第1回障害者の就労能力等の評価の在り方に関するワーキンググループ(議事録)

日時

令和2年12月21日(月)17:00~19:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール16A及びオンライン

議事

○小林障害者雇用対策課課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから「第1回障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会 障害者の就労能力等の評価の在り方に関するワーキンググループ」を開催いたします。
皆様方におかれましては、お忙しいところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
本日のワーキンググループは、こちらの会場とZOOMを使ったオンラインで開催いたします。開催に当たりまして、簡単ではありますが、オンラインについて操作方法のポイントを説明させていただきます。
ワーキンググループの進行中は皆様のマイクをオフとさせていただきますが、御発言される際にはサービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックいたしまして、主査の許可があった後に、マイクをオンにして、お名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。会場にお越しの皆様におかれましては、御発言される際には挙手をお願いいたします。
会議進行中、トラブルがございましたら事前にメールでお送りしております電話番号まで御連絡をいただきますようお願いいたします。
なお、通信遮断等が生じた場合には一時休憩とさせていただくこともございます。御容赦くださいますようお願いいたします。
続きまして、資料の確認です。本日の資料は、議事次第、それと、資料が1~4まで、さらに、参考資料が1~10までございます。
資料に不備等ございましたら、事務局までお申しつけください。
本日は、第1回の開催ですので、本ワーキンググループについて簡単に説明をさせていただきます。
本ワーキンググループは、障害者雇用福祉施策の連携強化に関する検討会の下で開催されるものです。検討会の構成員のうち、駒村座長が指名する方に、議論の中心的な役割を担っていただく方として参画いただきまして、また、そのほか、実務経験や見識が豊富な方に専門アドバイザーとして出席をいただいております。
それでは、参集者の皆様と事務局を紹介させていただきます。資料1の2ページを御覧ください。
名簿順に紹介をさせていただきます。
まず、検討会構成員のうち、座長が指名する者として、九州産業大学人間科学部教授の倉知延章様。倉知様には本ワーキンググループの主査をお務めいただきます。
次に、専門アドバイザーとして、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 宮城障害者職業センター 主幹障害職業カウンセラーの相澤欽一様。
名古屋市総合リハビリテーションセンター自立支援部就労支援課長の稲葉健太郎様。
パーソルチャレンジ株式会社コーポレート本部経営企画部ゼネラルマネージャーの大濱徹様。
NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク副理事・統括施設長の金塚たかし様。
全国社会就労センター協議会 制度・政策・予算対策委員長の桑原隆俊様。
特定非営利活動法人ディーセントワーク・ラボ代表理事の中尾文香様。
上智大学法学部教授の永野仁美様。
秋田大学教育文化学部准教授の前原和明様。
独立行政法人国立特別支援総合研究所 上席総括研究員(兼)情報・支援部長の横倉久様。
川崎市健康福祉局障害保健福祉部障害者雇用・就労推進課 雇用・就労支援担当係長の金山東浩様。
鳴門市地域自立支援協議会 就労支援部会長の松尾貴範様。
以上の皆様に御参集をいただいております。
続きまして、事務局を紹介いたします。
高齢・障害者雇用開発審議官の達谷窟。
障害保健福祉部部長の赤澤。
障害者雇用対策課長の小野寺。
障害保健福祉部企画課長の源可。
障害保健福祉部障害福祉課長の竹内。
障害保健福祉部障害福祉課課長補佐の石井。
そして、私が、障害者雇用対策課の課長補佐の小林でございます。
また、オブザーバーとして、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 職業リハビリテーション部に御参加をいただいております。
それでは議事に入ります。
以後の進行は倉知主査にお願いしたいと思います。倉知主査よろしくお願いいたします。
○倉知主査 検討会の駒村座長から、本ワーキンググループの主査に御指名いただきました倉知です。よろしくお願いいたします。
本日は、議題のとおり、まずこのワーキンググループの進め方、現状のアセスメントについて皆様で共有した後、論点に沿って自由に御意見をいただきたいと考えております。
それでは、議題1について、事務局から御説明よろしくお願いいたします。
○小林障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課課長補佐の小林でございます。
それでは、議題1について御説明をさせていただきます。本日、第1回目でございますので、先ほども簡単に申し上げましたが、本ワーキンググループの位置づけ、それと、今後の進め方について確認をさせていただきます。資料1を御覧ください。
1.の「概要」にございますとおり、ワーキンググループは検討会の下に開催をされ、2.に掲げてございます3つのテーマについて論点整理など、集中的に検討を実施するものです。
本日御参集の専門アドバイザーの皆様は、今回が初めての参加ですので、障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会について簡単に説明をさせていただきます。
参考資料1を御覧ください。
参考資料、1.の「趣旨」にございますとおり、障害者の就労支援につきましては、雇用施策と福祉施策の連携が進んできましたが、まだまだ課題があると認識をしております。
また、平成31年の障害者雇用促進法改正の審議におきまして、衆参両議院から附帯決議にて、雇用施策と福祉施策の一体展開への推進を審議できる体制を速やかに整備するとされたところでございます。
そこで、こういった点を踏まえまして、障害者雇用と障害者福祉が連携して対応していけるよう、まずは、厚生労働省の内部でプロジェクトチームを立ち上げまして、本年9月には中間報告をまとめたところでございます。その内容は参考資料3と4にお付けしておりますので、後ほど御参考いただければと思います。
その中間報告に沿いまして、さらに議論を深めるべく、障害者雇用担当の職業安定局と障害者福祉担当の障害保健福祉部が合同で事務局を務め、外部委員にも参画をいただきまして、障害者雇用福祉施策の連携強化に関する検討会を11月に立ち上げたものでございます。
メンバーは、参考資料1の3ページのとおりでございます。学識者、労使、障害者団体、教育関係者、自治体など、幅広い皆様に参加をいただいております。座長は慶應義塾大学経済学部の駒村教授にお務めをいただいております。
検討会のスケジュールにつきましては、参考資料2のとおりでございます。11月6日に立ち上げた後、これまで2回、障害者団体など関係者からヒアリングを実施しております。その上で、深く掘り下げるべきテーマにつきましては、3つのワーキンググループを開催いたしまして、議論を深めていくこととしてございます。各ワーキンググループでまとめた御意見は、親会である検討会に報告をいたしまして、来年の6月頃には検討会としての報告をまとめる予定でございます。
それでは、資料1に戻っていただけないでしょうか。
先ほど申し上げたように、検討会の下、ワーキンググループで議論を深めていただきたい事項は、2.の「検討テーマ」の3点でございます。いずれも中間取りまとめでお示しをしてございます。
1つ目が「障害者の就労能力等の評価の在り方について」、2つ目が「障害者就労を支える人材の育成・確保について」、3点目が「障害者の就労支援体系の在り方について」です。
本ワーキンググループは、このうち(1)の障害者の就労能力等の評価の在り方について議論を深めるものでございます。後ほど、本ワーキンググループの詳細な論点は説明をさせていただきますが、雇用・福祉施策の双方において利活用できる共通のプラットフォームとしての就労能力や適性の評価の仕組みの創設や一人一人の就労に向けた支援計画の共有化について検討することとしております。
続いて、本ワーキンググループの参集者につきましては、冒頭御紹介したとおりでございます。第2ワーキンググループ、第3ワーキンググループにつきましても、資料をお付けしてございますので、後ほど御参考いただければと思います。
ワーキンググループのスケジュールは、年度内に、3つのワーキンググループそれぞれ4回程度開催いたしまして、意見を取りまとめることとしてございます。詳細の日程については、資料1の5ページのとおりでございます。
なお、3つのワーキンググループにつきましては、それぞれ議論を進めるにつれまして、内容がオーバーラップする部分もあろうかと思います。その点は、各ワーキンググループの主査とも御相談しながら、事務局で整理をいたしますが、本ワーキンググループに参集の皆様におかれましても、第2、第3ワーキンググループについて傍聴いただくことは可能でございます。適宜、事務局までお申し出いただければと思います。
議題1につきましては、以上です。
○倉知主査 ありがとうございました。
ワーキンググループの進め方について御説明をいただきました。
それでは、質疑・応答に入りたいと思います。御質問や御意見がありましたら、会場にいらっしゃる方は挙手を、また、オンラインの方は「手を挙げる」というボタンをクリックしていただいて、私が指名した後にお名前を名乗って御発言いただくよう、よろしくお願いいたします。
それでは、いかがでしょうか。
特にないようですので、このワーキングの進め方については、皆さん御了解いただいたということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、続いて、議題2及び議題3について、まとめて事務局から説明をよろしくお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 それでは、障害者雇用対策課長小野寺でございます。説明を申し上げたいと思います。
現状のアセスメントにつきまして、まず共有させていただき、そして、このワーキンググループにおける論点についてということで御説明を申し上げたいと思います。
主に資料2、資料3、資料4を使わせていただき、適宜、参考資料を御参照いただきたいと考えております。
まず資料2でございますが、障害者の就労支援のために高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)で主に開発をいたしておりますアセスメントツールにつきましてお示しをしてございます。
ワークサンプル幕張版からはじまりまして、主に5点載せております。具体的なそのツールにつきましては、2ページ目以降にそれぞれお付けしております。それぞれのツールにつきましては、例えば、精神障害者とか発達障害者といったようなメインのターゲットを持つものもあれば、障害者全体に使っているものもございます。また、実施主体についても様々でありますし、活用の場面や手法につきましてもまとめているとおりでございます。まずは、こういったツールが世の中にあることを御参考までにお示ししております。
これらのツールにつきましては、各機関において単独で使われているというよりも、それぞれ組み合わせたり、あるいは、その機関においていろいろな工夫をされてカスタマイズしたものを適宜お使いになったり、また、ツールで評価をするのみならず、実習なり作業をしていただいたりとか、様々なものを組み合わせて総合的にアセスメントが行われているものと認識してございます。
続きまして、資料3を御覧いただければと思います。
資料3につきましては、各機関において実施しているアセスメントについて、現状を御紹介しております。
まず、関係機関でありますハローワークにおきましては、障害者の方たちがお仕事に就きたいということでいらっしゃった際に、ある程度の職員の経験知に基づくものもありますが、原則として、求職受理の直後の時点で、そのまま求職活動にお入りになるということであれば、必要な方についてはあっせん計画なりを策定し、計画的に御支援するということになっております。
そのほか、ハローワークから例えば地域センターとかナカポツセンターといったことでおつなぎする場合もありますが、地域職業センターにおいては、利用開始時点において、アセスメントをし、職業リハビリテーション計画を立てている、あるいは、ナカポツセンターにおきましても、ナカポツセンターをお使いになるということになれば、利用開始時点において個別支援計画を作成し、その都度、アセスメントを繰り返し、計画の見直しなども行いながら、個々に対して御支援を申し上げているという現状がございます。
また、障害福祉サービス等におきましては、2ページ目になりますが、サービス等利用計画の策定に係るアセスメントといたしまして、例えば、就労移行支援あるいはA型などを利用されることを希望される場合には、暫定支給決定によりまして、実際にその機関を利用しながら、当該サービスの利用決定に先立ってアセスメントが行われているということであります。
また、B型を利用されることを希望される方につきましては、B型を使われることに先立ってのやはりアセスメントが行われているという状況になります。
また、それぞれのサービスをお使いになることになった場合には、サービス利用開始時点において、個々の方々に対しての個別支援計画が策定される、そのときに、また、アセスメントが実施されているし、また、その後も定期的にモニタリングを行いながらということで、必要な支援計画の見直しがなされているというところでのアセスメントということになってございます。
言ってみれば、一つのサービスあるいは支援を選択するその決定の前にアセスメントをしている場合と、サービスが選択されて以降、個々の状況に応じてのアセスメントが行われているわけでありますが、本ワーキンググループにおきましては、主に、サービスを選択・決定するその一歩踏み出す前のアセスメントを主なテーマとして御議論いただきたいと思っております。
そのようなことで、例えば、今、アセスメントの場面においての課題認識を申し上げますと、例えば、雇用の場面、労働の場面で言うと、ハローワークで実際に企業に就職しておられた方、あるいは初めてという方は障害者の場合はなかなか珍しい形ではありますが、いずれにしても企業で就職をされたいということでハローワークに来所された際に、本来であれば、そこでその方に対してのアセスメントが総合的に行われて、そのまま具体的な求人の検討に入り、求職活動に入っていくということにすべきなのか、一旦、就労福祉サービスをお使いになっていろいろな訓練をした後で、改めて、企業にチャレンジしていくというようなこともある中ではありますが、現状においては、非常に難しいなという事例についてはナカポツセンターだったり障害者センターにつなぐこともありますが、網羅的に何らかのアセスメントというようなことで対応をしているというよりは、職員の経験知に基づいて、そのまま求職活動の支援を行うことについて判断されているということがあります。
また、障害福祉サービスで申し上げると、その入り口の部分については、参考資料5でもお示ししていますが、今申し上げたとおり、一定のアセスメントが行われていますけれども、そのアセスメント自体がやや手続的なものになっていたり、あるいは、参考資料5の最後のシートにありますように、就労アセスメントと言われているもの自体は、基本的にはB型事業を利用する場合は必須とされている中で、若干B型への利用の方向づけというような確認行為という形になっているのではないかという御指摘もあるというところでございます。
そのような現状を踏まえまして、資料4にお示ししておりますのが、第1ワーキングにおける論点等でございます。
まず、現状の課題認識は、今申し上げたとおりでありまして、支援の利用に当たって、その判断自体が現場任せになっているのではないかということ。それゆえに、実際に御本人にとって適切な支援等につなげられていない場合もあるのではないかといったことが課題認識としてございます。
参考資料6を御覧いただきたいのですが、例えばの事例としては、特別支援学校を卒業される生徒さんが、平成31年3月卒のデータでございますが、約22,000人弱いらっしゃる中で、企業にそのまま就職される方が3分の1程度いらっしゃって、残りの大部分が障害福祉サービスのほうにお入りになっていくという流れになっている中で、障害福祉サービスの中においても、卒業生全体の3分の1弱ぐらいが就労系障害福祉サービスにお入りになっていく。その中で、直近のデータで申し上げますと、平成30年には1年間で全体の中から約2万人弱が一般就労への移行を果たしているということでございます。
雇用側としてみれば、できる限り多くの方たちにその状況も踏まえた上で、就職あるいは就労系福祉サービスの中で、また、一般就労を目指すというような流れがより積極的に出していけるといいのかなと思う中で、この特別支援学校卒業時点でのアセスメントなりがもう少し実効あるものになっていくことはないのかという課題認識も一つございます。
そのような中で資料4に戻っていただきまして、今回の論点の(1)でございます。アセスメントの位置づけとして、まず、アセスメントが適切に行われるために、その目的をどう考えるのかということであります。これは後ほど御覧いただければと思いますが、参考資料9に、連携強化に係る検討会、親会のほうでの御指摘などもお示ししておりますが、その中でも御指摘を受けておりますが、例えば、障害者本人のニーズの実現。この人はどう支援したら働けるのかといったこと、あるいは、ニーズの実現のための課題を明らかにすることで、その方にとって本当にふさわしい支援の選択の判断材料にしていただくといったようなこと、様々目的考えられると思いますが、改めて、今回、その入り口部分での選択をより効果的なものにするというものに立った上での目的を改めて明確にしたいと考えてございます。
また、福祉から雇用のみならず、雇用から福祉ということで、切れ目なくシームレスに障害者の方にとってのふさわしい支援の実現ということで、こういったものをどういうふうに活用していくのか。
それから、参考資料7にお示しもしておりますが、現在、高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)に厚生労働省障害雇用対策課から要請研究をお願いしておりまして、就労困難生の評価に係る評価研究についてということで、特に就労移行支援のためのチェックリストがありますが、これも10年以上実は開発から手つかずになっているという中で、特に精神障害者の方が増えているとか、合理的配慮といったような概念が義務化されているということも踏まえて、この評価ツールの見直しが今進められております。一旦、このような形でツールの開発が一方で進んでいる中で、一定のこうした標準的なツールの必要性についてどう考えるかということ。それから、ある選択を踏み出していただく一歩手前のアセスメントを実施する場合に、対象者の範囲をどう考えていくのかということでございます。先ほど御紹介したとおり、特別支援学校から御卒業時点においては、B型利用を希望される方について必須となっていますが、そこがB型利用の方だけを就労アセスメントの対象にしていくのか、その辺りの範囲をどう考えるのかということでございます。
また、そのような行われたアセスメントの結果について、福祉・雇用・教育、それらのそれぞれの現場での活用についてどう考えるか。
それから、全体としてアセスメントの例えば範囲を広げていく場合には、そういった実施の担保をしていくために、全国での実施体制をどう構築していくのか。そういったときにアセスメントの質自体をどう担保していくのかということでございます。
併せて、今申し上げたようなことを実現していく上で留意すべき点は何かというようなこと。
主立った論点はこのような形でございます。
ワーキング自体は、検討の回数が限られている中で、一定一つの選択あるいは決定をする一歩前の段階でのアセスメントを主眼に御議論いただきたいということと、それから、具体的な方法論とか、つぶさな制度設計まで取りまとめる時間的余裕もないのかなという中で、少なくとも実効ある運用とするため、今後、制度あるいは枠組みを具体化していく、検討する中で、留意すべき点は何なのか、あるいは、検討の方向性はどうなのかということでの御意見をいただければと思っております。
それと、客観的な評価の仕組みをつくって終わりということではなく、まさに、その仕組みをつくった上で支援する側の意識とか、その意識に影響する支援機関の在り方といったことも関連するかと思います。そういった意味ではワーキンググループ3であったり、ワーキンググループ2とも、当然、相互影響し合う論点もあろうかと思います。この辺り、関連、影響し合う点につきましても、ワーキングにこだわらずに御意見としてはいただいた上で、検討会、親会のほうでの最終的な取りまとめの中で生かしていければいいかなと考えているところであります。
それから、今触れませんでしたが、参考資料をそれぞれお付けしている中で、例えば参考資料8、厚科研費の研究などは、もし、適宜、前原アドバイザーなどにも補足していただければと思っておりますし、それぞれ机上配付、お出しいただいている資料もございますので、その辺りも御発言の中で触れていただきながら、様々なお立場から多面的な意見をいただければと考えてございます。
事務局の説明としては、以上であります。
よろしくお願いいたします。
○倉知主査 ありがとうございました。
資料2、3を活用して、まず、現状について皆さんで共通理解をする。それから、論点として、資料4に4つ挙げられています。まず、アセスメントの位置づけです。目的、活用、対象範囲、、結果の活用場面をどうするか。それから、(3)番の実施主体、ここはほかのワーキンググループとも関連してくると思うのですけれども、実施主体と、あとは留意点、(4)番目ですね。この辺りを今日はまず自由に御意見なり御質問をお受けするようにしたいと思っています。
では、質疑・応答に入りたいと思います。先ほど申し上げましたように、ただいま事務局からの説明を踏まえて、皆さんから自由に御意見をいただきますが、御質問や御意見がありましたら、会場にいらっしゃる方は挙手を、オンラインの方は「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、私が指名した後にお名前を名乗って、御発言いただくようにお願いいたします。
それでは、どうぞ。いかがでしょうか。
あまり順番を考えずに、自分の思うところから発言していただいていいかなと思います。そこから少しずつ集約していきたいと思います。
では、横倉アドバイザーよろしくお願いいたします。
○横倉アドバイザー 国立特別支援教育総合研究所の横倉でございます。
私は、何年か前まで学校現場におりましたので、少し学校現場の現状等を踏まえてお話をさせていただきたいと思います。
資料4の論点の(1)の○の2をあけてください。これは、「福祉」から「雇用」への移行という視点で記載されていますが、まさしく、切れ目のない支援の実現に向けてどうしていくのかということが問われている部分だと思います。で、ちょっと戻っていただいて、資料3の2ページ目の就労継続支援のA型・B型のところで出てくる移行支援計画を作成する。これは切れ目のない支援や連続性のある支援を実現することを目指した取組を表していると思います。特別支援学校を卒業していく生徒がどのように学校で生きる力を培ったのか、あるいは、学校で大事にしまた、支援を進路先にどうつないでいくかという、その部分に非常に関わる部分で気になっている、ある意味課題の部分もあります。学校生活の中では、個別の教育支援計画が立てられて、それこそ修学前から小学部・中学部・高等部とずっと個別の教育支援計画が策定されて指導・支援がなされてきました。それが、例えば就労継続支援のA型あるいはB型のところに卒業後お世話になったときに、そういった今までの特別支援学校の中で展開されてきたものがきちんとつながる形で、制度なりあるいはルールなりができたらいいなというのが、私が現場にいたときから思っていたことで、まさしくそういった論点もこのワーキングの中で議論ができればいいのかなという希望を持っています。
以上です。
○倉知主査 ありがとうございました。
横倉アドバイザー、生徒が卒業後に障害福祉サービス事業所に入ったときに、特別支援学校で策定された教育支援計画がうまく伝わっていないということなのでしょうか。その辺り、もし何か御存じでしたら、御意見をいただけるとありがたいです。
○横倉アドバイザー 個別の事例というよりは、私の研究所には全国から中核になる先生方が集まって長期の研修もしているわけですけれども、そこで一番出てくるのが、個別の教育支援計画を策定して、それが次に続いていかないという、やはり問題・課題が提示されています。いわゆる個別の教育支援計画の活用のところです。
一つは、教育と福祉の言語が違うというような、教育で語っている言語と福祉あるいは、最近は随分違ってきましたけれども、労働で語っている言語のところが若干違うのではないかという感想を提示されます。そこの部分は、教育だけ、あるいは労働・福祉だけではなく、相互に共通言語になるような、そういう取り組みが増えてくれば、大きく変わってくるのかな。そういう感想を持っています。
以上です。
○倉知主査 ありがとうございました。
ということは、使われる言語が違うというのは、共通したアセスメントがあまりできていないのかもしれないですね。そういうことが今後必要ではないかということでよろしいでしょうか。
○横倉アドバイザー はい。
○倉知主査 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
では、桑原アドバイザーよろしくお願いいたします。
○桑原アドバイザー 全国社会就労センター協議会の桑原といいます。
長いものですから、途中、セルフ協と言うかもしれませんが、略称がセルフ協という意味ですので、その辺をお含みいただければと思います。
セルフ協は主にA型・B型の団体が多いのですが、そういった事業者の団体になります。
そういったことで、今回、ワーキングの始まる前というか、最初の文章が、障害者の就労能力等の評価ということが書いてあったものですから、僕らとしては、最初のイメージはそっちなのかなと思ったのですが、説明を聞いていると、入り口のところ、アセスメントについて、今回主に論議していただきたいということでした。
本来ですと、資料か何かがあればよかったのですが、ちょっとぎりぎりになっていろいろと自分なりに悩んだ部分もあったものですから、一応資料をつくったのですが、後で会議が終わってから、僕がつくったものは事務局にお渡ししますので、アドバイザーの皆さんに渡してもらえればと思います。
入り口のところというものですから、マッチングの部分で説明と今回のワーキングが中心になるのかなと思うのですが、一つちょっと整理したほうがいいのかなというのは、障害支援区分の関係との連携というか、AとBについては、障害支援区分はなくても利用できますけれども、生活面でヘルパーとか短期入所とかグループホームとかと使っている人たちについては結構受けている人もいるので、そちらとの何か整合性というか、何か整理も若干必要なのかなと思いました。
それから、我々事業者団体のA型・B型のところでは、今回は入り口の部分ということだったのですが、僕らとしては就労能力の評価を今回やってもらえるのかなと思って、最初かなりの期待をしていたのです。というのは、我々の協議会でもずっと昔からそこを何とかしなければならないなといろいろと検討を重ねているのですが、なかなかうまく結果が出ないというのは、職業の数だけアセスメントの評価項目がないとうまくいかないというものがあるのですね。クリーニングは得意だけれども、木工は得意ではないとかいうのが結構あるものですから、そこら辺の整理がうまくつかなくて、ずっと悩んでいました。
職業ごとの違いもあるし、障害ごとの違いもある。今回の報酬改定のほうで、特にB型のほうでは、工賃の多寡に関わらないというか、そういった部分の新たな体系がちょっと示されているのですけれども、そこに至った部分については、支援度、工賃だけではない重度の障害の人たちもいるとか、精神の人たちの時短の問題もあったりして、支援度の高い人たちがいて、工賃が上がらないという問題があったので、そこら辺の問題を提起して、今回の新たな体系が出てきてはいるのですが、今後のこともあるので、セルフ協としては、就労に関する支援についての何かツールが必要ではないかなと考えていました。
それと、障害支援区分については、就労に対する支援のところとはなかなか比例しないという問題もあります。ただ、日常生活のほうでは、就労ばかりではなくて、ADLとか生活面での支援も特に必要な方が多いという問題もあります。
 それと、今回、全く関係ないのですけれども、今、重度者支援体制加算の条件が年金給付というのがあって、そこに加わるスケールが必要なのではないかというのも思っていまして、今回、そういった部分ももしかしたら触れるのかなと思ったのですが、ちょっとこれは今回は触れないみたいですが、それと、施設を利用してからの個別支援計画との関連性とかというのも必要なのかなと思いました。
そういった部分で事業者側の支援度を測るという、何かこういう就労に関するアセスメントも、今回はできないにしても、若干触れてもらうとか、将来的にそこをどうしていくかというのをちょっとは今回のワーキングで触れていただければなと思いました。
すみません、ちょっと長くなりまして、資料を出したのがあるのですよ。スウェーデンの関係の。そこも主査、併せてよろしいでしょうか。
○倉知主査 今回の今日のテーマと外れなければ、お願いします。
○桑原アドバイザー これは、セルフ協で2016年にスウェーデンのサムハルに行ったのです。ずっと行っていただいていいでしょうか。
サムハルが、ここにあるようにいろいろな確認をいただいた後にサムハルというところに行くのですが、次のページいいでしょうか。
ここで、スウェーデンでは、まず入り口の問題が、ここでまず面接をして、何がしたいか云々で、16のポイントをアセスメントするそうです。
次のページいいですか。ここが16のチェックポイント、読み・書き・計算・時間を守る等々16ありまして、次のページよろしいでしょうか。これが黄色のところが本人のアセスメントの結果の能力で、ブルーのラインが、その仕事ごとにこのブルーのラインをつくって、この仕事にはこの能力が必要だというのがブルーのラインになります。ですから、ここはスウェーデン語で書いてあって、ちょっと分からないのであれですが、多分、前のデータと同じ16の分かれ方になっていると思うのですけれども、そこで8割ぐらい重なれば、例えばクリーニングなどの仕事を8割重なっていれば行けるのではないかというので、そこから実習等が始まるということです。我々も、職業ごと、障害ごとでなかなか能力の評価が難しいなという部分があって、これはすごく参考になるかなと思ったのですが、これ以上のことは、パテントがあるということで教えてもらえないのです。ですけれども、こういった考え方もあるということで、ちょっと参考の資料に出させていただきました。
ちょっと長くなりました。以上です。
○倉知主査 ありがとうございました。
このワーキンググループでは、ある程度絞って進めていかなければならないので、事業所の支援度を測ることについては、今回はちょっと難しいかなと思います。
もう一点、介護給付との整合性というのは、これで介護給付の適性まで見られるようなアセスメントが必要だという理解でよろしいのでしょうか。
○桑原アドバイザー そこまでの理解ではなくて、そちらとの整理が必要ないかなという問題提起です。
○倉知主査 整理といいますと。
○桑原アドバイザー 何と言ったらいいのでしょうね。あくまでも、ここは日中のことだけのアセスメントにするのか。夜間というか、生活の場のほうについては特に触れないということでよろしいでしょうか。
○倉知主査 これは、また、事務局からも答えていただきますが、そこまで入れたほうがいいのではないかという御意見でしょうか。
○桑原アドバイザー 場合によっては、夜というか、生活が安定しないと昼のお仕事もなかなか安定しないという面もあるので、そこを昼と夜のことをどう考えるかということです。
○倉知主査 職業生活の基本となるようなところもアセスメントが要るという理解でよろしいですね。
ありがとうございます。
あと、具体的な就労支援ツールとして、進路を判断するためのツールとか、どの仕事が向いているかというツール、こういうものが必要ではないかという御意見として承りましたが、それでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
幾つかお伺いしてから、事務局のほうに話を振りたいと思いますが、永野アドバイザーよろしくお願いいたします。
○永野アドバイザー 上智大学の永野と申します。今日はよろしくお願いいたします。
私も、最初このお話をいただいたときには、就労能力を全般的に評価するものを想定しているのかと思ったのですが、事前にお話を伺いまして、障害を抱えている方のニーズを把握して、それを支援につなげていくためのものだということで、今回は議論の範囲が限定されているということで理解しております。
それを前提にお話をさせていただきますと、まず、障害者の範囲をどう考えるかという点ですが、最初、事前に説明をいただいたときに、およそ就労できないような重度の人は対象外とすることも考えられ得るということをお聞きしたのですが、改めてよくよく考えてみますと、非常に重度で最終的にはアセスメントの結果、生活介護などに方向づけられるような方であったとしても、アセスメントを受けること自体は保障しておく必要があるのではないかと考えまして、重度であることを理由にアセスメントから外すということはあまりしないほうがよいのではないかと考えるに至りました。
また、逆に、医学的に見ますと障害があるのですけれども、就労困難性はほとんどないという方もいらっしゃろうかと思います。そういう方については、アセスメントを受ける必要なく、労働市場で職を見つけて働いていただけると思いますので、アセスメントを受けなくてよいのだろうとは思うのですが、その方々についても、アセスメントを受ける権利自体は保障しておいて、その方が必要だとおっしゃるケースに備えておくことが重要かと考えるに至りました。
○倉知主査 ありがとうございます。
要するに、就労を希望する人であれば、障害の程度に関係なくアセスメント対象として支援すべきではないかという御意見ですね。
○永野アドバイザー はい。
○倉知主査 ありがとうございます。
ここまでのところで、事務局のほうで何かございますか。
○石井障害福祉課課長補佐 障害福祉課課長補佐の石井でございます。
桑原アドバイザーから何点か障害福祉制度に関わるような御意見・御質問をいただいたところでございます。
先ほど主査のほうからも少し議論の整理をしていただいたところでございますが、例えば、障害福祉サービスのうち、いわゆる就労系サービスにつきましては、その利用に当たって障害支援区分というのが特に必要ありません。
一方で桑原アドバイザーのほうから、就労アセスメントの結果とそういった障害支援区分との関係も整理したほうがいいのではないかという問題提起がございました。具体的に、今どのように整理するかという問題はございますが、例えば、数字的な話で申し上げますと、就労系サービスを利用している方の中で、障害支援区分に基づき他の障害福祉サービスを利用している方もいらっしゃいますので、そういった資料を御提供させていただくなどの対応はできるかなとは思っております。ただし、この議論の中で、いわゆる介護給付に関わる障害支援区分が就労系サービスの利用に影響しているのかとか、どこまで考慮すればいいかというところに関しましては、大変恐縮ではございますが、事務局でもまだ考えの整理ができていないところでございます。けれども、そういった資料の提供等は場合によっては可能かなと思うところでございます。
障害福祉サービスに係るところで、少し補足させていただきました。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺でございます。
一点、御意見としてあった、このワーキングでは入り口の部分をということで絞ったということの中で、桑原アドバイザーのほうから、就労能力の評価について期待していたというお話がありました。この件につきまして、多少補足的に現状を申し上げると、確かに、ここのワーキングでは主眼とする部分は絞らせていただく旨、申し上げましたが、将来的な必要性ということについての問題提起や御意見については、最終的なワーキング取りまとめの中にも追記しておく必要はもちろんあるかなと思います。それは御意見として賜りたいと思っておりますし、先ほどの資料のほうで御紹介いただきましたサムハルの取組の中で、読み・書き・計算といったようなことから、一つのスキルについて御本人の能力と職種によって必要な能力を照らし合わせているような仕組みにつきましては、現行、日本におきましても、日本版O-NETというのをつくっておりまして、この中で一定の職種について、タスク、スキルで分析して、数値化で表記しております。これについては、特に障害者がジョブ型雇用で就職していくということを考えると、活用できるかなと思っておりますので、そのような可能性も秘めた上で、今後、そういった就労能力の評価についての必要性については、大変重要な御指摘かなと思っております。
以上でございます。
○倉知主査 対象者の範囲については、何かございますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺でございます。
永野先生から御指摘のあった対象者の範囲につきましても、大変示唆深い御意見かと思います。就労を御希望される方にはすべからく障害の程度にかかわらず、アセスメントを受ける権利は担保しておいて、そこは御本人が希望すればという対応は、大変示唆に富んだ御指摘かなと思っておりますので、賜りたいと思います。
○倉知主査 ありがとうございました。
ほかに御意見・御質問等は。
金塚アドバイザーお願いします。
○金塚アドバイザー 金塚です。
今回のアセスメントというところにおいて、サービスを選択するアセスメントというところで、まず一点、このアセスメントを受けて就職できるかどうかというジャッジメントにならないということは意識というか、皆さんで共有したいなと思います。
もう一点は、サービスを決定するということであれば、サービス利用計画を立てられる相談員の力量がとても重要になってくるのではなかろうかと思いますので、その辺をどういうふうに考えていくかということ。
あと、(4)のアセスメントをするに当たっての留意点において、ここの要素だけではなくて、精神の方であれば医療という部分の要素であったり、生活という部分の要素、これを縦割りでのアセスメントではなくて、横断的にアセスメントをするということがとても重要ではないかと思います。なので、この要素以外の環境というところのアセスメントをどうするかということをしっかり考えていければなと。
簡単ではありますけれども、2点お話しさせていただきました。
○倉知主査 ありがとうございます。
要するに、雇用の可否についてのジャッジメントにしないというのが、最初、事務局からもお話しいただいたところで、その辺の目的は皆さんで確認をしたいと思います。要するに、ニーズをどう実現していくのか。そのためにどんな支援が必要なのかということを考えていこうということですね。
ありがとうございます。
具体的なアセスメントの内容、方法までは、ここで議論するのはちょっと難しくて、むしろ、JEEDのほうで今やられている研究の中に組み込んでいただくような提案という形で理解してよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
中尾アドバイザーよろしくお願いします。
○中尾アドバイザー NPO法人ディーセントワーク・ラボ、中尾と申します。ふだんは、障害のある人たちの特に就労現場といいますか、その企業に対してコンサルに入っておりまして、また、研究も一緒に両軸でやっている者です。
私は、論点の(2)のアセスメント結果を活用する場面についてというところがあると思うのですけれども、福祉・雇用・教育のところで、それぞれ先ほど言語が違うとかそういうお話があったと思います。もちろん言語も違うのですけれども、私がいろいろ実際に現場に入っていたり、研究をしている中で、それぞれの持つ目標設定がばらばらなのではないかというのがあって、もちろんサービス決定の最初ですけれども、大きい目標、障害のある方が働くということはどういう大きい目標があって、個々の目指すべきところは一体どこにあるのかというところがあった上で、それを総合的に目指していかなければならないと思います。多分どこの現場が欠けてもいけないと思うのですね。ただ、目標が全く違う方向を向いていると、結果的に目指すところがばらばらになってしまって、言語もばらばらになってしまう。思いは一緒だけれども、全然違う結果になってしまうということを目の当たりにしていまして。なので、個別の目指すべきところがあって、ただ、それは最終的に大きな目標がある中で決めていく必要がありますし、それに応じたアセスメントの在り方があるのではないかなと思っています。
それに応じてトレーニングがあったりとか、あとは、福祉現場の在り方とか、雇用との関わりとか、教育の在り方というのが、そこから見えてくるのではなかろうかと思うので、そこを定めるのが大事ではなかろうかと思います。
○倉知主査 ありがとうございました。
全員で共有するために、目標設定がばらばらというところを目の当たりにしているというのを、幾つかお話をいただけるとありがたいです。
○中尾アドバイザー 実際に障害のある方も、例えば目標というか本人のニーズもあると思うのですけれども、今、企業で就労というか雇用支援をしていて、そこに行き着くまでに、例えば教育の場面でこういうふうなスキルを身につけてきてくれればいいのにというところがやはりあるのですけれども、実際、その人が受けた教育の支援というものが、企業の求める教育というところとかけ離れてしまっているというところがあって、今、企業が考えているのは、企業で仕事とかそういうのを渡す上でのトレーニングのところからつくらなければいけないみたいな話があるのですね。確かに、細かい一個一個の作業とか仕事というのは違うとは思うのですけれども、その前の前提として、働くのはどういうことなのかとか、自分の自己理解とかという、自分の特性がこういうことであるとかというところの把握とか、そういうところが、企業でやっていくうちに明るみになって、そこで解決できずに辞めざるを得ないみたいなところの食い違いがあって。もちろん教育現場でされているとは思うのですけれども、恐らく企業が求めているところと、その教育の実際にやられていることは多分食い違いがあるのだろうなと。それが結構何ケースもあるというところは例として挙げられると思います。
○倉知主査 ありがとうございます。
まさに、個々の判断に任されている現状がそういうひずみを生んでいるという理解でよろしいでしょうか。
○中尾アドバイザー そうですね。そこもあると思います。
○倉知主査 雇用・就労に向けてどのような支援が必要なのかというのをみんなが共有することが必要だということですね。そのためのツールが要るのではないかということですね。
○中尾アドバイザー はい。
○倉知主査 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
まだ御発言されていないアドバイザーの方、自由にどうぞ。
それでは、前原アドバイザーよろしくお願いします。
○前原アドバイザー 秋田大学の前原でございます。失礼いたします。
今、いろいろお話を伺っておりまして、私もともといわゆる職業リハビリテーションの分野に従事しておりまして、現在、教育文化学部で特別支援教育を行っているのですけれども、働くということを通じていろいろな領域の方々と接する機会が大変多くて、特別支援教育にいるだけだから特別支援教育だけではなくて、働くということを通して職業リハビリテーションとか特別支援教育とか社会福祉とか、最近だと、大学でのいわゆる障害をお持ちの学生さんへの支援というところがすごく広がってきているなと思っています。
そういう中で、先ほどから言語とか目標設定というお話もありますが、いろいろな領域を働くということを通じて関わっていく中では、それぞれの領域、例えば大学での支援においても恐らく修学支援ということで大変価値あることをやっているなというのは分かる一方で、就労ということになったときになかなかそれが支援に反映できないということを感じたりすることがあって、いわゆる価値交換のレートといいますか、修学支援で大事な分かってきたことを、恐らく就労支援でも役立つことができるのだなという感覚はあるのですけれども、それがなかなかうまく価値として交換されて就労支援の中に役立てることができていないという現状がもしかしたらあるのかななんていうことを思ったりしています。それはもしかしたら共通の何かツールなのか、場合によってはケース会議とか、いろいろな人で話し合って交換をしていかないといけないという何かのワンクッションが確かに必要なのだなという感じは大変思ったりしています。
○倉知主査 そういう意味でのアセスメントツールが必要ではないかということですか。
○前原アドバイザー そうですね。なので、アセスメントツールでもしかしたら何か能力が分かるというものではなくて、逆に、環境面として何が必要であるかとか、何がニーズとして必要とされるのかとつながりのあるようなツールがむしろいいのかなと思ったりしました。
○倉知主査 ありがとうございます。
確かに、そこが今、JEEDでこれから開発しようというツールなのかなという感じがしました。
ほかはいかがでしょうか。
稲葉アドバイザーよろしくお願いします。
○稲葉アドバイザー 名古屋市総合リハビリテーションセンターの稲葉です。
私は、今、就労移行支援事業所連絡協議会で副会長をさせていただいているのですけれども、就労移行の立場と、あと、リハビリテーションセンターなので、医療というところも一緒に運営しているので、ちょっと医療的なところでもというところで御意見ができるかなと思っているのですが、1点目に関しては、現在、就労移行に来られる方の中でも、すぐに就労移行に来られている方はいいのですけれども、B型とか、我々の高次機能障害の方ですと、介護保険とかに実は流れてしまって、まだまだ働ける能力のある人たちがそちらに行って、一旦入ると出てこれないというような構造が少しあるなと思っていて、我々から見ると、一般就労の可能性があるなと思う方々でも、見方が違うと就労は難しいというふうになってしまうというところが課題感としてはあって、そういった意味では今回の入り口の部分でのアセスメントにはなるのですけれども、長期的な視野に立った就労の可能性をきちんとアセスメントしていかなければいけないというか、見据えていかなければいけないのではないかなと思っています。
もう一点目が、私、医療機関もあるので、特に医療と福祉・雇用に関しても、共通言語というところで言うと、なかなか共通言語ってできていないかなと思っていますし、医療でいろいろなアセスメントがとられたことが、実際に就労支援の現場とかでも十分生かされているかというと、そうではない部分もかなりあるなと思っているので、そういった意味では、今回、直接的に医療でのアセスメントにはならないかもしれないのですが、医療的な分野も視野に入れてアセスメントもちょっと考えていったほうがいいのではないかなと感じております。
とりあえず、以上です。
○倉知主査 ありがとうございました。
個々の判断だけでなくて、分野ごとの判断も結構影響してくるのではないかということと、あと、職業生活の基礎となるような、これは金塚アドバイザーからも出ましたが、生活とか健康とかそういう基礎的なところの評価も大事だということでよろしいでしょうか。
○稲葉アドバイザー はい。
○倉知主査 ありがとうございます。
今までのところで、事務局から何かございますか。
よろしいですか。
では、このまま進めていきたいと思います。
相澤アドバイザーよろしくお願いします。
○相澤アドバイザー 宮城障害者職業センターの相澤です。
現場で日々就労支援・相談をしている立場でお話します。これまでの説明や資料で「客観的な評価」という言葉が出ているのですが、「客観的な評価」をどのようなイメージで捉えて議論するのか意識する必要があると感じました。どのような事実を把握するかということはある程度「客観的」に共通化できる可能性はあると思いますが、把握した事実をどのように見立てるかというのは人によって異なる可能性があり、誰が行っても同じような見立てになるという訳にはいきません。また、その人の状況を見立てた後、その人のニーズを実現するためにどのような支援の方向性を考えるかは、企業や支援機関などの状況を踏まえて検討されるので、ある見立てをしたら自動的に支援方針が決まる訳でもありません。地域の状況を網羅的に把握するのは大変ですし、地域の状況は随時変化するので、一度把握したら終わりという訳にもいきません。加えて、把握した地域の事情をどう見立てるのかという問題もあります。つまり、事実を把握する、把握した事実からその人の状況を見立てる、見立てから支援方針を検討する、これらすべてについて「客観的な評価」ができると考えるのは無理があり、見立てや支援方針に関する本人や支援者の「主観」や「仮説」の精度を上げるために、さまざまなテキストを読み、現場で議論し、研修を受け、本人も含めた関係者間でケース会議を行っていく、これらの積み重ねが必要であり、何らかの仕組みがあると「客観的な評価」ができるというものではないと考えているのですが、
私の考えていることがワーキンググループの参加者で共有できているのかどうか確認する必要があるかなと思って聞いていました。
あと、もう一点は、この人は十分就職できるだろうと思う人やこの人は絶対無理だろうという人は対象になるとかならないという話がありましたが、誰がどういう基準でどう見立てるのか、現場からするとよく分からないなと思いました。
その議論に関連し、本人が希望しない場合でも今回の議論するようなアセスメントを受けてもらいますよという議論になっているのかどうなのかがちょっと気になりました。
○倉知主査 ありがとうございます。
まさにアセスメント力がかなり問われてきて、それによってツールが生きるか死ぬかというのは大きい。その個々のアセスメント力と、みんなでケア会議をしながらそれを詰めていくという過程が要るのではないかという御意見が前半の部分ですかね。
後半の部分については、対象者の範囲のところで、希望者は当面アセスメントするけれども、その希望者かどうかというのをどう見るかという、そういう意見ですかね。
○相澤アドバイザー まずは、希望する人は受けられるとかという議論があったのですけれども、希望しない人も受けないといけない場面が発生するのか気になったということです。
○倉知主査 ありがとうございます。
むしろ、その前に個々の支援者が判断してというケースが今すごく多い。だから、ニーズが出てこないことも結構多いから、その前の個々の判断というところでアセスメントをどうするかというところが、今回大変重要なポイントかなという感じはしているのですけれども、そんなことでしょうか。
○相澤アドバイザー アセスメント内容を説明し、本人が、そういうことであれば自分はどうしていいか分からないから受けてみたいなというのが、大前提になっているのかなという気がしていたのですが、そうでないとすれば、これから議論を進める前に説明はあったほうがいいのかなと思ったところです。
○倉知主査 その大前提が要るだろうという御意見ですよね。
○相澤アドバイザー そうですね。そういうものがあるのかなと。
○倉知主査 あるのかと言いますと、それが必要ということですかね。
○相澤アドバイザー いろいろな説明を受けても、そういうものを受ける希望が本人から出てこなかった場合でも、いやいや、受けてもらいますよみたいな仕組みも想定されているものなのかどうなのかが、ちょっと前提として知りたいなと。
○倉知主査 相澤アドバイザーとしてはどう思われますか。
○相澤アドバイザー 本人の意向と関係なく受けてもらう仕組みを想像できなかったものですから、あるとすると、具体的にどういう仕組みなのか聞かないと、いいか悪いかちょっと判断できないです。
○倉知主査 私も相澤アドバイザーと同じで、前提としてあるだろうということで進めているのですけれども、その前に今あるのは、それすら、個々の判断でジャッジされてしまっているのではないかということが問題になっているということが恐らく最初の事務局の説明であったのかなと思います。
今の件に関連しても結構ですし、何か御意見とか御質問とかあればお願いいたします。
横倉アドバイザーよろしくお願いします。
○横倉アドバイザー 先ほど、企業と学校、一般的には教育といいますかね。共通言語というキーワードは、双方で捉え方に乖離があるということを意味します。今、教育の中では評価と指導の一体化が一つ大きな学習評価という視点でところではテーマになっているところで、アセスメントをいかに子供たちの、あるいは卒業していく生徒たちの育ちの豊かさに近づけていくか、あるいは変容を促していくのかという、そういうような視点が学校教育の中に必要だろうと思います。ということは、アセスメントを実施して、それでもう日々の学校生活とか、あるいは指導、教育の中でどう企業が望んでいる力、あるいは企業から一般就労するための力の育成を現行の学習指導要領を踏まえた学校の実際の中でどういうふうに展開していくか、子供たち支援をつづけていく営為が、学校と企業、広くは社会と共通の言語で語られるようにしていくことになっていくのかなと私なんかは思うのですね。
生徒がアセスメントを実施された後に、学校の中で、PDCAサイクルの中で、より指導内容を充実させていくという、そういうプロセスとして取り組みつづけていくことが共通言語で、子供あるいは生徒への支援を語っていく中身になっていくのかなと思います。
むしろ、その部分が今まで取組として少なかったのかなという思いもあります。こうした取組を踏まえることで初めて共通な目標設定だったり、共通言語で語れるということになっていくのかなと思います。
以上です。
○倉知主査 ありがとうございます。
ということは、アセスメントした結果を教育だけではない、ほかの機関も含めて検討することが必要ではないかということでしょうか。
○横倉アドバイザー 広く考えて、そういうことも含めたことなのだろうと。例えば、アセスメントが一般企業就労や進路の選択だけではなくて、それが学校教育に返っていく、まさしく社会全体のPDCAサイクルに載せていくことで、学校教育と企業のニーズとマッチングしていく、より近づいていくという、そういうものになっていくのかな。ただ、学校はナショナルカリキュラム、つまり、学習指導要領の中でしっかり教育をしていくというのがこの国のつくりですので、そこはやはり踏まえた議論をしていただければありがたいなと思います。
以上です。
○倉知主査 ありがとうございます。
要するに、在学中のことだけでなくて、卒業後の人生も含めた上で支援を考えていくことで共通言語が成り立つのではないか、そんなことでよろしいでしょうか。
○横倉アドバイザー そうですね。
○倉知主査 ありがとうございます。
ほかはいかがですか。
まだ発言されていないアドバイザーの方、もしよろしければ。
大濱アドバイザーよろしくお願いします。
○大濱アドバイザー パーソルチャレンジの大濱でございます。
少しだけ会社のことを紹介しますと、パーソルグループという人材ビジネスをやっている企業グループの特例子会社でございます。今、従業員900名弱のうち500名ぐらいが何かしらの障害を持って働いていると。やっている事業は、主にパーソルグループの中にあるオフィスワーク、事務系の仕事を受けてやっていることが一つ。それから、人材ビジネスをやっていますので、障害者手帳を持っている人の有料職業紹介の事業をやっているのが一つ。また、就労移行支援も関東圏中心に15拠点ほど今展開をしているということです。ですので、働くフェーズに寄ったアセスメントは、当社自身の採用でも就労移行支援の現場でも、あるいは職業紹介の現場でもやっているということになります。
今日、皆さんの御意見を聞かせていただいて、本当に勉強になってそうだなと思っています。少し付け足すということではないのですが、3つ視点を入れていただけるとありがたいなと思いました。1つは、企業が障害者を雇用するのは理由があるということですね。一般的に企業の雇用・採用は、その企業が目的を果たすための投資活動だったりしますが、投資の目的だけではないのが障害者雇用でもあります。その企業が採用する理由があるということをまず一つ知る必要があるということです。
それから、その観点から言うと、企業がどういう能力を欲しているとか、どういう人材を欲しているのかという企業のニーズから逆算するアセスメントもあるという、それが全てとは思いませんけれども、そういう視点もあるということが2つ目でございます。
それから、3つ目の視点が、ここでは障害者ということで一くくりに言っておりますが、障害者というくくりが、もしかしたら健常者というくくりほど乱暴かもしれず、一人一人能力が違いますし、志向性も違いますので、分けて考える必要があるのではないか。例えば、障害種別分けることがあまり好きではないですが、知的障害の重度の人と発達障害でとんでもなくIQが高い人と、これは同じアセスメントでいいのかというと、また、ちょっと違うのかもしれませんし、対象になる障害者を分けて考えるという3つ目の視点と思いました。
今回の話は、福祉サービスの入り口に関してのアセスメントということですけれども、あえて出口から、つまり、求人側から、あるいは雇用される力とかエンプロイアビリティから話をさせていただいたのは、適切でないアセスメントやマッチングは、結局、障害者本人を不幸にするということをたくさん見てきたからです。職業人生が今の二十歳ぐらいの人だと、それこそ60年70年あるかもしれません。この60年70年を雇用され続けるでもいいですし、もちろん自分で商売をされてもいいでしょうし、生き抜く力から逆算して考えるという視点も一つ大事なのかなと思ったので、少し話をさせていただきました。
ありがとうございます。
○倉知主査 ありがとうございます。
企業が求める能力をある程度分かってアセスメントしていかないとずれてしまうのではないかということですね。
それから、もう一点が、障害特性をしっかり踏まえてアセスメントしていかないといけない。アセスメントする側がそこを分かっていなければいけないという、そういうことでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
例えば、企業の求める能力というのは、企業個々に違いがあるのではないかと思うのですけれども、その辺りどうでしょうか。
○大濱アドバイザー パーソルチャレンジ大濱でございます。
確かに、企業ごとあるいは職種ごとに異なるとは思いますが、ベースになる職業準備性・就労準備性のようなものは変わらず共通でございます。
ただ、一部ものすごいレアなケースで、それが必要ない場合もあったりしますけれども、例えば、アインシュタインさんのような天才に職業準備性は必要ありませんし、そういう特異な才能で雇用する企業もありますのでね。
○倉知主査 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
永野アドバイザー、いろいろ意見が出たところで、最初におっしゃられたところで、もう少しコメントをいただくことはできますか。
○永野アドバイザー 相澤さんの御意見をなるほどと思いながらお伺いしていたのですけれども、対象者をどうするのかは、アセスメントの仕組みの目的とも絡んでくると思っています。もし、万が一アセスメントの仕組みを将来的に雇用義務制度の対象となる障害者を画するようなものとしても利用するというのであれば、恐らく対象となりそうな人全てに要求することになるのだろうと思っております。
ただ、その場合にも、軽度の障害の方で、障害者としての認定を受けることを望まない方もいらっしゃると思いますので、その辺りの調整をどうするのかというところに難しい問題があろうかとは思いますけれども、目的との関係でどのようにするかを検討することが望ましいと思います。
○倉知主査 むしろ、軽度の方で、要するに、障害の認定を受けてない知的障害の方もいらっしゃるし、そういう方々をどう取り扱うかということでよろしいでしょうか。
○永野アドバイザー 例えばですが、現在の障害の認定の在り方は、どちらかというと医学的な側面に寄っているところがありますので、逆に、医学的に見ると軽度だけれども、就労困難性は高いという方が外れてしまっているという面もあろうかと思います。そういった方々については、むしろ対象としていくことが望ましいと思うのですが、逆に身体の方などでは、医学的に見ると機能障害があるけれども、就労に困難性がないという方もいらっしゃいますので、その方たちを雇用義務の対象にするのかどうか、また、彼らにもアセスメントが必要なのかどうか、そういったところをしっかりと議論する必要があると思っております。
○倉知主査 ありがとうございました。
このアセスメントは、制度化とは外れた形で考えていきたいと思っているし、そもそも今まで個々の支援者が判断する前の段階でしっかりとアセスメントが必要なのではないかというところだと思いますので、それは特によろしいですよね。
私も相澤アドバイザーの話とずれはないなと思っているのですけれども、相澤アドバイザー何かありますか。
○相澤アドバイザー 今の話だと全く違う話になるので、今のお話はお話で分かりました。
○倉知主査 何かほかに御意見はありますか。
相澤アドバイザー特にありますか。
○相澤アドバイザー 今と関連してですか。
○倉知主査 いや、今日のところでほかにあれば。
○相澤アドバイザー
アセスメントの基本的な方法は、まず面接により本人の希望や現状を把握し、次に面接以外の方法でも実態把握する必要がある場合は、状況に応じて、他機関からの情報収集、標準化された検査やワークサンプルの実施、就労移行支援事業所での施設内訓練のような場面設定法、企業の場を活用した実習、家庭訪問などによるインフォーマルネットワークの確認など様々な方法を取りますし、企業や地域の状況を把握する取り組みも必要です。また、先ほど大濱アドバイザーから、アセスメントをする際には障害の種類などを考慮する必要があるとの指摘がありましたが、障害種別だけでなく、生活支援や医療管理の必要度による違い、学校に在籍中でこれから初めて社会に出る場合、支援機関をいろいろ利用しながら離転職している場合、比較的高収入の仕事に長年ついていたが中途障害のため離職し再就職を希望している場合など経歴の違いによってもアセスメントの留意点は異なってきます。このようなアセスメントの方法や留意点は様々なテキストに記載され、研修も行われ、ハローワーク、障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、相談支援事業所などアセスメントを実施する機関もあり、各機関の連携の重要性も指摘されているのに、「支援の利用に当たって、その判断が現場に任せられて」おり、「障害者の就労能力や一般就労の可能性について、障害者本人が障害者を支援する者が十分に把握できておらず、適切な支援等に繋げられていない」現状があるので、「共通のプラットホームとしての就労能力や適性の評価の仕組み」を検討すると言われると、それでは今までの知見の蓄積や研修、支援機関の取り組みは何だったのかという感じがします。評価の仕組みを検討する前に、アセスメントがうまくいっていない現状やその原因をデータとして把握・分析し、アセスメントスキルに関する知見の蓄積が不十分なのか、研修が不十分なのか、人材不足なのか、現行の機関の仕組みに問題があるのか等々について検討する必要があると思います。
一方、データに基づいた課題の把握と原因分析が行われたとしても、すべての人を対象に「共通のプラットホームとしての就労能力や適性の評価の仕組み」を検討するとなると、アセスメントの方法は、様々な方法を必要に応じて採用することになり、実態把握や見立て、支援方針の検討における留意点も多岐にわたることになります。加えて、ハローワークから就労継続支援までの支援の利用に際しアセスメントを行うとなると対象者数も膨大になる可能性が高く、このような質量ともに大変分厚いアセスメントの仕組みを新たに構築するのは、実行可能性の視点から考えるとかなり難しいように思います。この4回のワーキンググループでどの辺のところに焦点を当てて議論をすればよいのか、私自身まだよくわかっていないのですが、実行可能性の視点から考えると、「支援の利用に当たって、その判断が現場に任せられて」おり、「障害者の就労能力や一般就労の可能性について、障害者本人が障害者を支援する者が十分に把握できておらず、適切な支援等に繋げられていない」問題が最も顕著に表れるケース、それがどのようなケースかはっきりとは分かりませんが、例えば、初めて社会出るような職業経験のない人、本人の希望がはっきりせず、本人を取り巻く家族や関係者もよく分かっていない人などに絞って検討することもありえるのかなと思います。
○倉知主査 ありがとうございます。
たった4回のワーキンググループですので、具体的なツールの話とか方法論については踏み込むことは難しいかと思います。むしろ、今問題になっているのが、十分なアセスメントをされないまま、個々の支援者の判断であったり、分野別の支援者の判断によって、うまく雇用に結びついてないケースが多いのではないか。そこをもう少し何とかならないかというところがあると思うのです。
1つが、アセスメントの目的として、今日幾つか出た意見では、とにかく進路をジャッジするようなものにならないようにしなければいけない。そして、雇用・就労に向けてどのような支援が必要なのかということを把握するものだろうと。そして、アセスメント結果によって必要な支援プランを立てる。そのプランを立てるのも、いわゆるケア会議のような形で進めていったら、みんながより共有できるのではないか。そんなことが意見として出たかと思います。
もう一つ、アセスメントする側の視点とか能力とかスキルとかそういうことは結構重要ではないかという意見が出たかと思います。例えば、客観的事実をどう見立てるのかとか、就労準備性をどう見るのかとか、障害特性をどう踏まえるのかとか、企業のニーズをどう知っておくのかとか、そういうようなことが出たのではないかなと思います。そこは、また、そこで少し整理をしていきます。
あと、アセスメントの内容としては、職業能力もそうだけれども、職業生活の基礎となるような生活とか健康とかそういう部分も見ていく必要があるのではないか。そのような意見が幾つか今日は出たかなと思います。
事務局のほうで、何かありますか。
小野寺課長。
○小野寺障害者雇用対策課長 ありがとうございました。障害者雇用対策課長の小野寺でございます。
今、主査におまとめいただいた幾つかの論点について、さらに、今日の議論を整理させていただきたいと思いますし、大きなところで、立てつけとしての対象者の捉え方についてもかなり様々御意見いただきましたので、この辺りも少し整理をさせていただきたいと思います。
ただ、いずれにしても、さっき相澤アドバイザーの御指摘のように、いろいろな方、それぞれキャリアがある方、それから、社会に初めて出る方というようなことで、階層的に整理をして、全てきれいに整合性をとっていくというのはこの4回では難しいかなと思いますので、まずもって、初めて社会に出る方の部分について最低限実効あるものに現行の枠組みを再点検・再検証し直して、言ってみればよりよい方向性ということの整理を最低限このワーキングの中でしていきたいと思いますし、その中で今日御指摘いただいた、先ほど主査の整理いただいたような観点から、次回、また、少し整理をして論点提示をさせていただければと思っております。
○倉知主査 ありがとうございます。
障害福祉課のほうは何かありますか。
よろしいですか。
それでは、いろいろ御意見ありがとうございました。今日出た意見については、今、小野寺課長がおっしゃられたように、事務局で整理していただいて、次回の議論に向けた準備を進めていただくよう、よろしくお願いいたします。
最後に、議題4「その他」として、事務局から何かございますか。
特にないようですので、本日の議論はこれで終了となります。
第1回「障害者の就労能力等の評価の在り方に関するワーキンググループ」は、これにて終了させていただきたいと思います。
最後に、連絡事項は特にございませんか。
よろしくお願いいたします。
○小林障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課課長補佐の小林でございます。
2点ほどございます。
まず1点目ですけれども、本日、専門アドバイザーの方に参考資料をお出しいただいていたかと思います。今後、議論を深める上で、もし、皆様で共有したほうがよい資料がございましたら、適宜、事務局まで御連絡をいただければと思います。
もう一点が次回の日程についてでございます。次回の日程につきましては、1月29日の開催を予定しております。詳細は、追って事務局より御連絡をさせていただきます。
以上です。
○倉知主査 ありがとうございました。
では、本日はお忙しい中、会場に来ていただいたアドバイザーの方、ZOOMで参加していただいたオンラインの参加のアドバイザーの方、どうもありがとうございました。これにて終わります。