第136回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和2年12月2日(水)14:58~17:05

場所

全国都市会館

議題

医療保険制度改革について

議事

議事内容
○須田課長 恐れ入ります。定刻前ではございますが、皆様、おそろいでございますので、ただいまから第136回「医療保険部会」を開催させていただきたいと思います。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただき、ありがとうございます。
本日は、委員の皆様には会場で会議に御参加いただくことを基本としつつ、オンラインでの参加も可能としております。
会場で会議に御参加の委員におかれましては、御発言の際は、挙手をしていただき、部会長からの指名の後、御発言をお願いいたします。
オンラインで御参加の方は「手を挙げる」ボタンをクリックし、部会長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をいただくよう、お願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただきますよう、お願い申し上げます。
また、議題に対して御賛同いただく際には、カメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる「異議なし」の旨を確認させていただきたいと思います。
次に、本日の委員の出欠状況について、申し上げます。
本日は、平井委員、一瀬委員より、御欠席の御連絡をいただいております。
本日、記者の方には、別室にて会議の模様を傍聴いただいております。
会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○須田課長 それでは、以降の議事運営は、遠藤部会長にお願いいたします。
○遠藤部会長 皆様、本日もよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入る前に、欠席委員の代わりに出席される方について、お諮りをしたいと思います。
一瀬委員の代理としまして小出参考人の出席につきまして、御承認をいただければと思いますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、議事に入らせていただきます。
本日は「医療保険制度改革について」を議題といたします。
それでは、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○須田課長 議事次第を御覧いただければと思います。
配付資料でございます。
出産育児一時金の関連で、資料1-1と1-2。
資料2として、大病院の定額負担について。
資料3として、議論の整理の(案)。
参考資料1として、議論の整理(案)に関する参考資料。
参考資料2として、11月24日に開催されました、全世代型社会保障検討会議の資料と議事録を提示させていただいております。
また、佐野委員、平井委員、前葉、一瀬両委員から提出資料がございますので、紹介させていただきます。
以上です。
○遠藤部会長 よろしゅうございますか。
それでは、議事に入らせていただきます。
まず初めに、出産一時金について、事務局から関連の資料の説明をお願いしたいと思います。
○諸冨室長 厚生労働省医政局総務課医療安全推進室長の諸冨でございます。
産科医療補償制度の補償対象基準の一部見直しについて御説明いたします。
資料の1枚目を御覧ください。
まず、四角の中に2つ○がございますが、1つ目の○でございますが、産科医療補償制度は、重度脳性麻痺児を速やかに補償し、原因分析、再発防止を行うことなどにより、紛争の防止、早期解決や、産科医療の質の向上を図ることを目的に2009年1月より創設され、2015年に制度改定が行われ、公益財団法人日本医療機能評価機構において運営されています。
次に2つ目の○ですが、本制度の実績を通じて、補償対象基準の個別審査において、補償対象外とされた事案の多くで医学的な不合理が明らかとなり、医療関係団体、患者団体保険者等からの関係者からなる産科医療補償制度の見直しに関する検討会が2020年9月に設置され、補償対象基準の見直しの検討と実績の検証を行っており、年内をめどに検討結果を取りまとめる予定となっております。
現行の個別審査は、在胎週数28週から32週、または出生体重1,400グラム未満の場合が基準となっており、制度実績から、個別審査で補償対象外とされた児の約99%が、医学的には分娩に関連して発症した脳性麻痺と考えられる事案であることが判明し、個別審査の見直しが課題となりました。
これらは、胎児心拍数モニター等で感知できる範囲に限界があること。また、個別審査は、一定の低酸素状況を基準としているので、低酸素以外の状況で分娩に関連して発症した脳性麻痺は補償対象外となることが理由になっています。
28週から32週の早産児については、近年の周産期医療の進歩により、医学的には未熟性による脳性麻痺ではなくなり、また、実際の医療現場においては、成熟児と同じような医療が行われていることから、以上を踏まえ、補償対象基準は、低酸素状況要件としている個別審査を廃止し、一般審査に統合することとなります。
補償対象範囲は、補償対象基準、除外基準、重症度基準の3つの基準を全て満たす場合、補償対象となります。
また、適用時期は、2022年1月以降の分娩より適用されます。
補償対象者数の目安は、年間455人で、保険料水準は2.2万円となり、その内訳は、掛金が1.2万円、保険料充当額が1.0万円となります。
説明は、以上です。
〇姫野課長 引き続き、資料1-2につきまして御説明をいたします。保険課長でございます。
まず、資料1-2の1ページ目でございますが、出産育児一時金の概要でございます。
出産育児一時金につきましては、健康保険法等に基づく保険給付として、被保険者またはその被扶養者が出産したときに、出産に要する経済的負担を軽減するため、一定の金額を支給する制度でございます。被用者保険は政令、市町村国保は条例でそれぞれ規定されております。
金額につきましては、ここにありますように、随時、引き上げを行ってきておりますが、直近、平成27年1月に、総額42万というところは変わっておりませんが、内訳の部分、御本人に支給される部分が39万円から40万4000円に引き上げられ、また、今、御説明があった産科医療補償の掛金分が、3万円から1.6万円に引き下げられるということで、実質、増額をしてきているところでございます。
これまで、※印にありますように、全国の公的病院における平均的な出産費用の状況などを踏まえて改定されてきてございます。
2ページが、直接支払制度の概要でございます。
平成21年10月から、この一時金は、現金給付ではございますけれども、医療機関から支払基金、国保連に対して請求することにより、被保険者、御本人が、まとまった出産費用を事前に用意しなくてもいいという仕組みを整えてございます。
これによりまして、支払基金、国保連に対して、医療機関から請求が届くということになっておりまして、その請求の内容を、厚生労働省において集計したものが3ページ目にございます。
こちら、令和元年度の実績の速報値をお示ししてございますけれども、赤く囲った部分になりますが、公的病院で見ますと、全国の平均値が44万3776円ということになってございます。
これまで公表されておりました直近の数字は、平成28年度でございましたので、そのときは、約43万1000円ということで、その当時に比べると1万円ほど上がっているという状況でございます。
なお、※印にありますように、この数字につきましては、正常分娩に係る請求書を集計したものでありまして、さらに室料差額や、産科医療補償の掛金、その他の費目を除いた額ということになります。
4ページが、都道府県別の出産費用でございますが、東京などでは53万を超える金額になっておりますが、一方で、鳥取などでは34万という状況になってございます。
5ページが、直接支払制度の専用請求書の様式でございますが、内訳として、中段にありますように、入院料、室料差額、分娩介助料などの内訳を示した形で請求をいただいておりまして、こういった費目ごとの金額というものも集計可能になってございます。
6ページが、この費目ごとの内訳ですが、例えば、①の入院料ですと、妊婦に係る室料、食事料、そういったものが計上されることになっております。
7ページが、こういった費用区分ごとの金額の推移を示したものでございます。入院料、分娩料など、それぞれ年々増加しているという状況でございます。
8ページ、現状と課題、それから対応案をまとめてございます。
まず、現状ですけれども、出産費用は年々増加しておりますけれども、これまでも指摘されておりますように、どの要因により増加しているのかというところが明らかでないという課題もございます。
また、正常分娩の場合は、自由診療で行われておりますので、価格設定の方法も様々でございます。
また、今、御紹介しました直接支払の請求様式につきましても、一定の費用区分は求めてございますけれども、詳細な費用区分というものがないという状況でございます。
このため、どのような行為を行い、それに対してどのような価格が設定されているかということが、なかなか把握できないという課題もございます。
また、医療機関においても、費用やサービスによる選択が難しいという御指摘もございます。
3つ目の○ですけれども、こういった費用のばらつきが大きいということと、また、費用項目ごとの分析、在胎週数などによる分析といったものが、なかなかできていないということもありまして、どういった要因によるものなのかというのは、明らかにはなってございません。
また、これは正常分娩についての費用を集計しておりますが、近年では分娩の約4割を異常分娩が占めておりますが、そういった費用の分析も、現時点ではできていないということでございます。
次の○ですけれども、国会などでの御指摘でございますけれども、出産育児一時金は12週以降の分娩については、人工妊娠中絶だけでなく、死産、自然流産の場合にも支給されますけれども、このため12週を待って中絶を行うというようなケースがあるのではないかと、そういったところは母体保護の観点からも望ましくないとの御指摘もいただいております。
また、先ほど資料1-1でありましたように、産科医療補償制度の見直しにより、掛金の引下げが見込まれているという状況でございます。
これを踏まえた対応案、論点でございますけれども、出産費用の実態を明らかにして透明性を確保するために、請求様式を見直して費用を詳細に把握するということとしてはどうかと考えてございます。
具体的には、例えば、室料と食事料が、今、入院料の中に含まれておりますけれども、こういったものを区分するですとか、人工妊娠中絶の場合の区分を設ける、そういったことが考えられるのではないかと考えております。
また、費用やサービスに応じて医療機関を選択できるように、医療機関において選択肢の明示を促すと、これは自由診療ですので、行政としてできるところは限られているかと思いますけれども、そういったことも検討してはどうかという点でございます。
最後に、新たに収集したデータに基づいて、一時金の額の設定を検討してはどうかと。
また、その際の論点ですけれども、産科医療補償制度の見直しに伴う掛金の引き下げ分については、どのように考えるかということが論点かと考えてございます。
資料の説明は、以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
産科医療補償制度と出産育児一時金につきましては、定例的に当部会で議論しているわけでありますけれども、いかがでございましょうか
それでは、藤井委員、お願いいたします。
〇藤井委員 ありがとうございます。
公的保険の給付を受けるからには、その特徴をよく理解していただいて、過度な使い方は謹んでいただきたいと思いますが、一方で、本件につきましては、どのような使われ方がされているか、実態がよく分からない状況であります。
ついては、8ページの対応案にあるとおり、まずは出産費用の実態を明らかにしていただき、そのデータに基づいて、今後の額の設定について検討していただければと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、オンラインで手を挙げておられました、秋山委員、お願いいたします。
〇秋山委員 ありがとうございます。
まず、資料1-2の8ページの対応策の3つ目の○の産科医療補償制度の見直しに伴う掛金の引下げ分に関しましては、4,000円下がった分、出産育児一時金を引き下げるというのではなくて、7ページにもありますように、出産費用が年々増加傾向にあることを考慮しますと、現在の42万円の維持は言うまでもなく、少なくとも、この平成元年度速報値の公的病院における中央値である44万円以上の水準まで引き上げる必要があると考えます。
もう一点、8ページの現状・課題の4つ目の○のところですけれども、「12週を待って人工妊娠中絶を行う者がおり」とありますが、もし、これが事実だとすると、大変重大な問題だと思います。本来、母体保護のために行われるはずの人工妊娠中絶が、母体にリスクを与える形で行われるということは絶対にあってはならないことですので、早急に実態を把握していただいて、そうした事実があるのであれば、何らかの対策に努めていただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、安藤委員、どうぞ。
〇安藤委員 ありがとうございます。
産科医療補償制度について、これまで蓄積された医学的エビデンスや医療の進歩等を踏まえますと、現行の補償対象基準が必ずしも合理的とは言えなくなっている現状であると認識しておりますので、今回の見直し案につきましては、異論はございません。
ただ、一方、今回の見直しにより、出産一時金の一部である産科医療補償制度の掛金が引き下がることを踏まえれば、その分、出産育児一時金の額も引き下げることが自然であるのかなとは考えております。
また、平成26年に産科医療補償制度を見直した際には、医療保険部会におきまして、次回の改定までに、出産育児一時金の金額の変更に関わる算定ルールの明確化であるとか、算定根拠を確立するという条件を付して了承されたという経緯があると承知しております。
そのため、今後、出産費用の実態を明らかにするための詳細なデータを収集し、収集したデータに基づき、出産育児一時金の額の設定に関するルールを検討するという方向性には、異論はございませんが、検討スケジュールを明確にした上で取り組んでいただく必要があると思います。
また、その際には、年々費用が上がっていることに、実際に合理的な理由があるのかを費目ごとに確認していただくなど、費用の妥当性についての検証も合わせて行っていただくようにお願いいたします。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
まさしく合理的な御発言だと思います。ありがとうございます。
では、石上委員、どうぞ。
〇石上委員 ありがとうございます。
まず、産科医療補償制度の関係ですけれども、この制度自体、非常に画期的なよい制度として評価をしているわけですが、制度発足当初から対象事故が限定的だという課題があったと思います。したがって、今回の補償対象の拡大は、非常にいいことだと考えております。
ただ、一方、見直し案でも依然として、生後6か月までに死亡した子供は対象とされていません。検討会においては、生後3か月から申請を可能とすることとか、母子の死亡も対象とするとかいう議論もあったと聞いております。
引き続き、速やかに対象の拡大に向けた検討を進めて、データ収集を進めるとともに、原因分析報告書の公開の徹底を図るなど、さらに、産科医療の質の向上に向けて一層の検討を求めたいと思います。
出産育児一時金についてですが、この出産費用の明確化と透明性の確保という方向性に賛成します。
地域や設置主体によって出産費用のばらつきが大きいということが、資料から見て取れます。
対応案にあるとおり、出産費用の実態を明らかにし、透明性を確保するため、費用を詳細に把握する、このことは非常に重要だと思います。
その際、正常分娩と異常分娩の場合、それぞれの費用の内訳を把握するようにお願いをしたいと思います。
産科医療については、経済的負担の軽減とともに、質の向上が極めて重要であると思います。
現金給付の現在の仕組みでは、出産育児一時金の額を引き上げても、直ちに出産、子育てに係る経済的負担の軽減にはつながる保障もありません。
子育て支援と安心安全な出産のため、妊娠出産にかかる費用については、正常分娩も含め全て現物給付とすることによって、産科医療の標準化を進めるべく、検討をしていただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、オンラインで藤原委員、その次、佐野委員の順番でお願いします。
では、藤原委員、お待たせしました。
〇藤原委員 ありがとうございます。
この出産育児一時金でございますけれども、これは限りある貴重な公的医療保険財政を活用しているというわけでございますので、出産費用の実態を詳細に把握した上で、真に必要な部分に限定して手当をするというのが基本になります。
こうした観点から、資料にありますとおり、まずは出産費用の実態を詳細に把握して、それに基づいて、出産育児一時金の額の設定を検討するということに賛同いたす次第でございます。
ただ、資料1-1、1-2で御説明をいただいたように、産科医療補償制度の見直しに伴って、掛金を引き下げるのであれば、出産にかかる費用が減るということですので、その分、先ほども御発言ありましたが、保険者の負担も軽減していくべきではないかと考えます。
以上、意見を申し上げました。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、佐野委員、お願いいたします。
〇佐野委員 ありがとうございます。
まず、産科医療補償制度については、今回の制度見直しについては、異存はありません。
ただ、この資料の中にも出ておりますけれども、この制度の運営事務経費は約25億円に上っています。
また、今回、補償対象拡大により、さらに増加も見込まれるのではないか。
そういう面で、掛金を拠出している保険者としては、最大限の効率化の努力をお願いしたいと思います。
また、その経費の多くを占めているのは、当然ながら、産科医療補償制度の本質である産科医療の質の向上のための原因分析だったり、再発防止の取組だろうと思います。
国のほうから毎年1億円ほど補助金が出されておりますけれども、本来、これは国が率先して取り組むべき事業であると思います。
制度創設から、もう12年ぐらい経って、実績データも相当蓄積されていると思いますので、そういう面では分析内容も広がるでしょうし、今後、一層充実を図ることが重要だと思います。
そういう面で、国からの補助金についても、評価機構のほうと調整をし、さらなる増額をお願いしたいと思います。
それから、出産育児一時金については、質問1点と、併せてコメントを申し上げたいと思います。
まず、先ほど安藤委員もおっしゃっておりますけれども、6年前に、この部会で見直しを議論した際に、部会長のほうから附帯条件として、次回改定までには、ルールの明確化あるいはエビデンスの確立、法律的に出産育児一時金の支給額を、本来の支給額と産科医療補償制度の掛金分を2つに分けるという問題を解決することを前提として、事務局提案の価格水準で意見統一するという結論に至ったと記憶をしております。
この前回見直しの際の附帯条件について、事務局はどのように考えておられるのか、質問をしたいと思います。
あと、コメントをさせていただきます。
出産育児一時金というのは、全国の平均的な出産費用、実績のみを事由として引き上げを行っておりますけれども、やはり出産費用の増加要因など、また、8ページの現状とか課題にありますように、明らかではない、分からない、分析を行っていないと、こういうような表現がたくさん出ております。
こういうことでは、やはり被保険者の保険料が財源となっていることを考えても、納得が得られないものだと思います。
やはり対応案でも書かれていますけれども、まずは、出産費用の実態を把握することが最優先課題ということで取り組んでいただきたいと思います。
また、この対応案の一番下に書いていますけれども、産科医療補償制度の見直しに伴う掛金の引下げ分、これについては、当然、被保険者負担軽減を図るという観点からも、引き下げるべきだと思います。
支給額と、その産科医療補償制度の掛金分というのは、考え方として、別のものとして検討すべきだと思います。
最後に1点ですけれども、この中にも直接払いの様式が入っておりますけれども、現在、医療機関から出されている。一時金直接払いについて、電子申請率というのは、いまだ約6割と聞いております。
紙が残るということによって、医療機関、また、支払基金の業務効率化、手数料の負担軽減が進まないという状況が起こると思いますので、早急に電子化を進めていただきたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
事務局に進め方についての御質問がありました。それ以外にも、おおむね事務局の対応案については、御賛同を各委員からいただいていますけれども、幾つかのコメントもあったかと思いますので、もし、それらで関連して、何か事務局としてコメントがあれば、それも含めて、お願いしたいと思います。
事務局、どうぞ。
〇姫野課長 御指摘ありがとうございます。
佐野委員、安藤委員から、前回の引上げの際の附帯的な条件についての御指摘いただきました。
今回、我々のほうでも、出産費用の直近の状況をまとめるに当たりまして、経年の推移など、資料におつけしたようなものを分析してございますけれども、なかなかこれだけでは、要因の分析が十分にできないということもあり、もう少しこの請求書様式も精緻化をした上で、分析が必要ではないかということで、こういった対応案の提示をさせていただいたということでございます。
御指摘いただいているところは、十分受けとめながら、検討する必要があるかと考えておりますので、そういった点も含めて御意見を賜れば幸いでございます。
○遠藤部会長 佐野委員、よろしゅうございますか。
ありがとうございます。
それでは、菊池部会長代理、どうぞ。
〇菊池部会長代理 ありがとうございます。
産科医療補償制度の掛金減額分の扱いについて、幾つか御意見が出てございましたけれども、全世代型社会保障への転換と、子ども・子育て支援を重視するという現下の政策の流れからすれば、出産育児一時金を、その分減額するというのでは、逆行するメッセージを国民に発することになるのではないかと思います。
ですので、絶対額を減額するというのではなく、私はその6年前の附帯条件というの存じ上げなかったのですけれども、平成27年改正にならって掛金減額の部分は、出産費用の増額に充てるべきではないかと考えます。
ただし、それ以外、今回の対応案には賛成いたします。公的病院の平均出産費用44万円という数字との関連で、直ちに一時金の増額を図るのではなく、一旦立ちどまって、相当大きな地域差や病院間の差についての分析など、単に少子化対策だからという名目だけではなく、実質的に費用増額の必要性を根拠づける作業が必要ではないかと思います。
もともと医療保険制度において、疾病と出産が別個の保険事故とされているわけですが、出産が金銭給付とされている理由は2つあって、1つは、出産に保険事故としての性格があまりないということ。
もう一つは、地域差、病院差があり、個人の選択の幅が大きいということでした。
しかし、かつて少子化対策の一環として、一時金の引上げを行った際には、結局、それにつれて、病院の出産費用の引上げに結びついたのではないかという議論があったはずです。
その意味でも、出産費用の増加のより詳細な要因分析などが必要で、さらに、いわゆる療養の給付が療担規則に基づく診療報酬の審査支払いのプロセスによって、一定程度、質のコントロールがなされ得るのとは異なって、一時金の仕組みであるということにはなっていますが、しかし、そうであっても、出産にかかる医療の質についての検証は必要かと思います。
そうした検証は、真の意味で、制度趣旨である個人の選択権の確保ということにもつながるのではないかと考えます。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかにございますか。
それでは、松原委員、どうぞ。
〇松原委員 ありがとうございます。
この制度をつくったときに、私も担当していましたので、随分議論してつくったもののように、記憶しています。
人類は哺乳類ですので、出産しなければならないと。そのときに、低酸素血症起こす可能性があり、医療は非常に不確実性があって、どんなに予想していてもトラブルが起きると。
それで、子供をお産みになったときに、もし、その子供さんが障害児になったら、大変なのと同時に、それからの人生、御両親も大変な重荷を背負うことになります。経済的にも大変であります。
国民みんなで支えようということで、この保険制度をつくり、国もお金を出していただいているということでございます。
そういった中で、今回のように、個別審査は要らないということは大変いいことだと思っています。当初設計したときに、幾らかかるかが全く見当がつかなかったので、あつめる金額を決めるということから大変であり、対象の人たちをどこまでにするかということ、また、補償というか、お支払いするお金について、どれぐらいお払いしたらいいのかというのが、全く見当がつかなかったので、このような形で始まったわけであります。
全世界で見ますと、この制度を持っている国はありません。しかも、この制度によって様々なデータが出ています。いつ、酸素飽和度が下がると危険だとか、あるいはそのときの兆候が何だとかということが論文に出てて、これは、世界に全くデータがないところを、日本の国は、先進的にデータを出す基本となっているというのは事実であります。
そういった中で、先ほど申しましたように、なるべく対象を増やしていただくということも大事でございます。それと、子供が、そういった障害を持ったときに、大変心配であると、その方たちが、一生心配しなくていいようにという仕組みでなければなりませんし、金額も十分な金額がなければ、重荷を背負っていくのは大変であります。やはり、このつらさを考えて、せめて十分な金額を給付していただいていきたいと思います。その金額が、まだ3000万のところで止まっていますので、本来は、これも大きくすべきだと思います。
その中で、データを見ますと、うまく機能していて、大分余剰金が蓄積されて、つまりお金が貯まってきたので、掛金を減らすということについては、適切に行われるということであれば、賛成であります。しかし、まだまだやらねばならないことがたくさんあるということを御理解いただきたいと思います。
この金額、4,000円ほど下げられるのであるということでありますが、ここのところは保険者さんにも御協力いただいて、引下げに使うのではなくて、妊婦さんに給付していただきたいと思います。
出産費用の状況でございますが、先ほどお示しいただきましたように、公的病院は平均値が44万3776円ですが、私的病院は48万1766円、各地の地域で頑張っている診療所は、45万7349円であります。
ここのところを余り締めつけますと、いろいろな不確実性に基づいて、賠償責任を負わねばならないようなことを心配して、お辞めになる産婦人科の先生はかなりいらっしゃいますし、実際に若い先生たちも、そういったリスクがあるという世界に飛び込むのをためらって、産婦人科医が激減したという事実があります。
思い起こせば、産婦人科の先生が一生懸命やったにもかかわらず、逮捕されて、無罪とはなりましたが大変つらい思いをしたという、例だけで、産婦人科を志願する先生たちが激減し、一時期はどうなるのかと思っていたところであります。
我が国の少子高齢化は、結局は、子供をお産みになる方が少なくて、子供の数が減っているということによって起こるものであります。国民の皆さんが安心して産める、そして、みんなで支える、そういったことをできるような仕組みをきちんとやっていただきたいと思います。先ほどの出産費用は、まだまだ充実して、安全に、そして、多くの産婦人科の先生が参加して、十分な体制がとれるようにしていただきたいと思います。さらに今回の4,000円の使い方については、保険者さんに、減額に使うべきではなく、妊婦さんに充当していただきたいと思っているところでございます。
地域で一生懸命頑張っている産婦人科の先生を応援していただきたいと思います。本当につらい思いをしながらやっているわけであります。そこのことを十分御理解いただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、横尾委員、お待たせしました。横尾委員の次に、森委員でお願いいたします。
〇横尾委員 ありがとうございます。
今後の確かな議論のために、確認をしたいことがあります。
産科医療補償制度について、以前、この社会保障審議会医療保険部会でも説明がございました。
そのときには、これが始まったときの経緯の説明があって大変強烈な印象で記録しているので、確認をさせていただきたいと思っています。
当時は、幾つかの県で同意をいただくことのできた有志の小児科医か周産期関係医師か医院の協力のもとにデータを取って、それを人口比率配分か何かで全国に推計を行って、これぐらいの数がいらっしゃるだろうということで、補償のことの考え方が始まったと、当時聞いたのですけれども、現在、この資料に出ている400、500ぐらいの数というのは、悉皆調査に近いリアルなデータに基づくものなのかどうか、そこを教えてください。それとも推計なのか。
○遠藤部会長 では、事務局、お答えをお願いします。
〇鈴木参考人 今の御指摘の点でございますが、この制度が創設された当時は、実は全国的な調査というのは、当然やられておらずに、沖縄県で、たまたまそういう疫学調査をやっておられた先生がおりまして、そのデータをお借りして、それを全国的に推計したものでございます。
この制度は、制度の中では脳性麻痺の申請期間というのは、5歳まででございまして、ある出生年のデータがクローズしてまとめられるのが、少なくとも6年後になってしまいます。
2015年に一度制度改定が行われておりますが、その時点におきましても、この制度が2009年に始まっております関係で、制度実績を基に推計を行うということが、2015年時点でも困難でございました。
引き続き、やはり沖縄県のデータをアップデートした疫学調査をもとに推計を行っております。
今般、お出しした推計に関しましては、2009年から2014年までが出生年でございますが、5年を過ぎましてクローズをしまして、制度実績が固まっておりますので、制度実績を使用するということと、あとは御協力が得られた3県、鳥取、徳島、栃木、この3県におきまして御協力が得られまして、2009年から2013年に出生して脳性麻痺になった方の悉皆調査を行いまして、それらのデータを基に、今般の推計値を、第三者の医療統計分野の専門家の教授にお願いして、今回のお出ししている推定区間を算出していただいたものでございます。
以上です。
○遠藤部会長 横尾委員、どうぞ。
〇横尾委員 ありがとうございます。
確認ができましたのでありがとうございました。大宗は変わっていないということですね。
私自身が思うのは、これだけデジタルトランスフォーメーションが常識化していく時代で、政府としても、医療や健康に関する情報のデジタル化も当然ととらえておられますので、今後は、よりリアルな情報をリアルタイムで把握をして、エビデンスベースの政策や対策が打てるように、ぜひしてほしいと願っております。ですから、是非とも今後は、医師の皆様方、委員の皆様方、病院等の理解や協力も当然必要と思いますけれども、是非そうなるようにしていただくことが重要と思っています。
たとえば、脳性麻痺のお子さんを抱えておられる御家族にとってみれば、きちんと寄り添ってほしいし、困ったことには手を尽くしてほしいと願うのが、誰でも同じであろうと思うのです。そのときに、あなたのケースはカウントされていないでは話になりません。是非、お生まれになるときから、あるいは事前のときから、少し病気の兆候が分かるなら、そういったところも注意深く御覧になられると思いますので、ぜひ詳細なデータを把握して、リアルタイムな対策、政策ができるようにしながら、こういった補償制度の充実、出産に伴う費用の対応ということを考えていただきたいというのが1点目でございます。
2点目は意見です。2つ目の資料の8ページに、出産費用の明確化についてなど、現状の課題、分析と対応策が示されています。ほかの委員もおっしゃっているように、全国の実数を見てみると、平均値の44万円から上下に9万円から10万円ぐらいの幅があるわけです。この辺がどうしてなのかというのは、一般の方でも、多分、関心を持ち、どうなっているかと知りたいという方も多いと思います。ぜひ分かるようにしていただく必要があると思っています。
また、ほかの委員もおっしゃったように、事務的な対応とか、そういった諸経費については、先ほども申し上げましたデジタル対応でやっていけば、コスト縮減と迅速かつ正確な処理も可能になっていく時代ですので、従前のやり方にとらわれず、よりよい方法を模索するということを、ぜひ、進めていただきたいと思っています。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、森委員、どうぞ。
〇森委員 ありがとうございます。
出産育児一時金についてなのですが、先ほど事務局のほうから、出産に要する経済的な負担を軽減するための制度という説明がありましたけれども、子育て世代の課題の1つ、に子育てに伴う経済的な負担があると思います。
そうした中、今日の資料の1-2の中で、7ページ、12ページと出産費用の推移が出ていますが、年々出産費用が増加しており、現在の出産一時金との差が出ています。少子化対策、子育て支援ということを考えると、これまでも平均的な出産費用の状況を踏まえて対応していきており、今回新たなデータが出てきましたので、出産費用の額をどうするかということに関して、検討すべきだと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
大体よろしゅうございますか。
ありがとうございます。大体お話を承りますと、事務局の対応案というデータを広く取ると、正確に取るという、この考え方については大体御賛同を得ているわけですけれども、金額をどうするかとか、そういう議論についてはいろいろな御意見もあったと、進め方についてのいろいろな御提案もあったということですので、事務局におかれましては、取りまとめに向けまして、引き続き、調整等をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、続きまして2つ目でございますが、大病院への患者集中を防ぎかかりつけ医機能の強化を図るための定額負担の拡大、これについて事務局から関連の資料の説明をお願いしたいと思います。
〇姫野課長 ありがとうございます。保険課長でございます。
資料2につきまして、御説明をいたします。
本件につきましては、前回、前々回、11月19日と26日の医療保険部会においても御議論いただきました。
その際に、いろいろと御意見をいただきましたが、まず1つは、14ページに参考として、この2回分の御意見を整理してございますが、この中でございますように、例えば、5つ目のポイントになりますが、本制度の目的は、本来、外来機能の分化を進めて、無駄な検査を減らし、患者に適切な医療を提供することであるということ、そういったところをきちんと説明するべきだという御意見もいただいておりました。
また、同じところですけれども、初診料のほとんどを保険給付から控除するということは、認められないという御指摘もいただいております。
また、むしろということで、その次にありますけれども、再診の方に問題があるということで、この点についての取組を求められてもおります。
また、その2つ先ですけれども、180日以上の入院で入院料を控除するという例もありますけれども、こちらは例外的な仕組みであって、初診料を控除するというのは、無理があるのではないかという御指摘もいただいております。
こういった御指摘も踏まえまして、改めてこの制度の概要を整理したのが、1ページ目の資料にございます。
「見直し案」と書いてございますけれども、その中に、趣旨としまして、患者が安心して必要な医療機関を受診できる環境を作り、診療の待ち時間を減らすためには、患者自身が選択を適切に理解して医療にかかると、いわゆる上手な医療のかかり方ということを推進することが必要であるということを、まず、第1に書かせていただいております。
こういったことも踏まえて、今回の見直し案ですけれども、日常行う診療はかかりつけ医機能担う身近な医療機関で受けまして、必要に応じて紹介を受けて、他の医療機関を受診し、さらに、逆紹介によって身近な医療機関に戻ると、こういった流れをより円滑にするために、現在、この紹介状なしで大病院を受診する場合の定額負担、選定療養という形で制度化されておりますけれども、それを以下のように見直してはどうかということで、趣旨を明確にしてございます。
具体的な見直しの内容も改めて整理してございますが、まず①でございますが、新たに医療部会のほうで検討されております、紹介患者への外来を基本とする医療機関にも対象を拡大するという点。これは、手挙げで対象医療機関になるということでございます。
それから2つ目でございますが、かかりつけ医機能担う地域の医療機関を受診せず、あえて紹介状なしで大病院を受診する患者の初再診については、一定額、※印にありますように、初診の場合、例えば2,000円という額を保険の範囲から控除し、同額以上に定額負担の額を増額するという仕組みと説明をしてございます。
括弧書きにありますように、これは例外的、限定的な取扱いであるということも改めて確認をしているところでございます。
具体的に※印にもありますように、現在、外来の初診患者さん全体に占める定額負担の徴収患者さんの割合につきましては、この定額負担を5,000円から7,000円に設定している医療機関の場合は10.9%ですけれども、これを7,000円以上に引き上げていった場合には、5.3%と極めて例外的になってきているということもありますので、こういった施策を進めることによって、あえて紹介状なしで大病院を受診するということも、例外的、限定的な取扱いにしていくということが、本来の趣旨かということで整理をしてございます。
③ですけれども、さらに大病院からかかりつけ医機能を担う地域の医療機関に逆紹介、これをしっかりと推進をしていくということが、もう一つのポイントでありますし、さらに再診を続ける患者の方への定額負担を中心に、今、除外要件を、改めて見直しを行うということも、もう一度明確にしているところでございます。
以下、少し図示してございますけれども、通常の外来機能の分化に沿って、きちんと紹介状を持ってきていただいた患者の場合には、通常の療養の給付が受けられるということでございますが、一方で、紹介状なしで受診されて、かつ除外要件に該当しないような例外的な方につきましては、こういう限定的な取扱いとして定額負担を増額したものを負担いただくということで、かつ、選定療養費のところについては、一定額を控除した額を基準として支給をするということを図示しているものでございます。
いろいろと説明が、誤解を招いたところがあった点は、お詫びしたいと思いますが、改めてこういった説明をもとに御議論をいただければと思います。
説明は、以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
前回に引き続き、この議論であります。事務局から、ただいま説明がありましたけれども、何か御意見はございますか。
松原委員、どうぞ。
〇松原委員 御説明ありがとうございます。
もともと、これをつくったのは、皆さんにかかりつけ医の機能を持つ先生を持っていただいて、そして、紹介状を持って大きな病院にかかれば、勤務医の先生方も余計な検査をしなくて済むし、大体の状況が分かるし、患者さんにとっても何科に行けばいいのかということがはっきりします。それで、皆さん非常にいい医療になるということで導入したものであります。決して、ここで収益を上げようとか、費用を出そうとかという話ではなかったと思います。
日常行う診療は、かかりつけ医の機能を担う身近な医療機関で受けて、必要なら紹介していただくという方法でやっていくと。そして逆紹介で身近な医療機関に戻っていただく。もし、かかりつけ医を持っていない人でも、かかりつけ医の機能を持っている先生を紹介していただいて、地域に戻すということが大事であります。
前から申し上げましたように、戻すところの働きが目詰まりして十分にできていません。この3番目の逆紹介を推進するというのは、今やらねばならない最大の政策であります。
そういった中で、確かに、これまでの仕組みはうまく動いているようであります。5,000円から7,000円にすれば、10.9%、さらに7,000円から1万円にすれば、5.3%の人に減るというのも間違いないことであります。
したがいまして、この金額を増やすということについては、賛成であります。ただ、これをつくったときに、保険者の皆さんにもお願いしたように、本来これはなくなってしまうべき制度です。全ての人たちが、かかりつけ医の先生の紹介状を持ってきてくださるということを目指すものです。今の5,000円については、何の根拠も実際のところはなかったわけであります。
しかし、5,000円ぐらいならば、患者さんも、どうしても紹介状なしに受けたい方は払える金額だし、どうしてもその病院に行きたいという方については、簡単に言うと、その患者さんの選択によるものであるから、それを認める費用として、今回の選定療養の中に入れたわけであります。
したがって、5,000円をさらに増やすということについて、その費用を果たして、病院だけに入れていいのかどうかという議論の前に、やはり、本来は、この5,000円を払ってきた方々は、医療費を不要に多く使うということをなるべくやめていただきたい。つまり、何度も重なった検査や、不必要な検査はしなくていい。その分は保険者さんが楽になるということで行ったものです。今回、2,000円増やすのだとしたら、保険者さんにお返しするというのはこの仕組みの中で、極めて限定的な話で考えられることかもしれません。
しかし、それは全体において、こんな制度はございません。保険者さんのところに、病院から振り込んでお金を返すとか、あるいはほかの方法で返すとか、それを患者さんに直接払ってもらうとかというのは、実際の制度上難しゅうございます。そうすると、もし、これをやるとして2,000円ほどは保険者さんに、そして今までどおり5,000円ほどは医療機関にとしますと、いろいろな法律を変えなければならないわけです。そこを変えずに直すとすれば、限定的に、レセプトで2,000円もらいましたから、2,000円分はもらっていますよという形にすると、このような制度で行うことも可能かもしれません。
しかし、これはあくまでも、緊急避難的かつ例外的、限定的な取扱いであります。そこのところを十分定めていただいて、その方向性を示さないと、おかしなことになります。
この書き方において、患者さんの初診・再診については、一定額の保険給付範囲から控除し、この書き方で、この前のときは大変紛糾したわけであります。一定金額を控除するというのは、かつての180日超の入院費の選定療養のときにありましたけれども、あれも本当に限定的な話だということを、この前説明しました。限定的に、例外的な対応であり、しかも、患者さんが迷わずにするためにも、そこのところをきちんと明記していただかないといけないと思います。
特に、この件に関していましては、これから中医協の方へ、また、具体的な方法あるいは通知について決めることをお願いしなければなりません。あくまでも、この方法は、その機能分化をきちんとするということにおいて対応すると。その対応の仕方が極めて例外的な方法をとるということを理解していただかないといけないと思いますので、中医協に厚生労働省さんから審議するときに明示していただきたいと思います。
保険給付範囲から控除というのは、同じことをやっていて、初診料が結局なしになるではないかという、そういったおかしなことにならないように、本当に限定的、例外的な対応として、この趣旨を進めるための方法であると御理解いただければと思っているところであります。
何とぞ、よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかに、事務局の提案等々につきまして、いかがでしょうか。
それでは、池端委員、どうぞ。
〇池端委員 ありがとうございます。慢性期医療協会の池端です。
松原委員と、趣旨はほぼ同じような内容ですが、私からも少しお話をさせていただきたいと思います。
何度か、この点については、前回、前々回意見を言わせていただきまして、ただ、いろいろ書き方は変えていっても、やはりスキームとしては患者さんから一定額、2,000円以上の額を上乗せして頂いた上で、それを控除するというスキームということには変わりはないということになります。今、松原委員からもお話がありましたように、ここにあえて例外的、限定的な取扱いと書いてありますが、一方で9ページにありました、前回の選定療養の180日以上の入院に関しても、これも極めて例外的だというはずだったのですが、今回このスキームの説明のときに、これを持ち出して、これでやっているから今回もこれでいきますよということが通ってしまっているわけですね。
だから、今回、ここでは極めて例外的で、場合によっては、これはなくなっていくべきものであるということが理解されていたとしても、これが独り歩きすると、やはり、保険の給付に対する減額をする方法が、こういうスキームが出来るということが、独り歩きしてしまうのを非常に私は恐れています。あくまでもこれは例外的、限定的ということをもう一回確認させていただくことと、これが必ずしも医療保険の財源を浮かすためのものではないということ、あくまでも病診連携を図るものであること、そして、病診連携がしっかり進めば、これはなくしていってもいいのだと、そういうためのスキームだということを、ここで確認させていただきたいと思います。
スキームそのものには賛成できませんけれども、そういうことをしっかり書いていただいた上に、なおかつ、これも前回お話しましたように、そうは言っても、窓口の負担が増えることに変わりありませんので、患者さん自身は理解ができないでしょう。それがどこへ行くかということを、なかなか説明しても説明し切れないことがありますので、これは、中医協マターになるかもしれませんけれども、もし実行するのであれば、その辺もしっかりとした説明を基に、この制度を説明していただかないと病院の窓口が非常に混乱するのではないかと思います。この辺についても、ぜひ丁寧な議論、そして説明、そしてスキームの説明をお願いしたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、事務局、確認をしたいということですので、コメントをお願いします。
〇姫野課長 御指摘ありがとうございます。
池端委員がおっしゃったとおり、こちらについては、そもそも、上手な医療のかかり方、病診連携をしていく、外来機能の明確化、そういった制度をきちんと推進していくために設けるという仕組みでございますので、そういった意味で、この資料にもありますように、定額負担を増額していくことで、こういったあえて紹介状なしで大病院を受診する患者様が減っていくということを、ある意味、目指していく制度あります。
そういった意味で、今回の取扱いについては、あくまでも例外的、限定的な取扱いということで考えているということを、改めて確認させていただきますし、また、先ほど松原委員からもありましたように、今後骨格が、これでお認めいただければ、中医協での具体的な議論になっていくわけですけれども、その際にも、こういった制度趣旨については、丁寧に御説明をしながらしていくことが必要ということを、改めて確認させていただきたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで藤原委員、秋山委員の順番でお願いいたします。
藤原委員、どうぞ。
〇藤原委員 ありがとうございます。
本日、改めて御説明を伺いましたけれども、本件に対する経団連のスタンスは変わるところはございません。資料で御提案いただいている内容に賛同するということでございます。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、秋山委員、どうぞ。
〇秋山委員 ありがとうございます。
前回も発言いたしましたけれども、定額負担の拡大の方向性については理解できるのですけれども、その分、医療保険の給付の必要性が低下するというところが、理解できないというところは同じでございます。
その上で、仮にこの制度を導入するのであれば、この制度の趣旨について、また、紹介状がない場合に保険の給付が下がるということを、しっかり国民に周知する必要があると考えています。
ただ、今回の資料2の1ページの図を見ると、逆にだんだん趣旨が分かりづらくなっているようにも思いますので、これで本当に、果たして国民が理解できるのかなと危惧しているところです。
いずれにしましても、外来の窓口で混乱が生じないように、患者さんにとって分かりやすく、納得のいく制度にしていただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかに、菅原委員、どうぞ。
〇菅原委員 ありがとうございます。
私も、本制度のそもそもの趣旨である医療従事者の負担軽減と医療機能の分化を進める上で、必要な措置と大枠では理解をしておりますが、その適用につきましては、あらかじめ十分な議論が当然必要だと思います。
参加については、少なくとも、私も当面は医療機関の手挙げが妥当だと思っておりますし、地域の実情に合わせて、徴収額等々、医療機関自らに設定していただくという、そもそもの制度の趣旨、この自律的決定というのが、理にもかなっていると思います。
また、初診料の設定につきましても、今回1つの例として初診料2,000円というのが参考までに挙がっておりますけれども、各地域の所得の状況によりましては、やはりこの2,000円の設定というのが、受診に与える影響は、当然変わってまいります。
ですので、やはり地域の実情に合わせた価格設定が、各医療機関において尊重されるような制度というのが望ましいと考えております。
一方、再診の問題につきましては、特に必要がないにもかかわらず、病院を再診される方からの徴収はしっかり行う必要があると当然思いますが、一方で、この制度の調査時点では、どうして病院へ再診してしまうのかといったときに、やはり患者さんが不安で来てしまうという切実な事情もございました。
その場合に、地域の病院の中に、しっかりと地域の診療所の先生方の写真が、例えば掲げてあって、何かあったときには、この先生方から、また再びこちらの病院にかかれますよというような丁寧な説明がされているところは、非常にこういった制度はうまくいっているように思いました。
したがいまして、病診連携がしっかり進むように、こういった制度の導入とともに制度的な手厚いバックアップが、病診連携のために必要だとも考えております。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
菅原委員は、かつて、この自己負担を増やして患者の受診行動の変化についての調査をされたという経験もあるので、それを踏まえての御発言だったのかもしれません。
ありがとうございました。
大体よろしゅうございますか。
松原委員、どうぞ。
〇松原委員 お聞きしていて思ったのですけれども、一遍にやりますと大変なことです。中医協に下ろすときに、中医協も大変です。紹介状なしで大病院を受診する患者さんの初診・再診についてはという文章があるのですけれども、やはりこれは、まず、初診からやってみるべきす。再診でやるべきことは、この対応ではなく、逆紹介を推進していくというところに、中医協に強くエネルギーを注いでいただきたいと思います。初再診も同じやり方でやるという話になりますと、大変だということを危惧いたします。
以上です。
○遠藤部会長 御意見として承りました。
横尾委員、どうぞ。
〇横尾委員 大病院の患者集中を防ぐということが大きなミッションかと思うのですけれども、前回は、啓発の重要性を申し上げたのですけれども、いろいろな皆様方の議論を聞いたり、現状を見ていきますと、やはり大病院へ多くの患者の方が直接行くこと、いわゆる集中することによって、こんな支障が起こってしまっているとか、こういう問題も具体的に出てきているとか、もし、そういう事例等があれば、ぜひ添付といいますか、補足をして示すことが、一般の国民の皆さんに、そういうことかと、自分もひょっとしたらそういうことの問題を発生させたかもしれないなといって、心理的にも少し分別をつけて判断しようということになっていくと思いますので、そういった直球投資ではないけれども、変化球なのか、漢方薬なのか分かりませんけれども、ちょっとそういうことも片方では、もし啓発や広報の企画あるならば、ぜひ、そういったこともしていただくといいのではないかと感じております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかに何か御意見はありますか。よろしゅうございますか。
ありがとうございました。この議論は、基本的なフレームワークは既に存在しているわけで、選定療養で、紹介状がない大病院にかかった場合には、選定療養がかかるというフレームはできている、少しその対象を拡大するという話と、それに応じて保険財政に資するような措置をとるというところが、新しいところだったわけでありますが、これまでの議論で、今までの御意見を承りますと、大体事務局が出された見直し案については、幾つかのうち、御注文はあったと思いますけれども、基本的に御了承されたと、私は理解しておりますけれども、そのように捉えてよろしゅうございますか、様々な御意見もあったと思いますので、そのことも踏まえて、おおむね、このフレームワークについては御了承いただいたということで対応させていただきたいと考えております。
よろしゅうございますか。
(異議なしの意思表示あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
松原委員、どうぞ。
〇松原委員 出すときに、これが限定的、例外的な取扱いであるということを、しっかりと明示していただきたく存じます。
以上です。
○遠藤部会長 これが、前回と今回との違いは、そこがあるか、ないかでありますので、そのことはよく理解いたしました。ありがとうございます。
それでは、この議題については、これまでにさせていただきまして、続いて「議論の整理(案)について」に入りたいと思います。
事務局から資料の説明をお願いいたします。
○須田課長 保険局総務課長です。
資料の3、議論の整理(案)を御覧いただければと思います。
医療保険部会におきましては、いわゆる骨太の方針、あるいは改革工程表、あるいは全世代型社会保障検討会議といったところから検討を求められていた項目を中心に、本年1月審議を開始し、新型コロナウイルス感染症拡大による一時中断を経て、9月以降、審議を再開し、議論を重ねてまいりました。
これまでの議論について、事務局において整理をいたしましたので御説明をさせていただきます。
まず「0.はじめに」となっていますけれども、前回の医療保険部会におきまして、菊池部会長代理より、医療保険制度改革の全体像絵を描き、提示すべきとの御意見をいただきました。「0.はじめに」のところは、そうした観点で整理をしております。
まず、現在、新型コロナウイルス感染症に立ち向かっている医療現場の奮闘、また、我が国の医療提供体制の強靱さ、国民の衛生意識の高さ、感染拡大防止への協力といったような記述から始めております。
その上で、我が国の国民皆保険険制度は、広い世代の安心の基盤となってきましたが、今後の中長期的な人口減少、また、少子高齢化の進行、特に2022年度には、いわゆる団塊の世代が75歳以上となり始め、2040年頃には、団塊ジュニア世代が高齢期を迎え、支え手の中心となる生産年齢人口の減少が加速するという中において、国民皆保険の持続可能性を確保し、将来世代に引き継いでいくことが重要であるということを記述しております。
特に、制度を支える現役世代の減少が続くことは、その負担の上昇も続くということを意味し、団塊の世代が後期高齢者入りする2022年度以降、その負担が特に大きく上昇するということが強く懸念をされているということを記述しております。
1ページ目の最後では、人生100年時代の高齢者像について記述をしております。
2ページをお願いいたします。
全世代型社会保障検討会議における検討について、記述をしております。
高齢者医療について、年齢ではなく負担能力に応じた負担とし、現役世代の負担上昇の抑制等を図るとともに、少子化対策のさらなる強化を図り、現役世代への給付が少なく、給付は高齢者中心、負担は現役中心という、これまでの社会保障制度の構造を見直し、全ての世代の方々が安心できる社会保障制度を構築し、次の世代に引き継いでいくための改革との視点で検討が進められているところでございます。
今般の医療保険制度改革において、こうした課題に対応し、全ての世代の方々が安心できる社会保障制度を構築するという観点から、後期高齢者の窓口負担の在り方などの給付と負担の見直し、また、不妊治療の保険適用、育児休業中の保険料免除など、子ども・子育て支援の実施を含めた、全ての世代の安心の構築のための給付と負担の見直しというのが1つ目の柱。
2つ目として、大病院への患者集中を防ぎ、かかりつけ医機能の強化を図るための定額負担の拡大、あるいは医療費適正化の推進、国民健康保険制度の基盤強化といった医療機関の機能分化・連携等というのが第2の柱。
3番目として、オンライン資格確認等システムやマイナンバー制度等、インフラを最大限活用するとともに、健診データ提供に係る仕組みの整備による医療のデジタル化やデータヘルスの推進、セルフメディケーションの推進等を含めた、生涯現役で活躍できる社会づくりの推進、予防健康づくりの強化、そういったことを総合的なパッケージとして改革を進める必要があるとしております。
こうした観点から、以下では、2ページ目から12ページ目までは、1番目の柱、全ての世代の安心の構築のための給付と負担の見直し、12ページでは、2番目の柱として医療機関の機能・分化連携等、3番目の柱として、生涯現役で活躍できる社会づくりの推進という項目立てで議論の整理を行っております。
本日の時点では、2ページ目の後期高齢者の窓口負担の在り方については、調整中とさせていただいております。
また、同様に、4ページ目の不妊治療の保険適用、また、後ほど12ページにありますけれども、大病院の定額負担の拡大、ここにつきましても、本日の時点では、調整中とさせていただいております。
また、本日御議論いただきました出産育児一時金につきましても、今後、記述を追加するということを考えております。
個別の項目のポイントを説明させていただきたいと思います。
2ページ目の一番下のところ、傷病手当金の見直しでございます。
3ページ目の中段辺りを御覧いただければと思いますけれども、①として、まず、この件につきましては、支給期間を通算して1年6か月を経過して時点で、支給をするという仕組みに改めるということについて、②として資格喪失後の継続給付を廃止するということについて、③として、審査の適正化あるいは併給調整事務の効率化ということを図るということについて、様々な意見をいただきましたことを、3ページで記述をしております。
結論の部分、4ページに飛んでいただければと思いますけれども「これらの意見を踏まえ」というところがございますけれども、まず①支給期間の通算につきましては、通算して1年6か月を経過した時点まで支給するというような仕組みにするということ。
③につきまして、審査事務の適正化でございますけれども、審査運用のベストプラクティスの共有、あるいは裁決例の分かりやすい形での共有といったことを進める。
障害年金等との併給調整については、保険者と日本年金機構の情報連携の効率化等に努める。
労災保険との併給調整事務の円滑化に向けた対応を検討して、所要の措置を講じるといったようなことを整理させていただいております。
②、資格喪失後の継続給付につきましては、労働者保護の観点から現行制度を維持すべきであるとさせていただいております。
4ページ目の任意継続被保険者制度の見直しでございます。
こちらにつきましては、①といたしまして、従前の標準報酬月額または当該保険者の全被保険者の平均の標準報酬月額のうち、いずれか低い額で保険料算定するというものにつきまして、従前の標準報酬月額ということにするということについて、どう考えるか。
②といたしまして、任意継続被保険者の被保険者期間を最大2年間最大1年とすることについて、どう考えるか。
③として、資格喪失の日の前日まで継続して2か月以上被保険者であるということが、加入要件でございますが、これを1年以上とすることについて、どう考えるかということにつきまして御議論いただきました。
5ページへお願いいたします。
議論の過程でいただいた様々な意見を紹介させていただいた後、結論部分でございますが、5ページの最後のほうですけれども「これらの意見踏まえ」とありますけれども、①につきましては、6ページ目でございますけれども、保険料の算定基礎につきましては、健保組合の規約により、従前の標準報酬月額と定めるということもできるようにすると。
②、被保険者の任意脱退については認めていくということ。
③、加入要件につきましては、今回見直しを行わないと整理をさせていただいております。
続きまして、育児休業中の保険料免除につきましては、6ページ目の下のほうに①とありますけれども、男性の休業の取得をより進めるために、現在、労働政策審議会で検討中の新たな仕組みにつきまして、保険料免除の対象とすることについて、どう考えるか。
②として、保険料の免除を月末時点で休業しているかどうかで判断しているということについての是非。
③として、賞与保険料どう取り扱うかということについて議論をいただきました。
様々な議論を紹介させていただいて、7ページ目でございますけれども、まず①、新たな仕組みにつきましては、保険料免除の対象とするということとし、現行制度、そして新たな仕組みにつきまして、②、育児休業開始日の属する月については、その月の末日が育休期間中であるという、現在、認められている場合に加えて、その月中に、2週間以上の育休を取得した場合にも保険料免除し、新たな仕組みによる休業も通算して育休期間の算定ということをするということ。
③、賞与保険料につきましては、連続して1か月超の育休取得者に限り、免除対象とするということと書かせていただいております。
また、これらの対応について、いただいた様々な意見につきましても付記させていただいております。
続きまして、現役並み所得の判断基準の見直しにつきましては、8ページに飛んでいただければと思います。
現役並み所得者への医療給付費につきましては、公費負担がないため、判断基準や基準額の見直しに伴い、現役世代の負担が増加することに留意する必要がある。
また、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた直近のデータというものが、検討の上で入手困難であるということから、この問題につきましては、引き続き検討すべきとさせていただき、なお書きとして現役世代の負担が増えないよう公費の投入を行うべきとの意見があったということを付記しております。
続きまして、薬剤自己負担の引上げでございます。
①というところでございますけれども、市販品類似の医薬品の保険給付の在り方、また、自己負担の引上げ以外の方策による薬剤給付の適正化策、政府メディエーション推進等について、いただいた御意見、8ページ、9ページにかけて紹介をさせていただきまして、9ページの結論になりますけれども、部会でいただいた御意見を踏まえ、医療資源の効率的な活用を図る観点から保険者の立場からも上手な医療のかかり方、そして、セルフメディケーション推進策を講じるべきであるとまとめております。
続いて、負担への金融資産等の保有状況の反映の在り方につきましては、9ページにおきまして、いただいた御意見を紹介させていただき、9ページの一番下ですけれども「これらの意見を踏まえ」というところですけれども、現時点で金融資産等の保有状況を医療保険の負担に勘案するのは尚早であることから、引き続き検討すべきであるとしつつ、10ページ目ですけれども、今後も積極的、前向きな検討を行っていくべきであるという意見があったことを付記しております。
医療費の見える化ということにつきまして、10ページでございますけれども、①というところがあると思いますけれども、医療保険の財源について、特に自己負担、保険料負担、公費負担の構造等分かりやすい形で公表し、制度検討の議論に供することで定期的に総合的な対応について検討していく。
また、②として、国民に広く財源について理解してもらうことにより、医療保険制度をより信頼し、安心して利用してもらえるような環境を形成することということについて議論を行い、いただいた御意見を紹介させていただいております。
結論部分ですけれども、11ページ「これらの意見踏まえ」というところがありますけれども、今後、医療費の財源構造、医療保険制度の比較、実効給付率の推移と要因分析、また、生涯医療費の分析内容といったものについて、年1回、当部会において報告するとともに、ホームページで公表し、資料について分かりやすさを重視したものとするとの方針が確認されたと書かせていただいております。
続きまして、今後の医薬品等の費用対効果、評価の活用につきまして、具体的な検討につきましては、中医協において進めることとし、適宜、医療保険部会に報告するとされたところです。
中医協における審議を踏まえ、本部会でも議論を行い、12ページに飛んでいただければと思いますけれども、まずは、現行制度の検証・評価等を行うことが重要であり、保険収載の可否等に用いることは時期尚早である。
あわせて、体制の強化や人材の育成等を図ることが重要であるなどの意見踏まえまして、今後とも現行制度の課題を整理していくため、中医協において、引き続き、検討すべきものとさせていただいております。
大きな項目の2、医療機関の機能分化・連携等の大病院の定額負担の拡大につきましては、次回以降、議論の整理(案)につき御議論いただければと考えております。
3番目の柱、生涯現役で活躍できる社会づくりの推進、予防健康づくりの強化、40歳未満の事業主健診情報の保険者への集約等につきましては、13ページに飛んでいただければと思いますけれども、①とありますけれども、40歳未満の方の事業主健診等結果を保険者へ提供するというところについての法的な仕組み、また、後期高齢者医療広域連合等と、被用者保険者等の間の健診等情報の提供についての法的枠組みなどについて、様々な御意見をいただいたところでございます。
これにつきましては「これらの意見踏まえ」というところですけれども、まず、40歳未満の方の事業主健診等結果を保険者へ提供するということについての法的な仕組みを整備する。
保険者は、当該情報も活用して適切かつ有効に保健事業を行うこととする。
健保連・国保連についても同様の仕組みを設ける。後期広域連合等と被用者保険者間の健診等情報の提供についても法的枠組みを整備するということ。
労働者安全衛生法に基づく指針に、事業主健診の結果を保険者に提供すべき旨ということを規定するということ。
それから、事業主健診と特定健診の健診の項目の差異についても、これを見直ししていくこと。
契約書のひな形を作成し、健診実施機関から保険者への情報提供を推進する。
また、事業主健診の問診票に、保険者情報や被保険者番号を記入する欄を設けるといったような方針が確認されたところでございます。
最後に、14ページでございますけれども、事業主や保険者に過度な負担が発生しない手法、また、データの集約の在り方につきまして検討すべきといった意見を付記させていただいております。
以上が説明になります。
なお、後期高齢者の窓口負担割合の在り方の議論の整理につきましては、次回、御議論いただければと考えておりますけれども、参考資料の1に、新規の資料を追加している部分がありますので、高齢者医療課から説明をお願いしたいと思います。
〇本後課長 高齢者医療課長でございます。
参考資料の1、これは、議論の整理(案)に関する参考資料、これまでお出しした資料をまとめたものでございますけれども、17ページ目をお開きいただければと思います。
これは、前々回の御議論の中で、委員からお求めのあった資料、まだ、お出しできていなかった資料を新たにお出しするものでございます。
「2割負担となった場合の負担増加額の分布について」。
これは、平均の負担の増加額、配慮措置をする前はプラス3.4万円、配慮措置をした後はプラス3.1万円というものでしたけれども、それを分布にいたしますと、こういったグラフのようになります。
これは1万円まで2万円まで3万円まで等々、負担増がその区分に入る方の割合をグラフにしたものでございます。
2割負担となった場合の患者のうち、負担が増加しない方、これは約3%、負担増が3万円以下の方、これが約52%、5万円以下の方が約81%ということになります。
配慮措置を講じた場合には、3万円以下の方、これは少し増えまして56%、5万円以下の方が89%ということになります。
グラフを見ていただければ、負担増加額が少ない部分、これは配慮措置後のほうが多くなっております。
一方で、負担増加額が多い部分、これにつきましては、配慮措置の後は、その占める割合が少なくなっている。配慮措置の効果が出ているということをお示ししたものでございます。
説明は、以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、事務局から提案なりました議論の整理(案)につきまして、御意見をいただきたいと思います。
それでは、藤井委員、どうぞ。
〇藤井委員 ありがとうございます。
まず、4ページ以降にあります、任意継続被保険者制度の被保険者期間を最大1年とすることと、加入要件を1年以上にすることについては、まだ議論の余地があると考えておりますので、これで結論づけて議論を終了することではなく、引き続き検討していただければと思います。
続けて2点目ですが、7ページの3つ目の〇に、「中小企業の人手不足を鑑みると2週間、1か月という育休取得期間は長過ぎるなどの意見もあった」となっておりまして、「などの意見もあった」という単なる紹介にとどまっておりますが、前回も申し上げましたとおり、これについては、中小企業の人手不足の実態、男性社員の育休の取得実態からいって、ともに1週間程度とするのが妥当ではないかということを、改めて申し上げたいと思います。事務局として、「2週間以上」や「連続して1か月超」とする根拠・データを示していただければと思います。
続きまして、12ページの下から4つ目の〇の最後に、「実態として特に中小企業等からの提供実績が低いという課題がある」という記載がありますが、本件を実施する場合には、なぜ中小企業からの提供実績が低いのか、深掘りした原因分析を行いまして、その上で、例えば、健診データを自動的に提供できる仕組みを構築するなど、事業主や保険者に過度な負担が発生しないような方法を、ぜひ検討していただければと思います。
本件、14ページにも紹介していただいていますけれども、これは大変重要な点だと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。これは御意見として承って、事務局のコメントは必要ないという理解でよろしいですか。
〇藤井委員 はい。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、佐野委員、どうぞ。
〇佐野委員 ありがとうございます。
まず、本日の議論の整理には記載されていないのですけれども、後期高齢者の窓口負担について、前回の部会で私が申し上げた内容に基づいて、健保連で試算した資料を用意しておりますので、ちょっとお手数ですけれども、委員提出資料の1を御覧いただけますでしょうか。
グラフにしておりますけれども、この中の2022年と2025年の数字については、前回、事務局のほうで御提示いただいた資料の数字を使っております。
それに2023年と2024年、この2年分について、健保連の試算を加えた内容となっております。
現役世代の負担である支援金について、これは、前回の資料に載っていたのですが、2025年には8兆2000億円になるということで、対2021年比較でいいますと、約1.2兆円増えるということになりますけれども、この負担増は、毎年累積しますので、4年間の累計においては、青字で書いておりますけれども、2兆9000億円になります。
それに対して、抑制効果額のほうは、これは2022年から2025年、選択肢5の場合であっても、累計で6500億円程度という数字でございますので、いわゆる抑制割合は22%程度ということになります。
選択肢1の場合であれば、抑制割合は7%にとどまるということでございますので、この数字を見る限りにおいては、前回の資料で記載されていました選択肢1から5のいずれにおいても、高齢者と現役世代が分かち合うことが可能ということには、どう見てもならないと考えております。
また、選択肢5の場合でも、増加額と抑制効果額の差額では、約2兆円を超えますので、一人当たりの1年間の平均負担増というのは5,000円程度になります。
この点も踏まえて、やはり本当に現役世代の負担上昇の抑制に寄与するのかどうかと、こういう議論を進めていただきたいと思います。
現在、コロナの影響によって、景気の先行きが不透明になっております。賃金低下も懸念される中で、現役世代の負担増の抑制は、より緊急度を増していると考えております。
また、本日、全世代型社会保障検討会議の議事録が参考資料の2-2に提出されておりますけれども、大半の委員の方が、2割負担をなるべく広く設定すること、及び実施時期についても、2022年度初めから実施すべきと発言されています。このことについても、重く受けとめるべきであろうと思っております。
健保連としては、現役世代の負担上昇を抑制するためにも、従来から申し上げていますとおり、2022年度から一般区分全ての方に2割負担をお願いしたいと思っております。
1点、資料ですけれども、前回出していただいた一般区分全員の場合の負担軽減額に関する資料が、今日の参考資料1に入っていないと思いますので、ぜひここは入れていただきたいと思います。
それから、戻りまして、議論の整理のほうについて、修正、変更をお願いしたい部分に絞って、3点コメントをしたいと思います。
まず、傷病手当金の見直しの部分でございまして、4ページですけれども、この中の2つ目の○で、資格喪失後の継続給付については、現行制度を維持すべきと記載されていますけれども、前回においても資格喪失後の継続給付については、通院状況と資格喪失後の被保険者のレセプト上から確認もできないと、そもそも職場復帰を目的としている傷病手当金を資格喪失後も支給し続けることは問題だということで、これは引き続きの検討課題とすべきだと申し上げました。ぜひ、そこの修正をお願いしたいと思います。
2点目は、任意継続被保険者制度について、6ページ目の1つ目の○で、加入要件1年以上とすることについては、行うべきではないと記載されていますけれども、これもまた、これまで申し上げてきましたように、そもそもこの制度は、退職後に加入する制度によって、給付率に格差があった時代に退職から再就職するまでのつなぎとして、給付率の低下を防ぐという目的であったと理解しております。
その意義は、既に失われておりますし、そうした現状を踏まえれば、この〇に記載されている状況、役割というのは、本来の任継制度の役割とは異なるものだと思いますので、これを理由に行うべきではないと断定するのはおかしいと思います。
この問題も、被保険者期間を1年とすることと併せて、制度の在り方を含めて、引き続き検討するように修正をお願いしたいと思います。
最後、3点目ですけれども、次の育児休業中の保険料免除でございます。
これについて、7ページの3つ目の○「なお、これらの対応について」という段ですけれども、この1つ目のポツ、これは、前回の部会でも申し上げたのですけれども、やはり、企業の適切な運用の促進、データの報告体制も含めたフォロー、検証、これについては、不可欠なものであると思いますので、意見ということではなく、措置として講じていただくように記載を修正いただきたいと思います。
以上、3点でございます。
○遠藤部会長 了解いたしました。御意見として承りました。
ほかにいかがでございましょうか。
安藤委員、どうぞ。
〇安藤委員 ありがとうございます。
まず、8ページ目の薬剤自己負担の引上げについて、これにつきましては、保険者としましても、上手な医療のかかり方や、セルフメディケーションに関する啓発等を行っているところでありまして、引き続き、これは厚労省等と連携して取り組んでいきたいと思っております。
一方で、これまでも申し上げておりますとおり、薬剤給付の適正化を図るためには、あらゆる手段を講じる必要があると考えておりまして、そのための最も効果的な手段の1つが薬剤自己負担の見直しであると考えますので、この整理(案)におきましても、引き続き検討すべき旨、明記していただきたいと思います。
もう一点、先ほど佐野委員のほうからもお話がありましたけれども、後期高齢者の窓口負担の在り方につきましては、今、改革をしなければ、現役世代の負担は急速に上昇を続け、今まで以上に現役世代に偏った負担構造となります。
こうした事態を回避するためには、議論を先送りすることなく、全世代型社会保障検討会議の中間報告にもありますとおり、遅くとも団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり始める2022年度までに、確実に2割負担を導入することが必要であると考えます。
そして、その際には、現役世代の負担が真に軽減されるよう、一般区分全てを2割負担としていただくようお願いいたします。
一方で、先ほど佐野委員のほうから提出されております資料を見ましても分かるとおり、後期高齢者の支援金に関してだけでも、今回の改定を実際に全ての世代、全ての一般区分を入れたとしても、十分な抑制効果にはならないというのがよく分かります。
ですから、本日の議論の整理にも記載しておりますとおり、全ての世代の方々が安心できる社会保障制度を構築するためには、さらなる医療保険制度改革への議論が必要であると考えております。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで、先ほど来、手を挙げておられます、藤原委員、お願いいたします。
〇藤原委員 ありがとうございます。
それでは、何点か御意見、御要望を申し上げます。
まず、2ページ目の後期高齢者の窓口負担割合の在り方ですけれども、本件につきましては、先ほど佐野委員から非常に分かりやすい御説明をいただきましたとおり、後期高齢者支援金、すなわち現役世代の負担ですけれども、これが今後、激増するということが大きな課題でありまして、そうした中にあっては、団塊の世代が後期高齢者入りする際に、支援金に対し、毎年2000億円を超える財政効果を発揮させるということが極めて重要だと考えます。
そのため、前回も申し上げましたとおり、窓口負担の2割への引上げを、一般区分全員を対象として、全世代型社会保障検討会議の中間報告のとおり、2022年度の初めまでに改革を実施するということを強くお願いする次第でございます。
次に、4ページ目になります。
傷病手当金の支給期間の通算につきまして、前回、事務局から本件に関しまして、健康保険組合の規約で定められた文章の保存期間で確認できる範囲での対応という御説明をいただきました。
これは、実務に関わる非常に重要な点でございますので、本資料、議論の整理の中に、きちんと盛り込んでいただきたく、この点は、お願いを申し上げる次第です。
それから、7ページ目の中段ぐらいのところに、育児休業中の保険料免除に関する意見としてポツが4つばかり並んでいますけれども、その中で、意見として、前回私のほうから申し上げました、「今回の見直しはここまでとしても」というところから始まる一文、これを盛り込んでいただいたことに関しまして、感謝いたします。
ただ、その際に、私が念頭に置いておりましたのは、2回目以降の育休の取得時について、月末のみの育休で保険料が免除されない仕組みにするなど、合理的な制度設計にしてほしいという趣旨でございますので、その点も明示的に盛り込んでいただきたいとお願いいたします。
なお、この意見の1つ目のポツに、「企業の適切な運用の促進」という文言がございます。もちろん、企業として、引き続き積極的に育児休業の取得の促進を図ってはまいりますけれども、この表現が、あたかも企業が主体的に保険料の免除に関連して、何か不適切な運用をしていると捉えられかねません。ここは「企業の」という文言を削除するなど、ぜひ誤解のないように、表現を工夫していただきたく、お願いを申し上げます。
次に、8ページから9ページにかけて、薬剤給付の適正化策について整理をいただいておりますけれども、最新の治療薬への国民のアクセスと、制度の持続可能性の双方のバランスを取るという観点からは、市販類似の医薬品の保険給付の在り方はもちろん、②で整理した、自己負担の引上げ以外の方策も含めて、引き続きの検討対象と検討課題とすべきと考えます。
その点を、できれば、この議論の整理の中に盛り込んでいただきたくお願いを申し上げる次第です。
私からは、以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
それぞれ、兼子委員、お願いいたします。
〇兼子委員 ありがとうございます。
今日もお話がありましたけれども、1ページのところは、大体共通認識かと思いますけれども、この窓口負担に配慮する2ページの最初の〇の下から4段のところでしょうか、現役世代への給付が少なく、給付は高齢者中心、負担は現役中心という書き方になっていますけれども、私は、ここは、確かに給付という形で出るわけですけれども、実態、こういうふうに捉えたほうが誤解を招かないと思っております。
医療保険も、高齢者の利用が多い。現役世代は少ない。これは、ある程度、医療保険の宿命だと思っています。現役世代は、病気、けがに備えて保険を利用していくわけですけれども、高齢者は、病気、けがにプラスして体力低下に伴って、利用する、ある意味では、人間の一生の1つの姿だと思いますので、給付という言葉で使うと、何かそこに操作があるのか、利用の実態ということで、私は書かれたほうがいいのではないかと思います。
今日、余り窓口負担のところは深入りしないほうがいいのかもしれませんけれども、私は、前回も発言しましたけれども、この議論が始まる125回の部会のときに、医療保険制度で、患者一部負担の表が出されています。昭和58年以降、高齢者もそうですし、現役世代の窓口負担、年を追って上がっていく、そういう経過をたどったわけですけれども、私は前も申し上げました、負担の強化というのは、利用する人について負担が上がる、ですから、所得に応じて応能負担というようなことが、よく言われますけれども、基本的な性格は、利用者の窓口の負担ですから、応益負担の強化という形であって、社会保障の本来果たすべき役割からいくと、この方向は、私は間違っているのだろうと思っております。
前回、高齢者の所得の推移、国民生活基礎調査の中で取り上げられていますので、ぜひ、次回、前にも出されていたと思いますけれども、一世帯当たり平均所得、年次推移という、これと、野村総研から出されました日本の富裕層の推移、これは、2018年の12月に出されたものを、私は利用しましたけれども、ですから、2017年までの傾向しか出ておりませんけれども、こういった資料も出していただければ、所得がどう偏在しているのか、そういうことが分かってくると思います。
あと、もう一つ申し上げたいのは、財務省の法人企業統計年報、この中に、大企業の内部留保の推移が出ております。これも急激に上がっているわけです。
ですから、所得が一般の勤労層あるいは高齢者、ここのところは大きく変わらない。しかしながら、富裕層のところは、かなり右肩上がりで、4年間で約倍になるような蓄積になっているわけです。こういった資料も、ぜひ、既に公表されている資料ですので、お出しいただいて、次回、かなりこのことで議論するということですので、そのときに、また、詳しく、私は触れたいと思っております。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかに、菊池部会長代理、どうぞ。
〇菊池部会長代理 ありがとうございます。1点ございます。
12ページ以下であります。
この論点を取り上げたときに、私、発言をしなかったので申し訳ないのですが、この12ページ以下を拝見していて出てくる文言は、ほぼ事業者と保険者です。
ただ、ここで措置を講じようとしている対象になるのは、非常にセンシティブな被保険者等の個人情報ですので、それに対するは表現、配慮がちょっとないのかなと思いました。被保険者の位置づけが、ちょっとなされていないように見えます。
当然、こういった情報については、本来であれば本人同意に対する配慮がなされる必要があるので、この部分をこう修正してくださいということでありませんが、何らかの文章あるいは表現を入れて配慮をしていただければと、法学研究者としてはそこに言及せざるを得ないので、一言申し上げました。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
横尾委員、どうぞ。
〇横尾委員 ありがとうございます。
文言の関係なのですけれども、2ページ目、最初の○のところで、全世代型社会保障制度検討会議のことが記述され、その後に、引き継いでいく改革が必要なのだということを書かれているのですが、文章を言いますと、負担能力に応じた負担とし、現役世代の負担上昇の抑制等を図るとともに、少子化対策のさらなる強化を図ることがとなっているのですね、ちょっと曖昧なところを感じますので、例えば、次のように書いていただいたらどうかと思いました。
この少子化対策のさらなる強化というのが、獏としている感じがありますので、例えば、少子化時代の対応にも配慮した新たな在り方を創出することは、としていただくとより明確になると思っています。
そして、このパラグラフの最後の2行なのですけれども、全ての世代の方々が安心できる社会保障制度と書いてあるのですが、可能でありますならば、安心と信頼で支え合え、持続可能な制度という文言を入れていただいたほうが、本来、全世代型社会保障制度会議が目指している持続可能な制度という趣旨や、保険制度の一番かなめである、お互いが安心でき、かつ、信頼のもとに、お互い負担を分かち合って制度を維持していくということも入りますので、そういった文言を入れていただくとありがたいかなと思っています。
あと、1ページ目と2ページ目で気づいたことですけれども、多分、厚生労働省のほうが丁寧な言葉遣いをされていると思うのですが、1ページ目、最後の文章の意欲ある方々とか、先ほど言いましたパラグラフの途中の世代の方々とあるのですけれども、やはり、こういった文言は方々で書いたほうがいいのですかね、人々というほうが一般的な印象もあるのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○遠藤部会長 事務局に対するあれですか、コメントですか。
○須田課長 ちょっと、すみません、検討させていただきます。
○遠藤部会長 ほかに、いかがでしょうか。
それでは、石上委員、どうぞ。
〇石上委員 先ほど、部会長代理が発言されたことと、ほぼ趣旨は同じなのですが、健診情報の関係については、やはり適切な情報の管理ですとか、保険者と事業主が連携して、労働者の健康保持増進を進めるという趣旨での情報の活用とか、そういうようなことも含めて、少し補強をしていただければと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、オンラインに行きましょう。
前葉委員、お待たせしました。
〇前葉委員 ありがとうございます。
4ページからの任意継続被保険者制度の見直し、国保としては、現在の記述で賛成でございます。
今日、やや角度を変えてなのですけれども、少し関連して、国保制度について発言をさせていただきたいと思います。
今日、委員提出資料3として提出をしたものでございます。一瀬委員とともに御一緒に提出をさせていただきました。
実は、本日付で、全国市長会と全国町村会連名で、国民健康保険制度等を巡る議論等に対する意見として発表したものでございます。
財政制度審議会等で国保制度を巡りまして、いろいろな議論あるいは意見の取りまとめ等が行われております。
その中で、法定外繰入の解消とか、あるいは保険料の水準の統一、あるいは普通調整交付金の見直しといったようなことについて、法制上の措置を講ずるべきとされており、これは、社保審では全くそういう議論がなされていないことなので、これを法制上の措置をしていこうということになると、地方分権の考え方からしても、懸念される内容がいきなり出てきておるということでございます。
当然、市町村は、この地域の様々な事情や、住民の声を考慮しつつ、国保の運営を行ってきておりますので、地方との十分な協議のないまま、一方的な議論がなされるというのは、受け入れられないということでございます。
もう一つ、我々大変懸念しておりますのは、生活保護受給者について、国保加入ということが検討課題となっております。
当然のことながら、生活保護制度においては、国4分の3、市町村4分の1ですが、4分の1は交付税算入されますので、国の責任で行われておる、我々が実行部隊となっておるというものでございます。
国の財政負担を地方自治体や国民に付け替えると、保険に付替えてくるということであると、社会保障制度の根幹を揺るがすということでございますので、国保の破綻も招きかねないということでございます。
国民健康保険の保険者として、生活保護受給者の国保等への加入につきましては、強く反対の意を申し上げたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、小出参考人、お願いいたします。
〇小出参考人 本日は、一瀬委員が欠席ですので、代わりに意見を述べさせていただきます。
先ほど前葉委員からお話がありましたペーパーについてですが、1つは、法定外繰入の解消については、
市町村国保が構造的に厳しい状況にある中で、地域事情等を勘案しながら、それぞれの保険者が苦労して運営してきたという経緯もございます。
法定外繰入の解消は重要な課題であると認識しておりますが、法制上の措置などにより強制的に進めるというべきではなく、それぞれの自治体が置かれた経緯や、財政状況などの課題を分析した上で、保険者自らが将来の状況を見据えながら進めるべきものであると考えます。
次に、都道府県内保険料の水準の統一化についてですが、市町村国保の財政状況は、同じ都道府県の中でも様々であり、保険料は、各自治体が現場の実態に応じて、適切な額を設定してきた経緯があります。
市町村国保にとって、都道府県内の保険料水準を統一することの意義や効果を十分に検証し、丁寧に説明いただく必要があります。拙速な導入は、むしろ都道府県と市町村の連携体制に悪影響を及ぼすことにもなりかねません。
現在、新型コロナウイルスによって、市町村国保の現場も様々な影響が出ているという状況ですので、このような課題に対しては時間をかけて丁寧な協議が必要であると考えているところです。
以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、フロアの方々、何かありますか。
原委員、どうぞ。
〇原委員 ありがとうございます。
ただいまの地方団体の委員の方の発言の関係で、同じような意見になりますけれども、ちょっと違った観点から申し上げます。平成30年度に新国保制度といいますか、国保制度の大改正があって、3400億円の毎年度公費投入、それから、都道府県が財政責任を負う形で保険者になるという改革がありまして、関係者の努力で、その施行というのは、今、順調に進んでいるという、これは大方の評価になっております。
そういう中で、今、指摘がありました法定外繰入の解消とか保険料水準の統一については、法制上の措置とは書いていないのですけれども、それをしっかりやるということが骨太方針にも書かれ、財政審等では、詳細には分かりませんけれども、法制上の措置を講ずるべきではないかみたいな議論が行われているといった報道を聞いているということでございますが、例えば、法定外繰入については、従前、資料にも出てたと思いますが、実はそういった3400億円の公費投入等で、かなり解消されてきております。
長年、これがなかなか解消されなかったものが、関係者の努力で、順調にという言い方が、いいかどうか分かりませんけれども、成果が出てきているという中、それから保険料水準の統一も、やはり医療費の地域差をなくしていくとか、いろいろな要素がないと、これは、なかなか進んでいかないという難しい面もありますので、これもやはり計画的に、最終的には被保険者の負担への影響ということでもありますので、計画的にやっていくということが非常に大事であろうと思います。
そういう意味では、都道府県が、この新国保制度の中で、運営方針というものを定めて、そして、法定外繰入れの解消や保険料水準の統一を計画的に進めていくことになっておりますので、それはそれで今、各県努力して計画を作って、実施に移されているという状況であります。
何が言いたいかと言いますと、このように、新しい制度の下で、今、課題となっていることについては、着実に、前に進んでいると私は思いますし、これは、大方の皆さんの評価だろうと思います。
そういう中で、報道等にあるような、法律で何か縛るみたいな、そういった、ちょっと乱暴という言い方がいいかどうか分かりませんが、この段階で、そういうことをやるというのはいかがなものかと。
それから、実際、議論も十分に行われていないと思いますので、ここは、当面は、やはり現行の取組の推移を見ながら、慎重に対応していくべきではないかと思います。
以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
松原委員、どうぞ。
〇松原委員 来週、また、2割負担の議論があるやに聞いておりますが、1つ質問です。配慮措置をしても、月々4,000円かかっている人たちは、結局は、配慮措置の対象とならずに、倍になるのでしょうか。8,000円になる4,000円の人たちは、結局作動しないということですか。何を言っているかというと、私たち実際にお年寄りの会計まで見ますけれども、ほとんどの人は、2,000円から4,000円ぐらいの方で、そうすると、実際に、この配慮措置は大多数の人たち、つまり、普通に一病息災で頑張ってきている人たちは、4,000円が8,000円になるということを示すのですけれども、そのことは十分に認識されているのですか、それとも私の勘違いでしょうか。
○遠藤部会長 では、事務局、お願いします。
〇本後課長 今のお尋ねの点でございます。
今回の配慮措置ですけれども、1割負担のときと比べて、負担の増加額を毎月、月の単位で見まして、最大で4,500円以内に収める、こういう措置でございます。
したがいまして、今、お尋ねの一月1割負担のもとで4,000円の自己負担の方、これは2割負担になりますと、8,000円プラス4,000円ということになりますので、これは4,500円に既に収まっておりますので、配慮措置の対象にはならないと、こういう松原委員の理解のとおりでございます。
〇松原委員 とすると、大多数のお年寄りは、配慮措置の対象外になって、入院すれば別ですけれども、今まで4,000円払って済んでいたものが、突然8,000円になるということですね。皆さん、75歳以上になって年金しかなくなって、この4,000円がどんなに国民の皆さんに重荷か。いままで4,000円払っていて、8,000円になったときに、どのように思われるか、何のために消費税を導入したのだろうと、必ず私ども現場で言われます。
確かに国が大変な状態ですので、何兆円を消費税の中から戻して、国債を買い戻していかなくてはいけないというのは十分に理解できます。しかし、そこのところを、ほんの少し削って、何兆円とは言いませんから、何千億か医療に使えば、健保組合さんも十分安定します。国民の皆さんが、老後心配だというように思うような政策を行う事は、本当に、このコロナのときに正しいのですか、皆さん、すごく不安になりますよ。お年の人たち、月々4,000円が8,000円になっただけで、びっくりされると思います。
前から言っていますように、100歩も200歩も譲って導入するにしても、今まで75歳以下で2割払っていた方が1割にならなくて、ある程度の金額になるというのは分かります。しかし、今まで1割を払っている方が、一挙に2倍になって、不安に思うという世界を本当にされるのですか。大変心配しています。むしろ、あるべき姿は、皆さんで皆さんを支える分の、例えば、20年で戻すとか、10年で戻すとかという方法をとるべきです。国債の件もありますけれども、少し遅らしてでも、みんなが安心してできる日本国をつくっていくのが正しいのではないでしょうか。
以上であります。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかに、よろしゅうございますか。
それでは、井深委員、お願いいたします。
〇井深委員 ありがとうございます。
2ページの後期高齢者の窓口負担の在り方に関しまして、ちょっと客観的なエビデンスという観点から1点、意見を申し上げたいと思います。
今回の議論を科学的に行うということの重要性が共有されていて、実際に、その所得の分布であるとか、医療費に関する詳細な情報等について、とても貴重な情報が提供されているかと思います。
同時に、今回の議論の中に、所得規準と窓口負担の関係というものがあるために、1つ重要な議論の根拠となり得る情報として、所得と医療費の関係というものがあるのではないかと思います。
この関係性については、現時点では、その情報がもともと結びついているものではないために、明らかになっていることというのは、非常に少ないと認識しています。
しかし、所得基準で定められたそれぞれの選択肢で、その窓口負担の上昇がどの程度か、また、窓口負担の上昇による受診の変化がどのくらいかというようなことが明らかになると、議論の根拠にもなり得るはずだと考えます。
ですので、ちょっとこれは将来的な話になるかと思いますが、このような観点からも、将来的には、医療の情報に社会経済的な状況を含んだデータベースの構築というのが、科学的な根拠の提示に対して重要であるのではないかというように考えます。
以上、意見を申し上げました。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
大体時間になりましたけれども、ほかにございますか。
それでは、林委員、どうぞ。
〇林委員 ありがとうございます。歯科医師会の林でございます。
今、松原委員からの発言がございましたように、この配慮措置というものに関しましては、本当に、一部負担金が窓口で低い方々は、ダイレクトに2倍になるということで、それが、歯科におきましても、かなり影響があるということは、もう重々予想されることでございます。
いろいろな医院を受診されている方々というのは、たくさんいらっしゃいますので、それを都合して、最終、いわゆる高額医療制度のような形で、後で還付申請するのだというような話ではございますけれども、基本的には窓口でお支払いになる額が上がるということで、これは歯科におきましても、本当に受診抑制を危惧するところでございます。
こういったところを国民に丁寧に説明していって、コンセンサスが取れるか、納得がいただけるかというようなところも、十分配慮が必要だと思っておりますので、また、次回議論がということでございますので、そのときにもよろしく、慎重に御議論いただきたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
森委員、どうぞ。
〇森委員 ありがとうございます。
薬局の薬剤師の立場で言えば、今、長期間、薬を飲むことが必要な患者さんも多く、良い薬が開発されて、高額なものもあります。そういう薬を長期間飲まなくてはいけないこともあり、また、それが高額療養費の対象にならないケースもあります。患者負担が倍になったときに、毎月毎月のことですので、かなり負担感が増すのではないかと心配しています。
その結果、以前も話ししましたけれども、どうも来局間隔がおかしいということで、詳しく聞いてみたら、1日3回飲む薬を負担金を気にして、1日2回に調節して飲んでいた患者さんもいました。窓口負担の見直しは、慎重に検討すべきだと思います。
以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
よろしゅうございますか。
それでは、予定していた時間になりましたので、本日は、これまでにさせていただきたいと思います。
本日は、大変活発な御意見をありがとうございました。
本日の御意見も踏まえまして、調節となっている部分もありますので、事務局におかれましては、修正案を改めて提出していただきまして、次回は、引き続き議論を続けたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日は、これまでにしたいと思います。
次回の開催日につきましては、追って事務局より御連絡をいたします。
本日は長時間、どうもありがとうございました。