第42回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会、研究開発及び生産・流通部会(合同開催) 議事録|厚生労働省

健康局 健康課予防接種室

日時

令和2年12月10日(木)10:00~12:00

場所

中央合同庁舎5号館専用第21会議室
(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2)

議題

  1. (1)新型コロナウイルスワクチンの接種体制・流通体制の構築について
  2. (2)その他

議事

議事内容
○元村予防接種室室長補佐 これより、第42回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会、第25回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会の合同部会を開催いたします。本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。また、傍聴の方は傍聴に関しての留意事項の遵守をお願いいたします。なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので、御留意ください。
 本日は新型コロナ感染症における状況等を勘案し、Web会議で開催することとなりました。Web会議を開催するに当たり、会議の進め方について御連絡させていただきます。
 御発言される場合は、まず名前をおっしゃっていただき、座長から御指名されてから御発言をお願いいたします。Web会議ですので、発言にタイムラグが生じますが、その旨御了承願います。会議の途中で、長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、お知らせしている電話まで御連絡をお願いいたします。
 本日の出欠状況について御報告いたします。磯部委員、坂元委員、細矢委員から、御欠席の連絡を受けております。現在、予防接種基本方針部会の委員12名のうち、10名に御出席いただいており、研究開発及び生産・流通部会の委員10名のうち、9名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
 本日、事務局で健康局長が出席予定でしたが、国会の用務が入りましたので、欠席とさせていただいております。
 それでは、申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りについてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
 続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。議事次第及び委員名簿、座席図、資料1は、「新型コロナウイルスワクチンの接種体制・流通体制の構築について」及び利益相反の関係書類になります。不備等がございましたら、事務局にお申出ください。それでは、ここからの進行は基本方針部会の脇田部会長にお願いいたします。
○脇田部会長 皆さん、おはようございます。よろしくお願いいたします。Webですので分かりづらいところもありますが、どうぞよろしくお願いします。参加していただいている間はミュートにしていただいて、もし何か発言がある場合は、手を実際に挙げていただくのですが、全ての方の画が見えているわけではない場合もあります。参加者のリストのほうに手挙げボタンがあるので、そこで手挙げしてもらうか、あるいはチャットに「発言があります」とか書いていただければ、私のほうで拾いますので、どうぞよろしくお願いします。
 まず、事務局から審議参加に関する遵守事項についてお願いします。
○元村予防接種室室長補佐 審議参加の取扱いについて、御報告いたします。本日御出席いただきました委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況、薬事承認等の申請資料への関与について、申告を頂きました。各委員からの申告内容については、利益相反関係書類を御確認いただければと思います。本日は議事内容に関し、「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する方はいらっしゃいません。以上です。
○脇田部会長 それでは、議事に入りたいと思います。議事次第を御覧ください。今日の議題は1つで、「新型コロナウイルスワクチンの接種体制・流通体制の構築について」です。臨時国会で予防接種法が改正されました。これによって、新型コロナウイルス感染症対策のためのワクチンの接種が現実化するということですが、新型コロナウイルスワクチンに関しては、予防接種法が改正されて国が主導的な役割を担い、都道府県の協力により、市町村が実際に接種を実施するということになっております。
 我々、基本方針部会、生産・流通部会で協力をして、これから審議をしていくということですが、とにかくかなり大規模で、これまでにないような大規模な接種ということが求められていきますので、準備を進めていくということになります。
 今日は接種体制の基本設計、接種に係る業務の効率化、接種に必要な物資・物流の確保、接種と流通の円滑化について議論をしていきたいと考えています。資料の1を御覧ください。事務局から説明をお願いいたします。
○林予防接種室長 予防接種室長の林でございます。よろしくお願いいたします。資料1に基づいて御説明させていただきます。2ページを御覧ください。先日、予防接種法の改正が成立しまして、既に12月9日付けで施行されました。今回、予防接種法の臨時接種に関する特例を設けて、コロナワクチンの接種を行っていくということです。したがって、基本的には市町村において予防接種を行う、例えば定期接種などが行われている仕組みと同じものを、相当程度活用するわけですが、今日、ここで御説明するものについては、そういった平時の仕組みとどうしても異なる部分、あるいは国が大きく主導的な役割を担っていくために仕組みを整える部分、そういった部分について御説明させていただきたいと思います。
 3ページは、今日の御説明の全体の見取図になっております。接種体制の基本設計、業務の効率化、物資・物流の確保、接種と流通の円滑化といった観点に沿って、御説明させていただきます。それから、5、6、7、8に書かれていることについて、一部、この基本方針部会でまた別の日に御議論いただきたい部分もありますが、それぞれの分担に従って、それぞれの部会に諮らせていただくという形にさせていただきたいと思っています。
 4ページの1番の接種体制の基本設計についてです。臨時接種ですが、今回の特例として、厚生労働大臣の指示の下、都道府県で協力し市町村において予防接種を実施するという、ここが特例になります。役割分担については、国の主導的な役割、市町村の実施主体の役割、都道府県の広域的な視点で市町村を支援する役割、こういったそれぞれの役割分担を基本として整備していくことになります。
 2つ目に、接種場所の原則と例外ということです。定期接種と同様にということになりますが、市町村は住民向けの接種体制を構築することになります。接種を希望する方は原則として住民票所在地の市町村で接種を受けることになりますが、後で述べますやむを得ない事情がある場合には、居住地以外の市町村で接種を受けることができるという形を考えています。
 接種会場や接種方式ですが、ワクチンの接種場所としては、医療機関で行う場合、市町村が設ける会場で行う場合、いずれも考えられますし、いずれも接種を実施できることになります。また、これと少し似て非なる問題なのですが、契約の方式として医療機関への委託契約で行うこともできますし、また、いわゆる集団接種と言われるように、自治体直営で行うことも実施できるということです。それから、ワクチンは複数回分が1バイアルとして供給されることなどから、1か所ごとの接種可能人数を、ある程度多くしていかないといけないという課題がございます。これはそれぞれのワクチンによって、どれぐらいの人数かということも異なりますが、共通してこのような課題がございます。5ページは、今申し上げた役割分担を大まかに示した資料です。
 6ページを御覧ください。全体のイメージとなっております。今回、大きく異なるところとして、ワクチンを国が契約を結んで供給していくということになります。通常ですと、医療機関あるいは市町村が直接メーカーから購入して接種をすることになりますが、そこを国で契約をして購入して、流通させていって、医療機関あるいは市町村に届けるということです。その他については、通常の定期接種の仕組みと非常に似通っておりますが、国が指示をして、費用負担についても国が10分の10で出していくというところが、今回の特例として平時と異なっているところです。
 7ページは「接種場所の原則と例外について」という資料です。先ほど申し上げたように、原則としては住所地で接種体制を整えていただき、住所地で接種をしていただくことが基本になると考えております。とは言いましても、いろいろな事情で住所地で接種をしていただくことが困難な方もいらっしゃいます。例えば入院、入所中の方、基礎疾患を持つ方が主治医の下で接種されるような場合というのは広く想定されると思います。また、数は相対的に少ないかもしれませんが単身赴任であるとか下宿、あるいは出産のための里帰りといった方についても対応していく必要がありますので、住民票所在地以外の市町村でも、こういった方々が接種できるようにするという仕組みとする必要があります。
 8ページは接種券を配布することについての具体的なイメージです。市町村が接種対象者について接種券を発行して、それに基づいて接種できることを確認するであるとか、また、この接種券と予防接種済証というのを一葉にまとめさせていただいて、どの予防接種を1回目に受けて、2回目はどのワクチンを受けるというようなことが、一目で分かる形にできないかということです。また、この接種券は医療機関から費用請求するときにも使われることになります。接種券の配布については、今日は優先順位についての資料は付いていなくて恐縮なのですが、全体として医療従事者やコロナ患者への対策に従事されている方々への接種、高齢者への接種、基礎疾患を有する方々への接種といったものの接種の順位を上位にするというような議論が別の所でされておりまして、それを踏まえて考える必要がありますが、クーポンを配布するに当たって、できるだけ単純、簡素な方法で配布していく必要があると考えております。したがって、既に市町村が持っている年齢などの情報を基に、クーポンの配布をさせていただいて、その上で優先順位の高い方から接種をしていただくという形を取ることを考えています。
 9ページですが、こうしたクーポン配布の流れとは別に、医療従事者に対する接種については、年齢にかかわらず早い時期に発生するということで、別の仕組みを取る必要があると考えております。主に、都道府県にその調整の役割を担っていただきたいと考えておりますが、事前準備の中で、接種対象者であるとか人数の把握をすること、そして、接種先の医療機関を確保して調整すること、こういったことが必要になります。医療従事者の中で、医療関係団体にも御協力いただきながら、こういった接種体制の構築をしていくということになります。クーポンが配布される前に接種をされる方が多くなりますので、こうした方々につきましては、クーポンがなくても医療機関が証明するという言葉が正しいかどうか分かりませんが、所属先が手続をすることで接種をできる仕組みとしていきたいということです。
 11ページです。2番目に、業務の効率化に係る論点です。まず、委託契約についてです。市町村と医療機関が契約をすることになりますので、基本的な形としては、それぞれの市町村が、それぞれの市町村内の医療機関あるいは委託先と契約をするということになるのがもともとの形なわけですが、先ほど申し上げたように、住所地外で接種するということが必要な方もいらっしゃいます。そういったことを可能とするために、日本中の市町村と日本中の医療機関がそれぞれ契約するということになると、現実的に全ての契約を結ぶことができなくなりますので、集合契約という形で、接種側の契約、それから支払い側と言いますか、接種を委託する側の契約、これをそれぞれ1本にまとめるという形を取ることで、医療機関と市町村の組合せが、どのような組合せであっても接種ができるように、そして契約の事務を大幅に抑えることができるように、このようなことをさせていただきたいと思っております。
 それから、接種記録についてです。先ほど接種済証のところで若干御説明しましたが、接種券と一体になった接種済証を発行することと、もう一つは接種を受けた方とワクチンの情報については、市町村か実施主体ですので、市町村に集約して、市町村の予防接種台帳で管理や保存をするということです。
 それから、費用の請求と支払いですが、市町村内の接種については、それぞれの市町村内で医療機関から請求を受けるということができると思いますが、市町村外の医療機関で行われた接種については、これもまたそれぞれの医療機関がそれぞれの市町村に請求するとなると大変ですので、代行する機関に請求すれば、そこで最終的に市町村に名寄せがされて請求がされるという形を取りたいと考えています。
 12ページから、それぞれのより具体的な内容について書いています。まず、集合契約については、前例としては風しんの5期の予防接種のときに、このような集合契約をまとめて行うということをしていただきました。接種側の委託契約を日本医師会、あるいは都道府県に集約すると。委託元のほうの集合契約を全国知事会に集約するということで、最終的にはその間で契約を結ぶことで、そこに参加している医療機関、参加している市町村が一気に契約を結ぶことができるという形です。
 13ページは接種の記録についてです。接種済証は先ほども少し出てきましたが、接種券の右側に、一葉にまとめた予防接種済証の様式をあらかじめ配布させていただいて、ワクチンを接種した際に、ワクチンと一緒に供給されているシールを貼っていただいて、医療機関や接種場所で記入いただくという形で、接種をしたことが明確に分かるようにしたいと思います。また、どのワクチンを接種したかも、これで記録が残りますので、2回目の接種のときに同じワクチンが受けられるように、この接種済証と一葉になった接種券を次の接種の機会に持って行っていただくということになります。
 それから、予防接種台帳ですが、これは平時の定期接種の中でも、このような管理になっていますが、接種記録を市町村がまとめて、予防接種台帳として管理をしています。ほとんどの市町村で既に電子化されておりますので、そこに一緒に記録をするということになります。
 14ページは費用の請求ですが、同一市町村内の医療機関であれば、直接請求することが基本となりますが、市町村外の場合については、代行機関を通じた請求を考えています。
 16ページは必要な物資と物流の確保についてです。ワクチンについては、来年前半までに全ての国民に提供できる数量の確保を目指している状況です。もちろん、開発がうまくいけばということで、安全性と有効性の確保が最優先事項なわけですが、そういったことがうまくいった場合に、数量の確保ができるようにということで取り組んでいるということです。これまでに、合計2億9,000万回分、2回接種で1億4,500万人分の供給について合意しているということです。メーカーから医療機関に届けるための流通体制については、メーカーや卸業者と協議をしております。また、針やシリンジについても供給する必要がありますが、国で調達するということです。それから、低温の保存について、ディープフリーザーの確保等を行っているところですが、これについては資料の中で詳しく説明させていただきます。ドライアイスについても保管のために必要ですが、これについては国で一括調達して、医療機関に供給することを検討、調整しているところです。
 17ページは、既に報道等で承知の方が多いと思いますが、ワクチンメーカーとの契約合意の状況です。モデルナ社、ファイザー社、アストラゼネカ社と、それぞれ契約や合意をしている状況です。
 18ページは、それぞれのワクチンの特性として、現時点での情報をまとめたものです。薬事承認前に、現時点での情報をまとめておりますので、今後の様々な試験の結果等によって変更される場合もございますが、できるだけ情報をお示しするということでまとめております。ファイザー社のワクチンについては、21日間隔で2回接種が想定されております。保管温度は-75℃±15℃ということです。1つのバイアルが5回分の接種に対応するものです。その5回分が入ったバイアル195本が、1つの箱に入って流通するということで、これを小分けして医療機関にお届けするということは、基本的にできません。医療機関に一度に届く量としては975回の接種分になります。接種の前には生理食塩水で希釈して使うことになります。希釈後は室温で6時間以内の保持が可能ということです。冷凍の状況で、どういう方法で管理できるかということですが、超低温冷凍庫で保管する以外に、ドライアイスを使って保冷ボックスの中で保管するということができますが、その場合は期間が限られるということになります。
 アストラゼネカ社のワクチンについては、2~8℃の冷蔵での保管が可能です。最小の流通単位は当初は10バイアル、その後に2バイアルということを想定しています。
 武田/モデルナ社が共同で供給するワクチンについては、保管温度が-20℃±5℃です。1バイアルの単位としては、10回分が1つのバイアルに入っています。それが更に10バイアル入ったものが、1つの箱で供給されるということになります。一度溶かした後の保持できる時間については、2~25℃で6時間という状況になっています。
 19ページは、このワクチンをどう供給するかということです。国で一括で調達しておりますが、国とメーカーの間で契約をして、国がメーカー側に支払った上で、保管や物流についても委託しているという関係になっております。したがって、物自体はメーカーから、卸業者であるとか、配送業者を通じて、委託先の医療機関に届くということになります。考え方としては国から市町村や医療機関に無償で提供しているという考え方になります。通常のワクチンのように販売するということではなくて、卸から購入するということではなくて、無償で提供されるワクチンが卸や配送業者から届くということになります。
 20ページは、ワクチンの保存について少し詳しくまとめております。まず、海外の工場から国内の倉庫へ、そして国内の倉庫から医療機関へと、ここについてはメーカー側の責任で配送がなされることになります。保冷ボックスにドライアイスを入れて配送できるということです。冷凍の飛行機や冷凍車が要るのではないかという御質問を頂くことがありますが、そういうことではなくて、ドライアイスと保冷ボックスで配送されるというように聞いております。医療機関での保管については、ディープフリーザーで保管する場合、保冷ボックス+ドライアイスで保管する場合がありますので、それぞれについての体制を整える必要がございます。ディープフリーザーについては増産が進められておりまして、確保の見込みが付いている部分の3,000台がございますので、これを市町村が購入できるように、市町村に割り当てていくという考え方です。ドライアイスについては、配送から一定期間の保管に必要ですので、国で一括調達して、医療機関に供給するという考え方です。そうした保存が終わった後に、更に5日間の保管が冷蔵庫で可能だということです。
 21ページを御覧ください。モデルナのワクチンについても、医療機関までの配送についてはメーカー側の責任となっております。これは-20℃ですが、冷凍庫に入れて流通させるというように聞いております。医療機関側での保管についても、-20℃の冷凍庫での保管を想定しておりまして、7,500台を確保する見込みとなっておりますので、これを市町村で購入できるように調整するということになっています。
 22ページを御覧ください。アストラゼネカ社のワクチンについては、保存の温度については、よくあるワクチンの取扱いと非常に類似していますので、冷蔵庫保管ができるサプライチェーン、接種先があれば供給できるということになります。
 23ページです。接種用の針とシリンジについても、今回は非常に大量に使う可能性があるということで、国で一括した調達を行っております。メーカーから国が購入し、国から市町村に提供するということになりますが、その際の物流としては卸を通じて届けることになります。ワクチンと同じように卸等から届く形を考えております。その際、ワクチンの配分量と同じ量の針とシリンジが届く必要がありますので、そのような体制を作っていくことになります。なお、筋肉注射の細い針と、1mLといった小さなシリンジの確保を国で行っていまして、溶解用の針やシリンジが必要な場合には、別途医療機関で用意する必要があります。
 24ページは「冷凍庫の割当て」という資料です。-75℃と-20℃のディープフリーザーですが、国で確保した台数について、自治体ごとに台数を決めて購入できる枠を割り当てたいと思っています。各自治体は、その枠の範囲であれば必ず購入できるということになります。また、その購入する費用については、国庫補助の対象になりますので、結果的に国から購入費用を受けることができることになります。考え方として、全ての基礎自治体に、少なくとも1台は配分するということと、人口に比例して大きな自治体には多く配分するという考え方で、割り当ててみると、表に示すような数ぐらいが想定されますが、この程度の数を各自治体に配分できるということになります。
 26ページは接種・流通の円滑化に関する資料です。ワクチンの分配ですが、通常のワクチンや薬ですと、医療機関が卸に発注して、そして希望した量が届くということになりますが、今回はワクチンの需要と供給の調整が必要ですので、これを国や自治体で行って、配分量を決定して医療機関等にお届けしていくという流れになります。具体的には、国は都道府県別の分配量を調整し、決定すること、そして、都道府県が市町村別の分配量を調整して決定します。そして、市町村は接種会場別の分配量を決めて、それが決まると卸や配送業者から、そのワクチンが届くといった仕組みを築く必要があると考えています。
 また、担当の卸売販売業者なのですが、通常の医薬品の流通ですと、1つの医療機関が複数の卸業者と取引をされていると思います。「この医療機関に届けてください」というように市町村からお願いしようとしても、どの卸業者にお願いするかということをその場で調整するとなかなか決まらないということになって、迅速に供給できませんので、あらかじめ地域ごとに新型コロナワクチンの流通を担当する卸業者を決めておく必要があると考えております。
 こうした情報伝達を行うためには、10年前の新型インフルエンザのワクチンのときにはFAXで情報伝達をしていたというような話も聞いておりますが、大変に労力がかかり、また難しかったということですので、これを管理するシステムとして、V-SYSというコンピュータのシステムで情報を入力していくことを考えております。
 27ページはワクチンの配分方法です。先ほど簡単に申し上げたことを、より丁寧に御説明する資料です。ワクチンの分配と流通については、月2、3回ぐらいのイメージだと思っておりますが、周期的に地域ごとのワクチンの分配量の決定を行っていくことになります。国がV-SYSに都道府県ごとの分配量を入力すると都道府県に届き、それが伝達され、都道府県が入力すると市町村に伝達されというように、それぞれの情報伝達はV-SYSを介して行うことになりますが、全体としては国から都道府県、都道府県から市町村というように、順々に分配量を決定していきます。また、その前提として、医療機関側から接種可能量や希望量について、市町村に登録しておいていただく必要があります。こういったことを踏まえて医療機関別の分配量が決まりますと、それがメーカーや卸業者に伝わり、それを受けて分配量や配送予定日が医療機関に伝わり、実際に配送されるということになります。また、接種後には定期的に医療機関が接種数、ワクチンの残りの数をV-SYSに登録していただいて、この情報を基に、また次のクール、あるいは次の次のクールの分配量を決める上の参考にしていくということです。
 28ページは、複数のワクチンが供給された場合、どのように流通していくのかということです。地域ごとに差を設けるという考えは持っておりませんで、都道府県や市町村に関しては、基本的にはできるだけ均等な形で供給していくようにしていきたいということです。一方で、それぞれのワクチンの保管方法などが相当に異なっていますので、原則としては、各会場、各医療機関で扱うワクチンの種類というのは限定したほうがいいと考えております。ただ、いろいろな地域の実情があると思いますので、やむを得ない場合には1会場で複数の種類のワクチンを取り扱うことはあると思いますが、その場合でも取扱い、保管、あるいは接種者が接種されるワクチンが入り混じることがないように十分に区別をして扱う必要があると考えます。
 29ページは卸売販売業者の担当地域の設定についてです。先ほど申し上げたように、医療機関と担当の卸をあらかじめ決めておく、医療機関にどの卸が納入していただくかをあらかじめ決めておく必要があります。そうした観点から、都道府県の中で市町村域を原則として、幾つかの市町村をまとめたような区域ということだと思いますが、担当の卸をあらかじめ決めておいて、その地域の中については、その卸が医療機関に届けていただくというペアを最初に決めておく必要があると考えています。
 どうやって決めるかを30ページに書いています。あらかじめ供給できる能力と意向を調査させていただいて。能力と意向があるという卸が都道府県内に幾つかあると思いますので、基本的には、その都道府県内の地域を分割していただいて、あらかじめ区割りをしていただくことを考えています。それは都道府県が中心となって、卸各社と調整していただいて決めていただきたいと考えています。
 31ページです。何度かV-SYSという説明が出てきましたが、この仕組みを使って情報伝達をさせていただこうと思っています。ちょっとややこしい仕組みですので、ここでも丁寧に御説明したいのと、あと全国のいろいろな関係者の皆様にこの仕組みを知っていただく必要があるので、御紹介する動画を作らせていただきました。4分半ぐらいと聞いておりますが、ちょっとお時間を頂いて申し訳ないのですが、それを見ていただくほうが分かりやすいので、全国の方々に御説明をする動画があるという御紹介も兼ねて、今から映させていただきたいと思います。
○動画 新型コロナウイルス感染症による未曾有の事態、ワクチン接種を希望する国民の皆様へ、どうすればスムーズにワクチンを届けられるでしょうか。いつでも発注した量が医療機関に届く通常のワクチンと異なり、新型コロナワクチンでは、ワクチンの供給量に応じて、国や自治体がワクチンの分配量を決定し、納入する流れになります。このとき、効率的なワクチン流通を実現するのが、ワクチン接種円滑化システム、V-SYSです。
 V-SYSは、ワクチン流通に関わる関係者の情報のやり取りを一元的に支えるシステムです。国民の皆様にワクチンを届けるまでには、ワクチン製造メーカー、国、都道府県、市町村、卸業者、医療機関など、多くの関係者、関係機関が携わっています。関係者の間で事前調整、ワクチンの供給、分配といったプロセスを経て、実際にワクチン接種が行われます。では、どのような連携でこの仕組みが回っていくのかを、順を追って見ていきましょう。
 まずは、事前調整のフェーズです。各市町村を中心に協力可能な医療機関を募集します。各医療機関は、接種できる人数や対応できるワクチンの種類などをV-SYSに登録します。これにより市町村は、どの医療機関に、どのワクチンを、どれだけ分配できるのかという情報を把握できます。
 次に、ワクチンの供給と分配のフェーズに入ります。ワクチンメーカーからの供給量の情報を受け、国は都道府県別の分配量を決定します。続いて、都道府県は国から割り当てられたワクチン量を確認して、各市町村にどれぐらい分配するのかを決定します。同様に、市町村は各医療機関へどれぐらい分配するかを決定します。分配量はV-SYSを通じて、各地の卸業者へ伝達され、医療機関への配送が実施されます。卸業者は配送が完了したら納入実績をV-SYSに登録します。これにより、予定どおりワクチンが届き、接種を行えることを関係者が確認できます。
 そして、国民の皆様がワクチンを接種するフェーズです。接種を希望される方は、医療機関をはじめとする、各接種会場の情報を公開サイトから確認できます。市町村からのクーポン券を受け取ったら公開サイトを見て、お住まいの地域の接種会場を選べます。こうして、接種を希望する方は希望する日時、場所でワクチンの接種を受けることができます。接種を実施したら、医療機関が接種実施人数などの接種状況を定期的にV-SYSに登録します。これらの情報は接種の進捗状況の確認や、今後のワクチン分配の決定に役立てられます。V-SYSは使い方が簡単で、短時間での入力や確認が可能です。
 このようにV-SYSを中心として、全ての国民がスムーズにワクチンの接種を受けられる仕組みを構築していきます。希望する全ての人にワクチンが行き渡るように、そのためには皆様一人一人が欠けることなく力を合わせなければ、この仕組みは成り立ちません。V-SYSを通じて力を合わせ、一丸となって新型コロナに立ち向かいましょう。
○林予防接種室長 それでは、説明を続けさせていただきます。V-SYSについては現在開発中で、動画が先にできているような状態ですが、今お示ししたような機能をしっかりと実現すべく、開発を続けていきたいと考えています。
 32ページは、医療機関側から見たときに、これをどのように使っていくかということです。接種の集合契約に参加するのと同じ手続の中で、V-SYSのID、パスワードの交付を受ける必要があります。そして、その交付を受けていただいた後、医療機関情報を最初に登録していただきます。その後は、接種の可能数であるとか、ワクチンの納入希望数といったものを定期的に入力していただいて、先ほど申し上げたような手順で、ワクチンの分配を受けていただくということになります。
 また、これとは別に医療機関ごとの、そのときそのときの予約の受付状況を、そこに入力していただきたいと考えています。どのように使うかと言うと、それが33ページに記載しています。V-SYSの公開サイト、これは一般の住民の方から見えるサイトで、こちらでは、どこの医療機関でワクチンの接種ができるのかを一覧で表示する予定です。どのワクチンを扱っているかについても表示する予定です。加えて、医療機関でリアルタイムに更新していただけるようにしてある予約の受付状況を、ここで公開したいと考えております。今、予約を受け付けることができるのか、それとも今はワクチンの納入の予定が決まっていなくて予約を受けられないのかということを一覧で表示しますので、それを見ていただければ、どこにあるのか分からないで、あちこちの医療機関に電話をしていただくということが避けられると考えています。
 34ページはワクチンの配分の調整を順に進めていくやり方です。これは同じ内容を説明していますので、スキップさせていただきます。
 35ページは、卸側から見たときに、どう使うかということです。どこの市町村に、どの量を分配しているかというデータが全部ありますので、それを集約することで、どの社が、どこに、どれだけ持って行かなくてはいけないかということが分かるということが書いてあります。
 36ページです。予約はどうするのかという御質問をよく頂くのですが、接種の予約そのものについては、V-SYSの機能としては設けておりません。地域の医療機関が予約を受けられる場合には、汎用の予約受付システムが既に売られていたり、利用できると思いますので、そういったものを医療機関で使っていただくか、電話で受け付けていただくことになります。市町村が接種会場を設ける場合であって、そこで電話で予約を受け付けるときには、V-SYSの市町村を支援する機能として、市町村が予約数と予約者の情報を、そのシステムの中で管理できるような、予約数の範囲で、何さんがどこに来るというような情報を集積できるような機能については、V-SYSの中に設けておりますので、市町村のコールセンターを支援するような機能はV-SYSに入れさせていただいております。
 37ページからは、こうしたことを踏まえて、実際に市町村で接種体制を築いていくときに、どのようなイメージになっていくのかを書いています。全部の御説明は省かせていただきたいと思いますが、38ページは、例えば10万人の人口で、この数をやっていくとなると、どれぐらいの数の接種会場あるいは接種回数が必要になるのかというような内容です。
 40ページ以降は、それぞれのワクチンについて、今申し上げたことを市町村側の立場でまとめた場合に、どういった形になるかをまとめた資料となっています。例としては、41ページにあるように、保管方法としてディープフリーザーで保管する場合には、どれぐらいの期間保存できて、どういった使い方をしていくのか、保冷ボックスの場合にはどれぐらいの期間保存できるのかということをまとめています。それを42ページで、実際に届ける際にディープフリーザーをどこに置いて接種を行うか、保冷ボックスをどこに届けるのかといったパターンがあるということをお示ししています。更に、それを使っていくときに、接種場所の確保、会場の運営体制、予約と接種のマッチングをどのようにしていくのかといったことの留意点をまとめているのが43ページの資料です。
 45ページは、そうした接種体制をいろいろお示しした上で、それを更に組み合わせて、例えば医療機関での接種と市町村が設置する機関での接種を組み合わせて実施できるというようなことを、模式的にまとめた資料となっています。
 冒頭の説明が長くなって大変恐縮でございましたが、こうした内容につきまして今日御覧いただいて、またいろいろな御質問、御助言を頂ければというように考えております。説明は以上でございます。
○脇田部会長 委員の皆さんの御意見を伺っていきたいと思いますけれども、いろいろなパートに分かれていましたので、順番に少しまとめていきたいと思います。5つのセクションに分かれていましたので、2つに分けて、まず、1番の接種体制の基本設計と、2番の接種に係る業務の効率化というパートの所で、御質問、御意見を頂ければと。それを終わり次第、残りの部分の意見を伺いたいと思います。手を挙げていただけますか。中野先生、手が挙がっていますので、中野先生お願いします。
○中野委員 中野でございます。1点質問させていただきます。クーポン券についてです。スライドの8ページとか13ページになるかと思いますが、医療従事者への接種に関しては、クーポン券は用いないという理解でよろしいでしょうか。もし、用いないのであれば、接種記録はどのように残すかということと、その方が医療関係者であることをどのように判断するかについてお教えください。
○脇田部会長 ありがとうございます。もう少し手が挙がっていますので、先に質問、御意見を伺っていきたいと思います。釜萢先生と川俣市長から手が挙がっています。順番にお願いします。それから、御発言が終わったら手を下げておいていただくと助かりますのでよろしくお願いします。
○釜萢委員 釜萢です。御説明いただきましてありがとうございました。学会からも提言が出ているのを見ましたし、それから医師会の中でも会員からも意見が出ているところですが、今回、初めてのワクチンで、接種後の副反応等についてもしっかり把握して、迅速にそれに対応していくことが求められることから、新型コロナのワクチンの接種を受けた方の登録について、新たなレジストリを構築すべきだという意見があります。一方で、先ほど説明がありましたように、実施主体である市町村は、予防接種台帳を作っていくということですから、余りこれが重複してしまうということは無駄が多いと感じました。市町村が作成した予防接種台帳の情報を国が共有する場合の課題、例えば個人情報の保護等についてどのように整理をし、運用していくことになるのかということについての、厚労省のお考えを伺いたいと思います。
○脇田部会長 ありがとうございます。川俣市長、どうぞお願いします。
○川俣委員 市長会の立場として、5点ほど、ちょっと長くなりますが御意見申し上げたいと思います。まず1点目は、自治体と医療機関の連携・調整についてです。資料1の5ページ、ワクチン接種の実施体制においての市町村の役割について、医療機関との委託があると思いますが、これを医療機関と調整するのは現場にとっては大変なことなので、県でやってくださるということは大変有り難いと思っています。
 具体例としては、43ページの例を見ると、ディープフリーザーの設置場所や拠点医療機関が想定されますけれども、そもそもうちのような小規模の自治体においては、拠点となる医療機関が少ない上、医療機関の多くは新型コロナに関する対応で医療現場が疲弊していますので、市町村において個別の診療所と調整することも生じますけれども、通常業務に加えて、新たな接種業務をお願いするのは現実としてなかなか難しいといった問題もあります。仮に国内におけるワクチンの承認が円滑にいっても、自治体と医療機関との調整が難航する場合もありますので、実施までの期間を要してしまうことが懸念されています。政府として迅速な接種を目指していることは十分理解していますが、国が主導という立場を担っていることを踏まえれば、地域での接種の開始時期にばらつきが生じないよう、国と日本医師会とに全面的な協力を求める調整をお願いしていただきたいと思っています。
 2点目は集団接種に関する課題です。1点目にも関係していますが、資料の18ページには、1日に約100人程度の接種が想定されています。小さな医療機関では個別接種となると、三密等が完全に講じられないと思いますので、実施するのは難しいと思います。こうした場合に市町村が確保する公共施設、民間施設においての集団接種の対応が想定されますが、市町村での予防接種事務所においては個別接種が基本となっておりますので、集団接種に関するノウハウも人材も今はいません。それに加えて、地域によっては医師や看護師等の医療従事者が不足していることから、集団接種の場合であっても医師等の調整・確保が相当難航すると思いますので、その対策も講じていただく必要があると思います。
 3点目は今後の進め方についてです。今の時点で都道府県や市町村また医療機関等に、実施すべきこと、準備していただくことなどがありますが、全体のスケジュール感を示していただけると有り難いと思います。ディープフリーザーの購入手続についても市町村が行うこととなっていますので、国が台数を確保していますが、動き出しに混乱を生じたり、市町村の発注によっては納品が間に合わないものも出てきたりしますので、ワクチンが承認されていない今ですけれども、具体的にお示しいただければ有り難いと思っております。自治体が余裕を持って準備できるように、早急にお示ししていただきたいと思います。
 4点目は、3点目と関連しまして、定期接種とは異なり、RNAワクチンという国内で初めて取り扱う種類のワクチンなので、実務担当者から出された意見については最大限尊重していただき、体制整備に対する要綱、要領、手引きなど、ガイドラインについては柔軟に改定や見直しを行えるようお願いしたいと思います。
 最後になりますが、接種に当たって、地域住民がワクチンによる重症化予防の効果、副反応等を適切に理解した上で、期間を分けて2回の接種が必要であることや、事前に予約も必要であること等、接種の仕組みについても十分に国から万全な措置を講じていただくことをお願いしたいと思っております。以上5点、長いですが、よろしくお願いしたいと思います。
○脇田部会長 ありがとうございました。ここでちょっと区切りまして、事務局から、中野先生、釜萢先生、川俣市長からの御質問、御意見にお答えいただければと思います。よろしくお願いします。
○林予防接種室長 事務局の予防接種室長の林です。
○脇田部会長 川俣市長、ミュートをお願いします。
○林予防接種室長 まず、中野先生からの、医療従事者の接種に関することですが、クーポン券を用いずに接種をしていただく見込みです。資料は9ページです。医療従事者への接種についてはクーポン券を用いないことにしたいと考えております。接種記録は、これは請求する方の所に住民票のある住所を記載していただくことによって、最終的に市町村にその接種をしたという記録が届くような仕組みにしようと思っていますので、市町村のほうに記録は残ることになります。そのためにも、医療従事者を雇用されている所で正しい住民票の住所を書いていただくという仕組みを考えております。
 医療従事者であることの判断方法ですが、基本的には、接種を受けたい方を雇用する所であるとか医療従事者の団体が名簿等を作って、この方が接種を受けられる方であるということと併せて、その接種をお願いする先に、接種をいつ、何人お願いするというような調整をしていただくような形を想定しております。イメージとしては、例えば研修の受講等の人数と会場を調整されるのと同じような形で、その対象者の把握と接種場所、会場の調整をしていくと捉えていただければと思います。
○中野委員 ありがとうございます。小児の接種において、母子手帳を持参しない場合、間違った間隔で接種したり、異なるワクチンを接種したり、余分に接種したりということが現在ときどき起こっておりますので、その市町村に記録していただくのは理解できましたけれども、当人が間違って他のものを打ったり、間違った間隔で打たないように、リスク管理が現場で必要と感じました。ありがとうございます。
○林予防接種室長 かしこまりました。接種券を使わないので、御本人にどのワクチンを打ったかということがきちんと分かるように、そこについては御指摘のとおりだと思いますので、何か工夫したいと思います。
 2つ目に釜萢先生から、副反応の把握について、予防接種の全数登録のような新たなレジストリが作れないかという御指摘です。副反応の把握をどのようにするかということに関して申し上げると、全ての医師に、副反応の一定の症状を見つけたら報告をしていただくことを、予防接種法上お願いをしておりますので、それによって迅速に把握をしていくことになりますし、集約・評価の体制についてきちんと拡充をしたいと考えております。お尋ねのレジストリですけれども、非常に大きな話で幾つかの課題があると思います。御指摘のように、個人情報を市町村が実施主体として持っているわけですけれども、これを何らかの法整備等なしに、ほかのところに移すことは難しいことが多いと思いますし、また実際の実務面でも、市町村から情報を得るのか、あるいはこれを迅速にということになると、市町村に届いてからでは遅いので、発生源というか、医療機関でその個人情報等を入力していただくような仕組みが必要になってしまいますけれども、そういった基盤もなかなかないところだと思います。前提として、国民のマイナンバーのようなIDD番号がないと、こうした仕組みは結局名寄せができないことになりますので、そういった様々なより大きな隔壁があると考えております。ちょっと短期間で整備するのは難しいかなと思っておりますので、今ある予防接種台帳とか副反応報告の仕組みを最大限有効に使って、副反応の把握、評価をしていくという考え方でございます。
 川俣市長からの御意見が5点ありまして、順番にお答えしたいと思います。自治体と医療機関の委託契約等について、できるだけ国のほうでも支援してほしいというお話でした。釜萢先生も今日御出席いただいておりまして、大変いろいろなことで連携を密にさせていただいているつもりですし、いろいろなことを全面的に御協力を頂く形で今までここまで出来てきていると思っております。これからもしっかりと連携をしていきたいと思います。
 また市町村と医師会との協議の中で、接種費用の単価についての調整に非常に手間を要しているというような自治体側からのお話をときどきお伺いするのですが、今回は国費10分の10での接種になりますので、接種費用の額については、最終的には国のほうでお示しした単価を使っていただくことになろうかと思っております。
 それから2つ目に、集団接種についての課題です。今日お話しておりますように、必ずしも集団接種をやらなくてはいけないということではないことをまず御理解いただきたいと思います。100人程度の接種というのは確かに人数は多いですけれども、例えば30分ごととか、1時間ごとに予約枠を分割していくと、そこまで密にならずに接種ができるような、1つの診療所でもできることもあると思いますし、実際、インフルエンザのワクチン等でも、通常の診療時間の中ではなかなか厳しい場合もあるかも分かりませんが、少し診療時間を延ばしていただくとか、そういったことのお願いもしながら実現をしていただくことで、手が届かない数字ではないと思っております。一方で、集団接種を行うに当たって、今まで研究班等で作られたマニュアルとか、あるいは幾つかの自治体で実際にシミュレーションされた例もあると思いますので、そういったものも参考にしながら自治体への情報提供に尽くしていきたいと、努めていきたいと思います。
 3つ目の、全体のスケジュール感や具体的な購入の実務のスケジュールとか、そこは御指摘のとおりだと思っております。近日中に全市町村に御参加いただける市町村向けの説明会を開催する予定としておりますし、そうした場において、しっかりともっと実務的な面についてもお示しできるようにしていきたいと思います。
 4つ目も同じお答えになるかも分かりませんけれども、手引といったものについてもしっかりお示ししする方向で頑張ってまいります。
 それから広報については、いろいろな住民の方にお伝えをするための分かりやすい資材を作るとか、そういうものを国としても情報発信をするといったこと、そこは非常に重要なことだと思っておりますので、そこについてはしっかり取り組んでいきたいと思います。頂いたご意見についてはこのようにお答えをさせていただきたいと思います。
○脇田部会長 また続けて、この1番、2番について質問を承りたいと思います。白井先生からチャットに入っていますが、そのほかにございますか。ではまず、白井先生お願いします。
○白井委員 白井です、よろしくお願いします。簡単な質問だと思うのですが、7ページの、接種場所の原則と例外の、例外のほうですけれども、やむを得ない場合で住民票所在地以外に長期滞在している方の例があるのですが、所在地が住民票でない所にいますというのは、本人の申請でいいのか、何か証明が要るのか。また場合によってはこれ以外のいろいろな複雑な事情で実態は住民票ではない所にいる方がいらっしゃるのですが、そういう意味でも、都市部などは結構そういう実態が多いので、その辺はやむを得ない事情と考えていただいていいのか、自治体ごとに対応していいのかということをお聞きしたいと思いました。お願いします。
○脇田部会長 ありがとうございます。ほかにございますか。よろしいですか。では、私からもう1点。先ほど釜萢先生から、レジストリ、あるいは副反応のフォローアップという話がありましたけれども、今回のワクチンの有効性がどのぐらいあるのかも、今非常に問われているところです。それで、これもまだまだ臨床的には十分なデータがあるわけではないので、その有効性に関する情報の収集についてはどのようなお考えか教えてください。事務局からお願いします。
○林予防接種室長 事務局の林です。まず、住所違いでの接種について、ここに書いてある事情以外のなかなか書けないような複雑な事情の方、例えばDV等でほかの自治体に住まれている方とかがあると思います。全て理由を列挙するとまたそこに例外ができてしまうので、そうしたものを全て列挙することはいたしておりませんけれども、そういった事情について対応できるような形にする必要があると思っております。そこを余り厳格にするという趣旨ではございません。どのように表現するかについては今後詰めたいと思います。
 脇田先生からの御質問について、有効性の把握をどうするかということです。接種が始まる前には国内外の治験の情報、あるいは海外で始まる接種の状況などの情報収集をして、最新の科学的知見をできるだけ集めていくことだと思います。接種が始まった後、国内でも有効性に関してどうだったのかをいろいろ研究していく必要があると思います。ワクチンの有効性の研究を厳密な形で行うのは非常に大変なことであるわけですけれども、疫学的ないろいろな手法を駆使して、できるだけ正確な有効性の評価ができるように、いろいろな研究者の方々のお知恵も頂きながらやっていきたいと思います。感染研にも御協力いただけると有り難いと思っております。
○脇田部会長 ありがとうございました。今、手が挙がっているのが、多屋先生と池田先生ですね、順番にお願いします。
○多屋委員 多屋です、よろしくお願いいたします。今までの先生と重なるのですが、それ以外の部分として、集団接種は最近慣れていないという御意見もありました。集団接種の注意点としては、アナフィラキシーに加えて、血管迷走神経性反射がほぼ100人に1人は起こってくるので、それに対する対応ができる場所を確保することが準備として大事かと思いました。
 もう1つ、これも先ほどの先生と同じですけれども、自分の住んでいる市町村以外で接種したいという場合に、誰がどこに連絡するのでしょうか。接種をしたい市町村に自分で連絡するのか、あるいは自分の住民票がある市町村に連絡するのか、それを明確にしておかないと、予約は困難かと思いました。
 3つ目ですけれども、前回の新型インフルエンザワクチンのときに、接種を希望する人が複数の医療機関に予約をするということが起こり、接種希望者数の把握が困難であることがありました。今回のワクチンは1回溶かすと一定期間の間に、一番多いものでは1,000人近くの接種をしなければいけなくなりますので、1人の方が複数の医療機関に予約をすることはある程度制限しないと混乱が起こるのではないかと思いました。その3つです。以上です。
○脇田部会長 池田先生お願いします。
○池田委員 池田でございます。後ほど本来聞くべきことも含まれているかもしれませんが、申し訳ございません。1つは素人的な質問で、接種券、クーポン券、これは必ず無くす方が出てくるわけでありまして、1回目の接種の前に無くされる方、あるいは1回受けて2回目の前に無くされる方、こういうことがあり得るので、接種記録の管理について、あるいは御本人が2回目の接種に向けていろいろ困ることもあると思うのですが、これまで別のワクチンでもそういう対応はしていたかと思いますので、これはどういう形で対応できるのかということ。また最近では、例えばGoToのキャンペーンでも一部電子化されたようなクーポンもあったりするので、何らかの電子化を組み合わせることによって、紛失とかそうしたものに対しても対処ができないのかというのが1点目です。これはすみません、ちょっと素人的な質問です。
 2点目ですが、話を伺うと、これは3種類のワクチンが、もちろんこれは供給される時期等も違ってくると思いますけれども、基本的にはどのワクチンを受けたいかを被接種者が選択できるという仕組みになっていると理解いたしました。私の理解では、これまで例えばHPVなどでも、2価と4価のどちらを受けるかというのは、これは被接種者が選択できなくて、医療機関に行ったらどっちだったという形になっていたかと思いますが、今回、これは被接種者が選択できることになりますと、よほど有効性、安全性、あるいは供給の状況などについての詳細な情報がないと、どれを選択するかを正しくというか、いろいろな情報の下にやはり適切に選択ができない可能性があるかと思います。マスコミなどでもいろいろな情報は流れているのですが、大半は非常に役に立ついい情報だと思いますが、一部にはちょっと適切でないような内容、科学的でないような内容も見受けられるところがありますので、この辺り、ワクチンの選択に向けて、被接種者、一般の方にどのような情報の提供を公式に行うのかということが2つ目の質問です。確かHPVのときでも2価と4価、基本的には同等という前提で接種が行われていたと思います。今回は同等という保証はないので、そこをどのように情報を流し、しかもアップデートするかということが2点目です。
  3点目は、ほかの先生方からも御質問があることですが、有効性・安全性に関して、やはりこれはまだ不確定な部分もある中、日本における実際の接種の中で、有効性・安全性に関するデータ収集はほかのワクチン以上に非常に求められてくるところかと考えておりますので、そうした仕組みは、この流通の仕組みとはちょっと別に考えるものなのか、あるいはこの中に何か組み合わせて、そうした情報の分析ができるものなのかということが3点目です。以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。まだ手が挙がっているのですが、ちょっとここで切らせていただいて、多屋先生と池田先生からの御質問に、事務局からお答えいただけるでしょうか。お願いします。
○林予防接種室長 事務局の林です。集団接種会場でアナフィラキシーや血管迷走神経反射への対応が必要、あるいはそういうときに転倒などでけがをしないような準備も必要ということだと思いますが、おっしゃるとおりだと思いますので、周知に努めたいと思います。
 住所違いで接種する場合の手続の方法については、御指摘のとおりだと思いますので、分かりやすいものになるように、きちんと整理をした上で周知をしたいと思います。
 複数の医療機関での予約があったということですが、解決策としては、基本的にはそういうことをしなくても済むような仕組みにしたいと思っています。V-SYSの公開サイトでどこの医療機関が今予約を受け付けられるかを公開するとともに、その予約を受け付けた医療機関は、必ずそのワクチンが接種できるように、取消しになってしまわないようにするためにこの供給量をV-SYSで管理するという仕組みを作っていますので、予約をしても打てないかもしれないと思うとそういうことが起きてしまうわけですけれども、基本的にはそれを防ぐためには、予約をすれば必ず予約した日に受けられるような形にしていくことが必要な解決策だと思っています。
 それから池田先生から、接種券を無くす方への対応ということですけれども、現在、定期接種で行われている対応は、基本的には市町村にお話していただいて、再発行するという対応だと思います。臨時接種として行われる場合も同じような対応が主流になると思いますけれども、地域で何か工夫ができることがあれば、それは可能性としてはあると思います。
 ワクチンの選択についてですが、これは供給されるといっても時期が同じか違うかも分かりませんし、有効性、安全性についてどのくらい違うのかも分からない状況なので、余り今の時点で国民の方がどれか1つを選べるということに着目をした情報発信をすることは考えていないのですが、とは言いましても、ワクチンについての有効性や安全性についてきちんとした情報提供をすることは必要だと思いますので、そういったことはしっかりしていきたいと思います。結果的に同じような有効性がありますというお知らせになることもあるかもしれませんし、いずれにしても情報提供にはしっかり努めていきたいと思います。
 データ収集の仕組みについては、今日幾つかお話をしていますけれども、予防接種台帳は市町村が管理するもので、個人情報も含めて持っている仕組みです。V-SYSのへほうは、個人情報を持つことはしていませんので、ワクチンの数とか接種者数といったことを管理する仕組みです。V-SYSのほうから申し上げると、副反応報告を解釈するときの接種数の分母の数字として使うことを想定はできると思いますけれども、直接に何かと連結して分析的な研究をすることにはちょっと向かないかと思います。予防接種台帳のほうは、使える可能性があるとすれば、今、国としても試行的な事業をやっておりますけれども、市町村が持っている他の情報と、市町村内で連結することは今のルールの中でもできますので、例えば市町村国保の持っているレセプトの情報と突き合わせて分析を行うような、これは国の試行事業として、一部の自治体で行っていただいておりますけれども、そういう活用の仕方があるのではないかと考えております。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。今チャットボックスに中山先生と伊藤先生から御質問が入っていますので、その御質問を頂いてから後半のほう、流通や接種体制にいきたいと思います。では中山先生、伊藤先生の順に御質問をお願いします。
○中山委員 そこに書いたとおりですけれども、東京などでは高齢者施設の場合、住居地ではない高齢者施設でも、介護保険の関係で住民票を移していないことが多いのです。その場合、希望者には介護施設のほうでまとめて予防接種を行うという理解でよろしいのでしょうか。
○伊藤委員 1つ目のところは、先ほどの池田先生の質問と重複します。ワクチンの副反応が一定程度あることは、データを見ると理解できているのですけれども、副反応のために勤務が困難になる状況がでるだろうと思います。集団接種でも、集団によっては複数回に分ける必要があると考えます。その副反応に対する対応などは、国である程度ガイダンスを出していただけないだろうかと思います。。
 それと、1,000回分を1度に接種と言われると、医療機関としては処理しにくいと思います。ですから1,000回分ではなく、ディープフリーザーの段階でもう少し小分けにならないか考えますが、そこら辺の対応はいかがでしょうか。
○脇田部会長 それでは、今の中山先生と伊藤先生からの御質問に対して、事務局からお願いします。
○林予防接種室長 中山先生から、施設入所者の接種はどのようにするかという御質問です。接種の実施主体としては、住民票のある市町村というように整理をしておりますが、7ページにあるように、他の自治体に長期に滞在されている方の例として、入所者というのがあります。ですから今現にいらっしゃる自治体で接種を受けられるようにしていく必要があります。実務上、高齢者施設にどのようにワクチンをお届けして接種していくかということは、また自治体や施設の御協力もいただきながらやっていく必要があると思います。通常から配置医のような方が定期的にいらっしゃるような状況もあると思いますし、それとは違う方に接種していただくということであれば、そういった調整も必要になると思いますので、そこについても調整していく必要があると思っております。
 伊藤先生からは、例えば副反応のために発熱される方がたくさんいらっしゃると、勤務が難しくなったりするのではないかという御指摘です。Ⅰ相・Ⅱ相の試験の中で、発熱とか頭痛とか疲労感といった副反応の発生頻度のデータが、若干出てきているところですけれども、今後は海外での接種経験も増えるに連れ、そういった情報もアップデートされてくると思います。勤務ができないような水準の頻度の高い副反応がどれぐらい出てくるかといったデータが出てくれば、それを参考に、接種される方々や事業者の方々に情報提供をしていくということになります。
 それから、1,000回分を小分けにできないかということについては、これでも小分けしているのです。もともと5,000回分で海外から国内に空輸されているものを、1,000回分に小分けするような形で国内でお届けしているのです。これを更に小分けするということについては、現時点では難しい状況です。何ができるかということは、これからも引き続き情報収集をしていきたいと思います。
○脇田部会長 それでは先ほど申し上げたように後半の部分、今までも少しお話がありましたけれども、物流や具体的な接種体制に関しても御質問を頂きたいと思います。野口先生から法改正についてきています。よろしくお願いします。
○野口委員 もう皆さんおっしゃっていることですから、繰り返しになりますので余り言いませんが、法律改正が必要となりますから、短期的には難しいかもしれませんが、今回は是非、データを国レベルで収集・管理・活用していただくようにお願いします。これまでもワクチンの生産・流通部会で問題になったのですけれども、任意のインフルエンザワクチンについては市区町村というか、各保健所に管理されているということで、代表制がないので、インフルエンザワクチンの疫学的な影響や社会経済的な影響が、なかなか全国的なレベルで見えてこなかったのです。ですので今回は是非、ワクチン施策に資するようなデータ構築のインフラストラクチャーというかインフラを、これを機会に構築していただきたいというのが私からの意見です。ありがとうございます。
○脇田部会長 今の野口先生の御指摘は非常に重要なところで、多くの専門家がそこをやらなければいけないと感じていると思います。先ほど事務局からもありましたけれども、接種が開始されてからのそういったデータ収集と活用は、厚労省だけではなくて感染研や大学の先生方と一緒に、どういったシステムを作り上げられるのかということを準備していく必要があると私も考えておりますし、予防接種室の人とも話をしながらやっていきたいと考えています。事務局からも更にありますか。
○林予防接種室長 今できることや準備していることについては、先ほどお話申し上げたとおりですし、脇田先生をはじめ感染研の皆様、あるいは全国の研究者の方々にも御協力いただきたい部分が出てくると思います。よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 それでは流通関係について、更に先生方から御意見はありますか。釜萢先生はありますか。
○釜萢委員 接種体制についてです。先ほど伊藤先生からもお話があり、現時点では林室長がおっしゃるように、ファイザー社のワクチンをどういう形で接種を行うかという実務について、まだ分からないところが多く、それをどういう形で現実に確実に接種できるようにするかについて、海外の先行事例をすばやく収集し、何とか工夫をしてやっていくことが必要だろうと、強く感じております。それについては、私どもも予防接種室としっかり連携を取って、御相談をしていきたいと思っております。
 私どもが今課題として感じていることは、接種を担当する医療機関がどのくらい、自身の所で予約の枠を設けられるかということです。通常のワクチンとは違って、特に三密を避ける体制を取るとか、これまで以上に工夫や手当てをしなければいけない場面が出てくる中で、どのくらいの予約数を設定できるかという判断が、まだ情報が足りなくて十分できていないのです。ですから、そこについては予防接種室としっかり御相談をしながら、私どもからも会員に対して、早く情報を発信しなければいけないと思っております。その予約の手挙げがどのくらいできるかによって、ワクチンの配分が決まってくるわけですから、そこについて残された時間の中でしっかりやっていきたいと思います。これは質問と言うよりは、今の認識を申し上げておきます。以上です。
○脇田部会長 釜萢先生、御意見ありがとうございました。今、4人の先生方から手が挙がっていますので、順番にお願いしたいと思います。宮入先生、信澤先生、福島先生、中野先生から挙がっています。まず宮入先生からお願いします。
○宮入委員 国立成育医療研究センターの宮入です。医療機関側には断片的な情報が入ってきて迷う事があります。どういう準備をしたらよいか、どういうことはすべきでないかということを発信していただきたいと思います。例えば、今回できたワクチンにディープフリーザーが必要だという話があると、それを購入しに走るとか、針の供給の問題などについても、正しく情報発信を行わないと買占めに走ってしまうということが起こり得ると思います。国としてもしっかりした体制が出来ているので、自治体からの連絡を待ってくださいといったメッセージを発信していただければと思います。
○信澤委員 少々細かくて申し訳ないのですけれども、18ページのワクチンの特性のところで、2点お伺いしたいと思います。接種回数がそれぞれ2回になっていて、2回目の接種が期日どおりにできない場合は、例えば40日後であればブースター効果があるとか、いつまでならいいとか、あるいはこれを過ぎたらもうブースター効果がないといった情報があるのでしょうか。また、そういう人たちはどうしたらいいのでしょうか。それが1点です。
 あと、バイアル開封後の保存条件のところです。ファイザー社とモデルナ社はともにmRNAワクチンで、凍結融解により壊れやすいワクチンだと思うのです。モデルナ社の場合は解凍後、再凍結は不可という注釈がありますけれども、ファイザー社のほうは室温で融解後、接種前に生理食塩水で希釈し、希釈した後は6時間室温でOKとなっています。例えば、室温で融解した後にすぐに生理食品水で希釈せず、あるいは人数の都合でしないで済んでしまった場合に、融解した後にまた凍結しても効果はあるのでしょうか。もし、そこら辺の詳細があるようでしたら、接種する医師のほうにもちゃんと正確な情報をお伝えいただいたほうが、よろしいのではないかと思いました。以上です。
○脇田部会長 まず2名の先生方からの御質問について、事務局からお願いできますか。
○林予防接種室長 宮入先生から、医療機関としての準備をどうしていくかという御質問がありました。基本的には市町村、市の医師会といった所でその地域に合った体制を築いていただくということだと思いますので、それがしっかりと円滑に進むような情報発信を心掛けていきたいと思います。また、針を先に買っておかなくてはいけないといった誤解が生じるという御指摘がありました。そういったことは起きないように、御指摘も参考にさせていただきながら、情報提供に努めていきたいと思います。
 信澤先生の言われたワクチンの特性については、全て薬事承認前の現時点の情報なので、接種体制を築くに当たって必要な範囲でこれを活用いただくことを、現時点では想定しております。詳細についてはまだ変わるかもしれませんし、現場での取扱いについては、接種時点で一番必要な情報を提供していただくことになると思います。ファイザー社のものについては、再凍結というのはあえて書いてないのですけれども、想定されていないというように認識しております。一度溶かしたものについては、一番下に書いてあるように、最大5日間の冷蔵保管はできますので、5日間冷蔵庫に入れていただくという範囲で、使うときに希釈していただくということになろうと思います。接種間隔が21日を超えてしまう場合の対応などは、また申請や承認審査の中で明らかにされると思いますし、接種までの間に私どもとしても情報提供をしていくことになると思います。
○脇田部会長 それでは福島先生、中野先生の順で御質問、御意見を頂けますか。
○福島委員 大阪市立大学の福島です。2点御質問がありますが、1つずつお尋ねしたいと思います。1点目がV-SYSについてです。今回、新たに立ち上げられたシステムであり、コロナが未曾有の事態ということで、今まで整備したかったけれどもなかなかできなかったことが、1つのブレイクスルーと言いますか、システムとして実現したことは大変素晴らしいのではないかと思います。ワクチン流通を見える化して、国民の皆さんも含めて見ることができて、更には一元化という点に加え、今後、定期のほかのワクチンにも転用可能なシステムというところでも、非常にいいのではないかと思います。
 スライドによりますと、このV-SYSで情報共有をするものは、今のところ基本的に流通だけですよね。これまで先生方がたくさん質問されましたけれども、実際に接種を行われる場合に、現場で多種多様な疑問がたくさん上がってくると思うのです。その場合に都度、厚生労働省のほうでQ&Aを作られるとか、あるいは普段されているような自治体への連絡経路を使って通達されるという方法もあるかもしれません。しかし、せっかく国のほうで一元化システムを作られたのですから、現場で生じた疑問や、グッドプラクティスでもいいので、こういう問題に対してこうふうに対処してうまくいっていますとか、リアルタイムに広くQ&Aを還元していくようなスキームを盛り込まれてはいかがかというのが提案です。今はシステムを構築中ということで、変更できない部分もあるかもしれませんが。これが1点目の意見です。一旦、ここで切ります。
○脇田部会長 1点1点ということなので、事務局、いかがですか。
○林予防接種室長 V-SYSの中では、接種される医療機関への情報提供というのは、いろいろな形であり得ると思いますので、そこは考えていきたいと思います。その中でチャットをするとか、掲示板を作るというところまでは想定していないです。そこら辺のクオリティコントロールは非常に難しい問題がありますけれども、Q&Aなどを有効な形で発信して、現場まで共有いただくということは大事な御提案だと思いますので、検討させていただきたいと思います。
○福島委員 ありがとうございます。せっかくの新しいシステムなので、もちろん煩雑にならない程度に、皆さんが迅速に情報共有できるところはされたらいいのではないかと思います。
 2点目の質問と言いますか、これは意見です。たくさんの先生がおっしゃったように、ワクチンの接種のレジストリについてです。先ほどのV-SYSが一元化というキーワードで1つのシステムを立ち上げられたように、私はワクチンレジストリーというシステムも、絶対に必要だと思っています。この問題提起は今出てきたことではなく、2013年に予防接種・ワクチン分科会が初めて設置されたとき、私はそこから1年以内ぐらいの早い段階で、例えばマイナンバー等のシステムを活用したワクチンレジストリーが必要ではないかということを審議会の場で申し上げました。そのときに事務局のほうからも、今後、前向きに検討しますというお返事をされたのですけれども、結局その後は余り進んでないように思うのです。
 もちろん、先ほど事務局がおっしゃいましたように、大変たくさんの課題があって、何らかの法整備も必要ということは分かるのです。2013年に分科会が設置されて以後、いろいろ検討されてきたけれども結局難しいのか、あるいは各省庁との協議が今も進行中であるのか、あるいは、市町村で管理されている予防接種台帳が今はほとんど電子化されているので十分とお考えなのか、その辺りの御見解を聞かせていただけませんか。
○脇田部会長 事務局、お願いします。
○林予防接種室長 2つ目に関しては非常に重要な課題だと、私自身も思っております。実施するまでの課題というのは、先ほど幾つかお話したとおりだと思います。一方でこれがどう役に立つのかということを身をもって示していくという取組も、私たちや医療界、あるいは研究者の方々と一緒にやっていく必要があると思います。そういった観点からレセプトと予防接種台帳のマッチングした情報分析の仕組みなどについてトライアルをしてきていて、こういったものが何か生かせないかということをやってきているところです。
 マイナンバーのようなIDの普及といった基盤が進んでいくこととパラレルにしか進まない部分もあり、単純にマイナンバーを持ってこないと予防接種が打てないような仕組みを作ってしまっても、もしかしたらかえっていいという方もいらっしゃるかもしれませんが、予防接種を運営する側としては、現時点でそこまでは難しいのではないかと思います。逆に名寄せの仕組みがないまま走っている例として、がん登録のような仕組みがあります。しかし、どれだけの手間と労力と時間を使って、その後にデータのクリーニングをして名寄せをしているかといったことも目の当たりにしておりますので、そういった前例も見ながら、どういった基盤をどういったスケジュール感で整えて、全体を最適化していくのかということは、非常に大きなディスカッションだと思っております。認識は共有しておりますけれども、今の状況は今のようなことだと思います。
○脇田部会長 福島先生がおっしゃるようなスピード感では、なかなか進んでいないところですけれども、我々も協力して物事を前に進められるように頑張っていきたいと思っています。よろしくお願いします。それでは中野先生、お願いします。
○中野委員 スライドの18について御質問させていただきます。いずれのワクチンも現状では、1バイアル5名分とか10名分というように複数名です。過去のインフルエンザワクチンにおいても、1バイアルに複数回針を刺すこととか、許容されるワクチンはチメロサールだったり、フェノキシエタノールだったりの保存剤が入っているわけです。その現場の運用で、私たちはプラクティスを行ってきたと思います。今回のワクチンは、まだ国内で販売されているわけではないので、成分がどうかという質問は、現状では難しいのかもしれませんが、他のワクチンとの整合性というか。やはり私たちは医療者として現場で適切な接種を全国統一で実践する必要があると思いますので、複数回を1バイアルに刺すということに関して、保存剤の成分等を含めて、ほかのワクチン等との整合性はいかがでしょうか。
○脇田部会長 事務局のほうからいかがでしょうか。
○林予防接種室長 成分が何かという御質問に、この時点でお答えできる材料はありません。承認までに明らかになってくることだと思います。現場でのグッドプラクティスをしっかりと普及していくという観点での御指摘は、正にそうだと思っておりますが、その一方で、これだけの数をこれだけの新しいやり方でやっていかなくてはいけないという部分もありますから、ものによっては普段のやり方と違うやり方で、今回はお願いしなくてはいけない部分も出てくると思います。例を挙げれば、1ミリシリンジの国内流通量と比べると、相当多い量を供給する必要がありますので、例えばいつもと違うメーカーの違う形のものを使っていただくとか、いろいろな違いが出てくると思います。そういったところも含めて、今回はこういう理由でこうなるということを、しっかりと情報発信していかなくてはいけないことだと受け止めさせていただきました。
○中野委員 かしこまりました。現場でワクチンを打っている私としては1ミリシリンジに関しても、2.5ミリシリンジでも0.5mLの注射ができるケースはあると思いますので、混乱しないように一番いい方法を取っていただいたらいいかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○林予防接種室長 ありがとうございます。現実問題として、2.5ミリシリンジも併せて確保していますので、御指摘のような接種も実際にはやっていただくことになると思います。
○脇田部会長 そのほかにいかがでしょうか。白井先生からチャットのほうに御意見が入っていますけれども、声を出しますか。
○白井委員 最後にそのようにまとめていただければと思いましたので、それで結構です。
○脇田部会長 分かりました。そのほかにいかがでしょうか。多屋先生、お願いします。
○多屋委員 今の18ページの表についてです。すぐに回答するのは難しいかもしれないのですが、今後、-70℃の冷凍庫、-20℃の冷凍庫又は冷蔵庫等の準備が始まると思うのです。現在、ファイザー社の場合は-70℃、モデルナ社の場合は-20℃、アストラゼネカ社の場合は2~8℃というように規定されています。これらがそれぞれ別の冷凍庫に入った場合、どのように対処しなければいけないのか。冷蔵のものを冷凍してしまったら全て廃棄なのか、あるいは-70℃のものを-20℃で凍結してしまった場合はどこまで持つのか。そういうことも危機管理として対応する準備をしておけるのであれば、準備をしておいたほうがいいように思いましたので、もし分かれば教えてください。
 そして先ほど委員の先生もおっしゃっていたように、21日とか28日という間隔が日単位で明記されますと、実施のやり方が非常に難しくなると思います。もう少し幅を持たせて、今定期接種で行われている21日以上とか28日以上とか、そこは少しフレキシブルに対応できるような制度を準備していただければと思いました。以上2点です。
○脇田部会長 事務局のほうはいかがですか。
○林予防接種室長 ワクチンの保存の取扱いを間違ったときの対応ということで、網羅するのは難しいかもしれませんけれども、溶かしてしまったら、そこから5日間のうちに使ってくださいというようなことになるのかもしれません。御質問はもっともだと思いますので、接種までに可能な限りお伝えできるものは、お伝えしていくという考え方だと思います。接種間隔については御指摘のとおりだと思います。これまでの治験がこういうように行われてきたので、その情報をここに記載しておりますけれども、申請・承認のプロセスの中で、どういう取扱いとするかということについて明らかにして、現場の実務にも合う方法にしていく必要があるというように認識しております。
○多屋委員 ありがとうございました。
○脇田部会長 さらにありますか。まだ御発言いただいてない方はいらっしゃいますか。山口先生。
○山口委員 2点ほど質問させてください。1点目が流通の問題です。過疎地などに関しては多分複数の選択肢を確保するための十分な配布が可能か、複数選択を可能か、すごく難しくなるような気がします。そういう点をどのように知らせるのかという話です。
 もう1つは、選択をする場合の内容を周知するということが先ほどあったのですけれども、全ての情報がそんなにそろっているわけではないと思うのです。例えばアストラゼネカのものはアデノウイルスなので、次年度にまたワクチンを投与しないといけないときには、アデノウイルスに対する抗体ができてしまい、投与できない可能性もあると思うのです。そういう意味で選択のときの最低限の情報というのは、情報提供をしていただくことが必要ではないかと思いました。以上です。
○脇田部会長 伊藤先生もチャットに入れていただきましたけれども、お声を出しませんか。
○伊藤委員 ありがとうございます。まずは生産・流通部会として、今回の枠組みは、公正取引協議会との調整は大変だったろうと思います。それをされた事務局には、お礼を申し上げたいと思います。チャットのほうにも書きましたけれども、このワクチンは発熱などの副反応が相当程度出ます。治験などのデータを見ると事前に発熱を防止するような薬、例えばアセトアミノフェンを使ったり、接種後何日ぐらいまで熱が出るというような、副反応に対する情報をきちんと伝えていただくことは大変重要だろうと思います。今後、国民の方々に、このようなワクチンを使うのですといった情報提供を配慮していただけるとよいと思います。HPVのワクチンのパンフレットのようなものができてくると本当は理想だろうと思いますので、そういったこともお考えいただければと思います。以上です。
○脇田部会長 今の山口先生、伊藤先生の御意見について、事務局のほうからはいかがでしょうか。
○林予防接種室長 ありがとうございました。今日お示ししている資料の中では、過疎地についてはディープフリーザーは小規模な自治体においても、少なくとも1台は必要があれば置いていただけるように配分数を決めるということで、できる限り対応していただけるような仕組みを念頭に置いて御説明させていただいております。ただし、いろいろな現場の実態があると思いますから、御苦労をお掛けすることもあると思いますので、できる範囲でお願いしたいと思っております。将来、ウイルスベクターのワクチンの2度目の接種が可能なのかということについては、まだ十分なデータが出てきてないと思いますが、今後明らかになってくると思いますし、そのためにも接種記録が管理されるということは、しっかりやっておく必要があると思っております。
 公取との調整については、そのように言っていただいてありがとうございました。担当者も喜んでいると思います。ここに書かせていただいていることについては、そういったことも踏まえてお示ししております。
 副反応に関する情報については、しっかり出していく必要があると思います。今日は合同部会ですが、前回の基本方針部会の参考資料の中で、今までのⅠ相・Ⅱ相試験でどのぐらいの頻度で軽度の副反応があったかという資料を出しております。それもあって今日は入れてないのですけれども、現時点からそういった周知、リスクコミュニケーションということでやっていく必要があると思っております。実際に接種が始まる段になれば、分かりやすい情報発信をしっかりやっていく必要があると思っております。以上です。
○脇田部会長 そろそろ時間ですが、まだ御発言いただいていない委員の先生方、いかがですか。合田先生、石井先生、何か御意見がありましたら。
○合田委員 お話したいと思っていたことは全部言っていただきましたので、ありがとうございます。大丈夫です。
○脇田部会長 石井先生はいかがですか。
○石井委員 大丈夫です。どうもありがとうございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。それでは、大分時間になってきました。先ほどの白井先生のチャットも、皆さんからかなり意見のあったところです。副反応、有効性と安全性についての分析・還元を、ポンチ絵に入れてほしいという御意見なので、事務局にはその旨、よろしくお願いします。今日は様々な御意見を頂きました。今、簡単にまとめ切れないところがありますので、事務局のほうで今日の委員の先生方の意見もしっかりとまとめていただいて、接種体制の構築にも取り入れていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。本日の議事は以上になりますが、事務局から更に何かありますか。
○元村予防接種室室長補佐 本日は長時間にわたり、御議論いただきましてありがとうございました。次回の開催については、また追って御連絡させていただきます。事務局からは以上です。
○脇田部会長 それでは、これで終了したいと思います。先生方には活発な御議論、本当にありがとうございました。またよろしくお願いいたします。