第2回障害者就労を支える人材の育成・確保に関するワーキンググループ(議事録)

日時

令和3年1月21日(木)10:00~12:00

場所

オンラインによる開催(厚生労働省省議室)

議事

○小林障害者雇用対策課課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会 第2回 障害者就労を支える人材の育成・確保に関するワーキンググループ」を開催いたします。皆様方におかれましては、お忙しいところを御参集いただきまして誠にありがとうございます。
本日のワーキンググループは、Zoomを使ったオンラインで開催をいたします。開催に当たりまして、簡単にオンラインについて操作方法のポイントを説明させていただきます。ワーキンググループの進行中、皆様のマイクはOFFとさせていただきます。御発言をされる際には、サービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックいただき、主査の許可があった後、マイクをONにして、お名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。
会議進行中、トラブルがございましたら、事前にお送りしております電話番号まで御連絡いただきますようお願いいたします。なお、通信遮断等が生じた場合には、一時休憩とさせていただくこともございますので、御容赦くださいますようお願いいたします。
続きまして、本日の資料の確認です。本日は、資料1、参考資料が1から4までございます。これらの資料に不備がございましたら、事務局まで御連絡いただければと思います。
それでは議事に入ります。以後の進行は、長谷川主査にお願いしたいと思います。長谷川主査、どうぞよろしくお願いをいたします。
○長谷川主査 おはようございます。福島大学の長谷川です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
今回から全員オンラインになってしまいましたが、幸いにも第1回は顔を合わせてお話できた方もいらっしゃるので、そのときと同様、今日も活発な意見交換ができるといいなと思っております。どうぞよろしくお願いします。
それでは、議題1について事務局から御説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課課長 事務局でございます。資料1に基づきまして、御説明申し上げたいと思います。前回、論点としてお示しをいたしましたものにつきまして、多くのアドバイザーの方から御意見等いただきました。それらにつきまして、改めて議論の整理としてお示しをさせていただいております。
文中におきましては、「である」と書き切っている部分と、「ではないか」と投げ掛けている部分と書き分けてございまして、前回のワーキングの状況を踏まえまして、ワーキンググループとして、おおむねオーソライズされているというものにつきましては「である」としておりまして、「ではないか」と投げ掛けている部分につきましては、本日特に御異論等あれば、御指摘を頂戴したいというように思っております。
また、このワーキングでの議論を踏まえて、各審議会のほうに持ち帰り、所管の中において、具体的な制度設計や実現性に向けての議論を進めるに当たり、より一層検討の方向性を具体的に御示唆いただきたいという部分につきましては下線を引いておりますので、本日は特に下線部分につきまして、具体的な御意見等を賜れると幸いでございます。
以上のような考えに基づきまして、資料1でございます。まず、1点目の現状の課題のところにつきましては、前回、具体的に事例として状況の御報告がありましたので、1つ目のマルに「例えば」ということで、職員の中に経験、知識等を有していない者がいるというような御指摘について書き込んでおります。
それ以外については、特段の変更はございません。基礎的な知識を修得した人材育成の重要性、それらがないことによっての切れ目ない支援が行われにくくなっている要因の指摘ですとか、専門人材が質・量ともに不足しているといった指摘を記載しております。
2点目の論点を踏まえた議論の整理についてでございますが、こちらも項目立てとしては細分化をし、具体化をしております。まず、(1)といたしましては、求められる人材育成についてということで、大まかな人材育成の体系のフレームについての意見をまとめてございます。専門人材については、それに参画している人材の裾野が広がっているというところでございまして、その人材の質をいかに向上していくかということを考えていかなくてはならないのではないかと。その上で、前回複数のアドバイザーの方から御指摘がありましたように、就労支援全体のプロセスというものが比較的ぶつ切りになってしまっているので、そこを全体として俯瞰的に理解した上で、自らの支援の位置付けや立ち位置、あるいは連携の在り方を意識する観点が極めて重要ということでございます。
ワーキングとしては、おおむね全体の意見として集約されたかなというのが、福祉と雇用の両分野の基本的な知識等を分野横断的に付与する基礎的な研修の確立が必要であるというところでございます。その上で、各専門人材の役割に応じた研修制度を設けるということ、専門人材の高度化に向けての階層的な研修体系の下、適切なタイミングで実施できるということが必要であるということ、それから求められる人材像としては、スーパーバイズできるような、あるいはコーディネート力を持った人材が求められているのではないかということになっております。
2ページ、(2)人材育成、研修内容及び体系についてまとめております。「基礎的研修」というようにこの中では申し上げておりますが、この基礎的研修については、受講対象の範囲をどう考えるかについて、特に御意見を頂きたいところでございます。現行の就業支援基礎研修についても、特段どなたかを排除するような立て付けになっておりませんので、今後実現に向けて検討していきたいと思っている雇用・福祉横断的な基礎的研修についても、基本的には広く間口を開くということでいいかという確認でございます。
それから、一部の研修については報酬加算の対象ということになっていますが、その他については基本的に希望による受講というような現状でございます。今回、検討していく基礎的研修について、一定の人材についての受講を必須とするような、悉皆的な仕組みについてどう考えるか、この辺りも具体的に御意見を頂きたいと思っております。
基礎的研修の受講を要件として、その上に専門人材の研修の立て付けをどう考えていくかということで、例えばとして記載しておりますジョブコーチについては、現在は職場適応援助者養成研修の受講が入口ですが、この研修を受講する要件として、基礎的研修の受講を要件としてはどうかということです。また、基礎的研修につきましては、多くの人材の方にお入りいただいておりますけれども、特に医療機関、教育現場、この辺りの方たちの役割というのは非常に大きいということで、こうした方たちの受講を進めるための方策を何か考えられるかというようなことでございます。
2つ目の柱です。基礎的研修の内容についてということです。基礎的研修と言えども、座学だけではなく実践的な内容を取り入れるということが必要ということで、どういった内容が考えられるかということ、また、現在の就業支援基礎研修は対人援助スキルにウエイトが置かれているという御指摘があった中で、対企業への支援スキルの習得、これに対して効果的な内容は何かあるかということです。それから、基礎的研修につきましては、例えば職場適応援助者養成研修や就業支援担当者研修、これを受講する前段階として位置付けた内容にすべきではないかといった御指摘です。
3つ目が就業支援に係る研修の体系ということでございます。今、申し述べたように、例えば基礎的研修というものを、職場適応援助者養成研修あるいは就業支援担当者研修、これら一定の研修、専門人材の研修を受講する前段階の研修として位置付けた上で、それらの研修の中で現行付与しているものについては、一定の基礎の部分を基礎的研修の方に振り替えまして、その上に乗ってくる専門人材の研修について、より求められる専門性を更に高めていく内容に特化した研修として実施することが望ましいのではないかということです。それから、専門人材の研修体系としては階層的な研修というものが必要な中で、やはりこちらにおいても、座学ではなくて、実践的な内容を取り入れるべきということでございました。
3ページ目に移ります。前回、そのような中で、例えば実践的な内容としては、実践経験の内容に係るレポートの提出やスーパーバイザーによる指導といったことを御意見として頂いておりましたけれども、より実践的な研修内容としてどのようなものが考えられるのか御意見を頂きたいと思っております。
現行制度上、上位研修というのは必須事項ではなくて、下位研修の受講ももちろん要件となっていないという中で、必要なタイミングに必要な研修を受けていただくということを考えたときに、ある程度上位と下位の間の中での必須受講という措置だったりインセンティブが必要ではないかといったことです。特に、具体例として頂きましたのが就労支援員でして、これは報酬加算の関係で就業支援基礎研修を多く受けていただいておりますが、その上位研修である就業支援実践研修の受講というのは自由になっていて、実績を見ても低調であるという中、この研修については、実践的な支援に活用できるというような御指摘もありました。そういった中でどのように考えていくかということかと思います。最後の部分は、ジョブコーチ、ナカポツセンターの担当者については、特に企業と地域の支援機関をコーディネートする役割、こういったことを担う人材を育成する上で、どのような内容を組み込んでいくべきかというようなことです。
サービス管理責任者についてです。やはりこちらについても、就労支援の経験や知識が乏しいというような実態についてのお声もあったところでありまして、こうした方の専門性の向上について何らかの方法を検討してはどうかということでした。
ジョブコーチについてです。より専門的な支援を行う上級ジョブコーチのような人材育成の必要性についてのお声とか、一方で養成研修修了者について、ジョブコーチとして活動する者が少ないというような現状がある中で、更新制についてどう考えるかということ、あるいは、ジョブコーチを養成する場合に、現行の養成研修、それからその上に位置付けておりますスキル向上研修、これらについても合わせて再編することが望ましいのではないか、また、より上位の上級ジョブコーチを育成するための研修受講に係るインセンティブとして何か考えられないかということ、この辺りも具体的な御意見があれば是非お聞きしたいと思っております。
(3)人材育成の実施主体についてでございます。今後検討していこうというように書いてございます基礎研修については、現行の就業支援基礎研修よりも、かなりボリュームアップされることが想定される中で、実施主体をどこが担うべきかということです。現在は障害者職業センターでやっておりますが、これに加えて、民間機関の活用といったことも視野に入れ、認定の仕組みといったようなことが考えられないかということです。そして4ページに移りまして、就労支援機関の人材確保のため、高等教育の場での育成も検討すべきではないかということです。
それから、最後の(4)と(5)につきましては、やや各論的でございますが、まずは(4)の人材育成・確保の留意点ということで、幾つかの御意見を頂きました。研修の受講料だけでなく、交通費や賃金等、何らかの助成の仕組みが必要ではないかということ、それから、上級ジョブコーチというのは専門性の高い人材を養成するのであれば、やはり然るべき報酬を得られるようにすべきではないかといった御指摘、3つ目は本ワーキンググループの親会でございます検討会のヒアリングの中でも御指摘があったので、ここに記載をしておりますけれども、視覚障害、聴覚障害、難病といった個々の障害特性に精通する支援者が少ないというお声が聞かれる中で、そういった専門的な支援に関わる人材の育成確保について、どのようなことが考えられるかといったことです。
(5)でございますが、こういった研修の体系や人材の育成、各資格など、こうしたものが様々ある中で、検討する上では、就労支援の制度あるいは政策といったことと紐付けていくことが重要であろうというような御指摘でございました。それから、専門人材は呼称が様々でございまして、なかなか社会の中での認知度も高くないということが課題であるということで、例えば職名を一本化して、具体的にはジョブコーチということでの御意見でございましたが、ブランディングを図ることの重要性の御指摘がございました。最後は、このワーキングだけでなく、他のワーキングでも御指摘があるところでありますけれども、教育から福祉、それから一般就労間での支援内容等について、情報共有・連携が図れないかといった御指摘でございます。
本ペーパーにつきましての御説明は以上でございます。加えまして、前回、相談支援専門員についての御意見を頂戴いたしました部分につきまして、続けて事務局から御説明申し上げたいと思います。
○石井障害福祉課課長補佐 事務局、障害福祉課の石井です。前回の第1回ワーキンググループにおきまして、アドバイザーの方から相談支援専門員につきましても、この就労支援を支える専門人材として一緒に議論してみたらどうかと御意見を頂いたところです。そういう観点から、そもそも相談支援専門員とは何か等々の資料を付けさせていただいておりますので、簡単に御説明させていただきます。
参考資料4を御覧ください。まず、相談支援専門員に関しての説明ですが、就労系障害福祉サービスを含む障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスを利用するに当たりましては、相談支援事業所が策定するサービス等利用計画というものが必要になります。先に御指摘のあった相談支援専門員については、このサービス等利用計画案を策定する専門人材であるということです。
2ページ目です。こちらが、その相談支援専門員に係る簡単な説明です。どのようなところに配置されているか等が書いておりますが、相談支援専門員については、先に紹介しました相談支援事業所に配置されております。サービス等利用計画案については、就労系障害福祉サービスにかかわらず、障害福祉サービス全般に関して、その障害者に必要なサービス、支援などの計画を策定します。そういう意味で、就労支援のみならず、幅広く障害福祉サービスや医療、その他諸々のサービスの内容を承知していなければならないというような専門人材です。この相談支援専門員に係りましては、3、4ページ目において、必要な実務経験ですとか、どのような研修体系になっているかという資料を付けておりますので、後ほど御確認ください。
こういった相談支援専門員の役割、その専門性について、今まで御議論いただいております就労支援を支える人材とは、少し目的なり役割が異なるのではないか、ジョブコーチや障害者就業・生活センターの支援員、就労系障害福祉サービスの就労支援員などの人材と同じような形で御議論いただくのは少し難しいのではないかということで、前回御説明させていただいた参考資料2、3の中には、今回は相談支援専門員の記載というのは入れてはおりません。
これからの御議論の中において、もし相談支援専門員についても、ワーキンググループの中で一緒に御議論したほうがいいというようなことでありましたら、再度そうした御意見を頂ければなと思うところですが、現状事務局としては、相談支援専門員については、行っている業務内容や目的が、今回御議論いただいている就労支援を支える専門人材とは少し異なるのではないかという観点から、参考資料には入れてないということですので、補足的に御説明をさせていただきました。以上です。
○長谷川主査 ありがとうございました。それでは、質疑応答に入りたいと思います。先ほど、私の声が小さいと指摘を受けたのですが、皆様聞こえてますか、大丈夫ですか。では、続けさせていただきます。
それでは、質疑応答に入りますので、質問や御意見がありましたら、先ほど冒頭に説明をしていただきました「手を挙げる」のボタンを押していただいて、私が指名をした後に、お名前を名乗っていただいて発言していただくようお願いいたします。今野アドバイザーから手が挙がっていますので、お願いいたします。
○今野アドバイザー 皆さん、おはようございます。よろしくお願いいたします。前回の会議で、先ほどの論点整理のところでもありましたが、「共通言語」ということについて発言いたしましたが、ちょっとそれについて補足をさせていただきながらお話をさせていただきたいと思いまして、資料を用意させていただきました。事務局のほうで出していただけますか。ありがとうございます。これについて、若干御説明をさせていただきたいと思います。
障害者雇用実現の客体から主体へ、本人を中心に据えたチーム支援という資料ですが、かつては、こういう社会資源が、それぞれ本人、事業所当事者を取り巻く中で、いろいろ話合いをしながら対応を決めて、本人、事業所に伝えていくということが、ままあったわけでありまして、我々もこれを「そうですか、そうなんですか」という感じで、聞くケースもあったわけです。数年前に埼玉県立大学の朝日雅也先生のお話を聞いたときに、こういうお話をお聞きいたしまして、やはり本人、事業所、当事者のことを中心に据えた話をするのですが、その輪の中に本人も入れて一緒に話し合っていくということが必要ではないかというお話だったわけです。
次のページです。チーム支援というのは、今申し上げたように当事者も輪の中に入って、支援側が一方的に物事を決めるのではなくということ、ものごとをきめるのではなく、本人、企業が客体から主体に移っていくということです。そこで話し合われる内容というのは環境調整ということになるのだと思いますが、環境調整というのは、方向性を同じくした上で、企業も本人も理解できて、納得できているということが非常に大事だというわけです。
そこでの就労(定着)支援つまり環境調整というのは、本人に対してする場合もあるかもしれませんが、大抵の場合は、企業に対する働き掛けということになるのだと思います。企業側が問題点を把握しながら支援の皆さんからの御指摘を受け止めて、どういうふうに環境調整していくのかと。そのときに、やっぱり必要なのはそのアセスメントということであり、社会資源の連携ということであり、そして、その本人に必要な配慮を見付け出すということが必要なのであって、そういう意味において、それぞれがちゃんと理解し、納得できるような共通言語が必要なのだと。その理解し納得するという過程において、様々にお互いを理解しながら話し合うということが、ある意味共通言語ということなのかなという意味で、前回発言をさせていただきました。
先ほどの小野寺課長がお話された資料ですが、このペーパーの中で3ページの後ろから2つ目のマルに、就業支援の基礎研修、それから就業支援の実戦研究、資料1の3ページ目に就業支援基礎研修、就業支援実戦研修という言葉が出てきましたが、支援サイドの皆さん、福祉関係の皆さんからすると、ここは非常に馴染みのある内容なのかなと思いますが、企業としては正直なところ初めてお聞きするようなことでしたので、これについてもどんな内容なのかということで資料をお願いいたしました。それを拝見すると、企業としてはジョブコーチの要請研修を受ける前提として、職業生活相談員の認定講習を受講しているということがあるわけです。それを受講していない場合には、それに準ずるような経験があるかどうかというのを確認されます。また、精神保健福祉士とか社会福祉士のような資格をお持ちの方については、この職業生活相談員の認定講習の受講を免除するというような前提の下で、職場適応援助者の要請研修が受講できるということになっているわけです。その職業生活相談員の認定講習の中身を、私も埼玉県で講師をさせていただいているという経験もありますので、カリキュラムについては承知しているわけですが、拝見すると、就業支援基礎研修、就業支援実戦研修のカリキュラムをこの職業生活相談員認定講習というものと非常に重なる部分がありますので、企業側としてはその基礎研修という部分については、この職業生活相談員と認定講習をすり合わせるということも議論していただけると有り難いなと思います。また、職業生活相談員というのは、障害者を5人以上雇用している企業に対して選任をして、ハローワークに届け出るという、ある意味義務が課せられているわけですし、助成金申請の必要な要件として、職業生活相談員の配置というのは企業にとっては非常に重要な部分になっておりまして、毎年大勢の方が受講されているので、そういうことも、この基礎研修とのすり合わせに是非参考にしていきたいなと思います。以上です。
○長谷川主査 どうもありがとうございました。私も先ほどの小野寺課長の御説明を伺いながら、基礎研修を作るときに福祉側の人も企業側の人も両方受講できるような基礎的な講習があることは大事だなと思いながらも、福祉側と企業側で若干ニーズが違うところ、若干なのか大分違うのか、その辺が難しいなと思っていたところです。多少知っていることでも、一緒に学ぶということが大事なのかなと思いながら、その辺りの、どの立場の人が何を学ぶかというようなことを考えるに当たって、今の御説明を受けて、どこが大事なのかなというのが分かりましたので、今後参考にさせていただけると思いました。ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。では、深水アドバイザーよろしくお願いします。
○深水アドバイザー ビーアシスト株式会社の深水です。よろしくお願いいたします。私からは企業からというとことで、続けてお話させていただきたいと思います。体系的なお話というよりは、前回同様に、割と現場寄りの細かいところをほじったような話になってしまうかもしれませんが、御了承いただければと思います。
事前に資料を共有させていただきましたので、そちらを見ながらお話させていただきたいと思います。前回論点からの基礎的研修の受講範囲については、幅広く設定していただけると有り難いと思っております。例えば、企業であれば受入担当者や、直接支援していなくても、例えば人事労務部門の社員など、そういった人間が受けられるようなもの、教育機関であれば進路担当の先生が受けられるような形はどうかなと思っております。その上の階層には、ジョブコーチだったり専門家が進むという意見も前回出ていましたが、それには非常に賛成と思っております。
また、実践的な研修というのはどういった内容が考えられるかということですが、やはり各種現場での体験だったり見学も含めてですが、受入れの模擬訓練や、あるいは各現場でいろいろな事例がそれぞれあると思いますので、そういったものを基にしたケーススタディなど、どちらかと言いますと、現地現場での研修というのは非常に効果的ではないかと考えております。
先ほど、今野アドバイザーからもチームでの支援という話がありましたが、やはり弊社のグループでも、熱心な担当者が抱え込んでしまうようなケースがよく見られますので、1人で抱えるというよりも、いろいろな組織、社会資源と連携して支援に当たるというところは、最初の段階から是非お伝えしていきたいなと思っております。また、私個人も各種特例子会社連絡会といった各種団体に参加させていただくことで、非常に幅広い知見を得ることができましたので、そういった団体の紹介や加入のサポートがあると非常に親切ではないかと思います。また、各企業や各現場で起こっている事例を参加者にいろいろ提供していただいて、研修を作っていけると非常に有意義な議論ができるかなと思います。
また、基礎的研修の位置付けについては、これも前回御意見がありましたが、例えばジョブコーチ研修を受講する要件として、前段階として設定するという意見には非常に賛成です。ただ、生活相談員の話が先ほども今野アドバイザーからありましたが、企業からしますと、カリキュラム的に区別が付かないかなと同じように考えました。
続きまして、企業の立場からということですので、対企業への支援スキルの習得にはどういった内容の研修が効果的であるかということについて深堀りさせていただきました。いわゆるジョブコーチというのは、業務の切り出しのようなイメージがまだまだ根強いかなとは思っているのですが、結局のところ、業務の切り出しは現場に任せてしまったほうが早いというのが、現実では結構多く見られると思っていまして、企業の担当者への支援というのが大きくなるのかなと思っています。現場担当者がうまくいけば、結果、業務の切り出しや育成もうまくいきますので、当事者の支援はもちろんですが、企業担当者への支援、例えばどんなことで困っているのかとか、そういったことを見える化していくことや、気軽に相談できるような関係性の構築、あとは合理的配慮という言葉もまだまだ認知度としては低いので、何かをしてあげるとか、あるいは当事者から一方的に要求されるのではなくて、合理的配慮を提供することで、こういうアウトプットが得られますよ、こういう仕事ができるようになりますよというような、こうした合理的配慮の理解を進めるということだと思います。
また、企業担当者、当事者の周囲の理解や、障害者雇用するとこんな貢献ができますといったような付加価値や貢献を、周囲や会社に発信していくお手伝いがありますと、企業担当者は非常にやりやすくなりますし、結果的に障害者雇用が進むのではないかと思います。
定着支援のノウハウの共有についてですが、仕事のことだけを教えていればいいというわけには、だんだんいかなくなってくると思っていますので、定着支援のノウハウの共有をしていくということです。
キャリアアップ、評価制度についてです。採用を進めていくというよりは、どう戦力化していくかということにだんだんシフトしていっているような気がしておりますので、採用した障害者を、どのように戦力化して、どう評価していくかというところは、特に特例子会社の中では、どちらかと言いますとこちらのほうに移ってきているかなと思っています。
また、担当者のメンタルヘルスも非常に重要かと思います。ストレスコントロール、抱え込みが起きないように、チームでの支援に結び付いてはくるのですが、お一人で抱え込まないように是非サポートしていきたいということです。
先ほど、基礎研修の中でもお話させていただきましたが、できれば実地での体験や研修をしていけると、非常に分かりやすいかなと思っています。
この後は、私どもの経験値からのお話になります。やはり、考え方というのは非常に大事かと思っています。弊社の場合は素人集団でのスタートでしたので、配慮ということ、例えば福祉的な視点に偏ってしまう人もいれば、アウトプット、数値目標に偏ってしまう人もいましたので、障害者雇用というのはどういったものかというのを、しっかり考え方からスタートしていくということです。
弊社では、教育研修を社員に対して自前で実施していまして、対人支援とか障害特性の理解からスタートしていくのですが、結果的に企業も生活面などの知識、スキルは必要になってくるのだなと少し感じております。やはり、仕事だけで、生活面は支援者にお願いしますといったような、完全なぶつ切りにはいかないのだなと思っています。
実際、社内研修を行った中で、社員たちが一番熱を帯びたのはケーススタディでの意見交換でした。自分たちが行った支援が、対応が、本当にそれで良かったのかとか、ほかのやり方はなかったのかというところでは、いつも盛り上がっています。また、ニーズのある話題やワークショップを実施していくことで、例えば支援、援助、育成の違いは何だろうとか、そういったより戦力化、彼らの自立生活の実現というのはどういったことかというのを、普段の職場を離れて行うことで、非常に盛り上がっています。
定着支援のノウハウについてです。対象者の困難に対して、最初に接する場面が企業は多いなと感じています。その後の速やかな支援機関との連携が必要であるということで、ある程度のスキルは企業も必要かなと思っています。氷山モデルを使いながら、起きた事象に対して、何が理由なのかというようなところからお話をしていき、そして支援につなげていくということは、実際に企業の場面としても見られるところです。
前回もお話させていただいたのですが、やはりライフステージごとに支援の内容も変わっていきますので、勤続年数に応じた支援の内容の変化というのは捉えていく必要があると思っています。年を追うごとに、生活支援の比重がだんだん多くなってきますし、また、業務のマンネリ化やキャリアアップの問題というのも同じように起きてきます。
キャリアアップ評価精度についてです。特例子会社連絡会や他企業様ともお話させていただくときに、各企業は良い取組や参考にしたい取組を、それぞれたくさんやられているのです。そういった知見を是非集めて、キャリアアップ評価精度のモデルみたいなものを、福祉の方も企業も同じような物差しでお話していけますと非常にいいのかなと思います。
ジョブコーチの職域の拡大については、企業では手帳を持っていない発達障害や精神障害の方、大人の発達障害、休職者への対応が、現実的な障害者雇用の部署以外の人たちにも求められてきているなと感じています。そういった中、ジョブコーチというものの認知度がもっと上がることで、社内ジョブコーチが企業の中で活躍できるというような仕組みができれば、こういった問題にも有効ではないかと考えております。私からは以上です。
○長谷川主査 どうもありがとうございました。非常にいろいろと興味深い話をしていただきました。ありがとうございます。幾つか質問したいところもあるのですが、まずは皆様から御意見を伺ってから議論できればと思います。田川アドバイザー、よろしくお願いします。
○田川アドバイザー くすの木クリニックの田川です。よろしくお願いします。1点目は、これは細かいことですが、小野寺課長さんが説明された資料1の1ページの真ん中辺りに、論点を踏まえた議論の整理の(1)の最初のマルです。「企業の障害者雇用担当、病院のPSW等」と書いてありますが、この「病院」について、「病院あるいは診療所」、あるいは「医療機関」という形で書いていただきたいのです。精神科診療所は精神障害者の就労支援に力を入れたりもしています。公的な文書で病院という形に括られてしまいますと、診療所が頑張っているのだけども無視されてしまうところがあります。それが1点です。
もう1点は、先ほど石井補佐から計画相談のことについてお話がありました。確かに計画相談というのは非常に範囲の広い、とても大事なことだと私は思っています。ただ現状としては、計画相談をされている方は就労支援のことをほとんど御存じないのです。就労支援というのはとても大事なことだと私は思うのです。例えば、アメリカのアクトという重度の精神障害者に対して、24時間、地域での多角的な支援をするという、世界的に広がっているプログラムですが、支援者には職業相談員、職業指導員を入れなければいけないというプログラムになっている。ところが、日本では、なかなかそういうふうな発想で行われていないということだと思うのです。福祉の支援というのは、何となくやさしい支援で、就労支援というのは厳しさも必要ですから、計画相談の中で、やさしい支援のほうばかりが表に出てしまうという、逆に言えば、そのほうが何の問題も起こらずにいいのかもしれませんが、私はそういう傾向があるのではないかと思っています。ですから、計画相談の研修などにも、そういう視点をしっかり入れていただく、就労支援についても、長い目で見れば、社会にしっかりコミットしていけるかどうかという、就労というのはそういう意味合いがあると思うのですが、そのように大事なことですから、是非入れていただければと思います。
今、ビーアシストの深水アドバイザーから、キャリアアップのことについてお話していただいたのですが、私はキャリアアップというのはとても大事なことだと思っています。特に精神障害者は、本当に一生懸命に企業で仕事をされていても、ほかの人はどんどん昇給するのですが、3年たっても最低賃金のまま。残業も、もちろんほかの人と同じようにするのですが、それでも全然給料は上がらない。ほかの人は上がっていくのですが。そんな中で、もうしんどい、先が見えないからこの仕事を辞めたいということで相談される患者さんは、結構たくさんおられるのです。やはり、職業の定着を考えたときに、キャリアアップというのはとても大きいのです。我々はデータを取ったことがあるのですが、我々のJSNから就職された方が、3年目から5年目にかけて20%辞められるのです。定着の問題と思いますが、我々の支援の在り方の問題というよりは、キャリアアップを含めた雇用管理の問題というのが大きいのではないかと思っております。ですから、その辺りを今後、特に精神障害者の定着を図るためにも、是非そういう考え方をしっかり組み入れてやっていただければと思います。
○長谷川主査 どうもありがとうございました。今のお話の中であった相談支援専門員の研修のことですが、事務局に伺いたいのは、私が勝手に質問して申し訳ないのですが、初年度に初任者研修があるということですが、この中では就労支援に関わるような内容は入っているのですか。そのことを1点伺いたいと思います。
あとは、田川アドバイザーがおっしゃった資料1の病院だけではなくて、診療所等も入れてほしいという部分について、御意見がありましたらお聞かせください。お願いします。
○石井障害福祉課課長補佐 障害福祉課の石井です。田川アドバイザー、御質問をありがとうございます。長谷川主査からもありがとうございます。
こちらですが、事実関係だけ申し上げますと、相談支援専門員に係る最初の研修の内容には、特段、就労分野に特化した内容はあまり含まれていないと承知しております。参考資料4の4ページに、相談支援専門員の研修制度の内容の概要が少し書いておりますが、就労分野に特化した内容というのは、この資料のスキーム図の上のほうに「専門コース別研修(任意研修)」と書かれておりますが、こうした専門コース別の研修の中に、就労分野も位置付けてやれないかというところで、相談支援専門員の研修制度を、実は今、検討中でございます。長谷川主査、田川アドバイザーの御質問については、そのような形でお答えさせていただきたいと思います。
○小野寺障害者雇用対策課課長 事務局です。田川アドバイザーからありました論点等の整理(案)の1ページ、2の(1)の1つ目のマルの「病院」については、大変実態を踏まえた御意見を賜りましたので、そのような形で修正させていただきたいと思います。
加えまして、前回から引き続き、障害者の定着に当たってキャリアアップの重要性の御指摘についても、ワーキンググループ3のほうでしっかりと受け止めたいと思います。それから、障害者雇用を所管している立場から申し上げても、定着に対してのキャリアアップは大変重要な観点だと認識しておりますので、問題意識を共有した上で、様々検討にいかしてまいりたいと思います。
○長谷川主査 それぞれありがとうございました。それでは、LITALICOの長谷川アドバイザー、お願いします。
○長谷川(敦)アドバイザー LITALICOの長谷川です。よろしくお願いします。論点として3つあります。1つが人材確保の観点でして、今回論点をまとめる中でも、就労支援ができる人材、特に対企業支援、業界的に弱いこの対企業支援の能力を持った人をこの業界にどう呼び込んでいくのかという観点で、人材確保という観点が非常に重要であると思っております。論点の中でも、人材確保の観点の施策、方向性がかなり手薄になっていて、もっと人材確保をするためにどういう施策や方向性が重要なのかを包括して、論点自体をまとめていくべきだろうと思っております。LITALICO自体は、この業界の中で福祉施設様の人材採用のお手伝いも事業としております。どの業界においても、担い手不足がかなり顕在化していますし、ますます労働人口は減っていく一方で、福祉のサービスを利用される方は増えていきます。そうなりますと、必ず介護の業界と同じように、障害福祉の業界ももっと就労支援を担う人材の確保の課題が顕在化してくると思っていますので、その点においてやはり大きな危機感を持っています。
就労支援の仕事自体は非常にやりがいがあります。うちの事業の中でも、教育の事業とかいろいろやっているのですが、一番定着率が良く離職が低いのが、実は就労支援の仕事にもなっていて、障害者に関する就労支援の仕事は本当にやりがいがあり、ポテンシャルがあると思います。一方で、そういった意味で外の世界から見ますと、障害者の就労支援がこんなにやりがいがあって誇れる仕事なのだということが、全く伝わっていないというのがもったいない観点だなと思っております。
今の論点の中でも、議論がまだまだ内々になっているなと思います。例えば、私はジョブコーチというのは素晴らしい名前だと思うのです。その上に今、上級ジョブコーチを作るとなっておりますが、そもそもジョブコーチ自体がまだ社会的には全然普及していない、名前として知られてもいないと思っています。そういう中において、福祉では、就労移行支援事業のスタッフは就労支援員や生活支援員など、残念ながら誇りを持ちづらい名前になっているのです。このような名前で、格好良くマーケティングするのは難しいです。誇りが持てるのだろうかと。非常に分かりにくい。ジョブコーチに一本化しませんかということです。多分、障害者の就労支援に関わる名前でいったときに、ジョブコーチが格好良くて一番良い名前だと思います。
小川先生に怒られてしまうかもしれませんが、思ったことをそのまま言いますと、今の移行支援事業所で働く人は全員ジョブコーチという名前にしてしまうと。今、ジョブコーチと言われている方々は、ジョブコーチグレード2に設定して、次に作ろうとしているジョブコーチの上級ジョブコーチはジョブコーチグレード3に設定して、とにかく障害者の就労支援に関わる人は全部ジョブコーチであるというふうにするぐらい大胆にやっていかないと、大きな流れを作ることは難しいと思っています。せっかく今回、横断的なプロジェクトとしてやっているので、それぐらい大胆に、名前を統一するぐらいの施策を打ち出してやる大きなチャンス、その施策ができれば、かなりこれは社会的にも、ジョブコーチの仕事は格好良いなと、魅力的だなというのが伝えられる大きなチャンスになるのではないかと思っています。
併せて、報酬の部分も非常に重要で、セットで、報酬としてもやりがいが持てるような、報酬に見合った形にもっと上げていくというのが大切ではないかと思います。世の中で、働きがいのある会社とか、働きがいのある職種ランキングというのが出るのですが、基本的にはみんな給料が高いのです。正直なところ、給料の高いランキングとほぼ等しいのです。それぐらい報酬というのは避けて通れない議論だと思いますので、真正面から施策として考えるべきであろうと思っているのが1つ目です。
2つ目として、今回このプロジェクト自体が、雇用と福祉の縦割りの構造を超えて、縦割りを打破するプロジェクトとして立ち上がっていることは、非常に素晴らしいプロジェクトだなと思って参加させていただいております。その中で、今回文部科学省からカワグチさんも参加いただいていると思っておりまして、今回新しくできる共通研修の受講の範囲の話にもなるのですが、医療機関や教育機関の関係者を入れるというのは大賛成です。ただ受講範囲に入れるだけでは、恐らくその業界で認知がされず、結局受講対象には入っているけど、医療や学校関係者は全くこの研修を受けないというような結果になってしまいますので、せっかく縦割り打破プロジェクトでやっているのであれば、それは省庁を超えて、打破をしっかりとしていって、文科省のほうでも共通研修を教育関係者が受けたらインセンティブが出るとか、例えば高等学校の進路指導の先生は発達障害の生徒さんの就労支援も実際としてやられているわけですから、高等学校の進路指導の先生や特別支援学校の高等部の先生たちが、しっかりとこの研修をマストで受けるとか、その施策もセットで、省庁を超えてインセンティブが設計できると、より素晴らしいなと思っております。
3点目としては、下線が引いてある部分で、「対企業への支援スキルの習得にはどういった内容の研修が効果的であるか」という論点が出されていると思います。この点でいきますと、ITを活用するというのは非常に効果的であると思います。1番は、対企業スキルの獲得でいきますと、営業や企業との交渉が上手な方に同行して、それを実際に見るということが非常に効果的なのですが、共通研修で幅広にやっていこうと思いますと、同行するというのは全く現実的ではないと思っていますので、例えば営業ができる方の、対企業に実際交渉しているシーンなどを、全部動画でしっかりと様々なシリーズを作って、動画でしっかりとやっているシーンが分かるというのが効果的ではないかと思っております。うちの中でやっているのは、例えばロープレというのをよくやるのです。企業に対して交渉しているシーン、ロープレを動画で撮って、撮った動画をスーパーバイザーがまとめて動画にコメントを入れるシステムを使っていたりもします。この場面で、もう少しこういうトークができたほうが効果的だったよと、フィードバックを動画にインプットして見られるような仕組みにしているので、そういった形でテクノロジーを使うことによって、クオリティを上げるということも可能ではないかと思います。
最後に、階層的な研修にしていくというので、共通研修を作りながらも、より上位の研修も作っていこうと論点が書かれておりますが、特に上位の研修のときには、実習が組み込まれると効果的ではないかと思っております。しっかりと就労支援の実績を出している事業所で、一定期間研修に行ってもらって、QOLを上げるような支援が実現できる就労支援はどういう現場なのかというのを、肌感覚として持ってもらうために、幾つか地域で優良事業所とみなされる所に一定期間実習に行ってもらうような仕組みも効果的ではないかと思います。早口でしたが、以上でございます。ありがとうございました。
○長谷川主査 どうもありがとうございました。非常に具体的なアイディアも出していただいて、それぞれそのとおりだなと思うところも多くありました。非常に賛同するところが多かったです。次は緒方アドバイザー、お願いします。
○緒方アドバイザー 初めまして、緒方です。前回は欠席して申し訳ありませんでした。今、長谷川アドバイザーから話があったところは、かなり私も同じ意見を持っているところと、教員に関しては少し考えが違うところがあるのですが、簡単に説明させていただきます。
まず、今回の議論の中で、やはり確保の問題ですが、実際に現場にいますと、それぞれの事業所、特に就労移行、就労継続の事業所において、1、2年で担当者が替わるというケースがかなりあって、きちんと引き継いだのに、その後どうなっているのかといったことがあります。確かに教員側も異動があるのですが、移行支援及び就労継続についても、職員の入れ替わりが激しいという状況もある中で、やはりきっちりした人材を確保していくことが重要になってくるかと思います。
後半に、高等教育の場においても育成を検討するべきではないかとありますが、教員養成についても、学生段階から教育実習や介護等体験で、仕事の内容や現場を知るという取組が行われております。そういった意味では、高等教育の中で、特に福祉系の学科等については、様々な実習も行われていると思いますが、こういった基礎研修に悉皆というところになりますとなかなか難しさもあると思いますが、学生時代にそういった体験ができて、そして十分に事業所の内容を知った上でそこに入職していくというルートを1つ確保してもいいのではないかと思っております。
先ほど行政の縦割りを超えて、学校の教員もということでしたが、学校の教員については、かなり教育行政の仕組みの中で体系立てた研修体系が確立されておりまして、まず1年目から3年目までの学科の必修の研修、10年目の中堅の教員の研修、これも必修です。さらに職層研修でして、教員から主任教員研修、その上の主幹研修、副校長研修、指導主事研修、そして校長研修と、職層的に研修が分かれています。そして、プラス専門研修です。学校の中でもそれぞれの業務がありますので、例えば進路指導主任研修、生活指導主任研修、実は先ほど教員もという話があったのですが、そういった専門研修の中で、こういった関係機関の方に来ていただきながら、最新の障害者雇用又は就労支援に関しての知識等の育成をということで、今やっているところなので、ここに教員側が個人で参加するには構わないと思いますが、マストでというのは制度的には現実性が乏しいのではないかと考えております。
それから、研修の内容と在り方ですが、特に若手研修などについては、1年間かけてやるわけです。まずは通所で講義を受けて、そして所属でOJT、またOFF-JTで、他のこういった就労支援事業所等へ行ってのジョブシャドウィングみたいな形ですが、そういった関係機関を知るという研修、これを1年間のプログラムでやっているのですが、どういう形でやるのがいいか、メリット、デメリットはあると思いますが、短期集中で1週間に絞って、要するにこのメニューをこなせばというような研修の在り方では、なかなか実務が入れにくいのかなと思っています。そういった中では、これまでのそれぞれの研修の在り方を抜本的に見直す中で、半年とか1年のスパンで通所で講義を受けて、そして所属でのOJT、OFF-JTも含めて、研修の方向を見直していってもいいのではないかということも考えております。
あとは内容ですが、学校現場からは本当にお世話になっているばかりで、特に初めて入職される18歳、19歳、20歳というのは、子供からちょうど大人になる時期で、かなり青年期の難しい心理状態にもあります。そういった中では、単なる障害についての理解ではなくて、障害を持っている方たちの心理面のサポートも内容に入れていただけると有り難いと思いました。ひとまずは以上です。
○長谷川主査 どうもありがとうございました。次は鈴木アドバイザー、お願いします。
○鈴木アドバイザー お世話になります。くらしえん・しごとえんの鈴木でございます。本日、参考資料として出させていただきましたけれども、画面共有というよりも、こちらでコントロールさせていただけたらと思いますので、ギャラリービューだとちょっと見にくいので、スピーカービューにしていただけると分かりやすいのではないかと思っております。よろしいでしょうか。
今回、そんなに具体的な提案というような形ではないのですが、なぜ私のほうでこのような資料を出させていただいたのかを改めてお伝えしたいのは、障害福祉サービスなどはうちの法人ではやっていませんで、私自身はジョブコーチとしての立場はやっていますが、ずっと都道府県のサービス管理責任者の行政研修にこれまで関わってきたことと、あとは一昨年、2019年からサービス管理責任者、児発管とかという体系が変わった中で、2019年からは国のサービス管理の責任者の研修にも関わっております。特に、これは親会の構成員でもあります酒井京子構成員などとも一緒にさせていただいているのですが、何かというと、参考資料2と参考資料3になるわけですけれども、確かにサービス管理責任者という縦のいろいろ就労定着支援とか支援員とかありますけれども、そのサービス管理責任者はそれまでは分野別研修という形で就労が位置付けられてきました。先ほども専門官からもありましたけれども、これは今後、いずれ専門研修として必要というところで、来年度も行われずに、令和4年から専門研修として就労の分野の話をしていくことになっています。ですから、端的に言いますと、私たちが雇用現場などでいろいろ関わっていったときに、まず就労定着とか就労支援、職業指導員、生活支援員とありますけれども、そこのところを統括してコントロールしているサービス管理責任者自体が、就労のことについて本当にどこまで理解しているのかと、先ほどの相談支援の専門員もそうですけれども、そういうところが、雇用現場が見えないというか、はっきり言いますと話が通じないということが多々見受けられます。
先ほどありましたが、就労支援の専門別研修プログラムの案、これは資料にも書いてありますが、平成30年に今後のカリキュラムとして、就労支援の専門研修としてどうかというサビ管のところですが、先ほど今野アドバイザーからもありましたけれども、職業生活相談員のところとかなり同じような体系になっていたり、同じようなことが触れられたりとかもあろうかと思います。そういう意味で、福祉と労働の今回のワーキンググループといったときに、労働の話だけではなくて、このサービス管理責任者の福祉のところの位置付けというのがものすごく重要になってくると思いますし、先ほども出ましたが、相談支援のところでも雇用現場のイメージ、働くイメージというのはものすごく必要になってくると思いますので、具体的にどこの項目でというわけではありませんけれども、そのような形が非常に重要ではないかと思い、このような資料として出させていただいたわけです。
○長谷川主査 どうもありがとうございました。次に若林アドバイザー、お願いします。
○若林アドバイザー よろしくお願いいたします。私も皆さんの意見を聞かせていただいて、全くそのとおりだと賛同する部分が多かったです。
どこから話すかなというのがあるのですけれども、今回は研修ということが1つ大きなトピックとなっているのですが、研究者の立場でもありますので、ちょっとある意味ぶっ飛んだ意見というか、一応述べさせていただきます。これは単に、研修だけ受けてもらったらいいのかという考えにも発展してくるのではないかと思います。例えば、そうしたスキルとか知識とかが、きちんと身に付いているのかどうかというのを把握するような試験といったような仕組みというのも、もしかしたら考える必要があるかもしれません。試験というのは、必ずしもペーパーテストに限るだけではないかと思います。医師とか薬剤師が臨地実習に出る前に、オスキー(OSCE)とか言われているようなのですが、要するにロールプレイできちんと接する能力があるかどうかを把握するということが行われているようでして、そのような考え方というのも導入できる、それを考える余地もあるのではないかと思います。そのような試験なども含めて考えていきますと、この就労支援分野の人材、長谷川アドバイザーがおっしゃるように、本当にこれはブランディングというか、別の言葉で言うと社会的な威信という用語もあるかと思うのですが、やりがいがある仕事で、社会的にも認知されていることになりますので、こういう資格とか試験とかいうのも、今回で導入できるかどうか分かりませんけれども、考えざるを得ないのではないかと思います。
それから2つ目が、研修の内容です。この会議の中で、知識とかスキルとかいう言葉が割と出てくるのではないかと思います。これは特に基礎的なところになるのですが、知識、スキルも大事ですけれども、そうなってくると、知識、スキルの更に前提となるような理念とか倫理的な判断とかについても考えていく必要があるのかなと思います。先ほど、福祉の人材の人たちと、労働とか企業の人たちで大分考えが違う、前提となる考え方が違うみたいなお話があったかと思うのですが、就労支援とか職業リハビリテーションとかいうもので求められる、なぜ障害のある方に働いてもらうことに意義があるのかとか、多分その辺りのイメージというのも、実はよくよく話を聞いてみると、イメージというかワークフェアとかいう言葉もありますけれども、福祉の切り捨てとか思っている人も中にはいるかもしれませんし、そうした前提となるような理念のところも、研修のところで扱う必要があるのではないかと思います。
あとは各障害別のということで意見が、専門的な人材についての意見が出ていたかと思うのですが、これは本当にもっともかなと思います。その上で、ジェネラリストというのですか、まず土台となるような就労支援の人材というものを、理念とか知識、スキルとかというのは研修として、若しくは資格をもってして交渉するというのは大事かと思いますし、更にその上でというか、スペシャリストの部分というのも養成していく必要があるかと思います。いずれにしても、ジェネラリストの部分はジェネラリストの部分として、そこはそこで重視する必要があるかと、私としては考えます。
○長谷川主査 どうもありがとうございました。すみません、事務局にお伺いしたいのですが、様々な研修がありますけれども、この研修の中で、いわゆる試験みたいなものは実施されているのですか。試験なのか、受講した内容がきちんとある程度定着しているかどうかを確認するような、そうした何からの対応があるかどうか教えていただけますか。
○小野寺障害者雇用対策課課長 事務局です。このイメージ図の載っている中においては、今は実施されていないのではないかと認識しております。
○長谷川主査 はい、分かりました。どういったものにするかはまた別にしても、定着しているかどうかを確認する術があったほうがいいのかなと、自分が授業してて学生にきちんと伝わっているかどうかというのは、それを見て確認できることも結構多いので、受講者側だけではなくて、教える側にも必要なことかと感じました。ありがとうございます。では、佐藤アドバイザーお願いします。
○佐藤アドバイザー JEEDの佐藤です。今まで御発言された方々の意見とかなり似ているのですが、今回まとめていただいた資料1を拝見しまして、まず一番目に書いてある現状の課題のところ、あと論点に挙がっているもの全体を見まして、就労支援人材の知識が不足しているということで、研修の受講、OFF-JTにかなり力点が置かれたものになっているなと思いました。
先ほどから何人もの方がおっしゃっているように、それだけではなくて、やはり人材の確保、それと入って来た方々がうまく定着をして、そこで就労支援人材として育っていただくようなことをしっかり考えないと、どんなに研修をしても制度を作ってもうまく回らないのではないかと思います。
特に福祉サービスの人材のことですけれども、就労支援の現場ではなかなか人材が定着しにくいというのは私も現場で仕事をしていてすごく実感をするところでして、まずは入ってくる人材が不足していることと、入って来られてもすぐに辞めてしまう方も多いというところがあります。あと、前回の会議の中でも話がありましたけれども、社会福祉法人ですといろいろな事業をやっていますので、法人として人材を育てていくためには、就労支援の現場だけに人材を配置し続けるのはなかなか難しいという、そうした側面も確かにあると思います。そのため結果的に、今起きているような、知識やスキルが少ない方々が就労支援の現場に常にたくさんいらっしゃるという状況になってしまっていると思います。また、しっかりと知識を得て、それをスキルとして身に付けて支援にいかしていけるようにするためには、研修の受講だけでは不十分で、組織の中で上位者から助言や指導を受けながら、支援について学んでいくことが必要で、OJTがすごく重要なのですけれども、人材が定着しにくいため、組織の中で上位者となるべき人材がいないというか、少ない状況があるのではないかと思います。
先ほど、ビーアシストの深水アドバイザーが、事業所の中での人材育成のことをおっしゃっていましたが、あのように組織の中で学び合って育てていけるような体制が必要なのですが、まだ福祉現場の中では不足をしているということ、そこはしっかり押さえて議論を進めていく必要があるのではないかと思います。そのためには、1つは研修ですが、初任者の研修から上位の研修まで、必要な研修を受けられるようにすることはもちろん大事ですけれども、人材の確保、あとキャリア形成を図るためには、処遇の改善というところも併せて進めていかないといけないと思います。ただ、一方で現状では知識、スキルが少し少ない方がたくさんいらっしゃることを考えると、組織内でそういった助言指導が難しい、限界があるという部分を補うために、地域の中で就労支援機関、あるいはそこで働く就労支援人材の方に助言、上から目線であれですけれども、支援ができるような体制を、地域の中で作ることが必要になってくると思うので、そこをどのように作っていくかということだと思います。
それに関連して、論点の (1)に、スーパーバイズできる人材の育成が必要とあります。これはとても大事なことだと思うのですけれども、その人材、スーパーバイズを担う機関をまず考える必要も一方ではあるのではないかと思います。これは多分、ほかのワーキングでの議論にも関係してくると思うのですが、そういった役割を担う機関がどこなのかをしっかりと明確にして、そこにきちんと機能を持たせ、あるいはここでも経費というか報酬の体系が必要であれば、見直しをしていくことが必要になるのかなと思います。以上です。
○長谷川主査 ありがとうございます。報酬を上げていって、処遇の改善をしていかなければいけないという御意見はとても多くて、そのとおりだと思うのですが、このワーキングでそういうことも当然意見として出していって、報告書とかにも挙げていくこともできるのですよね。ですので、是非皆さん、御意見あればいろいろとおっしゃってください。では次に、小川アドバイザーお願いします。お待たせしました。
○小川アドバイザー ありがとうございます。大妻女子大学の小川です。何点かあるのですが、まず第1点目は人材確保、ブランディングでして、長谷川アドバイザーがおっしゃったことに大変共感します。大学受験の立場で少し身近なことで言いますと、うちの人間福祉学科は大体100人の学生がいまして、企業に普通に就職していくのが大体4割から5割で、残りの5、6割を福祉のほうに何とか専門職としてつなげていきたいと考えますが、その中で障害分野を選ぶのが多分1割から2割で、その中で障害者の就労支援を志す学生をピックアップしてつなげていきたいというのが現状なわけです。そのときに、就労移行支援事業に就職しよう、ナカポツに就職しよう、特例子会社に就職しようと言っても、やはり学生にはピンときません。それから、福祉のほうで言えば、非常に異動が多くて、いわゆる送り出す側の就労支援はずっとその仕事はできないというのが現実です。そうすると学生は就労支援を選びません。やはりジョブコーチというブランディングで、これは資格のようなものがあるから1回これを取って、特例子会社あるいは就労支援、様々な所で就労支援の専門家としてのキャリアを積んでいくことができるのだよと、こういうキャリアイメージを持たせられるような教育をしていきたいと思います。したがって、やはりブランディング、それから資格、そして高等教育機関でのジョブコーチ等の養成、これが重要ではないかと思います。
2点目が対象者の範囲で、これは非常に具体的な話ですけれども、一体どこまでを対象にするかということです。就労支援サービスの人たちを対象にという意見もありましたけれども、就労移行支援事業の数が3,500ぐらいでしょうか、就労継続支援A型が3,800ぐらいで、B型が1万1,000ぐらいかと思います。概数でそれぐらいに考えると、1万8,000の事業所があるわけで、この人たち全員にというのは、非常に現実的ではないのではないかと思います。今回議論しているのは、就労という言葉になっていますけれども、雇用就労につなげるという、ここが論点であると思いますので、そうすると、就労移行支援事業あるいは就労定着支援事業、ここがメインのターゲットになるのかなと思います。
そうすると、移行で3,500ぐらい、定着支援事業で700ぐらいかと思いますが、かなりここは人材がダブっていると思います。それに、企業の方たちを対象に加えるのか、医療関係の方たちを対象に加えるのか、企業の訪問型ジョブコーチの年間の養成数がJEEDと民間を合わせて800ぐらいで、それから医療の方たちの潜在的な人数もそれぐらいと考えると、大体5,000ぐらいの数が母集団になると推定されます。そうなると、一度に研修するわけにはいかないですから、年間で1,000ぐらいの人たちを研修していくのが、質の担保も含めて妥当な範囲なのかと考えます。
次に、これを義務付けるのか、それとも強いインセンティブを持たせて受講を促進していくのかということですけれども、研修はいろいろありますけれども、義務として行われている研修で、それほどモチベーションを皆さんが持って、教える側も持って活性化された研修というのはなかなかなくて、大体義務付けで大勢が受けるものというのは、グダーっと寝ているような研修になってしまうので、そういうモチベーションの低い研修を私たちは作ろうとしているものではまずはないだろうと考えます。
そうすると、ただの講義を受講するだけではなくて、演習があったりとか、それから若林アドバイザーもおっしゃっていましたけれども、テストのような効果測定がきちんとあって、そこに向けてモチベーションを持つことも1つの方法ではないかと思います。アメリカではCESPという、ちょっと説明は省きますけれども、ジョブコーチに似たような民間資格ができていますけれども、資格のことをいろいろ検討したときに、まず試験のところでどのようなスキルや知識を身に付けるべきかということをゴールとして設定して、研修がそこに向けた内容を作っていくことで、研修の質の担保を図る、研修の内容の均一化を図るという戦略を取ったのだと思います。ということで、試験について検討をするのも、非常にこれは重い課題ではありますけれども、1つの方法ではないかと考えます。
3点目、基礎の研修と専門領域の研修、さらに階層化された研修が議論されています。基本的にはこの考え方に大賛成ですけれども、基礎の研修と専門領域の研修、ここの線引き、切り分けが非常に難しいと考えます。ジョブコーチの養成研修でいうと、いわゆる講義の基礎の部分でいうと、就労支援のプロセスとか、職業リハビリテーションの理念、就労支援の制度、社会福祉の現状、企業における雇用管理とか、こうした科目が講義では並びますけれども、これだけを講義形式で行うと多分受講者は寝てしまう研修になるのではないかと思いますので、どうやって活性化された内容を入れていくのかということです。先ほど企業の方から御発表があったような研修、とても良い実践例がありますし、前回もLITALICO様から研修の内容の発表がありました。それから、ジョブコーチの養成機関のほうやJEEDさんもいろいろな研修のノウハウを持っていると思いますので、1回これを持ち寄るような、本当に研修の中身について一定の時間を掛けて検討するような、研究会レベルで整理をしていくようなことも必要なのではないかと考えるところです。発言を終わります。ありがとうございます。
○長谷川主査 どうもありがとうございました。すみません、確認ですが、2点目で、対象者の範囲のお話をされたときに、年間1,000人ぐらいの受講が妥当ではないかとおっしゃったかと思うのですけれども、それは基礎研修を想定しておっしゃったことですか。
○小川アドバイザー はい、基礎研修を想定しています。そこのところが余りボリュームを増やしすぎると、まずどういった機関が質を担保しながら行うのか、そこも非常に難しい議論になってくるかなと考えています。ある程度のボリュームを確保するのであれば、オンラインの研修とか、そうしたシステムで、広く浅く基礎知識をとにかく付けていってもらうということで、逆に演習といったところについては、先ほどオンラインで非常に良いアイディアを頂きましたけれども、そうしたことで押さえていくことになるのではないかと思います。
○長谷川主査 ありがとうございます。参考資料3ですと、今ある基礎研修では、年間2,600人ほどの方が受講していらっしゃるので、私自身のイメージとしては、それよりも受講者数が増えてくるのかなと思っていたのです。ですので、どの部分の話をしていらっしゃるのかなと思って聞いたのですが、その辺りも是非議論していけたらいいなと思います。まだ御発言されていない方がいらっしゃると思いますが、手が挙がっていませんので、今野アドバイザー、お願いします。
○今野アドバイザー 非常に興味深いお話がたくさんあって、私も自分の名刺に「企業在籍型ジョブコーチ」と入れさせていただいて、これは資格ではないのですが、そういう受講したということをアピールさせていただこうと思って、あるいは「職業生活相談員」とか、入れられるものは全部入れているという感じです。
ただ、企業サイドでいいますと、そういう仕事というのは、資格あるいは研修を受講したからできるという内容の仕事でもないということが一面あるわけです。また、企業によって、障害者が行っている仕事にも様々に違いがありますので、正直申し上げて、自分の所でやっていない仕事のことというのは、なかなか知り得ないわけです。ですから、専門人材といっても、あるいはジョブコーチといっても、自分の会社の中のことだけしか知らないということがままありますので、例えば企業横断的な研修などで、具体的な実践的な事例研修のような場があると、非常に刺激されて、また新たな発想で業務に取り組めるということもあるわけです。
そういう場が、定期的に、あるいは階層的に行われるということになれば、前回申し上げたように、社内の人事制度とのリンクということも考えていけるということは、一方であるわけです。特例子会社の中にはより質の高い雇用を考えている先進的な企業もあれば、中小企業や地方の企業などでは、そこまで専門人材を配置するというのは難しい面があるのではないかと思います。ですから、これから採用するとか、あるいは1、2名、家内的に採用しているというような企業に対しては、どのように配慮していくのかという観点も必要かなと思います。
それと、先ほど、ブランディングとともに魅力ある仕事にしていくためには収入もというようなお話がありました。ごもっともだと思うのですが、福祉サイドでは例えば報酬単価を上げるとか、報酬基準を変えていくとか、加算するとかという、賃金を上げていくための仕組みというものは税金を使ってという部分でいろいろあるかと思います。企業では、一部企業の中には配置基準というものがある業種もありますが、資格と報酬、手当のような形でリンクさせていくというには限界があるということです。先ほどのお話をお聞きしていて、確かに魅力的だけれども、福祉サイドの報酬という考え方に企業がそこについていけるかなという部分も、若干感じる部分がございました。
そういう報酬というのは、ここで議論するかどうかというのは別として、スキルあるいは小川アドバイザーがおっしゃったような試験の伴った研修というのは、非常に大事なところだと思いますので、それを企業としても共有できるような体制というものも、観点として必要かなと思いました。
○長谷川主査 どうもありがとうございました。企業側と福祉側の難しさも、報酬等の面でも更にあるなと感じました。では、松村アドバイザーの手が挙がっていましたので、よろしくお願いします。
○松村アドバイザー 全国社会就労センター協議会の松村と申します。よろしくお願いいたします。先生方のお話を伺っていまして、後ろのほうにいけばいくほど、何をお話させていただければというように思うのですが、1回目もお話をさせていただいたように、福祉の現場にいる1人として、少しでもお伝えできればというスタンスでお話させていただきます。
それと、石井補佐から冒頭に相談の支援専門員のお話をしていただきました。この点については、前回御提案させていただいた1人として、なぜにということだけはお伝えさせていただかなければいけないかなと思うのですが、相談支援専門員というのは、障害者の方が福祉サービスを受けるときのスタートからを知っていただいています。どういうサービスを受けているのか、その方の強みと弱みを客観的に知っていらっしゃる立場であるということと、あとモニタリングとか、いろいろなコミュニケーションの中で、その人との人間関係、信頼関係が構築されているというようなことで、これは福祉の職員というか、ある面では持論なのかも分からないのですが、企業で定着というところに視点を当てていくのであれば、その人を知っているということが、一番定着させていく上で重要な部分であるという観点から、相談支援専門員の話をさせていただいたところです。
今も申し上げましたように、人材の育成とか確保という高いレベルのお話ではなくて、もう少し現場としての泥臭いお話をさせていただければと思っているところでして、参考資料2の役割と職務の整理表の中に、福祉のいろいろな役職名が並んでいるのですが、これから話を進めていく上では、この中にも1つ線を入れたほうがいいのではないかと考えています。それは、A型とB型も、例えば就労への移行といった支援はさせていただきますけれども、就労移行支援事業所や定着支援事業所の職員と、A型、B型の職員というのは、支援内容の比重という違いは明確にあると思いますので、ここは線を入れたほうがいいのではないかと考えております。あと、福祉から雇用とか、雇用から福祉というような場面もありますので、横断的な考え方をするときに、働くというところをキーワードにして、いろいろと考えていければいいなと個人的には思っているところです。
そのような中で、基礎的な技術、知識を身に付けていくという上では、まず基本的な研修をお受けいただくというのは大変重要なことだと思っています。そこから上を、いかに積み上げていくかというところなのですが、具体的な話を私がしていいのかどうかは別にして、自由な発言を許していただけるというところで、ここからの上積みについては、コーディネートをされる方と、実際に現場での実践の方の2つに分けたらどうかと考えています。
具体的には、コーディネートをしていただくというのは、今の仕事であればハローワークの方であったり、ジョブコーチであったり、PSWであったり、そのような方々がコーディネート役を担っていただき、実際に現場に入って障害者の就労を支えるというところでは、福祉の職員であったり、私は学校の先生も入ってもいいのではないかと考えています。それと、企業の雇用の担当者、具体的には職業生活指導員という方で、上積みの研修の部分については2つに分けるというのも、1つの方法ではないかと考えています。
スーパーバイズをどのような方にというようなお話がありましたが、私は、本来は現場での実践の研修を受けた福祉の現場の方とか、企業の雇用担当者の方が、本来のスーパーバイズになるべきではないかなと考えています。それは現場を知っていることが一番強いということです。もう1つ大切なことは、スーパーバイジーであった方がスーパーバイズの担い手となるような教育システムではないかと考えています。
実践を受けたレベルの高い福祉の職員は、前にもお話をしましたが、必然的に法人の管理者になっていったり、経営者になっていくというような、社会福祉法人等の事情もありますので、ブランディングというところは、福祉の現場からも大賛成であります。ただ、インセンティブの部分については、所属する組織にインセンティブが付くのか、その個人にインセンティブが付くのかというところは、明確にしていかなければならないのではないかと考えています。
少し話を戻させていただいて、今、学校の先生とか福祉の方々を実践の現場でというお話をさせていただきましたが、具体的な提案としては、例えば私どものような福祉の現場から企業様にお世話になるとなったときには、私たち福祉の現場の職員は、まずお世話になる企業様の所に実際にその職員が行って、その企業の中で一緒に仕事をしてきます。企業様のほうは、私どもの福祉事業所に実際にお越しになって、その方がどういう支援を受けるか、一緒にその支援を体験してみて、経験をしていただくということで、御本人、送出側、受入側、こうした人たちや環境、冒頭に「環境調整」という言葉もありましたが、そういう部分で、この三者の信頼関係をしっかりと構築することが研修の中にも含まれていくことによって、しっかりとした継続を図れるのではないかと考えているところです。
また、基礎的研修の内容については、是非、企業と福祉をつないでいる、福祉の立場から言うと施設外就労という場面がありますので、その施設外就労での研修を実際に入れてみてはどうかということも、御提案させていただきたいと思います。
対企業様へのスキルの向上という部分については、すぐにできるようなものではありませんので、ここは制度としてある、企業在籍型ジョブコーチの配置の必置を御検討いただければどうかなと思っています。
さらに、サービス管理責任者については、オールマイティな職員というのでしょうか、サービスを提供できる、コーディネートできるという意味では、現状では十分に理解はされていきますが、このワーキンググループでサビ管を議論するのであれば、やはり就労系の経験が最低5年あるとか、そのような具体的な部分も必要ではないかと考えています。定着は、障害のある方を知って、その人との信頼関係を作って、皆で、面で支えていくというところで、そのような人材育成が必要であると思っております。
○長谷川主査 どうもありがとうございました。今、3名の方に手を挙げていただいているのですが、髙谷アドバイザーから御発言いただけますか。
○髙谷アドバイザー 就業・生活支援センターぷれんの髙谷と申します。よろしくお願いいたします。皆さんのお話を聞いていて、大変共感しながら聞いていたところなのですが、何点か意見を述べさせていただきます。
人材育成の対象、受講の対象を考えていくところですが、私は北海道におりまして、北海道全体を見たときに、就労移行支援事業所が管内になく、B型事業所のみあるという地域が存在しています。このことから、受講の範囲を地域として広く窓口を開いておいていただけたらなと考えています。次年度の報酬も、就労継続B型から一般企業への就業につなげて行った際の加算というものも充実してくるというお話も聞いております。地域に広く研修を提供できると良いと思っています。
あと、内容についてですが、雇用促進法が障害の範囲を広げて、身体から知的、知的から精神、そして難病もというように対象が広がっています。障害の対象の方が福祉サービスも非常に多様化されて、難病指定を受けているとか、自立支援医療をお持ちとか、障害手帳での利用以外の対象が広がっていると思います。このことから、福祉の現場の方も、就労の現場にジョブコーチや支援員も、多様な障害の方に対応していくというのに、本当に苦慮していると思います。なので、その多様化する障害に対しても対応できていくような内容も必要だと考えています。
あと、研修の体系についてですが、基礎研修を皆が受けると、基礎的な知識が付与されると思っております。サービス管理責任者の鈴木アドバイザーの表を見て、この研修がサービス管理責任者の研修になっていくと充実していくのだろうなと思っておりました。福祉事業者がそれを受けたときに、今は加算の対象になっているということなので、サービス管理責任者も、さっきプログラムの案がありましたが、それを別途受けたら上位加算のような形の加算があると、サービス管理責任者の方も、より多く受けていかれる機会があるのかなと思いました。意見としては、この3点になります。以上です。ありがとうございます。
○長谷川主査 どうもありがとうございます。現在、田川アドバイザーと若林アドバイザーの手が挙がっていますが、ほかにまだお話されたい方はいらっしゃいますか。小川アドバイザーと今野アドバイザーもですね。では、田川アドバイザー、若林アドバイザー、小川アドバイザー、今野アドバイザーの順で、少し短めに御発言いただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
○田川アドバイザー インセンティブの問題とかブランディングの問題というのは、そのとおりだと思います。ただ、今のジョブコーチの制度自体が赤字なのです。それでもジョブコーチが必要なので、我々の所にも大勢のジョブコーチがいるわけです。専門的な仕事で大事な仕事だという評価が一体どこにあるのだろうというようなことですので、その辺はきちんと評価して、その人の力を発揮させていただきたいと思います。
もう1つは、鈴木アドバイザーも言われた基礎的研修の話です。サビ管の今の研修が、分野別ではなくてまとまってしまっています。障害者の支援というのは、ものすごく範囲が広いですから、いつの間にか埋もれてしまうような形になるのではないかと思います。だから、例えばサビ管の研修でも、特別な支援、就労支援もそうだと思いますし、例えば児童であるとか、そういうのは基礎的研修に上乗せするような形で、何らかの研修をしていかないと埋もれてしまうのではないかと思います。
もう1つですが、単に座学ではなくて、いろいろな研修の中で、レポートとか、長谷川アドバイザーが言われた、現場で実習させたらいいのだということ、これはどちらもすごく効果があると思います。ただ、実習する場合に、実習を受ける所がどのぐらいあるかということと、レポートについても読むのが大変。それを評価するというのも、なかなか大変だと思います。
あと、いろいろな研修を民間が受けるのはどうかということですが、ジョブコーチの研修は、制度が始まったときに民間の団体が予算ゼロで受けて、やり繰りをしてきたというところがあったと思います。その内容はかなり精査する必要はあると思うのですが、民間の力をどんどん活用していただきたいと思っています。
○長谷川主査 ありがとうございます。次に若林アドバイザー、お願いします。
○若林アドバイザー 先ほど申し忘れたことがございまして、今回のテーマとは間接的な関係になるのですが、人材育成を考えるに当たって、裾野の広がりと同時に、縦方向と言うのでしょうか、専門性の深さ、高度な人材を育成しなければいけないということもあるかと思います。その面でいくと間接的に関係してくるのですが、実は職業リハビリテーションの就労支援の研究者が少ないということを実感しておりまして、障害者職業総合センターというのもあるのはあるのですが、科研費の研究者番号を持っている研究者は非常に少なく、小川アドバイザーもそうだと思いますが、私もそうなのですが、たくさんの研究テーマが回ってきても、幾つも抱えていたりしてなかなか受けられないとか、職業リハビリテーション学会というのをやっているのですが、査読を前にもこの先生に頼んだしなという感じもありますので、今回のテーマと直接関係しないかもしれませんが、研究者の育成についても、是非戦略を持っていたほうが望ましいかなと考えます。
○長谷川主査 ありがとうございます。では小川アドバイザー、よろしくお願いします。
○小川アドバイザー 今日いろいろな議論があって大変勉強になったのですが、やや私も頭がこんがらがってきています。それで、この先の考え方として、制度に紐付けされた研修でないと意味がないという話も前回にあって、私もそのように基本的には思っているのですが、そうすると、今回事務局から出していただいたような資料で、今こういった制度があって、それに関連する研修ではこういった内容が扱われていて、それの最大公約数の基礎研修を作りましょうという考え方になっていくと思うのです。それを作った上で、その制度の紐付け以外の方たちも参加していいですよといった考え方の筋道になっていくと思います。
もう1つの考え方は、もう少し自由度を広めて、障害者雇用や就労支援のイントロダクションレベルの基礎研修というのは、一体どういった内容があるのだろうか、企業の場合はこうだろうとか、いろいろな角度から検討して、そして、1つの基礎的な内容というのはこういうものがあるということを作り上げて、それとの制度の紐付けはどういうようにしていったらいいのだろうということを考えるということになると思うのです。
厚生労働省のワーキンググループなので、どちらかというと制度との紐付けということがイメージとして強いのかなと思うのですが、考え方の整理をそろそろしないといけないのかなと思っている次第です。
○長谷川主査 どうもありがとうございました。やはり現行の制度が頭にあるので、そこからずれていくと、だんだん分かりにくくなっていくというのがあるので、自由に最初から構成できれば、もっとすっきりできるのかもしれませんが、時間的なこともありますし、その辺りも、もし事務局のお考えがありましたら是非お話を聞かせてください。最後にまとめてで構いません。
では、最後に今野アドバイザーから御発言をお願いします。
○今野アドバイザー 今、小川アドバイザーから整理するようなお話があった後で、混ぜ返すようになるとまずいと思うのですが、この専門人材というのが、オールマイティな人材を目指していくのかというところで、私は必ずしもそうなのかなというように思うのです。例えば構造化に非常に卓越した知識、技術を持っているジョブコーチというのがいてもいいと思うし、あるいは発達障害の人の支援に非常に定評のあるジョブコーチという人がいてもいいと思うのです。共通する部分は当然あるのですが、それぞれの場面で力を発揮できるような人材が、分かりやすい形になっていると良いと思います。企業内に専門人材がいない場合であればなおのこと、障がい特性にマッチした方がジョブコーチに来ていただけるとなれば大変ありがたい。そう意味で障がい特性に即した専門性という点についても議論していく必要性を感じます。
○長谷川主査 どうもありがとうございました。本日も皆さん、活発な意見交換ができたかと思います。ほかに御質問等はないでしょうか。
では、本日出た意見につきましては、事務局に整理していただきます。いろいろと意見が出たので整理が大変だと思いますが、よろしくお願いします。それで次回の議論に向けた準備を進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。
最後に、議題2のその他として、何かありますでしょうか。あと、先ほどの私から質問した点について、お考えがあればお聞かせください。お願いします。
○小野寺障害者雇用対策課課長 先ほど頂いた件につきましては、事務局の中で検討しまして、次回に整理してお示しできるかどうか対応を検討したいと思います。
○長谷川主査 ありがとうございます。では、その他はなしということですね。
では、大分時間を超過してしまいましたが、本日の議論は終了となります。最後に、事務局から連絡事項がございましたらお願いします。
○小林障害者雇用対策課課長補佐 次回の日程については、2月18日の開催を予定しております。詳細は追って事務局より連絡させていただきます。
○長谷川主査 障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会第2回障害者就労を支える人材の育成・確保に関するワーキンググループは終了とさせていただきたいと思います。今日は皆様お忙しい中、どうもありがとうございました。次回もよろしくお願いします。