第92回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録

日時

令和2年12月8日(火) 9:59~11:18

場所

AP虎ノ門 会議室Aルーム(一部オンライン会議会場) (東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)

出席委員

公益代表委員
  • 東京大学大学院法学政治学研究科教授 荒木 尚志
  • 慶應義塾大学名誉教授 大前 和幸
  • 大阪大学大学院高等司法研究科教授 水島 郁子
  • 読売新聞東京本社編集委員 宮智 泉
  • 慶應義塾大学大学院法務研究科教授 森戸英幸
労働者代表委員
  • 全日本海員組合奨学金制度運営管理部長代理  楠 博志
  • 日本化学エネルギー産業労働組合連合会副会長 安原 三紀子
  • 全国建設労働組合総連合労働対策部長  田久 悟
  • 日本基幹産業労働組合総連合会中央執行委員 黒島 巌
  • UAゼンセン労働条件局部長  髙橋 義和
  • 日本労働組合総連合会総合政策推進局長 仁平 章
使用者代表委員
  • 日本通運株式会社 人財戦略部専任部長 北 隆司
  • セコム株式会社人事部主務 久保田 祥子
  • 一般社団法人 日本経済団体連合会労働法制本部長 鈴木 重也
  • 東京海上ホールディングス株式会社人事部ウエルネス推進チーム専門部長 砂原 和仁
  • 鹿島建設株式会社安全環境部部長 本多 敦郎

議題

  1. (1)特別加入制度の対象範囲の拡大について
  2. (2)令和2年度第2回社会復帰促進等事業に関する検討会について(報告)

第92回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会(議事録)

議事内容
○荒木部会長 定刻ですので、ただいまから第92回労災保険部会を開催いたします。本日の部会は会場からの参加及びオンラインでの参加を併せて実施いたします。なお、委員の出欠状況ですが、中野委員、山内委員が御欠席と伺っております。また、本多委員におかれましては、遅れて出席されると聞いております。出席者は現在15名ということになりますが、公益代表、労働者代表、使用者代表、それぞれ3分の1以上の出席がございますので、定足数は満たしていることを御報告いたします。カメラ撮りはここまでということでお願いいたします。
 それでは、第1の議題ですが、特別加入制度の対象範囲の拡大に関する検討事項になります。なお、本日は、これまでヒアリングを実施させていただいた日本俳優連合の森崎部長、日本アニメーター・演出協会大坪事務局長、日本柔道整復師会の三橋理事にもお越しいただいております。まず、事務局から説明を行い、必要に応じて団体から補足的なコメント及び質疑応答にお答えいただくことを考えております。その後、団体の皆様には御退室いただき、更に必要な議論があれば、委員の皆様に引き続き議論いただくということを考えております。それでは、事務局より説明をお願いいたします。
○労災管理課長 お手元の資料のA3版で折りたたんでおります資料1を御覧ください。まず、これに基づいて説明いたします。これまで、日本俳優連合、日本アニメーター・演出協会、日本柔道整復師協会の方々にヒアリングに御参加いただいて、それぞれ御発表いただきました。また、その後も事実関係などについて事務局からいろいろ確認させていただいて、特別加入をするとした場合に確認しておくべき事項として、この資料1にまとめさせていただいたというものです。
 まず最初、芸能従事者のところです。これは業界の全体像ということですが、これは国勢調査から取っておりますが、約21万8,000人の従事者がございます。どのような業務があるかということですが、放送番組、映画、演劇、イベント会場、楽屋等において、演技、舞踏、音楽、演芸、その他の芸能実演、演出の提供、若しくは芸能製作に従事する者ということで、かなり幅広い内容が含まれております。これは具体的には下にあるとおり、ロケでの撮影とか、劇場、イベント会場といった所での俳優の実演、演出、撮影、照明、音響、こういった業務、あるいはマネジメント従事者も含めて、そういったものを想定しているということです。
 次に、この業務における災害の状況です。日本俳優連合における実態調査アンケート、これは先立ってヒアリングに御参加いただいたときに、既に御提出、御説明いただいたものです。これは皆様方のお手元に、参考資料として再び同じものをお配りしております。また、その際には、特に重篤な事故を中心に御紹介いただいたと聞いております。今日、追加的に資料として参考2というものをお配りしております。これは2012年ですので、少し前の資料にはなりますが、芸術家の健康に関する実態・ニーズ調査というもので、これも併せてこの中に記載させていただきます。
 これらによりますと、俳優の仕事の現場における事故の例として、今、私がお示しした参考2の5ページの表[2-4-2]を御覧いただきますと、例えばのどポリープ・声嗄れ・炎症、ヘルニア・椎間板損傷、捻挫といったものが挙げられています。そういった、けがが発生した原因として、疲労とか使いすぎとか、活動を重ねることによるものが多いという状況です。
 これについて、同種あるいは類似の既存の業種があるのかどうかということですが、具体的には資料1に書いてありますとおり、番号でいくと94148の映画の製作、演劇等の事業というのが当てはまるのではないかと考えています。これは、参考資料1で、これまでの労災保険率の適用の基準について細かい区分けをしています。一連の通達、事務連絡あるいは基になっている告示を出しているものですが、これを1枚おめくりいただくと、真ん中の所に9418映画の製作、演劇等の事業ということで、各種の映画作成、ビデオの製作、演劇、競馬等の娯楽の提供を行う事業が該当するということになっています。ですから、これは今でも、そういった事業を行って労働者を雇っているという場合には、この区分で労災の適用がなされているということです。
 次に、特別加入の団体の担い手の有無ということですが、これは共同組合の日本俳優連合様が手を挙げていただくということで、想定されております。この団体の加入の要件ですが、具体的な加入の対象者の数ですが、俳優連合の会員数は約2,600人ということで、会員のほとんどは芸能プロダクションなどに所属されておりますが、全員が特別加入の対象として想定されていると聞いております。
 それから、団体としての組織運営の方法が整備」されているかということですが、これは定款に構成員の資格の得喪などに規定があり、これに基づいて運営されているということです。
 それから、労災保険の事務処理ができるかどうかということですが、これはもともと定款の中に、組合員の福利厚生に関する事業と規定がございます。そういったことに基づいて、事業をやっていくことが可能だというように聞いております。
 それから、団体の主たる事務所ですが、東京の新宿区で、ほかに北海道、名古屋、大阪に支部がございます。これに関して、労働災害の防止に関する措置ですが、一番下にありますとおり、本部の所在地の近辺の特別加入者に対しては、会報による周知とか勉強会といったもので、対応を取っています。あるいは本部から遠方の場合には、特別加入者のいる地域や連携団体に対して、年2回を目途に出張の研修といったものを実施するということを検討されています。ほかにも、安全衛生・災害防止に関する説明パンフレットの作成を検討されているということです。
 次に、アニメーション制作従事者です。業界全体の従事者数は既存の統計がありませんが、推定で1万人ぐらいいるのではないかということです。業務的には、その下にありますとおり、監督、演出、アニメーター、仕上、美術、3DCGなどが想定されております。
 具体的な災害の状況ですが、先立って提出いただいた調査によれば、腱鞘炎、腰痛、切り傷といった回答が複数見られています。あるいは通勤時の災害も認められるということです。そういったけがの背景としては、長時間の繰り返し・同じ姿勢による事務的な作業によって生ずるということが考えられます。これについて、同種若しくは類似の既存の業務ということですが、近しいと考えられるのが、先ほど紹介した9418の映画の製作、演劇等の事業ということです。あと9416の前各項に該当しない事業など、その他の各種事業というものがございます。これは、参考1の保険率の適用の区分の資料ですが、これを1枚おめくりいただくと、下の所に9416の前各項に該当しない事業として、各種会社の本社、支社等の業務、実業団体、労働団体などが書かれておりますが、一言で言えば、事務的な作業というものが、この中では想定されておりますので、業務の性質としても近いところがあるのかなということで挙げさせていただいております。
 それから、特別加入団体の担い手ですが、日本アニメーター・演出協会が想定されております。会員は約1,160人おりますが、7割程度の800人が特別加入の対象として想定されるというように聞いております。団体の組織運営については、定款に構成員の範囲、資格得喪に関する規定もございます。また、事務の処理については、従事者の交流、生活環境改善に関する相互扶助活動、構成員の費用に関する規定などもございます。
 それから、団体の主たる事務所は東京都千代田区ですが、関東圏については3か月に1回程度メルマガなりによって周知し、あるいは遠方の場合は、特別加入者のいる地域について、年1回以上、実地で講習会等を開催することを検討しているということです。
 次に、柔道整復師です。これは厚生労働省の統計によれば、約7万3,000人いるということです。業務の範囲は法律で定められておりますので、ここにあるとおり、運動器に加わる外傷性が明らかな原因によって発生する骨折などの「患部」、「受傷部」に施術を行うものとなっております。
 災害の状況ですが、柔道整復師会の調査によりますと、施術中の事故として、介助などにおける無理な体勢での動作、これに基づく腰痛、腕の負傷、あるいは施術中のベッドの移動の場合の打撲とか転倒、施術中の手の捻りといったものが見られます。あるいは通勤時の災害も見られるということです。この背景としては、患者を介助する場合の腰痛、そういった配線、配置などが、つまずき、転倒といったものが要因になっているということです。
 この類似するものですが、9431の医療業と書いています。これも参考資料1を1枚おめくりいただきますと医療業という所があります。病院、一般診療所だけでなく、看護業、療術業等の医療、保健衛生に関するサービスを行う事業が該当すると書かれております。もう一枚おめくりいただきますと、通達の後に事務連絡がありますが、その一番最後の所に補足解説として、歯科技工所、あんま摩マッサージ師、針師、灸師及び柔道整復師の施術所は本分類に含まれる。ですから、今でも事業主として労働者を雇って事業を行っている場合には、この分類で労災保険の適用があるという状況になっております。
 次に、特別加入団体の担い手の有無ですが、これは日本柔道整復師会が想定されております。具体的な想定としては、会員1万5,514名のうち、約8割に相当する1万2,000人が特別加入の対象として想定される。組織運営の方法については、構成員の範囲、資格の得喪に関する規定もございますし、事務処理に関しても、会員の福祉増進、相互扶助に関する事業、あるいは定款に構成員が納める費用に関する規定もございます。この団体については、本部は東京都台東区にあります。労働災害防止の措置については、地方については都道府県の柔道整復師会の会長あてに、文書で周知しているということです。労災防止についての研修内容は、現在検討していると聞いておりまして、具体的には都道府県の柔道整復師会による現地研修の実地を検討しているということです。以上が資料1です。
 実は、今御説明したものの中に、2つほど論点が入っておりまして、資料2で御説明させていただきます。タイトルは「特別加入団体の承認要件について」となっております。
 1枚おめくりいただきまして、現行制度です。特別加入団体は、労働保険事務を適正に処理する。それから、団体が定める業務災害防止に関する規則について、構成員に遵守させる措置を講ずるということが求められております。こういった観点から、主たる事務所が会員の分布から離れている場合には、適切に実施されないことがあることが考えられることから、従来は、当該団体の地区が、その主たる事務所の所在地を中心として別表に定める区域を越えないものであることということで、下にある別表に定められた範囲ということで示しています。
 課題ですが、この要件だと全国に1か所しか主たる事務所がないという団体、あるいは本部以外に支部は存在しますが、支部では労働保険の事務処理は行わないというケースもあるわけで、こういった団体が労災保険の特別加入団体として全国的に活動を行おうとする際に、1つ課題が生じてきます。
 そこで次のページですが、対応方針として、遠隔地において、適切な災害防止措置等を実施する団体については、地域要件を課さない。逆に、地域要件自体は残るわけですが、そういった活動をきちんとやるということについては、地域要件を課さないということとしてはどうかという提案です。具体的には、地方での災害防止に関する研修会の実施、あるいはコロナ禍の状況ということもありますので、双方向の質疑応答を含む、オンラインでの災害防止に関する研修会といったことを行う団体には、地域要件を課さないということとしてはどうかという御提案です。
 具体的には、その下にありますが、要件は、従来、局長通達で定めておりまして、この「新」という所を御覧いただければと思います。「ホ」という所に、「主たる事務所の所在地を中心として別表に定める区域をこえないものであること」の後に、ただし書きとして、「当該区域をこえる下記ブロックにおいて、当該団体を通じた特別加入者がいる場合、当該ブロックにおいて、少なくとも年一回、当該特別加入者に対して、災害防止等に関する研修会等に参加する機会を提供する団体は、この限りではない」という規定を設けさせていただいてはどうかと考えております。
 ちなみに、このブロックですが、これは従来特別加入の中の船員に関して、こういったブロックの考え方を採用しておりまして、この考え方を援用しております。これが特別加入団体の承認の要件についてということです。
 次に資料3です。特別加入を認めるという場合には、当然、その災害の状況、動向に応じて、どのような料率を設定するのかということが課題になってきます。1枚おめくりください。料率設定における基本的な考え方です。関係団体からの情報を基に、同種若しくは類似の既存の業種、既に特別加入が認められているものも含まれるわけですが、これを特定し、当該業種ごとの料率を設定することを基本として考えてはどうかということです。
 3ページを御覧ください。芸能従事者については、これは先ほどの説明と重復いたしますが、既にお出しいただいていた芸術家の健康に関する実態・ニーズ調査による俳優の仕事の現場における事故例ですと、「のどポリープ・声かれ・炎症」、「ヘルニア・椎間板損傷」、「捻挫」といった回答が見受けられます。その背景、原因としては、「疲労」、「使いすぎ」といったものが半数を超えていて、災害自体は、既存の映画の製作、演劇等の事業と同じではないかというように考えております。つまり、この下にあるとおり、同種若しくは類似の既存の業務としては、9418の映画の製作、演劇等の事業が類似として考えられると。
 結論としては、4ページを御覧ください。9418の映画の製作、演劇等の事業は、94番の、その他の各種事業という所に含まれております。この料率は3/1,000ですので、これでまず設定してはどうかということが御提案です。ただ、芸能従事者の業務の中には、※2にあるとおり、映画、演劇のセットの製作・取付作業のうち、主に屋外で足場を組んで作業されたり、あるいは重機などを使用される場合もあり得るところ、会社に雇用されている労働者は建設業の料率、それ以外の方は建設の一人親方の特別加入保険料が適用されていると。これが現在の取扱いですので、この取扱いをそのまま維持する形で、こういった業務に携る方は、今回の芸能従事者としての加入の対象とはせずに、従来からの区分の中で御加入いただくということでどうかと考えております。
 次に5ページを御覧ください。アニメーション制作従事者です。災害の状況は先ほど御説明したとおり、「腱鞘炎」、「腰痛」、「切り傷」等ということです。長時間繰り返し同じ姿勢による事務的な作業ということがありますので、1つは9416の前各項に該当しない事業の中のその他の各種事業、これが1つ近いところがあるかなと。既存のものでいけば、その下にあるとおり、映画の製作、演劇等の事業といったところとも類似性があると考えています。
 今回設定する料率としては、その他の各種事業における料率の料率としてはどうかという提案です。
 次に、6ページを御覧ください。柔道整復師です。この事故例ですが、これも御説明したとおり、介助での無理な体勢での動作による「腰痛や腕の負傷」、「打撲、転倒」、「手の捻り」、通勤災害も認められるということです。これについては、こうした災害というのは既存の区分でいくと、9431の医療業でも同様に認められるということで、これも下にあるとおり、もともと柔道整復師の施術所の場合には医療業が適用されていますので、この9431の医療業は、その他の各種事業の中に含まれていますので、この料率の3/1,000を適用するということでどうかというのが、事務局からの提案です。私からは以上です。
○荒木部会長 それでは、各団体の皆様からも補足がありましたら御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。森崎部長どうぞ。
○日本俳優連合会 日本俳優連合と申します。特に補足はございませんが、前にお示ししました資料では、1963年から57年間のけがや事故例をお示しいたしました。長年、多くの方が待ち望んでおりました特別加入制度ですので、是非適用対象にしていただければと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
○荒木部会長 三橋理事、お願いいたします。
○日本柔道整復師会 日本柔道整復師会でございます。前回、ヒアリングの際に幾つか御懸念点を頂いておりました。その中で、通勤災害におけるけがが多いのではないかというような、我々のほうからお出ししました資料を基に、いろいろと御質問を頂きました。
 過去にということでアンケートを出しましたところ、いわゆる対象になった方々、あるいは懸念を抱いている会員のほうから、多くのけがの例が上がってきたわけなのですが、実際に、例えば令和元年に絞りますと20件ありました。その中で、通勤の災害は2件ということで、しかしながら、業務遂行できる程度のもの、また前回もお話しましたが、我々は自分で十分に処置ができるということで、医療機関には行っていないということも、非常に多かったということもあります。
 また、当団体としましては、昨今の新型コロナウイルス感染症の流行の中、医療従事者の中でも接触を避けられない仕事の特殊性があり、会員の柔道整復師が安心して診療を継続できるよう、特別加入の要望を出させていただいております。
 また、現在、医療従事者として労災保険の枠組みの中で診療している中、柔道整復師自身が労災保険の特別加入の枠組みに入ることで、モラルハザードが起きるのではないかと御懸念を持たれているのではないかと推察しております。ただ、そのようなことがあれば、先ほど説明がありましたとおり、労働災害の高い業種となってしまいますので、保険料率を高くされるようなこともあるのではないかと考えております。
 また、当団体としましては、そのようなモラルハザードが起こらないよう、加入者である柔道整復師にしっかりと教育を徹底してまいりたいと思っております。また、自身のけがにつきましては、治療し、また請求することは健康保険同様、自家診療ということは認められておりませんので、そこは是非御安心いただければと思っております。以上でございます。
○荒木部会長 それでは、日本アニメーター・演出教会の大坪事務局長、お願いします。
○日本アニメーター・演出協会 日本アニメーター・演出協会の大坪と申します。よろしくお願いします。この度はヒアリングの機会と、こちらの加入の検討を頂き、ありがとうございます。アニメーション業界の方々は作品を作ることがとても好きで、生活の最優先というようになっております。普段、そういった形の中で、健康や災害について省みることがなくて、非常に意識が薄いところはあると思うのです。ですが、こういった機会を基に事前に気を付けることで避けられることは避けたいと思いますし、災害が起こってしまった、避けられないことに関しては十分な補償があると、我々はうれしいなと思っておりますので、今回は御検討いただきありがとうごさいました。
○荒木部会長 それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等がありましたら、お願いいたします。オンラインでの出席の方は、チャットから「発言希望」と入力いただき、会場におられる方は挙手でお願いいたします。いかがでしょうか。
○田久委員 説明ありがとうございました。以前から私自身も言っております安全対策に関してで、特別加入の地域要件、こういった問題の中での対策ということで、一定出していただいて、本当にありがとうございます。
 やはり、そういった対策をきちんと取っていかないと、安全を無視して加入だけをさせるような動きをする団体等も出てくる可能性があります。現に、建設業は出ているというのが正しいところです。ですから、同じような道を歩まないような対策というのは、厚労省側には徹底していただきたいというのが1つです。
 もう一つは、今見ました料率の関係でいきますと、労働者を雇っている部分でいっている労働保険に関しては、現時点にあるということですから、こういったときに、今、労働者としてそういった補償をされている人たちが、改めてこういった制度ができたことによって、自己負担、建設で言う一人親方化ということが起こらないように、現時点に、そういったところでは建設ではもう起きておりまして、それが問題になって、若手が入ってこないとか、そういったことが起こっておりますので、是非そういった点が起こらないように、加入の際とか、団体への指導の際のチェックなどは是非お願いしたいと思います。
 最後ですが、1つ、その他要件の関係で、前の議論のときに、かなりここの加入者が増えてきているので整理をするといったような議論もあったかなと思うのですが、その状況が現時点ではどうなっているのかが分かれば、教えていただければなと思います。
○荒木部会長 事務局からいかがでしょうか。
○労災管理課長 まず、安全対策について、これから加入していく団体、あるいは既存の団体も含めて、きちんと団体として果たすべき責務を果たすというように、行政として徹底すべきであるという御指摘を頂いたところです。
 今回、改めて、この特別加入制度、非常に長い歴史はありますが、今回、ある意味で大きく拡大していくということで、踏み出す一歩の瞬間かなと思っておりますので、何のための特別加入団体かということを、私どもも改めて確認した上で、そういったことを是非徹底していきたいと思っております。
 それから、今御指摘のありました一人親方化ということがございました。これは当然、もともと特別加入制度、本来は労災保険は労働基準法から派生しているものです。労働基準法上の労働者になる場合は、これは当然、その企業の労働者として労災保険が適用されるということが当然の状況です。ですので、これは本当に労基法上の労働者ではないという場合に、それでも業務の状況からして、危険度などから考慮して、従前からこういう制度があるわけですが、労基法の労働者に当てはまるような方が、一人親方というようなことになるというのは、本来はあってはならない話だと思いますので、その辺りは御指摘も踏まえて、団体への指導も含めてきちんと対応してまいりたいと考えております。
 それから、その他業種のところというのは、ちょっと趣旨が分かりにくかったのですが。
○田久委員 以前、こういった区分の人数がかなり、そういうことです。
○労災管理課長 これは労災保険全体の話で、産業構造が変わってきている中で、その他が増えているのではないかという御指摘を頂いております。これにつきましては、従前、別途の検討会で一定の検討をしていただいて、これの結果を1度御報告させていただいたというところまでかと思っております。
 これについては、可能であれば進めていくというスタンスでおりますが、今回は来年の4月の時点では、料率についてはそのまま変えない、凍結するということで御了解を頂いていると思います。逆に言えば、その後、料率を改定していくタイミングがあるときに、その他業種の中で独立して業種として区分することがふさわしいという業種については、改めて検討して、お示ししていくという機会があるのかなと思っております。
○荒木部会長 では、鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 1点、事務局に質問させていただきたいのですが、特別加入された方が被災された場合、申請は御本人が直接監督署に申請することになるため、加入している特別加入団体が、どういう方々が、どのようなシチュエーションで、どのような事故に遭って、どのぐらいの件数が発生しているのかを把握できる仕組みにはなっていないと思いますが、そうした理解でよろしいでしょうか。
○労災管理課長 制度上は、特別加入団体を介さなければ、労働災害の請求ができないというようにはなっておりません。マストで通らなければならないというようにはなっておりません。
○鈴木委員 今回、3つの団体様から実態をお伺いして、政策を考えたり、各特別加入団体が災害防止のための取組を行う上で、実態把握をすることが重要ではないかと感じたところでございます。
 特段、承認要件に追加してもらいたいという趣旨ではないのですが、既存の団体も含めて、特別加入団体が労災防止のPDCAを回すために、定期的に実態を把握するようなことを、厚生労働省が呼び掛けることがあってもいいのではないかと思っておりますので、御検討いただければと思います。
○荒木部会長 事務局からお願いします。
○労災管理課長 御指摘ありがとうございます。正に、先ほどからの議論の中で、何のための特別加入団体なのかというときに、単に加入を促進するというだけではなくて、安全衛生活動をきちんと教育していくのだというところがあります。その前提としては、ではどのような災害が本当に起きているのかを把握するのは、当然の第一歩かなと思っております。
 今回、御提案させていただいている新しい業種につきましては、既に各団体から既存の資料、あるいは新たな統計に基づいて、どういう災害があり、どういう背景なのかということも出していただいてはおりますが、実際にスタートして、どのようなものが生じるのかということは、当然きちんと見ていかなければならないというのはあろうかと思います。これは私どもも、今後、実際の特別加入の運営の在り方を検討するに当たって重要な事項だと認識しておりますので、どのようなやり方でやっていくかということは少し考えたいと思いますが、正に、団体が自分たちの会員の状況を把握するということは重要だということを前提に、いろいろと進めていきたいと思います。
○荒木部会長 オンラインから仁平委員より発言希望が出ております。どうぞ御発言ください。
○仁平委員 連合の仁平です。質問が2点ございます。まず1点目、資料1の表の「業務の範囲」の欄ですが、芸能従事者とアニメーション従事者の両方に「監督、演出、撮影、美術に従事する者」の記載があります。どちらに加入するかについては、加入希望者がそれぞれ自分の好きなほうを選択できるというように考えてよいのか、お考えを聞かせていただきたいと思います。その場合は、今後、業種間で競合する可能性も出てくると思うのですが、その辺りの問題はどうなのかもあわせて教えて下さい。
 2点目は地域要件に関してです。研修が不十分な団体についての対応については、田久委員と同様に、しっかりと対応していただきたいと思っていますが、資料2の3ページに「少なくとも年一回、当該特別加入者に対して、災害防止等に関する研究会等に参加する機会を提供する」とありますが、その確認は厚労省の本省で行うのか、各労働局が行うのか、細かいのですが、その辺りの確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○荒木部会長 それでは、事務局よりお願いします。
○労災管理課長 まず、1点目の芸能従事者とアニメーション制作従事者について、作業内容的に、事実上重複してくる部分があるのではないかと。それについて、どのような対応を図るかという御質問かと理解しております。
 それで、確かに御指摘のとおり、例えばで申し上げますと、監督の作業、当然、実写の映画も監督ですし、アニメの映画も監督です。最近ですと、CG作業ですとか、かなり近接した世界ができてきているということも認識しております。これについては、どのようにやっていくのかといろいろ検討しているところです。1つは、ある意味では重なるところは重なるという形で、業種を区分していくことも考えられますが、現時点では、団体の皆様方にもいろいろと御意見を頂きながら、1つはその作業の目的、何を主としているかというところも加味して、今後、具体的には通達などで、その区分を明確にすると。明確にした上で、なお自分はアニメの世界も実写の世界も両方やりたいと。どちらも災害の補償に加入したいという場合には、両方に加入することを認めるという方向が、1つの整理として考えられるかなと思っております。
 具体的な切分け等は、引き続き団体の皆様方といろいろと現場の状況などを確認してやっておりますが、現時点では、そのような考え方で作業をしているところです。これが1点目です。
 2点目につきまして、特別加入団体の、特に地域要件について、例えば一定の場所しかない、それ以外の場所についてはブロックごとで研修会を実施するなど、代替策を取るということについて、どのように確認していくのかという御指摘だったと思います。
 これについても、私どもはいろいろと検討しておりまして、例えば年度更新とか、そういったタイミングがございますので、そういったときに、前年度の実施状況について御報告いただくという方向もあろうかと思いますので、御指摘を踏まえて、更に検討してまいりたいと考えております。
○荒木部会長 仁平委員、よろしいでしょうか。
○仁平委員 ありがとうございました。
○荒木部会長 ほかに御質問、御意見等はありますでしょうか。
○田久委員 今の仁平委員の質問に答えていただいた部分というのは、2つに加入を可能にするというようなお話があった場合は、業種が違うという判断をしているということで、今までですと同業種は加入できないということになっているので、副業の合算の関係でも、今後の課題にもなるのかなと思うのですが、その辺は違うという理解でよろしいですか。
○労災管理課長 時代の流れとともに、いろいろなものがだんだん融合していきますので、難しいところではあると思いますけれども、現時点では、この2つは違う業種なのだという整理をして、あとは御本人の御判断になりますけれども、両方に入るという希望があれば、それを認めていくという考え方で整理できないかなということを考えております。
○田久委員 もう一つ、特別加入団体ができるということであると、今で言う、建設で言う一人親方だけではなくて、事業主、第一種といったところも、これを認めることによって、加入をしていける状況になるのかどうかということです。現時点で、現場に出ている事業主がいるのかどうかは分かりませんが、建設などではあり得るので、そういった状況があるのですが、そういったことが、今回拡大する際に、そういったことが可能になるのかというのが1つです。
 もう一つは、先ほども言いましたように、一人親方化がかなり気にはなる部分ですので、改めてですが、再度、そういったことが起こらない、労働者として補償すべき問題はきちんとやっていく、若しくはこれを期にそういった様々に働き方が変わってきている中で、建設などでも新しい法律ができて、そういった中では現場ごとに、きちんと現場が働く人たちの安全と健康を守るのだという法律も作られておりますので、こういった観点も含めて、どの業種でも、そういった現場ごとが違うとか、仕事ごとが違うということがある業種も2つありますから、こういったところも含めて、今後そういったところも省内でも検討していただければなというように思っております。
○労災管理課長 1点目ですが、中小企業事業主の加入の要件は、中企庁が示している規模です。規模によって、例えばサービス系だと100人以下になっております。ですから、例えば現在でもクリニックを開業している医師が、一方で看護師などを雇いつつ、事業主として保険料を納めつつ、御自身も中小企業の事業主として特別加入するというケースはございます。そこは基本的に同じことかなと思っております。
 あと、最後に一人親方のことを御指摘いただいたところで、そういう実態があるということであれば、私どもとしては、繰り返しになりますが、本来は、労働者は労働者として加入して守られるべきということが原点だと考えておりますので、そのようなことはきちんと守られるようにしていきたいと考えています。
○荒木部会長 楠委員、どうぞ。
○楠委員 先ほど、柔道整復師団体の補足説明の中で、これから整復師自身が労災保険の対象になっていくといったことで、今、何点かの憂慮されている部分もあるような説明だったのですが、どなたにしても整復師の施術を受けるとすれば、医師の承認が必要になると思いますので、その辺を是非入口のところで周知していただけると、トラブルは未然に防げると思いますので、お願いしたいと思います。
 それと、先ほど同種の事業について、認めるのか認めないのかという話があったように思います。同種の事業又は作業については、2つ以上の団体の構成員となることはできるけれども、特別加入するということは、今のところは禁止されていますよね。先ほどの御説明ですと、特別加入も重複して認めていく、というように受け取れたのですが、その辺はどうでしょうか。
○荒木部会長 事務局からお願いします。
○労災管理課長 まず、柔道整復師の施術の関係ですが、当然、例えば施術の終わりの部分をどう認めるかというところを含めて、医師の判断でなければできないと制度上なっているところですので、これはきちんと確認していくということは徹底してまいります。
 それから、アニメーターと芸能従事者の世界ですが、繰り返しになりますが、現時点では、この両者についてはそれぞれ別の業種であるということを前提に、切り分けをした上で、ここから先は御本人の御希望になるとは思いますけれども、どちらも結構やっている、どちらも加入したほうがいいという御判断があれば、両方加入できるようにしておくということが、保護に資するのかなという考えております。この辺りは、団体の皆様とも意見交換をさせていただきながら検討しておりますが、現時点ではそのように考えています。
○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。髙橋委員、どうぞ。
○髙橋委員 先ほどの仁平委員の質問への回答の中で、年度更新の際に実施状況の報告を求めていくことを考えているという話だったのですが、報告を求めるということは、報告がないということに対しては、何かペナルティですとか、そういった事後の対応を考えていくということにつながっていくのでしょうか。
○労災管理課長 その場合、どういった形になるかということについては、今後、我々もよく検討したいと思いますが、報告がなかったものをもって、即承認取消しというところでは恐らくないわけで、当然、まずはきちんとやってくださいというところからスタートしていくのかなと思っております。
 当然、新しい加入だけでなく、既存の団体も、そもそも承認の要件にもはや当てはまらないという所は、退室していただく必要があると思っておりますが、加入していただく以上は守っていただくと。もちろん、何かあれば、私どものほうからお願いをし、そういった方向でやっていただくということになろうかなと考えています。
○荒木部会長 ほかにはいかがですか。団体の皆様への御質問等があればお伺いしますが、よろしいでしょうか。特に御発言もないようですので、団体の皆様におかれましては、本日はお忙しい中御参集いただき、誠にありがとうございました。
                                (団体退出)
○荒木部会長 団体の皆様には退出いただいたところですが、更に必要な議論がありましたらお願いします。いかがでしょうか。特によろしいでしょうか。
それでは第1の議題については本日の議論を踏まえ、省令案の要綱について次回の部会に諮問をさせていただくことを考えておりますのでよろしくお願いいたします。
 次の議題に移ります。「令和2年度第2回社会復帰促進等事業に関する検討会について」です。事務局より説明をお願いします。
○労災管理課長 資料番号4になります。抜粋資料は、先だって11月19日の社会復帰促進等事業に関する検討会の検討会資料です。本日は時間の関係もありますので、この資料4に沿って御説明します。
 全体の状況ですが、様々な御意見を頂いています。まず、社会復帰促進等事業として、実施する事業については被災労働者の援護や災害防止に直接的に資するものに限定すべきであるという御意見。過去には、平成21年から25年にかけて予算額を大幅に絞り込んだ経験があると、ここもこういった取組を進めていくべきではないか。更には予算全体について、例えば前年度の執行状況を踏まえた減額要求を行っているものや制度や事業を見直したもの、新規に事業を拡充したもの、こういった形で整理をして提示できないか。
 更に決算上の収支が数年続けてマイナスとなっております。これは積立金の余裕の部分について、ここも料率の中に折り込んでいますので、ここ数年はそのようになっておりますが、ずっとマイナスというわけにはいかないと思う。これはいつプラスに戻るのか。それから、社会復帰促進等事業としての趣旨に沿っているかという観点から、PDCAサイクルを回すべきであると。あとは低評価となっている事業のアウトプット指標について、目標設定方法の妥当性を検討するべきだ。
 労災保険の保険料収入はコロナの影響で減収になるということが想定される中で、一方で立替払については増額の概算要求になっている。こういった中で不要不急な事業は徹底した見直しを行う。料率の引き上げを防止するのは当然のこと、厳しい経営環境にある中小企業に対しては料率の引き下げを検討できるよう財政管理の徹底に努めるべきである。
 さらには事業の評価シートですが、事業は様々な事業があります。国が直接実施する、労働局が実施する、民間企業に委託をする、あるいは助成金という形でやっていくものもありますけれども、例えば最終的に事業者が直接利益を得る。これは助成金などがそれに当たりますけれども、こういうものだけでも別途に整理をする形で示すことができないかという御意見を頂いています。
 また、その下にありますとおり個別の事業についても、様々な御意見、御質問等を頂いたところです。私どもとしては、今回頂いた御意見を踏まえて、今後の事業の企画運営、それからPDCAサイクルに則った必要な見直しをしっかりやっていきたいと考えています。以上です。
○荒木部会長 ありがとうございました。ただいまの説明について、何か御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。はい、鈴木委員どうぞ。
○鈴木委員 事務局より検討会で出た意見のポイントを御説明いただきまして、ありがとうございました。前回もお話をさせていただいたところですけれども、社会復帰促進等事業は被災労働者の援護、そして何よりも労働災害の防止のためのものですので、予算を組むに当たりましても、こうした目的にかなうものに限定することが大切だと思っています。
 検討会では予算化された事業について、アウトプット指標などを用いて評価を行っていて、私どもから見ると、そもそもその事業の目的にかなった予算がされているかどうかという視点が薄いと感じています。課長からも先ほど御紹介いただいたとおり、平成21年ないし平成25年以降、予算が増え続けています。例えば働き方改革関連の事業予算は必要なものだったと思いますけれども、一方で改正法が順次施行されています。それに伴って予算額も縮減をする時期にきているのではないかと考えています。
 この中で未払賃金立替払事業をしっかりと予算を確保することが重要でありますし、また例えば第3次産業での労災ですとか、あるいはメンタルヘルス対策など、新たな課題に対する事業、あるいは優先順位の高い事業を予算的に手当をするため、ワイズスペンディングを追求していただきますよう改めてお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○荒木部会長 事務局よりお願いします。
○労災管理課長 はい。御指摘ありがとうございます。社会福祉促進等事業でも、あるいはこの審議会でも様々御指摘いただいております。私どもとしても、昨今のコロナの状況の中で保険料収入が恐らく減るであろうことは見込んでおります。そういった中で、当然予算編成についても厳しいという状況を折り込んでやっていかなければいけないということで、例えば従前であればAという評価になったものについても、そこについて聖域なく執行状況、その他の状況を踏まえ、かなり厳しい減額をさせていただきましたけれども、なお今後もしっかり、本当に必要なのかどうかという観点から見直しをしていくべきだという御指摘であると受け止めて、今後もそういった観点からやっていきたいと思っています。
○荒木部会長 はい、ほかにはいかがでしょうか。田久委員どうぞ。
○田久委員 ありがとうございます。今、鈴木委員が言われたように、そういった労災業務や安全対策のような防止、安全対策に関しての、ということは、本当にそのとおりだと思います。もう1つは、中小零細事業所に対する働き掛けというか、きちんとした制度徹底やそういった教育も含めたところができる、こういったところでの予算というのは、きちんと今後も確保していただきたいと思います。
 ここがやはり、建設業ですと中小・零細企業がかなり多くおられますので、そういった点でこういったところに支援をしていく、その団体としても支援をすることも含めて、今後もそういったところの予算化は全体の中でも検討しながら確認をしていただければと思っています。以上です。
○荒木部会長 事務局からお願いします。
○労災管理課長 実際、社会復帰促進等事業の検討会の中でも、一方でスクラップするべきはスクラップしつつ、例えば今御指摘のように、中小事業主になかなかいろいろなものを矢継ぎ早に行政も求めているという中で、それに対する支援になるもの、それは助成金である場合もありますし、あるいは団体を通じていろいろと支援をしていくこともあります。こういったものについては、むしろしっかりとサボート、手当てをしていただきたいという御意見も頂いていますので、そういったものを踏まえて対応していきたいと考えています。
○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。本多委員、お願いします。
○本多委員 私からも繰り返しになりますけれども、現在の社復事業の項目ですが、確かにいずれも全く必要なものはないとは思っていますし、それが現在の枠組の中ではきちんと評価されることについては異論はありません。ただ、先般来からお話がいろいろなところで出ているとおり、基本的には削減ありきというところで検討に入っていただければありがたいと思っています。
 これも繰り返しになりますけれども、社復事業については打ち出の小槌ではありませんので、先を見据えてしっかり議論をして、現状の流れの中での見直しというのではなく、基本的には削減ありきで見直すべきところは見直すという視点で御検討いただければと思っています。
○荒木部会長 事務局からお願いします。
○労災管理課長 現下の経済状勢などもしっかり私ども踏まえた上で、必要なところに必要なもの、それからスクラップするものはスクラップするという基本的な姿勢で対応していきたいと考えています。
○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。はい、よろしければただいまの議題については以上といたします。本日、急遽議題に追加する案件があるということですので、事務局から説明をお願いしたいと思います。なお、オンライン参加の皆様については並行してメール送付をさせていただくことになっています。事務局は資料の配布、メールの送付等をお願いいたします。
資料が行きわたったようでありましたら、事務局より説明をお願いします。
○労災管理課長 ただいまお手元にお配りした資料についてです。標題にあるとおり、労災保険部会に提出をした資料の誤り及び労務費率等への影響についてです。まず1番、資料の訂正です。平成30年4月、今から3年弱前ですけれども、3年に1回の料率の見直しの際、労務費率の見直しも行っておりますが、この際にこの部会に提出させていただいた資料に誤りがあることが直近の調べで分かりました。
 これを前提として設定をさせていただいた「水力発電施設、ずい道等新設事業」に係る労務費率、労災保険料率に影響が生じることが判明いたしました。訂正後の資料に基づいた場合、水力発電施設、ずい道等新設事業については平成30年4月改定の労務費率あるいは労災保険率の改定案は以下のとおりだったかと考えられています。
 下にあるとおり、労務費率については19%ではなく、18%。それから労災保険料率については62/1,000ではなく、64/1,000ということです。この労務費率と労災保険率は一種バーターの関係で、これは掛け算の関係になりますので、労務費率が高ければ料率は下がる、労務費率が低ければ、労災保険率は逆に高くなるという関係にあります。こういったことであったと考えています。
 2の所ですけれども、これによる労務費率等への影響ですが、この訂正後のものを改定案を前提に平成30年度以降の水力発電などの事業を開始した事業、これについて保険料を概算したところ、以下の(1)、(2)のような影響が見込まれています。まず(1)、この労務費率により保険料を算定しているところについては、掛け算でいけば19%×62/1,000と18%×64/1,000を比較するわけですが、約350事業上について1事業場平均120万円程度の保険料の引き下げと。総額4.2億円と見込んでいます。
 それから(2)実支払賃金によって保険料算定、これは労務費率ではなく、下請も含めて実際の賃金支払総額を算出した上で、労災保険率だけを使っていただいています。ですから、本来は62/1,000ではなく、64/1,000での計算になりますが、170事業場について労災保険の引上げのみが影響し、1事業場平均約180万円程度の保険料の引上げと。総額で約3.06億円と見込んでいます。※にありますとおり、令和3年度以降の労務費率あるいは労災保険料率の影響はありません。
 次のページです。これを踏まえた今後の対応方針案です。訂正後の数値を前提としますと、結果として労災保険料の金額に影響が出ます。対応方針として以下のとおりでよろしいかということを、今回お諮りしたいと考えています。
 まず、対象となる事業の種類、これは「水力発電施設、ずい道等新設事業」、それから期間は平成30年4月1日以降に開始した事業ということです。対応方針案としては、「労務費率18%、労災保険率64/1,000」により再計算した保険料額が、現行の「労務費率19%、労災保険率62/1,000」による保険料額を下回る場合はその差額を還付し、上回る場合は追加納付を求めない。
 それから上記取扱いのためには、省令改正などが必要です。これについて現在精査をしていますけれども、追って本部会にお諮りするということでよろしいかということを、本日お諮りしたいと考えています。
 次のページです。訂正に至った経緯です。労務費率調査は、建設事業の賃金実態を把握するということで、この労務費率の見直しに資することを目的として、3年に1度実施しています。平成29年に実施した調査の集計において、四分位数上から4分割して上の4番目とか、そういった形で取る四分位数算出の際の集計処理に、一部不適切な個所があったということが判明しました。このため、この内容を改めて再集計を実施したということです。
 労務費率につきましては、この調査はほかにも最大値とか四分位数、第3四分位数などあるわけですけれども、この労務費率の事業場における中位数を参考として改定案を作成し、それをもとに算定した労災保険料率改定案と併せて本部会にお諮りした上で改定しているということです。
 次のページは改定の内容です。具体的には集計プログラムに一部不備があったということで、次の誤りが発生しています。まず平成29年調査結果においては、今御説明したものですけれども、水力発電施設等について、中位数が18.83ではなく18.20であった。四捨五入すると19ではなく18だということで影響が出てきます。具体的な四分位数以外にも誤りがありました。直接労務費率には影響しませんが、詳細は別添の正誤表を付けています。
 同じく平成26年とその前の平成23年にも、一部誤りが明らかとなっています。平成26年につきましては、中位数について特段の影響はありませんでしたが、加重平均あるいは単純平均に誤りがありました。次のページは平成23年の調査結果です。これの訂正内容については、労務費率の中位数に影響が一部出ています。舗装工業業、機械装置関係の組立て又は取り付け、その他のものということです。これは四捨五入して影響がないものもあります。
 組立て又は取り付けは、四捨五入すると一見36ではなく35に見えますけれども、これは当時もともと40%となっていたものを見直す際には、激変緩和措置という形で当時この組立てなどについては2%を上限とするという形で、審議会の中でもともと御議論いただいていたものですので、この数字の変動にかかわらず、お示しする労務費率の改定案は変わりがなかったものと考えています。それ以外の四分位数などについても、誤りがあったということです。
 再発防止の所ですけれども、今回の誤りは四分位数算出の際の集計プログラムに一部不適切な個所があったことなどが原因であるということです。このため、今後の調査の実施に当たっては、事後的に解析しやすいプログラムを引き継いで使っていくこととしと書いてあります。
 これはどういうことかと言いますと、いわゆる四分位数、中位数もそうですけれども、どのように出すかと言いますと調査をしてそれが返ってきて、それを入力する。当然事業場によっては例えば空欄になっていたりとか、異常値があったりというのがありますので、それを確認したり、最終的に補正できないものは除外するという形でやって、最終的なきちんとしたデータセットを作るわけです。
 そのデータセットができると、いわば上から順番に並べていって、四分位、中位、第3四分位を取っていくという、比較的シンプルなものだと理解していますけれども、実際にはそういった一連の過程を一度に行うプログラムを組んでいたということのようでした。そうしますと、その時その時の担当する職員の力量で、そういったプログラムが分かるか分からないかということも出てきますし、また難しいプログラムを組めば、後から検証することがかえって難しいということもあります。
 今年度についてはどのようにやっていたかと言いますと、担当者2人がこのデータを集計するためのプログラムを、それぞれ独立に作って同じデータセットをその中に入れて、計算をし、その結果が合っているということを確認済みです。
 今後はこういった解析しやすいプログラムを引き継いで使っていくということをやれば、誤りは基本的に防げると思っていますし、またきちんと集計処理をしたときに、どのような所を確認しなければいけないかという、集計処理に係るチェックポイントを設けて、対応することを徹底して再発防止に努めていきたいと考えています。
 今回、労災保険部会に過去に提出した資料の誤りということで、この秋以降もそれ以外にも毎日勤労統計ですとか、あるいは賃金統計調査も事後的に誤りがあったことが判明したことに伴い、給付とか、あるいは今回は労災保険の徴収に影響が出てしまったということで、大変申し訳なく思っています。この場をお借りしておわびを申し上げます。
 ここに再発防止が書いてあるとおり、私どもとしてはこの調査については必要な調査ですので、誤りがないという形でやっていくための対策を徹底していきたいと考えています。以上です。
○荒木部会長 ただいま説明があった件について、御質問、御意見等があればお願いします。鈴木委員。
○鈴木委員 御指摘にあったように、今年に入ってからこの部会で統計のミスの報告が行われたのは3回目ではないかと思います。しっかりと再発防止に取り組んでいただきますよう、お願いしたいと思います。事業の性質もあって1事業場における過払い額が大きいということでありますので、早急に返金の手続きを取っていただくことをお願いしたいと思います。
 対応方針案については、これまでの対応等を踏まえてのものだと思っていますので、特段異論はありません。以上です。
○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。オンラインから仁平委員から発言の希望が出ています。仁平委員お願いします。
○仁平委員 連合の仁平です。私からも一言。このようなミスが相次いでいることについては大変遺憾に思っているところです。しかも今回の件の影響額というのが、合計すると7.2億円と金額も大変大きいものになっています。再発防止策も掲げられているわけですが、業務多忙とは思いますけれども、今後はこうしたことがないように、慎重に行っていただきたいと思っています。以上苦言を呈した上で、対応についてはやむを得ないものと考えています。以上です。
○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。御指摘もありましたけれども、事務局からいかがでしょうか。
○労災管理課長 このような形で給付ですとかあるいは徴収に関して、度々御迷惑をお掛けして大変申し訳なく思っています。このようなことがないように注意徹底をしてまいりたいと考えています。また今回過払いになっている所については、お支払いするという方針ですので、早急にという御指摘を頂きました。これについてはどのような形でやっていくかということも含めて、しっかり検討して可能な限り速やかにお返しできるように進めていきたいと考えています。
○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。それでは対応方針については特段御異論がないということですので、そういう方針で対応していただきたいと思いますけれども、この件に関しては私も部会長として一言申し上げたいと思います。
 労務費率というのは使用者の方々に御負担いただいている保険料の額に直結するものであり、労務費率調査はそのための重要な基礎資料ということになります。これに基づき労災保険制度が運用されており、不幸にも労災に遭われた方々に対する補償等が行われているものですので、このような誤りはあってはならないものであります。
 また労災保険部会としても、このような誤りがあるときちんとした政策審議に支障を来たすということになります。事務方におかれては本事案について深く胸に刻んでいただき、今後二度とこうしたミスが生じないよう、労災保険事務処理における再発防止策を徹底していただきたいと考えています。
 またここのところ統計に関する不適切な取扱いが複数発覚していて、追加給付等の措置が相次いでおります。統計に誤りがあることが明らかになった場合、これを即座に正すことは当然必要ということになります。しかし同時に、そのためにこと細かに給付や保険料等への影響があるということになりますと、制度の安定的な運用が阻害されることも懸念されるところです。そこで今回大変大きな額ということで即座に対応ということですけれども、今後、制度の安定的な運用という観点も踏まえ、基礎データの活用と労災保険制度の運用の関係について、将来的な課題として検討していただくことも必要ではないかと考えています。
 追加的にお諮りした案件については以上としたいと思います。その他事項として何かこの際、御発言等はありますでしょうか。よろしければ本日予定した議題は以上ということになりますので、部会は終了したいと思います。次回の日程については、事務局より追って連絡をさせていただきます。本日の議事録の署名委員は、労働者代表の安原委員、使用者代表の久保田委員にお願いをいたします。それでは本日は以上といたします。どうもありがとうございました。