第102回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

令和2年12月11日(金)13:00~15:00

場所

オンラインによる開催(厚生労働省省議室)

議事

○阿部分科会長 皆さん、こんにちは。ただいまから第102回「労働政策審議会障害者雇用分科会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、お忙しいところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
本日の分科会もZoomによるオンラインでの開催となりますので、開催に当たりまして改めて事務局から説明があります。
○小林障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課課長補佐の小林でございます。
本日もZoomによるオンライン会議でございます。事前にお送りしております「会議の開催 参加方法について」を御参照いただければと思います。もし会議の進行中トラブル等ございましたら、事前にメールでお送りしております電話番号まで御連絡をいただければと思います。なお、通信遮断等が生じた場合については、分科会は一時休憩とさせていただくこともございます。何とぞ御容赦いただきますようお願い申し上げます。
説明は以上でございます。
○阿部分科会長 本日は、倉知委員、中川委員、岡本委員、塩野委員が御欠席となっております。小原委員と長谷川委員は、所用のため途中で退席されるとお聞きしております。
それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題は、まず最初に「プライバシーガイドライン、障害者差別禁止指針及び合理的配慮指針に関する実態調査について」、2番目に「障害認定及び就労困難性の判定に係る諸外国の具体的実務状況等に関する調査研究について」、3つ目が「その他」となっております。
なお、本日は議題1と2の関係で、労働政策審議会運営規程に基づき、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構より野澤研究員と春名研究員に御出席いただいております。お忙しいところ、ありがとうございます。
それでは、議題1について、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の野澤研究員から説明をお願いいたします。
○野澤研究員 障害者職業総合センター研究部門の野澤と申します。
昨年から2年間の計画で実施しております「プライバシーガイドライン、障害者差別禁止指針及び合理的配慮指針に係る取組の実態把握に関する調査研究」について、報告をさせていただきます。
2ページ目のスライドです。本調査研究の背景と目的は、プライバシーガイドラインや各指針を踏まえた企業の取組状況や課題について把握し、障害者の継続雇用や能力発揮のための職場づくりを検討することです。
3ページ目のスライドです。方法の1つ目として企業調査を実施しました。アンケート調査については、2019年10月から11月に5,000社を対象に実施し、1,442社の回答が得られました。
ヒアリング調査については、2020年7月に12社を対象に実施しました。ヒアリングの選定基準としては、合理的配慮の対応がある企業ということと、労働時間に対する合理的配慮の対応に注目して選定させていただきました。そのほか、雇用事例の少ない高次脳機能障害への合理的配慮の対応がある企業、難病への合理的配慮の対応のある企業も選定させていただきました。
次のページです。もう一つの方法として在職障害者に対するアンケート調査を実施しました。実施に当たり、障害者団体を訪問し、アンケートの実施方法に係る助言をいただきました。さらに、協力いただける団体には所属されている在職障害者の方へアンケートの周知を依頼させていただきました。さらに、障害者雇用企業に対しても、平成30年6月1日の障害者雇用状況報告を基に無作為抽出をした1万5000社に周知を依頼させていただきました。アンケート調査は、2020年5月から6月の2か月間実施し、1,866人の在職障害者の方から回答が得られました。
次のスライドは、企業アンケート調査の結果です。企業が障害者を把握・確認する機会として最も多かったのは、採用段階で「本人が障害を明らかにしている、障害者専用求人の応募者等」が最も多く確認されました。次に多かったのは、採用後に「全員に障害の申告を呼びかける」というもので、こちらは企業規模で見ますと、1,000人以上の規模において有意に多い状況でした。「その他の機会」も13.7%あったのですが、こちらは「年末調整時の書類で確認する」、「本人から申告がある」、「個別面談により確認する」ということが挙げられました。
次のスライドです。障害者の確認について課題に感じていることについてお聞きしました。無回答を除いた622社を対象に集計した結果です。選択が多かったのは、「労働者全員に対して障害者であることの申告を呼びかけているが、全員に対して申告の呼びかけに係る情報を伝えるのが難しい」ということや、「業務上支障が明らかな労働者がいるが、本人からの申告がない」というものでした。「その他」としても15.3%あるのですが、「本人からの申告がない」ということや、「確認のタイミングや方法が難しい」「デリケートな問題であり、呼びかけてよいかわからない」といった内容が挙げられました。
次のスライドです。障害者に対する差別禁止を踏まえた取組状況についてお聞きしました。障害者差別禁止指針に定められている13項目を基本として、障害者雇用企業1,067社を対象に集計しました。左のグラフは、「既に取り組んでいる」と「一部取り組んでいる」という回答を合わせた割合の多い上位5項目を示しています。取り組んでいる項目としては、「定年」が最も多く、次いで「労働契約の更新」「配置」「賃金」「教育訓練」という結果でした。
右のグラフは、「まだ取り組んでいない」という割合の多い上位5項目を示したものです。一番多かったのは「募集」でしたが、「募集」の中にはいろいろな要件をこちらが設定していまして、特定の障害を排除しない、就労支援機関に所属・登録し支援が受けられるといった条件を設定しないといった内容が含まれており、まだ取り組むことができていないという結果になりました。
次のスライドです。企業が差別禁止について課題に感じていることとして、無回答を除いた1,067社を対象に集計した結果です。最も選択が多かったのは、「本人の適性や能力から配置できる部署が限られる」というもので、85.7%ありました。企業としては障害者の適性や能力を把握した上で配置しているのであるが、障害者の意向に沿っていないとか、障害者の方に合う業務の切り出しが難しいという課題が推察されます。
次のスライドです。合理的配慮の提供についてです。採用後に提供されている合理的配慮の内容についてお聞きしました。こちらは、「職場環境整備」「介助・雇用管理」「通勤」という3つのカテゴリーに分類して項目を設定し、障害者雇用企業1,067社を対象に集計しました。
左のグラフは、「取り組んでいる」という割合の多い上位5項目を示したものです。一番多かったのは「作業の負担を軽減するための工夫」というもので、次いで「通院・体調等に配慮した出退勤時刻・休暇・休憩の設定」でした。
右のグラフは、「ニーズがあるが取り組めていない」という割合の多い上位5項目を示したものです。これは企業全体の5%未満の回答ですが、ニーズがあるが取り組めていないというものは、「作業手順の簡素化・見直し、作業マニュアルのカスタマイズ、チェックリストの作成等」が一番多く、次いで「疲労・ストレス等に配慮した福祉施設・設備」という結果でした。
次のスライドです。企業が合理的配慮の提供について課題に感じていることです。無回答を除いた1,138社を対象に集計した結果、最も選択が多かったのは、「社内のサポート体制の構築ができていない」であり、次いで「社内の周知が進んでいない」「配置転換や業務内容の切り出しが難しい」などが続きました。合理的配慮を提供するためには、障害者に対して職場で支障となっている事情の有無を確認したり、障害者から申出があった場合、どこに申し出たらいいのかという窓口が必要です。さらに、社員の理解促進や、障害者の能力と適性、意向を踏まえた配置の検討など、社内の体制整備についてまだまだできていないという課題がうかがえました。
次のスライドから企業ヒアリング調査の結果です。アンケート調査の回答企業の中から12社を選定しましたが、採用後の合理的配慮の取組の事例を収集する目的で伺いました。ポイントとしては、「労働時間に対する配慮」「コミュニケーション」「職場定着支援の工夫」に注目して事例を取りまとめています。今、見ていただいているスライドは「労働時間に対する配慮」です。D社、E社と2社挙げていますが、D社の場合は、様々な障害者に労働時間の配慮としてフレックスタイム制度や始業・終業時刻の繰上げ、所定労働時間の短縮措置などを行っている事例でした。そのほかにも、障害を特定はしませんが、障害状況が悪化して勤務が安定しない障害者に、週休3日制とか、所定労働時間を30分単位で短縮できるように配慮したという事例でした。
E社の場合は、週所定労働時間20時間を下回っての雇用を継続しているという事例でした。それはいろいろな事情があるわけですが、下肢障害の方の場合、高齢で、70代を過ぎている方に継続して働いてほしいという場合に、加齢に対する配慮として、勤務可能な時間や、就業場所を自宅から近くにできるように設定したという事例です。また、知的障害の方で、なかなか周りと協調して作業ができないという方の場合に、変化を伴わない配慮として1人で完結する仕事への配慮と同時に、労働時間を固定して、日によって時間を調整するということがないように配慮した結果、週20時間未満になっているという方がいらっしゃいました。また、精神障害の方は体調の変動があるので、体調を配慮して勤務時間を固定し、結果的に週20時間未満になっているという事例がありました。このように労働時間に対する配慮を様々な障害者に、その方個人の状況に応じて設定しているという事例が得られました。
次のスライドは、コミュニケーションに対する工夫についてです。こちらは、障害者の方が相談しやすい関係づくりを日常からつくっているという事例や、社内のコミュニケーションをスムーズにして、それが結果的に障害者の方にも相談しやすいという事例を挙げています。
次のスライドです。こちらは職場定着支援の工夫として、社内の中に専門職を配置してフォローアップをしているという事例や、外部支援機関を利用して、外部からの支援により定着支援を行っているという事例をまとめております。
今回の報告では高次脳機能障害の方、難病の方の事例は載せておりませんが、今年度末に取りまとめます報告書には全て事例を掲載しております。
続きまして、在職障害者の方へのアンケート調査に移りたいと思います。回答者は1,866人ですが、そのうちウェブでの回答が1,699人、質問紙での調査の回答が167人でした。
障害の内訳として、主な障害・疾病は、肢体不自由の方が25.5%と最も多く、次いで内部障害の方、精神障害の方、知的障害の方と続きました。
次のスライドです。勤務先の「差別禁止の取組」について、問題に感じることについてお聞きしました。「問題に感じることがある」という方は14.1%、「ない」という方は64.3%。「わからない」という方は19.6%でした。「ある」と回答した方に問題を感じる内容をお聞きしました。矢印で四角に囲ってあるところです。最も多く選択されたのは、「障害者雇用の理念や障害特性一般について、会社の理解が不足している」であり、次いで「自分の適性や能力が十分理解されず、画一的に対応されている」というものや、「会社に相談すると不利益があるのではないかと感じる」というものが続きました。
次のスライドです。勤務先で提供されている合理的配慮の内容についてお聞きしました。合理的配慮の項目は、企業のアンケート調査と同じ項目にしています。
左のグラフは、「配慮を受けている」という回答の割合の多い上位5項目を示したものです。最も多かった項目は「通院・体調等に配慮した出退勤時刻・休暇・休憩の設定」で、49.0%でした。次いで「作業の負担を軽減するための工夫」、そして「職場内移動の負担を軽減するための設備」と続きました。
右のグラフは、「必要だが、配慮を受けられていない」という回答の多い上位5項目を示したものです。最も多かった項目は「疲労・ストレス等に配慮した福祉施設・設備」であり、14.0%ありました。こちらは左のグラフ「配慮を受けている」という項目では4番目に入っており31.1%ありました。こちらは障害の状況によって回答が異なってきているのではないかと考察しています。右側の「必要だが、配慮を受けられていない」というところは、さらに「障害者相談窓口担当者の配置」や「作業の負担を軽減するための工夫」と続いています。
次のスライドは、勤務先における「合理的配慮の提供」に問題を感じることについてです。「問題を感じることがある」という方が15.1%、「ない」という方が61.4%、「わからない」という方が21.1%でした。「ある」と回答した方が問題を感じる内容として最も多く選択されたのは、「どの程度まで合理的配慮を求めてよいのかわからない」であり、次いで「自分から必要な配慮を求めるのは気が引ける」というものでした。「問題に感じることがない」と回答した方が61.4%と最も多い結果でしたが、合理的配慮の提供について、さらに自由記述でどう感じているかということをお聞きしているのですが、こちらにおいて、「言葉の意味がわからない」とか、「知らない人が多いのではないか」とか、「難しい」などの記述が見られました。
また、当研究部門が実施している「障害のある労働者の職業サイクルに関する調査研究」において、障害者の方へ差別禁止指針や合理的配慮指針の把握状況をお聞きしております。その中でも「指針の内容を把握している」と回答した方は28%だったということもあり、それ以外の方は、「聞いたことはあるけれども把握していない」とか「知らない」という結果があったことを考えますと、「合理的配慮」という言葉を聞いたことはあっても、具体的な内容について理解しているというわけではないということがうかがえます。というわけで、問題が「ある」とまで認識していない方も一定いるのではないかと考察できます。このようなことを考えますと、合理的配慮を身近なものとして、手続や内容についても理解を進め、企業全体に浸透させていくということが重要であると思われます。
続いて、勤務先における「障害の把握・確認」に問題を感じることについてです。こちらは、企業に対してプライバシーガイドラインを踏まえた対応をどのようにされていますかとお聞きしたことに合わせて、在職障害者の方にもどのように障害の把握・確認をされていますかということをお聞きしております。「問題を感じることがある」という方は8.9%、「ない」という方が71.9%、「わからない」という方が17.8%でした。「ある」と回答した方が問題を感じる内容として最も多く選択したのは「その他」で、その記述内容は、「障害が理解されていない」とか「配慮が得られない」といった内容で、やはりこの調査研究に共通する、差別禁止の面とか合理的配慮の面に共通するような内容が多く挙げられていました。
次のスライドです。企業調査と在職障害者調査の結果を踏まえて、企業の取組に対する在職障害者の状況について、4つの視点から取りまとめております。1点目から3点目が合理的配慮の提供について、4点目が障害者の差別禁止についてです。
次のスライドを見ていただきますと、1点目のところで、企業が「取り組んでいる」という上位5項目の合理的配慮の提供に対して、障害者の方が「配慮を受けている」「必要だが、配慮を受けられていない」「必要がなく配慮を受けていない」「わからない・無回答」というものを比べております。障害者の回答割合につけている丸数字(マル1~マル4)は、各項目の回答割合の多い順を示しています。企業が「取り組んでいる」割合が最も多かった「作業の負担を軽減するための工夫」については、障害者の「配慮を受けている」項目の2番目に多いものであり、障害者の「必要だが配慮を受けられていない」項目の3番目に多い項目であるという結果でした。ですので、企業が「取り組んでいる」、そして障害のある方も「配慮を受けている」、だけども「配慮を受けられていない」という、同時にそういうニーズが確認できるという結果でした。
この「作業の負担を軽減するための工夫」を障害種類別に見てみますと、「配慮を受けている」という回答が有意に多かったのは、知的障害、精神障害、発達障害の方でした。「必要だが配慮を受けられていない」という回答が有意に多かったのは、視覚障害の方でした。障害の状況によって職場環境や職種も異なるとは思われますが、主にほかの項目においても知的障害の方は全体的に「配慮を受けている」という回答が多い結果でありました。
企業が「取り組んでいる」上位4項目と障害者の方が「配慮を受けている」上位4項目は一致していたということと、企業が「取り組んでいる」項目の中に障害者の方の「必要だが配慮を受けられていない」という項目も上位3項目が入っていたという結果になりました。
次のスライドは、企業が「ニーズがあるが取り組めていない」という上位の5項目に対して、障害者の合理的配慮の状況を示しています。こちらは細かくは説明しませんが、障害種類別に見ますと、「配慮を受けている」という回答が有意に多かったのは、知的障害の方や精神障害の方や発達障害の方であったということ。「必要だが配慮を受けられていない」のは視覚障害の方であったということが、企業が「取り組んでいる」ものとも共通しておりました。
次のスライドは、逆に企業が「ニーズがないので取り組んでいない」という項目です。「ニーズがないので取り組んでいない」という5項目と障害者の方が合理的配慮を受けているか、受けていないかというものです。こちらのほうも、企業が「ニーズがない」という項目の中に、障害者の方も「必要がなく配慮を受けていない」という項目が、上位5項目のうち4項目が入っていたので、おおむね一致はしています。ただ、細かく見ていきますと、やはり少ないながらも障害状況によって「必要だが配慮を受けられていない」というものはあるので、そこは注視していかなければいけない部分だと感じております。
次に、障害者に対する差別の禁止について、企業の取組状況、「取り組んでいる」「まだ取り組んでいない」というものと、障害者の方の差別の認識、「差別がないと思う」「差別があると思う」という上位の5項目です。企業が「取り組んでいる」と障害者の方が「あると思う」という5項目は、「定年」や「労働契約の更新」「教育訓練」「配置」が一致していました。
雇用形態別、障害者の方が正社員であるか、正社員でないかということでも回答を見ていきますと、正社員以外では「労働契約の更新」が1番に来ていたり、正社員であっても「定年」が1番に来ていたりということが見られ、これは認識ということで、「差別があると思う」という認識で、御自分のことであるということではないかもしれませんが、この辺りは直接ヒアリング等をしていませんので、把握ができておりません。
続いて、企業調査と在職障害者調査の結果を踏まえて、企業と障害者の関係構築に必要な方策や支援について、3点挙げたいと思います。
1点目は「コミュニケーションの工夫」についてです。
次のスライドになります。合理的配慮について、企業の取組と障害者が感じている問題を通して考えてみます。企業が感じている課題は、「社内のサポート体制の構築」「社内の周知」「配置転換や業務内容の切り出し」などが挙げられました。一方、障害者が感じている問題は、「どの程度まで合理的配慮を求めてよいのかわからない」「自分から必要な配慮を求めるのは気が引ける」といった内容が挙げられました。
合理的配慮の提供には企業と障害者との対話が必要となります。企業の「体制が整っていない状況」「障害者の申し出しにくい」状況を解決するためのコミュニケーションの工夫が必要となります。
コミュニケーションの工夫について、企業ヒアリングの事例を参考にしますと、企業の担当者と障害者が日常的にコミュニケーションを取っていることや、それによって相談しやすい環境をつくっていることがまず挙げられます。さらに、個別面談を実施することで相談窓口が明確になったり、障害者の方が申出をしやすい状況を設定するということも考えられます。また、ジョブコーチや、障害者職業生活相談員など専門的な知識を持つ者を活用して、企業と障害者の関係構築を進めるという方法も考えられます。
次のスライドは、2点目「社員の障害理解」です。障害者の方が感じている問題から説明しますと、差別の禁止については、「障害者雇用の理念や障害特性一般について、会社の理解が不足している」とか「自分の適性や能力が十分理解されず、画一的に対応されている」、障害について理解されていないという内容が多く選択されました。
一方、企業が感じている課題としては、「本人の適性や能力から配置できる部署が限られる」が多く選択されました。障害の把握・確認については、企業としては「本人からの申告がない」とか、「確認のタイミング、方法が難しい」などの課題を感じていますが、障害者の方からすると、障害を開示して就職されている方の場合は、障害を伝えているにもかかわらず、障害の理解や配慮が不足していると感じていたり、自分の障害が誰まで伝わっているのか分からないといった問題を挙げています。ですので、障害のある方が周囲の理解を求めたいという希望がある場合は、どのような障害状況で、どのような配慮が必要なのかということを上司や同僚に正確に理解していただくことが望ましいと思われます。ただ、障害について理解を求めたくないという方もいらっしゃると思うので、これは一概には言えませんが、理解を求めたいという場合に限っては、社員の障害理解を進めるということに当たって、社内外の支援者、繰り返しになりますが、ジョブコーチや生活相談員の方、産業保健スタッフの方を活用することも効果的ではないかと思われます。
次のスライドです。3点目が「働きやすい職場づくり」ということで、合理的配慮の提供に関して、在職障害者の方の自由記述の結果から見ていきます。「配慮が得られていない」という内容の記述にどのようなものがあったかといいますと、「障害が理解されていない」といった内容が挙げられ、それは自身の障害が分かりづらいからだとか、障害の程度が軽いためであるという記述がありました。休憩が少なかったり、休憩場所がなかったり、業務量が多かったりという物理的な問題や作業量の問題も挙げられました。
まとめますと、障害状況に応じた配慮が得られていないと感じながら働いているという記述がありました。一方、「配慮を得られている」という内容の記述には、困ったときに相談ができるとか、声をかけてもらっているとか、作業しやすい環境を整えていただいているとか、配慮すること自体を当たり前のこととして対応していただいているとか、そういう上司や同僚の障害を理解しようとする姿勢や行動に関する記述がありました。
このような障害者の方が働きやすいと感じる職場というのは、まず話し合うことができる関係づくりから始まって、申出をしやすいということや、個別に応じた申出の方法が選択できるということなどがあると思います。
採用面接時に障害があることを把握されている企業の方が多かったということもあるのですが、採用後、働いている間に障害を受けられた方については、企業が障害者であることを把握・確認した時点で、企業と障害者が障害を説明する範囲とか合理的配慮の相談方法について話し合っていくことが、その後の対話につながるのではないかと考えます。
以上、私の担当しております研究についての報告をさせていただきます。ありがとうございました。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
職場の実態・現状について御報告をいただきました。
それでは、ただいま御説明いただいた報告に関しまして質疑応答に入りたいと思います。御質問や御意見がありましたら、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、私が指名した後に、聴覚・視覚障害者の方々の皆様への情報保障の観点から、お名前を名乗って御発言いただきますようお願いいたします。それでは、いかがでしょうか。内田委員、門﨑委員、森口委員、竹下委員の順番で。その後、また指名させていただきます。
では、内田委員、お願いいたします。
○内田委員 御説明ありがとうございます。労働側の内田です。
大変興味深い調査結果だと思っております。私からは3点要望をさせていただきます。まず、在職障害者に対するアンケート調査です。今回14ページ目にございますが、回答者の「主な障害・疾病」を見ますと、「肢体不自由」が25.5%と最も多く、「知的障害」や「発達障害」はその半分以下にとどまっておりました。回答方法がウェブ上に開設されたサイトからの回答であったためかと推測しておりますが、この調査結果を用いて議論する際は、回答者の障害種別に一定の差があることも念頭に置いた議論が必要ではないかと思いますので、御配慮をよろしくお願いいたします。
また、職場からは、発達を含む障害者は個別性がとても高く、外見上見えない障害であるがゆえに、職場もどう接していいか分からない。プライバシーの問題もあり、どこまで開示していいか分からないと言った声が寄せられておりまして、その対応に苦慮している様子がうかがわれます。今回の調査の結果で、27ページ「配慮が得られていない」という記述の中に「障害が理解されていない」「障害が分かりづらい」と記載されておりました。本調査の分析に当たっては、障害の分かりづらい発達障害を含む精神障害の実態をより丁寧に検証していただくようお願いします。
最後に、今回のこの調査は障害者雇用制度を考えていく上でとても有意義なものであると認識しております。ぜひ今後の施策に生かすとともに、この調査を今後も定期的に実施していただければと思っております。
私からは以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
野澤さんのほうから何かありますか。特になければいいのですけれども。いいですね。
○野澤研究員 はい。
○阿部分科会長 では、門﨑委員、お願いいたします。
○門﨑委員 ありがとうございます。労働側の門﨑です。
私のほうからも企業調査のヒアリングに関して、2点お伺いしたいです。3ページの一番最後のほうに、対象企業の中に「高次脳機能障害」と「難病への合理的配慮の対応がある(3社)」とありますが、この辺について少し説明がございましたが、合理的配慮の実例とか特徴があれば教えていただきたいということが1点。
もう一つは13ページ、この調査結果の一番下に「就労支援機器活用など」ということが書いてあるのですが、これが具体的にはどういうものなのかということを教えていただければと思います。
最後に、この調査報告は報告なので、内田委員もおっしゃっていましたけれども、全ての障害を含めたという報告になるのは仕方がない部分もありますが、今の御説明からすると、「障害種別で言うと」とおっしゃっているので、その辺は全部御確認をされているとは思うのですが、例えば22ページ「企業『ニーズがないので取り組んでいない』上位5項目」の中で、上から2つ目「手話通訳・要約筆記等担当者の委嘱」ということは、聴覚ということになると思うのですが、「配慮を受けている」「必要だが配慮を受けられていない」というのは4.9と4.6%。足すと14ページの回答された方、「主な障害・疾病」の聴覚の9.5と、全員が一致するとは思いませんが、大体似ていると思うのです。その中で言えば、ほぼ50%のニーズがあるのに取り組めていないということなので、全体的には見なければいけないでしょうけれども、一つ一つ障害の種別ごとに合理的配慮を見る必要があるということも見ていかなければいけないのだろうということで、お願いしたいと思います。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
では、野澤研究員、お願いします。
○野澤研究員 13ページの就労支援機器の活用のところにつきましては、D社の方が雇用されている視覚障害の方がだんだん視力が低下して、それまでは見えていて作業ができていたのだけれども、見えづらくなったということについて、私どもの地域障害者職業センターが中に入らせていただいて、弱視の方への対応から、もっと見えなくなった方への就労支援機器、音声によるソフトなど、どういった支援機器が使いやすいのかといったことをアドバイスし、専門的な支援として検討したという事例でした。
高次脳機能障害の方への合理的配慮の対応がある企業につきましては、4社ほど確認させていただいております。もともと在職されていた方で高次脳機能障害になった方という場合と、高次脳機能障害の方を新たに雇用されたというパターンに分けられるのですけれども、在職中の方の場合は、だんだんと作業ができなくなっていって、抜けがあったり、同じ作業をずっと繰り返してしまって進まないというふうな支障となる事情があったことに対して、その担当の方が作業内容を切り分けて、正確さを必要としない作業を切り出したり、一日の作業を見える化して指示書にしたり、あと、担当者を固定して作業を毎日チェックするとか、面談を毎日するとか、そういうことを配慮として実施されていました。さらに、通院に同行して主治医から助言を得たり、家族と話し合ったりしながら、今後どのような仕事に就いていってもらったらいいのかということを、定着に向けて相談されていたという事例でした。
新たに高次脳機能障害ということが分かって採用された方については、初めてから作業手順がなかなか覚えられないとか、疲れやすいといった障害状況を踏まえて、作業を定型化してマニュアルを初めからつくって、担当者を固定して、毎日フィードバックをして、地域センターのジョブコーチを使って定着を図っていたという事例が確認できました。
そのほかにも、御本人がどういう障害が主にあるのかということをちゃんと分かった上で、アセスメントした上で作業に配置するということが合理的配慮として実施されていたなという事例がありました。
難病の方については、在職中に難病を発症されてだんだん仕事ができなくなるということもあったのですが、神経や筋疾患の障害の方の場合、徐々に筋力が低下してだんだんできなくなっていったということがあったときに、本人から上司にこのままではなかなか続けられないかもしれないという相談があり、そこから会社全体で話し合いをして、役割分担をして、医療面のことは産業保健スタッフが定期的に面談するとか、現場の上司が仕事の確認をするなど、チームワークを取りながら負荷を軽減していったり、周囲が協力していって定着を図っている事例でした。ただ、進行が進むと、ずっとこのままではいけないなという課題も抱えておられました。
他には、新たに障害者雇用として神経・筋疾患の方を雇われて、在宅就労として合理的配慮を提供されているという事例も収集しております。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは、竹下委員、お願いいたします。
○竹下委員 日本視覚障害者団体連合の竹下です。
このような実態調査、分析をしていただいたことは非常に大きな役割を果たすと思いますので、本当にありがとうございました。
ただ、途中の野澤さんの説明にもあったように、障害種別によって大きく特性、特徴が変わってくるということがあるのかなと思いますので、その点がこの表に現れていないのはちょっと残念かな。今の説明をお聞きしていると、各アンケート結果について、個票も含めて障害種別ごとの分析も十分されているようですので、できればそれぞれの項目について、障害種別についても何らかの形で書き込んだものにしていただくことを総論としてお願いしたいと思います。
そのことの具体的な中身になってくるのですけれども、例えば20ページ「作業の負担を軽減するための工夫」というのは、「必要がなく配慮を受けていない」というのが35%。3分の1おられるわけです。これは障害種別によってその受け止めは全く違うと思うのです。そういう意味で言うと、障害種別によってそれらの必要性の有無と、それに対する実施の有無が整理されないと実態が見えてこないのかなと思います。
ところが、その次の項目は非常に意味が違うと思うのです。「相談窓口担当者の配置」について、「必要がなく配慮を受けていない」という人が46%。5割おられるわけですが、これは単純にこのまま数字を見ていいのかなと。すなわち、担当窓口はないけれども相談はできているというのと、窓口がなくて結局は相談できていない人が全てこの答えに含まれているとすれば、大きな実態の違いが出てくるだろうと思うのです。その点はどういう形で分析されているのかというのが1つ目の質問です。
その次は21ページです。ここは先ほどの総論にほぼ重なるのですけれども、「ニーズがあるが取り組めていない」という箇所ですが、その企業のうち、「作業手順の簡素化・見直し等」についても、「必要がなく配慮を受けていない」という方が44%ほど。それから「作業を可能にするための設備」について、「必要がなく配慮を受けていない」というのも48%。これらの人たちというのは、誤解をしているかもしれませんが、精神障害者の場合と身体障害者では全く数字が違ってくるのではないかと思えるわけです。そういう意味では、障害種別ごとの細かい分析が表に出てくることが必要ではないかと思いました。
次は22ページです。どうしても受け止めるのが難しいなと思ったのは、「手話通訳・要約筆記等担当者の委嘱」について、「必要がなく配慮を受けていない」という方が77.4%。これはどう考えても理解できない。変な言い方かもしれませんが、聴覚障害者で手話通訳も要約筆記も必要ないという方がおられることはあり得ないわけです。それにもかかわらず、ここで「必要がない」が77%という数字が出てきていることの不自然性というのはどうことなのか。もし分析の結果、分かっているのであれば教えていただきたいというのが2つ目の質問です。
その後の「職場介助者の配置・委嘱」の関係についてですが、これも障害種別によって変わるので繰り返しませんけれども、こういうのはぜひ障害種別ごとで見ていただきたいと思うわけです。
「必要がなく配慮を受けていない」という方が68%で、「わからない」という方の12%を入れたらどうなるかというと、80%の人になるわけです。圧倒的多数の人がこの部分についての理解を本当にしているのだろうか、必要性が本当にないのだろうかということをもう一遍立ち返って見る必要があるのか、そうでなくて、障害種別のところにそれが特徴として現れているのかというのが気になった点です。
最後に設備のところです。設備の必要性のところでも「必要だが配慮を受けられていない」という方が8.1%いるのだけれども、この方々は数字としては小さいのだけれども、障害種別で見たときに、私の多少ひがみがあるかもしれませんが、「配慮を受けられていない」という方は8.1%だけれども、視覚障害者を取ってみたら、圧倒的な人たちがここに含まれているのではないかというある種の推測をしているわけです。そういう意味で、この点も何か分かっていることがあればお聞きしたいと思っております。
最後に23ページのところで、差別があると思っている障害者がおおむね20%ほどおられる。この人たちはどこに差別があると思っているかというのと、これまでずっと項目を見てきたことと重なっているのか、重なっていないのか。交差的に分析しておられるのであれば教えていただきたいと思いました。
以上です。
○阿部分科会長 すみません。竹下委員の質問もあるのですが、小原委員が間もなく退席されるので、竹下委員の質問と併せて小原委員の質問も少しお答えいただきたいと思いますので、小原委員、お願いいたします。
○小原委員 申し訳ありません。大阪大学の小原でございます。
今のことに関わっている点が1つあるので、それだけでも申し上げてから退室させていただきたいと思います。在職障害者の調査のほうですけれども、見方によっては、「問題がある」の回答割合が、少なくはないのですが、多くもない回答になっていて、差別で14.1%、合理的配慮で15.1%のように、80%以上が「問題がない」というふうな回答になってしまうのですが、ちょっと気にしたのはこの回答者のセレクションの問題なのです。回答している人たちが、雇用に対して「問題がない」と考えている人がより回答しているのだとすると、こういう回答になる可能性もあるのかなと。
統計自体はすごく貴重な統計だと思っていて、こんなのは絶対起こることですし、あれなのですけれども、全体の回答の特徴というのは捉えておいたほうがいいかなと思いましたというのが1点です。
もう一つは企業調査のほうについてです。今と同じ点でいくと、企業調査のほうのセレクションの話ですが、今回28.8%の回収率ということで、決して低くない回収率で、とても苦労されて、工夫されて調査されたのだろうと。本当にすばらしいことだなと思っています。ただ、1,442社についても、障害者雇用がより進んでいる企業で取られた、そういう特徴を持っているのかどうかは絶対に捉えておいたほうがよくて、日本全体で別の大規模調査をしいている厚労省のデータなどで見れば、産業別、企業規模別に障害者の雇用割合が分かるので、今回の調査対象がどの辺に固まって。積極的に雇っている企業で取られたのであれば、たかだかこうということが言えるし、逆であれば逆の回答もできるので、特徴を捉えておいたらいいかなと思いましたというのが2つ目です。
最後は、1,442社のうち障害者の非雇用企業というのが、先ほどの説明の中だと26%ぐらいあるようですけれども、それもすごく貴重なサンプルだと思うのです。分科会でもずっと議論していますが、雇用が進まない、1人も雇用しないという企業があって、そういう企業がどんな難しさを抱えているかとか、なぜ雇用できないのかということを聞いている質問項目がもしあるのであれば、それも利用したらどうかと思いました。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。 小原委員のはコメントでいいですね。
○小原委員 はい。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
そしたら、この後、調査結果をまとめる際に今の小原先生のコメントを御参考にしていただければと思います。
それでは、竹下委員の質問に戻りたいと思います。1番目の質問は、20ページ目の「障害者相談窓口担当者の配置」についてということで、「必要がなく配慮を受けていない」ということの解釈をどうするかということだったと思いますが、まず1つお願いいたします。
○野澤研究員 ありがとうございました。
障害者の方の「必要がなく配慮を受けていない」という数値も本当に多い数値であって、これが本当にどうなのかということはとても気になるところです。合理的配慮の項目について、障害別に有意差があるかどうかの検定をしたときに、「必要がなく配慮を受けていない」というところで多く答えられていたのが、「障害者相談窓口担当者の配置」のところで言うと、肢体不自由の方と内部障害の方が多く回答されていたという結果は出ております。
そのほかについても、肢体不自由の方や内部障害の方は、この回答者にあってはなのですが、「作業の負担を軽減するための工夫」が「必要がなく配慮を受けていない」とか、中には通院等でも配慮した出退時刻は必要ないとか、「必要がない」というところに多く回答されていた方が比較的多かったという結果があります。ただ、お一人お一人の事情、どのような障害の状況なのかというのは、障害名と手帳の有無でしか確認していないので、もしかしたらずっと在職されていて、途中で障害を受けられた方など、特別に支援がなくても継続されている方なのかもしれませんし、そこははっきりと区別ができません。回答の差で言いますと、障害者相談窓口については、知的障害の方や精神障害の方や発達障害の方は「配慮を受けている」という回答が多く、「必要だが配慮を受けられていない」という方は、視覚障害の方や聴覚、または平衡機能障害の方でした。「必要がなく配慮を受けていない」という方は、肢体不自由の方や内部障害の方でした。割と障害別に分かれていました。このような項目別に障害によって少し差があるということは注目したいと思います。
○阿部分科会長 ですので、2番目の質問も、先ほど門﨑委員が御説明されていたと思いますが、竹下委員は、「手話通訳・要約筆記等担当者の委嘱」というのが、「必要がなく配慮を受けていない」というのが77%いるのは不自然だということをおっしゃっていますが、これは聴覚障害以外の人たちが77%で、必要だとか配慮を受けている人を合わせると79.5%ぐらいになるのでということを門﨑委員が先ほどおっしゃっていたので、ですので、竹下委員も皆さんもおっしゃっているように、障害種別に分けて分析されたほうがこの辺りは分かりやすいかなと私も思いました。
3つ目の質問も種別に分けないと駄目だという質問の御趣旨だと思いますので、よろしいですか。
○竹下委員 それで結構です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
それでは、非常に興味深い調査なので、皆さん御関心があって、質問をしようとされている委員が多いのですが、少し手短にまとめて質問をしていただけますようお願いいたします。
長谷川委員が先に退席されると聞いておりますので、長谷川委員から質問していただいて、その後、森口委員、高橋委員、小出委員にお願いしたいと思います。
では、長谷川委員、お願いいたします。
○長谷川委員 ありがとうございます。福島大学の長谷川です。
確認と、もし今後調査される場合には少し御検討をということで、スライドの14ページのところに在職障害者の方がどういった障害をお持ちかとか、手帳はどの手帳をお持ちかということが書かれていると思うのですが、差別禁止規定と合理的配慮の規定の適用を受けるのは、障害者手帳の所持者だけではなくて、発達障害とか難病の方とかその他障害の方々も含まれることになりますので、そもそも調査対象としてそういった方を除いてしまうような質問の仕方だったのか。実際手帳の所持者の方が97.4%。無回答も入れると、ほとんど手帳を持っている人が回答していることになるので、もし今後同じような調査をされる場合には、手帳を持っていない方も答えられるような形の調査をしていただきたいなと思いました。
以上です。
○阿部分科会長 野澤研究員、手帳を持っていない人にも回答を求めているということでいいのですか。
○野澤研究員 障害者団体を通しての実施は、手帳を持っていない方にも回答を求めております。
○阿部分科会長 ということです。長谷川委員、いいですか。ほかには大丈夫ですか。
○長谷川委員 はい。
○阿部分科会長 それでは、森口委員、お願いいたします。
○森口委員 ありがとうございます。労働側の森口でございます。
質問に入る前に、最後の方策や支援の部分になりますが、まとめの中にコミュニケーションや働きやすい職場環境づくりがございました。これは障害者のみならず、全ての労働者にとって重要な視点だと思いますので、今後については労働側としてできること、また、労使にできることがあると思いますので、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。
その上で、1点質問になりますが、資料の10ページ、調査結果の2番目の項目に「社内の周知が進んでいない」と記載がございます。これは障害者に対してのことなのか、それとも会社の全社員に対してのことなのか、教えてください。また、なぜ周知が進んでいないのか、分かる範囲で教えていただきたいと思います。
以上になります。
○阿部分科会長 野澤研究員、よろしいですか。
○野澤研究員 企業の取り組みを進める中での課題について、項目を設定してお聞きした中で、「社内の周知が進んでいない」ということは、そのままお聞きしているのですが、合理的配慮の提供について社内の周知が進んでいないということで理解しています。社内にそういう周知をして、ちゃんとそれが進んでいないというふうな意味の項目になっています。
○阿部分科会長 森口委員、よろしいですか。
○森口委員 はい。
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、高橋委員、お願いします。
○高橋委員 ダンウェイの高橋です。調査報告、ありがとうございます。
各委員が言われていたような意見に同感です。その上で、1点だけ質問してから意見を述べさせてください。
まず、御提示いただいた資料の14ページ、在宅障害者アンケート調査の点に関して、他の委員もおっしゃっていましたが、非常に偏りがあって、肢体不自由の方や内部障害の回答は多いけれども、それ以外の方は非常に少ないという現状において、回答する方にとって、この調査内容が少し難しかったところがあったのではないかと推測するのですが、この辺りというのは、例えば言葉が分かる人、またはウェブで回答しやすい人が回答できたのかなと想定するのですけれども、どうして偏りがあったのかということを分析できているのであれば、先に教えていただきたいのでお願いします。
○阿部分科会長 では、野澤研究員、お願いします。
○野澤研究員 調査の実施に当たって、いろいろな障害種類の方に回答いただきたいと思い、質問の内容とか実施方法については検討しました。最初は質問紙の調査のみで実施しようと考えていたのですが、障害の種類によっては紙でなくウェブのほうが答えやすいということもありましたので、両方実施することにしました。そして、知的障害の方や高次脳機能障害の方については、団体の方と相談して、支援者の方が説明したり、少し手伝っていただくことが必要かなということで、こちらは団体の方にお願いして実施させていただいています。結果的にはウェブでもお答えいただいた方がいらっしゃったので、数としては多くお答えいただいたとは思っています。ただ、実際就労されている方の数で言いますと、肢体不自由の方や内部障害の方は多く就労されているので、企業の方が周知いただいたときに、すぐウェブで答えていただいたのだなという結果にはなっています。全体を見ますと身体障害の方が多いなという結果ではあるのですが、障害者団体の方に協力いただいて全国に周知いただいて、お答えいただいた結果であると感じております。
○阿部分科会長 それでは、高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 ありがとうございます。ダンウェイの高橋です。
非常に御尽力されての回答結果ということで、大事な調査ですから、さらなる期待も込めてお伝えさせていただきます。今、聞いていても、やはりコミュニケーションを自発的に行いやすい方のほうが集中的に回答された可能性があるなと思いました。また、団体の皆様や支援者の御協力ということもあったかと思いますけれども、もう一歩踏み込んだ形で、企業等、障害者の雇用先による調査取りまとめに際してのコミュニケーションの工夫が必要でして、調査を始める段階でも、障害特性に応じて、企業や在宅障害者のニーズ、感じ方というのは非常に違うと思います。
そのため、主体的にコミュニケーションを発しにくい方たちにも、回答段階でのコミュニケーションの工夫を行うことで、具体的な合理的配慮や、差別解消につながると思いますので、今後、ぜひ実行いただきますようお願いいたします。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
それでは、小出委員、お願いいたします。
○小出委員 育成会の小出です。ありがとうございます。
私は竹下委員と同じ要望でございまして、特に8ページ目のところにあります企業アンケートで「本人の適性や能力から配置できる部署が限られる」というところもあります。これなどは障害種別によって大分異なるのではないかということで、竹下委員と同じ要望なのですけれども、各設問に対して、障害種別の方々のデータもあったらどうかなと。それから、このアンケートを取るに当たって、例えば知的障害は全体の何%かという比率も必要ではなかったかなと思っています。要望でございます。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは、眞壁委員、お願いいたします。
○眞壁委員 ありがとうございます。全国精神保健福祉会連合会の眞壁です。この調査を見て、本当に御苦労されてまとめられていらっしゃるということを感じます。
私が1つ気になったところですけれども、17ページの「勤務先の『合理的配慮の提供』について、問題に感じること」というところで、「問題がある」と回答しているのは15.1%なのですが、その中で見ていると、「どの程度まで合理的配慮を求めてよいのかわからない」とか「自分から必要な配慮を求めるのは気が引ける」という回答がかなりあって、そこら辺の障害者の権利条約にちゃんと書かれていることを障害者自身がきちっと知って、自分の権利として困っているところは配慮してもらうということをやっていただけるように、例えば就職する前の段階で合理的配慮のことについてのパンフレットを配るとか、そんなふうにして障害者自身がこのことをきちんと学んでいくということが大事ではないかなと思いました。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
これは野澤さんというよりは厚生労働省とかに対する御要望ということで承りたいと思います。
多分ほかにもいろいろと御質問や御意見をお持ちの委員の方がいらっしゃると思うのですが、予定している時間よりも超過しておりますので、次の議題2のほうに移りたいと思います。
野澤研究員、ありがとうございました。
それでは、議題2につきまして、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の春名研究員から説明をお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
○春名研究員 本日はこのような機会をいただきまして、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
スライドの2ページです。そもそも障害者の就労困難性というのは、身体的、精神的な機能障害だけではなくて、実際に就く仕事内容、職場の環境整備や配慮の状況、職場・地域での専門支援などによって大きく異なってきます。現場の就労支援の実践ではこの事実をいわば逆手に取って仕事とのマッチングとか、職場での合理的配慮の普及、ジョブコーチ支援とか、就職後の医療とか生活の継続的支援によって、従来は一般就業が困難とされてきた障害者の一般就業を実現させてきているわけです。
ですから、3ページのように、単純に障害者手帳やその等級では実際の就労困難性を反映できないのではないかという当然の指摘がありまして、4ページのような様々な課題が指摘されてきました。こういった課題について、我が国と同様に障害者雇用率制度のあるフランスやドイツではどのように対応しているのかを調べるというのが今回の研究の課題で、5ページのような調査研究報告書等にまとめております。
第一に、6ページの、障害者手帳制度の対象外でありながら、就労困難性のある障害者の認定の課題です。
7ページです。フランスやドイツでは、医学的な認定基準では認定されない比較的軽度の障害による就労困難性のある人に対する制度になっていて、就労困難性を個別に認定して、障害者雇用義務の対象とできるようにしています。そのポイントは、障害者本人の申請により、実際の就職活動や就業継続の困難状況とか支援ニーズを確認して、職業リハビリテーションの専門職が支援の一環として確認するとともに、医学診断による疾病とか変調とか傷害との因果関係を確認するということです。
具体的には、8ページのように、フランスでは本人からの申請書に基づいて、県障害者センター(MDPH)の多分野専門家チームの調査による意見を踏まえて、障害者権利自立委員会が決定する障害労働者認定という制度があります。
具体的には、9ページのように、多分野連携による総合的な機関であります県障害者センター(MDPH)に医療、福祉、教育、就労の支援ニーズを一括の申請書で申請して、10ページのように、職業参入専門員と医師などによる多分野の専門家チームが審査に関わって、福祉の対象にならない軽度の障害の人であっても、就職とか就業継続が実際に困難な人については障害労働者認定を行って、雇用率制度の対象とできるようにしております。
11ページのように、精神障害などでは障害と就労困難性の因果関係を確認するために、MDPHが地域の精神とか発達障害支援の機関と連携したりしております。
12ページのように、ドイツでも同様に、福祉の対象にならない軽度の障害の人であっても、就職あるいは就業継続が実際に困難な人に「重度障害者と同等であること」の認定を行って、障害者雇用率制度の対象にできる制度があります。これは連邦雇用エージェンシーにおいて実際に就職活動や就業継続の困難性を具体的に確認していくというものです。
13ページから14ページのように、連邦雇用エージェンシーというのは、我が国で言えばハローワークと地域障害者職業センターを合わせたような機関で、本人からの申請に対して、現場の職業リハビリテーションや職業紹介の担当者、次のページのように、職場定着支援を行う統合専門サービスの担当者とかジョブコーチからの意見表明を踏まえて、雇用率制度の対象として認定できます。
15ページからは第2の課題「障害者雇用の困難性」。つまり、障害者を雇用する企業の経済的負担を公的に認定して支援していくための課題についてです。これは特に従来福祉的就労の対象であった重度障害者を一般就業で直接雇用する事業主の負担に関することになります。我が国では身体障害者手帳の1級と2級の認定のある人は重度障害者として、雇用事業主にとって雇用率がダブルカウントされるなどの優遇があります。しかし、例えば身体障害1級である車椅子使用者のほうが精神障害者より雇用の困難性が大きいということは一概には言えません。
16ページを御覧いただきますと、フランスでも2005年の法改正より前には個人特性として就労困難性を3段階でカテゴリー化する制度がありました。しかし、現在では廃止されて、例えば車椅子の利用者が事務職に就く場合、かつては最重度の認定でしたけれども、現在では重度認定をされません。これは障害者差別禁止の考え方を反映していて、つまり、職場環境整備とか人的支援などについては、別途助成金とか専門的支援が提供されますが、そのような合理的配慮が実施されていれば、多くの障害者は生産性の低下とか職場での過重な負担のない有為な労働者であるということが強調されているわけです。
その代わりに、フランスの2005年からの重度障害認定というのは、実際の雇用事業主の経済的負担を個別具体的に評価して、補償するためのものと位置づけられています。つまり、障害者を雇用する事業主が合理的配慮を提供して生産性向上に取り組んでも、なお一般よりも生産性が低かったり、逆に職場で継続的な人的支援などの負担が過重になってしまう場合に、当該障害者の継続雇用を希望する事業主は、重度認定の申請を行うことで、実際の雇用の経済的負担の個別評価に基づいて、障害者雇用義務に係る企業の拠出金を原資として、事業主は二段階の継続的な支援を受けることができるという制度になっています。
具体的には、17ページのように、雇用負担が大きいとする事業主は、まず産業医による最適な職場配置とか配慮などの勧告に応じた支援を実施する必要があって、それでもなお残ってくる生産性の低下や経済的な負担などを具体的に申請して、AGEFIPHという事業主の支援の機関が現地調査をして、それを踏まえて審査して、拠出金を原資とした経済的支援によって雇用継続を支えていくという制度になっています。
ドイツでも、18ページのように、2018年から労働予算の制度が始まっていて、合理的配慮確保のための様々な助成金などとは別に、経済的に障害者の雇用継続が困難だと考える事業主は、地域で障害者の社会参加とか就労を支える統合局に申請して、専門的な事業主支援を受けた後に、なお生産性の低下とか同僚等の従業員の継続的な負担が認められれば、我が国の納付金に相当する負担調整賦課金というのを原資として、事業主は3段階の継続的な支援金を受けられるようになっています。これは福祉的な就労の利用者の一般就業での直接雇用への移行を支える制度となっています。
19ページのように、ドイツでは特に重度認定という手続はなくて、事業主からの申請に対して直ちに専門の事業主支援が入って、専門支援者の観点から生産性低下とか負担が認められれば、労働予算が承認されるという仕組みになっています。
20ページ、第3の課題「多分野連携における就労困難性の共通認識」というのは、我が国では福祉分野と雇用福祉支援の間とか、支援者とか当事者、企業関係者の間で障害者の就労支援ニーズとか支援の進め方の共通認識自体が困難だという課題で、だからこそ就労困難性についての一律で客観的な認定方法が必要とされてきているわけです。
しかし、フランスやドイツの認定方法は、就労支援の現場での専門支援者の裁量が非常に強くて、客観的で一律な基準というよりは、要するに、就職とか就業継続が実際に困難かどうか、事業主の経済的な負担がどのくらいなのかを個別具体的にアセスメントするものなので、このような方法で公正さが確保できるのかとか、業務が煩雑になってしまうのではないかと心配になってくるところです。
しかし、21ページのように、フランスやドイツではそもそもの発想として、就労困難性は医学的に障害者本人だけを見て認定するよりも、多職種が密接に情報交換しながら、障害者就労支援とか事業主の専門ノウハウを踏まえたケースマネジメントによって認定するほうが信頼性ははるかに高いと考えられています。
また、22ページのように、認定業務というのは、実際の就職とか就業継続の困難状況とか支援ニーズ、企業負担の事実そのものを確認する具体的かつ一番重要なアセスメントになっています。だから、もちろん個別の支援では難しいこともあるし、医療、福祉、教育、就労にまたがるアセスメントとか支援計画をやることに時間がかかることはあっても、障害認定とか重度判定自体は全く大変ではないし、この制度のおかげで支援はやりやすいという声ばかりでした。
ただ、23ページ、このようなフランスとかドイツの方法は、確かに障害者とか雇用事業主の支援ニーズに直接対応できますけれども、認定機関に高い裁量が認められる分、高い専門性が要求されて、認定のぶれが大きくなってしまう可能性があります。
24ページのように、フランスでは現状では認定のぶれが大きくて、その対策が課題となっています。
ドイツでも、25ページのように、関係機関の縦割りの改善が課題になってきています。
26ページは、特に認定にぶれが生じやすいポイントが明確になってきたので、そのポイントを整理しています。例えば3番目と4番目の丸のように、合理的配慮などで就労困難性が解消されている場合については、雇用率制度の対象としては認定されるのですけれども、企業負担調整のための重度認定の対象にはならないといったところは特に強調される点になっています。
最後に、第4の課題として、フランスやドイツではなぜこんな障害認定方法をやっているのか、その意義について、インクルーシブな雇用の実現に向けた位置づけを見てみたいと思います。
28ページのように、フランスやドイツは障害者雇用率制度の先進国だとはいえ、その制度について我が国と比較するときに特に注意が必要なのは、法定雇用率がそれぞれ6%とか5%と高くなっていることです。その理由というのが、まさに個別に就労困難性を申告してくるより軽度な障害者を含めていることと、現在就職活動を行っているかどうかに関係なく福祉的な就労の重度の障害者も含めていることです。
そこで、まず、29ページのように、なぜ軽度の障害者を就労困難性により障害認定しているのかといいますと、2001年の世界保健機関のICF(国際生活機能分類)での障害の捉え方があります。つまり、障害というのは、健康問題に関連した生活上の困難性であって、これは一部の人の問題ではなくて、全ての人が多かれ少なかれ人生の中で経験する普遍的な問題として、特に21世紀になって慢性疾患による生活上の困難を重視する必要があること。また、健常者と障害者を明確に分けず、個別の機能別に「障害なし」から「最大の困難」までを段階的に捉えるような捉え方です。また、障害について、個人側の問題とだけ捉えるのではなく、個人と社会の相互作用として捉える必要があるとしています。
30ページに、こういった障害の捉え方を反映したドイツの障害認定の例を示します。ドイツの障害認定は完全に医学的に判定されるものですけれども、ただ、その認定では無条件に福祉制度の対象になる障害度50以上だけではなくて、それ未満の「特定の状況では問題が起こることもある」というような軽度の障害とか、さらに軽度の「気にならない、社会適応の問題のない障害」までグラデーションで認定されています。つまり、軽度の障害というのは、同じ人でも個別条件によって支援の必要性が変わってくるといった事実を反映しているわけです。
ですから、こういった軽度障害では個別具体的な実際の就職活動場面とか就業継続場面での困難性が問題になってくるので、連邦雇用エージェンシーが本人の申請と専門支援者の現場での確認によって雇用支援制度の対象にするということ、つまり就労困難性による障害認定が必要になってきているわけです。
31ページのように、ドイツで福祉制度の対象にはならないのだけれども、個別の場面で困難が生じる可能性がある障害度30~40という障害の具体例を見ますと、我が国で「その他の障害者」に該当するような状況の人たちであることが分かります。
次に、32ページの重度障害者のインクルージョンについてです。注意する必要があるのが、フランスとかドイツでは6%とか5%という高い法定雇用率にかかわらず、実際には知的障害などを一般就業の対象としては考えないというのが最近まで主流の考え方だったということです。フランスとかドイツでは長年、知的障害者などは福祉的就労が当たり前という前提があって、企業の社会的責任としては、福祉的な就労に業務発注すれば、それも雇用率制度の上での企業の取組として評価しましょうという間接雇用の制度が整備されてきました。フランスでは昨年まで福祉的な就労への業務発注を雇用率カウントに認めるというみなし雇用の制度までありました。ただ、これは2020年から廃止されて、フランス、ドイツとも日本で言う雇用率の控除という形だけの評価になっています。これは障害者権利条約であるとかアメリカなどのジョブコーチ支援の成果が国際的に認知されてきたこともあって、重度障害者についてもインクルーシブな雇用が現実的な課題になってきたということがあります。
こういったことを踏まえて、フランス、ドイツでは障害者の一般就業推進が近年の大きな課題となっていて、日本では「ソーシャルファーム」として紹介されることもあるフランスの適合企業とか、ドイツのインクルージョン事業所のような社会的な雇用、また、ジョブコーチ制度もアメリカとか日本などの成果を踏まえて、ようやく最近になってフランスやドイツなどでは法制化されて普及が進められています。そして、一般企業での直接雇用の際、従来フランスやドイツでは我が国のような調整金とか報奨金の制度がなかったので、特に負担が大きいところに絞って支援するのが重度障害認定とか労働予算だということです。
したがって、33ページのように、我が国でこういった認定をするとなると様々な課題があることが分かります。専門の医師によらない認定で関係者が納得いただけるのかとか、軽度障害の医学的な確認の手段とか、フランスやドイツでは6%とか5%といった高い法定雇用率の下、こういった認定が企業の雇用率の達成に直接のメリットになっていますけれども、我が国では認定に合わせて雇用率の範囲を広げるのかといった課題もあるかと思います。
そういうことも踏まえてまとめますと、34ページのとおり、フランスとドイツの就労困難性による障害認定とか重度判定というのは、確かにインクルーシブな雇用を障害がより軽度な方向とより重度な方向に広げるための制度になっている。つまり、福祉制度の対象にならない軽度障害と職種とか就業条件との関係から生じてくる個別具体的な就労困難性を評価したり、また、合理的配慮を実施してもなお生じるような雇用事業主の継続的な経済的・人的負担による就労困難性を評価していく制度になっている。
また、医師の診断のようなものではなくて、実際の就職活動の困難状況とか就業継続の困難状況を本人からの申請と専門支援者の確認により評価していく。また、当該障害者の当該職務での恒常的な生産性の低下、人的負担、追加費用などを、事業主の申請と専門支援者の確認により評価するものになっています。
つまり、適切な障害者就労支援とか事業主支援の実施を前提とした就労困難性の評価を行っている。そして、認定の信頼性とか妥当性の確保のために、認定上の注意の確認とか地域連携体制の整備が進められている。
以上です。御清聴ありがとうございました。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
それでは、ただいま御報告いただきました報告につきまして、質疑応答に入りたいと思います。御質問、御意見がございましたら、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、私が指名した後に、聴覚・視覚障害者の方々の皆様への情報保障の観点から、お名前を名乗って発言いただきますようお願いいたします。いかがでしょうか。では、仁平委員からお願いいたします。
○仁平委員 連合の仁平です。
就労困難性の判定を今後検討するに当たって、海外ではどこでどんな認定をしているのかといったことを御報告いただいたことは、非常に参考になりました。ありがとうございました。
私からは、先ほどの報告についてコメントをさせていただきたいと思っております。ドイツやフランスと日本ということでは制度の成り立ちとか支援などが当然異なっているので、これらの制度を日本に引き直して実現しようとすると、資料の23ページに書いてあるような課題が当然出てくるのだろうと思います。一方で、同じ障害があった場合でも、企業の業態とか従事する仕事の中身によって、何をもって就労困難なのかということも変わってくるのだろうと思っております。
その上で、働く者の立場からすると、現時点では手帳がなくて障害者と認められていなかった人も、様々な障害などによって実際に働きづらさを抱える者が、必要な合理的配慮を受けて働き続けられるということが非常に大事なことだと思っております。
ケースマネジメントによる認定なのか、就労困難性の認定基準に基づく認定、どちらが日本に合うのかということについては、現時点では明言できませんが、いずれにしても、手帳だけによらない認定制度の在り方については、引き続き検討していくことが極めて大事だろうと思っております。コメントでございます。
以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは、高橋委員、お願いいたします。
○高橋委員 ダンウェイの高橋です。
意見を述べさせていただきます。大変貴重な研究結果の報告、ありがとうございます。障害者の雇用については、近年、就労希望者の着実な増加に加えて、企業における理解や取組が進展して、雇用者数は日本において年々増加していると思います。ただ、一方、日常生活とか社会生活に制約がある障害を抱えながら、様々な理由で障害者手帳を所持していない方も現在相当数いらっしゃいます。障害者雇用促進法では、雇用する障害者のうち、手帳の所持者を法定雇用率の算定対象としていますが、例えば身体障害者の方においては、当分の間、都道府県知事の定める医師もしくは産業医による障害者雇用促進法別表に掲げる身体障害を有する旨の診断書とか意見書によって確認を行うことが認められているかと思います。
しかし、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けていない方たちは、対象の障害のある方でも法定雇用率の算定対象にはなっていないと理解しています。
手帳を所持していない方の取扱いについては、今年の10月16日の障害者雇用分科会で提示された論点メモにおいて、「精神通院医療の自立支援医療受給者証や指定難病の医療受給者証の交付等の取扱いをどう考えるか」とか、「手帳不所持者についての就労困難性を客観的に評価することについてどう考えるのか」などが取り上げられてきたかと思います。
資料2の8ページのフランスの例や12ページのドイツの取組を拝見しますと、手帳の所持の有無ではなくて、本人からの申請に基づいて個別に審査・認定を行っているということで、今後の議論を行うにあたり、大いに参考になり得ると思いました。
精神障害により就労困難な方については、フランスやドイツの事例を踏まえつつ、手帳以外の方法についても法定雇用率の算定対象に今後積極的に含める検討をぜひお願いしたいと思います。
また、国際生活機能分類(ICF)の枠組みにおける環境因子や個人因子などの就労困難性の整理は、研究なども少しずつ進んでいると理解しておりまして、障害者手帳の枠組みを超えて、教育、福祉、雇用、医療などのシームレスな連携を踏まえた今後の障害者雇用の在り方を検討する際に非常に参考になると思いました。
さらに、日本の現状においては、就労支援センターや定着支援の方たちが障害者雇用のフォローに入ることも多々ありますけれども、労務の知識や経験などが少ないことが課題として挙がっています。
既に私のほうで認識している実例としましては、東京都社会保険労務士会のがん患者・障がい者等就労支援特別委員会において、東京都内の就労・生活支援センターなどと連携をして労働基準法の勉強会などを毎年開催しております。今後こういった多様な働き方を推進するには、社会福祉士やジョブコーチなどに加えて、既にある資源を見直して、例えば労務や年金などの専門家である社会保険労務士などの力も必要であると思います。
以上になります。
○阿部分科会長 ありがとうございました。御意見として承ります。
それでは、阿部委員、お願いいたします。
○阿部委員 日身連の阿部です。
ただいまの高橋委員のお話と重なるところもあるのですが、まずはICFの活用ということで、海外の事例も話していただきましたけれども、そもそも春名委員もICFから話が始まっています。これから障害者の就労能力等の評価ということも考えていくときに、ICFは、見ていくと様々な関係機関の連携を分かりやすく理解することができるように思いますし、私自身が職業関係の個別支援計画についてあまり知らないことによるかもしれませんけれども、ICFのコンセプトというのは、就労支援で現状としてどのように受け止められているかということを教えていただきたいと思います。もう当たり前になっているのかもしれないけれども、とても大事なことだと思ってお話を伺いたいと思いました。この枠組みは社会福祉領域の枠組みでも同じでありますので、関係機関の連携ということを考えれば、すごく大事だと思いますし、これから困難性に関して解決する評価などをつくっていくときにも大事だと思いました。
もう一点、ドイツ、フランスの場合で専門職の養成というのはどういうふうに捉えられているのかということで、認定のグレーとか、公平性から言うと課題もあるということではありますけれども、それらも考えた上で、専門職の養成について教えていただきたいと思いました。
以上です。
○阿部分科会長 それでは、春名研究員のほうに2点御質問がありましたので、お願いいたします。
○春名研究員 ICFも出てきてから20年になりますので、実際上も就労支援をやるときには個人因子とか環境因子なども踏まえながら、あとは仕事のいろんな要件の違いなども踏まえて支援する必要があるということで、いろんなところの研修でも一番基本的なこととして教えられているのではないかなと思います。実際上職場内の合理的配慮の話に関してもこういう考え方がベースにはなっているだろうと思います。
職員の研修ということについてですが、ドイツとかフランスなどについてはまだまだ医療関係者、就労支援関係者、福祉関係者の縦割りが依然として強いところはありますが、そういった制度面の関係機関とか専門職種が連携していくための仕組みづくりで、参考資料でお配りしているMDPHの申請書などをぱっと見れば、御本人の支援ニーズに関して、医療とか福祉とか教育とか就労の問題を縦割りにせずに、一括で支援ニーズに対応して、いろんな関係機関とか専門職種が協力して支援していきましょうということが一目瞭然に分かるようになっている。そういった制度面の整備と一緒に、専門職種の教育訓練なども発展させていく余地があると。そういう状態ではないかなと思います。
○阿部分科会長 阿部委員、よろしいですか。
○阿部委員 もし可能であれば、私たちの国の専門職の養成の現状と課題を簡単にお話しいただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
○阿部分科会長 では、お願いします。
○春名研究員 例えば医療・福祉分野の方も協力・連携して就労支援に取り組まなければいけないとか、教育分野とも連携してやらなければいけないということはあります。しかし、最新の就労支援では職場内での環境整備とか仕事の選び方によって就労困難性も変わってくるので、そういうことも踏まえた認識とか支援の在り方をちゃんと普及していく必要があります。この点はまだまだ普及が進んでいないかなと思っております。幅広い分野の専門職向けの課題になってくるかなと思います。
○阿部分科会長 阿部委員、よろしいですか。
○阿部委員 ありがとうございました。
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、池田委員、お願いいたします。
○池田委員 経団連の池田でございます。ありがとうございます。
議題1、議題2ともに大変有意義な調査結果をご説明頂きありがとうございます。勉強になりました。その上で質問を幾つかさせていただきたいと思います。
資料27ページで、一番右のインクルージョンを実現していくことが望ましいとされていますが、フランス、ドイツで障害者雇用に取り組む多くの企業はどの段階にあるのか、調査結果などがあれば教えて頂きたいと思います。また、インクルージョンを実現している企業においては、障害特性に応じた業務のアサインなど、どのような工夫をされているのか、事例等を御存知であれば教えて頂きたいと思います。
次に28ページで、より軽度、より重度の障害者を包摂していくための制度をご紹介頂きました。当然、どちらの観点も重要だと考えていますが、軽度の障害者の雇用が多くなると、重度の障害者の雇用がなかなか進まないという問題が生じるのではないかと思いました。この点、どんな工夫をされているのか、質問をさせて頂きたいと思います。
次にフランス、ドイツでは、障害認定に関して、本人の申請からスタートするということでした。ただ、先ほどの調査結果でも、日本では自分の障害をもっと理解してほしいという方もいれば、自分が障害者であることを隠したい、知られたくないという方もいると思います。フランス、ドイツにおいて、知られたくない方は、どのような状況なのか、また、日本の場合、知られたくない方にとって、本人の申請はなじむのか、その点を教えていただければと思います。
最後に、ドイツ、フランスでは企業に対して支援がなされているということですが、この財源は、いわゆる国の一般財源なのか、その点について教えて頂ければと思います。
以上でございます。
○阿部分科会長 それでは、春名研究員、お願いします。
○春名研究員 ありがとうございます。
どの段階かというのは、多くの場合は統合、インテグレーション。ちょっと前までドイツなどは統合、インテグレーションというのを非常に強調していて、統合事業所とかをやっていたのですけれども、それが最近では全部名前を変えて、インクルージョン事業所だというふうにしています。いあと、インクルージョン事業所というのも、重度障害者を30%以上なのだけれども、50%未満にしなければいけない。というのは、障害者ばかりになってしまうとインクルージョンでないからだとか、そういうことをやったりしている。
軽度と重度のバランスということについては、もともとフランスとかドイツは重度障害者のほうは間接雇用で対応していて直接雇用の推進は今後の課題になっていて、軽度の障害者についても、先ほどおっしゃったような開示してくれる人がどれぐらいいるかという課題があり、両方とも課題となっています。フランスでもドイツでも、職業的な困難性からの障害認定を申請してくれる方がいたらとにかく大歓迎だと、そんなスタンスであったというところが、あ、そうなのかとびっくりしたところです。
本人申請の問題について、現地で「日本では精神障害者の方などはなかなか手帳を開示しにくい方もいらっしゃるのですが、ドイツ、フランスではそこはどうなのでしょうか」と聞くと、フランスの障害者労働認定でもドイツの同等認定でも同じ問題があって、結局は精神障害のある方などは事業主への開示に抵抗することが多いので、認定方法だけ変えても駄目なのではないかと言われました。
ですから、開示の問題については、例えばドイツなどではとにかく開示してもらえるように、職場の中の差別がないような環境であることをきっちりと整備して、それをまずアピールした上で開示してもらえるようにしなくてはいけないということを強調しているということでありました。
第4点、財源は、フランスもドイツも基本は5%、6%という法定雇用率を取っていて、日本で言えば納付金というのが基本的な財源になります。特に最重度の障害者の福祉から雇用への移行に関するところについては、そういう作業所を運営するような予算から一部出ているところもありますが、基本は納付金が財源になっています。
○池田委員 ありがとうございました。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
ほかに御質問、御意見ございませんでしょうか。よろしいですか。山内委員、お願いします。
○山内委員 ありがとうございます。使用者側の山内でございます。
非常に興味深い御説明、ありがとうございました。ドイツ、フランスそれぞれの国の抱える事情が背景にあるかとは思うのですが、先進的な取組の一例として非常に学ばせていただきました。
そこで、意見を述べさせていただいてから質問を1点だけお願いしたいと思います。企業側、使用者側としましては、現在の法定雇用率を遵守するために様々な企業側の取組、工夫等を行っております。ただ、今、雇用している人たちの定着を図ることも当然ながら重要な課題となっておる一方で、定年とかを迎えられる従業員の方々もおりますので、同じように継続的に雇用率を維持していく努力は進めていく。そういう中で、今回いただいた話を我々使用者側として、例えば後発的に障害、手帳をいただくまではいかない障害を抱えて、どうしても就労が困難になるような従業員の方々も中には出ていらっしゃると思います。現在企業側は、介護をしながら仕事をするとか、健康経営を掲げて、病気を抱えながらも仕事をするようなことを企業取組の一つとしておるわけですが、今回いただいた御提案は、障害者雇用の中の選択肢の一つを考えるものになるかなと受け止めました。
質問は1点だけです。23ページ、プロコンの資料をつくっていただいております。いわゆる評価の公平性を図るために、ケースマネジメントによるもの、あるいは認定基準に基づくものとあるのですが、右側の認定基準に基づく個人の障害認定の方法の「実現可能性」の一番下に「ビッグデータや人工知能等を活用したツールによる実現可能性?」とあります。この表現に非常に関心が湧きまして、これは具体的にどのような内容なのかということと、ともすると、ほかの国では先進的に進めている実例があったりするのかなと思いまして、分かる範囲で結構なので、教えていただければありがたいと思います。
以上です。
○阿部分科会長 では、春名研究員、お願いいたします。
○春名研究員 ありがとうございます。
御質問のことについてですが、我々も就労困難性の認定について、仕事内容でも変わってくるし、障害状況でも変わってくるし、非常に多様な要因があって非常に複雑になります。これについてどういうふうにやるのかというときに、既に日本の中ではいろんな事例、非常に先進的な取組などもありますので、そういうデータなどを使っていけば、そういう複雑さに対して対応できる可能性もあるではないか、そういう可能性についての話です。こういうことが実際フランスやドイツでやられているかというと、やられてはいなかったということです。ただ、関係支援者に対して情報的に支援していくような支援情報ツールみたいなものは、ドイツとかアメリカなどでは出てきているかなと思います。
○阿部分科会長 山内委員、よろしいですか。
○山内委員 私も個人的にはこのいただいた内容を含めてもう少し勉強したいと思いました。ありがとうございました。
○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、議題2はここまでとさせていただきます。春名研究員、大変貴重な報告をありがとうございました。
それでは、議題3「その他」のほうに入りたいと思います。事務局から何かありますでしょうか。
○小野寺障害者雇用対策課長 それでは、事務局、障害者雇用対策課長、小野寺でございます。
参考資料3-1から参考資料4を通じまして、状況等につきまして共有させていただきたいと思います。
まず、参考3-1からでございます。前回中間取りまとめを御報告したところでありますが、その中間取りまとめに基づきまして、障害者雇用・福祉施策の連携強化に係る検討会を設置いたしております。開催要綱をおつけしておりますが、趣旨にございますように、前回取りまとめました中間報告、内容も踏まえまして、雇用、福祉、それぞれの施策、さらなる連携強化に向けまして、必要な対応策をより具体的に深掘りして、方向性を議論するということを目的に開催をいたしております。
既に開催しておりますが、別紙におつけしていますように、構成員はこのとおりになってございます。座長に駒村先生、座長代理に当分科会の阿部先生にお入りいただいております。
参考資料3-2でございます。この検討会はワーキンググループも開設を予定しておりますが、全体を通じましてこのような予定で開催を考えております。まず、既に第1回を11月6日に開催いたしまして、キックオフ、スタートしております。第2回。第3回は本日、この前の会合でもう既に終了しておりますが、第3回まで開催を終了しておりまして、2回、3回につきましては関係団体からのヒアリングを行ってございます。関係団体のヒアリングは後ほど御説明します。関係団体のヒアリングを経まして、次回の開催が、このペーパーによっては第4回ということで、3月の上旬頃を予定しておりまして、ヒアリングでの意見や、並行してワーキンググループで検討を進めることになりますので、ワーキンググループの開催状況等を御報告したいと思っております。
第5回以降につきましては、令和3年4月以降、ヒアリング等で出された意見の整理や、ワーキンググループで整理された論点に沿っての意見交換ということで、来年度6月頃をめどに全体の会合としての取りまとめをしていきたいと思っております。
これらにつきましては、この後、雇用分科会、障害者部会それぞれの審議会に御報告をして、それぞれの所管に基づきさらに議論を進めていくという流れになっておりますが、その間におきましても節目で検討会及びワーキンググループの検討状況等につきましては、当分科会の場においても御報告を申し上げたいと思っております。また、全て公開でございまして、傍聴も可能となっております。傍聴を希望される際には事務局のほうに御連絡をいただければと思います。
参考資料3-3は、第2回、第3回で行いました団体からのヒアリング状況につきまして、御報告させていただければと思います。2のヒアリング先にございますように、全11団体。合わせまして、1団体につきましては意見書の提出ということでございます。第2回の11月17日には発達障害ネットワーク、きょうされん、日本知的障害者福祉協会、精神保健福祉事業団体連絡会、特定非営利活動法人日本高次脳機能障害友の会、5団体を実施しまして、残りを本日実施するとともに、一般社団全日本難聴者・中途失聴者団体連合会様からの意見の提出を受けまして、それぞれの団体からの御意見等を聴取したことになってございます。聴取の内容につきましては別紙につけてございます。
いずれも各団体から当日いただきました資料につきましてはホームページで公開しておりますので、御参考までに御覧いただければと思っております。また、当日の意見等につきましても追って共有をさせていただきたいと思っております。
参考資料3-4でございます。連携強化に関する検討会の下にワーキンググループの開催を予定しておりまして、検討会での議論を円滑に進めるために3つのテーマ。1つは「障害者の就労能力等の評価の在り方について」、2つ目が「障害者就労を支える人材の育成・確保について」、3つ目が「障害者の就労支援体系の在り方について」。3つテーマにそれぞれワーキンググループを開催したいと思っております。
ワーキンググループの御参集者につきましては、2ページ以降に第1ワーキンググループから第3ワーキンググループまで御提示しておりますので、御覧いただければと思います。
あわせまして、具体的なワーキンググループの開催日程につきましては5ページにお書きしておりますので、御覧いただければと思っております。
以上が検討会及びワーキンググループについての状況の御報告でございます。
参考資料3-5、3-6につきましては、第1回の連携強化の検討会における主な意見と、労政審障害者雇用分科会について、前回の主な意見につきましてまとめております。御参考までに後ほど御覧いただければと思います。
参考資料4はプレス資料になっております。既に共有させていただいているかと思いますが、もにす認定制度。皆様方に大変御協力いただきまして御議論いただき、本年4月からスタートしておりますが、いよいよ第1号ということで、3社を10月21日に認定いたしております。3社につきましては、岐阜、徳島、福島それぞれの県から1社ずつ認定をさせていただきました。
あわせまして、現在本省内で把握している限りにおきましては、含めまして全国で既に12社の認定が進んでおりまして、うち特例子会社が5社ということでございます。本分科会の佐渡委員が常務取締役を務めていらっしゃいます株式会社和光ビルサービス様におかれましても認定をしていただいております。
あわせて、高橋委員が取締役をお務めいただいておりますダンウェイ株式会社におかれましても現在申請いただいておりまして、実地検査をもう終了しておりますので、近々認定ではないかと考えております。12月末までの全国の状況を網羅的に把握いたしておりますので、1月、年明け中旬ぐらいにまた把握した結果につきまして共有させていただきたいと思っております。
事務局からの御報告につきましては以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
ただいまの報告に関して御質問や御意見ございますか。もしあれば、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、私が指名した後に、聴覚・視覚障害者の方々の皆様への情報保障の観点から、お名前を名乗って御発言いただくようお願いしたいと思いますが、いかがですか。特段よろしいでしょうか。
それでは、特にないようでしたら、本日の議論は終了とさせていただきたいと思います。障害者雇用分科会はこれで終了とさせていただきます。
最後に事務局から連絡事項がございましたらお願いいたします。
○小林障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課課長補佐の小林でございます。
次回の日程につきましては、来年1月頃の開催を予定しております。詳細は追って事務局より御連絡をさせていただきます。
以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
それでは、本日の会議に関する議事録の署名につきましては、労働者代表の仁平委員、使用者代表の山内委員、障害者代表の小出委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
本日はお忙しい中、ありがとうございました。報告者のお二人もありがとうございました。