第100回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会 議事録

日時

令和3年1月22日(金)12:30~13:30

場所

厚生労働省 省議室(9階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

 
○阿部部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第100回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会を開催いたします。皆様方におかれましては、大変お忙しい中御出席いただきありがとうございます。
 本日ですが、田中職業安定局長、達谷窟大臣官房審議官は、所用のため途中からの御参加と伺っております。
 本日の分科会ですが、Zoomによるオンラインでの開催となっております。開催に当たって、事務局から説明があります。では、よろしくお願いいたします。

○事務局 雇用開発企画課介護労働対策室の永井です。よろしくお願いいたします。前回欠席された方もいらっしゃいますので、簡単ではありますが、改めて御説明させていただきます。今回、Zoomということで、以前お配りした「雇用対策基本部会の開催方法について」を御参照いただければと思います。また、画面におきましてはマイクのアイコンがオフなっていることを、まず御確認ください。本日は部会の進行中、委員の皆様のマイクをオフとさせていただいておりますが、発言される場合には、サービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、部会長の許可があった後にマイクをオンにしていただき、お名前を名乗ってから御発言いただきたいと思っております。また、回線の負荷を軽減するために、ビデオにつきましても、御発言されるときのみオンにしていただけるようお願いいたします。
 部会の進行中に通信のトラブル等で接続が切れてしまった場合や、音声が聞こえなくなってしまった場合には、事前にメールにてお送りしております電話番号まで御連絡いただけますようお願いいたします。なお、通信の遮断等が生じた場合につきましては、部会を一時休憩とさせていただくこともありますので、御承知いただければ思います。
 また今回、傍聴者がいらっしゃいますので、報道関係者のみの傍聴、傍聴者の間を広く取るという措置を取らせていただいております。会場に備えております消毒剤等の御利用、マスクの着用や咳エチケットに御配慮いただきますようお願いいたします。また、換気のために常時窓を開けさせていただいておりますので、あらかじめ御了解いただければと思います。事務局からは以上でございます。よろしくお願いいたします。

○阿部部会長 ありがとうございます。それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題ですが、「介護雇用管理改善等計画の改正案について」です。それでは、資料について事務局より御説明をお願いいたします。

○介護労働対策室長 雇用開発企画課介護労働対策室長の木嶋です。本日はよろしくお願いいたします。
 まず、前回の部会のおさらいからさせていただければと思います。参考資料を御覧ください。通し番号2ページ目です。介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律です。第6条におきまして、「厚生労働大臣は、介護労働者の福祉の増進を図るため、介護労働者の雇用管理の改善、能力の開発及び向上等に関し重要な事項を定めた計画を策定するものとする」とあります。そして、第3項におきましては、この計画を「策定する場合には、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴くものとする」とされております。
 3ページです。こちらは今の計画、平成27年度に御議論いただいた計画の概要です。左上を御覧ください。計画期間ですが、平成27年度から平成32年度となっております。今年度いっぱいで、今の計画の期限が切れます。来年度以降に向けて、新たな計画の策定をする必要があるということで作業を進めておりましたが、前回の年末の部会におきましては、介護労働の実態等をお示しした上で、新たな計画の骨子案について示しました。今回ですが、前回御議論いただいた骨子、また、前回議論になった雇用管理責任者等について骨子案に本文を入れた形で、皆様の御意見を賜れたらと考えております。
 それでは、資料に移ります。まず、1ページ目をおめくりください。次回の計画の概要ということで、お示しさせていただいております。詳細につきましては、本文と一緒に御説明させていただきます。
 まず、主な内容について簡単に触れさせていたただきます。左上です。計画の基本的な考え方ですが、計画期間は令和3年度から令和8年度の6年間を予定しております。左下の計画の目標です。今回も、前回と同様、この6年間における計画の目標、離職率や雇用管理責任者に関する項目ですが、それに関しての目標を設定させていただきます。そして右側です。施策の基本となるべき事項です。前回御議論いただいた雇用管理責任者につきまして、どのような介護事業所において、どのような役割を担うべきかといった役割の明確化ということ、また、雇用管理責任者を中心とした介護事業所の雇用管理改善が機能するために、国と介護労働安定センター等の役割分担といったことを明記させていただければと思っております。
 では、本文に移ります。5ページほどお進みください。計画の基本的な考え方から御説明いたします。まず、計画策定の目的です。介護労働者の雇用管理の改善のために、厚生労働省をはじめとした関係機関が、雇用管理改善等を図るために重点的に取り組む施策を掲げております。介護を取り巻く状況等を見てみますと、介護人材の不足といったこと、また、介護労働者に関しては、前回も御説明したように、人手不足、賃金、精神的・身体的負担が大きいといった厳しい状況に直面しているところです。また、先ほどの介護人材のところと関連しますが、将来を担う若年層をはじめ、様々な方から魅力ある職業として介護職が評価されるよう、介護の仕事への理解を深めるといったことも重要です。
 また、令和3年度介護報酬改定等が行われる予定です。都道府県におきましても、介護保険事業支援計画において介護人材の需給状況を推計し、中長期的な視野をもって介護人材の確保等に向けて取り組むこととしております。このような状況の中、この計画におきまして、関係機関をはじめとして介護事業所における雇用管理改善等を総合的に進めるための施策について、基本的事項について示すものでございます。
 次のページを御覧ください。先ほどの繰り返しになりますが、計画の期間は令和3年度から令和8年度までの6年間とさせていただきます。
 続いて、第2の介護労働者の雇用の動向についてです。主なところとして、2の過不足状況についてですが、全体の65.3%の事業所が「大いに不足」、「不足」等と回答しております。介護関係職種の有効求人倍率は高い水準で推移しており、令和元年度は4.23倍と、高い水準にあります。
 続いて、4以降です。年齢構成、男女比率、5におきましては介護労働者の賃金についての動向について示しております。6、採用・離職等の状況です。真ん中の欄ですが、介護職の離職率は令和元年度で15.4%です。平成19年度は21.6%と高い数値を示しておりましたが、その後の皆様の様々な御努力もあり、平成20年度以降、20%を下回って推移しており、ここ数年は15%、16%台で推移しているところです。
 次のページに移ります。7、仕事の満足度です。職業生活全体について「満足」、「やや満足」とした回答が25.8%です。今の計画を策定した当時の平成27年度と比較すると、やや改善している状況です。
 8、仕事の悩み、不安等についてです。前回の説明の繰り返しになりますが、人手不足、仕事内容の割に賃金が低い、身体的負担が大きいといったところが上位に上がっております。
 9、雇用管理責任者の選任状況です。雇用管理責任者の選任率は40.8%でした。ただ、この雇用管理責任者について、離職率という観点で選任している事業所と選任していない事業所に分けて見てみますと、雇用管理責任者を選任している事業所の離職率は14.6%、選任していない事業所は16.0%となっており、雇用管理責任者を選任している事業所の方が、離職率は低い傾向でございます。また、平成29年度の介護労働実態調査(特別調査)によりますと、雇用管理責任者を選任している事業所が、例えばキャリアアップの仕組みが整備されている、働き方や仕事内容について上司と相談する機会が設定されているといった雇用管理に関しての取組が進んでいる、そのような機会が設定されていると回答している割合が高い傾向でした。
 それらを踏まえて、計画の目標に移ります。1、一層の職場定着を図るとあります。繰り返しになりますが、令和元年度の介護職員の離職率は15.4%です。一方で、厚生労働省の調査によりますと、全産業平均の離職率は15.8%です。離職される方は、個人的な理由で辞められる方も、ある一定数いらっしゃることもあります。介護労働者における離職率の水準ですが、この計画期間におきましては、15%、16%台といったところを今後も維持させていく目標とさせていただきます。
 続いて、2の雇用管理責任者の選任ですが、その後の第4の施策の基本となるべき事項と一緒に御説明させていただければと思います。同じページの下の第4以下を御覧ください。
 まず、介護分野ですが、人材不足が深刻な状況であること、また、様々な雇用形態、外国人労働者もいればパートタイムの方々、そのような様々な雇用形態、背景を持つ労働者の雇用管理を行わなければいけないこと、夜間介護等労働時間が不規則になりやすいこと、身体介助等々により腰痛が発生しやすいことから、精神的・身体的負担が大きいといった特徴を有しております。
 次のページに移ります。これら介護労働者にとって、魅力ある職場づくりを実現するためには、労働時間、賃金といった各種労働関係法令の遵守はもとより、これらの介護業の特徴を踏まえた労働者のための様々な施策が必要であると考えております。例えば、労働者のモチベーションの維持のために、精神的・身体的負担軽減を図ること等を挙げております。そして、魅力ある職場づくりを実現するために、各事業所におきまして、その取組を総括的に管理する雇用管理責任者を事業所ごとに選任することが望ましいと考えております。この雇用管理責任者の役割としては適切な雇用管理措置として、労働者と円滑にコミュニケーションを取って、適正な配置、処遇改善、人材育成等を実施すること、また、介護分野の特徴を踏まえた対応としては、メンタルヘルス対策、労働者からの相談体制の整備、それから、最新技術等を活用して業務の効率化を進めることによる身体的・精神的負担を軽減するための取組、こうしたことの管理を挙げております。
 前回の部会におきましては、この雇用管理責任者の役割が広すぎるのではないかといった意見を頂戴いたしました。こちらとしては、事業所における責任体系ということで、各事業所において責任者を選ぶのは1人ということ、基本的にそのように考えているのですが、大きな事業所において、これらの役割を1人で全て担うのは現実的ではないと考えております。そういった事業所は、雇用管理責任者の下にそれらを補佐する役目の方々を何人か置いていただき、雇用管理責任者がこれらの方の役割を管理するなど、事業所の状況に応じて、雇用管理責任者を中心とした事業所における雇用管理改善を図っていただければと考えております。
 下の(1)を御覧ください。雇用管理責任者が事業所においてうまく機能するために、まず厚生労働省としては、先ほど上げました雇用管理責任者の役割に必要な知識、ノウハウを取得するための講習事業を実施する予定です。
 (2)です。こちらは介護労働安定センターの取組ですが、通常どおり、相談、援助事業、事業所への訪問といったものを行っているのですが、その中で、選任された雇用管理責任者、講習を受けた方々、その他の方々に対して、この雇用管理責任者を中心とした雇用管理改善に向けての必要な支援、助言、相談等を行うこととしております。
 次のページの(3)です。内容としては、(2)と大体重複しているものが多いのですが、これまでも介護労働安定センターは事業所への訪問事業や、このような御時世ですのでオンラインによる相談体制といったものも整備しております。それらを活用して、事業所からの雇用管理改善に向けての多種多様な相談にきめ細かく対応することとしております。前回の部会等におきましても、中小の事業者等において、雇用管理がなかなか実現していない、雇用管理責任者についての知名度が低いといった声も頂戴いたしました。センターとしては、これらの小規模事業所や開設3年未満の事業所への相談訪問割合を全相談訪問件数の50%以上として、これら相談訪問を行った事業所についての離職率を14%以下とする目標を立てました。これらにより、特に中小企業、開設の浅い所に対しての雇用管理改善に向けての相談体制を、介護労働安定センターと厚生労働省で連携しながらやっていきたいと考えております。また、介護労働安定センターでは、雇用管理改善の好事例といったものを作成して、ホームページで公開するですとか、広報誌に掲載するといった横展開を図っていく予定です。
 このような状況を踏まえて、2ページにお戻りください。第3の計画の目標の2つ目、雇用管理責任者の選任を促すというところに移ります。まず、この計画において、雇用管理責任者の選任率50%以上という目標を設定させていただきます。実は、今の計画でも雇用管理責任者50%以上という目標を設定しておりました。しかしながら、先ほど御説明したように、選任率40.8%と低迷しているところです。その要因も総括すべきだといった御意見も頂戴いたしました。介護労働安定センターや事業所等に聞くと、雇用管理責任者を選任するメリットが分からないとか、そもそも雇用管理責任者はどういうことをやるべきかといったことが分からないといった御意見を頂戴しているところです。そういったことも踏まえ、この介護雇用管理改善等計画におきまして、雇用管理責任者を中心とした雇用管理改善体制を普及させるべく、介護事業所における雇用管理責任者の役割について示した上で、これらを実際、現場においてうまく機能させるために、厚生労働省が講習を行い、介護労働安定センターでそれらの方々に対してのフォローアップ等を行うといった体制を、今後実行していきたいと考えております。そういったことを踏まえてやっていきたいと考えておりますので、まずこの雇用管理責任者の選任率ですが、数値自体は50%、前回の据え置きになりますが、そのように目標をまた設定させていただき、何とかクリアしたいと考えているところです。
 その下ですが、雇用管理責任者講習を受講したことを契機として、雇用管理責任者を選任することとした事業所の割合の目標は、こちらも80%以上とさせていただきます。前回の計画におきましても、同じく80%以上の数値を目標とさせていただき、これについてはおおむねクリアしているところです。先ほど、介護労働安定センターのところで説明いたしましたが、小規模事業所、開設して間もない事業所については、まだまだ雇用管理責任者の知名度が低いといった課題もあるところですので、今後、講習等においても、これらの事業所への受講を広く呼び掛けていきたいと考えております。これまで以上に、この雇用管理に向けてのハードルが高いと思われる事業所も増えてきておりますので、目標自体、講習の受講を契機とした選任率80%の数値は、今回の計画におきましても据え置く形にさせていただきます。
 では、先ほどの続きに移ります。(4)です。雇用管理改善に関しての各種助成金、人材確保等支援助成金などもありますが、そちらの活用促進を厚生労働省と介護労働安定センターで進めていくことです。
 (5)ですが、ハローワークと介護労働安定センターで日々の情報共有などを行い、連携強化を図り、雇用管理改善に向けて取り組んでいくということです。
 (6)です。外国人労働者に関しての雇用管理改善ということです。介護職員については外国人労働者が増えてきているところです。厚生労働省としては、外国人労働者の雇用管理改善等に関しての事業主が適切に対処するための指針というものを作成しており、そちらの周知・啓発を行う予定です。また、介護労働安定センターにおきましても、これまでの相談・援助事業の中で、外国人労働者の雇用管理ノウハウ等を蓄積しておりますので、この好事例等を活用し、横展開を図っていく予定です。
 (7)です。法定労働条件の確保、働き方改革です。各種労働関係法の遵守ということ、また、「なお」以下ですが、今の計画を立てる6年前から働き方改革の実現に向けての法律が新たに制定されました。厚労省としては、この働き方改革の実現に向けて、各種助成金、無料相談窓口などを設置しておりますので、そちらを引き続き行うといった内容です。
 (8)です。介護現場におきましては、労働者の腰痛や転倒といった労働災害の多発が問題となっております。また、労働者の高齢化が進んでおります。厚労省としては、この高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドラインを作成しておりますので、それらに基づく取組の周知・啓発を行う予定です。
 (9)です。介護ロボットの開発支援ということで、経産省と連携して介護ロボットの開発支援や現場での普及に取り組んでいく予定です。
 (10)です。ハラスメント防止対策です。こちらも今の計画の6年前からハラスメント対策が非常に強化されております。職場におけるセクシャルハラスメント、パワーハラスメントに関しては、それらの防止のための措置が義務付けられるなどの法律改正等を行っております。それから、「さらに」以降です。介護現場におきましては、利用者からの介護労働者へのハラスメントといったものが多数発生しております。厚生労働省としては、このいわゆるカスタマーハラスメント対策マニュアル、手引きといったものを作成しており、それらを利用して対策を行うことと、地域医療介護総合確保基金におきましては、都道府県などが取り組むカスタマーハラスメント対策といったことにも費用が当てられる制度となっておりますので、それらを通じて、このハラスメント対策を進めていくとしております。
 (11)です。こちらは前回とほぼ同じような内容ですが、労働者の仕事と家庭の両立支援を行うといった内容です。
 次のページを御覧ください。職業能力の開発及び向上です。こちらは、労働者の能力開発、人材育成に向けて、介護労働安定センター、厚生労働省で取り組む内容について記載しております。
 次のページの第5を御覧ください。その他人材確保、福祉の増進を図るために講じようとする施策の基本となるべき事項です。まず、1の人材確保です。これは、大きなテーマとなっております。(1)でハローワークの取組について記載しております。主要なハローワークにおきましては、「人材確保対策コーナー」を設けており、特に人材不足の深刻な介護分野に特化した専門的な対応、就職面接会等を行っているところです。そういった取組を、引き続き行っていくということです。
 (2)です。職業紹介事業者に関してです。医療・介護・保育分野について適合紹介事業者宣言を行うことで、厚生労働省と「人材サービス総合サイト」において、遵法意識の高い職業紹介事業者を周知していくこととしております。
 (3)です。都道府県の福祉人材センターによる取組です。
 (4)です。介護職の魅力向上PRということで、介護に関してのネガティブなイメージを払拭するために、福祉人材センター、地方公共団体等による11月11日の介護の日関連の行事や、その他の取組などにより、介護の仕事の魅力等を情報発信していくといった内容です。
 (5)以下は、細かい内容ですが、福祉と雇用の連携による取組、シルバー人材センターの活用などについて記載しております。
 次は、2の地域医療介護総合確保基金の活用です。消費税増税により、国から都道府県に対し、そのような基金が積まれております。各都道府県は、労働環境の改善、質の向上などの取組について、これらの基金を使って活用していくといった内容です。
 3の処遇の改善ですが、処遇改善加算等について、最新の状況を記載する予定です。
 4です。労働実態把握ということで、介護労働安定センターは、これまでも介護労働実態調査を毎年行っておりますが、今後も継続的に実施する予定です。
 5の健康の保持・増進です。(1)のメンタルヘルス対策ですが、事業所におけるメンタルヘルス対策は、先ほど御説明しましたように、雇用管理責任者を中心として担っていただければと思っておりますが、その他各都道府県に産業保健総合支援センターがありますので、そちらの取組を記載しております。
 (2)です。新型コロナウイルス感染症をはじめとした感染症への対応力の強化により、介護労働者が安全・安心して勤務できる体制の構築に取り組んでいくといった内容です。
 以上が、新たな計画の本文案についてお示しいたしました。私からは以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。それでは、本件について御質問、御意見がありましたら、「手を挙げる」ボタンをクリックし、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。まず、紺谷委員からお願いします。

○紺谷委員 私からは、計画の目標についての意見を提起させていただきたいと思います。先ほど御説明いただきました資料の10ページの8、仕事の悩み・不安・不満に記載されている調査結果のとおり、人手不足が目下の最大の課題であると思います。また、2021年度介護報酬改定に向けた社会保障審議会における検討でも、人員配置基準の緩和、職員の兼務を更に進め、業務負担を増やす改定となる方向で議論がなされているものと承知しております。そういうことで、人手不足に今後拍車がかかるということが懸念されるわけです。
 そうした中で、同じ10ページには、第3の計画の目標の1点目には、離職率の現状維持が掲げられているわけですが、この目標だけでは離職率で表すことのできない人手不足感、こういった状況が今後も残り続ける可能性があり、介護業務は人手の充足状況と密接な指標を目標にすることが望ましいのではないかと考えます。具体的に申し上げますと、令和8年度の労働実態調査においては、人手不足による悩み・不安・不満を抱える介護労働者の割合を、今回調査の55.7%から一定程度下げるというような目標としてはいかがでしょうかという意見です。よろしくお願いします。以上です。

○阿部部会長 御意見を頂きましたが、事務局から何かありますか。

○介護労働対策室長 まず前提としては、この計画は介護労働者の雇用管理改善、働きやすい職場づくりといったことを中心としております。やはり、離職率と働きやすい職場と密接に関連すると思いますので、離職率の目標自体は設定させていただければと考えております。一方で、人手不足に悩んでいる方も多いというのは承知しております。第5の部分で、ハローワークなり、介護の魅力を発信などというところで、要は新たに人を引き入れるといった取組を今後も強化していきたいと考えておりますので、目標という形で設定するのは今のところ難しいとは考えております。ただ、委員の御指摘については重々承知しておりまして、雇用管理改善だけではなくて、新たに介護の魅力を伝えるとか、ハローワークなどの取組、そういったことと連携して取り組むことは非常に重要であるとは考えております。

○阿部部会長 紺谷委員、いかがですか。

○紺谷委員 了解しました。

○阿部部会長 はい。続いて志賀委員、お願いします。

○志賀委員 まず、3点お伝えしたいと思います。介護業界が深刻な人手不足の中で、2015年から2020年までの現介護雇用管理改善等計画に沿って実施された各種の施策によって、介護職員や訪問介護員の合計の離職率が、全産業平均より下回っていることは評価に値すると思います。先ほど、紺谷委員よりも離職率について御意見がありましたが、厚生労働省におかれましては、全産業平均よりも離職率が下がっている要因を分析し、今後の施策にいかしていただきたいと思います。
 2点目は、次期計画案には、介護労働者の更なる定着や労働環境の向上など、雇用管理の改善を促すための雇用管理責任者の選任を促進していくことが盛り込まれております。これは妥当であると考えます。先ほどの木嶋さんのお話にもありましたが、私のほうからも雇用管理責任者の役割、選任するメリットの明確化、認知度の向上、これらに更に取り組んでいく必要があるのではないかということを改めてお伝えしたいと思います。
 最後ですが、日本商工会議所が昨年7月から8月にかけて実施した調査では、人手不足感が緩和している中で、介護、看護の中小企業で人手が不足していると回答した企業は66%に上り、コロナ禍においても介護、看護業界の人手不足が深刻であるということがうかがえます。厚生労働省におかれましては、人手不足の改善に向けて、雇用管理責任者による労働環境の改善、また、ロボット等の活用による労働生産性の向上や負担の軽減、潜在的な介護福祉等の有資格保持者の掘り起こし等についても、更に取り組んでいただきたいと思います。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。御意見を頂きましたが、事務局のほうで何かありますか。

○介護労働対策室長 御意見はしっかり承って取り組んでいければと考えております。

○阿部部会長 分かりました。境田委員、お願いします。

○境田委員 境田でございます。私からは、御説明いただいた資料の10ページの第3の項目の計画の目標の「雇用管理責任者の選任を促す」という点について、1点意見を申し上げさせていただきます。
 この目標として、全事業所の50%以上と掲げると、これ自体に異を唱えるつもりではないのですが、このような形になってしまった、前回と同じようなものにせざるを得なかったというのは、少し残念な部分もあるのではないかと思います。
 前回、ほかの委員からもこれまでの取り組みの総括をした方がいいのではないかという意見があったと認識しております。先ほどの御説明を伺えば、そういったところも十分考慮いただいていることは認識できたのですが、なぜ未達となってしまったのか、先ほど、選任することのメリットや意義に対する理解が不十分といった趣旨の御説明があったかと思いますが、それ以外にも、例えば、雇用管理責任者に対する認知度の問題や、そもそも選任したいという意向があるけれども何らかの事情でできないなど、未達になってしまった背景にある課題、これによって取り得るべき打ち手というものが異なってくるのではないかと思います。
 先ほどの御説明を伺う限りでは、その辺りも十分踏まえられて第4の施策を御検討いただいているということで理解はできたのですが、現状、このペーパーだけを追いますと、やはり前計画の総括や課題認識の記載が余り十分ではないので、第4の施策が、これなら次回、6年後は大丈夫だなと確信を持ちづらくなってしまっているのではないかと思います。先ほど一部御説明いただいたと思いますが、総括、課題認識、この辺りの一部記載についても、改めて御検討いただきたいと思います。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございます。御意見として伺いたいと思います。春川委員、お願いします。

○春川委員 私からも計画の目標について、特に雇用管理責任者の選任について、その意義といった観点も含めて意見を申し上げます。
 資料のPDFファイル12ページの2、3段落目辺りにかけては、その趣旨として、労働者のモチベーションの維持、また、負担軽減を図っていくことが必要であり、そのためには雇用管理責任者を選任することが望ましいといったようなことが記載されているわけですが、現在のこの記載におきましては、介護労働者の負担軽減のための手段として、雇用管理責任者を選任することが有効なのだといったような理由と言いますか、メリットのような部分が触れられていないというところで、雇用管理責任者の選任というものが唐突に出てくるという印象もありますので、この辺りは先ほど多くの委員からの御意見にもあるように、有効だというようなことも含めた丁寧な説明が必要ではないかという意見です。
 ただ、前回の部会でお示しいただいた様々なデータの中には、選任されている事業所では、雇用管理の取組が充実しているという点は示されていたと認識しておりますが、それが介護労働者の負担軽減という意味合いにおいて、選任されていることの効果があるのかというところには、そうではないのではないかというような思いもありますので、様々なデータ、実例を用いた説明も加える必要があるのではないかという意見です。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。御意見として承りたいと思います。中澤委員、お願いします。

○中澤委員 幾つか意見を述べさせていただきたいと思います。先ほどのお話にもありましたが、第2の介護労働者の雇用の動向の点です。1の介護職員数の最後のほうに、「潜在的な介護福祉士等有資格者が存在していると考えられる」という記載がありますが、この点については、例えば重複して資格を取得している方々、そもそも非労働力のような方々、家庭内介護のために取得されているような方々も含まれていると考えられると思っております。この辺のところはもっと突っ込んだ分析が必要ではないかと思いますし、その分析によって介護人材不足の解消に向けた新たな課題が見えてくるのではないかと考えております。
 同じく第2の2の過不足状況についてですが、不足している事業所が65.3%ということで、「近年、その不足感は依然として高い」という記載になっておりますが、一方で、その上のほうに、「「適当」と回答した事業所は34.4%」という記載もあります。こういった適当と回答した事業所に対して、どのような意味合いで適当と考えているのかというような深掘りをすることによって、不足感に対する対応も見えてくるのではないかと思っております。また、個々の調査主体の感覚で、不足感というものも異なっているのではないかと思っております。何をもって不足しているのか、量的不足だけではないのではないかということも考えられると思いますので、この辺も深掘りをしていただければ有り難いと思っております。
 第4の介護労働者の雇用管理の改善、能力開発及び向上を図るために講じようとする施策の基本となるべき事項の1の雇用管理の改善に関してですが、様々な視点で雇用管理項目が網羅されていると理解しておりますが、本来は、介護労働者の雇用管理の改善に関する法律というのは、介護労働というものを他の労働とは異なる側面や課題を抱えているという観点で設けられたものではないかと思っております。できるだけ介護労働特有の課題に特化した項目を提起すべきではないかと思っております。
 これは質問ですが、第5のその他介護労働の人材確保や福祉の増進を図るために講じようとする施策の基本となるべき事項の2で、地域医療介護総合確保基金というものが書かれております。都道府県のほうで実施されているものと理解しておりますが、都道府県でどのような取組がなされているのか、把握されておられれば御教示いただきたいと思います。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございます。志賀委員、境田委員からも、現状の課題の把握や前回の総括という御意見もありました。また、中澤委員からも同様の御意見を頂いております。中澤委員からは質問もありましたので、併せて事務局からコメントをお願いいたします。

○介護労働対策室長 まず、中澤委員のご質問ですが、地域医療介護総合確保基金を活用した介護従事者の確保等として、国から交付した予算等により基金という形で各都道府県において事業を行っています。各都道府県において、介護への職員の参入の促進として、例えば参入促進セミナーの実施や、介護人材キャリアアップ研修支援事業といった相談員育成に関しての費用、潜在介護福祉士の再就職促進などの取組を、労働環境、処遇の改善として、介護ロボット等の導入支援といったことへの取組を行っているところです。
 また、雇用管理責任者の現状認識というところですが、やはりメリットが分からないという声も頂いているところでして、その要因は何だろうと考えてみますと、最終的に聞くのが、介護事業所において雇用管理責任者とはどういった役割を果たすべきなのか、これまでの法律又は計画などに全く書かれていないまま雇用管理責任者講習事業等を行っていたということもあります。雇用管理責任者というイメージがなかなか掴めないという状況でしたので、まずはこの計画において、介護事業所での雇用管理責任者の役割を明記したいと考えております。
 それに当たっては、今、建設労働者などについては設置が義務化されており、介護分野では特に義務化はされていないなど、いろいろな背景があるかと思いますが、その中で介護労働者にとっては、先ほど特徴のところで言いましたように、精神的・身体的負担が大きいとか、各種ハラスメント対策がある、人間関係に悩んでいる方々も多いという、これまでの雇用管理改善に加えて、労働者のメンタルヘルス対策、人間関係等の対策を、職場において雇用管理責任者に担っていただきたいということを、この計画において明記させていただければと思います。この計画策定後に当たっては、厚生労働省又は介護労働安定センターなどと連携して、業界団体や各事業所においてこの計画について広めた上で、講習事業、相談訪問等を強力に進めていきたいと考えているところです。

○阿部部会長 中澤委員、よろしいですか。もしよろしければ、小林妙委員にお願いしたいと思います。

○小林(妙)委員 私のほうからは2点、意見ということで発言させていただきたいと思います。まず、人材確保の部分についてです。資料の18ページの(7)にシルバー人材センターの活用と書かれております。シルバー人材センターの活用には、センターへの介護補助業務の委託について記載されているのですが、センターの会員の皆さんは多分、年齢も上がってきていると思います。そのため、受託者であるセンターによる安全対策がより強化されるように指導していただければと思っております。
 また、センターの会員が請負による就労をする場合には、指揮命令の実態がないということが前提になるということの記載が必要ではないかと思っておりますので、この辺は御検討いただければと思います。
 もう一点は、外国人労働者の方の雇用の関係ですが、前回の部会で介護労働の現状ということで、外国人労働者の方の受入れの状況の報告があったと思います。その中で、外国人労働者の受入れの割合が6.6%とかなり低い状況ではないかと思っております。人材不足のことは、先ほど委員の方々からも発言がありましたし、外国人労働者の方を活用するという形で受入れを今後されていくと思うのですが、外国人の雇用管理を改善することが職場への定着と新たな受入れにつながる可能性もあると思います。14ページの(6)外国人労働者に関する雇用管理改善のための相談・援助の実施ということで、「「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」の周知」という言葉が入っていますが、こちらは「周知」ではなく、是非ともポイントとして記載をしていただきたいと思います。先ほど中澤委員から、介護労働者は雇用管理に対してはかなり特殊な課題もあるという御発言があったかと思いますので、やはり外国人の方を受け入れるというのであれば、指針の周知・啓発だけではなくて、雇用管理のポイントを計画の中に盛り込んでいただきたいと思っておりますので、御検討いただければと思います。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。事務局から何かありますか。

○介護労働対策室長 外国人労働者については、今後、採用する予定もあると答えている所はもっと多くありますし、介護労働実態調査によりますと、外国人労働者と一緒に働くことについて、実際一緒に働いている方のほうが割と肯定的に捉えているということもあります。そのようなデータもあります。指針についての書きぶりなどについては、また検討させていただければと考えております。

○阿部部会長 ありがとうございました。それでは、新田委員からお願いします。

○新田委員 私から1点だけ、質問と意見を申し上げたいと思います。
 第3の計画の目標1にある一層の職場定着を図るの部分です。この中で、令和元年度の2職種合計の離職率は15.4%ということで、これを目標として今後も維持させていくことと掲げられております。15.4%の水準を維持させていくことは、全体の平均である15.8%よりも低いということで結構だとは思いますが、その一方で、例えば平成19年度は21.6%だったものが、離職率は改善傾向にあって、この15.4%の水準になってきたと理解しております。
 そうしますと、目標としては、この水準を今後も維持させていくというよりは、例えば、少なくともこの水準を維持させていくとともに、更なる改善を図るといったように、現状維持というよりは、もう少し高みを目指すというような出し方もあるのではないかと思います。目標を現状維持とした理由があれば教えていただきたいと思います。ただ、私の思いとしては、もう少しそういうような出し方のほうがいいのではないかと、そこは意見として申し上げておきたいと思います。私からは以上です。

○阿部部会長 御質問ですので、お願いいたします。

○介護労働対策室長 離職率については、確かにリーマンショックの頃は20%超えという高い数値でした。ただ、ここ最近の数値を見ますと、実は急激に平成20年度以降下がっております。ここ最近は15%、16%台を推移しているという結果となっております。例えば、令和元年は15.4%と報告しましたが、平成30年度15.4%、平成29年度16.2%、平成25年度からはずっと16%台、平成30年度に入ってから15%台ということで、実はここ最近7、8年ぐらいはそのような数値となっております。やはり、リーマンショックの頃と比べて雇用環境は大変良くなってきておりまして、介護にそれなりに理解のある方の就職がどんどん進んでいるという結果ではないかとは考えております。
 この計画における目標の書き方については、またこちらでも、委員の御指摘も踏まえて検討させていただければとは思っておりますが、今の傾向を見ますと、15%、16%台でここ7、8年ほど推移していることと、あと一方で、個人的な理由で辞めていかれる方もいるので、どうしてもこれ以上無理に下げるというのも難しいという、雇用管理が進んでいる事業所から、そのような声も聞いたことがありますので、書きぶりについては検討させていただくものの、基本的にはこの水準を維持させていただくトーンで進めさせていただければとは考えております。

○阿部部会長 新田委員、何かありますか。よろしいですか。

○新田委員 私自身は、この水準を維持することについてはそれでいいと考えているものの、ただ、それを最低限としつつ、もう少し何か書きぶりを工夫されてはどうかという御提案ということで御検討いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○阿部部会長 ありがとうございました。それでは、仁平委員、お願いします。

○仁平委員 私からは、計画の策定プロセスについての意見です。どのようなメンバーで、どのような観点で議論をしていくのが最も良いのかという点について、率直に述べさせていただきます。
 資料に記載のとおり、この改善計画の策定に当たっては、法律に基づいて労働政策審議会の意見を聞くことになっています。私も委員として、今回の改正を通じて介護労働者の雇用管理の改善、能力の開発が一層図られるような計画とすべく、議論に参加していきたいと思っています。
 しかしながら、率直なところ、この部会の関係者が介護の現場を熟知しているわけではないのではないかという感覚を持っております。また一方では、介護雇用の改善には、介護給付費分科会で議論されているような介護報酬改定の議論等も密接に関わってくると思っております。これらのことを踏まえると、現場の実務の知見や専門性に基づく議論を今後行っていくためには、例えばですが、次回の改定に向けた検討の場を社会保障審議会に移した方が良いのではないかと考える次第です。この部会の権限を超える話だとは思いますが、今後の課題として提起させていただきます。以上です。

○阿部部会長 仁平委員、ありがとうございました。課題提起として受け止めて、また事務局のほうでも検討いただければと思います。その他いかがですか。よろしいですか。
 ほかに特に御質問、御意見がなければ、本日はこれで終了したいと思います。本日もたくさん貴重な御意見を頂きましたので、事務局は本日の意見を踏まえて、再度案を御提案していただければと思います。
 それでは、次回の部会の日程等について、事務局から御説明をお願いします。

○事務局 次回の労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会については、令和3年2月26日(金)に開催する予定です。今、部会長よりありましたが、いろいろな御質問、御意見を踏まえ、修正をするところは修正させていただいた上で、次回に諮問させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 詳細については、また事務局から追って御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。以上です。

○阿部部会長 本日予定されている議題は以上で終了いたしましたが、この際、御発言のある委員がいれば御発言をお願いしますが、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、本日の部会はこれにて終了したいと思います。本日もお忙しい中、どうもありがとうございました。