第6回 職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

令和2年5月27日(水) 14:00~16:00

場所

労働委員会会館7階講堂
(東京都港区芝公園1-5-32)

議題

  1. (1)職場における化学物質等の管理のあり方について
  2. (2)その他

議事

○化学物質対策課長補佐 皆さん、今日はお忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。定刻より少し早いのですが、皆様お集まりいただいておりますので、ただいまから、第6回「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会」を開催することとしたいと思います。本日、三柴委員が御欠席となっております。それから、コロナの関係もありまして少し席の間隔を空けて、かつ、マスク着用ということで、一般傍聴は入れずに開催という形にさせていただいておりますので、御協力よろしくお願いしたいと思います。それから、今回、事務局のほうで異動がありましたので、初めにその御紹介だけさせていただければと思います。まず、木口化学物質対策課長でございます。
○化学物質対策課長 4月1日付けで化学物質対策課長になりました木口と申します。よろしくお願い申し上げます。
○化学物質対策課長補佐 続きまして、和田産業保健支援室長でございます。
○産業保健支援室長 4月1日付けで産業保健室のほうにまいりました和田でございます。よろしくお願いいたします。
○化学物質対策課長補佐 それでは、以降の進行は城内座長、よろしくお願いいたします。
○城内座長 皆さん、まだ緊張感のある中、御参集いただきまして、ありがとうございます。窓も開いているので私の声が通りにくいので、喋るときはマスクを外させていただきたいと思います。全く関係ない話ですが、窓を開けるといかにすごいかというのは、実は私、大江戸線に乗っていますけれども、窓を開けて騒音測定したら何とマックスで110dBあるのです。LAeqでも95dBぐらいあって、とってもびっくりして乗りたくないなと思っています。少し時がたてば改善するのかなと思っていますけれども。では、始めたいと思いますが、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○化学物質対策課長補佐 本日、お手元のタブレットに資料を格納させていただいております。00として議事次第・資料一覧、資料1、これが本日、主に御議論いただく資料になるかと思いますが、サプライチェーンを通じた情報伝達、資料2として事業場における管理・対策、参考資料を2つ付けていて、参考資料1が中小企業支援、参考資料2が化学物質災害の分析です。あと、前回までの資料も、お手元のタブレットには参考として格納していますので御確認いただければと思います。
○城内座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは、本日の議事に移りたいと思います。前回、2月から大分間隔が空きましたが、前回は今後の議論の進め方について、マル1サプライチェーン等を通じた化学物質等の危険有害性等の情報伝達、マル2伝達された情報に基づく事業場における化学物質等の管理・対策と中小企業等での管理・対策を促進するための措置のあり方、マル3国による化学物質のリスク評価、化学物質等の管理を担う人材の確保等のあり方について、こういう順番で議論を進めていくということで委員の皆様方の同意を頂きました。それを踏まえまして、1つ目のサプライチェーン等を通じた化学物質等の危険有害性等の情報伝達について、委員の皆様から様々な御意見を頂いたところです。
そこで、本日は前回の議論も踏まえまして、情報伝達について事務局とも相談し、具体的な方向性の案をまとめていただきましたので、御議論いただきたいと思っています。また、2つ目の議論であります事業場における管理・対策については、次回議論いただきたいと考えていますが、事務局のほうからサマリーを最後に示していただきたいと思っております。今日はこのように進めたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、情報伝達についての方向性案について、事務局から説明をお願いいたします。
○化学物質対策課長補佐 お手元の資料1を御覧いただければと思います。化学物質の情報伝達についてということで、3つほどのテーマに分けて方向性を整理しています。ラベル表示・SDS交付による情報伝達を徹底・充実させるための取組・支援、これは今の仕組みをどういうふうに進めていくかという観点で方向性をまとめています。
1の行政による取組・支援ですが、支援の1つ目の○を御覧ください。これは現在もやっておりますモデルラベル・モデルSDSの作成で、これまで3,014物質作成しているわけですが、これを更に強化・充実するということで、引き続きモデルSDSのラベルの作成を継続して数を増やしていくということ。それから、前回、御議論がありましたが、内容が古くならないように最新の知見に基づいて更新をしていく。こういう取組を進めていくということでどうかというのが1つ目です。
2つ目の○は、これまでもだいぶ議論があったところですが、中小企業に対する支援ということで、モデルを作るとなるとまた支援が必要ではないかということで、これも前回、御意見としてありましたけれども、化学工業等の民間企業でそういう取組をしてきた方のOBを、例えば地域ごとに専門人材として配置し、中小に対する無料相談とか助言支援を行う仕組みを作ってはどうかというのが2つ目です。それから、本日、参考資料1で付けていますが、今、国の委託事業の中でもラベルSDSの作成についての相談、支援などをやっていますので、これは引き続き実施していくことでどうかというのが2つ目の方向性の案です。
3つ目、これも前回、御議論の中で出てきた話ですけれども、国が化学物質についての危険性・有害性の情報を、もう少し集約してウェブサイト等で見やすく、使いやすいように積極的に公表していく取組をしてはどうかというのが3つ目です。
その下の周知・指導ですが、これは取組がなされていないことに対する対応ということです。メーカー、輸入業者、商社、中間卸事業者を含め、ラベル表示・SDSの啓発指導を強化するということで、法令を遵守していない、要は表示すべき、交付すべきものをやっていない所に対しては、当然、その是正を求めていくとともに、そういうことをしてもなかなか対応していただけないような場合については、ラベルとかSDSが付いていないものが流通してしまっていることになると思いますので、それを利用する方に対して注意喚起をする観点から、例えばそういったものの商品名等を公表するといった取組も行ってはどうかというのが、こちらの方向性の案になっています。
2ページ目を御覧いただくと、ここからは国ではなくてサプライチェーンの中での取組、それからユーザー側としての取組ということで方向性の案を示しています。1つ目の○ですが、これは日本化学工業協会様からも御発表いただきましたけれども、サプライチェーンを通じてリスク情報を共有する取組が進められていますので、こういった取組を支援する観点から、表彰や助成を後押しする対応を検討してはどうかというのが1つ目です。
2つ目の○ですが、これは前からの議論としてあるものですけれども、現在、SDSの交付、ラベルの表示については、それぞれ提供する事業者の名称、住所等を記載して提供することがルールとして決まっているわけです。例えばメーカーから購入した商品をそのまま箱を移し替えることもなく、表示もそのままで更に販売するような場合もあるかと思いますが、そういう場合は、わざわざ中間で販売するような事業者の名称等を記載し直すことをせずに、そのまま販売していいという取扱いも認めてはどうかというのが2つ目の方向性の案です。
その下、ユーザー側の取組ですが、これは今もやられているかと思いますけれども、化学物質を購入した場合に、ラベルとかSDSが付いていないということであれば必ず販売元に問い合わせるといった行動を、リスクアセスメントの一環として位置付けることにしてはどうかということです。
2つ目の○、これは前回、少しお話が出たかと思いますけれども、一般消費者向けの製品というのは、今、労働安全衛生法の対象から外れていて、ラベル表示・SDS交付は義務になっていないわけですが、結構、業務用で使用される商品も一般消費者向けの商品に交ざって、例えばインターネットで販売されることもありますので、一般消費者向けかどうかということもありますけれども、実際にそれを業務用で使うということであれば、一般消費者も買えるような商品であったとしても、使用者、ユーザーからラベルとかSDS交付の求めがあった場合は、販売者は交付・表示しなければいけない仕組みにしてはどうかということです。この背景にあるのは、こういった一般消費者も買えるような商品でも災害が起こっていることを踏まえての方向性の案です。
3ページ目に進んでいただき、こちらはラベル表示・SDS交付の内容、対象の充実の論点です。1の対象物質について、これまでも議論に出ていますように労働安全衛生法上は673物質が義務の対象となっていますけれども、このページの下のほうに書いてありますように、化学物質対策をやる上でラベルとかSDSは重要な情報になってきます。これまでも議論に出ていますように、673物質以外の物質でも労働災害が発生している事例もあること。「モデルラベル・モデルSDS」は、先ほど御紹介したように既に3,014物質の作成がされていることもありますので、こういった状況を踏まえて、この義務の対象を拡大してはどうかというのが、この対象物質の所の方向性の案になっています。
次の4ページを御覧いただくと、こちらに拡大に当たってどういうふうに考えていくかという考え方の案をまとめています。1つ目の○を御覧いただくと、拡大していくに当たっても優先順位を考える必要があるということでまとめているのが、有害性については括弧内にありますように様々な有害性の種類があり、どの有害性があるものを優先するかという優先順位付けは非常に難しいこともあって、それぞれの有害性の種類の中で高い区分が付いているものから対象にしていく。このような優先順位付けもあるのではないかということが1つ目のポツです。
2つ目が、実際に労働災害がこれまで発生している物質を優先的に対象にしていく。3つ目として、日本国内での輸入量、生産量の多いものを対象にしていく。流通量ということだと思いますけれども、こういった考え方があるのではないかということで、ここは委員の先生方に御議論を頂ければと思っています。
その下の対象の考え方ですが、どこまで拡大していくのかということで、1つの案として、国がモデルラベル・SDSを作成している物質に拡大していく。現時点で3,014物質あるわけですけれども、そういうことでどうでしょうかということです。モデルラベル・モデルSDSがない物質については、まずは国のほうでモデルを作成・公表した上で、この義務の対象に追加していく考え方でどうでしょうかということです。一番下の○ですが、これは取組の考え方として、かなり広範に周知を図っていく必要があるだろうということで、このラベル表示・SDS交付を行うことが、化学物質の流通に当たっては基本的なことになるという考え方を、行政、業界、労働組合、それぞれ協力して進めていってはどうかということです。
次の5ページに表を付けていますが、こちらは今の優先順位の考え方について御議論いただくときの参考の資料として付けています。GHS分類で有害性の分類にどういうものがあるか、それぞれの区分としてどういう区分になっているのかをまとめた表ですので御参考に見ていただければと思います。
次の6ページに行って、ラベル表示・SDS交付の充実の論点です。ラベル・SDSに記載する内容の充実ということで、前回も御議論がありましたように、ラベル表示について、絵表示というものが国際ルールで決まっているわけですが、それだけでは労働者が理解できないのではないかという議論もあり、これは例えばの案ですが、危険性・有害性の種類で発がん性があるといったことを漢字で表記するとか、区分が高いか低いかを追加で表記する。こういうことを考えてはどうかというのが1つ目の方向性の案です。
2つ目は、SDSに記載すべき項目として、一応、GHSのルール上は「推奨用途と使用上の制限」を記載することがルールになっているわけですが、まだ今の労働安全衛生法の中ではこの義務づけが掛かっていないので、この「推奨用途と使用上の制限」を記載項目として追加してはどうかということです。それから、これはメーカー側からだけでなく、ユーザー側からの情報の還流も必要ではないかということで、もともとSDSに書かれていないような用途で使用する場合、そういった情報をユーザーからメーカーに伝えるといった相互の情報交換も必要ではないかということで方向性の案として入れています。
3つ目、これは前回も大分議論がありましたけれども、内容が古いままのSDSが流通しているという問題もありますので、これは提供側が新しくSDSの内容が更新されている場合は、再度交付をし直さなければいけないことにしてはどうかというのが3つ目の方向性の案です。
4つ目、これは実際の現場からの声としてあるものですが、御承知のようにSDSがかなり枚数の多い専門的な内容も含むものとなっていて、化学物質に慣れていない中小、それから化学工業とは全く違う業種の方が使うときに、なかなか読んでも分からないという声もありますので、それを全部見なくても1枚見れば何が重要な情報で、どういう取組をしなければいけないか分かるような概要を、SDSに添付させる取組を進めてはどうか。かつ、それが中で共有されるように事業場内に掲示することをしてはどうか、というのが4つ目の方向性の案です。
5つ目の混合物についてですが、実際に流通しているものの多くは混合物だということで、そのSDSをどういうふうに作るのかが実際の現場ではかなり課題になっているわけです。混合物について、含有されている物質ごとのSDSを全て付けるとなると相当な量になることもありますから、基本として混合物としてのSDSを作成することにしてはどうか。ただ、これを例えば中小とかで自ら作るのは難しいこともありますので、例えば作成を支援するようなツールを開発するなり、そういった支援を国などがしてはどうかというのが5つ目の論点です。
3のSDSの交付の方法です。これは前回も御議論がありましたけれども、SDSの交付方法として単に紙で渡すだけでなく、例えばインターネット上で広く公表することでもいいのではないか。若しくはQRコードを印字して、そこにアクセスすることで確認できる方法でもいいことにしてはどうかというのが1つ目です。
2つ目、これは先ほどのウェブサイトを構築するという話とつながる話ですが、危険有害性情報について、ここにアクセスすれば情報が入手できるというプラットフォームを作っていく取組を進めてはどうか。これは実際に作るとしても、どこが責任主体として運営していくのかも整理していく必要があるのではないかということで入れています。
次の7ページ目、これが最後の論点になりますが、事業場内での取組です。1の自社の労働者に関する取組ですが、これは前回もだいぶ議論があって、ラベルについての教育を、もう少し充実させる必要があるのではないかという御議論があったものですから、初めて作業に従事する場合、作業方法を変える場合、ラベルの内容が変わった場合、こういった場合にはラベルの内容、作業上の注意事項をきちんと作業者に教育しなければならないことにしてはどうかというのが1つ目です。
2つ目、これはこの検討会の初めの頃にヒアリングの中で御紹介がありましたけれども、実際、作業に従事する労働者の方にリスクアセスメントに参加していただく。それによって実際の作業上のリスクもこのリスクアセスメントの中で反映されると思いますし、労働者への注意喚起にもなると思いますので、こういった取組をしてはどうかということです。
3つ目、これは実際の災害の事例としてこの検討会でも御紹介しましたが、化学物質を購入するとき、提供するときだけでなく、事業場の中で使用するときに別の容器に移し替えることも行われているわけです。その容器に何が入っているか、その物質にどういう危険性があるか表示されていないが故に災害につながっている事例もありますので、事業場の中で移し替えるとき、中で自分で製造した物質を入れておくときなどについては、きちんと容器に表示をしなければいけないことにしてはどうかというのが3つ目の論点です。
2の外部委託を行う場合の取組で2つ示しています。1つ目ですが、これは今、労働安全衛生法において危険物とか大量漏えいで急性中毒を起こす物質に限り、そういった物質を扱っている設備の改修や清掃などを外部の業者に委託する場合は、どういう物質を使っていたかという情報を提供しなければいけないことになっていますが、実はこういった義務の対象になっている物質以外についても、外部の業者が知らなかったが故に被災する事例も起こっていますので、例えばSDS交付義務の対象になっている物質については、その外部の業者に委託する場合に、そういった物質を使っている設備ですよという情報を、きちんと提供する仕組みにしてはどうかというのが、1つ目の論点です。
一番最後の論点になりますが、廃棄物の取扱いをどうするかということで、次の8ページの参考で廃棄物に関する災害事例を付けています。実際に廃棄物を受け入れて、その廃棄物の処理をする現場において、その中にどういう物質が含まれていたかをきちんと把握せずに処理したことによって、かなり重大な災害事例が起こっているということですので、廃棄物処理業者に処理を委託する場合について、情報伝達をどういうふうにしていくのか。今、我々が議論しているSDSという仕組みをそのまま使えるのかも含めて、廃棄物処理に当たっての情報伝達をどういうふうに行うべきかを論点として入れています。私からの説明は以上です。
○城内座長 ありがとうございました。このテーマについては委員の皆様から御意見を頂戴し、方向性案ということで整理いただきました。かなり論点が多岐にわたっていますので3つに分けて議論を進めたいと思います。まず、資料の1~2ページの情報伝達を徹底・充実させるための取組・支援についての所で御意見を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。ございますでしょうか。永松委員、お願いします。
○永松委員 日化協の永松でございます。日化協の会員を中心に各事業者の皆さんの御意見を伺っていまして、この行政による取組・支援については、進めることがよいという意見が大変多かったと思います。幾つか進める上でのこととなりますが、化学工業界の事業者OBを活用していただけるということになれば、例えば退職前から準備をしてもらうことを考えたときに、専門家としてどういう力量が必要かという基準が見えたり資格なりが見えていると、より貢献もできるのではないかということです。このようなことが1つございました。
3つ目の○にあります、有害情報等をウェブサイト等で積極的に公表するというのは非常に有り難いという意見も多かったわけですが、一方、例えば危険性等でいけば消防関係になりますので、各省庁の皆さんが管掌されているところですが、基本的に化学物質の有害性・危険性については法とは関係なく共通のものだと思いますので、一元的にアクセスできるようにしていただきたい。そうでないと、あっちに行ったりこっちに行ったりすれば結局は抜けが出てしまうのではないかという懸念もありやっていただけると有り難いというお話がございました。
それから、最後のラベル等の教育等で、これは少し違う観点ですけれども、GHSの絵表示です。欧米では小学校のときからこういう教育をやっているということらしいですね。GHSカルタというようなことで取組が行われているようなのですが、非常に幅広く化学製品を使っていただいておりますので、小学校ぐらいから、こういう教育を是非やっていただければ有り難いという意見がございました。1につきましては以上です。
○城内座長 ありがとうございました。そのほか、委員の方から、中澤さん、お願いします。
○中澤委員 事務局のほうに質問ですが、1ページ目の行政による取組・支援で支援の真ん中の○です。2つ目のポツに、ラベル・SDS作成について、中小企業等からの相談に応じ、必要に応じて専門家による助言を行う支援事業を引き続き実施するということで、現行でもおやりになっているのだと思いますけれども、現行の実施状況というのはどのような評価をされておられるのか、お聞きしたいと思います。
○化学物質対策課長補佐 今日、御準備させていただいている参考資料1を御覧いただければと思います。参考資料1の1ページ目、2ページ目に、今、厚生労働省のほうで委託事業でやっていますが、電話相談窓口による支援、実際に専門家が訪問して行う支援、ラベル・SDSを活用したリスクアセスメントのセミナー、こういったものをやっています。それぞれの実施件数とか、参加していただいている企業の規模などを少しまとめていますけれども、これを御覧いただければお分かりのように企業の数は非常に多いと思っていて、これで全ての支援を求める方に手が届いているかというと、必ずしもそういう規模感の事業にはなっていないのかなということもありますので、これはこれで当然、支援としては必要だと思いますので続けていく必要はあるかと思いますが、先ほど永松委員からもありましたように、もう少し別の形での広がりのある支援のやり方がないかということも、考えていかなければいけないのではないかと思っています。
○中澤委員 参考資料1の存在は存じ上げていたのですが、いきなりこれを見たときに、規模感的なものがなかなか分からないと。言ってみれば、どれぐらいの企業が支援を望んでいるのかが分からないので、なかなか判断がつかない。その上で引き続きと言ったときに、その間には何かもうワンクッション置いた行政の行動があっていいのかなと思います。
○城内座長 ありがとうございました。そのほかございませんか。いかがでしょうか。
○中澤委員 素人考えの質問ですが、2ページ目の3の情報伝達を受ける側(ユーザー)の取組で2つ目の○に、消費者向けの製品であってもうんぬんということで、ラベル表示・SDS交付を求めることができることとし、と書いてありますが、通常の感覚であると、一般消費者向けに付いていないものが、いわゆる事業者向けで使われる場合に表示が必要だというのは、何となく一般の常識から考えると逆のような気がします。実際に、用途別や該当する化学物質そのものの例示みたいなものだと、どんなものがあるものなのでしょうか。
○化学物質対策課長補佐 実は実際の労働災害の事例の中でも出てくるものですが、恐らく件数として一番多いのは、いわゆる業務用洗剤のようなものがあって、これが例えば店舗の消毒とか洗浄に使われているものもあれば、これを一般の方が買って汚れを落すのに使っている事例もあって、そういったものは確かに普通に家庭で使うものに比べれば、かなり有害性が高いものが流通しているということもあって、そういうことを念頭に置いての論点でございます。
○城内座長 今の御質問で私が知っている例は、漂白剤で小さいボトルは環境有害性を入れていないのです。それは石鹸洗剤工業会が、環境有害性は外しましょうという自主基準でやっているので入っていないのですけれども、大きいボトルは入っています。そういう業界での対応をなさっている所はあるように思います。数はたくさんは知りませんが、そういう例がありました。そのほかございますか。
私から1つ、これは支援というより、どちらかというと法令そのものに関わるかもしれないのですが、一応、関係すると思いますので質問も含めて発言したいと思います。以前、GHSの前にあった表示又は通知等の促進に関する指針の中では、危険有害性が懸念されるとか、あと事故が起きた場合にはその成分について公表すべきだという1文が確かあったはずなのです。それはGHSの中でもそういう規定があります。つまり、パテント等があったとしても、そういう危険があるときはちゃんと公開しなさいというか、公開するシステムを国として作りなさいという決まりがあるのですが、安衛法、それから規則が改正された後の文章の中にはそれが消えているような気がしています。なので、参考資料2のほうにある事故例の中でかなりの部分、3分の1ぐらいが物質が分からないというように書いていますけれども、それはまずいのではないかと思っていますので、少し御検討いただければと思います。私からは以上です。ほか、委員の皆様からございませんか。よろしいでしょうか。では、1の行政による取組・支援の所は、こういう方向性でいいということでよろしいですか。それでは、次に移りたいと思います。資料1の3~6ページ、ラベル表示・SDS交付の充実に関して御意見、お願いいたします。永松委員。
○永松委員 本日の資料の2ページ目の2ですが、サプライチェーンを通じた取組・支援について幾つか意見がございます。2の2つ目の○の所ですが、これについてはいろいろと意見が出ていまして、必ずしも賛同する意見ばかりではなかったということです。基本的に中間販売業者においても、実際のお客様との関係において必要な責任をしっかり果たしていただく。より川上の私どもとしても、そこへはきっちり伝えるということが前提ですけれども、現行の法制度を維持するという意味で、そこはまず基本とすべきではないかという意見でした。また、化学メーカーは御存じのように中小も大変多いので、現実的にも非常に難しい点があるという意見が出ています。
それから、川上の事業者が、どこにその製品が行っているか全てを把握している状態でもないわけです。そのため川下のいろいろなお客様から問い合わせがきたときの対応は現実的ではありません。どのような事業所で、どのような使い方がされているかもまた様々であり、そういう点でまず中間の皆さんにしっかりやっていただく。当然、拡大責任という意味ではしっかりやっていく面もあるわけですが、このような形で一義的にこういうふうにやっていくのは、難しいというか意見がたくさん出ています。
ただ、容器をそのまま販売されていく場合に新たにSDSをまた作っていくということではなく、そこにある、あるいは貼られたラベルに中間業者の方も業者名なり連絡先なりをきちんとやっていくような、そういう制度も作れるのではないかという意見もあり、中間業者の方が過大な負担にならない点も踏まえて、何かそこは工夫をすることも考えるべきではないかという意見が出ています。
それから、これは塗料製品の方からの御意見ですが、塗料メーカーというのは、塗料販売店、1次店、2次店、塗装業ということで、塗料メーカーの中には製品の受け渡しにおいて配合を変えない場合は、製造業の対応もできるということなのですが、実際にいろいろな方に販売しているので途中で配合が変わったり、そういうこともあり得るということで、ケース・バイ・ケースで対応できるものと、できないものがあると伺いました。そういう意味で塗料の場合は、お客さんがより広がっていって対応の難しい点があることをお話したいと思います。以上です。
○城内座長 ありがとうございます。漆原委員、お願いします。
○漆原委員 6ページの2の所で○の2つ目にある、ユーザーはその情報をメーカーに伝えなければいけないというところ。ここで規定しているのは、今、御意見があった2ページ目の中間販売業者の所とも関係あると思いますが、例えば海外で作られた化学物質を輸入している企業が中間販売者である場合、6ページの所で記載されている、その情報をメーカーに伝えなければならないとすると、ユーザーは海外のメーカーに伝えなければならないことになるのか、どうなのかというところです。
もう1つ、レアケースなのかもしれませんが、2の一番下の○の所にありますように、当初、メーカーが想定していない混合をする場合、混合していますという情報もメーカーに返すという理解でいいのでしょうか。また、中間体であれば色々な使い道があるわけなので、企業機密的なところを含め、どう情報として反映させていくのか、その対応についてお聞かせいただければと思います。以上です。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。今の中間の方、ディーラーなどがどうするか
というのは、あちこちの国で問題になっていて、特に受け渡すだけの貿易商みたいな人たちが一番問題として考えているというか、どうしたらいいだろうという意見が多いと思いますので、この場でもそこだけははっきりしたほうがいいかなという感じがしますけれども、ほかの先生方の御意見はいかがでしょうか。ある工場から買って、それを次のユーザーに売るだけの所でも必要なのかどうかというのは、一番大きい問題かなと思いますけれども、いかがでしょうか。
○永松委員 1次、2次という販売先まで事業者として把握しているケースは多いと思いますが、そこから先になると、実際にそれを使って加工している方とか、またはそれをどこに転売している方とか把握の所でなかなか難しいと思います。必ずしも全て対応できるのかなと思います。
○城内座長 大きな場合分けが必要になりますでしょうかね。
○永松委員 そうですね。これもこの検討事項だと思いますけれども、似姿も変えずにやっていく場合ですと、その次に行ったときにも、ラベルなりSDSに中間に入った方々が新たに一から作らず、川上の情報をもとにきちんと自分たちでSDSを記載していくような工夫があればというのが、アイディアとしてありました。
○城内座長 そのほか、御意見はございませんか。
○化学物質対策課長補佐 事務局から1つ、今のお話ですが、後で出てくるラベルの表示の仕方でインターネットで広く公表する方法も認めましょうとなったときに、例えばメーカーが、自分が販売している商品のSDSとかをインターネットに公表していて、それを商社などがその容器のまま販売してインターネットで売っている場合に、その商社も商社で自分のホームページでSDSを公表する必要があるのか。そういうことも場合としては出てくると思いますので、多分、今の議論ももう少し条件付けをして、どういう条件であればこういうことができるかという議論は必要かなと思いました。
○永松委員 正にそのとおりだと思いますが、1点、電子情報となると、結局、それを買った人がアクセスしない限りは情報は伝わらないのです。そこに1つ大きな欠点というか課題があるのではないかという意見は出ています。
○城内座長 そのほか、ございませんか。3ページから6ページの間でほかの課題についても御発言をお願いいたします。別紙に書いて黄色くなっている所は、現状、これでやっているという御説明でしたか。優先順位を付けるという。
○化学物質対策課長補佐 いいえ、そういうことではなくて、これはあくまでもGHSがこうなっていますという御紹介です。
○城内座長 優先順位はどうやって付けていくかという。
○化学物質対策課長補佐 今後、どうやって付けていくかということ。基本的には有害性が高いものを優先するということでやっていると思いますが、もう少し明確にルールづくりをしたほうがいいのではないかという御提案です。
○城内座長 名古屋委員、お願いします。
○名古屋委員 これってリスク評価をするための報告対象物質を選ぶときに、化学物質のリスク評価に係る企画検討会でやっている流れと一緒なのです。要するに発がん性があって、発がん性のある化学物質が少なくなくなってきているので遺伝毒性とか生殖毒性のある化学物質を選択する方向へ行っています。それがだんだんなくなってきて、では何を選択の基準にしようかというときに取扱量が多いほどその物質にばく露する人は多いと思うのですが、取扱量が分からないので、輸入量が多かったりすると、それだけ接触する人が多いだろうという推測の基に、企画検討会では、そういうものを優先的に選ぶようにしているという、流れがあるのではないかと思います。
ただ、1点、ここで聞きたかったのは、これまで労働災害を発生させた化学物質を対象とすると書いてある。これは今までそういう災害があったのに対象にしていなかった理由は何なのか。それが1回で終わってしまって、それから発生しなかったから終わってしまったという考え方なのか、この理由がよく分からなかったので、そういう災害があったのだったら、当然、それに関する報告が上がってきていて、リスク評価をおこなったらどうでしょうかというものはあってもいいのに、ここの文章は理由がよく分からなかったので、ちょっとお聞きしたかったのです。
○化学物質対策課長補佐 参考資料2でもまとめていますが、例えば死傷病報告が必ず全て本省のほうに報告があるわけでもなくて、今の仕組みとして何か災害が起こったら、それについて、SDSの対象にするかどうかの検討をする仕組みに実はなっていないのが現状です。そういう問題意識もあって論点として入れさせていただいています。
○名古屋委員 ということは、平成18年から行っているリスク評価の中で、平成18年以前の化学物質というのは、どちらかというと災害があったものに対して言わば後追い的に規制を掛けていた。国は平成18年からは国自らリスク評価を行い、リスクが高い場合には規制するという形だから、まだ平成18年前のときの物質がそういうふうに残っているという考えでよろしいですか。分かりました。ありがとうございます。リスクも同じだから、当然、選定物質もその流れでいくのが普通ではないかなと思います。ただ、問題はリスク評価のときは濃度があったりとか、いろいろなことがないとできないけれども、今回の場合はそうでなくて、有害性のあるものについて一般的に使う形のものは、もっともっと自由に増やしていくというのが流れではないかなと思います。
○城内座長 そのほか、大前委員、お願いします。
○大前委員 今の名古屋委員の御意見に賛成ですが、今までのSDSの交付義務の数、これはあまりにも少ないので、せっかく3,000くらいのSDSが既にできていますから、少なくともこの3,000くらいできているSDSに関しては、これは単体で3,000だと思いますけれども、新たに作る必要はないわけですし、それを持って来ればいいだけですから、これは是非拡大していただきたいと思います。ポツの4つ目にありますように、休業4日以上の死傷災害の3~5割が、SDS交付義務対象物質以外で起きているというのが現実ですので、これは当然、物質は増やすべきだと思います。
それから、別紙の黄色い所でちょっと疑問があってよく分かっていないのが、下から3つ目の特定標的臓器毒性(単回ばく露)の所で区分1、2、3とありますけれども、3の所がよく理解できていなくて、呼吸器への刺激は分かりますけれども、眠気又はめまいのおそれというのは、多分、麻酔作用のことを言っているのではないかと思います。溶剤系だと思いますが、そうすると、こういう溶剤系のものを吸って眠気、めまい等が起きて事故が起こるというのは結構ある話なので、何でこれが区分3なんだろうなと。これはむしろ優先順位としては高いほうに入れるべきではないかと、私はこれを見て感じました。以上です。
○城内座長 これはGHSの問題なのでお答えしたいと思いますが、3番は先生がおっしゃったように有機溶剤を吸ってちょっと具合が悪くなったですけれども、基本的にこれは可逆的なものだけが3で、もっと重篤なものは1とか2に入るようになっていますので、そう御理解していただければと思います。
○永松委員 このラベル表示とSDS交付の充実については、そちらの方向で進むべきかなと考えています。大手の企業では不足なくSDSを発行してやっているところです。今回、課題となっているのはSDSが発行できていない、あるいはSDSをうまく使っていない事業者の安全をどうするかという点がポイントかと思いますので、まず対象物質としては後ほど出てきますけれども、国が3,000余りのところをまずやっていくことが、大変重要と思いますし、いわゆる混合物についても取り組めるように、後ほど出てきていますが、進めていくということがあります。SDSの対象を広げるためには、その手段なり足下の状況をしっかりやっていくことでないと、制度はあるけれどもということになりかねないのかなと思っています。
それから、ラベルのところですけれども、2の所ですが、漢字も含めた表示ということについては絵表示のみでやるべきだいう意見でした。国際ルールと乖離するということがあるので、事業者は中小の方も含めて輸出等も多いと思います。また絵表示以外にいろいろ出てくると、かえって見づらいとか分かりにくい。なぜ絵表示になっているかという根本に戻ると、それがよく分かるために絵表示をしているはずだということですね。先ほど小学校の話をしましたが、リスクアセスメントを進めるためにも、一般の化学製品を使っていただく方にここら辺の教育をしっかりやることが重要であって、それをもって国際化にも通用した対応を取るべきではないかという意見がございました。
また、推奨用途と使用上の制限についても意見がございます。現状、JIS規格には、推奨用途と使用上の制限について記載するのが望ましい項目という規定はあるということで、それをきちんと皆さんに周知して伝えていってはどうかということでした。
それから、使用用途やばく露状態など、事業者の皆さんから見ると1次、2次までは分かっても、その後はよく分からない中で、ある意味、あらゆることに対応できるのかといったら、実際にはそれはできないのではないかという意見です。また、先ほども出ていましたけれども、一般消費だとか事業用にやるとか、どんどん末端に行けば使用推奨用途と使用上の制限と異なって使われる場合があるということです。また、推奨用途以外の所で使っている方がいた場合に、それはメーカーとして対応は現実には不可能なのであろうと思います。そういうこともございまして、ここについては実際には難しいのではないかということが出ていました。以上です。
○城内座長 ありがとうございました。そのほかございませんか。大前委員、お願いします。
○大前委員 今の絵表示の話で、当然、国際間ですと絵表示しかやりようがないと思いますのでいいと思いますが、国内の話でしたら、絵表示が何を示しているか漢字で補助的に示すべきだと思います。というのは、ピクトグラムが分からないからいろいろなことを起こしていると確か前回のお話でありましたので、だったら日本で流通する分に関しては、少なくともどういう毒性があるか、生殖毒性をちゃんと書くというのは私はやるべきだと思います。というのは、絵表示自体が危険性を示すものですから、その危険がどんな危険か分からなければ絵表示をやること自体の意味がないわけなので、是非、日本国内だけの話に限定して見たときは漢字なり、あるいはどういうのを使ってもいいですが、そういうのを足すべきだと思います。
○永松委員 事業者の皆さんからの御意見では、正にラベルでいろいろなことが分かればいいんだけれども、ではラベルで一義的に伝えることは何かということと思います。それでSDSというものがあるわけで、ラベルの役割とSDSの役割というのを、繰り返しになりますが、それを使っていただける方にきちんと理解してやっていただくことが重要なのではないかという意見でした。
もう1つ、化学品というのは、例えば大手から出るときはタンクローリーで出たりドラム缶で出たりしますけれども、川下に行くと容器はどんどん小さくなっていくわけです。そういうものについて実際には対応が本当にできるのか。そういう細かいお話もありましたけれども、ラベルというものがどういうものであって、その上でSDSをしっかりやることが今の制度の根本にあるわけですから、その両方でやっていくべきではないか。業界のほうとしてはそれをきちんと押し進めるほうが、この化学業界は日化協及び日化協会員団体には2,000社以上の事業者がおられますので、より充実していくのではないかと思っています。
○城内座長 名古屋委員、どうぞ。
○名古屋委員 そこのところで、SDSカードに簡略化したものを添付すると、これは大賛成なのです。ただ、その後に書かれている、この概要を事業場内に掲示するというのは昔とちっとも変わらないことで、これでは駄目だと思います。これはあくまでも事業主の独り善がりだと思いますので、ここは前も言いましたが、要するにLINEならLINEを使って、それを見たかどうかを確認する手段までシステムを構築しないと駄目だと思います。例えば大学の研究室でグループLINEを使っていると、新しい薬品を買ったときに、ちゃんとLINEで購入した薬品のSDSを見たかと確認します。LINEを見れば既読が付きますね。例えば6人いて5人しか既読が付かなかったら、1人見ていないと分かりますので、見なかった人に見るように促します。そのときにLINEグループのリーダーが彼らに対して、何を見ましたかと聞けるのです。そういう意味で確認するためのシステムの構築が必要ということ。
それから、ここに書いてあるように、もう1ついいのはQRコードが今は使えるので、絵文字もそうですが、小さな所に小分けしたときにQRコードが付いているとものすごく楽なのです。これの普及というのをしたほうがいいのかなと思います。製品などの安全に問題があるような場合、製品に取付けたマイクロチップを使うことで、製品を購入したユーザーを探すのに使ったりするのですが、マイクロチップは今回のような場合には使えないので、QRコードだとそんなに難しくないので、QRコードをもっとうまく作っていってシステムを構築する形でいけば、良いと思います。みんながスマホを持っていますから、そんなに難しいことではないのかと思うのでこれをうまく使った方が良いと思う。LINEだとかスマホをうまく使って、作業者が見たことの伝達と作業者が見たことを確認すること。それから問い合わせて、見たときに何を感じたか情報共有することがいいのかなと思います。これをうまく使えたらいいと思っています。
○城内座長 その他にありますか。高橋委員、お願いいたします。
○高橋委員 QRコードについては、名古屋委員の発言に私も賛成です。取りに行かないと情報は取れないというお話が先ほどありました。QRコードを付けることによって、ここに出ている議論の幾つかというのはクリアできるような気がするのです。例えば、最新の情報に更新されているというのは、紙でもらわなければいけない、情報でもらわなければいけないということになりますが、既に更新されているということであれば、まずはQRコードを見れば、そこで最新の情報を確認することができることになります。オンラインで、リアルタイムでそれが更新できるということであれば、非常に有効なツールだと思います。
ただ、いろいろ問題点があると思っているのは、先ほどから議論になっている混合物をどうするかです。単体の場合には比較的そういう情報を取りに行きやすいと思うのです。混合物になっている場合に、果たしてそれをどうやってQRコードの中に情報を入れていくのか、QRコード化していくかということは、やはり問題になると思います。幾つかクリアしなければいけない課題はあるとしても、これを必ず1斗缶なり、試薬瓶なり、あるいはドラム缶なりに貼り付けるということにしておけば、情報を取りに行く1つのツールとしては非常に有効になるのではないかと思います。
○城内座長 その他にありますか。永松委員、お願いいたします。
○永松委員 2点あります。1点は、ラベル・SDSの記載内容の所で4つ目の○です。補助資料の件です。これは日化協では1つ、安全要約書という形で進めさせていただいている面もあります。ただし、これで全てをカバーできるわけではないです。かえってこれだけを見て、例えばSDSという詳細を確認せずに進んでしまうということはないのかという意見が会員から出ておりました。
それから、先ほども申し上げましたが、川上のメーカーも1次、2次までしか顧客と用途が追えませんので、安全要約書という形ではやっておりますけれども、それを中小企業の皆さんにまでどんどん広げることが本当にできるのかという意見が出ておりました。
それから、SDSの交付の方法です。やはり、運営の主体は国、あるいは国の関与する機関がよいのではないかという意見が出ております。NITE-CHRIP、例えばそういうものが使えないかという意見も出ておりました。
○城内座長 その他にありますか。
○化学物質対策課長補佐 事務局から質問があります。2つ目の推奨用途の所で、2次、3次まではなかなか用途が追えないのではないかというお話も頂いていました。逆にメーカー側が、もともとはこういう用途で使うことを想定しているという情報を、ユーザーのほうに伝えていく意義というのはないのかという問題意識があります。要は、推奨されていない用途で自分たちは使っているということを、例えばユーザー側に認識させるとか、そういう意義というのは余りないのでしょうか。
○永松委員 それは、大変重要なことかと思います。ただ、SDSだけでやっている会社はないと思います。やはり、ビジネスの所で必要な、例えば危険性や有害性のあるものについて、例えばベンゼンを販売するにしても、それにきちんと取り扱えるいろいろな資格を持った業者を使いますように、販売の中で伝えて対応していきます。それを、SDSだけで求めるというのはどうかと個人的には思います。
○城内座長 その他にありますか。私が委員の皆さんの御意見を伺っていてフォローしたいところがあります。3,000物質については、皆さんSDS・ラベルを義務化してもいいのではないかという御意見でよろしいでしょうか。その上で、名古屋委員からお話があった、今までは事故があっても、それはカバーしていなかったというところは、3,000出せばカバーできるのですか。事務局のほうの感触としていかがですか。
○化学物質対策課長補佐 恐らくほとんどカバーできるのではないかと思いますが、一つ一つ突き合わせをしていないものですから。
○城内座長 分かりました。それから、QRコードについては、GHSの小委員会のほうでも議論が始まっています。QRコードを使うかどうかも1つの案として出ているというだけなのですが、情報のデジタル化は絶対に必要だということで、今議論が進んでいますので、そちらも眺めながら整合性のあるものにしていけばいいかと思っています。
それから、御意見は分かれたのですが、絵表示だけでいいのかということと、文字を付けたほうがいいのではないかという御意見がありました。基本的にGHSは、絵表示だけ使うことはないです。例えば、生殖毒性があれば、それは生殖毒性があるという言葉が入ります。がんであれば、発がん性がありますという言葉が一応入ります。そういう書き方ではないほうがいいというのが大前先生の御意見ですか。
○大前委員 先ほど、絵表示ではないほうがいいとおっしゃったと思うので、絵表示だけというお話をされたと思うのです。協会の中の御意見としてそういう話でしたので、それは文字も入れたほうがいいのではないかということです。
○永松委員 私が申し上げたかった点は現状の絵表示から更に文字を増やすというように、日化協内でヒアリングをした皆さんは認識しましたので、文字を増やすのは望ましくないという意見です。
○城内座長 現状で説明がちゃんと付いている分にはいいということですね。ただ、それを取り分けたりすると、スペースがないので絵表示だけになりますという話はまた別であると思うのです。分かりました。そこは、齟齬がなかったということでよろしいですか。その他に御意見等はありますか。大前先生お願いいたします。
○大前委員 先ほど混合物が出ていましたが、混合物をどうするかというのは非常に難しい問題です。混合物というのは、それこそごまんとあるはずですので、混合物一つ一つにSDSを作るというのはナンセンスに近いと思うのです。そうすると、混合物を構成している単体を付けるぐらいしかやりようがないのかなと。場合によっては、混合することによって毒性が強まったり、あるいは逆に弱まったりという可能性はあるでしょう。でも、それを言い出すと先ほど言いましたように、混合物ごとに作らなくてはいけないということになってしまいますので、これは混合成分の単体でいくしかないのではないかと思うのです。
この間ある方に聞いたら、それはノウハウだから教えられないと言っていましたので、ここをどうするかというのは非常に難しい問題だと思います。メインのところは恐らく大丈夫なのでしょうけれども、いわゆる調味料的に、ノウハウに該当する部分というのは必ずあるようです。しかも、それがもし毒性が強かったら大変な問題なのですけれども、そこのところは非常に難しいと思います。
以前、発がん実験で発がん性があると言われたものの原因が、実はその物質の安定剤だったというような、非常にマイナーな成分が原因だったという事例もありますので、この辺の扱いはどうしたらいいものかというのは非常に難しいと思います。
○永松委員 混合物のSDSについては、大変重要かと思っています。例えば、日化協の会員のような大手であっても、SDSの作成には大体システムを作って対応しています。SDSはJISの規格が決まっておりますので、3、4年ごとに変わって、そのシステムを変えます。国の番号が変わればまた変わるとか、やはりシステムがないとなかなかうまくできない点があります。これを中小企業の皆さんにもやっていただくとなれば、やはり国が主体となって、そういうシステムを推進していかない限り進まないので、私ども化学業界の事業者としても、中小企業の皆さんにやっていただくために、その点が非常にお願いしたいという意見が出ておりました。
○城内座長 その他にありますか。逆に工業界の方にお伺いしたいのですが、混合物の分類については経済産業省でソフトを出しています。私も自分でやってみて使えるかなと思うのですが、普及の程度はいかがなのでしょうか。
○永松委員 随行の専門家に聞いてみます。
○永松委員随行者 経済産業省が出しているツールについて、安全性に関しては使えると思います。ただし、入力には一定の知識が必要です。ただ、入れてあげれば結果は出る。また、ラベルはできるけれども、SDSまでには至らないという状況です。危険性に関しては、混合物を個別に評価してやらないと結果が出ませんので、これは測定するしかないということです。総じて言えば使えると思いますが、ただ、ラベル作成ツールまでのレベルです。
○城内座長 今御説明していただいたように、ツールとしてはあって、データがあって、打ち込めば今おっしゃられたように結果が出てくるのですが、それから詳しいデータをSDSに起こす、転記することになると、専門的知識が確かに必要なので、その辺の難しさは多分あると思います。ツールとしてないわけではないので、それを更に労働安全衛生法も含めた中で、どのように使えるものにしていくかというのは検討が必要かと思います。3~6ページまでの間で、その他に御意見はありますか。高橋委員、お願いいたします。
○高橋委員 事務局にお伺いします。4ページの一番下の○です。危険性・有害性区分がある物質については、基本的には全ての物質にラベル表示、SDS交付が必要であることの周知を更に促進していくというように書かれているのですけれども、具体的にどのようなことをイメージしているかをお聞きしたいのですが。
○化学物質対策課長補佐 すみません。まだ、この時点で具体的にこういうことをやりますというように決めているわけではなくて、方向性の議論をしていただいているという理解です。
○城内座長 よろしいですか。
○高橋委員 はい。
○城内座長 その他にありますか。明石委員、お願いいたします。
○明石委員 日本語の問題なのかもしれませんけれども、先ほどの推奨用途と使用上の制限というのは、使用上の制限をしますと加えたのに、その制限を上回るような使い方をユーザーがするということを容認するという話になるのでしょうか。それを、ユーザーが使ったことをメーカーに伝えて、それをこの情報に反映するということが書いてあるのですけれども、それだと使用上の制限を超えて使っていいということになるのですか。
○化学物質対策課長補佐 ここの推奨用途、使用上の制限というのは、メーカーが製造して販売するときに想定しているものがあります。先ほどもお話がありましたけれども、メーカーが想定していないような使い方がその物質でされているという情報が、今度はメーカーのほうにユーザーから提供があれば、そこでもう一度SDSを更新するというイメージだと思います。それなので、それを用途として認めるのであれば、使用上の制限からは多分外れるということなのだと思います。
○城内座長 その他に御意見はありませんか。それでは、次に移ります。3,000物質については、これでいきましょうということで合意を頂いたということでいいかと思います。資料の7ページ、8ページの事業場内での取組について御意見等をお願いいたします。宮腰委員、お願いいたします。
○宮腰委員 事業場内での取組の2、外部委託を行う場合の所にある産廃の部分です。私のもともとの出身企業は産廃をやっていました。その産廃の所に行っていろいろ情報を聞いてきました。実際にこの部分については、産廃を受ける企業からは、既にSDSに同じように、WDSというものをもらっているようです。これは、産廃物データシートと言われるもので、環境省から出されています。業界のほうも、これをかなり推奨しているということなので、必ず産廃を出す側からそれを頂いて、その上でチェックをしてやっているということでした。
ただ問題は、その義務的な部分は明記していても、全てきちんとチェックできているかどうかというのはかなり怪しいという意見を伺っています。この中で災害事例をよく見ると、ほとんどが前処理なのです。実際の処理工程で起きているわけではなくて、その前段の前処理になると思うのです。この前処理というのは、どちらかというと外部に委託している所が非常に多いのです。同じラインではあるのですけれども、正社員は処理のほうで、前処理はどちらかというと協力会社だったり、下請の会社の人たちが、重機などを使って混合したりしている状況なので、この部分というのはその上のポツの記載に値するのかと。その作業をさせる人たちに対して、どのようにして安全の教育をできるのか、指導できるのか、そこに値するのかと思います。
○城内座長 その他にありますか。永松委員、お願いいたします。
○永松委員 2点あります。今お話に出た廃棄物の関係は環境省が詰めていて、日化協の中からも委員が出てお話をしています。WDSというガイドラインがありますので、それをしっかりやっていけば特に問題は発生しないはずなのですけれども、もう少し強化するという点で、情報の伝達を義務化しようという話が出ております。具体的には廃棄物は中に何が入っているかよく分からない、分かっていても10種類以上、多ければ何十種類となってしまいます。それに対してWDSにも書かれているのですけれども、排出物の排出者と処理業者の間できちんとコミュニケーションをすることになっています。そこで、その廃棄物の危険性や有害性を一番知っているのは排出業者です。そういう必要な情報をきちんと伝えましょうと。その必要な項目はこういうものですね、という議論を今、環境省の方、また経団連にもお世話になりながらお話をしているという状況です。
もう1つは、1の3つ目の○です。これは、事業者から実際の現場で見ると、ちょっと実用的ではないという意見が出ております。なぜかというと、製品になればドラム缶なりローリーになります。工場などでは分析のためにサンプリングをしたり、設備内のドレインを切ったり、いろいろな作業があります。そのためにバケツを使ったり、小瓶を使ったり、いろいろな容器を使います。それに全てラベルを貼るのではなくて、各事業者であれば、当然それに使える容器を特定して、それをマニュアルに、どの容器を使いなさい、また、その物質の危険性が書いてあって分かった上で作業をしていただいています。ラベルを使うというのも1つの手ではありますけれども、必ずしもラベル表示ではなくて、実際の作業はマニュアルと、その作業に使う容器を特定する表示と、教育の3つで安全が保たれると思います。行うことは推奨してもいいかと思うのですけれども、それでないといけないということは決してないと思います。
また、JIS規格でも作業場内の表示による情報伝達を提唱していると聞いております。JIS作業場内の表示による情報伝達方法というのも提示されているようですので、そういうものも是非参照したらどうかという意見を頂いております。
○城内座長 その他に御意見はありますか。漆原委員、お願いいたします。
○漆原委員 リスクアセスメントについて、労働者を参画という記載が○の2つ目にあります。我々も、できればそういう方向でお願いできればと思うのです。そのためには、リスクアセスメントに関する一定の知識を労働者が持っているということが前提となります。リスクアセスメントのやり方も1つではないので、その現場現場に合った効果的なリスクアセスメントをどう実施していくか、また、それについてどう労働者に周知していくかというところについて、前のほうにあった専門家の知見が中小事業場でも活用できるような参画をさせるための教育のところも勘案していただければと思うところです。よろしくお願いします。
○城内座長 その他にありますか。私からのお願いです。事業場内での取組で、派遣の人とか、外国人労働者のことが出ていません。その方たちに対する教育というか、情報提供をどこかで考えたほうがいいのではないかと思っています。外国人労働者について言うと、これはGHSが世界的に使われているので、結構やりやすいかと思っています。例えば、ベトナムから来ている人だったら、ベトナム政府のホームページを見ると、少なくともピクトグラムの絵は分かるようなものができているはずなので、まずそこに行ってもらって、ピクトグラムの絵を理解してもらって、それで日本語をちょっとずつ理解していってもらうというようなことができるかと思っています。そういう他の国の情報も取って、なおかつ日本での普及活動もやっていければなんとかなるような気がしています。
以前もお話したのですけれども、今までは事業者が労働者教育も全て責任を持ってやるというのが、安衛法や労働基準法の基本だったと思うのです。もう、それでは立ち行かないというか、十分なところまではいかないということが今までの行政の経験の中で分かっています。そこから先、行政が直接労働者にどう教育していくかということも、考えてやっていく必要があるのではないかと思います。それは米国の例で言いましたけれども、労働者は知る権利だけではなくて、理解する権利もあるのだということで方向転換しています。行政も、そういう意識を持ってやっていく必要があるのではないかと思います。法の枠組み上はなかなか難しいかもしれないですが、今までやってきて、どうしても情報が届かなかった、労働者にも届いていない、小規模事業場にも届いていない現実がありますので、少し方向転換が必要かと思います。私の意見はそのぐらいです。大前委員、お願いいたします。
○大前委員 外部委託を行う場合の取組の2つ目の○です。このような作業を委託されるほうは、最終的には自分で守るということしかやりようがないのです。2行目で、化学物質の危険性・有害性や取扱い上の注意に加えて、有効な保護具に関しても是非ここに入れていただきたいと思います。
○城内座長 その他にありますか。私からもう一点あります。これは、リスクアセスメントをしましょうというときから、ずっと1番目の2の○に書いてあるのですが、SDSに基づいて行うリスクアセスメントというのがずっと言われています。個人的には、本当にSDSの情報だけでリスクアセスメントができるのかというのはすごく疑問なのです。いろいろなSDSがあって、先ほどもお話があったように、例えば許容濃度が書いていないというようなものも当然あります。それなので、書いていなければやらなくてもいいという話になりかねないというか、事業者によって違うとは思いますが、そういうこともあります。リスクアセスメントとSDSを1対1対応させるのは少し危険かなと個人的には思っています。他の先生方から、何か御意見があればお願いしたいのですけれども、いかがでしょうか。やはり、取りに行かなければならない情報もあるし、解釈の問題もあるので、そのように感じています。永松委員、お願いいたします。
○永松委員 確かに先生がおっしゃったように、ハザードを正しく認識しない限り、正しいリスクアセスメントにならないと思うのです。一方で、SDSに原則求められる以上にどこまで情報を書けるかというのも、事業者の力によってきますので、当然差は出てくると思います。ある意味そういうところも踏まえて、先ほどの専門家の制度にも、リスクアセスメントを行う上でSDSに書かれていないところはどうなのかというような助言なり、支援なりをするようなものも加えていただければ1つの手になるのかと思います。
○城内座長 その他に御意見はありますか。名古屋委員、お願いいたします。
○名古屋委員 お願いしたかったのは、こういう取組をするときというのは、参考資料1を見ると、小企業というのは資産1億円以下なのです。小規模の1億円以下という企業だったら多分何も問題ないと思います。もっともっと零細の所が問題だと思うのです。そうすると、アセスメントなどをやりたくても、人材もそうなのですけれども、人材を教育するための費用がないので、人材を育てられないというような状況にあるなら、何かしら経済的な支援という形のもので援助してやる。そんなに額は要らないと思うのですけれども、経済的に支援があると無しでは、零細企業の所ではずいぶん違うと思います。やはり、中小・零細の低い所には何かの形で経済的な支援という形のものが少しあったほうがリスクアセスメントなどは進んでいくのかと思います。是非その辺も検討してもらえれば有り難いと思います。
○城内座長 事業場内の対策は次回の検討会で詳しく議論があると思います。大前委員、お願いいたします。
○大前委員 少し極端な意見かもしれません。今まで経験したSDSは、都合の悪いことは書かないSDSが現実にあります。国で作っているSDS3,000というのは、多分そういうことはないと思うのです。SDSそのものを国で作っているものを使えというような義務化はちょっと極端でしょうか。
○化学物質対策課長補佐 一応安衛法上の義務としては、事業者に義務をかけているということですので、国のものを使えという仕組みにしにくいところはあります。先生がおっしゃったように、書くべき情報を書いていないSDSがあるということであれば、それは是正の指導をしていくということにはなるのではないかと思います。
○城内座長 その他に御意見はありますか。高橋委員、お願いいたします。
○高橋委員 本日これまで委員の皆さんのお話を聞かせていただいて改めて思うのは、現場で化学物質を扱って被災される方は労働者であるということです。その労働者が最終的に理解できるようなシステムであり、取組でないと駄目だと思います。是非、そういう取組ができるようにお願いいたします。実際に単組にヒアリングをして思ったのは、零細企業や人数が少ない企業では人が足りない、お金が足りないということで、なかなかできていないことを考えると、その企業も単独で事業ができているわけではなくて、当然取引相手がいることですから、サプライチェーンでの取組は非常に重要になってくるのではないかということです。OBの方を配置して、助言を頂けるようなサポート体制を作るというお話がありました。それは、例えばサプライチェーンの中でそういう専属の方がいるという取組、例えば企業団体のような組織に専門の方がいるという配置の仕方のほうが相談しやすいのではないかと思います。様々聞きたいと思ったときにアプローチできるような体制を是非組んでいただきたいと思います。
○城内座長 その他に御意見はありますか。よろしいでしょうか。今まで1ページから8ページまで、御意見をいろいろ頂きました。これを事務局で整理していただいて、更にアップグレードしたものを提出していただきたいと思います。
議題2の事業場における化学物質等の管理・対策について、今、事務局から簡単に御説明いただいて、次回に備えたいと思います。
○化学物質対策課長補佐 資料2を御覧ください。城内座長からもお話がありましたように、次回の議論につなげるということで、余り詳細な論点ということではなくて、問題提起のような形での論点にさせていただいております。2つ目の議題として、事業場における化学物質の管理・対策、それから本日も大分議論が出ましたけれども、中小企業での取組を促進するための措置ということです。
1ページで、今の制度をどう変えるかではなくて、今の制度をどのように徹底していくのかという論点の1つとして、今も出ておりましたように、人もお金も足りない中小企業の中で対策を徹底するためにはどのような取組や支援が必要なのか。それから、労働者に対する意識啓発・周知を確実に浸透させるためにはどのような取組が考えられるのか。こういうことを議論していただければというのが1つ目の論点です。
2つ目も今御議論がありましたけれども、リスクアセスメントの実施率がまだ半分程度にとどまっている。その理由として、方法が分からないとか、人材がいないということが挙げられています。こういう実態を踏まえて何をすればこの割合が高まっていくのか。そういうことも御議論いただければと思っています。
3つ目は、リスクアセスメントも実施はするけれども、結局その措置につながらないというような課題も、これまで何度か御議論いただいていると思います。実際の具体的な措置については、これまでも資料などで出てきておりますけれども、衛生基準というものがあります。この中で、例えばガスなどの発散防止対策として、有害な程度にならないようにその濃度を抑制するというような措置の義務があるわけです。これが、明確になっていないという課題もあるのではないかということで、こういうことを国が明確に示していくことが、実際に措置を進める上で有効かどうかという論点もあるかということで提示させていただいております。
4つ目も、これまで御議論がありました、労働者を守る最終手段である保護具についてです。それを適切に選択し、使用し、かつ管理するという仕組みが徹底されるような仕組みを作る必要があるのではないかという御議論がこれまでもありました。それは事業者、保護具のメーカー、労働者、それぞれの関係者において、どういう取組をすればこれが徹底されていくのかということを、4つ目の論点として挙げさせていただきました。
2ページ目です。こちらは、今の労働安全衛生法に基づく仕組みで、課題として出てきているものに対してどう対応していくかという論点です。1つ目は、特化物とか、その管理濃度が設定されているものが幾つかあります。最近、この管理濃度がかなり大幅に低下してきています。その現場で管理濃度以下に、そもそも技術的に抑えることは難しいというケースも出てきています。仮に管理濃度以下に抑えようとすると、製品の性能に影響が出てしまうとか、例えば排気装置の風速を上げることによって、むしろ作業をしにくくなるというようなこともあるというお話もあります。場としての濃度を下げるというだけの手段に限定するのではなくて、例えば個人のばく露量を管理するという考え方を入れていくということもあるのではないかというのが1つ目の論点です。
2つ目は、これまでも何度か御議論の中に出ております。行政が、その作業環境が悪い事業場の把握をする仕組みに今はなっていない。そういう中で管理3の事業場が増えている状況にありますので、作業環境測定の結果を、行政のほうに報告を求めるというような御議論がこれまでもありました。そういうことも踏まえて、この現場の把握というやり方をどう考えていくかという論点を入れさせていただきました。
3つ目も、これまで何度か御議論が出ております。特殊健康診断について、作業を行う方については一律に義務ということになっています。これについても、どのぐらい作業者がばく露しているか、その程度に応じて制度をどのように考えていくのか。健康診断の頻度なども含めてどう考えていくということを、3つ目の論点として入れております。
4つ目も何度か御議論が出ております。長期の保存が必要な健康診断の結果であるとか、作業の記録といったものが、例えば30年、40年の保存が、きちんと事業者のほうでできるのかという課題があるのではないかという論点を頂いております。これを、例えば国とか第三者機関で長期的に保存をする。場合によってはそれをビッグデータとして活用し、防止対策に生かしていくというようなことが考えられるのではないかということで、4つ目の論点として入れております。
5つ目は、今の国の災害把握の仕組みの中では、がんなどの遅発性の疾病を把握することができないということが課題になっているのではないか。どういう制度にするかというのは、議論としてはなかなか難しいと思いますけれども、その発生を行政が早期に把握するような取組として何か考えられる方法はあるかということで、論点として挙げております。
3ページは最後の論点になります。これは、少し将来的、かつ大きな枠組みの議論になるのかと思います。現状では個別にその措置を規定しています。特定化学物質障害予防規則とか、有機則とか、そういう特別規則と我々が呼んでいるもの、個別の規制と、一方でそのリスクアセスメントで包括的に事業者での自主管理を求める義務と両方が並立しているということです。現状の仕組みだと、国がリスク評価をして、規制が必要だというものについては、特別規則に追加していくという仕組みが出来上がっているわけです。この両方が並立している状況を今後どうしていくのか、どういう仕組みにしていくべきなのかということについては、一度整理が必要なのではないかということで論点とさせていただきました。
2つ目はそこからつながる話ですけれども、仮に今後自主的な管理をどんどん進めていくという仕組みに舵を切っていくということであれば、自主的な管理といっても、何かしら守るべき基準のようなものを考える必要があるのではないかということ。それから、本日も何度か御議論が出ましたけれども、自主的な管理を支える人材が必要なのではないか。特に中小企業での自主管理を支える人材が必要なのではないかということです。2つ目、3つ目はそういう課題になると思います。
先ほど申し上げたように、こういう自主的な管理をどんどん進めていくとなると、特別規則というのは今後どう位置付けていくべきかというようなことも議論の中で整理をしていければいいと考えております。以上です。
○城内座長 ありがとうございました。これは議論をしませんので、委員の皆様は頭の中にとどめておいていただいて、次回に活発な議論をお願いいたします。本日予定していた議論は終了いたしました。3密を避けるためには早くてもいいかと思います。あとは事務局にお返しします。
○安全衛生部長 本日は大変ありがとうございました。最後に2点補足で申し上げます。1点は、本日様々御議論いただいて、今までの御議論が積み重なって、皆様方にも活発な、前向きな御意見を頂いたことを改めて感謝いたします。とりわけ最後のほうで、座長の下で各委員から出た御意見の中で、規模が零細な企業への支援手当をどうしていくのだ、あるいは働く方々の中でも外国人労働者をはじめとして、なかなか規存的なところは届きにくい方々に対してどう対応していくのだと。正にこれは安全衛生法の枠組みは事業者に義務付ける体系だとは言いながらも、やはり政策的な支援・対応が必要だろうというのが皆様のコンセンサスだろうと思います。
時期的に言うと、中村補佐のほうから申し上げた、そもそもの大きな論点のほうもありますけれども、もう1つ令和3年度の概算要求に向けた検討もこれから本格化していく時期になります。もちろん制度的なものの見直しはコンセンサスを取っていくのに非常に時間がかかる面もあります。ここは手当てしたほうがいいよね、あるいは、ここは例えばサプライチェーンの問題で、こういう団体にこういうお願いができないだろうかというようなことが、なんとなく見えてきているようなところがもしあるとするならば、その辺の御議論もこの場か、あるいは個別か分かりませんけれども、少し皆様から頂きながら、令和3年度の概算要求に向けてやるべきことを前へ進めていくという観点から、また並行してお願いできればというのが1点です。
もう一点は、座長からも3密を避ける観点からということで非常に御配慮いただいた運営をどうもありがとうございました。実は、厚生労働省のいろいろな会議の中で、オンラインではなくて、緊急事態宣言後こういう形で初めて開催される会議だそうです。委員の皆様には大変御負担を掛けましたけれども、次回以降も是非よろしくお願いいたします。これは、本当に純粋な御礼でございます。どうもありがとうございました。
○化学物質対策課長補佐 本日は活発な御議論をどうもありがとうございました。次回は、今のところ7月16日を予定しております。また、改めて委員の皆様には正式に御連絡を差し上げます。
○城内座長 第6回職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会を閉会いたします。どうもありがとうございました。