2020年10月30日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和2年10月30日(金)16:00~
 

出席者

出席委員(21名)五十音順

欠席委員(0名)

 

(注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人1名

行政機関出席者
 

  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  中井清人(医薬安全対策課長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
  •  山田雅信(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
  •  田宮憲一(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員(新薬審査等部門担当)) 他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは定刻になりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会のWeb会議を開催いたします。本日はお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。今回の医薬品部会についても、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。本日の出席状況ですが、浦野委員は後ほど御参加いただけると承知しております。したがいまして、現在のところ、当部会委員数21名のうち20名の委員が、このWeb会議に御出席いただいておりますので定足数に達している
ことを御報告いたします。また本日は、審議事項議題8及び9に関連して、九州大学大学院消化器・総合外科診療准教授の沖英次先生を参考人としてお呼びしております。部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告させていただきます。
 薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定されております。今回、全ての委員の皆様から薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何卒よろしくお願いいたします。
 また、本日のWeb会議に際し、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者におきましてマスクを着用したまま説明させていただく場合がありますので御了承いただければと思います。それでは清田部会長、以後の進行をお願いいたします。
○清田部会長 それでは、事務局から審議の進行方法の御説明をお願いします。
○事務局 本日はWebでの審議のため、対面での進行と異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明いたします。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず、御自身のお名前と、発言したい旨を御発言いただきますようお願いいたします。その後、部会長から順に発言者を御指名させていただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言ください。なお、発言者が多いときには、発言されたい委員がメッセージ欄に御記入いただくことで部会長より発言者を順番に御指名させていただけます。適宜、メッセージ欄も御利用いただければと思います。
○清田部会長 これまでの御説明に御質問、御意見はありますか。よろしいですか。それでは本日の審議に入ります。まず、事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告をお願いいたします。
○事務局 それではWeb会議に係る資料の確認をさせていただきます。本日、あらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料1~資料22までを用いますので、お手元に御用意をお願いいたします。このほか、資料23として、「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」を、資料24として「専門委員リスト」を、資料25として、「競合品目・競合企業リスト」を、また当日配布資料1-1~資料1-3として、レムデシビルの試験成績に係る資料を、当日配布資料2として「オプジーボの審査報告書の修正表」、当日配布資料3として「ヤーボイの審査報告書の修正表」を事前にメールにてお送りさせていただいております。なお、システムの動作不良などがありましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
 続きまして、本日のWeb会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。資料25の1ページです。「ゾフルーザ錠20mg 他1規格」です。本品目は「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療及びその予防」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
 続きまして、2ページ、「ラスビック点滴静注キット150mg」です。本品目は「肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらの3品目を競合品目として選定しております。
 3ページ、「テリルジー200エリプタ30吸入用 他3規格」です。本品目は「気管支喘息」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
4ページ、「ルミセフ皮下注210mgシリンジ」です。本品目は「既存治療で効果不十分な強直性脊椎炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎」を予定効能・効果としており、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
 5ページ、「オラデオカプセル150mg」ですが、本品目は「遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の2品目を競合品目として選定しております。
 6ページ、「ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.4mL 他3規格」ですが、本品目は「壊疽性膿皮症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はありませんので、「なし」と記載させていただいております。
 7ページ、「カルケンスカプセル100mg」ですが、本品目「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目が競合品目として選定しております。
 8ページ、「ビラフトビカプセル50mg 他1規格」です。本品目は「がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
 9ページ、「メクトビ錠15mg」です。本品目は、先ほどと同様に「がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
 10ページ、「セルペルカチニブ」です。本品目は「RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」他2つの効能を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
 11ページ、「イモバックスポリオ皮下注」ですが、本品目は「急性灰白髄炎の予防」を予定効能・効果としており、こちらのほうは競合品目として3品目を指定しております。
 12ページ、「ロタリックス内用液」で、こちらのほうも同様に、1品目、ロタテック内用液を競合品目として選定しております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。今の事務局からの説明に特段の御意見はありますか。よろしいですか。それでは、本Web会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の御了解を頂いたものとします。それでは、委員からの申し出状況について御報告をお願いします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申し出状況及び第5条に基づく取扱いについては、以下のとおりです。
 まず、議題1「ゾフルーザ錠」については退室委員なし、議決に参加しない委員として亀田委員、川上委員、清田委員、中野委員、濱委員、南委員、宮川委員、山本委員、渡辺委員です。議題2「ラスビック」については退室委員なし、議決に参加しない委員として川上委員、清田委員、中野委員、南委員、宮川委員です。議題3「テリルジー」につきましては退室委員なし、議決に参加しない委員として亀田委員です。議題4「ルミセフ」については退室委員として山口委員、議決に参加しない委員として亀田委員、島田委員、中野委員、南委員です。議題5「オラデオ」については退室委員なし、議決に参加しない委員として川上委員、南委員、宮川委員です。議題6「ヒュミラ」については退室委員なし、議決に参加しない委員として亀田委員です。議題7「カルケンス」については退室委員なし、議決に参加しない委員として亀田委員です。議題8「ビラフトビ」については退室委員として山口委員、議決に参加しない委員として亀田委員、濱委員、南委員、渡辺委員です。議題9「メクトビ」については退室委員として山口委員、議決に参加しない委員として亀田委員、濱委員、南委員、渡辺委員です。議題10「セルペルカチニブ」については退室委員として山口委員、議決に参加しない委員として亀田委員、濱委員、南委員、山本委員、渡辺委員です。
 また、議題11についても、各委員より寄附金・契約金等の受取りの申告を頂いておりますが、本議題は、薬事分科会審議参加規程第18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で申告書を公開することをもって、審議及び議決に加わることができるものとなっております。以上です。
○清田部会長 今の事務局からの御説明に特段の御意見はありますか。よろしいですか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。本日は、審議事項11議題、報告事項5議題となっております。長くかかります。それでは、審議事項の議題に移ります。今回は議事次第から順番を変えて、議題7から議題10、続けて議題1~議題6、そして議題11の順に審議いたします。どうぞよろしくお願いいたします。議題7について、機構からの概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題7、資料7、医薬品カルケンスカプセル100mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。以後の審査報告書のページ数は、各ページの86分の○で記載している数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるアカラブルチニブは、ブルトン型チロシンキナーゼ、以下BTKと略しますが、BTKに対する阻害作用を有する低分子化合物であり、BTKと結合し、BTKのキナーゼ活性を阻害することにより、B細胞性腫瘍の増殖等を抑制すると考えられています。
 今般、本剤は、「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」を効能・効果として承認申請されました。令和2年7月時点において、本剤は慢性リンパ性白血病にかかる効能・効果で、15カ国で承認されております。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料24にあるとおり8名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明いたします。
 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、海外第III相試験であるCL-309試験が提出されました。有効性については、審査報告書41ページの表30及び42ページの図1を御覧ください。再発又は難治性の慢性リンパ性白血病患者を対象としたCL-309試験において、主要評価項目とされた無増悪生存期間について、対照群に対する本剤群の優越性が検証されたこと等から、本剤の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、審査報告書49ページの上から9行目以降を御覧ください。本剤の使用時に特に注意すべき有害事象として、感染症、骨髄抑制、出血、不整脈、虚血性心疾患、間質性肺疾患、腫瘍崩壊症候群及び二次性悪性腫瘍が認められております。これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
以上のような、審査の結果、機構は「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。
なお、事前に南委員より、3点御質問を頂いておりますので、機構より回答させていただきます。1つ目は、「出血が血小板減少とは関係なく起きているとのことですが、「重要な基本的注意」でその点を明記したほうがよいように思います。血小板減少が見られていますので、血液内科医は出血が血小板減少のためと理解してしまいます」との御質問です。御指摘いただきました血小板減少を伴わない出血が認められている旨につきまして、本薬と同様の作用機序を有する既承認のイブルチニブでも血小板減少を伴わない出血が認められている状況ですが、当該内容については、添付文書の重要な基本的注意ではなく、医療従事者向けの資材にて情報提供をさせていただいております。したがいまして、既承認薬剤との整合性の観点を考慮して、本薬につきましても、イブルチニブと同様に、医療従事者向けの資材において具体的な発現率等も含めて情報提供させていただければと考えております。
 2つ目は、「審査報告書60ページには、二次性悪性腫瘍については、添付文書等を用いて情報提供するとありますが、添付文書には記載がないように思います。表42では、頻度が増えていますので記載しておくほうが良いと思います」との御質問です。この点につきましては、添付文書(案)を御覧ください。御指摘いただいた二次性悪性腫瘍については、添付文書(案)の15項の「その他の注意」の「15.1 臨床試験に基づく情報」において、皮膚有棘細胞癌、基底細胞癌、扁平上皮癌等の二次性悪性腫瘍が発生したとの報告がある」と記載しております。
 3つ目が、審査報告書66ページには、「強いCYP3A誘導剤とやむを得ず併用する場合には、本薬は200mg1日2回投与への増量を考慮すること」と記載してありますが、添付文書には記載されていないようです。適宜、増減では、200mg1日2回投与への増量は理解できないと思います」との御質問です。審査報告書36ページの1行目以降を御覧ください。御指摘いただきました「強いCYP3A誘導剤とやむを得ず併用する場合には、本薬200mg1日2回投与への増量を考慮すること」については、申請時に申請者が設定した内容となりますが、機構としては、強いCYP3A誘導剤と併用する際に本薬の1回用量200mgに増量した際の本薬の有効性及び安全性を検討した臨床試験成績が得られていないことから、現時点では、当該用量の適切性は不明であると考えております。したがって、申請者が設定した強いCYP3A誘導剤と併用する場合には、本薬を200mg1日2回投与への増量を考慮する旨の注意喚起は設定不要と判断しております。なお、用法・用量につきましても、申請時に設定されていた「適宜増減する」という記載は、「適宜減量する」に修正させていただいております。事前に頂いた御質問に対する回答は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、南先生、コメントをお願いします。
○南委員 ありがとうございます。出血の点については、了解しました。複数の血液を担当している医師に聞きましたが、やはり、この添付文書の記載ぶりでは、血小板減少によるものと考えて、重篤化は感じないというコメントでしたので、本薬との整合性という点であれば仕方がないと思います。しっかり情報提供をお願いできればと思います。
 2番目の二次性悪性腫瘍に関しては、書きぶりが少し弱いのではないかと気になります。ランダム化比較試験ではっきりと頻度の増加が見られます。メカニズム的に、二次性悪性腫瘍をきちんと説明することは難しいかもしれませんが、副作用として挙げておいたほうがいいように感じますが、いかがですか。
 3番目に関しては、データがないというのであれば結構だと思います。申請者のコメントだというところまでは読み取れませんでした。2番目の二次性悪性腫瘍については、いかがですか。
○清田部会長 いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 2点目の二次性悪性腫瘍については、審査報告書の59ページに臨床試験の詳細な情報を記載しております。表43に記載しているとおり、本薬群で一定の頻度で二次性悪性腫瘍は認められているものの、症例の詳細を確認したところ、多くの症例で本薬との因果関係が否定されているという状況を踏まえて、副作用という形ではなく、先ほど申し上げたような形で、添付文書で情報提供をさせていただくことが適切と考え、このような形としております。以上です。
○清田部会長 南先生、いかがですか。
○南委員 ただ、因果関係を否定しているのは、皮膚をきちんと診察する皮膚科医ではないと思います。やはり、ランダム化比較試験でこれだけ差が見られていますので、少し気になりますが、大丈夫でしょうか。ランダム化比較試験で副作用とは報告されていないからとそれを除外してしまうのでは、ランダム化比較試験での有害事象の扱い方に今後、問題が生じてくるように思いますが。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。頂いた御意見を踏まえて、機構において、添付文書でどういった形で注意喚起をさせていただくかについては検討させていただければと思います。御意見ありがとうございました。
○島田委員 皮膚悪性腫瘍というので、私は皮膚科なので一言だけ。南先生のおっしゃるとおりで、これは結構たくさん出ていますよね。アカラブルチニブに関しては書いていないのですが、これはブルトン型インヒビターですが、その他でBRAFインヒビターでも、単独で使うベムラフェニブのときに結構、皮膚悪性腫瘍は出たのです。こういうような形で実は出ていて、我々の所は、インヒビターを一緒に使うと、なぜか副作用は出なくなったということがあって、BTKも何か別のインヒビターと使うと出なくなる可能性はあるのですが、やはりこれだけ出ていたら、南先生がおっしゃるように、私は何らかの注意喚起は必要かなとは考えます。以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。
○医薬品医療機器総合機構 貴重な御意見をありがとうございました。本日頂いた御意見を踏まえて、添付文書の副作用の項にどういった形で記載するかについては、こちらで検討させていただければと思います。
○半田委員 今、南先生の御質問にもあったのですが、BTKというのは、実は血小板にも発現しており、先天性のBTK血損症のX連鎖無ガンマグロブリン血症の患者さんの血小板は、コラーゲンで刺激すると、コラーゲン凝集が低下しているという事実があるのです。その当時は、BTK阻害薬の認識がなかったので、実際に実験はできていないのですが、多分、1つの出血の要因としては、血小板の機能低下があるのではないかとは思っています。この辺に関して基礎検討がされているのかどうかというのは知りたいところですが、一応、コメントとして血小板機能を低下させる作用がBTK阻害薬にはある可能性があります。イブルチニブに関しては、2年ぐらい前に、この会で同じことを私は指摘させていただいたのですが、多分、そういう可能性は1つあるのではないかと思います。以上、コメントです。
○清田部会長 ありがとうございます。機構、いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございました。御指摘いただいた血小板機能への影響に関しては、今回の申請では検討されておりません。
○清田部会長 半田先生、よろしいですか。
○半田委員 そうですね。簡単に調べることができます。この阻害薬を、実際にin vitroで、あるいはex vivoでもいいですが、飲んでいただいて、血小板凝集が簡単にできる検査で、コラーゲン凝集を見ることです。そして、その凝集が低下するならば、この薬剤による血小板機能低下作用が出血症状に何らかの影響をしている可能性が出てくると考えます。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、今後の検討をメーカーのほうにお願いするという形を取らせていただきたいと思います。
○半田委員 よろしくお願いします。
○清田部会長 その皮膚癌ですが、有棘細胞癌の発現が多いという御指摘がありまして、注意喚起の方法としては、後日、機構から南先生、島田先生も含めて、皆様にお知らせするということにさせていただきますが、よろしいですか。ありがとうございます。ほかに御意見はありますか。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。今の南委員の御指摘は非常に重要なことなので、余り曖昧な形にしないで、是非とも副作用のところに、ある程度の文言が入ると使用する側としては非常によろしいのではないかと思いますので、御配慮いただければ幸いかと思います。
 1つお聞きしたいのは、審査報告書の36ページ、表28では、治験の責任、医師の判断で奏効率が66.7%と記載されておりますが、添付文書、17.1.2のところでは、治験担当医師の判定で、88.9となっております。添付文書では奏効率が良くなっているのですが、その理由が、判定基準が違うのか、あるいは添付文書が最新のもので、そういうふうな形になったのか、明らかではありません。報告書と添付文書の違いを、どういうふうに捉えたらいいのかということでお聞きいたしました。以上です。
○清田部会長 今の御指摘は大丈夫ですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構のほうから御回答させていただきます。今の点については、審査報告書の48ページの7.R.2の4項を御覧ください。先ほど御指摘いただいた奏効率の結果は申請時に提出された結果となりますが、48ページにフォローアップした最新の結果を記載しており、その奏効率は88.9%となっております。添付文書では、最新の結果を記載しています。以上です。
○宮川委員 ありがとうございました。
○清田部会長 ほかに御意見はありますか。よろしいですか。それでは、御意見がないようですので、議決に入りたいと思います。亀田委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について承認を可としてよろしいですか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
続きまして、議題8及び9に移ります。山口拓洋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議題8~10の審議の間、会議から御退出していただくことにいたします。山口委員は御退出をお願いいたします。
(山口委員 退出)
〇清田部会長 それでは、議題8及び9について、機構から内容のご説明をお願いいたします。
○清田部会長 機構からどうぞ。
○医薬品医療機器総合機構 議題8、資料番号8、医薬品ビラフトビカプセル50mg他、及び議題9、資料番号9、医薬品メクトビ錠15mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。資料番号8と資料番号9の審査報告書について、頭紙はそれぞれビラフトビカプセルとメクトビ錠の内容に書き分けており、異なる記載となっておりますが、頭紙以降の別紙は同一であることから、以降、資料番号8のビラフトビの審査報告書に基づいて説明させていただきます。また、審査報告書のページ数は各ページの64分のXで記載している数字を使用いたします。
 BRAFはMAPK経路の活性化に関与しており、BRAF遺伝子変異により、BRAFが恒常的に活性化され、下流のMEK等のリン酸化を介してMAPK経路を活性化することにより、腫瘍細胞の増殖促進、アポトーシス抑制等を引き起こすと考えられています。
 ビラフトビカプセルの有効成分であるエンコラフェニブは、BRAFを阻害することにより、また、メクトビ錠の有効成分であるビニメチニブは、BRAFの下流のMEKを阻害することにより、BRAF遺伝子変異を有する腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。
現在、エンコラフェニブ及びビニメチニブは、併用投与の用法・用量にて、「BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫」に係る効能・効果で承認されており、今般、「BRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」を効能・効果として承認申請されました。なお、本邦におけるBRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌患者数は、1,500人程度と推測されています。令和2年7月時点において、BRAF遺伝子変異を有する結腸・直腸癌に係る効能・効果で、エンコラフェニブは32の国又は地域で承認されておりますが、ビニメチニブが承認されている国又は地域はございません。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料24にあるとおり4名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明いたします。
今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、BEACON CRC試験と呼ばれる国際共同第III相試験が提出されました。本試験では、エンコラフェニブ、ビニメチニブ及びセツキシマブの併用投与群(以下、「3剤群」)、エンコラフェニブ及びセツキシマブの併用投与群(以下、「2剤群」)、治験担当医師により選択された治療薬群(以下、「IC群」)の3群が設定され、主要目的として3剤群とIC群の比較、副次目的として2剤群とIC群の比較がそれぞれ行われました。
有効性については、審査報告書14ページ及び15ページの表5を御覧ください。一次治療又は二次治療後に増悪したBRAF V600E変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌患者を対象としたBEACON CRC試験において、主要評価項目とされたRECIST ver1.1に基づく中央判定による奏効率及び全生存期間(以下、「OS」)について、主要目的であるIC群に対する3剤群の優越性が検証されました。また、副次目的である2剤群とIC群の比較においても、IC群に対する2剤群の統計学的に有意に高い奏効率及び統計学的に有意なOSの延長が認められました。
 安全性については、審査報告書21ページ、7.R.3を御覧ください。3剤投与時及び2剤投与時に特に注意すべき有害事象として、既承認の効能・効果と同様、眼障害、心機能障害、肝機能障害、横紋筋融解症、皮膚悪性腫瘍、高血圧、出血及び手掌・足底発赤知覚不全症候群が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に対して十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。
以上より、3剤投与及び2剤投与のいずれについても、BEACON CRC試験の対象患者に対する臨床的有用性が示されたと判断いたしました。
 3剤と2剤の使い分けについてですが、BEACON CRC試験の対象であるBRAF遺伝子変異陽性の結腸・直腸癌患者については、極めて予後が悪く、既存治療による治療効果が限定的であることを踏まえ、両治療法を医療現場に提供した上で、患者の状態に応じて使い分けていただくことが適切と判断いたしました。以降、その理由を御説明いたします。
審査報告書48ページ、図9を御覧ください。探索的な解析ではありますが、全体集団において2剤群に対する3剤群のOSの延長傾向が示唆されております。これに加え、図9にお示しますように、3剤群と2剤群の比較におけるOSの部分集団解析結果が得られております。これらの結果に基づき、ECOG PS1、転移臓器数3以上、CRP値1mg/dL超、原発巣が未切除、又は不完全切除の患者においては、3剤投与が推奨されると考えております。また、既承認の悪性黒色腫と同様に、結腸・直腸癌においてもMEK阻害剤であるビニメチニブの併用の有無により安全性プロファイルが異なることが示されております。
さらに、現在、関連学会において、3剤と2剤の使い分けに関する見解発出の準備が進められており、本医薬品第二部会において御了承いただけましたら、承認に合わせて発出される予定と伺っております。
 以上を踏まえ、BEACON CRC試験成績の詳細については、資材等を用いて医療現場に情報提供するとともに、関連学会の最新の見解を参考として、患者の状態に応じて、3剤及び2剤の適切な選択を行う必要がある旨を添付文書の用法・用量に関連する注意の項において注意喚起することといたしました。
 以上のような審査の結果、機構は「がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」を効能・効果として、3剤及び2剤のいずれも承認することは可能と判断いたしました。
 本申請は、希少疾病用医薬品として承認された新有効成分含有医薬品に対する希少疾病用医薬品に指定されていない効能・効果等の追加に係るものであることから、追加される効能・効果等に対する再審査期間を両品目ともに5年10か月とすることが適当であると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。
 なお、南委員より、事前に2点御質問を頂いております。1つ目は、「国際共同第Ib/II相試験(X2103試験)では、200mgを推奨用量とされていますが、第III相試験(BEACON CRC試験)では、300mgを使用されています。その経緯が分かれば教えてください」との御質問です。
 審査報告書11ページの下段、「本試験の~」以降を御覧ください。200mgは、エンコラフェニブ、セツキシマブ及びalpelisib併用投与時のエンコラフェニブの推奨用量です。X2103試験の第Ib相パートにおけるエンコラフェニブ、セツキシマブ及びalpelisibの併用投与の安全性データ等を踏まえ、第II相パートにおけるエンコラフェニブの推奨用量は200mgと決定されました。
 一方、BEACON CRC試験におけるエンコラフェニブの用量設定根拠については、審査報告書35ページ中段の1ポツ目を御覧ください。X2103試験の第Ib相パートにおいて、エンコラフェニブ及びセツキシマブ併用投与時のエンコラフェニブの推奨用量は400mgに決定されましたが、別試験であるX2101試験において、エンコラフェニブ単独投与時の推奨用量が300mgであったこと等から、セツキシマブ併用時の安全性を考慮し、BEACON CRC試験ではエンコラフェニブの用量として300mgが選択されました。
 2つ目は、「他剤では、単剤では皮膚悪性腫瘍の増加が見られていたと思います。頻度が低いのでリストされていないかもしれませんが、比較試験において、本薬で皮膚悪性腫瘍が増加していなかったのでしょうか」との御質問です。
 BEACON CRC試験の第III相パートにおいて、皮膚扁平上皮癌は2剤群では1.4%(3/216例)に認められ、ビニメチニブを併用した3剤群では、皮膚扁平上皮癌は認められませんでした。以上が御回答となります。審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ただいまの御説明で、南先生ごめんなさい、先に沖先生から御発言を頂いてから審議に入りますので、沖先生、御発言をお願いします。
○沖参考人 私は現場の医師として発言させていただきます。あくまで現場の医師であり、この臨床試験(治験)には参加しておりません。ただ、この薬剤のことについてはよく存じておりまして、結果を期待していた現場の医師として発言させていただきます。BRAFのミューテーションの患者というのは現場の印象でもかなり予後が悪くて、治療に困っている症例です。頻度としては高くないです。先ほど御説明があったとおり、実際にはBRAFのミューテーションというのは大体、大腸癌の5%ぐらいですし、ステージIVが年間に3万人の症例数とすれば、5%だったら1,500人という意味で先ほど年間患者数を1,500人と言われたのだと思います。実際に二次治療を始めようとする段階での本治療の適用になる患者というと、更に少なくなると思います。そういう患者というのは大体私の印象では、肺転移が数多くあったり、肝転移が多発している、かなり状態の悪い患者です。つまり、そこで行われる次の治療が効かないと命を落とすような状態です。そのような患者にとって、新しい治療が出てくるということで、現場ではかなり期待をしていました。そういう意味で、この臨床試験の結果を見ると、やはり3剤と2剤ですこし違いがあるという印象があるのです。3剤のほうがレスポンスも高いですし、転移部位が多い患者など状態の悪い患者には2剤よりよい結果になっています。現場の医師としては、より少しでもいい治療を患者に届けたいという気持ちでいます。それが、まず現場の医者の気持ちかなと思います。
 3剤と2剤で、有害事象の違いとかを見てみても、3剤のほうが特に有害事象が強いというようにはなっていません。したがって、現場の医者のほうで、3剤を使うか、どういう人に2剤を使うかという判断を現場の判断に少し任せていただきたいというのが私の正直な気持ちです。以上です。
○清田部会長 はい、ありがとうございます。沖先生はしばらくお付き合いいただきます。
○沖参考人 はい。
○清田部会長 南先生から先ほどの途中ですが、御意見を承りたいのですが、いかがでしょうか。
○南委員 了解しました。皮膚腫瘍に関しまして、それほど多くはないということは理解しました。2剤群で1.4%というのは気になりますが、この薬は消化器の先生はその点を理解しているだろうと信じます。
 一つ、追加で教えていただきたいのは、化学療法群では見られていなかったのですよね。
○医薬品医療機器総合機構 機構から御回答いたします。はい、化学療法群(IC群)では認められておりません。
○南委員 はい。せっかく3群の比較試験ですので、そこまで御紹介いただければよかったかなと思います。了解しました。
○清田部会長 ほかに。
○島田委員 よろしいですか、島田です。これは先ほど私、BRAFインヒビターのことについて発言させていただきました。これは別のBRAFインヒビターなのですね。このエンコラフェニブは。要するにそれと先ほど申しましたとおり、MEKインヒビターと併用すると、なぜか副作用が少なくなる。皮膚の悪性腫瘍もエンコラだけだと出たけれど、両方やると出ない。だからメラノーマの治療と一緒なのですよ、全く。で、ちょっと申し訳ないのですけれど、消化器の先生方は多分、皮膚悪性腫瘍が出たからって、そんなにすぐに気付くかなという、申し訳ないですけれど。皮膚をよっぽど見ていないと分かりにくいのです。やはり、これは頻度が少ないという印象を、これは本当に出るかもしれません、このBRAFでいくと。要は、こういうのは似た系統の薬を使うと確実に出るのです、1剤だと。だから、エンコラだけでいくと、エンコラとそのセツキシマブを使っているのはそれはいいですが、それはあれとして、要するにBRAFとMEKという意味では、BRAFだけだと出やすくなるということなのですよ、結局。これがここでも証明されているということです。
 それからメラノーマの場合は、BRAFだけだと効果が弱いのですよ、かなり。BRAFと大腸癌は一緒ではないだろうと言われれば、それはそのとおりです。けれども、普通はBRAFとMEKとを一緒にやると、BRAFの経路が完全に阻害されるということです。だから結局、本当は2剤を使ったほうが効くはずです。しかも臨床試験もそのような傾向ですよね。それがはっきりと出ているので、なぜ2剤と言っているけれど、実はエンコラ、プラス、セツキシマブか、ややこしいのですけれど、承認されるのかなと、ちょっと私としては疑問です。メラノーマの世界では、この1剤でやるのはほとんど多分ないと思うのですけれど。BRAFとMEKを合わすというのは、常識なのです。ということで、なぜこのBRAFだけを何日もしているかというのはよく分からないです。副作用の観点から見ても結局増やすと多くなるのは普通、皆さん常識でしょうけれど、増やすと減るのですよ。そういう意味では、ちょっと変というか、変わってはいるのですが、メラノーマでは証明されているので、大腸癌でも恐らく一緒になるのかなというのが私の意見です。
○清田部会長 ありがとうございます。機構から何かありますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構です。先生、御指摘ありがとうございます。3剤群と2剤群における有効性の成績は先ほど申し上げましたとおりです。先生の御説明のとおり、作用機序の観点からもビラフトビとメクトビの併用意義は説明されております。また、3剤群で発現が少ない有害事象として、皮膚悪性腫瘍以外に、関節痛、頭痛、不眠症について2剤群と比較して3剤群における発現が少ないという結果が得られております。
 一方で、2剤群より3剤群で発現が多い有害事象として、嘔吐、下痢、悪心などがございます。以上より、安全性プロファイルが3剤と2剤で異なるという点も踏まえると、両治療法を治療選択肢として医療現場に提供し、患者の状態によって、3剤と2剤を使い分けていただくことが適切と機構は考えております。以上です。
○清田部会長 悪性腫瘍の発現の注意喚起についてはどうですか。
○島田委員 ちょっと、そこがよく分からないです。消化器の副作用はそんなにものすごく大きいものなのかどうかというのはあるのですけれども。基本、私が言ったとおり作用機序とか、いわゆるサイエンスの面から見ると、ちょっと。使い分けるというと、誰がどう判断して使い分けるのかというのもあるし、普通は常識的には、これは3剤かなというのが、今の御意見だと分かりにくいかなと、私としては思います。
○清田部会長 いかがですか、機構、よろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構です。はい、特に追加はございません。
○清田部会長 ほかに、御意見はございますでしょうか。
○南委員 南です、追加よろしいでしょうか。今の点に関しましては、BRAF阻害薬のビラフトビのほうには「重要な基本的注意」の箇所に、皮膚悪性腫瘍のことをしっかり書いていただいてあるのですね。ただ、確かに消化器内科医が細かい皮膚病変まで毎回の診察で観察しているかはいろいろ問題もあろうかと思います。ですので、皮膚科医との連携が重要になってくると思います。その点は是非、市販後の資材等で、皮膚科医との連携を取ってもらうように、促していただくほうがいいように思います。
それから、BRAF阻害薬のみだとネガティブフィードバックが解除されてRASからのシグナルがCRAFを介して伝達し皮膚悪性腫瘍は増えますが、MEK阻害薬を併用するとそのシグナルが抑えられて腫瘍が抑制できるというメカニズムは、薬剤開発をしている人間にはよく知られています。しかし、一般の消化器、皮膚科の先生方がそれを理解しているかどうかという点は確かに不安な点もありますので、それも含めて資材でしっかりと情報提供していただくという形でどうでしょうか。
○清田部会長 それでは、そのように機構からお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 議決に入ります。議題8及び9のいずれにつきましても、亀田委員、濱委員、南委員、渡辺委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。
議題8について、承認を可としてよろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。議題9について、承認を可としてよろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。
 沖参考人は御退出ください。どうもありがとうございました。
○沖参考人 どうもありがとうございます。失礼いたします。
(沖参考人退出)
○清田部会長 続きまして、議題10に移ります。事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 議題10、資料10セルペルカチニブを希少疾病用医薬品として指定することの可否について御説明いたします。資料10の「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」を御準備いただければと思います。報告書1ページ中程を御覧ください。申請者は「日本イーライリリー株式会社」、予定される効能・効果は「RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、RET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺癌及びRET変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様癌」になります。まず、「対象患者数」について、厚生労働省における患者調査及び文献報告に基づき、本邦におけるRET融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌の患者数は4,390人、RET融合遺伝子陽性の甲状腺癌の患者数は1,690人、RET遺伝子変異陽性の甲状腺髄様癌の患者数は200人と推測されており、指定基準を満たしているものと考えております。
 続いて、2ページ目の「医療上の必要性について」です。切除不能な非小細胞肺癌、甲状腺癌及び甲状腺髄様癌患者に対しては、RET融合遺伝子又はRET遺伝子変異の有無によらず同一の化学療法等が行われておりますが、治療効果は限られており、RET融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌、RET融合遺伝子陽性の甲状腺癌、及びRET遺伝子変異陽性の甲状腺髄様癌は依然として予後不良な疾患です。また、RET融合遺伝子又はRET遺伝子変異は、RETを介したシグナル伝達経路を亢進させることにより、腫瘍の生存・増殖に大きく寄与することが報告されていること等から、RETのチロシンキナーゼを阻害する本剤は、対象疾患に対する有効性が期待されます。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、3ページの「開発の可能性について」です。国際共同第I/II相試験の中間解析における奏効率は既治療例及び未治療例において、RET融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌患者では、それぞれ44.1%及び50.0%、RET融合遺伝子陽性の甲状腺癌患者では、それぞれ55.6%及び69.2%、RET遺伝子変異陽性の甲状腺髄様癌患者では、それぞれ56.3%及び50.0%という結果が得られています。以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。
 したがいまして、希少疾病用医薬品指定の3要件を満たしていると考えております。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○清田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見を伺いたいと思います、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、御意見、御質問がないようですので、議決に入りたいと思います。亀田委員、田村委員、南委員、山本委員、渡辺委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。また私についても同様の扱いです。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題1に移ります。御待機されている山口委員をお呼びください。
(山口委員 入室)
○清田部会長 それでは、山口先生が戻られましたので、議題1について審議したいと思います。まず、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、医薬品ゾフルーザ錠20mg、同顆粒2%分包の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、御説明いたします。ダブレットの資料1のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。
 ゾフルーザ錠20mg、同顆粒2%分包(以下、この2剤を本剤と略す)、これらの有効成分であるバロキサビルマルボキシル(以下、本薬)は、体内で活性代謝物に代謝され、インフルエンザウイルスに特異的な酵素であるキャップ依存性エンドヌクレアーゼの活性を阻害することにより、感染細胞内でのインフルエンザウイルスRNAの転写反応を阻害し、宿主内でのウイルス増殖を抑制すると考えられています。本邦では、本薬を有効成分として含有するゾフルーザ錠20mg、同錠10mgが、「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症」の効能・効果、つまり治療薬として、2018年2月に承認されています。その後、本薬を2%含有するゾフルーザ顆粒2%分包が、剤形追加に係る申請がなされ、2018年9月に承認されています。
今般、本薬20mg錠又は顆粒剤を用いた臨床試験において、本薬の「インフルエンザウイルス感染症の予防」に対する有効性及び安全性が示されたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。なお、海外においては、インフルエンザウイルス感染症の治療薬として、2020年8月時点で、米国、香港、タイ等の21か国で既に承認されておりますが、予防薬としては、いずれの国又は地域においても承認されておりませんが、米国、台湾等において、承認申請中です。本申請の専門委員として、資料24に記載の7名の委員を指名しました。審査内容について、臨床試験成績を中心に説明いたします。
 有効性について、通し番号20/48(審査報告書の18ページ)の表13を御覧ください。この表は、A型又はB型インフルエンザウイルス感染症を発症している患者(以下、初発患者と略す)の同居家族又は共同生活者を対象とした本剤の国内第III相試験における主要評価項目である、治験薬投与10日目までにおける症候性インフルエンザウイルス陽性被験者の発症頻度の結果を示しています。発症頻度は本薬群で7/374例(1.9%)、プラセボ群で51/375例(13.6%)と、プラセボ群に対して本薬群が統計学的に有意に低く、インフルエンザウイルス感染症の発症予防に係る本薬の有効性が検証されました。
 続いて、年齢区分別、体重区分別の部分集団での有効性について、通し番号27/48(審査報告書25ページ)の表19を御覧ください。年齢区分(12歳以上、12歳未満)及び体重10kg以上の各体重区分の部分集団において、本薬群はプラセボ群と比較して、発症頻度が低く、全体集団と同様の結果が認められました。
 続いて、初発患者のインフルエンザウイルスの型/亜型別の有効性について、通し番号の24/48(審査報告書22ページ)を御覧ください。表17には、初発患者のインフルエンザウイルスがA型のH1N1pdm亜型、A型のH3亜型の部分集団において、本薬群はプラセボ群と比較して発症頻度が低く、全体集団と同様の結果が認められたことから、本薬のA型のインフルエンザウイルス感染症の予防効果については確認されたと考えます。
 一方、初発患者のインフルエンザウイルス型がB型であった部分集団は、本薬群2例、プラセボ群3例と限定的であったことから、本薬のB型インフルエンザウイルス感染症の予防効果について有効性が確認されたと結論づけるには限界があると考えておりますが、一方、非臨床薬理試験においてB型インフルエンザウイルスに対するウイルス増殖抑制効果及びウイルス感染に起因する致死率の改善効果が示されていること、また、治療効果の確認を目的とした試験ではあるものの、予防投与の主な適用対象と考えられるハイリスク因子を有する被験者を対象とした臨床試験成績等で、B型インフルエンザウイルス感染症患者の部分集団における本薬のウイルス力価の減少効果及び臨床効果が確認されていること等から、B型インフルエンザウイルス感染症に対しても本薬の予防効果は期待できると判断しました。
 以上から、本薬の効能・効果は申請のとおり、「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療及び予防」と設定することは可能と考えました。ただし、添付文書等で、B型インフルエンザウイルス感染症に対する予防投与の有効性を示すデータは限られていることを注意喚起した上で、製造販売後においても、引き続きB型インフルエンザウイルス感染症に対する本薬の予防効果に係る情報収集を行い、得られた知見は速やかに医療現場に提供する必要があると判断しました。
 次に、本薬に対する低感受性アミノ酸変異ウイルスの出現状況について、通し番号の28/48(審査報告書26ページ)の表20を御覧ください。表20には、国内第III相試験における本薬に対する低感受性変異であるポリメラーゼ酸性タンパク質のI38又はE23変異を有する変異株が検出された被験者数・頻度について、mITT集団でのデータが右から4列目に示されており、年齢区分別では、12歳未満で7.0%、12歳以上が3.3%であり、体重区分別では、低体重ほど変異ウイルスの発現頻度が高くなる傾向が認められました。この傾向は、これまでに実施された治療に係る臨床試験でも、同様に認められております。
 具体的には、通し番号29/48(審査報告書27ページ)の表21を御覧ください。表21の上から3~6行目に、12歳以上の患者を対象とした治療に係る2試験、それより下には12歳未満の小児患者を対象とした2試験のウイルス型/亜型別かつ体重区分別の変異ウイルスの発現状況を示しております。12歳以上の患者を対象とした2試験では、変異の発現頻度は左から2列目のとおり、全体集団でそれぞれ9.7%及び5.2%ですが、12歳未満の小児患者を対象とした2試験では、それぞれの「全区分」の所を見ていただくと、23.7%と19.2%と、12歳以上と比べて12歳未満では高くなる傾向が認められました。
 以上から、12歳未満の小児に対する本薬の予防投与により、低感受性変異ウイルスの蔓延を助長する可能性があるという公衆衛生上の懸念があったことから、当該小児に対する用法・用量の承認の可否については、専門協議において慎重に検討いたしました。
その結果、既存のインフルエンザウイルス感染症予防薬、主にノイラミニダーゼ阻害剤に対する耐性ウイルス蔓延時等の緊急時に本剤が使用できないことのデメリットを考慮すると、投与対象を、より厳格に管理した上で、12歳未満の小児に対しても本剤を使用可能としておくことが望ましいと考えました。具体的には、体重20kg以上の小児、おおよそ就学児童の年齢に相当しますが、体重20kg以上の小児に対しては、予防投与に係る用法・用量は設定するものの、添付文書の効能・効果関連注意の項において、最新のガイドライン等を参照し、流行ウイルスの薬剤耐性情報に留意し、他の抗インフルエンザウイルス薬の使用を考慮した上で慎重に本剤の投与を検討する旨を注意喚起すること、さらに関連学会とも連携して本剤の適正使用を推進すること等の対応を講じる必要があると判断しております。一方で、体重20kg未満の小児については、低感受性アミノ酸変異の発現頻度を踏まえて、現時点では用法・用量は設定しないと判断しました。
 次に、安全性について説明いたします。通し番号34/48(審査報告書32ページ)の表25を御覧ください。表25には、国内第III相試験での年齢別の安全性の概要を示しており、有害事象の発現率は、12歳未満では本剤群で25.4%、プラセボ群で25.4%、12歳以上では、本剤群で21.5%、プラセボ群で19.4%であり、両群で差は認められませんでした。有害事象全体及び2%以上の頻度であった上咽頭炎の有害事象の発現頻度は、12歳以上より12歳未満の集団でやや高かったものの、その傾向はプラセボ群と同様でした。
 体重20kg以上の体重区分における予防投与の用法・用量を設定する体重20kg以上の体重区分における予防投与の用法・用量は、既承認の治療投与の用法・用量と同一であること、また、国内第III相試験で認められた有害事象は、おおむね既知の事象であり、転帰はいずれも回復又は軽快となったこと等から、インフルエンザウイルス感染症の予防投与に係る安全性上の新たな注意喚起は不要と判断しました。
 以上の審査を踏まえ、機構は、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本申請は新効能医薬品としての申請ですが、既に付与されている再審査期間の残余期間が4年以上であることから、再審査期間は残余期間の令和8年2月22日までと設定することが適切と判断しました。なお、薬事分科会には報告を予定しています。
 なお、本件につきまして、事前に渡辺委員に、本剤の予防有効期間、つまり内服は何日間なら予防効果があるのかということに関して御質問を頂いておりましたので、回答させていただければと存じます。
 国内第III相試験では、A型又はB型インフルエンザウイルス感染症を発症した患者(初発患者)の同居家族又は共同生活者を対象として、投与1日目から10日目における発熱かつ呼吸器症状を有するインフルエンザウイルス感染症の発症頻度を評価していました。この10日間という評価期間は、初発患者のインフルエンザウイルス排出期間及び予防投与を受ける被験者でのインフルエンザウイルス感染の潜伏期間を考慮して設定されており、この試験デザインは単回投与の類薬であるイナビル吸入粉末剤20mgと同様です。当該試験の結果、試験結果を通じてプラセボ群と比較して本剤群においてインフルエンザウイルス感染症の発症頻度は抑制されていたことから、当該試験の条件下では、投与開始から10日目までの期間における予防効果は確認されたと考えています。
 この点に関して、類薬のイナビルと同様に、添付文書の用法・用量に関連する注意の項で、具体的には「本剤を服用した日から10日を超えた期間のインフルエンザウイルス感染症に対する予防効果は確認されていない」旨を注意喚起しております。以上が御質問に対する回答です。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 まず渡辺先生、先ほどの御質問に対する回答についてはいかがでしょうか。
○渡辺委員 明解な御説明をありがとうございました。十分に納得いたしました。
○清田部会長 あと2人から御質問を承っています。まず、菊池先生です。12歳未満の20kg未満では断念したと。承認しないわけですが、根拠はどこに書いてありますかという御質問です。機構からお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 20kg未満で承認をしない理由については、審査報告書での記載と理解しました。審査、専門協議を踏まえた議論等で、審査報告書にも具体的には、通し番号42/48~43/48ページの1.1項「低感受性アミノ酸変異ウイルスの発現状況を踏まえた12歳未満の小児に対する投薬の予防投与について」という項において、審査結果を議論しております。
 具体的に専門協議でご意見をいただいた、「体重20kg以下の小児に関しては、体重20kg以上の小児及び成人と比較して、低感受性アミノ酸変異の発現が、より高い傾向を踏まえると、用法・用量の検討が十分でない可能性がある」とのご意見を尊重して、機構として最終的には、予防投与の用法・用量を設定するものは12歳未満、かつ体重20kg以上の小児というように判断しております。
○清田部会長 菊池先生、よろしいですか。
分かったような、分からないような、とのことです。
後から、事務局から御説明していただくということにさせてください。続いて、宗林先生です。
○宗林委員 お聞きしたいのですが、1回投与、予防投与をして10日間の効果があるというお話でしたが、予防投与は繰り返しの投与は認められることになるのでしょうか。例えば家族の中で、10日間たった後も患者がいる場合とかですが、最低限、どのぐらい空けないといけないとか、そういうことは、安全性上はどうなのでしょうか。
○清田部会長 機構からお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘の点は、予防投与をインフルエンザシーズン期間中、何回も投与される可能性があるという御質問だと思います。現時点で、10日を過ぎた後に再投与した臨床試験成績は得られていない状況です。10日間空ければ、薬物動態的には、ある程度薬物濃度が減衰することから10日間後には再投与される可能性があると考えていますが、現時点で具体的な臨床試験成績が得られていない現状ですので、臨床現場の先生の御判断で、再投与の可否を判断いただくことになるものと考えております。
○宗林委員 ありがとうございました。1回のシーズンの間に何回も受けていいのか、あるいはそういうことの履歴をきちんと示すようなことが必要なのかという辺りも、実際の運用上は必要なのではないかと思います。
 今の話ですと、10日を過ぎて体内濃度が減衰するので、また投与してもいいということの理解でよろしいですか。
〇清田部会長 機構、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 基本的には、薬物動態的には10日を過ぎた場合には薬物濃度が減衰しているということは確認できていますが、御指摘の点も踏まえて、このような疑問点を持つ臨床現場の声もあると思いますので、その辺りについては申請者とも検討して、ある程度考え方を整理した上で、情報提供するよう検討させていただきます。
○宗林委員 よろしくお願いします。医療従事者は、常に投与したくなるかもしれませんし、よろしくお願いします。
○清田部会長 ほかに御意見はございますでしょうか。
○宮川委員 日本医師会の宮川ですが、よろしいでしょうか。
○清田部会長 どうぞ。
○宮川委員 今、宗林委員が御質問したのは非常に重要なことで、ある程度体重が多い子というのはそれでもいいのでしょうけれども、12歳未満でも体重が20kg以上の小児へのメリットとデメリットという問題点が出てくるのではないかと思うので、その辺はしっかりと、もう一回配慮するなり、きちんとした文言を載せるなりしないと、臨床現場は困るのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○清田部会長 機構、お答えください。
○医薬品医療機器総合機構 現状、単回投与の予防投与に係る類薬の記載を参考にしつつ本剤の注意喚起を記載したのですが、臨床現場の声として、やはり現行では分かりづらいところがあるとの御意見と理解しましたので、申請者と、資材等も含めて、追加投与の考え方等を整理した上で、臨床現場に提供するように申請者と協議いたします。
○宮川委員 表21のように、低感受性アミノ酸変異ウイルスが非常に生じやすい12歳未満の問題があります。12歳未満でも体重が20kg以上という形で明記されてしまうと、単回投与ではなくて、2回投与、3回投与という可能性もあるわけです。禁じられていなければ、そういうような低感受性アミノ酸変異ウイルスが出現するということは想定されることになりますので、是非ともその辺の整理を機構でしっかりと考えていかないといけないのではないかと思いました。いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 承知いたしました。その点も含めて、適切な情報提供を検討させていただきます。ありがとうございました。
○宮川委員 よろしくお願いします。
○清田部会長 ほかに御意見がないようですので、議決に入りたいと思います。亀田委員、川上委員、中野委員、濱委員、南委員、宮川委員、山本委員、渡辺委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加は御遠慮いただくことにいたします。また、私につきましても同様の扱いです。
本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に御報告とさせていただきます。
 続きまして、議題2に移ります。議題2について、機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2、医薬品ラスビック点滴静注キット150mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。タブレットの資料2のフォルダをお開きいただき、審査報告書のファイルをお開きください。
 ラスビック点滴静注キット150mg(以下、本剤と略す)は、ラスクフロキサシン塩酸塩を有効成分とするニューキノロン系抗菌薬の注射剤です。本邦において、同じ有効成分を含有する経口剤が、呼吸器感染症及び耳鼻咽喉科感染症に対して、2019年9月に承認されております。今般、本剤は呼吸器感染症に対する注射剤として開発され、入院加療が必要とされた呼吸器感染症患者を対象とした国内第III相試験成績等に基づき、本剤の製造販売承認申請が行われました。本剤は、2020年10月時点で海外で承認されておりません。本申請の専門委員として、資料24に記載の5名の委員を指名しました。審査内容について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。
 まず、有効性につきまして、通し番号で29/46の7.R.1を御覧ください。市中肺炎患者を対象とした国内第III相試験(AMY-I301試験)において、主要評価項目であるPer Protocol Setにおける治癒判定時の臨床効果は、本剤群95.2%、対照薬であるレボフロキサシン群90.0%であり、群間差の95%信頼区間の下限値が、事前に設定された非劣性マージンのマイナス10%を上回ったことから、レボフロキサシンに対する本剤の非劣性が検証されました。また、慢性呼吸器病変の二次感染、誤嚥性肺炎及び肺化膿症・肺膿瘍患者を対象とした国内第III相試験であるAMY-I302試験においても、同様の結果が得られました。以上より、肺炎、肺膿瘍及び慢性呼吸器病変の二次感染に対する本剤の有効性は示されたと判断いたしました。
 次に、安全性について、通し番号の33/46ページをお開きください。国内臨床試験における安全性の概要をお示ししております。中ほどのカラムにお示しした主な国内第III相試験であるAMY-I301試験において、本剤群とLVFX群で、有害事象、副作用等の発現割合に大きな差異を認められませんでした。
 次に、通し番号の36/46ページをお開きください。「機構は」から始まる段落を御確認いただけますでしょうか。キノロン系抗菌薬で留意すべき事象のうち、QT間隔の延長リスクについて御説明いたします。QT/QTc評価試験成績等を踏まえ、本剤は、申請用法・用量で投与した場合に、QT間隔延長リスクがあり、国内第II/III相試験において、QT間隔延長に関連する重篤な有害事象は認められていないものの、本剤による潜在的な催不整脈リスクは否定できないと判断いたしました。したがって、本剤と同様に臨床用量でQT間隔延長が認められているキノロン系抗菌薬であるモキシフロキサシン塩酸塩と同様に、QT間隔延長リスク及び催不整脈リスクが高いと考えられる患者や本剤の血中濃度が上昇する可能性のある重度の肝機能障害のある患者への使用について注意喚起を行うとともに、専門協議での議論も踏まえまして、本剤の投与前及び投与中には、患者の状態を十分に観察し、必要に応じて心電図検査等を実施する旨の注意喚起を行うことが適切と判断いたしました。
以上の審査を踏まえ、機構は、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本申請は、新投与経路医薬品としての申請ですが、本薬の経口剤の再審査期間の残余期間が6年以上であることから、再審査期間は残余期間と設定し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は劇薬に該当すると判断いたしました。なお、薬事分科会には報告を予定しております。以上、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○清田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問等をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。ございませんでしょうか。
 それでは議決に入りたいと思います。川上委員、中野委員、南委員、宮川委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。私につきましても同様の扱いです。
 本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題3に移りたいと思います。議題3につきまして、機構からの御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料3、テリルジー200エリプタ30吸入用及び同200エリプタ14吸入用の製造販売承認の可否等、並びにテリルジー100エリプタ30吸入用及び同100エリプタ14吸入用の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。審査報告書をお手元に御用意ください。以後の審査報告書のページ数は、各ページの下段に35分の幾つという形で記載している数字を使用いたします。
 まず、説明中に出てきます薬剤が多いため、はじめに審査報告書で用いている各薬剤の略語等を御説明いたします。以後の御説明においては、吸入ステロイド薬をICS、長時間作用性抗コリン薬をLAMA、長時間作用性β刺激薬をLABAと申し上げます。また、本剤の有効成分について、ICSであるフルチカゾンフランカルボン酸エステルをFF、LAMAであるウメクリジニウム臭化物をUMEC、LABAであるビランテロールトリフェニル酢酸塩をVIと申し上げます。本剤は、FF、UMEC及びVIを有効成分とする吸入配合剤であり、本邦では、FFの含有量が100μgであるテリルジー100エリプタが、慢性閉塞性肺疾患(以下、「COPD」)の治療薬として承認されております。
 今般、テリルジー100エリプタ及びFFの含有量が200μgであるテリルジー200エリプタについて、気管支喘息の効能・効果を追加等する承認申請がなされました。喘息治療において、ICS、LABA及びLAMAのそれぞれの吸入剤は、患者の症状等に応じて単剤、若しくは単剤同士の併用や配合剤が、既に広く使用されております。これらの2剤又は3剤を単一吸入器で投与可能とすることにより、服薬アドヒアランスや患者の利便性の向上に寄与することを目的として、本剤の開発が行われました。なお、本剤の気管支喘息に係る効能は、2020年9月現在、米国では承認されており、欧州では審査中です。本申請の専門委員として、資料24に記載されている5名の委員を指名いたしました。
主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に御説明いたします。なお、審査報告書の30ページの「10.その他」の項に、有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜、御参照ください。
 有効性につきまして、中~高用量のICS/LABAでコントロール不十分な喘息患者を対象とした国際共同第III相試験である205715試験の成績を用いて御説明いたします。審査報告書の15ページを御覧ください。こちらの上段の表9ですが、こちらは本試験の主要評価項目である投与24週後のFEVトラフ値のベースラインからの変化量について、テリルジー100エリプタは、左から3列目のFF/UMEC/VI100/62.5/25群と、その右隣のFF/VI100/25群、テリルジー200エリプタは、同表の右から2列目のFF/UMEC/VI200/62.5/25群と、その右隣のFF/VI、200/25群との各対比較において統計学的な有意差が認められ、FF/VIに対するUMECの上乗せ効果が確認されました。また、同ページの表10のとおり、日本人部分集団についても、全体集団と同様の傾向が認められております。以上から、日本人喘息患者に対する本剤の有効性は示されていると判断いたしました。
 次に、安全性について御説明いたします。本剤の安全性について、審査報告書の23ページを御覧ください。こちらの表18ですが、205715試験における有害事象の概略及び注目すべき有害事象の発現状況を示しており、対照とした既承認のFF/VI100/25群及びFF/VI200/25群の安全性プロファイルと比較して、新たな安全性上の懸念は示唆されませんでした。また、テリルジー100エリプタの初回承認時におけるCOPD患者の安全性プロファイルと比較して、喘息患者において新たな安全性上の懸念は認められておりません。さらに、審査報告書の25ページの表19に示している日本人部分集団においても、全体集団における安全性プロファイルと比較して明らかな違いは示唆されていないと考えております。
したがって、既承認薬であるFF/VIにおける注意喚起を引き続き行うとともに、本剤をCOPD患者に対して使用する際と同様の注意喚起を行うことで、喘息患者への本剤投与時の安全性は管理可能と考えております。以上の審査を踏まえ、申請効能・効果、及び申請用法・用量にて、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。
 本申請は新効能・新用量医薬品又は新医療用配合剤としての申請であるものの、既に付与されている再審査期間の残余期間が4年以上にあることから、再審査期間は残余期間(令和7年3月25日まで)とすることが適当と判断しております。また、テリルジー200エリプタについては、生物由来製品又は特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
また、渡辺委員より事前に、「喘息なら、全て3成分配合吸入薬処方」といった安易な処方が増えるという懸念はありませんかという御質問を頂いております。
 御質問に対する回答を申し上げます。本邦の「喘息予防・管理ガイドライン2018」では、喘息症状に基づき、ステップ1からステップ4の薬剤投与プランが推奨されております。ICS、LABA及びLAMAによる3剤併用療法は、症状の重いステップ3及びステップ4で考慮することとされていることから、適切な処方がなされると考えておりますが、本日の御指摘を踏まえ、医療現場においても本剤が適正に使用されるための情報提供について検討するよう、申請者に指導させていただきます。以上、よろしく御審議のほど、お願いいたします。
○清田部会長 渡辺先生、いかがでしょうか
○渡辺委員 今の説明で、ステップというのは当然やるべきことだと思っているのですが、一遍に3剤を使ってしまうみたいに、今は2剤プラス1剤を別々に、天こ盛りに使っているのもよく見かけるので、今御説明いただいたステップごとの考え方というのを、何らかの資材でもう一回確認して指導していただければと思います。
○清田部会長 機構はいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。御指摘を踏まえまして、申請者にそのような対応をするように指導させていただきます。
○清田部会長 ほかに御意見、御質問はございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、議決に入りたいと思います。亀田委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。
 続きまして、議題4に移ります。山口拓洋委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議題4の審議の間は会議から御退室していただき、御待機いただくことにいたします。山口委員は御退室をお願いします。
 それでは、議題4につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料4、ルミセフ皮下注210mgシリンジの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。お手元に審査報告書を御用意ください。以後の審査報告書のページ数は、各ページの下段に31分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるブロダルマブ(遺伝子組換え)はヒトIL-17受容体Aに対するモノクローナル抗体であり、「既存治療で効果不十分な下記疾患、尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症」の効能・効果で承認されております。今般、実施された臨床試験成績等を踏まえ、体軸性脊椎関節炎に関する効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。本申請の専門委員として、資料24に記載されている5名の委員を指名いたしました。主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に説明いたします。なお、審査報告書の26ページの「10.その他」に、有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜御参照ください。
 有効性について、体軸性脊椎関節炎患者を対象とした国際共同第III相試験である4827-006試験成績より説明いたします。審査報告書の8ページの表5を御覧ください。本試験では、投与16週時における疾患活動性、脊椎痛、身体機能及び炎症に関する複合評価項目である「ASAS40反応率」が主要評価項目とされ、「プラセボ群との差」の行に示すとおり、プラセボ群と本剤群との対比較において統計学的に有意な差が認められ、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されております。日本人部分集団の成績は、同じく表5の下半分に示しているとおり、被験者数は少ないものの、全体集団と同じ傾向の成績が得られており、また、長期投与時におけるASAS40反応率は全体集団と同程度の成績が得られております。以上より、機構は本剤の体軸性脊椎関節炎に対する有効性は示されていると判断いたしました。
 安全性について、審査報告書の19ページの表16を御覧ください。この表は、体軸性脊椎関節炎(表の中では一番上の行に「axSpA」と記載)患者と、既承認疾患の乾癬患者を対象とした本剤の臨床試験において認められた有害事象の発現状況を示しております。患者背景、曝露期間、併用薬等が試験間で異なるため直接の比較に限界はございますが、現時点では乾癬患者における安全性プロファイルと比較して、体軸性脊椎関節炎患者に特有の新たな安全性上の懸念は示唆されていないと考えております。また、審査報告書の20ページの下段から21ページの上段にかけて、本剤の製造販売後の安全性情報について記載しておりますが、製造販売後の安全性情報からも、新たな安全性上の懸念は認められていないことから、体軸性脊椎関節炎患者においても、乾癬患者に対して実施されている安全対策を実施することで安全性は許容可能であると判断いたしました。
 効能・効果につきまして、体軸性脊椎関節炎は仙腸関節のX線基準への該当・非該当により、指定難病である「強直性脊椎炎」と、「X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎」に分類されること、また、類薬における効能・効果の記載等を勘案し、本剤の効能・効果は「既存治療で効果不十分な強直性脊椎炎及びX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎」と設定することが適切と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新効能医薬品としての申請であることから、本申請に係る効能・効果の再審査期間は4年と設定することが適切と判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。また、渡辺委員より「体軸性脊椎関節炎に対する治療薬として有用性を認めますが、「X線基準を満たさない」場合、体軸性脊椎関節炎の診断はどのようになされるのでしょうか。臨床症状、MRIなどの画像診断、血液検査、遺伝子検査などでしょうか」との御質問を頂いております。
 御質問に対する回答を申し上げます。本年7月に、日本脊椎関節炎学会より『脊椎関節炎診療の手引き2020』が発行され、当該手引きにおいて体軸性脊椎関節炎は、個々の症例に対して、分類基準や診断アルゴリズムを参考に、炎症性背部痛の有無、関節炎・ぶどう膜炎等の臨床徴候、CRP値、HLA-B27、X線画像所見、MRI画像所見等を総合的に検討した上で診断するとされており、X線画像所見に関する基準を満たさない場合には、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎として診断するとされております。以上が、御質問に対する回答でございます。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○清田部会長 まず渡辺先生、いかがですか。
○渡辺委員 はい、分かりました。ありがとうございました。
○清田部会長 それでは、ほかの委員の先生方の御意見、御質問はございますか。よろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、議決に入りたいと思います。亀田委員、島田委員、中野委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題5に移ります。御待機されている山口委員をお呼びください。議題5について、機構からの概要の御説明をお願いいたします。
〇医薬品医療機器総合機構 議題5、資料5、オラデオカプセル150mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。審査報告書をお手元に御用意ください。以後の審査報告書のページ数は、審査報告書の下段の65分の幾つと記載している数字を使用いたします。本剤の有効成分であるベロトラルスタット塩酸塩は、血漿カリクレイン阻害剤であり、実施された臨床試験成績等を踏まえ、今般、遺伝性血管性浮腫(以下、「HAE」)の発作の発症抑制に関する効能・効果で製造販売承認申請がなされました。なお、本剤は先駆け審査指定制度の対象品目に指定されており、令和2年10月時点において、本剤が承認されている国または地域はありません。また、平成30年11月に実施されました当部会で御審議いただき、本剤は希少疾病用医薬品に指定されております。本申請の専門委員として、資料24に記載されております11名の委員を指定いたしました。
主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に御説明いたします。
有効性について、12歳以上のI型及びII型のHAE患者を対象に実施された国内第III相試験である301試験及び海外第III相試験である302試験の成績に基づき、御説明いたします。まず、審査報告書40ページの表38をご覧ください。本表は、国内第III相試験である301試験の主要評価項目である投与24週間のHAE発作の発現頻度を示しており、本剤150mg群とプラセボ群との対比較にて統計学的に有意な差が認められております。また、審査報告書42ページの表40を御覧ください。301試験と同様に、海外第III相試験である302試験の主要評価項目である投与24週間のHAE発作の発現頻度について、本剤110mg群及び150mg群とプラセボ群との対比較にて統計学的に有意な差が認められ、プラセボに対する本剤の優越性が検証されております。以上より、機構は、本剤のHAE発作の発症抑制に対する有効性は示されていると判断いたしました。
 安全性について、審査報告書48ページの表46及び49ページの表47に本剤の臨床試験における安全性の概略を示しております。本剤の薬理作用等を踏まえ、重点的に検討を行ったQT間隔延長のリスクについて御説明をいたします。審査報告書52ページの7.R.3.2項を御覧ください。
現時点において、本剤をヒトに申請用法・用量で投与した場合にQT間隔延長及び重篤な不整脈は認められておりませんが、非臨床安全性薬理試験や、人への催不整脈作用を検討したThoroughQT試験の結果から、本剤は潜在的な催不整脈リスクを有すると判断いたしました。したがって、本剤の投与対象患者を慎重に検討し、専門協議での議論を踏まえ、審査報告書61ページの1.3項に記載のとおり、添付文書において、QT間隔延長又はその既往歴のある患者及びQT間隔延長を起こしやすい患者、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある中等度以上の肝機能障害患者及び低体重の患者等への使用にあたっては、QT間隔延長リスクに特に留意する旨、注意喚起をすることが適切と考えております。また、同じく添付文書において、QT間隔延長リスクを含めた本剤の安全性の懸念に関して、患者またはその家族に十分説明し、理解を得た上で使用すること、及び本剤の投与前及び投与中には必要に応じて心電図検査を実施するなど、患者の状態に十分に注意することを記載することといたしました。さらに、製造販売後の調査として全例調査を実施し、QT間隔延長を含めた使用実態下における本剤の安全性情報を収集し、得られた情報について臨床現場に適宜提供することが適切と判断いたしました。
 効能・効果について、本剤の位置付けを踏まえ、「遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制」と記載整備し、設定することが適切と判断いたしました。また用法・用量について、審査報告書57ページ及び58ページに示しますとおり、第III相試験である301試験及び302試験の主要評価項目及び、その他の評価項目において、一貫して110mgに比べて150mgで有効性が高い傾向が示され、現時点までに得られているデータにおいて、HAE患者に本剤150mgを1日1回投与した際の安全性プロファイルは許容可能と考えられることから、申請用法・用量のとおり150mgを1日1回経口投与することは可能と判断いたしました。なお、先述しましたとおり、QT間隔延長のリスク因子を有する患者への投与は十分注意することが重要と考えております。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会にて御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品であることから再審査期間は10年、生物由来製品または特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体は劇薬に該当し、製剤は毒薬・劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
 また、渡辺委員より、「予防効果は本剤を継続的に内服する必要があると思いますが、市販後の推奨投与期間はどうなるでしょうか」との御質問をいただいております。御質問に対する回答を申し上げます。本剤はHAEを根治させる薬剤ではなく、また期待される効果も御指摘のとおり、HAE発作の発症抑制となるため、安全性等の懸念が生じない場合には、基本的には投与が継続される医薬品になると考えております。以上、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○清田部会長 まず、渡辺先生、先ほどの御説明いかがでしょうか。
○渡辺委員 ちょっと知り合いに、この疾患の人がいて話を聞いてみたのですが、この予防薬が出るというのは、かなり朗報だと思うのです。では、いつからいつまでどうやって飲んだらいいんだという話なのですけど。今の御説明だと、とにかく永遠に飲み続けてということになるわけですね、ということです。
○清田部会長 そういう感じですね。
○渡辺委員 はい、分かりました。
○清田部会長 それでは事務局から追加がございますので。
○事務局 事務局でございます。渡辺先生のほうから厚生労働省宛てにも御質問1点いただいておりまして。今回、審査報告書に「優性遺伝」という言葉が出てくるのですが、この優性、劣性という表現について、優れた遺伝子とか、劣った遺伝子というような誤解を招きやすいとのことで、2017年9月から日本遺伝学会さんのほうで、優性を顕性、劣性を潜性という表現に変更することを決定し、教科書の記述も変更するようにと要望をいただいているところでございまして。この要望の結果どうなったのでしょうかということを、厚生労働省のほうに御質問いただいておりました。頂いた御指摘を踏まえまして、文部科学省のほうと日本医学会のほうに確認をさせていただきました。まず、文部科学省のほうなのですが、教科書メーカーの申請に基づきまして中学校の教科書、来年の春から使用される教科書について、ほとんどの教科書で「顕性遺伝」と「潜性遺伝」という用語に切り換わることが決定したというふうに聞いております。一方で、学会のほうなのですが、日本医学会のほうで今こちらの要望を変更することへのパブリックコメントを実施している状況と聞いております。現時点で医学用語事典のほうは、まだ変更がされていないという状況でした。私どもといたしましては、行政文書の読み手が理解する用語を使用することが重要と考えております。今般、「優性」と記載させていただいている審査報告書ですが、主な読み手といたしまして、医療従事者のような医学的知識を一定程度有する方を想定していますので、現時点では医学用語事典に合わせた記載とさせていただければと考えているのですが、今後の学会の動きなどを踏まえまして、読み手に伝わるような行政側の文書のほうの使い方に適切に対応させていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。渡辺先生、よろしいでしょうか。
○渡辺委員 はい。一応、御説明は分かりましたが、優性、劣性でもいいと思いますし。では、DominantとRecessiveという英語はどうなってしまうのですかという点については、御説明いただけますか。
○清田部会長 私からお話するのはいかがなものかと思いますけれど、日本医学会は用語集を定期的に整理しているのです。ですから、ホームページから用語集というのは利用することができます。それの基本的には英語の用語を日本語に変えると、和訳を問題視するのですね。ですから、英語のほうは変わらないと思います。向こうのほうで、それを使っている限り、日本医学会ではその用語は和訳は変えるかもしれませんが、英語のほうは変えないはずです。これは申し上げておきたいと思います。
○事務局 あと、補足させていただきますと、今パブリックコメントをされている内容といたしましては、「優性」に(顕性)と書くような、両論併記のような書き方で、パブリックコメントがされておりますので、そこのところを皆様のほうで誤解のないようにというか、移行期間として一定程度必要だろうということで議論が進んでいると承知しておりますので、そちらの議論のほうを見守っていきたいというふうに考えています。
○清田部会長 ですから、和訳のほうは変わる可能性があるということですね。これを御理解いただきたいと思います。ほかに御質問ございますか。よろしいですか。
○宮川委員 日本医師会の宮川ですが、よろしいでしょうか。
○清田部会長 どうぞ。
○宮川委員 渡辺先生の最初の前半のほうの質問につながるのですけれども、その長期予防というのは、7.R.4のところ、56ページに載っている長期予防の適用判断の指針が示されております。添付文書にも入れるのかどうか。実際に適応の方がいらっしゃると思うので、そのような方にもスムーズに伝わるようにするためには、添付文書にも記載されるべきなのか。もし長期予防を目的とするのであれば、審査報告書の52週のデータも臨床的に有用ではないかと思うので、そのデータも用いるのかどうか。その辺のことを教えていただければと思うのですが、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 機構、お願いいたします。
〇医薬品医療機器総合機構 機構でございます。御指摘ありがとうございました。ご指摘の指針、日本補体学会より公表されている遺伝性血管性浮腫診療ガイドラインのことかと思われますので、添付文書への記載と言うよりは、本剤が承認された段階で、ガイドラインへの追記等につきまして、申請者より学会との協議等を行っていくことを指摘したいと思います。
 また、長期投与については、添付文書以外にも情報提供資材を作ることになっておりますので、そちらのほうで長期投与時の結果につきましても、患者や医師にしっかりと周知し、理解していただけるような資材等を準備するよう申請者に指導したいと思います。以上、よろしいでしょうか。
○宮川委員 ありがとうございます。28週投与だけでなくて、56週投与のほうも、しっかりと記載があれば渡辺先生の御疑問というか、懸念が取れるのではないかなと思いますので、御配慮よろしくお願いいたします。以上です。
○清田部会長 ほかに御質問、御意見ございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは議決に入りたいと思います。川上委員、南委員、宮川委員におかれましては利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことになります。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告させていただきます。
 続きまして議題6に移ります。議題6について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
〇医薬品医療機器総合機構 議題6、資料6、ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.4mL、同皮下注80mgシリンジ0.8mL、同皮下注40mgペン0.4mL及び同皮下注80mgペン0.8mLの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、資料に添付されている審査報告書に沿って、機構より御説明いたします。審査報告書をお手元に御用意ください。以降の審査報告書のページ数は、各ページの下段に20分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるアダリムマブ(遺伝子組換え)は、ヒトTNFαに対するヒトIgG1モノクローナル抗体であり、本邦では2008年に関節リウマチに関する効能・効果で承認されて以降、尋常性乾癬や化膿性汗腺炎などに係る効能・効果で承認されております。今般、壊疽性膿皮症に係る効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請が出されました。壊疽性膿皮症(以下、「PG」)は、有痛性、無菌性、そして壊死性の皮膚病変が急速に拡大する好中球性の皮膚疾患です。令和元年8月に開催されました当部会で御審議いただき、本薬は壊疽性膿皮症を予定される効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されております。まだ海外では、本年10月時点で、PGに対する臨床開発は行われておりません。本申請の専門委員として、資料24に記載されている5名の委員を指名いたしました。主な審査概要について、臨床試験成績を中心に簡潔に御説明いたします。なお、審査報告書の16ページの「10.その他」に、有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜、御参照ください。
 まず、有効性について、審査報告書の5ページを御覧ください。活動性潰瘍を有する潰瘍型PG患者を対象とした国内第III相試験の成績をお示ししております。主要評価項目であり、標的潰瘍の治癒を意味する投与26週後のPGAR100達成率は54.5%であり、事前に規定した閾値有効率と比較して統計学的に有意に高い結果が示されております。
 次に、審査報告書の9ページの表5を御覧ください。国内第III相試験の副次的評価項目である炎症評価スコア0を達成した患者の割合や、潰瘍の総面積など、PGの臨床症状、炎症等を評価するいずれの評価指標についても、本剤の投与により改善する傾向が認められております。以上より、本剤のPGに対する有効性が示されており、日本人PG患者に対する有効性は期待できると判断いたしました。
 安全性につきましては、審査報告書の11ページを御覧ください。表6に、国内第III相試験において認められた主な有害事象と、既承認の化膿性汗腺炎や乾癬患者などを対象とした国内外臨床試験の安全性の概要をお示ししております。既承認の効能・効果における安全性プロファイルと比較して、PG患者において、現時点で新たな懸念は認められていないことから、現在実施しております既承認効能・効果と同様の安全対策を講じる必要があると考えております。以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本薬は本申請に係る効能・効果で、希少疾病用医薬品に指定されておりますことから、再審査期間は10年とすることが適当と判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。
 また、事前に渡辺委員より御質問をいただいておりますので、御回答申し上げます。渡辺委員から、「PGは希な疾患であり、患者のQOLを低下させることから本剤の臨床導入は有用であると思います。審査報告書の4ページ、7.1.1の国内第III相試験は有効性・安全性を示していますが、試験形態はシングルアームであり、第II相試験と呼ぶのが妥当ではないでしょうか。希少疾患では第III相試験と呼ぶのでしょうか。」との御質問をいただいております。
本試験は、単群の試験ではあるものの、PG患者に対する本剤の有効性については既存の知見を基に事前に閾値有効率を設定しており、申請者としては、本剤の有効性及び安全性を確認するための主な臨床試験として、本試験を第III相試験と位置付けたものと承知しており、我々としても理解できるところと考えております。
 また、事前に南委員より御質問いただいておりますので、御回答申し上げます。まず、「審査報告書の6ページで、国内臨床試験の評価期間の参考に用いた文献報告では、シクロスポリンとプレドニゾン投与群では投与6カ月で治癒した患者の割合はいずれも47%と報告されている一方で、国内臨床試験の閾値有効率は、インフリキシマブの6週時点の治癒率が20.7%であったとの報告を参考に、20%と設定しています。国内臨床試験の評価時期が投与26週時点であったことを踏まえ、閾値有効率を20%と設定することが妥当であったか、御説明ください。」、また、「承認の根拠となった試験で全身性ステロイドやシクロスポリンに無効だった人が多く、それでも有効割合が54.5%であれば臨床的には意義があると思われますが、全身性ステロイドやシクロスポリンで無効だった人はどのぐらいいたのか教えてください」との御質問をいただいております。
 閾値有効率につきまして、まず、本剤に期待される有効率は、御指摘のシクロスポリンとプレドニゾンを比較した論文を参考に47%と設定しておりました。閾値有効率につきましては、ヒストリカルコントロールや、プラセボ等の比較対照薬剤の臨床試験成績等から設定することが多いと思われますが、PG患者においては、このような適当な成績を見出すことができませんでした。そのため、2週時点で効果不十分な場合にインフリキシマブが投与される臨床試験において、プラセボからの切り換えも含む投与6週時点で、インフリキシマブが投与された29例中6例(21%)が完全寛解を達成した結果等から、本剤の閾値有効率が20%と設定され、機構としても許容可能と考えております。
 続きまして、前治療を受けていた患者数ですが、機構側で調べたところ、全身性ステロイドを使用していた患者は22名中17例であり、主要評価項目の達成割合は11例(64.7%)でした。また、シクロスポリン等の免疫抑制剤を使用していた患者は22例中3例であり、同じく達成割合は2例(66.7%)でした。なお、本品目の審査において実施した専門協議におきまして、外部の専門委員からも、PGはプラセボ効果が現れにくい疾患であるとのコメントをいただいておりますことを申し添えさせていただきます。よろしく御審議のほど、お願いいたします。
○清田部会長 渡辺先生、まず最初の御質問に対しての回答はいかがですか。
○渡辺委員 はい、疾患の特殊性とか、そういうことから、よく分かりました。説明も明解で、お声もよろしく、とても感謝しています。ありがとうございます。
○清田部会長 それでは南先生、いかがですか。
○南委員 。やはり、閾値有効率が20%という根拠は希薄だと思うのですが、過去にステロイドとシクロスポリンを比べた試験での有効割合が47%と報告され、そのステロイドを使った上で、今回54%という数字となっていますので、治療オプションが増えるということは患者にとってもメリットになるだろうという理屈に則り、納得いたします。ありがとうございました。
○清田部会長 ありがとうございます。
〇医薬品医療機器総合機構 ありがとうございました。
○清田部会長 菊池先生からチャットでコメントを頂いています。「長期投与となろうかと思いますが、効果があれば、ある程度生涯にわたって投与可能と考えていいのでしょうか。関節リウマチなどでも長期経験はどのくらい進んでいますでしょうか。」というような御質問です。機構からお答えいただけますか。
〇医薬品医療機器総合機構 資料を確認いたしますので、お待ちいただけますでしょうか。
○清田部会長 はい。ちょっとお待ちください。少し時間が掛かるようなので、よろしいですか。
〇医薬品医療機器総合機構 では、すみません。あと少し資料を確認させていただいて、事務局の厚生労働省を通じて菊池先生に御連絡するようにいたしたいと思います。
○清田部会長 ありがとうございます。では、答えたということにさせていただきまして、議決に入りたいと思います。
○宮川委員 すみません、日本医師会の宮川ですけども、質問をいいですか。
○清田部会長 どうぞ。
○宮川委員 質問というより、教えていただきたいのですが、経口のステロイド薬が第1選択薬となっております。お示しいただいた結果などから、今後の流れとして、この薬剤が第1選択薬となり得るのか、教えていただければ幸いです。
○島田委員 すみません、いいですか。山梨大学の島田ですけれども。
○清田部会長 どうぞ。
○島田委員 私は一応、皮膚科医なので。この疾患はときどき経験するのですけれども、大変診断にも難渋しますけど、治療もなかなか難しくてですね、ステロイドは第1選択だと思いますけれども、効かない症例もあるし、ステロイドというのはなかなか使えない患者さんもおられますね、いろいろ。そういう意味では、この薬剤が出るということは患者さんにとっては大変朗報になるというふうに私は考えます。長期投与の可能性ですけど、当然治らないときはリウマチでもかなり長期投与になってしまうということになるかと思います。この疾患はなかなか治らない場合はかなり難治でありますので、そういうことになることもあるかと思いますけど、ある程度軽快することもありますので。これは本当に患者さんによるということなので、そういうことしか言えないのではないかなというふうには思います。
○宮川委員 島田先生、ありがとうございました。
○島田委員 いえいえ、はい、ありがとうございます。
○清田部会長 亀田先生からもコメントを頂けるようです。亀田先生、お願いします。
○亀田委員 私は関節リウマチについて専門ですので、簡単にコメントいたします。もう日本でも2008年の承認から10年以上たっており、海外ではかなり以前から10年以上の投与成績というものが出ております。そして安全性の点で、長期投与は問題がないということと、やはり全ての患者さんに必要ないということも分かっています。ですので、症状が非常に、基本的に良い状態になったら、例えば中止して。それで良い状態は別の治療薬によって、より容易に維持できる人もいるし、また再燃した場合には、もう一度ヒュミラを再導入する。そのように患者さんによって使い分けられることになると思います。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
○宮川委員 ありがとうございます。諸先生方に感謝します。ありがとうございます。
○清田部会長 それでは議決に入りたいと思います。亀田委員におかれましては利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。
 続きまして、議題11に移ります。議題11について、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 資料11の1ページの「1.改正の趣旨」を御覧ください。医薬品医療機器等法第42条第1項に基づき、保健衛生上特別の注意を要する医薬品等について、薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて、必要な基準を設けることができるとされており、生物学的製剤基準において、ワクチン、血液製剤等に係る基準を定めています。「2.改正の内容」を御蘭ください。「経口弱毒生ロタウイルスワクチン」については、製造売業者からの申し出に基づき、海外との整合性の観点から管理温度の幅を広げます。続いて資料11の3ページの「2.改正の内容」を御覧ください。「不活化ポリオワクチン(ソークワクチン)」についても同様に、海外との整合性の観点から、試験の条件を微細に変更するものとなります。それぞれの「4.告示日等」ですが、11月又は12月を予定しております。
なお、当該医薬品に係る一部変更承認の可否については、部会の審議事項又は報告事項に該当しないため、本日の議題には入っておりません。また、本部会の後、薬事分科会に報告を予定しております。以上、御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○清田部会長 ただいまの件について、委員の皆様から御質問、御意見はありますか。よろしいでしょうか。それでは、ないようですので議決に入りたいと思います。
本議題について改正を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可として薬事分科会に報告させていただきます。
 続いて報告事項に移ります。報告事項の議題1~4について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 議題1「医薬品ゼローダ錠300の製造販売承認事項一部変更承認について」の御報告です。資料12です。本剤は、フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤であり、現在は、「手術不能又は再発乳癌」、「結腸・直腸癌」及び「胃癌」を効能・効果として承認されております。今般、中外製薬株式会社から、手術不能又は再発乳癌及び結腸・直腸癌に係る用法・用量等を変更する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続いて議題2、「医薬品サイラムザ点滴静注液100mg及び同点滴静注液500mgの製造販売承認事項一部変更承認について」の御報告です。資料13です。本剤は、ヒトVEGFR-2に対するIgG1サブクラスのヒト型モノクローナル抗体であるラムシルマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は、「治癒切除不能な進行・再発の胃癌」等、4つの効能・効果で承認されております。今般、日本イーライリリー株式会社から、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対する本剤とエルロチニブ塩酸塩又はゲフィチニブの併用投与の用法・用量の追加、及び既承認効能・効果に対する初回投与の忍容性が良好な場合には、2回目以降の投与時間を30分間まで短縮できる用法・用量の変更に係る製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
 なお、添付文書(案)の用法・用量の項について、「エルロチニブ塩酸塩又はゲフィチニブとの併用において」とすべきところを、「エルロチニブ又はゲフィチニブとの併用において」と記載しておりましたので、審査報告書の該当箇所と合わせて訂正させていただきます。大変申し訳ございませんでした。
 続いて議題3、医薬品「オプジーボ点滴静注20mg他4規格」の製造販売承認事項一部変更承認について、並びに議題4、医薬品「ヤーボイ点滴静注液50mg」の製造販売承認事項一部変更承認についてです。両品目は併用して投与されることから、併せて御報告いたします。資料14、15です。
 オプジーボは、PD-L1に対する免疫グロブリンG4サブクラスのヒト型モノクローナル抗体であるニボルマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は、「悪性黒色腫」等、9つの効能・効果で承認されております。ヤーボイは、CTLA-4に対する免疫グロブリンG1サブクラスのヒト型モノクローナル抗体であるイピリムマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は「根治切除不能な悪性黒色腫」等、3つの効能・効果で承認されております。
今般、小野薬品工業株式会社及びブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社から、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に対するオプジーボとヤーボイの併用、オプジーボと化学療法の併用、並びにオプジーボ、ヤーボイ及び化学療法の併用に係る、オプジーボ及びヤーボイの製造販売承認一部変更承認の申請がなされました。
 なお、それぞれの併用投与については、オプジーボとヤーボイの併用を「NIVO/IPI投与」、オプジーボと化学療法の併用を「NIVO/Chemo投与」、オプジーボとヤーボイと化学療法の併用を「NIVO/IPI/Chemo投与」と略させていただきます。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第III相試験である9LA試験及び227試験が提出されました。化学療法歴のない切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者を対象とした9LA試験において、全生存期間について、化学療法群に対するNIVO/IPI/Chemo群の優越性が検証され、機構においては、PD-L1の発現状況に関わらない集団に対する有効性が示されたと判断されています。
 また、化学療法歴のない切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌のうち、PD-L1陽性の患者を対象とした227試験のパート1aにおいて、全生存期間について、化学療法群に対するNIVO/IPI群の優越性が示されました。また、PD-L1陰性の患者を対象とした227試験のパート1bにおいては、無増悪生存期間について、化学療法群に対するNIVO/Chemo群の優越性が示されました。
 以上の結果を踏まえ、機構においては9LA試験においてNIVO/IPI/Chemo投与について、PD-L1の発現状況に関わらない患者集団で臨床的有用性が示されていること等を考慮すると、NIVO/IPI投与及びNIVO/Chemo投与についても、ヤーボイ又は化学療法による有害事象に対する忍容性を考慮した際に、NIVO/IPI/Chemo投与が困難と考えられる患者に対して、PD-L1の発現状況にかかわらず治療選択肢として提供することに一定の意義は認められると判断されており、本品目を承認して差し支えないと判断されております。
なお、審査報告書に誤記載があり、別途メールにて送付した修正表のとおり訂正させていただきたいと思います。申し訳ございませんでした。以上です。
○清田部会長 ただいまの御説明について、委員の先生方から御質問がありましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。それでは、報告事項の議題1~4については一応御確認いただけたと思います。引き続き、事務局から御説明があります。
○事務局 資料20-1を御準備いただければと思います。報告事項の議題3(資料14)の「オプジーボ点滴静注20mg他」については、非小細胞肺癌に係る用法・用量の変更に伴い、最適使用推進ガイドラインの改正を予定しておりますので、その内容について御説明いたします。主な変更点には網掛けをしております。
 まず、2ページをご覧いただければと思います。対象となる効能・効果に変更はありません。用法・用量については、他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合の用法・用量として、1回240mgの2週間間隔投与と、1回360mgの3週間間隔投与が設定されております。7ページ以降に、今回審査された主な臨床試験の結果を提示しております。有効性については、先ほど御説明した内容です。安全性については今回審査された臨床試験において、新たに懸念される事象は認められていません。
 21ページを御覧ください。対象となる患者について、ニボルマブと他の抗悪性腫瘍剤の併用において、有効性が示されている患者の記載を追加しております。続いて、24ページを御蘭ください。ニボルマブについては、製造販売後に収集された安全性情報に基づき、使用上の注意の改訂につながり得るものとして、劇症肝炎について検討されております。劇症肝炎に関する注意喚起が使用上の注意に追加されましたら、最適使用推進ガイドラインにおいても、マル4の「主な副作用のマネジメント」において、その内容を追加したいと考えております。説明は以上です。
○清田部会長 委員の先生方から御質問はありますか。よろしいですか。それではオプジーボ点滴静注20mg、同点滴静注100mg、同点滴静注240mg及び同点滴静注120mgの最適使用推進ガイドライン(案)については、御確認いただいたものといたします。引き続き、議題5~8について、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 議題5「医薬品ダラザレックス点滴静注100mg、同点滴静注400mgの製造販売承認事項一部変更承認について」御報告させていただきます。資料16です。本剤は、ヒトCD38に対するIgG1サブクラスのヒト型モノクローナル抗体であるダラツムマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は「多発性骨髄腫」を効能・効果として承認されております。今般、ヤンセンファーマ株式会社から、再発又は難治性の多発性骨髄腫に対するカルフィルゾミブ及びデキサメタゾンとの併用投与に係る用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
 議題6「医薬品カボメティクス錠20mg及び同錠60mgの製造販売承認事項一部変更承認について」の御報告です。資料17です。本剤は、VEGFR2等を介したシグナル伝達分子のリン酸化を阻害するカボザンチニブリンゴ酸塩を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」を効能・効果として承認されております。
今般、武田薬品工業株式会社から、「がん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞癌」の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
 今般の承認申請では主な臨床試験として、ソラフェニブによる治療歴を有する切除不能な肝細胞がん患者を対象に、本剤とプラセボの有効性及び安全性を比較することを目的とした海外第III相試験の結果が提出され、当該臨床試験において、全生存期間について、プラセボ群に対する本薬群の優越性が検証されました。また、1又は2つの化学療法歴を有する切除不能な肝細胞がん患者を対象とした国内第II相試験において、ソラフェニブを含む全身化学療法歴を有する患者における24週PFS率は59.8%でした。安全性について新たに注意を有する事象として、肝性脳症が認められております。以上の結果を踏まえ、機構における審査の結果、肝性脳症については、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師によって適切な管理がなされるのであれば忍容可能であり、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
○事務局 続いて議題7「医療用医薬品の承認条件について」です。ここから4品目続けて御報告いたします。まず1品目です。資料18-1を御覧ください。2ページですが、販売名「アラグリオ顆粒剤分包1.5g」で、一般名は、アミノレブリン酸塩酸塩です。本剤は平成29年9月に、「経尿道的膀胱腫瘍切除術時における筋層非浸潤性膀胱癌の可視化」を効能・効果として承認され、その際、そこに記載されている承認条件が付与されております。この度、SBIファーマ株式会社から、承認条件に基づいて実施された使用成績調査の結果に関する考察及び対応に関する報告書が提出され、機構において評価されましたので御報告いたします。
 提出された資料の概要については、3ページを御覧ください。本調査は本剤を使用した全症例を対象に、平成29年12月19日から実施されており、平成31年1月31日までに登録された798例のうち、調査票が回収された762例から調査票未固定の226例を除外した536例の情報を基に結果がまとめられております。本調査において、承認時に計画されたとおり、患者背景、本剤の使用状況や安全性及び有効性に係る情報が収集され、本剤の適正使用に必要な措置は講じられており、現時点では、追加で必要な措置は特段ないと考えられました。
 最後のページですが、総合評価の部分です。機構は、提出された資料から、承認条件は対応されたものと判断しております。
○事務局 2つ目は、「セリチニブ」を有効成分とする医薬品「ジカディアカプセル150mg、ジカディア錠150mg」の承認条件に係る御報告です。資料18-2の2ページを御覧ください。
本剤は、平成28年3月に、「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の効能・効果で承認されており、承認時に、ページ中ほどに記載の承認条件が付されております。この度、ノバルティスファーマ株式会社から、実施された使用成績調査の結果、追加のリスク最小化活動の「医薬品の使用条件の設定」の実施状況等に関する報告書が提出され、機構において評価されました。
 使用成績調査については3ページ「2.提出された資料の概要(1)製造販売後調査の結果」を御覧ください。本調査は平成28年3月28日から開始され、平成29年11月30日までに本剤の投与が開始された調査票回収対象症例のうち、本調査に登録されて調査票が回収・固定された533例の情報に基づき、調査結果がまとめられました。本調査において、新たな注意喚起を要するような情報は得られておりません。
 続いて医薬品の使用条件の設定について、6ページの「(2)製造販売後に実施されたリスク最小化活動」を御覧ください。承認取得者は、承認条件に基づき「医薬品の使用条件の設定」として本剤納入施設・医師要件の設定及び納入前の確認、医療従事者及び薬局への事前説明、治療確認カードの運用並びに初回納入管理を行っております。承認取得者は、当該要件のもと、実施した使用成績調査において重点調査項目とした事象の発現状況は承認時までに実施した臨床試験と明らかな差はなかったことを説明しております。
 9ページ、「III.総合評価」を御覧ください。提出された資料から、9ページに記載している承認条件は対応されたものと判断されております。
 3つ目は「ルキソリチニブリン酸塩」を有効成分とする医薬品「ジャカビ錠5mg、同錠10mg」の承認条件に係る御報告です。資料18-3の2ページを御覧ください。本剤は、平成26年7月4日に「骨髄線維症」の効能・効果で承認されており、承認時にページ中ほどに記載されている承認条件が付されております。この度、ノバルティスファーマ株式会社から、実施された使用成績調査の結果等に関する報告書が提出され、機構において評価されました。
 使用成績調査については、3ページの「2.提出された資料の概略(1)製造販売後調査の結果」を御覧ください。本調査は平成26年7月4日から開始され、平成27年2月28日までに本剤の投与が開始された調査票回収対象症例のうち、本調査に登録され、調査票が回収・固定された357例の情報を基に調査結果がまとめられました。本調査において、新たに注意喚起を要するような情報は得られておりません。
 7ページの「III.総合評価」です。提出された資料から、7ページに記載されている承認条件は対応されたものと判断されております。
 4つ目は、ニボルマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする医薬品「オプジーボ点滴静注20mg他3規格」の承認条件に係る御報告です。資料18-4の4ページを御覧ください。本剤は平成27年12月17日に非小細胞肺癌に係る効能・効果が承認され、承認時にページ中ほどに記載の承認条件が付されております。この度、小野薬品工業株式会社から実施された使用成績調査の結果等に関する報告書が提出され、機構において評価されました。使用成績調査については、5ページの「2.提出された資料の概要(1)製造販売後調査の結果」を御覧ください。本調査は平成27年12月17日から開始され、平成28年3月31日までに本剤の投与が開始され、調査票回収対象症例3,789例の情報を基に調査結果がまとめられました。本調査において、新たな注意喚起を要するような情報は得られておりません。
 12ページが「III.総合評価」です。提出された資料から、記載されている承認条件は対応されたものと判断されております。
○事務局 最後の報告事項、議題8「医療用医薬品の再審査結果について」です。今回、医療用医薬品の再審査結果として、資料19の関係を御覧いただければと思います。まず資料19-1は「組換え沈降2価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン」、販売名は「サーバリックス」です。資料19-2が、有効成分名は「組換え沈降4価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン」、販売名が「ガーダシル水性懸濁筋注シリンジ」です。資料19-3は、有効成分名が「ダサチニブ水和物」、販売名が「スプリセル錠20mg及び同錠50mg」です。資料19-4は、有効成分名が「リュープロレリン酢酸塩」、販売名が「リュープリンPRO注射用キット22.5mg」です。資料19-5は、有効成分が「トシリズマブ(遺伝子組換え)」、販売名が「アクテムラ皮下注162mgシリンジ及び同皮下注162mgオートインジェクター」です。資料19-6は、有効成分名が「エピナスチン塩酸塩」、販売名が「アレジオン点眼液0.05%」です。資料19-7は、有効成分名が「日局アセトアミノフェン」、販売名が「アセリオ静注液1,000mgバッグ」です。資料19-8は、有効成分名が「フルチカゾンプロピオン酸エステルホルモテロールフマル酸塩水和物、販売名フルティフォーム50エアゾール56吸入用、同125エアゾール56吸入用、同50エアゾール120吸入用及び同125エアゾール120吸入用」です。
 これらの品目について、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査及び製造販売後臨床試験に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要がない「カテゴリー1」と判定させていただいております。報告事項については以上です。
○清田部会長 委員の先生方から御質問等がありましたら承ります。いかがでしょうか。
○南委員 南ですが、1点伺わせていただいてよろしいでしょうか。報告事項の議題6のカボザンチニブについてです。私は、このGlobal試験に関与していましたが、当初は肝炎ウイルスの再活性化を非常に気にしていました。腎細胞癌では問題にならないと思うのですが、肝細胞癌では肝炎の再活性化が気になるのです。結局、問題にはならなかったという理解でよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構です。腎細胞癌のときの有害事象の発現状況と、肝細胞癌での有害事象の発現状況を比較いたしましたが、特に肝細胞癌患者のほうで肝炎の再活性化が高かったという結果は認められませんでした。
○南委員 分かりました。肝癌では特殊性がありますので、引き続き活性化という観点からモニタリングをしていってもらえればと思います。お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。申請者にその旨を伝達いたします。
○清田部会長 ほかに御質問はありますか。よろしいですか。それでは報告事項の議題5~8については御確認いただけたものといたします。続いて、「その他事項」に移ります。事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 まず議題1~3と、「その他事項」を御説明させていただきます。最初に議題1、最適使用推進ガイドラインですが、資料20-2を御覧いただけますか。最適使用推進ガイドラインの対象となる医薬品の選定を行ったので、その御説明をさせていただきます。
 次のページにあるとおり、最適使用推進ガイドラインについては、「対象医薬品の選定の考え方」に記載されているような作成対象となる医薬品を選定した場合には、直近の薬事・食品衛生審議会の担当部会に報告させていただいております。今回の品目ですが、マルホ株式会社から、ミチーガ皮下注用60mgシリンジ、一般名ネモリズマブ(遺伝子組換え)について、こちらに記載のとおり、アトピー性皮膚炎に伴う既存治療で効果不十分な掻痒に対する効能・効果に関して申請がなされたことから、当該医薬品を最適使用推進ガイドラインの作成対象の医薬品として選定しております。今後、関係学会等に御協力を頂きつつ、ガイドライン(案)の検討を進めて、本剤の承認について部会で御審議いただく際に、改めてガイドライン(案)を御確認いただく予定としております。
○事務局 それではその他事項の議題2、「製造販売後に実施された調査結果」について、クアトロバック皮下注シリンジを御説明させていただきます。事前にお送りした資料21-1-1、KMバイオロジクス株式会社から厚生労働省に提出された調査結果報告書を御覧ください。クアトロバック皮下注シリンジは、百日せき菌防御抗原、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、不活化ポリオウイルスを含む混合ワクチンであり、平成24年7月に製造販売承認がなされております。今般、KMバイオロジクス社において、過去の臨床試験332P3試験におけるジフテリア抗体価の抗体算出式に誤りがあり、全ての検体のジフテリア抗体価を一律に、本来算出するべき値の2倍の値として算出していたことを確認したため、KMバイオロジクス社から厚生労働省に対し、算出の誤りや当該誤りに起因する有効性の評価等に与える影響を記載した調査結果報告書が提出されました。
 なお、調査結果報告書には別添として抗体価の測定データ等が添付されておりますが、大部のために委員には、資料21-1-2として調査結果報告書の補足説明資料、及び資料21-1-3として、医療関係者への説明資料(案)の2つを送付させていただいております。これを受け、厚生労働省は機構に対し、算出の誤りが有効性及び安全性に与える影響を評価するように依頼しました。
 機構において行った評価結果は、資料21-2「評価報告書」です。機構における評価の結果、ジフテリア抗体価の算出を正しい方法で行うことによって332P3試験において、抗体陽性者数が本剤群及び対照群でそれぞれ1例減少するものの、両接種群間で抗体陽性率に大きな差は認められず、今回の誤りを踏まえても初回承認時の有効性の判断に変更はないと判断されております。また、安全性については、有害事象又は副反応の発生状況をもって評価しており、抗体価の誤りが直接影響しないことから、同様に判断の変更はないと判断されております。以上より、クアトロバック皮下注シリンジの製造販売承認は維持して差し支えないと考えております。
 一方、添付文書等に記載されているジフテリア抗体価の値を変更する必要があり、この点については今後、資料21-1-1-3、「医療関係者への説明資料(案)」のような文書を用いて、KMバイオロジクス社から医療関係者に説明を行う予定となっております。本件に関する報告は以上です。
○事務局 続いて、その他事項の議題3、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の一部改正等について御報告いたします。資料22を御覧いただければと思います。こちらは、背景にあるとおり、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律が令和元年12月4日付けで改正が行われており、審査に関係する改正事項については本年9月1日に施行されているところです。今回、本部会に影響のある部分について御説明させていただければと思います。「2.医薬品第一部会及び医薬品第二部会に関係する内容として、全部で3点、御説明いたします。
 マル1今まで、先駆け審査指定制度と通知で運用させていただいていたものが、「先駆的医薬品」として法律化されているということと、AMRや小児を対象とした医薬品を「特定用途医薬品」として指定する制度が創設されております。また、条件付きの承認制度も通知のほうで運用していたのですけれども、こちらも法制化されて9月1日に施行されたところです。
 これに伴いマル2です。薬事分科会規程及び薬事分科会における確認事項への反映が行われ、10月1日付けで施行されております。主な改正点としては、こちらの条件付き承認の際に付す条件に関する事項と、先駆的医薬品及び特定用途医薬品の指定に関する事項です。これらについては今後個別の品目が出てきたら、また指定する際に、それぞれ説明させていただければと思いますが、部会の所掌として、こうした内容が含まれたということを御了承いただければと思います。
 最後に3点目です。法改正とあわせて、再審査及び調査期間の延長の関係です。小児用量の開発に伴い、承認後に2年間延長させていただくということで、今まで何度か御審議いただいていたところですけれども、こちらは承認前でも小児の開発の計画があれば、再審査のほうを延長できるということで、今後、該当する品目が出てきたら、そちらの再審査も併せて御説明させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 先生方から何か御質問、御意見はありますか。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、その他事項の議題1~3については、御確認いただいたものとします。事務局から引き続き御説明をお願いいたします。
○事務局 最後にレムデシビルに関する報告事項ということですが、当日配布資料1-1で御説明させていただければと思います。今回お配りしている当日配布資料1-1に記載の内容と同様の内容を現在、厚生労働省のホームページにも公表しているところですけれども、5月に本部会で御了承いただいたレムデシビルについて、1点目としては当時中間報告であったACTT-1の試験が、最終報告として出てきて論文化されているということを、※の2に記載しております。
 その後、報道等で御存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、WHOのほうで臨床試験の中間結果が出たということで、一部報道されていることに対し、この文書で厚生労働省の見解をお示ししております。WHOの試験の中間結果については、まだ論文の掲載のための専門家による査読を受ける前のプレプリントの段階にあるので、我々としては、この臨床試験の結果に対する詳細な評価検証を待つ必要があると考えており、今後も情報収集に努めていきたいと考えております。なお、レムデシビルは5月2日に米国で緊急使用許可がなされておりましたが、米国では10月22日に正式に承認がなされていることを申し添えます。
 また、こちらは※の3になりますが、FDAのほうで、承認の際にレムデシビルに関するQ&Aを公表しており、WHOの試験に対する見解も併せて示しています。こちらの見解の概要は2ページにあります。WHOの臨床試験が非盲検の比較試験であるのに対し、FDAの承認に当たって主に評価を行ったACTT-1の試験のほうは、プラセボ対照の二重盲検比較試験ということで、両試験は試験設計、評価項目が異なり、非盲検のWHOの試験と比較して、二重盲検のACTT-1のほうが回復までの期間を厳密に評価することに適しています。そのため、ACTT-1で示された患者への利益は、WHOの試験結果により否定されるものではないというQ&Aが出ています。こちらは日本でも、特例承認の際に付した承認条件に従い、現在企業のほうでこちらの臨床試験の詳細なデータを提出しているところです。こちらのほうは、機構も含めて内容を確認し、年明けぐらいに皆様に御報告をさせていただければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。本日の議題は以上ですけれども、事務局から何か御報告はありますか。
○渡辺委員 すみません。渡辺です。今のレムデシビルについて確認します。機構のホームページで添付文書検索の所を見ると、ベクルリーという商品名で、販売開始は2020年5月と記載されているのですが、これはどういう位置付けなのでしょうか。
○事務局 レムデシビルの販売名はベクルリーになります。まだ実際には保険収載等はされていないのですけれども、実際に臨床現場のほうでは5月から使用を開始されておりますので、添付文書ではそのように記載し、機構のホームページに今掲載されているという状況です。
○渡辺委員 これだと何か一般に使えるような感じですけれども、そういう認識でいいのですか。
○事務局 こちらは流通が制限されているという状況で、まだ保険適用もされていない状況なので、まだ一般には使えない状況となっております。ただ、薬事のほうとは離れてしまうのですけれども、現場のほうでは医療機関の要望に従って、こちらのほうから配分して御使用いただいているという状況だと認識しております。
○渡辺委員 それが特例承認医薬品の位置付けということでいいですか。
○医薬品審査管理課長 特例承認とは別です。レムデシビルについては、供給量に若干制限が掛かっていたという事情もありますので、いわゆる厚労省のコロナ対策本部のほうで、一元的に供給の要請を受けて、それで配分しているという流通管理をする形になっております。薬事の承認とはまた別問題で、流通の管理を厚労省がしているという位置付けの薬剤です。
○渡辺委員 そうすると、機構のホームページの添付文書検索の所で、市販薬剤などと同列に掲示されることは、別に不適切ではないのですね。
○医薬品審査管理課長 市販薬剤と言いますか、医療用の薬として承認されておりますので、普通の医療機関の先生方が見るときには機構のホームページに掲載されて、それを参照するというのは問題ないと言いますか、そういう位置付けで問題のないお薬です。
○渡辺委員 分かりました。ありがとうございます。
○事務局 そのほかになければ、次回の部会の御案内をさせていただきます。次回の部会は、12月4日金曜日の午後4時から開催の予定です。部会の開催方法については、状況に応じて追って御連絡いたします。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。お疲れさまでした。
( 了 )
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 柳沼(内線2746)