただきましたとおり、まさに今、オンゴーイングでございますので、実績については、年度終了後に把握できるようにいたしたいと、このように考えてございます。
また、せっかくできた制度でございますので、しっかり周知して御利用いただくことが大事だと思っておりますので、妊婦健診に関しましては、令和3年度から母子手帳の任意様式のところに、妊婦健診で肝炎ウイルス検査陽性者について助成がありますということも記載していただくことになってございますので、様々機会を捉えて周知に努めてまいりたいと考えております。
○小池会長 ありがとうございます。
コロナ禍でいろいろ大変ですけれども、継続して行っていくということです。
山﨑委員。
○山﨑委員 失礼します。私のほうからは、肝炎医療の均てん化についてのお願いをしたいと思います。
37ページに、肝炎診療体制の拠点病院とか専門医療機関の選定状況のグラフがあるのですが、令和元年度の集計で、専門医療機関が全国に3112か所あるということが書いてありますが、都道府県の人口規模とか医療規模によって差があることは分かりますが、それにしても随分と差があるように思います。随分努力されて、ここまでたどり着いたことはよく分かるのですが、各都道府県で肝炎医療の均てん化がまだ十分進んでいないということが分かりますので、さらに専門医療機関が少ない都道府県に対しては、増やせるような支援をしていただきたいと思います。
また、私は兵庫県に住んでいるのですが、神戸を中心にした都市部のほうでは、随分と多くの専門医療機関があるのですが、私の暮らす郡部には専門医療機関がございません。その最大の理由は、肝臓専門医がいないことだろうと思います。国として肝臓専門医の育成に向けての支援を強化して、国内の全ての地域に専門医療機関を整えて肝炎医療の均てん化が図られるよう、指導や支援をぜひともお願いしたいと思います。
以上です。
○小池会長 ありがとうございます。
では、事務局のほうから御回答お願いいたします。
○丸山肝炎対策推進室長 ありがとうございました。
医療の均てん化の関係でございますけれども、肝炎対策基本法の13条とか14条にも定められておりますとおり、肝疾患を抱えていらっしゃる患者の皆様が、居住している地域にかかわらず適切な肝炎医療を受けることができるように医療機関の整備を図ることですとか、肝炎医療に携わる専門的な知識または技能を有する医師等の育成を図ることということが非常に重要であると、私どもは認識してございます。
これまでも、肝炎対策基本指針に基づきまして、肝炎情報センターと厚生労働省が連携して、医療従事者等を対象にした研修を行ったり、拠点病院の医療従事者とか自治体の担当者を集めて行う会議等々の場も通じて働きかけることなどを通じて、可能な限り、各都道府県内の診療レベルの向上ということと、全国の均てん化に努めてきたところでございまして、引き続き、こういった努力というものをたゆまず続けていきたいと考えてございます。
○小池会長 ありがとうございました。
それでは、郡山さん、お願いいたします。
○郡山委員 初めまして。今年度より委員になっております、鹿児島大学の郡山です。
最初に、1番目の資料で御説明いただいた17ページで、地方自治体の肝炎ウイルス検査の受検者数というのがございますけれども、これは確認ですけれども、この中には重複している人がどれぐらいいるかというのは把握されているのかということと。その質問の意図は、要するに地方自治体の検査において、人口の何割ぐらいの方たちがこの肝炎ウイルスの検査を受けているのかというのがお分かりになるのかどうかというのを、少し教えていただければと思います。
目的として、国民の皆さん、少なくとも1回は、こういう検査を受けてほしいといった周知を目標とされている中で、実際にこういった検査を、例えば自治体の検査は何割ぐらい把握できているのかというのが、もしお分かりであれば教えていただきたいと思います。
○小池会長 ありがとうございます。
これは、事務局から今、お答えいただけますでしょうか。
○丸山肝炎対策推進室長 自治体の肝炎ウイルス検査につきましてのお尋ねでございますけれども、資料の17ページもそうでございますけれども、各年度ごとに実施されました特定感染症検査等事業、また健康増進事業における肝炎ウイルス検査の実績をまとめたものでございます。ここの中には、委員御指摘のとおり、何回か受けられる方という重複がどれぐらいあるかということは、我々、把握できておりませんで、この中には重複というのもあるのかもしれないと考えてございます。
また、引き続きお尋ねいただきました、全体でどのぐらいの方が受検されているかというのは、各年度ごとにそれぞれの自治体検査の実施件数と、その年度の各県ごとの人口、例えば20歳以上の人口というものを計算して指標化するということはやっておったりするものですけれども、実際にどのぐらいの方が受けていらっしゃるのかということについては、生涯に1回以上受けた方が全国にどのぐらいいらっしゃるのかということまでは、現在把握できておらないところでございます。
○小池会長 ありがとうございました。
ここで、先ほどの山﨑委員からの均てん化に関する質問に関して、考藤委員のほうからお話しいただけるということなので、よろしくお願いします。
○考藤委員 考藤です。ありがとうございます。
まず、山﨑委員の均てん化の問題ですけれども、御指摘、本当に重要な点だと思います。専門医療機関の数を増やす。拠点病院は、全国、都道府県に最低1つ設置されておりますので、数の設置という目標は達成できたと思っていますが、専門医療機関の数に関しましては、どれぐらいが目標になるのかというところは、なかなか難しい議論になるかと思います。
1つ説明を加えさせていただきたいのは、均てん化という意味ですけれども、数も大事だと思いますけれども、そこで行われている診療内容について、レベルが均てん化する必要があると考えています。こちらは、肝炎情報センターのミッションでもありますし、当方が政策研究班で肝炎医療指標という調査を行っております。これは、実は年度を重ねておりまして、今年が3年目になりますけれども、現在調査中です。拠点病院に関しましては、肝炎医療指標に関しましては、ざっくり言いましてかなり均てん化されていると申し上げたいと思います。
専門医療機関に関しましては、調査を始めたところでして、現在、2年度目に入っています。ただ、先ほど肝炎室長からも御説明があったとおり、専門医療機関は全国に3000以上ございますし、それぞれ医療の規模はかなりばらつきがあります。全国一斉の専門医療機関における肝炎医療指標調査というものが、もちろん将来的に必要なのですが、現在は、ピックアップさせていただいた都道府県で抽出調査という形で、専門医療機関を対象に肝炎医療の内容についての調査を継続して行っているところであります。
こちらに関しましては、経年変化も踏まえて、少し結果がまとまりましたら御報告させていただきたいと思っていますけれども、情報センターとしても、また政策研究班としても非常に重要な課題ですので、継続して調査し、御報告し、何か提言できるような形をつくっていきたいと考えています。
以上です。
○小池会長 ありがとうございました。
先ほどからお待ちの鹿野委員、お願いいたします。
○鹿野委員 ありがとうございます。全国B型肝炎訴訟東京原告団の鹿野と申します。よろしくお願いいたします。
私たちは、患者団体として多くの患者さんや陽性者の方たちに広く周知していただくために、医療費の助成とか定期検診費用の助成、それから妊婦健診のフォローアップなどを書いて、患者さんに役立つ制度というリーフレットを作成しております。それを病院とか自治体や保健所に配布をお願いしに、日々、足を棒にして回らせていただいております。そういう努力を続けておりますが、これはできるだけ多くの方たちに、いろいろな患者さんたちに知っていただきたいという思いからですので、ぜひ厚生労働省と拠点病院、自治体の方たちには、さらなる制度周知や検査のフォローアップについてのバックアップを、これからも引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
以上になります。
○小池会長 ありがとうございます。
これに関して、事務局のほうから何かございますでしょうか。
○丸山肝炎対策推進室長 様々な制度の周知に活動いただいておりまして、大変ありがたく、また我々も気を引き締めて、引き続きしっかりやっていきたいと、このように考えております。日頃からの御協力、それから周知・広報活動に、改めまして、この場をおかりして御礼申し上げます。どうもありがとうございます。
○小池会長 それでは、続いて、日浅委員。
○日浅委員 愛媛大学の日浅です。よろしくお願いします。
患者啓発とか情報伝達ということで、現場で悩んでいることがあります。御存じのとおり、コロナ禍で、市民公開講座とか、集めてやるというのがなかなか難しくなっております。その中で、特に高齢の患者さんが多い肝炎の状態において、どうやって情報伝達をするかということで、インターネットを介したウェブセミナーとか、そういうものを積極的にやりたいと思うのですが、そこに皆さんが円滑に入っていただくような活動ないし取組ないし、あるいはそういう働きかけみたいなものが、もし可能でしたら、患者会の中の方でも促していただくような取組が、できるようでしたらお願いしたいということです。
以上です。
○小池会長 ありがとうございます。
これは、学会等の講演会でも、なかなか集まっていただけなくて、地元のケーブルテレビを借りてやったり、いろいろ皆さん、大変苦労されているようです。その点、何とかなるといいですね。
この件は、事務局からは特によろしいですかね。はい。
では、米澤委員、お願いいたします。
○米澤委員 日肝協の米澤です。よろしくお願いいたします。
今ありました日浅先生の御意見ですけれども、日肝協でも、高齢者に対するオンラインの活動というのを少しずつ進めておりまして、会議はスムーズに行えるくらいになりました。コロナの状況が今後もどういうふうになるか分からない中においては、ウェブを使った活動は非常に重要だと思っています。高齢者が置いてきぼりにならないように、尽力していきたいと思っています。
以上です。
○小池会長 日浅委員、よろしいですか。
○日浅委員 ありがとうございます。
○小池会長 考藤委員から、何か御発言がありそうです。
○考藤委員 郡山委員の御指摘の受検率の関係に関しまして、少し意見を述べたいと思います。と言いますのは、行政レビューでも受検率調査の把握というのが非常に重要視されておりますので、これは恐らく次の基本指針にも反映されるべき内容かなと考えていまして、現状について、私が把握している範囲で意見も交えて少し述べたいと思っております。
御指摘の複数回受けている人がいるのではないかというのは、我々、実感として感じておりまして、御自分が検査を受けたことを覚えていないということもありますし、その場合は結果も当然のことながら忘れているということで、何度も自治体主導の検査を受けておられる方がいらっしゃるようです。それで、こういった国民全体を対象にした受検率調査というのは、冒頭で肝炎室のほうからも御説明がありましたとおり、ウイルス肝炎検査というのは窓口が幾つもありますので、全体像を一括して把握する方法が今ございません。
現実的には、自治体主導の調査に関しましては、厚労省の肝炎室のほうから、自治体事業調査という形で調査が行われております。それ以外に、当然のことながら、職域での検診、あるいはお話がありました妊婦健診、あるいは手術前検査といったところでウイルス肝炎検査が行われているわけですが、その実態。あるいは、陽性になった場合にきちんと肝臓専門医等へかかっているかどうかの受療状況の把握といったところが、実は非常に難しい局面があります。
これを一括して調査するのは少し無理がありますので、現在、私自身も、また研究班の中でも少し議論しておりますのは、いろいろな対象を分けて、詳細につぶさにそういったところを見ていく必要があるだろうということであります。自治体調査に関しましては、当然厚労省が主導、あるいは都道府県・市町村が主導になって進めていくことになりますし、職域に関しましては、保険者の承諾がないと難しいところがありますので、こういったところで徐々に広げていくという取組を、現在、是永班が精力的にしております。それは後ほど是永参考人からお話があると思います。
妊婦健診の調査に関しましては、これは始まったばかりでありますし、手術前検査に関しましては、実態がほとんど分かっていないという状況があります。当方の政策研究班であります指標班、拡充班で、抽出調査になりますけれども、一般国民を対象にしたウイルス肝炎受検の受検率調査というのを行っております。
これは、先行調査として田中純子先生が行いました疫学班での国民調査をベースに、その継続調査を現在2回行い、今年3回目を実施する予定になっておりますけれども、こういったところで、一般国民全体の中のある一定の抽出標本の中での受検率の変動、推移といったものはつかめていきますし、当然アンケート調査になりますけれども、受検に関する意識等、あるいは受けていないことに関する意識等を調査していけるのではないかと考えております。
結局のところ、一括して受検率を調査するのは非常に難しくて、政策研究班あるいは自治体あるいは厚労省等で、対象を絞って見ていく。それをつなぎ合わせることで全体像を把握していくということが今の最善の方法ではないかと考えているところであります。
以上です。
○小池会長 ありがとうございました。
それでは、そろそろ時間が参ったようでございますので、議題2についてはここまでとさせていただきたいと思います。冒頭の健康局長の挨拶にもございましたが、肝炎対策基本指針は、少なくとも5年ごとに検討を加え、必要があると認めるときには変更することと規定されております。ただいま事務局から取組状況等を御提示いただきましたので、これを受けまして、今後、研究成果の報告や、指針で達成が不十分な内容、あるいは新たに出てきた課題などを踏まえて議論を進めさせていただきたいと思います。その過程で、皆様方からぜひ御意見をいただければと思っております。
これに関して御異議はございませんでしょうか。はい。
それでは、議題3「肝炎対策推進協議会の今後の開催スケジュール(案)」に入ります。事務局から説明をお願いいたします。
○丸山肝炎対策推進室長 お手元の資料3「肝炎対策推進協議会の今後の開催スケジュール(案)」について御説明申し上げます。
ここにございますとおり、今後、おおむね1年ぐらいかけまして、4回程度開催させていただければと考えてございます。これは、平成28年の前回の指針改訂時と同じような開催の回数。前回、4回開催していただいたようですので、それも参考にしてスケジュールを組ませていただきました。
一番上が、本日、1月15日、第1回でございますけれども、次回は令和3年4月から5月ぐらい、その次が夏ぐらい、秋ぐらいという形で開催させていただくようなことを念頭に作業を進めてまいりたいと考えておりますが、当然、新型コロナウイルス感染症の状況ですとか、様々な状況が今後ともあることが想定されますので、柔軟に対応していきつつ、しっかりとした御議論を賜れればと、このように考えてございます。
以上でございます。
○小池会長 ただいまの件に関して、御質問、御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。御発言される方は、ビデオをオンにしていただくようお願いいたします。
及川委員、よろしくお願いいたします。
○及川委員 スケジュールに関してですが、資料のことでお願いがございます。前々回、身体障害者手帳についての資料が出されていたと思うのですが、今回なかったようですので、その資料と。
それから、前回はコーディネーターのことで、人数だけではなくて、養成とか研修、更新、それから活動支援に関する資料が出ていたように思います。そういう資料も次回には出していただけますと、お話の材料になるのかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○小池会長 ありがとうございます。
資料に関して、事務局から何か御回答ございますか。
○丸山肝炎対策推進室長 先ほど御指摘をいただきました身体障害者手帳の関係の資料と、肝炎医療コーディネーターに関する様々なデータ、資料でございますけれども、御要望に従いまして、次回の協議会にお出しできるように準備させていただきたいと考えております。
○小池会長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょう。御発言ございましたら、ビデオをオンにしていただければと思います。
このスケジュールも、このコロナ禍ですので、どうしてもリモートで議論を行うということで、いつまでたっても慣れないような気がいたします。でも、そうも言っていられませんので、しっかり議論を深めていく必要があると思います。
よろしいですか。特に御質問、御意見がないようでしたら、それでは議題3については、ここまでとさせていただきます。
続きまして、議題4「研究の報告」に入ります。まず初めに「職域検診について」を是永参考人から御報告いただき、質疑応答を行った後に「肝炎の正しい知識の普及について」を四柳参考人から御報告いただき、質疑応答を行いたいと思います。
それでは、まず是永参考人から御説明お願いいたします。
○是永参考人 よろしくお願いします。それでは、始めさせていただきます。肝炎情報センターの是永と言います。今回は、このような機会をいただいて、ありがとうございます。この場をおかりして御礼申し上げるとともに、小職が推進協議会で発表いたしますのは6年ぶりで、少し緊張しております。ウェブということもありますので、お聞き苦しいことがあるかもしれませんけれども、よろしくお願いいたします。
職域に関する政策研究でございますが、2011年から東海大学の渡辺先生が研究代表を務められ、スライドの示すようなすばらしいホームページを作成しています。肝炎情報センターのホームページには、研究班の成果物として職域肝炎対策に関して産業医や中小企業向けのホームページを掲載し、どのように検診をしていくのか、どのような注意が必要なのかというのは、既に纏めております。我々も2014年から約6年かけて、弁護士の龍岡先生にもご参加頂き、肝炎検診に関する判例等を入れて、その配慮に考慮したホームページをつくっているのですが、これらの成果物がどの程度、有効活用されているかはなかなか分かりづらいところがあります。
我々研究班では自治体肝炎ウイルス陽性者対策、ソーシャルマーケティング、電子カルテアラートシステムを使った受検勧奨方法を進めているのですが、本日は職域の肝炎ウイルス検査の実態、またその陽性者がどのような受診行動をしているのかという成果をお話しできればと思っております。
今日もお話がたくさんありましたように、自治体実施主体の肝炎ウイルス検診は、2002年から節目検診、節目外検診が開始、すでに18年経過、総数でいくと約2,000万人。もちろん、複数回受検数まで把握できていませんが、かなりの数が受検済みで、多くは国民健康保険者ということになります。ただ、我々の調査によると、治療費助成を申請するC型肝炎の患者さんの陽性発見契機を見ると、自治体検診は20%未満で、病院で手術やその他を契機に見つかった人が非常に多いです。
このような背景から、電子カルテアラートシステムや肝炎医療コーディネーターを介した受検勧奨を病院内で推進していくのですが、拠点病院で調査を行うと、C型肝炎では、高齢、主診断治療、HCV抗体価低力価等で、専門医が見ても受療に結びつかないという症例が60%以上あります。ですので、高齢や他疾患が進行するまでに肝炎ウイルス陽性者を早く見つけていくというのも大きな課題だと改めて思います。
渡辺委員がおられる前で恐縮ですけれども、千葉県では肝炎ウイルス検診を、特に高齢者に向けて多く啓発しており、平成30年の割合で言うと、60歳以上でほぼ50%を超えています。40代から50代の多くの「働く世代」が自治体検診は受けていただけない現状があります。
そもそも働く世代、職域ということで今から説明させていただきますが国民健康保険、後期高齢者、生活保護適用者以外となり、多くは中小企業主体の協会けんぽ、専任産業医が存在する大企業は組合健保になります。職域検診では、法定項目として就労継続に影響するような項目が、最低ライン検診項目して入っているのですが、肝炎ウイルス検査は組み込まれておらず、オプション検査で法定外健診となります。
ここは皆様に御説明しておきたいところで、法定外検査では、検査を受検する際に本人の許可が必要とされ、陽性、異常所見時にその結果を会社が無断で把握し、良かれと思って受診勧奨や保健指導しようとすることはできません。法定外項目をどの部署が管理し、有所見の際にどのように指導するのかを会社の方針として明示することにより、初めて陽性者にも勧奨が可能になります。 職域検診時には、この事に十分な配慮が必要であり、産業医であっても肝炎ウイルス検査をやらないほうがいいのではないかと思っておられるかたも存在するとお伺いしております。
実際、一昨年度、肝臓学会と、産業医が多く加入している産業衛生学会と、連携フォーラムを開催させていただいたのですが、産業衛生学会理事長から、肝炎ウイルス検査については、産業衛生学会からも、「多少理解が十分でなかった可能性があり」とコメントを頂き、配慮しつつ促進しようという動きが始まっています。
その中で、職域の受検率・陽性率ということを説明させていただければと思います。2016年の単年結果になりますけれども、某健診医療機関団体に約70%の返信率を頂けた受検率アンケートを行い、約70%の返信率、組合健保はC型肝炎が4%、B型肝炎が9%、協会けんぽさんは約3%ということを報告致しました。
本調査の多くは組合健保となりますが、陽性率はスライドに示す通りになります。なおC型肝炎は抗体陽性ですので、ウイルスが存在しない人も含まれることはお見知りおきいただければと思います。
そこで、労働者の陽性者数を概算し報告しましたが、治療中や、ウイルス排除された陽性者も存在し、最多でという値になりますし、あくまで推測値で正確に全体でどれだけいるのかというのは、受検機会が均等とはいえず、なかなか難しい現状もあります。またそれ以外、受検率を正確に導き出すうえで、1つのハザードとして御紹介しますが、1病院の人間ドック、2,000人程度、毎年受けている人のデータですけれども、B型肝炎、C型肝炎を検査する確率は、B型肝炎はセットメニューに入っていること、C型肝炎はオプション検査であることで差が出ています。
さらに2014年度受けた人は、毎年7割、継続受検をされており、「正確な受検率というのはさらに解析が必要」ということになります。
一方、協会けんぽのは受検率は3%ですけれども、彼らの場合一生に1回しか基本的に受検できません。2008年から自治体検診と同じような要項で受検機会を健診時に提供しており2016年現在、150万人。加入者は3,500万人以上いらっしゃいますので、まだ非受検者も多く存在するだけでなく、この検査オプションは被保険者が対象で、被扶養者には受検機会がありません。この辺りの対応がまだまだ必要ですし、加入数とすれば、組合健保より協会けんぽが多く加入数も増加を考慮すると検査促進は急務ということになります。
本日、医療の均てん化という話がありましたけれども、47支部中、検査をたくさん施行している地域、なかなか伸びない地域もあって、この辺りも全ての受検率、また陽性率を全体で導くことの難しさの一因になるかと思います。
そこで、私たちは協会けんぽに検査促進を行っています。肝炎ウイルス検査はまず自分の意思で受けられる形が基本ですので、ナッジという理論を用いて、受検票を簡易化し一部負担で受検できることを明示することで、自然にそっと受診促進を行ったところ、40万人が職域検診をうけるF支部では、1年だけでなく、3年間、受検率が著しく上昇することを報告しました。
この結果により、2018年には4支部が研究班の受検票を使用、約120万人以上、職域検診受検者の14%近くで、上昇率には差があるわけですけれども、受検率増加を確認しております。費用をかけず、簡便な方法でで受検が促進されることは明らかになり、協会けんぽの本部と肝炎室とも協力し、本受検票が全国展開することになり、今後の受検率向上が期待されると思っています。
それでは、陽性率はどうだったでしょうかというのが次のスライドになります。これは、F支部の2年間のデータになりますが、千葉県の自治体検診のデータと異なり、40代から50代だけで既に60%以上が受検し、60代から少なくなるのがわかります。C型肝炎の陽性率になりますが、当然若い人にC型肝炎は少ないのですが、50代ではまだ0.6%ぐらい存在していますし、60代よりやや高い陽性率となります。F市の自治体検診のデータで比較しても、まだ同等陽性者が存在しています。
ただ、こういう陽性率を明らかにして頂けるのは4支部にとどまりますので、ここも部分的な状態です。今後は協力支部を増加させ、協会けんぽの陽性率を明らかにしていくのも我々の課題だと思います。
更にレセプトデータを用いて陽性者の受診行動を把握しました。2年間でC型肝炎が338名見つかったのですが、協会けんぽさんで約2割、加入・脱退があり、レセプトで追えない人が存在するという課題がありますが、3か月目、検査結果で受診した人は25%。糖尿病では5~10%程度と言われていますので、陽性者の初期受診行動は高いわけですけれども、7割は3か月で受診しないといえます。
現在新型コロナ感染症で濃厚接触者に行動把握(クラスター解析)をされているのはご存知と思いますが、受診しない陽性者に郵送で受診勧奨をおこなうことで、最終的に7割受診しました。1年間の経過観察ですので、C型肝炎の受診した中でDAAsになったのはまだ30%程度ですが、2年目になるとまた増えているということもつけ加えておきます。C型肝炎は職域では少ないのでは?と思われるかもしれませんが、実際、肝がんが見つかり、手術になった症例も2例ほど存在したこともお伝えしておきます。
ここまでの現状と課題を纏めますが、職域検診時に行う肝炎ウイルス検査が法定外であり、その取扱いに配慮しなければいけないことを、まずは理解しその上で促進していくことが望まれますし、この理解不足が職域肝炎ウイルス検査受検率が全国規模で出せない要因であります
その中で我々の解析では組合健保さんが主ですが受検率はB型肝炎が10%、C型肝炎はその約半分。B型肝炎の陽性率は0.4%、C型肝炎は0.4%ですが、後者は抗体ですので、ウイルス陽性者はそれよりも少ないと考えられます。協会けんぽでは受検率が増える可能性がありまし、陽性者に対してレセプトを使用した受診行動把握を周知することや、陽性者数を提供してくれるような環境をつくっていって、最終的に職域の中の陽性者がどこへ行ったという、かなり近いデータが出てくるのではないかと思っています。
少し長くなりましたけれども、我々は今、研究7年目を迎えて、新規手法班という形で、課題について新規手法を加えています、今後やっていくことを簡単に御説明すると、組合健保でレセプトを提供してくれるところがあります。100万人程度で、3,000万人の一部では?といえばそうなのですが、被扶養者の実状や複数回受検率の実態も明らかにしていく予定です。
協会けんぽさん、先ほどのF支部で被扶養者に対して受検促進すると、陽性率は被保険者と同等でしたので、被扶養者対策にも協力している支部を増加させる方針です。もちろん検査をしない地域には、どのようなことがボトルネックになっているのかということで、今日は詳しく説明しませんけれども、D&I研究ということで、ディープインタビューを繰り返しながら、さらに肝炎検査の機会を広げていければと思っています。
以上になります。御清聴、どうもありがとうございました。
○小池会長 是永先生、どうもありがとうございました。
職域検診についてということで、特に職域の肝炎ウイルス検査の件をお聞かせいただけたと思います。ただいまの御説明に関して、御意見あるいは御質問ございましたら、ビデオをオンにしていただくようにお願いいたします。
米澤委員、お願いいたします。
○米澤委員 米澤です。
是永先生、ありがとうございました。
職域検診の進め方についてですけれども、お話があったとおり、御苦労がすごくあると思います。職域における検診というのは、患者にとってもぜひどんどん進めていただきたいと思っておりますけれども、是永先生にも長らくお伝えしておりますが、職域での検診においては、陽性とわかって不利益を被る患者というのが、私たちの電話相談などでもまだまだ挙がってきております。それが現状だと思っています。
例えば、東京都においても、陽性者の個人情報の扱いが非常に難しいので、ウイルス検査そのものを控えるといった企業の声も多いと聞いています。ただ、このままでは、そういった企業が職域で検査を進めていくことになかなかならないので、どうしたらいいか。今、先生のお話を聞きまして、私たち患者の側から何か効果的な方法を提起することが今後は必要なのではないかなと思いました。
以上、意見です。
○是永参考人 ありがとうございます。
我々は、今までこういう形で、保険者さんとか肝臓専門医以外のところでやっていたのですけれども、今後はこういう患者会の皆さんの意見、困っている意見が僕たちには届かないので、そこを把握しながら、産業医の先生、産業保健衛生の担当の方にも伝えていくということで広げていきたいと思います。その中で、またいろいろお願いすることもあると思いますので、今後ともよろしくお願いできればと思います。
どうもありがとうございました。
○小池会長 及川委員、お願いいたします。
○及川委員 及川です。
是永先生、ありがとうございます。一患者として、米澤さんと同意見でございます。プライバシー等、不利益の問題がありますので、引き続き、患者としてもできることをやっていきたいと思います。
伺いたいことが1点ありまして、先ほどもお話に出ていました繰り返し受検者に対して、何かいい方策をお持ちでしたら、教えていただきたいです。先生の患者さんから、何かいいものをもらったみたいなお話を聞いたことがありますので、可能な範囲で結構ですので、お話しいただけますでしょうか。お願いいたします。
○是永参考人 御質問ありがとうございます。
今日、たまたま会議の前半でも、複数回受検というのがありました。我々が陰性者5,000名に調査すると、回収率は30%になりますが、1年後に5割は覚えている。ただ、5割は覚えていない。もしくは、受けたことも覚えていないという返事があります。陽性結果の方は覚えているかもしれないですけれども、陰性結果は紙だけではうまく伝わらないというのが現実的なところですので、どうしても継続受検、また機会があると受けてしまうということになります。
そこで、大分大学でもいろいろやっているのですけれども、陰性カード、陰性シール。もしくは、最近、C型肝炎もウイルス陰性者が多いので、このような形でウイルス排除カードを渡しています。ただ、悲しいことに、例えば脂肪肝の患者さんに陰性だったのを覚えていますかと言ったら、100%、僕の患者さんでも覚えていません。もちろん、保険証に貼るシールとかも作成していますので、検査を受けたことを自覚、もしくは我々もちゃんと説明するということを進めていければと思っています。
まず、自分の患者で1年後、どの程度覚えているかというのをやってから、全国展開できればと思っていますので、また御説明できればと思っています。
どうもありがとうございました。
○小池会長 ありがとうございます。
羽鳥参考人、よろしくお願いします。
○羽鳥参考人 よろしくお願いします。今日は、釜萢先生がコロナウイルス対応の別の会議に出ていますので、僕が代理に出ています。
肝炎検査を複数回受ける方が、受けていても結果的には御自分がウイルスを持っているかどうか把握していないということは、まさに予防接種歴の話だと思います。自分が何の予防接種を受けたかを把握するための仕組みがあると思うのですけれども、EHR/PHR、マイナンバー、あるいは医療情報のうち自分で把握しておくべきワクチン接種歴、アレルギー歴、現在飲んでいる薬など、何らかの仕組みを構築していくのがとても大事だと思います。
例えば、先ほどありましたけれども、僕たちも内視鏡の前には肝炎検査しますし、手術の前には検査をします。ところが、場合によっては、既に陰性であることを把握されているのに検査しているという無駄なこともかなり多いのではないかと思うので、その辺は国として仕組みをしっかりつくって、陰性は陰性であるということの証明を電子的にもされていくのがいいのではないかと思うので、ぜひここから発議していただければなと思います。
以上です。
○小池会長 どうもありがとうございました。
では、是永参考人はまだ何か返事したいですか。
○是永参考人 大丈夫です。PHRの話だったので、事務局からかなと思いましたので小職からはございません。
○小池会長 では、坂上委員からお願いします。
○坂上委員 是永先生、とても示唆に富んだ研究発表、ありがとうございました。
この中で、ナッジを使ったものがとても興味があります。今回の研究では、検査を勧めるチラシの文言は、「通常検査なら2,040円かかるが、今受けたら安くなるよ」という内容でした。行動変容を促す文言として、ほかにも、「あなたも肝炎ウイルスに感染している可能性があります」とか、「一生に一度だけでいいので、ウイルス検査を」とか、様々あります。行動経済学の先生のご協力も得て、ぜひとも、効果的な文言を考えていただき、有効性に関するエビデンスを作ってほしいと思います。職域だけでなくて、自治体にも、こういうチラシがいいぞということを発信していただければと思います。
意見でした。
○是永参考人 どうもありがとうございます。
実際、自治体のほうは、個別勧奨、対象所に受診券を配ることが最も効率よい受検方法となります。但し、そのシステム導入の予算がない、受検費用が有料等になると、案内にナッジを取り入れることは重要であり、いろいろな自治体で取り組んでいるところもありますので、また御紹介できればと思います。
どうもありがとうございます。
○小池会長 いろいろ貴重な御意見等、いただきましたが、そろそろ時間でございますので、是永先生、どうもありがとうございました。
○是永参考人 ありがとうございます。
○小池会長 それでは、続きまして、四柳参考人から「肝炎の正しい知識の普及について」の御説明をお願いしたいと思います。四柳先生、よろしくお願いします。
○四柳参考人 御紹介ありがとうございます。四柳と申します。今日は、このような発表の機会をいただきまして、関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
それでは、スライドを上げさせていただきます。私からは「肝炎の正しい知識の普及について」というテーマで厚生労働科学研究の仕事を報告させていただきます。
これは、現在行っている厚生労働科学研究で目的として上げているものです。本日の課題にもあるように、肝炎に対する啓発及び知識の普及ということが大きな目的となっております。本日は、研究テーマのうち、一般生活者、保育施設勤務者、医療従事者を対象としたe-learning systemの構築について紹介させていただきます。
これは、以前の厚生労働科学研究で報告した感染経路に関する知識の調査結果です。右上にB型肝炎、左下にC型肝炎の感染経路に関する認識度が示してあります。赤丸で囲ったところが正しい感染経路ということになります。見ていただくと、左側のほう、少ないながらも空気感染、経口感染がB型肝炎、C型肝炎はするのだとお考えの方。これは、一般生活者のみならず、実は医療従事者にもあることが分かります。こうした調査結果を踏まえて、一般の方、保育施設に勤務される方、高齢者施設に勤務される方を対象としたガイドラインを作成しております。
先ほど事務局のほうから御紹介があったように、冊子体の形でガイドラインを作りましたが、冊子体だけでは御理解いただくのに不十分ですので、現在進行している厚生労働科学研究の事業としてe-learningを作成いたしました。本日は、時間の兼ね合いもあり、左から2番目に書きました一般生活者のためのガイドラインの一部を紹介させていただきます。それでは、4分ほどのものですけれども、御覧いただければと思います。
(ビデオ放映)
「今日は、日常生活の場におけるウイルス肝炎の感染予防について、米澤さんと一緒に勉強したいと思います。米澤さん、よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
「ここで言う肝炎ウイルスとは、主にB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスのことを指しています。
左側に、肝炎ウイルスに感染する可能性のある行為を赤で示しました。傷ついた皮膚・粘膜から血液・体液が体内に入る可能性がある行為が含まれます。傷や穴からというところに示しましたが、手術などの医療処置、針治療に加え、ひげ剃り、脱毛、人によっては入れ墨、ピアスなど、御自分の皮膚に他人の血液・体液のついた、とがったもので傷をつけることが感染の原因になります。また、性交渉、母子感染など、ウイルスに感染している人と濃厚な接触を伴う行為は感染につながる場合があります。
右側の緑の部分には、肝炎ウイルスに感染する可能性のない行為を示しました。他人の血液・体液がついていない場所への接触では、肝炎ウイルスへの感染は起こりません。また、マスクを外しての会話、握手、会食などは、新型コロナウイルスに関しては感染の原因となることが最近知られていますが、肝炎ウイルスに感染することはありません。」
「肝炎ウイルスは、会話や握手、会食などでは感染しないということですね。」
「はい、そのとおりです。
さて、ここで問題です。日常生活の場で、B型肝炎の感染を防止する上で不適切なものを1から4から1つ選んでください。1.床が鼻血で汚れた場合、紙で拭き取った後、その紙をビニールにくるんで捨てる。2.衣服に血がついた場合、すぐに洗濯機で洗う。3.B型肝炎ウイルス感染者の家族は、HBワクチンを接種する。4.全ての乳幼児は、HBワクチンを接種する。
答えは2です。1、3、4に関しては、先ほどスライドでお示ししたとおり、こうしたことは大切と考えます。2については、直接は説明いたしませんでした。ただし、衣服に血がついた場合は、1に書いたような、床が鼻血で汚れた場合と共通したことがございます。仮に衣服に血がついた場合、これを洗濯機ですぐに洗うと、同時に洗ったほかの衣服にウイルスがつくことがあります。また、洗濯機そのものも微生物で汚染される可能性があります。こうした場合には、衣服を塩素系消毒薬の入った洗面器等に漬け置きしてから水でよく洗い、その後、洗濯機にかけることがよいとされています。」
(ビデオ放映終了)
全体で10分ほどのe-learningでございましたけれども、これを4分ほどに短縮したものを御覧いただきました。こうしたものをほかに3バージョン作成してあって、今後展開ということを考えております。
先ほどスライドの中でもお示ししたとおり、感染のローリスクとして、このようなものが大事であるということをお示ししております。会食、食器などを通じて感染することはないということを申し上げてあります。
ビデオで紹介できなかったものを、以下、御紹介いたします。環境を血液・体液で汚した場合の対応についても、このようにスライドに盛り込ませていただきました。血液・体液には、肝炎ウイルス以外の微生物も含まれており、ここでお示しした内容は標準予防策の一部、これを一般の方にお伝えするような内容でもあります。
B型肝炎の予防にはワクチン接種が重要ですので、ウイルスキャリアの家族の方に関しては、財政的な援助もございますので、ぜひ積極的に受けていただきたいということもありますので、そうしたことを強調させていただきました。
このほか、不特定多数の方の血液に触れる職種の方にも、B型肝炎のワクチンの接種が強く勧められるということも述べさせていただきました。
ほかに複数のガイドラインがありますが、保育の場における注意に関して紹介させていただきます。
これは、昨年度、研究班で作成したe-learning。完成版ではありませんで、試作版ということですが、そこの施行前に行ったアンケート調査の結果です。左の図に示しましたように、園児の傷の手当ての際に、必ず手袋をされるのは30%の方にすぎません。その一方、真ん中にありますように、園児の方のワクチン接種状況の把握も不十分ですし、右に示しますように、御自身でワクチンを接種されているのは25%にすぎません。したがって、保育施設の職員は、積極的にHBワクチンを接種することが大切であることを申し述べました。
唾液のつくものの扱いも、保育の現場では大切です。おもちゃの扱い等には、現場は非常に苦慮しておりますので、その指針を示しました。
続いて、高齢者施設における注意に関して紹介させていただきます。
入所者の体表にできた傷、血液や体液の取扱いが現場では問題になりますので、そうした点について指針を示しました。
保育施設に関しても同様ですが、施設にウイルスキャリアの方が勤務される際に、どのようなことに気をつければよいのかを示しました。御自身の血液・体液が入所者の体表の傷に直接触れないように気をつけていただければ、通常どおり勤務していただけるということを申し述べました。
今後は、このe-learningを使って、様々な方に対して啓発を展開していく予定です。一般生活者向けのものは、一般生活者の方に加えて、医療関係者、コーディネーターの方、患者さん、そしてその御家族への展開を考えております。保育施設者向けのものは、保育施設だけではなく、小児の集まる施設などへの展開も必要かと考えております。また、高齢者施設向けのものは、高齢者施設のみならず、施設全般への展開も必要と思っています。
さらに、e-learning前後での認識・理解度の変化を調査する予定でおります。
どうもありがとうございました。
○小池会長 四柳先生、どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に関しまして、御質問あるいは御意見がございましたら、お願いしたいと思います。御発言される方は、ビデオをオンにしていただくようにお願いいたします。
誰か手を挙げる前に。先ほどのe-learningは、現在どこかで見られるのですか。四柳先生の教室のホームページか何かを見ると。
○四柳参考人 申し訳ございません。現時点では、ここに出させていただいたものを厚生労働省のほうで最終的に確認いただいたものを挙げさせていただきますので、それをつつがなく終えた後に公開させていただく予定です。
○小池会長 分かりました。
いかがでしょうか。新型コロナのことがあるから、ウイルスというものに対する一般の人の関心というのは、以前よりは多少高いと思いますけれども、どう考えても肝炎ウイルスとコロナウイルスの違いの理解は簡単ではないですから、こういう地道な努力によって啓発していくということが非常に重要かと思います。
○四柳参考人 ありがとうございます。
ビデオの中でちょっと口頭で述べさせていただいているのですけれども、握手や会食、こうしたことが、肝炎の患者さんたちにとっても、あるいは肝炎の感染対策にとっても非常に大事なことですので、コロナではこうしたことは非常に慎重にしなければいけないということですけれども、肝炎対策においては、こういったことは障害にならないのだということを画面の中で申し述べさせていただきました。
○小池会長 郡山委員、お願いします。
○郡山委員 大変興味深いお話、ありがとうございました。
○四柳参考人 ありがとうございます。
○郡山委員 小中高の思春期の子どもたちなどを対象として、がん教育というものも実際、いろいろな自治体で取り組んでいらっしゃるかと思うのですけれども、その中で、このようなウイルス性のがん、特に肝炎ウイルスであったり、そういったものの感染防止であったり、あるいは検査の重要性なども盛り込まれているのかどうか、すみません、私が存じ上げなくて申し訳ないのですけれども、できればそういうことも、既に入っていればいいのですが、入っていなければ、そういうものも含めていただけるといいのかなと思いました。
○四柳参考人 貴重な御指摘いただきまして、ありがとうございました。
実は、学校への展開というのを将来的にはどうするかということを文部科学省などとも調整いただいて、どのように進めるかということを考えなければいけないのですけれども、本来的にはそういったことが大事だと思います。たくさんの資材が既に開発されているのですけれども、十分に活用されていないと私自身は理解しておりますので、こうしたものが少しでもお役に立てばと思いますし、必要があれば、もちろんB型肝炎、C型肝炎はがんの予防ということが最も大事ですので、そういったことを入れたような教材をまた作成していきたいと思います。
ありがとうございました。
○小池会長 考藤先生、何か御質問ですか。
○考藤委員 ありがとうございます。
1点追加で情報提供ということでさせていただきます。四柳先生、どうもありがとうございました。
今、郡山先生のほうから御指摘があった若者への啓発ですけれども、これは情報伝達としても非常に重要だと考えております。現在、厚労省の「知って、肝炎」事業がありますけれども、これも数年前から若者、学生に対する啓発ということで、事業の一環で学校訪問というのをパイロット的に行っています。そこで拠点病院の先生に中心になっていただいて、肝炎に関する授業を学生向けに行っていただくということを実施しております。非常に好評でして、これをどのように展開していくかということを現在検討しているところです。
今年も「知って、肝炎」事業の中で、You Tubeを中心としたウェブ配信になりますけれども、拠点病院の先生方に講師になっていただきまして、AKBの皆さんに生徒役になっていただいて、模擬授業という形で動画を撮影いたしました。それも、検査の重要性とか治療の進歩、あるいは予防の重要性、ウイルスとはといった基本的な知識といったところを中心に動画を作成して、現在、最終確認段階であります。したがいまして、厚労省としても、情報センターとしても、この若者世代への啓発活動というのは引き続き連携・支援していきたいと考えています。
どうもありがとうございました。
○四柳参考人 考藤先生、的確な補足をいただきまして、ありがとうございます。私のほうは言葉足らずでしたけれども、私自身も実は2年ほど前に、この「知って、肝炎」プロジェクトで、今日御出席の米澤委員、及川委員と一緒にこうした啓発の場に行って、非常にいいことだなと思っておりましたので、その情報を共有させていただきます。
ありがとうございます。
○小池会長 それでは、議題4については、ここまでとさせていただきます。四柳先生、どうもありがとうございました。
○四柳参考人 ありがとうございました。
○小池会長 最後に、議題5「その他」として、事務局から報告があります。事務局からまとめて御報告をお願いいたします。
○丸山肝炎対策推進室長 議題5「その他」でございますけれども、資料6を御覧いただけますでしょうか。
まず、1点目でございますけれども、肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業の見直しでございます。この事業につきましては、昨年度の肝炎対策推進協議会でも御議論等いただいたと承知しておりますけれども、現行制度の要件、そこに書いてございますとおり、所得制限がございまして、入院医療のみを対象として、通院は対象外となってございます。そして、公費による助成の対象となるのは、入院で過去1年間のうち高額療養費の限度額を超えた月が既に3月以上ある場合に、入院4月目以降に高額療養費の限度額を超えた月について、医療費の患者さんの自己負担が月額1万円になるように助成するという制度でございます。
事業の見直しの背景は、昨年も御説明申し上げておったところでございますけれども、そこにありますとおり、助成実績が当初見込みを大幅に下回っている状況にあるということを踏まえまして、見直し案といたしまして、まず1つ、分子標的薬を用いた化学療法による通院治療を、この事業の助成の対象に入れるということが1点目でございます。
2点目といたしまして、対象月数の短縮でございます。現行は、高額療養費を超えた月が入院医療費で4月目からということでございますけれども、入院または分子標的薬による通院治療で3月へと対象月数の要件を短縮することにしておりまして、令和3年4月からの事業の開始に向けて準備を進めているところでございます。
1点目の肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業の見直しについての御報告は以上でございます。
資料の2ページを御覧いただけますでしょうか。特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の関係でございます。この法律につきましては、集団予防接種等の際の注射器の連続使用によるB型肝炎ウイルスの感染被害の全体的な解決を図るために、給付金をお支払いしておるものでございますけれども、そこの3ポツの請求期限というところを御覧いただけますでしょうか。赤枠で囲っておりますけれども、給付金等を受給していただく場合には、令和4年1月12日までに請求いただくということが法律上規定されております。
ここにつきまして、まだまだ提訴の実績、当初我々が見込んでおった対象者の方が最大で45万人ぐらいいらっしゃるのかなと想定しておりますけれども、現時点で提訴者の方々が8万人ぐらいでございますので、さらにまだたくさん未提訴の方がいらっしゃいますので、この期限を延長するということにつきまして、本年度、今年の通常国会に法案を提出する方向で検討いたしてございます。検討状況の御報告でございます。
3ページを御覧いただけますでしょうか。肝炎ウイルス検診結果のマイナポータルでの閲覧等についてということで、自身の保健医療情報を活用できる仕組み、Personal Health Recordと呼んでおりますけれども、PHRの検討状況の御説明でございます。
資料の4ページでございますけれども、まずPersonal Health Recordとはどういうことかということを書かせていただいております。御本人の保健医療情報を御本人自身が予防ですとか健康づくりなどに活用するとともに、それを御本人の同意の下に、医療とか介護の現場で役立てることを目指すという取組でございまして、本人の保健医療情報を各種健診情報とか個人情報、健康に関連する医療情報の中に、検診情報のところに肝炎ウイルス検診も入ってくるということでございまして、こういった肝炎ウイルス検査の結果をマイナンバーのマイナポータルで御自身で閲覧いただけるような仕組みをつくっていくということを検討しておるということでございます。
5ページを御覧いただけますでしょうか。5ページは、データヘルス集中改革プランの基本的な考え方をまとめたものでございますけれども、先ほど来申し上げております肝炎ウイルス検査の検診結果の御自身でのマイナポータルでの閲覧が可能になる仕組みというのは、このACTION3というところでございますけれども、このACTION3を含め、3つのACTIONを今後2年間で集中的に実行するということを、政府として推進していくことといたしております。
具体的な肝炎ウイルス検診の関係で申し上げますと、肝炎ウイルス検診結果の閲覧については、ACTION3のところですけれども、御自身のパソコンとかスマートフォンを通じて、患者さんが御自身の保健医療情報を閲覧・活用できる仕組みについて、令和3年に必要な法制上の対応を行って、令和4年度早期から順次実施を拡大していくということを目指しているところでございまして、資料の6ページを御覧いただけますでしょうか。6ページに工程が書かれておりますけれども、下のほうの赤枠で囲っておるところでございます。
肝炎ウイルス検診につきましては、ここにございますとおり、令和4年度中に運用開始できるよう、パソコンとかスマートフォンでの御自身での閲覧ができるように目指して、今、作業を進めているところでございます。
事務局からの御報告は以上でございます。
○小池会長 どうもありがとうございました。
御質問ですね。及川さんから順にお願いいたします。
○及川委員 薬害肝炎原告団の及川です。
制度の周知という観点から、特措法についての広報のお願いをしたいと思います。C型の特措法につきましては、担当部署が違いますが、聞いていただきたいと思います。B型肝炎の特措法については、今回、資料が出ております。C型の特措法につきましては、18年3月に資料が出されて、医政局の局長さんが説明してくださいました。その年に、推進室と医政局連名で、日本肝臓学会へ文書で事務連絡を出していただいたということがございました。
先ほどお話ありましたように、自分が感染していることを分かっていない患者がまだまだ残されております。そこで、今回はお願いがございます。B型は来年1月に提訴期限が来てしまいます。C型のほうは、再来年、令和5年1月に提訴期限が来てしまいます。できるだけ周知していただきたいということで、全国肝疾患診療拠点病院にも、このことについて広報していただければありがたいので、御検討いただきたいと思います。と言いますのは、拠点病院の相談の中で、提訴の御相談が少なからずあるという資料も拝見いたしました。ぜひ御検討をよろしくお願いいたします。
以上です。
○小池会長 事務局、現時点でただいまの御意見に何かありますか。
○丸山肝炎対策推進室長 事務局でございます。
C型肝炎、B型肝炎の特措法の関係の周知でございますけれども、全国の拠点病院さんとの連絡協議会というものがございまして、そこの場におきまして、いずれの法律につきましても、内容と状況につきまして周知といいますか、広報させていただいているところでございまして、そういった取組を今後とも節目、節目でしっかりやっていきたいと思います。
○小池会長 では、辰巳委員のほうからお願いします。
○辰巳委員 B型肝炎原告団の辰巳です。
私のほうからは、マイナポータルの関係でちょっと質問させていただきたい。質問というか、意見ですけれどもね。PHRの意義自体については、すごくあると認識しているのですけれども、それをマイナンバーと医療情報をひもづけするということについて、すごく懸念があります。すごくセンシティブな個人情報だと思うのですけれども、マイナンバー自体のプライバシーに関する懸念がすごくある中で、マイナンバーとこれを結びつける。
マイナンバーカード自体が、そういう懸念から普及しないというのもあると思うのですけれども、マイナンバーカードがなかなか普及していない中で、一体どれだけの人が自分でマイナポータルの使用できる端末を自分で用意して、マイナンバーカードを自ら取得して、自分の肝炎ウイルス検診の結果を活用するというのが、今まで言っていた、受検して陽性になっても受診・受療につながらない人を、どうやって受診につなげるかという議論をしている中で、陽性になっても受診してくれない人と、これを自分で活用する人の人物像が全然かみ合わないような気がする。
計画としては、粛々と令和4年度から早くも予定されているということですけれども、もっとほかに優先すべきことがあるのではないかというのが私の意見です。
○小池会長 ありがとうございます。
事務局、何かございますか。
○丸山肝炎対策推進室長 御意見、承りました。
この取組自体は、御本人がこういったことで活用したいという方が活用できる仕組みをつくる。様々な他の医療情報を収納できる、確認できる項目の一つに、肝炎ウイルスもつけ加えることによって、そういった情報を活用されたいと希望される方の一助になればということで考えておるものと承知しておりますので、マイナンバーカードとか、様々な御意見があることは承知しておりますけれども、そういった活用していきたい方の一助になるようなシステムということでございますので、御理解いただければと思います。
○小池会長 それでは、大久保委員からお願いいたします。
○大久保委員 連合の大久保でございます。ありがとうございます。
私からも、今の辰巳委員と同じく、3点目の肝炎ウイルス検査結果のマイナポータルでの閲覧について、お伺いしたいと存じます。先ほどの是永先生の職域検診に関する研究報告でも議論があったところであります。片や自分の健康情報を自分で管理する、まさしくPersonal Health Record、これは必要性がありますが、一方で今、辰巳委員からも御指摘があったとおり、非常に機微な個人情報を扱うものですので、慎重な扱いが必要であると考えております。
その上で、2点お伺いしたいと思います。
1点目は、本人による情報の取扱いに関する関与です。すみません、先ほどの資料6のパワーポイントをお示しいただけますか。6ページを共有いただきたいのですが。ありがとうございます。こちらの中ほどにオレンジの枠がございます。上記情報について、本人同意の下で、スマホなどで閲覧できるようにするという記載がございます。
この本人同意につきましては、例えばオンライン資格確認システムからマイナポータルへの情報連携に当たっては、機微な診療情報などについては、被保険者からの事前の申請に基づいて情報提供の停止を制御できるように、医療費・薬剤情報に係る提供停止フラグが立てられると思うのですが、肝炎に関する情報についても、このようなフラグによって制御することができるかどうか、が1点目です。
2点目は、民間のPHRサービスについてです。こちらも同じく、6ページをお願いできますか。共有画面を動かしていただけますか。ありがとうございます。民間PHR事業者へのルール整備について記載されておりますが、社会保障審議会の医療保険部会でもその重要性が議論になっていると承知しております。そちらの議論の進捗状況なども含めまして、具体的な内容について事務局から御説明いただきたいと思います。
以上2点でございます。よろしくお願いいたします。
○小池会長 ありがとうございます。
それでは、事務局、よろしくお願いいたします。
○藤岡課長補佐 健康課の藤岡と申します。PHRの全体の取りまとめをさせていただいております。
御質問いただいた点、御回答させていただきますと、特定健診やレセプト情報という部分につきましては、保険者さんの御協力の下、オンライン資格確認等システムというものを構築して、情報を閲覧していただく形になります。ここについては、おっしゃるとおり、薬剤情報とか、いろいろなフラグを立てながらいろいろ運用して、その中で医療機関で見るとか、薬局で見るといった部分を整理しているところでございます。
一方で、乳幼児健診と、がん検診、肝炎ウイルス検診、骨粗検診、歯周疾患検診については、これは自治体が実施する検診でございまして、今のところオンライン資格確認等システムには入りません。これは、あくまでも自治体がやっておりますので、自治体の中間サーバというところに保存されて、そこから本人がマイナンバーカードをかざすとマイナポータルから閲覧できるというものでございます。そういう意味では、医療機関に自動に提供されるということはございませんで、本人が見るというところに限定された運用になってございます。
ただ、医療機関を本人が受診された際に、私の情報を見てねということで、本人がお示しすることを否定しているものではございません。そのお示しをする、情報提供するというところを円滑にする政策というものが、API連携みたいなところでシステムをうまくつなげるようにということも、同時に議論させていただいておりますというのが、まず1つ目の御質問への回答になるかなと。
2つ目の民間利活用の部分については、先ほど申し上げたとおり、あくまでもマイナポータルは本人が閲覧するポータルでございますので、本人が情報を得るものです。本人が自分の情報を民間企業に提供したい、あるいは医療機関に提供したいという御判断をされて提供される際に、そういう操作が円滑にできるようにということでAPI連携なども併せて検討しております。 ただ、本人と事業者の情報非対称性やリテラシーの部分で色々とあるところもございますので、民間PHR事業者の皆様には、ちゃんと本人同意を取って下さい。あるいはセキュリティをちゃんと確保してください。2次利用は、ちゃんと本人に説明して同意を取らないと駄目だという基本的な部分をしっかりと守っていただくというのを条件にして、このマイナポータルとの連携みたいなところを検討しているところでございます。
進捗としましては、今、厚生労働省、経産省、総務省の3省で合同して、民間利活用作業班という検討会の中でルール作成をしてございます。このガイドラインというのを年度内にある程度お示しできればということで、現状検討中という進捗になってございます。
○小池会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
そろそろ時間も迫ってまいりました。ほかに何かこの場で発言したいということが、もし委員の方でございましたら、ビデオを。
出田委員、お願いします。
○出田委員 出田です。初めまして、薬害肝炎原告団です。
4月から始まる医療費助成の件について、お尋ねします。患者として、新たな助成制度に大変期待しております。これまで旧制度がなかなか広まらなかった原因として、要項が厳しいことのほかに、情報がなかなか患者に伝わっていないということもあったかと思います。1人でも多くの患者が助成対象となるように、今回は広報をしっかりやっていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○小池会長 事務局、よろしゅうございますね。今、御要望がありました。
○丸山肝炎対策推進室長 制度の準備を進めるとともに、広報もしっかりと取り組んでまいりたいと、このように考えております。
○小池会長 ありがとうございます。
もしほかにないようでございましたら、お時間にもなりましたので、本日の議事は終了したいと思います。
事務局から最後に何か連絡事項等ございますでしょうか。
○丸山肝炎対策推進室長 本日は、長時間にわたり御審議いただき、ありがとうございました。
次回の具体的な開催日程につきましては、後日、事務局のほうにおいて調整させていただいて、御連絡させていただきたいと、このように考えております。
以上でございます。
○小池会長 それでは、閉会とさせていただきたいと思います。この会は、初めてのリモート開催ということで、若干心配がありましたが、何とか無事に終了したと思います。
本日は、どうもありがとうございました。
照会先
健康局がん・疾病対策課肝炎対策推進室
前野 久保
代表番号:03-5253-1111(内線2948)