第2回社会福祉連携推進法人の運営の在り方等に関する検討会 議事録

日時

令和2年12月10日(木) 17:00~18:30

場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア 8D
(東京都千代田区内幸町2丁目2-3 日比谷国際ビル8階)

出席者

構成員(敬称略・五十音順)

川原(かわはら) (たけ)(よし)     川原経営グループ 代表
田中(たなか) (しげる)(座長)  埼玉県立大学 理事長
松原(まつばら) 由美(ゆみ)     早稲田大学人間科学学術院 准教授 
宮川(みやかわ) (やす)(のぶ)     独立行政法人福祉医療機構 福祉医療貸付部福祉審査課長 
山田(やまだ) (ひろ)()     地域密着型総合ケアセンターきたおおじ 代表

議題

(1)社会福祉連携推進法人の施行に向けた検討について
(2)その他

議事


○田中座長 定刻となりましたので、ただ今より、第2回「社会福祉連携推進法人の運営の在り方等に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様には、年末で御多忙の折、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
 会議に先立ち、事務局より本日の構成員の出席状況の報告と資料の確認をお願いします。
○高坂補佐 本日の構成員の出席状況について、御報告申し上げます。
 本日は、全ての構成員に御出席をいただいております。
 なお、山田構成員におきましては、オンラインでの御参加となります。
 また、資料につきましては、座席表及び議事次第に加えまして、
 資料1 山田構成員提出資料「社会福祉法人によるグループ活動について」
 資料2 社会福祉連携推進法人の運営の在り方等に関する論点整理(社会福祉連携推進業務➀)
 資料3 社会福祉連携推進法人の施行に向けた論点(第1回検討会を踏まえた修正版)
 参考資料 社会福祉法人の事業展開等に関する検討会報告書
の4種類を机上に配付させていただいております。不備がございましたら、事務局までお申しつけください。
 以上でございます。
○田中座長 ありがとうございます。
 では、カメラの方々はこれにて退室ください。
(カメラ退室)
○田中座長 早速議事に入ります。
 本検討会において、社会福祉連携推進法人による取組の具体的なイメージを共有すべきと考えます。そこで、山田構成員に社会福祉法人リガーレ暮らしの架け橋による取組についての紹介をお願いいたしました。
 山田構成員、20分程度の発表、どうぞよろしくお願いします。
○山田構成員 リガーレ暮らしの架け橋の山田と申します。本日は、報告の機会をありがとうございます。
 田中座長からも御紹介いただきましたように、20分ほど、私どものグループ活動の紹介をさせていただきます。
 では、資料1に沿いましてお話をさせていただきます。
 私どものグループは各法人の活動地域がばらばらです。ただし、高齢者の介護という、あるいは高齢者福祉という同一業種による連携というのが特徴だと思っております。
 3ページをご覧ください。このグループができたきっかけと目的について簡単に御説明いたします。今から10年前の2010年3月に、3つの社会福祉法人の理事長と私と4人でグループの設立を決めています。
目的は、地域包括ケアの実現です。そのために、特別養護老人ホームが持っている24時間365日の支援機能を生活圏域で展開することで、在宅生活の限界点を上げるとともに伴走型支援拠点を実現すること、そして、小規模多機能などの介護サービス拠点を通じて地域づくりも参加する、そういう法人をできるだけたくさん作っていこうということで、それに賛同された理事長たちとグループを作りました。
 グループ本部として社会福祉法人の設立を目指して、京都市の監査指導課とも御相談したのですが、皆さんが基金を拠出して新しい社会福祉法人を作るというのは制度上なじまないということとなり、この中の一つの法人、端山園がグループ本部「きたおおじ」を建設するという形になりました。
 なぜそのような形で「きたおおじ」を作ろうと思ったかといいますと、3の➀のように、皆さんで地域密着型特養を含めた地域展開の実践のケーススタディを実際やってみようということです。いわばそういう形でスタートした「きたおおじ」ですが、2017年に、このグループ本部である「きたおおじ」が独立した社会福祉法人として認可され「社会福祉法人リガーレ暮らしの架け橋」を設立できた経過があります。
 4番に書いていますように、このような地域包括ケアに資するような事業展開するに当たって、1法人1施設のような小さな法人ではやはりこういう開発する人材がいない、日常の福祉サービスの提供が精一杯ということで、グループを作ることによって、経験のある法人、人材がサポートすることで実現していこうということが経過です。
 4ページをご覧ください。2年後の2012年に「きたおおじ」が開設しまして、そのときに職員を募集しました。その中でスーパーバイザーにも参加していただいて「きたおおじ」をスタートしました。よく御質問いただくのですが、このグループ法人からの職員の支援というのはなくて、全員、新規採用です。
 その後、「きたおおじ」がオープンしたときから、各理事長の御推薦などでさらに4つの社会福祉法人が参加しまして、7法人によるグループとなりました。名称も、グループ内で公募しまして、ラテン語で「結ぶ」を意味する「リガーレ」という名前に決まったという経過です。
 この7番に書いていますけれども、事務局は「きたおおじ」のスタッフが担うということで活動を行ってまいりました。ただ、活動は、現在はテーマ別の委員会の活動になっておりまして、委員長、副委員長で活動していくというのが中心になっております。
 最後に書いていますように、この「きたおおじ」の中核メンバーというのは、こういう活動に協力を申し出た経験のあるスタッフで構成しています。
 5ページをご覧ください。活動の目的そのものが地域展開、地域づくりということでしたが、もう一つの目的として、地域包括ケアを担うケアチームとか人材の育成を同時にやっていこうということで、地域展開を行うことと併せて、人材育成にも取り組んできたというのが当初からの活動内容です。
 ただ、その後、経営情報の共有とか、給与体系の見直しなど色々な声が挙がりまして、様々な活動に展開していきます。
 10番に書いていますように、7法人の中で4法人が新たに地域に密着した福祉・介護サービス拠点を整備しました。その後参加してきた法人の中でも、既にこういう地域展開をされている法人も2法人あったという経過です。
 6ページをご覧ください。今申し上げたことを時系列で整理したものがこのスライドです。
 7ページをご覧ください。各法人の所在地をマッピングしたものとなります。このリガーレと書いてあるのが本部「きたおおじ」でして、リガーレを含めた5つの法人は京都市内です。ただし、行政区はばらばらで、同じ京都市内ではあっても地域性も全くばらばらです。はしうど福祉会は京丹後市で、京都市内から車で2時間ほどかかります。六心会は滋賀県の東近江市、ヘッドに書いてある宏仁会は元々青森県ですが、徐々に高齢者が減っていくということで、千葉の浦安にも地域密着型特養等を展開されています。
 8ページをご覧ください。こうして進められてきたリガーレの活動ですが、リガーレ本部、あるいは共同で行ってきた業務を、大きく4つに分けて整理しておきました。まず1番が経営に関する情報共有、2番が人材育成、ケアチームマネジメント、そして人材確保、3番が地域貢献事業の実践内容の共有、4番が感染症対策の協働、こうした活動を行ってきています。
 9ページをご覧ください。これらの内容を簡単に御説明していきます。まず、経営に関することですが、1-1ということで地域に展開する施設整備支援、これは元々のこのグループ本来の目的でした。実際このグループがスタートしてから、各法人が地域展開を行っていったという経過がありますが、理事長たちの声を聞いていると、地域サロンのような地域交流スペースがあることで、色々な各種教室ができたり、あるいは住民団体との協議の場ができたりということで、やはり地域との関連が深まっていったというような声もあります。
 10ページをご覧ください。このような小規模な事業所を展開した場合に、事務管理スタッフを十分に置けないという課題があります。私ども、リガーレの考え方としては、本体施設にバックオフィス機能を持たせて、サービス拠点を圏域内に数多く作っていくことを考えています。
 そして、その小さな拠点も、経営の継続性ということを踏まえても、ある程度複合型サービス拠点として一定の規模を考えています。
 それから、最後に書いているとおり、問題は、小規模拠点をたくさん作っていくと、拠点をマネジメントするリーダー的な人材が必要となりますが、こういう人材がいないという声をよく聞きます。これが福祉介護専門職の今後のキャリアデザインを組み立てる上での課題の一つと思っておりまして、そういう育成を体系化することも今後の大きな課題かなと思っております。
 11ページをご覧ください。これは三菱UFJリサーチ&コンサルティングの岩名さんが、「きたおおじ」のホームページから、こういうものかなあということで作成いただいたものが大変分かりやすいので紹介させていただきました。今申し上げたようなことを絵にしたものです。
 12ページをご覧ください。それから、経営の2つ目、1-2ですが、地域包括ケア事業研究会という、2010年、グループ化を決めた9月に行ったのが、やはり社会福祉法人のグループということで、所轄庁の監査とかコンプライアンスの観点から課題がないかどうかということもチェックしてほしいということもあり、活動内容全てディスクローズすることを目的で作りました。
 ですから、この研究会には必ず所轄庁である京都市にも参加していただいているのと、京都府や厚労省にもできるだけ参加していただきました。ただ、その後は、最近の6~7回の内容を書いていますように、随分厚生労働省にも御協力いただいて、いわば制度とか人材のあり方などを学ぶ研究会になってきています。
 13ページをご覧ください。グループ活動が本格化してから、やはり経営の勉強をしようということで、かなりの回数、こういう勉強会を行ってきたということです。
 14ページをご覧ください。経営に関する4点目ですが、給与については、まだ措置時代を引きずっていたりとか、十分自信がないという法人が多くて、それぞれの法人の給与体系を紹介し合ったりしながら、2017年の12月にモデル給与をグループで作りました。これはコンサルにも入っていただきました。そして、昨年度、今年度と各法人のモデル給与への移行が行われており、一部が今後の課題となっております。
 15ページをご覧ください。給与の検討会を今年度から、働き方改革検討委員会と名称を変えまして、今ここに書いているようなことを、委員長以下で議論進めていると報告を聞いております。私自身はここには参加しておりません。
 16ページをご覧ください。あと、経営に関して最後となりますが、今、8法人のうち4つの法人が特定の公認会計士と契約をしまして、同じ会計ソフトを使って月次の決算、あるいは決算状況を集約しまして、ベンチマークをお互いに共有しようとしています。最終的には全ての法人がこういう形で、財務、収支の情報共有できたらなと思っています。この点はまだ道半ばです。
 それから、法律事務所とも複数法人で契約することが一部で始まっています。排せつ用具の共同購入なども一部試行しています。最終的には、報酬請求とか給与計算、会計事務などの総務機能の統合の可能性も今話し合っているところです。まだ少し道は遠いと思います。
 17ページをご覧ください。次に大きな2つ目ですが、人材育成です。これについては、スーパーバイザーによるグループ施設の巡回からスタートしました。この2名のスーパーバイザー、1名は認知症認定看護師ですし、1名は社会福祉士、介護福祉士資格をお持ちの方で、いずれも施設長とか小規模多機能の管理者経験があり、研修にも非常に長けた方です。それから、「きたおおじ」の施設長も同様な資格と経験がありますので、この3名を中心に研修を組み立てていきました。
 18ページをご覧ください。スーパーバイザーですが、ここに書いているとおり、まず、グループ化した当初、2012年に各法人の課題をスーパーバイザーが巡回することによって問題提起をしました。それに対して各法人が行動計画を策定し、行動計画の実践プロセスをスーパーバイザーが付き合っていくという形でスタートしています。
 最後に、後ほど御紹介するアセスメントシートの2番とか3番とか書いていますが、こうやってみて一番大きな課題は、情報共有の課題、特に会議とか記録で介護福祉職が、要するに暗黙知を明白知にしていくというプロセスが大変弱いということが分かってきたことと、現場を支援するような組織風土に大きな課題のあることが分かってきました。
 19ページをご覧ください。スーパーバイザーは、各施設を訪問しますと、この➀から➇のような活動を行っています。
 20ページをご覧ください。最初に申し上げた、問題提起をするベースとして用いたアセスメントシートです。左側の理念は法人理念ではなくて、福祉理念、ケア理念です。右端はケアの質、アウトカムです。どこかに切れ目があるから理念どおりのケアの質が実現できていないだろうという仮説を持っており、それを実現するために、外側の1番から6番の項目についての問題の提言をさせていただき、それについて各法人が改善の行動計画を立てていったというプロセスです。
 21ページをご覧ください。これは厚労省の老健局の方でお作りいただいたと思うのですが、要するに、各法人は研修とか、スーパーバイザーの巡回に対する委託費を支払うという形です。右下にスーパーバイザーの男性の絵を書いていますが、➀が認定看護師、➁が介護福祉士・社会福祉士、➂が「きたおおじ」の私、理事長とか、施設長とか、総務部長とか事務員などのスタッフです。
 22ページをご覧ください。人材育成についての2つ目が統一研修です。これについても、グループ活動が始まって4年目からスタートしています。年間六十数回ということで、スーパーバイザーと、各法人の介護責任者が毎月集まるという会議が始まって、研修の企画などを実施しています。
 23ページをご覧ください。7種類の階層別研修と、資格取得研修とで10種類の研修を行っています。
 24ページをご覧ください。年度初めにこういう研修を行うことを皆さんに通知して、参加を募って年間の参加者数なども確定する形です。
 25ページをご覧ください。例えば新人育成の仕組みがこういう風に行われているということで例示させていただきました。
 それと、小さな法人ばかりですので、1法人当たりの新卒採用はせいぜい1~2名です。ですが、8法人集まると20名ぐらいになります。そうすると、同期の新人たちが仲間になっていくということ、これを1年間繰り返すというのは大きなメリットと考えています。
 26ページをご覧ください。人材の育成・募集の3つ目が共同募集です。これにつきましては、2017年度から、皆さん兼務で始めたのですが、矢印で書いていますように、昨年度からみんなで委託費を払って専任職員を確保するということを始めました。この専任職員を中心に人材の担当者を各法人に配置していただいて、入職2~3年目の若手のリクルーターのメンバーによる会議を組織し、インターンシップの開発とか、あるいは各大学、高校、専門学校を回るとか、色々なフライヤーとかロゴマークを作ったり、そして、コロナ禍の中ではWEBセミナーとか、新採用職員のWEB交流会などを行っています。
 27ページからはパンフレットです。
 続いて、28ページをご覧ください。これがおもてなしBUS TOURという、昨年度まで毎年やってきたグループ法人を3つのコースにして行ってきた見学バスツアーです。
 29ページをご覧ください。このように、一つひとつは小さな法人だけれども、グループを組むことで、学生たちにとって一つのインパクトを与えたと思っています。
 それから、外国人についても、2017年度から信頼できる監理団体と出会うことができましたので、これは本部の方が調整したものですが、手挙げをお願いしたところ、3つの法人でそれぞれ2名受け入れたいということで、昨年度から6名の技能実習生が3法人に来ています。それぞれ、日本での生活、日本語、そして研修、こういうことをグループで共有しています。
 30ページをご覧ください。人事交流ですが、第1回目でも論点として出ていましたが、今のところ、本部から各法人への研修出向という形で行っております。キャリアアップを図るための有効な方法として考えております。
 31ページをご覧ください。雇用環境の改善も、専任スタッフが小さな法人は中々いないということで、休日、有給休暇その他、「きょうと福祉人材育成認証制度」を活用して、皆さん、上位認証を目指しています。
 32ページから35ページは認証制度の概要です。
 36ページをご覧ください。大きな3つ目が社会貢献事業ですが、各法人が行っている、いわゆる地域活動をそれぞれ情報提供して、お互いに共有するということを一昨年からやっています。具体的にどういう活動をされているのかというのを少し整理するとこのような形です。
 特に京都市でやっています➀の高齢者と空き家のマッチング事業、これは今年度から、東近江市に移行を始めていますが、こういう取組は連携推進法人の調整企画として大事かもしれないと思います。あと、オレンジカフェとか、あるいは子ども食堂とか、最後に書いてある各法人との地域イベントに色々参加している、消防団に入っている、公園体操しているとか、地域サロンをしている、このようなこと共有してお互いに刺激し合っています。
 37ページをご覧ください。災害・感染症対策です。➀に書いているように、行政とか社協、老施協のような事業者団体連携による対応が基本と思いますが、連携推進法人でも一定のことができる可能性があると考えています。
 38ページをご覧ください。特にコロナでは、民間基金230万円ほどですが、活用させていただいています。➀は、感染症が発生したときに、非常に無防備な介護施設と言われていますように、我々、知識が浅かったものですから、専門職によるグループ勉強会を来週か再来週に行う予定としています。
 ➁は、感染者が出たときの防護資材をみんなで備蓄しようということで、既に購入しています。
 ➂は、各法人の所在地が違いますので、地域の社協とか地域包括支援センターと連携しまして、独り暮らし高齢者でお困りの方なんかに防護資材の供給、そんなこともできたらなと皆で考えております。
 ➃の人的支援に向けた具体的方法については今後の検討課題と思っております。
 39ページをご覧ください。本日、論点整理ということで、厚労省から提出された資料に関して3点申し上げたいと思います。まず、総論に関係することですが、得られるメリットというのは、今申し上げたような研修とか、あるいは地域展開によって地域とのつながりが始まったとか、あるいは共同募集で若手リクルーターのモチベーションが高まったなどの声が挙がっています。それから、業務運営に関わる費用、会費、委託費などが今日の論点になっております。また後ほど、もし御質問があれば御説明しますが、一応対価性のある委託費という形が中心ですが、それ以外の費用も結構発生します。例えば昨年度で言えば会場費、資料作成費、通信・交通費などで年間約150万円発生していますので、法人で割り戻して、20万円ずつぐらいの費用を負担しています。
 それから、財産保有につきましては、我々の現状としては、リガーレ暮らしの架け橋本部の一室をグループ本部の事務室ということで位置づけて、そこを使用してもらっているのと、そこでのソフトとか事務機材などをグループで共有しています。
 それから、職員の兼務につきましても、この本部法人の職員が結構兼務している状況はあります。
 それから、2つ目の〇印の地域福祉支援業務に関することですが、先ほども少し申し上げましたが、例えば京都市で行っています高齢者と空き家のマッチング事業を今年度東近江市への移行を、高齢者住宅財団と厚労省老健局を中心に行っておられる事業に協力する形で行っています。
 最後の災害時支援業務ですが、災害に関するということでは、感染症対策をグループでやっております。
 40ページをご覧ください。最後のスライドですが、右端の開発部門はグループ連携活動事業会計です。社会福祉法人リガーレ暮らしの架け橋の中に公益事業として位置づけています。この開発部門に委託費は集約していますし、そして、スーパーバイザー2名もここに配置しております。以上の形での会計区分を当初からしてきたということです。
 あとの運営部門は、リガーレ暮らしの架け橋本部が社会福祉法人なものですから、こういう事業展開をしてきているという御紹介です。以上でございます。
○田中座長 山田構成員、ありがとうございました。
 ただ今の報告に関して、我々、会場にいる側から質問やコメント、感想を述べることにいたしましょう。どうぞ皆さん、よろしくお願いします。
 まず川原構成員、お願いします。
○川原構成員 貴重なお話、ありがとうございました。色々多岐に渡る活動をされていて、私も大変勉強になりました。ありがとうございます。
 少し細かい質問をさせていただければと思いますが、26ページのところで、各法人から専任の職員を配置して、人材の共同募集をされているということですが、応募される方々が、恐らく給与水準の違いですとか、色々自分たちのPR方法も微妙に各法人で違ったりしていて、特定の法人に偏ってきたりすることはないのでしょうか。各法人に応募者をきちんと振り分けることができればいいと思うのですが、特定の法人に応募が偏ったりということはあるのかないのか、また、あった場合には、どのようにバランスよく対応されているのか、御教示いただければと思います。
○山田構成員 ありがとうございます。このスライドの冒頭、一番最初の〇印に書いていますように、2017、2018年は専任職員を置かないで、各法人の職員による兼務で行ってきました。仰っていただいたように、例えば色々な就職フェアにグループとしてブースを出したりしますと、給与のこととか、仰っていたような質問が学生から出た場合に、給与は各法人に聞いてくださいという感じで、全然効果上がらなかったのです。そこで、2019年度から、矢印の次ですが、みんなで専任の職員1人を雇い上げようということで、いわば担当者をみんなで抱えたという形です。
 そういう専任職員が配置されてちょうど2年目になります。それで色々な議論が具体的に始まった中で、今の御質問があったように、その偏りみたいなことと統一というのをどうするかということで、まず、やはり共同募集するからには、給与を統一しないと無理だということが分かってきたことと、それから休日・休暇等についても、このグループの法人が皆このような労働環境だということを最低限統一しないと無理だと分かってきて、一応は初任給と休日をそろえました。これが2019年度です。そういう形で、今、御質問の部分というのは、今のところ乗り越えつつあるような状況です。
 それからもう一つは、私どもで2017年、18年と議論している中で、まず、採用の方法を本部で集約して採用して、そして、本部から各法人に出向という形を最初考えていましたが、結果的にはやはり各法人で採用することとしました。法人毎に、地域性も違うし、キャラクターも違う中で各法人が競ってインターンシッププログラムをお作りになったり、地域関係などの強みをアピールしたりということが始まりました。
 結果としては、今、御質問があったような偏りなどがもしあった場合には、それは各法人の努力の結果という形に整理したわけです。昨年からこれが始まって、今年から本格的にと思ったらコロナが襲ってきましたので、少し成果は見えにくい状況ですが、このような経過で行ってきました。
○川原構成員 ありがとうございました。
○田中座長 松原構成員、お願いします。
○松原構成員 まさに小さい法人だけでは難しいことを、連携することで、職員の教育や社会貢献事業等、すばらしいお取組をなさっていると思いました。ありがとうございました。
 新卒の採用については、まだ2年目で、かつコロナが起きたので必ずしも十分ではないということですが、こういう合同で新卒採用を取り組む以前と比べて、手応えを感じていらっしゃるか教えてください。また、新卒ではなくて、もう既に働いていらした職員の離職に関しても何か改善点が見られたかということについてもお願いいたします。
○山田構成員 ありがとうございます。例えば、今年度は、毎週、面接、あるいは内定、あるいは内定を承諾したという人数を情報として共有するような仕組みを専任職員がやってくれていますが、今日現在で新卒職員の採用総数が多分20名弱、18名ぐらいだったと思います。これは昨年度まで、特に大卒の方の新卒が来たことがないという法人もあったりしたところに、初めてそういうアプローチがあったとか、結構目に見える効果は出てきています。先ほど申し上げたように、本格的に始めたのが2019年度。今年度こそと思っているところへコロナということで、過去との比較等での成果は少しまだ見えにくい状況です。
 それから、離職については、やはり新採用の職員が結構1年以内にやめてしまうみたいな傾向はどこの法人も抱えておりました。そういうことが、法人によって多少差はあるし、年度によっても差はありますが、やはり改善されたという声は大きいと思っております。以上です。
○田中座長 宮川構成員、お願いします。
○宮川構成員 山田さん、どうもありがとうございました。
 私の方からまた細かい点の質問で申し訳ないのですが、2点ほどありまして、まずは、資料の4ページ目でございますが、一番上の「きたおおじ」開設に伴いグループ活動を本格的にスタートした時の職員ですが、お話にございましたとおり、全員新規の採用をされたということですが、なぜ兼務を考えられなかったのかという点と、少しページが飛びますが、10ページの「バックオフィスで小規模展開を推進」という中で、一番上の「大規模法人と同様の経営規模に匹敵する一定の事務管理スタッフをどのように確保するかが課題」と記載がございますが、この事務管理スタッフとは、人数のことなのか、それともその管理スタッフのスキルのことなのかという点について教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○山田構成員 ありがとうございます。まず、1点目の4ページですが、今の御質問は、5番の括弧内、全員新規採用という点についての御質問だったと思います。少しこれも私の主観的な感想かもしれませんが、介護保険が2000年に始まってから「きたおおじ」を開設した2012年までの12年間は、どちらかといえば質をどのように上げていくかということで、例えば特養の個室ユニットケアですとか、あるいは地域展開の小規模多機能とか、いわば質の問題をずっと議論してきたような印象がありました。
 ところが、2012年ぐらいから、人材が集まらない、人が来ないというのが顕在化してきたような印象があります。そういう意味で、7法人とも、欠員で困っている、募集しても中々来ないということに悩んでいる状況ですので、特にリーダー層とかそういう層が一番皆さん困っておられて、うちから人を出そうかというような余裕は全くないという状況にあったことが1つです。
 それからもう一つは、やはり新しい展開として新規事業をする場合、職員の募集採用、そして研修というのは大きなパッケージなのです。その辺りもケーススタディをやっていこうというのが皆さんの御希望でもありましたので、取りあえずこのように採用して、このように研修しているというのを、各法人の理事長たちも立ち会っていただきながらケーススタディをしていったということもあったかと思います。
 それからもう一つの御質問ですが、10ページです。少し表現がまずかったなあと思うのですが、1行目の大規模法人という言い方、これは大規模施設と言ったほうがいいかもしれません。定員が80名とか100名の特養ですと、そこに事務管理スタッフというのはもう結構集約して完結してしまっているというイメージですが、私ども、リガーレ暮らしの架け橋では、例えば昨年作った特養なんかは定員が22名という本当に小さな特養です。そこに事務管理スタッフは中々置けない。そういうこともありまして、こういう地域包括ケアに資するような小規模拠点を展開していこうと思うと、事務管理スタッフの在り方というのは最初から大きな課題だと思っていました。それはやはり本体法人に事務管理スタッフを置くことによって、要は現場だけを外へ出していくという考え方です。ですから、サービス拠点をたくさん出せば出すほど、事務管理コストは相対的に低減していくという考え方をしています。
 また、サービス拠点を多く出さないと、一定の事務管理スタッフ配置ができないため、人数、どっちかといえばスキルというよりも規模ですね。だから、そういう意味では、小さな拠点を作ることに対して結構抵抗感が一般的にはありますが、その一つはやはりこの事業スケールの問題、もう一つの抵抗感が、最後に書いています、小さな拠点を作るとたくさんマネジメント人材が要るけれども、そのような人材が育成や確保しにくい、この2点が日常生活建機に伴走型の小規模拠点の展開が進みにくい理由だと思っています。スケールメリットと、人材の問題が結構皆さん抵抗感がありますので、このように解決していったらどうかという意味で書かせていただきました。
 お答えになったかどうか分かりませんが、以上です。
○田中座長 ありがとうございました。
 私からも1つお聞きします。このリガーレというグループに加入していることを各7つの法人の従事者の方々は皆さん御存じなのですか。外部に対しても、リガーレは一つのグループであることを広報なさっているのでしょうか。
○山田構成員 ありがとうございます。実は、先生が仰っていただいた、そこが結構ポイントでして、理事長とか、リガーレの活動に関わっているスタッフが果たして法人の全職員にどこまで浸透しているかというのは、本当に当初大きな課題でした。特定の人だけが知っていて、職員の多くが知らない状況があって、例えばスーパーバイザーが巡回して現場スタッフにアプローチしてきたときに、何者が来たんだみたいなことが最初あったりしました。そういう意味では、やはり3~4年かかった感じがします。ただ、時間の経過とともに、活動内容がこれだけ多機能、多角化してきましたので、浸透を図られていったと思います。
 あと、外部へのアピールですが、これは先ほど人材の共同募集で申し上げましたように、各大学のキャリアセンターその他、フライヤーとかQRコードとか、色々なツールを用いて巡回して回るとかを含めまして、このグループは研修がしっかりしているグループだなあとかいうことをアピールするようなことで、それが共同募集につながることをかなり意図的にやってきた結果がございます。
 以上でございます。
○田中座長 ありがとうございます。連携推進法人もやはり、今仰ったように3~4年とか、ある程度のスパンを持って見ないと成果にすぐはできないかもしれませんね。連携推進法人が世の中にできて、1年目に成果が上がっていないではないかなどという声がすぐ出ないように、今のお話は大変参考になりました。実際的に仕組みづくりはできても、それが内部の職員の方々、外部に伝わるにはやはりある程度の努力を経て、3~4年たったところで本当の成果が見えてくると、非常に貴重な御説明でした。どうもありがとうございました。
 引き続きこの後の議論にも御参加ください。
○山田構成員 ありがとうございました。
○田中座長 では、次に移ってよろしいですか。
 2つ目の議事に入ります。事務局より、資料2と3について説明をお願いします。
○初鹿専門官 それでは、資料2と資料3について説明させていただきます。資料2は論点整理ということで、社会福祉連携推進業務の総論、それから、地域福祉支援業務・災害時支援業務について、論点の考え方をまとめたものでございます。資料3につきましては、11月の第1回の検討会で論点の追加について御議論いただきまして、議論を踏まえて追加したものを赤字の下線で入れているものでございます。
 先に資料3のこちらの方から読み上げさせていただきます。追加した論点としましては、まず1ページ目、
  •  社会福祉連携推進法人の目的や設立することで得られるメリットは何か。
  •  地域福祉支援業務及び災害時支援業務は地域に根差したものであるのに対し、それ以外の業務は法人経営に密接に関係するものであるので、同じ社会福祉連携推進法人と言っても、タイプが異なるものが生じるのではないか。
     2ページ目にいきまして、
  •  社会福祉連携推進法人の設立により、懸念される点をどう払拭するのか。例えば、万一、地域において、社会福祉連携推進法人が独占状態になったときに、福祉サービスの質の維持・向上や地域住民のニーズや要望の把握などをどう担保するのか。
  •  業務運営にかかる費用はどのように賄うか。会費以外に例えば、寄附を受けることはできるのか。債券は発行できるのか。一般社団法人法の基金は設置できるのか。
  •  社会福祉連携推進法人として財産をどこまで保有できることとし、どのように管理できることにすべきか。
  •  地域医療連携推進法人のように、出資して子会社を持つことはできるのか。
     続いて、地域福祉支援業務の関係で、
  •  社会福祉事業以外の福祉サービスなど地域住民に対する直接的な支援を行う業務を実施することは可能か。
     少しページが飛びまして5ページ目、人材確保等業務のところにつきまして、
  •  社員間の従業員の人事交流・労働移動に関して具体的に実施可能な業務は何か。技能実習制度における管理団体等、外国人材に関する業務は人材確保等業務として実施可能なのか。
     続きまして6ページ目、貸付けの業務の関係で、資金の貸付けその他の社員が社会福祉事業に係る業務を行うのに必要な資金を調達するための支援として厚生労働省令で定めるものについての中に、「焦げついた場合の責任の所在」をどのように考えるかを追加しております。
     最後、10ページ目になりまして、
  •  社会福祉連携推進法人の税制はどのようになるのか。
  •  社員間の情報共有の仕組みについて、どのように考えるか。
これらについて論点として追加させていただきました。順次議論させていただければと思います。
 それでは、資料2の説明に入りたいと思います。2ページ目からが総論についてで、3ページ目からが具体的な中身になっているのですが、左側に「論点」、右側に「対応の方向性」を記載させていただいております。
 (論点1)社会福祉連携推進法人の目的や設立することで得られるメリットは何かについては、社会福祉連携推進法人は、法第127条第1号において、社員の社会福祉に係る業務の連携を推進すること、地域における良質かつ適切な福祉サービスを提供すること、社会福祉法人の経営基盤の強化に資することが主たる目的とされており、目的に沿って設立され、運営されなければなりません。
 以上を踏まえれば、法人の設立は以下のメリットが考えられるのではないかということで、3点まとめさせていただきました。
 1点目、「自主的な連携との比較」は、個々の法人の自主性を確保しつつ、法的ルールに則った一段深い連携が可能であること、「社会福祉協議会との比較」は、業務の実施区域が限定されていないことから、広範囲での連携が可能であり、また、連携する合意の取れた法人同士で設立ができること、「連携のための法人形態を社会福祉法人とすることとの比較」については、社会福祉事業を実施する必要がなく、法人同士の連携業務のために設立することができること、とまとめております。
 続いて(論点2)社会福祉連携推進業務について、それぞれ具体的にはどのような取組が該当するかにつきましては、各業務の論点整理で行いたいと思います。
 続いて4ページ目をご覧下さい。地域福祉支援業務及び災害時支援業務は地域に根差したものであるのに対し、それ以外の業務は法人経営に密接に関係するものであるので、同じ社会福祉連携推進法人と言っても、タイプが異なるものが生じるのではないかということについては、連携推進法人は、社会福祉連携推進業務のうち、どの業務を行うかは、当該法人の判断であることから、地域福祉支援業務等を中心に、市町村域において種別を超えた連携支援を行うタイプ、人材確保等業務を中心に、都道府県域等において特定種別が広域的に連携するタイプなど、当該社会福祉連携推進法人の創意工夫に基づき、多様な運営形態が認められるようにしてはどうか。また、多様なタイプの連携推進法人が生じることから、社会福祉法人等は、複数の連携推進法人の社員となることが可能としてはどうかと考えております。
 続いて(論点4)貸付け業務について、貸付け以外を認める必要があるか。本業務の原資は、社員である社会福祉法人の資産を想定しています。社会福祉法人が保有する資産が主として介護報酬や措置費といった公費によって構成されるとともに、これらは福祉ニーズを抱える者に対するサービス提供の対価であることを考慮すれば、法人運営に支障を与えることのないよう行われるべきです。
 以上を踏まえて、制度施行から当面の間は、リスク管理の観点から、貸付けのみを認めることとしてはどうかと考えております。
 続いて(論点5)の各業務の留意点については、それぞれの業務の論点整理で行いたいと思います。
 続いて5ページ目、連携推進法人の設立により懸念される点をどう払拭するのか。例えば万一、地域において、社会福祉連携推進法人が独占状態となったときに、福祉サービスの質の維持・向上や地域住民のニーズや要望の把握などをどう担保させるのかについては、地域の社会福祉連携推進法人は、福祉サービスを受ける立場にある者、社会福祉に関する団体、学識経験を有する者その他の関係者で構成された評議会を設置しなければならないこととなっていることから、福祉サービスを受ける立場にある地域住民の声を評議会も活用して連携推進法人の運営に反映させていくこととすることはどうか。
 また、連携推進法人は評議会の意見を尊重することや、評価の結果を公表することが義務となっていることから、福祉サービスの質の維持・向上や地域住民のニーズや要望の把握状況を評議会が意見する項目や評価項目に入れることとするのはどうか。
 さらに、連携推進法人の所轄庁の監督を通じて目的に沿った運用が行われているかチェックすることにしてはどうかとまとめております。
 評議会というのが連携推進法人の内部のこの懸念の解消の方策で、所轄庁による監督というのも外部から見た解消の方策という形で考えております。
 続いて(論点7)連携推進業務以外にどのような業務を行うことができるかについては、連携推進法人は、法第132条第4項の規定により、社会福祉事業を行うことはできないが、母体は一般社団法人であり、社会福祉連携推進業務の遂行に支障がなければ、他の業務を行わせてはならない理由はないことから、社会福祉連携推進業務の遂行に支障がない範囲において、当該業務に付帯する業務を行うことは可能とすることとしてはどうかとまとめております。
 続いて、連携推進業務以外の業務を行うに当たってどのような留意が必要かについては、連携推進法人は、連携推進業務の遂行を目的とする法人であることから、連携推進業務以外の業務として認められるものは以下の点を満たすものに限定してはどうかということで、1つ目、付帯業務の事業規模が連携法人全体の事業規模の過半に満たないものであること。2つ目、付帯業務を行うことによって連携推進業務の実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。3点目、付帯業務の内容が連携推進業務に関連するものであること。4点目、法第132条第4項に基づき、社会福祉事業を実施できないこととされており、社会福祉事業には該当しない社会福祉関係の事業についても、同様に実施できないこととまとめております。
 続いて6ページ目、(論点9)業務運営にかかる費用はどのように賄うか。会費以外に例えば、寄附を受けることはできるのか、債券は発行できるのか、一般社団法人法の基金は設置できるのかについては、連携推進法人は、社員からの、1つ目、入会金:連携推進法人の立ち上げに係る設備の導入費用等、2つ目、会費:連携推進法人の事務局運営費用等、3つ目、業務委託費:特定の連携推進業務の実施に必要な費用の3つを基本に運営することとしてはどうか。
 寄附については、連携推進法人は、連携推進業務の遂行を目的に運営され、社会福祉事業を行わないことから、寄附の受付については、金銭以外の寄附を認める必要はあるのかという形で、全体について、もちろん対応の方向性、御議論いただきたいのですが、特にこの寄附の部分についても、この金銭以外の寄附を認める必要はあるのかという点について御意見いただければと思います。
 続いて、債券の発行につきましては、一般社団法及び社会福祉法において債券の発行について規定が整備されておらず、債券は発行ができないということになっております。
 基金の設置については、連携推進法人は、一般社団法人として定款の定めるところにより、「基金」の設置が可能ですが、「基金」は法令上、引受人や使途の制限がないことから、少なくとも社会福祉法人である社員については、資産の法人外流出が禁止されているため、当該基金に資金等を拠出し、引受人となることは認めるべきではないのではないかとまとめております。
 続いて(論点10)社員である社会福祉法人は会費をどのように支出するかについては、連携推進法人の社員となることにより、社会福祉法人は連携推進業務等を通じて様々な便益を受けることが可能となり、この点、一定の対価性が認められることから、法人外流出には当たらないものと整理してはどうかとまとめております。
 続いて7ページ目、連携推進法人として、財産をどこまで保有できることとし、どのように管理できることにすべきかについては、連携推進法人は、連携推進業務の遂行を目的に運営され、社会福祉事業を行わないことから、土地や建物の所有を認める必要があるかどうかということについて御意見いただければと思います。
 また、連携推進法人が保有する財産の管理は、社会福祉法人における資産の取扱いと同様、安全・確実な方法で行うことを基本とすることとしてはどうかと考えております。
 続いて、地域医療連携推進法人のように、出資して子会社を持つことはできるのかについては、社会福祉法人は資産の法人外流出が禁止されていることから、出資は行うことができないこととされていることを踏まえて、社会福祉連携推進法人についても、出資は行えず、地域医療連携推進法人のように、出資して子会社を持つことはできない、法律上の規定の整備も行っていないところでございます。
 続いて(論点13)業務運営の実施体制(社会福祉連携推進法人の職員と社員である法人の職員を兼務する場合の給与等の取扱い等)はどのように整備すべきかについては、連携推進法人の職員については、主として事務職員が担うと考えられることから、社員である法人の業務に支障がない範囲において、兼務をできることとしてはどうか。
 兼務関係については、サービス及び当該サービスにおいて必要とされる職種ごとに検討する必要があるが、例えば、介護老人福祉施設の人員配置基準について見ると、以下のような整理とすることが可能と考えております。
 まず、事務員については、専従でなければならないこととされていますが、入所者の処遇に支障がない場合はこの限りではないこととされていることから、業務の支障のない範囲で兼務が可能です。
 次に、施設長(管理者)については、常勤専従の管理者を配置しなければならないこととされていますが、管理上支障がない場合は同一敷地内にある他の事業所等の職務に従事することができることとされていることから、業務に支障のない範囲で兼務が可能です。
 この際、人件費支出については、勤務時間数等により、適切に按分することが必要ではないか。
 また、事務室等の設備についても、同様に社員である法人の業務に支障がない範囲において、兼用できることとしてはどうかと考えております。
 ここまでが連携推進業務の総論の論点になっておりまして、続いて、まず、連携推進業務以外の業務もできるかどうかという論点7と8の参考資料としまして、説明させていただいたことを図式化したものを8ページに載せさせていただいております。
 続いて論点13、職員の兼務の関係ですが、既存の介護老人福祉施設の人員の配置基準を見ますと、特定の職員の関係を除いて入所者の処遇に支障がない場合は、専ら従事しなければいけない、専従でなければいけないというような規定にはなっていないということになります。
 同じようなものを10ページ目にも載せさせていただいております。
 続いて11ページ目ですが、平成27年度末に、地域の実情に合った総合的な福祉サービスの提供に向けたガイドラインということで、対象者に分け隔てなく、1カ所で総合的にサービスを提供していくのについて、兼務可能な人員ですとか、共有可能な設備、そういったものをまとめたものでございます。そのガイドラインの概要を参考に載せさせていただいております。
 最後に12ページ目、論点13の参考資料としまして、社会福祉法人の地域における公益的な取組を実施していくに当たって、そのときに考えを示させていただいたものでして、2段落目ですが、「一方、各社会福祉施設等の利用者を参加させる目的を持たない地域活動は、当該社会福祉施設等がその利用者に提供している福祉サービスとは別に行われるものであり、この場合については、社会福祉施設等の職員は、当該福祉サービスの提供業務に従事すべき時間帯と当該地域活動に従事する時間帯とを明確に区別すれば、当該地域活動を行うことができます」としているところでございます。
 ここまでが業務の総論になります。
 続いて、地域福祉支援業務に関する論点整理です。おめくりいただいて14ページ目ですが、検討に当たっての視点につきましては、少子高齢化、人口減少などが進む中、8050問題や育児と介護を同時に担わなければならないダブルケアの問題、がんを抱えながら就労を継続する問題など、国民の福祉ニーズは多様化、複合化しています。
 こうした中、多様で複合的な福祉ニーズに包括的に対応できる体制を構築しつつ、高齢者や障害者、子どもなど、属性や世代を超えて誰もが役割を持ちながら地域社会に参画し、お互いがお互いを支え合う「地域共生社会」の実現に向けた取組が必要です。
 そのためには、地域の福祉関係機関が、それぞれの専門性を活かしながら、緊密に連携し、いわゆる「たらい回し」とならない包括的な支援体制の構築が必要です。
 他方、社会福祉法人については、平成28年社会福祉法人制度改革において、「地域における公益的な取組」の実施に係る責務が設けられており、地域の中でこうした取組を有効に活用していくことも必要です。
 以上を踏まえて、社会福祉連携推進法人が行う地域福祉支援業務の具体的な内容については、地域共生社会の実現に向けた取組を含め、地域福祉の推進に当たって、連携推進法人としてどのような関わりができるか、社会福祉法人による「地域における公益的な取組」の促進、有効活用を図るため、連携推進法人としてどのような関わりができるかなどの観点から、検討することが必要ではないかと考えております。
 具体的な論点整理につきましては、次のページになります。(論点)としては、地域福祉支援業務として具体的に実施可能な取組は何か。それから、社会福祉事業以外の福祉サービスなど、地域住民に対する直接的な支援を行う業務を実施することは可能かの2点になります。
 1つ目について、地域福祉支援業務については、法第125条第1号の規定により、ア、地域福祉の推進に係る取組であること、イ、当該取組を社員が共同して行うものであること、ウ、当該取組を連携推進法人が支援するものであることに該当している必要がある。
 「地域福祉の推進に係る取組」とは、法令上の事業に限らず、地域の社会福祉を推進するものが広く該当することとしてはどうか。
 「当該取組を連携推進法人が支援する」とは、当該取組の実施に当たって、福祉サービスの提供は社員が行うことを前提としつつ、社員間の情報共有や連絡調整、ノウハウの共有などといった連携強化のための支援を行うことをいうものとしてはどうか。
 連携推進法人の業務は法律上「支援」となっていることから、原則として、連携推進法人自体が主体となって、地域住民等に対し、福祉サービス(社会福祉事業を実施できないこととされており、社会福祉事業には該当しない社会福祉関係の事業も含む)を提供するような取組には該当しないこととしてはどうか。
 以上を踏まえ、地域住民の生活課題を把握するためのニーズ調査の実施、ニーズ調査結果を踏まえた新たな取組の企画立案、支援ノウハウの提供、取組の実施状況の把握・分析、地域住民に対する取組の周知・広報、社員が地域の他の支援機関と協働を図るための調整などを地域福祉支援業務の例示としてはどうかと考えております。
 続きまして、(論点)の➁につきましては、連携推進法人自体が主体となって、地域住民に対し、福祉サービス(社会福祉事業を実施できないこととされており、社会福祉事業には該当しない社会福祉関係の事業も含む)を提供するような取組は地域福祉支援業務に該当しないことを原則としてはどうか。こちら、➀の対応の方向性でも書かせていただいています。
 ただ、例外的な措置として、連携推進法人が社員である社会福祉法人等を支援する一環として付帯的に行う「地域住民等を対象とした福祉サービスの提供」については、地域福祉支援業務に該当することとしてはどうか。
 その際、以下の要件のいずれも満たす必要があることとしてはどうか。
 社員が福祉サービスを提供していること、連携推進法人は社員の支援を主に行っており、福祉サービスの提供は、社員を支援するために必要かつ付帯的な範囲に限られること、連携推進法人から社員へのノウハウの移転等を主たる目的とした取組であることと考えております。
 続いて17ページは、ただ今説明させていただいた内容を図式化したものでございます。
 続いて18ページ、それから19ページについては、社会福祉法人による「地域における公益的な取組」の責務の内容と、それから実践事例を載せたものでございます。議論の参考にしていただければと思います。
 続いて20ページ目から災害時支援業務についての論点整理でございます。
 21ページ目に検討の視点を載せております。近年、令和2年7月豪雨や台風、熊本地震など全国各地で豪雨災害、地震等自然災害が頻発。こうした中、社会福祉施設等が福祉避難所として、地域の被災者を受け入れるケースや、社会福祉施設等が直接的な被害を受け、利用者が避難しなければならないようなケース等が生じています。
 このような場合、被災者に対応する介護職員等の確保や、利用者の避難先の確保・調整、被災した職員等のレスパイト、電気、ガス、水道といったライフラインの確保や食料等必要物資の調達など災害時固有の負担が発生するとともに、これらには必ずしも一法人では対応できない場合もあり得ます。
 また、災害への対応は、災害発生時における対応のみならず、BCPの策定や避難訓練の実施、物資の備蓄など、平時からの備えが重要です。
 このほか、社会福祉施設等の利用者以外の地域の被災者についても、避難所等における避難生活が長期化する場合、生活再建に向けた相談支援や、避難所内の環境整備、応急的な介護などを行う災害福祉支援チーム(DMAT)を組成し、これによる活動の展開や、在宅避難者の安否確認などの福祉支援が求められています。
 以上を踏まえ、連携推進法人が行う災害時支援業務の具体的な内容については、地域福祉支援業務とのすみ分けを考慮しつつ、災害時における社会福祉施設との持続可能な運営の確保に当たって、連携推進法人としてどのような関わりができるか、地域の被災者を支援する観点から、社会福祉連携推進法人としてどのような関わりができるかなどの観点から、検討することが必要ではないかと考えております。
 具体的な論点の整理は、次のページになります。(論点)としましては、災害時支援業務として具体的に実施可能な取組は何か、感染症対策の取扱いはどのように考えればいいか、地方公共団体が行う災害対策や感染症対策との整合性はどのように取ればいいのか、DMATとの関係はどのように考えればいいのか。
 まず1つ目について、災害時支援業務については、法第125条第2号の規定により、ア 災害が発生した場合において、社会福祉事業を経営する社員が提供する福祉サービスの利用者の安全を確保するための取組であること、イ 当該取組を社員で共同して行うものであること、ウ 当該取組を連携推進法人が支援することに該当している必要がある。
 「社会福祉事業を経営する社員が提供する福祉サービス」とは、社会福祉事業を経営する社員が提供する福祉サービスであれば、社会福祉事業に該当しないものであっても含まれるとともに、福祉避難所として受け入れた被災者なども含まれることとしてはどうか。
 「当該取組を連携推進法人が支援する」とは、社員が提供する福祉サービスの利用者の安全を確保するための取組に対して、社員間の情報共有や連絡調整、人材や物資の融通などといった支援を対象とすることとしてはどうか。
 以上を踏まえ、具体的には、BCP(災害時の事業継続計画)の策定や避難訓練の実施、被災施設に対する被害状況調査の実施、被災施設に対する応急的な物資の備蓄・提供、被災施設の利用者の他施設への移送、被災施設で不足する人材の応援派遣の調整、地方自治体との連絡・調整などを災害時支援業務の例示としてはどうかと考えております。
 続いて2点目以降になります。連携推進法人の災害時支援業務における「災害」は自然災害に限定していない。感染症等の危機的状況については、災害が発生した場合と同様の業務が発生することが想定されることから、感染症等の危機的状況については、「災害」に含まれると解して、社会福祉連携推進業務の災害時支援業務に該当することとしてはどうか。
 3点目、当該業務の実施に当たって、地方公共団体が行う、災害対策や感染症対策の方向性と矛盾する業務を行うことは、地域の復旧・復興に著しい支障を生じるおそれがあることから、連携推進法人と社員は常に連携推進法人の活動区域内の地方公共団体(認定所轄庁以外の地方公共団体も含む)と連携し、これらの対策と調和が保たれるよう、努めなければならないこととしてはどうか。
 4点目、連携推進法人が、社員である法人から災害派遣福祉チーム(DMAT)のチーム員を登録させ、これをチームとして編成の上、都道府県災害対策本部等と連携の上、避難所等の派遣調整、移動手段、宿泊先の確保など、チームへの後方支援等を行う本部機能を担うことも考えられるのではないか。
 本業務は、上記➀のア「社会福祉事業を経営する社員が提供する福祉サービスの利用者」の要件に該当しないため、第125条第1号の地域福祉支援業務として整理してはどうかと考えております。
 24ページ目は、ただ今説明させていただいた論点の内容を図式化したものでございます。
 25ページは、DMATに関する説明、26ページ目は「災害時の福祉支援体制の整備に向けたガイドライン」の概要でございます。
 27ページ以降に関連する条文を載せております。
 資料の説明は以上でございます。この資料2の対応の方向性の部分について、御意見とか御質問いただければと思います。よろしくお願いします。
○田中座長 説明ありがとうございました。
 資料3の方については、先日の我々の議論が反映されていますが、不足があると思われる方は、質疑の中で御指摘ください。
 ただ今の説明で示された論点は極めて多岐にわたります。よって、テーマを区切って議論を行ってまいります。
 まず、資料2の最初、業務の総論から議論を始めます。資料2の3ページから12ページに中身が載っています。この関連で御質問や御意見があればお願いいたします。
 松原構成員、お願いします。
○松原構成員 社会福祉連携推進法人の設立趣旨としては、現在、緩やかな連携か、合併・事業譲渡という2つの選択肢しかない中で、その中間的な位置づけのものを作ることにあったと思います。論点7とか8の点ですが、社会福祉連携推進業務以外にどのような業務を行うことができるのかということにつきまして、社会福祉事業はできないとなっている中、それ以外の福祉事業については認める方向がふさわしいのではないかと思っています。
 以上です。
○田中座長 御意見ですね。ありがとうございます。
 宮川構成員、お願いします。
○宮川構成員 今の松原構成員のお話と被ってしまうのですが、論点7、8で、付帯する業務となっておりますが、元々の社会福祉法人の事業展開等に関する検討会の方でも、中間的な組織の中で、社会福祉事業が最終的に実施できないという形に整理された上で法案となっているかと思います。この後の地域福祉支援業務の方の議論にも入ってしまうかもしれないですが、それ以外の直接的な業務がこれを見ると認められないような格好になってしまっていますので、それは少しそこまでやるのはどうなのかなというところでございます。
○田中座長 やや広目にしてもいいのではないかとの御意見ですね。ありがとうございます。
○宇野福祉基盤課長 すみません。松原構成員と宮川構成員の今の御意見について、これは御議論いただければと思うのですが、5ページの論点8の➃のところで「社会福祉事業には該当しない社会福祉関係の事業についても、同様に実施できない」とありますが、この趣旨をご説明します。連携推進法人は中間的な新たな連携の選択肢として、社会福祉事業自体を行うのではなく、バックアップのための支援を行うような法人という位置づけをしています。そういう中で、法律上、社会福祉事業はできないという形になっていますので、例えば、有料老人ホームとかサービス付高齢者住宅など、社会福祉事業に当たらない、公益事業などであっても、同様に排除してはどうかということでこの➃の規定を置いております。
 ですので、この➃の書きぶりが広すぎて本当に全て一切の事業がだめなのかということであれば、例えば書き方を変えるとか、そういったところの御意見をいただければと思います。もちろん、事業規模の過半に満たないという規定がありますので、有料老人ホーム等を行うとしたら、そこでもしかしたら制約となるかもしれませんが、本当にできることとしていいかどうかという観点からも御議論いただけるとありがたいと思っております。
○田中座長 山田構成員、お願いいたします。
○山田構成員 論点4の4ページですが、「本業務の原資は、社員である社会福祉法人の資産を想定している」という表現がありますが、いわゆる社員の中には、社会福祉法人以外、場合によっては営利法人なんかも想定されると思いますが、貸付原資は社会福祉法人の資産を想定しているということで、貸付原資はそれに限定と理解していいのかどうか、質問が1つです。
 それから2つ目が、7ページの論点13です。ここの最後のところに「事務室等の設備についても」というくだりがあるのですが、いわば一般社団、連携推進法人の本部事務所、これがどんなイメージなのかが少し分かりにくいなと思っています。
 同じく7ページの「対応の方向性」の2行目に、土地や建物の所有を認める必要があるかと。例えば本部事務所を連携推進法人が持つようなイメージと、この関連はどうなのかということについて、も2つ目の質問ですが、お願いいたします。
○田中座長 お答えいただけますか。
○初鹿専門官 それでは、1点目の貸付けの原資が社員である社会福祉法人からもこのように限定されているのかということについてですが、今回、この資金の貸付業務、連携推進法人が行うということについては、社会福祉法人は資産の法人外流出というのが原則禁止されている中で、この連携推進法人の貸付業務という形で行う、その原資とするということについては、この法人外流出という部分の例外的な対応としてできることにしていますので、基本的に想定しているものは、社員である社会福祉法人の資産を想定しているところでございます。
 ただ、こちら、貸付けについては、また時間を取って改めて今後検討会で議論させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○田中座長 今の山田構成員の質問は、ほかの社員、社会福祉法人でない社員からのお金は貸付原資になるかという意味だと思います。
○初鹿専門官 この法律の規定ですとか制度上、何か完全に排除されているものがあるわけではないということです。
○田中座長 排除されてはないとの説明ですか。
○初鹿専門官 はい。ただ、いずれにしても、貸付けの原資をどう考えるかとか大きな論点にはなってきますので、今、御質問いただいた点も含めて後日御議論いただければと考えています。
○田中座長 いずれ議論のテーマとして挙がるそうです。それでは、次の質問にお答えください。
○初鹿専門官 連携推進法人の事務室の土地・建物、それから資産としての土地の所有ということですが、事務室のイメージとしましては、何かどこかで1個新しい建物を借りていくというよりも、いずれかの社員の施設の事務所を間借りするような、連携推進法人の業務に社員の事務員の方が当たっていただく時間に使っていくような、そういったことを想定しています。
 ただ、その土地や建物の所有を認めていけば、そこに何か連携推進法人の規模が大きくなっていったときには、特定の事務所を借りて、そこで事務員の方に働いていただくということも想定されるかなと考えております。
○田中座長 どちらでもあり得るとのお答えですね。連携法人が社員の建物の一部を借りてもいいし、いずれ規模が大きくなったら、自前の、土地までは買わないかもしれないけれども、建物ぐらい作ることもあり得るという説明でした。最初からはないかもしれませんが。
○初鹿専門官 連携推進法人は、最初の立ち上げてすぐは、規模の問題もあると思いますので、最初は社員の施設の一つの部屋を借りるようなイメージでおります。
○田中座長 寄附については認める必要があるかについてですが、金銭以外の寄附ですね。これは、資産計上する額のものに限るにしても、パソコンを寄附したいとか、キャビネットを寄附したいなどを受けてはいけないのですか。金銭以外のものを認める必要があるかとの質問でしたけれども、あってもいいのではないかと考えますが、いかがですか。
○宇野課長 この字句のところは、今日の御議論の中で方向性を踏まえて事務局としては整理していきたいと思っているのですが、去年の事業展開検討会でも、地域医療連携推進法人の実態を聞くと、余り資産を持たずに運営されています。それは何かというと、入会金とか会費とか業務委託費、これが基本となっていて、費用としてはほかにないわけですね。そうすると、それで立ち上げのときに土地とか建物が買えるのかというところが、実際、フィージビリティとしてあるのかと思います。
 ただ、その中で、実際、土地・建物の所有をまず禁止していいのかというときに、連携推進業務の中に土地・建物がないとできない性質のものがあるのかないのか。そういうところは連携推進業務をやるに当たって必要だったら、土地・建物を持ったっていいではないかという議論はあり得るのだと思います。次に、お金はありませんけれども、土地とか建物を何らかの関係で奇特な方から寄附をいただいたような場合に、そういうものを持ってはいけないのかということは、例えば連携推進業務において必要な不動産との関係で、その寄附というのをどこまで認めるのかというところは一つの論点なのかなと思っております。
○田中座長 論点になり得ますね。ゼロにする、いつまでも無限には難しいかもしれないけれども、禁止も厳しいですね。先ほど言いましたように、業務を行う上で様々な通信装置とか、ICT機器も一定の資産価値があります。それをたまたま寄附したい人が出てきたのを拒否するところまで厳しくする必要はないかなと考えますが。
○宇野福祉基盤課長 少しまた余計なことかもしれませんけれども、一方で、寄附といった場合に、社会福祉法人は寄附できませんので、そうすると、その寄附は社会福祉法人以外の方々の寄附なわけですね。その辺りのところのバランスもあるとは思いますので、そういったバランスも考慮して、どこまで認めていけるのか、また、土地や建物だけではなく、座長の御指摘のような通信施設など、資産の種類も含めても御議論いただければと思っております。
○田中座長 ありがとうございます。
 川原構成員、どうぞ。
○川原構成員 5ページのところで、当該業務に付帯する業務という、この付帯する業務というのをどのように定義するのかというのが多分結構重要なのかなと思っています。法律上は多分、付帯する業務という定義はないと思いますので、それで、先ほどの次の論点8の➃の社会福祉以外の業務がどうなのだというところで、ネガティブリストにするのかポジティブリストにするのかというところでも色々変わってくるのではないのかなと思います。
 例えば、事業所内保育みたいなのをみんなの近いところでやってみたいな話が出た場合に、これは、この今のお示しいただいた中ではできるような解釈になるのでしょうか。この点、もし分かるようであれば教えてください。
○初鹿専門官 論点8の付帯業務の部分ですが、この部分、川原構成員から御指摘いただいたとおり、法律上の定義があるわけではなくて、連携推進業務としてやっていくものの関連する業務ということをざっくりと言葉としては付帯業務という形でこの部分でまとめさせていただいておりまして、少し文言の分かりにくさという観点もあると思うので、そこはまた御意見いただければなと考えております。
 先ほどの松原構成員、宮川構成員からの➃のことについても御意見いただいているところだと思うのですが、その部分とも関連するのですが、連携推進業務に基本的に関連する業務がどうかという点で、➃の部分についても、できるもの、できないものというのが分かれてくると考えているところでございます。
 御指摘いただいた事業内の保育所をどう考えるかというのは、どれに確実に該当するというのを言っていくのが難しいところであるのですが、例えば、人材確保等業務を連携推進法人が行っていく中の一環として、事業内で保育所が整備されていることが人材確保に資するということであれば、ここの連携業務以外の業務として、この付帯する業務に入ってくると考えることもできるのではないかなと考えています。
○川原構成員 確かに、今少し個別のお話過ぎて、大変申し訳ありませんでした。やはりこのように土地・建物、ある意味、ハコモノができるかどうかというところで、先ほど課長もおっしゃられた、財産をどこまで持てるのか、それに伴ってまた寄附がどうなのかという話につながっていくと思いますので、私は、この付帯する業務という辺りをどのように定義するのかによって、こちらの財産の持ち方ですとか、寄附の在り方という辺りにも影響するのではないのかと考えております。
○田中座長 ありがとうございます。
 松原構成員、お願いします。
○松原構成員 社会福祉事業には該当しない福祉事業として何ができるのかという点に関し、連携の推進だけということですが、今後社会貢献事業等を連携して活発に行うことで、連携推進法人自体の信頼が高まれば、、将来的には、地域住民の中には寄附したいという話も可能性としては考えられるので、そういうことを今から禁止しておかなくてもいいだろうと思います。民間の伸びやかな、弾力的な動きを促進するという意味でも、この付帯業務のところの定義になるのでしょうけれども、地域に貢献するような活動であれば、ぜひ認める方向であってほしいですし、そういう意味でも、土地・建物も認めるという方向がいいのではないかと思っております。
○田中座長 御意見ありがとうございました。
○初鹿専門官 もしかしたら次の地域福祉支援業務の方に入ってきてしまうかもしれないのですが、地域の公益に資するような活動をやっていくというのは、地域福祉支援業務の射程と重なるものであり、むしろこの中でやっていただくのかとまず考えています。
 その上で、御指摘いただいたとおり、実際に活動をやっていく中でだんだんと連携推進法人が地域に浸透していって、この自分のところのものを使ってほしいとか、何かいただけるものを、連携推進業務をやっていく中で、受け取らないでいいですということにしていくことは中々、地域に浸透していくという観点でも果たしてふさわしいのかというのは当然あると思いますので、寄附を受けることを禁止すべきではないというのは本当に御意見としてあるところかなと思いますので、御意見、御議論いただければと考えております。
○田中座長 課長、どうぞ。
○宇野福祉基盤課長 すみません。私の方から補足いたします。
 今、松原構成員が仰ったことに関して、私のイメージがもし違ったら御指摘いただきたいのですが、先ほど資料1で山田構成員から御発表されていた資料の36ページが今、松原構成員が仰ったような取組と思います。山田構成員からご説明のあった「住まい・生活支援事業」のように、各社会福祉法人が行っている地域貢献活動を推進するために、次の議論になりますけれども、地域福祉支援業務の中で、まさにこういうことを社員ができるように支援していただきたいと考えておりまして、そういう意味では全く同じ方向性というか、同じ認識だと思います。
 元に戻りまして、総論の論点7、8は、ここはそうでなくて、いわゆる連携推進業務以外はどこまで認めますかという論点なのです。資料1の36ページにあるようなこういう取組を支援する業務というのは連携業務として、まさに一丁目一番地として入っているという理解です。
 ただ、そこで、次の論点かもしれませんけれども、全く直接的な業務を一切してはいけないのかというのは問題ではないかという御意見もあったものですから、後ほどの論点ですが、例外措置として一部認めてはどうかという形で御提案させていただきました。ですので、松原構成員が仰ったことは我々としてはそんなに方向性は変えていないつもりでございます。
 ですので、論点7、8はあくまでも連携業務以外をどこまで認めるのか。先ほど申し上げたとおり、論点8の➃の部分については、例えば、有料老人ホームとか、サービス付高齢者住宅ができてしまうわけです。もちろん、ほかの付帯業務の事業規模とか、これは制約はかかりますけれども、本当に連携推進業務はそういうことまでやっていいことにしてしまうのかどうかというところを御議論いただきたいということです。
 もちろん、この社会福祉関係業務全般というのは表現が広過ぎますので、そこはもちろん工夫の余地はあると思います。例えばそういうのもやらせたほうがいいというのであれば、そういう御意見で、その方向だと思いますし、やはりある程度そこは否定していくのだけれども、全くできないのはいかがなものかということもあると思います。例えば、連携推進業務に関係するような相談事業であればいいのではないかとか、というのであれば、その方向で整理したいと思います。そういう意味では、まさに先ほど御指摘いただいたとおり、この付帯業務という言葉が少し混乱を招いているかもしれません。そこはもう一回言葉を含めて整理はさせていただきたいと思いますが、趣旨としてはそういうことでございます。もし認識が違うのであれば御指摘いただければと思います。
○田中座長 では、話が次にも関係していますので、地域福祉支援業務についても御議論ください。資料2の14ページ目から19ページ目までに載っています。これについての御意見でも結構でございます。
 宮川構成員、どうぞ。
○宮川構成員 ありがとうございます。今、課長が仰っていただいた点は、まさにこちらの地域福祉支援業務の話で、地域の公益的に取り組む事業に関しては、こちらの地域福祉支援業務の中で読んでほしいということですね。先ほど仰っていた付帯業務というのはそうではなくて、連携推進業務の中でそのほかに何かやる業務というお話でという理解でよろしいですか。
○宇野福祉基盤課長 仰るとおりで、先ほどの論点7、8は連携推進業務以外がどこまでできるかということでして。この16ページの話は、これは地域福祉支援業務としてどこまで含んでいくのかということです。地域における公益的な取組は各社会福祉法人がやってきておりますので、それをバックアップするのが連携推進法人ですが、連携推進法人はバックアップだけで済むのかどうかというところがまさに16ページの➁の部分で、一部認めてはどうかと記載させていただいています。ただし、この認め方が狭いとか広いとかいうのは、御意見があるとことだと思っています。
○宮川構成員 それでありましたら、先ほどの付帯業務のところに関しましては、できれば少し分かりやすく修正していただけたらという点が1つと、次にこの地域福祉支援業務の内容を拝見させていただいているのですが、これですと、要は、社員が公益活動を行っている場合に限ればできるみたいな形になっているように見えますが、例えば先ほど松原構成員が仰ったような、小さい法人が集まって、何かサービスをやりたいといったときに、多分、この文章では少し読み切れないのかなあという気がしたのですが、その辺はいかがでしょうか。
○宇野福祉基盤課長 ありがとうございます。そこはできると思います。何かと申しますと、17ページを見ていただきますと、これは例えば月に1回、過疎地の高齢者と園児との交流を行うとかいうのを、これは一つの事業ですね。社員が行うというのは、例えば社員がそれぞれ行うという方法もありますし、まさに仰ったとおり、小さいときには、社員として協力し合って、人を出し合って一つをやっていくというイメージをお示ししています。その企画は連携推進法人でやるけれども、実際に送迎車両を出しましょうとか、職員の派遣というのは各社員がやりますということです。この各社員には、今、社会福祉法で地域における公益的な取組の実施が努力義務になっておりますので、それは小さくてもやっていただかなければいけないのですが、ただ、中々やはり限界があるときに、連携推進法人が企画立案を行いつつ、実際のサービス提供は社員がみんなで少しずつリソースを出し合っていくというイメージでございます。
○宮川構成員 それであれば私は問題ないと思うのですが、結果的にはそれぞれ小さい法人が何か事業をやるというケースもあるかと思いますので、そうなりますと、先ほどの川原構成員の仰ったような、寄附について、今から金銭以外はだめみたいなことにしてしまいますと、かなり限定的になってしまうのかなあとも考えますし、そういったことを含めて一番初めの論点1ですが、社会福祉連携推進法人のメリットとして、結構柔軟にそういった事業をできるみたいなものをアピールできればいいなあと思っています。また、論点1のメリットのところで思ったのですが、当然のことながら、ここに出ておりますメリットはあるのですが、そのほかにも、この連携推進法人は、企業とかNPO法人とか、多様な主体が参画されると思いますので、その人たちに対してアピールできるものを何か御検討していただきますと、例えば社会福祉法人だけが集まっても中々資金の拠出とかは難しいと思われるのですが、企業で言いますと、CSRの一環など、そういった部分で拠出が出てくれば、社会福祉法人主体の連携推進法人ももっとみんなが入ってメリットが出ると思いますので、その辺もぜひ御検討いただければと思います。
○田中座長 ありがとうございます。
○初鹿専門官 今、社会福祉法人が入っていくというパターンを基本に考えているといいますか、社員の過半数が社会福祉法人ということもあるのでそうはしているものの、今、宮川構成員に御指摘いただいたとおり、ほかの主体も入れるように幅広くしているというところがこの社会福祉連携推進法人の特徴の一つでもありますので、実際、制度が固まっていった後には、どのように処置していくかというのは検討していきたいと思います。
○田中座長 松原構成員、どうぞ。
○松原構成員 この17ページを見ますと、先ほど課長が御説明くださったように、実施主体はあくまで社員だという形ですが、例えば今までの法人のサイズでは中々できなかったのだけれども、お金をみんな少しずつ出し合い、人は出さなくてお金を出し合って、例えば認知症カフェをやるとか、子ども食堂をやるとかいうように、今までできなかったのだけどグループになることで実施できるというときには、社員が実施するのではなくて、連携推進法人が実施主体になるパターンもあるのではないかと考えられるのですが、社会福祉事業以外も実施主体となることは認めないということでしょうか。
○田中座長 課長、どうぞ。
○宇野福祉基盤課長 今、松原先生が仰ったことは、もしこの社会福祉法人がお金だけは出しますと、実施主体含めて何もかもが連携推進法人がやりますという話になった場合は、今の15ページでいうところの、法律上は連携推進業務では読めないと思うのです。ですので、そうなってくると、先ほどの元に戻りまして、連携推進業務以外のところで読めるかどうかという、過半の中で、要するに論点8のところの業務として読むかどうかということになります。法律上の整理としては、あくまでサービスを提供しないのが原則だと思います。
 ただ、今、仰ったことは、本当にお金だけ出して、一切何もしませんということでできるのかは、御議論があると思います。ここに書いてありますとおり、例えばそれぞれ一つの法人がやるのは難しいけれども、みんなでまとめてやりましょうよと、そのときに人も出しましょう、少し車出してくださいねとか、そういうのを実際にやらないと、おそらく連携推進法人のサイズからすれば、人もそんな100人も200人も雇えるわけではないでしょうし、ものを持つわけでもないでしょうから、実際にはできないわけです。そうすると、結局、おのずと社員が主体とならざるを得ないのだと思います。
 ただ、社員は日常の福祉サービスの仕事で大変で、思いつきもしないことを企画するのが連携推進法人であって、実際には皆さんやって、場所的にも、例えばどこか別の職員のものでもいいかもしれませんし、この社員の中で一つの施設がその場所でもいいのかもしれませんし、ここにある法人の施設を使ったからといって、ほかの法人がやってないという意味でなくて、それはみんなほかの法人の方々が人を出したりとか、手伝ったりとか、物資を出したりとかいうふうにやって、それを調整するのを連携推進法人がやっているというのがまさにこのイメージなのですね。
 ですから、恐らく、松原構成員が仰ったことを本当に読めるような形で我々としては整理したいと思いますし、実際、多分そういう動きになるのではないかなというのが現実的だと思います。逆に、そういうことはないというのであればまたそれは御指摘いただければいいと思います。
○田中座長 今の業務の関連で言うと、次の15ページの右側の2つ目の〇で、連携強化のための支援の例として、どちらかというと内側のことが書いてあります。社員間の情報共有、連絡調整、ノウハウの共有。もっと外向きのこともできないのですか。広報とかマーケティングをこの連携推進法人が担当する。たしかに業務は個別の社会福祉法人が協力してか、単独かは別として、新しい地域貢献事業をするけれども、その広報やマーケティングもやはり後方支援に当たると思うのですが、いかがでしょうか。
○宇野福祉基盤課長 全く仰るとおりで、そのことは15ページの同じところの下の「以上を踏まえ」の4つ目に「地域住民に対する取組の周知・広報」となっています。
○田中座長 そっちで読めばいいのですね。
○宇野福祉基盤課長 はい。まさにやっていただきたいことはそういった周知・広報です。ですから、実際の取組は、まさにグループ、連携推進法人と社員が一体になって出す。ただ、それは各社員もやっているし、それをオーガナイズ、マネジメントするのが連携推進法人、それがこの地域福祉支援業務ということです。
○田中座長 分かりました。下に書いてありました。ありがとうございます。
 山田構成員、どうぞ。
○山田構成員 この15ページの関連です。この左側の論点の➀で、地域福祉支援業務として具体的に実施したものは何々かということ、今の御議論の続きなのですが、4年前から、ネットワーク化による協働推進事業という事業を厚労省の方が行っておられます。我々も活用させていただきましたが、ここの具体的な実践事例から、この連携推進法人の協働になじむようなものを抽出していただくようなことを厚労省の方にお願いすることはできないのでしょうかという質問です。
○田中座長 課長、お願いします。
○宇野福祉基盤課長 ありがとうございます。小規模法人ネットワーク事業については、山田さんのところでも活用していただきまして、3年間たってございますので、その蓄積の中でどういった事例があるのかを整理することは可能だと思っております。実際にそういったものを整理した資料がありますので、もし可能であれば次回の検討会には出したいと思っております。
○田中座長 宮川構成員、お願いします。
○宮川構成員 ありがとうございます。少し戻ってしまうのですが、ページでいいますと6ページ目の論点10のところの会費の部分でございます。こちらの部分ですが、先に申し上げておきますと私も全く異存はなく、会費に関して、法人外流出に当たらないという整理を私もぜひそうしていただけたらと思うのですが、逆にそうしていただかないと多分色々制約が出てしまうのかなあと感じているところでございます。その場合の質問ですが、最初の論点9の一番上の方で、資金の種類の中で入会金というのがあるかと思いますが、この入会金に関しても、社会福祉法人であれば同じように法人外流出に当たらないという整理でまとめることができるのかどうかという点と、前回の検討会でもお話しさせていただきましたが、法人外流出に当たらないという整理は当然良いのですが、その場合、御存じのとおりの社会福祉法人の関係ですと、1年以内のルールみたいのがあるかと思いますが、そことの整合性といいますか、1年たったら、普通だったら元に戻せみたいな話が施設間繰入の場合にあるかと思うのですが、そこが今回は関係ないですよという話であれば問題ないのですが、そこの2点について少し教えていただければと思います。
○初鹿専門官 まず1点目、入会金についても、同じように、連携推進法人の立ち上げによって参画する社員である社会福祉法人は便宜を受けることができますので、対価性があると考えられますので、入会金についても、法人外流出に当たらないと見ております。特に会費なんかは、今、社協もそうですし、何かに入っていくときの会費というのは、社会福祉法人、今もう既に払っているものあると思いますので、それと同じような整理でいければと考えております。
 それから、2点目ですが、社会福祉法人の施設の会計上のルールで、1年以内にお金を返すとか、それは社会福祉法人の中でそういうルールができているということは、それはそれとしてあると思うのですが、連携推進法人に対して会費をどのように支出する、法人の外に対してどのように支出するかという観点でこれは論点として示させていただいて、法人外流出に当たらないと整理したらどうかと考えているところでございます。
○宇野福祉基盤課長 すみません。補足いたします。多分、宮川構成員が仰った1年以内に云々というのは、法人外の貸付けだと思うのです。
○宮川構成員 そうですね。
○宇野福祉基盤課長 これは貸付けではありませんので、それとは別の話ということになります。
○田中座長 川原構成員、どうぞ。
○川原構成員 5ページの論点6のところですが、真ん中より少し下で、福祉サービスの質の維持・向上や地域住民のニーズや要望の把握状況を、評議会が意見する項目や評価項目に入れることとしてはどうかということですが、こういうのは本当に評議会で議論すべきだと思うのですが、そういった項目みたいなものもこの検討会の中で大くくりにでも定めるという形でしょうか。
○初鹿専門官 評議会については、別途また時間を取って、構成員の考え方ですとか、今、御意見いただきました評価の項目というのをもう少し詳細に検討させていただければなと思います。今回は総論として、懸念される点をどう補足するかという方法に必要な内容について載せさせていただいておりまして、また別の回で時間をいただいて御議論いただければと思います。
○田中座長 論点でないけれども、14ページに視点が示されているので、1つだけ私からコメントしておきます。
 地域共生社会に向けた取組は不可欠ですが、地域共生社会をめぐってこの一番上の書き方だと抜けている対象は、外国人と外国生まれの人です。今、日本の人口の3%は外国籍の住民です。旅行者は別にいいのですが、住民の既に100人に3人は外国籍なのですね。だから、福祉ニーズの多様化の中には、国民だけでなくて、住民と捉えたら結構比率が増えてきているので、そこも視野に入れていた方がいいですね。地域共生社会の中で、日本で働いている人、学んでいる人、今年は少し難しいけれども、でも、技能実習で働いている、そういう人たちが抱えている福祉ニーズもあるかもしれないので、それも拾う視点を忘れてはいけないと思います。これはコメントです。
 時間になってきましたので、次の、最後に残っています災害時支援業務についても御発言いただいて結構です。
 宮川構成員、どうぞ。
○宮川構成員 災害時支援業務にいく前に2点ほどございまして、まず、先ほどの川原構成員と同じページですが、4ページ目の論点3でございます。こちらの2つ目の〇で、要は色々な連携推進法人の社員に入ってもいいですよというような内容になっているかと思いまして私は賛成でございますが、質問とお願いがありまして、質問は、連携推進法人は全部で6つの業務から選択できるということですが、初めに例えば1と2をやっていて、途中から例えば3を加える、4を加えるというのは、もちろん定款とかの変更を加えれば多分できるのかなと思いますが、そこについて念のための確認と、色々な連携推進法人に入れるのは構わないのですが、ただ、例えばこの後、次回以降で議論が出てきますけれども、お金の貸し借りの部分を、複数の連携推進法人から借りてしまうというケースが出てきてしまうと、これって結構問題かなというのがございますので、そこの部分を少し、中々難しいのですが、制約といいますか何か作ったほうがいいのではないかなという意見でございます。
 あともう一点は、ページが変わってしまうのですが、7ページの論点13の方でございます。兼務の職員の話が出ているのですが、一応ある程度は兼務ができるという内容になっているのですが、気になる点が若干ありまして、まず、施設長(管理者)のところの緩和の要件を見てみますと、細かい点で申し訳ないですが、同一敷地内にある他の施設とかなら大丈夫ですよみたいな形になっているのですが、例えば管理者ですと、同じ敷地内だといいのですが、違う場合ももしかしたらあるのかなあという気が少ししているので、もう少し何か緩やかな点があればいいのかなあというのが1つ。
 あともう一つは、これだと直接処遇の方は当然のことながら兼務が基本的には中々しづらいというか、ほぼできないような形になっているかと思いますが、兼務するのはやはりこういう記載のある職種だけなのかという点と、あともう一つは、これは兼務の話が結構出ておりますが、専任はいいのですが、これとは別に出向の扱いとか、こういった扱いをどうしていくのか。例えば退職共済とかの関係ですね。この辺の部分も少しあるのかなと思いまして、意見も含めて付け加えさせていただきたいと思います。
 以上です。
○田中座長 御質問の部分にお答えください。
○初鹿専門官 まず1点目なのですが、業務の追加は、今お話しいただいたとおり、定款変更とかそういう事務的な手続を踏んでいただければ、新しく業務をさらに、連携立ち上げた後にやっていただければと考えております。
 それから、貸付けの業務の中で、お金を借りる社員、借りる側が幾つものところから受けられるかどうかというのは、これは1つ大きな論点になってくるとは思っておりまして、こちらも、次回以降、貸付けの業務を議論するときに、連携推進法人、複数のところに入っても、複数のところからお金を借りていいのかということについては御議論いただければと考えております。
 2点目、兼務の関係ですが、確かにこちら、規定の人員の配置基準が同一の敷地内であることですとか、処遇される方でなく、基本的に事務職員の方ですとか、それから、施設の管理者のことについて緩和されているというようなところでございまして、既存の配置基準を、連携推進法人であれば緩和するような形ができるかどうかというところは一つの課題であり検討しなければいけないところであるとは思うのですが、社会福祉法人を初めとする社会福祉事業を実施していただいているところの既存の取組を自主的な集まりの中で推進していく、そういったものがこの連携推進法人であることを考えると、基本的には既存の配置基準というのは生かした形の状態で何ができるかと考えていければと考えているところではございます。
 出向とかの扱いというのは、実際にその職員の人、連携推進法人として人を雇うかどうかというところにもよってくるだろうとは思うのですが、社員の方が兼務という形で連携推進法人の職員としてなっていただくという、兼務する形でなっていただくという場合には、企業の社員のところにも在籍はしていることになるので、出向というのはどちらにも在籍している中で勤務時間だけはきっちり管理していただくとかいう形態になってくるだろうと思います。
 ただ、実際に運営していく中で、やはり社員から連携推進法人へのこういう人の雇われ方とか使われ方がいいとかいうのは、色々と実際に運営されていく中で出てくる部分というのもあるとは思いますので、それは実際に起きた中でその都度疑義を解消しなければいけない部分もあるのかなあとは考えております。
○宮川構成員 ありがとうございます。今の出向の話と、その1つ前の職員の配置基準の関係ですが、スタート時は個人的には小さく始めてだんだん大きく育てていけばいいかなと思っているのですが、ただ、職員の話ですと、やはり人材不足がかなり指摘されていまして、私も先月、秋田とかに少し行ってきたのですが、特に秋田ですと、かなり高齢化、人口も減少しているということもありまして、そういった場所でやはり人員が中々確保しづらいという点もあるかと思いますので、出向などぜひ制度を作った後で、何か出てくれば議論の方をさらに深めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○田中座長 ありがとうございます。課長、どうぞ。
○宇野福祉基盤課長 ありがとうございます。今の話で補足ですが、配置基準のところは、今、初鹿が申し上げたとおり、これは各部局のそれぞれの制度の、今まさに御議論していただいている、田中座長も今やっていただいている、まさに介護報酬とか、そういう報酬とも密接に関係する問題でございますので、かなりここはハードルは高いというのは御理解いただきつつ、ただ、必要なものについてはきちんとやっていきたいと思っていますけれども、御意見として承ります。
 最後の出向については、今でも、例えば連携推進法人に対して出向は可能ですので、ただ、今、初鹿が申し上げたとおり、それはその人の給与、社会保険料は全部連携推進法人が払うということなのですね。そうすると、そこまでの、先ほどの会費とか、それは回り回って社員の負担になってきますので、社員の負担がどこまでできるのかということで、そこは制度というよりは、実際のお金としてどこまでできるのかという話になります。
 ただ、今、御指摘いただいて検討が必要と思ったのは、退職共済に関して、例えば介護、保育施設で退職共済に加入の方が、連携推進法人に出向したときのその継続の問題とかいうのは、それはどこまでできるのかというのは整理が必要と思いました。退職共済制度は既にある制度ですので、その制度の中の制約がありますが、そこは確認をしていきたいと思います。今の出向自体は可能ですが、あと、実際それが、まさに小さく生んだときにはできるけれども、大きくなったときには不可能かもしれません。そこはむしろその中で退職共済制度とかの話も含めてのフィージビリティ、ないしは退職金のポータビリティですね。その辺はまた今後の議論というか、可能な範囲で整理はしたいと思っております。
○田中座長 介護報酬改定の報告でも、人の兼務については、ある程度今までよりはできる方向、ややですが、いける見通しです。
 時間になってまいりましたが、ほかに御意見、御質問ございますか。
 山田構成員、お願いします。
○山田構成員 論点1に少し戻るのですが、このメリットです。結局、この連携推進法人に加わるメリットということで、右側の2つ目の〇印の1つ目の黒ポツに、「一段深い連携」という、どういう解釈をしていいのか分からない表現があるのですが、ここはもう少し具体的に、この連携推進法人に加わることによるメリットというのを何か明示したほうがいいのではないか。例えば、多くの社会福祉法人で結構後継者問題とか出てきていますし、そして、目的の一致する法人なんかが将来統合に向けてこの連携推進法人を足掛かりに使うとか、あるいは大きな営利法人が全国的にブランド化しているのに対して、連携推進法人に変えることによって何らかのブランド化とか、やはりこのメリットというのを何かもう少し具体的に明示することも議論してはどうかと思います。
 以上です。
○田中座長 ありがとうございます。
○初鹿専門官 まず、資料の「法的ルールに則った一段深い連携」という部分ですが、こちら、実際どういうことなのかというのは、ざっくり書いてあって大変恐縮ですが、連携推進法人制度になると、個々の社会福祉法人、今まで自主的に結びついていたものではなくて、それぞれが社員として入って、社員総会もあって、理事会もあってということで、決議までの流れというものが決まっていたり、あるいはこういった業務をやっていくということが決まっていたり、社員はその連携推進法人に入っていることを対外的に示さなければいけないことになっていたりとか、自主的な連携と違って、この枠組みの中でやっていることによって深い連携が可能になるという意味で書いてはいたのですが、確かに、ここに書いていることはメリットというよりも違いみたいなものなので、設立することにどういった意義があるのか、どういったメリットがあるのかというのはやはり施行前にしっかりと示していくこと、そのブランド力、それから後継問題とか、人材の確保にこのように生きていくというところはしっかりと示していきたいと考えております。
○田中座長 ありがとうございます。山田構成員の言われたことは前向きな事柄でしたので、うまく拾えるといいですね。ほかにどうぞ。
○宮川構成員 すみません。22ページ、災害の方になるのですが、➀の最後の大きな〇の具体的な例ですが、この中に、ニーズの事前把握みたいなものもあってもいいかなと思いましたので、少し御提案させていただきます。
 以上です。
○田中座長 ありがとうございます。
○初鹿専門官 追加させていただこうと思います。
○田中座長 ほかによろしゅうございますか。
 またお気づきの点があれば、後ほど事務局にお伝えいただければ結構です。事務局は本日の議論を整理、精査して、必要な資料の修正等を行って次に進んでください。
 最後に、事務局から次回のテーマ及び日程等について報告があります。
○高坂補佐 次回第3回では、社会福祉連携推進業務のうち、経営支援業務、設備、物資供給業務、貸付け業務について御議論していただく予定でございます。日程につきましては追って御連絡させていただきたいと存じます。
○田中座長 本日は、山田構成員のレクチャーも伺うことができました。また、構成員の方々から活発な御意見を頂戴しました。
 以上で本日の会は閉じます。どうもありがとうございました。
 

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