2020年11月13日 第5回「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」 議事録

日時

令和2年11月13日(金) 17:00~19:00

場所

中央合同庁舎5号館厚生労働省議室(9階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

出席者

参集者:五十音順、敬称略
磯博康、杉薫、髙田礼子、高橋正也、嵩さやか
豊田一則、西村重敬、野出孝一、水島郁子

厚生労働省:事務局
小林高明、西村斗利、西岡邦昭、中山始、中村昭彦 他

議題

  1. (1)脳・心臓疾患の労災認定の基準について
  2. (2)その他

議事

議事録


○中村職業病認定対策室長補佐 定刻となりましたので、第5回「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、会議に御出席いただきありがとうございます。
 本日の委員の御欠席について御報告いたします。小山委員が欠席となります。また今回は、嵩委員、野出委員、水島委員の3名の方がオンラインでの参加となります。皆様にお願いがございます。今回は、会場で御出席の方にもお願いがあります。発言される場合は、長いマイクの下の所のボタンを押していただくと赤いランプが付きますので、そうしましたら御発言していただき、終わりましたら、申し訳ありませんがまたボタンを押していただきたいと思います。オンラインで参加される委員の皆様にも、いつものお願いがあります。意見等を発言する際には、マイクのミュートを解除した上で、お名前と「発言があります」旨の発言をしていただくか、又はインスタントメッセージで「発言があります」と送信していただき、さらに座長から「誰々さん、お願いします」と指名させていただいた後に発言をお願いいたします。御協力をお願いいたします。
 また大変申し訳ありませんが、いつものことですが、通信が不安定になったり、通信速度が遅くなったりすることで発言内容が聞き取りにくい場合があることを御容赦願います。
 傍聴される方にお願いがあります。携帯電話等は必ず電源を切るかマナーモードにしてください。そのほか、別途配付しております留意事項をよくお読みの上、検討会開催中はこれらの事項をお守りいただいて傍聴されるようお願い申し上げます。また、傍聴される方にも、会議室に入室前にマスクの着用をお願いしておりますので、御協力をよろしくお願いいたします。万一、留意事項に反する行為があった場合には、この会議室から退出をお願いすることがありますので、あらかじめ御了承ください。傍聴される方へ、写真撮影等はここまでとさせていただきます。以後、写真撮影等は御遠慮ください。よろしくお願いいたします。
 では、磯座長、以後の議事の進行をよろしくお願いいたします。
○磯座長 それでは、議事に入る前に、事務局から本日の資料の確認をお願いします。
○中村職業病認定対策室長補佐 それでは、資料の御確認をお願いいたします。本検討会では、ペーパーレスでの開催とさせていただいておりますので、お手元のタブレットで資料の確認をお願いいたします。本日の資料は、資料1「第5回における論点」、資料2「論点に関する医学的知見(追加)」、資料3「論点に関する労災補償状況(第3回提出資料2の訂正)」、資料4「平成23年12月26日付け基発1226第1号「心理的負荷による精神障害の認定基準について」」、資料5「第3回検討会の議論の概要」、資料6「第4回検討会の議論の概要(第5回における論点関係)」となっております。
○磯座長 それでは、本日の検討に入る前に、前回、第4回の検討会で積み残しとなった論点の扱いなどについて、事務局から何かありますでしょうか。
○中村職業病認定対策室長補佐 前回は、支給決定事例等を踏まえ「長期間の過重業務」、「短期間の過重業務」、「異常な出来事」につきまして検討を行っていただく予定でしたが、時間の関係で、「短期間の過重業務」、「異常な出来事」につきましては、検討ができなかったところです。このため、積み残しとなった検討事項につきましては、再度、調整させていただき、今回ではなく、次回以降で、再度非公開の場で御検討をお願いしたいと考えております。
○磯座長 事務局では、前回の積み残しについては、次回以降で、再度、非公開の場を設け検討する考えのようですので、その方向で調整をお願いします。
 本日の論点は、「長期間の過重業務における労働時間以外の負荷要因等」になります。はじめに、事務局から本日の論点の説明をお願いします。
○西川中央職業病認定調査官 それでは、事務局から御説明させていただきます。本日の検討会では、長期間の過重業務における労働時間以外の負荷要因につきまして、前回第4回の検討会で個別の支給決定事例を踏まえて御議論いただいたところですが、本日はその際の御意見等を踏まえて論点を設定しております。なお、第4回検討会における御意見の概要につきましては、個別事案に直接関するものなどを除き、資料6でお示ししているところです。また、その前の公開の第3回の検討会の議論の概要につきましては、資料5にまとめさせていただいております。傍聴の方におわびですが、昨日、ホームページにアップした資料ですが、資料5について誤植等があり、今日の午前中の10時過ぎに差し替えを行いました。もし昨日打ち出された方がいらっしゃいましたら、後ほど新しいものに差し替えておいていただきますようお願いいたします。資料5、6の内容の御紹介は割愛しますが、適宜御参照いただければと思います。
 また論点に入る前に、資料3の御説明を申し上げます。第3回検討会におきまして、論点に関する労災補償状況として、支給決定事例の概要を提出いたしましたが、そのうち、「長期間の過重業務」と「短期間の過重業務」について、事例を精査した際に対象事例の漏れなどが判明いたしました。そのため、数字を修正したものを今回資料3として提出しております。修正点は、資料3の1枚目に記載しております。おわびして御紹介いたします。これも、後ほど御参照いただければと存じます。
 それでは、本日の論点について御説明いたします。資料1が論点、資料2が医学的知見です。資料1を御覧ください。資料1の1枚目ですが、論点を2つお示ししております。1つ目は、長期間の過重業務のうち、労働時間以外の負荷要因について、項目の追加や項目名の修正、統合・分割等の整理が必要かというものです。囲みにありますとおり、勤務時間の不規則性、勤務場所の不規則性、心理的負荷、作業環境に分けて整理できないかとしております。なお、身体的負荷に関する検討につきましては、次回以降に検討いただくことを予定しております。
 2つ目の論点ですが、これらの負荷要因に関して、それぞれ検討の視点を改めて示し、明確化を図ることができないかというものです。これらにつきまして、最後の囲みにありますが、別添2ページ目以降に具体的な論点のたたき台を示しております。今から別添を最後まで御説明いたしますので、その後、具体的な論点ごとに分割して先生方に御議論いただきたいと考えております。なお、今回は労働時間以外の負荷要因の項目や、この検討の視点について御検討いただき、過重性の評価に係る基準の具体化については、また後日御検討いただく予定としておりますので、よろしくお願いいたします。
 2ページ目以降が具体的な論点のたたき台となりますので、2ページの「勤務時間の不規則性」を御覧ください。Aです。現行の認定基準では、不規則な勤務、拘束時間の長い勤務、交替制勤務・深夜勤務が負荷要因として示されています。また、連続勤務について評価した支給決定事例が複数あり、勤務間インターバルについても検討すべきという御意見もあったところです。これらは全て勤務時間に関するもの、その不規則性に関するものですし、また各項目は関連性も強いことなどから、その観点でまとめてはどうか。その際、拘束時間の状況、休日のない連続勤務の状況、勤務間インターバルの状況については、客観的な把握・評価を行いやすいものであることから、これらを細目として掲げ、それらに加えて「4 その他不規則な勤務(交替制勤務、深夜勤務を含む。)」として整理することについてどう考えるかという論点を示しております。特にこの項目では、現行の認定基準では負荷要因として掲げていない連続勤務、勤務間インターバルが十分でない勤務、こういったものを細目として掲げることがどうか、また、不規則な勤務と交替制・深夜勤務をまとめることについて、御議論をお願いしたいと思います。
 Bは、このような整理で良いとされた場合の、各項目の検討の視点についてです。Bの1ですが、拘束時間の長い勤務に関する検討の視点です。第3回の検討会で、拘束時間と労働時間が混同されているのではないかという懸念の御意見がありました。また、休憩時間の長さや回数、状況、適切な休憩場所があるか等、実質的に休憩が取れているのかということについても検討すべきではないかという御意見もあったところです。これを踏まえて、今の検討の視点に加えたものが、下線を引いた所になります。第1段落では、拘束時間の定義を記載しております。第2段落の下線ですが、実質的な休憩に関する検討事項は現行の認定基準にもいろいろ書かれておりますが、頂いた御意見の中で、回数に関するものは今のものに入っておりませんので、これを追加しております。第3段落目のなお書きですが、労働時間との二重評価を避ける観点で、1日当たりの休憩時間がおおむね1時間以内であれば、これは通常想定されるものということで、労働時間の長さとして評価すれば足りることから、拘束時間の長い勤務としては評価しないということを記載しております。このような検討の視点のたたき台について、どう考えるかということで御議論をお願いしたいと思います。
 3ページのBの2は、休日のない連続勤務についてです。14日連続の勤務や、1か月に2日しか休日が取れていない、そういった事例を想定していただければと思います。支給決定事例や裁判例で、このような連続勤務が評価されておりました。現行認定基準では、負荷要因の項目としては掲げておりませんが、労働時間の項目の中で、右の欄で、休日のない連続勤務が長く続くほど業務と発症との関連性をより強める、また、休日が十分確保されている場合は、疲労は回復ないし回復傾向を示すというようなことが記載されております。これについて、負荷要因の項目として独立して掲げてはどうか、また、掲げた場合の検討の視点について、左の枠ですが、たたき台を示しております。この検討の視点を現行の認定基準他の項目を参考に御提示しているものですが、新たに検討する必要があるものですので、様々な観点から御意見を頂ければと思っております。
 Bの3です。勤務間インターバルが十分でない勤務です。勤務間インターバルとは、仕事が終わってから次の日の仕事が始まるまで、終業から始業までの時間をいいます。資料2にありますとおり、今回追加で収集した医学的知見を18件御紹介しておりますが、その概要を右の欄に記載しております。これらの知見につきましては、脳・心臓疾患の発症と、このインターバルとの関係を直接調査したものではありませんが、睡眠時間や睡眠の質、疲労度といったものと勤務間インターバルの関係が調査されております。勤務時間、シフトそのものを調査して、インターバルの時間ごとに調査対象者を群に分けて分析しているものと、一定の勤務間インターバルを基準として、それがあったかなかったか、あるいは取れていないのが何回あったかというような、回数によって分析したものとが知見としてはあります。今回御紹介するものは、前者1ポツに該当するものは、ほとんど日本人対象の研究でした。後者は、北欧や韓国での研究となっておりました。右に記載しておりますとおり、時間群で分けた場合には、勤務間インターバルが短ければ睡眠時間が有意に短い、疲労が高い、また、一定時間のインターバルを基準としたときには、それが確保されない勤務の有無や回数がやはり睡眠の短さや疲労等に有意に関連しているという文献がみられたところです。なお、真ん中のところにありますが、現行の認定基準では、交替制・深夜勤務の項目で、勤務と次の勤務までの時間を検討することが示されているところです。勤務間インターバルが十分でない勤務について、これを負荷要因の独立した項目として掲げてはどうか。また、掲げた場合の検討のたたき台ですが、これは左の欄に、他の項目を参考に示させていただいており、この検討の視点についても様々な観点から御意見をいただけますと有り難いです。
 4ページ、勤務時間の不規則性の論点のBの4は、その他の不規則な勤務についてです。現行認定基準における不規則な勤務の項目と、交替制勤務、深夜勤務の項目をまとめたものとしております。今の交替制勤務につきましても、一旦設定されたシフトがまた変更されたことによる不規則性を評価しているという現状にあること、また、医学的知見も、不規則な勤務に関するものは交替制に関するものと重複していること、非常に関連が深いことから、まとめて検討することとしてはどうかというものです。
 検討の視点につきましては、現行の不規則な勤務と交替制勤務・深夜勤務を合わせたようなたたき台をお示ししております。下線部について、少し補足させていただきます。まず1つ目、「予定された始業・終業時刻のばらつきの程度」と書いてあるところです。もともと設定されている勤務シフトのばらつき、朝8時に出てこなければいけない、夕方17時に出てこなければいけない、夜22時に出てこなければいけないといったばらつきを評価することを想定したものです。「深夜時間帯の勤務の頻度」につきましては、現行では「交替制勤務における」という限定がありますが、深夜勤務の負荷そのものを検討すべきではないかという御意見を踏まえつつ、睡眠時間帯を変更する必要や、その程度を考慮するようなたたき台としております。また、検討会の御意見の中で、常夜勤の方、深夜しか働かない方は人数としてはそれほど多くないのではないか、ですので、深夜勤務を独立させた項目とする必要はないのではないかという御意見もあったところですので、この項目の中で評価していくことについて御検討を頂ければと思っております。次の「一勤務の長さ」は、今度は連続勤務ですが、一勤務が長い連続勤務、例えば30時間連続、20時間連続といった連続勤務を評価した事例があったことを踏まえて記載しているものです。さらに、先ほど御紹介した、休憩もしっかり評価すべきではないかという御意見を反映したたたき台としております。
 この勤務時間の不規則性につきまして、次のページ以降に参考資料を付けております。5ページは、第3回検討会に提出した交替制勤務に関する医学的知見です。そのうち職種や業務によって分析したものではなく、交替制勤務による影響に絞って研究して、かつ、有意性の有無が明示されているものに黄色で色を付けたものです。5ページ目の3つは、交替制で発症が有意に増加するものです。6ページ目の1件は、有意に減少していたとするものです。
 7ページは、サンプルです。勤務時間の不規則性として考えられる事例を、実際の労災認定の際に我々が労働時間の分析に使用している様式を使って参考にお示ししたものです。勤務時間の不規則性につきましては、実際には不規則な勤務や拘束時間が長い勤務等、いろいろな要素が関連していることが多いため、具体例を御覧いただいたほうが分かりやすいのではないかということで資料としたものですが、例としては架空の例です。コンビニエンスストアの雇われの店長さんを想定しており、日勤が多いが、週に1日程度、例えば10月23日のところなどは夜勤を行っている。基本的には土曜日を休みとしているのだけど、ほかのアルバイトの方の状況によっては穴埋めで出勤されているといったような想定をした例です。夜勤のとき、例えば23日は途中で4時間の休憩を取っている、あるいは日勤の日は、通常1時間の休憩を取っていますが、拘束時間が長いときは途中で2時間の休憩を取っているといったような例にしております。一番下の行に、労働時間や拘束時間の合計が出ております。拘束時間の合計が285時間、時間外労働時間の合計が一番右の74時間30分ということで、そういった想定にしております。
 インターバルについても、少し御説明いたします。上のほうに、10月30日、10月29日、10月28日と書いてあります。例えば10月28日は23時まで働き、10月29日は朝8時に出てきましたということで、ここのインターバルは9時間ということになります。23日から24日のところを見ていただきますと、23日は夜勤ですので、30時は朝の6時になりますが、朝の6時まで働いて、その日の昼の13時にはもう出てきたということで、ここのインターバルは7時間しかなかったというような例です。こういった例で勤務時間の不規則性などをイメージしていただければと思って御提示したものです。
 8ページは、「勤務場所の不規則性」についてです。前回の検討会で、支給決定事例を踏まえ、現行の認定基準は就業の場所に関して、出張が多い業務と作業環境のみを評価項目としているが、就業場所が不規則であるとか、出先の就業が続くといったようなことにもし負荷があると考えるのであれば、出張とは別の形でとらえ直す必要があるのではないかという御意見を頂いたところです。これを踏まえて、Aとして、「出張」に該当しない事例も含めて「勤務場所の不規則性」に着目したものとして、「出張の多い業務」と「その他勤務場所が不規則な業務」として整理できないかという論点を示しております。
 Bは、これでよいとされた場合に、各項目の検討の視点についてどう考えるかというものです。Bの1は、現行の認定基準にもある「出張の多い業務」に関する検討の視点です。こちらも現行と違う所について下線を引いております。まず第1段落に、定義を示しております。その上で、支給決定事例や裁判例を踏まえて、出張が連続する程度やその出張期間、その長さなどを入れ込んでいる。また、御意見がありました移動距離や、出張先がばらついている、あちこち行っているというようなことなども検討することが考えられるのではないかということで書き足しているものです。次の段落ですが、現在は作業環境で評価している時差につきましても、出張のほうで評価すべきではないかという御意見がありました。また、現行の基準は5時間を超える時差の程度を検討するとしておりますが、そこの時間数をどうしていくか。また、東回り、西回りといった移動の方向が負荷に影響するという御意見もありましたので、そういったものもあわせて記載しております。また書きのところですが、出張に伴い勤務時間が不規則になる影響もあるのではないかということで、これは先ほどの勤務時間の不規則性として評価するようにということを明示しているところです。
 Bの2は、出張以外の勤務場所の不規則性です。臨時的なものではなく、通常の業務として、例えば配送とかで業務地が様々であるといったものを評価する場合の検討の視点です。通常業務ですので、出張が連続する程度、あるいは出張期間のような検討はなかなかしにくいのかなと思い、その2つは削っております。そのほかは「出張」を「移動」に替えて同じ視点というようにしております。これをたたき台として、御議論をいただければと思います。
 3番目は、「心理的負荷を伴う業務」です。現行認定基準では「精神的緊張を伴う業務」としている項目ですが、前回検討会では、今示している精神的緊張を含む業務を全部包含するという前提で、「心理的負荷を伴う業務」と表現を改める方向の御議論であったところです。前回は非公開でしたので、公開の場での論点として確認的にAとして上げております。
 その検討の視点が、Bの論点です。これも前回検討会での御議論を踏まえて、特に著しいといったような限定は記載せず、また精神障害の認定基準を参考にする形で別紙を定めてはどうかというふうにしております。
 別紙が11ページ、12ページになります。11ページを御覧ください。現行の脳・心臓疾患の認定基準の別紙も「日常的に精神的緊張を伴う業務」の表と「発症に近接した時期における精神的緊張を伴う業務に関連する出来事」の2本立てとなっております。このたたき台も、現在評価しているものを包含するという前提で2本立てとしております。現行の「日常的に精神的緊張を伴う業務」のうち、下のほうの「具体的な出来事」でカバーされない、重複しないと考えられるものを上の表に残しております。下の「具体的出来事」ですが、精神障害の認定基準における心理的負荷表から抜き出したたたき台としております。精神障害の認定基準は、資料4としてお示ししておりますので、後で見ていただければと思います。心理的負荷評価表、すなわちストレスの評価表では、37項目の具体的出来事を掲げ、その出来事の平均的な、一般的な心理的負荷の強さを示しているところです。実際の精神障害の認定の際には、事案に即してストレスの強さをどこかの出来事に当てはめて、平均的なものからストレスの強さの評価を修正していくことをしておりますが、ここでは、その出来事の平均的な心理的負荷が弱いとされるもの、すなわち「日常的に経験するものであって一般的に弱い心理的負荷しか認められないもの」である出来事を外し、心理的負荷が平均的に中程度あるいは強いとされるものを表に記載しております。また、労働時間や労働日数に関する出来事も、脳・心臓疾患の認定基準においては別途負荷要因として評価することから、それに関するものも除いている表になっております。12ページの末尾の※書きのところには、上段の「具体的業務」について、出来事のほうで評価可能と考えられることから、今回の11ページ上段の表には入れなかったものを記載しておりますので、御確認いただければと思います。この11、12ページの別紙も含めて御検討いただきたいと思っています。
 最後の4番目は、「作業環境」です。まずAです。現在、作業環境は付加的に考慮するとされておりますが、この妥当性が論点としてあります。
 論点Bは、検討の視点です。Bの1の温度環境につきまして、前回検討会の御議論を踏まえて、「寒冷」と「暑熱」を同列に記載した検討の視点のたたき台をお示ししております。「暑熱」については、脱水による循環器病の発症リスクだという御指摘でしたので、水分補給の状況も検討事項に含めております。
 Bの2ですが、「騒音」です。こちらは、現行の検討の視点を見直すほどのエビデンスがあるとは言えないという御意見が大勢であったかと存じますので、同じ視点としております。
 Cは時差です。先ほども御紹介しましたとおり勤務場所の不規則性のほうで評価することでよいかとしております。論点についての説明は以上です。
 最後に、手短に資料2について御説明いたします。資料2は、論点に関する医学的知見ということで、第3回に提出しました医学的知見の追加となります。1、2、3と分かれております。1は勤務間インターバルと健康障害等に関する18文献のレビューです。内容は先ほど御説明したとおりです。2は、平成30年度の文献収集事業におきまして、文献を検索して、レビューをしたわけですが、stroke、脳卒中が検索キーワードから漏れているという御指摘を第2回検討会で頂きましたので、追加で収集したものとなります。第3回の資料7の3で、追加検索結果として12文献のリストを示しましたが、睡眠時無呼吸症に関するものや、紹介済み文献のレビュー等を除き、最終的に6文献を御紹介しています。内容は、睡眠時間、長時間労働、ストレスと脳・心臓疾患の発症の関係というものになっております。
 最後に3ですが、先生方には第4回で御紹介したものの再掲となります。第3回検討会で御検討いただきました労働時間に関連して、平成31年度の文献収集事業で収集されなかった2019年の新しい文献を御紹介いただきましたので、今回、公開資料として御提示するものです。長くなりましたが、事務局からの説明は以上でございます。御検討のほど、よろしくお願いいたします。
○磯座長 本日の論点は、具体的に4項目あります。事務局が作成した「具体的な論点(たたき台)」ごとに議論を進めたいと思います。
 初めに、資料1の2ページです。「長期間の過重業務」の「勤務時間の不規則性」について、Aの項目に1、2、3、4とありますが、この4項目の細目について、御意見等がございましたら、先生方から御意見をお願いします。これは前回までのいろいろな議論の中で、拘束時間の長い勤務、休日のない連続勤務、勤務間インターバルが十分でない勤務、その他不規則な勤務(交替制勤務、深夜勤務を含む)ということですが、いかがでしょうか。
○高橋委員 勤務時間の不規則性ということでまとめたのは、非常にクリアでいいかと思います。
 1、2、3は非常にフィットするのですが、4番目の「その他の不規則な勤務(交替制勤務、夜勤を含む)」というのが、下手をすると誤解を招いてしまうように思います。つまり、交替制勤務だから不規則だとは言えないですし、むしろここでは、1、2、3というのは、いわゆる働く時間のタイミングがレギュラーではないということで押さえられますが、交替勤務、夜勤というのは、言わば体内時計からずれた働き方ですので、不規則という押さえ方では必ずしもいかないと思うのです。ですので、4番のところ、「その他の不規則な勤務」に並列して、例えば「夜勤、交替勤務」というような整理の仕方が1つあるかなと思います。
○磯座長 並列に記載して「その他不規則な勤務、交替制勤務、深夜勤務」ということですね。これについてはいかがでしょうか。先生方よろしいですか。
○髙田委員 基本的にはよろしいかと思います。並べる順番が、「交替制勤務、深夜勤務、その他の不規則な勤務」にしなくて、並列でよろしいのでしょうか。そこが少し気になっています。
○磯座長 先生の御意見は、「交替制勤務、深夜勤務、その他不規則な勤務」でしょうか。
○髙田委員 「その他不規則な勤務」の後に並べる並べ方が気にはなります。先ほどの高橋先生の御意見ですと、不規則な勤務とは違うという意味でおっしゃっているのであれば、別立てのほうがクリアなのかなと思います。
○磯座長 高橋先生、いかがでしょうか。
○高橋委員 その意味では、4ページのB4のところに説明をきれいに書いてくださっているのですが、下線が引かれて、「予定された始業・終業時間のばらつきの程度」とありまして、ここはかなり鍵になるところですので、上の3つが何とかの不規則とか、規則性がないと言っているので、ここも「始業・終業時刻のばらつき」とか「始業・終業時刻の不規則」とか、ダイレクトに言い換えてしまってもいいかもしれないですね。それを「その他」とまとめてもいいと思うのですが、上の3つとは違うという位置付けですよね。そこを明確にするような文言があるといいかなと思います。
○磯座長 始業・終業時間のばらつきのある勤務となると、通常の深夜勤務はばらつかないということになりますね。そこもちょっと整合性が出てこないですね。難しいですね。
○高橋委員 趣旨としては、常日勤であれ交替勤務であれ、そもそも決められた始業・終業がどの勤務にもあるはずですけれども、それがいろいろな事情で前にいったり後ろにいったりするというイメージだと思うのです。ですから、そこら辺をどう整理していくか。
○磯座長 そしたら、4ページの「始業・終業時刻のばらつきのある勤務」で括りますか。それだけではないですか。
○高橋委員 問題は、決められているのに、そこからいろいろな事情でずれてしまう、ずらされてしまうというニュアンスがあると、「予定された」とここにありますけれども。
○磯座長 それでしたら、丸括弧を取ってしまって、「その他不規則な勤務」にして、実際に4ページの下のほうに書いてありますので、そこで1、2、3、4の項目の中に、「その他不規則な勤務」の中に丸括弧とじでそれを入れるから、かえって違和感が出ているということはないでしょうか。削りましょうか。削ることに関して、杉先生、どうですか。
○杉委員 交替制勤務と深夜勤務が規則的かと言うと、それにもう最初から当てはめられていれば規則的なのでしょうけれども、看護師などを見ると、日にちはばらばらです。そういう意味では不規則性はあるのだろうと、私は感じました。
 ですから、今、先生がおっしゃったように、括弧のところで、「そのほか不規則な勤務」の中の例題として挙げられたのだと思うのです。交替制勤務と深夜勤務が、本人にしてみればばらばらのときもあるということがありますので、1つ別の項目で入れたらどうでしょうか。
○磯座長 今の御意見を整理しますと、わざわざ細項目の1、2、3、4のところに、4番に括弧付けは要らないのではないかということです。それを消しても大きな問題がなければ、そのほうがすっきりするのではないかという提案なのですが、その辺りはどうですか。
○豊田委員 私は磯先生の意見に賛成で、取ってしまったほうがはっきりすると思います。
○磯座長 ここにあると、ここが非常に強調されて、こだわってしまうということがあるので、4ページのところにそれの説明がありますので。この点について、医学的観点から、野出先生、いかがですか。
○野出委員 確かに工場勤務の方が圧倒的に日本は多いと思いますが、交替制勤務の場合、全くレギュラーな勤務になっています。したがって、工場の夜間勤務の方はレギュラーな勤務なので、「不規則な勤務」の中に交替制勤務が入るのは、少し違和感がございますので、先ほどからあるように、そこは分けて並列に記載するか、あるいは「交替制勤務、深夜勤務、そのほか不規則な勤務」という並列で記載するのがよろしいのではないかと思いました。
○磯座長 並列に記載すると、またいろいろ微妙なニュアンスが出てくるので。今、議論になっているのは、4番のところは「その他不規則な勤務」だけにしておいて、4ページのB4ですが、「予定された始業・終業時間のばらつきの程度」というのがあるので、交替制勤務も含むといったニュアンスでいいのではないかということで。
○野出委員 ここでしっかりと定義しておけば、それで問題ないと思います。
○磯座長 ですから、B4の細項目のところのサブタイトルのところには、(交替制勤務、深夜勤務を含む)を取って、むしろその説明のところに「予定された始業・終業時間のばらつきの程度(交替制勤務、深夜勤務の場合も含む)」とか、本文のほうに入れたほうがしっくりくるような気がするのです。
○野出委員 ただ、先ほど言った、工場の夜間勤務などはばらつきはないのです。毎日定時の時刻どおりなのです。それでいくとまた違うかなと思うのです。
○磯座長 ですから、そういう場合もありまして、さらに深夜勤務でも変わったりするのはあるので、「工場の交替制勤務、深夜勤務の場合も含む」とかにしておけば。
○野出委員 それで結構だと思います。
○磯座長 括弧付けで本文のほうに入れておくと。事務局、それで大丈夫でしょうか。差し障りがあるということはありませんか。
○西川中央職業病認定調査官 御指摘を踏まえて検討させていただきます。
○磯座長 もう一回検討していただいて、整合性があるようにしてください。ありがとうございました。
 2ページに戻ってください。Aのほうは、皆さんの合意が得られましたので、次に2ページのB1.拘束時間の長い勤務についていかがでしょうか。事務局のほうで、特に拘束時間について説明をかなり詳しく、下線の部分がありますし、あと、その中の文章に「休息・仮眠時間数及び回数」という、要するに長さと回数ですが、それを入れてもらっています。あと、最後の3行目は、休息時間が1時間であれば、そんなに大きな問題はないので、労働時間の項目では考慮しないという項目での事務局案ですが、これについていかがでしょうか。よろしいでしょうか。これについては、これまでの議論で特に御異論はないと思いますので、B1の拘束時間の長い勤務について、了解いただいたということで進めさせていただきます。
 次に、3ページに移ります。B2の、休日のない連続勤務についていかがでしょうか。
 私から確認ですが、「手待時間」というのは、何か指示があって、それまで待っているという意味ですね。
○西川中央職業病認定調査官 左様でございます。
○磯座長 分かりました。これについてはよろしいでしょうか。特に御異議等がなければ、これについても皆様方の了承を得たということで、次に進みます。
 次に、B3の勤務間インターバルについていかがでしょうか。これは今回の新しい概念として打ち出されます。先ほど事務局から説明がありましたが、3ページの右側の一番下のところに、現行の労働基準施行規則の中に、高度プロフェッショナル制度の選択的措置の一つとして選択した場合は11時間という、それ以上の勤務間インターバルが必要であるということが明示されています。
○嵩委員 インターバルについて記載するのは非常に結構だと思います。今日の、審議の対象になるか分からないのですが、「十分でない」というときに、今、御指摘があったように、11時間というのは法令上ありますが、例えばそれを基準にするというような具体的な数値まで書き込むのか、あるいは業務の肉体的、心理的な負荷の度合いによって、多少短くても全体としては大丈夫なのか。他方で肉体的、心理的負荷が大きな業務だと長く休んだほうがいいとか、そこは相関関係があると思うので、目安時間を作るのは難しいというのもあるのかもしれないのですが、今回の議論の対象になっていないのかもしれないのですが、今後、そういう時間を具体的に書くということは考えられるのでしょうか。
○磯座長 今回でなくて、後ほど検討するという形ですか。その辺りについて、事務局から説明をお願いいたします。
○西岡職業病認定対策室長 今回は、冒頭で御説明いたしましたとおり、労働時間以外の負荷要因の項目とか検討の視点を中心に御議論いただくということで、今、御指摘のあった勤務間インターバルの過重性の評価、具体的な評価といった点につきましては、後ほどまた機会を設けて御議論いただきたいと考えております。
○嵩委員 分かりました。ありがとうございました。
○磯座長 ほかにB3について、御意見等はございますか。よろしいでしょうか。これについても合意を得られたということで、進めさせていただきます。
 次に、4ページのB4の「その他の不規則な勤務」の丸括弧付けをどう位置付けるか、どこに持っていくかについては、事務局で検討されるということなので、それ以外についていかがでしょうか。実際の本文は8行ぐらいありますが、読みながら確認していただきたいと思います。
 確認しますが、「変更の予測の度合い」というのは、予測されない変更が起こったときという意味ですか。
○西川中央職業病認定調査官 おっしゃるとおりでして、これは今もあるものではありますが、第3回で野出先生がおっしゃったこととも共通するのかと思うのですが、変更が予測される、恐らくありそうだというものと、急に変更になったというものでは、やはり変わってくるのかなということで、今も評価しますし、今後も評価したいと考えております。
○磯座長 下線を引いたところ、特に加えたところについて、御意見はございませんでしょうか。
○豊田委員 下線のところで、「休憩や仮眠施設の状況(広さ、空調、騒音等)」というのがありまして、もっともだとは思うのですが、今ずっとなされている議論は、時間に関する議論ですので、空調や騒音うんぬんというのは、別に休憩時間だけの問題ではなくて、勤務時間中の騒音や空調も問題になる話です。今の時間に関して話している一連の議論の中に、加える必要があるかどうかがよく分かりませんでした。
○磯座長 御指摘のことも分かります。これは事務局から何か説明はありますか。
○西川中央職業病認定調査官 事務局より御説明いたします。これは今の拘束時間に関する検討の視点を参考にしたものでして、2ページを御覧いただきたいのですが、右側を見ていただきますと、現行認定基準の拘束時間に関する検討の視点の2段目から3段目ですが、「業務内容」の次に、「休憩・仮眠時間数、休憩・仮眠施設の状況(広さ、空調、騒音等)の観点から検討し、評価すること」というように、今も検討の視点を定めております。
 この趣旨としましては、拘束時間が長いとか、B4では一連続勤務が長いということを想定したときに、途中で休憩であるとか仮眠といったものが入るところ、この休憩や仮眠の、休憩が実質的に十分に取れているものかどうかということを評価する必要があるのではないかという趣旨で、従前から、休憩施設や仮眠施設が非常にうるさければ休めないだろうと、非常に狭ければ休みにくいだろうというようなことを想定して、盛り込んでいるものです。
 趣旨としてはそういうことなのですが、ここではないほうがいいということもあるかもしれませんし、作業環境のほうとも関係してくるかもしれませんし、いろいろと御意見を頂ければと思っております。
○磯座長 2ページのほうでもそういうことを入れていると説明がありましたように、拘束時間のことについても、今度は不規則な勤務についても、休憩の状況を入れているということです。ほかの先生方はいかがでしょうか。
○髙田委員 この「休憩や仮眠施設の状況(広さ、空調、騒音等)」というのは、しっかりと休憩や仮眠が取れるかどうかということは影響してくると思いますので、私は作業環境とは別にここに入れておくことに賛成です。
○磯座長 豊田先生、いかがでしょうか。
○豊田委員 作業環境のくだりがどのような文章になるかが分からないと、何とも言いようがないのですが、ただ、皆さんが、ここで納まりがいいということであれば、あえて反論を言うような内容ではないと思っております。
○磯座長 作業環境のくだりは13ページにあります。それはどちらかと言うと寒冷とか暑熱の話になりますね。騒音も作業中の騒音であって、休憩中の騒音とか環境ということについては、ここで述べていない。要は、個別の作業環境が、実際に拘束時間とか不規則な勤務の中で、どのように取り込まれるかということを休憩時間としてみたと。一方は一般的な作業で、実際に仕事をしているところの作業環境ということなので、並列にしても、現実的にはそれほど問題にならないと思いますが、これについてほかの先生方はいかがでしょうか。
○水島委員 評価視点にどこまで入れるかというのは難しい問題だと思うのですが、今、話題となっていた休憩や仮眠施設の状況は時間にも関係する内容だと思いますので、私は入れることには同意します。
 先ほど言いそびれてしまったのですが、勤務間インターバルや休日のない連続勤務でも、業務内容を入れるとなっていますが、業務内容が直接的に、勤務時間の不規則性とかかわるのかについては、やや疑問があります。
 入れたほうがよかろうというのも何となく分かるのですが、その上での意見ですが、この不規則な勤務に関しては業務内容は入っておらず、業務内容の変更の程度が入っています。ここに、勤務間インターバルや休日のない連続勤務と同様に、業務内容を入れなくてもよいのでしょうかというのが意見です。
○磯座長 先生が言っているのは、4ページのB4ですね。
○水島委員 はい。
○磯座長 ほかは業務内容が入っているからという御意見ですね。
○水島委員 はい。この書きぶりですと、B4については、業務内容は、それ自体は考慮できず、業務内容の変更をした場合に、その変更のみが考慮対象になると読めますので、それでよいでしょうかという疑問です。
○磯座長 確かにそうですね。確かに業務内容がここは抜けていますね。事務局から趣旨の説明はありますか。
○西川中央職業病認定調査官 趣旨としては、今そうなっているからということ以上にはございませんので、入れたほうがよいということであれば、「業務内容及びその変更の程度」などとすることはできると思います。
○磯座長 ロジカルには、それは入れたほうがいいですよね。それに対して御意見等はございますか。よろしいですか。では、「業務内容」を入れるということにいたします。ありがとうございました。
 ほかに、今の観点についてはよろしいですか。B4について、特に御意見等はございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。次に進みたいと思います。
 次に、8ページです。「勤務場所の不規則性」について、Aの項目に2つの細目があって、出張の多い業務、その他勤務場所が不規則な業務とありますが、高橋先生から御発言をお願いします。
○高橋委員 「勤務場所が不規則」でも理解はできるのですが、より直接的には勤務場所が固定していないということかと思いますので、そういう整理ができたらいいかなと思いました。
○磯座長 私も同じようなことを考えていまして、例えば複数箇所の勤務場所とか、勤務場所が固定していない。勤務場所の非固定性と言うのでしょうか。確かに、場所の不規則性というのは文言として違和感がありまして、むしろこれは法律の先生方に伺いたいのですが、「勤務場所の不規則性」以外に、何か適当な用語はありますか。
○水島委員 私が「不規則」という言葉を出したのですが、今の御発言にありましたように、「固定していない」というほうが適切な表現だと思います。
○磯座長 「固定していない勤務場所」と体言止めしてしまうと。何か御意見ありますか。
○杉委員 結局、複数箇所で働くということですよね。それが常に一定かどうかということはまた別問題だとは思いますが、しょっちゅう変わるということであれば、それはまた議論があるのでしょうけれども、一応「複数箇所での勤務」という表現はいかがでしょうか。
○磯座長 「複数箇所での勤務」というほうがすっきりしますね。御意見等がなければ、「複数箇所での勤務」ということで、事務局でももう一度確認してください。
 1番が出張の多い業務、2番がその他勤務場所が複数箇所での業務。2番をどのようにしますか。
○水島委員 「複数」と言うと2か所でも複数になってしまうので、少し意味がはっきりしないように思います。ここで言っているのは、勤務場所が2か所の場合ということではなくて、実際に行かなければならない場所が頻繁に変わる、非常にたくさんあるというイメージでしたので。
○磯座長 私は「複数」と言うと、2でも3でも4でもというようになるのですが、「複数」というのは法律用語では2か所という意味になるのでしょうか。
○水島委員 2か所というわけではありませんが、2か所であっても複数となります。しかし、2か所というのは、今回問題としている、いわゆる不規則な業務には当たらないのではないかと考えます。
○磯座長 要するに、これまで事例になっていないということですか。2か所だとそういいった労災の事例になりにくいということでしょうか。
○水島委員 そうですね。そこまでは分からないのですが、例えば我々のような大学教員ですと、キャンパスが2つあって、2つのキャンパスで勤務することがあります。それが不規則な業務、固定していない就業場所かというと、ここで問題としている負荷とは違うように思いました。
○磯座長 例えば大学で2つのキャンパスを掛け持ちしているのだけれども、それがまた別に3か所になるとか、そういう時間的に変わってしまうというニュアンスが入ったほうがいいという御意見ですか。
○嵩委員 よろしいでしょうか。
○磯座長 嵩委員、どうぞ。
○嵩委員 嵩です。前回の議論で、同じ県の中で本社と支店を行ったり来たりする事例をどのようにするのかという話があったと思います。例えば、そういうものはここのBの2ではあまり念頭に置いておらず、本当にどこに行くか分からないようなものを対象にしているという整理になるのでしょうか。
 本社と支店を行ったり来たりするのがかなり頻繁だとそれなりに疲れるような気がしますが、そういうものはまた別のところで評価できればそこでやるという整理なのか、あるいは、そういうものも広くとらえていこうということなのでしょうか。質問です。
○磯座長 これは、その次の下のほうのBの2にいろいろ説明があると思います。ここに移動時間、移動時間中の状況、移動距離、移動先の多様性があるので、多様性はここで少し今のニュアンスが入ってくると思います。そうするとタイトルが、その他勤務場所が多様な、これを文言にすると、「その他勤務場所が多様な業務」にしますか。また文言で悩んでしまいます。豊田委員、どうぞ。
○豊田委員 法律用語に詳しいわけではないのですが、固定の対になる言葉は変動や流動だと思います。私は変動性とか流動性というのはどうなのだろうかと思ったのですが。今の多様性も含めて法律学的にはいかがでしょうか。
○磯座長 変わらなくても、この間の議論の中で、1時間ぐらいのところをただただ判子を押すために、判子はなくなると思いますが、何かを報告するためにわざわざ行ったりすると、そういう非効率的な業務を強いられることがあるというので、どんどん時間的に変わるという場合もありますし、必ずしもそうではない場合もあるので、ここはどうしたらいいでしょうか。多様性、多様な、勤務時間が1か所ではないということですね。1か所ではないし、固定していても変わってもいいし、固定していても、ほかの状況が、移動距離や時間帯などによって負荷が掛かるような業務ということになると思いますが。その他勤務場所が多様な業務、勤務場所の多様性、おかしいでしょうか。場所の多様性。髙田委員、どうぞ。
○髙田委員 正しいかどうかは分かりませんが、勤務場所の変動だとまずいのでしょうか。流動では意味が広すぎるのですが、場所が変動しているということにすれば変化しているということなので、固定していても場所の動きということは入ってきますし、また、実際に変わっているということも含まれてくるような気もします。法律的にいいかどうかは分かりませんが、1つの案として変動はいかがでしょうか。
○磯座長 今の髙田委員の御意見では、タイトルを「勤務場所の変動性」として、2番は「その他勤務場所が変動する業務」となりますか。いかがでしょうか。これはどこかで文言を決めるしかないので、最終的に事務局で考えていただけますか。
○西川中央職業病認定調査官 また御意見を踏まえて、案を見ていただくことにしたいと思います。
○磯座長 ただ、不規則性はちょっと違和感があると思います。
○野出委員 よろしいでしょうか。
○磯座長 野出委員、どうぞ。
○野出委員 言葉の問題なのですが、例えば、勤務場所が不確定という言葉はいかがでしょうか。
○磯座長 不確定性ですね。それもいいかもしれません。
○野出委員 不確定ですね。
○磯座長 タイトルとして「勤務場所の不確定性」として、2番を「その他勤務場所が不確定な業務」、これはいかがでしょうか。それについては事務局で幾つか案を出していただいて、確かに「不確定」もいいと思います。よろしいでしょうか。いろいろな概念が混ざってしまうので。先生、ありがとうございます。幾つかの案を頂いたので、事務局で整理したいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、次に8ページのB1の出張の多い業務についていかがでしょうか。今回、特に加えたものに下線があります。それをもう一度確認していただいて、御意見をお願いいたします。ここの出張には、先ほど議論があった「業務内容」も入っています。その頻度ですね。連続の程度、出張期間、移動中の状況は前にありましたから、移動距離、出張先の多様性、ここに多様性と出ています。ここに先ほどの多様性という言葉がありますので、それもいいかもしれませんので参考にしてください。
○豊田委員 よろしいでしょうか。
○磯座長 豊田委員、どうぞ。
○豊田委員 また字面の話です。「出張とは」の2行目に「臨時に」と書いてあります。出張は結構もう組み込まれた出張と言うか、「臨時に」という言葉が出張を定義するときに問題になることはないでしょうか。別によろしければ、そのままでいいです。
○磯座長 事務局から何かありますか。
○西川中央職業病認定調査官 事務局で書いた趣旨としては、通常とは違ってという趣旨です。例えば、先生方にここにいらしていただく予定が1か月前から分かっていたとしても、ここに含むつもりで書いていたのですが、逆に誤解を招くということであれば、通常の勤務地を離れてということだけでも足りるということかもしれませんので、御議論いただいければと思います。
○磯座長 分かりました。これについていかがでしょうか。法律の立場から、何か御意見はございますか。「臨時に」は入れておくか、特にこだわらず臨時を削ってもよろしいかという御議論だと思います。いかがでしょうか。水島委員、何かございますか。
○水島委員 私は、まず、この定義を読んだときに違和感はありませんでした。「臨時に」とあるほうが、出張の趣旨は明確になるように思います。しかし、今御指摘いただいたように、入れることによって一定の出張が除外されてしまうという問題はあると感じました。以上です。
○磯座長 嵩委員、どうでしょうか。
○嵩委員 出張は、特に法律上の定義があるというものではないと思います。一般的に出張と言われたときにそぐう書き方がいいと思います。正直に言うと、あってもなくてもどちらでも分かるのではないかという気がします。ただ、先ほども御指摘があったように、あることで制限されすぎてしまうのは良くないのかと思います。そちらはBの2で救えるということであれば最終的にはいいのかもしれないのですが、なくても趣旨は伝わると思います。その中で、個別具体的に、いろいろな個別の事情を考慮して評価していけばいいので、入口を広く取るために「臨時に」はなくてもよろしいのではないかと思いました。
○磯座長 ほかの先生方から、御意見はどうでしょうか。「臨時に」を取ってもいいのではないかということです。よろしいでしょうか。事務局のほうでは、「臨時に」を取っても何か問題はないですか。
○西川中央職業病認定調査官 おそらく大丈夫だと思いますが、精査させていただきます。
○磯座長 分かりました。一応、「臨時に」を取る方向で検討してください。先生、臨時ではない出張が多いのですか。
○豊田委員 私はナショセンなので出張はなしです。
○磯座長 なしですか。
○豊田委員 私は出張はあまりないのですが、多分、毎月、月末にどこかへ行かなければいけないなど、そういうことがあるのでしょう。最初、題名を「複数箇所」にしようというのを「不確定性」に変えると、臨時というニュアンスがタイトルに出てくるので、逆に本文では臨時ではないものも入るのだということで、間口を広めにしておいたほうがいいのではないかということです。
○磯座長 分かりました。では、「臨時」を取る方向で御検討ください。Bの1について、ほかに何かございますか。水島委員、どうぞ。
○水島委員 脳・心臓疾患の事例であったかは記憶が定かではないのですが、上司や重要な取引先に随行する出張について、負荷を認めている裁判例があったように思います。そのようなことを入れる余地はあるでしょうか。
○磯座長 事務局から、何かコメントはありますか。1人で行くのか同僚と行くのか、そこに嫌な上司と一緒に行くのかで違ってきます。
○西川中央職業病認定調査官 御指摘の点は、確かに今は書いておりませんが、場合によっては業務内容の中身として評価に加えることができると思います。2人のほうが負荷が低いのか、今、磯座長がおっしゃられたプレッシャーの大きい上司と一緒なので、2人のほうがよりプレッシャーが強いのかということもあろうかと思いますので。
○水島委員 分かりました。
○磯座長 それは精神的な緊張のほうでもカバーできますよね。違いますか。
○水島委員 そうですね。分かりました。もう一点ですが、「出張中の業務内容」が評価要素の一番初めにあるのですけれども、これそのものは勤務場所の問題ではないので、順番を後ろのほうにしてはどうかと思いました。
○磯座長 B1のどこをどのようにしたらよろしいでしょうか。
○水島委員 「勤務時間の不規則性」では、「業務内容」が評価要素の1番最後か最後のほうにあったと思います。業務内容は勤務場所の直接の問題ではないと思いますので、まず、出張の頻度などの他の要素を挙げた上で、後ろのほうに業務内容を入れてはどうかと思いました。
○磯座長 そうなると。
○豊田委員 出張中の業務内容をもう少し後に。
○磯座長 後ですね。分かりました。ほかの先生方は、業務内容についてよろしいでしょうか。まず、出張の頻度から始めていって、交通手段うんぬんとあって、宿泊の有無、後ろといってもいろいろありますがどの辺りに入れますか。出張先の多様性の後でしょうか。入れる場所は一番後ろでしょうか。出張による疲労の回復状況等が一番後ろですから、その後でしょうか。「出張による疲労の回復状況等」の後に「業務内容」でしょうか。それも何となく違和感がありますね。出張先の多様性の後ぐらいでしょうか。いかがでしょうか。その後ぐらいでよろしいでしょうか。
○豊田委員 賛成します。
○磯座長 では、「出張先の多様性」の後に「出張中の業務内容」を入れてください。ありがとうございました。8ページについて、ほかに何かございますか。どうぞ。
○西村委員 B2にも関係する文章についてです。「出張による疲労の回復状況等」とあります。休息による出張の疲労の回復度は、自覚症状等からの判断になり、訴訟で争点になることがあります。ここの「回復状況等」は、主観(自覚の訴え)であり、他の検討項目とは質が異なるものです。この文章を、「休息状況等から検討し、同時に疲労の回復の状況の二つの要素からのバランスに配慮しながら全体的に評価する」とするのはどうかと思います。以上です。
○磯座長 何か丸印を付けるということでしょうか。西村委員の御趣旨はよく分かったのですが、「出張による疲労の回復状況等の観点から」というところを別の文章にするということでしょうか。
○西村委員 そうです。自覚症状等の主観と、時間のような数字の所見とは混在させないのがよいと思います。定性的あるいは定量的な要因なのかも分かるように示した上で、「主観的な判断となる休息による回復度等の観点からも検討し、全体として疲労度及び回復度の両面のバランスから評価する」との表記です。
○磯座長 では、休息の状況等の観点から検討し、疲労度及び疲労の回復状況。
○西村委員 それらのバランスも判断します。
○磯座長 勘案し評価すると。要するに、そこの評価は難しいということですね。
○西村委員 はい。回復度の判断は分かれることが少なくないと思います。
○磯座長 そうですね。回復したかどうかということは、本人しか分からないですからね。この辺りについて、事務局はいかがですか。実際の事例に当たった先生の御経験からだと理解いたしました。
○西川中央職業病認定調査官 御指摘を踏まえて、また案を調整させていただきたいと思います。
○磯座長 分かりました。それはB2も同じことですね。Bの1とBの2について御検討ください。ほかに何かございますか。ここについては、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 Bの2は、先ほど場所の多様性など幾つかありましたので、そこの文言については事務局で検討していただきます。内容については、いかがでしょうか。これも上とほぼ同じです。
○豊田委員 Bの1で発言すればよかったのですが、時差の時間を伏せてあるのですけれども、今この場で決めなくてもよろしいのでしょうか。
○磯座長 事務局から、何かありますか。
○西川中央職業病認定調査官 この時差の時間ですが、前回の検討会で4時間を超えると適応ができないというような御意見を頂きました。それを踏まえて、文献を確認して4時間のほうがいいということであれば、そこも踏まえて改めて検討させていただきたいと思っております。
○磯座長 4時間か5時間にするかについて、文献をしっかり精査して、また提案したいという趣旨かと思います。Bの2について、ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、Bの2まで先生方の合意を得たということで、文言については事務局で検討していただきます。
 次は10ページです。3の「心理的負荷を伴う業務」について御意見をお伺いいたします。これについては前回の会議で、「心理的負荷を伴う業務」という表現に改めることについては先生方の合意を得た形になっていますので、Aについては大きな御議論はないと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、Bの検討の視点です。「心理的負荷を伴う業務」ついては3行だけですが、「別紙に掲げられている心理的負荷を伴う業務による出来事について、負荷の程度を評価する視点により検討し評価すること」とあります。これについて、いかがでしょうか。これについても、これまでの議論をまとめたものとほぼ一致しますので、特に問題ないかと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございました。11ページに、先ほど事務局から説明があった具体的業務と具体的出来事、特に具体的出来事は、ストレスが中程度、若しくは、強いストレスについてで、非常に少ないストレスについては項目を抜いてありますので、11ページの左側に番号が書いてありますが、抜けているところは軽度のストレスの項目を抜いたという説明がありました。これについてよろしいでしょうか。高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 今回の整理で具体的な業務と具体的な出来事ということで、現行の精神的緊張を伴う業務を整理しました。新たに整理された中で具体的業務として6業務が挙げられております。これが本当に脳・心にどれだけ関連するのかという、裁判例や実例はいかがでしょうか。
○磯座長 水島委員、嵩委員、何か御意見がありましたらよろしくお願いいたします。それと、これまで事務局で事例を精査したときに、どれとどれが当てはまっているという整理をしていますか。
○西川中央職業病認定調査官 事例ですが、やはり幾つかの事例では、人命や人の一生を左右しかねない重大な判断や処置が求められる業務ということを評価したもの、あるいは危険な物質を取り扱っているということを評価したものは、何例かありました。
○磯座長 これの「具体的業務」というのは、精神的なそちらの法律のほうからのものと全然違いましたか。この6項目はどこから出てきたのでしょうか。
○西川中央職業病認定調査官 今ここの表にお示ししている6項目は、現行の認定基準で10項目示している中で書かなかったものとしては、12ページの下のほうに小さな字で入っているのですが、会社に多大な損失をもたらし得るような重大な責任のある業務とか、過大なノルマがある業務と、こういったものについては、そういったものを行うことになったという出来事がありますので、そちらで評価できるかと考えました。逆に、出来事にぴったり来るものがないものを残したのが表の1から6までで、現時点でのたたき台としてはなっています。
○磯座長 いかがでしょうか。本当にそれぞれ対応するのがあるかどうかというのは、確かにエビデンスがないところもあるかもしれませんね。ざっくり見てすごい精神的負荷、心理的負荷を起こすものだろうという項目だと判断しますけれど。特に何か、こういう理解でよろしいですか。
○西川中央職業病認定調査官 1点補足させていただきます。医学的知見では、Job strainと発症との関係があるとするものが幾つかみられたところでして、いわゆる要求度の高い業務、裁量度の低い業務ということになろうかと思いますが、それをどういった形で具体化していくのかというところで御意見がありましたら、先生方に是非、御議論いただければ有り難いと思います。
○磯座長 いかがでしょうか。高橋先生は専門家なので、ちょっとお願いいたします。
○高橋委員 要求度、裁量度なのですが、要求度というのは、一般的には非常に忙しいという扱いかと思うのです。ここの「具体的な業務」にあるのはもっと責任感とか、あるいはそれこそ生命に関わるような業務をやっていかなければいけないとかという形で、これはかなり特別な出来事に近い感じがしますけれどね。
○磯座長 そうですね、確かに何かそういった起こり得る事例がある可能性はあるということですね。半沢直樹の物語のようですけれどね。ああいうドラマの中では、一生に判断をしなければいけない重大な責任とか、そういうのが起こりますよね。余計なことを言いましたが、そのような業務ということで、先生、そんなに違和感はないですかね。一般の方が見たら、これは大変だという。
○高橋委員 いわゆるdemand control modelというのが1970年ぐらいから循環器疾患との関係でずっと調べられてきた概念かと思うのですが、それとこの「具体的な業務」とはちょっと違うかなと思いますし、むしろ量的・質的負荷というのが一般的で、これは更にもっと上のすごい負荷というイメージをしています。
○磯座長 逆にこれを最初に持ってくるとちょっと違和感があるので、「具体的な出来事」を前に持ってきて、「具体的な業務」を後ろに持っていくというのは先生、どうでしょうか。
○高橋委員 精神のほうですと、全部、出来事で整理していまして、生きるか死ぬかのような出来事といった特別な出来事という形で、もしそういうのがあって精神障害になったら認定という形になっています。かなりそれに近いかなと思って、精神のほうでも特別な出来事は前置きしているのです。死にかけたとか相手を殺してしまったとか。だから、シビアリティという面でいえば上に来ていても、恐らく「具体的な業務」の6に当てはまる人よりは、下の「具体的な出来事」に当てはまる人にしたほうがいいのではないかなと思います。
○磯座長 では、このままでよろしいですか。具体的でかつ特異的、特異的なという言葉はどうでしょうか。
○高橋委員 単なる具体的な業務というと、かなり軽い感じがこのままだとするので、そういうもっと非常にシビアな業務なのだというニュアンスを付け加えてもいいかと思います。
○磯座長 文言は事務局で、「特異的な業務」とか「特異的業務」とか、シビアリティを強調するような文言を検討してください。
○西川中央職業病認定調査官 検討させていただきます。
○磯座長 ありがとうございました。それでは、次に、13ページ4の「作業環境」です。これまでの議論で、やはり作業環境については重要だということで、Aの作業環境の2行目に、「過重性の評価に当たっては付加的に考慮すること」という事務局案がありますが、これについてはどうでしょうか。1つは、付加的という言葉を入れるか入れないかの判断を事務局としてはしてほしいということなのですが、これについて先生方の御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。
○高橋委員 これは事務局にお伺いしたほうがいいかもしれないのですが、付加的というのを付けるか付けないかに関して、やはりこういった、かなりハードな労働環境というのは、むしろ「異常な出来事」とか、短期で拾われるケースが多くて、恐らくこのような長期の過重業務では付加的がいいだろうというお考えの下で入れたという理解でよろしいでしょうか。
○西川中央職業病認定調査官 これは、現行の認定基準にここの左の欄に掲げた書き方がされているということです。「作業環境については、脳・心臓疾患の発症との関連性が必ずしも強くないとされていることから、過重性の評価に当たっては付加的に考慮すること」というのは、ほかのものよりは一段引いた形で書かれているということなのですが、これまでの御議論等を踏まえてそれがいいのか、例えば交替制とか出張と同様にみるということであれば、付加的にという記載を削ることになりますし、どちらのほうが医学の先生方としてしっくりくるのかということを、お伺いしたいという趣旨です。
○磯座長 これは、もし付加的を外すと、考慮するだけでいいのですか。評価するということですか。
○西川中央職業病認定調査官 もし外すということになれば、最終的な認定基準の作りはまた考えていかないといけないのですが、恐らく付加的といった記述は消えるのかなと思っております。今は、あえて限定としてこの2行が入っているという作りですので。
○磯座長 ただ、「発症との関係性が必ずしも強くないとされていることから」という文言は、これまでのこういった知見とは違って寒冷とか、寒冷だけではなくて前回の豊田先生からの御指摘のとおり、非常に暑いときでも脳梗塞が起こるとか、そういうヒートショックだけではなくて起こるという事例もあるので、関連性は必ずしも強くないと言い切っていいのかというところも議論がありそうなのですが、いかがでしょうか。どうでしょうか。何か先生方、御議論はありませんか。
○野出委員 よろしいでしょうか。
○磯座長 どうぞ。
○野出委員 関連性が必ずしも強くないということは、こういう疫学研究があってそこで否定されているのか、あるいはそういった証拠が少ないからというのと、どちらのことを意味しているのでしょうか。その文献が少ないのか、文献があるのだけれども、それでは否定的な見解が多いという、どちらを意味しているのでしょうか。
○西岡職業病認定対策室長 これについては、医学エビデンスとしては、作業環境と脳・心臓疾患発症との関連性に関して、有意性を認める報告はあるということになっていたようですが、結果としてはその関連性は必ずしも強くないということで、今の認定基準になっているということですので、エビデンスの評価の仕方になってくるのかなとは考えています。
○野出委員 分かりました。いろいろ検討されているのですが、有意性があるということは少ないということですね。分かりました。もう一点、付加的という言葉なのですが、付加的という意味合いはどのように考えたらよろしいのでしょうか。
○磯座長 いかがでしょうか。我々、医学の観点から言うと、付加的というとスコアで1点加えるという意味になるので、何かこういったより慎重にとか、あまり強くは評価しないというニュアンスとはちょっと離れるのですが、これは。
○野出委員 そうですね、何かこの意味は参考にというのか、あるいは補助的にというどちらの意味なのかなと思ったので、参考に考える、あるいは付加的ということは、より補助的な項目として考えると、どちらの意味でしょうか。
○磯座長 そうですね、分かりました。これについてはどうですか。
○西川中央職業病認定調査官 現行の認定基準では、補助的にという意味です。
○磯座長 現行では補助的にという意味だそうで、参考事項ですね。
○野出委員 分かりました。補助的とかということであれば、この表現でも、先ほど言った有意性が少ないということであればよろしいのではないかなと思います。
○磯座長 私の今の理解ですが、例えば疫学調査でエクスポージャーからその後に例えばこういったことが起こったときに、そういうことをしっかりと聞いて、それがその後に例えばこういった脳卒中、心臓病が起こるというのを出しているエビデンスは、非常に少ないのではないでしょうか。やはり研究のデザインとかもあるので。ただ、事例として臨床の現場から見たら、そのような脳卒中、心臓病で運ばれた人が暑い環境で作業していてとか、急に寒い所に出て寒冷の差が非常に激しいときに発作を起こすとか、そういったことは先生方は多分、御経験されていると思うので、エビデンスが必ずしも低いと言い切っていいのかというのは、少し疑問が残るのですが、ほかの先生方はいかがでしょうか。杉先生、どうぞ。
○杉委員 先生のおっしゃるとおりで、私もちょっと違和感があって、「必ずしも強くない」という表現が適当かどうかは難しいです。今までいろいろ意見書を書かせていただいた事例でも、長野のほうで寒い所での林業というか、ああいうものをやったときに梗塞を発症したとか、やはり温度とこういう寒冷とか、先生のおっしゃった暑い所、暑い所は最近、熱中症という形で一くくりにされてしまうので、本当に心疾患かどうか分からないというところもありますけれども、こういう環境は関連性は必ずしも強くないと言い切ることができるかどうかは難しいのではないかと思います。脳のほうでもそれはあるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○豊田委員 やはり寒冷刺激とか、あるいは極端な温度差というのが、特に出血性の脳卒中を起こしやすくするということは、エビデンスとしてあると思うのですが、そういった寒冷な場所とか温度差というのが職場で起こったかどうかというエビデンスがあるのかと言われると、ちょっとそれは分かりません。
○磯座長 西村先生、どうぞ。
○西村委員 西村です。寒冷ばく露による脳疾患の発症は、短期間負荷の1日の出来事、あるいは1週間内の出来事として対処・判定されてきた経緯があり、1ヵ月以上の長期間になるとエビデンスは乏しいとの判断がされていた、と思います。
○磯座長 確かにここは長期間のことですね。ですから、長期間の過重業務として作業環境の説明のところに、作業環境については、例えば長期間的にみてとか、長期間の作業環境についてはというように入れたほうがいいのではないかと思いますし、先生、逆に短期の場合はしっかりとこれまで評価して、現行でも評価するということですか。
○西村委員 期間が重要な要因です。
○磯座長 そうですか。
○西村委員 例えば冷凍室に入って発症した事案です。あるいは暑い日に屋外で勤務中に発症した場合などです。
○磯座長 では、そうであれば、そこをちょっと、「長期間の作業環境については」というのを入れてもらって、それであれば「付加的に」という言葉でもよろしいですか。付加的にという言葉は、ちょっと我々の感覚と法律の感覚が少しずれるので。
○西川中央職業病認定調査官 その表現ぶりも含めてまた検討させていただきたいと思います。
○磯座長 それも含めて考慮してください。ありがとうございます。少しはこれで明らかになってきました。
 それでは、Bの1の表現についてはどうですか。今の議論を踏まえて、「寒冷・暑熱の程度、防寒・防暑衣類の着用の状況、期間中の採暖・冷却の状況、暑熱と寒冷との交互のばく露の状況、激しい温度差、水分補給」ということでよろしいでしょうか。特に御意見がなければ、ここはよろしいということにいたします。
 次にB2の騒音についてはどうでしょうか。これも現行の表現ですが、特に修正、追加等はありますか。80dBというと大体、工事をやっている所ぐらいですかね。割と近くを飛行機が通るぐらい、そのぐらいでよろしいですか。うるさくて普通に眠れないぐらいですね。
○高橋委員 そうですね。
○磯座長 ありがとうございます。それでは、B2はよろしいですか。次にCの時差についてです。場所の不規則性が出ましたが、先ほどのと同じように不規則性については、ちょっと文言を検討ください。よろしいですか。ですから、ここも出張の多い業務と場所の多様性とか、括弧付けはやめて、並列して書くようにしてください。前の記述と整合性を合わせるようにしてください。中身についてはどうでしょうか。特に御意見等がなければ、これもちょっと文言の整理をするということで、事務局で検討していただきます。
 以上です。全体を通じて特に何か追加の御発言等はございますか。特にございませんか。よろしいですか。それでは、これで議事は以上となりますので、本日の検討会はこれで終了いたします。次回の日程等を含めて、事務局から何かございますか。
○中村職業病認定対策室長補佐 長時間、御議論をありがとうございました。次回の検討会の日程、開催場所については、後日改めて御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。本日は、お忙しいところ、大変ありがとうございました。
○磯座長 ありがとうございました。