第4回職場適応援助者養成研修のあり方に関する研究会(議事録)

日時

令和2年12月3日(木) 10:00~12:00

場所

厚生労働省 省議室(9階)及びオンライン

議事

○秋場地域就労支援室長補佐 皆さん、おはようございます。時間になりましたので、ただいまから第4回「職場適応援助者養成研修のあり方に関する研究会」を開催いたします。
参集者の皆様には、御多忙のところ御参集いただき、ありがとうございます。本日は、オンラインでの開催としており、朝日座長、井田委員、征矢委員は会場にて御参加いただいております。オンラインで参加いただいている方におかれましては、御発言される際には「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、座長より指名を受けてから、マイクのミュートを解除し、御発言いただきますようお願いいたします。
以降の議事進行につきましては、朝日座長よろしくお願いいたします。
○朝日座長 皆さんおはようございます。本日は、新型コロナウイルス感染再拡大により、緊張する状況の中、オンラインでの開催となりました。このような環境下ではありますが、本日も活発な御議論をお願いしたいと思います。
本日の議事に入る前に、前回事務局から少し御報告がありました障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討状況について資料を頂いておりますので、説明をお願いしたいと思います。
○小野寺障害者雇用対策課長 それでは、事務局のほうから御説明申し上げます。参考資料3、4、5をご覧ください。本研究会におきましては、ジョブコーチのこれからの姿を描きながらも、まずはカリキュラムを見直していこうという目的で御検討いただいているところです。平行して、障害者雇用・福祉連携施策の中で課題を解決していこうということでの検討が進んでおりますので、御紹介したいと思います。
まず、参考資料3についてです。「2040年を展望した社会保障・働き方改革の検討について」ということで、大臣を本部長としまして、幾つかのプロジェクトチームが動いております。昨年6月に公布いたしました障害者雇用促進法の改正に当たり、衆参両議院から付帯決議として障害者雇用・福祉連携について検討の場を設けるように提起がありました。この付帯決議に基づき、昨年7月に資料1ページの赤い四角囲みにあるような障害者雇用・福祉連携強化PTを設置しております。本プロジェクトチームは省内の検討チームになりますが、厚労審を主査とし、福祉関係のサービスを担っております障害福祉部と私どもの障害者雇用対策課がメインとなり、検討を進めてきております。
資料2ページを御覧ください。検討の経緯等が載っております。本来、このプロジェクトチームは通勤、職場介助だけではなく、広く障害者の就労支援全体のあるべき姿を検討していこうという、かなり大きなテーマも掲げておりましたが、昨年7月に設置して以降、まずは通勤、職場介助、これらの支援についてどう考えるかということについて検討しております。昨年末には、3ページにありますように、重度訪問介護サービス等を利用される方に対し、通勤、職場等において、当面の対応としての支援策を構築しております。
この施策について簡単に御紹介いたしますと、重度訪問介護サービス等を利用されている方については、経済的活動に入られると、そのサービスは使えなくなることがあります。一方で、雇用されている方の場合、例えば、企業側で何らかの措置をした場合には助成金を使っていただくことができるのですが、企業が措置しない限りは、福祉サイドでも雇用サイドでも何ら支援ができないことになります。そういった穴を何とか埋めようということで、障害者雇用納付金制度に基づく助成金を更に拡充し、企業側の取組を応援する形を取っております。
例えば、重度訪問介護サービス等を利用されている方が、日常使っておられるヘルパー等を使い続けながら仕事をしていただくといった場合、企業側と、企業では十分にできない部分については地域生活支援事業を使い一体的で支援できる環境を整備するというものです。連携のイメージ図が左下にございます。Aの民間企業で雇用されている方については、職場における支援、通勤支援については助成金の対象とし、そこで十分にできない必要な支援については、福祉施策としての地域生活支援事業で支援するという、セットで応援していく枠組みを作りました。
4ページからは、それ以降に、全体のあり方について検討を進めた上で、中間取りまとめとしてまとめているものを、概要としてお付けしております。1の所にありますように、これまで福祉施策と雇用施策が、連携を図りながら一定の成果を上げてきた中で、顕在化した問題も見えてきたところです。2の現状認識と5ページの現状認識を踏まえての当面の方向性について、時間の関係上、セットで御説明したいと思います。
まず、基本的な現状認識としての1点目は、施策がどうしても縦割りになってしまっていることの弊害です。雇用・福祉それぞれに様々なサービスが用意されていますが、そのサービス利用、あるいは支援を選ぶときに、適切にその判断がされているかという課題がある中で、雇用・福祉それぞれで共通で使える評価の仕組みを作ってはどうかということが1点目です。よく例として挙げられるのが、特別支援学校を卒業して新たに社会に出ていく際に、御本人なり保護者の方の意向がまず先行的にあり、一般就労が可能な方であっても、B型に行かれる方が多数いたり、ハローワークを訪れる方について言えば、もしかすると福祉的な支援を受けたほうがよい方であっても、頑張って企業に就職ということで、御相談に見えた窓口によってサービスが分かれてしまうということがあります。それに対して雇用・福祉共通のプラットホームとしての評価の仕組みを作ってはどうかというのが1点目です。
2点目が、雇用・福祉それぞれの支援を担っている人材の話で、就労支援人材の育成・確保です。ニーズが多様化する中、果たして多様化するニーズに対応できているのかということで、福祉・雇用それぞれにまたがる横断的なスキルを身に付けていただく仕組みを構築するべきではないかということです。イメージとしては、まず雇用・福祉それぞれに横断的に求められる基礎的なスキルを付与した上で、それぞれの専門性を積み重ねるといった人材育成の仕組みが検討できないかということです。その上で専門的な人材として育成していく中で、それぞれの人材の役割等を一旦整理してみてはどうかというところです。
3点目が、先ほど申し上げたような通勤、職場等における支援について、今年の10月からスタートしておりますので、10月以降の実施状況を見ながら、次に求められる新たな取組についても検討してはどうかということです。併せて、地域に様々な支援機関がありますが、その役割分担を改めて明確化し、抜けや漏れがないかを検討してみてはどうかということです。
2は、技術革新や環境変化を踏まえた多様なニーズへの対応です。人材についても、多様なニーズに対応する育成の仕組み、確保の仕組みについてと、2点目の多様な就労支援ニーズへの対応として、例えばテレワークの促進、あるいは支援の視点がスポット的に置かれがちだった障害者について、少し中長期的なキャリア形成も考えながら、在職者訓練をより充実してはどうかということ、あるいは、訓練のあり方として、オンライン訓練等も積極的に進めてはどうかということ、働き方としては、短時間雇用など、柔軟な働き方を更に進めてはどうかというものです。
3は、それぞれの施策双方において現行制度で抱えている課題への対応です。例えば雇用施策については、納付金制度と雇用率制度が根幹となっていますが、納付金制度については、雇用が進めば進むほど財政状況が逼迫するという構造的な課題があります。また、調整金をお支払いしている大企業やA型に対しては、上限なく調整金をお支払いしている中、本来は障害者雇用を進める上でのコストバランスを取る意味のものでしたが、それをやや逸脱しているのではないかという指摘に対して、「就労支援A型事業所の取扱い」と書いていますように、A型については、障害福祉サービスから報酬が支払われている一方で、民間企業とのイコールフッティングでの調整金の支払いについてどう考えるかという指摘があります。
また、雇用率制度における対象障害者の範囲について、現行では精神障害者まで雇用の義務化が図られておりますが、精神障害者については障害者手帳の所持者のみを対象としている中で、自立支援医療受給者証の所持者を対象として取り扱ってはどうか、あるいは、難病の方については身体障害者手帳が取得できれば障害者ということになりますが、それ以外の医療受給者証の所持者について同様に取り扱ってはどうかという御指摘があります。更に一歩進んで、手帳ではなく、1の(1)で申し上げたようなアセスメントの仕組みが実効性を上げるようになっていけば、将来的には個々の就労の困難性を認めながら障害者の範囲についても考えていくことができるのではないかということです。これは、かなり中長期的な視点になってきます。
2点目が、就労系障害福祉サービスの見直しです。就労系福祉サービスについては、御承知のとおり就労移行、A型、B型の3つがメインとしてありますが、A型については一般就労への移行が目的になっている中で、実績が低調なところが一定数存在していること、A型については基本的には最賃を支払えるだけの収益を上げる生産活動が求められているわけですが、実際には実現できていない事業所も多々あるということ、B型については様々な利用者が活用されている中で、工賃向上というような一方向だけでいいのかということも指摘されておりますので、それぞれの就労系福祉サービスのあり方を再確認して、課題解決に向けて検討していってはどうかということです。
このような形で、現行の課題に立って、当面こういった方向で検討してはどうかということについて、中間取りまとめとして整理しています。今後は、公開の場において議論を深めていこうということで、欄外にありますように、雇用施策担当であります安定局の障害者雇用分科会と、福祉施策担当であります障害者部会のそれぞれのメンバーを募り、合同検討会を立ち上げ、さらに議論を深めていきたいと考えております。
この合同検討会については、参考資料4にお付けしておりますとおり、「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会」ということで議論をしていきたいと思っているところです。メンバーについては別紙のとおりです。この検討会では、先ほどお示しした中間報告の検討の方向性に基づいて更に議論していただきますが、その中で、より技術的な議論を深めていくワーキンググループを設けたいと思っております。ワーキンググループについては、参考資料5としてお付けしております。
参考資料5の2ページ以降に、3つのワーキンググループをお示ししております。まず、アセスメントのあり方を考えていくものとして、「障害者の就労能力等の評価の在り方に関するワーキンググループ」を設置し、倉知先生を座長として議論をしていただきたいと考えております。
2つ目のワーキンググープとして、本研究会と非常にリンケージするものですが、「障害者就労を支える人材の育成・確保に関するワーキンググループ」を設置し、障害者雇用分科会の公益委員である長谷川珠子先生に主査としてお入りいただこうと思っております。本研究会にも御参画いただいております小川先生をはじめ、何人かの先生に御参画いただいております。第2ワーキンググループでは、本研究会にて頂いたご意見について御報告を申し上げ、議論の素材とさせていただくこととしたいと考えております。
最後のワーキンググループですが、これが一番大きなテーマで、「障害者の就労支援体系の在り方に関するワーキンググループ」です。地域にあります労働、福祉系それぞれの支援機関、プレーヤーについて、どのような形が最も効果的なのか、あり方を検討していく場になっております。本ワーキングにつきましては、障害者団体にもお入りいただき、幅広く検討していきたいと考えております。この研究会においては、カリキュラムの見直しを主目的にいたしましたが、ジョブコーチ自体のあり方、あるいは育成のあり方についても大変貴重な御意見も多々頂いておりますので、先ほど申し上げたように、第2ワーキンググループでも御報告し、検討の参考にしていきたいと思っておりますし、ワーキンググループの議論につきましては、親会である障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会に御報告し、最後には、障害者雇用分科会、障害者部会それぞれの審議会に戻って、それぞれの所管の中で、検討の成果をいかしながら、さらに議論を深めていくことになっております。説明は以上でございます。
○朝日座長 小野寺課長、ありがとうございました。大変興味深い内容の御報告をいただきました。この研究会でも、雇用と福祉の横断的な視点、連携の視点について、繰り返し御発言があったところです。とりわけ人材育成の部分については、この研究会との関係性も深いということですので、ジョブコーチの養成について、更なる議論を進めることで今後の議論にも貢献していきたいという思いで拝聴しておりました。委員の皆様も、御関心の強いところだとは思いますが、冒頭に当たっての検討状況の御報告ということで受け止めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
それでは早速、本日の議事にまいりたいと思います。本日は、前回に引き続き、具体的なカリキュラムや研修方法等について、再度御議論していただき、その後、本研究会の取りまとめ報告書の骨子案についても御意見を頂戴したいと思っております。
まず、議題1「養成研修のカリキュラムや研修方法等の見直しについて」、事務局から御説明をお願いいたします。
○秋場地域就労支援室長補佐 資料1-1を御覧ください。前回御議論いただいたカリキュラムの見直しに関する意見をまとめたものです。下線部が前回いただいた御意見になっております。
1ページ、訪問型について、就職前支援を行っている受講者が多いことから、ジョブコーチの役割や職場での立ち位置を改めてしっかりと伝えていくことが、より一層必要だという御意見を追加しております。
2ページ、カリキュラムの見直しに当たっては、スクラップアンドビルドが基本ですが、スクラップするものがない場合は、何に重点を置いていくかを認識していく必要があるのではないかという御意見がありましたので追加しております。
3ページ、スキルアップ研修の項目ですが、スキルアップ研修に盛り込む内容について、皆様からこれまで頂いた御意見に基づき例として示させていただきました。佐藤委員から御紹介いただきました現在のJEEDで行われているスキルアップ研修に加えて、ストレスの把握と対処を入れております。また、第1回で御議論があった特定の障害種別に特化したジョブコーチについて、そういったスキルがある人がジョブコーチ研修を受けていただく方が効率的だという御意見を頂戴しておりましたが、ジョブコーチとして実務経験を積んだ方々に学んでいただきたい内容としても追加しております。この部分は今回新しく追加した部分ですので、もっとこんなことを学んでもらったほうがよいのではないかという御意見を更に頂ければと思っております。
4ページです。カリキュラムに追加した方がよい内容として、前回酒井委員から、ジョブコーチ連絡協議会としての御意見を頂いた内容を追加しております。
5、6ページです。カリキュラムに新しく追加する内容ですが、就労支援のプロセス、行動観察とフィードバック、ストレスの把握と対処、また当事者の話を聞く機会について、前回それぞれ頂いた御意見を下線で追加しております。
資料1-2にまいります。前回お示ししたモデルカリキュラムの見直し案について、御議論を踏まえて修正したものになります。今回修正した部分は青字になっております。右側の表ですが、⑤就労支援に関する制度に「労働安全衛生法」を加えております。また、井田委員から、研修の中でもっとジョブコーチの助成金について説明をしたほうがいいのではないかという御意見が第1回にありましたので、その旨も追加しております。⑥の職場における雇用管理に、「ストレスの把握と対処」を追加しておりましたが、しっかり教えていくには時間が足りないのが、重要性やアウトラインは押さえたほうがよいという御意見を受け、「ストレスの把握と対処の重要性」としました。⑪の職務分析と作業指導の内容に、行動観察とフィードバックを入れることについて、前回、行動観察というのはアセスメント時にも行うので、区別したほうがよいという御意見を受けまして、「作業指導における行動観察とフィードバック」としております。企業在籍型も同様に修正しております。モデルカリキュラムの修正については以上です。
続いて、資料1-3です。研修方法等の見直しについて、頂いた御意見をまとめております。1ページ、今年度はコロナ禍により、特例的にオンライン方式を一部導入して実施しておりますが、今後の恒常的な研修方法のあり方にどう反映していくかということについて御議論を頂きました。
2ページ目に、前回、皆様から頂いた様々な御意見を追加しております。3ページがそれらをまとめたものになります。ジョブコーチの実際の支援や、養成研修で何を伝えていくかということを考えた場合に、引き続き、対面での研修が基本であるということ。また、仮にオンラインでやる場合には、リアルタイムや双方向性等は必須であって、習得状況の把握を対面式以上にやっていく必要があること。また、オンライン方式では同じ時間内で伝えられる内容に限界があるので、演習等での補完が必要になること。またメリットについても挙げていただきましたが、一方で、課題も多く、やはり基軸は対面だろうということでまとめております。
4ページに、演習や実習についての御意見を記載しており、5ページがそれらをまとめたものになります。コロナ禍で実習先の確保が大変であるため、実習のみ延期可という案を前回お示しいたしました。実習の延期については、ジョブコーチ支援の活動開始時期に影響するため、更なる代替案も考えられるのではないかという御意見の一方で、何とか実習先を確保できているというお話や、実習を通して得られるものは、座学では得難いものがあり、可能な限り実習を実施することが望ましいという意見についてまとめております。
6ページは、見直し案を改めてお示ししたものです。前回は講義については恒常的に一定条件のもとオンラインを認めるとしたところですが、前回の御議論を踏まえて、性質上、原則対面であるという方針とし、非常事態においてはオンラインを認めるという案に修正しております。実習についても、現行どおり実施という案のままにしております。説明は以上です。
○朝日座長 ありがとうございました。事務局から、前回までの議論を踏まえて、修正を加えたカリキュラムと研修方法の見直し案について御説明を頂きました。カリキュラム案については、前回の議論を踏まえて、内容に一部加筆をしていただいたこと、また、スキルアップのための研修に盛り込んだほうがよい内容について、新たに御例示をしていただいていたと理解しております。研修内容については、これらを踏まえながら、御意見を頂戴したいと思います。
まず、カリキュラムの内容について、その後、研修方法についてということで、2つに分けて進めたいと思います。カリキュラムの内容等について、御意見はありますか。佐藤委員お願いします。
○佐藤委員 2点あります。1点目ですが、カリキュラムの③訪問型職場適応援助者の役割のところですが、職場における障害者の権利擁護が追加されており、同様に企業在籍型の方にも追加されています。追加することについては賛成なのですが、企業の場合は、この趣旨からすると、合理的配慮の提供義務という観点で話をしたほうがいいのではないかと思いました。そうすると、共通の内容としてではなくて、下のほうの訪問型と企業在籍型の別々のところに書き分けたほうがいいのではないかと思います。
2点目は確認ですが、⑥の職場における雇用管理のところに、ストレスの把握と対処の重要性が追加されており、こういった要素が研修の中で必要だということは共通理解になっていると思いますが、この科目は、JEEDの場合、外部の企業の方に講師をしていただいているため、できたら、研究員などの機構職員が講師を行う科目に組み入れたいと思っており、現在の形では少しやりにくいところがあります。以前の御意見の中でも、研修全体のどこかでその内容に触れればよいのではないかという趣旨のお話もあったかと思いますので、そういった理解でよろしいかという確認です。
○朝日座長 佐藤委員からの御提案、確認の提示の部分について、関連する御発言等があれば伺っておきたいと思いますが、いかがでしょうか。趣旨としては、障害者の権利擁護について、企業在籍型の場合、職場の障害者の権利擁護といったときの受け止められ方がどうなのかということだと思います。本質は同じだと思いますが、広義に捉えれば、権利擁護のために障害のある人は企業、職場はどういうふうに関わっていくかということだと思いますが、狭く考えると、障害のある方側の課題ということでいくのか、合理的配慮の提供という文脈の中でいくのかという御発言の趣旨だったと思います。
2点目のストレスの把握と対処の部分については、必ずしも職場における雇用管理の科目でなく、あるいは企業の方が講義をするという形式ではなく、ほかの科目で触れるということでもよいのかという確認という理解でよろしかったですか。関連する御発言はありますか。小川委員、お願いいたします。
○小川委員 企業在籍型の場合は、障害者の権利擁護という言葉ではなく、別の言葉を使ったほうがいいのではないかという趣旨はよく理解できます。障害者の権利擁護といった場合、企業の障害者雇用担当の方や人事の方がどういう受け止め方をするのかと考えると、佐藤委員の御意見はよく理解できるところですが、やはり、合理的配慮といった場合、御本人から申出があった場合に、それに対して過重な負担がない範囲で配慮を検討するという、非常に狭い意味での障害のある人に対する配慮という捉え方がされ、講義の内容もそこに限定される気がします。
今回、障害のある人の権利擁護ということを入れたほうがいいという趣旨は、障害のある人の労働をきちんと支援しながら適切な雇用管理を行っていくというのは、雇用率の達成だけではない、障害のある人の能力を最大限に引き出して、その人が充実した働き方ができるような障害者雇用を目指すべきだということを、ジョブコーチ支援の理念として入れたほうがいいという、そういう意図もあったので、合理的配慮の提供という言葉だけではなく、障害のある人の権利に配慮した雇用管理のあり方とか、何かもう少し膨らみのある言葉を検討してはどうかと思うところですが、いかがですか。
○朝日座長 小川委員、ありがとうございます。井田委員、お願いします。
○井田委員 企業の立場からすると、合理的配慮という言葉が非常に分かりやすいので、権利擁護のところに括弧で合理的配慮を含むとか、例、合理的配慮とか、そういった文言があると、企業人としては、この講義はそういうことを含めた内容を言うのだなということが分かるので、そのような形でお願いできればと思います。
○朝日座長 酒井委員、続けてお願いします。
○酒井委員 佐藤委員のおっしゃったご意見について、なるほどそうだなと思いながらお聞きしていました。私も合理的配慮だけでは、少し狭い領域になってしまうと思いますので、合理的配慮を含むという形であれば、決してイコールではないということが、企業の方にもイメージをしていただけるのかなと思います。
先ほど小川委員がおっしゃったように、障害のある人が働くという権利をどう守っていくか、そこに対してどう最大限支援できるのかというアプローチの姿勢について、是非ジョブコーチに学んでいただきたいという思いもありますし、ジョブコーチ連絡協議会でもこの件にについて以前議論したときに、ジョブコーチの倫理観という表現も出ていましたので、そういったニュアンスが伝わるような表現になればいいかなと思っております。
○朝日座長 ありがとうございます。かぎ括弧、権利擁護と言った場合、解釈に幅がありそうで、この研究会の議論の中でも、障害者権利条約に基づくこの10年の対応の変化ということも踏まえておりましたし、酒井委員がおっしゃったジョブコーチの倫理観みたいなところも、それを表出する言葉として、障害者の権利擁護について考えるということだったと思います。この内容を入れ込むことについては御理解いただいていると判断していますが、その上で、権利擁護の解釈にできるだけ齟齬がないように表現をしていくという点で御意見が集中したかなと思いました。
○鈴木委員 1つ確認があります。かぎ括弧の中に権利擁護を入れるか、かぎ括弧の中に合理的配慮を入れるのかということですが、合理的配慮では、どうしても、本人からの申出がないと駄目で、申出がないところで勝手にやってしまうのはおかしいよねということが、現場では往々にしてあります。今回の研究会では、ジョブコーチは何をすべきなのかというのが一番の根幹にあるような気がしておりますので、かぎ括弧の中に「合理的配慮を含む」と入れたほうがよいのではないかと思います。
○朝日座長 ありがとうございました。この議論における権利擁護には受け止め方に幅があるという趣旨で先ほど、かぎ括弧と発言しましたので、そのようにお受け止めいただければと思います。
そうしますと、工夫した表現は幾つかあり、例えば、障害者が働く上での権利擁護、そして合理的配慮を含むとか、職場における権利擁護、このままでも結構とありますが、合理的配慮が1つの例示であるということを踏まえた上で、やはり権利擁護という言葉については大切にしていきたいということでまとめさせていただきたいと思います。
ストレスのところでは何かありますか。山地委員、お願いします。山地委員のご発言が会場に聞こえていないようです。順番が前後いたしますが、先に岡本委員に御発言を頂いて議論を進めたいと思います。
○岡本委員 ⑯の実習についてですが、実習は大事なので絶対にやるべきなのですが、全て現場で行うというやり方での実習をお考えなのか、以前の研究会でも発言させていただきましたが、オンラインなり、ビデオを撮ってそれを会社の人が研修会場に来て説明をするなど、そういったやり方を取り入れるということは考えられるのでしょうか。
○朝日座長 ありがとうございました。この後に議論する研修の方法論のところでも出てくると思いますが、カリキュラムに記載されている実習については、当然、実習は実習ですよねということが前提になっていると思いますが、実習の中に変化球的な要素を含められるかどうかということについて、このカリキュラムに書き落とすかということもあると思いますが、事務局から少し御説明を頂いてもよろしいでしょうか。
○秋場地域就労支援室長補佐 事務局です。モデルカリキュラム上「実習」と書いてある部分は、現場に行っての実習を指しております。現在の案は、現行どおり丸1日若しくは半日を2回でもいいのですが、7、8時間は現場に行って実習をしていただくものにしています。
○朝日座長 岡本委員、いかがでしょうか。
○岡本委員 では、私もそういう形で理解したということで、また方法論のところで少し補足ができればと思います。
○朝日座長 そのほかにカリキュラムの内容についての御意見等はありますか。これまでの議論を踏まえて大分固まってきたというところですが、さらに重要な点を改めて確認しているという状況だと思います。
山地委員の御意見は、ストレスの把握と対処に関連する内容だと思いますので、また後ほど伺うということで進めさせていただきたいと思います。
次に、研修方法の見直しについてです。先ほど御説明がありましたように、前回の議論を踏まえますと、事務局としては、恒常的なスタイルとしては対面型で行い、今年度のようなコロナに代表される非常事態の下では、特例として一部オンラインを認めるという案になっています。では、この研修方法等の見直しについて、改めて御意見を頂戴したいと思います。小川委員の研修機関で、演習をオンラインに切り替えたと伺ったのですが、その辺りのことを踏まえて何か御発言があれば頂戴したいと思います。
○小川委員 ありがとうございます。前回の研究会と今回の研究会との間に、オンラインでジョブコーチ養成研修を実施しました。1日だけ対面による演習の日を設けて、その他についてはオンラインで行いました。これまで行ってきた演習の一部についても、オンライン化しないとカリキュラム的に実施が困難でしたので、オンラインで実施した演習があります。その経験を踏まえてのことなのですが、一部オンラインによる演習もこの非常事態の下では考えられるかなという印象を受けました。改めてアンケートはまとめる予定ですが、受講生の評価も、かなりよかったように思います。
それを踏まえて、今回の研修方法等の見直しについてですが、コロナ渦での非常事態の状況下では柔軟に対応できるように御検討いただいており、私はこのままでいいのかなと思っています。
オンラインにより実施した経験を踏まえると、講義部分についてのオンライン実施の可能性については、もう1歩検討してもいいかなと感じているところです。ただ、前回の研究会でも議論がありましたように、伝える量や質がオンラインと対面式では変わってきますので、オンラインの場合は、今の時間数では伝えるべき内容を伝え切れないと思います。それから、前回の議論でもありましたように、受講状態のチェックや理解状況のチェックの仕組みを入れていく必要があります。この研究会で、講義部分のオンライン実施に対する検討の余地について若干の方向性を示していただくと、次のタームで、本格的にオンラインの実施を試行していくなど、次の1歩を踏み出せるような気がします。企業の在宅勤務も進んでいますので、報告書では、やはり原則は対面にしつつ、オンライン化についても検討を進めていくという内容を、少し盛り込んでいただいて、試行的にやりながらオンラインによる講義というのはあり得るかということを、次の機会に決めていくような方向性はいかがかなと感じたところです。
○朝日座長 小川委員、ありがとうございました。直近の御経験を踏まえて、御発言を頂けたと思っています。これから報告書の骨子案についてもお諮りいたしますが、研修方法について講義の取扱いをこのようにしましょうというのはなかなか難しいですが、コロナ禍のような状況、あるいはその後における講義の方法論について、遠隔の検討の余地を明記しておくということも1つではないかという御発言だったと思います。
関連する御発言はありますか。酒井委員、お願いします。
○酒井委員 研修方法については、私も対面が基本だと思っています。一堂に会すことで、受講生のネットワークも新たに生まれますので、やはり対面が基本だとは思いつつ、様々な状況下で、オンラインという方法も今後普及していく中、取り入れていかなければいけないかなと思っています。
今年度、サービス管理責任者研修は、国研修においては全国で16プログラムのうち、12はオンデマンド配信で、4つはその演習、グループディスカッションでしたので、双方向での演習を全てオンラインで行いました。
受講者の感想を見ると、オンデマンドで期日までに必ず見てくださいという縛りだったのですが、何回も視聴できることがすごくよかったという感想が多かったです。特に1回聞いただけでは分からないところは、2、3回見直す、あるいは自分でまた調べるということを、ある程度猶予期間がある中で、学習を深められることがよかったという感想が割と目立ってあったのかなと思います。そういう意味合いでは、今、ジョブコーチ研修では、オンラインの場合では双方向ということを大前提にしていますが、例えば制度であるとか、ほんの一部の講義についてはオンデマンド配信のほうがより効果的な部分もあるのかなとは思っていますので、併せて御検討いただければと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。オンデマンド配信の効果を踏まえた、真にふさわしい内容については、繰り返しの学習や知識の定着に資するという点でメリットもあるのではないかということですね。それと同時に、その場での空気感、あるいはリアルタイムでの双方向性などを踏まえた研修のあり方のようなところも大事にしていきたい。ハイブリッドと簡単に言っていいかどうか分かりませんが、そのような方向性も示唆をしていくということはあり得るということかと思います。鈴木委員、よろしくお願いします。
○鈴木委員 鈴木です。今の酒井委員の発言に関連するかもしれませんが、オンデマンドで実施するか、リアルで実施するかという所は、この先非常に議論していかないといけないところかと思います。サービス管理責任者の研修などは、一定の経験やベースがあるところでの研修ですが、ジョブコーチ養成研修はどちらかというと基礎研修的なところが非常にあるので、私の個人的な思いとしては、対面でやる養成研修を一度きちんと受けていただき、オンラインについてはベースがある人たちに対するスキル向上研修としてのケーススタディやグループワークなどの効果も含めて今後の検討課題として残していただけたらと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。山地委員とのコミュニケーションが回復したという情報を頂きましたので、ご発言を頂きたいと思います。
○山地委員 ストレスに関して、ストレスや疲れていることは御本人にしか分からないものですが、やはりジョブコーチがそれを可視化して、会社の方にも御本人にも気付いていないものをきちんと提案するというか、それを見えるようにして、雇用プランにつなげていただくということが必要だと思います。そういったことが分かる方に講師にお願いするのがいいと思いました。
○朝日座長 ありがとうございます。カリキュラム案にありますように、ストレスの把握と対処については細かいストレスの対処方法やそういったチェック方法を共有できるような内容で伝えられるといいという理解でよろしいでしょうか。それでは、今までの議論を戻りまして、岡本委員、よろしくお願いします。
○岡本委員 資料1-3の最後のスライドの一番下に下線部で、「地域外の受講者等の場合は他機関と協力して実施を行う」と書いてありますが、これはつまり、ほかの地域で実習ができないようなことがあれば引き受けなさいという話でしょうか。そうだとすれば、すごく難しいところがあります。JEEDの養成研修では、実習先の確保がぎりぎりというところで、他の機関から依頼があっても引き受けられるような状態が考えにくいのですが、そういったことを想定しての記載なのか知りたいと思っての質問です。
○朝日座長 ありがとうございました。事務局から、記述の背景について御説明をお願いしてもよろしいですか。
○秋場地域就労支援室長補佐 事務局です。鈴木委員から頂いた御意見でしたが、例えば他県からの受講者の場合は、その地域に他の機関の実習先がある場合は、実習ができるといいのではないかというご趣旨だったと思います。資料1-3の記載は、あくまで「可能とする」としておりますので、必ずやってください、受け入れてくださいというものではありません。
○朝日座長 岡本委員、いかがでしょうか。
○岡本委員 では受け入れが難しい場合は、それも受け止めるという運用をイメージしているというと理解してよろしいでしょうか。
○秋場地域就労支援室長補佐 事務局です。タイミングなども関係してくると思いますので、各機関同士でその都度決めていただくことをイメージしておりました。
○岡本委員 どれぐらいの話なのかというのはイメージがついたのですが、JEEDの研修は無料で実施しており、他の機関だと有料の研修になりますので、無料と有料を跨ぐということも実際は起きると想定していますか。
○朝日座長 ありがとうございます。鈴木委員、御発言をお願いします。
○鈴木委員 もともと、この話が出てきたのは、ジョブコーチ連絡協議会でコロナ渦の研修を本当にどうしようかと切実な話をしている中で、かなりの調整が必要になるという前提であるけれども次年度にまたぐよりも、可能であればできるだけ早くに実習をということが話の出発でした。機構との体制が違う中でということでは、まだ機構にもお話しているわけではありません。以上です。
○朝日座長 ありがとうございます。岡本委員、よろしいでしょうか。他機関と協力してというところは、最初から限定的なものではなく、他機関との調整や制度の摺り合わせといったものを含めて調整して協力をした場合にはこういった方法も考えられるという理解でよろしいでしょうか。酒井委員、お願いします。
○酒井委員 今のことに少し関連して、第2回研究会でも一度、御質問をさせていただいたのですが、ジョブコーチ養成研修は機構と我々民間の研修機関が両輪で進めてきているところで、有料、無料という違いがまず大前提としてあります。内容についてはモデルカリキュラムをベースにしていますので、大きな違いはないと思うのですが、我々民間の研修機関は現場の発信がより強くなるとか、より創意工夫する中で進めているということがあります。その中で、厚労省として、民間の研修機関に、何か違う役割を期待されているのかということをお聞きしたいと思います。また、今年度、このコロナ禍において大阪ではかなり定員を以前よりも減らし、少数で研修を実施しています。ただ、運営自体は受講料で賄われていますので、損益分岐点ぎりぎりの人数でやっている中、今回も、聴覚障害の方で、職場でリーダー格になって後輩を指導してきたある程度熟練の方が、ジョブコーチ研修の受講を希望されているのですが、全ての時間に手話通訳を付けるとなると、かなり過重な負担になってきます。そういった場合は、我々としてはできれば機構の研修でお受けいただきたいなと思っているのですが、その辺のことも踏まえて、少しお聞きしたいと思います。
○朝日座長 酒井委員、ありがとうございました。前提となるジョブコーチ養成研修における講師の協働と役割分担の基本的な考え方にもつながると思いますので、よろしければ事務局の考え方をお示ししていただいてもいいでしょうか。後半の部分について、これは講師の役割分担の議論ともつながってくるわけですが、例えば特別な配慮は必要な方が受講を希望される場合は、より公的な責任を持つところが必要な配慮をより担っていくという考え方かもしれません。よろしいでしょうか。
○秋場地域就労支援室長補佐 事務局です。まず1点目についてですが、以前も、小野寺から御回答させていただきましたが、もともとジョブコーチの大臣指定の研修が始まった経緯として、平成17年の法改正の際に、障害者の職場定着を着実に進めていこうということで、助成金を創設したことに伴い、民間機関のノウハウを活用して、ジョブコーチの裾野を広げ、ジョブコーチ養成を促進するため、助成金の要件となるジョブコーチ養成研修として、JEEDに加えて厚労大臣の定める研修を追加したものになります。そのため、目的や位置付けなど、そういったものには違いはないと考えています。
一方で、財源面を考えますと、JEEDは交付金の予算、雇用勘定により無料で行っており、より厳格に助成金活用予定である点を重視した研修にしていく必要があります。大臣指定の研修は受講料を徴収して有料でやっていることから、実施要領等の内容は確保していただきつつ、それ以外は独自色を出していただくことが可能であり、現在も創意工夫をして実施していただいているところです。大臣指定研修への期待としては、同じ法人の研修を受けた共通言語を持つ修了者のネットワークを作っていただいて、その方たちの交流やサポートを進めていっていただきたいと思っております。
それから、2点目の聴覚障害等、特別な配慮が必要な方への研修については、例えば大阪であれば、JEEDでも大阪で研修を行っていますので、JEEDの研修を受講していただくことも可能かと思いますが、受講申込みがあった際に、他機関の研修をご案内していただくということは可能なものでしょうか。
○朝日座長 酒井委員、お願いします。
○酒井委員 そこは企業との関係性などいろいろありますので、ケース・バイ・ケースだと思います。ただ、今回の方は、JEEDの研修を希望していましたが、選考から漏れたのでということでこちらに来られた方です。
○小野寺障害者雇用対策課長 今の話については、まず統一的な運用整理をされていないというところがあるのかなと思いますので、そういったときの役割分坦をどうするかという話は、一旦、引き取らせていただき、支援が必要な方がしっかりとスムーズに受講に導けるように、枠組みとして何ができるか検討してみたいと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。酒井委員、よろしいでしょうか。
○酒井委員 我々としても最大限の努力はしていきたいとは思っていますので、その中でいろいろと連携させていければと思っています。よろしくお願いします。
○朝日座長 ありがとうございます。研究会のテーマである養成研修のあり方の内容的なところというよりは、影響されるかもしれないという前提のことなのですが、それがどうあるべきかということは、また次元も違うと思います。ただ、カリキュラムや養成の質を担保していくためには、前提としての講師の協働や役割分坦についても認識をしていくことを是非お願いをしたいということでまとめさせていただきたいと思います。
ほかにはよろしいでしょうか。佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 実習に関してなのですが、カリキュラムの見直し案では原則今までどおり、全ての時間を事業所内で実習するというやり方をお示しいただいていると思います。コロナ渦では実習の実施が難しい部分が実際にあり、カリキュラムの中で実習の内容として、5点示していただいているうちの2つ目、事業所における雇用管理の理解や、もしここで当事者の方のお話を聞くということを入れるとすれば、その部分は必ずしも事業所に行ってやらなければいけない内容ではないと思います。通常であれば、もちろん事業所で話を聞くということが望ましいと思いますが、このコロナの状況下では、事業所でなくても、講師の方に来ていただく、あるいはそこはオンラインで話をしていただくといったことで代替できるのではないかと思います。また、演習についても、事業所の中の状況を教材としてビデオ撮影するなどをして、しっかりと作り込みをして準備をすれば、事業所以外の場所に講師として事業所の方にも来ていただくなどをして、代替することができるのではないかと考えていますので、この全ての時間を事業所の中でやらなければ、効果が満たせないものではないかなと思っています。平時であれば、もちろん全て事業所に行ってやるべきだと思いますが、現在の限定的な状況の中では、そういったやり方も代替の方法として考えていただけないかなと思います。
JEEDの場合、実習については7時間を予定していますが、今、言ったやり方であれば、雇用管理の理解や当事者の方の話を聞くという部分は、合わせて1時間ぐらいで、演習についても事前の準備をして実施をするとして、そこまで含めてやると恐らく3時間ぐらいになると思いますので、残り4時間以上は事業所で実習をするというような形になるかと思います。もしどうしても難しい場合は、そういったこともできるような形で考えていただけないかなと思います。
JEEDの場合、47都道府県で実施していますので、そういったやり方がいいとなったとしても、全てを同じようにやるとは考えていません。個々の地域ごとで状況を判断をして、どうしても必要な場合はそのような措置を取るというやり方もできないのかと考えていますが、いかがでしょうか。
○朝日座長 ありがとうございました。佐藤委員の御発言に関連する御発言はありますか、では、こちらについては、事務局から少し御説明をお願いしてもよろしいですか。
○秋場地域就労支援室長補佐 事務局です。現在の案の事務局の項目の立て方がよくなかったもしれませんが、こちらでは、恒常的にどうしていきたいかという案を書いたものです。現在の案では、非常事態下の実習については、特例を設けないという案になっていますが、頂いた御意見を踏まえて、非常事態下での実習の特例についてもう一度検討していきたいと思います。
○朝日座長 小川委員、お願いします。
○小川委員 JEEDで実施している職場実習は各地域センターで実習先をアレンジされているのではないかと推察しますが、例えば一番大きい東京センターの場合は、1回の研修で何人、あるいは何箇所ぐらいの実習先の確保が必要でしょうか。
○朝日座長 佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 東京の場合は、通常では1回当たり40人の実技研修の定員枠を設けています。ただ、このコロナ禍においては、そこまでの人数を実施することが難しいため、定員は半分ということで実施しています。今、お願いできているのは1か所の事業所で、人数を分散しながら実施をさせていただいていますが、それもなかなか難しくなってきているので、同時に複数の事業所で実施ができるように、今、準備を進めているという状況です。
○小川委員 分かりました。いろいろ御事情があると思います。私たちのほうは、前回、41名実施しましたが、41名の実習先の確保は可能でした。今、おっしゃられているような形にすることが可能であれば、私たちも実習先の確保については、コスト、労力を非常に減らすことができますが、一体どこまで確保して、どこまでそういった代替案を取り入れるかというのは、事業所によって、研修実施主体によって事情が違うと思いますので、厚労省に御判断をお任せしたいと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。まず1つの整理としては、コロナに代表される状況の中では、実習を現場ですべきというのは難しいということ、それから、平常時における実習にどのような観点からコストを低減していくかという点と、さらにその質を高めていく方法が考えられるのであれば、それらも検討していく。そのような整理になると思います。後者については、これはジョブコーチ研修ではなく私が経験している保健医療福祉系の実習ですが、コロナ禍をきっかけに、本来であれば、その場に行かなければ実習ができないのですが、その代わり、普段は入れないようなところにカメラで入っていただいて、むしろ現場ではできない体験ができたということもあります。
それから、当事者の声をできるだけ聞きたいという願いを実現するために、もちろん現場でお話を頂くのが非常に有効なことは言うまでもありませんが、一方で、現場では話ができないが、こういう時間帯と設定の中では話をしたいということも、そういう意味合いであれば、実習の中にあってもいいのではないかなという気がしました。ですから、今、ここに示されたものを基本として、実際にはいろいろな工夫の方法が見いだせるのではないかと考えていました。小野寺課長、お願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局小野寺です。平常時とコロナ禍ということで、ポストコロナの話にもつながるので、どこまでどういう状況になるかによって、まだ不透明な部分が多々残されているわけですが、見直し案の書きぶりが整理しきれていなかったのかなと思いつつ、本日、次の議題の資料としてお示ししている報告書骨子案では、実習について、コロナ禍といった非常事態の下では、実習の一部を映像等を活用してハイブリッド的にやることも可能性として残しながら、実習の重要性というのは、やはり強調したいところであるという書きぶりになっています。必ずしも実習をすべからくやってくれというニュアンスにはしていないつもりです。
先ほど佐藤委員から御指摘があったのは、当然コロナ禍での非常事態においてということで、常時における実習の必要性ということはお認めいただいていると理解をしています。ポストコロナも含めて、今後、研修ということ以上に、ジョブコーチ自体の支援のあり方についても、オンラインでいいのでないかという話に進んでいく危険性もはらんでいますので、そこは支援のあり方も含めての育成のあり方ということになってくると思いますが、今後も留意しながら、整理をしていただきたいと思っています。
○朝日座長 ありがとうございました。では、小川委員、お願いします。
○小川委員 佐藤委員の先ほどの御説明の具体的なイメージとしては、人数的には3密にならないように5人とか10人くらいの人数で、半日実習先に行って、いわゆる見学実習のようなことをして、半日分については代替講義で作っていくというようなイメージでしょうか。
○朝日座長 佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 そうですね。人数については、どのくらいがいいのかというのはあるかと思いますが、半分・半分でということについては、今、おっしゃっていただいたようなイメージです。
○小川委員 私たちも2月の研修などの実習先確保が近々に迫っており、1軒1軒当たってお願いをしている状況ですので、非常に厳しい状況です。今、おっしゃっているような対応が可能であれば、それはそれで非常に助かるというか、やりようがあると思います。一方で、確保しようと思ったら何とか確保できている現状については、先ほど御説明したとおりです。
○朝日座長 ありがとうございます。目下の直近の課題としてのコロナへの対応、それからポストコロナを踏まえた新たな視点の対応と幾つかの段階やレベルがあると思いますが、この辺りを踏まえて、カリキュラム案としてはこの内容とさせていただき、運用については、状況に応じて確認や対応をしていく必要性について認識しておくということで、まとめさせていただきたいと思います。
それでは、次の議題に移りたいと思います。研究会での議論については、報告書という形でまとめていくことになるわけですが、本日はその骨子案ということでまとめていただいていますので、それを御説明いただいた上で御意見を頂戴できればと思います。事務局から御説明をお願いいたします。資料は資料2-1と2-2です。
○秋場地域就労支援室長補佐 資料2-1を御覧ください。まず報告書の構成ですが、「目次」をご覧下さい。これまで、現状と中長期的課題、求められる役割とスキル、カリキュラム、研修方法という4つに分けて議論をしてまいりましたが、これらをシャッフルして構成し直しております。Ⅰ「はじめに」、Ⅱ「ジョブコーチを取り巻く状況の変化と役割・スキル」、Ⅲ「ジョブコーチ研修を取り巻く状況と中長期的課題」、Ⅳ「養成研修のカリキュラムの見直し」、Ⅴ「研修方法等の見直し」という構成にしました。
資料2-2のほうに移ります。こちらは骨子案の本文になります。Ⅰ「はじめに」では、本研究会の経緯と狙いを書いております。Ⅱ「ジョブコーチを取り巻く状況の変化と役割・スキル」では、大きく4点挙げております。事務局から挙げた3点に加え、朝日座長や征矢委員からいただいた合理的配慮の話を4点目に加えております。
2ページは、ジョブコーチに求められる役割・スキルについてです。大きくは変わってないけれども、精神・発達障害者の支援の増加に伴って、環境調整やアセスメントが求められるようになって、コミュニケーションスキルや伝え方の技術など、アセスメントの前提として障害特性の理解などが重要視されているといったことを書いております。
3ページですが、ジョブコーチは短期・集中的に支援するものなので、長期的な定着のためには職場内のサポート体制とともに、ナカポツ等の定着支援体制が必要だろうとしております。
Ⅲにまいります。3ページの下の所です。「養成研修を取り巻く状況と中長期的課題」ということで、1で研修の状況のデータ関係を書いた後に、4ページの2から少し中長期的課題として、地域の就労支援体系とジョブコーチ支援について触れています。支援サービスが増えて就労支援体系が複雑化している中で、改めて整理していく必要があるだろうということ、ジョブコーチの問題として、訪問型については地域差が見られるということ、あとは経験豊富なジョブコーチを、どう育て、配置していくかといったことが依然として課題であること、また、5ページの最後のマルでは、特定の障害種別に特化したジョブコーチについて書いております。
3が高等教育機関におけるジョブコーチの養成について、前回、小川委員から御発表いただいた内容や皆様から頂いた御意見を盛り込んでおります。
6ページの4は就労支援を担う人材の底上げです。就労支援を学びたいという裾野は広がっており、雇用・福祉を学ぶ横断的な人材育成と同時に、専門分野別の垂直的な育成も課題であり、これは中長期的に検討していくべき課題であるとしております。特にジョブコーチでは、縦の垂直的育成という意味で、養成研修や一部機関でスキルアップ研修を実施しておりますが、知識と実務を絡めながらステップアップしていくということを仕組んでいくのが大事です。また、今日の資料の中にも入れましたが、スキルアップ研修については、できれば何か例示として含めるべき内容を書いていきたいと思っています。この辺りは本日議題1で頂いた御意見を、更に反映させていきたいと思っています。
7ページ以降はカリキュラムの見直しと研修方法の見直しになります。前回までに御議論いただいたものをベースに書いておりますので、こちらは今日頂いた御意見を反映させていきたいと思います。資料の説明は以上です。なるべくこれまでに頂いた御意見を盛り込んだつもりですが、この辺をもっと厚く書いたほうがいいとか、意図がちょっと違うとか、こういうものを加えてほしいということがありましたら、御意見を頂戴いただければと思っております。よろしくお願いいたします。
○朝日座長 それでは資料2-1の骨子案、いわゆる目次の全体を眺めて、項目出し、あるいは漏れている項目があるのではないかというような観点で、御意見があれば頂きたいと思います。この目次の構成自体は、これまでの本研究会の議事に従って、そのまま素直に表現していただいているのではないかという印象を持ちました。もちろん今日が最後ではありませんので、必要に応じて項目の入替えであったり、表現の工夫であったりというところは御対応いただければと思います。
それでは、資料2-2の内容のほうです。資料の送付が直前でしたので、十分に読み解くことが難しかったところもあるかもしれませんが、一つ一つ確認していくような進め方ではなく、全体を通して議論をしていきたいと思います。どこの部分でも構いませんので、こういう内容を追加したほうがいいのではないかとか、表現を変えたほうがいいのではないかとか、そういう点について自由に御発言いただき、次のステップに生かしていければと思っております。いかがでしょうか。
○小川委員 4ページの2.地域の就労支援体系とジョブコーチ支援についてです。この研究会は養成研修のあり方ということなので、ここに焦点を当ててずっと議論をしてきたのですが、検討の中で地域の就労支援のあり方に関連するデータも随分出てきて、気が付いたことがありましたので述べさせていただきます。
4ページの最後に「なお、訪問型ジョブコーチに関して、活動について地域差か見られることや経験豊富なジョブコーチが増えていかないという課題が依然としてある」とあります。ここをきちんと書いていただいたことは有り難いのですが、この問題はやはりすごく大きな問題だと思います。第1回研究会で提出していただいた訪問型ジョブコーチの支援開始者数というのが、ジョブコーチ連絡協議会の中でも話題になりました。訪問型ジョブコーチの実施機関数が減少していることについては、行政説明の中でお示しいただいていて、余り実施してない機関を整理したから減ったのだなと理解していたのですが、実際に支援開始者数が平成27年度を境に、グッと減っているということに驚きました。
お示しいただいたデータで、平成22年~26年の5年間は、年間の訪問型の実施数が大体3,022ぐらいが平均だったのですが、それが平成27年~令和元年の5年間では1,282ぐらいになり、42%ぐらい減っているのです。このタイミングで助成金を1回上げているにもかかわらず、支援開始者数がこれだけ減っているのは一体何なのかということについて、これは制度面のことになりますが、しっかり検討しなければならないのではないかと考えています。先ほど小野寺課長から、この先の研究会のあり方について御説明を頂きましたが、言葉が適切かどうかは分からないですが、地域の訪問型ジョブコーチが非常に弱体化しているという、支援数がとにかく減っているのです。こういった点は恐らく対象者の変化だけではなく、制度面の変更等も関連しているのではないかということについて検討していく必要があると思いますので、4ページの最後に、訪問型の支援開始者数の減少について、もう少し取り上げていただき、制度変更との関連についても着目し検討が必要というような書きぶりができたらと思います。
○朝日座長 ありがとうございました。今日はご意見を出していただいて、事務局のほうで適宜検討を加えていただくということで進めたいと思います。地域における就労支援のあり方自体は、もちろんこの研究会の守備範囲ではありませんが、地域の就労支援のあり方を考えていく上での前提としての問題認識をきちんと書き込んでおくということが、小川委員からの御発言の趣旨だと理解しております。松為委員、全体を俯瞰されて、是非御指摘を頂ければと思います。
○松為委員 報告書全般に関しては、目次立てはきちんと整っていていいと思いますし、皆さんの意見が反映されていると思います。報告書では、最後のところで触れられておりますが、実習のあり方をどう捉えるかということは、先ほどの議論ではまだはっきり決まっていませんでしたので、そこのところをもう少し丁寧に書いておけば、議論の内容を反映させていくことができるのではないかと思います。それから、先ほど小川委員から発言があった話についてですが、強調すべきところは強調しておいた方がいいではないかと思いました。
○朝日座長 ほかにどうでしょうか。小川委員、先ほどの御発言の続きがありましたらお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○小川委員 資料2-2の10ページにある2.オンライン方式についてです。先ほど発言させていただいたところを、報告書にどのように反映するかという意見です。10ページの最後に、「基軸は対面でやっていくべきであると考える。」となっていますが、基軸は対面が理想というのは、私も研究会全体の意見もそうだったと思うのですが、今後、基本的な制度等に関する講義については、オンライン化のメリットについても検討していく必要があるとか、そういった一文を何か入れていただきたいと思います。地方から来る方が、基本的な講義を1日でも2日でもオンラインで受講できると、受講のコストがかなり減るとか、やはりメリットもあると思いますので、今回の非常事態を機に、検討の可能性を盛り込んでいただけると有り難いと思いました。
○朝日座長 これは先ほど酒井委員の御発言にもありましたように、一定の標準化した知識を繰り返し定着させるためには、オンデマンド方式もメリットがあるということでしたので、この辺りを、今後の可能性というところでうまく表現できるといいのではないかと感じました。
それでは高岡委員、御発言をお願いしてもよろしいでしょうか。これまでの議論などを振り返って、もしお気付きの点があれば感想でも結構なのでお願いいたします。
○高岡委員 オンデマンドの構築というところ意見があったかと思いますが、今、病院の研修はほぼオンデマンドで行われていて、職員それぞれにパスワードをお渡しして、自宅でも見られるという研修方法になっております。このオンライン方式について、報告書にあるように、単に録画された講義を適宜視聴するオンデマンド方式は望ましくないという形でまとめるのではなく、酒井委員もおっしゃったように、繰り返し視聴できるというメリットの部分も記載していただくとよいのではないかと思いました。
○朝日座長 オンデマンドによるメリットについて、病院での実際の研修で御体験されているという御発言でした。ありがとうございました。酒井委員、お願いします。
○酒井委員 4ページの地域の就労支援体系とジョブコーチ支援についてです。これまでの研究会でも何回か出てきたように、ナカポツ、就労定着支援事業の支援、ジョブコーチ支援あるいは就労移行の支援という辺りは、今後しっかりと整理していく必要があると思うのですが、主任職場適応支援担当者については、何も触れられておりません。本来は主任職場適応担当者が地域のジョブコーチをオーガナイズする役割であったのではないかと思うのですが、何か言及はしなくてもよろしいのでしょうか。
○朝日座長 関連する御発言はありますか。地域の就労支援の横展開との関係性が示されていますが、そもそものジョブコーチ支援の体制についてどうかという御発言だと思います。鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 今の酒井委員の話と連動するかと思います。静岡県は、主任職場定着支援担当者がいるナカポツがない数少ない都道府県です。ナカポツの関わりというか、実際に支援数が減ったとか、全体的な支援ニーズは本当にどうなのか、以前の研究会資料にあった長崎などはすごく支援数が上がっていて、主任職場定着担当者もしっかりいるということもありますので、地域別のジョブコーチの稼働人数の実態などをもっと把握していくことが、ものすごく重要になってくるのではないかというのが一番感じるところです。
また、制度間の連携の話で言うと、福祉と労働という話はあるのですが、特別支援学校からの支援も非常に重要で、私たちの法人では非常に多くなっています。もう1つは医療機関です。復職や現職復帰が難しい場合、福祉施設を利用されればいいのですが、職場定着支援などを使えない方たちがいます。特別支援学校などは、すぐさまナカポツに行ってしまい飽和状態の中、実際はほとんど訪問されていないという中でのトラブルや適応時の課題というのもあるので、それぞれの地域において、もう1段深めた実態を把握することが非常に重要ではないかと思います。
○朝日座長 地域の就労支援体系とジョブコーチ支援について、今頂いた御意見では、前提となる地域の就労支援体系を、もう少し具体的に、あるいは分野も明確にしながら書き込んでもいいのではないかということだと思います。これまでの研究会での議論を踏まえ、書き込めるところをもう少し工夫するということでいかがでしょうか。ありがとうございます。山地委員、お願いします。
○山地委員 2ページのジョブコーチに求められる役割・スキルのところか、4ページの地域の就労支援体系とジョブコーチ支援のところかと思いますが、東京の就労支援機関の数は、とんでもなく多いです。これは東京の事情でもありますが、ナカポツだけがジョブコーチと仲良くしているわけではないので、地域のコーディネートの役割を、取ろうと思ったら取れるような働きをジョブコーチたちがしています。ですから、医療機関までもきちんとチームに入れて連携していく、巻き込んでいくという、ジョブコーチの力量として連携するとか、関わるとか、巻き込むということをもう少し入れてもいいのではないかと私は思いました。
○朝日座長 地域の就労支援体系とジョブコーチ支援について、更に書き込んでいく上での検討材料として受け止めさせていただければと思います。小川委員、お願いします。
○小川委員 2点お願いします。1点目は、今回の養成研修の検討は、職場適応援助者助成金の下で活動するジョブコーチを、まず基本像として検討してきたと思いますが、養成研修受講者のうち、助成金の稼働者が非常に限られているということが、厚労省で行った調査又はジョブコーチ連絡協議会で行った調査でも、改めて明らかになったと思います。また、ジョブコーチ連絡協議会の調査では特に訪問型の場合に、担当している業務が企業に対する働き掛け、あるいは職場内での調整というのが非常に少なく、いわゆるジョブコーチ的な活動をしている人たちが、そもそも少ないのだということも示唆される内容でした。
今回は、ジョブコーチの研修ということで検討しましたが、職場適応援助者養成研修が就労支援の基礎研修という役割を、かなり担っているという実際のニーズに応えていこうとすると、もう少し広く浅く作るべきカリキュラムもあるかもしれないという一方で、ジョブコーチの専門性が必要なので、基礎研修としては省く必要があるけれども、ジョブコーチ研修としては専門性をもっと深めていく必要があるという、ジレンマの中での検討であったと思います。ジョブコーチとして専門性を高めるべき、深めるべき内容については、スキルアップ研修のほうに移行しないと、現在のカリキュラムの時間数では収まらないということも、1つの方向性として見いだし、この報告書の中に書いていただいていると思います。
したがって、このジョブコーチ養成研修が担っている就労支援基礎研修としての部分は、一般就労を支える人材育成のあり方の検討会でも、共通基盤となる基礎研修が必要ということも意見として提案されていましたが、改めてその必要性について考え、福祉と労働の連携の視点で検討会が始まりますと、人材養成についてもテーマになりますので、基礎研修のあり方については、是非、そこで検討していただきたいと思います。就業支援基礎研修については、機構が主にやっておられて、地方自治体の中で実施している就労支援基礎研修もありますが、その性格の整理、福祉の制度でも労働の制度でも医療機関でも制度と関連させながら、ここについては皆さんきちんと研修をしておいてくださいねという、ある程度公的な位置付けがある研修制度を作っていただければと考えています。
もう1点は、都市部と地方の違いがはっきりしてきていると感じます。都市部では、どちらかと言うと定着支援というところで、生活面のサポートなどのニーズがかなり高まっているところですが、地方ではジョブコーチが中小企業を1軒1軒支援して、障害者ゼロ人雇用の事業所を立ち上げていくような働きもまだあります。都道府県による支援開始者数のデータを見ても、強い都道府県とそうでない都道府県があったように思います。ジョブコーチ支援を考えるときにも、あるいは就労支援のあり方を考えるときにも、やはりどうしても都市部の状況に引っ張られがちですが、地方に経験豊富なジョブコーチがいて、地域に訪問型ジョブコーチがいて、そこが企業をきちんとサポートしながら障害者雇用をつくり出していくという設計図についても、もう1回重視して考えていただければと思います。以上です。
○朝日座長 具体的には4ページの最初のマルの所で、誰もが体系的に学べる研修として受講している方が多くいることが分かったというところですね。その上でどうなのかという書き込みを、少し加えたほうがいいのではないかという御意見だと理解いたしました。また、その下の地域のというところについては、地域とは言っても、地域差があるということを踏まえた上で、それをどう捉えていくかということを、もう少し整理をしたほうがいいのではないかという御意見と承りました。
時間が、あと5分に迫りました。私も細かいところを含めて気が付いた点はありますが、表現の問題等もありますので、後ほど事務局にお渡しすればいいかと考えています。今日の短い時間の中で御覧いただくのは無理があるかもしれませんので、お気付きの点があれば、事務局のほうにお伝えいただき、後で気が付いた所についても集約するという方法でいきたいと思いますが、いつまでに送れば、次の研究会までに整理していただけそうでしょうか。
○秋場地域就労支援室長補佐 御意見をいただくのは2週間後ぐらいまでで大丈夫でしょうか。12月20日頃までに頂ければ、次回までに反映させたいと思います。よろしくお願いいたします。
○朝日座長 ありがとうございました。もちろん次回、検討していくわけですが、本日いただいた意見以外に御意見があれば、12月20日過ぎぐらいまでに、事務局のほうにお寄せいただければと思います。形式は自由でよろしいですか。
○秋場地域就労支援室長補佐 はい。
○朝日座長 それでは、予定されていた議題はここまでです。皆様から御発言はよろしいでしょうか。時間になりましたので、今日の意見を踏まえて次回、事務局で報告書案を作成していただくということでお願いしたいと思います。それでは次回以降の日程等について、事務局から御報告をお願いします。
○秋場地域就労支援室長補佐 次回の開催は、1月20日に、今回と同様のオンライン形式での実施を予定しております。詳細については追って御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○朝日座長 それでは、以上をもちまして、第4回の研究会を終了とさせていただきたいと思います。この環境下ではありましたけれども、御協力、誠にありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。